(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-29
(45)【発行日】2023-04-06
(54)【発明の名称】フィルタ装置、フィルタプログラム、フィルタ設計プログラム、参照信号生成装置及び参照信号生成プログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 11/36 20060101AFI20230330BHJP
【FI】
G05B11/36 501E
(21)【出願番号】P 2019039430
(22)【出願日】2019-03-05
【審査請求日】2022-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】504133110
【氏名又は名称】国立大学法人電気通信大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】桑原 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】池崎 太一
(72)【発明者】
【氏名】金子 修
【審査官】牧 初
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-237916(JP,A)
【文献】特開2012-93853(JP,A)
【文献】国際公開第2016/092872(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 11/00-13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象に入力される入力信号を取得し、前記入力信号の入力に応じて前記制御対象から出力される出力信号を取得する入出力信号取得部と、
前記制御対象を制御している実装済制御器の伝達関数のパラメータを前記入力信号及び前記出力信号に基づくデータ駆動制御により更新して仮想制御器の伝達関数を演算する伝達関数演算部と、
前記制御対象の伝達関数、前記実装済制御器の伝達関数及び前記仮想制御器の伝達関数を使用して前記制御対象及び前記実装済制御器を含む閉ループ系に入力される更新前参照信号を前記制御対象に目標出力信号又は前記出力信号よりも前記目標出力信号に近似している近似目標出力信号を出力させる更新後参照信号に変換する参照信号変換部と、
を備えるフィルタ装置。
【請求項2】
前記伝達関数演算部は、次の式(1)及び式(2)で表される評価関数を使用して前記実装済制御器の伝達関数のパラメータを更新することにより前記仮想制御器の伝達関数を演算する、
請求項1に記載のフィルタ装置。
【数1】
【数2】
J :評価関数
u
0 :入力信号
y
0 :出力信号
T
d :閉ループ系の目標伝達関数
ρ :パラメータ
C(ρ):制御器の伝達関数
【請求項3】
前記参照信号変換部は、前記更新前参照信号を次の式(3)及び式(4)で表される前記更新後参照信号に変換する、
請求項1又は請求項2に記載のフィルタ装置。
【数3】
【数4】
r :更新前参照信号
ρ
0 :更新前のパラメータ
C(ρ
0):実装済制御器の伝達関数
ρ
* :更新後のパラメータ
C(ρ
*):仮想制御器の伝達関数
G :制御対象の伝達関数
r
* :更新後参照信号
【請求項4】
コンピュータに、
制御対象に入力される入力信号を取得し、前記入力信号の入力に応じて前記制御対象から出力される出力信号を取得する入出力信号取得機能と、
前記制御対象を制御している実装済制御器の伝達関数のパラメータを前記入力信号及び前記出力信号に基づくデータ駆動制御により更新して仮想制御器の伝達関数を演算する伝達関数演算機能と、
前記制御対象の伝達関数、前記実装済制御器の伝達関数及び前記仮想制御器の伝達関数を使用して前記制御対象及び前記実装済制御器を含む閉ループ系に入力される更新前参照信号を前記制御対象に目標出力信号又は前記出力信号よりも前記目標出力信号に近似している近似目標出力信号を出力させる更新後参照信号に変換する参照信号変換機能と、
を実現させるためのフィルタプログラム。
【請求項5】
前記伝達関数演算機能は、次の式(5)及び式(6)で表される評価関数を使用して前記実装済制御器の伝達関数のパラメータを更新して前記仮想制御器の伝達関数を演算する機能である、
請求項4に記載のフィルタプログラム。
【数5】
【数6】
J :評価関数
u
0 :入力信号
y
0 :出力信号
T
d :閉ループ系の目標伝達関数
ρ :パラメータ
C(ρ):制御器の伝達関数
【請求項6】
前記参照信号変換機能は、前記更新前参照信号を次の式(7)及び式(8)で表される前記更新後参照信号に変換する機能である、
請求項4又は請求項5に記載のフィルタプログラム。
【数7】
【数8】
r :更新前参照信号
ρ
0 :更新前のパラメータ
C(ρ
0):実装済制御器の伝達関数
ρ
* :更新後のパラメータ
C(ρ
*):仮想制御器の伝達関数
G :制御対象の伝達関数
r
* :更新後参照信号
【請求項7】
コンピュータに、
制御対象に入力される入力信号を取得し、前記入力信号の入力に応じて前記制御対象から出力される出力信号を取得する入出力信号取得機能と、
