(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-29
(45)【発行日】2023-04-06
(54)【発明の名称】水潤滑の過負荷保護潤滑油線供給システム及び過負荷保護方法
(51)【国際特許分類】
F16N 15/04 20060101AFI20230330BHJP
【FI】
F16N15/04
(21)【出願番号】P 2021568714
(86)(22)【出願日】2020-09-14
(86)【国際出願番号】 CN2020115056
(87)【国際公開番号】W WO2022036784
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2021-11-16
(31)【優先権主張番号】202010840358.0
(32)【優先日】2020-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518229179
【氏名又は名称】青▲島▼理工大学
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO UNIVERSITY OF TECHNOLOGY
(73)【特許権者】
【識別番号】521501945
【氏名又は名称】済南舜茂試験▲イー▼器有限公司
【氏名又は名称原語表記】JINAN SHUN MAO TEST INSTRUMENT CO.LTD
【住所又は居所原語表記】Shao Xi Village,Dang Jia Zhuang Town,Shi Zhong District,Jinan,Shandong 250000,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】郭 峰
(72)【発明者】
【氏名】禹 涛
(72)【発明者】
【氏名】張 暁寒
(72)【発明者】
【氏名】梁 鵬
(72)【発明者】
【氏名】陳 召宝
【審査官】藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-076920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16N 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム部材と回転する金属部材とが接触し、その接触面を水により潤滑している水潤滑摩擦ペアが過負荷になったとき、潤滑油線供給システムにより潤滑油を水中において
線形状で前記接触面に入れて潤滑油補助潤滑を行うことにより、
前記水潤滑摩擦ペアの材料を保護するという目的を達成する方法であり、具体的な
発明特定事項は、
実際の作業状態での水潤滑摩擦ペア材料間の負荷W及び潤滑媒体の粘度μに基づいて
、摩擦摩耗計によって、回転数に応じて変化する摩擦係数の曲線を測定し、水潤滑摩擦ペアは
、混合潤滑の作業状態であり、負荷衝撃に遭遇した場合、水膜は十分な支持力を提供することが困難であり、
前記水潤滑摩擦ペ
ア間は直接接触しやすく、摩擦係数が急激に上昇し、深刻な摩耗につながり、従って、測定された摩擦係数曲線を参照として、摩擦係数の臨界値を設定し、水潤滑摩擦ペアの摩擦係数が臨界値を超えたとき、潤滑油を
線形状で前記水潤滑摩擦ペア間に入れて
潤滑油補助潤滑を行い、生成された油膜は、壊れやすい水膜の代わりに支持し、水潤滑の過負荷保護が実現される
基本原理と、
潤滑油線供給システムを取り付け、潤滑油線供給システムはノズル及び給油システムを含み、
前記ノズルは給油システムに接続され、
前記給油システムにより潤滑油の吐出速度及び供給時間を設定し、
前記水潤滑摩擦ペアの
前記接触面に前記潤滑油を入れるための前記水潤滑摩擦ペア入口での
前記水膜による逆流領域を回避し、
線形状の潤滑油が特定の速度で接触領域に入るのを確実にするように、ノズルは、
前記水潤滑摩擦ペアの接触領域に非常に近い位置に取り付けられ、且つ
前記ノズルの出口は、
前記接触面に向けられており、
前記ノズルは水中で錆びない材料でできており、吐出キャビティの断面は円形である
構成と、
稼働状態下での
前記水潤滑摩擦ペアの負荷と摩擦係数をリアルタイムに監視し、
前記水潤滑摩擦ペアの負荷が通常の状態にあり、摩擦係数が臨界値よりも低い場合、水を唯一の潤滑媒体として、
前記水潤滑摩擦ペアの材料に対して正常な潤滑を行い、
前記水潤滑摩擦ペアが過負荷になり、摩擦係数が臨界値を超える場合、
前記給油システムをオンにし、潤滑油は、設定された吐出速度と供給時間に従ってノズルから連続的に吐出され、吐出された潤滑油は水中に安定した
前記水潤滑摩擦ペア入口の
