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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-28
(45)【発行日】2023-04-05
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/02 20060101AFI20230329BHJP
   E02F 9/22 20060101ALI20230329BHJP
   F15B 11/08 20060101ALI20230329BHJP
   F15B 21/044 20190101ALI20230329BHJP
【FI】
F15B11/02 V
E02F9/22 E
F15B11/08 C
F15B21/044
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020053380
(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2021152393
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2021-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】398071668
【氏名又は名称】株式会社日立建機ティエラ
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】森 和繁
(72)【発明者】
【氏名】高橋 究
(72)【発明者】
【氏名】古東 宥輝
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-512495(JP,A)
【文献】特開2017-150642(JP,A)
【文献】特開2006-200559(JP,A)
【文献】特表2017-534821(JP,A)
【文献】特開2018-087634(JP,A)
【文献】特開2005-076781(JP,A)
【文献】特開2016-035321(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0030364(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00-11/22
E02F 9/22
F15B 21/04
F15B 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
片ロッドの油圧シリンダと、
第1ポート及び第2ポートを有する油圧ポンプと、
前記第1ポートを前記油圧シリンダのロッド側油室と接続するロッド側供給ラインと、
前記第2ポートを前記油圧シリンダのボトム側油室と接続するボトム側供給ラインと
を備えた建設機械において、
前記ロッド側供給ラインから分岐した第1アキュムレータラインと、
前記ボトム側供給ラインから分岐した第2アキュムレータラインと、
前記第1アキュムレータライン及び前記第2アキュムレータラインに接続し、前記ロッド側油室及び前記ボトム側油室の面積差による容積差分の作動油を蓄えるアキュムレータと
前記第1アキュムレータラインに設けられ、前記アキュムレータから前記ロッド側供給ラインへの圧油の流れを許容すると共に前記ロッド側供給ラインから前記アキュムレータへの圧油の流れを禁止する逆止弁と、
前記ロッド側供給ラインに設けられ、前記油圧ポンプから前記ロッド側油室への圧油の流れを許容すると共に前記ロッド側油室から前記油圧ポンプへの圧油の流れを禁止する第1作動式チェック弁と、
前記油圧シリンダの伸長操作に連動して前記第1作動式チェック弁を開ける第1チェック弁駆動機構と、
前記ボトム側供給ラインに設けられ、前記油圧ポンプから前記ボトム側油室への圧油の流れを許容すると共に前記ボトム側油室から前記油圧ポンプへの圧油の流れを禁止する第2作動式チェック弁と、
前記油圧シリンダの収縮操作に連動して前記第2作動式チェック弁を開ける第2チェック弁駆動機構と、
前記第2アキュムレータラインに設けられ、前記アキュムレータから前記ボトム側供給ラインへの圧油の流れを許容すると共に前記ボトム側供給ラインから前記アキュムレータへの圧油の流れを禁止する第3作動式チェック弁と、
前記油圧シリンダの収縮操作に連動して前記第3作動式チェック弁を開ける第3チェック弁駆動機構と
を備えたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械において、
前記ロッド側供給ラインに設けられた第1エア抜きポートと、
前記ボトム側供給ラインに設けられた第2エア抜きポートと、
前記第1アキュムレータライン及び前記第2アキュムレータラインに対して前記アキュムレータを脱着可能に接続する脱着ポートと
を備えたことを特徴とする建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の建設機械、特に油圧シリンダと油圧ポンプとが閉回路を形成する建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1ポート及び第2ポートから択一的に圧油を吐出できる油圧ポンプを用い、片ロッドの油圧シリンダのロッド側油室に第1ポート、ボトム側油室に第2ポートを接続した閉回路の油圧システムを採用した建設機械が開示されている。油圧ポンプからロッド側油室に圧油が供給されると油圧シリンダが収縮し、ボトム側油室から流出した圧油が油圧ポンプに循環する。反対にボトム側油室に圧油が供給されると油圧シリンダが伸長し、ロッド側油室から流出した圧油が油圧ポンプに循環する。
