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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-28
(45)【発行日】2023-04-05
(54)【発明の名称】取付装置
(51)【国際特許分類】
   B22D 41/38 20060101AFI20230329BHJP
   B22D 46/00 20060101ALI20230329BHJP
   B22D 11/10 20060101ALI20230329BHJP
   F27D 3/14 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
B22D41/38
B22D46/00
B22D11/10 340D
F27D3/14 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021016810
(22)【出願日】2021-02-04
(65)【公開番号】P2022119575
(43)【公開日】2022-08-17
【審査請求日】2021-11-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000170716
【氏名又は名称】黒崎播磨株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】弁理士法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今長谷 俊洋
(72)【発明者】
【氏名】吉村 守
(72)【発明者】
【氏名】山口 勇介
(72)【発明者】
【氏名】尾上 雄大
【審査官】田中 則充
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-523749(JP,A)
【文献】国際公開第2020/179774(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 41/00-41/62
B22D 46/00
B22D 11/00-11/22
F27D 3/00- 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マニピュレーターの先端に取り付けられ、上端を吊下装置に接続された駆動装置をスライディングノズル装置のホルダーに取り付けるための取付装置であって、
前記駆動装置の上部又は中央部を保持する保持部と、
前記駆動装置を前記ホルダーに取り付けるときに前記駆動装置の下部に当接可能な当接部と、を有し、
前記当接部は、前記駆動装置の下部に当接する第1位置と、前記駆動装置の下部に当接しない第2位置とに変位可能である、取付装置。
【請求項2】
前記ホルダーは、前記駆動装置を挿入する開口部と、前記開口部を形成する一対の側壁と、前記一対の側壁部を連結する背壁部とを有し、
前記ホルダーへ前記駆動装置の取付時、前記当接部は、少なくとも前記保持部に保持された前記駆動装置が前記側壁部に当接する位置から前記背壁部に当接する位置までの間、前記第1位置にある、請求項に記載の取付装置。
【請求項3】
前記駆動装置より受ける力を検出する力センサを有し、
前記ホルダーへ前記駆動装置の取付時、前記力センサが検出する力が所定の閾値になった場合に前記保持部は前記駆動装置を開放する、請求項1又は2に記載の取付装置。
【請求項4】
前記駆動装置より受ける力を検出する力センサを有し、
前記ホルダーへ前記駆動装置の取付時、前記力センサが検出する力が所定の閾値になった場合に前記保持部は取付動作を中止する、請求項1又は2に記載の取付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライディングノズル装置に駆動装置を取り付けるための取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
取鍋やタンディッシュなどの溶鋼容器の下部には、溶鋼容器から流出する溶鋼の流量を調整するためのスライディングノズル装置が設けられる。このスライディングノズル装置には、装置を駆動させるための駆動装置が取り付けられる。
【0003】
スライディングノズル装置への駆動装置の取付は、一般的には作業員が行っている。しかし、駆動装置は重量物であるため装置を使用して取付を行えるようにすることが求められており、そのための装置が特許文献1に開示されている。この特許文献1の装置では、駆動装置を保持機構で保持し、その保持機構を昇降させることでスライディングノズル装置へ駆動装置を取り付けるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実願昭62-83141号(実開昭63-196354号)のマ イクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スライディングノズル装置への駆動装置の取付は整備場で行われる。整備場においてスライディングノズル装置に取り付けられる駆動装置は、その上端が吊下装置に接続された、いわゆる上吊状態にあることが多い。このような上吊状態の駆動装置の場合、特許文献1に開示されているような保持機構を昇降させる方式の取付装置ではスライディングノズル装置へ取り付けることは困難である。そのため、ロボットアーム等のマニピュレーターを使用する必要がある。
【0006】
そこで、本発明者らがマニピュレーターで上吊状態の駆動装置を保持してスライディングノズル装置へ取り付けようとしたところ、上吊状態の駆動装置が揺動して不安定になり、スムーズに取り付けることができないことがわかった。
【0007】
以上に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、上吊状態の駆動装置を、マニピュレーターを使用してスライディングノズル装置にスムーズに取り付けることのできる取付装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、次の取付装置を提供する。
1.
マニピュレーターの先端に取り付けられ、上端を吊下装置に接続された駆動装置をスライディングノズル装置のホルダーに取り付けるための取付装置であって、
前記駆動装置の上部又は中央部を保持する保持部と、
前記駆動装置を前記ホルダーに取り付けるときに前記駆動装置の下部に当接可能な当接部と、を有し、
前記当接部は、前記駆動装置の下部に当接する第1位置と、前記駆動装置の下部に当接しない第2位置とに変位可能である、取付装置。
2.
前記ホルダーは、前記駆動装置を挿入する開口部と、前記開口部を形成する一対の側壁と、前記一対の側壁部を連結する背壁部とを有し、
前記ホルダーへ前記駆動装置の取付時、前記当接部は、少なくとも前記保持部に保持された前記駆動装置が前記側壁部に当接する位置から前記背壁部に当接する位置までの間、前記第1位置にある、前記に記載の取付装置。
3.
