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特許7252966安全針カバーを備えた組成物を注入するための医療デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-28
(45)【発行日】2023-04-05
(54)【発明の名称】安全針カバーを備えた組成物を注入するための医療デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20230329BHJP
   A61M 5/28 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
A61M5/32 510R
A61M5/28
A61M5/32 500
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020543535
(86)(22)【出願日】2019-02-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-03
(86)【国際出願番号】 EP2019053483
(87)【国際公開番号】W WO2019158549
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-09-01
(31)【優先権主張番号】18305167.1
(32)【優先日】2018-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】310021434
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック ペロー
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル フィアルド
(72)【発明者】
【氏名】ギレス ベルネード
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0319833(US,A1)
【文献】特表2013-540540(JP,A)
【文献】特表2013-529987(JP,A)
【文献】特表2013-533777(JP,A)
【文献】特表2013-529985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
A61M 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用容器(90)を支持するための医療用注入デバイス(1)であって、前記医療用容器は、組成物を含むように適合されたバレル(91)と、バレルの遠位端から延びる針(94)とを含み、前記医療用注入デバイスは、
-前記医療用容器(90)の少なくとも一部を受け入れるように構成された本体(10)と、
-前記本体の軸(A)に沿って前記本体(10)に対して軸方向に移動可能なプランジャ(20)と、
-前記軸(A)に沿って前記本体(10)に対して移動可能な針カバー(30)であって、前記針カバーは、
・前記針カバー(30)が針(94)を覆う保管位置、
・前記針カバー(30)が少なくとも部分的に前記針(94)を露出させる注入位置と、
・前記針カバー(30)が前記針(94)を覆い、前記注入位置に戻るのを防止する安全位置と、の間を連続的に移動するように構成され、
前記医療用注入デバイスはさらに、
-第1の分岐(51a)および前記第1の分岐(51a)との接合部(54)から延在する第2の分岐(51b)を含む溝(50)、および
-前記針カバー(30)に接続されたラグ(32)であって、前記ラグ(32)が前記第1の分岐(51a)にあるとき、前記針カバーは前記保管位置から前記注入位置に移動するように構成され、前記ラグ(32)が前記第2の分岐(51b)にあるとき、前記針カバーは前記注入位置から前記安全位置に移動するように構成されたラグ、
を備え、
前記針カバー(30)が前記注入位置にあるとき、前記プランジャ(20)は、前記ラグ(32)が前記第1の分岐(51a)から前記第2の分岐に移動するように、前記プランジャ(20)が遠位トリガー位置に到達したときに前記溝(50)を回転させるように構成される傾斜面(26)を備えることを特徴とする医療用注入デバイス。
【請求項2】
前記針カバー(30)と回転可能に係合するリング(40)をさらに備え、前記溝(50)が前記リング(40)上に配置され、前記ラグ(32)が前記針カバー(30)上に配置されることを特徴とする、請求項に記載の医療用注入デバイス。
【請求項3】
医療用容器(90)を支持するための医療用注入デバイス(1)であって、前記医療用容器は、組成物を含むように適合されたバレル(91)と、バレルの遠位端から延びる針(94)とを含み、前記医療用注入デバイスは、
-前記医療用容器(90)の少なくとも一部を受け入れるように構成された本体(10)と、
-前記本体の軸(A)に沿って前記本体(10)に対して軸方向に移動可能なプランジャ(20)と、
-前記軸(A)に沿って前記本体(10)に対して移動可能な針カバー(30)であって、前記針カバーは、
・前記針カバー(30)が針(94)を覆う保管位置、
・前記針カバー(30)が少なくとも部分的に前記針(94)を露出させる注入位置と、
・前記針カバー(30)が前記針(94)を覆い、前記注入位置に戻るのを防止する安全位置と、の間を連続的に移動するように構成され、
前記医療用注入デバイスはさらに、
-第1の分岐(51a)および前記第1の分岐(51a)との接合部(54)から延在する第2の分岐(51b)を含む溝(50)、および
-前記針カバー(30)に接続された、可撓性アーム(90)上のラグ(32)であって、前記ラグ(32)が前記第1の分岐(51a)にあるとき、前記針カバーは前記保管位置から前記注入位置に移動するように構成され、前記ラグ(32)が前記第2の分岐(51b)にあるとき、前記針カバーは前記注入位置から前記安全位置に移動するように構成されたラグ、
を備え、
前記針カバー(30)が前記注入位置にあるとき、前記ラグ(32)が前記第1の分岐(51a)から前記第2の分岐(51b)に移動するように、前記プランジャが遠位トリガー位置に達したときに、前記プランジャ(20)が前記可撓性アーム(90)を撓ませるように構成されていることを特徴とする医療用注入デバイス。
【請求項4】
前記可撓性アーム(90)が前記針カバー(30)から近位方向に延在し、前記溝(50)が前記本体(10)上に配置されることを特徴とする、請求項に記載の医療用注入デバイス。
【請求項5】