【0003】
同文献において、第1ポートとロッド側油室を繋ぐボトム側供給ラインは第1タンクラインを介してタンクに接続され、第2ポートとボトム側油室を繋ぐボトム側供給ラインは第1タンクラインを介してタンクに接続されている。片ロッドの油圧シリンダの両油室には受圧面積差があるため、油圧シリンダが収縮する際にロッド側油室に流入する圧油に対してボトム側油室から多くの圧油が流出するが、この余剰分の圧油が第2タンクラインを介してタンクに排出される。油圧シリンダが伸長する際にはボトム側油室に流入する圧油に対してロッド側油室から流出する圧油が不足するが、この不足分の圧油が第1タンクラインを介してタンクから補充される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6467479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
油圧システムに備わったタンクには、内部の作動油の液量の増減に伴って空気が出入りする。そのため、粉塵の多い環境では大気中の塵埃等のコンタミネーションがタンクに吸い込まれ、コンタミネーションが油圧回路に混入して油圧機器の不具合の要因となり得る。仮に空気が出入りしないようにタンクを気密構造とした場合、作動油の吸排に伴ってタンクの圧力が変化するため、タンクが破損したりキャビテーションが発生したりする恐れがある。
【0006】
本発明の目的は、油圧回路へのコンタミネーションの混入を抑制することができる建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、片ロッドの油圧シリンダと、第1ポート及び第2ポートを有する油圧ポンプと、前記第1ポートを前記油圧シリンダのロッド側室と接続するロッド側供給ラインと、前記第2ポートを前記油圧シリンダのボトム側室と接続するボトム側供給ラインとを備えた建設機械において、前記ロッド側供給ラインから分岐した第1アキュムレータラインと、前記ボトム側供給ラインから分岐した第2アキュムレータラインと、前記第1アキュムレータライン及び前記第2アキュムレータラインに接続し、前記ロッド側油室及び前記ボトム側油室の面積差による容積差分の作動油を蓄えるアキュムレータと、前記第1アキュムレータラインに設けられ、前記アキュムレータから前記ロッド側供給ラインへの圧油の流れを許容すると共に前記ロッド側供給ラインから前記アキュムレータへの圧油の流れを禁止する逆止弁と、前記ロッド側供給ラインに設けられ、前記油圧ポンプから前記ロッド側油室への圧油の流れを許容すると共に前記ロッド側油室から前記油圧ポンプへの圧油の流れを禁止する第1作動式チェック弁と、前記油圧シリンダの伸長操作に連動して前記第1作動式チェック弁を開ける第1チェック弁駆動機構と、前記ボトム側供給ラインに設けられ、前記油圧ポンプから前記ボトム側油室への圧油の流れを許容すると共に前記ボトム側油室から前記油圧ポンプへの圧油の流れを禁止する第2作動式チェック弁と、前記油圧シリンダの収縮操作に連動して前記第2作動式チェック弁を開ける第2チェック弁駆動機構と、前記第2アキュムレータラインに設けられ、前記アキュムレータから前記ボトム側供給ラインへの圧油の流れを許容すると共に前記ボトム側供給ラインから前記アキュムレータへの圧油の流れを禁止する第3作動式チェック弁と、前記油圧シリンダの収縮操作に連動して前記第3作動式チェック弁を開ける第3チェック弁駆動機構とを備えた建設機械を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、油圧回路へのコンタミネーションの混入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る建設機械の表す側面図
図2】本発明の一実施形態に係る建設機械に備わった油圧システムの要部を抜き出した回路図
図3】本発明の一実施形態に係る建設機械に備わった油圧システムのエア抜き作業の説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
-建設機械-
図1は本発明の一実施形態に係る建設機械の表す側面図である。以降、運転席に座った操作者が正対する方向(図1中の左方向)を旋回体12の前方とする。図1に示した建設機械は油圧ショベルであり、車体10及び車体10に連結されたフロント作業機20を備えている。車体10は、走行体11及び旋回体12を備えているが、走行体11と旋回体12とに分けない構成とする場合もある。
【0012】
