(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-28
(45)【発行日】2023-04-05
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネセント化合物及びこれを含む有機エレクトロルミネセントデバイス
(51)【国際特許分類】
H10K 50/15 20230101AFI20230329BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20230329BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20230329BHJP
C07C 211/54 20060101ALN20230329BHJP
【FI】
H10K50/15
C09K11/06 690
H10K85/60
C07C211/54
(21)【出願番号】P 2020536209
(86)(22)【出願日】2019-01-24
(86)【国際出願番号】 KR2019000998
(87)【国際公開番号】W WO2019147030
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】10-2018-0009157
(32)【優先日】2018-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0003137
(32)【優先日】2019-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509266480
【氏名又は名称】ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ・コリア・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホン、チンリ
(72)【発明者】
【氏名】イム、ヨンムク
【審査官】辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1530885(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0013278(KR,A)
【文献】特開2008-050337(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0110347(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0016653(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/15
C09K 11/06
C07C 211/54
H10K 85/60
C07C 211/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式1-1~1-6:
【化1】
[式中、
R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換又は非置換(C1~C30)アルキル、置換又は非置換(C6~C30)アリール、或いは置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリールを表し;
R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換又は非置換(C1~C30)アルキル、置換又は非置換(C6~C30)アリール、置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換又は非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換又は非置換(C1~C30)アルコキシ、置換又は非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換又は非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換又は非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、或いは置換又は非置換トリ(C6~C30)アリールシリルを表し;
R
3の前記置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリールの(3~30員)ヘテロアリールは、フリル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イミダゾピリジニル、イソインドリル、インドリル、ベンゾインドリル、インダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、1-カルバゾリル、2-カルバゾリル、4-カルバゾリル、9-カルバゾリル、アザカルバゾリル、ベンゾカルバゾリル、ジベンゾカルバゾリル、フェノキサジニル、フェナントリジニル、ベンゾジオキソリル、インドリジジニル、アクリリジニル、シラフルオレニル及びゲルマフルオレニルからなる群から選択され、
Lは、単結合、置換又は非置換(C6~C30)アリーレン、或いは置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し;
Ar
1及びAr
2は、それぞれ独立して、置換又は非置換(C1~C30)アルキル、置換又は非置換(C6~C30)アリール、或いは置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリールを表すか;或いは互いに結合して置換又は非置換環を形成することができ;
aは1~4の整数を表し、bは整数1又は2を表し、a又はbが2以上の整数であるとき、R
3のそれぞれ又はR
4のそれぞれは同一であるか又は異なり得;及び
cは整数1又は2を表し、cが整数2であるとき、Ar
1のそれぞれ又はAr
2のそれぞれは同一であるか又は異なり得る]のいずれか1つによって表される有機エレクトロルミネセント化合物であり、
ただし、前記有機エレクトロルミネセント化合物が前記式1-3によって表されるときは、該有機エレクトロルミネセント化合物は、
【化2】
からなる群から選択される、有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項2】
Ar
1及びAr
2は、それぞれ独立して、以下の群I:
[群I]
【化3】
【化4】
【化5】
(式中、A
1~A
3は、それぞれ独立して、置換又は非置換(C1~C30)アルキル、或いは置換又は非置換(C6~C30)アリールを表し、
L’は、置換又は非置換(C6~C30)アリーレン、或いは置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し、
【化6】
はNとの結合位置を表す)から選択される置換基の任意の1つを表す、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項3】
R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換(C1~C18)アルキル、或いは置換又は非置換(C6~C18)アリールを表し、
R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素或いは置換又は非置換(C6~C18)アリールを表し、
Lは、単結合、或いは置換又は非置換(C6~C18)アリーレンを表し、及び
Ar
1及びAr
2は、それぞれ独立して、請求項2に記載の群Iに記載された置換基の1つを表すか、或いは互いに結合して、アミン基が置換又は非置換カルバゾールを形成する、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項4】
前記有機エレクトロルミネセント化合物が、以下の式I-1~I-4:
【化7】
(式中、R
1~R
4、L、a、及びbは請求項1に記載された通りであり;
R
5は水素又は-NR
xR
yを表し;
R
x及びR
yは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換又は非置換(C1~C30)アルキル、或いは置換又は非置換(C6~C30)アリールを表し;及び
dが1又は2の整数を表し、dが2であるとき、R
5のそれぞれは同一であるか又は異なり得る)のいずれか1つによって表さ
れ、
ただし、前記有機エレクトロルミネセント化合物が前記式1-3によって表されるときは、該有機エレクトロルミネセント化合物は、
【化8】
からなる群から選択される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項5】
R
1~R
4、Ar
1、Ar