前記溝(50)が、近位に配置された頂部(54)を有するV字形を有することを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の医療用注入デバイス。
【請求項6】
前記針カバー(30)を安全位置にロックするように構成されたロック手段をさらに含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の医療用注入デバイス。
【請求項7】
前記ロック手段が、前記針カバー(30)が注入位置から安全位置に移動するときに、偏向されるように構成された少なくとも1つの可撓性タブ(45)を含み、前記可撓性タブ(45)は前記針カバーが安全位置にあるときに、前記針カバー(30)が近位に移動するのを防ぐように構成されていることを特徴とする、請求項に記載の医療用注入デバイス。
【請求項8】
前記針カバー(30)が、前記針カバーが安全位置にあるときに、前記可撓性タブ(45)が停止面に当接するように配置された停止面を備えることを特徴とする、請求項に記載の医療用注入デバイス。
【請求項9】
前記第2の分岐(51b)が前記第1の分岐(51a)よりも長いことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の医療用注入デバイス。
【請求項10】
前記針カバー(30)が保管位置にあるとき、前記針カバー(30)と協働して前記プランジャ(20)の軸方向の動きを防止し、前記針カバー(30)が注入位置にあるときに、前記プランジャが軸方向に遠位方向に移動して、バレルに収容された医薬組成物を針から放出できるようにするリング(40)をさらに含み、
前記リング(40)は、
-前記針カバー(30)が保管位置にあるとき、遠位方向に前記プランジャ(20)の軸方向の動きを防ぐ当接部を形成し、
-前記針カバー(30)が注入位置にあるとき、前記プランジャ(20)が遠位方向に軸方向に動くことができるように可動となるように構成されたロック部材(42)を含む、ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の医療用注入デバイス。
【請求項11】
前記ロック部材(42)は、
-前記針カバー(30)が保管位置にあるとき、遠位方向に前記プランジャ(20)の軸方向の動きを防ぐ当接部を形成し、
-前記針カバー(30)が注入位置にあるとき、遠位方向に前記プランジャ(20)が軸方向に動くことができるように内側に偏向される
ように構成された可撓性部材であることを特徴とする、請求項10に記載の医療用注入デバイス。
【請求項12】
前記可撓性部材が、前記リング(40)から近位方向に延びる少なくとも2つの可撓性脚(42)を含み、前記針カバー(30)が、前記脚(42)と協働するロッキングリング(70)を含み、前記針カバーが保管位置にあるとき、前記ロッキングリング(70)は、前記脚(42)の遠位基部(43)の周りに配置され、前記針カバー(30)が注入位置に動かされるとき、前記ロッキングリング(70)は、前記脚(42)に沿ってスライドさせられ、それにより、各脚を内側に引っ込めることを特徴とする、請求項11に記載の医療用注入デバイス。
【請求項13】
前記ロック部材が脚を含み、前記リング(40)が前記プランジャ(20)に対して、
-前記プランジャが遠位に移動できないように、前記脚部が前記プランジャに当接するロック位置と、
-前記プランジャが遠位に移動できるように、前記脚部がプランジャに当接しないロック解除位置と、
の間を回転するように構成されていることを特徴とする、請求項10に記載の医療用注入デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用容器に含まれる組成物を注入するための医療用注入デバイスに関し、このデバイスには安全針カバーが設けられている。
【背景技術】
【0002】
プレフィルド注入デバイスは、薬剤またはワクチンを患者に送達するための一般的な容器であり、シリンジ、カートリッジ、および自動注入器などが含まれる。それらは通常、容器に滑り係合する密閉ストッパーを含み、容器は、開業医が患者にすぐに使用できる注入デバイスを提供するために医薬組成物で満たされている。
【0003】
容器は、実質的に円筒形のバレルを含み、密封ストッパーによってストッパーできる近位端と、医薬組成物が容器から放出される遠位端と、および近位端と遠位端との間に延びる側壁を含む。実際には、密閉ストッパーは、プランジャロッドによって加えられた圧力に応じて、バレルの近位端からバレルの遠位端に向かって移動し、それにより、バレル内に含まれる薬物を放出することを目的とする。
【0004】
患者の身体への注入の直前にバイアルに保管された医薬組成物で満たされた空の注入デバイスと比較すると、事前充填された注入デバイスの使用はいくつかの利点をもたらす。特に、注入前の準備を制限することにより、プレフィルド注入デバイスは、医療投薬エラーの削減、微生物汚染のリスクの最小化、および開業医のための使用の利便性の向上を提供する。さらに、そのようなプレフィルド容器は、患者による自己投与を促進および単純化し得、これにより、治療のコストを削減し、患者のアドヒアランスを増加させることができる。最後に、プレフィルド注入デバイスは、医薬組成物がバイアルから非プレフィルド注入デバイスに移されるときに通常発生する貴重な医薬組成物の損失を減らす。これにより、医薬品の所定の製造バッチで注入可能な注入の数が増え、購入とサプライチェーンのコストが削減される。
【0005】
注入は自己注入であってもよく、または医療従事者などの使用者が別の人に行うこともできる。どちらの場合も、注入を行うために、使用者はデバイスを身体の注入領域の近くに配置し、皮膚を針で刺す。次に、使用者はプランジャロッドを押して、組成物の注入を行う。注入の終わりに、使用者は身体の皮膚からデバイスを引き抜く。
【0006】
注入デバイスを使用するとき、特に注入を行う直前と直後に、針は自由にされ、保護されない。これは、使用者だけでなく、患者や周囲の人が針に触れた場合に事故が発生する危険性が高く、重傷を負う可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、シリンジなどの医療用容器に含まれる組成物を注入するための注入デバイスを提供することを目的とし、これにより、使用者、患者、またはデバイスの周りの人が、特に注入を行う直前と直後のデバイスの使用、医療用容器の針と接触するのを防ぐ。
【0008】
このようにして、針は物理的にアクセス可能ではなく、一般に、針がデバイスの近くの人と接触することによって引き起こされる偶発的な傷や創傷のリスクはなくなる。
