(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-28
(45)【発行日】2023-04-05
(54)【発明の名称】R-T-B系永久磁石材料、製造方法、並びに応用
(51)【国際特許分類】
H01F 1/057 20060101AFI20230329BHJP
H01F 41/02 20060101ALI20230329BHJP
C22C 38/00 20060101ALI20230329BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20230329BHJP
B22F 3/00 20210101ALI20230329BHJP
C22C 33/02 20060101ALI20230329BHJP
B22F 3/24 20060101ALI20230329BHJP
B22F 9/04 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
H01F1/057
H01F1/057 130
H01F1/057 170
H01F41/02 G
C22C38/00 303D
B22F1/00 Y
B22F3/00 F
C22C33/02 H
B22F3/24 B
B22F3/24 K
B22F9/04 E
B22F9/04 D
B22F9/04 C
(21)【出願番号】P 2021552782
(86)(22)【出願日】2020-07-07
(86)【国際出願番号】 CN2020100580
(87)【国際公開番号】W WO2021128801
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2021-11-15
(31)【優先権主張番号】201911348776.1
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521397223
【氏名又は名称】フージャン チャンティン ゴールデン ドラゴン レア-アース カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【氏名又は名称】大行 尚哉
(72)【発明者】
【氏名】黄清芳
(72)【発明者】
【氏名】付剛
(72)【発明者】
【氏名】陳大崑
(72)【発明者】
【氏名】黄佳瑩
(72)【発明者】
【氏名】許徳欽
(72)【発明者】
【氏名】劉少偉
【審査官】森岡 俊行
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-027268(JP,A)
【文献】国際公開第2009/122709(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/230457(WO,A1)
【文献】特開2005-268538(JP,A)
【文献】特開2019-169567(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 1/057
H01F 41/02
C22C 38/00
B22F 1/00
B22F 3/00
C22C 33/02
B22F 3/24
B22F 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
R-T-B系永久磁石材料であって、質量百分率で下記の成分を含み、
R’:29.5~33.5wt.%、ここで、前記R’は希土類元素であり、前記R’にはPrが含まれ、前記Prの含有量は8.85wt.%以上であり、
C:0.106~0.26wt.%、
O:≦0.07wt.%、
X:0~5.0wt.%、前記XはCu、Al、Ga、Co、Zr、Ti、Nb、およびMnのうちの1つまたは複数であり、
B:0.90~1.2wt.%、
Fe:61.4~69.5wt.%であり、
前記R-T-B系永久磁石材料は、主相、粒界相、および結晶粒間三角領域を含み、「前記主相、前記粒界相、および前記結晶粒間三角領域」の体積の合計に対して前記結晶粒間三角領域の体積の百分率は9.0%以下である、
ことを特徴とするR-T-B系永久磁石材料。
【請求項2】
前記R’の含有量は、29.5~33.4wt.%であり、
および/または、前記Prの含有量は、8.85~27.15wt.%であり、
および/または、前記R’には、Ndおよび/またはRがさらに含まれ、前記Rは、Pr、Nd以外の希土類元素であり、
および/または、前記R’には重希土類元素RHがさらに含まれ、
および/または、前記Cの含有量は、0.106~0.25wt.%であり、
および/または、前記Oの含有量は、0.0691wt.%以下であり、
および/または、前記Bの含有量は、0.94~1.1wt.%であり、
および/または、前記Feの含有量は、61.4~69.3wt.%であり、
および/または、前記R-T-B系永久磁石材料には、Mがさらに含まれ、前記Mは、Ni、Zn、Ag、In、Sn、Bi、V、Cr、Hf、Ta、およびWのうちの1つまたは複数であり、
および/または、前記R-T-B系永久磁石材料には窒素元素Nがさらに含まれ、
百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する、
ことを特徴とする請求項1に記載のR-T-B系永久磁石材料。
【請求項3】
前記Prの含有量は、17.00wt.%以上であり、
および/または、前記R’には、Ndがさらに含まれ、前記Ndの含有量は、3.3~23.0wt.%であり、
および/または、前記R’には、Ndがさらに含まれ、前記Ndと前記R’との質量比は、0.72以下であり、
および/または、前記R’には、Rがさらに含まれ、前記Rの種類は、Yおよび/またはCeであり、
および/または、前記R’には、Rがさらに含まれ、前記Rの含有量は、0~1wt.%であり、
および/または、前記RHの種類は、Dyおよび/またはTbであり、
および/または、前記RHの含有量は、0.5~2.6wt.%であり、
および/または、前記RHと前記Rとの質量比は、0.253より小さく、
および/または、前記Mの種類は、Crであり、
および/または、前記Mの含有量は、0~0.15wt.%であるが、0ではなく、
および/または、前記N元素の含有量は、0.05wt.%以下であり、
百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する、
ことを特徴とする請求項2に記載のR-T-B系永久磁石材料。
【請求項4】
前記R’には、Ndがさらに含まれ、前記Ndと前記R’との質量比は、0.5より小さく、
および/または、前記RHがTbを含む場合、前記Tbの含有量は、0.5~2.0wt.%であり、
および/または、前記RHがDyを含む場合、前記Dyの含有量は、0.6~2.52wt.%であり、
百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する、
ことを特徴とする請求項3に記載のR-T-B系永久磁石材料。
【請求項5】
前記Xは、Cu、Al、Ga、Co、Zr、TiまたはNb、また、「CuおよびAl」、「GaおよびMn」、「Cu、AlおよびGa」、「Cu、Al、GaおよびZr」、「Cu、Al、GaおよびCo」または「Cu、Al、Ga、ZrおよびCo」であり、および/または、前記Xの含有量は、0~4.5wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する、
ことを特徴とする請求項1に記載のR-T-B系永久磁石材料。
【請求項6】
前記XがCuを含む場合、前記Cuの含有量は、0.2~0.51wt.%であり、
前記XがAlを含む場合、前記Alの含有量は、0~0.81wt.%であるが、0ではなく、
前記XがGaを含む場合、前記Gaの含有量は、0.0~1.85wt.%であるが、0ではなく、
前記XがCoを含む場合、前記Coの含有量は、0.0~3.0wt.%であるが、0ではなく、
前記XがZrを含む場合、前記Zrの含有量は、0.25~0.35wt.%であり、
前記XがNbを含む場合、前記Nbの含有量は、0.25~0.35wt.%であり、
前記XがMnを含む場合、前記Mnの含有量は、0.0~0.03wt.%であるが、0ではなく、
百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する、
ことを特徴とする請求項5に記載のR-T-B系永久磁石材料。
【請求項7】
前記XがAlを含む場合、前記Alの含有量は、0.01~0.03wt.%または0.5~0.8wt.%であり、
前記XがGaを含む場合、前記Gaの含有量は、0.1~1.552wt.%であり、
前記XがCoを含む場合、前記Coの含有量は、0.5~2.5wt.%であり、
百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する、
ことを特徴とする請求項6に記載のR-T-B系永久磁石材料。
【請求項8】
前記R-T-B系永久磁石材料は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、C:0.106~0.25wt.%、O:≦0.07wt.%、B:0.94~1.1wt.%、Fe:61.4~69.3wt.%、
または、前記R-T-B系永久磁石材料は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、C:0.106~0.25wt.%、O:≦0.07wt.%、Cu:0.2~0.51wt.%、B:0.94~1.1wt.%、Fe:61.4~69.3wt.%、
または、前記R-T-B系永久磁石材料は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、C:0.106~0.25wt.%、O:≦0.07wt.%、Al:0~0.81wt.%、ただし、0ではなく、B:0.94~1.1wt.%、Fe:61.4~69.3wt.%、
または、前記R-T-B系永久磁石材料は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、C:0.106~0.25wt.%、O:≦0.07wt.%、Ga:0.1~1.85wt.%、B:0.94~1.1wt.%、Fe:61.4~69.3wt.%、
