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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-29
(45)【発行日】2023-04-06
(54)【発明の名称】制御装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/16 20060101AFI20230330BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20230330BHJP
   H04R 1/00 20060101ALI20230330BHJP
   G10K 15/04 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
G06F3/16 680
G06F3/01 510
H04R1/00 310G
G10K15/04 302F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019026623
(22)【出願日】2019-02-18
(65)【公開番号】P2020135300
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(73)【特許権者】
【識別番号】599011687
【氏名又は名称】学校法人 中央大学
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100120499
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 淳
(72)【発明者】
【氏名】大西 剛史
(72)【発明者】
【氏名】中井 裕真
(72)【発明者】
【氏名】戸井 武司
(72)【発明者】
【氏名】豊田 健太
【審査官】菅原 浩二
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-097706(JP,A)
【文献】特開2011-141890(JP,A)
【文献】特開2008-130055(JP,A)
【文献】特開2015-231098(JP,A)
【文献】特開2016-110423(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0114047(US,A1)
【文献】国際公開第2018/198790(WO,A1)
【文献】特開2010-134728(JP,A)
【文献】特開平07-146710(JP,A)
【文献】石光 俊介 他,ボタン押し音評価に関する検討,電子情報通信学会技術研究報告 SIP2008-27~34,日本,社団法人電子情報通信学会,2008年05月23日,第108巻,第71号,第13-18頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/16
G06F 3/01
H04R 1/00
G10K 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ操作に対する感覚フィードバックの提示を制御する制御部、
を備え、
前記感覚フィードバックは、少なくとも聴覚フィードバックを含み、
前記制御部は、前記ユーザ操作が検知された場合、任意のフィードバック音源に係る一部の周波数帯域が第1のピーク成分および第2のピーク成分を有するように音圧レベルが加工され加工音を、前記聴覚フィードバックとして提示させ、
前記第2のピーク成分におけるピーク音圧は、前記第1のピーク成分におけるピーク音圧の同程度以下である、
制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、少なくとも前記任意のフィードバック音源の低周波帯域である第1の帯域における音圧レベルが元の音圧レベルよりも強調された前記加工音、または少なくとも前記任意のフィードバック音源の高周波帯域である第2の帯域における音圧レベルが元の音圧レベルよりも低減された前記加工音を、前記聴覚フィードバックとして提示させる、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の帯域と前記第2の帯域との間の周波数帯域である第3の帯域における音圧レベルが元の音圧レベルと同程度である前記加工音を、前記聴覚フィードバックとして提示させる、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第1の帯域は、略2kHzを含む所定の低周波帯域であり、
前記第2の帯域は、略12kHzを含む所定の高周波帯域である、
請求項2または3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記感覚フィードバックは、触覚フィードバックを含み、
前記制御部は、前記ユーザ操作が検知された場合、前記聴覚フィードバックと前記触覚フィードバックをともに提示させる、
請求項1~のいずれかに記載の制御装置。
【請求項6】
前記ユーザ操作は、少なくとも押下操作を含む、
請求項1~のいずれかに記載の制御装置。
【請求項7】
