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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-29
(45)【発行日】2023-04-06
(54)【発明の名称】食肉包装用トレーの搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 21/20 20060101AFI20230330BHJP
   B65B 43/44 20060101ALI20230330BHJP
   B65B 43/52 20060101ALI20230330BHJP
   B65G 45/10 20060101ALI20230330BHJP
   B65G 19/18 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
B65G21/20 Z
B65B43/44 A
B65B43/52 Z
B65G45/10 Z
B65G19/18 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019108207
(22)【出願日】2019-06-10
(65)【公開番号】P2020200150
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000152815
【氏名又は名称】株式会社日本キャリア工業
(72)【発明者】
【氏名】牧野 伸司
(72)【発明者】
【氏名】越智 一志
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-173622(JP,A)
【文献】特開2011-236050(JP,A)
【文献】特開2017-80837(JP,A)
【文献】特許第4374543(JP,B2)
【文献】特開2006-335466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 21/20
B65G 19/06;19/08;19/12;19/18
B65B 43/44
B65B 43/52
B65G 17/30
B65B 9/04
B65G 45/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食肉包装用トレーを、左右幅方向の両側辺及び高さ方向を規制して所定位置まで案内する、トレー搬送方向に沿って左右に延設された、相互の間隔が調節可能な一対のトレーガイドと、
トレーガイドの下方に、トレー搬送方向に沿って延設された左右一対の支持板と、
両支持板の間でトレー搬送方向に沿って巻回される、トレー送り片を有してトレーを搬送する搬送チェーンと、
を有する食肉包装用トレーの搬送装置において、
トレー搬送方向に沿って延びる左右一対のカバーが、
左右の支持板に、
トレーガイドの底部との隙間を保って、左右トレーガイド間の幅方向の中心位置にトレー送り片の通路を確保しながら、搬送チェーンの上方を覆うように、
且つ、通路側の長辺は上方に折り曲げられ、反通路側の長辺は支持板の外側に突出させた状態で、
それぞれ支持されていて、
支持部を回動支点として左右上方へ観音開き状に90度以上開放可能とされ、
閉鎖時には回動支点より内側における一部が、
開放時には回動支点より外側における一部が、
支持板に当接して支持されて、
両カバーの閉鎖もしくは開放状態が、カバーの自重によって保持される
ことを特徴とする食肉包装用トレーの搬送装置。
【請求項2】
搬送チェーンが、トレー送り片の通路から左右いずれかに偏った位置で巻回された構成であって、
通路の真下に、少なくとも上縁が通路幅より広い間隔を保ってトレー搬送方向に沿って延設された左右一対の壁板材によって形成される間隙を、通路内に落下した食肉を下方へ誘導する排出路とした
ことを特徴とする請求項1に記載の食肉包装用トレーの搬送装置。





【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、食肉包装用に用いられる発泡樹脂などから作られたトレーを所定位置まで搬送する、トレー搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関する従来のトレー搬送装置として、例えば特許文献1がある。