前記逆流領域を突破し、
前記水潤滑摩擦ペアの動きに伴い接触領域に巻き込まれ、生成された油膜は、壊れやすい水膜の代わりに支持し、これにより、元々局所的に直接接触していた2つの部品間の隙間が大きくなり、つまり、潤滑膜の厚さが増加し、潤滑膜の支持力が向上し、摩擦係数が急激に減少し、
前記水潤滑摩擦ペアが直接接触しなく
なるため、過酷な作業状態下でも、摩擦ペア間で良好な潤滑状態を維持し、
前記水潤滑摩擦ペアの材料の摩耗を大幅に低減する
作用と、
前記水潤滑摩擦ペアの稼働状態では、摩擦係数が臨界値を超えている限り、摩擦係数を低減し良好な潤滑状態を維持するように、
前記水潤滑摩擦ペア間に
前記線形状の潤滑油を供給し、
前記水潤滑摩擦ペア間に1回目
潤滑油を前記線形状で供給
した後、摩擦係数が再び臨界値を超えると、1回目供給された微量
の線形状潤滑油の潤滑効果が弱まるか消え、過負荷が続くことを意味し、このとき、良好な潤滑状態を維持するように、
前記水潤滑摩擦ペア間に2回目
潤滑油を前記線形状で供給して摩擦係数を低減し、摩擦係数が更に再び臨界値を超えると、2回目に供給された微量
の線形状潤滑油の潤滑効果が弱まるか消え、過負荷が続くことを意味し、このとき、
前記水潤滑摩擦ペア
間に3番目微量
の潤滑油を前記線形状で供給し、以下同様に、良好な潤滑状態を維持し、過負荷作業状態は突然の予期しない状態に属し
、短時間持続し、数秒または数分しか持続せず、微量
の潤滑油を前記線形状で供給する補助潤滑効果は毎回2時間に達することが可能であるため
の制御と、
負荷が正常に戻り、摩擦係数が臨界値よりも低い場合、
前記水潤滑摩擦ペアは水を唯一の潤滑媒体として正常な潤滑を行い、接触領域内に残った潤滑油は、表面張力が低いため
前記水潤滑摩擦ペアの表面に付着し
て、長期間安定して存在し、良好な潤滑効果を発揮し、これにより、
前記水潤滑摩擦ペア間は純水潤滑条件下で長期間低い摩擦係数レベルを維持することができ、
前記水潤滑摩擦ペアの材料を保護するという目的を達成する
効果と、を含む、ことを特徴とする水潤滑の過負荷保護方法。
【請求項2】
前記基本原理の摩擦係数曲線の具体的な測定方法では、実験で使用した
前記水潤滑摩擦ペアの材料、構造、
及びサイ
ズである関連パラメーターは、実際の作業状態下での
前記水潤滑摩擦ペアのパラメーターと一致し、海水
及び河川
水であるさまざまな水域の水成分によって摩擦や摩耗への影響も異なるため、実際の作業状態下での水域の水を潤滑媒体として
前記水潤滑摩擦ペアを浸漬し、異なる回転数での
前記水潤滑摩擦ペアの摩擦係数を測定し、測定されたデータから、
前記回転する金属部材の回転数に応じて変化する摩擦係数の曲線を描く、ことを特徴とする請求項1に記載の水潤滑の過負荷保護方法。
【請求項3】
前記ノズルの内面には局所的疎油性処理を施し、潤滑油入口の内面に疎油性処理を施し、出口の内面に疎油性処理を施さず、潤滑油は、表面疎油性処理された入口領域から表面疎油性処理されていない出口領域に流れると、出口での潤滑油の圧力が上昇し、吐出された潤滑油は水中において
線形状の潤滑油の形でより安定する、ことを特徴とする請求項1に記載の水潤滑の過負荷保護方法。
【請求項4】
前記潤滑油は乳化油であ
り、前記ノズルから吐出する場合、
線形状の潤滑油の状態を維持するのに役立ち、
前記水潤滑摩擦ペアの入口での
前記逆流領域を突破して、接触領域に入り補助潤滑を達成するのに役立つ、ことを特徴とする請求項1に記載の水潤滑の過負荷保護方法。
【請求項5】
前記給油システムは、シリンジバレル、ステッピングモーター、親ねじ、L字型プレート及びスライディングテーブルを含み、
前記シリンジバレルは
前記ノズルに接続され、
前記シリンジバレル内を摺動するシリンジコアの端は
前記L字型プレートに接続され、
前記シリンジバレル内には潤滑油が充填され、
前記L字型プレートは
前記スライディングテーブルの上にあり、
前記スライディングテーブルと
前記L字型プレートはネジで接続され、
前記親ねじと
前記スライディングテーブルは
、ボールねじと
前記スライディングテーブルに内蔵されたナット部材のペアで接続され、
前記ステッピングモーターと
前記親ねじはカップリングで接続され、
前記ステッピングモーターは
前記親ねじの回転速度と回転時間を制御することで、
前記スライディングテーブルの移動速度とストロークを制御し、
前記シリンジコアを
前記L字型プレートで前方に押すことにより、
前記線形状の潤滑油の供給速度と供給量の制御を実現し、潤滑油は
前記ノズルから吐出され、吐出された潤滑油は
前記線形状の潤滑油の形で存在する、ことを特徴とする請求項1に記載の水潤滑の過負荷保護方法。
【請求項6】