前記駆動装置より受ける力を検出する力センサを有し、
前記ホルダーへ前記駆動装置の取付時、前記力センサが検出する力が所定の閾値になった場合に前記保持部は前記駆動装置を開放する、前記1又は2に記載の取付装置。
4.
前記駆動装置より受ける力を検出する力センサを有し、
前記ホルダーへ前記駆動装置の取付時、前記力センサが検出する力が所定の閾値になった場合に前記保持部は取付動作を中止する、前記1又は2に記載の取付装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、上吊状態の駆動装置を、マニピュレーターを使用してスライディングノズル装置にスムーズに取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態である取付装置を含む整備場を示す説明図。
図2A】整備時において摺動金枠を閉じた状態のスライディングノズル装置を示す説明図。
図2B】整備時において摺動金枠を開いた状態のスライディングノズル装置を示す説明図。
図2C】使用時のスライディングノズル装置を示す説明図。
図3】取付装置の斜視図。
図4】取付装置の側面図(保持部のみ断面図)。
図5】駆動装置を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図。
図6A】置台の斜視図。
図6B】置台の部分斜視図。
図7】置台を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図。
図8】置台に駆動装置を載置した状態を示す斜視図。
図9】スライディングノズル装置のホルダー部分を示す斜視図。
図10A】取付装置が駆動装置を保持している状態を示す正面図(当接部が第1位置にある状態)。
図10B】取付装置が駆動装置を保持している状態を示す正面図(当接部が第2位置にある状態)。
図11】駆動装置を保持した取付装置が、その駆動装置をスライディングノズル装置のホルダーへ取り付ける途中の状態を示す斜視図。
図12】取付装置が駆動装置を開放した状態を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に、本発明の一実施形態である取付装置を含む整備場を示している。
同図において、鋳造が終わった直後の取鍋1が整備場2の床21に設置された取鍋受部22の上で横に倒されている。この取鍋の底11にはスライディングノズル装置3が取り付けられ、整備時の状態を示す図1では摺動金枠の摺動方向がほぼ鉛直となっている。
一方、マニピュレーターの一例であるロボットアーム4の基端は床21に設置された架台23に固定されている。そして、このロボットアーム4の先端に取付装置5がボルトで取り付けられている。ロボットアーム4への取付装置5の取付方法はボルト固定に限られず、例えばロボットアーム4と取付装置5にそれぞれハンドチェンジャーを取り付けて、ロボットアーム4に取付装置5を連結することができる。
なお、このロボットアーム4は6軸の垂直多関節ロボットアームである。したがって、その先端に取り付けられた取付装置5の姿勢や位置を自在に動かすことが可能である。
【0012】
本明細書では駆動装置として、油圧シリンダー31bを例に挙げて説明する。なお、駆動装置は後述する摺動金枠33を摺動させることができれば、油圧シリンダー31bに限られず、例えば電動モータ等を使用できる。
架台23には、整備時にスライディングノズル装置3に取り付けられる油圧シリンダー31bを吊り下げる吊下装置6が設置されている。すなわち、整備場2においてスライディングノズル装置3に取り付けられる油圧シリンダー31bは、その上端が吊下装置6に接続された、いわゆる上吊状態にある。なお、本実施形態において吊下装置6はバランサー機構を備えている。
また、架台23には、上吊状態の油圧シリンダー31bを載置する置台7が設置されている。
【0013】
図2Aに、整備時において摺動金枠を閉じた状態のスライディングノズル装置3、図2Bに、整備時において摺動金枠を開いた状態のスライディングノズル装置3を示している。また、図2Cには、使用時のスライディングノズル装置の状態を示している。なお、スライディングノズル装置3は、使用時には摺動金枠の摺動方向が水平になるが、図2Cでは、整備時の状態を示す図2A及び図2Bと対比しやすいように、摺動金枠の摺動方向がほぼ鉛直となるように示している。
なお、本明細書ではスライディングノズル装置を使用して鋳造を行う場合を、スライディングノズルの使用時とする。また、取鍋を整備場に移動させ、スライディングノズル装置を整備する場合を整備時とする。
【0014】
スライディングノズル装置3は、固定金枠32と、摺動金枠33と、バネボックス34とを備えている。固定金枠32には上プレート35aが、摺動金枠33には下プレート35bが、それぞれ収納されている。摺動金枠33は固定金枠32に対して摺動可能に設けられる。また、摺動金枠33は、固定金枠32に対して回転軸321を中心に回転して、開閉可能に設けられている。バネボックス34は、固定金枠32に対して回転軸322を中心に回転して、開閉可能に設けられている。バネボックス34は固定金枠32の両側部にそれぞれ設けられている。そして、バネボックス34によって摺動金枠33を閉じた状態で固定金枠32と摺動金枠33との間に面圧を負荷する。また、バネボックス34は、上プレート35aと下プレート35bの間にも面圧を負荷する。
