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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-29
(45)【発行日】2023-04-06
(54)【発明の名称】リサイクル可能な容器
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/00 20060101AFI20230330BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
G09F3/00 Q
B65D25/20 Q
G09F3/00 D
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018126452
(22)【出願日】2018-07-03
(65)【公開番号】P2020008605
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000205306
【氏名又は名称】大阪シーリング印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150348
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋田 太郎
(72)【発明者】
【氏名】小野 信一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 雅彦
【審査官】井出 元晴
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3153399(JP,U)
【文献】特開平08-123326(JP,A)
【文献】特開平05-046095(JP,A)
【文献】特開平05-046091(JP,A)
【文献】登録実用新案第3146242(JP,U)
【文献】特開2003-195767(JP,A)
【文献】特開2010-173738(JP,A)
【文献】特開2007-017997(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0183078(US,A1)
【文献】特開2009-069936(JP,A)
【文献】特開2012-013747(JP,A)
【文献】特開2001-294225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 3/00
B65D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被貼付物と、
前記被貼付物に粘着剤層を介して貼付され、主成分がリサイクルする上で同一分類とされる材料からなるとともに印刷が施されていない下層ラベルと、
前記下層ラベルに対して繰り返し剥離可能に積層され、印刷が施された上層ラベルと、を備え、
前記下層ラベルは、前記上層ラベルとの間に剥離剤層を有し、
前記被貼付物に印刷が施されていない、リサイクル可能な容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容物が収容される段ボールや発泡スチロール等の容器に貼付されるラベルに関する。
【0002】
従来、収容物が収容される段ボールや発泡スチロール等の容器を再使用するために、これらの容器に貼付されるラベルが提案されている。
【0003】
たとえば、段ボール箱は、収容される商品とその搬送形態によってはそのまま再使用されることが比較的多いが、段ボール箱の表面や側面には社名や商品名が印刷されているため、発送元の会社が使用済みの段ボール箱を回収して同じ商品の梱包および搬送に用いない限り、個人的な使用以外は再使用することが難しい。
【0004】
そこで、使用済みの段ボール箱の表面や側面の印刷面が目立たないように、再使用する際に新規の社名や商品名が印刷されたラベルを段ボール箱の印刷面の上から重ねて貼付することによって、使用済みの段ボール箱を再使用できる点が記載されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-294225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記特許文献1に記載のラベルを使用済みの段ボール箱の印刷面に貼付することにより、使用済みの段ボール箱を再使用できるという点においては有用な手段ではある。しかしながら、使用済みの段ボール箱をリサイクルに使用される再生機を用いてリサイクルする場合には、段ボール箱の表面や側面等の印刷や印字に使用されるインクが再生機内を汚染してしまうという問題点がある。また、印刷や印字に使用されるインクが混入することに起因して、リサイクル素材の純度が低下するという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、次のように構成されている。
【0012】
)本発明のリサイクル可能な容器は、被貼付物と、前記被貼付物に粘着剤層を介して貼付され、主成分がリサイクルする上で同一分類とされる材料からなるとともに印刷が施されていない下層ラベルと、前記下層ラベルに対して繰り返し剥離可能に積層され、印刷が施された上層ラベルと、を備え、前記下層ラベルは、前記上層ラベルとの間に剥離剤層を有し、前記被貼付物に印刷が施されていない