前記給油システムは
、マイクロオイルポンプおよび制御システムにすることもでき、
前記線形状の潤滑油の供給速度および供給量は、
前記マイクロオイルポンプおよび制御システムによって制御される、ことを特徴とする請求項1に記載の水潤滑の過負荷保護方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水潤滑技術分野に属し、具体的には水潤滑の過負荷保護潤滑油線供給システム及び過負荷保護方法に関する。水潤滑摩擦ペアが過負荷になったとき、一時的に提供される潤滑油線を水潤滑摩擦ペアに入れることで、水潤滑の支持力を向上させ、摩擦を減らし、摩耗を減らし、摩擦ペアの材料を保護する。
【背景技術】
【0002】
潤滑油は、粘度が高く、支持力が高く、さまざまな機器の潤滑に広く使用されている。しかし、人間の環境保護意識が徐々に高まり、環境法が改善されるにつれ、潤滑油による環境汚染や再生不可能なエネルギーの問題により、人々は環境にやさしい潤滑媒体に注目するようになっている。典型的な環境に優しい潤滑媒体として、水はますます注目されてきた。水潤滑は、シンプルな構造、無公害でクリーン、低価格という大きなメリットがあり、船尾軸、ウォーターポンプ、ハイドロタービン、鉱業、農業機械などの分野に適しており、数十年の使用実績がある。しかし、水は、粘度が低く、膜形成性が低いなどの欠点があり、実際の適用では常に問題がある。水潤滑は干渉防止性に乏しいため、急激な負荷の増加など外部の作業状態が変化すると、潤滑故障が発生しやすくなるが、水潤滑ベアリングの使用は、船のプロペラのカンチレバー配置によって生成される不均一な負荷、シャフトの振動、水流/海流などの短期的な負荷衝撃など、複雑な作業状態下で行われることが多く、接触領域の水膜は崩壊して支持性が失われやすく、その結果、ベアリングの摩耗が増加し、さらには故障になることさえある。
【0003】
人々はベアリングの構造と材料の研究を行い、耐摩耗性を向上させるために、長方形、アーク形、三角形、及びらせん状の表面溝を設計し、ニトリルゴム、ソードン、FEROFORM、Ancoなどのさまざまなシリーズの製品を開発したが、潤滑剤としての水の固有の欠点を変更しなかった。水膜は、支持力が低く、干渉防止性に乏しいため、負荷が変動すると、潤滑状態が弾性流体潤滑から境界潤滑、さらには乾式摩擦に変化しやすくなる。負荷変動がなくなると、水膜が再構築されず、通常の潤滑状態に戻すことができない場合があり、これにより、振動、ノイズ、摩耗故障などの問題が発生する。一旦乾式摩擦状態になると、数十秒以内に潤滑不良の問題を解決する必要があることがよくある。そうしないと、焼き付きを起こす。たとえば、ソードン水潤滑材料は非水作業状態下で30~60秒間しか稼働できず、水中で作動温度が60℃を超えると加水分解が発生する。Anco水潤滑材料は非水作業状態下で2分を超えて稼働することはできない。これらは、最高の水潤滑材料と見なされてきた。したがって、突然の作業状態下での水潤滑の潤滑安定性と干渉防止性を向上させるためには、急激な負荷変動時の摩擦ペア間の潤滑膜の支持力を急速に高め、潤滑状態の安定性を確保する新しい方法を採用する必要がある。
【0004】
前述のように、オイル潤滑は、粘度が高く、支持力が高いなどの利点があり、摩擦ペアでは、潤滑に実際に関与する潤滑油の量は非常に少ない。水潤滑の過負荷保護が実現されるように、水潤滑の過負荷保護潤滑油線供給システムを設計する緊急の必要性がある。当該システムでは、水潤滑と微量油潤滑を組み合わせ、水潤滑条件下で、高負荷、振動、衝撃などの突然の作業状態に遭遇した場合、微量の潤滑油を油線の形で一定の速度で接触領域に連続的に注入して追加の油膜支持力を生み出し、その結果、潤滑システムの安定性を向上させ、摩擦ペア間の良好な潤滑状態を維持し、過酷な条件を乗り切るのを助ける。さらに、このノズルは、ノズルの孔径を調整することで吐出油線の直径を制御することができる。なお、微量の潤滑油の短期注入による環境汚染はごくわずかであり、植物油又はその他の、生分解性の高い環境にやさしい潤滑油を使用すれば、市場の見通しは非常に広くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来技術の欠陥を克服し、水潤滑の過負荷保護潤滑油線供給システムおよび過負荷保護方法を設計することである。水潤滑が過負荷になったときに潤滑油線を保護し、水潤滑が高負荷となる、又は水潤滑の負荷が変更する場合、ノズルを制御して微量の潤滑油を吐出し、入口領域の水中において油線の形で特定の速度で接触領域に入れ、生成された油膜は、壊れやすい水膜の代わりに支持し、このように、過酷な作業状態下でも、摩擦ペア間で良好な潤滑状態を維持し、摩擦ペア部品の正常な稼働を保証することができ、このノズルは、ヘッドを交換する必要がなく、ノズルの孔径を自由に調整し、吐出油線の直径を制御することができる。
