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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-29
(45)【発行日】2023-04-06
(54)【発明の名称】スロットル操作装置
(51)【国際特許分類】
   B62K 23/06 20060101AFI20230330BHJP
   F02D 11/02 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
B62K23/06
F02D11/02 R
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019037259
(22)【出願日】2019-03-01
(65)【公開番号】P2020138679
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000213954
【氏名又は名称】朝日電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 通之
【審査官】西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-157097(JP,A)
【文献】特開2010-053836(JP,A)
【文献】特開2010-195188(JP,A)
【文献】特開2018-203037(JP,A)
【文献】特開2018-091201(JP,A)
【文献】特開2014-046745(JP,A)
【文献】特開2005-212661(JP,A)
【文献】特開2002-348098(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 23/02-23/06
F02D 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の把持グリップ近傍に取り付けられ、軸周りの回転操作によってアクセル操作して車両を走行させ得る操作手段を具備したスロットル操作装置において、
前記操作手段は、一方の回転操作及び他方の回転操作が可能とされるとともに、前記一方の回転操作により車両を前進可能とされ、前記他方の回転操作により車両を後退可能とされ、且つ、少なくとも2本の突出部を有するとともに、一方の突出部を前方に向かって押圧操作することにより前記一方の回転操作が可能とされ、他方の突出部を後方に向かって引っ張り操作することにより前記他方の回転操作が可能とされたことを特徴とするスロットル操作装置。
【請求項2】
前記一方の突出部及び他方の突出部は、前記操作手段の周方向に対して所定寸法離間して突出形成されたことを特徴とする請求項1記載のスロットル操作装置。
【請求項3】
前記一方の回転操作を許容しつつ前記他方の回転操作を規制するとともに、当該他方の回転操作の規制を任意に解除し得るロック手段を具備したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のスロットル操作装置。
【請求項4】
前記操作手段を前記一方の回転操作及び他方の回転操作した際、当該操作手段を初期位置に向かって付勢する共通のリターンスプリングを具備したことを特徴とする請求項1~3の何れか1つに記載のスロットル操作装置。
【請求項5】
前記操作手段の前記一方の回転操作及び他方の回転操作に伴って摩擦抵抗を生じさせ得る抵抗手段を具備したことを特徴とする請求項4記載のスロットル操作装置。
【請求項6】
前記操作手段の前記一方の回転操作及び他方の回転操作に伴って回転するとともにギアを有する連動部材と、
前記連動部材のギアと噛み合うギアを有し、当該連動部材に連動して回転し得る回転部材と、
前記回転部材に固定され、磁気を生じさせ得る磁気発生部材と、
前記磁気発生部材の磁気変化を検出して前記回転部材の回転方向及び回転角度を検出可能な検出手段と、
を具備し、前記検出手段の検出値に基づいて前記操作手段の回転操作方向及び回転操作角度を検出して車両を走行させ得ることを特徴とする請求項1~5の何れか1つに記載のスロットル操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の把持グリップ近傍に取り付けられ、軸周りの回転操作によってアクセル操作して車両を走行させ得る操作手段を具備したスロットル操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ATVや四輪バギー等の車両におけるスロットル開度を操作するための従来のスロットル操作装置として、例えば特許文献1にて開示されているように、把持グリップ近傍に取り付けられた操作レバー(サムスロットルレバー)を具備したものが挙げられる。