【0009】
本発明はまた、注入が行われた後、針が物理的にアクセスできないようにし、それにより、さらなる注入が行われるのを防ぐ注入デバイスを提供することを目的とする。
【0010】
本発明の別の目的は、患者が定期的に薬物を自己注入するのを助ける注入デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の別の態様は、注入が完了しない限り、針カバーが安全位置に移動できないことを保証する注入デバイスを提供することである。
その目的のために、本発明は、医療容器を支持するための医療用注入デバイスを提供し、医療用容器は、組成物を収容するように適合されたバレルと、バレルの遠位端から延びる針とを含み、医療用注入デバイスは、
医療用容器の少なくとも一部を受け入れるように構成された本体と、
-本体の軸に沿って本体に対して軸方向に移動可能なプランジャと、
-軸に沿って本体に対して移動可能な針カバーであって、当該針カバーは、
-針カバーが針を覆う保管位置と、
-針カバーが少なくとも部分的に針を露出させる注入位置と、
-針カバーが針を覆い、注入位置に戻るのを防止される安全位置と、の間を連続的に移動するように構成される針カバーと、
を備え、
医療用注入デバイスはさらに、
第1の分岐と、第1の分岐との接合部から延びる第2の分岐とを備える溝と、
針カバーに接続されるラグであって、ラグが第1分岐にあるときに針カバーが保管位置から注入位置に移動し、ラグが第2の分岐にあるとき針カバーが注入位置から安全位置に移動するように構成されるラグと、を含む。
【0012】
当該医療用注入デバイスは、針カバーが注入位置にあるとき、プランジャが遠位に移動すると、プランジャが第1の分岐から第2の分岐にラグを移行させるように構成されることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、針カバーを安全位置にロックしてもよい。この場合、針カバーは、薬剤が完全に注入されて初めて安全位置にロックできる。この注入デバイスは、患者の身体のさまざまな部位に針を刺すことを可能にし、いつも、針カバーが安全位置にロックされるリスクなしに、針カバーが注入位置に引っ込められ、再び保管位置に拡張される。
【0014】
この用途では、「遠位方向」は、本発明のデバイスが取り付けられる医療用容器に関して、注入の方向を意味すると理解されるべきである。遠位方向は、注入中のプランジャの移動方向に対応し、最初に医療容器に含まれていた医薬組成物は、医療容器から排出される。「近位方向」は、注入の方向と反対の方向を意味すると理解されるべきである。
【0015】
本発明の任意の特徴によれば、技術的に適切である場合、別々にまたは組み合わせて取得され、
プランジャが遠位トリガー位置に達したときに、プランジャは、ラグを回転させるように構成され、その結果、ラグは第1の分岐から第2の分岐に移動し、
プランジャは、溝をプランジャに対して回転させるように構成された傾斜面を含み、
デバイスは、針カバーと回転可能に係合するリングをさらに含み、溝はリング上に配置され、ラグは針カバー上に配置され、
ラグは可撓性アーム上にあり、プランジャは、ラグが第1の分岐から第2の分岐に移動するように遠位トリガー位置に達したときに、プランジャは、可撓性アームを撓ませるように構成され、
可撓性アームは、針カバーから近位に延び、溝は本体に配置され、
溝は、頂部が近位に位置されるV字形状を有し、
デバイスは、さらに、針カバーを安全位置にロックするように構成されたロック手段を含み、
針カバーが注入位置から安全位置に移動するときに、ロック手段は、撓むように構成された少なくとも1つの可撓性タブを含み、針カバーが安全位置にあるときに、可撓性タブは、針カバーの近位移動を防止するように構成され、
針カバーが安全位置にあるときに、針カバーは、可撓性タブが停止面に当接するように配置される停止面を備え、
第2の分岐は、第1の分岐よりも長く、
デバイスはさらに、針カバーが保管位置にあるとき、プランジャの軸方向の動きを防止し、針カバーが注入位置にあるとき、針からバレルに含まれる医薬組成物を排出するために遠位方向にプランジャの軸方向の動きを可能にするために針カバーと協働するリングを含み、
リングは、
針カバーが保管位置にあるとき、遠位方向にプランジャの軸方向の動きを防ぐアバットメントを形成し、
針カバーが注入位置にあるとき、プランジャが遠位方向に軸方向に動くことができるように可動するように構成されるロック部材を備え、
ロック材料は、
針カバーが保管位置にあるとき、遠位方向にプランジャの軸方向の動きを防ぐアバットメントを形成し、
針カバーが注入位置にあるとき、プランジャが遠位方向に軸方向に動くことができるように内側に偏向されるように構成された可撓性材料であり、
可撓性部材は、リングから近位に延在する少なくとも2つの可撓性脚を含み、針カバーは、脚と協働するロッキングリングを含み、針カバーが保管位置にあるとき、ロッキングリングは、脚部の遠位ベースの周囲に位置され、針カバーが注入位置に移動すると、ロッキングリングが脚部に沿ってスライドするように生じさせ、それによって各脚部が内側に後退し、
ロック部材は脚を含み、リングは、
プランジャが遠位に移動できないように、脚部がプランジャに当接するロック位置と、
プランジャが遠位に移動できるように、脚部がプランジャに当接しないロック解除位置との間をプランジャに対して回転するように構成され、
プランジャは、医療用容器内のストッパーを押すように構成された中央プランジャロッドを含み、
プランジャは外側プランジャ本体を含み、
外側のプランジャ本体は、使用者に注入の終わりを示すために、注入の終わりに本体の窓と整列するように構成されたカラーインジケーターが設けられている。
【0016】
本発明の別の目的は、穿刺が完了していない限り、注入を防ぐことである。
【0017】
そのために、バレルとバレルの遠位端から延びる針とを含む医療用容器を支持するための医療用注入デバイスが提供され、当該医療用注入デバイスは、
医療用容器の少なくとも一部を受け入れるように構成された本体と、
本体の軸に沿って本体に対して軸方向に移動可能なプランジャと、
軸に沿って本体に対して移動可能な針カバーであって、
針カバーが針を覆う、保管位置と、
針カバーが針の先端を露出させる、注入位置と、
の間を遠位方向に移動するように構成される針カバーと、
針カバーが保管位置にあるとき、プランジャの軸方向の動きを防止し、針カバーが注入位置にあるとき、針からバレルに含まれる医薬組成物を排出するために遠位方向にプランジャの軸方向の動きを可能にするために針カバーと協働するリングとを含み、