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、水潤滑の過負荷保護方法を提供する。当該方法は、水潤滑摩擦ペアが過負荷になったとき、潤滑油線供給システムにより潤滑油を水中において油線の形で水潤滑摩擦ペアに入れて潤滑油補助潤滑を行うことにより、水潤滑摩擦ペアの材料を保護するという目的を達成する方法であり、具体的なプロセスステップは、
実際の作業状態での水潤滑摩擦ペア材料間の負荷W及び潤滑媒体の粘度μに基づいて、市販の関連する摩擦摩耗計によって、回転数に応じて変化する摩擦係数の曲線を測定し、水潤滑摩擦ペアは、多くの場合、混合潤滑の作業状態であり、負荷衝撃に遭遇した場合、水膜は十分な支持力を提供することが困難であり、摩擦ペア材料間は直接接触しやすく、摩擦係数が急激に上昇し、深刻な摩耗につながり、従って、測定された摩擦係数曲線を参照として、摩擦係数の臨界値を設定し、水潤滑摩擦ペアの摩擦係数が臨界値を超えたとき、潤滑油を油線の形で摩擦ペア間に入れて補助潤滑を行い、生成された油膜は、壊れやすい水膜の代わりに支持し、水潤滑の過負荷保護が実現されるS1と、
潤滑油線供給システムを取り付け、潤滑油線供給システムはノズル及び給油システムを含み、ノズルは給油システムに接続され、給油システムにより潤滑油の吐出速度及び供給時間を設定し、摩擦ペアの入口での逆流領域を回避し、油線が特定の速度で接触領域に入るのを確実にするように、ノズルは、水潤滑摩擦ペアの接触領域に非常に近い位置に取り付けられ、且つノズルの出口は、可動な摩擦部品の表面に向けられており、ノズルは水中で錆びない材料でできており、吐出キャビティの断面は円形であるS2と、
稼働状態下での水潤滑摩擦ペアの負荷と摩擦係数をリアルタイムに監視し、水潤滑摩擦ペアの負荷が通常の状態にあり、摩擦係数が臨界値よりも低い場合、水を唯一の潤滑媒体として、摩擦ペアの材料に対して正常な潤滑を行い、水潤滑摩擦ペアが過負荷になり、摩擦係数が臨界値を超える場合、給油システムをオンにし、潤滑油は、設定された吐出速度と供給時間に従ってノズルから連続的に吐出され、吐出された潤滑油は水中に安定した油線の形で摩擦ペア入口の逆流領域を突破し、摩擦ペア部品の動きに伴い接触領域に巻き込まれ、生成された油膜は、壊れやすい水膜の代わりに支持し、これにより、元々局所的に直接接触していた2つの部品間の隙間が大きくなり、つまり、潤滑膜の厚さが増加し、潤滑膜の支持力が向上し、摩擦係数が急激に減少し、摩擦ペア部品が直接接触しなくなったため、過酷な作業状態下でも、摩擦ペア間で良好な潤滑状態を維持し、水潤滑材料の摩耗を大幅に低減するS3と、
水潤滑摩擦ペアの稼働状態では、摩擦係数が臨界値を超えている限り、摩擦係数を低減し良好な潤滑状態を維持するように、摩擦ペア間に潤滑油線を供給し、摩擦ペア間に1回目潤滑油線が供給された後、摩擦係数が再び臨界値を超えると、1回目供給された微量油線の潤滑効果が弱まるか消え、過負荷が続くことを意味し、このとき、良好な潤滑状態を維持するように、摩擦ペア間に2回目潤滑油線を供給して摩擦係数を低減し、摩擦係数が更に再び臨界値を超えると、2回目に供給された微量油線の潤滑効果が弱まるか消え、過負荷が続くことを意味し、このとき、摩擦ペアに3番目微量潤滑油線を供給し、以下同様に、良好な潤滑状態を維持し、過負荷作業状態は突然の予期しない状態に属し、多くの場合、短時間持続し、数秒または数分しか持続せず、微量潤滑油線の補助潤滑効果は毎回2時間に達することが可能であるため、通常は1回の供給で十分であるS4と、
負荷が正常に戻り、摩擦係数が臨界値よりも低い場合、摩擦ペアは水を唯一の潤滑媒体として正常な潤滑を行い、接触領域内に残った潤滑油は、表面張力が低いため接触ペアの表面に付着してマイクロオイルプールを形成し、長期間安定して存在し、良好な潤滑効果を発揮し、これにより、摩擦ペア間は純水潤滑条件下で長期間低い摩擦係数レベルを維持することができ、水潤滑摩擦ペアの材料を保護するという目的を達成するS5と、を含む。
【0007】
本発明に係るステップS1の摩擦係数曲線の具体的な測定方法では、実験で使用した摩擦ペアの材料、構造、サイズなどの関連パラメーターは、実際の作業状態下での摩擦ペアのパラメーターと一致し、海水や河川水などのさまざまな水域の水成分によって摩擦や摩耗への影響も異なるため、実際の作業状態下での水域の水を潤滑媒体として摩擦ペアを浸漬し、異なる回転数での摩擦ペアの摩擦係数を測定し、測定されたデータから、スチールリングの回転数に応じて変化する摩擦係数の曲線を描く。
