(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-29
(45)【発行日】2023-04-06
(54)【発明の名称】医療廃棄物管理システム、および、医療廃棄物の管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/30 20230101AFI20230330BHJP
【FI】
G06Q10/30
(21)【出願番号】P 2022165891
(22)【出願日】2022-10-14
【審査請求日】2022-10-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522175037
【氏名又は名称】株式会社M-aid
(74)【代理人】
【識別番号】100167276
【氏名又は名称】渡邉 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】木下 水信
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特許第7045119(JP,B1)
【文献】特開2016-024567(JP,A)
【文献】特開2006-318440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療廃棄物管理システムであって、
医療廃棄物を排出する排出事業者において前記医療廃棄物が密閉状態で収容され、前記医療廃棄物が収容された後には開放できないように構成され、かつ、前記医療廃棄物を廃棄する廃棄事業者において前記医療廃棄物を収容したまま廃棄可能に構成されている密閉容器と、
前記密閉容器の外表面に表示された、光学的に読み取り可能な符号として構成され、前記密閉容器に収容される前記医療廃棄物に関する廃棄物情報が記録された情報記録部と、
前記符号を光学的に読み取って前記廃棄物情報を取得すると、少なくとも、前記廃棄物情報と、前記符号の読み取りを行った事業者を特定するための事業者情報と、を含む管理用通知を、ネットワークを通じて送信する読取装置と、
前記ネットワークを通じて受信した前記管理用通知を用いて、前記医療廃棄物の回収と廃棄とを管理する管理処理を実行する管理サーバと、
を備え、
前記管理サーバは、前記排出事業者からの前記管理用通知を、前記排出事業者からの前記医療廃棄物の回収依頼として受け付け、前記管理用通知から前記管理処理に用いる管理情報を取得して記録し、前記管理情報に基づいて、前記医療廃棄物の回収事業者に前記密閉容器の回収を指示し、
前記管理サーバは、前記管理情報から導出される、前記排出事業者からの前記回収依頼の頻度と前記回収依頼ごとの前記医療廃棄物の回収量とに基づいて、未使用の前記密閉容器を前記排出事業者に納入する個数と時期とを決定する、医療廃棄物管理システム。
【請求項2】
医療廃棄物管理システムであって、
医療廃棄物を排出する排出事業者において前記医療廃棄物が密閉状態で収容され、前記医療廃棄物が収容された後には開放できないように構成され、かつ、前記医療廃棄物を廃棄する廃棄事業者において前記医療廃棄物を収容したまま廃棄可能に構成されている密閉容器と、
前記密閉容器に設けられ、前記密閉容器に収容される前記医療廃棄物に関する廃棄物情報が記録され、所定の電磁波が照射されたときに、前記廃棄物情報を表す信号を発信する回路を有する情報記録部と、
前記情報記録部に対して前記電磁波を照射することによって、前記情報
記録部から発信される前記信号を受信して前記廃棄物情報を取得し、前記廃棄物情報を取得すると、自動的に、少なくとも、前記廃棄物情報と、前記情報
記録部からの前記廃棄物情報の取
得を行った事業者を特定するための事業者情報と、を含む管理用通知を、ネットワークを通じて送信する読取装置と、
前記ネットワークを通じて受信した前記管理用通知を用いて、前記医療廃棄物の回収と廃棄とを管理する管理処理を実行する管理サーバと、
を備え、
前記管理サーバは、前記排出事業者からの前記管理用通知を、前記排出事業者からの前記医療廃棄物の回収依頼として受け付け、前記管理用通知から前記管理処理に用いる管理情報を取得して記録し、前記管理情報に基づいて、前記医療廃棄物の回収事業者に前記密閉容器の回収を指示する、医療廃棄物管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の医療廃棄物管理システムであって、
前記排出事業者と、前記回収事業者と、前記廃棄事業者とはそれぞれ、前記読取装置を備えており、
前記管理サーバは、前記回収事業者に前記密閉容器の回収を依頼した後に、前記回収事業者の前記読取装置から前記管理用通知を受信したときに、前記回収事業者によって前記密閉容器が回収されたことを記録し、その後、前記廃棄事業者の前記読取装置から前記管理用通知を受信したときに、前記医療廃棄物の廃棄の完了を記録する、医療廃棄物管理システム。
【請求項4】
請求項3記載の医療廃棄物管理システムであって、
前記管理サーバは、前記廃棄事業者の前記読取装置から前記管理用通知を受信した後に、前記医療廃棄物の回収依頼元である前記排出事業者の予め登録されている連絡先に対して、前記医療廃棄物の廃棄完了を、前記ネットワークを通じて通知する、医療廃棄物管理システム。
【請求項5】
請求項3記載の医療廃棄物管理システムであって、
前記管理サーバは、前記排出事業者と前記回収事業者と前記廃棄事業者のそれぞれの前記読取装置からの前記管理用通知から取得した前記管理情報に基づいて、前記医療廃棄物のマニフェストの作成に利用可能な情報を生成する、医療廃棄物管理システム。
【請求項6】
請求項2記載の医療廃棄物管理システムであって、
前記管理サーバは、前記管理情報から導出される、前記排出事業者からの前記回収依頼の頻度と前記回収依頼ごとの前記医療廃棄物の回収量とに基づいて、未使用の前記密閉容器を前記排出事業者に納入する個数と時期とを決定する、医療廃棄物管理システム。
【請求項7】
請求項2から請求項6のいずれか一項に記載の医療廃棄物管理システムであって、
前記管理サーバは、複数の前記排出事業者から受け付けた回収依頼に関する情報を、前記排出事業者ごとに、予め準備された地図データ上での前記排出事業者の位置情報に紐づけて前記管理情報として記録する、医療廃棄物管理システム。
【請求項8】
請求項7記載の医療廃棄物管理システムであって、
前記管理サーバは、前記位置情報に紐づけられて記録された前記管理情報に基づいて、前記医療廃棄物の回収時期と回収ルートとを決定し、前記回収事業者に指示する、医療廃棄物管理システム。
【請求項9】
医療廃棄物の回収と廃棄とを管理する方法であって、
前記医療廃棄物が収容された後には開放できないように構成され、かつ、前記医療廃棄物を廃棄する廃棄事業者において前記医療廃棄物を収容したまま廃棄可能に構成されている密閉容器に、前記医療廃棄物を排出する排出事業者において、前記医療廃棄物が密閉状態で収容される工程と、
読取装置が、前記密閉容器に設けられ、前記密閉容器に収容される前記医療廃棄物に関する廃棄物情報が記録され、所定の電磁波が照射されたときに、前記廃棄物情報を表す信号を発信する回路を有する情報記録部に対して、前記電磁波を照射して、前記情報
記録部から発信される前記信号を受信することによって前記廃棄物情報を取得し、前記廃棄物情報を取得すると、自動的に、少なくとも、前記廃棄物情報と、前記排出事業者を特定するための識別情報と、を含む管理用通知を、管理サーバにネットワークを通じて送信する工程と、
前記管理サーバが、前記排出事業者から前記管理用通知を受信したときに、前記医療廃棄物の回収依頼として受け付け、前記管理用通知から取得される管理情報を記録し、前記管理情報に基づいて、前記医療廃棄物の回収事業者に前記密閉容器の回収を指示する工程と、