前記制御対象を制御している実装済制御器の伝達関数のパラメータを前記入力信号及び前記出力信号に基づくデータ駆動制御により更新して仮想制御器の伝達関数を演算する伝達関数演算機能と、
前記制御対象の伝達関数、前記実装済制御器の伝達関数及び前記仮想制御器の伝達関数を使用して前記制御対象及び前記実装済制御器を含む閉ループ系に入力される更新前参照信号を前記制御対象に目標出力信号又は前記出力信号よりも前記目標出力信号に近似している近似目標出力信号を出力させる更新後参照信号に変換するフィルタを設計するフィルタ設計機能と、
を実現させるためのフィルタ設計プログラム。
【請求項8】
前記伝達関数演算機能は、次の式(9)及び式(10)で表される評価関数を使用して前記実装済制御器の伝達関数のパラメータを更新することにより前記仮想制御器の伝達関数を演算する機能である、
請求項7に記載のフィルタ設計プログラム。
【数9】
【数10】
J :評価関数
u
0 :入力信号
y
0 :出力信号
T
d :閉ループ系の目標伝達関数
ρ :パラメータ
C(ρ):制御器の伝達関数
【請求項9】
前記フィルタ設計機能は、前記更新前参照信号を次の式(11)及び式(12)で表される前記更新後参照信号に変換するフィルタを設計する機能である、
請求項7又は請求項8に記載のフィルタ設計プログラム。
【数11】
【数12】
r :更新前参照信号
ρ
0 :更新前のパラメータ
C(ρ
0):実装済制御器の伝達関数
ρ
* :更新後のパラメータ
C(ρ
*):仮想制御器の伝達関数
G :制御対象の伝達関数
r
* :更新後参照信号
【請求項10】
制御対象に入力される入力信号を取得し、前記入力信号の入力に応じて前記制御対象から出力される出力信号を取得する入出力信号取得部と、
前記制御対象を制御している実装済制御器の伝達関数のパラメータを前記入力信号及び前記出力信号に基づくデータ駆動制御により更新して仮想制御器の伝達関数を演算する伝達関数演算部と、
前記制御対象の伝達関数、前記実装済制御器の伝達関数及び前記仮想制御器の伝達関数を使用して前記制御対象及び前記実装済制御器を含む閉ループ系に入力される更新前参照信号から前記制御対象に目標出力信号又は前記出力信号よりも前記目標出力信号に近似している近似目標出力信号を出力させる更新後参照信号を生成する参照信号生成部と、
を備える参照信号生成装置。
【請求項11】
前記伝達関数演算部は、次の式(13)及び式(14)で表される評価関数を使用して前記実装済制御器の伝達関数のパラメータを更新することにより前記仮想制御器の伝達関数を演算する、
請求項10に記載の参照信号生成装置。
【数13】
【数14】
J :評価関数
u
0 :入力信号
y
0 :出力信号
T
d :閉ループ系の目標伝達関数
ρ :パラメータ
C(ρ):制御器の伝達関数
【請求項12】
前記参照信号生成部は、前記更新前参照信号から次の式(15)及び式(16)で表される前記更新後参照信号を生成する、
請求項10又は請求項11に記載の参照信号生成装置。
【数15】
【数16】
r :更新前参照信号
ρ
0 :更新前のパラメータ
C(ρ
0):実装済制御器の伝達関数
ρ
* :更新後のパラメータ
C(ρ
*):仮想制御器の伝達関数
G :制御対象の伝達関数
r
* :更新後参照信号
【請求項13】
コンピュータに、
制御対象に入力される入力信号を取得し、前記入力信号の入力に応じて前記制御対象から出力される出力信号を取得する入出力信号取得機能と、
前記制御対象を制御している実装済制御器の伝達関数のパラメータを前記入力信号及び前記出力信号に基づくデータ駆動制御により更新して仮想制御器の伝達関数を演算する伝達関数演算機能と、
前記制御対象の伝達関数、前記実装済制御器の伝達関数及び前記仮想制御器の伝達関数を使用して前記制御対象及び前記実装済制御器を含む閉ループ系に入力される更新前参照信号から前記制御対象に目標出力信号又は前記出力信号よりも前記目標出力信号に近似している近似目標出力信号を出力させる更新後参照信号を生成する参照信号生成機能と、
を実現させるための参照信号生成プログラム。
【請求項14】
前記伝達関数演算機能は、次の式(17)及び式(18)で表される評価関数を使用して前記実装済制御器の伝達関数のパラメータを更新することにより前記仮想制御器の伝達関数を演算する機能である、
請求項13に記載の参照信号生成プログラム。
【数17】
【数18】
J :評価関数
u
0 :入力信号
y
0 :出力信号
T
d :閉ループ系の目標伝達関数
ρ :パラメータ
C(ρ):制御器の伝達関数
【請求項15】
前記参照信号生成機能は、前記更新前参照信号から次の式(19)及び式(20)で表される前記更新後参照信号を生成する機能である、
請求項13又は請求項14に記載の参照信号生成プログラム。
【数19】
【数20】
r :更新前参照信号
ρ
0 :更新前のパラメータ
C(ρ
0):実装済制御器の伝達関数
ρ
* :更新後のパラメータ
C(ρ
*):仮想制御器の伝達関数
G :制御対象の伝達関数
r
* :更新後参照信号