または、前記R-T-B系永久磁石材料は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、C:0.106~0.25wt.%、O:≦0.07wt.%、Co:0.0~3.0wt.%、ただし、0ではなく、B:0.94~1.1wt.%、Fe:61.4~69.3wt.%、
または、前記R-T-B系永久磁石材料は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、C:0.106~0.25wt.%、O:≦0.07wt.%、Zr:0.25~0.35wt.%、B:0.94~1.1wt.%、Fe:61.4~69.3wt.%、
または、前記R-T-B系永久磁石材料は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、C:0.106~0.25wt.%、O:≦0.07wt.%、Nb:0.25~0.35wt.%、B:0.94~1.1wt.%、Fe:61.4~69.3wt.%、
または、前記R-T-B系永久磁石材料は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、C:0.106~0.25wt.%、O:≦0.07wt.%、Cu:0.34~0.51wt.%、Al:0~0.81wt.%、ただし、0ではなく、B:0.94~1.1wt.%、Fe:61.4~69.3wt.%、
または、前記R-T-B系永久磁石材料は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、C:0.106~0.25wt.%、O:≦0.07wt.%、Cu:0.34~0.51wt.%、Al:0~0.81wt.%、ただし、0ではなく、Ga:0.1~0.5wt.%、B:0.94~1.1wt.%、Fe:61.4~69.3wt.%、
または、前記R-T-B系永久磁石材料は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、C:0.106~0.25wt.%、O:≦0.07wt.%、Cu:0.34~0.51wt.%、Al:0.25~0.81wt.%、Ga:0.1~0.42wt.%、Zr:0.25~0.30wt.%、B:0.94~1.1wt.%、Fe:61.4~69.3wt.%、
または、前記R-T-B系永久磁石材料は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、C:0.106~0.25wt.%、O:≦0.07wt.%、Cu:0.34~0.51wt.%、Al:0.25~0.81wt.%、Ga:0.1~0.41wt.%、Co:0.0~3.0wt.%、Zr:0.25~0.30wt.%、Cr:0.05~0.12wt.%、B:0.94~1.1wt.%、Fe:61.4~69.3wt.%、
または、前記R-T-B系永久磁石材料は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、RH:0.5~2.6wt.%、C:0.106~0.25wt.%、O:≦0.07wt.%、Cu:0.34~0.51wt.%、Al:0.25~0.81wt.%、Ga:0.1~0.41wt.%、Co:0.0~3.0wt.%、Zr:0.25~0.30wt.%、B:0.94~1.1wt.%、Fe:61.4~69.3wt.%、
または、前記R-T-B系永久磁石材料は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、Ce:0~1wt.%、RH:0.5~2.6wt.%、C:0.106~0.25wt.%、O:≦0.07wt.%、Cu:0.34~0.51wt.%、Al:0.25~0.81wt.%、Ga:0.1~0.41wt.%、Co:0.0~3.0wt.%、Zr:0.25~0.30wt.%、B:0.94~1.1wt.%、Fe:61.4~69.3wt.%、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する、
ことを特徴とする請求項1に記載のR-T-B系永久磁石材料。
【請求項9】
R-T-B系永久磁石材料の製造方法であって、下記のステップを含み:前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物の溶融液を鋳造、水素破壊、および粉砕して粉末を得て、前記粉末は分散剤と混合され、次にプレス、成形、焼結および時効処理を経て、ここで、
(1)前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物には、質量百分率で以下の成分が含まれ、
R’:29.5~33.5wt.%、前記R’は希土類元素であり、前記R’にはPrが含まれ、前記Prの含有量は8.85wt.%以上であり、
X:0~5.0wt.%、前記XはCu、Al、Ga、Co、Zr、Ti、Nb、およびMnのうちの1つまたは複数であり、
B:0.90~1.2wt.%、
Fe:61.4~69.5wt.%、
(2)前記粉砕工程において、粉砕雰囲気でO≦60ppmであり、
(3)前記プレス工程において、プレス雰囲気でO≦40ppmであり、
(4)前記分散剤にはC元素が含まれ、かつ混合された粉末における前記分散剤の質量百分率は0.04~0.2%であり、
前記R-T-B系永久磁石材料は、主相、粒界相、および結晶粒間三角領域を含み、「前記主相、前記粒界相、および前記結晶粒間三角領域」の体積の合計に対して前記結晶粒間三角領域の体積の百分率は9.0%以下である、
ことを特徴とするR-T-B系永久磁石材料の製造方法。
【請求項10】
前記R’の含有量は、29.5~33.3wt.%であり、
および/または、前記Prの含有量は、8.85~27.15wt.%であり、
および/または、前記R’には、Ndおよび/またはRがさらに含まれ、前記Rは、Pr、Nd以外の希土類元素であり、
および/または、前記R’には、重希土類元素RHがさらに含まれ、
および/または、前記Bの含有量は、0.95~1.1wt.%であり、
および/または、前記Feの含有量は、61.5~69.5wt.%であり、
および/または、前記Xは、Cu、Al、Ga、Co、Zr、TiまたはNb、または、「CuおよびAl」、「GaおよびMn」、「Cu、AlおよびGa」、「Cu、Al、GaおよびZr」、「Cu、Al、GaおよびCo」、または「Cu、Al、Ga、ZrおよびCo」であり、
および/または、前記Xの含有量は、0~4.5wt.%であり、
および/または、前記R-T-B系永久磁石材料は、Mをさらに含み、前記Mは、Ni、Zn、Ag、In、Sn、Bi、V、Cr、Hf、Ta、およびWのうちの1つ又は複数であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する、
ことを特徴とする請求項9に記載のR-T-B系永久磁石材料の製造方法。
【請求項11】
前記R’には、Ndがさらに含まれ、前記Ndの含有量は、3.35~22.65wt.%であり
および/または、前記R’には、Ndがさらに含まれ、前記Ndと前記R’との質量比は、0.72以下であり、
および/または、前記R’には、Rがさらに含まれ、前記Rの種類は、Yおよび/またはCeであり、および/または、前記R’には、Rがさらに含まれ、前記Rの含有量は、0~1wt.%であり、
および/または、前記RHの種類は、Dyおよび/またはTbであり、
および/または、前記RHの含有量は、1.2~2.5wt.%であり、
および/または、前記RHと前記R’との質量比は、0.253より小さく、
および/または、前記XがCuを含む場合、前記Cuの含有量は、0.2~0.5wt.%であり、前記XがAlを含む場合、前記Alの含有量は、0~0.8wt.%であるが、0ではなく、前記XがGaを含む場合、前記Gaの含有量は、0.0~1.85wt.%であるが、0ではなく、前記XがCoを含む場合、前記Coの含有量は、0.0~3.0wt.%であるが、0ではなく、前記XがZrを含む場合、前記Zrの含有量は、0.25~0.35wt.%であり、前記XがNbを含む場合、前記Nbの含有量は、0.25~0.35wt.%であり、前記XがMnを含む場合、前記Mnの含有量は、0.0~0.03wt.%であるが、0ではなく、
および/または、前記Mの種類は、Crであり、
および/または、前記Mの含有量は、0~0.15wt.%であるが、0ではなく、
百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する、
ことを特徴とする請求項10に記載のR-T-B系永久磁石材料の製造方法。
【請求項12】
前記RHと前記R’との質量比は、0.038~0.075であり、
および/または、前記RHがTbを含む場合、前記Tbの含有量は、1.2~2.0wt.%であり、
および/または、前記RHがDyを含む場合、前記Dyの含有量は、1.5~2.5wt.%であり、
および/または、前記XがGaを含む場合、前記Gaの含有量は、0.1~1.55wt.%であり、
および/または、前記XがCoを含む場合、前記Coの含有量は、0.5~2.5wt.%であり、
百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する、
ことを特徴とする請求項11に記載のR-T-B系永久磁石材料の製造方法。
【請求項13】
前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物の溶融液を下記の方法で製造し、高周波真空誘導溶解炉で溶解製錬し、
および/または、前記鋳造の工程は、下記のステップで行い、Arガス雰囲気において、10
2℃/秒~10
4℃/秒の速度で冷却し、
および/または、前記粉砕の工程はジェットミル粉砕であり、
および/または、前記焼結の前に予熱を行い、
および/または、前記焼結の温度は1040℃~1090℃とし、
および/または、前記焼結の時間は2hとし、
および/または、前記焼結の後、前記時効処理の前に、粒界拡散処理をさらに行い、
および/または、前記時効処理の処理温度は、500~650℃であり、
および/または、前記時効処理において、500~650℃まで昇温する昇温速度は、3~5℃/minであり、
および/または、前記時効処理の処理時間は3hとする、
ことを特徴とする請求項9~12のいずれかの1項に記載のR-T-B系永久磁石材料の製造方法。
【請求項14】
前記溶解炉の真空度は、5×10
-2Paであり、
