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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-28
(45)【発行日】2023-04-05
(54)【発明の名称】加熱装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/64 20060101AFI20230329BHJP
   H05B 6/72 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
H05B6/64 J
H05B6/72 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021538829
(86)(22)【出願日】2019-12-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 CN2019124657
(87)【国際公開番号】W WO2020140712
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】201910009518.4
(32)【優先日】2019-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520514414
【氏名又は名称】海尓智家股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HAIER SMART HOME CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Haier Industrial Park No.1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】王 海娟
(72)【発明者】
【氏名】趙 坤坤
(72)【発明者】
【氏名】李 鵬
(72)【発明者】
【氏名】朱 小兵
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第207247702(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第109000419(CN,A)
【文献】特開平11-125429(JP,A)
【文献】実開昭53-130544(JP,U)
【文献】特開2007-153352(JP,A)
【文献】特開2014-052152(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0219653(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/46ー 6/80
A47J 27/00ー27/64
A47J 36/04
F24C 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入出口が設けられる筒体と、
前記入出口を開閉するように、前記入出口に設置される扉部と、
前記筒体内に電磁波を生成して処理待ち物体を加熱するように、少なくとも一部が前記筒体内に設置され又は前記筒体内に連通される電磁生成システムと、を含む加熱装置であって、
電磁波が伝播する経路に設置されたプラスチック製部材をさらに含み、当該プラスチック製部材は、当該プラスチック製部材による電磁波の吸収量が減少するよう、透明ではないPP材料で製造され、
前記プラスチック製部材は、処理待ち物体を載置するための物載置皿を含み、
前記電磁生成システムは、
電磁波信号を生成するように配置される電磁生成モジュールと、
前記電磁生成モジュールに電気的に接続され、前記電磁波信号に基づいて、対応する周波数の電磁波を前記筒体内に生成するよう当該筒体内に設置される放射アンテナと、を含み、
さらに、前記プラスチック製部材は、前記筒体の内部空間を、処理待ち物体を配置する加熱室と、前記放射アンテナを配置する電気機器室と、に仕切るよう設置されるアンテナカバーを含み、
前記アンテナカバーは、前記筒体の底部に設置され、
前記放射アンテナは、前記アンテナカバーの下面に水平に固定され、
さらに、前記放射アンテナは、前記筒体における高さの三分の一乃至二分の一の位置に設置される、
加熱装置。