かかる従来のスロットル操作装置は、把持グリップを把持した運転者の手の指を操作レバーまで伸ばし、軸周りに回転操作することによりアクセル操作して車両を走行させ得るよう構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-212661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のスロットル操作装置においては、車両を前進させる場合と後退させる場合とで操作レバーに対する操作が同じ方向とされていたため、例えば車両を後退させようとする際、ギア等を後退用に切り替えるのを忘れたり後退用の切り替え操作が良好に行われなかった場合であっても、運転者が気付かずにアクセル操作してしまう虞があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、車両の前進時のアクセル操作と後退時のアクセル操作とを運転者に対して確実に認識させることができ、誤操作を防止することができるスロットル操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、車両の把持グリップ近傍に取り付けられ、軸周りの回転操作によってアクセル操作して車両を走行させ得る操作手段を具備したスロットル操作装置において、前記操作手段は、一方の回転操作及び他方の回転操作が可能とされるとともに、前記一方の回転操作により車両を前進可能とされ、前記他方の回転操作により車両を後退可能とされ、且つ、少なくとも2本の突出部を有するとともに、一方の突出部を前方に向かって押圧操作することにより前記一方の回転操作が可能とされ、他方の突出部を後方に向かって引っ張り操作することにより前記他方の回転操作が可能とされたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のスロットル操作装置において、前記一方の突出部及び他方の突出部は、前記操作手段の周方向に対して所定寸法離間して突出形成されたことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載のスロットル操作装置において、前記一方の回転操作を許容しつつ前記他方の回転操作を規制するとともに、当該他方の回転操作の規制を任意に解除し得るロック手段を具備したことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1~3の何れか1つに記載のスロットル操作装置において、前記操作手段を前記一方の回転操作及び他方の回転操作した際、当該操作手段を初期位置に向かって付勢する共通のリターンスプリングを具備したことを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のスロットル操作装置において、前記操作手段の前記一方の回転操作及び他方の回転操作に伴って摩擦抵抗を生じさせ得る抵抗手段を具備したことを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項1~5の何れか1つに記載のスロットル操作装置において、前記操作手段の前記一方の回転操作及び他方の回転操作に伴って回転するとともにギアを有する連動部材と、前記連動部材のギアと噛み合うギアを有し、当該連動部材に連動して回転し得る回転部材と、前記回転部材に固定され、磁気を生じさせ得る磁気発生部材と、前記磁気発生部材の磁気変化を検出して前記回転部材の回転方向及び回転角度を検出可能な検出手段とを具備し、前記検出手段の検出値に基づいて前記操作手段の回転操作方向及び回転操作角度を検出して車両を走行させ得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、操作手段は、一方の回転操作及び他方の回転操作が可能とされるとともに、一方の回転操作により車両を前進可能とされ、他方の回転操作により車両を後退可能とされるので、車両の前進時のアクセル操作と後退時のアクセル操作とを運転者に対して確実に認識させることができ、誤操作を防止することができる。
【0013】
さらに、操作手段は、少なくとも2本の突出部を有するとともに、一方の突出部を前方に向かって押圧操作することにより一方の回転操作が可能とされ、他方の突出部を後方に向かって引っ張り操作することにより他方の回転操作が可能とされたので、前進と後退とを感覚的な操作にて行わせることができ、操作性を向上させることができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、一方の回転操作を許容しつつ他方の回転操作を規制するとともに、当該他方の回転操作の規制を任意に解除し得るロック手段を具備したので、操作手段を誤って他方の回転操作してしまうのを防止することができ、安全性を向上させることができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、操作手段を一方の回転操作及び他方の回転操作した際、当該操作手段を初期位置に向かって付勢する共通のリターンスプリングを具備したので、一方の回転操作用のリターンスプリングと他方の回転操作用のリターンスプリングとの両方を具備したものに比べ、部品点数を削減することができる。