特許文献1におけるトレー供給装置は、トレー搬送方向に沿って延設された一対のガイドでトレーの両側辺を規制しながら、ガイド間のスプロケットに掛け回された、トレー係止用ラグ(本発明における「トレー送り片」に相当)を有するチェーンを回転させ、トレーを所定位置まで搬送するものである。この時、ガイド間の上面、即ち、チェーンなど装置内部の上方は、トレー係止用ラグの通路を確保しながら機体に固定された薄板に覆われている。
所定位置に搬送されたトレーには様々な物品が収容されるが、収容時には、物品がトレーに収まらずこぼれ落ちることがある。こぼれ落ちた物品は、装置内部のチェーンなどに付着してしまえば動作不良につながるため、薄板で装置内部の上方を覆うことによって、動作不良を防止している。また、薄板の表面は、トレーの底部を支持するトレー搬送面を兼ねる。
【0003】
特に、トレーに収容される物品が食品で、しかもスライス肉などの食肉であった場合、トレーに収容されずにこぼれ落ちた食肉がトレー係止用ラグの通路に落下して、装置内部、特にチェーンに付着してしまうと、食肉の筋がチェーンに絡みつくなどして動作不良を引き起こす。また、装置内部が汚れるので、衛生的にも好ましくない。
そのため、装置内部、特にチェーンの上方を覆って汚れや動作不良を防ぐとともに、メンテナンス作業、特に、清潔を保つための毎日の清掃作業が、簡単且つ楽に行なえることが望ましい。
しかし、特許文献1においては、薄板が機体に固定されているため、装置内部の清掃などを行なうにあたって、ガイド間にトレー搬送始端もしくは終端側から手を差し込んだり、装置の下方に潜り込んだりする必要があり、作業しづらい。その中でもチェーンは、絡みついた食肉の筋を取り除くなどの清掃が必要だが、薄板で覆われているために、上方から目視したり触ったりできず、殊更に作業が行ないづらい。
薄板を機体から取り外してもよいが、薄板はトレーの底部を支持するトレー搬送面を兼ねるため、作業後には、トレーが水平に搬送されるように再度、正確に薄板を取り付けなければならず、復帰作業が煩わしい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-236050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来発明における課題は、こぼれ落ちた食肉が特にチェーンに付着しないように装置内部の上方を覆うことと、装置内部の毎日の清掃作業及び作業後の復帰作業を行ないやすいことが、両立されていない点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、食肉包装用トレー搬送装置において、トレー搬送方向に沿って延びる左右一対のカバーが、左右の支持板に、トレーガイドの底部との隙間を保って、左右トレーガイド間の幅方向の中心位置にトレー送り片の通路を確保しながら、搬送チェーンの上方を覆うように、且つ、通路側の長辺は上方に折り曲げられ、反通路側の長辺は支持板の外側に突出させた状態で、それぞれ支持されていて、支持部を回動支点として左右上方へ観音開き状に90度以上開放可能とされ、閉鎖時には回動支点より内側における一部が、開放時には回動支点より外側における一部が、支持板に当接して支持されて、両カバーの閉鎖もしくは開放状態が、カバーの自重によって保持されることを特徴とする。
【0007】
また、搬送チェーンが、トレー送り片の通路から左右いずれかに偏った位置で巻回された構成であって、通路の真下に、少なくとも上縁が通路幅より広い間隔を保ってトレー搬送方向に沿って延設された左右一対の壁板材によって形成される間隙を、通路内に落下した食肉を下方へ誘導する排出路とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、閉鎖時には搬送チェーンの上方を覆っているカバーが、支持部を回動支点に開放可能なので、開放すれば、搬送チェーンを始めとする装置内部の清掃作業などを上方から行なうことができる。そのため、こぼれ落ちた食肉が搬送チェーンなどに付着することを防止するだけでなく、清掃などの作業が行ないやすい。しかも、作業後は支持部を中心に回動させてカバーを閉じれば、元の位置状態に簡単且つ確実に復帰できる。