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、医療廃棄物管理システム、および、医療廃棄物の管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療廃棄物や産業廃棄物などの廃棄物の回収および廃棄の管理を効率化する技術について、様々な技術が提案されている。例えば、下記の特許文献1では、センサを用いて廃棄物の堆積量を検出し、その堆積量に基づいて回収対象となる排出事業者を選定し、廃棄物の回収ルートを決定する廃棄物回収支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、廃棄物のうちでも、医療廃棄物については、その排出事業者に対して、感染予防や環境保護等のために、その回収から廃棄までを、公的機関により定められたマニフェストに従って、厳密に管理されることが求められている。このような医療廃棄物の管理は、例えば、感染症の流行などによって、排出事業者やその関係事業者の負担が大きくなるような状況下においても、変わらずに徹底されるべきものである。そのため、医療廃棄物の回収から廃棄までの管理については、そのような事業者の負担を少しでも軽減できるよう、より容易、かつ、効率的に行えるよう、さらなる改良が施されることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の技術は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
[第1形態]本開示の技術の第1形態は、医療廃棄物管理システムとして提供される。第1形態の医療廃棄物管理システムは、医療廃棄物を排出する排出事業者において前記医療廃棄物が密閉状態で収容され、前記医療廃棄物が収容された後には開放できないように構成され、かつ、前記医療廃棄物を廃棄する廃棄事業者において前記医療廃棄物を収容したまま廃棄可能に構成されている密閉容器と、前記密閉容器の外表面に表示された、光学的に読み取り可能な符号として構成され、前記密閉容器に収容される前記医療廃棄物に関する廃棄物情報が記録された情報記録部と、前記符号を光学的に読み取って前記廃棄物情報を取得すると、少なくとも、前記廃棄物情報と、前記符号の読み取りを行った事業者を特定するための事業者情報と、を含む管理用通知を、ネットワークを通じて送信する読取装置と、前記ネットワークを通じて受信した前記管理用通知を用いて、前記医療廃棄物の回収と廃棄とを管理する管理処理を実行する管理サーバと、を備える。前記管理サーバは、前記排出事業者からの前記管理用通知を、前記排出事業者からの前記医療廃棄物の回収依頼として受け付け、前記管理用通知から前記管理処理に用いる管理情報を取得して記録し、前記管理情報に基づいて、前記医療廃棄物の回収事業者に前記密閉容器の回収を指示する。前記管理サーバは、前記管理情報から導出される、前記排出事業者からの前記回収依頼の頻度と前記回収依頼ごとの前記医療廃棄物の回収量とに基づいて、未使用の前記密閉容器を前記排出事業者に納入する個数と時期とを決定する。
第1形態の医療廃棄物管理システムによれば、排出事業者において、読取装置を用いて、回収対象である医療廃棄物を収容した密閉容器に表示された符号を光学的に読み取ることにより、管理サーバを仲介して、回収事業者に自動的に回収依頼がされる。よって、排出事業者による医療廃棄物の回収依頼の手続きを簡易化できる。また、読取装置による符号の光学的な読み取りによって、管理サーバが医療廃棄物の管理に用いることができる管理情報を取得できるため、管理サーバでの医療廃棄物の管理を容易化することができる。さらに、回収対象となる医療廃棄物を密閉容器に密閉した状態で回収し、運搬することができ、そのまま廃棄してしまうこともできるため、医療廃棄物を介した感染等の弊害の発生を抑制することができる。また、第1形態の医療廃棄物管理システムによれば、未使用の密閉容器が排出事業者に納入される時期や個数を管理サーバによって管理できるため、排出事業者において、密閉容器が不足することや、密閉容器の在庫が過剰になることを抑制することができる。このように、第1実施形態の医療廃棄物管理システムによれば、排出事業者を始めとする関係事業者による医療廃棄物の管理の負担を大きく軽減することができる。
【0007】
[第2形態]本開示の技術の第2形態は、医療廃棄物管理システムとして提供される。第2形態の医療廃棄物管理システムは、医療廃棄物を排出する排出事業者において前記医療廃棄物が密閉状態で収容され、前記医療廃棄物が収容された後には開放できないように構成され、かつ、前記医療廃棄物を廃棄する廃棄事業者において前記医療廃棄物を収容したまま廃棄可能に構成されている密閉容器と、前記密閉容器に設けられ、前記密閉容器に収容される前記医療廃棄物に関する廃棄物情報が記録され、所定の電磁波が照射されたときに、前記廃棄物情報を表す信号を発信する回路を有する情報記録部と、前記情報記録部に対して前記電磁波を照射することによって、前記情報記録部から発信される前記信号を受信して前記廃棄物情報を取得し、前記廃棄物情報を取得すると、自動的に、少なくとも、前記廃棄物情報と、前記情報記録部からの前記廃棄物情報の取得を行った事業者を特定するための事業者情報と、を含む管理用通知を、ネットワークを通じて送信する読取装置と、前記ネットワークを通じて受信した前記管理用通知を用いて、前記医療廃棄物の回収と廃棄とを管理する管理処理を実行する管理サーバと、を備える。前記管理サーバは、前記排出事業者からの前記管理用通知を、前記排出事業者からの前記医療廃棄物の回収依頼として受け付け、前記管理用通知から前記管理処理に用いる管理情報を取得して記録し、前記管理情報に基づいて、前記医療廃棄物の回収事業者に前記密閉容器の回収を指示する。
第2形態の医療廃棄物管理システムによれば、排出事業者において、読取装置を用いて、回収対象である医療廃棄物を収容した密閉容器に電磁波を照射するだけで、管理サーバを仲介して、回収事業者に自動的に回収依頼がされる。よって、排出事業者による医療廃棄物の回収依頼の手続きを簡易化できる。また、読取装置を用いた情報記録部からの廃棄物情報の取得によって、管理サーバが医療廃棄物の管理に用いることができる管理情報を取得できるため、管理サーバでの医療廃棄物の管理を容易化することができる。さらに、回収対象となる医療廃棄物を密閉容器に密閉した状態で回収し、運搬することができ、そのまま廃棄してしまうこともできるため、医療廃棄物を介した感染等の弊害の発生を抑制することができる。このように、第2形態の医療廃棄物管理システムによれば、医療廃棄物の管理の負担を大きく軽減することができる。
【0008】
[第3形態]上記第2形態の医療廃棄物管理システムにおいて、前記排出事業者と、前記回収事業者と、前記廃棄事業者とはそれぞれ、前記読取装置を備えており、前記管理サーバは、前記回収事業者に前記密閉容器の回収を依頼した後に、前記回収事業者の前記読取装置から前記管理用通知を受信したときに、前記回収事業者によって前記密閉容器が回収されたことを記録し、その後、前記廃棄事業者の前記読取装置から前記管理用通知を受信したときに、前記医療廃棄物の廃棄の完了を記録してよい。
第3形態の医療廃棄物管理システムによれば、読取装置による密閉容器に対する電磁波の照射により、排出事業者による医療廃棄物の回収依頼と、回収事業者による医療廃棄物の回収と、廃棄事業者による医療廃棄物の廃棄を管理サーバにおいて容易に管理できる。よって、医療廃棄物の回収から廃棄までの管理を、より効率的に行うことができ、関係事業者の負担をさらに軽減することができる。
【0009】
[第4形態]上記第3形態の医療廃棄物管理システムにおいて、前記管理サーバは、前記廃棄事業者の前記読取装置から前記管理用通知を受信した後に、前記医療廃棄物の回収依頼元である前記排出事業者の予め登録されている連絡先に対して、前記医療廃棄物の廃棄完了を、前記ネットワークを通じて通知してよい。
第4形態の医療廃棄物管理システムによれば、排出事業者は、回収依頼した医療廃棄物が廃棄事業者において廃棄処理されたことを、ネットワークを介した通知により、知ることができる。よって、排出事業者による医療廃棄物の管理を、より簡易化することができる。
【0010】
[第5形態]上記第3形態、または、上記第4形態の医療廃棄物管理システムにおいて、前記管理サーバは、前記排出事業者と前記回収事業者と前記廃棄事業者のそれぞれの前記読取装置からの前記管理用通知から取得した前記管理情報に基づいて、前記医療廃棄物のマニフェストの作成に利用可能な情報を生成してよい。
第5形態の医療廃棄物管理システムによれば、管理サーバに記録される管理情報を用いることにより、医療廃棄物のマニフェストを簡易に作成することが可能になる。よって、医療廃棄物の回収から廃棄までの管理を、より効率的に行うことができ、関係事業者の負担をさらに軽減することができる。
【0011】
[第6形態]上記第2形態、上記第3形態、上記第4形態、および、上記第5形態のうちのいずれか1つに記載の医療廃棄物管理システムにおいて、前記管理サーバは、前記管理情報から導出される、前記排出事業者からの前記回収依頼の頻度と前記回収依頼ごとの前記医療廃棄物の回収量とに基づいて、未使用の前記密閉容器を前記排出事業者に納入する個数と時期とを決定してよい。