走行体11は建設機械の基部構造体をなすものであり、左右の履帯13を備えたクローラ式の走行体である。左右の履帯13はそれぞれ左右の走行駆動装置14により駆動される。走行駆動装置14は油圧モータと減速機からなる。走行体11のフレーム(トラックフレーム)の前部にはブレード(排土装置)10aが取り付けられている。ブレード10aはブレードシリンダ10bにより上下動する。走行体11の上部には、旋回輪15を介して旋回体12が設けられており、旋回輪15を旋回モータ15aで駆動することによって鉛直に延びる軸を中心にして走行体11に対して旋回体12が旋回する。旋回モータは油圧モータであるが、電動モータが用いられる場合の他、油圧モータと電動モータが併用される場合もある。なお、本実施形態ではクローラ式の走行体11を備えた建設機械を例示したが、走行体11をホイール式とすることもできる。
【0013】
旋回体12は、旋回フレーム16、運転室(キャノピ)17、機械室18、カウンタウェイト19等を備えている。旋回フレーム16は旋回体12のベースフレームであり、旋回体12に搭載される各機器を支持している。旋回フレーム16の前部には鉛直な軸を介してスイングポスト16aが連結されている。運転室17は旋回フレーム16の上部に搭載されている。運転室17の内部には、操作者が座る運転席17a、操作者が操作する操作装置17x等が配置されている。操作装置17xは例えば電気レバー装置であり、運転席17aの左右に備わっている。例えば右の操作装置17xのレバーを前に操作すればブーム下げ動作、後に操作すればブーム上げ動作、左に操作すればバケットクラウド動作、右に操作すればバケットダンプ動作がされる。左の操作装置17xのレバーを前に操作すれば右旋回動作、後に操作すれば左旋回動作、左に操作すればアームダンプ動作、右に操作すればアームクラウド動作がされる。機械室18は旋回フレーム16における運転室17の後側に配置されている。図1及び図2では図示していないが、機械室18には、原動機としての電動モータMa~Mc(図2)、電動モータMa~Mcにより駆動される油圧ポンプPa~Pc(図2)、熱交換器類等が収容されている。カウンタウェイト19はフロント作業機20とのバランスをとる錘であり、旋回フレーム16の後端に支持されている。
【0014】
-フロント作業機-
フロント作業機20は多関節型の作業装置であり、作業腕21とバケット22とを含んで構成されている。作業腕21は、ブーム23、アーム24、ブームシリンダ25、アームシリンダ26及びバケットシリンダ27を含んで構成されている。ブームシリンダ25、アームシリンダ26及びバケットシリンダ27は、いずれも片ロッドの複動式油圧シリンダであり、フロント作業機20を駆動する。ブームシリンダ25はブーム23の腹側に、アームシリンダ26はブーム23の背側に、バケットシリンダ27はアーム24の背側に配置されている。腹側とは、アーム24の先端を前方に向けた姿勢の作業腕21の下側であり、背側とは、同姿勢の作業腕21の上側である。
【0015】
ブーム23は、車体10(スイングポスト16a)に、左右に延びるピンaを介して上下に回動可能に連結されている。本実施形態のブーム23は側面視でL字型をしており、基部側に対して先端側が前傾している。アーム24はこのブーム23の先端に左右に延びるピンbを介して回動可能に連結されている。アーム24の先端には左右に延びるピンcを介してバケット22が連結されている。バケット22はアタッチメントであり、グラップル等の他のアタッチメントに交換可能である。
【0016】
ブームシリンダ25は、左右に延びるピンdを介して車体10(スイングポスト16a)に対して基端が連結されており、左右に延びるピンeを介してブーム23の腹側面に対して先端が連結されている。アームシリンダ26は、左右に延びるピンfを介してブーム23の背側面に対して基端が連結されており、左右に延びるピンgを介してアーム24の基端部に対して先端が連結されている。バケットシリンダ27は、左右に延びるピンhを介してアーム24の背側面に基端が連結されており、左右に延びるピンiを介してバケットリンク22aに先端が連結されている。
【0017】
-油圧システム-
図2は本実施形態に係る建設機械に備わった油圧システムの要部を抜き出した回路図である。同図ではブームシリンダ25、アームシリンダ26及びバケットシリンダ27の駆動回路を抜き出して表してある。ブームシリンダ25、アームシリンダ26及びバケットシリンダ27の駆動回路はいずれも構成が等しいため、ここではブームシリンダ25の駆動回路について説明し、アームシリンダ26及びバケットシリンダ27の駆動回路については説明を省略する。但し、以下のブームシリンダ25の駆動回路の説明において同回路の要素には符号に添え字aを添える。ブームシリンダ25の駆動回路の説明は、ブームシリンダ25をアームシリンダ26と読み替え、符号の添え字aをbと読み替えることで、アームシリンダ26の駆動回路の説明に代えることができる。同様に、ブームシリンダ25の駆動回路の説明は、ブームシリンダ25をバケットシリンダ27と読み替え、符号の添え字aをcと読み替えることで、バケットシリンダ27の駆動回路の説明に代えることができる。
【0018】
ブームシリンダ25の駆動回路は、油圧ポンプPa、電動モータMa、ロッド側供給ラインL1a、ボトム側供給ラインL2a、第1アキュムレータラインL4a、第2アキュムレータラインL3a及びアキュムレータAを含んで構成されている。この他、ブームシリンダ25の駆動回路には、第1作動式チェック弁V1a、第2作動式チェック弁V2a、第3作動式チェック弁V3a、逆止弁(チェック弁)V4aが含まれている。
【0019】
