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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-28
(45)【発行日】2023-04-05
(54)【発明の名称】圧電スピーカ
(51)【国際特許分類】
   H04R 17/00 20060101AFI20230329BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20230329BHJP
   H10N 30/20 20230101ALI20230329BHJP
【FI】
H04R17/00
H04R3/00 310
H10N30/20
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022095126
(22)【出願日】2022-06-13
【審査請求日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】202210060171.8
(32)【優先日】2022-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522235504
【氏名又は名称】エーエーシー カイタイ テクノロジーズ (ウーハン) カンパニーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】沈 宇
(72)【発明者】
【氏名】但 ▲強▼
(72)【発明者】
【氏名】周 一▲ウェイ▼
(72)【発明者】
【氏名】程 ▲詩▼▲陽▼
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲楊▼
【審査官】冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/049292(WO,A1)
【文献】特開2015-149368(JP,A)
【文献】特開昭61-150499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 17/00
H04R 3/00
H10N 30/00-39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電スピーカであって、
基板と、支持構造と、第1駆動構造と、伝動構造とを含み、
前記基板には、キャビティが穿設されており、
前記支持構造は、前記基板に設けられかつ前記キャビティを覆い、
前記第1駆動構造は、前記支持構造に積層され、前記第1駆動構造は、交互に積み重ねて設けられた第1電極層及び第1圧電層を含み、
前記伝動構造は、前記第1駆動構造に積層されており、
前記圧電スピーカは、さらに仕切り溝を含み、前記仕切り溝は、前記支持構造及び前記第1駆動構造を貫通することにより、前記第1駆動構造を第1圧電駆動部と第2圧電駆動部とに仕切り、前記伝動構造の剛性は、前記第1駆動構造の剛性以下であり、前記第1駆動構造の剛性は、前記支持構造の剛性以下であり、
前記第2圧電駆動部は、連結梁により前記第1圧電駆動部又は前記基板に接続されている、ことを特徴とする圧電スピーカ。
【請求項2】
前記圧電スピーカは、前記支持構造と前記第1駆動構造とを貫通するスリットをさらに含み、前記第1駆動構造は、複数の前記第1圧電駆動部を含み、隣接する前記第1圧電駆動部同士は、前記スリットにより仕切られる、ことを特徴とする請求項1に記載の圧電スピーカ。
【請求項3】
複数の前記第1圧電駆動部は、前記スリットにより環状に間隔を隔てて前記第2圧電駆動部の外側に設けられている、ことを特徴とする請求項2に記載の圧電スピーカ。
【請求項4】
前記第1圧電駆動部は、第1電気信号により制御され、前記第2圧電駆動部は、第2電気信号により制御される、ことを特徴とする請求項1に記載の圧電スピーカ。
【請求項5】
前記第1電気信号と前記第2電気信号とは、位相差が等しく、振幅値の大きさが等しいが、当該振幅値の正負が逆である、ことを特徴とする請求項に記載の圧電スピーカ。
【請求項6】
前記第1電気信号と前記第2電気信号とは、振幅値の大きさが等しく且つ当該振幅値の正負が一致するが、位相がnπ異なる、ことを特徴とする請求項に記載の圧電スピーカ。