リングは、
針カバーが保管位置にあるとき、遠位方向にプランジャの軸方向の動きを防ぐアバットメントを形成し、
針カバーが注入位置にあるとき、プランジャが遠位方向に軸方向に動くことができるように内側に偏向されるように構成されるロック部材を備える。
【0018】
当該デバイスは、デバイスの近くにいる人、特に患者と彼自身が医療容器の注入針に接触するのを防ぎながら、使用者が患者または彼自身への医薬組成物の注入を実行することを可能にし、それによって、けがを避け、デバイスを安全にする。実際、保管位置では、針カバーが針を覆い、それにより、針とデバイスの周囲の人との接触を防止する。注入位置では、針は患者の皮膚に配置され、注入を行うことができる。
【0019】
デバイスの他のオプション機能によると、技術的に可能な場合、個別にまたは組み合わせて使用される、すなわち、
針カバーはさらに、近位方向に
針カバーが針の先端を露出させる、注入位置と、
針カバーが針を覆う保管位置と、の間を動くように構成される。
【0020】
針カバーが注入位置にあるとき、プランジャが遠位方向に軸方向に動くことができるように、ロック部材は、針カバーが注入位置にあるとき、内側に偏向するように構成される。
【0021】
ロック部材は、リングから近位に延びる少なくとも2つの脚部を含む。
【0022】
一実施形態によれば、脚部は可撓性であり、すなわち、「可撓」とは、20N以下の力によって、脚部が撓まれてもよいことを意味している。
【0023】
針カバーは、脚部と協働するロッキングリングを含み、針カバーが保管位置にあるとき、ロッキングリングは、脚部の遠位ベースの周囲に位置され、針カバーが注入位置に移動すると、ロッキングリングが脚部に沿ってスライドするように生じさせ、それによって各脚部が内側に引っ込む。この実施形態は、針カバーが保管位置にあるとき、プランジャの効率的な軸方向のブロック、およびプランジャのブロック/解放状態間の容易な機械的移行を達成する非常に単純な構造を提供する。
【0024】
リングは、針カバーと回転可能に係合していることが好ましい。
【0025】
ロック部材は脚部を備え、リングは、プランジャに対して遠位に移動できないように脚がプランジャに当接するロック位置と、脚部は、プランジャが遠位に移動できるようにプランジャと当接しないロック解除位置との間でプランジャに対して回転するように構成される。
【0026】
一実施形態によれば、脚部は剛性であり、「剛性」とは、20N未満の力によって、脚部が曲げることができないことを意味する。
【0027】
プランジャは、少なくとも2つのアームを含む。ロック位置では、リングの脚部はプランジャのアームと整列している。ロック解除位置では、リングの脚部はプランジャのアームと整列していない。
【0028】
プランジャは、遠位方向に軸方向に移動するとき、リングに係合するように構成されたトリガー部材を含み、それによって、リングを第1の位置から第2の位置に回転させるように生じる。
【0029】
リングおよびプランジャは、プランジャが遠位方向に軸方向に移動するとき、リングをプランジャに対して回転させるように構成されるそれぞれの傾斜面を含む。そのような傾斜した表面は、製造が非常に簡単であり、デバイスの全体的な構造を単純化する。
【0030】
リングは、リングが第2の位置にあるとき、針カバーを保管位置よりも遠位の安全位置に付勢できるように構成されている。安全位置では、針カバーは保管位置と同様に針を覆うが、保管位置に比べてより遠位に配置されているため、以下で詳しく説明するように、針カバーをそのような安全位置でブロックできる。
【0031】
針カバーまたはリングは、リングまたは針カバーの溝に係合するラグを含み、溝は、軸方向に延びる第1の分岐と、第1の分岐に対して斜めに延びる第2の分岐とを含み、第1および第2の分岐は近位に相互接続される。
【0032】
第2の分岐の遠位端は、第1の分岐の遠位端よりも遠位の位置にある。
【0033】
ラグおよび溝は、リングが第1の位置にあるとき、ラグが溝の第1の分岐に係合し、リングが第2の位置にあるとき、ラグが溝の第2の分岐に係合するように構成される。したがって、安全位置では、ラグは保管位置と比較してより遠位に配置される。結果として、針カバーは保管位置と比較してより遠位に配置される。
【0034】
リングは、針カバーが安全位置に針カバーを維持する安全位置にあるとき、ロッキングリングに係合する保持部分を含む。針は針カバーで覆われ、リングによって安全位置で針カバーをブロックされるため、覆われたままになる。
【0035】
プランジャは、中央プランジャロッドと外側プランジャ本体で構成され、外側プランジャ本体は、針カバーが遠位保管位置にあるとき、可撓部材の自由端に当接し、針カバーが注入位置にあるとき、針カバーが可撓部材に沿って軸方向に移動するように構成され、それにより中央プランジャロッドが医療用容器のストッパーを遠位方向に押すことを可能にする。そのような構造は、プランジャが可撓部材に当接するように、ならびに前述の医薬組成物の注入およびリングの作動の両方の2つの機能を達成するように特に適合されている。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して、以下の詳細な説明から明らかになるであろう:
図1図1は、使用前の、針カバーが保管位置にある本発明の医療用注入デバイスの実施形態の斜視図である。
図2図2は、図1に示されるデバイスの側面斜視図である。
図2A図2Aは、図1に示されているデバイスの拡大図である。
図3図3は、医療用容器を封入する針カバーの側断面図である。
図4図4は、ロッキングリングが取り付けられた針カバーの近位端の斜視図である。
図5図5は、針カバーが注入位置にある、使用者または患者の皮膚を穿刺する際のデバイスの側面斜視図である。
図6図6は、図5に示されるデバイスにおけるリングの側面斜視図である。
図7図7は、組成物の注入後のデバイスにおけるリングの側面斜視図である。
図8図8は、針カバーが安全位置にある、組成物の注入後のデバイスの側面斜視図である。
図9図9は、図8に示されるデバイスにおけるリングの側面斜視図である。
図10図10は、図9に示されたリングの一部の斜視図である。
図11図11は、図8に示されるデバイスにおけるリングの側面斜視図である。
図12A図12Aは、本発明の別の実施形態を表す図である。
図12B図12Bは、本発明の別の実施形態を表す図である。
図12C図12Cは、本発明の別の実施形態を表す図である。
図12D図12Dは、本発明の別の実施形態を表す図である。
図13A図13Aは、本発明の別の実施形態を表す図である。