第6形態の医療廃棄物管理システムによれば、排出事業者において、密閉容器が不足することや、密閉容器の在庫が過剰になることを抑制することができる。また、未使用の密閉容器の納入管理についての排出事業者の負担を軽減することができる。
【0012】
[第7形態]上記第2形態、上記第3形態、上記第4形態、上記第5形態、および、上記第6形態のうちのいずれか1つに記載の医療廃棄物管理システムにおいて、前記管理サーバは、複数の前記排出事業者から受け付けた回収依頼に関する情報を、前記排出事業者ごとに、予め準備された地図データ上での前記排出事業者の位置情報に紐づけて前記管理情報として記録してよい。
第7形態の医療廃棄物管理システムによれば、複数の排出事業者からの回収依頼に関する情報を、地図データ上で管理することができる。よって、複数の排出事業者からの医療廃棄物の回収計画を効率的に作成することが可能になる。
【0013】
[第8形態]上記の第7形態に記載の医療廃棄物管理システムにおいて、前記管理サーバは、前記位置情報に紐づけられて記録された前記管理情報に基づいて、前記医療廃棄物の回収時期と回収ルートとを決定し、前記回収事業者に指示してよい。
第7形態の医療廃棄物管理システムによれば、回収事業者は、管理サーバからの送信される回収時期と回収ルートとに従って、排出事業者から医療廃棄物を効率よく回収することが可能になる。
【0014】
[第9形態]本開示の技術の一形態は、医療廃棄物の回収と廃棄とを管理する方法として提供される。第9形態の方法は、前記医療廃棄物が収容された後には開放できないように構成され、かつ、前記医療廃棄物を廃棄する廃棄事業者において前記医療廃棄物を収容したまま廃棄可能に構成されている密閉容器に、前記医療廃棄物を排出する排出事業者において、前記医療廃棄物が密閉状態で収容される工程と、読取装置が、前記密閉容器に設けられ、前記密閉容器に収容される前記医療廃棄物に関する廃棄物情報が記録され、所定の電磁波が照射されたときに、前記廃棄物情報を表す信号を発信する回路を有する情報記録部に対して、前記電磁波を照射して、前記情報記録部から発信される前記信号を受信することによって前記廃棄物情報を取得し、前記廃棄物情報を取得すると、自動的に、少なくとも、前記廃棄物情報と、前記排出事業者を特定するための識別情報と、を含む管理用通知を、管理サーバにネットワークを通じて送信する工程と、前記管理サーバが、前記排出事業者から前記管理用通知を受信したときに、前記医療廃棄物の回収依頼として受け付け、前記管理用通知から取得される管理情報を記録し、前記管理情報に基づいて、前記医療廃棄物の回収事業者に前記密閉容器の回収を指示する工程と、を備える。
第9形態の方法によれば、医療機関等の排出事業者において、読取装置を用いて、回収対象である医療廃棄物を収容した密閉容器に電磁波を照射するだけで、管理サーバを仲介して、回収事業者に自動的に回収依頼がされる。よって、排出事業者による医療廃棄物の回収依頼の手続きが簡易化される。また、読取装置による電磁波の照射によって、管理サーバが医療廃棄物の管理に用いることができる管理情報を取得できるため、管理サーバでの医療廃棄物の管理を容易化することができる。さらに、回収対象となる医療廃棄物を密閉容器に密閉した状態で回収し、運搬することができ、そのまま廃棄してしまうこともできるため、医療廃棄物を介した感染等の弊害の発生を抑制することができる。このように、第9形態の医療廃棄物を管理する方法によれば、医療廃棄物の回収から廃棄までの管理を効率的に行うことができ、排出事業者を始めとする関係事業者による医療廃棄物の管理の負担を大きく軽減することができる。
【0015】
本開示の技術は、医療廃棄物管理システムや医療廃棄物を管理する方法以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、医療廃棄物管理システムにおいて用いられる密閉容器や、符号の読取装置、管理サーバ、管理サーバにおいて実行される医療廃棄物管理システムの制御方法、その制御方法をコンピュータに実現させるためのプログラム、そのプログラムを記録した記憶媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】医療廃棄物管理システムの構成を示す概略図。
【
図4】医療廃棄物管理システムにおける医療廃棄物の回収・廃棄の手順およびその管理方法を説明するための説明図。
【
図5】管理サーバのディスプレイ装置に表示される地図データの一例を模式的に示す概略図。
【
図6】第2実施形態における廃棄物情報の取得方法を示す説明図。
【
図7】第2実施形態の読取装置および情報記録部の構成を示す概略機能ブロック図。
【0017】
1.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における医療廃棄物管理システム100の構成を示す概略図である。医療廃棄物管理システム100は、医療機関等の排出事業者21において生じる医療廃棄物MWの回収から廃棄までを管理する。以下、本明細書においては、「医療廃棄物管理システム」を単に「管理システム」とも呼ぶ。管理システム100で管理される医療廃棄物MWは、例えば、注射針等の使用済みの医療器具や、種々の医療機器、医薬品や献血・採血の使用済みの空容器等、医療従事者や患者が接触した様々な物品を含む。
【0018】
管理システム100は、医療廃棄物MWの回収および廃棄を管理する管理処理を実行する管理サーバ10を備える。管理サーバ10は、医療廃棄物MWに関わる複数の関係事業者と通信可能なようにネットワークNTに接続されている。本実施形態では、管理サーバ10は、ネットワークNTとしてインターネットを利用する。以下に順に説明するように、管理サーバ10は、管理処理において、ネットワークNTを通じて医療廃棄物MWが収容される密閉容器30から取得される管理情報を用いる。
【0019】
本実施形態において、管理サーバ10がネットワークNTを通じて通信する複数の関係事業者には、少なくとも、医療廃棄物MWを排出する排出事業者21と、車両等の輸送手段TPにより医療廃棄物MWを回収して運搬する回収事業者23と、医療廃棄物MWの廃棄処理をする廃棄事業者25とが含まれる。各事業者21,23,25は、後述する読取装置35や、例えば、パーソナルコンピュータ等の図示しない端末を用いてネットワークNTに接続する。なお、
図1では、便宜上、各事業者21,23,25は、1つずつ図示されているが、本実施形態では、各事業者21,23,25はいずれも複数あり、それぞれがネットワークNTを通じて管理サーバ10と通信する。管理システム100を構成する各事業者21,23,25はいずれも、少なくとも1つが存在すればよい。
【0020】
管理システム100では、医療廃棄物MWの回収および廃棄の管理のために、密閉容器30と、読取装置35と、が用いられる。密閉容器30は、空の状態で排出事業者21に予め納入されており、排出事業者21において医療廃棄物MWが生じたときに、その医療廃棄物MWが密閉状態で収容される。
【0021】
密閉容器30は、感染予防のために、内部からの細菌やウィルスの漏洩を抑制可能な構成を有している。密閉容器30は、容器本体を封止する蓋をロックするロック機構により、医療廃棄物MWが収容され、密閉状態にされた後には開くことができなくなるように構成されている。また、密閉容器30は、密閉状態では内部空間に通じる微小な隙間も生じないように構成されている。さらに、密閉容器30は、内部空間から外部へと液体や気体が漏れ出たり染み出したりしないように構成されている。密閉容器30の外壁は、抗菌・抗ウィルス加工がされた素材で構成されていることが好ましい。密閉容器30は、医療廃棄物MWを収容したまま廃棄事業者25において廃棄処分が可能な材料で作製されている。
【0022】
本実施形態では、密閉容器30は、寸法が異なる複数の種類が用意されている。密閉容器30は、例えば、既定の大・中・小のサイズを有するものとしてもよい。また、密閉容器30は、収容される医療廃棄物MWの種類ごとに異なる構成のものが準備されている。
【0023】