【請求項7】
前記第1電気信号又は前記第2電気信号は、ゼロである、ことを特徴とする請求項に記載の圧電スピーカ。
【請求項8】
前記第1圧電駆動部と前記第2圧電駆動部は、いずれも同一の電気信号により駆動される、ことを特徴とする請求項1に記載の圧電スピーカ。
【請求項9】
圧電スピーカであって、
基板と、支持構造と、第1駆動構造と、伝動構造とを含み、
前記基板には、キャビティが穿設されており、
前記支持構造は、前記基板に設けられかつ前記キャビティを覆い、
前記第1駆動構造は、前記支持構造に積層され、前記第1駆動構造は、交互に積み重ねて設けられた第1電極層及び第1圧電層を含み、
前記伝動構造は、前記第1駆動構造に積層されており、
前記圧電スピーカは、さらに仕切り溝を含み、前記仕切り溝は、前記支持構造及び前記第1駆動構造を貫通することにより、前記第1駆動構造を第1圧電駆動部と第2圧電駆動部とに仕切り、前記伝動構造の剛性は、前記第1駆動構造の剛性以下であり、前記第1駆動構造の剛性は、前記支持構造の剛性以下であり、
前記圧電スピーカは、前記第1駆動構造に積み重ねて設けられた第2駆動構造をさらに含み、前記第2駆動構造は、前記伝動構造の前記第1駆動構造に近接する側に嵌設され、前記第2駆動構造の剛性は、前記伝動構造の剛性以上であり、前記支持構造の剛性は、前記第2駆動構造の剛性以上であり、前記第2駆動構造は、交互に積み重ねて設けられた第2電極層及び第2圧電層を含み、前記仕切り溝の前記伝動構造における正投影は、前記第2駆動構造に位置する、ことを特徴とする圧電スピーカ。
【請求項10】
前記第2駆動構造と前記第1駆動構造は、いずれも同一の電気信号により駆動することができ、それぞれ異なる電気信号により駆動することもできる、ことを特徴とする請求項に記載の圧電スピーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカの技術分野に関し、特に圧電スピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
スピーカは、一般的な電気音響交換装置として、スマート端末装置に広く応用されており、マンマシンインタラクションインタフェースを実現するキーであり、スマート端末の電子装置の小型化によってスピーカの体積もますます小さくなるが、小型化されたスピーカでは、発音面積が小さいため、非常に高い音圧レベル(SPL)を得ることが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来技術に存在した技術問題を解決するために、比較的高い音圧レベルを提供できる圧電スピーカを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、圧電スピーカを提供し、当該圧電スピーカは、基板と、支持構造と、第1駆動構造と、伝動構造とを含み、
前記基板には、キャビティが穿設されており、
前記支持構造は、前記基板に設けられかつ前記キャビティを覆い、
前記第1駆動構造は、前記支持構造に積層され、前記第1駆動構造は、交互に積み重ねて設けられた第1電極層及び第1圧電層を含み、
前記伝動構造は、前記第1駆動構造に積層されており、
前記圧電スピーカは、さらに仕切り溝を含み、前記仕切り溝は、前記支持構造及び前記第1駆動構造を貫通することにより、前記第1駆動構造を第1圧電駆動部と第2圧電駆動部とに仕切り、前記伝動構造の剛性は、前記第1駆動構造の剛性以下であり、前記第1駆動構造の剛性は、前記支持構造の剛性以下である。
【0005】
前記のような圧電スピーカであって、好ましくは、前記圧電スピーカは、さらに前記支持構造と前記第1駆動構造をと貫通するスリットを含み、前記第1駆動構造は、複数の前記第1圧電駆動部を含み、隣接する前記第1圧電駆動部同士は、前記スリットにより仕切られる。
【0006】
前記のような圧電スピーカであって、好ましくは、複数の前記第1圧電駆動部は、前記スリットにより環状に間隔を隔てて前記第2圧電駆動部の外側に設けられている。
【0007】
前記のような圧電スピーカであって、好ましくは、前記第2圧電駆動部は、連結梁によって前記第1圧電駆動部又は前記基板に接続されている。
【0008】
