(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-28
(45)【発行日】2023-04-05
(54)【発明の名称】仮想造形ボリューム内のセグメント
(51)【国際特許分類】
B29C 64/386 20170101AFI20230329BHJP
B29C 64/165 20170101ALI20230329BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20230329BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20230329BHJP
B33Y 50/00 20150101ALI20230329BHJP
【FI】
B29C64/386
B29C64/165
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/00
(21)【出願番号】P 2021138669
(22)【出願日】2021-08-27
(62)【分割の表示】P 2019572573の分割
【原出願日】2017-07-10
【審査請求日】2021-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット-パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】レブロン,ヘクター
(72)【発明者】
【氏名】ライト,ジェイク
(72)【発明者】
【氏名】ルディシル,ステファン,ジー
(72)【発明者】
【氏名】シェパード,マシュー,エイ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーツウィベルト,ヴァネッサ
(72)【発明者】
【氏名】シュラム,モーガン,ティー
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-093914(JP,A)
【文献】特表2017-511265(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1708391(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/10,64/165,64/20,64/386
B33Y 10/00,30/00,50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の命令を格納したマシン読み取り可能媒体であって、前記複数の命令は、プロセッサにより実行された際に、
スライスであって、積層造形で生成されるべきオブジェクトの
層を表し、また前記
スライス内の前記オブジェクトの
層の外部にある外部周囲部分
の層を
表すスライスをセグメント化し、前記
スライスは、前記オブジェクトの
層のコアセグメント、内側周囲セグメント、および外側周囲セグメントを含む複数の入れ子状のセグメント、および前記外部周囲部分の
層の第1の外部周囲セグメントへとセグメント化されること、そして、
前記入れ子状のセグメントのための積層造形制御命令を生成することを前記プロセッサに行わせ、
各セグメント毎の前記積層造形制御命令は、
前記コアセグメントのための制御命令が、前記コアセグメントに対応し第1の色を有する、前記オブジェクトの第1の領域を提供するように生成され、
前記外側周囲セグメントのための制御命令が、前記外側周囲セグメントに対応する前記オブジェクトの第2の領域に第2の色を提供するように生成され、
前記内側周囲セグメントのための制御命令が、前記内側周囲セグメントに対応する前記オブジェクトの第3の領域に第3の色を提供するように生成され、前記第3の領域の色は前記第1の領域を少なくとも部分的に視覚的にマスクするよう決定され、そして
前記第1の外部周囲セグメントのための制御命令が、前記オブジェクトの外部にある造形材料の一部に前記第2の色を提供するように生成される、マシン読み取り可能媒体。
【請求項2】
前記
外側周囲セグメントのための前記制御命令は、淡い色合いの融合剤および少なくとも1つの着色剤の塗布を指定する、請求項1に記載のマシン読み取り可能媒体。
【請求項3】
前記
内側周囲セグメントのための前記制御命令は、淡い色合いの融合剤および少なくとも1つの着色剤の塗布を指定する、請求項1または2に記載のマシン読み取り可能媒体。
【請求項4】
前記コアセグメントのための前記制御命令は、カーボンベースの融合剤または淡い色合いの融合剤の塗布を指定する、請求項1から3のいずれか1に記載のマシン読み取り可能媒体。
【請求項5】
前記第1の外部周囲セグメントのための前記制御命令は、融合阻害剤および少なくとも1つの着色剤の使用を指定する、請求項1から4のいずれか1に記載のマシン読み取り可能媒体。
【請求項6】
前記第1の外部周囲セグメントの外部にある第2の外部周囲セグメントを含むように前記外部周囲部分
の層を表すスライスをセグメント化することをさらに含み、前記第2の外部周囲セグメントのための制御命令が、融合阻害剤の塗布を指定するように生成される、請求項1から5のいずれか1に記載のマシン読み取り可能媒体。
【請求項7】
前記第2の外部周囲セグメントのための制御命令は、着色剤の塗布を指定しない、請求項6に記載のマシン読み取り可能媒体。
【請求項8】
処理回路を含む装置であって、前記処理回路は、
積層造形で生成されるべきオブジェクトの
層を表し、また前記オブジェクトの外部にある造形材料の外部周囲部分
の層を表すスライスを、オブジェクトコアセグメント、オブジェクト内側周囲セグメント、およびオブジェクト外側周囲セグメントを含む複数の入れ子状のセグメント、および前記造形材料の前記外部周囲部分の
層の外部周囲セグメントとして表す、オブジェクトセグメント化モジュールと、そして
オブジェクトを生成するための制御命令を生成するための制御命令モジュールとを含み、
前記制御命令モジュールによる制御命令の生成は、
前記オブジェクトコアセグメントのための制御命令が、前記オブジェクトコアセグメントに対応し第1の色を有する、前記オブジェクトの第1の領域を提供するように生成され、
前記オブジェクト外側周囲セグメントのための制御命令が、前記オブジェクト外側周囲セグメントに対応する前記オブジェクトの第2の領域に第2の色を提供するように生成され、
前記オブジェクト内側周囲セグメントのための制御命令が、前記オブジェクト内側周囲セグメントに対応する前記オブジェクトの第3の領域に第3の色を提供するように生成され、前記第3の領域の色は前記オブジェクトのアクセス可能な色域を増大させるように決定され、そして
前記外部周囲セグメントのための制御命令が、前記外部周囲セグメントに対応する造形材料の領域に前記第2の色を提供するように生成される、装置。
【請求項9】
前記外部周囲セグメントのための前記制御命令は、融合阻害剤および少なくとも1つの着色剤の使用を指定する、請求項8に記載の
装置。
【請求項10】
前記オブジェクトに関連するデータから、複数の前記セグメントの相対体積の構成および形状のうちの少なくとも一方を決定するモデル評価モジュールをさらに含む、請求項
8または9に記載の装置。
【請求項11】
各層毎の積層造形により生成されるべきオブジェクトの整数個の層に対応する複数のスライスとして前記
オブジェクトを表すモデルスライス化モジュールをさらに含む、請求項
8から10
のいずれか1に記載の装置。
【請求項12】
前記制御命令に従って前記オブジェクトを生成するオブジェクト生成装置をさらに含む、請求項
8から11のいずれか1に記載の装置。
【請求項13】
造形材料を提供し、
積層造形で融合される前記造形材料の第1の領域にプリント剤の第1の選択を塗布し、