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ装置、フィルタプログラム、フィルタ設計プログラム、参照信号生成装置及び参照信号生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工場等において制御器を使用してモータ等の制御対象を制御する技術が多用されている。ところが、制御対象に入力される入力信号が変化していなくても経年変化等により制御対象から出力される出力信号が変化してしまうことがある。このような場合でも制御対象に所望の出力信号を出力させるための手段として、制御器の変更、例えば、制御器自体の交換、制御器のパラメータの更新が挙げられる。特許文献1には、制御出力と目標値との偏差に基づき、可変パラメータを有する伝達関数に従う制御入力を算出し、この制御入力に基づき制御対象を制御する制御装置における可変パラメータの設定値を更新するパラメータ更新装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
しかし、上述したパラメータ更新装置は、最適なパラメータに更新することができず、制御器及び制御対象を含むシステムを不安定化させてしまうことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、制御器を変更すること無く、制御対象に所望の出力信号を出力させることができるフィルタ装置、フィルタプログラム、フィルタ設計プログラム、参照信号生成装置及び参照信号生成プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、制御対象に入力される入力信号を取得し、前記入力信号の入力に応じて前記制御対象から出力される出力信号を取得する入出力信号取得部と、前記制御対象を制御している実装済制御器の伝達関数のパラメータを前記入力信号及び前記出力信号に基づくデータ駆動制御により更新して仮想制御器の伝達関数を演算する伝達関数演算部と、前記制御対象の伝達関数、前記実装済制御器の伝達関数及び前記仮想制御器の伝達関数を使用して前記制御対象及び前記実装済制御器を含む閉ループ系に入力される更新前参照信号を前記制御対象に目標出力信号又は前記出力信号よりも前記目標出力信号に近似している近似目標出力信号を出力させる更新後参照信号に変換する参照信号変換部と、を備えるフィルタ装置である。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記のフィルタ装置において、前記伝達関数演算部が、次の式(1)及び式(2)で表される評価関数を使用して前記実装済制御器の伝達関数のパラメータを更新することにより前記仮想制御器の伝達関数を演算する。
【0008】
【0009】
【数2】
J :評価関数
u
0 :入力信号
y
0 :出力信号
T
d :閉ループ系の目標伝達関数
ρ :パラメータ
C(ρ):制御器の伝達関数
【0010】
また、本発明の一態様は、上記のフィルタ装置において、前記参照信号変換部が、前記更新前参照信号を次の式(3)及び式(4)で表される前記更新後参照信号に変換する。
【0011】
【0012】
【数4】
r :更新前参照信号
ρ
0 :更新前のパラメータ
C(ρ
0):実装済制御器の伝達関数
ρ
* :更新後のパラメータ
C(ρ
*):仮想制御器の伝達関数
G :制御対象の伝達関数
r
* :更新後参照信号
【0013】
本発明の一態様は、コンピュータに、制御対象に入力される入力信号を取得し、前記入力信号の入力に応じて前記制御対象から出力される出力信号を取得する入出力信号取得機能と、前記制御対象を制御している実装済制御器の伝達関数のパラメータを前記入力信号及び前記出力信号に基づくデータ駆動制御により更新して仮想制御器の伝達関数を演算する伝達関数演算機能と、前記制御対象の伝達関数、前記実装済制御器の伝達関数及び前記仮想制御器の伝達関数を使用して前記制御対象及び前記実装済制御器を含む閉ループ系に入力される更新前参照信号を前記制御対象に目標出力信号又は前記出力信号よりも前記目標出力信号に近似している近似目標出力信号を出力させる更新後参照信号に変換する参照信号変換機能と、を実現させるためのフィルタプログラムである。
【0014】
また、本発明の一態様は、上記のフィルタプログラムにおいて、伝達関数演算機能が、次の式(5)及び式(6)で表される評価関数を使用して前記実装済制御器の伝達関数のパラメータを更新して前記仮想制御器の伝達関数を演算する機能である。
【0015】
【0016】
【数6】
J :評価関数
u
0 :入力信号
y
0 :出力信号
T
d :閉ループ系の目標伝達関数
ρ :パラメータ
C(ρ):制御器の伝達関数
【0017】
また、本発明の一態様は、上記のフィルタプログラムにおいて、前記参照信号変換機能が、前記更新前参照信号を次の式(7)及び式(8)で表される前記更新後参照信号に変換する機能である。
【0018】
【0019】
【数8】
r :更新前参照信号
ρ
0 :更新前のパラメータ
C(ρ
0):実装済制御器の伝達関数
ρ
* :更新後のパラメータ
C(ρ
*):仮想制御器の伝達関数
G :制御対象の伝達関数
r
* :更新後参照信号
【0020】