密閉容器30には、密閉容器30に収容される医療廃棄物MWに関する「廃棄物情報」が記録された情報記録部31が設けられている。本実施形態では、情報記録部31は、密閉容器30の外表面に設けられた、光学的に読み取り可能な符号32によって構成されている。符号32は、廃棄物情報を表すように構成されている。廃棄物情報には、少なくとも、医療廃棄物MWの量に関わる密閉容器30の大きさの情報と、密閉容器30に収容される医療廃棄物MWの種類とが含まれる。廃棄物情報にはそれら以外の情報が含まれていてもよく、例えば、医療廃棄物MWが収容された個々の密閉容器30を特定可能にするシリアルナンバーに相当する情報が含まれていてもよい。また、予め定められている医療廃棄物MWの回収の優先度や、医療廃棄物MWの回収方法に関する情報、医療廃棄物MWの廃棄方法に関する情報等が含まれていてもよい。その他に、廃棄物情報には、医療廃棄物MWに関するマニフェストの作成に用いられる種々の情報が含まれていてもよい。廃棄物情報が密閉容器30ごとの固有の情報である場合には、符号32は密閉容器30ごとに異なっているものとしてもよい。
【0024】
本実施形態では、符号32は、QRコード(登録商標)によって構成される。QRコード(登録商標)であれば、表現できる情報量が多く、汚損しても読み取り精度が低下しにくい。本実施形態では、符号32は、印刷により密閉容器30に表示されている。他の実施形態では、符号32はシールによって密閉容器30に貼付されてもよい。なお、他の実施形態では、符号32は、QRコード(登録商標)以外の態様で実現されてもよい。符号32は、例えば、バーコードにより構成されてもよい。
【0025】
符号32は、密閉容器30が密閉状態にされたときに、光学的に読み取り可能な状態になるように構成されていてもよい。例えば、密閉容器30の蓋を閉じたときに、密閉容器30の蓋と本体とに複数に分割されていた符号32が1つに合体して、光学的に読み取り可能になるものとしてもよい。符号32は、シールによって密閉容器30に貼付されてもよい。
【0026】
本実施形態の読取装置35は、ネットワークNTに接続する機能と、符号32を光学的に読み取り、符号32から上述した廃棄物情報を取得する機能と、を有する。また、読取装置35は、符号32を光学的に読み取ると自動的に、医療廃棄物MWの管理に用いられる「管理用通知」を、ネットワークNTを通じて管理サーバ10に送信する機能を有する。
【0027】
読取装置35は、例えば、スマートフォンやタブレット等のカメラ機能と通信機能とを有する携帯端末によって構成することができる。この場合、前述の機能は、その携帯端末で実行されるアプリケーションプログラムにより実現されてもよい。読取装置35は、携帯端末として構成されていなくてもよく、例えば、符号32を読み取るコードリーダーと、当該コードリーダーが接続されたコンピュータ端末とによって構成されてもよい。
【0028】
本実施形態では、読取装置35は、排出事業者21と、回収事業者23と、廃棄事業者25のそれぞれが備えており、各事業者21,23,25の作業担当者が用いる。なお、各事業者21,23,25の読取装置35は、共通の形態で構成されている必要はなく、前述の機能を有していれば、様々な形態で実現されてよい。例えば、排出事業者21と回収事業者23が用いる読取装置35は、前述したスマートフォンによって構成され、廃棄事業者25が用いる読取装置35は、前述のコードリーダーを備えるコンピュータ端末によって構成されてもよい。
【0029】
読取装置35が管理サーバ10に自動送信する管理用通知は、少なくとも、情報記録部31に記録された上述の廃棄物情報と、読取装置35による廃棄物情報の取得を行った事業者を特定するための「事業者情報」と、を含む。事業者情報は、各事業者21,23,25に予め付与された固有の識別コードであるとしてもよいし、各事業者21,23,25が用いる読取装置35の固有の識別コードであってもよい。また、事業者情報は、排出事業者21や廃棄事業者25のように、廃棄物情報の取得を行う場所が、その事業者の住所と一致する場合、その住所を示す位置情報であるとしてもよい。
【0030】
本実施形態の管理システム100では、排出事業者21が、読取装置35を用いて、医療廃棄物MWが収容された密閉容器30の符号32を光学的に読み取ることにより、自動的に、回収事業者23に対して医療廃棄物MWの回収依頼がされる。また、回収事業者23や廃棄事業者25が、密閉容器30を受け取ったときに、それぞれの読取装置35によって密閉容器30の符号32を光学的に読み取ることにより、自動的に、管理サーバ10に医療廃棄物MWの回収がされたことや、廃棄されたことが記録される。管理システム100において医療廃棄物MWが回収および廃棄される工程およびその管理の方法の詳細については後述する。
【0031】
図2は、管理サーバ10の構成を示す概略ブロック図である。管理サーバ10は、コンピュータによって構成され、管理制御部11と、入力部13と、出力部14と、通信部15と、記憶部18と、を備える。これらの各構成部11,13,14,15,18はバス接続されている。
【0032】
管理制御部11は、管理サーバ10全体を制御するとともに、管理システム100の管理処理を実行する。管理制御部11は、管理サーバ10が備える中央処理装置(CPU)が主記憶装置(RAM)上に予め準備された命令やプログラムを読み込んで実行することにより実現される機能部である。管理制御部11は、管理処理において、ネットワークNTを通じた各事業者21,23,25との通信と、管理情報MIの取得・記録・管理とを実行する。
【0033】
入力部13は、例えば、キーボードやマウス、タッチパッド等によって構成され、管理サーバ10に対する情報の入力操作を受け付ける。出力部14は、ディスプレイ装置やプリンタによって構成され、管理処理に関する様々な通知や情報を出力する。通信部15は、管理制御部11の制御下において、ネットワークNTへの接続を制御する。
【0034】
記憶部18は、ハードディスク(HD)やソリッドステートディスク(SSD)など、情報を不揮発的に記憶する、つまり、情報を一時的ではなく通電停止後にも保持可能に記憶する大容量の記憶装置によって構成される。管理サーバ10では、記憶部18を利用して、データベースが構築されており、記憶部18には、そのデータベースを構成するデータとして、少なくとも、管理情報MIと、地図データMPと、が格納されている。管理情報MIは、排出事業者情報IFaと、回収事業者情報IFbと、廃棄事業者情報IFcと、を含む。
【0035】
排出事業者情報IFaは、管理サーバ10に登録された排出事業者21に関する情報と、排出事業者21が行った医療廃棄物MWの回収依頼に関する情報と、排出事業者21に対する密閉容器30の納入に関する情報と、を含む。排出事業者21に関する情報には、例えば、排出事業者21の名称等の識別情報や、住所等の位置情報、医療分野における種別、ネットワークNT上の連絡先等の情報が含まれる。医療廃棄物MWの回収依頼に関する情報には、例えば、現在受け付けている回収依頼の内容を示す情報や、過去に受け付け、回収が完了した回収依頼の内容を示す情報が含まれる。排出事業者21に対する密閉容器30の納入に関する情報には、例えば、過去に排出事業者21に納入された密閉容器30の種類や個数、納入時期等の情報が含まれる。密閉容器30の納入に関する情報は、後述するように、管理サーバ10が、排出事業者21に対する密閉容器30の納入個数や納入時期を決定する処理に用いられる。
【0036】
回収事業者情報IFbは、管理サーバ10に登録された回収事業者23に関する情報と、回収事業者23による医療廃棄物MWの回収に関する情報と、を含む。回収事業者23に関する情報には、例えば、回収事業者23の名称等の固有の識別情報、住所等の位置情報、回収事業者23が保有する輸送手段TPの情報、回収事業者23の回収担当地区を示す情報、ネットワークNT上の連絡先等が含まれる。回収事業者23による医療廃棄物MWの回収に関する情報には、例えば、回収事業者23に現在依頼している回収依頼の内容に関する情報や、回収事業者23に過去に依頼した回収作業の内容を示す履歴情報等が含まれる。また、回収に関する情報には、後述する排出事業者21ごとの回収依頼の内容に関する情報が含まれる。
【0037】
廃棄事業者情報IFcは、管理サーバ10に登録された廃棄事業者25に関する情報と、廃棄事業者25による医療廃棄物MWの廃棄に関する情報と、を含む。廃棄事業者25に関する情報には、例えば、廃棄事業者25の名称等の識別情報や、住所等の位置情報、廃棄事業者25が処理可能な医療廃棄物MWの種類や量を示す情報、ネットワークNT上の連絡先等が含まれる。廃棄事業者25による医療廃棄物MWの廃棄に関する情報には、例えば、廃棄事業者25に搬入予定、もしくは、現在、廃棄事業者25に搬入されている医療廃棄物MWの種類や量に関する情報や、過去に廃棄事業者25が行った医療廃棄物MWの廃棄処理の履歴情報等が含まれる。