積層造形で融合される前記造形材料の第2の領域にプリント剤の第2の選択を塗布し、前記第2の選択は少なくとも1つの着色剤を含み、
積層造形で融合される前記造形材料の第3の領域であって、前記第1の領域と前記第2の領域との間にある、前記造形材料の第3の領域に、プリント剤の第3の選択を塗布し、前記第3の選択は前記第1の領域を少なくとも部分的に視覚的にマスクし、
前記第2の領域に隣接し前記第2の領域の外部にある前記造形材料の第4の領域に、融合阻害剤と着色剤の組み合わせを含むプリント剤を塗布し、前記融合阻害剤と前記着色剤の組み合わせは前記第2の領域のターゲットカラーに従って塗布され、そして
前記第1の領域、前記第2の領域、および前記第3の領域の融合を生じさせるように前記造形材料を放射エネルギーに曝すことにより前記造形材料を加熱することを含む、方法。
【請求項14】
前記第4の領域に塗布されるプリント剤は、前記第4の領域に対して前記第2の領域のターゲットカラーを提供する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
着色剤を含むプリント剤を前記第3の領域および前記第4の領域に塗布することを含み、前記第2の領域、前記第3の領域、および前記第4の領域に塗布される着色剤は共通の着色剤セットから選択される、請求項13または14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
3次元(3D)プリンティングは、例えば、造形材料の連続した複数の層の選択的な凝固によって3次元オブジェクトを形成することができる積層造形プロセスである。形成すべきオブジェクトは、データモデルで記述することが可能である。選択的な凝固は、例えば、焼結、押し出し、及び照射を含むプロセスを介して融合、結合、又は凝固により達成することが可能である。かかるシステムにより生成されるオブジェクトの品質、外観、強度、及び機能は、使用される積層造形技術の種類によって異なり得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0002】
図面を参照して非限定的な例について説明する。
【0003】
【
図1】セグメント化されたモデルの一例を示している。
【0004】
【
図2】プロセッサに関連するマシン読み取り可能媒体の一例である。
【0005】
【
図3】積層造形で生成されるオブジェクトのためのセグメント化されたデータモデルを生成する方法の一例である。
【0006】
【
図4A】セグメント化されたモデルの例を示している。
【
図4B】セグメント化されたモデルの例を示している。
【0007】
【
図5】積層造形に関するデータを処理するための装置の一例である。
【
図6】積層造形に関するデータを処理するための装置の一例である。
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
積層造形技術は、造形材料の凝固を介して3次元オブジェクトを生成することが可能である。幾つかの例では、造形材料は、粉末状の粒状材料とすることが可能であり、これは、例えば、プラスチック、セラミック、又は金属粉末とすることが可能でありる。生成されたオブジェクトの特性は、使用される造形材料の種類と凝固メカニズムの種類によって異なり得る。造形材料は、例えば、プリントベッド上に堆積され、例えば、作製チャンバ内で各層毎に処理することが可能である。
【0010】
幾つかの例では、選択的な凝固は、例えばレーザー又は電子ビームを使用したエネルギーの方向性適用を介して達成され、該エネルギーの方向性適用の結果として、該方向性エネルギーが適用された造形材料の凝固が生じる。他の例では、少なくとも1つのプリント剤を選択的に造形材料に塗布することが可能であり、該プリント剤は、その塗布時に液体とすることが可能である。例えば、生成すべき3次元オブジェクトの1スライスを表すデータ(例えば、構造設計データから生成可能なもの)から導出された所定のパターンで、融合剤(「合体剤」とも呼ばれる)を造形材料の1つの層の複数の部分に選択的に分配することが可能である。該融合剤は、エネルギー(例えば、熱)が層に加えられた際に、造形材料が合体し凝固し、前記パターンに従って3次元オブジェクトのスライスを形成するように、エネルギーを吸収する組成を有することが可能である。他の例では、合体は、何らかの他の方法で達成することが可能である。
【0011】
プリント剤の別の例は、合体改質剤(改質剤又は装飾剤とも呼ばれる)であり、該合体改質剤は、合体を阻害し、低減させ、又は増大させることにより、塗布される融合剤及び/又はエネルギーの効果を変更するよう作用し、又はオブジェクトに特定の仕上げや外観を生じさせるのを助けるよう作用する。幾つかの例では、例えば、染料、着色剤、導電剤、透明性又は弾力性を与えるための薬剤などを含む、特性改質剤を、融合剤又は改質剤として及び/又はプリント剤として使用して、オブジェクトに特定の特性を提供することが可能である。
【0012】
積層造形システムは、構造設計データに基づいてオブジェクトを生成することが可能である。これは、例えば、コンピューター支援設計(CAD)アプリケーションを使用して、生成すべきオブジェクトの3次元モデルを設計者が生成することを含むことが可能である。該3次元モデルは、オブジェクトの固体(solid)部分を定義することが可能である。積層造形システムを使用して該モデルから3次元オブジェクトを生成するために、該モデルのデータを処理して、該モデルの複数の平行な平面のスライスを生成することが可能である。各スライスは、積層造形システムにより凝固され又は合体させられる造形材料の各層の少なくとも一部を定義することが可能である。
【0013】
本書での例は、作製されるべきオブジェクトを複数の異なるモデルセグメントとみなすことを含み、該複数の異なるモデルセグメントは、異なる処理が適用することが可能な複数のオブジェクト領域に関連するものである。複数のオブジェクト領域/セグメントへとセグメント化されたオブジェクト100の一例が
図1に示されており、該オブジェクト100は、コア102、内側セグメント/領域104、及び外側セグメント/領域106を含む(この場合、1つのモデルの複数のセグメントは、1つのオブジェクトの複数の領域を形成するよう処理される)。この例の内側セグメント及び外側セグメントは、入れ子状の複数のオブジェクト領域を形成するように異なる処理パラメータ(例えば、プリント剤の異なる選択)を使用して生成される1つのオブジェクトの入れ子状の複数の「シェル」を表している。
【0014】
3Dカラーオブジェクトをプリントする場合には、色と機械的特性との間にトレードオフが存在し得る。各層を融合するために、より多量の熱エネルギーが造形材料に加えられると、大きな機械的強度と機能性を備えた高密度の3Dオブジェクトを生成することが可能となる。融合に利用できる熱エネルギーの量は、融合剤が放射エネルギーを吸収する強度(その「吸収率」)に部分的に依存し、融合剤の吸収率は、該融合剤の色に部分的に依存する。例えば、カーボンブラック組成物は、赤外線及び近赤外線範囲で高いエネルギー吸収率を有するため、効果的な融合剤となり得る。ただし、その色が濃く、着色剤と混合しても、黒の融合剤を使用してアクセスできる色の範囲又は色域は、比較的小さくなる。
【0015】
他のプリント剤を融合剤として使用することが可能である。例えば、積層造形での使用に適したシアン、マゼンタ、又はイエロー(C、M、又はY)着色剤の吸収率は、例えば、カーボンブラックベースの融合剤の吸収率よりも一般に低いが、それらは融合剤として機能することが可能である。ただし、これは、より高い吸収率のプリント剤で処理された造形材料と比較した場合、より低い融合レベルのオブジェクトを生じさせるものとなり得る。これは、ひいては、一層弱く及び/又は一層低密度のオブジェクトを生じさせるものとなり得る。換言すれば、カラーオブジェクトは、それと同等の黒いオブジェクトよりも密度が低く及び/又は機械的強度が低いものとなり得る。別の例では、融合を改善するために、供給されるエネルギーを増大させることが可能であるが、これは、意図しないカラーシフトを生じさせるものとなり得る。
