(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-28
(45)【発行日】2023-04-05
(54)【発明の名称】包装用超疎水性熱可塑性フィルム
(51)【国際特許分類】
B65D 65/40 20060101AFI20230329BHJP
【FI】
B65D65/40 D
(21)【出願番号】P 2021505799
(86)(22)【出願日】2018-08-03
(86)【国際出願番号】 EP2018071207
(87)【国際公開番号】W WO2020025148
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】518304362
【氏名又は名称】クライオバック・エル・エル・シー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォルローニ,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ドン,シン
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-131658(JP,A)
【文献】特開2010-254377(JP,A)
【文献】特開2015-027888(JP,A)
【文献】特開2017-171338(JP,A)
【文献】特開2016-101708(JP,A)
【文献】特開2015-058947(JP,A)
【文献】特開2015-229496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超疎水性コーティング熱可塑性多層包装フィルムであって、
-熱可塑性単層又は多層基材層(B)と、
-前記基材層(B)に直接接着している熱可塑性ヒートシール性層(A)と、
-前記ヒートシール性層(A)の表面に直接接着しており、前記基材層(B)に直接接着していない、疎水性酸化物ナノ粒子を含む無機コーティング層(C)と
を含み、
層(C)の前記疎水性酸化物ナノ粒子が、3~100nmの平均粒径を有し、0.01~10g/m
2(乾燥後のグラム数)の量で存在し、
前記基材層(B)が、微粒子が混入されている層の総重量に対して計算された少なくとも1%の量で0.5~100ミクロンの平均粒径を有する前記微粒子を
含み、及び
当該基材層(B)が、微粒子の総量に関して50重量%を超える量の前記微粒子を含み、
当該微粒子は、該微粒子が混入されている層の厚さよりも少なくとも20%大きい平均粒径を有する、
ことを特徴とする、フィルム。
【請求項2】
前記ヒートシール性層(A)が、平均粒径が0.5ミクロンより大きいが、層(A)の重量に対して計算された1%未満、好ましくは0.5%未満の量の微粒子を
含み、より好ましくはこれらの微粒子を全く含まない、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
フィルムの前記ヒートシール性層(A)が、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)、均質又は不均質の線状エチレン-アルファ-オレフィンコポリマー、ポリプロピレンコポリマー(PP)、エチレン-プロピレンコポリマー(EPC)、アクリレート、メタクリレート、イオノマー、ポリエステル及びそれらのブレンドから選択される主要量のポリマーを含む、請求項1又は2に記載のフィルム。
【請求項4】
前記熱可塑性基材層(B)が、接着性樹脂と任意にブレンドされるポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテート(EVA)、イオノマー、ポリアミド、ポリエステルから選択される1種以上の熱可塑性樹脂を主要割合
で含み、より好ましくはそれらからなる、単層(b)である、請求項1~3のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項5】
前記熱可塑性基材層(B)が多層であり、前記ヒートシール性層(A)に直接接着している層のみが前記微粒子を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項6】
前記ヒートシール性層(A)に直接接着している層が、ポリオレフィン及び改質ポリオレフィンから選択される1種以上のポリマーを主要割合
で含み、好ましくはそれらからなる、請求項5に記載のフィルム。
【請求項7】
前記微粒子が、5~80ミクロン、好ましくは10~60ミクロンの平均粒径を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項8】
前記微粒子が、アクリル微粒子、シリカ微粒子、ケイ酸ホウ素微粒子、リン酸カルシウム微粒子、ステアリン酸カルシウム微粒子、ガラス微粒子及び木炭粉末から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項9】
前記微粒子の含有量が、前記微粒子が混入されている層の総重量に対して計算された、1~80%、好ましくは3~50%、より好ましくは15~35%である、請求項1~8のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項10】
多層基材層(B)が内部ガスバリア層(F)を含む、請求項1~3又は5~9のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項11】
前記コーティング層(C)が、0.1~5.0ミクロン、好ましくは0.2~4.0ミクロン、より好ましくは1.0~2.5ミクロンの厚さを有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項12】
前記無機コーティング層(C)の疎水性酸化物ナノ粒子が、5~50nm、好ましくは5~20nmの平均粒径を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項13】
前記無機コーティング層(C)の疎水性酸化物ナノ粒子が、シリカ、アルミナ、マグネシア、チタニア及びそれらの混合物から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項14】
層(A)に直接接着していない前記無機コーティング層(C)の表面が、ASTM D7490-13に従って測定した、130°より大きい、好ましくは140°より大きい、より好ましくは150°より大きい、さらにより好ましくは160°より大きい水接触角を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の超疎水性コーティング熱可塑性多層包装フィルムの製造方法であって、前記製造方法が、
i)熱可塑性のコーティングされていないフィルム(A)/(B)を提供することと、前記フィルム(A)/(B)は、
-熱可塑性単層又は多層基材層(B)と、
-前記基材層(B)に直接接着している外側熱可塑性ヒートシール性層(A)と
を含み、
前記基材層(B)が、微粒子が混入されている層の総重量に対して計算された少なくとも1%の量の0.5~100ミクロンの平均粒径を有する前記微粒子を含む、
ii)前記熱可塑性のコーティングされていないフィルム(A)/(B)の前記基材層(B)に直接接着していない前記ヒートシール性層(A)の表面を、3~100nmの平均粒径を有する疎水性酸化物ナノ粒子を含む無機コーティング組成物を塗布することによってコーティングすることと、
iii)前記塗布されたコーティングを乾燥させて、0.01~10g/m
2(乾燥後のグラム数)の量で疎水性酸化物ナノ粒子を含む無機コーティング層(C)を形成することと
を含む、製造方法。
【請求項16】
前記ヒートシール性層(A)の表面のコーティング(ii)が、疎水性酸化物の含有量が10~100g/lである前記無機コーティング組成物を塗布することによって行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ヒートシール性層(A)の表面のコーティング(ii)が、前記無機コーティング組成物を4~50g/m
2(湿潤グラム数)の量で塗布することによって行われる、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記コーティング組成物の溶媒が、水、アルコール及びそれらの混合物から選択される、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
製品を導入するための少なくとも1つの開口部を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載のフィルムから製造された包装用物品であって、前記フィルムの無機コーティング層(C)が、前記物品の最内側層である、包装用物品。
【請求項20】
シームレスチューブ又はフレキシブル容器である、請求項19に記載の包装用物品。
【請求項21】
パウチ又はバッグの形態、好ましくは非熱収縮性パウチ又は熱収縮性バッグの形態の、請求項20に記載のフレキシブル容器。
【請求項22】
請求項1~14のいずれか一項に記載のフィルムと製品とを含む密封パッケージであって、前記フィルムが前記製品を密封し、前記製品と接触する前記パッケージの表面が前記フィルムの無機コーティング層(C)である、密封パッケージ。
【請求項23】
前記製品が食品である、請求項22に記載のパッケージ。
【請求項24】
前記パッケージが真空にされ、収縮され、前記製品が新鮮な肉である、請求項22又は23に記載のパッケージ。
【請求項25】
前記パッケージが非収縮性パウチであり、前記製品が高粘性又は粘着性の食品である、請求項22又は23に記載のパッケージ。
【請求項26】
製品を包装するための、好ましくは食品を包装するための、請求項1~14に記載のフィルムの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超疎水性シーリング材表面を有する包装用熱可塑性フィルム、それから製造される可撓性パッケージ及び包装製品、特に食品におけるそれらの使用に関する。これらのパッケージは、特にシール強度、包装された製品の回収及びドリップ形成の防止に関して、最適な性能を特徴としている。
【背景技術】
【0002】
パウチなどの熱可塑性のフレキシブル容器への流動性製品、特に流動性食品の包装は、市場においてよく知られており、高く評価されている。
【0003】
流動性製品には、例えば、低粘度流体(例えば、ジュース及びソーダ)、高粘度製品(例えば、トマトペースト濃縮物、ヘーゼルナッツスプレッド、ピーナッツバター、調味料及びソース)、流体及び固体の混合物(例えば、スープ及び塩漬けの野菜)、ゲル、粉末並びに粉末材料が含まれる。
【0004】
パウチは、種々の方法、特に垂直型充填シール法(VFFS法)によって製造することができる。この方法では、流動性製品は、その下端で横断方向及び長手方向に予めシールされた形成されたチューブ状フィルムに導入される。次いで、チューブ状部分の上端をシールし、パウチをその上のチューブ状フィルムから切り離すことによってパウチが完成される。
【0005】
場合によっては、パウチは、細菌汚染を低減又は排除するために、低温殺菌又は滅菌などの強烈な熱的及び/又は化学的及び/又は物理的処理に耐えなければならない。特にシールに沿った機械的完全性は、適切な製品の貯蔵寿命にとって特に重要である。
【0006】
通常、最終ユーザーは、パウチを開き、特に問題なく、使用目的のために流動性製品を手動で絞り出す。
【0007】
しかしながら、ある種の製品は粘性及び粘着性が高いため、良好な製品回収率でパウチから効率的にそれらを取り出すことが困難である。これは、例えば、トマトペースト濃縮物、ヘーゼルナッツスプレッド、ソース及び調味料又はピーナッツバターなどの濃厚又は粘着性のある食品に特に当てはまる。
【0008】
この種の製品では、パウチからの回収率が不十分であり、製品の望ましくない廃棄物が発生する可能性がある。
【0009】
市場に存在する流動性製品の包装に好適なフィルムは、通常、パウチ内で製品と接触しているポリオレフィンシーリング材外側層を含む。
【0010】
通常、包装装置上でのフィルムの滑りを容易にするために、少量の摺動剤(例えば、1重量%未満)がシーリング材層に存在するが、これらの剤は、製品の回収にはほとんど効果がない。
【0011】
包装分野では、フィルム外側表面を、それらの性質を改質する目的で処理及び/又はコーティングすることができることはよく知られている。特に、フィルム表面の濡れ性を低下させる表面処理が知られている。
【0012】
しかしながら、出願人の知識では、包装フィルムに適用される処理の大部分は、通常、それらの表面を疎水性、すなわち、最大130°の水接触角に相当する濡れ性を有するようにするが、超疎水性、すなわち、130°超、又は150°の接触角を有するようにはしない。
【0013】
文献EP2397319B1及びEP2857190B1(東洋アルミニウム株式会社)は、非常に大きい接触角及び包装された製品への低い付着性を特徴とする多層パッケージ蓋材フィルムについて記載しており、前記フィルムは、疎水性酸化物ナノ粒子で最外側表面にコーティングされた外側シーリング材層を有する。好ましい実施形態では、同じ外側シーリング材層は、表面に凹凸を形成する充填粒子をさらに含む(本
図1Aに示されているように)。
【0014】
EP2397319B1の説明によれば、疎水性ナノ粒子がこれらのくぼみに凝集体として捕捉されているため、充填粒子は、より優れた耐摩耗性(段落36)及び長期間の非付着性の維持を提供する(段落26)。
【0015】
明細書(段落18及び21を参照のこと)にはまた、前記フィルムは、例示及び特許請求の範囲に記載されたように、蓋材としてだけでなく、バッグ及びパウチの製造においても使用することができると記載されている。
【0016】
しかしながら、出願人は、シーリング材層に充填粒子を含むこれらのフィルムで達成可能なシール強度(剛性容器にシールされた上部蓋材として使用するのに十分であり得る)は、パウチ及びバッグなどの可撓性パッケージの実際の製造には不十分であることを見出した。
【0017】
実際、厚い剛性容器を含む蓋付きパッケージとは異なり、かなり薄いフィルムのみで製造されたこれらのパッケージは、使用時に屈曲し、特にシールに沿ってより強い物理的応力にさらされる。
【0018】
従来技術に示されているような超疎水性表面及び包装された製品への低い付着性を有するが、可撓性の包装用途で使用するために自己シールされた場合により良好なシール強度を有するフィルムを提供することが望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【文献】欧州特許第2397319号明細書