本発明の一態様は、コンピュータに、制御対象に入力される入力信号を取得し、前記入力信号の入力に応じて前記制御対象から出力される出力信号を取得する入出力信号取得機能と、前記制御対象を制御している実装済制御器の伝達関数のパラメータを前記入力信号及び前記出力信号に基づくデータ駆動制御により更新して仮想制御器の伝達関数を演算する伝達関数演算機能と、前記制御対象の伝達関数、前記実装済制御器の伝達関数及び前記仮想制御器の伝達関数を使用して前記制御対象及び前記実装済制御器を含む閉ループ系に入力される更新前参照信号を前記制御対象に目標出力信号又は前記出力信号よりも前記目標出力信号に近似している近似目標出力信号を出力させる更新後参照信号に変換するフィルタを設計するフィルタ設計機能と、を実現させるためのフィルタ設計プログラムである。
【0021】
また、本発明の一態様は、上記のフィルタ設計プログラムにおいて、前記伝達関数演算機能が、次の式(9)及び式(10)で表される評価関数を使用して前記実装済制御器の伝達関数のパラメータを更新することにより前記仮想制御器の伝達関数を演算する機能である。
【0022】
【0023】
【数10】
J :評価関数
u
0 :入力信号
y
0 :出力信号
T
d :閉ループ系の目標伝達関数
ρ :パラメータ
C(ρ):制御器の伝達関数
【0024】
また、本発明の一態様は、上記のフィルタ設計プログラムにおいて、前記フィルタ設計機能が、前記更新前参照信号を次の式(11)及び式(12)で表される前記更新後参照信号に変換するフィルタを設計する機能である。
【0025】
【0026】
【数12】
r :更新前参照信号
ρ
0 :更新前のパラメータ
C(ρ
0):実装済制御器の伝達関数
ρ
* :更新後のパラメータ
C(ρ
*):仮想制御器の伝達関数
G :制御対象の伝達関数
r
* :更新後参照信号
【0027】
本発明の一態様は、制御対象に入力される入力信号を取得し、前記入力信号の入力に応じて前記制御対象から出力される出力信号を取得する入出力信号取得部と、前記制御対象を制御している実装済制御器の伝達関数のパラメータを前記入力信号及び前記出力信号に基づくデータ駆動制御により更新して仮想制御器の伝達関数を演算する伝達関数演算部と、前記制御対象の伝達関数、前記実装済制御器の伝達関数及び前記仮想制御器の伝達関数を使用して前記制御対象及び前記実装済制御器を含む閉ループ系に入力される更新前参照信号から前記制御対象に目標出力信号又は前記出力信号よりも前記目標出力信号に近似している近似目標出力信号を出力させる更新後参照信号を生成する参照信号生成部と、を備える参照信号生成装置である。
【0028】
また、本発明の一態様は、上記の参照信号生成装置において、前記伝達関数演算部が、次の式(13)及び式(14)で表される評価関数を使用して前記実装済制御器の伝達関数のパラメータを更新することにより前記仮想制御器の伝達関数を演算する。
【0029】
【0030】
【数14】
J :評価関数
u
0 :入力信号
y
0 :出力信号
T
d :閉ループ系の目標伝達関数
ρ :パラメータ
C(ρ):制御器の伝達関数
【0031】
また、本発明の一態様は、上記の参照信号生成装置において、前記参照信号生成部が、前記更新前参照信号から次の式(15)及び式(16)で表される前記更新後参照信号を生成する。
【0032】
【0033】
【数16】
r :更新前参照信号
ρ
0 :更新前のパラメータ
C(ρ
0):実装済制御器の伝達関数
ρ
* :更新後のパラメータ
C(ρ
*):仮想制御器の伝達関数
G :制御対象の伝達関数
r
* :更新後参照信号
【0034】
本発明の一態様は、コンピュータに、制御対象に入力される入力信号を取得し、前記入力信号の入力に応じて前記制御対象から出力される出力信号を取得する入出力信号取得機能と、前記制御対象を制御している実装済制御器の伝達関数のパラメータを前記入力信号及び前記出力信号に基づくデータ駆動制御により更新して仮想制御器の伝達関数を演算する伝達関数演算機能と、前記制御対象の伝達関数、前記実装済制御器の伝達関数及び前記仮想制御器の伝達関数を使用して前記制御対象及び前記実装済制御器を含む閉ループ系に入力される更新前参照信号から前記制御対象に目標出力信号又は前記出力信号よりも前記目標出力信号に近似している近似目標出力信号を出力させる更新後参照信号を生成する参照信号生成機能と、を実現させるための参照信号生成プログラムである。
【0035】
また、本発明の一態様は、上記の参照信号生成プログラムにおいて、前記伝達関数演算機能が、次の式(17)及び式(18)で表される評価関数を使用して前記実装済制御器の伝達関数のパラメータを更新することにより前記仮想制御器の伝達関数を演算する機能である。
【0036】
【0037】
【数18】
J :評価関数
u
0 :入力信号
y
0 :出力信号
T
d :閉ループ系の目標伝達関数
ρ :パラメータ
C(ρ):制御器の伝達関数
【0038】
また、本発明の一態様は、上記の参照信号生成プログラムにおいて、前記参照信号生成機能が、前記更新前参照信号から次の式(19)及び式(20)で表される前記更新後参照信号を生成する機能である。
【0039】
【0040】