【0015】
スライディングノズル装置3には、使用時に油圧シリンダー31aが取り付けられる。また、整備時には油圧シリンダー31bが取り付けられる。すなわち、使用時には油圧シリンダー31aを使用して、固定金枠32及び摺動金枠33に面圧を負荷した状態で摺動金枠33を第1の摺動範囲で摺動させる。そして、整備時には油圧シリンダー31bを使用して、上述の第1の摺動範囲外まで摺動金枠33を摺動させて面圧を解除する。使用時用の油圧シリンダー31aは鋳造場で着脱され、整備時用の油圧シリンダー31bは、図1の整備場2で着脱される。なお、本実施形態では、整備場2において整備時用の油圧シリンダー31bを着脱する場合について説明する。
【0016】
本実施形態において整備時用の油圧シリンダー31bをスライディングノズル装置3に着脱するための取付装置5を図3及び図4に示している。図3は取付装置5の斜視図、図4は取付装置5の側面図である。
この取付装置5は、本体部512、本体部512の上下に設けられた平行ハンド51,51、本体部の前部に設けられた押付部53、力センサ54、押圧機構55、加振機構56、レーザー照射機57、及びカメラ58を有している。
レーザー照射機57とカメラ58の位置は本実施形態の位置に限られず、レーザー照射機57の位置にカメラ58を配置してもよい。また、レーザー照射機57とカメラ58とをまとめて1か所に配置してもよい。カメラ58は、スライディングノズル装置の部品の撮影や、レーザー照射機57で照射したレーザー光の撮影を行う。
本実施形態では、平行ハンド51,51は本体部512の上下に設けられている。
平行ハンド51,51は、本体部512の左右に設けられる形態にしてもよい。
平行ハンド51,51は、図示しない動力である拡縮手段により上下に移動して平行ハンド51,51間の上下方向の距離を広げる又は縮めるように制御できる。
この拡縮手段は、例えば、油圧シリンダー、エアシリンダー、電磁チャック等が挙げられる。拡縮手段は、例えば本体部512に設けられる。
本明細書では、平行ハンド51,51間の距離が広がる挙動を平行ハンド51,51の拡大とする。また、平行ハンド51,51間の距離が縮まる挙動を平行ハンド51,51の縮小とする。
また、平行ハンド51はU字状であり、平行爪511と、平行爪511の先端に保持部52とを備えている。
なお、図4では、力センサ54、レーザー照射機57及びカメラ58を省略して示している。
この取付装置5の各部の詳細な構成は後述する。
【0017】
図5には油圧シリンダー31bを示しており、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
油圧シリンダー31bは、シリンダー本体311と、このシリンダー本体311から進退するシリンダーロッド312とを有する。シリンダー本体311には、長方形の被保持板313が取り付けられている。この被保持板313は、取付装置5の保持部52で保持できる。具体的には、被保持板313は油圧シリンダー31bの中央部から上部にかけて取り付けられている。そして、取付装置5の保持部52はこの被保持板313を上下から挟むことで、油圧シリンダー31bを保持する。なお、被保持板313の形状は長方形に限定されず、保持部52で保持できる形状であればよい。また、被保持板313の左右から取付装置5の保持部52で挟む構造としてもよい。
【0018】
被保持板313の下部には、この被保持板313から下方に延びる被当接部314が取り付けられている。この被当接部314には、後述するように取付装置5の押圧機構55の先端に設けられた当接部55cが当接可能となっている。すなわち、当接部55cは、油圧シリンダー31bをスライディングノズル装置3のホルダー36(図1参照)に取り付けるときに油圧シリンダー31bの下部である被当接部314に当接可能である。
また、被保持板313には、シリンダー本体311と対向する面とは反対側の面に被押付板315が取り付けられている。この被押付板315は、後述するように取付装置5の押付部53の押付板532によって押される部分となる。
【0019】
シリンダー本体311の下端部は、平面視長方形のフランジ部316となっている。後述するように、このフランジ部316をスライディングノズル装置3のホルダー36に装着することで、油圧シリンダー31bをホルダー36に取り付ける。
【0020】
一方、シリンダーロッド312の下端には、スライディングノズル装置3の摺動金枠33と着脱可能に連結するための連結部317が設けられている。この連結部317に摺動金枠33を連結し、シリンダーロッド312を進退させることで、摺動金枠33が固定金枠32に対して摺動する。
なお、連結部317には案内板318が連結されている。この案内板318がフランジ部316の側面に設けた案内溝319に案内されながら進退する。そのため、連結部317は回転することなく円滑に進退できる。
【0021】