ユーザ操作に対する感覚フィードバックの提示機能をコンピュータに実現させるプログラムであって、
前記感覚フィードバックは、少なくとも聴覚フィードバックを含み、
前記ユーザ操作が検知された場合、任意のフィードバック音源に係る一部の周波数帯域が第1のピーク成分および第2のピーク成分を有するように音圧レベルが加工された加工音を、前記聴覚フィードバックとして提示させ、
前記第2のピーク成分におけるピーク音圧は、前記第1のピーク成分におけるピーク音圧の同程度以下である、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、装置に対するユーザの操作に対し、各種の感覚を伴うフィードバック(以下、感覚フィードバック、と称する)を提示することにより、上記操作の検知有無や強度などをユーザに知覚させる技術が開発されている。例えば、特許文献1には、ユーザのタッチ操作に対し、振動による触覚フィードバックを提示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-287231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献1に記載されるような触覚フィードバックによれば、ユーザが自身のタッチ操作が装置に検知されていることを直感的に知覚することが可能となる。しかし、ユーザがより知覚しやすい感覚フィードバックの提示手法や、ユーザに所定の印象を想起させる感覚フィードバックの提示手法については、未だ改善の余地がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、操作に係る決定感をユーザにより直感的に知覚させる感覚フィードバックの提示を実現することが可能な、新規かつ改良された制御装置およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ユーザ操作に対する感覚フィードバックの提示を制御する制御部、を備え、上記感覚フィードバックは、少なくとも聴覚フィードバックを含み、上記制御部は、上記ユーザ操作が検知された場合、所定のフィードバック音源に係る所定の周波数帯域における音圧レベルが加工された加工音を、上記聴覚フィードバックとして提示させる、制御装置が提供される。
【0007】
また、上記制御部は、少なくとも上記所定のフィードバック音源の低周波帯域である第1の帯域における音圧レベルが元の音圧レベルよりも強調された上記加工音、または少なくとも上記所定のフィードバック音源の高周波帯域である第2の帯域における音圧レベルが元の音圧レベルよりも低減された上記加工音を、上記聴覚フィードバックとして提示させてもよい。
【0008】
また、上記制御部は、上記第1の帯域と上記第2の帯域との間の周波数帯域である第3の帯域における音圧レベルが元の音圧レベルと同程度である上記加工音を、上記聴覚フィードバックとして提示させてもよい。
【0009】
また、上記第1の帯域は、略2kHzを含む所定の低周波帯域であり、上記第2の帯域は、略12kHzを含む所定の高周波帯域であってもよい。
【0010】
また、上記制御部は、所定以上のピーク音圧を含む第1のピーク成分および第2のピーク成分を有する上記加工音を、上記聴覚フィードバックとして提示させ、上記第2のピーク成分における上記ピーク音圧は、上記第1のピーク成分における上記ピーク音圧の同程度以下であってもよい。
【0011】
また、上記制御部は、上記第1のピーク成分と、上記第1のピーク成分に後発する上記第2のピーク成分とを所定の間隔で有する上記加工音を、上記聴覚フィードバックとして提示させてもよい。
【0012】
また、上記感覚フィードバックは、触覚フィードバックを含み、上記制御部は、上記ユーザ操作が検知された場合、上記聴覚フィードバックと上記触覚フィードバックと共に提示させてもよい。
【0013】
また、上記ユーザ操作は、少なくとも押下操作を含んでもよい。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、ユーザ操作に対する感覚フィードバックの提示機能をコンピュータに実現させるプログラムであって、上記感覚フィードバックは、少なくとも聴覚フィードバックを含み、上記ユーザ操作が検知された場合、所定のフィードバック音源に係る所定の周波数帯域における音圧レベルが加工された加工音を、上記聴覚フィードバックとして提示させる、ことを特徴とするプログラムが提供される。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ユーザ操作に対する感覚フィードバックの提示を制御する制御部、を備え、上記感覚フィードバックは、少なくとも聴覚フィードバックを含み、上記制御部は、所定以上のピーク音圧を含む第1のピーク成分および第2のピーク成分を有する加工音を、上記聴覚フィードバックとして提示させ、上記第2のピーク成分における上記ピーク音圧は、上記第1のピーク成分における上記ピーク音圧以下である、制御装置が提供される。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、ユーザ操作に対する感覚フィードバックの提示機能をコンピュータに実現させるプログラムであって、上記感覚フィードバックは、少なくとも聴覚フィードバックを含み、所定以上のピーク音圧を含む第1のピーク成分および第2のピーク成分を有する加工音を、上記聴覚フィードバックとして提示させ、上記第2のピーク成分における上記ピーク音圧は、上記第1のピーク成分における上記ピーク音圧以下である、ことを特徴とするプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、操作に係る決定感をユーザにより直感的に知覚させる感覚フィードバックの提示を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る制御装置の機能構成例を示すブロック図である。