前記のような圧電スピーカであって、好ましくは、前記第1圧電駆動部は、第1電気信号により制御され、前記第2圧電駆動部は、第2電気信号により制御される。
【0009】
前記のような圧電スピーカであって、好ましくは、前記第1電気信号と前記第2電気信号とは、位相差が等しく、振幅値の大きさが等しいが、当該振幅値の正負が逆である。
【0010】
前記のような圧電スピーカであって、好ましくは、前記第1電気信号と前記第2電気信号とは、振幅値の大きさが等しく、当該振幅値の正負が一致するが、位相がnπ異なる。
【0011】
前記のような圧電スピーカであって、好ましくは、前記第1電気信号又は前記第2電気信号は、ゼロである。
【0012】
前記のような圧電スピーカであって、好ましくは、前記第1圧電駆動部と前記第2圧電駆動部は、いずれも同一の電気信号により駆動される。
【0013】
前記のような圧電スピーカであって、好ましくは、前記圧電スピーカは、さらに前記第1駆動構造に積み重ねて設けられる第2駆動構造を含み、前記第2駆動構造は、前記伝動構造の前記第1駆動構造に近接する側に嵌設され、前記第2駆動構造は、前記伝動構造の剛性以上であり、前記支持構造の剛性は、前記第2駆動構造の剛性以上であり、前記第2駆動構造は、交互に積み重ねて設けられた第2電極層及び第2圧電層を含み、前記仕切り溝の前記伝動構造における正投影は、前記第2駆動構造に位置する。
【0014】
前記のような圧電スピーカであって、好ましくは、前記第2圧電駆動部と前記第1圧電駆動部は、いずれも同一の電気信号により駆動することができ、それぞれ異なる電気信号により駆動することもできる。
【発明の効果】
【0015】
従来技術に比べて、本発明は、仕切り溝を用いて第1駆動構造を第1圧電駆動部と第2圧電駆動部とに仕切り、第1圧電駆動部と第2圧電駆動部が協働することによって、同一時刻に生成された音圧レベルがより高くなり、それに、仕切り溝の存在により、駆動構造の全体的な剛性を調整し、駆動構造が振動する時に生成された自己制限効果を低減させることができ、スピーカの最大音圧出力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例1の断面図である。
図2】本発明の実施例1の底面図である。
図3】本発明の実施例1の駆動構造の第1接続態様の概略図である。
図4】本発明の実施例1の駆動構造の第2接続態様の概略図である。
図5】本発明の実施例1の動作状態の概略図1である。
図6】本発明の実施例1の動作状態の概略図2である。
図7】本発明の実施例1の動作状態の概略図3である。
図8】本発明の実施例2の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して説明する実施例は、例示的なものであり、本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではないと解釈されるべきである。
【0018】
実施例1
【0019】
図1に示すように、本発明の実施例は、圧電スピーカを提供し、当該圧電スピーカは、基板10と、支持構造20と、第1駆動構造30と、伝動構造40とを含む。
【0020】
基板10内には、キャビティ11が貫通し、キャビティ11は、円形溝であり、当然のことながら、矩形溝又は六角形溝又は他の異形溝構造に設けられてもよく、異なる使用シーンで、使用ニースに応じて調整することができ、ここで特に限定されず、いくつかの実施形態では、伝動構造40の材料としては、フレキシブル基板、金属基板又は非金属基板からいずれか1つを選択して用いることができるがこれらに限定されず、好ましい態様としては、上記フレキシブル基板の材料は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリエチレン(PE)又はポリイミド(PI)からいずれか1つを選択して用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
支持構造20は、基板10に設けられかつキャビティ11を覆い、支持構造20の形状は、キャビティ11の形成に適合し、いくつかの実施形態において、支持構造20の材料としては、SOI、SiN又は金属などの硬い材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