【0008】
本発明に係るノズルの内面には局所的疎油性処理を施し、潤滑油入口の内面に疎油性処理を施し、出口の内面に疎油性処理を施さず、潤滑油は、表面疎油性処理された入口領域から表面疎油性処理されていない出口領域に流れると、出口での潤滑油の圧力が上昇し、吐出された潤滑油は水中において油線の形でより安定する。
【0009】
本発明に係る潤滑油は乳化油であり、環境にやさしい潤滑油を基油として配合されており、ノズルから吐出する場合、油線の状態を維持するのに役立ち、摩擦ペアの入口での逆流領域を突破して、接触領域に入り補助潤滑を達成するのに役立つ。
【0010】
本発明に係るノズルは可変径ノズルであり、本体構造は、シェル、コイルばね、弾性コーン及び内筒を含み、内筒は断面が円形の中空構造であり、内筒は雄ネジを有し、内筒の内面には、表面の疎油性処理のためにパーフルオロデシルトリメトキシシランでメッキし、内筒の外面の一端は雄ネジ付きの円筒形であり、内筒の外面の他端は円錐形であり、内筒の円筒形の端は給油システムに接続され、内筒の円錐形の端は弾性コーンに接続され、弾性コーンは中空の円錐形の柱体であり、断面が大きい弾性コーンの端のキャビティ円の直径は、内筒のキャビティ円の直径と同じ、断面積の大きい弾性コーンの端は内筒に接着または埋め込みの形で固定接続され、接続箇所にはシーリング材でさらなる接続固定とシーリングを行い、記憶機能を備えたコイルばねは、プレカーリングにより弾性コーン内に挿入され、コイルばねの幅は弾性コーンの長さに近く、弾性コーン内に軸に沿ってほぼ一周巻かれているが、端から端までは接触せず、シェルはキャビティ円筒体形状であり、シェルのキャビティの一端は円錐形であり、他端は円筒形であり、シェルの円筒形のキャビティ部分には、内筒の雄ネジと噛合する雌ネジを有し、内筒は、雄ネジとシェルの雌ネジとの噛合によりシェル内に取り付けられ、シェルの円錐形キャビティ部分の内面は、弾性コーンの外面に貼着され、シェルの円錐形キャビティ部分の長さは弾性コーンの長さよりも短い。
【0011】
本発明に係るシェルは、内筒に対して回転することにより、内筒に対して左右に移動することができ、シェルが内筒に対して左に移動すると、内筒に接続されている弾性コーンが露出し、シェルが左に移動する距離が長いほど、弾性コーンがより多く露出し、シェルが左に移動する距離が最大になると、コイルばねは圧縮されて半径方向のサイズが小さくなり、弾性コーンは拡張されていない状態に戻り、その内孔径は最も小さく、内部のコイルばねは半径方向のサイズが小さくなるカール状態になり、シェルが内筒に対して右に移動すると、シェル内の弾性コーンの空間が大きくなり、プレカーリングされたコイルばねは元の半径方向のサイズに戻る傾向があるため、半径方向のサイズが大きくなり、このように、弾性コーンが拡張され、内孔径、すなわち、ノズルの出口の孔径も拡張され、その結果、ノズルから吐出される潤滑油線の直径がそれに応じて大きくなり、シェルが右に移動する距離が最大に達すると、内部のコイルばねの半径方向のサイズが回復するため、弾性コーンの孔径が最大に拡張され、ノズルの出口孔径の自由な変化は、内筒に対するシェルの左右移動によって実現することができる。
【0012】
本実施例に係る弾性コーンはフッ素ゴム弾性材料または柔軟なPVC弾性材料でできており、使用する弾性材料には優れた反発弾性と耐油性が求められる。
【0013】
本発明に係る給油システムは、シリンジバレル、ステッピングモーター、親ねじ、L字型プレート及びスライディングテーブルを含み、シリンジバレルはノズルに接続され、シリンジコアの端はL字型プレートに接続され、シリンジバレル内には潤滑油が充填され、L字型プレートはスライディングテーブルの上にあり、スライディングテーブルとL字型プレートはネジで接続され、親ねじとスライディングテーブルはボールねじペアで接続され、ステッピングモーターと親ねじはカップリングで接続され、ステッピングモーターは親ねじの回転速度と回転時間を制御することで、スライディングテーブルの移動速度とストロークを制御し、シリンジコアをL字型プレートで前方に押すことにより、潤滑油線の供給速度と供給量の制御を実現し、潤滑油はノズルから吐出され、吐出された潤滑油は油線の形で存在する。
【0014】
本発明に係る給油システムは、市販のマイクロオイルポンプおよび制御システムにすることもでき、潤滑油線の供給速度および供給量は、市販のマイクロオイルポンプおよび制御システムによって制御される。
【0015】
本発明に係る水潤滑摩擦ペア材料は、水を潤滑媒体とする摩擦ペアであり、普遍的な適用性を有する。
【発明の効果】