図2】同実施形態に係る周波数帯域に着目したフィードバック音源の加工例を示す図である。
図3】同実施形態に係る図2に示すような加工を施した加工音、および元のフィードバック音源がもたらす決定感に対するユーザの評価を示す図である。
図4】同実施形態に係るピーク成分の数と関係に着目したフィードバック音源の加工例を示す図である。
図5】同実施形態に係る図3に示すパターンA~Dに対応する加工を施した加工音がもたらす決定感に対するユーザの評価を示す図である。
図6】同実施形態に係る押下操作に対するアイコンの色変化について説明するための図である。
図7】同実施形態に係る3パターンのアイコンの色変化に対するユーザの評価を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
<1.実施形態>
<<1.1.概要>>
まず、本発明の一実施形態の概要について述べる。本実施形態に係る制御装置10は、ユーザによる操作(以下、ユーザ操作、と称する)を検知し、ユーザ操作に対する感覚フィードバックの提示を制御する各種の装置であり得る。
【0021】
ここで、上記の感覚フィードバックには、例えば、振動などを用いてユーザの触覚に訴えかける触覚フィードバック、音を用いてユーザの聴覚に訴えかける聴覚フィードバック、文字や画像などを用いてユーザの視覚に訴えかける視覚フィードバックなどが含まれる。また、触覚フィードバックは、振動の他、温度刺激や押圧刺激、電気刺激などを用いたものであってもよい。
【0022】
本実施形態に係る制御装置10は、ユーザ操作に対する上記のような感覚フィードバックの提示を制御することで、ユーザ操作の検知有無や強度などをユーザに知覚させることができる。また、この際、本実施形態に係る制御装置10は、後述する所定の特徴を有する感覚フィードバックの提示を制御することで、ユーザに対し各種の印象を想起させることが可能である。
【0023】
例えば、楽曲などの場合と同様に、ある特徴を有する聴覚フィードバックと、別のある特徴を有する聴覚フィードバックでは、ユーザが想起する印象には違いがあることが想定される。例えば、ユーザは、ある特徴を有する聴覚フィードバックに対しては、より操作の決定感が強い印象を得る一方、別のある特徴を有する聴覚フィードバックに対しては、より高級感があるなどの印象を得ることが想定される。また、上記のような印象の違いは、触覚フィードバックや視覚フィードバックなどの感覚フィードバックについても、同様である。
【0024】
そこで、本実施形態に係る制御装置10は、所定の特徴を有する感覚フィードバックの提示を制御することで、当該感覚フィードバックに対応する目的の印象をユーザに想起させることを目的とする。上記目的の印象には、例えば、操作の決定感が挙げられる。
【0025】
本実施形態に係る制御装置10は、ユーザ操作に対する上記の感覚フィードバックの提示を制御する各種の装置であり得る。本実施形態に係る制御装置10は、例えば、車両などの移動体に備えられるカーナビゲーション装置、各種のコントローラー、スイッチなどであってもよい。また、本実施形態に係る制御装置10は、上記の例に限定されず種々の様態をとり得る。本実施形態に係る制御装置10は、例えば、ユーザ操作に対し感覚フィードバックを提示するキーボードやマウス、ノック式のペンなどとして実現されてもよい。以下、本実施形態に係る制御装置10の機能構成例について詳細に説明する。
【0026】
<<1.2.制御装置10の機能構成例>>
図1は、本実施形態に係る制御装置10の機能構成例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る制御装置10は、操作部110、検知部120、制御部130、触覚提示部140、音出力部150、および表示部160を備えてもよい。
【0027】
(操作部110)
本実施形態に係る操作部110は、ユーザ操作の対象となる構成である。本実施形態に係る操作部110は、例えば、タッチパネル、各種のスイッチ、レバー、ダイアルなどであってもよい。このため、本実施形態に係るユーザ操作には、操作部110の特性に応じた各種の操作が広く含まれ得る。本実施形態に係るユーザ操作には、例えば、押下操作(タッチ操作)、スライド操作、回転操作などが含まれてよい。
【0028】
(検知部120)