【請求項2】
前記入出口は、前記筒体の前面壁に設けられ、
前記物載置皿は、前記処理待ち物体を出し入れ可能なよう、前後方向にスライド可能であると共に上向きに開口する引き出しである、
請求項に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記放射アンテナには、複数の係合穴が形成され、
前記アンテナカバーには、それぞれが前記複数の係合穴に対応して、当該複数の係合穴を通過してから前記放射アンテナに係合される複数の係合具が形成され、
前記係合具は、間隔を開けて設置され鏡像対称性を持つ二つのフック部からなり、又は、前記放射アンテナと垂直であり中央部分が中空とされる固定部と、当該固定部の内周縁から当該固定部に対して傾斜して前記放射アンテナへ延びる弾性部と、からなる、
請求項に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記電磁生成モジュールに電気接続されるように設置されると共に、電気機器室内及び前記放射アンテナの後方側に設置される信号処理・測定制御回路をさらに含む、
請求項に記載の加熱装置。
【請求項5】
前記信号処理・測定制御回路は、
前記電磁生成モジュールと前記放射アンテナとの間に直列接続され、通過する入射波信号及び反射波信号について特定のパラメータを検出するように配置される検出手段と、
前記特定のパラメータに基づいて、処理待ち物体の電磁波吸収率を算出するように配置される制御手段と、
前記電磁生成モジュールと前記放射アンテナとの間に直列接続され、前記電磁波吸収率に基づいて、前記電磁生成モジュールの負荷インピーダンスを調節するように配置される整合手段と、を含む、
請求項に記載の加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチン用品に関し、特に、電磁波加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食料は、冷凍の際に品質が維持されてきているが、冷凍されているものが加工や食用の前に解凍されることが必要となる。従来技術では、電磁波装置(例えば電子レンジ)により、食料を解凍させることが一般的である。
【0003】
電磁波装置を清潔にしやすくするためには、加熱室内に、トレイなどの物載置皿を配置して、食料を載置することが一般的である。しかしながら、電磁波に対する物載置皿の吸収能力は、間接的に、食料を解凍する効率に影響を与えることがある。電磁波に対する物載置皿の吸収能力が比較的強い場合に、食料に作用する電磁波が比較的少なくなり、食料を解凍する効率が低くなる。一方、電磁波に対する物載置皿の吸収能力が比較的弱い場合には、食料に作用する電磁波が比較的多くなり、食料を解凍する効率が比較的高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来技術に存在している上記の問題に対して、電磁波に対するプラスチック製部材の吸収能力が比較的弱い電磁波加熱装置を提供することを一つの目的とする。
【0005】
本発明は、加熱装置を組み立てする効率を高めることを他の目的とする。
【0006】
本発明は、加熱の効率を高めることをもう一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、入出口が設けられる筒体と、
前記入出口を開閉するように、前記入出口に設置される扉部と、
前記筒体内に電磁波を生成して処理待ち物体を加熱するように、少なくとも一部が前記筒体内に設置され又は前記筒体内に連通される電磁生成システムと、を含む加熱装置であって、
電磁波が伝播する経路に設置されたプラスチック製部材をさらに含み、当該プラスチック製部材は、当該プラスチック製部材による電磁波の吸収量が減少するよう、透明ではないPP材料で製造される、
加熱装置を提供する。
【0008】
好ましくは、前記プラスチック製部材は、処理待ち物体を載置するための物載置皿を含む。
【0009】
好ましくは、前記入出口は、前記筒体の前面壁に設けられ、前記物載置皿は、前記処理待ち物体を出し入れ可能なよう、前後方向に沿ってスライド可能であり上向きの開口を有する引き出しである。
【0010】
好ましくは、前記電磁生成システムは、
電磁波信号を生成するように配置される電磁生成モジュールと、