【0016】
比較的高い吸収率を有し(例えば、セシウムタングステンブロンズ、又はセシウムタングステン酸化物組成物を含み)、及びカーボンブラックベースのプリント剤よりも明るい色を有する、淡い色合いの(low-tint)融合剤を融合剤として使用することが可能である。しかし、これらはカーボンブラック融合剤よりも高価になる傾向がある。
【0017】
本書の実例では、複数のセグメントを異ならせることにより、例えば、カーボンブラックベースの融合剤が塗布される強固なコアの周囲にカラフルなシェルを形成することが可能である。これにより、オブジェクトの強度を過度に損なうことなくオブジェクトをカラフルにすることが可能となる。更に、カーボンブラックベースの融合剤を使用して融合されたコアセグメントの周囲に着色された周囲セグメントを画定することは可能であるが、その結果として得られるオブジェクトの色域は、下側にあるコアセグメントが表面に見えることにより低減する可能性がある(これは、部分的に透明な周囲セグメントの場合に特に該当する)。このため、本書に記載する例では、コアの色の少なくとも一定の度合いのマスキングを提供する中間セグメント/オブジェクト領域が形成される。少なくとも1つの中間周囲セグメントを提供することにより、一層緩やかな特性の(例えば、黒から鮮やかな色への)遷移が可能となる。
【0018】
例えば、特定の意図された色は、1つの色を有する外側周囲領域106、異なる色を有する内側周囲領域104、及び更に別の色のコア102により提供することが可能である。
図1で第1の色と記載されたコア102の色は、少なくとも実質的に偶発的なものとすることが可能であり、該コア102の色は、その融合特性のために選択された融合剤の結果として生じるものである。周囲領域104、106の色は、複数の着色剤の組み合わせを使用することにより提供することが可能である。
図1の例では、外側の周囲セグメントは第2の色に関連付けられ、内側又は中間の周囲セグメントは第3の色に関連付けられています。
【0019】
幾つかの例では、少なくとも幾つかのセグメントは、例えば、異なる色特性を有するように複数のプリント剤の特定の組み合わせを使用して生成されるオブジェクト領域を表すことが可能であり、及び異なる機械的又は機能的特性を有することが可能である。
【0020】
説明の目的のため、オブジェクト100は、コア(コアセグメント/領域102)、マントル(内側シェル104)、及びクラスト(外側シェル106)を有する「地質学的モデル」に類似した態様で表されるものとみなすことが可能である。
【0021】
この例では、コアセグメント102は、オブジェクト100内の実質的に中央にあるが、これは全ての例に当てはまる必要はない。更に、この例の周囲セグメント104、106は同心であり、及びその境界はオブジェクト100の表面の輪郭に沿っているが、別の例では、かかる特徴の一方又は両方が欠如していることが可能である。実際に、幾つかの例では、複数のオブジェクトコアセグメント102が存在し、及びその周囲に周囲セグメント104、106が形成されることが可能である。
【0022】
図2は、非一時的な及び/又は有形のマシン読み取り可能媒体とすることが可能であり、プロセッサ202に関連する、マシン読み取り可能媒体200を示している。マシン読み取り可能媒体200は、プロセッサ202により実行された際に該プロセッサ202に所定のプロセスを実行させる命令204を格納している。命令204は、積層造形で生成されるオブジェクトの少なくとも一部の表現を含む仮想造形ボリュームをセグメント化する命令206を含み、該仮想造形ボリュームは、コアセグメント、内側周囲セグメント、及び外側周囲セグメントを含む複数の入れ子状のセグメントへとセグメント化される。
【0023】
内側周囲セグメントは、コアセグメントと外側周囲セグメントとの間に位置することが可能である。
【0024】
複数のセグメントの入れ子状の形成は、完全なもの又は部分的なものとすることが可能である(すなわち、周囲セグメントは、コアセグメント又は内側周囲セグメントの周囲全体又は該周囲の一部のみにわたって延びることが可能である)。幾つかの例では、
図1に示すように、1つ以上の周囲セグメントは、コアセグメントの周囲に1つ以上のシェルを形成することが可能である。コアは、その少なくとも一部の周囲に周囲セグメントが形成された任意の内側セグメントとすることが可能である。
【0025】
仮想造形ボリュームは、例えば、オブジェクトを取り囲む境界ボックスを含むことが可能であり、並びにオブジェクトの大きさ及び形状を有し(すなわち、オブジェクトの表面に従い)及び/又はオブジェクトが作製される造形ボリュームの少なくとも一部を表すことが可能である。幾つかの例では、仮想造形ボリュームは、1つ以上の「スライス」を含むことが可能であり、その各スライスは、オブジェクトの各層毎の積層造形で作製されることになるオブジェクトの1つの層、及び/又は内部でオブジェクトが作製される作製チャンバの少なくとも一部を表すことが可能である。
【0026】
オブジェクトの表現は、例えば、データモデルを含むことが可能であり、及び例えば、ネットワーク又は通信リンク等を介してメモリから受信することが可能である。幾つかの例では、かかるデータモデルは、例えば、オブジェクトモデルデータ及びオブジェクトプロパティデータを含むことが可能である。オブジェクトモデルデータは、3次元座標系におけるオブジェクトの全体又は一部の形状及び範囲を含む、モデルオブジェクトの少なくとも一部の3次元幾何モデルを定義することが可能である。幾つかの例では、データモデルは、オブジェクトの表面を、例えば、メッシュとして表すことが可能である。オブジェクトモデルデータは、例えば、コンピュータ支援設計(CAD)アプリケーションにより生成することが可能である。オブジェクトプロパティデータは、生成されるべき3次元オブジェクト又はその一部の少なくとも1つのオブジェクトプロパティを定義することが可能である。オブジェクトプロパティデータが存在しない場合、オブジェクトは、使用される造形材料及びプリント剤に基づくデフォルトプロパティを有することが可能である。一例では、オブジェクトプロパティデータは、生成すべきオブジェクトの少なくとも一部についての、色、柔軟性、弾性、剛性、表面粗さ、多孔性、層間強度、密度、透明性、伝導性等の何れか1つ又はそれらの任意の組み合わせを含むことが可能である。オブジェクトプロパティデータは、オブジェクトの1つ又は複数の部分についての複数のオブジェクトプロパティを定義することが可能であり、指定されたプロパティは、オブジェクト上で変動することが可能である。
【0027】
命令204は、入れ子状のセグメントのための積層造形制御命令を生成する命令208を更に含む。各セグメント毎の積層造形制御命令は、それぞれ次のように生成される。
(i)コアセグメントのための制御命令は、コアに対応し及び第1の色を有する、オブジェクトの第1の領域を提供するよう生成される。
(ii)外側周囲セグメントのための制御命令は、該外側周囲セグメントに対応するオブジェクトの第2の領域に第2の色を提供するよう生成される。
(iii)内側周囲セグメントのための制御命令は、該内側周囲セグメントに対応するオブジェクトの第3の領域に第3の色を提供するよう生成され、該第3の領域の色は、第1の領域を少なくとも部分的に視覚的にマスクするよう決定される。
【0028】