油圧ポンプPaは、ブームシリンダ25を駆動する圧油を吐出するポンプであり、電動モータMaにより駆動される。電動モータMaはサーボモータであり、操作装置17xの操作方向に応じた方向に操作量に応じた速度で回転する。油圧ポンプPaはまた、第1ポートP1a及び第2ポートP2aを有している。第1ポートP1aはロッド側供給ラインL1aを介してブームシリンダ25のロッド側油室C1aと接続されている。第2ポートP2aはボトム側供給ラインL2aを介してブームシリンダ25のボトム側油室C2aと接続されている。こうして油圧ポンプPaはブームシリンダ25と閉回路を構成している。第1ポートP1a及び第2ポートP2aはいずれも入出力ポートである。電動モータMaにより油圧ポンプPaの回転方向を切り換えることで、第1ポートP1aから圧油が吸引されて第2ポートP2aから吐出されたり、第2ポートP2aから圧油が吸引されて第1ポートP1aから吐出されたりする。油圧ポンプPaの圧油の吐出流量は電動モータMaの回転数で制御される。
【0020】
第1アキュムレータラインL4aは、ロッド側供給ラインL1aから分岐している。第2アキュムレータラインL3aは、ボトム側供給ラインL2aから分岐している。第1アキュムレータラインL4a及び第2アキュムレータラインL3aには、脱着ポートX3a(後述)を介してアキュムレータAが接続している。このアキュムレータAにより、ブームシリンダ25のロッド側油室C1a及びボトム側油室C2aの面積差による量油室の最大容積の差分の作動油を加圧状態で蓄えることができる。また、第1アキュムレータラインL4aには逆止弁V4aが設けられている。この逆止弁V4aにより、アキュムレータAからロッド側供給ラインL1aへの圧油の流れが許容されると共に、ロッド側供給ラインL1aからアキュムレータAへの圧油の流れが禁止される。
【0021】
第1作動式チェック弁V1aは、ロッド側供給ラインL1aに設けられ、油圧ポンプPaからロッド側油室C1aへの圧油の流れを許容すると共に、ロッド側油室C1aから油圧ポンプPaへの圧油の流れを禁止する。作動式チェック弁とは、通常時は禁止する向きの流体の流れをチェック弁駆動機構の作用により一定条件下で許容するものである。本実施形態において、第1作動式チェック弁V1aにはパイロット駆動式のチェック弁が用いてあり、これを駆動する第1チェック弁駆動機構D1aは第1絞りT1a及び第1パイロットラインQ1aを含んで構成されている。第1チェック弁駆動機構D1aは、ブームシリンダ25の伸長操作に連動して第1作動式チェック弁V1aを開けるものである。
【0022】
第1絞りT1aはボトム側供給ラインL2aに設けられており、固定絞りであっても良いが本実施形態では可変絞りが用いてある。本実施形態において、第1絞りT1aはボトム側油室C2a及び第2作動式チェック弁V2aの間に位置しているが、例えば油圧ポンプPaと第2作動式チェック弁V2aの間に配置することもできる。
【0023】
第1パイロットラインQ1aは、第1絞りT1a及び第3作動式チェック弁V3aの間でボトム側供給ラインL2aから分岐して第1作動式チェック弁V1aに接続している。第1パイロットラインQ1aを第1絞りT1a及び第2作動式チェック弁V2aの間でボトム側供給ラインL2aから分岐させた構成を例示しているが、例えば第2作動式チェック弁V2a及び油圧ポンプPaの間で分岐させる構成としても良い。加えて、第1パイロットラインQ1aは、第1絞りT1a及び第3作動式チェック弁V3aの間であれば第2アキュムレータラインL3aから分岐して第1作動式チェック弁V1aに接続する構成としても良い。第1パイロットラインQ1aを介して第1絞りT1a及び第3作動式チェック弁V3aの間の圧力がパイロット圧として第1作動式チェック弁V1aに導かれ、これにより第1作動式チェック弁V1aが開く構成である。
【0024】
第2作動式チェック弁V2aは、ボトム側供給ラインL2aに設けられ、油圧ポンプPaからボトム側油室C2aへの圧油の流れを許容すると共に、ボトム側油室C2aから油圧ポンプPaへの圧油の流れを禁止する。第2作動式チェック弁V2aは第1作動式チェック弁V1aと同様のパイロット駆動式のチェック弁であり、これを駆動する第2チェック弁駆動機構D2aは第2絞りT2a及び第2パイロットラインQ2aを含んで構成されている。第2チェック弁駆動機構D2aは、ブームシリンダ25の収縮操作に連動して第2作動式チェック弁V2aを開けるものである。
【0025】
第2絞りT2aはロッド側供給ラインL1aに設けられており、固定絞りであっても良いが本実施形態では可変絞りが用いてある。本実施形態において、第2絞りT2aはロッド側油室C1a及び第1作動式チェック弁V1aの間に位置しているが、例えば油圧ポンプPaと第1作動式チェック弁V1aの間に配置することもできる。
【0026】
第2パイロットラインQ2aは、第2絞りT2a及び逆止弁V4aの間(本例では第2絞りT2a及び第1作動式チェック弁V1aの間)でロッド側供給ラインL1aから分岐して第2作動式チェック弁V2aに接続している。第2パイロットラインQ2aは、第2絞りT2a及び逆止弁V4aの間であれば第1アキュムレータラインL4aから分岐して第2作動式チェック弁V2aに接続する構成としても良い。第2パイロットラインQ2aを介して第2絞りT2a及び逆止弁V4aの間の圧力がパイロット圧として第2作動式チェック弁V2aに導かれ、これにより第2作動式チェック弁V2aが開く構成である。