【0016】
請求項5の発明によれば、操作手段の一方の回転操作及び他方の回転操作に伴って摩擦抵抗を生じさせ得る抵抗手段を具備したので、一方の回転操作及び他方の回転操作の両方の操作性を向上させることができる。
【0017】
請求項6の発明によれば、操作手段の一方の回転操作及び他方の回転操作に伴って回転するとともにギアを有する連動部材と、連動部材のギアと噛み合うギアを有し、当該連動部材に連動して回転し得る回転部材と、回転部材に固定され、磁気を生じさせ得る磁気発生部材と、磁気発生部材の磁気変化を検出して前記回転部材の回転方向及び回転角度を検出可能な検出手段とを具備し、検出手段の検出値に基づいて操作手段の回転操作方向及び回転操作角度を検出して車両を走行させ得るので、ギア等を切り替えて車両を前進又は後退させる必要がなく、操作性をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係るスロットル操作装置の外観を示す斜視図
図2】同スロットル操作装置の外観を示す正面図
図3】同スロットル操作装置の外観を示す平面図
図4】同スロットル操作装置の外観を示す側面図
図5】同スロットル操作装置の内部構成を示す断面図
図6】同スロットル操作装置における操作手段を示す斜視図
図7】同スロットル操作装置における操作手段を示す断面図
図8】同スロットル操作装置におけるケースを示す斜視図
図9】同スロットル操作装置におけるロック手段を示す斜視図
図10】同スロットル操作装置における連動部材を示す斜視図
図11】同スロットル操作装置におけるケース部材を示す斜視図
図12】同スロットル操作装置におけるケース部材に連動部材及び回転部材を組み付けた状態を示す斜視図
図13】同スロットル操作装置におけるケース部材に連動部材及び回転部材を組み付けた後、カバー部材7を取り付けた状態を示す斜視図
図14】同スロットル操作装置における連動部材、回転部材、リターンスプリング及び抵抗手段の位置関係を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るスロットル操作装置は、ATVや四輪バギー等の車両に取り付けられて走行時にアクセル操作し得るもので、図1~5に示すように、操作手段1と、ロック手段2と、連動部材3と、ケース部材4と、リターンスプリング5と、抵抗手段6と、回転部材8と、回転角度検出手段10(検出手段)と、ケースCとを具備している。
【0020】
また、本実施形態に係るスロットル操作装置の操作手段1は、同図に示すように、車両のハンドルバーHにおける把持グリップGの基端側近傍に取り付けられるとともに、ケースCに対して隣接した位置に回転可能な状態で取り付けられている。ケースCは、連動部材3、ケース部材4、リターンスプリング5、抵抗手段6、回転部材8及び回転角度検出手段10等の部品を収容している。
【0021】
操作手段1は、車両の把持グリップG近傍に取り付けられ、軸L周りの回転操作によってアクセル操作して車両を走行させ得る略円環状部材から成るもので、図6、7に示すように、2本の突出部(一方の突出部1a及び他方の突出部1b)を有している。かかる操作手段1は、軸Lを中心として一方の回転操作α及び他方の回転操作βが可能とされるとともに、一方の回転操作αにより車両を前進可能とされ、他方の回転操作βにより車両を後退可能とされている。
【0022】
より具体的には、一方の突出部1a及び他方の突出部1bが操作手段1の周方向に対して所望寸法離間して突出形成されているので、運転者が把持グリップGを把持した手の指(例えば親指)を一方の突出部1aに当てて前方に向かって押圧操作することにより一方の回転操作αが可能とされ、運転者が把持グリップGを把持した手の指(例えば人差し指)を他方の突出部1bに当てて後方に向かって引っ張り操作することにより他方の回転操作βが可能とされている。
【0023】
また、本実施形態に係る操作手段1は、所定部位にロック手段2が取り付けられている。かかるロック手段2は、一方の回転操作αを許容しつつ他方の回転操作βを規制するとともに、当該他方の回転操作βの規制を任意に解除し得るもので、操作手段1の回転操作とは独立して操作(図2の矢印方向へのスライド操作)可能とされている。すなわち、ロック手段2は、通常状態においては他方の回転操作βを規制するロック位置にあり、スライド操作によって他方の回転操作βを許容するアンロック位置となるよう構成されている。
【0024】
具体的には、ロック手段2は、図9に示すように、操作部2a及び突起部2bが一体形成されるとともに、所定部位にピンp及びスプリングs1がそれぞれ取り付けられている。操作部2aは、運転者が指を当ててロック手段2をスライド操作してロック位置からアンロック位置まで操作可能な部位から成るとともに、突起部2bは、一方の側に勾配面2ba、他方の側に壁面2bbがそれぞれ形成された凸状部位から成る。
【0025】