オブジェクト内の第1の領域をマスクすることにより、例えば、アクセス可能な見た目の色域を増大させることが可能となり、例えば、アクセス可能な色の明るさを増大させることが可能となる。幾つかの例では、第3の領域の色は、第2の領域(外側周囲セグメント)に明るい背景を提供するように、比較的明るい色を含むことが可能である。幾つかの例では、第3の領域は、比較的不透明にすることが可能であり、及び/又はコアの妥当な程度のマスキングを提供するような厚さを有することが可能である。幾つかの例では、第3の領域の色は、オブジェクトの外観に対するコアの視覚的な影響を緩和させるために、コア及び第2の領域の色の中間の色を含むことが可能である。色、不透明度、入れ子状の領域の数、及びそれらの厚さは全て、個々に又はそれらの組み合わせにより、コアの外観がマスクされる度合いに影響を与え得るものである。更に、幾つかの例では、マスキングの程度は、オブジェクトの意図する色に基づいて選択することが可能であり、明るいオブジェクトは、暗いオブジェクトよりも大きなマスキングの程度(例えば、より厚く、より不透明で、及び/又はより多数の領域)に関連付けることが可能である。
【0029】
幾つかの例では、第2の領域についての制御命令は、淡い色合いの融合剤及び少なくとも1つの着色剤の使用を指定する。これにより、過熱による色変化の過度のリスクを伴うことなく、第2の領域について大きな色域にアクセスすることが可能となる。幾つかの例では、第3の領域についての制御命令は、淡い色合いの融合剤及び少なくとも1つの着色剤の使用を指定することが可能である。これもまた、該領域に大きな色域を提供するものとなる。幾つかの例では、少なくとも幾つかのより暗い融合剤、例えば、カーボンブラックベースの融合剤を、第3の領域で使用することが可能である。幾つかの例では、制御命令は、コアについて、カーボンブラック融合剤とすることが可能なデフォルトのプリント剤の使用を指定する。コアの色は、少なくとも幾分か任意(例えば、選択された融合剤の結果)とすることが可能であり、一方、第2及び第3の領域の色は、所定の色又は指定された色とすることが可能であり、プリント命令は、(例えば、着色剤等を含む)かかる色を提供するよう決定することが可能である。
【0030】
幾つかの例では、第3の(中間の)領域についてのプリント命令は、第2の領域でアクセス可能な色域よりも小さい色域にアクセスするよう決定することが可能である。
【0031】
制御命令の生成は、例えば、ルックアップテーブル又はマッピングアルゴリズム等のマッピングリソースを使用して、特定のセグメントに対応するオブジェクト領域に塗布するプリント剤の量及び/又は組み合わせを特定することを含むことが可能である。幾つかの例では、異なるマッピングリソースを異なるセグメントに関連付けることが可能がある。
【0032】
例えば、第1の領域(コアセグメント)のためのマッピングリソースは、一定の範囲の融合剤に複数のプロパティをマッピングすることが可能であり、一例では、プリント命令は、融合剤の様々な量を指定し、該融合剤は、幾つかの例では、カーボンベースの融合剤であってそれ以外のプリント剤ではない。換言すれば、幾つかの例では、コアは、カーボンブラック融合剤で生成することが可能であり、該カーボンブラック融合剤の量は可変であるが、その他の薬剤は選択のために利用することはできない。例えば、その量は、熱的考察に基づいて変動させる(オブジェクト生成で過熱の可能性のあるオブジェクトの領域に一層少ない融合剤を配置し、オブジェクト生成で融合温度に到達しない可能性のあるオブジェクトの領域に一層多くの融合剤を配置する)ことが可能であり、又は強度等の他のオブジェクトプロパティの仕様に基づいて変動させることが可能である。
【0033】
第2及び第3の領域についてのマッピングリソースは、第1の領域について利用可能なものよりも一層広範囲の(例えば、少なくとも1つの着色剤を含む)プリント剤の選択を可能にすることが可能である。一例では、その選択は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック(キー)(CMYK)カラーセットを含む一組のプリント剤から行うことが可能である(Kは、その色を提供する品質(color providing qualities)のために選択された化粧用ブラック着色剤、及び/又はカーボンブラック融合剤により提供することが可能である)。該一組のプリント剤は、淡い色合いの融合剤を含むことが可能である。他の例では、他の複数組のプリント剤を提供することが可能である。
【0034】
幾つかの例では、第3の領域についてのマッピングは、第2の領域でアクセス可能な組み合わせと比較した場合に、少なくとも1つの着色剤及び/又は淡い色合い融合剤の量を制限するよう設計することが可能である。これは、アクセス可能な色域がより低いことを意味し得るが、ユーザーが第3の領域を(第2の領域を介して見るのではなく)直接見ることはできないため、これは許容可能であり、プリント剤に関連するコストを削減することが可能となる。
【0035】
したがって、幾つかの例では、アクセス可能な色域は各領域間で異なる。このため、例えば、特定の領域における指定された色と生成された色との一致が、他の領域と比較して一層粗くなることになり得る。例えば、オブジェクトのターゲットカラーを特定の緑とし、外側の領域のカラーマッピングをその意図する緑とほぼ一致させることが可能であり、一方、内側の領域又は中間の領域のカラーマッピングを該意図する緑との一致性がより低い緑とすることが可能であるが、これは、該意図する緑と十分に類似した「背景」を提供するものであり、その知覚される色は、該意図する緑とほぼ一致するものとなる。より少ないマッピングを提供することにより、消費されるストレージリソースが削減され、及び(オブジェクトの殆どのボリュームを共通のプリント命令で作成することが可能となるため)プリント命令の仕様を簡素化することが可能となる。したがって、少なくとも幾つかのセグメント/領域に一層小さい色域を提供することにより、処理リソースを低く抑えることが可能となる。
【0036】
図3は、マシン読み取り可能媒体200に格納された命令を実行するプロセッサ202により実行することが可能な方法の一例を示している。
【0037】
ブロック302は、仮想造形ボリュームをセグメント化することを含み、これは、この例では、作製チャンバの仮想的な表現の「スライス」である。該スライスは、積層造形プロセスで生成されるオブジェクトの単一の層に対応する。
図1及び
図2に関連して説明したコアセグメント、内側周囲セグメント、及び外側周囲セグメントに加えて、該セグメント化は、第1及び第2の外部周囲セグメントを含む。これらのセグメントは、仮想造形ボリューム内のオブジェクトの表現の外部にある。ブロック304は、各セグメント毎に制御命令を決定することを含む。
【0038】
コア、内側周囲セグメント、及び外側周囲セグメントについての制御命令は、上述のように生成することが可能である。第1の外部周囲セグメントについての制御命令は、オブジェクトの外部にある造形材料の領域に第2の色を提供するよう生成される。例えば、これは、融合阻害剤及び少なくとも1つの着色剤の使用を指定するマッピングリソースを使用することを含むことが可能である。
【0039】
幾つかの例では、オブジェクトの外側からの造形材料が、オブジェクトの表面に付着し又は部分的に融合する場合があり、これは、オブジェクトの外観の品質を低下させ得るものである。例えば、これは、白い外観を有する未融合の又は部分的に融合した造形材料がオブジェクトの表面に付着する場合に起こり得る。このため、幾つかの例では、生成されているオブジェクトの色と一致するように、外部セグメントに対応する造形材料の領域に色を追加することが可能である。換言すれば、色が塗布される造形材料の一部がオブジェクトに付着し得るため、生成されるオブジェクトの外側にあることが意図されているものに色を塗布することが可能である。