【0027】
第3作動式チェック弁V3aは、第2アキュムレータラインL3aに設けられ、アキュムレータAからボトム側供給ラインL2aへの圧油の流れを許容すると共にボトム側供給ラインL2aからアキュムレータAへの圧油の流れを禁止する。この第3作動式チェック弁V3aも第1作動式チェック弁V1aと同様のパイロット駆動式のチェック弁であり、これを駆動する第3チェック弁駆動機構D3aは第3パイロットラインQ3a及び上記逆止弁V4aを含んで構成されている。第3チェック弁駆動機構D3aは、ブームシリンダ25の収縮操作に連動して第3作動式チェック弁V3aを開けるものである。
【0028】
第3パイロットラインQ3aは、第2絞りT2a及び逆止弁V4aの間(本実施形態では逆止弁V4a及び油圧ポンプPaの間)で第1アキュムレータラインL4aから分岐して第3作動式チェック弁V3aに接続している。第3パイロットラインQ3aを介して第2絞りT2a及び逆止弁V4aの間の圧力がパイロット圧として第3作動式チェック弁V3aに導かれ、これにより第3作動式チェック弁V3aが開く構成である。なお、本実施形態では第2パイロットラインQ2aと第3パイロットラインQ3aのパイロット圧を異なる位置から導入しているが、同一の位置から導入する構成としても良い。
【0029】
なお、ロッド側供給ラインL1aには、第1作動式チェック弁V1aと油圧ポンプPaとの間にリリーフ弁R1aが、第2絞りT2aとロッド側油室C1aとの間にオーバーロードリリーフバルブR2aが設けられている。ボトム側供給ラインL2aには、第2作動式チェック弁V2aと油圧ポンプPaとの間にリリーフ弁R3aが、第1絞りT1aとボトム側油室C2aとの間にオーバーロードリリーフバルブR4aが設けられている。
【0030】
以上の構成の油圧システムには、第1エア抜きポートX1a及び第2エア抜きポートX2aが備わっている。第1エア抜きポートX1a及び第2エア抜きポートX2aは、流体継手(例えば迅速流体継手)のプラグ又はソケットである。第1エア抜きポートX1aは、ロッド側供給ラインL1a(本実施形態ではロッド側油室C1aと第2絞りT2aとの間)に設けられている。第2エア抜きポートX2aは、ボトム側供給ラインL2a(本実施形態ではボトム側油室C2aと第1絞りT1aとの間)に設けられている。第1エア抜きポートX1a及び第2エア抜きポートX2aには、ホースH(図3)を介してタンクT(図3)が接続可能である。ホースHの先端には第1エア抜きポートX1a及び第2エア抜きポートX2aに対応して流体継手(例えば迅速流体継手)のソケット又はプラグが取り付けられている。ホースHを第1エア抜きポートX1aに装着することで、ロッド側供給ラインL1aに対してタンクTが接続可能である。ホースHを第2エア抜きポートX2aに装着することで、ボトム側供給ラインL2aに対してタンクTが接続可能である。
【0031】
先に触れた通り、第1アキュムレータラインL4a及び第2アキュムレータラインL3aにはアキュムレータAが接続している。このアキュムレータAの接続構造について説明すると、まず本実施形態では第1アキュムレータラインL4a及び第2アキュムレータラインL3aが合流しており、両者が合流した配管部分に脱着ポートX3aが備わっている。脱着ポートX3aは流体継手(例えば迅速流体継手)のプラグ又はソケットである。この脱着ポートX3aには、アキュムレータAから延びる配管の流体継手(例えば迅速流体継手)のソケット又はプラグが装着されている。このようにして第1アキュムレータラインL4a及び第2アキュムレータラインL3aにアキュムレータAが接続している。
【0032】
脱着ポートX3aからアキュムレータAの継手を取り外すと、アキュムレータAに代えて脱着ポートX3aに対してタンクTが接続可能である。タンクTと脱着ポートX3aとの接続構造は、第1エア抜きポートX1a(第2エア抜きポートX2a)とタンクTとの接続構造と同様である。タンクTと脱着ポートX3aとを接続するホースは、第1エア抜きポートX1a(又は第2エア抜きポートX2a)とタンクTとを接続するホースHとは別に存在している。従って、同一のタンクTを第1エア抜きポートX1a及び脱着ポートX3aに接続した状態(図3)とすることもできるし、同一のタンクTを第2エア抜きポートX2a及び脱着ポートX3aに接続した状態とすることもできる。
【0033】
なお、第1アキュムレータラインL4a及び第2アキュムレータラインL3aに対するアキュムレータAの接続経路は、図2に示した態様に限られず適宜変更可能である。例えばアキュムレータA側の配管の先端を2股に分岐させ、第1アキュムレータラインL4a及び第2アキュムレータラインL3aにそれぞれ接続するような形を採用しても良い。
【0034】
-動作-
・ブーム上げ動作