本実施形態に係る検知部120は、操作部110に対するユーザ操作を検知する。例えば、操作部110がタッチパネルとして実現される場合、本実施形態に係る検知部120は、ユーザ操作に伴う静電容量の変化などに基づいて、当該ユーザ操作を検知する。検知部120によるユーザ操作の検知手法は、操作部110の特性に応じて適宜設計される。
【0029】
(制御部130)
本実施形態に係る制御部130は、ユーザ操作に対する感覚フィードバックの提示を制御する。上述したように、本実施形態に係る感覚フィードバックは、触覚フィードバック、聴覚フィードバック、視覚フィードバックなどを含んでよい。本実施形態に係る感覚フィードバックが有する特徴の詳細については別途後述する。
【0030】
また、本実施形態に係る制御部130は、検知部120が検知したユーザ操作に対応する各種の機能の実行を制御してもよい。
【0031】
本実施形態に係る制御部130は、例えば1つまたは2つ以上のプロセッサにより実現される。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)や、MCU(Micro Controller Unit)などが挙げられる。
【0032】
(触覚提示部140)
本実施形態に係る触覚提示部140は、制御部130による制御に基づいて、ユーザに触覚フィードバックを提示する。例えば、触覚フィードバックに振動を用いる場合、触覚提示部140は、LRA(Linear Resonant Actuator:リニア振動アクチュエータ)、ピエゾ素子、偏心モーターなどのアクチュエータを備えてよい。また、触覚フィードバックに温冷刺激や押圧刺激、電気刺激などを用いる場合には、触覚提示部140は、対応する刺激を発生させる各種の装置を備えてよい。
【0033】
(音出力部150)
本実施形態に係る音出力部150は、制御部130による制御に基づいて、ユーザに聴覚フィードバックを提示する。このために、本実施形態に係る音出力部150は、スピーカやアンプなどを備える。
【0034】
(表示部160)
本実施形態に係る表示部160は、制御部130による制御に基づいて、ユーザに視覚フィードバックを提示する。このために、本実施形態に係る表示部160は、各種のディスプレイ装置を備える。なお、操作部110がタッチパネルとして実現される場合、操作部110と表示部160は一体に形成されてもよい。
【0035】
以上、本実施形態に係る制御装置10の機能構成例について述べた。なお、図1を用いて説明した上記の構成はあくまで一例であり、本実施形態に係る制御装置10の機能構成は係る例に限定されない。例えば、感覚フィードバックとして視覚フィードバックを用いない場合、制御装置10は、表示部160を必ずしも備えなくてもよい。
【0036】
また、例えば、本実施形態に係る制御装置10は、制御部130と通信部から構成されてもよい。この場合、制御部130は、通信部を介することで、検知部120からユーザ操作に係る検知情報を受信し、また触覚提示部140、音出力部150、表示部160を遠隔的に制御することができる。本実施形態に係る制御装置10の機能構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0037】
<<1.3.感覚フィードバックの特徴>>
次に、本実施形態に係る感覚フィードバックが有する特徴について詳細に説明する。上述したように、本実施形態に係る制御装置10は、所定の特徴を有する感覚フィードバックをユーザに提示することで、当該ユーザに目的の印象を想起させることを可能とする。
【0038】
本実施形態に係る制御装置10は、例えば、ユーザにより決定感を強く想起させる聴覚フィードバックを単体で、あるいは触覚フィードバックとともに提示してもよい。
【0039】
本実施形態では、上記を可能とする聴覚フィードバックの特徴を特定すべく、フィードバック音源の所定周波数帯域における音圧レベルを加工した加工音を聴覚フィードバックに用いた際のユーザの印象を検証した。
【0040】
図2は、本実施形態に係る周波数帯域に着目したフィードバック音源の加工例を示す図である。図2においては、横軸に周波数が、縦軸に音圧レベルがそれぞれ示されている。また、図2においては、加工前の元のフィードバック音源に係る周波数と音圧レベルの関係が直線により、加工後の加工音に係る周波数と音圧レベルの関係が破線により、それぞれ示されている。
【0041】
本実施形態では、元のフィードバック音源の略2kHzを含む所定の低周波数帯域を第1の帯域B1、元のフィードバック音源の略12kHzを含む所定の高周波数帯域を第2の帯域B2、第1の帯域B1および第2の帯域B2の間にあたる周波数帯域を第3の帯域B3としてそれぞれ定義し、第1の帯域B1と第2の帯域における音圧レベルを加工した加工音を、聴覚フィードバックとして提示する検証を行った。
【0042】
より具体的には、図示するように、第1の帯域B1では音圧レベルが元のフィードバック音源の音圧レベルより強調(例えば、+6dB程度)され、また第2の帯域B2では音圧レベルが元のフィードバック音源の音圧レベルが低減(例えば、-6dB程度)されるように加工を施した。
【0043】
図3は、図2に示すような加工を施した加工音、および元のフィードバック音源がもたらす決定感に対するユーザの評価を示す図である。なお、図3は、被験者に対し、本実施形態に係る加工音と元のフィードバック音源(元の音源、とも称する)を、それぞれユーザ操作に対する聴覚フィードバックとして提示した際の決定感に関する印象を指標化した図である。