【文献】欧州特許第2857190号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
出願人は、包装された製品の完全な回収を可能にするが、可撓性の包装用途で使用するための改善されたシール性を有する粘性粘着性製品を包装するためのEP2397319B1に記載されているような超疎水性フィルムを提供するという問題に直面した。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前述のように、EP2397319B1は、経時的に疎水性を維持するために、充填粒子がシーリング材層に存在する必要があることを教示している。さらに、この特許の表1に示されているシール試験では、フィルムが蓋材として剛性容器のフランジにシールされており、粒子がフィルムのシール性能にほとんど又は全く影響を及ぼさないことが示唆されている。実際、粒子を含まないフィルム実施例1-1対シーリング材層に粒子を含む実施例1-2~1-6のフィルムの開封強度及びシール強度の値は同等である。
【0022】
EP2397319B1の教示に反して、出願人は、驚くべきことに、充填粒子が外側のコーティングされたシーリング材層ではなく、その代わりに、それに直接接着している層(すなわち第2層)に混入された場合、シール性を改善するだけでなく、超疎水性性能を長期間維持すること(耐久性)も可能であることを見出した。
【0023】
さらに、出願人は、第2の層にのみ充填粒子を混入した本発明のフィルムが、減圧下でドリップ形成製品、特に肉を包装するために使用される場合、ドリップ損失を効果的に防止できることを予期せず発見した。
【0024】
食肉包装の分野で長年にわたって必要とされてきたのは、包装された製品からのドリップ損失を最小限に抑えることである。新鮮な部分肉は、食肉処理又は調理後、減圧下でパックされ、貯蔵されると、それらはドリップ、すなわち血清、タンパク質、水-脂肪エマルション、ブロス及び水の混合物である液体滲出物を放出し始める。これは、豚肉、牛肉、子牛肉、馬肉などの新鮮な肉だけでなく、加熱ハムなどの加工肉についても特に明らかである。ドリップの量は、肉の熱履歴及びその品質によって異なる。パッケージを開封すると、ドリップは重量で販売することができないため、小売業者又は食品加工業者にとって正味の重量損失となる。さらに、滲出物がパッケージに存在すると、その見た目が損なわれ、特に見た目に不快であり、小売業者に食肉加工及び鮮度について疑念を抱かせる。結論として、パッケージ内の包装された肉からのパージの形成及び存在は重大な欠点である。
【0025】
いくつかの文献は、ドリップ損失の問題を扱っている。
【0026】
例えば、US4183882(Grace)は、肉を包装するためのフィルム及びパウチに関するものであり、最終パッケージに収縮されていない領域及びシールされていない領域が存在することによるパージ形成の問題に対処する。ドリップ形成を解決するために、この文献は、シール層に特定の組成物、すなわちポリエチレンの特定のブレンドを採用することを提案している。これらのフィルムのシーリング材表面は、特別な処理を受けていない。
【0027】
US5407611(Viskase)は、肉を包装及び調理するためのフィルム及びパウチについて記載しており、収縮したパウチに包装された肉の調理中のパージ形成の問題に直面している。調理中の食品からの液体の滲出を低減するために、包装フィルムは表面照射され、コロナ処理された。食品と接触する外側層の大量のEVAとこれらの表面処理との組み合わせにより、調理中の製品へのこのフィルムの接着が改善され、調理による液体の滲出が防止される。この文献は、フィルムの特定のコーティングを示唆するものではない。
【0028】
US5407611(列14,行1~5)が、ドリップ損失を最小限に抑えるために製品への接着性を改善するためには、超疎水性ではなく、フィルム表面の高い濡れ性が必要であることを教示していることを考慮すると、本発明のパッケージにおけるパージ形成の減少は全く予想外である。
【0029】
特定の理論に拘束されることなく、本発明のフィルムの表面は非常に疎水性であるため、主に水から構成されるパージを効果的にはじき、肉に押し込むことが本発明の結果の考えられる説明であり得る。その結果、パッケージの外観に加えて製品の歩留まりも大幅に向上した。
【0030】
最後に、包装された製品と直接接触しない層に微粒子を混入した本発明のフィルムは、食品法順守の点からも特に有利である。
【0031】
したがって本発明の第1の目的は、超疎水性コーティング熱可塑性多層包装フィルムであって、
-熱可塑性単層又は多層基材層(B)と、
-基材層(B)に直接接着している熱可塑性ヒートシール性層(A)と、
-ヒートシール性層(A)の表面に直接接着しており、基材層(B)に直接接着していない、疎水性酸化物ナノ粒子を含む無機コーティング層(C)と
を含み、
層(C)の前記疎水性酸化物ナノ粒子は、3~100nmの平均粒径を有し、0.01~10g/m2(乾燥後のグラム数)の量で存在し、
基材層(B)は、微粒子が混入されている層の総重量に対して計算された少なくとも1%の量で0.5~100ミクロンの平均粒径を有する微粒子を含むことを特徴とする、フィルムである。
【0032】
本発明の第2の目的は、第1の目的の超疎水性コーティング熱可塑性多層包装フィルムの製造方法であって、この製造方法は、
i)熱可塑性のコーティングされていないフィルム(A)/(B)を提供することと、このフィルム(A)/(B)は、
-熱可塑性単層又は多層基材層(B)と、
-基材層(B)に直接接着している外側熱可塑性ヒートシール性層(A)と
を含み、
基材層(B)は、微粒子が混入されている層の総重量に対して計算された少なくとも1%の量の0.5~100ミクロンの平均粒径を有する微粒子を含む、
ii)熱可塑性のコーティングされていないフィルム(A)/(B)の基材層(B)に直接接着していないヒートシール性層(A)の表面を、3~100nmの平均粒径を有する疎水性酸化物ナノ粒子を含む無機コーティング組成物を塗布することによってコーティングすることと、
iii)塗布されたコーティングを乾燥させて、0.01~10g/m2(乾燥後のグラム数)の量で疎水性酸化物ナノ粒子を含む無機コーティング層(C)を形成することと
を含む製造方法である。
【0033】
本発明の第3の目的は、製品を導入するための少なくとも1つの開口部を有する、第1の目的のフィルムから製造された包装用物品であって、フィルムの無機コーティング層(C)は、物品の最内側層である包装用物品である。
【0034】
本発明の第4の目的は、第1の目的のフィルムと製品とを含む密封パッケージであり、フィルムは製品を密封し、製品と接触するパッケージの表面は、フィルムの無機コーティング層(C)である、密封パッケージである。
【0035】
本発明の第5の目的は、製品を包装するための、好ましくは高粘性、粘着性又はドリップ放出製品を包装するための第1の目的のフィルムの使用であり、製品と接触するパッケージの表面は、フィルムの無機コーティング層(C)である、フィルムの使用である。
【0036】
添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1A】先行技術EP2397319B1による例示的なフィルムの概略断面図である。
【
図1B】本発明(3層フィルム)による例示的なフィルムの概略断面図である。
【
図1C】本発明(多層フィルム)による例示的なフィルムの概略断面図である。
図1Cの点線は、示された多層フィルム構造に層が存在しないこと(4層フィルム)、1つ以上の追加層(5層以上のフィルム)が存在し得ることを意味する。分かりやすくするために、これらの概略図では、他方の表面の微粒子によって付与される可能性のある粗さは示されていない。微粒子は必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではない。
【
図2A】共焦点顕微鏡(対物レンズの倍率20倍)で撮影された従来のフィルム(フィルムC1、微粒子なし)のヒートシール性表面の写真である。
【
図2B】共焦点顕微鏡(対物レンズの倍率20倍)で撮影された本発明によるフィルム(フィルム実施例1、層2中に微粒子)のヒートシール性表面の写真である。
【
図2C】共焦点顕微鏡(対物レンズの倍率20倍)で撮影されたEP2397319B1に記載されるもののような先行技術のフィルム(フィルムC4、層1中に微粒子)のヒートシール性表面の写真である。
【
図3A】本発明によるパウチの実施形態の概略図である。
【
図3B】本発明によるパウチの実施形態の概略図である。
【
図3C】本発明によるパウチの実施形態の概略図である。
【
図3D】本発明によるパウチの実施形態の概略図である。これらの図では、縞模様の領域は「フィンシール」を表し、ドットの領域は「ラップシール」を表す。
【
図4】本発明によるフィルムに薄層コーティングを塗布するための方法のブロック図である。
【
図5A】従来のフィルムで真空包装された肉片の写真である。
【
図5B】食品接触面を本発明に従って処理及びコーティングした同じフィルムで真空包装された肉片の包装から10日後の写真である。
【0038】
<定義>
本明細書で使用する場合、「フィルム」という用語は、それがフィルムであるか、シートであるか、又はチューブであるかに関係なく、プラスチックウェブを含む。
【0039】
本明細書で使用する場合、「内側層」及び「内部層」という用語は、その主表面の両方が、フィルムの別の層に直接接着している任意のフィルム層を指す。
【0040】
本明細書で使用する場合、「外側層」又は「外部層」という語句は、その主表面の一方のみが、フィルムの別の層に直接接着している任意のフィルム層を指す。
【0041】
本明細書で使用する場合、「シール層」、「シール性層」、「ヒートシール性層」及び「シーリング材層」という語句は、そのフィルムを、それ自体、特に同じ外側シール層に、又は同じフィルムの他方の外側層に、別のフィルムに、及び/又はフィルムではない別の物品にシールすることに関与する外側層を指す。
【0042】
本明細書で使用する場合、「結合層」又は「接着層」という用語は、2つの層を互いに接着することを主目的とする任意の内部フィルム層を指す。
【0043】
本明細書で使用する場合、「長手方向」及び「機械方向」という語句は、本明細書では「LD」又は「MD」と略され、フィルムの「長さに沿った」方向、すなわち、共押出し中にフィルムが形成されるときのフィルムの方向を指す。
【0044】
本明細書で使用する場合、「横断方向」又は「横方向」という語句は、本明細書では「TD」と略され、機械方向又は長手方向に対して垂直な、フィルムを横切る方向を指す。
【0045】
本明細書で使用する場合、「押出し」という用語は、溶融プラスチック材料を、ダイを通して押し出し、続いて冷却又は化学的硬化によって連続形状を形成する方法に関して使用される。ダイを通して押し出す直前に、比較的高粘度のポリマー材料は、一般的に、ポリマー材料を、ダイを通して押し出す可変ピッチの回転スクリュー、すなわち押出機に供給される。
【0046】
本明細書で使用する場合、「共押出し」という用語は、2つ以上の材料を2つ以上のオリフィスを有する単一のダイを通して押し出す方法を指し、この2つ以上のオリフィスは、押出物が冷却、すなわち急冷される前に合流し、接合して、積層構造となるように配置されている。本明細書で使用する場合、「共押出し」という用語は、「押出しコーティング」も含む。
【0047】
本明細書で使用する場合、「押出しコーティング」という用語は、基材を溶融ポリマーコーティングでコーティングして、基材及びコーティングを一緒に結合し、したがって完全なフィルムを得るために、1つ以上の層を含む溶融ポリマーの「コーティング」を固体の「基材」上に押し出す方法を指す。
【0048】
本発明で使用する場合、「共押出し」、「共押出しされた」、「押出しコーティング」などの用語は、単独のラミネート加工、すなわち予め形成されたウェブを接着又は接合することによっては得られない方法及び多層フィルムを指す。
【0049】
本明細書で使用する場合、「配向」という用語は、「固体状態配向」、すなわち、構造体の層を構成するすべての樹脂のTg(ガラス転移温度)より高く、構造体のすべての層が溶融状態にある温度より低い温度で行われるキャストフィルムの延伸方法を指す。固体状態配向は、一軸、横断方向、若しくは好ましくは長手方向、又は好ましくは二軸であってもよい。
【0050】
本明細書で使用する場合、「配向比」及び「延伸比」という語句は、プラスチックフィルム材料が、互いに垂直な2つの方向、すなわち、機械方向及び横断方向に引き延ばされる程度の乗算積を指す。したがって、フィルムが、長手方向にその元のサイズの3倍(3:1)、横断方向にその元のサイズの3倍(3:1)配向されている場合、フィルム全体の配向比は3x3、すなわち9:1である。
【0051】
本明細書で使用する場合、「熱収縮性」、「熱収縮」などの語句は、固体状態配向フィルムが加熱すると収縮する、すなわち、加熱によって縮小し、その結果、フィルムが拘束されていない状態で、そのフィルムのサイズが小さくなる傾向を指す。
【0052】
本明細書で使用する場合、前記用語は、ASTM D2732により測定した際に、85℃での自由収縮が機械方向及び横断方向の両方向において少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、さらにより好ましくは少なくとも20%である固体状態配向フィルムを指す。
【0053】
本明細書で使用する場合、「ドリップ放出製品」という用語は、液体、パージ、滲出液の液滴を放出する製品を意味する。
【0054】
本明細書で使用する場合、「フィルム表面特性」という用語は、表面エネルギー、粗さ及び濡れ性などのプラスチックフィルムの表面の一般的な特性に関する。
【0055】
本明細書で使用する場合、「高粘性製品」、「高粘度製品」などの表現は、ASTM D445法に従って約25℃で測定した、一般に少なくとも1000mPa*sの粘度を有する製品を指す。
【0056】
本明細書で使用する場合、「真空蒸着」は、分子ごとに、又は固体表面上に分子鎖を形成する分子の基によって材料を堆積させて、材料の層を形成することを可能にする方法を指す。堆積させる材料は、液体又は固体の形態の配合されたモノマー又はオリゴマーであり得る。減圧及び加熱すると、材料は蒸発し、フィルム表面に堆積する。堆積すると、材料が液体及び固体の両方を使用して配合されている場合、材料は、液体、固体又はゲルであり得るその最初の状態に戻る。減圧下で加熱すると、液体又は固体材料が蒸気に変換されるため、この「真空蒸着」法は、真空「気相堆積」法とも呼ばれる。