そして、操作手段1にロック手段2を組み付けると、図6に示すように、操作部2aが外部に臨んだ状態となり、スライド操作を容易に行わせることができるようになっている。また、操作手段1にロック手段2を組み付けると、図7に示すように、ピンpが操作手段1に形成された長孔mに挿通した状態とされ、ロック手段2の操作方向に対する案内が可能とされるとともに、スプリングs1の付勢力によってロック手段2がロック位置に保持されるようになっている。
【0026】
一方、ケースCは、図8に示すように、一方の側に壁面Ca1及び他方の側に勾配面Ca2を有した突起部Caが一体形成されており、ケースCと隣接した位置に操作手段1を組み付けると、図3に示すように、ケースCの突起部Caとロック手段2の突起部2bとが操作手段1の操作方向に対して対峙するようになっている。これにより、ロック手段2がロック位置(非操作状態)にあるとき、突起部Caの壁面Ca1と突起部2bの壁面2bbとが当接して操作手段1の他方の回転操作βを規制することができる。なお、ロック手段2がロック位置にあるとき、操作手段1を一方の回転操作αする際、ケースCの突起部Caとロック手段2の突起部2bとが干渉しないため、一方の回転操作αは許容されることとなる。
【0027】
ここで、ロック手段2をロック位置からアンロック位置までスライド操作すると、ケースCの突起部Caからロック手段2の突起部2bが離間するので、操作手段1を他方の回転操作βする際、突起部Caと突起部2bとの干渉が回避され、他方の回転操作βが許容されることとなる。また、ロック手段2をアンロック位置までスライド操作して他方の回転操作βが行われた後、操作手段1を初期位置まで戻す過程において、ロック手段2がスプリングs1の付勢力でロック位置に戻っていたとしても、突起部Caの勾配面Ca2と突起部2bの勾配面2baとが干渉してロック手段2がスプリングs1の付勢力に抗してスライド操作方向に逃げるため、操作手段1を初期位置まで移動可能とされている。
【0028】
連動部材3は、ケース部材4内に収容されるとともに、操作手段1の一方の回転操作α及び他方の回転操作βに伴って回転し得るもので、図10に示すように、操作手段1の嵌合部1c(図6参照)と嵌合し得る被嵌合部3aと、リターンスプリング5の両端部が係止される被係止部3b(図14参照)と、回転部材8のギアg2と噛み合うギアg1とを有して構成されている。そして、操作手段1の嵌合部1cに操作手段1の被嵌合部3aが嵌合されるので、操作手段1に対する一方の回転操作α又は他方の回転操作βが行われると、連動部材3がリターンスプリング5の付勢力に抗して回転するようになっている。
【0029】
ケース部材4は、図12に示すように、連動部材3及び回転部材8をそれぞれ回転可能に保持するもので、図13に示すように、開口面がカバー部材7にて塞がれるようになっている。このケース部材4は、図11に示すように、内部に収容空間4aaが形成されたボス部4aと、回転部材8が取り付けられる凹部4bと、該凹部4bに取り付けられた回転部材8の回転中心に突出形成されたボス部4cとを有して構成されている。
【0030】
ボス部4aの収容空間4aaには、図5に示すように、スプリングs2と、摩擦材6aを有した抵抗手段6とが収容されており、スプリングs2の付勢力で連動部材3に対して抵抗手段6の摩擦材6aを押圧し得るよう構成されている。これにより、操作手段1の一方の回転操作α及び他方の回転操作βに伴って連動部材3が回転する際、当該連動部材3及び操作手段1に対して摩擦抵抗を生じさせることができる。
【0031】
リターンスプリング5は、操作手段1の回転操作時、当該操作手段1及び連動部材3を初期位置に向かって付勢するもので、本実施形態においては、操作手段1を一方の回転操作α及び他方の回転操作βした際、当該操作手段1を初期位置に向かって付勢する共通の捩りコイルバネにて構成されている。かかるリターンスプリング5は、図14に示すように、その両端部が連動部材3の被係止部3bに係止して組み付けられており、操作手段1に対して一方の回転操作α又は他方の回転操作βが行われると、リターンスプリング5の一方の端部は連れ回しされて被係止部3bと共に移動するとともに、他方の端部はボス部4cと干渉して連れ回しされず保持されるので、付勢力が生じるようになっている。
【0032】
回転部材8は、図12、14に示すように、連動部材3のギアg1と噛み合うギアg2を外周面に有し、当該連動部材3に連動して回転し得るもので、磁気発生部材としての磁石9が取り付けられている。磁石9は、回転部材8に固定され、磁気を生じさせ得るもので、回転部材8と磁石9とが回転軸Rを中心として一体的に回転し得るようになっている。なお、回転部材8は、トーションバネs3(図5参照)により回転方向に付勢されており、ギアg1とギアg2との間にガタが生じてしまうのを抑制している。
【0033】