【数20】
r :更新前参照信号
ρ
0 :更新前のパラメータ
C(ρ
0):実装済制御器の伝達関数
ρ
* :更新後のパラメータ
C(ρ
*):仮想制御器の伝達関数
G :制御対象の伝達関数
r
* :更新後参照信号
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、制御器を変更すること無く、制御対象に所望の出力信号を出力させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明の実施形態に係る閉ループ系及びフィルタ装置の機能的な構成の一例を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る閉ループ系のブロック線図の一例を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る閉ループ系における目標伝達関数と、制御器の伝達関数と、制御対象の伝達関数との関係を説明するための図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る閉ループ系及びこれに付加されたフィルタのブロック線図の一例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る数値シミュレーションにおける更新前参照信号及び更新後参照信号の一例を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る数値シミュレーションにおける出力信号、目標出力信号及び近似目標出力信号の一例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る実機検証における更新前参照信号及び更新後参照信号の一例を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る実機検証における出力信号、目標出力信号及び近似目標出力信号の一例を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る目標出力信号、近似目標出力信号及びパラメータが更新された制御器により出力された出力信号の一例を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る閉ループ系及びフィルタ設計装置の機能的な構成の一例を示す図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る閉ループ系及び参照信号生成装置の機能的な構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1から
図4を参照しながら、実施形態に係る制御器更新装置の構成の一例を説明する。
【0044】
図1は、本発明の実施形態に係る閉ループ系及びフィルタ装置の機能的な構成の一例を示す図である。
図1に示すように、フィルタ装置10は、入出力信号取得部11と、伝達関数演算部12と、参照信号変換部13とを備える。フィルタ装置10は、閉ループ系100に含まれる制御器110を変更せず、閉ループ系100に入力される更新前参照信号rを更新後参照信号r
*に変換することにより、閉ループ系100に含まれる制御対象120に所望の出力信号である目標出力信号y
*又は近似目標出力信号を出力させる。以下、フィルタ装置10について更に具体的に説明する。
【0045】
図2は、本発明の実施形態に係る閉ループ系のブロック線図の一例を示す図である。
図2に示すように、閉ループ系100は、制御器110と、制御対象120とを備える。制御器110は、制御対象120を制御する機器、例えば、PID制御器である。また、制御器110は、原点極を持つことが許されており、閉ループ系100により出力される出力信号を安定化させる制御器である。制御対象120は、例えば、モータである。また、制御対象120は、一入力一出力であり、伝達関数の構造が未知である。
【0046】
入出力信号取得部11は、
図1及び
図2に示した入力信号u
0及び出力信号y
0を取得する。入力信号u
0は、閉ループ系100に更新前参照信号rが入力されている場合に制御器110が制御対象120に入力する信号である。出力信号y
0は、入力信号u
0の入力に応じて制御対象120から出力される信号である。
【0047】
伝達関数演算部12は、制御対象120を制御している実装済制御器の伝達関数のパラメータを入力信号u0及び出力信号y0に基づくデータ駆動制御により更新して仮想制御器の伝達関数を演算する。データ駆動制御は、制御対象120の動作に関するデータを直接活用して制御器110の設計や更新を行う手法である。また、データ駆動制御としては、例えば、FRIT(Fictitious Reference Iterative Tuning)、ERIT(Estimated Response Iterative Tuning)、VRFT(Virtual Reference Feedback Tuning)、VIMT(Virtual Internal Model Tuning)、IFT(Iterative Feedback Tuning)、CbT(Correlation based Tuning)が挙げられる。以下の説明では、データ駆動制御がFRITである場合を例に挙げる。