【0057】
本明細書で使用する場合、「粗面又は粗面化した表面」という用語は、滑らかでないパターンを有するフィルムの表面、すなわち、例えば、孔、ピラー、スパイク、しわ、引っかき傷、隆起、くぼみなどのマイクロ及び/又はナノサイズのむらが存在する表面を指し、このような構造は、表面に刻まれているか、又は表面から突き出ている。
【0058】
固体基材の表面上の液滴による接触角θは、表面の濡れ性の定量的尺度として使用される。液体が表面全体に完全に広がり、フィルムを形成する場合、接触角θは0°である。水の場合、接触角が90°より大きい場合、表面又はコーティングは疎水性であると通常は見なされる。水接触角が130°を超える表面又はコーティングは、「超疎水性」とも呼ばれる。
【0059】
本明細書で使用する場合、「超疎水性」という用語は、水を非常に効果的にはじく表面の特性を指す。この特性は、130°より大きい水接触角で表される。
【0060】
本明細書で使用する場合、「超疎水性コーティング組成物」という用語は、熱可塑性フィルムの表面に塗布された場合に、超疎水性コーティングを形成することができる組成物を指す。
【0061】
本明細書で使用する場合、「疎水性」という用語は、約90°~約130°の水接触角で水をはじく表面の特性を指す。
【0062】
本明細書で使用する場合、「親水性」という用語は、水接触角が90°未満の表面を指す。
【0063】
本明細書で使用する場合、「超疎水性コーティング」という用語は、130°より大きい水接触角を特徴とするコーティングに関し、前記接触角は、ASTM D7490-13に従って測定される。
【0064】
本明細書で使用する場合、「疎水性コーティング組成物」という用語は、硬化及び/又は乾燥によって疎水性コーティングを形成する能力を有する成分を含む疎水性コーティング組成物を指す。
【0065】
特に記載のない限り、すべてのパーセンテージは全組成物の重量に対するものである。特に記載のない限り、すべての比率は重量比である。
【0066】
本明細書で使用する場合、「無機コーティング」という用語は、主要量の有機化合物、架橋又は硬化ポリマー、有機網状組織などを含まないコーティングに関する。好ましくは、無機コーティングは、有機化合物を全く含まない。
【0067】
本明細書で使用する場合、「主要量」又は「主要割合」という用語は、言及される要素(例えば、フィルム、層など)の構成成分の総量に関して50重量%を超える構成成分の量を指す。
【0068】
本明細書で使用する場合、「少量」又は「少量割合」という用語は、言及される要素(例えば、フィルム、層など)の構成成分の総量に関して50重量%未満の構成成分の量を指す。
【0069】
本明細書で使用する場合、「ポリマー」という用語は、重合反応の生成物を指し、ホモポリマー及びコポリマーを含む。
【0070】
本明細書で使用する場合、「ホモポリマー」という用語は、単一の種類のモノマーの重合によって得られるポリマー、すなわち、本質的に単一の種類のマー、すなわち繰り返し単位からなるポリマーに関して使用される。
【0071】
本明細書で使用する場合、「コポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合反応によって生成されるポリマーを指す。例えば、「コポリマー」という用語は、エチレンと、1-ヘキセンなどのアルファ-オレフィンとの共重合反応生成物を含む。一般的な用語として使用される場合、「コポリマー」という用語は、例えば、ターポリマーも含む。「コポリマー」という用語はまた、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー及びグラフトコポリマーも含む。
【0072】
本明細書で使用する場合、「不均質ポリマー」又は「不均一系触媒作用によって得られたポリマー」という語句は、分子量の差異が比較的幅広く、組成分布の差異が比較的幅広い重合反応生成物、すなわち、例えば、従来のチーグラー-ナッタ触媒、例えば、有機金属触媒によって活性化された金属ハロゲン化物、すなわち、トリアルキルアルミニウムと錯体化された、任意選択的に塩化マグネシウムを含む塩化チタンを使用して調製された典型的なポリマーを指し、Goekeらの米国特許第4,302,565号及びKarolらの米国特許第4,302,566号などの特許に見ることができる。不均一系触媒によるエチレンと-オレフィンとのコポリマーには、線状低密度ポリエチレン、極低密度ポリエチレン及び超低密度ポリエチレンが含まれ得る。このタイプのいくつかのコポリマーは、例えば、米国ミシガン州ミッドランドのダウ・ケミカル社から入手可能であり、DOWLEX樹脂の商標で販売されている。
【0073】
本明細書で使用する場合、「均質ポリマー」又は「均一系触媒作用によって得られたポリマー」という語句は、分子量分布が比較的狭く、組成分布が比較的狭い重合反応生成物を指す。均質ポリマーは、鎖内のコモノマーの比較的均一な配列、すべての鎖における配列分布のミラーリング、及びすべての鎖の長さの類似性、すなわち、より狭い分子量分布を示すという点で、均質ポリマーは不均質ポリマーとは構造的に異なる。この用語には、メタロセン又は他のシングルサイト型触媒を使用して調製された均質ポリマー、並びに均一系触媒作用条件でチーグラーナッタ触媒を使用して得られた均質ポリマーが含まれる。
【0074】
均一系触媒作用下でのエチレンとアルファ-オレフィンとの共重合、例えば、幾何拘束型触媒、すなわちモノシクロペンタジエニル遷移金属錯体を含むメタロセン触媒系による共重合は、Canichの米国特許第5,026,798号に記載されている。均質エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー(E/AO)としては、ダウ・ケミカル社から入手可能なAFFINITY及びATTANE樹脂として公知の長鎖分枝状(8~20個のペンダント炭素原子)アルファ-オレフィンコモノマーを有する改質又は非改質エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー、日本国東京都のMitsui Petrochemical Corporationから入手可能なTAFMER線状コポリマー、及び米国テキサス州ヒューストンのExxonMobil Chemical Companyから入手可能なEXACT樹脂として公知の短鎖分枝状(3~6個のペンダント炭素原子)-オレフィンコモノマーを有する改質又は非改質エチレン/-オレフィンコモノマーを挙げることができる。
【0075】
本明細書で使用する場合、「ポリオレフィン」という用語は、線状、分枝状、環状、脂肪族、芳香族、置換又は非置換であり得る任意の重合オレフィンを指す。より具体的には、ポリオレフィンという用語には、オレフィンのホモポリマー、オレフィンのコポリマー、オレフィンと、ビニルモノマーなどのオレフィンと共重合可能な非オレフィン系コモノマーとのコポリマー、それらの改質ポリマーなどが含まれる。具体例としては、ポリエチレンホモポリマー、ポリプロピレンホモポリマー、ポリブテンホモポリマー、エチレンと、コモノマーとしてのブテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1などのような1つ以上の-オレフィン(アルファ-オレフィン)とのコポリマーであるエチレン-アルファ-オレフィンなど、プロピレン-アルファ-オレフィンコポリマー、ブテン-アルファ-オレフィンコポリマー、エチレン-不飽和エステルコポリマー、エチレン-不飽和酸コポリマー、(例えば、エチレン-エチルアクリレートコポリマー、エチレン-ブチルアクリレートコポリマー、エチレン-メチルアクリレートコポリマー、エチレン-アクリル酸コポリマー及びエチレン-メタクリル酸コポリマー)、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、イオノマー樹脂、ポリメチルペンテンなどが挙げられる。
【0076】
本明細書で使用する場合、「環状オレフィンコポリマー(COC)」という用語は、メタロセン触媒を使用して、ノルボルネン又はドシクロペンタジエン(docyclopentadiene)などのシクロオレフィンをエチレンと共重合することによって生成される非晶質の透明な熱可塑性プラスチックを指す。
【0077】
本明細書で使用する場合、「イオノマー」という用語は、エチレンを、不飽和有機酸と、又は任意選択的に、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及び亜鉛などの一価又は二価金属イオンで部分的に中和された不飽和有機酸(C1-C4)-アルキルエステルと重合させた生成物を指す。典型的な不飽和有機酸は、熱的に安定であり市販されているアクリル酸及びメタクリル酸である。不飽和有機酸(C1-C4)-アルキルエステルは、一般的に、(メタ)アクリレートエステル、例えば、メチルアクリレート及びイソブチルアクリレートである。複数の不飽和有機酸コモノマー及び/又は複数の不飽和有機酸(C1-C4)-アルキルエステルモノマーの混合物も、イオノマーの調製において使用することができる。
【0078】
本明細書で使用する場合、「改質ポリマー」という語句、並びに「改質エチレン/酢酸ビニルコポリマー」、及び「改質ポリオレフィン」などのより具体的な語句は、その上にグラフトさせた及び/又はそれと共重合させた及び/又はそれとブレンドさせた無水物官能基を有する、そのようなポリマーを指す。そのような改質ポリマーは、無水物官能基を単にそれとブレンドさせたものではなく、その上にグラフトさせた又はそれと重合させたものが好ましい。本明細書で使用する場合、「改質」という用語は、化学的誘導体、例えば、ポリマー上にグラフトさせたか、ポリマーと共重合させたか、又は1種以上のポリマーとブレンドさせたかどうかにかかわらず、マレイン酸、クロトン酸、シトラコン酸、イタコン酸、フマル酸などの無水物など任意の形態の無水物官能基を有するものを指し、これらに由来する酸、エステル及び金属塩などの官能基の誘導体も含む。
【0079】
本明細書で使用する場合、「無水物含有ポリマー」及び「無水物改質ポリマー」という語句は、以下の(1)無水物含有モノマーを第2の異なるモノマーと共重合することによって得られたポリマー及び(2)無水物グラフトコポリマー及び(3)ポリマーと無水物含有化合物との混合物、のうち1つ以上を指す。
【0080】
本明細書で使用する場合、「エチレン-アルファ-オレフィンコポリマー」という語句は、通常約0.900g/cc~約0.930g/ccの範囲の密度を有する線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、通常約0.930g/cc~約0.945g/ccの範囲の密度を有する線状中密度ポリエチレン(LMDPE)、並びに約0.915g/ccより小さい、典型的には0.868~0.915g/ccの範囲の密度を有する極低密度及び超低密度ポリエチレン(VLDPE及びULDPE)など、並びにExxonから入手可能なメタロセン触媒作用によるEXACT(商標)及びEXCEED(商標)均質樹脂、Dowから入手可能なシングルサイトAFFINITY(商標)樹脂、及びMitsuiから入手可能なTAFMER(商標)均質エチレン-アルファ-オレフィンコポリマー樹脂などの、不均質ポリマー及び均質ポリマーを指す。これらのすべての材料は、一般に、エチレンと、ブテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1などのような(C4-C10)-アルファ-オレフィンから選択される1つ以上のコモノマーとのコポリマーを含み、このコポリマーの分子は、側鎖分枝又は架橋構造が比較的少ない長鎖を含む。
【0081】
本明細書で使用する場合、「EVA」という用語は、エチレン及び酢酸ビニルのコポリマーを指す。酢酸ビニルモノマー単位は、次の一般式によって表すことが可能である。
[CH3COOCH=CH2]
【0082】
本明細書で使用する場合、「アクリレート又はアクリレート系樹脂」という語句は、ホモポリマー、コポリマーを指し、例えば、ポリマーの主鎖を形成する繰り返し単位の少なくとも1つにアクリレート部分を有するバイポリマー、ターポリマーなどを含む。一般に、アクリレート系樹脂は、ポリアルキルアクリレートとしても知られている。アクリレート樹脂又はポリアルキルアクリレートは、当業者に公知の任意の方法によって調製することができる。本発明で使用するためのこれらの樹脂の好適例には、エチレン/メタクリレートコポリマー(EMA)、エチレン/ブチルアクリレートコポリマー(EBA)、エチレン/メタクリル酸(EMAA)、エチレン/メチルメタクリレート(EMMA)が含まれ、任意選択的にカルボキシル官能基又は好ましくは無水物官能基、イオノマーなどで改質されている。例えば、Arkema社によるLOTRYL 18 MA 002(EMA)、Du Pont社によるElvaloy AC 3117(EBA)、Du Pont社によるNucrel 1202HC(EMAA)、Du Pont社によるSurlyn 1061(イオノマー)などである。
【0083】
本明細書で使用する場合、「ポリアミド」という用語は、分子鎖に沿ってアミド結合を有する高分子量のポリマーを指し、より具体的には、ナイロンなどの合成ポリアミドを指す。このような用語は、ホモポリアミド及びコポリアミド(又はターポリアミド)の両方を包含する。また、具体的には、脂肪族ポリアミド又はコポリアミド、芳香族ポリアミド又はコポリアミド及び部分芳香族ポリアミド又はコポリアミド、これらの改質体並びにこれらのブレンドも含む。ホモポリアミドは、ポリアミドに特有の化学的官能基を両方、すなわちアミノ基及び酸基を含む単一の種類のモノマー(このようなモノマーは典型的にはラクタム又はアミノ酸である)の重合、又は2種類の多官能性モノマー、すなわちポリアミンと多塩基酸との重縮合に由来する。コポリアミド、ターポリアミド及び多重ポリアミドは、少なくとも2種類(3種類以上)の異なるポリアミドの前駆体モノマーの共重合から生成される。コポリアミドの調製における一例として、2種類の異なるラクタム、又は2種類のポリアミン及びポリ酸、若しくは一方でラクタム及び他方でポリアミン及びポリ酸を使用してよい。例示的なポリマーは、ポリアミド6、ポリアミド6/9、ポリアミド6/10、ポリアミド6/12、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6/12、ポリアミド6/66、ポリアミド66/6/10、これらの改質体及びこれらのブレンドである。前記用語は、結晶性又は部分結晶性の、芳香族又は部分芳香族のポリアミドも含む。
【0084】