また、カバーの開閉時は、カバーの一部が支持板に当接して支持されることで、開閉状態がカバーの自重で保持でき、構成が簡単で操作が容易である。
【0009】
更に、カバーのトレー送り片の通路側の長辺が上方に折り曲げられているので、カバー上にこぼれ落ちた食肉が通路内に侵入しにくい。また、通路の真下から搬送チェーンを逃がして、通路の真下に、左右一対の壁板材によって形成される排出路を設けたため、こぼれ落ちた食肉による搬送チェーンなどの汚れや動作不良を一層防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のトレー供給装置の実施形態を示す側面図である。
図2図1におけるトレー搬送装置の平面図である。
図3図1におけるA-A断面の拡大図である。
図4図3におけるB-B断面の側面図である。
図5図3において、対向するトレーガイドの間隔が広げられてカバーが開放された状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。なお、本実施形態では、使用されるトレーは発泡樹脂から造られた発泡トレーを、トレーに収容されるトレー収容物は、スライス肉やミンチ肉といった食肉を、それぞれ対象としている。
本発明に係るトレー供給装置は、複数個のトレーtを上下に積層させた積層トレーを収容する収容樋1と、収容樋1から最下位トレーを1個ずつ分離するトレー分離手段4と、分離されたトレーtを受けて所定位置まで搬送するトレー搬送装置5と、から構成される。
【0012】
収容樋1は、積層トレーが自重で滑落するよう、積層トレーを適宜傾斜させて収容、保持しており、積層トレーの四隅を規制する規制ガイド2と、積層トレーの最下位トレーの底面の隅部を支持する支持部材3とを有する。
収容樋1の底部には、積層トレーから最下位トレーを1個ずつ分離するトレー分離手段4が設けられる。トレー分離手段4は、吸着器と吸着器を支持するアームとからなり、吸着器で最下位トレーの底面を吸着してからアームを移動させると、収容樋1から最下位トレーが抜け出して積層トレーから分離される。分離されたトレーtは、トレー搬送装置5に載置されて搬送が開始される。
なお、規制ガイド2及び支持部材3は、使用されるトレーtの大きさに応じて、図示しない適宜調節手段によって、前後左右の間隔が調節される。また、支持部材3は、トレー分離手段4で最下位トレーを分離する際にトレーtが破損することなく抜け出せるように配慮する。
【0013】
分離されたトレーtは、トレー分離手段4の下方に延設されるトレー搬送装置5に載置され、所定位置、即ち、食肉がトレーtに投入される位置まで搬送される。
トレー搬送装置5は、トレー搬送方向に沿って延設される左右一対の支持板6、6と、両支持板6の間に巻回されトレーtを搬送する搬送チェーン7と、トレー搬送始端部でトレーtを受け取る受取板11、11と、トレーtの両側辺を規制して案内する一対のトレーガイド15、15・・と、両支持板6の間の上面を覆うカバー18、18と、を備えている。
【0014】
なお、本実施形態では図1及び2に示されるように、食肉の供給装置Tがトレー搬送装置5と直交して延設され、食肉はトレー搬送方向と直交して供給される構成である。
供給装置Tは、終端部がトレー搬送装置5における所定位置の上方にかぶさるように設けられ、所定範囲を食肉の供給方向に沿って水平方向に出退可能とされる。前進状態である供給装置Tの終端部まで食肉が送られると、供給装置Tの終端部が後退し、食肉がトレーt内へ落下し投入される。
また、本実施形態では、食肉は2列並行して供給され、所定位置まで搬送された2つのトレーt、tに同時に投入される構成であるが、供給される食肉の列数や所定位置におけるトレーの数は限定されるものではない。
【0015】
トレー搬送装置5における支持板6、6は、トレー分離手段4の下方を始端としてトレー搬送方向に沿って延設される、左右一対の板材からなる。
支持板6、6の間には、トレーtを搬送するための搬送チェーン7と、後述のネジ軸17、17を回転させるための調節チェーン9とが張設され、搬送チェーン7はスプロケット10a、10aに、調節チェーン9はスプロケット10b、10bに、それぞれトレー搬送方向に沿って巻回されている。
【0016】