次に、置台7について説明する。図6A図6B及び図7に置台7を示している。図6Aは斜視図、図6Bは部分斜視図、図7(a)は平面図、図7(b)は正面図、図7(c)は右側面図である。また、図8には、置台7に油圧シリンダー31bを載置した状態を示している。なお、図6Bでは後述する一対の側壁部722の下側を省略して示している。
置台7は、図1に示す整備場2の架台23に設置される支柱71と、支柱71の上端の板部71aと、板部71aに取り付けられた載置台72とを有する。
載置台72は、油圧シリンダー31bのシリンダー本体311を挿入する開口部721と、開口部721を形成する一対の側壁部722と、一対の側壁部722を連結する背壁部723とを有する。また、背壁部723は上下に延びる板面723aを有している。支柱71の板部71aに背壁部723の板面723aをボルトで固定することで、載置台72を支柱71に固定している。
本明細書では、一対の側壁部722のうち互いに対向する面を一対の側壁部722の内側とする。また、背壁部723のうち側壁部722の内側と連続する面を背壁部723の内側とする。
一対の側壁部722の内側には一対の溝724が設けられている。この一対の溝724にシリンダー本体311の下端部であるフランジ部316を挿入して、図8に示すように油圧シリンダー31bを置台7(載置台72)に載置する。一対の溝724の先端部は、背壁部723とは反対側の先端に向かうに連れて拡大するテーパー部724aとなっている。テーパー部724aがあるため、フランジ部316が挿入しやすい。
【0022】
背壁部723の内側には、磁石726が設けられている。また、背壁部723の内側には溝が設けられており、溝には接触検知センサ725が挿入されている。接触検知センサ725は、油圧シリンダー31bのフランジ部316が接触したことを検知するものであり、例えばリミットスイッチからなる。磁石726は、磁力により油圧シリンダー31bのフランジ部316を背壁部723に確実に接触させて保持する。
また、背壁部723の上方には支持棒727が設けられている。この支持棒727は、油圧シリンダー31bのフランジ部316が背壁部723に接触したときに、シリンダー本体311の側面に当接してシリンダー本体311が傾くことを防止する。
【0023】
一対の側壁部722のうち一方の側壁部722の下面には、その下面から下方に延びるL字状のストロークガイド728が設けられている。このストロークガイド728は、油圧シリンダー31bのシリンダーロッド312のストロークを中間位置のストロークに合わせるためのものである。ここでストロークの中間位置とは、固定金枠と摺動金枠内に収められた上プレート35aと下プレート35bの貫通孔が連続させたときシリンダーロッド312の位置である。
ストロークガイド728は例えば、整備中に上プレート35aと下プレート35bの貫通孔を連続させた状態で、シリンダーを一旦取り外す工程がある場合に使用する。このとき、取り外された油圧シリンダー31bのシリンダーロッド312が自重で中間位置からずれることがある。この場合、シリンダーロッド312の下端に設けられた連結部317の下端位置を、ストロークガイド728の下端位置に合わせることで、シリンダーロッド312のストロークを中間位置に合わせることができる。
【0024】
次に、スライディングノズル装置3の詳細について説明する。図2A及び図2Cに表れているようにスライディングノズル装置3には、摺動金枠33の摺動方向が水平になる使用時の状態を基準として、摺動金枠33の下面側に、使用時に溶鋼のスプラッシュ、熱等から摺動金枠33を保護するために遮蔽板37aが設けられている。同様に、バネボックス34の下面側には遮蔽板37bが設けられ、油圧シリンダー31a又は31bを取り付けるホルダー36(図1参照)の下面側には遮蔽板37cが設けられている。
【0025】
図9には、遮蔽板37cを取り外した状態でホルダー36を示している。
ホルダー36は固定金枠32の上端に取り付けられており、油圧シリンダー31bのシリンダー本体311を挿入する開口部361と、開口部361を形成する一対の側壁部362と、一対の側壁部362を連結する背壁部363とを有する。
本明細書では、一対の側壁部362のうち互いに対向する面を一対の側壁部362の内側とする。
一対の側壁部362の内側には一対の溝364が設けられており、この一対の溝364にシリンダー本体311の下端部であるフランジ部316を挿入することで、例えば図2Aに示すように油圧シリンダー31bをホルダー36に取り付ける。一対の溝364の先端部は、フランジ部316を挿入しやすいように、背壁部363とは反対側の先端に向かうに連れて拡大するテーパー部364aとなっている。
【0026】
図2Aに表れているようにスライディングノズル装置3には、整備ロボットに位置を認識させるために4個のマークブロック38a~dが設けられている。なお、本実施形態において整備ロボットは、取付装置5を含むロボットアーム4であり、レーザー照射機57及びカメラ58を備えている。
【0027】
4個のマークブロック38a~dのうち、マークブロック38aは、スライディングノズル装置3の位置を整備ロボットに認識させるために固定金枠32に設けられている。スライディングノズル装置3において固定金枠32は位置が変わらないから、整備ロボットはマークブロック38aを認識することでスライディングノズル装置3の位置を把握できる。