ブーム上げ操作を意図して運転席17aの右側の操作装置17xのレバーを前に倒すと、油圧ポンプPaの第2ポートP2aから吐出された圧油がボトム側供給ラインL2a及び第2作動式チェック弁V2aを通りブームシリンダ25のボトム側油室C2aへ流れる。このとき、第2ポートP2aから圧油が吐出されることで第1絞りT1aと第3作動式チェック弁V3aの間の配管圧力が上昇し、その圧力で第1作動式チェック弁V1aが開く。これにより、ロッド側油室C1aから油圧ポンプPaへの圧油の流れが許容される。また、ブームシリンダ25のロッド側油室C1aとボトム側油室C2aには受圧面積差があり、ボトム側油室C2aに流入する圧油に対してロッド側油室C1aから流出する圧油が不足する。この不足分の圧油が、第1アキュムレータラインL4a及び逆止弁V4aを通ってアキュムレータAから油圧ポンプPaに吸引される。以上によりブームシリンダ25が伸長し、ブーム上げ動作が行われる。
【0035】
・ブーム下げ動作
ブーム下げ操作を意図して運転席17aの右側の操作装置17xのレバーを後に倒すと、油圧ポンプPaの第1ポートP1aから吐出された圧油がロッド側供給ラインL1a及び第1作動式チェック弁V1aを通りブームシリンダ25のロッド側油室C1aへ流れる。このとき、第1ポートP1aから圧油が吐出されることで第2絞りT2aと逆止弁V4aの間の配管圧力が上昇し、その圧力で第2作動式チェック弁V2a及び第3作動式チェック弁V3aが開く。これにより、ボトム側油室C2aから油圧ポンプPaへの圧油の流れが許容される。また、ブームシリンダ25のロッド側油室C1aとボトム側油室C2aには受圧面積差があり、ロッド側油室C1aに流入する圧油に対してボトム側油室C2aから流出する圧油が多くなる。この余剰分の圧油が、第2アキュムレータラインL3a及び第3作動式チェック弁V3aを通ってボトム側供給ラインL2aからアキュムレータAに排出される。以上によりブームシリンダ25が収縮し、ブーム下げ動作が行われる。
【0036】
・ブーム保持
ブーム23を停止させる場合、運転席17aの右側の操作装置17xのレバーを前後に倒さずに中立位置にする。この場合、電動モータMaと共に油圧ポンプPaが停止する。この間、ブームシリンダ25に圧縮荷重が掛かってボトム側油室C2aが加圧されても、第2作動式チェック弁V2aによりボトム側供給ラインL2aの圧油の流れが遮断され、ボトム側油室C2aから圧油が排出されることはない。反対にブームシリンダ25に引張荷重が掛かってロッド側油室C1aが加圧されても、第1作動式チェック弁V1aによりロッド側供給ラインL1aの圧油の流れが遮断され、ロッド側油室C1aから圧油が排出されることはない。よって、ブーム操作がされていない状態でブーム23が動作することはなく、ブーム23は安定して保持される。
【0037】
・アームクラウド動作
アームクラウド操作は、運転席17aの左側の操作装置17xのレバーを右に倒して行われる。この場合の油圧回路の動作はブーム上げ動作と同様である。先述したブーム上げ動作の説明について、ブームシリンダ25をアームシリンダ26と、ブーム上げをアームクラウドと、各要素の符号の添え字aをbと読み替えることで、アームクラウド動作の説明に代えることができる。
【0038】
・アームダンプ動作
アームダンプ操作は、運転席17aの左側の操作装置17xのレバーを左に倒して行われる。この場合の油圧回路の動作はブーム下げ動作と同様である。先述したブーム下げ動作の説明について、ブームシリンダ25をアームシリンダ26と、ブーム下げをアームダンプと、各要素の符号の添え字aをbと読み替えることで、アームダンプ動作の説明に代えることができる。
【0039】
・アーム保持
アーム24を停止させる場合、運転席17aの左側の操作装置17xのレバーを左右に倒さずに中立位置にする。この場合の油圧回路の作用はブーム保持の場合と同様である。先述したブーム保持の説明について、ブーム23をアーム24と、ブームシリンダ25をアームシリンダ26と、ブーム操作をアーム操作と、各要素の符号の添え字aをbと読み替えることで、アーム保持の説明に代えることができる。
【0040】
・バケットクラウド動作
バケットクラウド操作は、運転席17aの右側の操作装置17xのレバーを左に倒して行われる。この場合の油圧回路の動作はブーム上げ動作と同様である。先述したブーム上げ動作の説明について、ブームシリンダ25をバケットシリンダ27と、ブーム上げをバケットクラウドと、各要素の符号の添え字aをbと読み替えることで、バケットクラウド動作の説明に代えることができる。
【0041】
・バケットダンプ動作
バケットダンプ操作は、運転席17aの右側の操作装置17xのレバーを右に倒して行われる。この場合の油圧回路の動作はブーム下げ動作と同様である。先述したブーム下げ動作の説明について、ブームシリンダ25をバケットシリンダ27と、ブーム下げをバケットダンプと、各要素の符号の添え字aをbと読み替えることで、バケットダンプ動作の説明に代えることができる。
【0042】
・バケット保持
バケット22を停止させる場合、運転席17aの右側の操作装置17xのレバーを左右に倒さずに中立位置にする。この場合の油圧回路の作用はブーム保持の場合と同様である。先述したブーム保持の説明について、ブーム23をバケット22と、ブームシリンダ25をバケットシリンダ27と、ブーム操作をバケット操作と、各要素の符号の添え字aをbと読み替えることで、バケット保持の説明に代えることができる。
【0043】
-エア抜き作業-