第1駆動構造30は、支持構造20に積層され、第1駆動構造30は、交互に積み重ねて設けられた第1電極層36及び第1圧電層38を含み、第1圧電層38に対応する制御電圧を印加した後、第1圧電層38が電気エネルギーを機械的エネルギーに変換することにより、第1駆動構造30が変形して、対応する周波数帯域の音波を発することになり、第1駆動構造30の全体的な剛性は、十分な面外変位を生成することができないことを防止するために、大きすぎないようにする必要があり、自身がアーチ状反りを生成することを防止するために、小さすぎないようにする必要もあり、具体的な好ましい手段では、第1駆動構造30の剛性が支持構造20の剛性以下であることである。
【0023】
第1電極層36及び第2圧電層38に異なる電圧を印加することにより、異なる程度及び方向の変位を生成して、出力される音声を柔軟に調整することができる。当業者であれば分かるように、第1電極層36及び第1圧電層38の層数は、いずれも実際の状況に応じて適応的に変更することができ、ここで限定されず、それと同時に絶縁層を設けることもできる。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1圧電層38の材料としては、PZT圧電セラミック、酸化亜鉛、窒化アルミニウム又はマグネシウムニオブ酸鉛-チタン酸鉛ポリフッ化ビニリデンのうちいずれか1つであってもよいが、これらに限定されるものではない。第1電極層36の材料としては、白金、金、クロム又はアルミニウムのうちいずれか1つであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0025】
伝動構造40は、第1駆動構造30に積層され、伝動構造40は、平面膜構造であることが好ましく、応力歪みの伝送阻害を回避するために、伝動構造40の全体的な剛性が小さく設定され、具体的な好ましい手段では、伝動構造40の全体的な剛性が第1駆動構造30の全体的な剛性以下であることである。
【0026】
圧電スピーカは、さらに仕切り溝50を含み、仕切り溝50は、キャビティ11の軸線方向に沿って支持構造20及び第1駆動構造30を貫通することにより、第1駆動構造30を第1圧電駆動部31と第2圧電駆動部32とに仕切り、第1圧電駆動部31及び第2圧電駆動部32は、駆動制御信号によりともに駆動されて運動することができる。同時に、伝動構造40の剛性は、第1駆動構造30の剛性以下であり、第1駆動構造30の剛性は、支持構造20の剛性以下である。
【0027】
上記実施形態により、第1圧電駆動部31と第2圧電駆動部32が協働することによって、同一時刻に生成された音圧レベルがより高くなり、同時に仕切り溝50の存在により、第1駆動構造30の全体的な剛性を調整し、第1駆動構造30が振動する時に生成された自己制限効果を低下させることができ、スピーカの最大音圧出力を向上させることができる。
【0028】
さらに、第1駆動構造30は、複数の前記第1圧電駆動部31を含み、隣接する第1圧電駆動部31同士は、スリット60により仕切られ、当業者であれば分かるように、第1駆動構造30は、1つの第1圧電駆動部31のみが設けられてもよく、この場合、第1圧電駆動部31全体が環状構造であり、第2圧電駆動部32が環状構造の中心に設けられている。
【0029】
図2図4に示すように、第2圧電駆動部32は、スピーカ構造の中部に位置し、複数の第1圧電駆動部31は、環状に間隔を隔てて第2圧電駆動部32の外側に設けられ、いくつかの実施形態において、6つの第1圧電駆動部31が設けられており、6つの第1圧電駆動部31は、第2圧電駆動部32を中心としてスリット60により環状に間隔を隔てて設けられ、第1圧電駆動部31と第2圧電駆動部32との間は、仕切り溝50により隔てられ、仕切り溝50は、環状溝であり、当業者であれば分かるように、第1圧電駆動部31の数及び位置は、実際の状況に応じて適応的に変更することができ、ここで限定されないものとする。
【0030】