【0016】
従来技術と比較して、本発明の有益な効果は以下の通りである。
【0017】
1.本発明の水潤滑の過負荷保護方法は、潤滑膜の支持力を向上させ、高負荷または衝撃負荷の作業状態下での水潤滑材料の高摩擦係数および激しい摩耗の問題を解決し、2s以内に摩擦係数を低減し、10秒以内に最低の摩擦係数に到達することができ、潤滑油線の補助潤滑効果は毎回2時間に達する可能性があり、効き始めが早く、摩擦低減の幅が大きく、従来の潤滑技術とは比べものにならない。
【0018】
2.本発明に係る可変径ノズル構造は、具体的な作業状態に応じてノズルの内径を調整することにより、吐出油線の直径の大きさを制御することができ、可変径ノズル構造は、水中で錆びない材料でできており、内面には局所的疎油性処理を施し、出口に疎油性処理を施さず、潤滑油は、疎油性処理された領域から疎油性処理されていない出口領域に流れると、出口での潤滑油の圧力が上昇し、吐出された潤滑油は水中において油線の形でより安定して存在し、ノズルの出口は、摩擦ペアにおける可動部品に向けられており、潤滑媒体が部品の動きによって接触領域に巻き込むことに役立つ。
【0019】
3.本発明に係る潤滑油線供給は、短期の微量供給であり、無公害で環境に優しく、汚染はごくわずかである。
【0020】
4.潤滑油線ノズルを設計することにより、負荷急変作業状態下での水潤滑材料の潤滑不良の問題を解決し、突然の過負荷作業状態に対して補助潤滑を行い、水潤滑摩擦ペア材料が突然の作業状態で良好な潤滑状態を維持することを確保し、材料の摩耗を減らし、耐用年数を延ばし、動作の安定性を大幅に向上させることができ、効き始めが早く、構造がシンプルで、デザインコンセプトが独創的で、製造コストが低く、応用環境にやさしく、市場の見通しが広い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る実施例1の水潤滑の過負荷保護潤滑油線供給システムの構造原理概略図である。
【
図2】本発明に係るノズルの出口の小径構造状態原理概略図である。
【
図3】本発明に係るノズルの出口の大径構造状態原理概略図である。
【
図4】本発明に係るコイルばねの構造原理概略図である。
【
図5】本発明に係るノズルの内面にFAS(パーフルオロデシルトリメトキシシラン)でメッキして疎油性処理する概略図であり、A領域はFAS修飾された内筒の内面であり、B領域はFAS修飾されていない弾性コーンの内面である。
【
図6】本発明に係る350Nの高負荷下で、316ステンレス鋼リングとニトリルゴムブロックが相互摩擦する摩擦係数の、速度に応じて変化する曲線である。
【
図7】本発明に係る350N、50r/minで、純水条件下で10min相互摩擦した後、100μLの潤滑油線を供給し、供給速度が10μL/sである0.5hの摩擦試験結果である。
【
図8】本発明に係る350N、50r/minで、純水条件下で10min相互摩擦した後、100μLの潤滑油線を供給し、供給速度が10μL/sである3hの長時間摩擦試験結果である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、図面を参照しながら具体的な実施例を通じて以下に詳細に説明される。
【0023】
実施例1
本実施例は、水潤滑の過負荷保護方法に関し、当該方法は、水潤滑摩擦ペアが過負荷になったとき、潤滑油を水中において油線の形で水潤滑摩擦ペアに入れて潤滑油補助潤滑を行うことにより、水潤滑摩擦ペアの材料を保護するという目的を達成する方法であり、リングブロック試験機を例とすると、具体的なステップは次のとおりである。
【0024】
S1:水潤滑摩擦ペア材料間の負荷W及び潤滑媒体の粘度μに基づいて、リングブロック試験機によって、スチールリングの回転数に応じて変化する摩擦係数の曲線を測定し、具体的な測定方法は、一般的な水潤滑材料であるニトリルゴムを相互摩擦ブロック1として使用し、その表面粗さが0.4であり、316ステンレス鋼を相互摩擦リング2として使用し、その表面粗さが0.3であり、水道水を潤滑媒体として摩擦ペアを浸し、摩擦ペア負荷を350Nの重負荷に設定し、様々な回転数で純水潤滑の条件下で摩擦ペア間の摩擦係数を測定することである。測定データから、相互摩擦リング2の回転数に応じて変化する摩擦係数の曲線を描き、
図6に示すように、負荷が大きいため、回転数が広範囲に増加しても、対応する摩擦係数は依然として非常に高く、ここでは、摩擦係数の臨界値として摩擦係数を0.07に設定し、代表的な試験条件として、相互摩擦リング2の回転数が50r/minであることを選択し、このときの摩擦係数は非常に高く、摩擦ペア間は混合潤滑または境界潤滑の状態にあり、潤滑状態は比較的悪いことが分かる。