【0048】
実装済制御器は、閉ループ系100に更新前参照信号rが入力されている場合に制御対象120を制御している制御器110であり、パラメータが更新前のパラメータρ0となっている。仮想制御器は、閉ループ系100が目標出力信号y*を出力すると仮定した場合に制御対象120を制御している制御器110であり、パラメータが更新後のパラメータρ*となっている。
【0049】
図3は、本発明の実施形態に係る閉ループ系における目標伝達関数と、制御器の伝達関数と、制御対象の伝達関数との関係を説明するための図である。
【0050】
伝達関数演算部12は、閉ループ系100の目標伝達関数Tdを含む式(21)及び制御器110の伝達関数C(ρ)を含む式(22)で表される評価関数Jを使用して実装済制御器の伝達関数C(ρ0)のパラメータρ0を更新することにより仮想制御器の伝達関数C(ρ*)を演算する。パラメータρ0は、更新前参照信号rが入力されている場合における制御器110のパラメータρである。パラメータρ*は、閉ループ系100が目標出力信号y*を出力している場合における制御器110のパラメータρである。
【0051】
具体的には、伝達関数演算部12は、式(21)及び式(22)を使用して、出力信号y
0と、擬似的に式(22)で算出した擬似参照信号r(
~)を目標伝達関数T
dに印加した信号との差分が最小となるようなパラメータρ
*を探索する。なお、本明細書中に示す「r(
~)」の「(
~)」は、本来は、
図3並びに式(21)及び式(22)に示すように「~」が「r」の上に付加されるものであるが、本明細書では記載上の制約から「r(
~)」と記載する。
図3の上下のブロックの出力が等しくなるように、
y
0=T(ρ
*)r(
~)(ρ
*)=T
dr(
~)(ρ
*)
とし、T(ρ
*)≒T
dとみなすと、T(ρ
*)は、制御対象Gと制御器C(ρ
*)からなる閉ループ系であるから、C(ρ
*)を実装し、本来の参照信号rを印加することで、
y(ρ
*)=GC(ρ
*)/(1+GC(ρ
*))r≒T
dr
となり、ρ
*を用いた閉ループ系の応答y(ρ
*)が所望の応答T
drとなる。
よって、仮想制御器の伝達関数C(ρ
*)は、パラメータρ
*により与えられる。また、目標伝達関数T
dと、仮想制御器の伝達関数C(ρ
*)と、制御対象120の伝達関数Gとの関係は、
図3に示すような関係となり、数式で表現すると、後述する式(24)のような関係となる。
【0052】
【0053】
【0054】
参照信号変換部13は、制御対象120の伝達関数G、実装済制御器の伝達関数C(ρ0)及び仮想制御器の伝達関数C(ρ*)を使用して更新前参照信号rを更新後参照信号r*に変換する。更新前参照信号rは、制御対象120及び実装済制御器を含む閉ループ系100に入力される参照信号である。更新後参照信号r*は、制御対象120に目標出力信号y*又は出力信号よりも目標出力信号y*に近似している近似目標出力信号を出力させる参照信号である。
【0055】
例えば、参照信号変換部13は、更新前参照信号rを次の式(23)で表される更新後参照信号r*に変換する。次に式(23)を導出する手順を説明する。
【0056】
【0057】
閉ループ系100の目標伝達関数Tdは、次の式(24)で表される。式(24)は、式(21)で表される評価関数Jが最小となる場合に成立する。また、この場合、パラメータρは、パラメータρ*に等しい。
【0058】
【0059】
また、目標出力信号y*は、閉ループ系100の目標伝達関数Td及び更新前参照信号rを使用して次の式(25)で表される。
【0060】
【0061】
さらに、更新前参照信号r、閉ループ系100が出力する出力信号y及びこの場合における閉ループ系100の伝達関数T(ρ0)の間には、次の式(26)が成立する。
【0062】
【0063】
また、目標出力信号y*は、上述した閉ループ系100の伝達関数T(ρ0)及び更新後参照信号r*を使用して次の式(27)で表される。
【0064】
【0065】
式(25)と式(26)との左辺同士及び右辺同士の差分を取ると次の式(28)のようになる。
【0066】
【0067】
ここで、式(25)、式(26)及び式(27)の関係を使用すると、式(28)は、次の式(29)のように変形することができる。
【0068】
【0069】
この式(29)の左辺の更新前参照信号rを右辺に移項し、上述した式(24)を使用すると、上述した式(23)が導出される。
【0070】
図4は、本発明の実施形態に係る閉ループ系及びこれに付加されたフィルタのブロック線図の一例を示す図である。
図4に示すように、フィルタ装置10は、閉ループ系100の前段に設けられ、式(23)を使用して更新前参照信号rを更新後参照信号r
*に変換し、閉ループ系100に更新後参照信号r
*を入力する。
【0071】
次に、
図5及び
図6を参照しながら、フィルタ装置10の数値シミュレーションについて説明する。
図5は、本発明の実施形態に係る数値シミュレーションにおける更新前参照信号及び更新後参照信号の一例を示す図である。