図13B図13Bは、本発明の別の実施形態を表す図である。
図14A図14Aは、本発明の別の実施形態を表す。
図14B図14Bは、本発明の別の実施形態を表す。
図14C図14Cは、本発明の別の実施形態を表す。
図14D図14Dは、本発明の別の実施形態を表す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は、医療用容器を支持するための医療用注入デバイスを提案する。
【0038】
注入の前に、医療用容器は、注入されることが意図されている組成物で満たされ、その中に挿入されたストッパーで栓がされている。次に、栓がされている医療用容器をデバイスに取り付け、組成物の注入を行うことができる。
【0039】
注入デバイスの実施形態は、図1から11に表される。
【0040】
この実施形態によれば、注入デバイス1は、長手方向軸(A)に沿って延びる本体10を備える。本体10は、好ましくは、円筒形状を有する。
【0041】
本体10は、使用者の手で保持されるように適合されている。そのために、本体10は、軸(A)から半径方向外向きに延びる、例えばアームまたはフランジなどのグリップ手段12によって近位に制限されたグリップ面11を備えている。フランジは、注入デバイスの組立および分解を容易にするために、穴を開けられた下面Rを備えてもよい。デバイス1を使用するとき、使用者は、使用者の手がグリップ表面11に接触し、そして使用者の手の上端がグリップ手段12に当接するように本体を容易に掴むことができ、それによりデバイスの取り扱いを容易にする。あるいは、使用者は、標準的なシリンジを通常保持するのと同様に、両方のグリップ手段に当接する人差し指と中指の間にグリップ面11を保持することができる。したがって、デバイスは手持ち式であり、デバイスの寸法および重量は、この目的のために有利に適合される。
【0042】
医療用容器90は、フランジ92が設けられた近位端と、先端93およびそこから延びる針94を有する遠位端とを含むバレル91を備える。本体10に取り付けられると、医療用容器90は、本体に対して軸方向に固定された状態に維持される。医療用容器90は、好ましくは、プレフィルドシリンジである。
【0043】
デバイス1は、プランジャ20を備える。プランジャは、軸(A)に沿って伸びている。プランジャは、有利には、中央プランジャロッド21と、中央プランジャロッド21の周囲に、そこから距離を置いて延びる外側プランジャ本体22とを備える。中央プランジャロッドおよび外側プランジャ本体は、好ましくは、プランジャの近位端23に接続される。プランジャ20は、軸(A)に沿って本体に対して並進的に移動可能である。使用では、中央プランジャロッド21は、特に遠位方向に医療用容器90内にスライドし、中央プランジャロッド21が、そこに含まれるストッパーを押して、医療容器90に含まれる組成物を針94から押し出す。外側プランジャ本体22は、本体10の壁と医療用容器90との間をスライドしてもよい。外側プランジャ本体22は、2つのアーム24を含み得る。外側のプランジャ本体は、3つ以上のアームを含むこともできる。各アームは、その遠位端25に傾斜面27を画定する端部材26を設けてもよい。あるいは、外側プランジャ本体は、円筒形ハウジングを含むことができる。円筒形ハウジングは 、円錐台形の遠位端または複数の傾斜した脚部を設けてもよい。
デバイス1は、針カバー30をさらに備える。針カバーは、好ましくは、本体10の内部および医療用容器90の周りに延びる。針カバーは、医療用容器90の針94とデバイスの近くにいる使用者または任意の人との間の物理的障壁として機能するように構成され、それにより針との接触を回避し、起こり得る怪我を防ぐ。その点で、針カバー30は、人が針カバーに針94に向かって圧力を加えた場合に、針カバーがその構造的一体性を維持し、変形しないように、剛性材料で作られることが好ましい。
【0044】
針カバー30は、軸(A)に沿って、特に針カバー30が針94を覆う保管位置と針カバー30が少なくとも部分的に針94を露出する注入位置との間で近位方向に本体10に対して並進移動可能である。針カバー30は、ばね部材80によって遠位方向に付勢され、有利には一端が医療用容器のフランジ92に接続され、他端が針カバー30に接続される。
【0045】
保管位置は、針カバー30が先端93を含む針94を覆い、前述のように物理的バリアとして機能する位置に対応する。針カバーは、デバイスの使用前、すなわち、デバイスが適切な場所に保管されるとき、または場所から別の場所に運ばれるとき、そのような位置にあってもよい。
【0046】
針カバーが保管位置にあるとき、ばね80は好ましくは部分的に圧縮される。デバイスの使用後、針カバー30は、注入位置から針を覆う安全位置まで遠位方向に付勢される。好ましくは、安全位置は、保管位置よりも遠位にある。針カバーが保管位置にあるとき、ばね80は、針カバーが注入位置にあるときよりも圧縮されないことが好ましいが、針カバーが安全位置にあるときよりも圧縮される。図1に示すデバイスでは、針カバー30は保管位置にある。針カバー30で覆われた針94は、図3では透明で見える。ここで、針94の全体は、針94から近位に突出する針カバー30によって覆われている。
【0047】
キャップ35は、オプションとして、針カバー30の遠位端33に取り付けられ、針シールドまたは針94を覆う剛性針シールド(図示せず)の取り外しを容易にする。
【0048】
注入位置は、針カバー30が少なくとも部分的に針94を露出させ、それにより針を物理的に接近可能にする位置に対応し、これにより、患者の皮膚の穿刺およびその後の医薬組成物の注入が可能になる。
【0049】
デバイス1は、本体10に対して軸方向に固定されたリング40をさらに含み得る。リング40は、針カバー30と回転可能な係合である。リング40は、針カバーが保管位置にある限り、プランジャの移動を防止するように構成されたロック部材42を含む。針カバー30が保管位置にあるとき、プランジャの遠位方向への移動を防止するために、外側プランジャ本体22はリング40のロック部材42に当接する。針カバー30が注入位置にあるとき、外側プランジャ本体は、リング40のロック部材42にもはや当接しない。
【0050】
そのために、図1~11に示される一実施形態によれば、ロック部材42は、図2、2Aおよび11に示されるように、リング40の本体41から近位に延びる可撓性の脚部を備えてもよい。図示の実施形態では、ロック部材42は2つの脚部を含む。しかしながら、それは、リング40から突出する3つ以上の脚部または1つだけの可撓性の脚部を備えることができる。可撓性の脚部は傾斜している。各脚部は、基部43および自由端44を含む。脚部が静止位置にあるとき、2つの脚部の基部43間の距離は、脚部の2つの自由端44間の距離よりも小さい。脚部の自由端44間の距離を減少させるために、脚部は内側に偏向させることができる。