好ましくは、圧電スピーカは、選択的に第1圧電駆動部31又は第2圧電駆動部32のみに通電可能であり、第1圧電駆動部31と第2圧電駆動部32が仕切り溝50により隔てられるため、第1圧電駆動部31と第2圧電駆動部32は、電気信号によりともに駆動するか又は単独で駆動することができる。いくつかの実施形態では、圧電スピーカの第1共振周波数fの前に、電気信号により第1圧電駆動部31と第2圧電駆動部32をともに運動させ、音圧レベルの高い音波を発し、当該音波の周波数範囲は20Hz~fである。当業者であれば分かるように、圧電スピーカの第1共振周波数は、圧電スピーカ自体の構造に関連し、ここで所定値fで定められる。
【0031】
周波数範囲がf~20kHz内にある場合、電気信号により第1圧電駆動部31又は第2圧電駆動部32を単独に駆動することによって、スピーカは、周波数範囲がf~20kHzの音波を発することができる。fよりも外側において第1圧電駆動部31又は第2圧電駆動部32を単独で励起する利点は、共振周波数での音圧レベルSPLが効果的に低減され、その共振周波数の1/2、1/3、1/4、…に対応するTHDが低減されることである。
【0032】
さらに、図3及び図4に示すように、第2圧電駆動部32は、連結梁33により第1圧電駆動部31又は基板10に接続され、連結梁33の構造の目的は、回路が通過しやすくなることにある。
【0033】
いくつかの実施形態において、第1圧電駆動部31は、第1電気信号により制御され、第2圧電駆動部32は、第2電気信号により制御され、第1電気信号と第2電気信号は、振幅値の大きさが等しいが、正負が逆であり、かつ、位相が一致することが好ましい。他の実施形態において、第1電気信号と第2電気信号とは、振幅値の大きさが等しく正負が一致するが、位相差がnπ異なる。
【0034】
いくつかの実施形態において、第1圧電駆動部31と前記第2圧電駆動部32は、いずれも同一の電気信号により駆動される。
【0035】
第1圧電層38の材料が窒化アルミニウムであると、第1圧電駆動部31の第1電極が正の交流電圧(例えば、AC=Asin(2πft)、Aは振幅値であり、A>0であり、fは周波数である)に接続されてもよく、第2電極が接地されてもよく、第2圧電駆動部32の第1電極が接地されてもよく、第2電極が正の交流電圧に接続されてもよく、電圧がAC=Asin(2πft)である。
【0036】
第1圧電層38の材料がPZTであると、第1圧電駆動部31の第1電極が正の交流電圧及び正の直流電圧(例えば、AC+DC)に接続されてもよく、第2電極が接地されてもよく、第2圧電駆動部32の第1電極が接地されてもよく、第2電極がAC+DCに接続されてもよく、一部の構造は図3に示す通りであり、第2圧電駆動部32を制御する電気信号は、第2圧電駆動部32と基板10の連結梁33により配線することができる。
【0037】
OR回路は、元の信号により送信され、変換装置により一部を保留する。例えば、AC=Asin(2πft)であり、他の一部の電信号は、初期位相と180°異なり、例えば、AC=Asin(2πft+nπ)、n=1,2,3,…、一部の構造は図4に示す通りであり、第2圧電駆動部32を制御する電気信号は、第2圧電駆動部32と第1圧電駆動部31の連結梁33により配線することができ、かつ、第1圧電駆動部31における電極配線と第2圧電駆動部32における配線とは、電気的に分離される。
【0038】
いくつかの実施形態において、第1圧電駆動部31と第2圧電駆動部32は、いずれも同一の電気信号により駆動され、第1圧電駆動部31の正極(又は負極)と第2圧電駆動部32の正極(又は負極)は、構造の最外周で電気的に接続される。
【0039】
図5図7に示すように、第1圧電駆動部31は、一端が基板10に接続され、クランプ状態にあり、他端が相対的に自由である。第1圧電駆動部31(第1電極層36を省略する)が圧電スピーカの振動発音方向に平行な電界作用を受ける場合、圧電効果により、面内に伸縮運動が発生し、第1駆動構造30と支持構造20及び伝動構造40との剛性が一致せず、かつ三者の関係は、伝動構造40の剛性が第1駆動構造30の剛性以下であり、第1駆動構造30の剛性が支持構造20の剛性以下であり、伝動構造40に隣接する第1圧電駆動部31の上面は、支持構造20に隣接する下面よりも伸縮程度がより大きく、伝動構造40の第1圧電駆動部31に隣接する面は第1面であり、支持構造20の第1圧電駆動部31に隣接する面は第2面であり、第2面は、剛性がより大きい支持構造20の拘束作用により、伸縮程度が上面よりも小さく、伝動構造40の剛性は、第1駆動構造30の剛性以下であり、第1面の伸縮は、第2面よりも自由である。したがって、第1面と第2面の伸縮程度が一致せず、デバイス全体に面外の反り変位が発生する。