本明細書で使用する場合、「非晶性ポリアミド」という語句は、原子寸法と比較して大きい距離にわたって広がっている分子又は分子のサブユニットの規則的な三次元配列のないポリアミド又はナイロンを指す。しかしながら、構造の規則性は局所的なスケールで存在する。「Amorphous Polymers」,Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,第2版,789-842頁(J.Wiley&Sons,Inc.社、1985)を参照のこと。この文献は、米国議会図書館のカタログカード番号が84-19713である。特に、「非晶性ポリアミド」という用語は、示差走査熱量測定(DSC)の当業者によって、測定可能な融点がない(0.5cal/g未満)又はASTM 3417-83を用いてDSCで測定して融解熱がないと認識されている材料を指す。そのようなナイロンとしては、ジアミンとジカルボン酸との縮合重合反応により調製された非晶性ナイロンのようなものが挙げられる。例えば、脂肪族ジアミンが芳香族ジカルボン酸と組み合わせされて、又は芳香族ジアミンが脂肪族ジカルボン酸と組み合わされて、好適な非晶性ナイロンが得られる。
【0085】
本明細書で使用する場合、「ポリエステル」という用語は、例えば、ラクトンの縮合重合反応によって、又はジカルボン酸とグリコールとの重合によって形成することができるエステル結合をモノマー単位間に有するホモポリマー又はコポリマー(「コポリエステル」としても知られている)を指す。本明細書では「(コ)ポリエステル」という用語で、ホモポリマー及びコポリマーの両方が意図される。
【0086】
本明細書で使用する場合、「芳香族ポリエステル」という用語は、1種以上の芳香族又はアルキル置換芳香族ジカルボン酸と1種以上のグリコールとの間にエステル結合を有するホモポリマー又はコポリマー(「コポリエステル」としても知られている)を指す。「(コ)ポリエステル」という用語は、ホモポリマー及びコポリマーの両方を指す。
【0087】
本明細書で使用する場合、「接着している」という用語は、ヒートシール又は他の手段を使用して、互いに直接接着しているフィルム、並びに2枚のフィルム間に存在する接着剤を使用して、互いに接着しているフィルムを含む。
【0088】
本明細書で使用する場合、層に適用されている「直接接着している」という語句は、サブジェクト層とオブジェクト層との間に結合層、接着剤、又は他の層がない、サブジェクト層のオブジェクト層への接着と定義される。
【0089】
それに対し、本明細書で使用する場合、他の指定された2つの層の間に存在すると表現された層に適用されている「の間に」という単語は、他の2つの層へのこれらの間に存在するサブジェクト層の直接接着、並びにサブジェクト層が間に存在する他の2つの層の一方又はその両方への直接接着の欠如を含む。すなわち、サブジェクト層とサブジェクト層が間に存在する1つ以上の層との間に、1つ以上の追加層を設けることができる。
【0090】
本明細書で使用する場合、「ガスバリア」という用語は、層、前記層に含まれている樹脂、又は全体構造に関する場合、層、樹脂又は構造が、これを通過するガスをある程度制限する特性を指す。
【0091】
層又は全体構造に関する場合、「ガスバリア」という用語は、本明細書では、酸素透過度(ASTM D-3985に従って23℃及びR.H.0%で評価)が500cc/m2・day・atm未満、好ましくは100cc/m2・day・atm未満、さらにより好ましくは50cc/m2・day・atm未満であることを特徴とする層又は構造を特定するために使用される。
【0092】
本明細書で使用する場合、「PVDC」という用語は、塩化ビニリデンホモポリマー又はコポリマーを指す。
【0093】
PVDCコポリマーは、主要量の塩化ビニリデン及び少量の1種以上のコモノマーを含む。主要量とは、50%を超える量として定義される。
【0094】
本明細書で使用する場合、「フレキシブル容器」という語句は、末端部シールパウチ、側部シールパウチ、L型シールパウチ、U型シールパウチ(「パウチ」とも呼ばれる)、ガセットパウチ、バックシームチューブ及びシームレスケーシングを含む。
【0095】
本明細書で使用する場合、「シームレスチューブの形状の包装用物品」という語句は、丸ダイを通して(共)押出しされ、任意に配向された多層フィルムから一般に作製されたいかなるシールもないチューブであって、コーティングされたヒートシール性層(A)がこのチューブの最内側層であるチューブに関する。
【0096】
本明細書で使用する場合、「パッケージ」という用語は、製品を物品内に配置し、製品が包装容器を製造するフィルムによって実質的に囲まれるように物品をシールすることによって、そのような物品、すなわち容器又はチューブから製造されるパッケージを含む。
【0097】
本明細書で使用する場合、「パウチ」という用語は、上部開口部、側縁部及び底縁部を有する包装容器を指す。「パウチ」という用語は、レイフラットパウチ、パウチ、ケーシング(ラップシールケーシング、フィンシールケーシング、及びバックシーミングテープをその表面に有するバットシールバックシームケーシングを含めて、シームレスケーシング及びバックシームケーシング)を包含する。様々なケーシング構成はUS6764729に開示されており、L型シールパウチ、バックシームパウチ及びパウチとも呼ばれるU型シールパウチを含む様々なパウチ構成はUS6790468に開示されている。
【0098】
本明細書で使用する場合、「平均粒径」という用語は、走査型電子顕微鏡(FE-SEM)で測定された平均直径を指し、走査型電子顕微鏡の分解能が低すぎる場合には、透過型電子顕微鏡などの別の電子顕微鏡と組み合わせて使用することもできる。具体的には、粒子が球形の場合はその粒径、非球形の場合はその最長径と最短径との平均を直径とし、走査型電子顕微鏡などによって観察されたランダムに選択された20個の粒子の直径の平均を平均粒径とする。
【0099】
本明細書で使用する場合、「微粒子」という用語は、0.5~100ミクロンの平均粒径を有する粒子を指す。
【0100】
本明細書で使用する場合、「ナノ粒子」という用語は、3~100nmの平均粒径を有する粒子を指す。
【0101】
特に指示しない限り、すべてのパーセンテージは、重量パーセントである。
【発明を実施するための形態】
【0102】
本発明の第1の目的は、超疎水性コーティング熱可塑性多層包装フィルムであって、
-熱可塑性単層又は多層基材層(B)と、
-基材層(B)に直接接着している熱可塑性ヒートシール性層(A)と、
-ヒートシール性層(A)の表面に直接接着しており、基材層(B)に直接接着していない、疎水性酸化物ナノ粒子を含む無機コーティング層(C)と
を含み、
層(C)の前記疎水性酸化物ナノ粒子は、3~100nmの平均粒径を有し、0.01~10g/m2(乾燥後のグラム数)の量で存在し、
基材層(B)は、微粒子が混入されている層の総重量に対して計算された少なくとも1%の量で0.5~100ミクロンの平均粒径を有する微粒子を含む
ことを特徴とする
フィルムである。
【0103】
以下では、コーティング層(C)は層(0)、ヒートシール性層(A)は層(1)、ヒートシール性層の非コーティング表面に直接接着している層は層(2)としても呼ばれる。
【0104】
本発明のフィルムは、直接接着している層(C)/(A)/(B)の配置を含む。
【0105】
本発明によるフィルムは、熱可塑性ヒートシール性層(A)を含む。
【0106】
好ましくは、本発明のフィルムのヒートシール性層(A)は、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリエチレン、均質又は不均質の線状エチレン-アルファ-オレフィンコポリマー、ポリプロピレンコポリマー(PP)、エチレン-プロピレンコポリマー(EPC)、アクリレート、メタクリレート、イオノマー、ポリエステル及びそれらのブレンドから選択される主要量のポリマーを含む。
【0107】
好ましくは、ヒートシール性層(A)は、前記ポリマーの1種以上を同じ層に対して60重量%超、70重量%超、80重量%超、90重量%超、95重量%超含み、より好ましくは前記ポリマーの1種以上から実質的になる。
【0108】
EVAは、エチレン及び酢酸ビニルのモノマーから形成されるコポリマーであり、エチレン単位は主要量で存在し、酢酸ビニル単位は少量で存在する。酢酸ビニルの典型的な量は、約5~約20%の範囲であり得る。
【0109】
ヒートシール性層(A)のための特に好ましいポリマーは、通常約0.910g/cc~約0.930g/ccの範囲の密度を有する線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、通常約0.930g/cc~約0.945g/ccの範囲の密度を有する線状中密度ポリエチレン(LMDPE)、並びに約0.915g/cc未満の密度を有する極低密度及び超低密度ポリエチレン(VLDPE及びULDPE)のような不均質材料であり、またExxonから入手可能なメタロセン触媒作用によるEXACT(商標)及びEXCEED(商標)均質樹脂、Dowから入手可能なシングルサイトAFFINITY(商標)樹脂、BorealisによるQUEO、Mitsuiから入手可能なTAFMER(商標)均質エチレン-アルファ-オレフィンコポリマー樹脂などの均質ポリマーである。これらのすべての材料は、一般に、エチレンと、ブテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1などのような(C4-C10)-アルファ-オレフィンから選択される1つ以上のコモノマーとのコポリマーを含み、このコポリマーの分子は、側鎖分枝又は架橋構造が比較的少ない長鎖を含む。
【0110】
当業者に周知であるように、有利には、これらのポリマーを様々な割合でブレンドして、フィルムのシール性を、包装する際におけるそれらの使用に応じて調整することができる。
【0111】
好ましい実施形態では、ヒートシール性層(A)は、LLDPE及びm-PE樹脂のブレンドからなる。
【0112】
一般に、ヒートシール性層(A)に好ましい樹脂は、110℃未満のシール開始温度、より好ましくは105℃未満のシール開始温度、さらにより好ましくは100℃未満のシール開始温度を有する。
【0113】
本発明のフィルムのヒートシール性層(A)は、2~30ミクロン、好ましくは3~25ミクロン、より好ましくは4~20ミクロンの典型的な厚さを有することができる。
【0114】
本発明のフィルムにおいて、ヒートシール性層(A)は、平均粒径が0.5ミクロンより大きいが、層(A)の重量に対して計算された1%未満、好ましくは0.5%未満の量の微粒子を含み得る。より好ましくは、層(A)は、これらの微粒子を全く含まない。
【0115】
ヒートシール性層(A)は、例えば、顔料、潤滑剤、酸化防止剤、遊離基捕捉剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、粘着防止剤、界面活性剤、スリップ補助剤、蛍光増白剤、光沢向上剤、粘度調整剤などのシール性包装フィルムに一般的に使用される添加剤を適宜含むことができる。これらの添加剤が0.5ミクロンより大きい平均粒径を有する微粒子である場合、それらは、層(A)の重量に対して計算された1重量%未満の量で存在する。
【0116】
ヒートシール性層に使用されるポリマー及び本発明のフィルムのヒートシール性層(A)に粒子が存在しないことは、高いシール強度をもたらす。これにより、最終パッケージは、不慮の開放や漏出なしに、包装された製品を外部環境から保護することが保証される。
【0117】
本発明によるフィルムは、熱可塑性単層又は多層基材層(B)を含む。
【0118】
第1の実施形態では、基材層(B)は単層(b)からなり、対応するフィルムは、配置(C)/(A)/(b)を有する三層フィルムである。
【0119】
図1Bには、この実施形態によるフィルムの断面図が示されている。このフィルムは、微粒子(3)を混入した基材層(b)(2)、ヒートシール性層(A)(1)及び疎水性酸化物ナノ粒子のコーティング層(C)(0)を含む。
【0120】
層(b)は、包装フィルムの製造において一般的に使用される1種以上の熱可塑性樹脂を含む。
【0121】
好ましくは、フィルムのこの第1の実施形態において、層(b)は、ヒートシール性層への接着性を向上させるために、無水物改質ポリオレフィンなどの接着性樹脂と任意にブレンドされるポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテート(EVA)、イオノマー、ポリアミド、ポリエステルから選択される1種以上の熱可塑性樹脂を主要割合含み、より好ましくはそれらからなる。
【0122】
本発明のこの実施形態によれば、層(b)は、微粒子(3)を含む。
【0123】
この第1の実施形態における層(b)は、最終的な包装用途に応じて、15~80ミクロン、より好ましくは20~70ミクロンの典型的な平均厚さを有し得る。
【0124】
層(b)の厚さは、微粒子(3)の直径とともに、所望の表面粗さを得るために重要である。
【0125】
熟練した技術者は、層(b)の厚さを調整し、この厚さを微粒子の直径に適合させることで、又は逆に、層(b)の所望の厚さに適合した直径の微粒子を選択することで、表面を多かれ少なかれ粗面化することができる。
【0126】
任意選択的に、層(A)に接着していない基材層(b)の外側表面は、その表面特性を改質するために、表面的に処理及び/又はコーティングされ得る。
【0127】
基材層(b)のこの外側表面は、例えば、アクリルコーティング又は本発明の疎水性酸化物ナノ粒子でコーティングすることができる。
【0128】
本発明のフィルムにおいて、1つはシーリング材層(A)上、もう1つは基材層(b)上の2つの外部コーティング層(C)が存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0129】
第2の実施形態では、基材層(B)は、2つ以上の熱可塑性樹脂の層を含む。
【0130】
図1Cは、この実施形態に対応するフィルムの概略断面図を示す。このフィルムは、微粒子(3)を混入した層(2)、他の任意の層(点線)及び外側層(4)を含む多層基材層(B)、ヒートシール性層(A)(1)並びに疎水性酸化物ナノ粒子のコーティング層(C)(0)を含む。
【0131】
多層基材層(B)の場合、本明細書で層(2)と呼ばれるヒートシール性層(A)に直接接着している層は、ポリオレフィン及び改質ポリオレフィンから選択される1種以上のポリマーを主要割合含むことが好ましく、好ましくはそれらからなる。
【0132】
一実施形態では、層(2)は、ポリプロピレン、エチレンブチルアクリレートコポリマー(EBA)及びエチレンアクリル酸コポリマー(EAA)から選択される1種以上のポリマーを主要割合含み、好ましくはそれらからなる。