および/または、前記溶解製錬の温度は、1500℃以下であり、
および/または、前記ジェットミル粉砕の粉砕室圧力は、0.38MPaとし、
および/または、前記ジェットミル粉砕の時間は、3時間とし、
および/または、前記予熱の温度は、300~600℃であり、
および/または、前記予熱の時間は、1~2hとし、
および/または、前記粒界拡散処理は下記のステップで行い、前記R-T-B系永久磁石材料の表面に、Tbを含有する物質および/またはDyを含有する物質を蒸着、塗布、またはスパッタ付着させて、拡散熱処理する、
ことを特徴とする請求項13に記載のR-T-B系永久磁石材料の製造方法。
【請求項15】
前記予熱は、300℃および600℃の温度でそれぞれ1hと予熱し、
および/または、前記拡散熱処理の温度は、800~900℃であり、
および/または、前記拡散熱処理の時間は、12~48hである、
ことを特徴とする請求項14に記載のR-T-B系永久磁石材料の製造方法。
【請求項16】
前記粉砕の工程において、粉砕雰囲気における酸素の含有量Oは、0~50ppmであり、
および/または、前記分散剤は潤滑剤および/または酸化防止剤であり、
および/または、前記分散剤の含有量は、0.04~0.14%であり、百分率とは、混合後の粉末の総質量に対して占める質量百分率を意味し、
および/または、前記プレス工程において、プレス雰囲気における酸素の含有量Oは、10~30ppmである、
ことを特徴とする請求項9~12のいずれかの1項に記載のR-T-B系永久磁石材料の製造方法。
【請求項17】
前記潤滑剤は、ステアリン酸亜鉛であり、前記ステアリン酸亜鉛の使用量は、0.04~0.14%であり、百分率とは、混合後の粉末の総質量に対して占める質量百分率を意味する、
ことを特徴とする請求項16に記載のR-T-B系永久磁石材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、R-T-B系永久磁石材料、製造方法、並びに応用に関する。
【背景技術】
【0002】
1979年にソビエト連邦の科学者よりNd2Fe14Bを発見して以来、日米の研究者が主導してこの相の性質を研究してきた。現在、PrNdからなる相(PrとNdの質量比は20:80または25:75である)は焼結永久磁石の商業生産に使用され、その高磁気エネルギー積と高残留磁気の利点により、現在、モーター、電気音響装置、コンピューターのハードディスクドライブ(HDD)、軍事機器、人体の磁気共鳴画像(MRI)、マイクロ波通信技術、コントローラー、メーターなどの分野に広く使用される。
【0003】
科学技術の進歩に伴い、Nd-Fe-Bの性能に対する要求が高まって、多くの研究者は、大量の重希土類DyまたはTbを添加することで、NdFeB材料の性能を改善するが、重希土類を過剰に使用すると、材料費を大幅に増加させるうえ、重希土類資源は比較的に少なくなる。
【0004】
したがって、資源が豊富な元素を使用して、高保磁力と高残留磁気を備えたNdFeB材料をどのように製造するかは、この分野における緊急の技術的問題である。
【0005】
さらに、どのようにして、大量生産された磁石の磁気特性の高均一性と高安定性を実現するうえで、製造コストを制御することができるかということも、当分野における解決しようとする問題である。ただし、NdFeB磁石は、工程中に必然的に炭素、硫黄、水素、酸素、窒素などの不純物元素を導入するため、均一で安定した磁気特性を備えた磁石の製造に大きな課題を提供する。さらに、不純物である炭素の含有量が高いと、磁石の主相結晶粒径およびNdリッチ相の分布が不均一になることで、磁石の各性能指標を様々な程度で低下させると当分野で一般に考えられる。したがって、磁石の均一、安定性を向上させるためには、製造工程に対して厳密な管理が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、従来技術における焼結NdFeB磁石の性能の改善が重希土類元素に過度に依存し、そのうえ、焼結NdFeB磁石における炭素の含有量が高すぎると、磁石の性能を低下させるという欠点を克服するために、R-T-B系永久磁石材料、製造方法、並びに応用を提供する。本発明により提供されるR-T-B系永久磁石材料は、重希土類がない条件下で永久磁石材料の性能の改善を実現することができ、かつ工程中で導入される炭素元素の含有量を制御する必要がなく、炭素元素の含有量が高い状態でも、磁石の優れた性能を維持することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明により提供されるR-T-B系永久磁石材料は、質量百分率で下記の成分を含み、
R’:29.5~33.5wt.%、ここで、前記R’は希土類元素であり、前記R’にはPrが含まれ、前記Prの含有量は8.85wt.%以上であり、
C:0.106~0.26wt.%、
O:≦0.07wt.%、
X:0~5.0wt.%、前記XはCu、Al、Ga、Co、Zr、Ti、Nb、およびMnのうちの1つまたは複数であり、
B:0.90~1.2wt.%、
Fe:61.4~69.5wt.%。
【0008】
本発明において、前記R’の含有量は、好ましくは、29.5~33.4wt.%であり、例えば、29.5wt.%、30.5wt.%、30.8wt.%、31.0wt.%、31.013wt.%、31.075wt.%、31.115wt.%、31.5wt.%、32.0wt.%、32.3wt.%、32.8wt.%、または33.3wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0009】
本発明において、前記Prの含有量は、好ましくは、8.85~27.15wt.%であり、より好ましくは17.00wt.%以上であり、例えば8.846wt.%、8.848wt.%、8.849wt.%、8.851wt.%、9.852wt.%、10.148wt.%、10.151wt.%、10.848wt.%、10.849wt.%、11.848wt.%、12.148wt.%、12.15wt.%、12.151wt.%、13.149wt.%、14.147wt.%、14.148wt.%、14.149wt.%、14.151wt.%、14.152wt.%、16.148wt.%、16.151wt.%、16.152wt.%、17.148wt.%、17.149wt.%、17.15wt.%、17.151wt.%、17.152wt.%、18.148wt.%、18.149wt.%、18.151wt.%、18.152wt.%、19.148wt.%、19.149wt.%、19.15wt.%、19.151wt.%、19.152wt.%、20.148wt.%、20.149wt.%、20.15wt.%、20.152wt.%、21.148wt.%、22.149wt.%、22.151wt.%、23.149wt.%、23.15wt.%、24.148wt.%、24.151wt.%、24.152wt.%、25.152wt.%、または27.148wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0010】
本発明において、前記R’には、Ndおよび/またはRが含まれてもよく、前記Rは、Pr、Nd以外の希土類元素である。
【0011】
ここで、前記Ndの含有量は、好ましくは、3.3~23.0wt.%であり、例えば3.348wt.%、5.352wt.%、6.652wt.%、6.851wt.%、7.351wt.%、7.353wt.%、7.849wt.%、8.351wt.%、8.651wt.%、8.652wt.%、8.852wt.%、9.349wt.%、9.352wt.%、10.651wt.%、10.851wt.%、11.348wt.%、11.351wt.%、11.352wt.%、11.651wt.%、11.652wt.%、11.851wt.%、12.351wt.%、12.352wt.%、12.649wt.%、12.65wt.%、12.651wt.%、12.652wt.%、13.348wt.%、13.352wt.%、13.353wt.%、13.649wt.%、13.651wt.%、13.653wt.%、13.848wt.%、13.852wt.%、14.348wt.%、14.35wt.%、14.351wt.%、14.352wt.%、14.355wt.%、14.652wt.%、14.849wt.%、15.352wt.%、15.353wt.%、16.349wt.%、16.35wt.%、16.651wt.%、16.848wt.%、17.352wt.%、17.652wt.%、18.335wt.%、18.651wt.%、18.652wt.%、18.849wt.%、19.351wt.%、19.649wt.%、19.652wt.%、20.652wt.%、20.851wt.%、21.353wt.%、21.647wt.%、21.648wt.%、21.649wt.%、21.951wt.%、22.149wt.%、または22.652wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0012】
ここで、前記Ndと前記R’との質量比は、好ましくは0.72以下であり、より好ましくは0.5より小さく、例えば、0.110、0.175、0.216、0.221、0.233、0.241、0.253、0.281、0.283、0.286、0.297、0.307、0.317、0.346、0.350、0.360、0.366、0.372、0.378、0.382、0.385、0.392、0.395、0.411、0.416、0.422、0.424、0.438、0.443、0.447、0.456、0.470、0.476、0.479、0.487、0.520、0.536、0.541、0.544、0.551、0.554、0.588、0.598、0.601、0.606、0.608、0.614、0.632、0.644、0.666、0.671、0.673、0.678、0.696、0.697、0.700、0.710、0.713、0.714、0.715、または0.719である。
【0013】
ここで、前記Rの種類は、好ましくは、Yおよび/またはCeである。
【0014】
ここで、前記Rの含有量は、好ましくは、0~1wt.%であり、例えば、0.29wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0015】
本発明において、前記R’には重希土類元素RHが含まれてもよい。