図3図2の油圧システムのエア抜き作業の説明図である。図3ではブームシリンダ25の駆動回路を抜き出して説明するが、アームシリンダ26の駆動回路、バケットシリンダ27の駆動回路についてのエア抜き作業も以下の説明と同様に行うことができる。以下のブームシリンダ25の駆動回路のエア抜き作業の説明について、ブームシリンダ25をアームシリンダ26と、要素の符号の添え字aをbと読み替えれば、アームシリンダ26の駆動回路のエア抜き作業の説明に代えることができる。同様に、ブームシリンダ25をバケットシリンダ27と、要素の符号の添え字aをcと読み替えれば、バケットシリンダ27の駆動回路のエア抜き作業の説明に代わる。
【0044】
ブームシリンダ25の駆動回路のエア抜きをする場合、脱着ポートX3aからアキュムレータAを取り外し、タンクTを脱着ポートX3aに装着する。同時に、タンクTを第1エア抜きポートX1aにも接続する。タンクTには必要量の圧油を貯留しておく。そして、この状態で油圧ポンプPaの第1ポートP1aから圧油を吐出する。これにより、タンクT、油圧ポンプPa、ロッド側供給ラインL1a、第1エア抜きポートX1a、及びホースHからなる環状路を圧油が循環する。このようにして圧油を循環させることで、ロッド側供給ラインL1aの内部のエアが第1エア抜きポートX1aから押し出され、タンクTに排出される。
【0045】
ロッド側供給ラインL1aのエア抜き作業が完了したら、第1エア抜きポートX1aに装着されたホースHを第2エア抜きポートX2aに繋ぎ変える。この状態で油圧ポンプPaの第2ポートP2aから圧油を吐出することにより、タンクT、油圧ポンプPa、ボトム側供給ラインL2a、第2エア抜きポートX2a、及びホースHからなる環状路を圧油が循環する。このようにして圧油を循環させることで、ボトム側供給ラインL2aの内部のエアが第2エア抜きポートX2aから押し出され、タンクTに排出される。
【0046】
ボトム側供給ラインL2aのエア抜き作業を終えたら、第2エア抜きポートX2a及び脱着ポートX3aからタンクTを取り外し、脱着ポートX3aにアキュムレータAを接続してエア抜き作業を完了する。なお、ロッド側供給ラインL1aのエア抜き作業とボトム側供給ラインL2aのエア抜き作業の順番は、勿論順不同で行うことができる。
【0047】
-効果-
(1)本実施形態によれば、油圧シリンダの受圧面積差分の圧油を貯留するのにアキュムレータAを用いたので、回路に対する空気の出入りが実質的にない。そのため、粉塵の多い環境でも大気中の塵埃等のコンタミネーションの油圧回路への混入を抑制することができる。よってコンタミネーションの混入による油圧機器の不具合を抑制できる。また、タンクと異なりアキュムレータAは外気の吸排を要さないため、水中で作業する建設機械にも本実施形態の油圧システムは適用できる。
【0048】
(2)脱着ポートX3aによりアキュムレータAをタンクTと交換し、第1エア抜きポートX1a及び第2エア抜きポートX2aを設けてロッド側供給ラインL1a及びボトム側供給ラインL2aにタンクTを接続できるようにした。これにより、ロッド側供給ラインL1a(ボトム側供給ラインL2a)とタンクTとの間で圧油が循環する回路が構成され、ロッド側供給ラインL1a(ボトム側供給ラインL2a)からエアを押し出してタンクTに排出することができる。このようにアキュムレータA及びタンクTを脱着して圧油を循環させるだけで、容易に回路のエア抜き作業を行うことができる。エア抜き作業の作業性も良好なものとすることができる。
【0049】
(3)特許第6467479号公報(特許文献1)に開示された油圧システムでは、油圧シリンダがロッド側及びボトム側のカウンターバランス弁により保持される。例えば油圧シリンダの停止時にロッド側油室に大きな負荷がかかると、ロッド側油室の負荷圧によりロッド側カウンターバランス弁が開き得る。ロッド側カウンターバランス弁が開くと、ロッド側油室から流出した圧油で油圧ポンプが回転し、油圧シリンダが伸長してしまう。そのため、地面から浮いた状態でフロント作業機を停止させる場合、例えばアームシリンダに強い引っ張り力が作用する状態では姿勢を保持することができない恐れがある。
【0050】
それに対し、本実施形態によれば、前述した通り閉回路を構成する油圧シリンダの油室に負荷が掛かっても油圧シリンダの長さを安定して保持することができる。例えば停止中のブームシリンダ25等の油圧シリンダのロッド側油室に大きな負荷がかかっても、前述した通りロッド側供給ラインに設けた第1作動式チェック弁によりロッド側油室から圧油が流出することがない。ボトム側油室に負荷がかかる場合も同様である。具体例としては、バケット22が地面から浮いた状態でフロント作業機20を停止させる場合、姿勢によってはフロント作業機20の自重によりアームシリンダ26に強い引張荷重がかかることがある。このような条件下でもフロント作業機20の姿勢を安定して保持することができる。
【0051】
(4)油圧シリンダの動作方向に荷重を受ける動作では、圧油を供給する油室が引張方向に負荷を受けることで降圧し、場合によっては負圧となる。例えばフロント作業機の自重がブームシリンダの動作方向(収縮方向)に作用するブーム下げ動作の場合、ブームシリンダのロッド側油室は油圧ポンプから圧油を供給されながらも降圧する場合がある。この場合、特許第6467479号公報(特許文献1)に記載された油圧システムでは、ブームシリンダのロッド側油室の降圧によりボトム側カウンターバランス弁が閉じ、ブーム下げ動作が停止する恐れがある。その後油圧ポンプからの圧油の供給によりロッド側油室が昇圧するとボトム側カウンターバランス弁が開き、ブーム下げ動作が再開される。ブーム下げ動作中にこうしてボトム側カウンターバランス弁が繰り返し開閉することで、ブーム下げ動作にハンチング現象が生じ得る。