【0025】
S2:負荷が350N、回転数が50r/minであることを選択しており、慣らし運転中に摩擦係数が不安定になり、低下する可能性があることを考慮すると、慣らし運転中の不安定な摩擦係数による摩擦係数の低下を排除するために、まずニトリルゴムブロックと316ステンレスリングとを10min相互摩擦して、摩擦係数を安定させ、
図7に示すように、安定させた後の摩擦係数値が臨界値0.07を超えていることがわかる。そのため、接触領域に潤滑油線を供給して補助潤滑を行い、総相互摩擦時間は30minである。潤滑油線供給システムは、ノズル3及び給油システムを含み、ノズル3は接触領域のできるだけ近くに取り付けられ、ノズル3を通過する潤滑媒体は連続油線の形で吐出され、且つノズル3は、可動摩擦部品の表面に向けられる。このように、潤滑油は、逆流領域を可能な限り回避し、ノズル3の内面の出口近くの箇所(B領域)に疎油性処理を行わず、ノズルの内面の、出口から遠い箇所(A領域)には、表面の疎油性処理のためにFAS(パーフルオロデシルトリメトキシシラン)でめっきしている。潤滑油は、疎油性処理されたA領域から疎油性処理されていないB領域に流れると、出口での潤滑油の圧力が上昇し、吐出された潤滑油は水中において油線の形でより安定して存在する。給油システムにより、油線が10μL/sの速度で吐出するように設定され、且つ接触領域に入り、供給時間を10sに設定し、100μLの潤滑油を累積供給し、10s後に供給を停止し、潤滑油線が接触領域に入った後、生成された油膜は、壊れやすい水膜の代わりに支持し、これにより、元々局所的に直接接触していた2つの部品間の隙間が大きくなる。つまり、潤滑膜の厚さが増加し、潤滑膜の支持力が向上し、摩擦係数が急激に減少し、摩擦ペア部品が直接接触しなくなり、潤滑膜の支持力が向上し、摩擦係数は急激に低下するため、高負荷作業状態で摩擦ペア間で良好な潤滑状態を維持できる。その結果を
図7に示す。
【0026】
S3:純水潤滑に変換すると、接触領域内に残った潤滑油は、表面張力が低いため接触ペアの表面に付着してマイクロオイルプールを形成し、長期間安定して存在し、良好な潤滑効果を発揮する。これにより、摩擦ペア間は純水潤滑条件下で長期間低い摩擦係数レベルを維持することができ、
図8に示すように、同じ条件で相互摩擦時間が3hに延長されており、常に350Nの高負荷で運転された場合でも、単一の微量油線の補助潤滑効果は2時間以上持続することができ、その効果は長く持続し、ベアリングの支持力を大幅に向上させ、水潤滑材料を保護するという目的を達成することができる。
【0027】
本実施例に係るステップS1は、リングブロック試験機のキャビティ内部のすべての部品を、無水エタノールおよび石油エーテルに順次浸漬した無塵紙で連続的に拭き、キャビティの内部が清潔できれいであることを確保し、リングブロック試験機のブロッククランプをレベリングし、ボルトを調整することにより、作業中クランプされた相互摩擦ブロックをスチールリングの外面にぴったり合うようにして、摩耗痕が傾かないようにし、キャビティの流入水流量が流出水流量と同じになるようにすることで、キャビティ内の液面を一定に保ち、流入流出水流量の制御は市販の流量調整装置によって実現される。
【0028】
本実施例に係る潤滑油線供給システムでは、水環境に噴射された潤滑油は水中において油線の形で存在し、その本体構造は、ノズル及び給油システムを含み、ノズルの本体構造は、シェル11、コイルばね12、弾性コーン13及び内筒14を含み、内筒14は断面が円形の中空構造であり、内筒14は雄ネジを有し、内筒14の内面(A領域)は、表面の疎油性処理のためにFAS(パーフルオロデシルトリメトキシシラン)でメッキされ、内筒14の外面の一端は雄ネジ付きの円筒形であり、内筒14の外面の他端は円錐形であり、内筒14の円筒形の端は給油システムに接続され、内筒14の円錐形の端は弾性コーン13に接続され、弾性コーン13は中空の円錐形の柱体であり、断面積の大きい弾性コーン13の端(末端)のキャビティ円の直径は、内筒14のキャビティ円の直径と同じ、弾性コーン13の末端は、内筒14に接着または埋め込みの形で固定接続され、接続箇所にはシーリング材でさらなる接続固定とシーリングを行い、記憶機能を備えたコイルばね12は、プレカーリングにより弾性コーン13内に挿入され、コイルばね12の幅は、弾性コーン13の長さに近く、弾性コーン13内に軸に沿ってほぼ一周巻かれているが、端から端までは接触せず、シェル11はキャビティ円筒体形状であり、シェル11のキャビティの一端は円錐形であり、他端は円筒形であり、シェル11の円筒形のキャビティ部分には、内筒14の雄ネジと噛合する雌ネジを有し、内筒14は、雄ネジとシェル11の雌ネジとの噛合によりシェル11内に取り付けられ、シェル11の円錐形キャビティ部分の内面は、弾性コーン13の外面に貼着され、シェル11の円錐形キャビティ部分の長さは弾性コーン13の長さよりも短い。