【0016】
ここで、前記RHの種類はDyおよび/またはTbであってもよい。
【0017】
ここで、前記RHの含有量は、当分野における通常の含有量であり、好ましくは、0.5~2.6wt.%であり、例えば、0.58wt.%、0.62wt.%、1.212wt.%、1.219wt.%、1.51wt.%、1.991wt.%、2.011wt.%、2.511wt.%、または2.512wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0018】
ここで、前記RHと前記Rとの質量比は、好ましくは、0.253より小さく、例えば、0.019~0.075であり、さらに、例えば、0.019、0.020、0.038、0.039、0.047、0.061、または0.075である。
【0019】
前記RHがTbを含む場合、前記Tbの含有量は、好ましくは、0.5~2.0wt.%であり、例えば1.991wt.%、1.212wt.%、1.219wt.%、または0.58wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0020】
前記RHがDyを含む場合、前記Dyの含有量は、好ましくは、0.6~2.52wt.%であり、例えば、0.62wt.%、1.51wt.%、2.011wt.%、2.511wt.%、または2.512wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0021】
本発明において、前記Cの含有量は、好ましくは、0.106~0.25wt.%であり、例えば、0.1062wt.%、0.1069wt.%、0.1072wt.%、0.1075wt.%、0.1251wt.%、0.1253wt.%、0.1256wt.%、0.1532wt.%、0.1534wt.%、0.1537wt.%、0.1759wt.%、0.1761wt.%、0.1764wt.%、0.1835wt.%、0.184wt.%、0.1843wt.%、0.1846wt.%、0.1965wt.%、0.197wt.%、0.1973wt.%、0.2139wt.%、0.2144wt.%、0.2147wt.%、0.2243wt.%、0.2245wt.%、0.2248wt.%、0.2251wt.%、0.2379wt.%、または0.2456wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0022】
本発明において、前記Oの含有量は、好ましくは、0.0691wt.%以下であり、例えば、0.0382wt.%、0.0384wt.%、0.039wt.%、0.0391wt.%、0.041wt.%、0.0412wt.%、0.0432wt.%、0.0442wt.%、0.0444wt.%、0.0456wt.%、0.0458wt.%、0.0468wt.%、0.0492wt.%、0.0493wt.%、0.0494wt.%、0.05wt.%、0.0501wt.%、0.0503wt.%、0.0523wt.%、0.0529wt.%、0.0531wt.%、0.0558wt.%、0.0564wt.%、0.0566wt.%、0.0582wt.%、0.0588wt.%、0.059wt%、0.0635wt.%、0.0641wt.%、0.0643wt.%、0.0669wt.%、0.0675wt.%、0.0685wt.%、または0.0691wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0023】
本発明において、前記Bの含有量は、好ましくは、0.94~1.1wt.%であり、例えば、0.946wt.%、0.947wt.%、0.948wt.%、0.949wt.%、0.951wt.%、0.952wt.%、0.958wt.%、0.961wt.%、0.962wt.%、0.981wt.%、0.982wt.%、0.985wt.%、0.998wt.%、1.008wt.%、1.009wt.%、1.01wt.%、1.011wt.%、または1.012wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0024】
本発明において、前記Feの含有量は、好ましくは、61.4~69.3wt.%であり、例えば、61.49wt.%、61.60wt.%、62.15wt.%、62.19wt.%、62.66wt.%、62.91wt.%、63.52wt.%、63.62wt.%、63.66wt.%、64.71wt.%、65.85wt.%、66.02wt.%、66.15wt.%、66.19wt.%、66.22wt.%、66.23wt.%、66.30wt.%、66.37wt.%、66.40wt.%、66.44wt.%、66.57wt.%、66.66wt.%、66.70wt.%、66.72wt.%、66.75wt.%、66.82wt.%、66.85wt.%、66.88wt.%、66.91wt.%、66.94wt.%、66.95wt.%、66.98wt.%、67.08wt.%、67.15wt.%、67.17wt.%、67.23wt.%、67.27wt.%、67.29wt.%、67.30wt.%、67.31wt.%、67.32wt.%、67.34wt.%、67.40wt.%、67.42wt.%、67.47wt.%、67.48wt.%、67.54wt.%、67.64wt.%、67.65wt.%、67.69wt.%、67.71wt.%、67.74wt.%、67.78wt.%、67.80wt.%、68.22wt.%、68.24wt.%、68.25wt.%、68.27wt.%、68.28wt.%、68.31wt.%、68.32wt.%、68.34wt.%、68.36wt.%、68.73wt.%、68.83wt.%、68.95wt.%、69.03wt.%、69.10wt.%、または69.25wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0025】
本発明において、前記Xは、Cu、Al、Ga、Co、Zr、TiまたはNbであってもよく、なお、「CuおよびAl」、「GaおよびMn」、「Cu、AlおよびGa」、「Cu、Al、GaおよびZr」、「Cu、Al、GaおよびCo」または「Cu、Al、Ga、ZrおよびCo」であってもよい。
【0026】
本発明において、前記Xの含有量は、好ましくは、0~4.5wt.%であり、例えば、0.021wt.%、0.041wt.%、0.101wt.%、0.102wt.%、0.201wt.%、0.202wt.%、0.251wt.%、0.301wt.%、0.302wt.%、0.351wt.%、0.352wt.%、0.362wt.%、0.401wt.%、0.421wt.%、0.423wt.%、0.451wt.%、0.497wt.%、0.5wt.%、0.501wt.%、0.523wt.%、0.526wt.%、0.601wt.%、0.602wt.%、0.643wt.%、0.673wt.%、0.702wt.%、0.704wt.%、0.743wt.%、0.801wt.%、0.803wt.%、0.871wt.%、0.882wt.%、0.894wt.%、0.901wt.%、0.945wt.%、1.021wt.%、1.022wt.%、1.105wt.%、1.194wt.%、1.274wt.%、1.305wt.%、1.402wt.%、1.506wt.%、1.562wt.%、1.732wt.%、1.905wt.%、2.501wt.%、3.803wt.%、3.809wt.%、3.813wt.%、3.814wt.%、3.865wt.%、3.959wt.%、4.199wt.%、4.207wt.%、または4.208wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0027】
前記XがCuを含む場合、前記Cuの含有量は、好ましくは、0.2~0.51wt.%であり、例えば、0.201wt.%、0.302wt.%、0.34wt.%、0.341wt.%、0.351wt.%、0.381wt.%、0.382wt.%、0.4wt.%、0.401wt.%、0.402wt.%、0.403wt.%、0.41wt.%、0.42wt.%、0.421wt.%、0.441wt.%、0.451wt.%、0.5wt.%、0.501wt.%、または0.502wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0028】
前記XがAlを含む場合、前記Alの含有量は、好ましくは、0~0.81wt.%であるが、0ではなく、例えば、0.01~0.03wt.%または0.5~0.8wt.%であり、さらに、例えば、0.01wt.%、0.021wt.%、0.03wt.%、0.041wt.%、0.042wt.%、0.101wt.%、0.102wt.%、0.103wt.%、0.202wt.%、0.298wt.%、0.301wt.%、0.302wt.%、0.351wt.%、0.401wt.%、0.402wt.%、0.403wt.%、0.451wt.%、0.497wt.%、0.501wt.%、0.502wt.%、0.601wt.%、0.602wt.%、0.702wt.%、0.801wt.%、0.802wt.%、または0.81wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0029】
前記XがGaを含む場合、前記Gaの含有量は、好ましくは、0.0~1.85wt.%であるが、0ではなく、より好ましくは、0.1~1.552wt.%であり、例えば、0.102wt.%、0.151wt.%、0.202wt.%、0.251wt.%、0.3wt.%、0.301wt.%、0.302wt.%、0.399wt.%、0.401wt.%、0.42wt.%、0.421wt.%、0.501wt.%、0.502wt.%、0.901wt.%、1.402wt.%、または1.552wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0030】
前記XがCoを含む場合、前記Coの含有量は、好ましくは、0.0~3.0wt.%であるが、0ではなく、より好ましくは、0.5~2.5wt.%であり、例えば、0.5wt.%、1.0wt.%、または2.5wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0031】