【0133】
好ましくは、層(2)は、以下に定義されるように、結合層(D)又はバルク層(H)である。
【0134】
本発明の本実施形態によれば、層(2)は、微粒子を含む。
【0135】
任意に、微粒子は、他の内部フィルム層中にさらに存在してもよい。このような場合、好ましくは、層(2)は、主要割合の微粒子を含む。好ましくは、層(2)のみが微粒子を含む。
【0136】
好ましくは、微粒子は、そのガスバリア特性に対する損傷を回避するために、バリア層(F)中に混入されない。
【0137】
層(2)は、2~100ミクロン、好ましくは5~50ミクロン、より好ましくは10~40、さらにより好ましくは10~20ミクロンの典型的な平均厚さを有することができる。
【0138】
層(2)の厚さは、微粒子(3)の直径とともに、所望の表面粗さを得るために重要である。
【0139】
熟練した技術者は、層(2)の厚さを調整し、この厚さを微粒子の直径に適合させることで、又は逆に、層(2)の厚さに適合した直径の微粒子を選択することで、表面を多かれ少なかれ粗面化することができる。
【0140】
本発明のフィルムは、層(B)中に0.5~100ミクロンの平均粒径を有する微粒子を含む。
【0141】
好ましくは、微粒子は、レーザー粒径分布分析によれば、5~80ミクロン、より好ましくは10~60ミクロンの平均粒径を有する。
【0142】
フィルム表面を粗面化するのに効果的であるために、微粒子は、この微粒子が混入されているフィルムの層の厚さよりも少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも50%大きい平均粒径を有することが好ましい。
【0143】
微粒子は、有機成分及び/又は無機成分を含むことができる。
【0144】
有機成分は、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、エチレン-ビニルアルコールコポリマー、エチレン-エチルアクリレートコポリマー、ポリアクリロニトリル又はポリアミドから選択することができる。
【0145】
無機成分は、例えば、アルミニウム、銅、鉄、チタン、銀、カルシウムなどの金属又はこれらを含む合金若しくは金属間化合物、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの酸化物、リン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウムなどの無機酸塩又は有機酸塩、ガラス、及び窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素などのセラミックから選択することができる。
【0146】
好ましくは、微粒子は、アクリル微粒子、シリカ微粒子、ケイ酸ホウ素微粒子、リン酸カルシウム微粒子、ステアリン酸カルシウム微粒子、ガラス微粒子及び木炭粉末から選択される。
【0147】
好適な微粒子は、例えば、アルケマのAltuglas B100(平均粒径30ミクロン)及びAltuglas B130(平均粒径20ミクロン)などのアクリレートの微粒子、Potters IndustriesのSpheriglass 3000(平均粒径35ミクロン)などの固体ガラス微粒子、Sphericel(R)60P18(平均粒径20ミクロン)などの中空ガラス微粒子、TrelleborgのEccospheres(R)SID230Z(平均粒径55ミクロン)又は3MのiM30Kなどのケイ酸ホウ素微粒子(平均粒径18ミクロン)である。
【0148】
微粒子は、球状、回転楕円体状、不定形状、涙滴状、扁平状などのいずれの形状を有していてもよい。
【0149】
好ましくは、微粒子は、押出し条件に対してより耐性があり、より良好な表面粗さをもたらすような、固体(すなわち、中空又は多孔質ではない)微粒子である。
【0150】
単層基材層(B)の場合は層(b)、多層基材層(B)の場合は層(2)のみ又は層(2)と1つ以上の他の層とである熱可塑性層中の微粒子の含有量は、熱可塑性ポリマー及び微粒子の種類、所望の物理的性質などに応じて適切に変更することができる。
【0151】
一般に、微粒子の含有量は、微粒子が混入されている層の総重量に対して計算された、1~80%、好ましくは3~50%、より好ましくは15~35%である。
【0152】
微粒子の含有量は、単層の重量、すなわち単層基材層(B)の場合は層(b)、若しくは層(2)のみに微粒子が混入されている多層基材層(B)の場合は既に定義したような層(2)のいずれか、又は複数の層に微粒子を含む多層基材層(B)の場合は層の総重量に対して計算される。
【0153】
本発明のフィルムの基材層(B)に混入された微粒子は、少なくともフィルムの層(A)の表面を凹凸のある粗面にする。
【0154】
本発明のフィルムでは、基材層(B)に微粒子が混入されているため、ヒートシール性層(A)の外側表面が粗い。
【0155】
基材層(B)が単層(b)である場合、微粒子の混入により、層(A)/(B)の両方の外側表面が粗くなる可能性がある。
【0156】
多層基材層(B)は、さらなる層を含むことができる。
【0157】
例えば、多層基材層(B)は、層間の接着性を改善する主な機能を有する1つ以上の内側結合層(D)を含むことができる。
【0158】
結合層(D)は、ポリオレフィン及び改質ポリオレフィンから選択される1種以上の接着性ポリマーを主要割合含み、好ましくはそれらからなる。
【0159】
接着性樹脂の具体的ではあるが限定するものではない例としては、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、エチレン-(メタ)アクリレートコポリマー、エチレン-アルファ-オレフィンコポリマー、カルボキシル官能基又は無水物官能基で改質された上記のいずれか、エラストマー及びそれらのブレンドが挙げられる。
【0160】
結合層(D)は、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンコポリマー、スチレン-ブタジエン-スチレンコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンコポリマー、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレンコポリマー及びスチレン-(エチレン-プロピレンゴム)-スチレンコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種のスチレン系ポリマーを含んでよい。
【0161】
結合層(D)は、2~15ミクロン、好ましくは3~10ミクロンの典型的な厚さを有することができる。
【0162】
多層基材層(B)は、外側酷使層(E)を含むことができ、これは、フレキシブル容器において最外側層である。
【0163】
外側酷使層(E)用のポリマーも、シールステップ中のその耐熱性のために選択される。実際、この層に、ヒートシール性層(A)のポリマーの融点よりも高い融点を有するポリマーを使用することが有利であり得る。
【0164】
外側酷使層(E)は、好ましくはポリオレフィン、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、イオノマー、(メタ)アクリレートコポリマー、ポリアミド、ポリエステル及びそれらのブレンドから選択されるポリマーを主要割合含み、好ましくはそれらからなる。
【0165】
任意選択的に、内側層に接着していない外側酷使層(E)の表面は、その表面特性を改質するために、表面的に処理及び/又はコーティングされ得る。
【0166】
本発明のフィルムにおいて、1つはシーリング材層(A)上、もう1つは外側層(E)上に2つの外部コーティング層(C)が存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0167】
多層基材層(B)は、内側ガスバリア層(F)を含むことができる。
【0168】
本発明のフィルムの内側ガスバリア層(F)は、好ましくはポリビニルアルコールコポリマー(PV/A)、エチレン/ビニルアルコールコポリマー(EVOH)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデンコポリマー(PVDC)、ポリ塩化ビニリデン/塩化ビニルコポリマー(PVDC-VC)、ポリ塩化ビニリデン/メチルアクリレートコポリマー(PVDC/MA)、ポリ塩化ビニリデン/塩化ビニルコポリマー(PVDC/VC)とポリ塩化ビニリデン/メチルアクリレートコポリマー(PVDC/MA)とのブレンド、(特許EP2064056B1、実施例1~7に記載されているもののような、特定のチーズのような食品を呼吸させるのに特に有用である)PVdCとポリカプロラクトンのブレンド、ポリエステルホモポリマー及びコポリマー、ポリアミドホモポリマー及びコポリマー並びにそれらのブレンドから選択されるポリマーを主要割合含み、好ましくはそれからなる。
【0169】
本発明のフィルムの内側ガスバリア層(F)は、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%のポリ塩化ビニリデンを含むことができ、好ましくはポリ塩化ビニリデンからなる。ポリ塩化ビニリデンとは、塩化ビニリデンのホモポリマー又は少量の他の好適なモノマーとのそのコポリマーを意味する。ガスバリア層(F)層に好ましいポリマーは、PVDCコポリマーである。特に好ましいコポリマーは、塩化ビニリデン-メチルアクリレートコポリマー、塩化ビニリデン-塩化ビニルコポリマー、塩化ビニリデン-アクリロニトリルコポリマー及び塩化ビニリデン-メチルアクリレート-塩化ビニルターポリマーである。好ましくは、本発明のフィルムは、ポリ塩化ビニリデンを含む1つの内部ガスバリア層(F)のみを含む。
【0170】
別の実施形態では、内側バリア層(F)は、EVOHを含み、任意にポリアミドとの混合体で含む。
【0171】
本発明によるフィルムが外側層(E)及び内側ガスバリア層(F)を含む場合、それは以下のように略述することができる。
【0172】
(C)/(A)/微粒子を有する層(2)/・・・・/(F)/・・・/(E)
【0173】
多層基材層(B)は、剛性層(G)又はバルク層(H)などの追加の内側層を含んでもよい。
【0174】
剛性層(G)は、好ましくはポリアミド、ポリエステル、HDPE、ポリプロピレン、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリスチレン及びそれらのブレンドから選択される剛性ポリマーを主要割合含み、好ましくはそれらからなる。
【0175】
好ましくは、高温製品の包装の場合又は調理用途の場合、本発明のフィルムは、例えば、オーブンで使用可能なパッケージ(例えば、EP2527142A1及びEP1393897A2並びにそこに記載されている耐熱性材料を参照のこと。)で一般的に使用される芳香族ポリエステル又はポリアミドなどの耐熱性材料の1つ以上の層を含むことができる。
【0176】
存在する場合、好ましくは、剛性又は耐熱性の剛性層(G)の全体の厚さは、フィルムの総厚に対して5%より高く50%未満、より好ましくは10%より高く及び/又は40%未満である。
【0177】
バルク層(H)は、好ましくはEVA、アクリレート系樹脂、イオノマー、ポリオレフィン、改質ポリオレフィン及びそれらの混合物から選択されるポリマーを主要割合含み、好ましくはそれらからなる。
【0178】
好ましくは、1つ以上のバルク層(H)の全体の厚さは、フィルムの総厚に対して60%未満、より好ましくは40%未満及び/又は10%より高く、より好ましくは20%より高い。
【0179】
本発明のフィルムの層は、このようなポリマー組成物中に通常含まれている適切な量の添加剤を含むことができる。
【0180】
これらの添加剤としては、タルク、ワックス、シリカなどのようなスリップ剤及び粘着防止剤、酸化防止剤、安定剤、可塑剤、充填剤、顔料及び染料、架橋阻害剤、架橋促進剤、紫外線吸収剤、脱臭剤、脱酸素剤、帯電防止剤、防曇剤又は組成物、並びに包装フィルムの当業者に公知の同様の添加剤が挙げられる。上で説明したように、ヒートシール性層(A)は、層(A)の重量に対して計算された1%未満、好ましくは0.5%未満の量で平均粒径が0.5ミクロンより大きい微粒子を含み得、より好ましくはその微粒子を全く含まない。
【0181】
一実施形態では、本発明のフィルムは、(C)/(A)/(B)/(C)の配置で、ヒートシール性層(A)、基材層(B)、ヒートシール性層(A)の粗面に塗布された第1のコーティング層(C)及び基材層(B)の粗面に塗布された第2の同一の又は異なるコーティング層(C)からなる。
【0182】
本発明のフィルムに好ましい非網羅的な層配置は以下のとおりである。
(C)/(A)/(b)、(C)/(A)/(D)/(E)、(C)/(A)/(D)/(F)/(D)/(E)、(C)/(A)/(H)/(D)/(F)/(D)/(H)/(E)、
(C)/(A)/(D)/(H)/(D)/(F)/(D)/(H)/(D)/(E)、(C)/(A)/(H)/(D)/(D)/(F)/(D)/(H)/(E)、
(C)/(A)/(H)/(D)/(F)/(D)/(G)、(C)/(A)/(H)/(D)/(F)/(D)/(H)/(G)、
(C)/(A)/(H)/(D)/(F)/(D)/(H)/(D)/(G)
ここで、層(A)はヒートシール性層であり、層(b)は単層の場合は基材層(B)であり、層(C)は超疎水性コーティング層であり、層(D)は結合層であり、層(E)は外側酷使層であり、層(F)は内側ガスバリア層であり、層(G)は剛性層であり、層(H)はバルク層である。
【0183】
本発明によるフィルムは、ヒートシール性層(A)の表面に直接接着している疎水性酸化物ナノ粒子を含む無機コーティング層(C)を含む。
【0184】
本発明のフィルムのコーティング層(C)は、無機コーティング、すなわち、主要量の無機成分を含み、主要量の有機化合物、オリゴマー、架橋又は硬化ポリマー、有機網状組織などを含まないコーティングである。好ましくは、コーティング層(C)は、有機化合物、オリゴマー、架橋若しくは硬化ポリマー又は有機網状組織を含まない。
【0185】
疎水性酸化物ナノ粒子は、ヒートシール性層(A)にコーティングされると、三次元網状構造を有する多孔質コーティング層(C)を形成する。
【0186】
好ましくは、コーティング層(C)は、0.1~5.0ミクロン、より好ましくは0.2~4ミクロン、より好ましくは1.0~2.5ミクロンの厚さを有する。
【0187】
無機コーティング層(C)の疎水性酸化物ナノ粒子は、3~100nm、好ましくは5~50nm、より好ましくは5~20nmの平均粒径を有する。
【0188】