【0013】
上記構成によると、リサイクル時に、容器に貼付された印刷が施された上層ラベルを印刷が施されていない下層ラベルから剥離するだけで、印刷が施されていない下層ラベルのみが容器に貼付された状態になる。そのため、リサイクルに使用される再生機内が印刷に含まれるインキ等に起因して汚染されることを抑制することができるとともに、純度が高く品質劣化が抑制されたリサイクル素材を得ることができる。
【0014】
また、本発明のリサイクル可能な容器において、前記被貼付物に印刷が施されていない。これにより、被貼付物としての容器をリサイクルする際に、印刷が施された上層ラベルを印刷が施されていない下層ラベルから剥離すると、下層ラベルおよび被貼付物には全く印刷が施されていない状態となるため、リサイクルに使用される再生機内のインキ等による汚染をより確実に抑制することができるとともに、より純度が高く品質劣化が抑制されたリサイクル素材を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のリサイクル可能なラベルは、リサイクルに使用される再生機内が汚染されることを抑制することができるとともに、純度が高く品質劣化が抑制されたリサイクル素材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態に係るリサイクル可能なラベルが貼付された段ボール箱を示す斜視図である。
図2図1に示すラベルおよび段ボール箱を示す概略断面図である。
図3】段ボール箱に貼付する前におけるラベルを示す概略断面図である。
図4】リサイクル時における上層ラベルを下層ラベルから剥離する様子を示す斜視図である。
図5】リサイクル時における上層ラベルを下層ラベルから剥離した様子を示す概略断面図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係るリサイクル可能なラベルが貼付された発泡スチロール箱を示す斜視図である。
図7図6に示すラベルおよび発泡スチロール箱を示す概略断面図である。
図8】本発明の第3の実施形態に係るリサイクル可能なラベルが貼付された缶を示す斜視図である。
図9図8に示すラベルおよび缶を示す概略断面図である。
図10】本発明の第4の実施形態に係るリサイクル可能なラベルが貼付されたペットボトルを示す概観図である。
図11図10に示すラベルおよびペットボトルを示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を適用したリサイクル可能なラベルが貼付された段ボール箱の実施の形態を、図1図5を参照し、詳細に説明する。
【0018】
[第1の実施形態]
図1および図2は、第1の実施形態に係るリサイクル可能なラベルが貼付された段ボール箱を示す概略図である。図3は、段ボール箱に貼付する前における剥離紙を備えるラベルの概略断面図である。図4および図5は、リサイクル時に上層ラベルを下層ラベルから剥離した様子を示す概略図である。なお、これらの図は模式図であって、必ずしも大きさを正確な比率で記したものではない。たとえば、図1図5における段ボール箱とラベルとの縦の長さおよび横の長さの比や、段ボール箱とラベルの各層の厚みの比率などは現実における比率に対応している訳ではない。
【0019】
第1の実施形態に係るリサイクル可能な容器300は、図1に示すように、リサイクル可能なラベル100が段ボール箱200に貼付されることにより構成されている。段ボール箱200は、底面201と、底面201に対向する天面203と、底面201の縁辺と天面203の縁辺とを架設する側面202とを備えている。この段ボール箱200は、本発明の「被貼付物」の一例である。また、段ボール箱200の天面203および底面201は、それぞれ、粘着テープ204などにより封緘されている。段ボール箱200の底面201、側面202および天面203は、ラベル100を貼付する前においては、その表面200a(被貼付面)に印刷が施されておらず無地である。
【0020】
段ボール箱200の側面202および天面203には、それぞれの面の全体を覆うようにラベル100が貼付されている。ラベル100は、図3に示すように、上層から順番に、上層ラベル10、下層ラベル20、剥離紙30の順で積層されるとともに、互いに剥離可能に構成されている。上層ラベル10の表面側には、予め印刷が施されている一方、下層ラベル20には、印刷が施されていない。図2に示すように、ラベル100を段ボール箱200の表面200aに貼付する際には、下層ラベル20から剥離紙30を剥離して貼付することとなる。
【0021】
上層ラベル10は、横長矩形の基材11と、基材11の裏面側に設けられた粘着剤層12とを備えている。基材11は、たとえば、上質紙をはじめ、キャストコート紙およびアート紙などの塗工紙、サーマル紙、インクジェット紙などからなる。この基材11の表面には、例えば、商品名、会社名、図名などの情報が印刷されている。また、粘着剤層12は、アクリル系粘着剤などからなる。
【0022】