【0040】
融合阻害剤は、冷却剤、例えば、融合を阻害する傾向を有する水又はその他の物質(例えば、アルコール、グリコール等、例えば、エタノール、エチレングリコール、グリセリン/グリセロール、及び/又はプロピレングリコール)を含むことが可能である。融合阻害剤の使用は、明確に画定されたオブジェクト境界を提供し、及び融合が意図されていない造形材料の層の部分における偶発的な融合を制限することを助けるものとなる。
【0041】
融合阻害剤は色を有することが可能であり、該色は、ターゲットカラーを提供するためにどの着色剤を塗布するかを決定する際に考慮することが可能である。第1の外部周囲セグメントは、生成中のオブジェクトの一部を形成することを意図していない造形材料の層の領域に対応することが可能である。該第1の外部周囲セグメントは、外側周囲セグメントに隣接することが可能である。例えば、第1の外部周囲セグメントは、オブジェクトの1つの層を提供するために凝固されるべきスライスの外部周囲セグメントの少なくとも一部を取り囲む境界領域を含むことが可能である。オブジェクトが全体としてセグメント化される例では、第1の外部周囲セグメントは、異なる層に形成される(ひいては異なるスライスで表される)外側周囲セグメントに隣接することが可能である。
【0042】
第2の外部周囲セグメントはまた、仮想造形ボリューム内のオブジェクトの表現の外部にあり、幾つかの例では、第1の外部周囲セグメントの外部又はその周辺にある。該第2の外部周囲セグメントについての制御命令は、オブジェクトの外部にある造形材料の更なる領域における色の変化を最小限にするように、融合阻害剤の塗布を指定するよう生成することが可能である。これは、例えば、融合阻害剤のみの塗布を指定し、着色剤を指定しないことを含むことが可能である。
【0043】
オブジェクトの外部にあることが意図されている領域に色を塗布することは、資源を利用し、及び/又は造形材料のリサイクル性に影響を与える可能性があるため、かかるセグメントは、例えば、融合したオブジェクト領域の近くで加熱され得る領域にわたって延びる、比較的薄いものとなるよう設計することが可能である。しかし、これは、融合の危険性のある全ての領域で融合の阻害を提供しない可能性があり、このため、造形材料の更なる領域を融合阻害剤で処理することが可能である。幾つかの例では、コアセグメント、内側周囲セグメント、外側周囲セグメント、及び第1の外部周囲セグメントが画定された後のスライスの残りの領域が、第2の外部周囲セグメントを含むことが可能である。
【0044】
図4Aは、生成されるべきオブジェクト404を含む仮想造形ボリューム402のスライス400の一例の平面図を示している。この例では、オブジェクト404は、狭い中央セクション406と2つの一層広い端部セクション408a、408bを有する細長い構造を含む。この例では、コアセグメント410は、中央セクション406を介してオブジェクトの両端に向かって延びている。内側周囲セグメント412及び外側周囲セグメント414が画定されている。第1の外部周囲セグメント416及び第2の外部周囲セグメント418は、該オブジェクトの外側に画定される。上述の地質学的モデルの例を踏まえ、外部周囲セグメント416、418は、オブジェクトの「大気」を構成するものと考えることが可能である。この例では、第2の外部周囲セグメントは、造形ボリューム402を満たすよう広がっているが、これは全ての例に当てはまるわけではない。
【0045】
図4Bは、
図4Aに示したものとは異なるオブジェクトを生成するための仮想造形ボリュームのスライスの一例の平面図を示しており、この場合、内側周囲セグメント420は、造形ボリュームの第2のセクション424よりも第1のセクション422の方が幅が広い(及びコアセグメント426は、それに対応して第2セクション424よりも第1セクション422の方が幅が狭い)。2つの外側周囲セグメント428、430は一定の(この例では等しい)厚さを有するものである。第1の外側周囲セグメント428は、造形ボリュームの第1のセクション422内にあり、第2の外側周囲セグメント430は、造形ボリュームの第2のセクション424内にある。この例では、第1の外部周囲セグメント428の色は、第2の外側周囲セグメント430の色よりも明るくすることが可能である。
【0046】
第1のセクション422の内側周囲セグメント420の厚さの増大は、より高度のカラーマスキングを提供することが可能であり、これは、より薄い上層の色が塗布される場合に適したものとなる。別の例では、その厚さは、透明度、外観の品質の仕様、又はマスキングの増大が適当であることを意味する他の何らかの理由に基づいて変更することが可能である。他の例では、マスキングの増大が求められる外側周囲部分の厚さを増大させることにより同様の効果を達成することが可能である。しかし、内側周囲セグメントに関する汎用性のレベルが外側周囲セグメントよりも高い可能性がある(例えば、色の一致精度を一層低くすることが可能であり(例えば、ターゲットカラーを提供するための薬剤の選択は、色の一致精度を低くすることが可能な場合には、より制約の少ないものとなり)、及び/又は、プリント剤の選択肢にカーボンブラックが含まれる可能性があるが、これは外側周囲セグメントの場合にはアクセスできない場合がある)。幾つかの例では、外側周囲セグメントに優先して厚さを変化させる傾向を有するのは内側周囲セグメントである。
【0047】
周囲セグメントの厚さを変えることはまた、プロパティ間の他のトレードオフを可能にするものとなり得る。例えば、周囲セグメント420、428、430がカラフルなシェルを提供するよう処理され、及びコア426が強度を提供する(例えば、「カーボンブラック」融合剤を高い割合で含む)よう処理される場合、造形ボリュームの第1の部分及び第2の部分の厚さ間で異なるトレードオフが存在する可能性があり、すなわち、第1セクション422は、一層厚い周囲セグメント420を有するため、第2セクション424よりもカラフルにすることが可能である。しかし、第2セクション424は、比較的強固なものとすることが可能である。これは、前述のように、着色されたオブジェクト部分は、一般に放射エネルギーを吸収する能力が一層低いため、一層低い強度を有するからである。
【0048】
他の例では、更なる周囲セグメントが形成することが可能である。
【0049】
オブジェクトの複数のスライスが複数のセグメントへと形成される場合、これは、異なるスライス毎に別個に実行することが可能である。例えば、1つのスライス内の1つのコアセグメントは、前のスライス又は後続のスライスにおけるコアセグメントに位置合わせし、該コアセグメントに部分的に位置合わせし、又は該コアセグメントに重ならないことが可能である。複数の異なるスライスは、異なる数のセグメントを有することが可能である。
【0050】
幾つかの例では、1つのオブジェクト領域についてセグメントの数及び該セグメントの厚さの少なくとも一方が、局所的なオブジェクトの形状に基づいて決定される。
【0051】
例えば、セグメントが存在し得る各ポイントにおけるオブジェクトの局所的な形状を考慮することが可能である。オブジェクトのスライスを考慮する場合、これは該ポイントにスライスの断面を含む可能性がある。オブジェクト全体をセグメント化する場合、オブジェクトの特徴の大きさを決定することが可能である。一例では、これは「ボクセル密度」を積分することを含むことが可能である。1つのボクセルは、モデルの1つの領域を記述することが可能であり、3次元ピクセルに類似するものである。ボクセルは、一貫した形状及び大きさを有するものとすることが可能であり、幾つかの例では、オブジェクト生成装置により各ボクセルを個別にアドレス指定することができるように決定される直方体である(ただし、かかる装置は、サブボクセル分解能でプリント剤を塗布することが可能な場合もある)。幾つかの例では、オブジェクトプロパティはボクセル分解能で指定される。