平均粒径は、走査型電子顕微鏡(FE-SEM)で、場合により透過型電子顕微鏡などの電子顕微鏡を併用して測定することができる。
【0189】
疎水性酸化物ナノ粒子の比表面積(BET法)は特に限定されないが、ISO9277に従って測定すると、通常50~300m2/g、好ましくは100~300m2/gである。
【0190】
ヒートシール性層(A)に堆積される疎水性酸化物ナノ粒子の量(乾燥後のグラム数)は、0.01~10g/m2、好ましくは0.1~2.0g/m2、より好ましくは、0.2~1.5g/m2である。
【0191】
疎水性酸化物ナノ粒子は、それらが疎水性を有するものであれば特に限定されない。したがって、それらは、シランカップリング剤との反応などの好適な表面処理によって疎水性にされた粒子であり得る。
【0192】
好適な酸化物の例は、シリカ(二酸化ケイ素)、アルミナ、マグネシア、チタニアなど、及びそれらの混合物である。
【0193】
シリカの例としては、製品名Aerosil R972、Aerosil R972V、Aerosil R972CF、Aerosil R974、Aerosil RX200及びAerosil RY200(日本アエロジル株式会社製)並びにAerosil R202、Aerosil R805、Aerosil R812及びAerosil R812S(エボニック デグサ社製)が挙げられる。チタニアの例としては、製品名Aeroxide TiO2 T805(エボニック デグサ社製)などが挙げられる。
【0194】
アルミナの例としては、Aeroxide Alu C(エボニック デグサ社製)などをシランカップリング剤で表面処理して疎水化したナノ粒子が挙げられる。
【0195】
好ましくは、疎水性酸化物は、シリカそれ自体又はシリカ前駆体、例えばテトラエチルオルトシリケート(TEOS)などである。
【0196】
好ましくは、表面トリメチルシリル基を有する疎水性の高いシリカ粒子が使用される。
【0197】
コーティング層(C)は、亜鉛及び/又はマグネシウムなどの他の無機成分をさらに含んでもよい。
【0198】
コーティング層(C)は、フィルム表面に超疎水性を付与する。
【0199】
コーティング層(C)でコーティングされた本発明のフィルムの表面は、ASTM D7490-13に従って測定した、130°より大きい、好ましくは140°より大きい、より好ましくは150°より大きい、さらにより好ましくは160°より大きい水接触角を特徴とする。
【0200】
本発明のフィルムの超疎水性コーティングは、非常に良好な滑り特性を提供し、これは、その可撓性パッケージから高粘性又は粘着性の製品を完全に回収するのに特に有利である。驚くべきことに、新鮮な肉などのドリップ放出製品は、本発明のフィルムに真空包装された場合、パージが少なくなる。
【0201】
好ましくは、コーティング層(C)は、単層コーティングであるが、多層コーティングも可能である。
【0202】
本発明のフィルムは、7~250ミクロン、好ましくは10~200ミクロンの総厚を特徴とする。
【0203】
本発明のフィルムは、250ミクロン未満、好ましくは200ミクロン未満又は150ミクロン未満の総厚を特徴とする。
【0204】
本発明のフィルムは、配向されていてもよく、任意に二軸配向されていてもよく、熱収縮性であってもよい。
【0205】
好ましくは、ドリップのある製品を包装するために、本発明のフィルムは、配向され、熱収縮性である。
【0206】
ドリップのある製品を包装するための収縮性バッグの場合、本発明のフィルムは、85℃でのLD方向及びTD方向のそれぞれにおける自由収縮%が少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、さらにより好ましくは少なくとも20%であり、85℃での全自由収縮が少なくとも45%、好ましくは少なくとも55%、さらにより好ましくは少なくとも60%(ASTM D2732による)であることを特徴とすることができる。
【0207】
好ましくは、高粘性又は粘着性の製品を包装するために、本発明のフィルムは、配向されておらず、熱収縮性ではない。
【0208】
本発明の第2の目的は、第1の目的の超疎水性コーティング熱可塑性多層包装フィルムの製造方法であって、この製造方法は、
i)熱可塑性のコーティングされていないフィルム(A)/(B)を提供することと、このフィルム(A)/(B)は、
-熱可塑性単層又は多層基材層(B)と、
-基材層(B)に直接接着している外側熱可塑性ヒートシール性層(A)と
を含み、
基材層(B)は、微粒子が混入されている層の総重量に対して計算された少なくとも1%の量の0.5~100ミクロンの平均粒径を有する微粒子を含む、
ii)熱可塑性のコーティングされていないフィルム(A)/(B)の基材層(B)に直接接着していないヒートシール性層(A)の表面を、3~100nmの平均粒径を有する疎水性酸化物ナノ粒子を含む無機コーティング組成物を塗布することによってコーティングすることと、
iii)塗布されたコーティングを乾燥させて、0.01~10g/m2(乾燥後のグラム数)の量で疎水性酸化物ナノ粒子を含む無機コーティング層(C)を形成することと
を含む製造方法である。本発明のフィルムの製造方法は、最初に、コーティングされていないフィルム(A)/(B)を提供することを含み、このフィルム(A)/(B)は、
-熱可塑性単層又は多層基材層(B)と、
-基材層(B)に直接接着している外側熱可塑性ヒートシール性層(A)と
を含む(ステップi)。
【0209】
コーティングされていないフィルム(A)/(B)のヒートシール性層(A)は、平均粒径が0.5ミクロンより大きいが、層(A)の重量に対して計算された1%未満、好ましくは0.5%未満の量の微粒子を含み得る。より好ましくは、層(A)は、これらの微粒子を全く含まない。
【0210】
熱可塑性のコーティングされていないフィルム(A)/(B)は、従来の技術に従って、例えば、すべての層の共押出し、いくつかの層の共押出しに続く押出しコーティング又は残りの層の積層、好ましくはすべての層の共押出しによって製造することができる。
【0211】
好ましくは、コーティングされていないフィルム(A)/(B)は、ポリマー溶融物をチューブ又はフラットフィルムに造形することを可能にする円形又はフラットフィルムダイのいずれかを使用して、共押出し又は押出しコーティングによって製造される。
【0212】
第1の変形例によれば、コーティングされていないフィルム(A)/(B)は、丸ダイを通して共押出しされて、溶融ポリマーのチューブが得られ、これは膨張することなく押出し直後に急冷され、任意に架橋され、次に冷却される。
【0213】
配向されたコーティングされていないフィルム(A)/(B)の場合、次に、急冷されたチューブは、典型的には、チューブを湯浴に通すか又はIRオーブン若しくは熱風で加熱することによって、使用される樹脂すべてのTgを超え、使用される樹脂の少なくとも1種の融点を下回る温度に加熱される。次に、加熱されたチューブは、この温度のまま、内部空気圧によって引き伸ばされて、横断方向の配向が得られ、こうして得られた「トラップ気泡」を保持する異周速のピンチロールによって長手方向に引き伸ばされる。
【0214】
場合によっては、配向したコーティングされていないフィルム(A)/(B)を、コーティングされていない(A)/(B)熱収縮性フィルムの低温寸法安定性をより良好に制御することを目的とする制御された加熱-冷却処理(いわゆるアニーリング)に供することが望ましい場合がある。
【0215】
そうでない場合、コーティングされていないフィルム(A)/(B)は、スロットダイを通したフラット共押出しによって得ることができ、その後、フラットテープをその軟化温度であるが、その溶融温度未満に加熱し、同時に又は逐次テンターフレームで、固体状態で延伸することによる、任意の架橋及び/又は配向が続く。コーティングされていないフィルム(A)/(B)は、アニールし、次に急速に冷却して、フィルムの分子をそれらの配向状態で何らかの方法で凍結し、巻き取ることができる。
【0216】
好ましくは、コーティングされていないフィルム(A)/(B)は、良好なシール性能を維持するために架橋されていない。
【0217】
配向したコーティングされていないフィルム(A)/(B)の場合、本発明のフィルムの典型的な固体状態配向比は、各方向(MD及びTD)において2:1~6:1、又は各方向において3:1~5:1、又は各方向において3.5:1~4.5:1であり得る。
【0218】
コーティングされていないフィルム(A)/(B)は、基材層(B)に微粒子を含む。
【0219】
微粒子は、例えば、二軸スクリュー押出機中でポリエチレンなどの担体樹脂と配合してマスターバッチを得、次に、これを熱可塑性樹脂層、すなわち層(b)又は層(2)を形成するための原料と、既に定義したような可能なさらなる内側層とともに共押出しすることができる。
【0220】
又は、微粒子は、事前に配合することなく、共押出しでそれぞれの樹脂と直接ドライブレンドすることができる。
【0221】
熱可塑性のコーティングされていないフィルム(A)/(B)のヒートシール性表面は、共押出し中に基材層(B)に微粒子を混入するために粗い。
【0222】
出願人は、基材層(B)中に微粒子を有する熱可塑性のコーティングされていないフィルム(A)/(B)の粗いヒートシール性表面が、依然としてコーティング成分を効率的に捕捉及び固定することができ、安定な、すなわち、経時的に超疎水性を維持する疎水性の高い材料をもたらすことを見出した。
【0223】
任意選択的に、熱可塑性のコーティングされていないフィルム(A)/(B)のヒートシール性表面は、例えばエンボス加工、ナノインプリントリソグラフィなどの他の粗面化処理をさらに施されてもよい。
【0224】
本発明のフィルムの製造方法は、熱可塑性のコーティングされていないフィルム(A)/(B)の基材層(B)に直接接着していないヒートシール性層(A)の表面を、3~100nmの平均粒径を有する疎水性酸化物ナノ粒子を含む無機コーティング組成物を塗布することによってコーティングすること(ステップii)を含む。
【0225】
ヒートシール性層(A)の前記表面のコーティングは、例えばグラビアコーティング、スムースロールコーティング、ダイレクトグラビア、リバースグラビア、オフセットグラビア、スプレーコーティング又はディップコーティングなどの任意の標準的なコーティング方法によって行うことができる。
【0226】
別の方法として、コーティングは真空蒸着によって塗布されてもよい。
【0227】
図4は、本発明のある種の実施形態による、真空蒸着によってコーティングの薄層をフィルムに塗布するための方法のブロック図である。
【0228】
図4の真空蒸着装置10は、フィルム60に塗布される液体コーティングを保持するための脱ガス容器20を含む。液体コーティングは、脱ガス容器20から蒸発チャンバ30に運ばれ、そこで液体コーティングは、その沸点を超えるまでフラッシュ蒸発される。次に、蒸気は、蒸発チャンバ30から蒸着装置40に導かれる。蒸着装置40は、減圧下でフィルム60の表面にコーティングを塗布するための蒸着ノズル50を含む。フィルム60は、コーティングされていない領域70及び蒸着ノズル50で真空蒸着が生じた後、フィルム60上に形成されたコーティングされた領域80を有する。コーティングされていないフィルム70は、コーティングの堆積を容易にするために、蒸着前又は蒸着中にコールドロール90を通過することができる。
【0229】
このコーティングに使用されるフィルム60は、上記のコーティングされていない熱可塑性フィルム(A)/(B)であり、基材層(B)に混入された微粒子によるくぼみのあるヒートシール性表面を有する。
【0230】
液体のフラッシュ蒸発は、蒸発チャンバ30内で行ってもよい。フラッシュ蒸発では、液体は高温下で加熱されたチャンバ30に導入され、それにより液体は瞬時に蒸発する。蒸着速度及びコーティングの厚さは、液体が蒸発チャンバに供給される速度によって正確に制御することができる。
【0231】
コーティングされるフィルム60は、フィルムが繰出しリールから巻き出され、コーティング工程の後にロールに巻き直される従来のロール・ツー・ロール法によって取り扱われる。
【0232】
コーティングされていない熱可塑性フィルム(A)/(B)がチューブであり、ヒートシール性層(A)が最内側層である場合、前記最内側表面をコーティングするための好ましい方法は、スプレーコーティング又はウェットソッキング(wet-socking)である。
【0233】
コーティングされていない熱可塑性フィルム(A)/(B)のヒートシール性表面に塗布されるコーティング組成物の量は、一般に4~50g/m2(湿潤グラム数)の範囲である。
【0234】
コーティングされていない熱可塑性フィルム(A)/(B)に超疎水性特性を付与するのに好適なコーティング組成物は、一般に、液体分散液であり、これは堆積及びその後の乾燥時に、ナノ構造超疎水性層(C)を形成する。
【0235】
好ましくは、コーティング組成物は、前述の疎水性酸化物のうち1つ以上の分散液、より好ましくは、シランカップリング剤との反応によって任意に疎水性にされたシリカ、アルミナ、チタニアの分散液、又はそれらの混合物である。
【0236】
好ましくは、コーティング組成物は、亜鉛又はマグネシウムなどの他の無機成分をさらに含む。
【0237】
コーティング組成物は、好ましくは、有機フィルム形成ポリマー又は硬化性ポリマーを含まない。
【0238】
コーティング組成物の溶媒は、水、又は例えばアルコール、シクロヘキサン、トルエン、アセトン、エチルアセテート、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ブチルジグリコール、ペンタメチレングリコール、ノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、ヘキシルアルコールなどの有機溶媒であり得る。
【0239】
好ましくは、コーティング組成物の溶媒は、水、アルコール又はそれらの混合物であり、より好ましくは、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール又はそれらの混合物である。
【0240】
分散剤、着色剤、沈降防止剤、粘度調整剤などの添加剤も含めることができる。
【0241】
コーティング組成物中の疎水性酸化物の量は、一般に約10~100g/lの範囲である。
【0242】
好ましくは、ヒートシール性層(A)の表面のコーティング(ステップii)は、疎水性酸化物の含有量が10~100g/lである無機コーティング組成物を塗布することによって行われる。
【0243】
好ましくは、ヒートシール性層(A)の表面のコーティング(ステップii)は、無機コーティング組成物を4~50g/m2の量で塗布することによって行われる。