搬送チェーン7には、トレー送り片8が適宜な間隔を空けて複数設けられている。搬送チェーン7が巻回されたスプロケット10a、10aのうち、図示しないモーターと連結されたいずれかのスプロケット10aを駆動させることで、分離されたトレーtの一辺にトレー送り片8が当接しながら搬送チェーン7が回転され、トレーtが所定位置へ搬送される。
なお、本実施形態では図2及び図3に示される通り、搬送チェーン7が、両支持板6の幅方向の中心位置から左右いずれか一方のトレーガイド15側に偏って巻回された構成であるが、トレー送り片8は、走行ラインが支持板6、6の幅方向の中心位置にくるよう、搬送チェーン7に設けられている。
【0017】
トレー分離手段4の下方位置である、トレー搬送装置5におけるトレー搬送始端部には、分離されたトレーtを受け取る受取板11、11が設けられている。
受取板11、11は左右一対とされ、トレー分離手段4及びトレー送り片8の通路を確保しながら、支持板6、6にそれぞれ支持される。両受取板11は、分離されたトレーtの底面を受けるとともに、トレー搬送始端部における搬送チェーン7の上方を覆っている。
更に、受取板11、11におけるトレー搬送始端側には、それぞれ支点12、12が設けられていて、図1及び図4に示される通り、支点12を中心に回動させることで、後述の規制板14、14に妨げられることなく、受取板11、11を開閉できる構成である。
なお、受取板11、11におけるトレー搬送終端側は、トレーtを受け取る際の衝撃で両受取板11が跳ね上がらないよう、適宜な係止手段で支持板6、6に係止される。本実施形態では係止手段として蝶ボルト13、13を用いており、受取板11、11を開放する際は、各蝶ボルト13を緩めて、支点12、12を回動支点として回動させればよい。
【0018】
受取板11、11によるトレーtの受取位置にあたる、トレー搬送装置5におけるトレー搬送始端部の左右には、分離されたトレーtの姿勢及び受取位置が乱れないように規制する規制板14、14が備えられる。
規制板14、14は、規制ガイド2の下端部に取り付けられた左右一対の板材からなるものであって、トレーtが積層トレーの最下端から分離されて受取板11に載置されるまでの間、トレーtの左右方向を規制する。
また、使用されるトレーtが変更されれば、規制板14、14の相互の間隔を調節する必要があるが、本実施形態では規制板14、14を規制ガイド2の左右下端部にそれぞれ取り付けたことで、規制ガイド2がトレーtに応じて調節されると、同時に両規制板14が移動され、相互の間隔が調節される構成である。
なお、規制板14、14の形状や構成は適宜変更可能である。
【0019】
受取板11、11に載置されたトレーtは、支持板6、6の上方に設けられた略コ字状のトレーガイド15、15・・によって、所定位置まで案内される。
本実施形態におけるトレーガイド15、15・・は、トレー搬送方向に沿って左右に延設され、左右それぞれで3分割されている。左右のトレーガイド15、15・・は、分離されたトレーtを、トレーtの左右幅方向の両側辺を規制して案内するとともに、図3の通りトレーtの上下を緩く挟むように支持して、トレーtの高さ方向を規制する。また、本実施形態におけるトレーガイド15、15・・は、トレー搬送方向に沿って左右に延設されたガイド支持材16、16にそれぞれ突設されている。
【0020】
なお、左右それぞれで3分割されたトレーガイド15、15・・のうち、所定位置におけるトレーガイド15、15・・は、本出願人による特開2019-64808のように、エアーシリンダーなどの適宜手段を用いて、所定位置にあるトレーtを供給装置Tに近づけるよう昇降させるリフト構造としてもよい。この構成によれば、食肉をトレーtに投入する時、食肉とトレーtとの落差が小さくなるので、より確実に投入できる。また、トレーガイド15、15・・は、トレーtを上下から挟むように支持する形状であるため、食肉の投入時の衝撃によってトレーtが上下に跳ねるなど、トレーtの姿勢が乱れることを防止できる。
また、トレーガイド15、15・・の分割数は、食肉の供給列数やトレーの大きさなどに応じて、適宜変更可能である。
【0021】
トレーガイド15、15・・を支持するガイド支持材16、16は、支持板6、6に、ネジ軸17、17を介して支持されている。