【0038】
地図データMPは、管理システム100が管轄する地区内の道路情報や施設情報を含む。管理サーバ10の管理制御部11は、この地図データMPを用いて、排出事業者21からの回収依頼を管理するとともに、回収事業者23に依頼する医療廃棄物MWの回収計画を作成する。管理サーバ10は、地図データMPと、その地図データMPに紐づけて記録されている管理情報MIとを、出力部14を構成するディスプレイ装置に表示可能である。
【0039】
図3は、読取装置35の構成を示す概略機能ブロック図である。読取装置35は、読取制御部41と、撮像部45と、入力部46と、通信部47と、を備える。
【0040】
読取制御部41は、図示しないCPUがRAM上に予め準備された命令やプログラムを読み込んで実行することにより実現される機能部である。読取制御部41は、読取処理部42と、通知生成部43と、を有する。読取処理部42は、密閉容器30の情報記録部31から廃棄物情報を取得する処理を実行する。本実施形態では、読取処理部42は、撮像部45による符号32の光学的な読み取りを制御し、読み取った符号32を解析して、廃棄物情報を取得する。通知生成部43は、読取処理部42による廃棄物情報の取得に連動して駆動し、廃棄物情報が取得された後に、自動的に管理用通知を生成して送信する処理を実行する。本実施形態では、通知生成部43は、読取処理部42による符号32の光学的な読み取りが実行された後に、自動的に管理用通知を生成して送信する。
【0041】
撮像部45は、読取処理部42の制御下において、符号32の光学的な読み取りを実行する。撮像部45は、少なくとも、符号32からの反射光を検出するイメージセンサを備えている。撮像部45は、それに加えて、符号32に向けて光を射出する照射部を備えていてもよい。入力部46は、読取装置35のユーザーによる操作を受け付けて、読取制御部41に入力する。通信部47は、読取制御部41の制御下においてネットワークNTを介した通信を実行する。読取装置35は、その他に、後述する管理処理に関する管理サーバ10からの通知や情報を、ネットワークNTを通じて受信し、読取装置35のユーザーに報知する機能を有していてもよい。
【0042】
図4は、管理システム100における医療廃棄物MWの回収・廃棄の手順およびその管理方法を説明するための説明図である。
図4には、排出事業者21と回収事業者23と廃棄事業者25のそれぞれにおける工程手順を示すフローチャートと、管理サーバ10の管理制御部11が実行する管理処理のフローチャートとを並列に図示してある。
【0043】
まず、ステップS10では、排出事業者21の作業担当者が、医療廃棄物MWを密閉容器30に密閉状態で収容する。密閉容器30は、後述するように、管理サーバ10の管理処理のステップS65の処理において手配され、排出事業者21に予め納入されているものである。ステップS10では、医療廃棄物MWの種類と量に応じた個数の密閉容器30が回収事業者23による回収対象として準備される。
【0044】
ステップS15では、排出事業者21の作業担当者が、読取装置35によって、ステップS10で準備された回収対象となる密閉容器30の情報記録部31から廃棄物情報を取得する。本実施形態では、読取装置35が、密閉容器30の符号32を光学的に読み取ることにより、廃棄物情報が取得される。読取装置35は、符号32を光学的に読み取ると自動的に管理用通知MNを管理サーバ10に送信する。管理用通知MNには、情報記録部31から取得された廃棄物情報と、読取装置35を用いて廃棄物情報を取得した排出事業者21を特定するための事業者情報と、が含まれる。事業者情報は、排出事業者21の固有の識別情報としてもよいし、排出事業者21の位置情報であるとしてもよい。
【0045】
なお、ステップS15では、回収対象となる密閉容器30の個数に相当する回数の廃棄物情報の取得作業、つまり、符号32の読み取り作業が行われ、管理サーバ10には、その作業の回数分の管理用通知MNが送信される。
【0046】
管理サーバ10は、排出事業者21の読取装置35から送信された管理用通知MNを受信すると、ステップS18において、その管理用通知MNを、排出事業者21からの医療廃棄物MWの回収依頼として受け付ける。管理サーバ10は、管理用通知MNから取得される管理情報MIを記憶部18の回収事業者情報IFbに記録する。
【0047】
回収事業者情報IFbには、管理情報MIとして、排出事業者21ごとに回収依頼の内容に関する情報が記録される。ステップS18で記録される管理情報MIには、密閉容器30に収容されている医療廃棄物MWの種類や回収対象となる密閉容器30の大きさ等、廃棄物情報から取得される情報と、管理用通知MNを受信した日時、つまり、回収依頼がされた日時の情報が含まれる。また、管理サーバ10は、同じ排出事業者21から受信した管理用通知MNに基づいて、回収依頼されている密閉容器30の数を、回収依頼されている医療廃棄物MWの種類と、密閉容器30の大きさごとに集計し、管理情報MIとして記録する。
【0048】
図5は、管理サーバ10のディスプレイ装置に表示される地図データMPの一例を模式的に示す概略図である。
【0049】
管理サーバ10は、複数の排出事業者21から受け付けた回収依頼に関する情報を、記憶部18に格納されている地図データMP上での各排出事業者21の位置情報に紐づけて、管理情報MIとして記録する。管理サーバ10は、排出事業者21ごとに、回収依頼がされた日時と、回収依頼されている医療廃棄物MWの種類と量とを排出事業者21の位置情報に紐づけて記録する。
図5の例では、医療廃棄物MWの量は、密閉容器30の大きさと個数とによって表されている。なお、管理サーバ10が地図データMP上で管理している医療廃棄物MWの回収依頼に関する情報には、各事業者21,23,25の読取装置35や、その他のネットワークNTに接続可能な端末によってアクセス可能であるとしてもよい。
【0050】
図4を参照する。ステップS20では、管理サーバ10は、上述した地図データMP上で位置情報に紐づけられて記録された回収依頼に関する管理情報MIに基づいて回収計画を作成する。回収計画には、少なくとも、医療廃棄物MWの回収時期と回収ルートとが含まれる。
【0051】
回収計画の作成の際には、管理サーバ10は、まず、医療廃棄物MWの回収時期を決定する。管理サーバ10は、例えば、回収依頼されている医療廃棄物MWの量が、所定の量に達している排出事業者21について、直近の回収可能日を割り当てる。管理サーバ10は、回収優先度が高い医療廃棄物MWほど回収時期が早まるように調整するものとしてもよい。また、管理サーバ10は、回収場所が近い医療廃棄物MWをまとめて回収できるように、医療廃棄物MWの回収場所に基づいて、医療廃棄物MWの回収時期を決定してもよい。管理サーバ10は、予め抽出されている複数の排出事業者21から回収依頼されている医療廃棄物MWの量の合計が、所定の量に達したときに、その複数の排出事業者21から医療廃棄物MWを同日に回収できるように回収時期を決定してもよい。管理サーバ10は、医療廃棄物MWの種類ごとに、回収時期を決定してもよい。
【0052】
次に、管理サーバ10は、回収を担当させる回収事業者23と、廃棄を依頼する廃棄事業者25とを決定する。管理サーバ10は、医療廃棄物MWの回収場所や回収時期、回収量、種類のいずれかに基づいて、複数の候補の中から回収を担当させる回収事業者23と廃棄を依頼する廃棄事業者25とを決定する。管理サーバ10は、回収事業者23の稼働状況に関する情報を予め取得し、その情報に基づいて回収事業者23を決定してもよい。同様に、管理サーバ10は、廃棄事業者25の稼働状況に関する情報を予め取得し、その情報に基づいて廃棄事業者25を決定してもよい。管理サーバ10は、例えば、医療廃棄物MWの回収場所に近い回収事業者23や廃棄事業者25を優先的に選択してもよいし、回収時期に稼働状況にゆとりがある回収事業者23や廃棄事業者25を優先的に選択してもよい。
【0053】
続いて、管理サーバ10は、回収を担当させる回収事業者23の輸送手段TPによる回収ルートを決定する。管理サーバ10は、例えば、回収の依頼元である排出事業者21の位置情報と、医療廃棄物MWの輸送先である廃棄事業者25の位置情報とに基づいて、回収事業者23の輸送手段TPの移動距離と移動時間とが短くなるように、回収ルートを決定する。管理サーバ10は、交通量に関する情報や工事情報等を取得し、それらの情報に基づいて回収ルートを決定するものとしてもよい。
【0054】