【0244】
好ましくは、ヒートシール性層(A)の表面のコーティング(ステップii)は、疎水性酸化物の含有量が10~100g/lである無機コーティング組成物を、4~50g/m2の量で塗布することによって行われる。
【0245】
コーティング堆積後、コーティングされたフィルムは、空気蒸発によって、又は典型的には150℃未満、好ましくは80~120℃の温度に設定した熱風オーブン若しくは他の従来のオーブン(例えば、IR加熱オーブン)に通すことによって乾燥される(ステップiii)ことが好ましい。
【0246】
得られた乾燥コーティング層(C)は、一般に、0.1~5.0ミクロン、好ましくは0.2~4.0ミクロン、より好ましくは1.0~2.0ミクロンの厚さを有する。
【0247】
本発明のある種の実施形態では、粗面化された表面に2つ以上のコーティング堆積を施すことができる。これらの実施形態では、同一の又は異なる超疎水性化合物を含むコーティングを順次堆積させることができる。
【0248】
本発明の第3の目的は、包装用物品、好ましくは食品包装用物品である。
【0249】
本発明の包装用物品は、製品を導入するための少なくとも1つの開口部を有する。
【0250】
包装用物品は、本発明によるフィルムから製造された、製品を導入するための少なくとも1つの開口部を有する、シームレスチューブ又はパウチ若しくはバッグなどのフレキシブル容器であってもよい。
【0251】
本発明による包装用物品において、コーティング層(C)は、物品の最内側層である。
【0252】
従来の製造方法を使用して、本発明による包装用物品を製造することができる。
【0253】
この包装用物品は、本発明によるフィルムから製造されたシームレスチューブ又はフレキシブル容器の形態であり、このチューブ又は容器の最も内側の表面(すなわち、食品接触面)は、本発明によるコーティング超疎水性表面である。
【0254】
本発明による包装用物品は、シームレスチューブ又はフレキシブル容器であり、無機コーティング層(C)が物品の最内側層である。
【0255】
一実施形態では、最内側表面として超疎水性表面を有するシームレスチューブ又はフレキシブル容器は、二軸配向され、熱収縮性である。有利なことに、シームレスチューブ又はフレキシブル容器は、真空化され、製品の周囲で熱収縮したときに、包装された製品からのジュースの流出を防ぐパッケージを提供する。
【0256】
一実施形態では、包装用物品は、本発明による熱収縮性フィルムから製造されたシームレスチューブ又はフレキシブル容器の形態であり、このチューブ又は容器の最も内側及び最も外側の表面の両方は、超疎水性表面である。このフィルムは、層(C)/(A)/(B)/(C)の配置を有し得、コーティング層(C)は、同一であっても異なっていてもよい。
【0257】
有利なことに、これらのシームレスチューブ又はフレキシブル容器は、製品の周囲で熱収縮したときに、包装された製品からのジュースの流出を防ぎ、同時に、湯浴で収縮した後の乾燥ステップを必要としないバッグ及びパウチを提供する。
【0258】
一実施形態では、包装用物品は、チューブの最内側表面として超疎水性表面を有するシームレスチューブである。
【0259】
シームレスチューブは、既に定義したような本発明のフィルムの層の丸ダイによる共押出し又は押出しコーティングによって製造することができ、任意に、上記のように、放射線照射及び/又はトラップ気泡配向、及び場合によってはアニーリングが続く。
【0260】
得られたシームレスチューブは、直接加工してフレキシブル包装容器を提供するか、それに代えて、ロールに巻き取られるか又はさらに再加工される前にスリットを入れることによってフラットフィルムに転換させることができる。
【0261】
一実施形態では、本発明によるフレキシブル容器はパウチである。
【0262】
好ましくは、本発明によるパウチのフィルムの厚さは、50~150ミクロンである。
【0263】
一実施形態では、パウチは熱収縮性ではない。
【0264】
一実施形態では、パウチはガスバリア性であり、熱収縮性ではない。
【0265】
一実施形態では、パウチは熱収縮性である。
【0266】
一実施形態では、パウチは、熱収縮性及びガスバリア性である。
【0267】
本発明によるパウチは、本発明によるフィルムを折り畳み、自己シールし、切り離すことによって製造することができる。
【0268】
本発明によるフィルム自体へのヒートシールは、フィンシール及び/又はラップシール方式で行うことができる。
【0269】
フィンシール方式では、2つのコーティングされた外側ヒートシール性表面が向かい合って一緒にシールされる(つまり、第1のコーティングされた外側ヒートシール性表面は、別の第1のコーティングされた外側ヒートシール性表面に面する)。
【0270】
ラップシール方式では、第1のコーティングされた外側ヒートシール性表面は、フィルムの第2の外側表面にシールされる(つまり、フィルムのコーティングされた外側ヒートシール性表面は、フィルムの第2の外側表面と重なる)。
【0271】
本発明によるパウチは、2つ又は3つのシールと、製品を挿入するための開口部とを含むことができる。
【0272】
図3A~3Dは、本発明のパウチのいくつかの実施形態を示す。
【0273】
一実施形態(I)では、パウチは、上部開口部、2つのフィンシールされた側部及び折り畳まれた底部を備える(
図3A)。
【0274】
一実施形態(II)では、パウチは、上部開口部、1つの折り畳まれた側部、1つのフィンシールされた側部及びフィンシールされた底部を備える(
図3B)。
【0275】
一実施形態(III)では、パウチは、上部開口部、2つの折り畳まれた側部、1つの中央長手方向ラップシール及びフィンシールされた底部を備える(
図3C)。
【0276】
一実施形態(IV)では、パウチは、上部開口部、2つのフィンシールされた側部及びフィンシールされた底部を備える(
図3D)。
【0277】
本発明によるパウチは、既知の方法に従って、ロールから巻き出されたフィルム(実施形態I~III)から、若しくは2つの結合フィルム(実施形態IV)から、又は2つのフィルムの場合、場合により2つの分離されたロールから製造することができる。
【0278】
そうでない場合、本発明によるパウチは、既知の方法に従って、本発明のフィルムの1つ(実施形態I~III)又は2つ(実施形態IV)の予め切断された断片から製造することができる。
【0279】
本発明によるパウチは、当技術分野において公知のように、出発フィルム又は出発フィルムの予備切断片の、従来の折畳み、シール及び切断工程によって製造された予め製造されたパウチであり得る。
【0280】
好ましくは、本発明によるパウチは、既知のフォームフィルシール法に従って、好ましくは垂直型充填シール(VFFS)法によって、製造され、製品が直接充填され、インラインで閉じられてもよく、この結果として最終パッケージを提供する。
【0281】
VFFS法は当業者には公知であり、特に液体包装に使用されている。VFFS法は、例えばUS4589247に記載されている。
【0282】
簡単に説明すると、流動性製品は、中央の垂直充填チューブを通して、その下端で横断方向及び長手方向にシールされて形成されたチューブ状フィルムに導入される。次いで、チューブ状部分の上端をシールし、最後に、パウチをその上のチューブ状フィルムから切り離すことによってパウチが完成される。
【0283】
一実施形態では、本発明によるフレキシブル容器はバッグである。
【0284】
好ましくは、本発明によるバッグのフィルムの厚さは、35~90ミクロンである。
【0285】
一実施形態では、バッグは熱収縮性ではない。
【0286】
一実施形態では、バッグはガスバリア性であり、熱収縮性ではない。
【0287】
一実施形態では、バッグは熱収縮性である。
【0288】
一実施形態では、バッグはガスバリア性であり、熱収縮性である。
【0289】
本発明によるバッグは、本発明によるフィルムを折り畳み、自己シールし、切り離すことによって製造することができる。
【0290】
本発明によるフィルム自体へのヒートシールは、先に説明したように、フィンシール及び/又はラップシール方式で行うことができる。
【0291】
本発明によるバッグは、例えば、末端部シールバッグ(ES)、側部シールバッグ、L型シールバッグ又はU型シールバッグであってもよい。
【0292】
一実施形態では、バッグは、シームレスチューブから製造された末端部シールバッグであり、この末端部シールバッグは、上部開口部、第1及び第2の折り畳まれた側縁部、並びにバッグの底部にわたる末端部シールを有する。
【0293】
一実施形態では、バッグは、上部開口部、折り畳まれた底縁部、並びに第1及び第2の側部シールを有する側部シールバッグである。
【0294】
当技術分野において公知である他のバッグ及びパウチ製造方法は、本発明によるフィルムからフレキシブル容器を製造するために容易に適合させることができる。
【0295】
本発明の第4の目的は、第1の目的のフィルムと製品とを含む密封パッケージであり、フィルムは製品を密封し、製品と接触するパッケージの表面は、フィルムの無機コーティング層(C)である。
【0296】
一実施形態では、パッケージは、製品を密封する本発明による包装用物品を含み、製品と接触する包装用物品の表面は、超疎水性コーティング層(C)であり、製品は食品である。
【0297】
本発明のパッケージの一実施形態では、包装用物品は、パウチ、好ましくは非収縮性パウチ、より好ましくは非収縮性ガスバリアパウチである。
【0298】
前述のように、食品及び非食品を包装する一般的な方法は、水平型充填シール(HFFS)機又は垂直型充填シール(VFFS)機などのフォームフィルシール機で製造されたパウチを用いるものである。VFFS法中に、流動性製品は、中央の垂直充填チューブを通して、その下端で横断方向及び長手方向にシールされて形成されたチューブ状フィルムに導入される。
【0299】
流動性製品は、重力によって形成されたチューブ内に導入することができ、又は、好ましくは、高粘性の場合、ポンプで注入することができる。
【0300】
感熱性でない場合、製品は、その流動性を改善するために、又は滅菌若しくは低温殺菌熱処理のために、成形パウチに導入される前に加熱される場合がある。例えば、トマトペースト及びソースは一般に、包装する前に80~85℃に加熱される。
【0301】
本発明のパッケージの一実施形態では、包装用物品は、バッグ、好ましくは収縮性バッグ、より好ましくは収縮性ガスバリアバッグである。
【0302】
好ましくは、本発明のパッケージは減圧下にある。
【0303】
包装用物品がバッグである場合、従来の包装方法では、製品は、本発明のフィルムで製造された任意に熱収縮可能なバッグに装填され、このバッグは通常、排気され、その開口端は、ヒートシール又は例えば金属のクリップを適用することによって封じられる。この方法は、排気及びクリップの適用又はヒートシールが自動的に行われる真空チャンバ内で実施されることが有利である。バッグをチャンバから取り出した後、任意に熱を加えることによって熱収縮させる。収縮は、例えば、充填済みバッグを湯浴に浸漬することによって、又はそれを熱水シャワー若しくは熱風トンネルを通して運ぶことによって、又は赤外線放射によって行うことができる。熱処理によって、この中に包装された製品の輪郭にぴったりと一致する気密な包装が形成される。
【0304】
本発明のフィルムによる熱収縮性、好ましくは、ガスバリアバッグは、好ましくは食品包装、具体的には食肉、鳥肉、チーズ、加工及び燻製肉、豚肉並びに子羊肉の包装に幅広く適用される。フィルムの収縮特性は、実際に、製品の周囲でバッグが完全に収縮することを保証するものであり、その結果バッグにしわが寄ることがなく、したがって見栄えの良いパッケージを提供し、またドリップ損失を低減する。バッグは、充填、排気、シール、封止、熱収縮、箱詰め、出荷、荷降ろし及び小売りスーパーマーケットでの保管という工程を物理的に耐えるために適切な耐酷使性を有し、またその装填工程も改善するのに十分な剛性を有する。
【0305】
一実施形態では、本発明のパッケージは、例えば、新鮮な肉又は加工肉などのドリップ放出食品を含む。
【0306】
好ましくは、ドリップ放出食品は、本発明による真空ガスバリア収縮性バッグに包装される。
【0307】
一実施形態では、パッケージは真空にされ、収縮され、製品は新鮮な肉である。
【0308】
一実施形態では、パッケージは、高粘性又は粘着性の製品、好ましくは高粘性又は粘着性の食品を含む。
【0309】
高粘性又は粘着性の食品の例は、トマトソース、トマトペースト濃縮物、ヘーゼルナッツスプレッド、ソース、調味料、スープ、ジャム、マーマレード、キャラメルソース、チョコレートソース、ケーキ装飾用のアイシング及びピーナッツバターである。
【0310】
好ましくは、高粘性又は粘着性の食品は、本発明による非収縮性ガスバリアパウチに包装される。
【0311】
パッケージは、任意に、少なくとも1つの引裂き開始部(tear initiator)を含む。
【0312】
本発明の第5の目的は、製品を包装するための、好ましくは高粘性、粘着性又はドリップ放出製品を包装するための第1の目的のフィルムの使用であり、製品と接触するパッケージの表面は、フィルムの無機コーティング層(C)である、フィルムの使用である。好ましくは、製品は食品である。
【0313】
本発明は、以下の実施例によってさらに例示される。
【実施例】
【0314】
フィルムの製造には以下の樹脂を使用した。
【0315】
【表1】
表中
LLDPE1:密度0.9180g/cc、メルトフローレート(190℃/2.16kg)4.50g/10分、融点114.0℃
LLDPE2:密度0.917g/cc、メルトフローレート(190℃/2.16kg)4.50g/10分
LLDPE3:密度0.912g/cc、メルトフローレート(190℃/2.16kg)1.00g/10分
LDPE1:粘着防止樹脂、灰分9.2%、密度0.97g/cc、メルトフローレート(190℃/2.16kg)3.00g/10分、含水率最大0.20%
LDPE2:粘着防止樹脂、灰分2.40%、密度0.92g/cc、メルトフローレート(190℃/2.16kg)6.5g/10分、融点110℃
EVA1:コモノマー含有量(酢酸ビニル)18%、密度0.940g/cc、メルトフローレート(190℃/2.16kg).0.70g/10分、融点87.0℃、含水率最大0.3%、ビカット軟化点69.0℃
LLDPE-md1:コモノマー含有量(無水マレイン酸)最小0.09最大0.15%、密度0.930g/cc、メルトフローレート(190℃/02.16kg).2.50g/10分、融点126.0℃、ビカット軟化点109℃