2、及びLにおける置換(C1~C30)アルキル、置換(C6~C30)アリール(エン)、置換(3~30員)ヘテロアリール(エン)、置換(C3~C30)シクロアルキル、置換(C1~C30)アルコキシ、置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換トリ(C6~C30)アリールシリル、及び置換環の置換基は、それぞれ独立して、重水素、ハロゲン、シアノ、カルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、(C1~C30)アルキル、ハロ(C1~C30)アルキル、(C2~C30)アルケニル、(C2~C30)アルキニル、(C1~C30)アルコキシ、(C1~C30)アルキルチオ、(C3~C30)シクロアルキル、(C3~C30)シクロアルケニル、(3~7員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C30)アリールオキシ、(C6~C30)アリールチオ、(C6~C30)アリール-置換又は非置換(5~30員)ヘテロアリール、(5~30員)ヘテロアリール-置換又は非置換(C6~C30)アリール、トリ(C1~C30)アルキルシリル、トリ(C6~C30)アリールシリル、ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、アミノ、モノ-又はジ-(C1~C30)アルキルアミノ、(C1~C30)アルキル-置換又は非置換モノ-又はジ-(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキルカルボニル、(C1~C30)アルコキシカルボニル、(C6~C30)アリールカルボニル、ジ(C6~C30)アリールボロニル、ジ(C1~C30)アルキルボロニル、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールボロニル、(C6~C30)アル(C1~C30)アルキル、及び(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項6】
前記有機エレクトロルミネセント化合物が、
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
からなる群から選択される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項7】
請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセント材料。
【請求項8】
請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項9】
前記有機エレクトロルミネセント化合物が正孔輸送層及び/又は正孔補助層に含有される、請求項8に記載の有機エレクトロルミネセントデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、有機エレクトロルミネセント化合物及びこれを含む有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロルミネセントデバイス(ELデバイス)は、より広い視野角、より大きいコントラスト比、及びより速い応答時間を提供するという利点を有する自発光ディスプレイデバイスである。1987年にEastman Kodakによって、発光層を形成するための材料として小さい芳香族ジアミン分子とアルミニウム錯体とを使用することによって、最初の有機ELデバイスが開発された[Appl.Phys.Lett.51,913,1987]。
【0003】
有機ELデバイス(OLED)は、有機エレクトロルミネセント材料に電気を印加することによって電気エネルギーを光に変換し、通常、アノード、カソード及び2つの電極間に形成された有機層を含む。有機ELデバイスの有機層は、正孔注入層、正孔輸送層、正孔補助層、発光補助層、電子阻止層、発光層(ホスト材料及びドーパント材料を含有する)、電子緩衝層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等を含んでもよい。有機層において使用される材料は、それらの機能に応じて、正孔注入材料、正孔輸送材料、正孔補助材料、発光補助材料、電子阻止材料、発光材料、電子緩衝材料、正孔阻止材料、電子輸送材料、電子注入材料等に分類され得る。有機ELデバイスでは、電圧の印加により、アノードからの正孔とカソードからの電子とが発光層に注入され、正孔と電子との再結合により、高エネルギーを有する励起子が生成される。有機発光化合物は、有機発光化合物が励起状態から基底状態に戻るときのエネルギーによって励起状態に移行し、エネルギーから発光する。
【0004】
一方では、記載されているように、有機エレクトロルミネセントデバイスは、その効率及び安定性を高めるために複数層構造を有し、そこで、正孔輸送層等に含有される化合物の選択は、発光層への正孔輸送効率、発光効率及び寿命などのデバイス特性を改良するための手段として認識されている。
【0005】
これに関連して、銅フタロアシアニン(CuPc)、4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン(TPD)、4,4’,4’’-トリス(3-メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)等が有機ELデバイス中の正孔注入及び輸送材料として使用された。しかしながら、これらの材料を使用する有機ELデバイスは、発光効率及び寿命の低下という問題を有する。それは、有機ELデバイスが高電流下で駆動されるとき、アノードと正孔注入層との間に熱応力が生じ、それによってこのような熱応力がデバイスの寿命を著しく低下させるからである。さらに、正孔輸送領域において使用される有機材料は非常に高い正孔移動度を有するので、駆動電圧が増加し、発光効率が低くなり、寿命が低下するという問題があった。
【0006】
特開2014-047197号公報には、正孔輸送特性を有する以下の構造などのベンゾフルオレニルアミン化合物を含む有機ELデバイスが開示されている。しかしながら、発光効率及び寿命を改良するためにそれはまだ必要である。
【化1】
【0007】
これに関連して、有機エレクトロルミネセントデバイスの耐久性を改良するために正孔輸送層の開発が依然として必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示の目的は第一に、低い駆動電圧及び/又は高い発光効率及び/又は長い寿命を有する有機エレクトロルミネセントデバイスを作製することができる有機エレクトロルミネセント化合物を提供することであり、第ニに、有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセントデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の技術的問題を解決するための集中的な研究の結果として、本発明者は、前述の目的を以下の式1によって表される有機エレクトロルミネセント化合物によって達成することができることを見出し、本発明を完成した。
【化2】
【0010】
式1において、
R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換又は非置換(C1~C30)アルキル、置換又は非置換(C6~C30)アリール、或いは置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリールを表すか;或いは隣接する置換基と結合して置換又は非置換環を形成することができ;
R3及びR4は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換又は非置換(C1~C30)アルキル、置換又は非置換(C6~C30)アリール、置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換又は非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換又は非置換(C1~C30)アルコキシ、置換又は非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換又は非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換又は非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、或いは置換又は非置換トリ(C6~C30)アリールシリルを表し;
Lは、単結合、置換又は非置換(C6~C30)アリーレン、或いは置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し;
Ar1及びAr2は、それぞれ独立して、置換又は非置換(C1~C30)アルキル、置換又は非置換(C6~C30)アリール、或いは置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリールを表すか;或いは互いに結合して置換又は非置換環を形成することができ;
aは1~4の整数を表し、bは1又は2の整数を表し、a又はbが2以上の整数であるとき、R3のそれぞれ又はR4のそれぞれは同一であるか又は異なり得;及び
cは1又は2の整数を表し、cが2の整数であるとき、Ar1のそれぞれ又はAr2のそれぞれは同一であるか又は異なり得る。
【0011】
発明の効果
正孔輸送層及び/又は正孔補助層において本開示による有機エレクトロルミネセント化合物を使用するOLEDデバイスは、従来の有機エレクトロルミネセント化合物を使用するOLEDデバイスと比較して発光効率及び寿命に関して著しく改良される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本開示を詳細に説明する。しかしながら、以下の説明は、本発明を説明することを意図し、決して本発明の範囲を限定することを意味しない。
【0013】
本開示は、上記の式1によって表される有機エレクトロルミネセント化合物、有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセント材料、及び有機エレクトロルミネセント材料を含む有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。