本実施形態では、スライディングノズル装置3の位置を整備ロボットに認識させるため、まずレーザー照射機57からマークブロック38aに向けてレーザー光を当てる。次に、そのマークブロック38aに当たったレーザー光の形状、マークブロック38aにおける光の位置、光の強度等をカメラ58で撮影した画像からマークブロック38aの位置を判定する。
【0028】
このような整備ロボットによるスライディングノズル装置3の位置認識は、整備場2において図2Aに示すように、スライディングノズル装置3をほぼ鉛直に立てかつ摺動金枠33を閉じた状態で行われる。そこでマークブロック38aは、固定金枠32の側面又は底面から摺動金枠33側に向けて突出している。さらに、マークブロック38aは摺動金枠33の摺動時に摺動金枠33と干渉しない位置に設けられている。これにより、マークブロック38aを確実かつ正確に認識できると共に、摺動金枠33の摺動動作に支障を来すこともない。
なお、本実施形態におけるマークブロック38aと摺動金枠33とが干渉しない位置とは、使用時及び整備時に摺動金枠33が摺動する摺動範囲の外側である。特に本実施形態では、マークブロック38aは整備時の摺動金枠33のヘッド位置よりもホルダー36側にあるとよい。あるいは、油圧シリンダー31bのヘッド及び摺動金枠33のヘッドが位置する固定金枠32の溝32aの下端よりも上側にあるとよい。
【0029】
上述の通り、本実施形態のスライディングノズル装置3は、使用時には油圧シリンダー31aを使用する。油圧シリンダー31aは固定金枠32及び摺動金枠33に面圧を負荷した状態で摺動金枠33を第1の摺動範囲で摺動させる。整備時には油圧シリンダー31bを使用して、第1の摺動範囲の外側まで摺動金枠33を摺動させて面圧を解除する。
そこで、マークブロック38aは、使用時に摺動金枠33が第1の摺動範囲内で摺動するときは、図2Cに示すように摺動金枠33又は摺動金枠33に設けた遮蔽板37cによって被覆されるようにすることが好ましい。また、摺動金枠33が第1の摺動範囲外まで摺動したときは、図2Aに示すように摺動金枠33又は遮蔽板37cによって被覆されない位置に設けることが好ましい。これにより、使用時に溶鋼のスプラッシュ、熱等からマークブロック38aを保護することができる。
なお、熱や埃などからマークブロック38aを保護するために、バネボックス34内のバネの空冷用エアーを分岐させることでマークブロック38aをエアブローしてもよい。また、摺動金枠33の摺動の動きによってマークブロック38aをブラッシングしたりするようにしてもよい。
【0030】
上述のようなマークブロック38aの好ましい位置は、通常、図2Aに示すように固定金枠33の上端部近傍となる。すなわち、このマークブロック38aの位置は図9に示すようにホルダー36の近傍となる。ホルダー36は、摺動金枠33の摺動方向と直交する一方向側に開口しており、この一方向側を向く開口から、油圧シリンダー31bが着脱される。そこで、マークブロック38aは図9に示すように、この開口が向く方向の反対側に配置することが好ましい。これにより、油圧シリンダー31bの着脱作業の際に、マークブロック38aがその着脱作業の支障となることはない。
図2B及び図9に示すように、本実施形態において固定金枠32の側壁部には、一部に突出した厚肉部分32bがある。マークブロック38aは、固定金枠32の側壁部のうち厚肉部分32bに取り付けられている。厚肉部分32bの下端は、固定金枠32の溝32aの下端と同面になっている。この固定金枠32の溝32aの下端よりも上側にマークブロック38aがあれば、摺動金枠33に当たることはない。
【0031】
一方、マークブロック38bは、ホルダー36の位置を認識するためにホルダー36の側壁部362に設けられている。そして、ホルダー36に油圧シリンダー31bを着脱する際に必要に応じて認識される。
マークブロック38cは、バネボックス34を開閉する際に操作する取手部341に設けられている。そして、バネボックス34を開閉する際に必要に応じて認識される。
マークブロック38dは、摺動金枠33を開閉する際に操作する取手部331に設けられている。そして、摺動金枠33を開閉する際に必要に応じて認識される。
【0032】
これらのマークブロック38a~dは、整備ロボットの次の動作点に近くなるような位置関係で取り付けられている。また、マークブロック38a~dの材質は、鉄、セラミックス等の耐熱性の材質としている。
【0033】
次に、取付装置5の各部の詳細な構成について説明する。
図10A及び図10Bに、取付装置5が油圧シリンダー31bを保持している状態を示している。上述の図3及び図4と共に図10A及び図10Bを参照して取付装置5の各部の詳細な構成について説明する。
図3及び図4に示すように、保持部52の先端部はそれぞれ係合溝521を有している。係合溝521は保持部52で被保持板313を挟むときに、被保持板313の角部を収容することが可能である。
そして、拡縮手段により平行ハンド51を縮小し、4か所の保持部52で油圧シリンダー31bの被保持板313の4か所の角部を保持する。この際、被保持板313と係合溝521の内壁面との間にはそれぞれ5mmの隙間を確保できるようにしている。このように隙間を設けることで、被保持板313は隙間内で被保持板313の長手方向、及び幅方向及び厚み方向に任意に移動することができる。