【0040】
第2圧電駆動部32の両端は、基板10に支持されず、いずれも相対的に自由な状態にあり、相対的に自由に伸縮することができ、同様に圧電スピーカの振動発音方向に平行な電界の作用を受ける場合、第1面と第2面の伸縮程度が一致せず、第2圧電駆動部32の縁部領域と中心領域の面外への反りも一致せず(発生可能な状況は、凹又は凸又は平である)、第1圧電駆動部31とともに作用することによって、デバイス全体の反り高さをさらに向上させることができ、即ち、圧電スピーカの音圧レベルをさらに向上させることができる。
【0041】
実施例2
【0042】
本実施例が実施例1と相違する点は、圧電スピーカは、第1駆動構造30に積み重ねて設けられた第2駆動構造34をさらに含み、第2駆動構造34は、第3圧電駆動部35を含み、第2駆動構造34は、伝動構造40の第1駆動構造30に近接する側に嵌設され、第2駆動構造34の剛性は、伝動構造40の剛性以上であり、支持構造20の剛性は、第2駆動構造34の剛性以上であり、具体的には、図8に示すように、前記伝動構造40に隣接するのは、第3圧電駆動部35であり、前記支持構造20に隣接するのは、第1圧電駆動部31及び第2圧電駆動部32であるということにある。好ましくは、第2圧電駆動部32は、電気信号により駆動されなくてもよい。第3圧電駆動部35の構造は、第1圧電駆動部31と同じであり、第3圧電駆動部35の電界方向は、第1圧電駆動部31の電界方向と逆であり、第3圧電駆動部35と第1圧電駆動部31は、同一の電気信号により駆動されてもよく、異なる電気信号により駆動されてもよく、仕切り溝50の伝動構造40における正投影は、第3圧電駆動部35に位置する。
【0043】
実施例1において、縁部から中心方向へ延在する第1圧電駆動部31の長さ、仕切り溝50の寸法及び第2圧電駆動部32の長さの和は、チップの総寸法に等しい。
【0044】
実施例2において、利点は、第1圧電駆動部31の長さ、仕切り溝50の寸法及び第3圧電駆動部35の長さの和がチップの総寸法よりも大きくてもよいことである。明らかなように、第3圧電駆動部35の長さが長くなると、チップ全体の面外への振動の平均高さが大きくなり、チップの性能をさらに向上させることができる。
【0045】
以上、図面に示された実施例に基づいて本発明の構造、特徴及び作用効果を詳細に説明し、上述したのは、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明は図面に示された実施範囲を限定するものではなく、本発明の構想に基づいて行われた変更、又は同等変化の等価実施例に修正することは、明細書及び図示に含まれた精神を逸脱しない場合、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0046】
10…基板、11…キャビティ
20…支持構造
30…第1駆動構造、31…第1圧電駆動部、32…第2圧電駆動部、33…連結梁、34…第2駆動構造、35…第3圧電駆動部、36…第1電極層、37…第2電極層、38…第1圧電層、39…第2圧電層
40…伝動構造
50…仕切り溝
60…スリット

【要約】      (修正有)
【課題】比較的高い音圧レベルを提供する圧電スピーカを提供する。
【解決手段】圧電スピーカは、基板10と、支持構造20と、第1駆動構造30と、伝動構造40と、仕切り溝50と、を含む。基板にはキャビティ11が穿設されており、支持構造は基板に設けられ、かつ、キャビティを覆う。第1駆動構造は、支持構造に積層される。第1駆動構造は、交互に積み重ねて設けられた第1電極層36及び第1圧電層38を含む。伝動構造は、駆動構造に積層される。仕切り溝は、支持構造及び駆動構造を貫通することにより、第1駆動構造を第1圧電駆動部31と第2圧電駆動部32とに仕切る。伝動構造の剛性は駆動構造の剛性以下であり、第1駆動構造の剛性は支持構造の剛性以下である。
【選択図】図1
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図8