シェル11は、内筒14に対して回転することにより、内筒14に対して左右に移動することができ、シェル11が内筒14に対して左に移動すると、内筒14に接続される弾性コーン13が露出し、シェル11が左に移動する距離が長いほど、弾性コーン13がより多く露出し、シェル11が左に移動する距離が最大になると、コイルばねは圧縮されて半径方向のサイズが小さくなり、弾性コーン13は拡張されていない状態に戻り、その内孔径は最も小さく、内部のコイルばね12は半径方向のサイズが小さくなるカール状態になり、シェル11が内筒14に対して右に移動すると、
図4に示すように、シェル11内の弾性コーン13の空間が大きくなり、プレカーリングされたコイルばね12は元の半径方向のサイズに戻る傾向があるため、半径方向のサイズが大きくなり、このように、弾性コーン13が拡張され、内孔径、すなわち、ノズルの出口の孔径も拡張され、その結果、ノズルから吐出される潤滑油線の直径がそれに応じて大きくなり、シェル11が右に移動する距離が最大に達すると、内部コイルばね12の半径方向のサイズが回復するため、弾性コーン13の孔径が最大に拡張され、ノズルの出口孔径の自由な変化は、内筒14に対するシェル11の左右移動によって実現することができる。
【0029】
本実施例に係る弾性コーン13はフッ素ゴム弾性材料でできており、他の種類のゴム、柔軟なPVC等の市販の弾性材料でできてもよく、使用する弾性材料には優れた反発弾性と耐油性が求められる。
【0030】
本実施例に係る、コイルばね12を弾性コーン13内に挿入する目的は、弾性コーン13の出口が常に安定した円であることを保証することである。なぜなら、単に弾性コーン13で出口孔径を制御すると、孔径が小さくなるとき、すなわち弾性コーン13が圧縮されるとき、孔の形状は安定した円形を維持することができず、弾性コーン13が圧縮されるに伴い、その内孔はしわを生成する傾向があり、弾性コーン13が圧縮されるほど、内孔のしわがより明らかになり、不均一な油線の流出および不安定な形状などの問題をもたらす。逆に、機械的解析から、弾性コーン13の内孔を拡張すると、内孔が円形であることをより容易で安定的に保つことができるため、コイルばね12がプレカーリングされて弾性コーン13に組み込まれてから膨張して回復する力は、弾性コーン13を拡張させるために使用され、コイルばね12の回復により、出口の孔径はより大きな直径の円になる。コイルばね12が圧縮されてカールすると、弾性コーン13は拡張されていない初期状態に徐々に戻り、出口の孔径は小さくなる。
【0031】
前記給油システムは、シリンジバレル4、ステッピングモーター8、親ねじ9、L字型プレート6及びスライディングテーブル7を含み、シリンジバレル4はノズル3に接続され、シリンジコア5の末端はL字型プレート6に接続され、シリンジバレル4内には潤滑油が充填され、L字型プレート6はスライディングテーブル7の上にあり、スライディングテーブル7とL字型プレート6はネジで接続され、親ねじ9とスライディングテーブル7はボールねじペアで接続され、ステッピングモーター8と親ねじ9はカップリングで接続され、ステッピングモーター8は親ねじ9の回転速度と回転時間を制御することで、スライディングテーブル7の移動速度とストロークを制御し、シリンジコア5をL字型プレートで前方に押すことにより、潤滑油線の供給速度と供給量の制御を実現し、潤滑油はノズル3から吐出され、吐出された潤滑油は油線の形で存在する。
【0032】
本実施例に係るノズルは、潤滑油を噴射する時の出口直径が0.4mmである。
【0033】
本実施例に係る潤滑油は乳化油であり、植物油または他の環境に優しい潤滑油を基油として配合されており、ノズルから吐出する場合、油線の状態を維持するのに役立ち、摩擦ペアの入口での逆流領域を突破して、接触領域に入り補助潤滑を達成するのに役立つ。
【0034】
さらに、本実施例に係るノズル3の直径の変化範囲は、ねじ付きシェルおよび弾性材料の実際のテーパーおよびサイズなどによって決定される。
【0035】
さらに、本実施例に係る水潤滑過負荷の潤滑油線保護技術は、本実施例で使用される水潤滑材料を含むがこれに限定されず、普遍的な適用性を有する。
【0036】
さらに、本実施例に係るノズルの内筒において局所的疎油性処理を利用して油線の安定性を向上させる表面疎油性処理試薬はFASを含むがこれに限定されない。