【0044】
図3を参照すると、上述したように所定の周波数帯域における音圧レベルが加工された加工音を聴覚フィードバックに用いた場合、元のフィードバック音源を用いた場合と比較して、決定音がより増大した印象をユーザが想起することがわかる。
【0045】
このことから、本実施形態に係る制御部130は、検知部120によりユーザ操作が検知された場合、所定のフィードバック音源に係る所定の周波数帯域における音圧レベルが加工された加工音を、聴覚フィードバックとして音出力部150に提示させてよい。
【0046】
より具体的には、図2に示したように、本実施形態に係る制御部130は、フィードバック音源の低周波帯域である第1の帯域B1における音圧レベルが元の音圧レベルが強調された加工音や、フィードバック音源の高周波帯域である第2の帯域B2における音圧レベルが元の音圧レベルよりも低減された加工音を、聴覚フィードバックとして音出力部150に提示させてよい。
【0047】
この際、第1の帯域B1と第2の帯域B2との間の周波数帯域である第3の帯域B3の音圧レベルは、図2に示すように、元の音圧レベルと同程度であってよい。
【0048】
上記のような加工音を聴覚フィードバックに用いることで、図3に示すように、元のフィードバック音源と比較して、より決定感が増大した印象をユーザに想起させることが可能である。
【0049】
また、本実施形態に係る加工音の特徴は上記の例に限定されない。本実施形態に係る加工音の特徴は、所定以上のピーク音圧を含むピーク成分の数や関係にあってもよい。本実施形態では、上記の周波数帯域に係る音圧レベルの加工とは別に、ピーク成分の数や関係に着目したユーザ検証を行った。
【0050】
図4は、本実施形態に係るピーク成分の数と関係に着目したフィードバック音源の加工例を示す図である。図4には、ピーク成分の数と関係が異なる4つの異なる加工を施した加工音のパターンA~Dに関するグラフが示されている。なお、各グラフにおいては、縦軸が音圧レベルに、横軸が時間にそれぞれ対応している。
【0051】
例えば、パターンAに対応する加工音の場合、破線の円で示すように、所定以上のピーク音圧(レベル)を含むピーク成分が2つ含まれている。また、パターンAに対応する加工音の場合、先行するピーク成分におけるピーク音圧と、後発するピーク成分におけるピーク音圧は同程度である。
【0052】
また、パターンBおよびパターンに対応する加工音の場合、パターンAに対応する加工音の場合と同様に、所定以上のピーク音圧を含むピーク成分が2つ含まれている。
【0053】
一方、パターンBに対応する加工音の場合、パターンAに対応する加工音とは異なり、後発するピーク成分におけるピーク音圧が、先行するピーク成分におけるピーク音圧よりも大きい特徴を有している。
【0054】
また、パターンCに対応する加工音の場合、後発するピーク成分におけるピーク音圧が、先行するピーク成分におけるピーク音圧よりも小さい特徴を有している。
【0055】
また、パターンDに対応する加工音の場合、パターンA~Cに対応する加工音とは異なり、所定以上のピークを含むピーク成分が1つのみ含まれている。
【0056】
図5は、図3に示すパターンA~Dに対応する加工を施した加工音がもたらす決定感に対するユーザの評価を示す図である。なお、図3は、被験者に対し、操作部110への押下操作(押し込み時)に対する聴覚フィードバックとして、パターンA~Dに対応する加工音を用いた際の決定感に関する印象を指標化した図である。
【0057】
図5を参照すると、パターンAまたはパターンCに対応する加工を施した加工音を聴覚フィードバックに用いた場合、パターンBまたはパターンDに対応する加工を施した加工音を聴覚フィードバックに用いた場合と比較して、決定感がより増大した印象をユーザが想起することがわかる。
【0058】
このことから、本実施形態に係る制御部130は、検知部120によりユーザ操作が検知された場合、所定以上のピーク音圧を含む第1のピーク成分および第2のピーク成分を有する加工音を、聴覚フィードバックとして音出力部150に出力させてよい。この際、第2のピーク成分におけるピーク音圧は、第1のピーク成分におけるピーク音圧の同程度以下であってよい。
【0059】
より具体的には、本実施形態に係る制御部130は、第1のピーク成分と、第1のピーク成分に後発する第2のピーク成分とを所定の間隔で有する加工音を、聴覚フィードバックとして音出力部150に出力させてよい。上記所定の間隔は、例えば、0.1s程度であってもよい。
【0060】
上記のような加工音を聴覚フィードバックに用いることで、より決定感が増大した印象をユーザに想起させることが可能である。なお、上記で説明したピーク成分に着目した加工と周波数帯域に着目した加工とは、同時に行われてもよい。すなわち、本実施形態に係る聴覚フィードバックには、第1の帯域B1における音圧レベルの強調や第2の帯域B2における音圧レベルの低減に係る加工と、上述した2つのピーク成分に係る加工との両方が施された加工音が用いられてもよい。
【0061】