【0052】
ボクセル密度の積分は、例えば、オブジェクトモデルの一部を含む固定球半径内のボクセルの数を決定して、局所的な特徴の大きさ(又はスライス内の円形の半径)を決定することを含むことが可能である。かかる例では、この局所的な近傍内にオブジェクトで満たされたボクセルが高い割合で存在する場合に、特徴が比較的大きいと判定することが可能である。局所的な近傍内にボクセルが殆ど存在しない場合には、小さな特徴を識別することが可能である。他の例では、特徴の大きさは、他の何らかの方法で決定することが可能であり、例えば、ユーザーによるタグ付け等により決定することが可能である。
【0053】
色の視覚的な要件はオブジェクトによって異なることが可能であり、すなわち、比較的小さい又は幾何学的に複雑なオブジェクトの領域(人間の目はかかる領域の色の変化には比較的敏感でない)は、オブジェクトの知覚される色の品質を犠牲にすることなく、色に一層低い品質基準を適用してプリントすることが可能である。このため、かかるセクションで周囲セグメントが一層薄くなり、かかるセグメントが一層厚い場合及び/又は少なくとも1つのオブジェクト領域に指定された少なくとも1つの周囲セグメントがかかる領域内に提供されない場合の例よりも、カラープリント剤の使用を削減することが可能となる。別の例では、オブジェクトの下部セクションは、パーツの上部とは異なる寸法公差又は強度プロパティを有することが可能である。かかるオブジェクト部分でコアセグメントの体積を増大させることが可能であり、及び/又は、かかる領域で周囲セグメントの数を低減させることが可能である。微細な特徴は、一層大きい断面を有する部分よりも弱くなり得るため、コアは、例えば、かかるポイントでオブジェクトの断面積の比較的大きな割合を占めることが可能である(これは、例えば、彩度を犠牲にするものとなり得るが、上述のように、これは小さな領域では大して重要ではない)。更に、これは、オブジェクトの位置に応じた融合プロセス中の異なる熱特性を可能とする。例えば、初期層(すなわち、積層造形で早期に形成される層)には、かかる層に大きなコア又は内部セグメントを指定することにより、前の層から熱を吸収することが可能な上層よりも多くの量の融合剤(又はより効果的な融合剤)を提供することが可能である。
【0054】
したがって、幾つかの例では、全てのオブジェクト領域が内側及び外側周囲セグメントの指定に関連付けられるわけではなく、及び/又は、複数のセグメントを指定することが可能な幾つかの例では、該指定は局所的な形状に基づいてオブジェクト毎に変更することが可能である。
【0055】
上述のように、幾つかの例では、少なくとも1つの周囲セグメントは、オブジェクトのモデルの外部にあり、「大気」セグメントを含むことが可能である。これは、例えば、融合阻害剤又は装飾剤がオブジェクトに塗布される範囲を制御するために使用することが可能である。かかる薬剤は、熱を低減させるものと考えることができるため、オブジェクトの一部で生成される傾向にある熱の量に合わせて調節することが可能である。一般に、断面の小さなオブジェクト部分は、断面の大きなオブジェクト部分よりも一層少ない熱を生成する。したがって、オブジェクトのより小さな特徴の領域には外部セグメントが指定されず、又はかかるセグメントは細いものとすることが可能である。
【0056】
上述のように、幾つかの例では、セグメントの厚さは、オブジェクトコアセグメントの周囲の少なくとも1つの周囲セグメントの局所的なオブジェクトの形状(2次元又は3次元の厚さとすることが可能)に基づいて緩和させることが可能である。
【0057】
幾つかの例では、例えば、別のセグメントがより大きな体積比率を占めることを可能にするために、セグメントの厚さを犠牲にすることが可能である。例えば、外側周囲セグメントの幅を小さくして、(コアセグメント又は内側周囲セグメントとすることが可能な)内側セグメントが特定の強度、融合熱、しきい値大きさ等を有するようにすることが可能である。これは、局所的な特徴の大きさ、例えば、特定の場所におけるオブジェクトの断面積に基づくものとすることが可能である。別の例では、オブジェクトの形状に基づいて厚さを決定することは、オブジェクト内のセグメント(又はセグメントの一部)の位置を決定することを含むことが可能である。例えば、オブジェクトの一層高い部分は、一層低い部分とは異なるセグメント厚さに関連付けることが可能であり、及び/又は上方に面する表面は、下方に面する表面とは異なるセグメント厚さに関連付けることが可能であり、これは、作製中の熱的考察等を考慮に入れることが可能である。
【0058】
幾つかの例では、該厚さは、意図された外観に基づくものとすることが可能である。例えば、比較的不透明な及び/又は暗い色のセグメントは、比較的透明な及び/又は明るい色のセグメントよりも薄くすることが可能である。色、不透明度、入れ子状の領域の数及びそれらの厚さは全て、オブジェクトの外観に対するコアの外観の影響がマスクされる程度に、個別に又は組み合わせにより影響を与えることが可能なものである。
【0059】
図5は、処理回路502を含む装置500の一例である。この例では、処理回路502は、オブジェクトセグメント化モジュール504及び制御命令モジュール506を含む。装置500の使用時、オブジェクトセグメント化モジュール504は、オブジェクトコアセグメント、内側周囲セグメント、及び外側周囲セグメントを含む複数の入れ子状のセグメントとして、積層造形で生成されるオブジェクトの少なくとも一部を含む仮想造形ボリュームを表現する。制御命令モジュール506は、オブジェクトを生成するための制御命令を生成する。該制御命令モジュール506による制御命令の生成は次の通りである。
(i)第1の色を有するコアセグメントに対応するオブジェクトの第1の領域を提供するように、コアセグメントの制御命令が生成され、
(ii)外側周囲セグメントに対応するオブジェクトの第2の領域に第2の色を提供するように、外側周囲セグメントの制御命令が生成され、及び、
(iii)内側周囲セグメントに対応するオブジェクトの第3の領域に第3色を提供するように、内側周囲セグメントの制御命令が生成され、該第3領域の色は、オブジェクトのアクセス可能な色域を増大させるよう決定される。
【0060】
例えば、これは、外部から見たオブジェクトの表面の色域とすることが可能である。換言すれば、第2の部分の見た目の(すなわち、外部の視点から見る人により観察される)色域は、第3の領域の色を選択することにより増大させることが可能である。該色域は、かかる第3の領域が存在しない場合のアクセス可能な色域と比較して増大させることが可能である。例えば、オブジェクトは、コアの存在を考慮すると、介在する第3の部分が存在しない場合には実際には達成できない色を有するように知覚することが可能となる。該第3の色は、例えば、比較的明るいこと及び/又は第1の色よりも第2の色に近いことが可能である(すなわち、第1の色と第2の色との色差は、第3の色と第2の色との色差より大きいことが可能である)。
【0061】
1つ又は複数の周囲セグメントの形状は、オブジェクトの表面の輪郭に従うことが可能であり、又はそれとは異なることが可能である。幾つかの例では、オブジェクトセグメント化モジュール504は、受信したオブジェクトモデルから仮想造形ボリュームを生成することが可能であり、該仮想造形ボリュームの生成は、(例えば、該受信したオブジェクトモデルをセグメント化することにより)該受信したオブジェクトモデルを変更することを含むことが可能である。
【0062】