前記電磁生成モジュールに電気的に接続され、前記電磁波信号に基づいて、対応する周波数の電磁波を前記筒体内に生成するように当該筒体内に設置される放射アンテナと、を含む。
【0011】
好ましくは、前記プラスチック製部材は、前記筒体の内部空間を、処理待ち物体を設置する加熱室と、前記放射アンテナを設置する電気機器室と、に仕切るよう設置されるアンテナカバーを含む。
【0012】
好ましくは、前記アンテナカバーは、前記筒体の底部に設置され、前記放射アンテナは、前記アンテナカバーの下面に水平に固定される。
【0013】
好ましくは、前記放射アンテナは、前記筒体における高さの三分の一乃至二分の一の位置に設置される。
【0014】
好ましくは、前記放射アンテナには、複数の係合穴が形成され、
前記アンテナカバーには、それぞれが前記複数の係合穴に対応して、当該複数の係合穴を通過してから前記放射アンテナに係合される複数の係合具が形成され、
前記係合具は、間隔を開けて設置され鏡像対称性を持つ二つのフック部からなり、又は、前記放射アンテナと垂直であり中央部分が中空とされる固定部と、当該固定部の内周縁から当該固定部に対して傾斜して前記放射アンテナへ延びる弾性部と、からなる。
【0015】
好ましくは、前記加熱装置は、前記電磁生成モジュールに電気接続されるように設置されると共に、電気機器室内及び前記放射アンテナの後方側に設置される信号処理・測定制御回路をさらに含む。
【0016】
好ましくは、前記信号処理・測定制御回路は、
前記電磁生成モジュールと放射アンテナとの間に直列接続され、通過する入射波信号及び反射波信号について特定のパラメータを検出する検出手段と、
前記特定のパラメータに基づいて、処理待ち物体の電磁波吸収率を算出するように配置される制御手段と、
前記電磁生成モジュールと放射アンテナとの間に直列接続され、前記電磁波吸収率に基づいて、前記電磁生成モジュールの負荷インピーダンスを調節するように配置される整合手段と、を含む。
【0017】
本発明に係る加熱装置は、その内部におけるプラスチック製部材がいずれも透明でないPP材料で製造されることから、プラスチック製部材による電磁波の吸収量が削減され、処理待ち物体に作用する電磁波比が間接的に高まり、加熱装置による加熱効率が高まる。
【0018】
特に、本願の発明者らは、透明でない材料を用いて、筒体内におけるプラスチック製部材を製造することから、従来技術に存在している技術的偏見を克服してきた。今までの長い時間にわたって、当業者が、誰でも、透明な材料により製造されたプラスチック製部材だからこそ、電磁波に対する物載置皿の吸収量が削減されうると考えている。従来の電子レンジでは、いずれも、透明なトレイ、透明な回転皿などにより処理待ち物を載置することも、この点を証明できる。
【0019】
さらに、本発明に係る加熱装置は、アンテナカバーにより、放射アンテナをカバーして固定することから、処理待ち物体と放射アンテナとを仕切ることができると共に、放射アンテナが汚れや偶発的な接触により破損されてしまうことを防ぐことができ、さらに、加熱装置を組み立てる流れを簡素化し、放射アンテナを位置決めして取り付けることが容易となる。
【0020】
さらに、本発明では、アンテナカバーを、筒体における高さの三分の一乃至二分の一の位置に設置することから、使用者が高すぎる処理待ち物体を置くことによりアンテナカバー及び放射アンテナが破損されてしまうことを防止することができ、しかも、加熱室内における電磁波の比較的高いエネルギー密度により、処理待ち物体を急速に加熱することができる。
【0021】
さらに、本発明では、整合手段により、電磁生成モジュールの負荷インピーダンスを調節することから、電磁生成モジュールが出力するインピーダンス及び負荷インピーダンスが整合する整合度合いを高め、加熱室内に固有特性(種類、重量や体積など)が異なる食料が置かれ、又は食料の温度が変化する場合でも、比較的多い電磁波エネルギーを加熱室内に放射することが可能である。
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明における具体的な実施例を詳しく説明する。当業者は、本発明における上記及び他の目的、利点及び特性を明確に理解できるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