ネジ軸17、17の端部はそれぞれ、一端は右ネジ、他端は左ネジ、と両端で逆の方向のネジが形成されており、ガイド支持材16、16は、両ネジ軸17に形成された各ネジが螺合されるネジ部を有する。ネジ軸17、17はそれぞれ、ガイド支持材16、16のネジ部に螺合されるとともに、調節チェーン9が巻回されたスプロケット10b、10bを貫通して、支持板6、6に回転可能に支持される。
【0022】
この構成によれば、スプロケット10b、10bのうち、図示しないモーターと連結されたいずれかのスプロケット10bが駆動されると、調節チェーン9を介して両スプロケット10bが回転され、同時に各スプロケット10bに貫設されたネジ軸17、17も回転される。すると、ネジ軸17、17の回転に伴い、対向するガイド支持材16、16及びトレーガイド15、15・・が同時に、内向きもしくは外向きに、トレー搬送方向と直交して平行移動され、使用されるトレーtの大きさに応じて、対向するトレーガイド15、15・・の幅方向の間隔Sを調節できる。
なお、いずれかのネジ軸17の一端にハンドルを取り付けて、ハンドルを回してネジ軸17、17を回転させることで、間隔Sを手動で調節できるようにしてもよい。
【0023】
また、間隔Sの調節は、ガイド支持材16及びトレーガイド15の左右いずれか一方を定位置に固定したまま、他方のみを移動させることで行なってもよい。
例えば、図2における上側(図3における右側)のガイド支持材16及びトレーガイド15はその場から移動させずに、図2における下側(図3における左側)のガイド支持材16及びトレーガイド15のみを移動させることで、間隔Sを調節する構成でもよい。この時、上側、即ち固定側のガイド支持材16及びトレーガイド15を、適宜手段によって移動可能とし、後述のカバー18の開閉を妨げない位置まで退避できるようにするのもよい。
【0024】
左右の支持板6、6には、トレーガイド15、15・・の底部との隙間を保ちながら、トレー搬送方向に沿って延びる、左右一対のカバー18、18が設けられる。
カバー18、18はそれぞれ、対向する両トレーガイド15、15・・の幅方向の中心位置にトレー送り片8の通路を確保しながら、支持板6、6の間の上面、即ち、搬送チェーン7やスプロケット10aなどの上方を覆うように、各支持板6に支持されている。この時、カバー18、18はそれぞれ、支持部を支点とする回動が可能とされるよう、支持板6、6に取り付けられる。本実施形態における各カバー18は、図3及び図5に示す通り、蝶番を支持部として各支持板6に取り付けられていて、支持部(蝶番)を回動支点として、左右上方へ観音開き状に90度以上開放可能とされる。なお、蝶番は回動可能な適宜手段に変更可能である。
また、各カバー18のトレー送り片8の通路側の長辺は、図2及び図3の通り、カバー18の略全長に亘って上方に適宜折り曲げられている。同時に、各カバー18の反通路側の長辺は、各支持板6による支持部より外側に突出された状態である。
【0025】
カバー18、18の各裏面における支持部より内側の一部には、両カバー18の閉鎖時に、両カバー18が支持板6、6の間へ入り込んで搬送チェーン7など装置内部の機構と接触しないよう、各支持板6に当接される板材が、ストッパー19、19として設けられる。本実施形態では図3のように、カバー18、18閉鎖時は各ストッパー19が各支持板6の上部と当接し、両カバー18の表面が水平に保持される。
なお、ストッパー19、19の厚みを調節するなど、カバー18閉鎖時のカバー表面のなす角度は適宜変更できる。例えば、各カバー18をトレー送り片8の通路側が高くなるように傾斜させれば、カバー18、18上にこぼれ落ちた肉汁などが、両カバー18表面を伝って支持板6、6の外側(反通路側)へ流れ落ちるように排出される。
【0026】
装置稼動中、つまりトレーtの搬送中はカバー18、18を閉じているが、両カバー18上には、トレーガイド15、15・・が突出されているため、或いは、搬送中のトレーtがあるため、開いてしまうことはない。また、両カバー18上にトレーガイド15やトレーtがない時も、ストッパー19、19を介して、各支持板6に当接して支持されている。そのため、両カバー18は、閉鎖状態を保持するための保持具を設けなくても、カバー18の自重で閉鎖状態が保持される。
なお、カバー18、18を閉じる時に、ストッパー19、19を支持板6、6に当接させる前に手を放してしまっても、ストッパー19が支持板6に当接してカバー18が止まるので、両カバー18が支持板6、6の間に入り込んで周囲の機構と接触してしまうことを防止できる。