ステップS25では、管理サーバ10は、回収を担当させる回収事業者23に回収の指示をする。管理サーバ10は、当該回収事業者23の連絡先にステップS20で作成した回収計画を、ネットワークNTを通じて送信する。回収事業者23の連絡先は、回収事業者情報IFbに予め登録されているものであり、例えば、回収事業者23宛のEメールアドレスである。以上のステップS20~S25は、管理サーバ10が、地図データMP上で位置情報に紐づけられて記録された回収依頼に関する管理情報MIに基づいて、医療廃棄物MWの回収時期と回収ルートとを決定し、回収事業者23に指示する工程に相当する。
【0055】
なお、管理サーバ10は、人工知能(AI)技術を利用して回収計画を作成してもよい。この場合には、管理サーバ10は、例えば、上述した回収計画の作成に用いられる種々の情報の入力に対して、予め設定された基準条件に適した回収時期や回収ルートの候補案を出力する、予め準備された学習済みモデルを利用する。また、他の実施形態では、回収事業者23の読取装置35は、管理サーバ10からの回収計画の通知を受信可能に構成されていてもよい。また、ステップS25において、管理サーバ10は、排出事業者情報IFaに予め登録されている排出事業者21のネットワークNT上での連絡先に、医療廃棄物MWの回収予定の日時と、回収を担当する回収事業者23の名称とを通知してもよい。管理サーバ10は、廃棄事業者情報IFcに予め登録されている廃棄事業者25のネットワークNT上での連絡先に、回収した医療廃棄物MWが廃棄事業者25に持ち込まれる日時と、持ち込まれる医療廃棄物MWの種類と量とを通知してもよい。
【0056】
管理サーバ10から回収計画を受信した回収事業者23は、受信した回収計画の回収時期と回収ルートとに従って、排出事業者21に輸送手段TPを派遣する。排出事業者21において準備された密閉容器30は、ステップS30において排出事業者21から搬出され、ステップS32において回収事業者23に回収される。
【0057】
このように、管理システム100では、地図データMP上で医療廃棄物MWの回収依頼を管理できるため、医療廃棄物MWの回収時期や回収ルートを含む回収計画を効率的に作成することができる。また、回収事業者23は、管理サーバ10からの送信される回収時期と回収ルートを含む回収計画に従うことにより、排出事業者21から医療廃棄物MWを効率よく回収することが可能になる。
【0058】
ステップS35では、回収事業者23の作業担当者が、輸送手段TPに密閉容器30を積み込む回収時に、回収事業者23用の読取装置35によって、密閉容器30の情報記録部31から廃棄物情報を取得する。本実施形態では、回収事業者23用の読取装置35によって、密閉容器30の符号32が光学的に読み取られる。これにより、回収事業者23の読取装置35から自動的に管理用通知MNが管理サーバ10に送信される。管理サーバ10には、回収された密閉容器30の個数に相当する数の管理用通知MNが送信される。
【0059】
管理サーバ10は、回収事業者23の読取装置35から管理用通知MNを受信すると、ステップS38において、回収依頼された密閉容器30が回収事業者23によって回収されたことを、管理情報MIの回収事業者情報IFbに記録する。管理サーバ10は、管理用通知MNの受信日時を、密閉容器30の回収日時として管理情報MIの回収事業者情報IFbに記録する。このように、管理サーバ10では、密閉容器30ごとに、医療廃棄物MWの回収が管理される。
【0060】
回収計画で指定された排出事業者21からの密閉容器30の回収が完了すると、回収事業者23の作業担当者は、回収した密閉容器30を、輸送手段TPによって、回収計画で指定されている廃棄事業者25へと運搬する。
【0061】
ステップS40において、回収事業者23の作業担当者は、回収した密閉容器30を廃棄事業者25に搬入する。ステップS42では、廃棄事業者25の作業担当者は、回収事業者23から廃棄対象となる密閉容器30を受け入れる。
【0062】
ステップS45では、廃棄事業者25の作業担当者は、廃棄事業者25用の読取装置35によって、回収事業者23から受け取った密閉容器30の情報記録部31から廃棄物情報を取得する。本実施形態では、廃棄事業者25の作業担当者は、密閉容器30の符号32を、廃棄事業者25用の読取装置35によって光学的に読み取る。これにより、廃棄事業者25の読取装置35から自動的に管理用通知MNが管理サーバ10に送信される。管理サーバ10には、搬入された廃棄対象の密閉容器30の個数に相当する数の管理用通知MNが送信される。
【0063】
管理サーバ10は、ステップS45において廃棄事業者25の読取装置35から送信された管理用通知MNを受信すると、ステップS48において、回収依頼された医療廃棄物MWの廃棄が完了したことを記録する。管理サーバ10は、廃棄事業者25からの管理用通知MNの受信をもって密閉容器30の廃棄完了の確認がされたものとみなして、管理情報MIの廃棄事業者情報IFcに、密閉容器30の廃棄完了を記録する。管理サーバ10は、管理用通知MNの受信日時、または、その受信日時に廃棄処理にかかる時間を加算した日時を、密閉容器30の廃棄完了を確認した日時として管理情報MIの廃棄事業者情報IFcに記録してもよい。このように、管理サーバ10では、密閉容器30ごとに、医療廃棄物MWの廃棄が管理される。管理サーバ10は、廃棄処理による環境負荷の評価のために、廃棄対象となった医療廃棄物MWの種類と量とに基づいて医療廃棄物MWの廃棄処理によって排出される二酸化炭素(CO2)の量を算出して廃棄事業者情報IFcに記録してもよい。
【0064】
ステップS42で回収事業者23から密閉容器30を受け入れた廃棄事業者25は、ステップS50において、医療廃棄物MWの廃棄を実行する。廃棄事業者25は、密閉容器30に収容された状態のままで医療廃棄物MWを廃棄処理する。廃棄事業者25において、密閉容器30は焼却され、その灰が地中深くに埋められる。
【0065】
ステップS52では、管理サーバ10は、医療廃棄物MWの廃棄の完了を、回収事業者情報IFbに予め登録されている、回収依頼元である排出事業者21の連絡先に、ネットワークNTを通じて通知する。これにより、排出事業者21は、回収依頼した医療廃棄物MWが無事に廃棄されたことを知ることができる。
【0066】
ステップS60では、管理サーバ10は、排出事業者21と回収事業者23と廃棄事業者25のそれぞれの管理用通知MNから取得して記録した管理情報MIに基づいて、医療廃棄物MWのマニフェストの作成に利用可能な情報を生成する。管理サーバ10は、その情報を、ネットワークNTを通じて排出事業者21の連絡先に送信してもよい。これにより、マニフェストの作成が簡易化されるため、医療廃棄物MWの回収および廃棄の管理がより効率化される。
【0067】
ステップS65では、管理サーバ10は、管理情報MIに基づいて、排出事業者21からの回収依頼の頻度と回収依頼ごとの医療廃棄物の回収量とを導出し、その導出した情報に基づいて、未使用の密閉容器30を排出事業者21に納入する個数と時期とを決定する。排出事業者21からの回収依頼の頻度は、例えば、1ヶ月等の単位期間あたりの回収依頼の回数として求めることができる。また、医療廃棄物の回収量は、回収済みが確認されている密閉容器30の種類ごとの個数から求めることができる。管理サーバ10は、例えば、排出事業者21ごとに、医療廃棄物の回収依頼の頻度に基づいて未使用の密閉容器30の納入する周期を定め、その周期とカレンダー情報とに従って、各排出事業者21に未使用の密閉容器30を納入する日を決定してもよい。また、管理サーバ10は、例えば、未使用の密閉容器30の納入個数と回収依頼ごとの医療廃棄物の回収量の情報から未使用の密閉容器30の在庫数を算出し、その在庫数から未使用の密閉容器30の納入個数を決定してもよい。管理サーバ10は、未使用の密閉容器30の納入個数と納入時期の決定に、排出事業者21によって予め設定されている納入に関する条件を反映させてもよい。管理サーバ10は、決定した個数と時期を密閉容器30の納品業者にネットワークNTを通じて依頼する。これにより、納品業者から排出事業者21に未使用の密閉容器30が納入される。よって、排出事業者21において、未使用の密閉容器30の在庫が過剰になることや、未使用の密閉容器30が不足してしまうことが抑制される。
【0068】