また、本実施形態に係る制御部130は、検知部120によりユーザ操作が検知された場合、
上述したような各聴覚フィードバックとともに、触覚フィードバックや視覚フィードバックが提示されるよう、制御を行ってもよい。係る制御によれば、より決定感が増大した印象をユーザに想起させることが可能である。
【0062】
さらには、本実施形態に係る感覚フィードバックがユーザに想起させる印象は、上述した決定感に限定されない。制御部130は、ユーザ操作に対し所定の特徴を有する感覚フィードバックを提示させることで、例えば、高級感や快適感をユーザに想起させることも可能である。
【0063】
本実施形態では、上記を可能とする視覚フィードバックの特徴を特定すべく、表示部160に表示されるアイコンに対する押下操作を行った際の色変化を視覚フィードバックに用いた際のユーザの印象を検証した。
【0064】
図6は、本実施形態に係る押下操作に対するアイコンの色変化について説明するための図である。図6に示す一例の場合、表示部160は、タッチパネルである操作部110と一体に形成されており、画面上に複数のアイコンI1~I3を表示している。なお、図6の上段には、ユーザによる押下操作が行われていない場合のアイコンI1~I3の状態が示されている。この場合、アイコンI1~I3は、図示するように、背景色と略同一の色で表示されてよい。
【0065】
一方、ここで、ユーザによる押下操作が行われた場合、アイコンI1~I3は、制御部130による制御に従い、色変化による視覚フィードバックを提示する。例えば、図5の下段に示す一例の場合、制御部130は、アイコンI1がユーザにより押下されたことが検知されたことに基づいて、アイコンI1の色を背景色とは異なる色に変化させている。
【0066】
本実施形態では、上記のようなアイコンの色変化に関し、変化前の色および変化後の色の組み合わせを、紫からピンク、グレーから青、青から黄、の3パターンで定義し、それぞれのパターンを押下操作に対する視覚フィードバックとして提示した場合のユーザの印象を検証した。
【0067】
図7は、本実施形態に係る3パターンのアイコンの色変化に対するユーザの評価を示す図である。図7の左側には、押下操作に対し、上記3パターンの色変化を視覚フィードバックとして提示した際の高級感に関するユーザの印象を指標化した図である。
【0068】
これによれば、押下操作に対しアイコンの色を紫からピンクに変化させた場合、グレーから青や、青から黄に変化させた場合と比較して、ユーザがより高級感を想起することがわかる。
【0069】
また、図7の右側には、押下操作に対し、上記3パターンの色変化を視覚フィードバックとして提示した際の快適感に関するユーザの印象を指標化した図である。
【0070】
これによれば、押下操作に対しアイコンの色を青から黄に変化させた場合、紫からピンクや、グレーから青に変化させた場合と比較して、ユーザがより快適感を想起することがわかる。
【0071】
このことから、本実施形態に係る制御部130は、目的とする印象をユーザに想起させるために、押下操作に対し、変化前の色および変化後の色を定義した所定の色変化を視覚フィードバックとして、表示部160に表示させてよい。
【0072】
また、本実施形態に係る制御部130は、上記のような視覚フィードバックを、上述した聴覚フィードバックとともに提示させることで、決定感と同時に、高級感や快適感などをユーザに想起させることも可能である。
【0073】
このように、本実施形態に係る制御部130は、所定の特徴を有する感覚フィードバックの提示を制御することで、当該感覚フィードバックに対応する目的の印象をユーザに想起させることを可能とする。
【0074】
<2.まとめ>
以上説明したように、本発明の一実施形態に係る制御装置10は、ユーザ操作に対する感覚フィードバックの提示を制御する制御部130を備える。上記の感覚フィードバックには、少なくとも聴覚フィードバックが含まれてよい。また、本発明の一実施形態に係る制御部130は、ユーザ操作が検知された場合、所定のフィードバック音源に係る所定の周波数帯域における音圧レベルが加工された加工音を、聴覚フィードバックとして提示させること、を特徴の一つとする。係る構成によれば、操作に係る決定感をユーザにより直感的に知覚させる感覚フィードバックの提示を実現することが可能となる。
【0075】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0076】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0077】
また、コンピュータに内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアに、制御装置10が有する構成と同等の機能を発揮させるためのプログラムも作成可能であり、当該プログラムを記録した、コンピュータに読み取り可能な非一過性の記録媒体も提供され得る。
【符号の説明】
【0078】
10 制御装置、 110 操作部、 120 検知部、 130 制御部、 140 触覚提示部、 150 音出力部、 160 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7