下記に、図面を参照して、例示的かつ非限定的な形態に基づいて、本発明におけるいくつかの具体的な実施例を詳しく説明する。図面では、同一の符号により、同一又は類似な部品や部分を示す。当業者にとって理解すべきところは、これらの図面が、必ずしも一定の縮尺で描かれたものである必要はないことである。
図1】本発明の一実施例による加熱装置の概略構成図である。
図2】電磁生成モジュール及び給電モジュールを略した図1に示す加熱装置の概略断面図である。
図3図2における領域Aの概略拡大図である。
図4】本発明の一実施例による電気機器室の概略構成図である。
図5図4における領域Bの概略拡大図である。
図6】本発明の他の一実施例による電気機器室の概略構成図である。
図7図6における領域Cの概略拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の一実施例による加熱装置100の概略構成図である。図2は、電磁生成モジュール161及び給電モジュール162を略した図1に示す加熱装置100の概略断面図である。図1及び図2を参照すると、加熱装置100は、筒体110、扉部120、電磁生成モジュール161、給電モジュール162、及び、放射アンテナ150を含む。
【0025】
筒体110は、処理待ち物体を載置するためのものであり、その前方壁又は天井壁に、処理待ち物体を出し入れするための入出口が設けられる。扉部120は、例えば、スライドレールによる接続やヒンジ接続などの適正な方法により筒体110に取り付けられ、入出口を開閉するためのものである。
【0026】
いくつかの実施例では、筒体110及び扉部120には、それぞれ電磁シールドの特性が設けられ、扉部120が閉じられている状態で筒体110に電気接続されるようにして、電磁波の漏洩を防ぐ。
【0027】
給電モジュール162は、電磁生成モジュール161に電力を供給して、電磁生成モジュール161に電磁波信号を生成させるように、電磁生成モジュール161に電気接続される。放射アンテナ150は、電磁波信号に基づいて、対応する周波数の電磁波を生成して、筒体110における処理待ち物体を加熱するよう、筒体110内に設置されると共に、電磁生成モジュール161に電気接続される。
【0028】
いくつかの実施例では、筒体110は、受信極として放射アンテナ150が生成した電磁波を受信するよう、金属で製造される。他のいくつかの実施例では、放射アンテナ150と対向する筒体110の壁面に受信極プレートを設置して、放射アンテナ150が生成した電磁波を受信する。
【0029】
図4は、本発明の一実施例による電気機器室112の概略構成図である。図6は、本発明の他の一実施例による電気機器室112の概略構成図である。図4及び図6を参照すると、放射アンテナ150は、筒体110における電磁波がより均一に分布され、処理待ち物体の温度の均一性を向上させるように、その周縁が平滑化された曲線で構成されてもよい。ただし、平滑化された曲線とは、曲線方程式が一次導関数で接続される曲線であるということを意味しており、ここでは、放射アンテナ150における周縁に鋭い角部が存在していないということを意味する。
【0030】
図2及び図4を参照すると、加熱装置100は、筒体110における内部空間を加熱室111と電気機器室112とに仕切るアンテナカバー130をさらに含む。処理待ち物体及び放射アンテナ150は、それぞれ分離されて加熱室111及び電気機器室112に設置されてもよい。これにより、放射アンテナ150が汚されたり偶発的な接触により破損されてしまうことを防ぐことができる。
【0031】
いくつかの実施例では、アンテナカバー130は、放射アンテナ150の生成する電磁波が、アンテナカバー130を通過してから処理待ち物体を加熱するように、絶縁プラスチックで製造されてもよい。
【0032】
いくつかの実施例では、アンテナカバー130は、使用者が高すぎる処理待ち物体を置くことによりアンテナカバー130及び放射アンテナ150が破損されてしまうことを避けるように、カバーを筒体110の底部に設けてもよい。
【0033】
放射アンテナ150は、筒体110における高さの三分の一乃至二分の一(例えば、三分の一、五分の二、二分の一)の位置に水平に設置されてもよい。これにより、加熱室111は、容積が比較的大きくなると共に、加熱室111における電磁波が比較的高いエネルギーの密度を有することにより、処理待ち物体が急速で加熱されることになる。
【0034】