前記XがZrを含む場合、前記Zrの含有量は、好ましくは、0.25~0.35wt.%であり、例えば、0.25wt.%、0.30wt.%、または0.35wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0032】
前記XがNbを含む場合、前記Nbの含有量は、好ましくは、0.25~0.35wt.%であり、例えば、0.25wt.%、0.30wt.%、または0.35wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0033】
前記XがMnを含む場合、前記Mnの含有量は、好ましくは、0.0~0.03wt.%であるが、0ではなく、例えば、0.01wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0034】
本発明において、前記R-T-B系永久磁石材料には、通常の添加元素Mが含まれてもよく、例えば、Ni、Zn、Ag、In、Sn、Bi、V、Cr、Hf、Ta、およびWのうちの1つまたは複数が含まれる。
【0035】
ここで、前記Mの種類は、好ましくはCrである。
【0036】
ここで、前記Mの含有量は、好ましくは、0~0.15wt.%であるが、0ではなく、例えば、0.05wt.%、または0.12wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0037】
本発明において、前記R-T-B系永久磁石材料には窒素元素Nがさらに含まれてもよく、好ましくは、前記N元素の含有量は、0.05wt.%以下であり、例えば、0.0182wt.%、0.0187wt.%、0.0223wt.%、0.0228wt.%、0.025wt.%、0.0251wt.%、0.0256wt.%、0.0284wt.%、0.0285wt.%、0.029wt.%、0.0301wt.%、0.0302wt.%、0.0307wt.%、0.0341wt.%、0.0342wt.%、0.0347wt.%、0.0366wt.%、0.0371wt.%、0.0372wt.%、0.0375wt.%、0.0378wt.%、0.0397wt.%、0.0398wt.%、0.0401wt.%、0.0404wt.%、0.0436wt.%、0.0439wt.%、0.0442wt.%、0.0455wt.%、0.0458wt.%、0.0461wt.%、0.0476wt.%、0.0482wt.%、0.0485wt.%、または0.0486wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0038】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、C:0.106~0.25wt.%、O:≦0.07wt.%、B:0.94~1.1wt.%、Fe:61.4~69.3wt.%、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0039】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、C:0.106~0.25wt.%、O:≦0.07wt.%、Cu:0.2~0.51wt.%、B:0.94~1.1wt.%、Fe:61.4~69.3wt.%、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0040】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、C:0.106~0.25wt.%、O:≦0.07wt.%、Al:0~0.81wt.%、ただし、0ではなく、B:0.94~1.1wt.%、Fe:61.4~69.3wt.%、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0041】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、C:0.106~0.25wt.%、O:≦0.07wt.%、Ga:0.1~1.85wt.%、B:0.94~1.1wt.%、Fe:61.4~69.3wt.%、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0042】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、C:0.106~0.25wt.%、O:≦0.07wt.%、Co:0.0~3.0wt.%、ただし、0ではなく、B:0.94~1.1wt.%、Fe:61.4~69.3wt.%、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0043】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、C:0.106~0.25wt.%、O:≦0.07wt.%、Zr:0.25~0.35wt.%、B:0.94~1.1wt.%、Fe:61.4~69.3wt.%、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0044】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、C:0.106~0.25wt.%、O:≦0.07wt.%、Nb:0.25~0.35wt.%、B:0.94~1.1wt.%、Fe:61.4~69.3wt.%、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0045】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、C:0.106~0.25wt.%、O:≦0.07wt.%、Cu:0.34~0.51wt.%、Al:0~0.81wt.%、ただし、0ではなく、B:0.94~1.1wt.%、Fe:61.4~69.3wt.%、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0046】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、C:0.106~0.25wt.%、O:≦0.07wt.%、Cu:0.34~0.51wt.%、Al:0~0.81wt.%、ただし、0ではなく、Ga:0.1~0.5wt.%、B:0.94~1.1wt.%、Fe:61.4~69.3wt.%、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0047】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、C:0.106~0.25wt.%、O:≦0.07wt.%、Cu:0.34~0.51wt.%、Al:0.25~0.81wt.%、Ga:0.1~0.42wt.%、Zr:0.25~0.30wt.%、B:0.94~1.1wt.%、Fe:61.4~69.3wt.%、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0048】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、C:0.106~0.25wt.%、O:≦0.07wt.%、Cu:0.34~0.51wt.%、Al:0.25~0.81wt.%、Ga:0.1~0.41wt.%、Co:0.0~3.0wt.%、Zr:0.25~0.30wt.%、Cr:0.05~0.12wt.%、B:0.94~1.1wt.%、Fe:61.4~69.3wt.%、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0049】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、RH:0.5~2.6wt.%、C:0.106~0.25wt.%、O:≦0.07wt.%、Cu:0.34~0.51wt.%、Al:0.25~0.81wt.%、Ga:0.1~0.41wt.%、Co:0.0~3.0wt.%、Zr:0.25~0.30wt.%、B:0.94~1.1wt.%、Fe:61.4~69.3wt.%、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0050】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、Ce:0~1wt.%、RH:0.5~2.6wt.%、C:0.106~0.25wt.%、O:≦0.07wt.%、Cu:0.34~0.51wt.%、Al:0.25~0.81wt.%、Ga:0.1~0.41wt.%、Co:0.0~3.0wt.%、Zr:0.25~0.30wt.%、B:0.94~1.1wt.%、Fe:61.4~69.3wt.%、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0051】
本発明において、前記R-T-B系永久磁石材料は、一般に、主相、粒界相、および結晶粒間三角領域を含み、ここで、結晶粒間三角領域は、希土類リッチ相とも呼ばれる。
【0052】
ここで、好ましくは、「前記主相、前記粒界相、および前記結晶粒間三角領域」の体積の合計に対して前記結晶粒間三角領域の体積の百分率は9.0%以下であり、例えば、3.2%、3.3%、3.7%、4.6%、4.8%、または5.3%である。
【0053】
ここで、好ましくは、前記結晶粒間三角領域において、希土類元素の含有量は、84.35~85.85%であり、例えば、84.35%、84.8%、84.9%、85%、85.2%、85.3%、85.4%、または85.85%であり、百分率とは、前記結晶粒間三角領域の元素の総質量に対して占める質量百分率を意味する。
【0054】
ここで、好ましくは、前記結晶粒間三角領域において、O元素の含有量は、13.25~14.8%であり、例えば、13.25%、13.7%、14.2%、14.3%、14.4%、14.5%、14.6%、14.7%、14.75%、または14.8%であり、百分率とは、前記結晶粒間三角領域の元素の総質量に対して占める質量百分率を意味する。
【0055】