【0051】
より正確には、可撓性の脚部42が静止位置にあるとき、脚部の自由端44は、プランジャが遠位方向に移動できないように、プランジャの外側プランジャ本体22に隣接する。可撓性脚部42が静止位置にあるとき、可撓性脚部の自由端間の距離は、外側プランジャ本体22の横方向の寸法、例えば、円筒形を有する場合の外側プランジャ本体22の直径に等しい。可撓性脚部が内側に偏向されるとき、可撓性脚部の自由端間の距離は、プランジャの外側プランジャ本体22が遠位に自由に動くことができるように、外側プランジャ本体22の横方向寸法よりも小さい。この実施形態では、脚部の弾性変形により、ロック部材がロック位置からロック解除位置に移行する。
【0052】
図1から11に示されるように、針カバー30は、その近位端36にロッキングリング70をさらに含み得る。ロッキングリング70は、針カバー30に対して、少なくとも軸方向に固定されるように、好ましくは回転可能に固定されるように、固定手段を介して針カバーに取り付けられてもよい。固定手段は、好ましくは、図4に示すように、針カバー30の近位端から延びるクリップ31がロッキングリング70の対応する凹部71に挿入されるように適合されたクリップシステムを含む。さらに、ロッキングリング70は、図2および2Aに示される保管位置において、可撓性脚部の基部43の周りに配置される。ロッキングリング70は、可撓性脚部の基部43間の距離よりも優れた内径を有する。ロッキングリング70は、静止位置にある可撓性脚部の自由端44間の距離よりも小さい内径を有する。ロッキングリング70が可撓性脚部の基部からそれらの自由端まで近位に移動すると、可撓性脚部は内側に偏向する。
【0053】
あるいは、図12Aから12Dに示されるように、ロック部材42は、プランジャの外側プランジャ本体22に当接する脚部を備えることができる。脚部は好ましくは剛性である。保管位置(図12Aを参照)では、リング40の脚部42は、外側プランジャ本体22のアーム24に当接している。リング40の脚部42がプランジャのアーム24と整列している限り、プランジャは遠位に移動することができない。針カバーが注入位置(図12b参照)に引っ込められると、リング40が回転し、リング40の脚部42が外側プランジャ本体22のアーム24ともはや整列しないようにする。針カバーが注入位置で引っ込められると、リング40の脚部42は、もはや外側プランジャ本体22のアーム24に当接しないので、プランジャは、遠位に自由に動くことができる。この実施形態では、脚部の回転により、ロック部材42がロック位置からロック解除位置に移行する。ロック部材の回転は、針カバーの近位への動きによって引き起こされる。図12Cは、注入終了時のデバイスの構成を示している。図12Dは、針カバーが安全位置にあるデバイスの構成を示している。
【0054】
そのために、図12A~12Dの実施形態では、リング40は、溝50を備えてもよい。針カバー30は、溝50に受け入れられたラグ32を含み得る。あるいは、針カバー30は溝を含むことができ、リング40はラグを含むことができる。溝50は、第1の分岐51aおよび第2の分岐51bを備える。針カバーが保管位置から注入位置に移動すると、ラグ32は第1の分岐51a内に移動する。針カバー30が注入位置から安全位置に移動すると、ラグ32は第2の分岐51bに移動する。第1の分岐51aは、針カバー30が保管位置から注入位置に近位に移動するときに、リング40がプランジャ20に対して回転するように角度が付けられている。針カバーが保管位置から注入位置へと近位方向に後退すると、リング40が回転し、リング40の脚部42が外側プランジャ本体22のアーム24ともはや整列しないようになる。次いで、プランジャは遠位に移動してもよい。
【0055】
提示されたすべての実施形態の注入デバイスは、プランジャがトリガー位置まで遠位に移動しない限り、針カバーが安全位置に移動できないように構成される。プランジャが所定の閾値距離に少なくとも等しい距離だけ遠位に移動すると、トリガー位置に到達する。言い換えれば、注入デバイスは、プランジャの遠位方向の動きが、注入位置から安全位置への針カバーの移動を誘発するように構成される。注入位置から安全位置への針カバーのこの移行は、薬剤の全量が注入された後にのみ針カバーが安全に動くことができるように、好ましくは、プランジャがその最も遠位の位置に近いときに起こり、より好ましくは、プランジャがその最も遠位の位置に達したときに起こる。
【0056】
その目的のために、注入デバイスは、好ましくは、溝50と、溝50内を移動するように構成されたラグ32とを備える。溝50は、注入デバイスがリングを有する場合、本体10上、針カバー30上、またはリング40上にあってもよい。ラグ32は、注入デバイスがリングを有する場合、針カバー30上、本体10上、またはリング40上にあってもよい。
【0057】
溝50は、第1の分岐51aおよび第2の分岐51bを備える。第1の分岐51aおよび第2の分岐51bは、好ましくは、一方が他方に対して傾斜している。針カバー30が貯蔵位置から注入位置に移動するとき、およびこの移動が起こった場合に針カバー30が注入位置から保管位置に再び移動するとき、ラグ32は第1の分岐51aにある。
【0058】
針カバー30が注入位置から安全位置に移動すると、ラグ32は第2の分岐51bに移動する。ラグ32は、針カバーが安全位置に移動できるようにするために、第1の分岐51aから第2の分岐51bに移行しなければならない。言い換えれば、ラグ32が第2の分岐51bに入ると、針カバー30は、注入位置から安全位置に移動することができる。
【0059】
その目的のために、プランジャ20は、好ましくは、プランジャ20が遠位に移動するときに、ラグ32を第1の分岐51aから第2の分岐51bに遷移させるように構成されたトリガー部材26を備える。
【0060】
異なる実施形態によれば、
-トリガー部材26は、ラグ32が第1の分岐51aから第2の分岐51bに通過するように、ラグ32に対して溝50を変位させるように構成され得る。この実施形態では、溝32は、好ましくは、ラグ32が第1の分岐51aから第2の分岐51bに移動するように、プランジャのトリガ部材26によって回転できる部分に形成される。または