【0014】
本開示における用語「有機エレクトロルミネセント化合物」は、有機エレクトロルミネセントデバイスに使用されることができ、必要に応じて、有機エレクトロルミネセントデバイスを構成する任意の材料の層に含まれ得る化合物を意味する。
【0015】
本開示における用語「有機エレクトロルミネセント材料」は、有機エレクトロルミネセントデバイスに使用されることができ、少なくとも1つの化合物を含み得る材料を意味する。有機エレクトロルミネセント材料は、必要に応じて、有機エレクトロルミネセントデバイスを構成する任意の層に含まれ得る。例えば、有機エレクトロルミネセント材料は、正孔注入材料、正孔輸送材料、正孔補助材料、発光補助材料、電子阻止材料、発光材料、電子緩衝材料、正孔阻止材料、電子輸送材料、又は電子注入材料等であり得る。
【0016】
本明細書において、「(C1~C30)アルキル」は、鎖を構成する1~30の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状アルキルであることを意味し、その炭素原子数は、1~20であることが好ましく、1~10であることがより好ましい。上記アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル等を含み得る。「(C3~C30)シクロアルキル」は、3~30の環骨格炭素原子を有する単環式又は多環式炭化水素であり、炭素原子数は、3~20が好ましく、3~7がより好ましい。上記のシクロアルキルには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が含まれ得る。「(C6~C30)アリール(エン)」は、6~30の環骨格炭素原子を有する芳香族炭化水素(環骨格炭素原子の数が好ましくは6~20、より好ましくは6~15である)に由来する単環式又は縮合環ラジカルであり、部分的に飽和され得、スピロ構造を含み得る。アリールの例には具体的には、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、ナフチル、ビナフチル、フェニルナフチル、ナフチルフェニル、フルオレニル、フェニルフルオレニル、ジメチルフルオレニル、ジフェニルフルオレニル、ベンゾフルオレニル、ジフェニルベンゾフルオレニル、ジベンゾフルオレニル、フェナントレニル、ベンゾフェナントレニル、フェニルフェナントレニル、アントラセニル、ベンゾアントラセニル、インデニル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニル、クリセニル、ベンゾクリセニル、ナフタセニル、フルオランテニル、ベンゾフルオランテニル、トイリ(toyly)、キシリル、メシチル、クメニル、スピロ[フルオレン-フルオレン]イル、スピロ[フルオレン-ベンゾフルオレン]イル、アズレニル等が含まれる。より具体的には、アリールは、o-トリル、m-トリル、p-トリル、2,3-キシリル、3,4-キシリル、2,5-キシリル、メシチル、o-クメニル、m-クメニル、p-クメニル、p-t-ブチルフェニル、p-(2-フェニルプロピル)フェニル、4’-メチルビフェニル、4”-t-ブチル-p-テルフェニル-4-イル、o-ビフェニル、m-ビフェニル、p-ビフェニル、o-テルフェニル、m-テルフェニル-4-イル、m-テルフェニル-3-イル、m-テルフェニル-2-イル、p-テルフェニル-4-イル、p-テルフェニル-3-イル、p-テルフェニル-2-イル、m-クアテルフェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-フルオレニル、2-フルオレニル、3-フルオレニル、4-フルオレニル、9-フルオレニル、9,9-ジメチル-1-フルオレニル、9,9-ジメチル-2-フルオレニル、9,9-ジメチル-3-フルオレニル、9,9-ジメチル-4-フルオレニル、9,9-ジフェニル-1-フルオレニル、9,9-ジフェニル-2-フルオレニル、9,9-ジフェニル-3-フルオレニル、9,9-ジフェニル-4-フルオレニル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリル、1-フェナントリル、2-フェナントリル、3-フェナントリル、4-フェナントリル、9-フェナントリル、1-クリセニル、2-クリセニル、3-クリセニル、4-クリセニル、5-クリセニル、6-クリセニル、ベンゾ[c]フェナントリル、ベンゾ[g]クリセニル、1-トリフェニレニル、2-トリフェニレニル、3-トリフェニレニル、4-トリフェニレニル、3-フルオランテニル、4-フルオランテニル、8-フルオランテニル、9-フルオランテニル、及びベンゾフルオランテニルであり得る。
【0017】
「(3~30員)ヘテロアリール(エン)」は、B、N、O、S、Si、P、及びGeからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子と3~30の環骨格原子(環骨格原子の数は好ましくは5~25である)とを有するアリール基であり;好ましくは1~4のヘテロ原子を有し、単環式環、又は少なくとも1つのベンゼン環と縮合した縮合環であり得;部分的に飽和され得;少なくとも1つのヘテロアリール又はアリール基をヘテロアリール基に単結合によって連結することによって形成されるものであり得る;ヘテロアリールの例には具体的には、フリル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル等の単環式環型ヘテロアリール、及びベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イミダゾピリジニル、イソインドリル、インドリル、ベンゾインドリル、インダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、カルバゾリル、アザカルバゾリル、ベンゾカルバゾリル、ジベンゾカルバゾリル、フェノキサジニル、フェナントリジニル、ベンゾジオキソリル、インドリジジニル、アクリリジニル(acrylidinyl)、シラフルオレニル、ゲルマフルオレニル等の縮合環型ヘテロアリールが含まれる。より具体的には、ヘテロアリールは、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、2-ピリジニル、3-ピリジニル、4-ピリジニル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、6-ピリミジニル、1,2,3-トリアジン-4-イル、1,2,4-トリアジン-3-イル、1,3,5-トリアジン-2-イル、1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、1-ピラゾリル、1-インドリジジニル、2-インドリジジニル、3-インドリジジニル、5-インドリジジニル、6-インドリジジニル、7-インドリジジニル、8-インドリジジニル、2-イミダゾピリジニル、3-イミダゾピリジニル、5-イミダゾピリジニル、6-イミダゾピリジニル、7-イミダゾピリジニル、8-イミダゾピリジニル、1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル、1-イソインドリル、2-イソインドリル、3-イソインドリル、4-イソインドリル、5-イソインドリル、6-イソインドリル、7-イソインドリル、2-フリル、3-フリル、2-ベンゾフラニル、3-ベンゾフラニル、4-ベンゾフラニル、5-ベンゾフラニル、6-ベンゾフラニル、7-ベンゾフラニル、1-イソベンゾフラニル、3-イソベンゾフラニル、4-イソベンゾフラニル、5-イソベンゾフラニル、6-イソベンゾフラニル、7-イソベンゾフラニル、2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、6-キノリル、7-キノリル、8-キノリル、1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル、6-イソキノリル、7-イソキノリル、8-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、6-キノキサリニル、1-カルバゾリル、2-カルバゾリル、3-カルバゾリル、4-カルバゾリル、9-カルバゾリル、アザカルバゾール-1-イル、アザカルバゾール-2-イル、アザカルバゾール-3-イル、アザカルバゾール-4-イル、アザカルバゾール-5-イル、アザカルバゾール-6-イル、アザカルバゾール-7-イル、アザカルバゾール-8-イル、アザカルバゾール-9-イル、1-フェナントリジニル、2-フェナントリジニル、3-フェナントリジニル、4-フェナントリジニル、6-フェナントリジニル、7-フェナントリジニル、8-フェナントリジニル、9-フェナントリジニル、10-フェナントリジニル、1-アクリリジニル、2-アクリリジニル、3-アクリリジニル、4-アクリリジニル、9-アクリリジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、2-オキサジアゾリル、5-オキサジアゾリル、3-フラザニル、2-チエニル、3-チエニル、2-メチルピロール-1-イル、2-メチルピロール-3-イル、2-メチルピロール-4-イル、2-メチルピロール-5-イル、3-メチルピロール-1-イル、3-メチルピロール-2-イル、3-メチルピロール-4-イル、3-メチルピロール-5-イル、2-t-ブチルピロール-4-イル、3-(2-フェニルプロピル)ピロール-1-イル、2-メチル-1-インドリル、4-メチル-1-インドリル、2-メチル-3-インドリル、4-メチル-3-インドリル、2-t-ブチル-1-インドリル、4-t-ブチル-1-インドリル、2-t-ブチル-3-インドリル、4-t-ブチル-3-インドリル、1-ジベンゾフラニル、2-ジベンゾフラニル、3-ジベンゾフラニル、4-ジベンゾフラニル、1-ジベンゾチオフェニル、2-ジベンゾチオフェニル、3-ジベンゾチオフェニル、4-ジベンゾチオフェニル、1-シラフルオレニル、2-シラフルオレニル、3-シラフルオレニル、4-シラフルオレニル、1-ゲルマフルオレニル、2-ゲルマフルオレニル、3-ゲルマフルオレニル、及び4-ゲルマフルオレニルであり得る。