前記R-T-B系永久磁石材料がCuを含む場合、好ましくは、前記結晶粒間三角領域において、Cu元素の含有量は、0.6~0.9%であり、例えば、0.6%、0.8%、または0.9%であり、百分率とは、前記結晶粒間三角領域の元素の総質量に対して占める質量百分率を意味する。
【0056】
前記R-T-B系永久磁石材料がGaを含む場合、好ましくは、前記結晶粒間三角領域において、Ga元素の含有量は、0.4~0.6%であり、例えば、0.4%または0.6%であり、百分率とは、前記結晶粒間三角領域の元素の総質量に対して占める質量百分率を意味する。
【0057】
前記R-T-B系永久磁石材料がCuおよびGaを含む場合、好ましくは、前記結晶粒間三角領域において、Cu元素の含有量は、0.3~0.4%であり、Ga元素の含有量は0.5~0.6%であり、例えば、0.3%Cuと0.6%Ga、0.4%Cuと0.4%Ga、0.4%Cuと0.5%Ga、または0.4%Cuと0.6%Ga、百分率とは、前記結晶粒間三角領域の元素の総質量に対して占める質量百分率を意味する。
【0058】
本発明により提供されるR-T-B系永久磁石材料の製造方法は、下記のステップを含み:前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物の溶融液を鋳造、水素破壊、および粉砕して粉末を得て、前記粉末は分散剤と混合され、次にプレス、成形、焼結および時効処理を経て、ここで、
(1)前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物には、質量百分率で以下の成分が含まれ、
R’:29.5~33.5wt.%、前記R’は希土類元素であり、前記R’にはPrが含まれ、前記Prの含有量は8.85wt.%以上であり、
X:0~5.0wt.%、前記XはCu、Al、Ga、Co、Zr、Ti、Nb、およびMnのうちの1つまたは複数であり、
B:0.90~1.2wt.%、
Fe:61.4~69.5wt.%、
(2)前記粉砕工程において、粉砕雰囲気でO≦60ppmであり、
(3)前記プレス工程において、プレス雰囲気でO≦40ppmであり、
(4)前記分散剤にはC(炭素)元素が含まれ、かつ混合された粉末における前記分散剤の質量百分率は0.04~0.2%である。
【0059】
本発明において、前記R’の含有量は、好ましくは、29.5~33.3wt.%であり、より好ましくは29.5wt.%、30.5wt.%、30.8wt.%、31wt.%、31.5wt.%、32wt.%、32.3wt.%、32.8wt.%、または33.3wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0060】
本発明において、前記Prの含有量は、好ましくは、8.85~27.15wt.%であり、例えば、8.85wt.%、9.85wt.%、10.15wt.%、10.85wt.%、11.85wt.%、12.15wt.%、13.15wt.%、14.15wt.%、16.15wt.%、17.15wt.%、18.15wt.%、19.15wt.%、20.15wt.%、21.15wt.%、22.15wt.%、23.15wt.%、24.15wt.%、25.15wt.%、または27.15wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0061】
本発明において、前記R’には、Ndおよび/またはRがさらに含まれてもよく、前記Rは、Pr、Nd以外の希土類元素である。
【0062】
ここで、前記Ndの含有量は、好ましくは、3.35~22.65wt.%であり、より好ましくは、3.35wt.%、5.35wt.%、6.65wt.%、6.85wt.%、7.35wt.%、7.85wt.%、8.35wt.%、8.65wt.%、8.85wt.%、9.35wt.%、10.65wt.%、10.85wt.%、11.35wt.%、11.65wt.%、11.85wt.%、12.35wt.%、12.65wt.%、13.35wt.%、13.65wt.%、13.85wt.%、14.35wt.%、14.65wt.%、14.85wt.%、15.35wt.%、16.35wt.%、16.65wt.%、16.85wt.%、17.35wt.%、17.65wt.%、18.35wt.%、18.65wt.%、18.85wt.%、19.35wt.%、19.65wt.%、20.65wt.%、20.85wt.%、21.35wt.%、21.65wt.%、21.95wt.%、22.15wt.%、または22.65wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0063】
ここで、前記Ndと前記R’との質量比は、好ましくは、0.72以下であり、例えば、0.11、0.18、0.22、0.23、0.24、0.25、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.40、0.41、0.42、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.52、0.54、0.55、0.59、0.60、0.61、0.63、0.64、0.67、0.68、0.70、または0.72である。
【0064】
ここで、前記Rの種類は、好ましくはYおよび/またはCeである。
【0065】
ここで、前記Rの含有量は、好ましくは、0~1wt.%であり、例えば、0.3wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0066】
本発明において、前記R’には、重希土類元素RHがさらに含まれてもよい。
【0067】
ここで、前記RHの種類は、Dyおよび/またはTbであってもよい。
【0068】
ここで、前記RHの含有量は、本分野における通常の含有量であり、好ましくは、1.2~2.5wt.%であり、例えば、1.2wt.%、1.5wt.%、2wt.%、または2.5wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0069】
ここで、前記RHと前記R’との質量比は、好ましくは、0.253より小さく、例えば、0.038~0.075であり、さらには、例えば、0.038、0.039、0.046、0.061、または0.075である。
【0070】
前記RHがTbを含む場合、前記Tbの含有量は、好ましくは、1.2~2.0wt.%であり、例えば、1.2wt.%、または2.0wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0071】
前記RHがDyを含む場合、前記Dyの含有量は、好ましくは、1.5~2.5wt.%であり、例えば、1.5wt.%、2.0wt.%、または2.5wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0072】
本発明において、前記Bの含有量は、好ましくは、0.95~1.1wt.%であり、例えば、0.95wt.%、0.96wt.%、0.98wt.%、または1.01wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0073】
本発明において、前記Feの含有量は、好ましくは、61.5~69.5wt.%であり、例えば、61.79wt.%、61.89wt.%、62.44wt.%、62.89wt.%、63.24wt.%、63.84wt.%、63.87wt.%、63.94wt.%、64.99wt.%、66.19wt.%、66.29wt.%、66.47wt.%、66.52wt.%、66.55wt.%、66.61wt.%、66.69wt.%、66.75wt.%、66.85wt.%、66.97wt.%、67.00wt.%、67.02wt.%、67.068wt.%、67.13wt.%、67.14wt.%、67.19wt.%、67.24wt.%、67.25wt.%、67.35wt.%、67.37wt.%、67.45wt.%、67.49wt.%、67.54wt.%、67.55wt.%、67.57wt.%、67.59wt.%、67.64wt.%、67.65wt.%、67.69wt.%、67.718wt.%、67.75wt.%、67.85wt.%、67.95wt.%、67.96wt.%、67.97wt.%、68.008wt.%、68.12wt.%、68.55wt.%、68.62wt.%、69.02wt.%、69.1wt.%、69.22wt.%、69.27wt.%、69.32wt.%、または69.45wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0074】
本発明において、前記Xは、Cu、Al、Ga、Co、Zr、TiまたはNbであってもよく、なお、「CuおよびAl」、「GaおよびMn」、「Cu、AlおよびGa」、「Cu、Al、GaおよびZr」、「Cu、Al、GaおよびCo」、または「Cu、Al、Ga、ZrおよびCo」であってもよい。
【0075】
本発明において、前記Xの含有量は、好ましくは、0~4.5wt.%であり、例えば、0.02wt.%、0.042wt.%、0.1wt.%、0.2wt.%、0.25wt.%、0.3wt.%、0.35wt.%、0.36wt.%、0.4wt.%、0.42wt.%、0.422wt.%、0.45wt.%、0.5wt.%、0.52wt.%、0.522wt.%、0.6wt.%、0.64wt.%、0.67wt.%、0.7wt.%、0.74wt.%、0.8wt.%、0.87wt.%、0.88wt.%、0.89wt.%、0.9wt.%、0.94wt.%、1.00wt.%、1.02wt.%、1.1wt.%、1.19wt.%、1.27wt.%、1.3wt.%、1.4wt.%、1.5wt.%、1.56wt.%、1.72wt.%、1.9wt.%、2.5wt.%、3.8wt.%、3.85wt.%、3.95wt.%、または4.2wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0076】
前記XがCuを含む場合、前記Cuの含有量は、好ましくは、0.2~0.5wt.%であり、例えば、0.2wt.%、0.3wt.%、0.34wt.%、0.35wt.%、0.38wt.%、0.4wt.%、0.42wt.%、0.44wt.%、0.45wt.%、または0.5wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0077】