LLDPE-md2:密度0.919g/cc、メルトフローレート(190℃/02.16kg).2.3g/10分、融点122.0℃
PA-6:密度1.130g/cc、融点220℃、相対粘度155
EVOH/EVAL1:コモノマー含有量44%、結晶点144℃、密度1.14g/cc、ガラス転移54℃、メルトフローレート(190℃/02.16kg)1.7g/10分、融点165℃、ビカット軟化点152℃、
EVOH/EVAL2:コモノマー含有量38%、結晶点148℃、密度1.17g/cc、ガラス転移53℃、メルトフローレート(190℃/02.16kg)1.7g/10分、融点172℃
HDPE:密度0.961g/cc、メルトフローレート(190℃/02.16kg).6.20g/10分、融点135.0℃
ガラス微粒子:固体ガラス微小球、平均粒径:30~50μm、タップかさ密度:1.59g/cc。
【0316】
<フィルム構造>
以下のフィルムを製造した。
【0317】
【0318】
【0319】
【0320】
比較フィルムC1は、微粒子を含まず、コーティングされていない従来のフィルムを表す。それは下向きに回転するキャストラインで製造した。8つの層をそれぞれの押出機で共押出しし、丸い共押出ダイで共押出しした。ダイ出口で、溶融物は2、3のニップロールによって下向きに引き込まれ、続いて水カスケードで外側表面が急冷された。チューブを平らな「テープ」の形状に潰したニップロールの後、急冷したテープをワインダーに集めた。この二重テープを最終的にエッジリッピングし、2つの単一フィルムに分離し、所望の幅に切り離した。
【0321】
比較フィルムC2及びC3は、C1と同様の方法で製造したが、押出し時に、表面粗さを付与するために、それぞれ表2に示す層にガラス微粒子を混入した。
【0322】
次に、コーティングされていないフィルムC2及びC3を、無機疎水性コーティング組成物を塗布することによってコーティングし、乾燥後、それぞれ、本発明の実施例1の対応するコーティングフィルム及びコーティングされた比較フィルムC4を得た。
【0323】
無機疎水性コーティング組成物は、疎水性酸化物ナノ粒子(Aerosil R812S(エボニック デグサ社製)、BET比表面積:220m2/g、一次粒子平均径:7nm)5gをエタノール100mlに分散させることによって調製した。
【0324】
疎水性コーティング組成物は、従来の装置での標準的なグラビアコーティング工程によって塗布した。塗布及び乾燥工程の条件は次のとおりである。機械速度:120m/分、コーティングロール:グラビアロール、50ライン/cm、コーティング組成物重量:約15g/m2(湿潤グラム数)、オーブン乾燥温度:90℃。最終的なコーティングは約0.5ミクロン厚であり、乾燥重量は約0.3g/m2であった。
【0325】
実施例2のフィルム及び比較フィルムC5は、2つのポリアミド層を含む耐酷使性の高いフィルムである。両方のフィルムは、表面粗さを付与するために、表2に示す層(すなわち、実施例1のフィルムの場合は層2、C5の場合は層1)にガラス微粒子を混入して、上記のように共押出しによって製造した。共押出し後、上記の無機疎水性コーティング組成物を、上記のように同じ条件で、従来の装置での標準的なグラビアコーティング工程によって塗布した。実施例2及び比較フィルムC5の層Cは、実施例1の層Cと同一である。
【0326】
<フィルムの特性>
比較フィルム及び本発明のフィルムを以下の試験に従って特性評価した。
【0327】
<水接触角>
上記のフィルムの静的水接触角をASTM D7490-13に従って測定した。
【0328】
比較フィルムC1、C2、C4及び実施例1の本発明のフィルムについて接触角を測定した。C1及びC2ではコーティングされておらず、実施例1及びC4では超疎水性コーティングでコーティングされている層(1)に対応する最外側表面で接触角を測定した。
【0329】
結果を以下の表3にまとめる。
【0330】
【0331】
見て分かるように、比較例のコーティングされていないフィルムC1の水接触角は81.4°であったが、層(2)中に微粒子を混入した比較例のコーティングされていないフィルム(C2)についてはより低い値である72.6°が測定された。これらの値は、親水性の湿潤性表面に典型的である。
【0332】
これに対して、比較フィルムC4及び実施例1の本発明のフィルムのコーティング表面は、これらの表面が示す低い濡れ性と一致して、非常に大きい接触角を示した。
【0333】
実施例1のフィルムの接触角は、6か月の保管(23℃、相対湿度50%に保たれたロールに巻かれたフィルム)後に再度測定し、大きな変化は観察されなかった(接触角は依然として約160°)。このデータから、本発明のフィルムは超疎水性を長期間維持することができたということになる。
【0334】
これらの超疎水性表面は、最終パッケージ内の製品と接触すると、高い排出収率(製品への低付着性)及び予想外のドリップ損失防止の原因となる。
【0335】
<機械加工性>
実施例2のコーティングフィルム(本発明による)及びコーティングフィルムC5のミルログ(Mill log)を、Dusenberyのスリッターで510mm幅のロールにスリットした。スリットロールを目視検査し、それらの品質は平面性及び端部断面の点で良好であった。次に、スリットロールをOnpack 2070装置で試験して、それらの機械加工性を検査した。両方のコーティングフィルムは良好に機能した。
【0336】
したがって、疎水性コーティングの存在は、フィルムの機械加工性に悪影響を及ぼさない。
【0337】
<顕微鏡分析(
図2A~2C)>
各チューブサンプルの周囲に配置したフィルムC1、C2及びC3の3つの標本を切断し、両面接着テープでスライドガラスに取り付けた。C2は、疎水性コーティングのない実施例1のフィルムに対応する。C3は、疎水性コーティングのないC4フィルムに対応する。各標本から、2つのランダムな位置を白色光共焦点顕微鏡法(顕微鏡の対物レンズの倍率20倍)で画像化し、得られた高さマップをフィルター処理し(ノイズカットに続いて中央値)、平均化した。標準の二次元粗さ統計を、32の等間隔の水平断面に基づいて計算した。可視画像を高さマップに重ね合わせて三次元画像を作成した。
【0338】
<フィルム表面粗さ>
図2Bに示すように、実施例1の本発明のフィルムの一部であるコーティングされていないC2フィルムの粗面化された表面は、ISO4287に従って測定した約0.29μmの平均粗さ(平均粗度Ra)、約0.34μmの二乗平均平方根(RMS)粗さ(Rq)及び約1.81μmの平均粗さ深さ(Rz)を特徴とする。
【0339】
微粒子を含まない、
図2Aに示す従来のフィルムC1は、典型的には、約0.019μmのRa、約0.022μmのRq及び約0.126μmのRzなどのより小さな粗さ値を示す。
【0340】
EP2397319B1に記載されているフィルムのようにヒートシール性層(A)に微粒子を含む比較フィルムC4の一部である、コーティングされていないC3フィルムの粗さを
図2Cに示す。このフィルムは、より大きな粗さ値、特に約0.49μmのRa、約0.58μmのRq及び約3.48μmのRzを示す。
【0341】
実施例2及びC5のコーティングフィルムについても粗さを測定した。実施例2のコーティングフィルムの粗面化された表面は、ISO4287に従って測定した約0.35μmの平均粗さ(平均粗度Ra)、約0.42μmの二乗平均平方根(RMS)粗さ(Rq)及び約2.96μmの平均粗さ深さ(Rz)を特徴とする。
【0342】
ヒートシール性層(A)中に微粒子を有するコーティングフィルムC5は、より大きな粗さ値、すなわち、ISO4287に従って測定した約0.54μmの平均粗さ(平均粗度Ra)、約0.65μmの二乗平均平方根(RMS)粗さ(Rq)及び約4.48μmの平均粗さ深さ(Rz)を有する。
【0343】
<包装:食品排出試験>
比較フィルムC1、C4及び実施例1の本発明によるフィルムを使用して、実験室のGandus TSインパルスシーラーを使用してパウチ(250×460mm)を手動で製造した。
【0344】
最終パッケージでは、ヒートシール性表面は、包装された製品に直接接触しているパウチの内部表面であった。
【0345】
各フィルムの3つのパウチに、以下に記載される各製品の約3000gを手動で充填し、秤量した。
【0346】
充填済みパウチをシールし(シール温度:170℃、シール時間:1.5秒)、室温で3日間保存した。3日後、パウチを空にし、空のパウチを再度秤量した。
【0347】
重量差(グラム)は、パッケージから回収された製品の量に相当し、この重量差をパーセンテージに変換して、排出収率を求めた。
【0348】
排出試験に使用した食品は、トマトソース(「La Fiammante」による)、トマトペースト(「Horeca」による)、マヨネーズ(「Algea」による)、キャラメルソース(「Horeca」による)であった。
【0349】
キャラメルソースの排出試験の詳細な結果を以下の表4にまとめる。
【0350】
【0351】
上記の表のデータは、パウチの内側表面として、すなわち製品と直接接触している超疎水性コーティング表面を有する本発明のフィルムで製造されたパウチは、比較例のコーティングされていないC1フィルムよりも高い収率で排出できることを示す。本発明のフィルムで製造されたパウチの排出収率は、キャラメルソースの場合、100%に非常に近い。また、実施例1(ガラス微粒子が層2中に混入)とC4(ガラス微粒子が層1中に混入)との間には、排出収率に関して有意差は認められない。
【0352】
コーティングフィルム実施例2(ガラス微粒子が層2中に混入)及びC5(ガラス微粒子が層1中に混入)についても排出試験を実施し、実施例1及びC4のコーティングフィルムについて得られた排出収率と同等の、一致する結果が得られた。
【0353】
その他の製品(トマトソース、トマトペースト、マヨネーズ)の排出試験の結果の概要を以下の表5にまとめる。
【0354】
【0355】
表5に示した排出収率の値は、3回の繰り返し試験の平均値である。
【0356】
表4及び5に示すように、本発明のフィルムで製造したパウチは、比較例のコーティングされていないフィルムで製造したパウチよりも高い排出収率で排出することができる。キャラメルに加えて、トマトソース、トマトペースト、マヨネーズの場合も、収率はほぼ100%である。このような高い排出収率は、経済的な節約及び食品廃棄物の削減とともに、より多くの製品を回収できることを意味する。
【0357】
<開封力(シール強度)>
本発明のフィルムで製造した完成パッケージを開封するのに必要な力の評価のために、以下の内部標準手順を使用した。
【0358】
実験室のGandus TSインパルスシーラーを使用して手動で製造したパウチ(シール温度170℃、シール時間1.5秒)から、機械方向に沿って(つまりロールの巻き出し方向に沿って)切断した、幅2.54cm(1インチ)及び長さ約15~20cmの寸法を有する試験片を得た。
【0359】
フィンシール(すなわち、コーティングされたヒートシール性表面が互いに向き合って一緒にシールされたシール)の強度を、実施例1の本発明のフィルム及び比較フィルムC4について評価した。
【0360】
検力器の下顎及び上顎に固定するのに十分な分離フィルム部分を提供するために、シールしたフィルムを手動で分離した。試験する領域はこの2つの顎の中央に位置する必要があり、固定したサンプルの2つの端の間で適切な張力を得る必要がある。
【0361】
各フィルムについて5つの試験片を準備して試験し、開封力の平均値を計算した。
【0362】
検力器の条件は次のとおりである。
-装置:インストロン5564
-開始時の顎の距離:2cm
-クロスヘッド速度:300mm/分、
-測定のために開封したシールの長さ:0.8cm。
【0363】
装置は、2つのシールされたフィルムを分離するのに必要な力を測定し、特に、各サンプルについてシールを0.8cm開封するのに加えられた平均力(g/インチ)を測定した。最後に、試験した5つの試験片の力の平均値を計算し、以下の表6に報告した。
【0364】
【0365】
表6に報告したデータから分かるように、本発明によるフィルムで製造したサンプル(実施例1、層2中に微粒子を有する)のシール強度は、比較フィルムC4(ヒートシール性層1中に微粒子を含む)から製造したサンプルのシール強度よりもはるかに高い。
【0366】
実施例2のコーティングフィルム(本発明による)及びコーティングフィルムC5で製造した完成パッケージについても、シール性試験を実施した。パウチは実施例2及びC5のフィルムで製造し、油性製品(すなわち、ランチドレッシング)で充填し、Onpack 2070機を使用してシールした。パウチのシールを目視検査し、良好であると見なされた(液体製品の漏れは認められなかった)。これらのパウチのシール強度は、パウチを手動で開封しようとすることによって試験し、強いと評価された。したがって、疎水性コーティングは、フィルムのシール性に悪影響を及ぼさない。
【0367】
<真空バッグ(ドリップ保持)>
比較フィルムC1及び実施例1の本発明によるフィルムを使用して、新鮮な牛肉片250~300gをそれぞれ真空バッグに包装した。最終パッケージでは、フィルムのヒートシール性表面は、包装された肉に直接接触しているバッグの内部表面であった。
【0368】
Cryovac VS20機で実行(真空度:5mBar、シール時間:1.5秒、冷却時間:2秒、シール設定:Ultraseal 310(170℃))した、真空化及びシールを含む従来の包装サイクルで、各フィルムについて5つのバッグを製造した。
【0369】
パッケージを8℃の冷蔵庫に保管し、3日後及び8日後にパージの形成について確認した。目視検査では、実施例1のフィルムから製造されたすべてのパッケージは、比較フィルムC1で製造されたパッケージと比較して、常に良好な外観及びパージの存在の減少を示した。
【0370】
10日後に撮影された
図5A及び5Bの写真から分かるように、本発明のフィルム(実施例1)は、包装された新鮮な肉からのジュースの放出を防ぐのに効果的であった(
図5B)。これに対して、コーティングされていない比較フィルムC1は、ドリップ形成にほとんど影響を与えず、パッケージ内にパージが明瞭に観察された(
図5A)。
【0371】
結論として、上記で報告したデータは、ヒートシール性層に直接接着している層中に(すなわち第2の層に)微粒子を含む本発明のフィルムが、ヒートシール性層に微粒子を有する従来技術のフィルムよりも優れていることを示している。実際、それらは同等の接触角を特徴としているが、シール性能も向上している。
【0372】
向上したシール性は、その中に包装された流動性又は粘着性のある製品の優れた回収率を備え、パージ形成が予想外に減少した可撓性パッケージの製造を可能にした。