【0018】
「ハロゲン」としては、F、Cl、Br、及びIが挙げられる。
【0019】
さらに、「オルト(o)」、「メタ(m)」、及び「パラ(p)」は、全ての置換基の置換位置を意味することを意図する。オルト位は、ベンゼンの互いに隣接している、例えば、1位及び2位に置換基を有する化合物である。メタ位は、ベンゼンのすぐ隣接した置換位置の次の置換位置、例えば、1位及び3位に置換基を有する化合物である。パラ位置は、ベンゼンのメタ位の次の置換位置、例えば、1位及び4位に置換基を有する化合物である。
【0020】
本明細書において、「置換又は非置換環」は、置換又は非置換、(C3~C30)単環式又は多環式、脂環式、芳香族環又はそれらの組み合わせであることを意図し、好ましくは、置換又は非置換、(C5~C25)単環式又は多環式、脂環式、芳香族環又はそれらの組み合わせ、より好ましくは、(C5~C18)単環式又は多環式、脂環式、芳香族環又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0021】
更に、「置換又は非置換」という表現における「置換」は、特定の官能基中の水素原子が別の原子又は別の官能基、即ち置換基で置き換えられていることを意味する。R1~R4、Ar1、Ar2、及びLにおける置換(C1~C30)アルキル、置換(C6~C30)アリール(エン)、置換(3~30員)ヘテロアリール(エン)、置換(C3~C30)シクロアルキル、置換(C1~C30)アルコキシ、置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換トリ(C6~C30)アリールシリル、及び置換環の置換基は、それぞれ独立して、好ましくは、重水素、ハロゲン、シアノ、カルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、(C1~C30)アルキル、ハロ(C1~C30)アルキル、(C2~C30)アルケニル、(C2~C30)アルキニル、(C1~C30)アルコキシ、(C1~C30)アルキルチオ、(C3~C30)シクロアルキル、(C3~C30)シクロアルケニル、(3~7員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C30)アリールオキシ、(C6~C30)アリールチオ、(C6~C30)アリール-置換又は非置換(5~30員)ヘテロアリール、(5~30員)ヘテロアリール置換又は非置換(C6~C30)アリール、トリ(C1~C30)アルキルシリル、トリ(C6~C30)アリールシリル、ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、アミノ、モノ-又はジ-(C1~C30)アルキルアミノ、(C1~C30)アルキル置換又は非置換モノ-又はジ-(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキルカルボニル、(C1~C30)アルコキシカルボニル、(C6~C30)アリールカルボニル、ジ(C6~C30)アリールボロニル、ジ(C1~C30)アルキルボロニル、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールボロニル、(C6~C30)アル(C1~C30)アルキル、及び(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールからなる群から選択される少なくとも1つであり、例えば、非置換メチル、非置換フェニル、又は非置換ナフチルであり得る。
【0022】
以下に、一実施形態による有機エレクトロルミネセント化合物が説明される。
【0023】
一実施形態による有機エレクトロルミネセント化合物は以下の式1によって表される。
【化3】
【0024】
式1において、
R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換又は非置換(C1~C30)アルキル、置換又は非置換(C6~C30)アリール、或いは置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリールを表すか;或いは隣接する置換基と結合して置換又は非置換環を形成することができ;
R3及びR4は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換又は非置換(C1~C30)アルキル、置換又は非置換(C6~C30)アリール、置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換又は非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換又は非置換(C1~C30)アルコキシ、置換又は非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換又は非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換又は非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、或いは置換又は非置換トリ(C6~C30)アリールシリルを表し;
Lは、単結合、置換又は非置換(C6~C30)アリーレン、或いは置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し;
Ar1及びAr2は、それぞれ独立して、置換又は非置換(C1~C30)アルキル、置換又は非置換(C6~C30)アリール、或いは置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリールを表すか;或いは互いに結合して置換又は非置換環を形成することができ;
aは1~4の整数を表し、bは1又は2の整数を表し、a又はbが2以上の整数であるとき、R3のそれぞれ又はR4のそれぞれは同一であるか又は異なり得;及び
cは1又は2の整数を表し、cが2の整数であるとき、Ar1のそれぞれ又はAr2のそれぞれは同一であるか又は異なり得る。
【0025】
一実施形態による式1の有機エレクトロルミネセント化合物は、正孔輸送層及び/又は正孔補助層に含まれ得る。正孔補助層は、正孔輸送層と発光層との間に配置されることができ、正孔輸送速度を促進又は阻止するのに有効であり得、これにより電荷バランスを制御することができる。一実施形態による式1の有機エレクトロルミネセント化合物は、正孔と電子の流れが適切にバランスを保たれ得るような共鳴構造を形成し、それによって有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセントデバイスの効率が改良され得る。具体的には、有機エレクトロルミネセント化合物は、正孔を需要するのが容易であるベンゾフルオレン構造に電子豊富アリールアミン基を導入すること、それによって正孔注入をさらに促進することによって正孔注入及び正孔移動度並びにHOMOエネルギー準位を増加させる。
【0026】
一実施形態において、式1の有機エレクトロルミネセント化合物は、以下の式1-1~1-6のうちの1つによって表され得る。
【化4】
【0027】
式1-1~1-6において、R1~R4、Ar1、Ar2、L、a、及びbは上記の式1に規定される通りである。
【0028】
一実施形態において、式1及び1-1~1-6において、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換又は非置換(C1~C30)アルキル、置換又は非置換(C6~C30)アリール、或いは置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリールを表すか;或いは隣接する置換基と結合して置換又は非置換環を形成することができ;好ましくは、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換(C1~C18)アルキル、或いは置換又は非置換(C6~C18)アリールであり得;より好ましくは、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換(C1~C4)アルキル、或いは置換又は非置換(C6~C12)アリールであり得る。例えば、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、メチル、又はフェニルであり得る。
【0029】