前記XがAlを含む場合、前記Alの含有量は、好ましくは、0~0.8wt.%であるが、0ではなく、例えば、0.01~0.03wt.%または0.5~0.8wt.%であり、さらに、例えば、0.01wt.%、0.02wt.%、0.03wt.%、0.042wt.%、0.1wt.%、0.2wt.%、0.3wt.%、0.35wt.%、0.4wt.%、0.45wt.%、0.5wt.%、0.6wt.%、0.7wt.%、または0.8wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0078】
前記XがGaを含む場合、前記Gaの含有量は、好ましくは、0.0~1.85wt.%であるが、0ではなく、より好ましくは、0.1~1.55wt.%であり、例えば、0.1wt.%、0.15wt.%、0.2wt.%、0.25wt.%、0.3wt.%、0.4wt.%、0.42wt.%、0.5wt.%、0.9wt.%、1.4wt.%、または1.55wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0079】
前記XがCoを含む場合、前記Coの含有量は、好ましくは、0.0~3.0wt.%であるが、0ではなく、より好ましくは、0.5~2.5wt.%であり、例えば、0.5wt.%、1.0wt.%、または2.5wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0080】
前記XがZrを含む場合、前記Zrの含有量は、好ましくは、0.25~0.35wt.%であり、例えば、0.25wt.%、0.30wt.%、または0.35wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0081】
前記XがNbを含む場合、前記Nbの含有量は、好ましくは、0.25~0.35wt.%であり、例えば、0.25wt.%、0.30wt.%、または0.35wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0082】
前記XがMnを含む場合、前記Mnの含有量は、好ましくは、0.0~0.03wt.%であるが、0ではなく、例えば、0.01wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0083】
本発明において、前記R-T-B系永久磁石材料は、通常の添加元素Mを含んでもよく、例えば、Ni、Zn、Ag、In、Sn、Bi、V、Cr、Hf、Ta、およびWのうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0084】
ここで、Mの種類は、好ましくはCrである。
【0085】
ここで、前記Mの含有量は、好ましくは、0~0.15wt.%であるが、0ではなく、例えば、0.05wt.%、または0.12wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0086】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、Cu:0.2~0.5wt.%、B:0.95~1.1wt.%、Fe:61.5~69.5wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0087】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、Al:0~0.8wt.%、ただし、0ではなく、B:0.95~1.1wt.%、Fe:61.5~69.5wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0088】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、Ga:0.1~1.85wt.%、B:0.95~1.1wt.%、Fe:61.5~69.5wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0089】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、Co:0.0~3.0wt.%、ただし、0ではなく、B:0.95~1.1wt.%、Fe:61.5~69.5wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0090】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、Zr:0.25~0.35wt.%、B:0.95~1.1wt.%、Fe:61.5~69.5wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0091】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、Nb:0.25~0.35wt.%、B:0.95~1.1wt.%、Fe:61.5~69.5wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0092】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、Cu:0.34~0.5wt.%、Al:0~0.8wt.%、ただし、0ではなく、B:0.95~1.1wt.%、Fe:61.5~69.5wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0093】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、Cu:0.34~0.5wt.%、Al:0~0.8wt.%、ただし、0ではなく、Ga:0.1~0.5wt.%、B:0.95~1.1wt.%、Fe:61.5~69.5wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0094】
本発明の一つの好ましい態様において、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物は、下記の成分を含み、R’:29.5~33.5wt.%、Pr≧8.85wt.%、Cu:0.34~0.5wt.%、Al:0.3~0.8wt.%、Ga:0.1~0.4wt.%、Zr:0.25~0.30wt.%、B:0.95~1.1wt.%、Fe:61.5~69.5wt.%であり、百分率とは、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。
【0095】
本発明において、前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物の溶融液を本分野における通常の方法で製造することができ、例えば、高周波真空誘導溶解炉で溶解製錬すれば良い。前記溶解炉の真空度は、5×10-2Paであってもよい。前記溶解製錬の温度は、1500℃以下であってもよい。
【0096】
本発明において、前記鋳造の工程は、本分野における通常の鋳造工程であることができ、例えば、Arガス雰囲気(例えば5.5×104PaのArガス雰囲気下)において、102℃/秒~104℃/秒の速度で冷却すればよい。
【0097】
本発明において、前記水素分解の工程は、本分野における通常の水素分解工程であることができ、例えば、水素吸収、脱水素、冷却処理を経ていればよい。
【0098】
ここで、前記水素吸収は、水素ガス圧力0.15MPaの条件下で行うことができる。
【0099】
ここで、前記脱水素は、真空引きしながら昇温する条件で行うことができる。
【0100】
本発明において、前記粉砕の工程は、本分野における通常の粉砕工程であることができ、例えば、ジェットミル粉砕である。
【0101】
前記ジェットミル粉砕の粉砕室圧力は、0.38MPaとすることができる。
【0102】
前記ジェットミル粉砕の時間は、3時間とすることができる。
【0103】
本発明において、好ましくは、前記粉砕の工程において、粉砕雰囲気における酸素の含有量Oは、0~50ppmであり、例えば、0ppm、5ppm、10ppm、15ppm、20ppm、25ppm、30ppm、35ppm、40ppm、45ppm、または50ppmである。
【0104】
本発明において、前記分散剤は、R-T-B系永久磁石材料の製造工程における通常の添加される分散剤であることができ、一般には、潤滑剤および/または酸化防止剤である。一般的に、R-T-B系永久磁石材料の製造工程で添加される潤滑剤と酸化防止剤にはC元素が含まれる。
【0105】
ここで、前記潤滑剤はステアリン酸亜鉛であってもよい。
【0106】
本発明において、前記分散剤の含有量は、好ましくは、0.04~0.14%であり、例えば、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.11%、0.12%、0.13%、または0.14であり、百分率とは、混合後の粉末の総質量に対して占める質量百分率を意味する。
【0107】
前記分散剤がステアリン酸亜鉛を含む場合、前記ステアリン酸亜鉛の量は、0.04~0.14%であり、例えば、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.11%、0.12%、0.13%、または0.14%であり、百分率とは、混合後の粉末の総質量に対して占める質量百分率を意味する。
【0108】
本発明において、好ましくは、前記プレス工程において、プレス雰囲気における酸素の含有量Oは、10~30ppmであり、例えば、10ppm、12ppm、14ppm、16ppm、18ppm、20ppm、22ppm、24ppm、26ppm、28ppm、または30ppmである。
【0109】
本発明において、前記成形の工程は、本分野における通常の成形工程であることができ、例えば、磁場成形法またはホットプレス熱間成形法である。
【0110】
本発明において、前記焼結の工程は、本分野における通常の焼結工程であることができ、例えば、真空条件下(例えば5×10-3Paの真空下)で、予熱、焼結、冷却を経ていればよい。
【0111】
ここで、前記予熱の温度は、300~600℃であることができる。前記予熱の時間は、1~2hとすることができる。前記予熱は、300℃および600℃の温度でそれぞれ1hと予熱することが好ましい。
【0112】