-トリガー部材26は、ラグ32が第1の分岐51aから第2の分岐51bに通過するように、ラグ32を溝50に対して移動させるように構成され得る。この場合、ラグ32は、好ましくは、ラグ32が第1の分岐51aから第2の分岐51bに移動するように、プランジャのトリガー部材26によって偏向され得る可撓性アーム上に配置される。
【0061】
異なる実施形態は、図を参照してより明確に説明される。
【0062】
図1~11に表される実施形態によれば、溝50は、リング40の本体41に設けられ、針カバー30の壁から外向きに延びる第1のラグ32を受け入れるように適合される。溝50は2つの分岐を含み、第1の分岐51aはリング40内で軸方向に延在し、第2の分岐51bは第1の分岐に対して斜めに延在する。2つの分岐51a、51bは、リング40の本体41の部分53によって部分的に分離され、接合部54で近位に合流する。第2の分岐の遠位端は、好ましくは第1の分岐の遠位端よりも遠位の位置にある。
【0063】
リング40は、傾斜面61を画定するカム部材60を備えている。プランジャのトリガー部材26は、好ましくは、外側プランジャ本体22の端部に配置される。トリガー部材26は、好ましくは、リング40がリングのカム部材60上で並進されるときにリング40を回転させるように構成された傾斜面である。
【0064】
以下では、図1から図11のデバイスの機能を、上記のデバイスの実施形態を参照して詳細に説明する。デバイスのその他の実施形態は、それらの構造的な違いにもかかわらず、同様の機能をもたらすであろうことを知られている必要がある。
【0065】
図2は、使用前の注入デバイス1を示す。
【0066】
この構成では、針カバー30は保管位置にあり、針94を覆う。プランジャ20は、リング40によって、より正確には、プランジャ20の外側プランジャ本体22に当接するリングのロック部材42によって、近位位置に維持される。実際、保管位置では、ロッキングリング70は、可撓性脚部42が休止位置にあるように、可撓性脚部42の基部の周りに配置される。実際のところ、ロッキングリング70が可撓性脚の基部の周りに配置されている場合、可撓性脚はロッキングリング70によって偏向されない。したがって、可撓性脚の自由端44は、外側プランジャ本体の遠位端25と整列している。したがって、可撓性脚部42は、プランジャ20が遠位方向に移動するのを防止する外側プランジャ本体の軸方向機械的ストッパとして機能する。実際のところ、針カバーが引っ込められていない限り、注入を行うことはできない。言い換えれば、針が皮膚に刺されない限り、注入は起こり得ない。
【0067】
保管位置では、針カバー30のラグ32は、第1の分岐の遠位端52aに配置され、リングの本体41に当接している。
【0068】
図5を参照すると、デバイスを使用するために、使用者はまず、存在する場合、キャップ35を針カバーの遠位端33から取り外し、これにより、同時に医療用容器90の針シールドまたは剛性針シールドを有利に取り外す。
【0069】
次に、使用者は、針カバー30の遠位端33が皮膚と接触するように注入デバイスを皮膚上に配置する。使用者は、デバイス1の本体10をその皮膚に向かって直接押すか、またはプランジャ20を押してもよい。針カバー30が引っ込められない限り、プランジャは本体10に対して軸方向にロックされるので、使用者がプランジャ20を皮膚に向かって押すと、設定されたプランジャ本体-リング-医療容器が皮膚に向かって押される。次いで、針カバー30は、本体10の内部に引っ込められる。次に、針を皮膚に刺す。より正確には、針カバーは、本体10に対して矢印F1に従って近位方向に移動する。針カバー30が本体10に対して近位方向に移動すると、針カバー30に固定されたロッキングリング70も本体10に対して近位方向に移動し、次にリング40に対して近位方向に移動する。
【0070】
針カバー30の遠位方向への移動により、ロッキングリング70は、それに応じて可撓性脚42上およびそれに沿ってスライドし、それにより、各可撓性脚を軸(A)に向かって内側に偏向させる。可撓性脚の自由端44は、もはや外側プランジャ本体22と整列しておらず、したがって、プランジャ20は、本体10に対して遠位方向に移動することができる。
【0071】
針カバー30が本体10に対して近位方向に移動すると、ばね80は、本体の横方向表面S1と針カバーの横方向表面との間、または医療容器のフランジと針カバーの横方向表面との間で圧縮される。針カバー30は、使用者が針カバーを皮膚に押し付け続ける限り、注入位置に留まる。
【0072】
同時に、図6を参照すると、針カバー30の第1のラグ32は、リング40の第1の分岐51aに沿って、第1の分岐の遠位端52aから接合部54まで移動する。ラグ32が第1の分岐51aに留まっている限り、針カバー30を安全位置に配置することはできない。針カバー30は、保管位置と注入位置との間でのみ移動することができる。これにより、使用者は、針カバーを安全な位置にロックすることなく、必要に応じて患者の体のさまざまな部位に針を刺すことができる。
【0073】
好ましい実施形態によれば、図5に示されるように、針カバーが注入位置で特定の距離を移動した後、針カバー30に設けられた第2のラグ34がリング40の遠位端に当接し、したがって、針カバーがさらに近位に移動するのを防ぐ軸方向機械的ストッパーとして機能する。図5ではそうではないが、第1のラグ32はそれ自体が針カバー30の機械的ストッパーとして機能し、2番目のラグ34を任意にすることができる。
【0074】
プランジャ20は遠位方向に自由に動くので、使用者は注入を進めることができる。そうするために、使用者は、プランジャの近位端23を遠位方向に押す。これにより、中央プランジャロッド21が医療容器90内でスライドし、ストッパーを押して、組成物を針94から患者の体内に排出させる。
【0075】
同時に、外側プランジャ本体22は、本体10およびリング40に対して遠位方向にスライドし、外側プランジャ本体22のカム部材26は、リング40のカム部材60と相互作用する。より詳細には、プランジャがトリガー遠位位置に到達したとき、すなわち、外側プランジャ本体22の傾斜面27がリング40の傾斜面61上およびそれに沿ってスライドすると、リング40は針カバー30に相対的に軸(A)を中心に回転する。
【0076】
図7を参照すると、リング40の回転により、第1のラグ32が溝50の第2の分岐51bと係合する。リング40の回転は、注入が完了しない限り針カバーを安全位置にロックできないように、プランジャがその最遠位位置に達したときにのみ発生することが好ましい。
【0077】