上層ラベル10は、段ボール箱200の表面200aに貼付された下層ラベル20に対して、粘着剤層12によって貼付され、その状態で流通過程に置かれる。従って、この流通過程での荷物の取扱い状況を考慮すると、流通過程において上層ラベル10は下層ラベル20に対して少なくとも剥がれることのない程度の貼着性能を備えていることが望ましい。その一方で、段ボール箱200のリサイクル時に、上層ラベル10を下層ラベル20から剥離するため、容易に剥離することができる程度の剥離性能を備えていることが望ましい。また、上層ラベル10は、下層ラベル20の表面上に何度も貼付および剥離することが可能となっている。すなわち、上層ラベル10は、後述する下層ラベル20の剥離剤層22の表面上に貼付されているため、上層ラベル10を下層ラベル20から剥離した後に、別に印刷が施された上層ラベルを下層ラベル20の表面上に貼付および剥離する事も可能であるし、再度同じ上層ラベル10を下層ラベル20の表面上に貼付することも可能である。これにより、段ボール箱200のリユースが容易となっている。
【0023】
図2に示すように、下層ラベル20は、上層ラベル10と同様の大きさおよび形状の横長矩形の基材21と、基材21の表面の全域にシリコン樹脂などの剥離剤を塗布して形成された剥離剤層22と、基材21の裏面側に設けられた粘着剤層23とを備えている。そして、この下層ラベル20は、粘着剤層23を介して、段ボール箱200の側面202および天面203に貼付されている。
【0024】
ここで、第1の実施形態では、下層ラベル20の基材21の主成分と、段ボール箱200の主成分とは、リサイクルする上で同一分類とされる材料からなる。ここで、「同一分類とされる材料」とは、リサイクルする際に純度の高いリサイクル素材を得るために、リサイクルする上で同一種類または同一分類されるものと考えられる材料のことをいい、全く同じ材料や材質のものを用いるという意味ではない。たとえば、段ボール箱200が紙材料からなるものであれば、下層ラベル20の基材21は、上質紙、キャストコート紙、アート紙、サーマル紙、インクジェット紙、グラシン紙などの一般的に「紙」と呼ばれるものが挙げられる。
【0025】
次に、図1図5を参照して、ラベル100の段ボール箱200への貼付方法、および、リサイクル時のラベル100の使用方法について説明する。まず、図3に示すように、下層ラベル20の裏面側に設けられている剥離紙30を下層ラベル20から剥離する。そして、図1および図2に示すように、段ボール箱200の底面201、側面202および天面203の各面の任意の位置に貼付する。段ボール箱200の表面200aには文字などの印刷が施されていないため、ラベル100(上層ラベル10)が貼付されることにより、段ボール箱200に商品名や会社名などの情報が表示されることとなる。すなわち、段ボール箱200の表面200aへの直接的な印刷に替えて、上層ラベル10に施された印刷により代用される。
【0026】
段ボール箱200をリサイクルする際には、図4および図5に示すように、印刷が施された上層ラベル10を印刷が施されていない下層ラベル20から剥離する。これにより、段ボール箱200には、印刷が施された箇所が無くなり、無地の状態となる。すなわち、段ボール箱200に貼付されたラベル100の上層ラベル10を下層ラベル20から剥離するだけで、容易に段ボール箱200の表面200a(側面202または天面203)から印刷が施された上層ラベル10を剥離することができ、換言すると、段ボール箱200の表面200a(側面202または天面203)から容易に印刷面を除去することができる。これにより、上層ラベル10の剥離後の段ボール箱200をリサイクルに使用される再生機でリサイクル処理する際に、純度の高いリサイクル材料を得ることができる。なお、上層ラベル10の剥離後の段ボール箱200には、下層ラベル20の剥離剤層22と粘着剤層23とが付着しているが、その量は段ボール箱200および下層ラベル20の基材21と比較して微量であるため、純度の高いリサイクル材料を得るという点において特に問題とはならない。
【0027】
上記説明した第1の実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0028】
(1)第1の実施形態によるリサイクル可能なラベル100では、上層ラベル10に印刷が施され、下層ラベル20に印刷が施されていないことによって、段ボール箱200のリサイクル時に、印刷が施された上層ラベル10を印刷が施されていない下層ラベル20から剥離するだけで、印刷が施されていない下層ラベル20のみが段ボール箱200の表面200aに貼付された状態になる。そのため、リサイクルに使用される再生機内が印刷に含まれるインキ等に起因して汚染されることを抑制することができるとともに、純度が高く品質劣化が抑制されたリサイクル素材を得ることができる。
【0029】
また、上層ラベル10を下層ラベル20から剥離した後に、別の上層ラベルを下層ラベル20上に何度も貼付および剥離することが可能であるため、段ボール箱200のリユースが容易である。すなわち、段ボール箱200の表面200aに直接貼付および剥離することが可能なラベル(いわゆる、単層の再剥離タイプのラベル)を、段ボール箱200に対して何度も貼付および剥離を繰り返した場合には、段ボール箱200の表面200aが剥がれるという点や、段ボール箱200の表面200aに汚れが蓄積されるという点から、段ボール箱200のリユースが困難となる。上記のような観点から、第1の実施形態によるリサイクル可能なラベル100を適用すると、段ボール箱200のリユースが容易である。