ここで、前記焼結の温度は、本分野における通常の焼結温度、例えば1040℃~1090℃、さらには例えば1050℃とすることができる。
【0113】
ここで、前記焼結の時間は、本分野における通常の焼結時間、例えば2hとすることができる。
【0114】
ここで、前記冷却の前に、ガス圧が0.1MPaに達するようにArガスを導入することができる。
【0115】
本発明において、好ましくは、前記焼結の後、前記時効処理の前に、粒界拡散処理をさらに行う。
【0116】
ここで、前記粒界拡散処理は、本分野における通常の工程で処理を行うことができ、例えば、前記R-T-B系永久磁石材料の表面に、Tbを含有する物質および/またはDyを含有する物質を蒸着、塗布、またはスパッタ付着させて、拡散熱処理すればよい。
【0117】
前記Tbを含有する物質は、Tb金属、Tbを含有する化合物(例えば、Tbを含有するフッ化物である)または合金であってもよい。
【0118】
前記Dyを含有する物質は、Dy金属、Dyを含有する化合物(例えば、Dyを含有するフッ化物である)または合金であってもよい。
【0119】
前記拡散熱処理の温度は、800~900℃、例えば850℃であってもよい。
【0120】
前記拡散熱処理の時間は、12~48h、例えば24hであってもよい。
【0121】
本発明において、前記時効処理の処理温度は、好ましくは、500~650℃であり、例えば600~650℃であり、さらに例えば630℃である。
【0122】
ここで、前記時効処理において、500~650℃まで昇温する昇温速度は、好ましくは3~5℃/minであり、前記昇温の開始点は、室温であってもよい。
【0123】
ここで、前記時効処理の処理時間は3hとすることができる。
【0124】
本発明は、前記方法で製造されたR-T-B系永久磁石材料も提供する。
【0125】
本発明は、前記R-T-B系永久磁石材料が電子部品としての応用も提供する。
【0126】
ここで、前記応用の分野は、自動車駆動分野、風力分野、サーボモーターおよび家電分野(例えば、エアコン)であってもよい。
【0127】
本発明において、前記室温は25℃±5℃を指す。
【0128】
本発明において、Prはプラセオジム、Ndはネオジム、Cuは銅、Bはホウ素、Feは鉄、Alはアルミニウム、Gaはガリウム、Coはコバルト、Zrはジルコニウム、Tiはチタン、Nbはニオブ、Znは亜鉛、Dyはジスプロシウム、Tbはテルビウム、Mnはマンガン、Niはニッケル、Agは銀、Inはインジウム、Snはスズ、Biはビスマス、Vはバナジウム、Crはクロム、Taはタンタル、Wはタングステン、Oは酸素、Cは炭素、Nは窒素である。
【0129】
この分野の常識に準拠することに基づいて、上記の好ましい条件を任意に組み合わせて、本発明の好ましい実施形態を得ることができる。
【0130】
本発明に使用されている試薬および原料は、いずれも市販されている。
【発明の効果】
【0131】
本発明の積極的な進歩的効果は、以下の点にある。
(1)本発明におけるR-T-B系永久磁石材料は、重希土類がない条件下で永久磁石材料の性能の改善を実現することができ、当該R-T-B系永久磁石材料は、優れた磁気特性、高い保磁力、高い残留磁気、および良好な温度安定性を有する。
(2)本発明におけるR-T-B系永久磁石材料の製造工程において、工程中で導入される炭素元素の含有量を制御する必要がなく、かつ、磁石における炭素元素の含有量が高い状態でも、磁石は優れた性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【
図1】
図1は、実施例68で製造したR-T-B系永久磁石材料の微細構造の走査写真であり、ここで、aで示される位置は結晶粒間三角領域である。
【発明を実施するための形態】
【0133】
以下、実施例の態様により本発明をさらに説明するが、本発明を実施例の範囲に制限するものではない。以下の実施例において、具体的な条件が明記されない実験方法は、通常の方法及び条件に従って、または商品仕様書に応じて選択される。以下の表において、wt.%とは、成分が前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物の総質量における質量百分率を意味し、「/」は、当該元素が添加されていないことを示し、「Br」は残留磁束密度(remanence)であり、「Hcj」は保磁力(intrinsic coercivity)である。
【0134】
実施例および比較例におけるR-T-B系永久磁石材料の成分を表1に示す。
【0135】
【0136】
実施例1
R-T-B系永久磁石材料の製造方法は、以下の通りである。
【0137】
(1)溶解製錬の工程:表1に示す成分に従って、調製した原料をアルミナ製の坩堝に入れ、高周波真空誘導溶解炉において5×10-2Paの真空中で1500℃以下の温度で真空溶解製錬した。
【0138】
(2)鋳造の工程:真空溶解製錬した後の溶解炉にArガスを導入し、気圧を5.5万Paにして鋳造し、102℃/秒~104℃/秒の冷却速度で急冷合金を得た。
【0139】
(3)水素破砕工程:急冷合金を置く水素破砕用炉を室温で真空引きした後、純度99.9%の水素ガスを水素破砕用炉内に導入して水素ガス圧力を0.15MPaに維持する。水素吸収を十分に行った後、真空引きしながら昇温し、十分に脱水素する。その後、冷却し、水素破砕した粉末を取り出す。
【0140】
(4)ジェットミル工程:水素破砕した粉末を、窒素ガス雰囲気下及び粉砕室圧力0.38MPaの条件下で3時間のジェットミル粉砕し、微粉を得る。窒素ガス雰囲気における酸素の含有量(ppm)を表2に示す。
【0141】
(5)ジェットミル粉砕した後の粉末にステアリン酸亜鉛を添加し、Vブレンダーで十分に混合した。ステアリン酸亜鉛の添加量を表2に示し、百分率とは、混合後の粉末に占める質量百分率を意味する。
【0142】
(6)磁場成形の工程:上記のステアリン酸亜鉛を添加した粉末を、直角配向型の磁場成形機を用いて、1.6Tの配向磁場中及び0.35ton/cm2の成形圧力で、一辺が25mmの立方体に一次成形し、一次成形後、0.2Tの磁場で減磁し、プレス工程中の雰囲気におけるO(酸素)含有量を表2に示す。一次成形後の成形体を空気に触れさせないように、それをシールし、その後、二次成形機(静水圧成形機)を用いて、1.3ton/cm2の圧力で二次成形を行う。
【0143】
(7)焼結の工程:各成形体を焼結炉に搬送して焼結し、5×10-3Paの真空下かつ300℃および600℃の温度でそれぞれ1時間を保持し、その後、1050℃の温度で2時間焼結してから、Arガスを導入して0.1MPaまでガス圧を到達させた後、室温まで冷却した。
【0144】
(8)時効処理の工程:焼結体を高純度のArガスにおいて、3~5°C/minの昇温速度で20°Cから630°Cまで昇温し、630°Cで3時間熱処理した後、室温まで冷却して取り出した。
【0145】
実施例2~実施例75、比較例1~2
実施例2~実施例75、比較例1~2の成分を表1に示し、製造工程を表2に示し、ほかのステップは実施例1と同じである。
【0146】
実施例76
実施例1で得られた焼結体は、まず粒界拡散処理が行われ、次に時効処理が行われる。その製造工程を表2に示し、ほかのステップは、実施例1と同じである。粒界拡散処理工程は次の通りである。
【0147】
焼結体を直径20mm、シートの厚さ7mm未満の磁石に加工し、厚さ方向を磁場配向方向とし、表面を清浄化した後、それぞれDyフッ化物による調製された原料を用いて、磁石に全面噴霧してコーティングし、コーティングした磁石を乾燥し、高純度のAr雰囲気で、磁石の表面にDy元素の金属をスパッタ付着させ、850℃の温度で24時間拡散熱処理する。室温まで冷却された。
【0148】
実施例77
実施例1で得られた焼結体は、まず粒界拡散処理が行われ、次に時効処理が行われる。その製造工程を表2に示し、ほかのステップは、実施例1と同じである。粒界拡散処理の工程は次の通りである。
【0149】
焼結体を直径20mm、シートの厚さ7mm未満の磁石に加工し、厚さ方向を磁場配向方向とし、表面を清浄化した後、それぞれTbフッ化物による調製された原料を用いて、磁石に全面噴霧してコーティングし、コーティングした磁石を乾燥し、高純度のAr雰囲気で、磁石の表面にTb元素の金属をスパッタ付着させ、850℃の温度で24時間拡散熱処理する。室温まで冷却された。
【0150】
表2
注:添加されたステアリン酸亜鉛の百分率とは、混合後の粉末に占める質量百分率を意味し、O(酸素)含有量とは、O(酸素)原子が雰囲気における含有量を意味する。
【0151】
[効果実施例]
実施例1~77、比較例1~2で得られたR-T-B系永久磁石材料の磁気特性および成分を測定し、その磁性体の結晶構造をFE-EPMAで観察した。
【0152】
(1)磁気特性の評価:永久磁石材料は中国計量院のNIM-10000H型BH大塊希土類永久磁石非破壊測定システムを用いて磁気特性検出を行った。以下の表3は、磁気特性検出の結果を示している。
【0153】
【0154】
(2)成分の測定:各成分に対して、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-OES)を用いて測定した。以下の表4に示すのは、成分検出の結果である。
【0155】
【0156】
(3)FE-EPMAによる検出:表4における番号が1、2、11、12、21、23、34、35、39、43、51、52、60、63、68、69である実施例と比較例1と実施例2のR-T-B系永久磁石材料の垂直配向面を研磨し、電界放出電子プローブマイクロアナライザー(FE-EPMA)(日本電子株式会社(JEOL)、8530F)で検出した。
【0157】
実施例68の結晶粒間三角領域の位置(
図1における位置aで示す)に対して成分の測定を行って、三角領域の相(希土類リッチ相)と観測面上のすべての相(主相、粒界相、希土類リッチ相)との相対体積比を決定し、高いPrと高いCのサンプルにおいて、その結晶粒間三角領域によって形成される相比が比較的低く、これに対して、Prが低いサンプルにおいて、そのような現象がないことが分かる。
【0158】
表5
注:結晶粒間三角領域におけるR’、Ga、Cu、およびOの質量比とは、結晶粒間三角領域における元素の総質量に対して占める質量百分率を意味する。結晶粒間三角領域の相の体積比とは、結晶粒間三角領域の体積が「主相、粒界相、結晶粒間三角領域」の総体積に占める百分率を意味する。