いくつかの実施例では、処理待ち物体は、直接、アンテナカバー130に置かれてもよい。
【0035】
他のいくつかの実施例では、加熱装置100は、処理待ち物体を載置する物載置皿をさらに含んでもよい。物載置皿は、トレイであってもよい。入出口が筒体110の前方壁に設けられる場合には、物載置皿が上向きに開口を有するプラスチック製の引き出し140とされてもよい。引き出し140に対する二つの横方向における側壁は、スライドレールを介して筒体110に可動可能に接続されてもよい。これにより、引き出し140が前後にスライド可能であり、処理待ち物体を出し入れすることが容易となる。引き出し140は、前壁にて扉部120に固定して接続されるように設置されてもよい。
【0036】
本発明では、例えば、アンテナカバー130と引き出し140とは、プラスチック製部材であり、特に、透明でない(半透明又は不透明)PP材料で製造されてもよい。これにより、プラスチック製部材における電磁波の電磁損失が低減され、処理待ち物体に作用する電磁波比が間接的に増加し、処理待ち物体を加熱する速度が向上する。
【0037】
本発明をよく理解するように、以下により詳しい実施例に基づいて、本発明における好ましい実施形態を説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されない。
【0038】
実施例1
加熱装置は、筒体、扉部、引き出し、放射アンテナ、電磁生成モジュール、及び、アンテナをカバーするアンテナカバーを含み、放射アンテナは、筒体における高さの三分の一の位置に設置される。
【0039】
引き出し及びアンテナカバーは、それぞれ、エクソンモービル社に生産されたPP材料に白いカラーマスターバッチ(PP材料の型番号がAP3N、混合して形成した材料が透明でなく、通常、冷蔵庫における冷凍室の引き出しを生産することに用いられる)を追加したもので製造される。
【0040】
実施例2
実施例1との相違は、引き出し及びアンテナカバーが、それぞれ、エクソンモービル社に生産されたPP材料(型番号がAP3N、半透明)で製造されるということにある。
【0041】
対比例1
実施例1との相違は、引き出し及びアンテナカバーが、それぞれ、ダイキンフッ素化学工業株式会社に生産されたPTFE材料(型番号がM-139、不透明)で製造されるということにある。
【0042】
対比例2
実施例1との相違は、引き出し及びアンテナカバーがそれぞれ、バイエル株式会社に生産された透明なPC材料(型番号が2805、透明)で製造されるということにある。
【0043】
対比例3
実施例1との相違は、引き出し及びアンテナカバーがそれぞれ、ビーエーエスエフ株式会社に生産された透明なPS材料(型番号が165H、透明)で製造されるということにある。
【0044】
対比例4
実施例1との相違は、引き出しがビーエーエスエフ株式会社に生産されたPS材料(型番号が165H、透明)で製造されるということにある。
【0045】
試験から説明すると、各実施例及び各対比例に係る引き出し内に、それぞれ、同じ質量である食用植物油を置いて、食用油の開始温度を測定し、電磁生成モジュールに40.68MHz、100Wという電磁波信号を生成させ、5minだけ稼働してから、食用油の終わり温度を測量する。
【0046】
実施例1-2及び対比例1乃至4による試験結果は、それぞれ、表1乃至表6に示される。そのうち、試験の正確性を高めるように、実施例1-2及び対比例1-4に係る加熱装置内に、それぞれ、二つ又は三つのサンプルを置いて試験を行う。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】
【表6】
【0053】
表1-4の試験結果から分かるように、加熱時間が同じである場合に、引き出し及びアンテナカバーがそれぞれ透明でないPP材料で製造された加熱装置における食用植物油の温度増加値、引き出し及びアンテナカバーがそれぞれ半透明なPP材料で製造された加熱装置における食用植物油の温度増加値、並びに、引き出し及びアンテナカバーがそれぞれ不透明PTFE材料で製造された加熱装置における食用植物油の温度増加値は、いずれも、引き出し及びアンテナカバーがそれぞれ透明なPC材料で製造された加熱装置における食用植物油の温度増加値よりも大幅に大きい。つまり、不透明PP材料、半透明PP材料、及び、不透明PTFE材料は、電磁波に対する吸収能力が、透明なPC材料のほうに比べると弱い。電磁波は、不透明PP材料、半透明PP材料及び不透明PTFE材料における電磁損失が比較的少ない。