以上のように、本実施形態の管理システム100によれば、排出事業者21が、医療廃棄物MWを収容した密閉容器30に表示された符号32を、読取装置35を用いて光学的に読み取ることにより、管理サーバ10の仲介により、回収事業者23に自動的に回収依頼がされる。よって、排出事業者21による医療廃棄物MWの回収依頼の手続きを簡素化できる。また、管理サーバ10は、排出事業者21からの管理用通知MNの受信により、医療廃棄物MW回収依頼に関する管理情報MIを容易に取得できるため、医療廃棄物MWの回収依頼の管理を、さらに容易化できる。よって、医療廃棄物MWの回収依頼の管理における排出事業者21の負担が軽減される。
【0069】
また、本実施形態の管理システム100によれば、管理サーバ10によって、排出事業者21からの医療廃棄物の回収依頼の頻度と回収依頼ごとの医療廃棄物の回収量とに基づいて、未使用の密閉容器30が排出事業者21に納入される時期や個数を決定される。そして、その決定に基づいて、納品業者からの排出事業者21に対する未使用の密閉容器30の納入が手配されるため、排出事業者21において未使用の密閉容器30が不足することや、未使用の密閉容器30の在庫が過剰になることを抑制することができる。よって、排出事業者21による未使用の密閉容器30の在庫管理の負担が軽減される。
【0070】
本実施形態の管理システム100によれば、回収事業者23および廃棄事業者25の読取装置35による符号32の光学的な読み取りにより、医療廃棄物MWの回収完了と廃棄完了とが、管理サーバ10に自動的に記録される。よって、医療廃棄物MWの回収および廃棄の管理を簡易に行える。また、管理サーバ10は、回収事業者23と廃棄事業者25から送信される管理用通知MNから医療廃棄物MWの回収と廃棄に関する管理情報MIを容易に取得でき、記録できるため、医療廃棄物MWの回収と廃棄の管理とを、さらに効率的に行える。
【0071】
さらに、本実施形態の管理システム100によれば、回収対象となる医療廃棄物MWを、密閉容器30に密閉した状態で回収し、運搬することができ、そのまま廃棄してしまうことができるため、医療廃棄物MWを介した感染等の弊害の発生が抑制される。また、本実施形態の管理システム100によれば、医療廃棄物MWの管理が密閉容器30ごとに可能であるため、その回収依頼から廃棄までの管理を、より効率的に行える。
【0072】
2.第2実施形態:
図6は、第2実施形態の管理システム100Aにおいて用いられる読取装置35Aによる廃棄物情報の取得方法を説明するための模式図である。
【0073】
第2実施形態の管理システム100Aの構成は、以下に説明する点以外は、第1実施形態の管理システム100とほぼ同じである。また、第2実施形態の管理システム100Aでの医療廃棄物MWの回収・廃棄の手順およびその管理方法の手順は、
図4を参照して第1実施形態で説明した通りである。第2実施形態の管理システム100Aでは、密閉容器30に設けられている情報記録部31Aの構成と、情報記録部31Aから廃棄物情報を取得する読取装置35Aの構成が第1実施形態とは異なっている。また、第2実施形態の管理システム100Aでは、読取装置35Aによる情報記録部31Aからの廃棄物情報の取得方法が第1実施形態とは異なっている。
【0074】
第2実施形態の管理システム100Aでは、読取装置35Aを用いた情報記録部31Aからの廃棄物情報の取得にRFID(Radio Frequency Identification)の技術が適用されている。管理システム100Aでは、情報記録部31Aは、ICタグによって構成されており、読取装置35AがRFIDリーダによって構成されている。読取装置35Aが情報記録部31Aに所定の電磁波W1を照射すると、それに応じて情報記録部31Aが廃棄物情報を表す信号を載せた電磁波W2を射出する。読取装置35Aは、その電磁波W2を受信することにより、廃棄物情報を取得する。
【0075】
図7は、情報記録部31Aおよび読取装置35Aの構成を示す概略機能ブロック図である。
【0076】
第2実施形態の情報記録部31Aは、互いに電気的に接続されているアンテナ部33と回路部34とを備えている。アンテナ部33は、電磁波W1,W2の受信及び発信が可能である。電磁波W1,W2の周波数帯域は、例えば、2.45GHz帯や、860~960MHz帯のUHF帯を採用できる。
【0077】
回路部34は、アンテナ部33に接続されており、アンテナ部33を通じて受信した読取装置35Aからの電磁波W1に載せられた信号を取得する。回路部34のメモリ領域には廃棄物情報が予め記録されている。回路部34は、アンテナ部33を通じて受信した電磁波W1に載せられた信号を取得すると、メモリ領域に記録された廃棄物情報を表す信号を生成し、その信号を電磁波W2に載せてアンテナ部33を通じて射出する。なお、回路部34のメモリ領域に記録されている廃棄物情報は、未使用の密閉容器30が納品される前から記録されているものとしてもよいし、未使用の密閉容器30の納品後に排出事業者21において書き込まれるものとしてもよい。
【0078】
第2実施形態では、情報記録部31Aは、パッシブタグとして構成されている。情報記録部31Aは、アンテナ部33による電磁波W1の受信によって発生する電気によって回路部34を駆動させる。なお、他の実施形態では、情報記録部31Aは、回路部34を駆動するための内部電池を備えていてもよく、アクティブタグやセミアクティブタグとして構成されてもよい。
【0079】
第2実施形態の読取装置35Aの構成は、撮像部45の代わりに、アンテナ部50を備えている点と、以下に説明する点以外は、第1実施形態の読取装置35の構成とほぼ同じである。アンテナ部50は、読取制御部41の制御下において、情報記録部31Aが応答可能な所定の電磁波W1を射出する機能と、情報記録部31Aが射出した電磁波W2を受信する機能と、を有する。
【0080】
読取制御部41の読取処理部42は、入力部46を通じて、廃棄物情報の取得を指令するユーザーからの操作を受け付けると、アンテナ部50を通じて電磁波W1を射出する。その後、読取処理部42は、アンテナ部50によって情報記録部31Aから返ってきた電磁波W2を受信すると、電磁波W2に載せられた信号を解析して、廃棄物情報を取得する。通知生成部43は、読取処理部42が廃棄物情報を取得すると、自動的に管理用通知MNを生成して通信部47を通じてネットワークNTに送信する。
【0081】
第2実施形態の読取装置35Aは、密閉容器30から数十cmから数m離れた場所から情報記録部31Aと電磁波のやりとりを行うことが可能である。よって、読取装置35Aによる廃棄物情報の取得がより一層、容易に行うことができる。また、読取装置35Aのユーザーが、医療廃棄物MWが収容された密閉容器30に接近しなくとも廃棄物情報の取得が可能であるため、各事業者21,23,25における作業担当者の医療廃棄物MWを介した感染リスクが低減される。
【0082】
第2実施形態の読取装置35Aは、電磁波W1を一度、照射すると、複数の情報記録部31Aのそれぞれから返ってくる電磁波W2を同時に受信して、各電磁波W2に載せられた信号から個々の廃棄物情報を区別して取得することができるように構成されている。読取装置35Aは、複数個の密閉容器30から同時に取得した廃棄物情報をまとめ、1通の管理用通知MNによって管理サーバ10に送信する。管理サーバ10は、1通の管理用通知MNから、該当する複数個の密閉容器30の廃棄物情報を取得する。
【0083】
第2実施形態の管理システム100Aによれば、排出事業者21は、複数の密閉容器30の回収依頼を、読取装置35Aの一度の操作で一括して行うことができる。また、回収事業者23も、同様に、複数の密閉容器30の回収確認の通知を、読取装置35Aの一度の操作で一括して管理サーバ10に送信することができる。廃棄事業者25も、同様に、回収事業者23からの複数の密閉容器30の受け入れを、読取装置35Aの一度の操作で一括して行うことができる。よって、医療廃棄物MWの回収から廃棄までの管理を、より容易化することができるとともに、より効率化することができる。
【0084】
以下、
図4を参照する。第2実施形態の管理システム100Aでは、少なくとも、第1実施形態の管理システム100と同様に以下のような処理が実行される。
【0085】
排出事業者21の作業担当者が読取装置35Aを用いて、回収対象である医療廃棄物MWを収容した密閉容器30に電磁波W1を照射するだけで、管理サーバ10を仲介して、回収事業者23に自動的に回収依頼がされる(ステップS15~S18)。よって、第1実施形態の管理システム100と同様に、排出事業者21による医療廃棄物MWの回収依頼の手続きが簡易化されている。
【0086】