一実施形態において、式1及び1-1~1-6において、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換又は非置換(C1~C30)アルキル、置換又は非置換(C6~C30)アリール、置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換又は非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換又は非置換(C1~C30)アルコキシ、置換又は非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換又は非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換又は非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、或いは置換又は非置換トリ(C6~C30)アリールシリルを表し;好ましくは、それぞれ独立して、水素或いは置換又は非置換(C6~C18)アリールであり得;より好ましくは、それぞれ独立して、水素或いは置換又は非置換(C6~C12)アリールであり得る。例えば、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素又はフェニルであり得る。
【0030】
一実施形態において、式1及び1-1~1-6において、Lは単結合、置換又は非置換(C6~C30)アリーレン、或いは置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し;好ましくは、単結合或いは置換又は非置換(C6~C18)アリーレンであり得;より好ましくは、単結合或いは置換又は非置換(C6~C12)アリーレンであり得る。例えば、Lは単結合又はフェニレンであり得る。
【0031】
一実施形態において、式1及び1-1~1-6において、Ar
1及びAr
2は、それぞれ独立して、置換又は非置換(C1~C30)アルキル、置換又は非置換(C6~C30)アリール、或いは置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリールを表すか;或いは互いに結合して置換又は非置換環を形成することができ;好ましくは、それぞれ独立して、以下の群Iに記載される置換基のうちの1つであり得る。
[群I]
【化5】
【化6】
【0032】
群Iにおいて、A1~A3は、それぞれ独立して、置換又は非置換(C1~C30)アルキル或いは置換又は非置換(C6~C30)アリールを表し;好ましくは、それぞれ独立して、置換又は非置換(C1~C18)アルキル或いは置換又は非置換(C6~C18)アリールであり得;より好ましくは、それぞれ独立して、置換又は非置換(C1~C4)アルキル或いは置換又は非置換(C6~C12)アリールであり得る。例えば、A1~A3は、それぞれ独立して、メチル、フェニル、又はナフチルであり得る。
【0033】
群Iにおいて、L’は置換又は非置換(C6~C30)アリーレン或いは置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し;好ましくは、それぞれ独立して、置換又は非置換(C6~C25)アリーレン或いは置換又は非置換(5~25員)ヘテロアリーレンであり得;より好ましくは、それぞれ独立して、置換又は非置換(C6~C18)アリーレン或いは置換又は非置換(5~18員)ヘテロアリーレンであり得る。
【0034】
群Iにおいて、
【化7】
は、Nとの結合位置を表す。
【0035】
さらに、より好ましくは、Ar
1及びAr
2は、それぞれ独立して、置換又は非置換(C6~C25)アリール或いは置換又は非置換(3~25員)ヘテロアリールであり得るか、或いは互いに結合して置換又は非置換(C3~C25)単環式又は多環式芳香環を形成することができ、形成された芳香環中のその少なくとも1つの炭素原子は窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子で置き換えられてもよく;好ましくは、それぞれ独立して、以下の群IIに記載される置換基のうちの1つであり得るか又は互いに結合し得、アミン基が置換又は非置換カルバゾールを形成する。
[群II]
【化8】
【0036】
群IIにおいて、A
1~A
3、及び
【化9】
は群Iにおいて規定された通りである。
【0037】
一実施形態において、式1の有機エレクトロルミネセント化合物は、以下の式I-1~I-4のうちの1つによって表され得る。
【化10】
【0038】
式I-1~I-4において、R1~R4、L、a、及びbは式1に規定された通りである;
R5は水素又は-NRxRyを表し;
Rx及びRyは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換又は非置換(C1~C30)アルキル、或いは置換又は非置換(C6~C30)アリールを表し、及び
dは1又は2の整数を表し、dが2であるとき、R5のそれぞれは同一であるか又は異なり得る。
【0039】
一実施形態において、式I-1~I-4において、R5は水素又は-NRxRyを表し、そこで、Rx及びRyは、それぞれ独立して、水素或いは置換又は非置換(C6~C30)アリールであり得;好ましくは、それぞれ独立して、水素或いは置換又は非置換(C6~C18)アリールであり得;より好ましくは、それぞれ独立して、水素或いは置換又は非置換(C6~C12)アリールであり得る。例えば、式I-1~I-4において、R5は水素であるか又はフェニルで置換されたアミンであり得る。
【0040】
一実施形態において、式1及び1-1~1-6において、aは1~4の整数を表し、bは1又は2の整数を表し、a又はbが2以上を表すとき、R3のそれぞれ及びR4のそれぞれは同一であるか又は異なり得、cは1又は2の整数を表し、cが2であるとき、Ar1のそれぞれ又はAr2のそれぞれは同一であるか又は異なり得る。
【0041】
一実施形態による有機エレクトロルミネセント化合物、式1において、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換(C1~C18)アルキル、或いは置換又は非置換(C6~C18)アリールを表し;R3及びR4は、それぞれ独立して、水素或いは置換又は非置換(C6~C18)アリールを表し;Lは単結合或いは置換又は非置換(C6~C18)アリーレンを表し;Ar1及びAr2は、それぞれ独立して、置換又は非置換(C6~C25)アリール、或いは置換又は非置換(3~25員)ヘテロアリールを表すか、或いは互いに結合して置換又は非置換(C3~C25)単環式又は多環式、芳香環を形成することができる。
【0042】
別の実施形態によると、式1において、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、メチル、又はフェニルを表し;R3及びR4は、それぞれ独立して、水素又はフェニルを表し;Lは単結合又はフェニレンを表し;Ar1及びAr2は、それぞれ独立して、群IIに記載された置換基のうちの1つを表すか、或いは互いに結合して、アミン基が置換又は非置換カルバゾールを形成することができる。
【0043】
一実施形態によると、式1の有機エレクトロルミネセント化合物は、以下の化合物によってより具体的に説明され得るが、それらに限定されない:
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【0044】
本開示による式1の化合物は、当業者に公知の合成方法によって、例えば、以下の反応スキーム1~3を参照して製造され得るが、それらに限定されない。
[反応スキーム1]
【化15】
[反応スキーム2]
【化16】
[反応スキーム3]
【化17】
【0045】
反応スキーム1~3において、R1~R4、Ar1、Ar2、a、及びbは式1に規定された通りであり1、X1、X2、及びX4は、それぞれ独立して、Cl、Br、又はIを表す。
【0046】
本開示は、式1の有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセント材料、及び有機エレクトロルミネセント材料を含む有機エレクトロルミネセントデバイスを提供し得る。
【0047】
有機エレクトロルミネセント材料は、唯一の化合物として本開示の有機エレクトロルミネセント化合物からなってもよく、又は有機エレクトロルミネセント材料において一般的に使用される従来の材料をさらに含んでもよい。好ましくは、式1の有機エレクトロルミネセント化合物は、有機エレクトロルミネセントデバイスに正孔輸送層(HTL)材料として含まれ得る。
【0048】
本開示の有機エレクトロルミネセント材料は、式1の有機エレクトロルミネセント化合物の他に少なくとも1つのホスト化合物を含有することができる。一実施形態によるホスト化合物は、公知のリン光性ホストのいずれかを使用することができる。発光効率に関して、ホスト材料は特に好ましくは、以下の式2又は3によって表される化合物からなる群から選択され得るが、それらに限定されない。
【化18】
【0049】
式2及び3において、
Maは、置換又は非置換(C6~C30)アリール、置換又は非置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、或いは置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリールを表し;
Laは、単結合、置換又は非置換(C6~C30)アリーレン、或いは置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し;
AはS、O、NR7又はCR8R9を表し;