図6は、本発明の実施形態に係る数値シミュレーションにおける出力信号、目標出力信号及び近似目標出力信号の一例を示す図である。
【0072】
当該数値シミュレーションでは、制御対象120の伝達関数G、制御器110の伝達関数C(ρ0)、制御器110の更新前ゲイン及び閉ループ系100の目標伝達関数Tdがそれぞれ次の式(30)、式(31)、式(32)及び式(33)で表される。これら四つの式は、いずれもラプラス演算子sを含んでいる。また、当該数値シミュレーションでは、制御器110がPID制御器である場合を仮定している。
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
閉ループ系100は、
図5に示された単位ステップ信号である更新前参照信号BR1が入力された場合、
図6に示された出力信号BP1を出力する。一方、閉ループ系100は、
図5に示された更新後参照信号AR1が入力された場合、
図6に示された近似目標出力信号AP1を出力する。
図6に示すように、近似目標出力信号AP1は、出力信号BP1よりも目標出力信号TP1に近い振る舞いを示している。また、この場合における制御器110の更新後ゲインは、次の式(34)で表される。
【0078】
【0079】
なお、閉ループ系100は、
図5に示された更新後参照信号AR1が入力された場合、近似目標出力信号AP1の代わりに目標出力信号TP1を出力してもよい。
【0080】
次に、
図7、
図8及び
図9を参照しながら、フィルタ装置10の実機検証について説明する。
図7は、本発明の実施形態に係る実機検証における更新前参照信号及び更新後参照信号の一例を示す図である。
図8は、本発明の実施形態に係る実機検証における出力信号、目標出力信号及び近似目標出力信号の一例を示す図である。
図9は、本発明の実施形態に係る目標出力信号、近似目標出力信号及びパラメータが更新された制御器により出力された出力信号の一例を示す図である。
【0081】
当該実機検証では、制御対象120がモータで駆動される台車であり、制御器110が当該台車の直線上における移動距離を制御する。また、閉ループ系100が出力する信号をサンプリングする周期が0.016秒としている。さらに、当該実機検証における制御対象120の伝達関数G、制御器110の更新前ゲイン及び更新前の評価関数の値は、それぞれ次の式(35)、式(36)及び式(37)で表される。式(35)は、ラプラス演算子sを含んでいる。
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
閉ループ系100は、
図7に示された立ち上がり幅0.2のステップ信号である更新前参照信号BR2が入力された場合、
図8に示された出力信号BP2を出力する。一方、閉ループ系100は、
図7に示された更新後参照信号AR2が入力された場合、
図8に示された近似目標出力信号AP2を出力する。
図8に示すように近似目標出力信号AP2は、出力信号BP2よりも目標出力信号TP2に近い振る舞いを示している。また、当該実機検証における制御器110の更新後ゲイン及び更新後の評価関数の値は、それぞれ次の式(38)及び式(39)で表される。
【0086】
【0087】
【0088】
また、
図9に示すように、近似目標出力信号AP2は、制御器110のパラメータが更新された場合における出力信号Uと同程度に目標出力信号TP2に追従している。
【0089】
なお、閉ループ系100は、
図7に示された更新後参照信号AR2が入力された場合、近似目標出力信号AP2の代わりに目標出力信号TP2を出力してもよい。
【0090】
以上、実施形態に係るフィルタ装置10について説明した。フィルタ装置10は、制御対象120を制御している実装済制御器の伝達関数のパラメータを入力信号及び出力信号に基づくデータ駆動制御、例えば、FRITにより更新して仮想制御器の伝達関数を演算する。そして、フィルタ装置10は、制御対象120の伝達関数、実装済制御器の伝達関数及び仮想制御器の伝達関数を使用して制御対象120及び実装済制御器を含む閉ループ系に入力される更新前参照信号を制御対象120に目標出力信号又は出力信号よりも目標出力信号に近似している近似目標出力信号を出力させる更新後参照信号に変換する。
【0091】
したがって、フィルタ装置10は、制御器110の変更、例えば、制御器110自体の交換、制御器110のパラメータの更新を避けつつ、制御対象120に所望の出力信号である目標出力信号又は近似目標出力信号を出力させることができる。また、これにより、フィルタ装置10は、制御器110の変更が適切に実行されなかった場合に制御器110及び制御器110を含む閉ループ系100を不安定化させてしまうことを回避することができる。
【0092】
なお、上述した実施形態では、閉ループ系100の前段にフィルタ装置10が設けられる場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。
【0093】
例えば、
図10に示したフィルタ設計装置20が設計したフィルタFが閉ループ系100の前段に設けられてもよい。