図8を参照すると、注入の終わりに、使用者は患者の皮膚からデバイスを取り除く。針カバー30は、もはや皮膚に押し付けられておらず、したがって、矢印F2によって示されるように、安全位置に解放されるばね部材80のばね力で遠位方向に戻る。そうすることにより、図9に示されるように、第1のラグ32は、針カバー30と共に、第2の分岐51bに沿って、接合部54から第2の分岐の遠位端52bまで移動する。好ましくは、第1のラグ32は、第2の分岐の遠位端52bでリングの本体41に当接する。そのようにして、ラグ32は、針カバー30がさらに遠位に移動するのを防ぐ機械的ストッパーとして機能する。
【0078】
図1から11の実施形態によれば、第2の分岐の遠位端52bは第1の分岐の遠位端52aよりも遠位であるため、安全位置における針カバー30の位置は、保管位置よりも遠位である。
【0079】
安全位置では、針カバー30が針94を覆う。
【0080】
注入デバイスは、さらに、針カバー30を恒久的に安全位置にロックするように構成されたロック手段を含む。
【0081】
ロック手段は、好ましくは、少なくとも1つのタブ45、好ましくは2つのタブ45を含む。各タブは、針カバーが安全位置にあると、針カバーを安全位置にロックするために肩に当接するように構成されている。
【0082】
図1から図11の実施形態において、各タブ45は可撓性タブ45である。各可撓性タブ45は、可撓性脚42の1つに切断される。各可撓性タブ45は、基部45aおよび自由端45bを有する。可撓性タブ45の自由端45bは、可撓性タブの基部45aから遠位に配置される。
【0083】
図10を参照すると、針カバー30の遠位方向への移動により、ロッキングリング70は、可撓性タブ45上に、それに沿ってスライドして戻される。ロッキングリング70のこの動きの間、可撓性タブは内側に曲がる。ロッキングリング70が可撓性タブ45の自由端45bの下を滑るとき、可撓性タブ45は、それらが軸(A)から外向きに突出する位置に戻る。可撓性タブ45は、ロッキングリング70が近位方向に動くことができないように、ロッキングリング70の停止面に当接している。可撓性タブ45は、ロッキングリング70、したがって針カバー30が近位方向に移動するのを防ぐ軸方向の機械的ストッパーとして機能する。
【0084】
したがって、デバイスが安全位置にあるとき、針カバー30は針94を覆い、それによって人と針との間の物理的接触を防ぎ、そのような安全位置に維持される。針カバー30は、本体10に対して軸方向に移動することができず、特に、前記本体から分解することができず、デバイスをそれ以上使用することができない。
【0085】
外側のプランジャ本体22は、使用者に注入の終わりを示すために、注入の終わりに本体の窓Wと整列するように構成されたカラーインジケーターが設けられてもよい。例えば、カラーインジケーターは、外側プランジャ本体の端部部材26に配置されてもよい。注入の終わりに、カラーインジケーターは本体の窓Wを通して見ることができる。
【0086】
もちろん、本発明は、本説明に記載された実施形態に限定されない。
【0087】
たとえば、溝は図1から11に示されているもの以外の形状を示す可能性がある。例えば、溝50は、図12Aから12Dに示されるように、2つの対称的な分岐51a、51bを提示することができる。ここで「対称」とは、両方の分岐が遠位近位方向に対して実質的に同じ角度で傾斜していることを意味する。上記のように、特に分岐51bの遠位端が分岐51aの遠位端よりも遠位の位置に位置するように、分岐は長さが異なる場合がある。
【0088】
その上、ロック部材42は、図12Aから12Bを参照して説明されるように、可撓性である代わりに、剛性であり得る。
【0089】
その上、ロック手段45は、リング40の他の部分、または針カバー30、あるいは本体10にさえ配置することができる。例えば、図13Aおよび13Bに示されるように、ロック手段45は、針カバーが安全位置に向かって移動するときに、偏向可能タブがラグ32によって偏向されるように、溝50に配置された偏向可能タブであってもよい。偏向可能タブ45は、針カバーを安全位置に恒久的にロックするために、針カバーが注入位置から安全位置まで遠位に移動するが、針カバーが安全位置にあるときではなく、偏向可能であるように構成される。図13Aは、保管位置にあるデバイスの構成を表す。図13Bは、安全位置にあるデバイスの構成を表す。
【0090】
あるいは、ロック手段45は、針カバー上に配置され、針カバーが安全位置にあると本体の肩に当接するように構成された可撓性タブを含み得るか、またはロック手段は、本体に配置され、針カバーが安全位置あると、針カバーの肩に当接するように構成された可撓性タブを含み得る。
【0091】
あるいは、ロック手段は、ラグが溝の第2の分岐のこのセクションに係合すると、ラグの近位方向の動きを防止するように構成された溝50のセクションを含むことができる。
【0092】
さらに、回転可能なリング40を有する代わりに、本発明による医療注入デバイスは、図14Aから14Dに示されるように、針カバー30から近位に延びる可撓性アーム90、可撓性アーム90から突出するラグ32を備えることができる。この実施形態では、溝50は本体10上に配置され、ラグ32は、針カバー30から近位方向に突出する可撓性アーム90上に配置される。プランジャのトリガー部材26は、外側プランジャ本体22の端部にある傾斜面である。外側プランジャ本体22は、円筒形であり得るか、またはそれは、プランジャの近位端23から突出するアームであり得る。プランジャのトリガー部材26は、ラグ32を押し、可撓性アーム90を偏向させて、プランジャが遠位に移動するときにラグ32が第1の分岐51aから第2の分岐51bに移動するように構成される。より明確には、プランジャが図14Cに示されるトリガー遠位点に向かって移動すると、プランジャのトリガー部材26は、可撓性アーム90が第2の分岐51bに入るまで、ラグ32および可撓性アームを横方向に偏向させる。次に、針カバーは、ばね80によって注入位置から安全位置まで押され得る(図14Dを参照)。
【0093】
図14Aから14Dの実施形態では、ロック手段45は、ラグがこのセクション91に入ると、ラグが近位に移動できないように構成された第2の分岐51bのセクションを含む。例えば、前記セクションは、近位方向にラグをブロックするために、第2の分岐に延びる突起に対して遠位に配置され得る。
【0094】
異なる図の実施形態は、技術的に可能なすべての組み合わせに従って組み合わせることができる。
図1
図2
図2A
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
図14A
図14B
図14C
図14D