【0027】
更に、本実施形態では、カバー18、18のトレー送り片8の通路側の長辺が上方に折り曲げられているものの、閉鎖時の両カバー18は水平に保持されるので、同カバー18、18を傾斜させて保持した場合に比べて、トレー送り片8の通路の開口幅は狭い。そのため、供給装置Tから供給される食肉がトレーtにうまく入らずにこぼれ落ちるなどしても、装置内部、特に支持板6、6の間であるトレー送り片8の通路内に食肉が入り込む恐れが低い。加えて、カバー18、18におけるトレー送り片8の通路側の長辺は、それぞれ上方に折り曲げられているので、通路付近にこぼれ落ちた食肉をカバー18上へ誘導するとともに、カバー18上にこぼれ落ちた、もしくは誘導された食肉が、通路から装置内部に侵入することを防止できる。
従って、カバー18、18を閉じておけば、搬送チェーン7などの装置内部に、落下した食肉の汚れが付着することを防ぎ、作動不良を引き起こす恐れを軽減できる。
【0028】
また、本実施形態では前述の通り、搬送チェーン7が左右いずれかの支持板6側に偏って巻回されているため、両カバー18によるトレー送り片8の通路の真下に、左右一対の壁板材20によって形成される、通路内にこぼれ落ちてしまった食肉を機外下方へ誘導、排出する排出路20cを設けることが好ましい。
図3から図5に示される通り、本実施形態における壁板材20a、20bは、トレー送り片8の通路側の長辺の下方にあたる位置で、搬送チェーン7の通路側に隣接して、トレー搬送方向に沿って左右一対で延設され、左右いずれかの支持板6に支持されている。また、両壁板材20は相互の間隔を保って対向していて、この両壁板材20によって通路の真下に形成される間隙が、通路内に落下した食肉を下方へ誘導する排出路20cとされる。この時、両壁板材20は少なくとも、所定位置において食肉がトレーtに供給される範囲、即ち、供給装置Tの終端部に臨む範囲に亘って延設される。本実施形態における両壁板材20は、図4に示される通り、トレー搬送始端部付近から搬送終端部に亘って延設され、両誘導板20の略中央部で分割されている。
更に、壁板材20a、20bのそれぞれの上縁は、カバー18、18の通路側の長辺よりも外側(支持板6側)とされる。つまり、排出路20cは、少なくとも排出路20cの通路に臨む側の幅(両壁板材20の上縁の相互間隔)が通路の開口幅より広い状態であって、上方から見た時に、排出路20cが通路を内包するように形成されている。
【0029】
トレー送り片8の通路内にこぼれ落ちた食肉は、通路の真下に形成された排出路20cを通って下方へ誘導され、機外へ排出される。そのため、通路内に食肉が落下しても、搬送チェーン7などに食肉が付着して汚れたり動作不良を起こしたりする恐れが一層少ない。
なお、壁板材20a、20bの形状や構成は適宜変更可能であるが、少なくとも両壁板材20の上縁を両カバー18の通路側の長辺より外側(支持板6側)に位置させることが好ましい。この構成であれば、排出路20cの少なくとも通路に臨む側の幅が、トレー送り片8の通路の開口幅以上となり、排出路20cにおけるこぼれ落ちた食肉の入り口が広くなるため、通路内にこぼれ落ちた食肉を、より確実に排出路20cへ、ひいては機外へ誘導することができる。
【0030】
また、特許文献1のような従来の構成のトレー供給装置では、食肉がトレーからこぼれ落ちた際、搬送されるトレーの底面を支持するトレー搬送面上(特許文献1における「薄板」の表面に相当)に落ちた食肉にトレーが乗り上げてしまうなど、トレーの搬送が妨げられてしまっていた。すると、トレーの搬送ミスといった作業中のトラブルにつながるだけでなく、食肉の付着などでトレー裏面が汚れたものは、商品としては提供できなくなってしまう。
しかし、本実施形態におけるカバー18、18は、トレーガイド15、15・・の底部と隙間を保って設けられており、トレーtの底面を支持するトレー搬送面は、特許文献1における薄板の表面に相当するカバー18、18の表面ではなく、トレーガイド15、15・・が担っている。従って、前述のように食肉がトレーtからこぼれ落ちても、トレーガイド15、15・・の底部とカバー18、18との隙間に食肉が収まるので、落ちた食肉によってトレーtの搬送が妨げられたり、トレーtの裏面が汚れたりする恐れが少ない。