回転角度検出手段10(検出手段)は、磁石9の磁気変化を検出して回転部材8の回転方向及び回転角度を検出可能な磁気センサから成るもので、図5に示すように、本実施形態においては、所定の電気回路が印刷された基板11に形成されている。そして、操作手段1に対して一方の回転操作α又は他方の回転操作βを行うと、その回転方向及び回転角度に応じて連動部材3及び回転部材8が回転するので、その回転方向及び回転角度を回転角度検出手段10により検出することができる。これにより、回転角度検出手段10で検出された検出値に基づいて操作手段1の回転方向及び回転操作角度を検出して車両を走行(前進又は後退)させることができる。
【0034】
本実施形態によれば、操作手段1は、一方の回転操作α及び他方の回転操作βが可能とされるとともに、一方の回転操作αにより車両を前進可能とされ、他方の回転操作βにより車両を後退可能とされるので、車両の前進時のアクセル操作と後退時のアクセル操作とを運転者に対して確実に認識させることができ、誤操作を防止することができる。また、本実施形態に係る操作手段1は、少なくとも2本の突出部(一方の突出部1a及び他方の突出部1b)を有するとともに、一方の突出部1aを前方に向かって押圧操作することにより一方の回転操作αが可能とされ、他方の突出部1bを後方に向かって引っ張り操作することにより他方の回転操作βが可能とされたので、前進と後退とを感覚的な操作(すなわち、前進する際は前方に操作し、後退する際は後方に操作する)にて行わせることができ、操作性を向上させることができる。
【0035】
さらに、一方の回転操作αを許容しつつ他方の回転操作βを規制するとともに、当該他方の回転操作βの規制を任意に解除し得るロック手段2を具備したので、車両を後退させる意思がないにも関わらず操作手段1を誤って他方の回転操作βしてしまうのを防止することができ、安全性を向上させることができる。またさらに、操作手段1を一方の回転操作α及び他方の回転操作βした際、当該操作手段1を初期位置に向かって付勢する共通のリターンスプリング5を具備したので、一方の回転操作用のリターンスプリングと他方の回転操作用のリターンスプリングとの両方を具備したものに比べ、部品点数を削減することができる。なお、共通のリターンスプリング5を用いることにより、前進時の一方の回転操作αに必要な操作力と後退時の他方の回転操作βに必要な操作力とを容易に均等化させることができる。
【0036】
また、操作手段1の一方の回転操作α及び他方の回転操作βに伴って摩擦抵抗を生じさせ得る抵抗手段6を具備したので、一方の回転操作α及び他方の回転操作βの両方の操作性を向上させることができる。さらに、操作手段1の一方の回転操作α及び他方の回転操作βに伴って回転するとともにギアg1を有する連動部材3と、連動部材3のギアg1と噛み合うギアg2を有し、当該連動部材3に連動して回転し得る回転部材8と、回転部材8に固定され、磁気を生じさせ得る磁石9(磁気発生部材)と、磁石9の磁気変化を検出して回転部材8の回転方向及び回転角度を検出可能な回転角度検出手段10(検出手段)とを具備し、回転角度検出手段10(検出手段)の検出値に基づいて操作手段1の回転操作方向及び回転操作角度を検出して車両を走行させ得るので、ギア等を切り替えて車両を前進又は後退させる必要がなく、操作性をより一層向上させることができる。
【0037】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば操作手段1の回転操作方向及び回転操作角度を直接検出して車両を前進又は後退させるようにしてもよく、操作手段1と連動部材3とが一体構造のものであってもよい。また、ロック手段2を具備しないもの、或いは一方の突出部1a及び他方の突出部1bに加えて操作手段1に更なる突出部が形成されたものであってもよい。なお、本実施形態においては、ATVや4輪バギーに適用されているが、他の車両に適用するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
一方の回転操作及び他方の回転操作が可能とされるとともに、一方の回転操作により車両を前進可能とされ、他方の回転操作により車両を後退可能とされ、且つ、少なくとも2本の突出部を有するとともに、一方の突出部を前方に向かって押圧操作することにより一方の回転操作が可能とされ、他方の突出部を後方に向かって引っ張り操作することにより他方の回転操作が可能とされた操作手段を具備したスロットル操作装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 操作手段
1a 一方の突出部
1b 他方の突出部
1c 嵌合部
2 ロック手段
2a 操作部
2b 突起部
2ba 勾配面
2bb 壁面
3 連動部材
3a 被嵌合部
3b 被係止部
4 ケース部材
4a 突出部
4aa 穴部
4b 収容凹部
4c ボス部
5 リターンスプリング
6 抵抗手段
6a 摩擦材
7 カバー部材
8 回転部材
9 磁石(磁気発生部材)
10 回転角度検出手段(検出手段)
11 基板
12 防水リング
C ケース
Ca 突起部
Ca1 壁面
Ca2 勾配面
G 把持グリップ
H ハンドルバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14