【0030】
(2)第1の実施形態によるリサイクル可能なラベル100では、下層ラベル20と段ボール箱200との主成分を同一材料にすることによって、下層ラベル20が段ボール箱200との主成分と異なる材料からなる場合と異なり、より純度が高く、より品質劣化が抑制されたリサイクル素材を得ることができる。
【0031】
(3)第1の実施形態によるリサイクル可能な容器300は、段ボール箱200と、段ボール箱200に粘着剤層23を介して貼付され、主成分がリサイクルする上で同一分類とされる材料からなるとともに印刷が施されていない下層ラベル20と、下層ラベル20から剥離可能に積層され、印刷が施された上層ラベル10とを備えることによって、リサイクル時に、段ボール箱200の表面200aに貼付された印刷が施された上層ラベル10を印刷が施されていない下層ラベル20から剥離するだけで、印刷が施されていない下層ラベル20のみが段ボール箱200の表面200aに貼付された状態になる。そのため、リサイクルに使用される再生機内が印刷に含まれるインキ等に起因して汚染されることを抑制することができるとともに、純度が高く品質劣化が抑制されたリサイクル素材を得ることができる。
【0032】
(4)第1の実施形態によるリサイクル可能な容器300では、段ボール箱200の底面201、側面202および天面203のいずれかの表面200aに印刷が施されていないことによって、段ボール箱200をリサイクルする際に、印刷が施された上層ラベル10を印刷が施されていない下層ラベル20から剥離すると、下層ラベル20および段ボール箱200が全く印刷が施されていない状態となるため、リサイクルに使用される再生機内のインキ等による汚染をより確実に抑制することができるとともに、より純度が高く品質劣化が抑制されたリサイクル素材を得ることができる。また、段ボール箱200の表面200aに直接印刷する場合には、段ボール箱200の材質や厚みに起因して印刷工程が煩雑になる一方、本発明では、ラベル100の上層ラベル10は複数の材質から選択できかつ比較的厚みが薄いため、容易に印刷することができるとともに、印刷に用いられる色の数などの制限が無くなるため、さまざまな印刷の形態に対応することができる。
【0033】
[第2の実施形態]
図6および図7を用いて、本発明の第2の実施形態に係る発泡スチロールからなるリサイクル可能な容器について説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態で説明した容器(段ボール箱)の材質および容器に貼付するラベルの基材の材質のみが異なる構成であるため、共通部分には同一符号を付してその説明を省略し、異なる構成のみ詳説する。
【0034】
第2の実施形態に係るリサイクル可能な容器310は、図6に示すように、リサイクル可能なラベル100aが発泡スチロール箱210に貼付されることにより構成されている。この発泡スチロール箱210は、底面211と、底面211の縁辺より立設された側面212と、側面212に囲まれた収容領域を覆う蓋体213とを備えている。この発泡スチロール箱210は、本発明の「被貼付物」の一例である。
【0035】
第2の実施形態では、ラベル100aの下層ラベル20aの基材21aの主成分と、発泡スチロール箱210の主成分とは、リサイクルする上で同一分類とされる材料からなる。ここで、「同一分類とされる材料」とは、上述した第1の実施形態の概念と同様である。たとえば、発泡スチロール箱210がポリスチレンからなるものであれば、リサイクルする上で、下層ラベル20aの基材21aとしてポリスチレンと同一の材料または分類と考えられる合成樹脂素材であればよい。なお、ラベル100aの発泡スチロール箱210への貼付方法および発泡スチロール箱210をリサイクルする際に上層ラベル10を下層ラベル20aから剥離する点は、上述した第1の実施形態の内容と同様である。
【0036】
上記説明した第2の実施形態によれば、第1の実施形態において記載した(1)~(4)の効果と同様に(5)の効果を得ることができる。
【0037】
(5)第2の実施形態によるリサイクル可能なラベル100aでは、上層ラベル10に印刷が施され、下層ラベル20aに印刷が施されていないことによって、発泡スチロール箱210のリサイクル時に、印刷が施された上層ラベル10を印刷が施されていない下層ラベル20aから剥離するだけで、印刷が施されていない下層ラベル20aのみが発泡スチロール箱210の表面210aに貼付された状態になる。そのため、リサイクルに使用される再生機内が印刷に含まれるインキ等に起因して汚染されることを抑制することができるとともに、純度が高く品質劣化が抑制されたリサイクル素材を得ることができる。
【0038】
[第3の実施形態]
図8および図9を用いて、本発明の第3の実施形態に係る飲料などの液体が封入された缶について説明する。なお、第3の実施形態は、第1および第2の実施形態で説明した容器(段ボール箱、発泡スチロール箱)の材質およびこれらの容器に貼付するラベルの基材の材質のみが異なる構成であるため、共通部分には同一符号を付してその説明を省略し、異なる構成のみ詳説する。
【0039】