【0034】
ここで、被保持板313を保持する手段は、本実施形態の平行ハンド51には限定されず、例えば平行チャックを使用することもできる。また、被保持板313を保持する手段は、必ずしも一対の保持部52を平行のままで拡大又は縮小する構成には限定されず、例えば、一対の保持部の基端部を中心とする回動動作によって一対の保持部の先端部間の間隔を拡大又は縮小する構成とすることもできる。
【0035】
押付部53は、図4に示すように7本のボルト533が保持板531の7個の貫通孔と7本のコイルバネ534をそれぞれ貫通して基板535に固定されている。この基板535は平行ハンド51の本体部512に取り付けられている。保持板531は隙間を設けて押付板532を有している。そして、押付板532は基板535側に移動してコイルバネ534を撓ませることができる。保持板531に設けられた貫通孔はボルト533の径よりも大きい。そのため、保持板531の貫通孔とボルト533との間には隙間があり、押付板532は傾いた状態になることができる。このようにすることで、取付装置5が油圧シリンダー31bをホルダー36に取り付けるときにシリンダー31bが傾いたとしても、シリンダー31bの傾きに対応して押付板532も傾き、押付板532と被押付板315とが面接触した状態を保つことができる。
この押付板532の位置は、保持部52(係合溝521)で油圧シリンダー31bの被保持板313を保持したときに、被押付板315に押付板532が当たる位置に設定している。その結果コイルバネ534が撓み、被保持板313は、係合溝521を形成する内壁面のうちシリンダー本体311側の壁面に押し付けられた状態になる。
【0036】
力センサ54は、平行ハンドの本体部512の押付部53とは反対側のフランジ部541にボルトで取り付けられている。すなわち、本実施形態において力センサ54は、保持部52や押付部53が油圧シリンダー31bより受ける力を検出する力センサである。なお、このように力を検出する力センサは、力覚センサとも称されておりロボットアーム等に一般的に使用されているものを使用することができる。本実施形態では力センサ54として6軸力センサを使用している。本実施形態において力センサ54はブラケット542でカメラ58と連結されている。
【0037】
押圧機構55は、押圧機構本体55aと、押圧機構本体55aに連結された稼動部55bと、稼動部55bの先端に設けられた球状の当接部55cとから構成される。
この押圧機構55は、取付装置5の本体部512から下方に延びる取付板513に設けられている。そして、押圧機構55は保持部52よりも下側に2つ配置されている。稼動部55bは押圧機構本体55aの端部から伸縮可能に設けられている。また、稼動部55bは押圧機構本体55aの端部から前方に延びている。ここで、押圧機構本体55aの端部の前方とは油圧シリンダー31bに向かう方向である。
【0038】
当接部55cは、図10Aに示すように油圧シリンダー31bの下部である被当接部314に当接する第1位置と、図10Bに示すように被当接部314に当接しない第2位置とに変位可能である。この変位は稼動部55bの伸縮動作により実現される。すなわち図示されていないが、押圧機構55は、押圧機構本体55aの内部に例えば電磁空気弁やエアシリンダーなどの駆動機構を備えている。この駆動機構の電気的な制御によって稼動部55bの伸縮を操作できる。また、駆動機構の電気的な制御により、取付装置5の保持部52の保持動作及びロボットアーム4の移動と、稼動部55bの伸縮動作が連動する。
なお、本実施形態において2つの押圧機構55はプレート取付装置5の鉛直方向中心軸を基準に左右対称な位置に設けられている。
【0039】
図4に示すように加振機構56は、取付装置5の本体部512の側面に設けられた加振機構本体56aと、加振機構本体56aの先端に設けられる加振部56bとから構成される。加振機構56は、取付装置5の押付板532の左右に2つ設けられる。なお、加振機構56は、取付装置5の押付板532の左右いずれか一方のみに取付けられる構成でもよい。加振機構本体56aの内部には、例えば振動モータなどの不図示の振動装置が設けられている。振動装置は、振動の開始及び停止を電気的に制御できる。この振動装置を振動させることで加振機構本体56aが振動する。加振機構本体56aの振動は、加振部56bに伝播する。振動部56bは押付部53の背面に当接しており、押付部53に振動を伝えることが可能である。加振機構本体56aの振動方向は、押付部53に水平な方向に振動してもよいが、加振部56bが振動方向にずれて押付部53に振動を伝える位置が変化する可能性がある。そのため、振動方向は押付部53に対して垂直な方向がより好ましい。
【0040】
加振機構本体56aは、取付装置5の押付部53が油圧シリンダー31bの被押付板315を押圧するときに必要に応じて振動する。この振動は、振動部56bから押付部53を介して油圧シリンダー31bへ伝播する。言い換えると、加振機構本体56aを振動させることで油圧シリンダー31bを振動させることができる。
【0041】
次に、取付装置5の動作について説明する。