Ra~Rdは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換又は非置換(C1~C30)アルキル、置換又は非置換(C2~C30)アルケニル、置換又は非置換(C2~C30)アルキニル、置換又は非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換又は非置換(C6~C60)アリール、置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換又は非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換又は非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換又は非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換又は非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換又は非置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ、或いは置換又は非置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノを表すか;或いは隣接置換基と結合して置換又は非置換、単環式若しくは多環式の、(3~30員)脂環式環若しくは芳香環、又はそれらの組み合わせを形成し、それらの炭素原子は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子で置換され得;
R7~R9は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換又は非置換(C1~C30)アルキル、置換又は非置換(C6~C30)アリール、置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換又は非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換又は非置換(C1~C30)アルコキシ、置換又は非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換又は非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換又は非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換又は非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換又は非置換モノ-又はジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換又は非置換モノ-又はジ-(C6~C30)アリールアミノ、或いは、置換又は非置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表し;R8及びR9は、互いに結合して、置換又は非置換、単環式又は多環式、(3~30員)脂環式、芳香環、又はそれらの組み合わせを形成することができ、これらの炭素原子は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子で置き換えられてもよく;
a~cは、それぞれ独立して、1~4の整数を表し、dは1~3の整数を表し;
ヘテロアリール(エン)は、B、N、O、S、Si、及びPから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む。
【0050】
式2及び3のうちの1つによって表される化合物は以下の化合物によって示され得るが、それらに限定されない:
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
[式中、TPSはトリフェニルシリル基を表す]
【0051】
有機エレクトロルミネセント材料は、少なくとも1つのドーパントをさらに含み得る。本開示による有機エレクトロルミネセント材料に含まれるドーパントは、少なくとも1つのリン光性又は蛍光性ドーパント、好ましくはリン光性ドーパントであり得る。本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスに適用されるリン光性ドーパント材料は特に限定されないが、好ましくは、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、銅(Cu)、及び白金(Pt)から選択される金属原子の金属化錯化合物、より好ましくは、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、銅(Cu)、及び白金(Pt)から選択される金属原子のオルト金属化錯化合物、及びさらにより好ましくはオルト金属化イリジウム錯化合物であり得る。
【0052】
以下の式101によって表される化合物は、ドーパントとして使用され得るが、それらに限定されない
【化25】
式101
(式中、Lは以下の構造1又は2:
【化26】
から選択される)において、R
100~R
103は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、ハロゲン置換又は非置換(C1~C30)アルキル、置換又は非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換又は非置換(C6~C30)アリール、シアノ、置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリール、或いは置換又は非置換(C1~C30)アルコキシを表すか;或いはR
100~R
103は隣接する置換基と結合して、置換又は非置換縮合環、例えば、置換又は非置換キノリン、置換又は非置換ベンゾフロピリジン、置換又は非置換ベンゾチエノピリジン、置換又は非置換インデノピリジン、置換又は非置換ベンゾフロキノリン、置換又は非置換ベンゾチエノキノリン、或いは置換又は非置換インデノキノリンを形成することができ;
R
104~R
107は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、ハロゲン置換又は非置換(C1~C30)アルキル、置換又は非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換又は非置換(C6~C30)アリール、置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリール、シアノ、或いは置換又は非置換(C1~C30)アルコキシを表すか;或いはR
104~R
107は、隣接する置換基と結合して、置換又は非置換縮合環、例えば置換又は非置換ナフチル、置換又は非置換フルオレン、置換又は非置換ジベンゾチオフェン、置換又は非置換ジベンゾフラン、置換又は非置換インデノピリジン、置換又は非置換ベンゾフロピリジン、或いは置換又は非置換ベンゾチエノピリジンを形成することができ;
R
201~R
211は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、ハロゲン置換又は非置換(C1~C30)アルキル、置換又は非置換(C3~C30)シクロアルキル、或いは置換又は非置換(C6~C30)アリールを表し;R
201~R
211は隣接する置換基と結合して、置換又は非置換縮合環を形成することができ;
nは1~3の整数を表す。
【0053】
ドーパント化合物の具体的な例としては、以下のものが含まれるが、それらに限定されない:
【化27】
【化28】
【化29】
【0054】
以下に、前述の有機エレクトロルミネセント化合物又は有機エレクトロルミネセント材料が適用される有機エレクトロルミネセントデバイスが説明される。
【0055】
本開示による有機エレクトロルミネセントデバイスは、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極と第2の電極の間に挟まれた少なくとも1つの有機層とを含む。
【0056】
本開示の式1の有機エレクトロルミネセント化合物は有機エレクトロルミネセントデバイスを構成する少なくとも1つの層に含まれ得る。一実施形態によると、有機層は、式1の有機エレクトロルミネセント化合物を含む正孔輸送層及び/又は正孔補助層を含み得る。正孔輸送層及び/又は正孔補助層は本開示の有機エレクトロルミネセント化合物だけからなり得、或いは有機エレクトロルミネセント化合物の少なくとも2つの種からなり得、さらに、有機エレクトロルミネセント材料に含有される従来の材料からなり得る。
【0057】
有機層は正孔輸送層及び正孔補助層を含むことができ、正孔注入層、発光層、発光補助物層、電子輸送層、電子注入層、中間層、正孔ブロッキング層、電子ブロッキング層、及び電子緩衝層から選択される少なくとも1つの層をさらに含むことができ、そこで、それぞれの層は複数層から構成され得る。有機層は、アリールアミン系化合物及びスチリルアリールアミン系化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を更に含み得る。また、有機層は、周期表の1族の金属、2族の金属、第4周期の遷移金属、第5周期の遷移金属、ランタニド、及びd-遷移元素の有機金属、又はこのような金属を含む少なくとも1つの錯体化合物からなる群から選択される少なくとも1つの金属を更に含み得る。
【0058】
一実施形態による有機エレクトロルミネセント材料は、白色有機発光デバイスのための発光材料として使用され得る。白色有機発光デバイスは、例えば平行並列配置方法、積層配置方法、或いは、R(赤)、G(緑)、B(青)、又はYG(黄緑)発光単位の配置による、CCM(色変換材料)方法等の様々な構造を提案している。さらに、一実施形態による有機エレクトロルミネセント材料はまた、QD(量子ドット)を含む有機エレクトロルミネセントデバイスに適用され得る。
【0059】