図6は、処理回路602を含む装置600の一例を示しており、該装置600は、オブジェクトセグメント化モジュール504及び制御命令モジュール506、並びにモデル評価モジュール604、モデルスライス化モジュール606、及びオブジェクト生成装置608を含む。
【0063】
装置600の使用時、モデル評価モジュール604は、対象物に関するデータから、セグメントの相対体積の構成及び形状のうちの少なくとも1つを決定する。該形状は、少なくとも1つの周囲セグメントが可変の厚さを有するように決定することが可能である。幾つかの例では、モデル評価モジュール604は、オブジェクトの局所的な形状及び少なくとも1つの意図されたオブジェクト特性に基づいて、オブジェクト内の複数のセグメントの局所的な相対体積の構成を決定することが可能である。例えば、より小さなオブジェクトの特徴の領域において、コアセグメントは、より大きなオブジェクトの特徴の領域よりも比較的大きな相対体積を占めることが可能である。別の例では、オブジェクトの一層低い領域において、コアセグメントは、オブジェクトの一層高い領域よりも相対的に大きな相対体積を占めることが可能である。別の例では、オブジェクトの意図された正面において、周囲セグメント(例えば、外側周囲セグメント)は、一層低い外観品質レベルが許容される意図された背面又は底面よりも高い相対体積を占めることが可能である。
【0064】
装置600の使用時、モデルスライス化モジュール606は、各層毎の積層造形で生成される整数個のオブジェクト層に対応する複数のスライスとしてオブジェクトモデルを表現することが可能である。幾つかの例では、各層が各スライスにより表される。スライス化は、オブジェクトがセグメント化される前又は後に生じることが可能である。幾つかの例では、スライス化は、制御命令が生成された後に生じる。スライス化がプロセス中で比較的早期に実行される場合には、スライスを個別に処理することが可能となり、これによりデータ処理リソースの効率的な使用が可能となる(例えば、後に形成されるべき層に対応するスライスを、より早期に形成されるべき層に対応するスライスの後に処理することが可能であり、幾つかの例では、後に形成されるべき層に対応するスライスを、より早期に形成されるべき層の作製が開始されると同時に処理することが可能である)。
【0065】
オブジェクト生成装置608は、制御命令に従ってオブジェクトを生成し、そのために、プリントベッド、1つ以上の造形材料塗布手段、1つ以上のプリント剤塗布手段、1つ以上のプリント剤供給源、1つ以上の熱源等の更なる構成要素を含むことが可能であるが、本書では詳細に説明しない。
【0066】
幾つかの例では、オブジェクト生成装置608は、
図7に関して説明した方法を実行することが可能である(ただし、該方法は、他のオブジェクト生成装置により実行することが可能である)。
【0067】
装置600は、
図3の方法を実行することが可能である。
【0068】
図7の方法は、ブロック702で造形材料を提供することを含む積層造形を使用してオブジェクトを生成する方法を含む。例えば、造形材料の1つ以上の層は、粒状プラスチック材料等の粒状材料から形成することが可能である。造形材料は、粉末、液体、ペースト、又はゲルとすることが可能である。造形材料の例には、半結晶性熱可塑性材料が含まれる。層は、例えば、プリントベッド上に、又は造形材料の以前に形成され処理された層上に形成することが可能である。
【0069】
ブロック704は、積層造形において融合される造形材料の第1の領域にプリント剤の第1の選択を塗布することを含む。ブロック706は、積層造形において融合される造形材料の第2の領域にプリント剤の第2の選択を塗布することを含み、該第2の選択は、少なくとも1つの着色剤を含む。ブロック708は、積層造形において融合される造形材料の(前記第1の領域と前記第2の領域との間にある)第3の領域にプリント剤の第3の選択を塗布することを含み、該第3の選択は、前記第1の領域を少なくとも部分的に視覚的にマスクするものとなる。幾つかの例では、生成されているオブジェクトの表面から見た際に前記第1の領域が視覚的にマスクされることが可能である。
【0070】
ブロック704、706、708は、例えば、プリント剤塗布手段が造形材料の層上でスキャンされる際に、重複する時間枠で実行することが可能である。このため、第1、第2、及び第3の領域へのプリント剤の塗布は、造形材料の層上のプリント剤塗布手段の位置に応じて交互配置することが可能である。
【0071】
幾つかの例では、プリント剤の塗布は、プリント剤分配手段(例えば、「インクジェット」技術等を使用してプリント剤を分配することが可能であり、例えば、プリント剤の層に対して移動することが可能であり、及び造形材料の層の少なくとも1つのプリンティングパスを実行することが可能な、プリントヘッド)を使用して実行される。プリント剤は、複数のプリント剤供給源から(例えば、適切なハーフトーン技術を使用して)塗布してターゲット選択を提供することが可能であり、又は該ターゲット選択を提供するよう予め混合することが可能である。
【0072】
着色剤が塗布される場合、該着色剤は、幾つかの例では、着色されたプリント剤、複数の着色された薬剤の選択、又は少なくとも1つの着色された薬剤及び融合剤を含むことが可能である。着色剤は、有機顔料、無機顔料、有機染料、ロイコ染料等のサーモクロミック染料などを含むことが可能である。着色剤は、(幾つかの例では融合剤と組み合わせて)造形材料の層に塗布することが可能な色空間内のターゲットカラーを提供するよう選択することが可能である。例えば、着色剤は、例えばCYMK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)カラーセットからの異なる着色された薬剤の選択を含むことが可能であり、幾つかの例では、オレンジグリーンとバイオレットの着色された薬剤、及び/又はCYM薬剤の明るいバージョン等が追加される。他の例では、代替的な着色剤セットを提供することが可能である。
【0073】
プリント剤を塗布することは、第1の領域に融合剤を塗布することを含むことが可能である。融合剤は、赤外線、可視光線、近赤外線等の吸収剤とすることが可能である。
【0074】
例えば、融合剤は、赤外線及び/又は近赤外線の範囲内で高エネルギー吸収率(材料の「吸収率」は放射エネルギーの吸収における有効性に関連することに留意されたい)を有する薬剤、例えば、カーボンブラックベースのプリント剤、又は代替的な(例えば、淡い色合いの)融合剤(例えば、セシウムタングステンブロンズ、又はカーボンブラックベースのプリント剤よりも色が明るいセシウムタングステン酸化物組成物)を含むことが可能である。
【0075】
他の例では、1つ以上の着色剤自体は、融合剤として作用するのに十分に効率的な熱吸収剤とすることが可能である。例えば、エネルギーは赤外線エネルギーとすることが可能であり、赤外線領域で透過性を有さない任意の薬剤は、加熱を生じさせることが可能な少なくとも幾分かのエネルギーを吸収するものとなる。幾つかの例では、比較的低い吸収率を有する塗布された薬剤との融合を生じさせるために、適用される放射エネルギーを増大させることが可能である。幾つかの例では、許容可能な熱吸収率を有するプリント剤を達成するために、幾つかのターゲットカラーについては融合剤を含み他の色については融合剤を含まないようにプリント剤を塗布することが可能である。
【0076】
幾つかの例では、融合剤は黒色とすることが可能であるが、CMYK着色剤セット等の着色剤セットの黒色着色剤は、その色特性のために選択された化粧品用の黒色着色剤を含むことが可能であり、一方、黒色に着色された融合剤は、近赤外領域での吸収率のために選択された材料(カーボンブラックなど)を含むことが可能である。換言すれば、少なくとも1つの融合剤に加えて、その融合剤の色が黒色であっても、化粧品用の黒色着色剤を提供することが可能である。化粧品用の黒色薬剤は、造形材料の加熱をもたらすことを意図した放射エネルギーの波長帯域内で融合剤よりも低い吸収率を有することが可能である。