【0054】
表1、表5-6の試験結果から分かるように、加熱時間が同じである場合に、引き出し及びアンテナカバーがそれぞれ不透明PP材料で製造される加熱装置における食用植物油の温度増加値、引き出し及びアンテナカバーがそれぞれ透明PS材料で製造される加熱装置における食用植物油の温度増加値は、引き出し及びアンテナカバーがそれぞれ透明PS材料及び不透明PP材料で製造される加熱装置における食用植物油の温度増加値に比べると、相違が比較的小さい。つまり、透明PS材料と不透明PP材料は、電磁波に対する吸収能力が近い。
【0055】
また、対比例1に係る引き出し及びアンテナカバーを加工する過程では、不透明PTFE材料の射出成形は望ましくなく、引き出し及びアンテナカバーを製造するプロセスが複雑であり、コストが高い。対比例3-4の試験が終わった後に、透明なPS材料で製造された引き出し及びアンテナカバーは、明らかに軟化することが分かり、試験によると、透明なPS材料の軟化点がほぼ80℃であり、つなり、耐熱性が比較的劣る。一方、実施例1-2の試験が終わった後に、引き出し及びアンテナは、それぞれ、外観的に、又は、触覚的に軟化という現象がない。
【0056】
アンテナカバー130は、さらに、加熱装置100を組み立てる流れを簡素化させ、放射アンテナ150を位置決めして取り付けられるように、放射アンテナ150を固定するためのものであってもよい。具体的に、アンテナカバー130は、加熱室111と電気機器室112とを仕切るための仕切り131、及び、筒体110の内壁に固定して接続される裾部132を含んでもよい。そのうち、放射アンテナ150は、仕切り131に固定して接続されるように設置されてもよい。
【0057】
いくつかの実施例では、放射アンテナ150は、アンテナカバー130に係合して接続されるように設置されてもよい。図5は、図4における領域Bの概略拡大図である。図5を参照すると、放射アンテナ150は、複数の係合穴151が形成され、これに対応して、アンテナカバー130は複数の係合具133が形成され、複数の係合具133は、それぞれ複数の係合穴151を通過してから放射アンテナ150に係合して接続されるように設置される。
【0058】
本発明における一実施例では、係合具133は、間隔を開けて設置され鏡像対称性を有する二つのフック部からなる。
【0059】
図7は、図6における領域Cの概略拡大図である。図7を参照すると、本発明の他の一実施例では、係合具133は、放射アンテナ150と垂直であり中央部分が中空とされる固定部と、当該固定部の内周縁から当該固定部に対して傾斜されアンテナへ延びる弾性部と、からなる。
【0060】
他のいくつかの実施例では、放射アンテナ150は、電気メッキというプロセスによってアンテナカバー130に固定されるように設置される。
【0061】
アンテナカバー130は、複数の強化リブをさらに含んでもよい。当該強化リブは、仕切り131及び裾部132を接続して、アンテナカバー130の構成強度を高めるよう設置される。
【0062】
図3は、図2における領域Aの概略拡大図である。図1乃至図3を参照すると、加熱装置100は、信号処理・測定制御回路170をさらに含んでもよい。具体的に、信号処理・測定制御回路170は、検出手段171、制御手段172、及び、整合手段173を含んでもよい。
【0063】
検出手段171は、電磁生成モジュール161と放射アンテナ150との間に直列接続され、通過する入射波信号及び反射波信号について特定のパラメータをリアルタイムで検出するように配置される。
【0064】
制御手段172は、検出手段171から特定のパラメータを取得し、当該特定のパラメータに基づいて、入射波及び反射波のパワーを算出するように配置される。本発明では、特定のパラメータは、電圧値及び/又は電流値とされてもよい。検出手段171は、入射波及び反射波のパワーを直接に測定するパワーメータとされてもよい。
【0065】
制御手段172は、さらに、入射波及び反射波のパワーに基づいて、処理待ち物体の電磁波吸収率を算出し、電磁波吸収率と所定の吸収閾値とを比較し、電磁波吸収率が所定の吸収閾値よりも小さい場合に整合手段173に調節命令を送信してもよい。所定の吸収閾値は、60~80%とされてもよいし、例えば60%、70%、又は80%とされてもよい。