図10は、本発明の実施形態に係る閉ループ系及びフィルタ設計装置の機能的な構成の一例を示す図である。
図10に示すように、フィルタ設計装置20は、入出力信号取得部21と、伝達関数演算部22と、フィルタ設計部23とを備える。入出力信号取得部21及び伝達関数演算部22は、それぞれ上述した入出力信号取得部11及び伝達関数演算部12と同様である。
【0094】
フィルタ設計部23は、上述した制御対象120の伝達関数G、実装済制御器の伝達関数C(ρ0)及び仮想制御器の伝達関数C(ρ*)を使用して更新前参照信号rを更新後参照信号r*に変換するフィルタFを設計する。フィルタFは、上述した式(23)により更新前参照信号rを更新後参照信号r*に変換するフィルタである。
【0095】
フィルタ設計装置20は、上述したフィルタ装置10と同様の効果を奏するフィルタFを複数の閉ループ系に提供することができる。
【0096】
或いは、閉ループ系100の前段に上述したフィルタ装置10又はフィルタFを設ける代わりに、
図11に示した参照信号生成装置30が上述した更新後参照信号r
*を生成し、当該更新後参照信号r
*が閉ループ系100に入力されてもよい。
図11に示すように、参照信号生成装置30は、当該更新後参照信号r
*を生成する装置であり、閉ループ系100から独立している。参照信号生成装置30は、入出力信号取得部31と、伝達関数演算部32と、参照信号生成部33とを備える。入出力信号取得部31及び伝達関数演算部32は、それぞれ上述した入出力信号取得部11及び伝達関数演算部12と同様である。
【0097】
参照信号生成部33は、上述した制御対象120の伝達関数G、実装済制御器の伝達関数C(ρ0)及び仮想制御器の伝達関数C(ρ*)を使用して更新前参照信号rから更新後参照信号r*を生成する。参照信号生成部33が更新後参照信号r*を生成する手順は、上述したフィルタ装置10が更新前参照信号rを更新後参照信号r*に変換する手順と同様である。
【0098】
参照信号生成装置30は、閉ループ系100から独立した装置であるため、上述したフィルタ装置10と同様の効果に加え、閉ループ系100のハードウェア設計の自由度を高めることができる。
【0099】
なお、上述したフィルタ装置10、フィルタ設計装置20及び参照信号生成装置30の各機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録させ、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませて実行することにより、上述した処理の少なくとも一部を実行してもよい。
【0100】
ここで言うコンピュータシステムとは、オペレーティング・システム(Operating System:OS)及び周辺機器等のハードウェアの少なくとも一つを含む。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えば、フロッピーディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置、ネットワーク又は通信回線を介してプログラムが送信される場合におけるサーバ又はクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように一定時間プログラムを保持しているものも含む。
【0101】
また、上述したプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、又は、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する伝送媒体とは、インターネット等のネットワーク又は電話回線等の通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0102】
また、上述したプログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分プログラムであってもよい。上述したプログラムは、例えば、コンピュータが備えるCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサにより読み出されて実行される。
【0103】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、置換及び設計変更の少なくとも一つを加えることができる。上述した各実施形態に記載の構成を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0104】
10…フィルタ装置、11…入出力信号取得部、12…伝達関数演算部、13…参照信号変換部、14…フィルタ、20…フィルタ設計装置、21…入出力信号取得部、22…伝達関数演算部、23…フィルタ設計部、30…参照信号生成装置、31…入出力信号取得部、32…伝達関数演算部、33…参照信号生成部、100…閉ループ系、110…制御器、120…制御対象、AP1,AP2…近似目標出力信号、BP1,BP2…出力信号、AR1,AR2…更新後参照信号、BR1,BR2…更新前参照信号、TP1,TP2…目標出力信号