整備場2においてロボットアーム4の先端に取り付けられた取付装置5は、図1に示す原点位置にある。図1に示すように、鋳造が終わった直後の取鍋の底11にはスライディングノズル装置3が取り付けられているが、上述の通り使用時用の油圧シリンダー31aは鋳造場で取り外されるから、整備場2においてスライディングノズル装置3のホルダー36には駆動装置は取り付けられていない。一方、整備時用の油圧シリンダー31bは、置台7に上吊状態で載置されている。取付装置5は、この油圧シリンダー31bを上吊状態のままで、スライディングノズル装置3のホルダー36に取り付ける。その手順は以下の通りである。なお、以下に述べる取付装置5の移動動作は、いずれもロボットアーム4の移動動作によるが、以下では取付装置5の移動動作として説明する。
【0042】
取付装置5は、図1に示す原点位置から取鍋の底11に取り付けられているスライディングノズル装置3の正面位置まで移動する。この正面位置はロボットアーム4に予め教示されている。
取付装置5は、この正面位置でレーザー照射機57からマークブロック38aに向けてレーザー光を当てる。そして、マークブロック38aに当たったレーザー光の形状、マークブロック38aにおける光の位置、光の強度等をカメラ58で撮影した画像からマークブロック38aの位置を判定する。判定したマークブロック38aの位置が予め記憶したマークブロック38aの位置と異なる場合、取付装置5は、判定したマークブロック38aの位置が予め記憶した位置からの距離のずれを計算する。そして、今回のスライディングノズル装置3の位置を補正する。さらに、予め記憶した位置に今回のスライディングノズル装置3の位置を上書きして記憶する。
続いて取付装置5は、置台7に積載されている油圧シリンダー31bの保持位置まで移動する。この保持位置とは、取付装置5の保持部52で油圧シリンダー31bの被保持板313を保持する位置のことである。この保持位置もロボットアーム4に予め教示されている。取付装置5がこの保持位置に到達した時点では取付装置5の平行ハンド51間の距離は被保持板313の上下方向の長さよりも拡大されている。そして、取付装置5がこの保持位置に到達した後に取付装置5の平行ハンド51を縮小して被保持板313を挟む。このようにして、取付装置5の保持部52で油圧シリンダー31bの被保持板313を保持する。
その後、取付装置5は水平方向後方に移動する。これにより、油圧シリンダー31bのフランジ部316が置台7の一対の溝364から外れ、油圧シリンダー31bが置台7から上吊状態のままで外れる。
【0043】
続いて、取付装置5は上吊状態の油圧シリンダー31bを保持した状態で、スライディングノズル装置3のホルダー36の直前位置まで移動する。この直前位置とは油圧シリンダー31bが、ホルダー36の開口部361を形成する一対の側壁部362に当接する直前の位置である。取付装置5がこの直前位置に到達した時点では、図10Bに示したように取付装置5の当接部55cは、油圧シリンダー31bの下部である被当接部314に当接しない第2位置にある。なお、この直前位置もロボットアーム4に予め教示されている。
【0044】
続いて、取付装置5は水平方向前方に移動し、油圧シリンダー31bがホルダー36の開口部361を形成する一対の側壁部362に当接する当接位置まで移動する。そして、この当接位置に到達したら図10Aに示したように取付装置5の当接部55cは、油圧シリンダー31bの下部である被当接部314に当接する第1位置に変位する。なお、この当接位置もロボットアーム4に予め教示されている。また、本実施形態において当接位置とは、油圧シリンダー31bのフランジ部316の隅部が、ホルダー36の一対の側壁部362に形成されている一対の溝364の先端部のテーパー部364aに到達して当接する位置のことである。
【0045】
取付装置5は当接位置からさらに水平方向前方に移動する。そうすると、油圧シリンダー31bのフランジ部316が、ホルダー36の一対の側壁部362に形成されている一対の溝364に挿入され、この一対の溝364に案内されながらホルダー36の背壁部363に向けて移動する(図11参照)。
この移動中、取付装置5の押付部53の押付板532は、油圧シリンダー31bの被押付板315に当たった状態にある。そのため、保持部52及び/又は押付部53が油圧シリンダー31bより反力としての力を受けることになり、その力が力センサ54によって検出される。そして、力センサ54が検出する力が所定の閾値(例えば500N)になったら、取付装置5の保持部52から油圧シリンダー31bを開放する。これは、油圧シリンダー31bのフランジ部316が、ホルダー36の背壁部363に到達して油圧シリンダー31bの取付が完了したものとみなせるためである。具体的には、力センサ54が検出する力が例えば500N程度の所定の閾値になったら、図12に示すように取付装置5の平行ハンド51を拡大することにより、取付装置5の保持部52から油圧シリンダー31bを開放する。併せて、当接部55cは、油圧シリンダー31bの下部である被当接部314に当接しない第2位置に変位する。
【0046】