【0052】
それに対し、本実施形態においては各油圧シリンダの圧油の供給ラインに絞りを設け、この絞りを挟んで油圧シリンダと反対側の配管部位から作動式チェック弁のパイロット圧をとることで、このパイロット圧の低下を抑制することができる。ブーム下げ動作を例に挙げれば、ロッド側供給ラインL1aに第2絞りT2aが設けられている。ブーム下げ動作中にフロント作業機20の自重でロッド側油室C1aが降圧しても、油圧ポンプPaから吐出される圧油により第2絞りT2aと逆止弁V4aの間の圧力が確保できる。これにより第2パイロットラインQ2a及び第3パイロットラインQ3aを介して第2作動式チェック弁V2a及び第3作動式チェック弁V3aに導かれるパイロット圧が確保できる。加えてボトム側供給ラインL2aに第1絞りT1aがあることで、ボトム側油室C2aから排出される圧油による第2作動式チェック弁V2aに加わる圧力が抑えられる。
【0053】
その結果、ブーム下げ操作時には、ブームシリンダ25に作用する負荷の作用方向に関わらず第2作動式チェック弁V2a及び第3作動式チェック弁V3aの開状態を維持することができる。これにより、ハンチングを起こすことなくブーム下げ動作を円滑に行うことができる。ブーム上げ動作、アームクラウド動作、アームダンプ動作、バケットクラウド動作、バケットダンプ動作についても同様である。
【0054】
(5)ブームシリンダ25の駆動回路を例に挙げると、配管保護目的のリリーフ弁類を除き、操作装置17xの操作に伴って動作する弁は、第1作動式チェック弁V1a、第2作動式チェック弁V2a、第3作動式チェック弁V3a、逆止弁V4aである。これらの弁はいずれも電気的な動力を要さない。アームシリンダ26やバケットシリンダ27の駆動回路も同様である。このように電磁弁を用いる必要がないので、本実施形態の油圧システムでは電気的不具合が生じ難い。電磁弁を要さないので、油圧システムのコストや配線の煩雑化も抑えられる。
【0055】
(6)ブームシリンダ25の駆動回路を例に挙げると、第1絞りT1a及び第2絞りT2aはいずれも可変絞りである。第1絞りT1a及び第2絞りT2aは固定絞りとしても良いが、可変絞りを用いることで、フロント作業機20の動作の調子を見ながら第1絞りT1a及び第2絞りT2aの開口面積を調整し、フロント作業機20の動作の調子を調整することができる。アームシリンダ26やバケットシリンダ27の駆動回路も同様である。
【0056】
-変形例-
以上においては、油圧ポンプPa-Pcを駆動する原動機として電動モータMa-Mcを用いた場合を例示したが、エンジン(内燃機関)が用いられる場合もある。この場合、油圧ポンプPa-Pcを両傾転斜板機構と両傾転斜板の傾斜角を調整するレギュレータを備えた構造のものを用い、操作装置17xでレギュレータを操作して圧油の吐出方向及び吐出流量を制御する構成とすれば良い。
【0057】
また、図2及び図3の油圧システムの適用対象としてフロント作業機20の油圧シリンダを例に挙げて説明したが、ブレード10aのブレードシリンダ10bにも同システムは適用可能である。更には、図2及び図3の油圧システムの適用対象として油圧ショベルを例に挙げて説明したが、ホイールローダ等の他の建設機械にも同システムは適用可能である。
【0058】
また、油圧シリンダの保持力向上やハンチング現象の抑制を狙って第1作動式チェック弁V1a、第2作動式チェック弁V2a及び第3作動式チェック弁V3aを備える閉回路を例に挙げて説明した。しかし、コンタミネーションの混入抑制の基本的効果を得る上では、特許文献1やその他の先行技術に開示された公知構成の閉回路を対象としてアキュムレータAを接続することもできる。エア抜き作業の作業性の観点で設けた第1エア抜きポートX1a、第2エア抜きポートX2a及び脱着ポートX3aも同様である。
【符号の説明】
【0059】
10b…ブレードシリンダ(油圧シリンダ)、25…ブームシリンダ(油圧シリンダ)、26…アームシリンダ(油圧シリンダ)、27…バケットシリンダ(油圧シリンダ)、A…アキュムレータ、C1a,C1b,C1c…ロッド側油室、C2a,C2b,C2c…ボトム側油室、D1a,D1b,D1c…第1チェック弁駆動機構、D2a,D2b,D2c…第2チェック弁駆動機構、D3a,D3b,D3c…第3チェック弁駆動機構、L1a,L1b,L1c…ロッド側供給ライン、L2a,L2b,L2c…ボトム側供給ライン、L3a,L3b,L3c…第2アキュムレータライン、L4a,L4b,L4c…第1アキュムレータライン、P1a,P1b,P1c…第1ポート、P2a,P2b,P2c…第2ポート、Pa,Pb,Pc…油圧ポンプ、T…タンク、V1a,V1b,V1c…第1作動式チェック弁、V2a,V2b,V2c…第2作動式チェック弁、V3a,V3b,V3c…第3作動式チェック弁、V4a,V4b,V4c…逆止弁、X1a,X1b,X1c…第1エア抜きポート、X2a,X2b,X2c…第2エア抜きポート、X3a,X3b,X3c…脱着ポート
図1
図2
図3