第1の電極及び第2の電極のうちの一方はアノードであり得、他方はカソードであり得る。そこで、第1の電極及び第2の電極はそれぞれ、透過性導電材料、半透過性導電材料、又は反射性導電材料として形成され得る。有機エレクトロルミネセントデバイスは、第1の電極及び第2の電極を形成する材料の種類に従ってトップエミッション型、ボトムエミッション型、又は両面エミッション型であり得る。
【0060】
アノードと発光層との間に、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、又はこれらの組合せを使用することができる。正孔注入層は、正孔注入障壁(又は正孔注入電圧)をアノードから正孔輸送層又は電子阻止層まで下げるために複数層であってもよく、複数層のそれぞれは、2つの化合物を同時に使用してもよい。さらに、正孔注入層はp型ドーパントとしてドープされ得る。また、電子阻止層は、正孔輸送層(又は正孔注入層)と発光層の間に配置されることができ、発光層からの電子のオーバーフローを阻止することによって励起子を発光層内に閉じ込めて発光漏れを防止することができる。正孔輸送層又は電子阻止層は複数層であってもよく、そこでそれぞれの層は複数の化合物を使用してもよい。
【0061】
電子緩衝層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、又はこれらの組合せは、発光層とカソードとの間に用いることができる。電子緩衝層は、電子の注入を制御し、発光層と電子注入層との間の界面特性を改善するために複数層であってもよく、複数層のそれぞれは、2つの化合物を同時に使用してもよい。正孔阻止層又は電子輸送層はまた、多層であり得、ここで、各層は、複数の化合物を使用し得る。また、電子注入層はn型ドーパントとしてドープされ得る。
【0062】
発光補助層は、アノードと発光層との間、又はカソードと発光層との間に配置され得る。発光補助層がアノードと発光層との間に配置される場合、それは、正孔注入及び/又は正孔輸送を促進するために、又は電子のオーバーフローを防止するために使用することができる。発光補助層がカソードと発光層との間に配置される場合、それは、電子注入及び/又は電子輸送を促進するために、又は正孔のオーバーフローを防止するために使用することができる。さらに、正孔補助層は、正孔輸送層(又は正孔注入層)と発光層との間に配置され得、正孔輸送速度(又は正孔注入速度)を促進する又は阻止するのに有効であり得、それによって電荷のバランスが制御されるのを可能にする。有機エレクトロルミネセントデバイスが2つ以上の正孔輸送層を含む場合、更に含まれる正孔輸送層は、正孔補助層又は電子阻止層として使用され得る。発光補助層、正孔補助層又は電子阻止層は、有機エレクトロルミネセントデバイスの効率及び/又は寿命を向上させる効果を有し得る。
【0063】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスにおいて、一方又は両方の電極の内部表面にカルコゲナイド層、ハロゲン化金属層及び金属酸化物層から選択される少なくとも1つの層(以下、「表面層」)を配置することが好ましい場合がある。具体的には、シリコン又はアルミニウムのカルコゲナイド(酸化物を含む)層が、エレクトロルミネセント媒体層のアノード表面上に好ましくは配置され、ハロゲン化金属層又は金属酸化物層が、エレクトロルミネセント媒体層のカソード表面上に好ましくは配置される。有機エレクトロルミネセントデバイスについての動作安定性は、表面層によって得られ得る。好ましくは、カルコゲナイドとしては、SiOX(1≦X≦2)、AlOX(1≦X≦1.5)、SiON、SiAlON等が挙げられ;ハロゲン化金属としては、LiF、MgF2、CaF2、希土類金属フッ化物等が挙げられ;金属酸化物としては、Cs2O、Li2O、MgO、SrO、BaO、CaO等が挙げられる。
【0064】
さらに、本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスにおいて、電子輸送化合物と還元性ドーパントとの混合領域、又は正孔輸送化合物と酸化性ドーパントとの混合領域は、一対の電極の少なくとも1つの表面に配置されてもよい。この場合、電子輸送化合物はアニオンに還元され、こうして混合領域からエレクトロルミネセント媒体へ電子を注入する及び輸送することがより容易になる。更に、正孔輸送化合物はカチオンに酸化され、こうして混合領域からエレクトロルミネセント媒体へ正孔を注入する及び輸送することがより容易になる。好ましくは、酸化性ドーパントは、種々のルイス酸及びアクセプター化合物を含み、還元性ドーパントは、アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、希土類金属、及びそれらの混合物を含む。また、還元性ドーパント層を電荷発生層として用いて、2つ以上の発光層を有し、白色光を発する有機エレクトロルミネセントデバイスを製造し得る。
【0065】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスの各層を形成するために、真空蒸着、スパッタリング、プラズマ、イオンプレーティング方法等などの乾式膜形成法、又はインクジェット印刷、ノズル印刷、スロットコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、フローコーティング方法等などの湿式膜形成法を用いることができる。
【0066】
湿式製膜法を用いる場合、各層を形成する材料をエタノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン等などの任意の適切な溶媒に溶解又は拡散させることによって薄膜を形成することができる。各層を形成する材料を溶解又は拡散させることができ、製膜能力に問題がない場合、溶媒は、任意の溶媒であり得る。
【0067】
以下に、本開示による化合物の調製方法は、本開示を詳細に理解するために本開示の代表的な化合物又は中間化合物に関して説明される。
【実施例】
【0068】
【0069】
化合物2の調製
化合物1(48.8g、170.7mmol)をフラスコ内でトルエン(640mL)及びテトラヒドロフラン(THF)(210mL)中に溶解した。その後、硼酸トリイソプロピル(B(OiPr)3)(99mL、426.8mmol)をフラスコに添加し、次いでn-ブチルリチウム(nBuLi)(102.0mL、256.0mmol)を窒素雰囲気下-78°Cでゆっくりと滴下した。12時間後に、蒸留水を添加して反応を終わらせ、その後に、EA/H2Oで抽出し、化合物2を得た(21.6g、収率:50%)。
【0070】
化合物4の調製
化合物2(21.6g、84.1mmol)、化合物3(12.9mL、84.1mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh3)4)(4.9g、4.3mmol)、炭酸カリウム(K2CO3)(29.8g、215.3mmol)、315mLのTHF、及び105mLのH2Oをフラスコに添加し、溶解し、混合物を3時間還流及び撹拌した。反応の終了後に、混合物をEA/H2Oで抽出し、その後、カラムクロマトグラフィーによって精製して化合物4を得た(29.4g、収率:100%)。
【0071】
化合物5の調製
化合物4(16.6g、48.7mmol)及び150mLのメタンスルホン酸(MSA)をフラスコに添加し、18時間の間70°Cで撹拌した。反応の終了後に、その後、混合物をH2Oに滴下及び濾過し、化合物5を得た(12.8g、収率:85%)。
【0072】
化合物6の調製
リン酸(H3PO2)(7.2mL、66.2mmol)、ヨウ素(I2)(5.3g、20.7mmol)、及び207mLの酢酸(AcOH)をフラスコに添加し、1時間還流及び撹拌し、次いで化合物5(12.8g、41.4mmol)をフラスコに添加し、4時間還流及び撹拌した。反応の終了後に、混合物をEA/H2Oで抽出し、その後、カラムクロマトグラフィーによって精製して化合物6を得た(11.9g、収率:97%)。
【0073】
化合物7の調製
化合物6(9.9g、33.5mmol)、沃化カリウム(KI)(556mg、3.4mmol)、水酸化カリウム(KOH)(9.4g、167.5mmol)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(TEBAC)(382mg、1.7mmol)、168mLのジメチルスルホン酸(DMSO)、及び17mLのH2Oをフラスコ内に添加し、30分間室温で撹拌し、次いでヨウ化メチル(MeI)(5.2mL、83.8mmol)をフラスコに添加し、22時間室温で撹拌した。反応の終了後に、混合物をEA/H2Oで抽出し、その後、カラムクロマトグラフィーによって精製して化合物7を得た(5.6g、収率:52%)。
【0074】
化合物A-28の調製
化合物7(5.6g、17.3mmol)、化合物8(6.9g、19.1mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3)(792mg、0.87mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(S-phos)(710mg、1.7mmol)、ナトリウム-tert-ブトキシド(NaOtBu)(4.2g、43.3mmol)、及び87mLのトルエンをフラスコに添加し、30分間還流及び撹拌した。反応の終了後に、混合物をEA/H2Oで抽出し、その後、カラムクロマトグラフィーによって精製して化合物A-28を得た(4.5g、収率:43%)。
【0075】
【0076】
実施例2:化合物A-29の調製
【化31】
化合物7(4.0g、12.4mmol)、化合物9(6.0g、13.6mmol)、Pd