【0066】
整合手段173は、電磁生成モジュール161と放射アンテナ150との間に直列接続され、制御手段172の調節命令に基づいて、電磁生成モジュール161の負荷インピーダンスを調節するよう配置されてもよい。これにより、電磁生成モジュール161の出力インピーダンス及び負荷インピーダンスは整合度合いが高まり、加熱室111内に固有特性(種類、重量や体積など)が異なる食料が置かれ、又は、食料の温度が変化する場合でも、より多くの電磁波エネルギーが加熱室111内に放射されることから、加熱の速度が高まる。
【0067】
いくつかの実施例では、加熱装置100は、解凍を行うことに用いられてもよい。制御手段172は、さらに、入射波及び反射波のパワーに基づいて、処理待ち物体の誘電率について虚部の変化率を算出し、虚部の変化率と所定の変化閾値とを比較するように配置されてもよい。処理待ち物体の誘電率について虚部の変化率が所定の変化閾値以上である場合には、電磁生成モジュール161に停止命令を送信し、電磁生成モジュール161が停止して稼働しないようにして、解凍というプロセスが終わる。
【0068】
所定の変化閾値は、食品のせん断強度を向上させるよう、異なる固有特性を有する食品が-3~0℃にある時に、その誘電率の虚部について変化率を測定することにより取得されるものである。例えば、処理待ち物体が生牛肉である場合には、所定の変化閾値を予め設定された2として設定されてもよい。
【0069】
制御手段172は、さらに、使用者からの命令を受信し、使用者による命令に基づいて、電磁生成モジュール161が稼働し始まるように制御する。ただし、制御手段172は、給電モジュール162に電気接続され、給電モジュール162から電気エネルギーを取得して常に待機状態に維持される配置される。
【0070】
いくつかの実施例では、信号処理・測定制御回路170は、放射アンテナ150と整合モジュールとを電気接続するように、一つの回路基板に集積され、電気機器室112に水平に設置される。
【0071】
アンテナカバー130及び筒体110は、整合手段173が対応する位置に、それぞれ放熱穴190が設けられる。これにより、整合手段173が稼働している際に生じた熱エネルギーを、放熱穴190を介して排出させることができる。
【0072】
いくつかの実施例では、信号処理・測定制御回路170は、放射アンテナ150の後方側に設置されてもよい。引き出し140における底壁の後部には、その下部に拡大空間を形成するように、上向きの凹部が形成される。放熱穴190は、アンテナカバー130及び筒体110の後壁に設けられてもよい。
【0073】
いくつかの実施例では、金属製の筒体110は、電荷を放出して加熱装置100の安全性を高めるように、接地されて設置されてもよい。
【0074】
加熱装置100は、金属製ホルダー180をさらに含んでもよい。金属製ホルダー180は、回路基板と筒体110とを接続して回路基板を支持し、回路基板における電荷を、筒体110を介して放出するように設置されてもよい。いくつかの実施例では、金属製ホルダー180は、互いに垂直な二つの部材からなる。
【0075】
いくつかの実施例では、電磁生成モジュール161及び給電モジュール162は、筒体110の外側に設置されてもよい。金属製ホルダー180の一部は、回路基板の後部に設置され、横方向に沿って垂直に延設され、さらに二つの接続ポートを設置してもよい。これにより、検出手段171(又は整合手段173)の接続端子が、一つの接続ポートから演出され電磁生成モジュール161に電気接続され、制御手段172の接続端子は、他の接続ポートから延出され電磁生成モジュール161及び給電モジュール162に電気接続されることになる。
【0076】
いくつかの実施例では、加熱装置100は、使用者が食材を解凍するように、冷蔵庫の貯蔵室に設置されてもよい。
【0077】
以上、当業者にとって理解するべきところは、本明細書に詳しく説明する上で、本発明における複数の例示的実施例を記載したが、本発明に係る趣旨及び範囲を逸脱しない限り、依然として、本発明に開示されている内容に基づいて、本発明に係る原理に該当する数多くの他の変形や修正を直接に特定し又は導出することが可能である。従って、本発明の範囲において、あらゆるこれらの他の変形や修正を含むと考えられるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7