以上の通り、本実施形態の取付装置5は、油圧シリンダー31bの上部又は中央部に取付けられた被保持板313を保持する保持部52と、油圧シリンダー31bをホルダー36に取り付けるときに油圧シリンダー31bの下部である被当接部314に当接可能な当接部55cとを有するから、上吊状態の油圧シリンダー31bを、ロボットアーム4を使用してスライディングノズル装置3のホルダー36にスムーズに取り付けることができる。すなわち、従来、上吊状態の油圧シリンダー31bの上部又は中央部を保持して、これをホルダー36に取り付けようとすると、油圧シリンダー31bの下部はフリーであるため、特にホルダー36への取付時に油圧シリンダー31bの下部が不安定となりスムーズに取り付けることができなかった。これに対して本実施形態の取付装置5では、ホルダー36への取付時に当接部55cが油圧シリンダー31bの下部の被当接部314に当接するから、上吊状態の油圧シリンダー31bをホルダー36にスムーズに取り付けることができる。
なお、この当接部55cによる効果を十分に発揮させるには、当接部55cは本実施形態のように、少なくとも油圧シリンダー31bが、ホルダー36の一対の側壁部362に当接する位置から背壁部363に当接する位置までの間、上述の第1位置にあることが好ましい。
【0047】
また、本実施形態では、ホルダー36へ油圧シリンダー31bの取付時、力センサ54が検出する力が所定の閾値になった場合に保持部52は油圧シリンダー31bを開放するから、油圧シリンダー31bの取付を確実に行うことができる。
【0048】
なお、本実施形態では、ホルダー36へ油圧シリンダー31bの取付時、力センサ54が検出する力が所定の閾値になった場合、すなわち油圧シリンダー31bの取付が完了した時点で保持部52は油圧シリンダー31bを開放するようにした。ホルダー36へ油圧シリンダー31bの取付時、その途中で保持部52は油圧シリンダー31bを開放することもできる。この場合、油圧シリンダー31bを開放後は、押付部53が油圧シリンダー31bより反力としての力を受けることになり、その力が力センサ54によって検出される。そして、この力センサ54が検出する力が所定の閾値になった場合に、保持部52は取付動作を中止する。これによっても、油圧シリンダー31bの取付を確実に行うことができる。
【0049】
油圧シリンダー31bの取付が完了したら、取付装置5は図1に示す原点位置へ移動する。
【0050】
ホルダー36から油圧シリンダー31bを取り外すときは、取付装置5は、油圧シリンダー31bの正面位置まで移動し油圧シリンダー31bを保持したうえで、水平方向後方に移動する。これにより、油圧シリンダー31bがホルダー36から取り外される。その後、取付装置5は油圧シリンダー31bを保持したまま、置台7の正面位置まで移動する。続いて、置台7の正面位置から水平方向前方に移動する。そうすると、置台7の一対の側壁部722に形成されている一対の溝724にシリンダー本体311の下端部であるフランジ部316が挿入され、この一対の溝724に案内されながら置台7の背壁部723に向けて移動する。その後、接触検知センサ725が油圧シリンダー31bのフランジ部316の接触を検知したら、取付装置5は取付装置5の平行ハンド51を拡大する。そして、取付装置5の保持部52から油圧シリンダー31bを開放する。これにより、油圧シリンダー31bが置台7に載置される。油圧シリンダー31bの載置が完了したら、取付装置5は図1に示す原点位置へ移動する。
なお、ホルダー36から油圧シリンダー31bを取り外すときも、油圧シリンダー31bは上吊状態にある。また、取外動作時の上述の各位置もロボットアーム4に予め教示されている。
【符号の説明】
【0051】
1 取鍋
11 取鍋の底
2 整備場
21 整備場の床
22 取鍋受部
23 架台
3 スライディングノズル装置
31a,31b 油圧シリンダー(駆動装置)
311 シリンダー本体
312 シリンダーロッド
313 被保持板
314 被当接部
315 被押付板
316 フランジ部
317 連結部
318 案内板
319 案内溝
32 固定金枠
32a 固定金枠の溝
32b 固定金枠の側壁部の厚肉部分
321,322 回転軸
33 摺動金枠
331 取手部
34 バネボックス
341 取手部
35a 上プレート
35b 下プレート
36 ホルダー
361 開口部
362 側壁部
363 背壁部
364 溝
364a テーパー部
37a,37b,37c 遮蔽板
38a,38b,38c,38d マークブロック
4 ロボットアーム(マニピュレーター)
5 取付装置
51 平行ハンド
511 平行爪
512 本体部
513 取付板
52 保持部
53 押付部
531 保持板
532 押付板
533 ボルト
534 コイルバネ
535 基板
54 力センサ
541 フランジ部
542 防熱カバー
55 押圧機構
56 加振機構
56a 加振機構本体
56b 加振部
57 レーザー照射機
58 カメラ
6 吊下装置
7 置台
71 支柱
71a 支柱の板部
72 載置台
721 開口部
722 側壁部
723 背壁部
723a 背壁部の板面
724 溝
724a テーパー部
725 接触検知センサ
726 磁石
727 支持棒
728 ストロークガイド
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12