2(dba)
3(568mg、0.62mmol)、S-phos(509mg、1.24mmol)、NaOtBu(3.0g、31.0mmol)、及び62mLのトルエンをフラスコに添加し、30分間室温で撹拌した。反応の終了後に、混合物をEA/H
2Oで抽出し、その後、カラムクロマトグラフィーによって精製して化合物A-29(5.9g、:70%)を得た。
【0077】
【0078】
【0079】
化合物A-27の調製
化合物7(4.0g、12.4mmol)、化合物10(4.0g、13.6mmol)、Pd2(dba)3(568mg、0.62mmol)、S-phos(509mg、1.24mmol)、NaOtBu(2.4g、24.8mmol)、及び62mLのトルエンをフラスコに添加し、30分間室温で撹拌した。反応の終了後に、混合物をEA/H2Oで抽出し、その後、カラムクロマトグラフィーによって精製して化合物A-27を得た(5.0g、収率:75%)。
【0080】
【0081】
【0082】
化合物12の調製
化合物11(50.0g、174.8mmol)をフラスコ内でトルエン(650mL)及びTHF(220mL)中に溶解した。その後、B(OiPr)3(100mL、437.0mmol)をフラスコに滴下し、次いでn-BuLi(100.0mL、262.3mmol)を窒素雰囲気下-78°Cでゆっくりと滴下した。12時間後に、蒸留水を添加して反応を終わらせ、その後に、EA/H2Oで抽出し、化合物12を得た(28.5g、収率:65%)。
【0083】
化合物13の調製
化合物12(28.5g、84.1mmol)、化合物3(16.6mL、113.6mmol)、Pd(PPh3)4(6.6g、5.7mmol)、K2CO3(39.3g、284.0mmol)、570mLのTHF、及び140mLのH2Oをフラスコに添加し、溶解し、混合物を6時間還流及び撹拌した。反応の終了後に、混合物をEA/H2Oで抽出し、その後、カラムクロマトグラフィーによって精製して化合物13を得た(14.5g、収率:37%)。
【0084】
化合物14の調製
化合物13(14.5g、42.5mmol)及び170mLのMSAをフラスコに添加し、18時間の間70°Cで撹拌した。反応の終了後に、その後、混合物をH2Oに滴下及び濾過し、化合物14を得た(12.4g、収率:92%)。
【0085】
化合物15の調製
H3PO2(7.0mL、64.2mmol)、I2(5.3g、20.7mmol)、及び200mLのAcOHをフラスコ内に添加し、1時間還流及び撹拌し、次いで化合物14(12.4g、40.1mmol)をフラスコに添加し、18時間還流及び撹拌した。反応の終了後に、混合物をEA/H2Oで抽出し、その後、カラムクロマトグラフィーによって精製して化合物15を得た(10.3g、収率:87%)。
【0086】
化合物16の調製
化合物15(10.3g、14.9mmol)、KI(579mg、3.5mmol)、KOH(9.8g、174.5mmol)、TEBAC(397mg、1.8mmol)、175mLのDMSO、及び17mLのH2Oをフラスコに添加し、30分間室温で撹拌し、次いでMeI(5.4mL、87.2mmol)をフラスコに添加し、19時間室温で撹拌した。反応の終了後に、混合物をEA/H2Oで抽出し、その後、カラムクロマトグラフィーによって精製して化合物16を得た(8.8g、収率:78%)。
【0087】
化合物A-67の調製
化合物16(3.5g、10.8mmol)、化合物8(4.3g、11.9mmol)、Pd2(dba)3(494mg、0.54mmol)、S-phos(443mg、1.08mmol)、NaOtBu(2.6g、27.0mmol)、及び54mLのトルエンをフラスコに添加し、35分間還流及び撹拌した。反応の終了後に、混合物をEA/H2Oで抽出し、その後、カラムクロマトグラフィーによって精製して化合物A-67を得た(6.0g、収率:92%)。
【0088】
【0089】
【0090】
化合物A-66の調製
化合物16(3.7g、11.4mmol)、化合物10(3.7g、12.6mmol)、Pd2(dba)3(522mg、0.57mmol)、S-phos(468mg、1.14mmol)、NaOtBu(2.7g、28.5mmol)、及び57mLのトルエンをフラスコに添加し、1時間還流及び撹拌した。反応の終了後に、混合物をEA/H2Oで抽出し、その後、カラムクロマトグラフィーによって精製して化合物A-66を得た(3.5g、収率:57%)。
【0091】
【0092】
【0093】
化合物A-44の調製
化合物7(4.3g、13.3mmol)、化合物17(5.5g、13.3mmol)、Pd2(dba)3(609mg、0.67mmol)、S-phos(546mg、1.33mmol)、NaOtBu(3.2g、33.3mmol)、及び100mLのトルエンをフラスコに添加し、30分間室温で撹拌した。反応の終了後に、混合物をEA/H2Oで抽出し、その後、カラムクロマトグラフィーによって精製して化合物A-44を得た(6.7g、収率:77%)。
【0094】
【0095】
【0096】
化合物A-68の調製
化合物16(3.0g、9.28mmol)、化合物18(3.5g、9.75mmol)、Pd2(dba)3(425mg、0.46mmol)、S-phos(381mg、0.93mmol)、NaOtBu(2.2g、23.2mmol)、及び50mLのトルエンを添加し、30分間室温で撹拌した。反応の終了後に、混合物をEA/H2Oで抽出し、その後、カラムクロマトグラフィーによって精製して化合物A-68を得た(4.2g、収率:75%)。
【0097】
【0098】
以下に、本開示の有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセントデバイスの発光特性が本開示を詳細に理解するために説明される。
【0099】
[デバイス実施例1]本開示による赤色発光有機エレクトロルミネセントデバイスの作製
本開示の有機エレクトロルミネセント化合物を使用してOLEDデバイスを作製した。まず、OLEDデバイス用ガラス基板(ジオマテック株式会社、日本)の透明電極酸化インジウム錫(ITO)薄膜(10Ω/sq)をアセトン及びイソプロパノールで順次超音波洗浄し、次いでイソプロパノール中に保存した。次いで、ITO基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着した。化合物HI-1を真空蒸着装置のセルに導入し、次に、装置のチャンバー内の圧力を10-6トールに制御した。その後、セルに電流を流して上記導入された物質を蒸発させ、それによりITO基板に厚さ90nmの第1の正孔注入層を形成した。次に、化合物HI-2を真空蒸着装置の別のセルに導入し、セルに電流を流して蒸発させ、これにより第1の正孔注入層に厚さ5nmの第2の正孔注入層を形成した。次いで、化合物HT-1を真空蒸着装置の別のセルに導入し、セルに電流を流して蒸発させて、これにより第2の正孔注入層に厚さ10nmの第1の正孔輸送層を形成した。次いで、化合物A-28を真空蒸着装置の別のセルに導入し、セルに電流を流して蒸発させて、これにより第1の正孔輸送層に厚さ60nmの第2の正孔輸送層(正孔補助層)を形成した。正孔注入層及び正孔輸送層を形成した後、以下の通り発光層をその上に形成した。化合物H-211をホストとして真空蒸着装置の一方のセルに導入し、化合物D-39をドーパントとして他方のセルに導入した。2つの材料を蒸発させて、ホスト及びドーパントの総量に基づいてドーパントを2wt%の量でドープすることによって40nmの厚さを有する発光層を第2の正孔輸送層上に形成した。次に、化合物ET-1及びEI-1を1:1比で蒸発させ、蒸着して発光層上に35nmの厚さの電子輸送層を形成した。電子輸送層上に厚さ2nmの電子注入層として化合物EI-1を蒸着した後、電子注入層上に別の真空蒸着装置によって厚さ1,500nmのAlカソードを蒸着した。このようにして、OLEDデバイスを作製した。
【0100】
[デバイス実施例2及び3]本開示による赤色発光有機エレクトロルミネセントデバイスの作製
化合物A-44及びA-68をそれぞれ第2の正孔輸送材料として使用したこと以外、デバイス実施例2及び3のOLEDデバイスをデバイス実施例1の場合と同じ方法で製造した。
【0101】
[比較例1]本開示によらない赤色発光有機エレクトロルミネセントデバイスの作製
化合物Ref-1を第2の正孔輸送材料として使用したこと以外、OLEDデバイスをデバイス実施例1の場合と同じ方法で製造した。
【0102】
デバイスの実施例1~3及び比較例1において使用される化合物は、以下の表1において示される。
【0103】
【0104】
【0105】
上に記載されたように製造されるデバイス実施例1~3及び比較例1の有機エレクトロルミネセントデバイスの、1,000ニトの輝度における駆動電圧、発光効率、及びCIE色座標の結果、並びに5,000ニトの輝度において定電流で初期輝度を98%の輝度に低減させるためにかかる時間の結果が以下の表2に示される。
【0106】
【0107】
上記の表2を参照して、本開示の有機エレクトロルミネセント化合物を使用するデバイス実施例1~3のOLEDは、比較例1のOLEDと比較して駆動電圧、発光効率、及び寿命にはるかに優れた効果を示し、効率の増加と共に寿命が低下するという点において従来の問題を克服することができる特性が確認され得る。
【0108】
すなわち、本開示による有機エレクトロルミネセント化合物が正孔輸送層及び/又は正孔補助層の材料として使用されるとき、発光効率及び寿命を増加させること並びに同じ輝度の光を発光するために使用される電圧を低下させることに利点を有し得る。