【0077】
ブロック710は、例えば、第1、第2、及び第3の領域の融合を生じさせるように、造形材料を放射エネルギーに曝すことにより該造形材料を加熱することを含む。
【0078】
例えば、これは、それら領域を含む層を加熱ランプ等の熱源にさらすことを含むことが可能である。幾つかの例では、加熱は、プリント剤の塗布と少なくとも部分的に同時に行われる(例えば、プリント剤塗布手段が熱源を含むことが可能である)。加熱は、プリント剤の塗布前、塗布中、及び/又は塗布後に行うことが可能である。
【0079】
幾つかの例では、本方法は、オブジェクトが形成されるまで、造形材料の複数の層の各々にわたって実行することが可能である。
【0080】
図8は、
図7の方法と統合することが可能な方法の一例である。ブロック802は、第2の領域に隣接する造形材料の第4の領域に、融合阻害剤及び着色剤の組み合わせを含むプリント剤を塗布することを含み、該組み合わせは、該第2の領域のターゲットカラーに従って適用される。第4の領域は、積層造形において融合されないままとなることを意図したもの(すなわち、上述の第1の外部周囲セグメントに対応するもの)とすることが可能である。
【0081】
一部の実施例では、第4の部分に塗布される着色されたプリント剤は、第2及び/又は第3の領域に塗布されるものと同じ着色プリント剤セットから選択することが可能である。例えば、同じCMYKカラー薬剤セットからの選択を異なる領域に塗布することが可能であるが、各カラー薬剤の相対的な量は各領域間で異なることが可能である。
【0082】
幾つかの例では、ブロック802で塗布される融合阻害剤の量は、第4の領域に塗布される着色剤のエネルギー吸収率に基づいて決定することが可能である。例えば、比較的高いエネルギー吸収率を有する着色剤(又は複数の着色剤の組み合わせ)が第4の領域に塗布される場合、これは、第4の領域における着色剤が、第1、第2、及び第3の融合プロセス中に、該着色剤が比較的低いエネルギー吸収率を有する場合よりも比較的多くの熱エネルギーを吸収することを意味することになる。第4の領域で生じる融合の可能性を低減させるために、比較的高いエネルギー吸収を有する着色剤を使用する効果は、融合阻害剤の量の増加により相殺することが可能である。幾つかの例では、複数の異なる領域に塗布される着色剤は、共通の着色剤セットから選択される。
【0083】
ブロック704-708と同様に、幾つかの例では、第4の領域にプリント剤を塗布することは、プリント剤分配手段、例えば「インクジェット」技術等を使用してプリント剤を分配することが可能なプリントヘッドを使用して行われ、該プリント剤分配手段は、例えば、造形材料の層に対して移動することが可能であり、及び造形材料の層の少なくとも1つのプリンティングパスを実行することが可能である。これは、ブロック704-708のプロセスで交互配置することが可能である。
【0084】
造形材料の第4の領域に塗布される融合阻害剤の量はまた、他のファクタ(例えば、融合させるべき領域(又は、例えば、第4の領域が隣接している第2の領域)に塗布された融合剤が(第4の領域を加熱した結果として生じ得る)放射エネルギーを吸収する効率、及び/又は造形材料に適用されるエネルギー)に基づいて決定することが可能である。
【0085】
本開示における例は、方法、システム、又はマシン読み取り可能命令(例えば、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア等の任意の組み合わせ)として提供することが可能である。かかるマシン読み取り可能命令は、コンピュータ読み取り可能プログラムコードを有するコンピュータ読み取り可能記憶媒体(ディスクストレージ、CD-ROM、光学ストレージなどを含むがこれらには限定されない)に含まれていることが可能である。
【0086】
本開示は、本開示の例による方法、装置、及びシステムのフローチャート及びブロック図を参照して説明した。上記フローチャートは特定の実行順序を示しているが、実行順序は記載された順序と異なることが可能である。1つのフローチャートに関して説明したブロックは、別のフローチャートのブロックと組み合わせることが可能である。フローチャート及びブロック図における様々なブロック、及びそれらの組み合わせは、マシン読み取り可能命令によって実施できることを理解されたい。
【0087】
マシン読み取り可能命令は、明細書及び図面に記載した機能を実現するために、例えば、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置の1つ以上の組み込みプロセッサにより実行することが可能である。特に、プロセッサ又は処理装置は、マシン読み取り可能命令を実行することが可能である。したがって、装置及び機器の機能モジュール(オブジェクトセグメント化モジュール504、制御命令モジュール506、モデル評価モジュール604、及びモデルスライス化モジュール606等)は、メモリに格納されたマシン読み取り可能命令を実行するプロセッサ、又は論理回路に埋め込まれた命令に従って動作するプロセッサにより実施することが可能である。用語「プロセッサ」は、CPU、処理装置、ASIC、論理装置、又はプログラマブルゲートアレイ等を含むものとして広範に解釈されるべきものである。方法と機能モジュールは全て、単一のプロセッサにより又は複数のプロセッサ間で分割して実行される。
【0088】
かかるマシン読み取り可能命令はまた、特定のモードで動作するようコンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置を導くことができるコンピュータ読み取り可能記憶装置に格納することも可能である。
【0089】
かかるマシン読み取り可能命令はまた、コンピュータ又はその他のプログラム可能なデータ処理装置にロードして、該コンピュータ又はその他のプログラム可能なデータ処理装置が一連の操作を実行してコンピュータにより実施される処理を生成するようにすることが可能であり、これにより、該コンピュータ又はその他のプログラム可能なデータ処理装置上で実行された命令が、フローチャートの1つ以上のフローやブロック図の1つ以上のブロックで指定された機能を実施する。
【0090】
更に、本書の教示は、コンピュータソフトウェア製品という形で実施することが可能であり、コンピュータソフトウェア製品は、記憶媒体に格納され、及びコンピュータ装置に本開示の例に記載した方法を実施させるための複数の命令を含む。
【0091】
方法、装置、及び関連する態様を特定の例を参照して説明したが、本開示の思想から逸脱することなく、様々な修正、変更、省略、及び置換を行うことが可能である。したがって、方法、装置、及び関連する態様は、特許請求の範囲及びその同等物の範囲によってのみ制限されることが意図されている。上述の例は、本書に記載したものを限定するのではなく例示するものであり、当業者であれば特許請求の範囲から逸脱することなく多くの代替的な実施形態を設計することが可能であることに留意されたい。一例に関して説明した機能は、別の例の機能と組み合わせることが可能である。
【0092】
用語「含む」とは、請求項に記載された要素以外の要素の存在を除外するものではなく、用語「1つの」は複数を除外するものではなく、及び単一のプロセッサその他のユニットが、特許請求の範囲に記載する複数のユニットの機能を果たすことが可能である。
【0093】
従属形式の請求項の特徴は、独立形式の請求項又はその他の従属形式の請求項のいずれかの特徴と組み合わせることが可能である。