【0031】
トレー搬送装置5におけるトレー搬送終端部の左右には、搬送されたトレーtを次工程へ案内する案内具21、21がそれぞれ設けられる。
案内具21、21はそれぞれ、複数の小ローラー22、22・・・を有するとともに、次工程に向けて緩やかに下降するように傾斜されていて、搬送されたトレーtを次工程へ向けて滑落させて案内する。また、両案内具21はそれぞれガイド支持材16、16に固着されているため、使用されるトレーtの大きさに応じて間隔Sが調節されると、両案内具21も一緒に移動される構成である。
【0032】
作業終了後の清掃時などには、カバー18、18を、支持板6による支持部(蝶番)を支点に回動させて、観音開き状に左右上方へ開放するが、使用されていたトレーtが小さくて間隔Sが狭く、トレーガイド15、15・・が両カバー18上にある時は、トレーガイド15、15・・が妨げになり開放できない。その場合は、ガイド支持材16、16を間隔S調節時と同様に移動させることで、トレーガイド15、15・・を少なくともカバー18、18の開閉の妨げにならない位置まで退避させ、両カバー18の開閉を可能にする。
なお、使用されるトレーtが大きくて間隔Sが広い場合は、トレーガイド15、15・・が常にカバー18、18上から外れているため、両カバー18を開放するにあたって支障はない。
【0033】
カバー18、18は、前述の通り、トレー送り片8の反通路側の長辺が、支持板6の外側に突出するように、各支持板6に支持されている。この構成によれば、両カバー18を水平に対して少なくとも90度をなすまで開くと、支持板6の外側に突出されたカバー18における反通路側の長辺の一部が、図5のように支持板6に当接される。
従って、両カバー18は、開放してもトレーガイド15など周囲の機構に接触することがなく、また、開放状態の保持を目的とした保持具を設けなくても、ひとりでに閉じてしまうことなく、カバー18の自重によって開放状態が保持される。
なお、本実施形態では、各カバー18における反通路側の一部を、各支持板6に直接当接させたが、カバー18における支持部より外側の一部が、開放時に支持板6に当接される構成であればよい。例えば、支持板6におけるカバー18の一部との当接点、もしくは、カバー18における支持板6との当接点に、ボルトなどの突出部材を設け、開放時のカバー表面がなす角度を、突出部材の突出具合で調節可能な構成としてもよい。
【0034】
カバー18、18と受取板11、11とを開放すると、搬送チェーン7など装置内部の上方が、搬送チェーン7の略全長に亘って開放される。そのため、装置下方に潜り込んだりすることなく、搬送チェーン7などの清掃作業を楽に行なうことができる。
しかも、開放されたカバー18、18は、図3の通り、水平に対してカバー表面が90度以上をなす位置を自重で保持できる構成のため、開放状態を保持する保持具を設けなくても、ひとりでに閉じてしまうことはなく、開放状態が簡単に保持される。
【0035】
更に、カバー18、18は支持板6、6による支持部(本実施形態では蝶番)を、受取板11、11は支点12、12を、それぞれ回動の支点とする開閉なので、清掃などの作業後は、各支持部もしくは支点を中心に回動させるだけで、簡単且つ確実に元の位置である閉鎖状態に復帰可能である。
【0036】
このように、食肉包装用トレーの搬送装置において、トレー送り片の通路から左右いずれかに偏った位置で巻回された搬送チェーンなどで構成される装置内部の上方を覆う開閉可能なカバー及び受取板が、自重で開閉状態を保持できるように設けられ、しかもトレー送り片の通路の下方には、通路内に落下した食肉を機外下方へ誘導する排出路が形成されることで、トレーに収容される食肉がこぼれ落ちても、搬送チェーンなどに付着する恐れが少ない。そのため、簡単な構成で、搬送チェーンを始めとする内部装置が汚れたり動作不良を引き起こしたりすることを防止し、清掃作業や清掃後の復帰作業などを容易に行なうことができる。
なお、本願においては、トレー収容物が食肉に限定されているが、食肉以外の食品、特に軟弱な食品の包装用としても利用可能である。
【符号の説明】
【0037】
6 支持板
7 搬送チェーン
15 トレーガイド
16 ガイド支持材
17 ネジ軸
18 カバー
20 壁板材





図1
図2
図3
図4
図5