管理サーバ10は、ステップS25において回収事業者23に密閉容器30の回収を依頼した後に、回収事業者23の読取装置35Aから管理用通知MNを受信すると、回収事業者によって前記密閉容器が回収されたことを記録する(ステップS35~S38)。その後、管理サーバ10は、廃棄事業者25の読取装置35Aから管理用通知MNを受信すると医療廃棄物MWの廃棄の完了を記録する(ステップS45~S48)。このように、管理システム100Aでは、読取装置35Aが送信する管理用通知MNを利用することにより、医療廃棄物MWの回収依頼と、医療廃棄物MWの回収と、医療廃棄物MWの廃棄の管理が容易化されている。
【0087】
また、管理サーバ10は、廃棄事業者25の読取装置35Aから管理用通知MNを受信した後に、ステップS52において、医療廃棄物MWの回収依頼元である排出事業者21に対して、医療廃棄物MWの廃棄完了を、ネットワークNTを通じて通知する。これにより、排出事業者21は、回収依頼した医療廃棄物MWが、無事、廃棄事業者25において廃棄処理されたことを、ネットワークNTを介した通知によって知ることができる。よって、排出事業者21による医療廃棄物MWの管理を、より簡易化することができる。
【0088】
さらに、管理サーバ10は、ステップS60において、排出事業者21と回収事業者23と廃棄事業者25のそれぞれの読取装置35Aからの管理用通知MNから取得した管理情報MIに基づいて、医療廃棄物のマニフェストの作成に利用可能な情報を生成する。これにより、医療廃棄物MWのマニフェストを簡易に作成することが可能になるため、関係事業者21,23,25の負担をさらに軽減することができる。
【0089】
管理サーバ10は、ステップS65において、管理情報MIから導出される、排出事業者21からの回収依頼の頻度と回収依頼ごとの医療廃棄物MWの回収量とに基づいて、未使用の密閉容器30を排出事業者21に納入する個数と時期とを決定する。そして、管理サーバ10は、その決定した内容で、納品業者による、未使用の密閉容器30の排出事業者21への納入を手配する。これにより、排出事業者21において、密閉容器30が不足することや、密閉容器30の在庫が過剰になることを抑制することができる。
【0090】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、管理サーバ10は、
図5に示すような地図データMPを利用して、回収依頼に関する情報を管理する。管理サーバ10は、複数の排出事業者21から受け付けた回収依頼に関する情報を、排出事業者21ごとに、予め準備された地図データMP上での排出事業者21の位置情報に紐づけて管理情報MIとして記録する。これにより、管理サーバ10は、複数の排出事業者21からの医療廃棄物MWの回収計画を効率的に作成することが可能になる。
【0091】
管理サーバ10は、排出事業者21の位置情報に紐づけられて記録された管理情報MIに基づいて、医療廃棄物MWの回収時期と回収ルートとを決定し、回収事業者23に指示する。これにより、回収事業者23は、管理サーバ10からの送信される回収時期と回収ルートとに従って、排出事業者21から医療廃棄物MWを効率よく回収することが可能になる。
【0092】
以上のように、第2実施形態の管理システム100Aによれば、情報記録部31Aおよび読取装置35Aの使用により、医療廃棄物MWの管理を、より容易、かつ、より効率的に行うことができ、関係事業者21,23,25の負担を軽減することができる。その他に、第2実施形態の管理システム100Aによれば、第1実施形態で説明したのと同様な種々の作用効果を得ることができる。
【0093】
3.他の実施形態:
本開示の技術は、上述の第1実施形態や第2実施形態の構成に限定されることはない。例えば、以下のように改変することが可能である。
【0094】
(1)他の実施形態1:
上記の各実施形態において、管理サーバ10は、地図データMP上で排出事業者21ごとの医療廃棄物MWの回収依頼を管理している。管理サーバ10は、その管理に加えて、管理情報MIに基づいて、地図データMP上で、排出事業者21ごとの医療廃棄物MWの回収および廃棄の進捗状況を管理し、出力部14に出力するものとしてもよい。当該進捗状況は、ネットワークNTを通じて、地図データMPとともに、各事業者21,23,25の読取装置35に出力されて表示されるものとしてもよい。
【0095】
(2)他の実施形態2:
上記の各実施形態において、回収事業者23は、輸送手段TPとして、車両の代わりに、他の移動体を用いてもよく、例えば、ドローンを用いてもよい。この場合には、管理サーバ10は、ドローンが飛行可能な空域の位置情報および時間情報を予め取得し、それらの情報に基づいて、回収時期や回収ルートを決定してもよい。
【0096】
(3)他の実施形態3:
上記の各実施形態の管理システム100,100Aにおいて、少なくとも、排出事業者21のみが、読取装置35,35Aによる廃棄物情報の取得を実行し、回収事業者23や廃棄事業者25は、読取装置35,35Aを用いないように構成されてもよい。このような構成であっても、読取装置35,35Aによる廃棄物情報の取得によって、医療廃棄物MWの回収依頼をすることができるため、医療廃棄物MWの回収と廃棄の管理が効率化される。
【0097】
(4)他の実施形態4:
上記の各実施形態の管理システム100,100Aにおいて、管理サーバ10は、回収事業者23が備えているものとしてもよい。この場合には、上記各実施形態で説明した回収を担当させる候補となる複数の回収事業者23は、管理サーバ10を備える回収事業者23の管理下にある管轄地区が異なる複数の事業所と読み替えてもよい。
【0098】
(5)他の実施形態5:
上記の各実施形態において、読取装置35,35Aは、作業担当者が廃棄物情報を取得する操作を行った後に、管理用通知MNの送信確認を作業担当者にするように構成されていてもよい。また、読取装置35,35Aは、情報記録部31,31Aから廃棄物情報を取得した後に、作業担当者から管理用通知MNの送信を指示する操作を受け付けたときに管理用通知MNを送信するように構成されていてもよい。
【0099】
(6)他の実施形態6:
上記の第2実施形態において、情報記録部31Aと読取装置35Aとは、近距離無線通信(Near Field Communication)によって通信を行うように構成されていてもよい。
【0100】
(7)他の実施形態7:
上記の第2実施形態において、情報記録部31Aと読取装置35Aは、RFID技術を利用していなくともよい。例えば、情報記録部31Aの回路部34は、読取装置35Aからの電磁波W1を受信したときに、電磁波W2の代わりに、廃棄物情報を表す光信号を発光するように構成されていてもよい。また、情報記録部31Aは、光センサによって、その光信号を受光して廃棄物情報を取得するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0101】
10…管理サーバ、11…管理制御部、13…入力部、14…出力部、15…通信部、18…記憶部、21…排出事業者、23…回収事業者、25…廃棄事業者、30…密閉容器、31,31A…情報記録部、32…符号、33…アンテナ部、34…回路部、35,35A…読取装置、41…読取制御部、42…読取処理部、43…通知生成部、45…撮像部、46…入力部、47…通信部、50…アンテナ部、100…医療廃棄物管理システム、IFa…排出事業者情報、IFb…回収事業者情報、IFc…廃棄事業者情報、MW…医療廃棄物、MN…管理用通知、MI…管理情報、MP…地図データ、NT…ネットワーク、W1,W2…電磁波
【要約】 (修正有)
【課題】医療廃棄物の回収から廃棄までの管理を効率化する医療廃棄物管理システム及び方法を提供する。
【解決手段】医療廃棄物管理システム100は、排出事業者21において医療廃棄物が密閉状態で収容される密閉容器30と、密閉容器に設けられ、密閉容器に収容される医療廃棄物MWの廃棄物情報が記録され、所定の電磁波が照射されたときに、廃棄物情報を表す信号を発信する回路を有する情報記録部31と、情報記録部に電磁波を照射して廃棄物情報を取得すると、自動的に、少なくとも廃棄物情報と事業者情報とを含む管理用通知を送信する読取装置35と、排出事業者から管理用通知を受信したときに、排出事業者からの医療廃棄物の回収依頼として受け付け、管理用通知から管理処理に用いる管理情報を取得して記録し、管理情報に基づいて、医療廃棄物の回収事業者に密閉容器の回収を指示する管理サーバ10と、を備える。
【選択図】
図1