第3の実施形態に係るリサイクル可能な容器320は、図8および図9に示すように、リサイクル可能なラベル100bが缶220に貼付されることにより構成されている。この缶220は、底面221と、底面221に対向する天面223と、底面221の縁辺と天面223の縁辺とを架設する側面222とを備えている。この缶220は、本発明の「被貼付物」の一例である。
【0040】
第3の実施形態では、ラベル100bの下層ラベル20bの基材21bの主成分と、缶220の主成分とは、リサイクルする上で同一分類とされる材料からなる。ここで、「同一分類とされる材料」とは、上述した第1および第2の実施形態の概念と同様である。たとえば、缶がアルミニウムからなるものであれば、下層ラベル20bの基材21bとしてアルミニウムなどの金属が用いられることが好ましい。また、缶がスチールからなるものであれば、下層ラベル20bの基材21bとしてスチールなどの金属が用いられることが好ましい。なお、ラベル100bの缶220への貼付方法および缶220をリサイクルする際に上層ラベル10を下層ラベル20bから剥離する点は、上述した第1および第2の実施形態の内容と同様である。
【0041】
上記説明した第3の実施形態によれば、第1および第2の実施形態において記載した(1)~(5)の効果と同様に(6)の効果を得ることができる。
【0042】
(6)第3の実施形態によるリサイクル可能なラベル100bでは、上層ラベル10に印刷が施され、下層ラベル20bに印刷が施されていないことによって、缶220のリサイクル時に、印刷が施された上層ラベル10を印刷が施されていない下層ラベル20bから剥離するだけで、印刷が施されていない下層ラベル20bのみが缶220の表面220aに貼付された状態になる。そのため、リサイクルに使用される再生機内が印刷に含まれるインキ等に起因して汚染されることを抑制することができるとともに、純度が高く品質劣化が抑制されたリサイクル素材を得ることができる。
【0043】
[第4の実施形態]
図10および図11を用いて、本発明の第4の実施形態に係る飲料などの液体が封入されたペットボトルについて説明する。なお、第4の実施形態は、第1~第3の実施形態で説明した容器(段ボール箱、発泡スチロール箱、缶)の材質およびこれらの容器に貼付するラベルの基材の材質のみが異なる構成であるため、共通部分には同一符号を付してその説明を省略し、異なる構成のみ詳説する。
【0044】
第4の実施形態に係るリサイクル可能な容器330は、図10および図11に示すように、リサイクル可能なラベル100cがペットボトル230に貼付されることにより構成されている。このペットボトル230は、底面231と、底面231の縁辺より立設された側面232と、側面232の上方端の飲み口に設けられたキャップ233とを備えている。このペットボトル230は、本発明の「被貼付物」の一例である。
【0045】
第4の実施形態では、ラベル100cの下層ラベル20cの基材21cの主成分と、ペットボトル230の主成分とは、リサイクルする上で同一分類とされる材料からなる。ここで、「同一分類とされる材料」とは、上述した第1~第3の実施形態の概念と同様である。たとえば、ペットボトル230がポリエチレンテレフタレート(PET)からなるものであれば、下層ラベル20cの基材21cとしてPETフィルムなどの合成樹脂フィルムが挙げられる。なお、ラベル100cのペットボトル230への貼付方法およびペットボトル230をリサイクルする際に上層ラベル10を下層ラベル20cから剥離する点は、上述した第1~第3の実施形態の内容と同様である。
【0046】
上記説明した第4の実施形態によれば、第1~第3の実施形態において記載した(1)~(6)の効果と同様に(7)の効果を得ることができる。
【0047】
(7)第4の実施形態によるリサイクル可能なラベル100cでは、上層ラベル10に印刷が施され、下層ラベル20cに印刷が施されていないことによって、ペットボトル230のリサイクル時に、印刷が施された上層ラベル10を印刷が施されていない下層ラベル20cから剥離するだけで、印刷が施されていない下層ラベル20cのみがペットボトル230の表面230aに貼付された状態になる。そのため、リサイクルに使用される再生機内が印刷に含まれるインキ等に起因して汚染されることを抑制することができるとともに、純度が高く品質劣化が抑制されたリサイクル素材を得ることができる。
【0048】
上記第1~第4の実施形態は、以下のように変更した構成とすることもできる。
【0049】
・上記第1~第4の実施形態では、リサイクル可能な容器の材料の一例として、紙、発泡スチロール、アルミおよびスチール、ペットボトルを示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、容器の主成分と下層ラベルの基材の主成分とが同一材料であれば、上述した材料以外の容器でも適用可能である。
【0050】
・上記第1および第2の実施形態では、容器の側面や天面のほぼ全体を覆うようにラベルを貼付する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、側面や天面の比較的小さな範囲にラベルを貼付してもよいし、複数枚のラベルを貼付してもよい。
【0051】
・上記第3および第4の実施形態では、缶やペットボトルの側面に周状にラベルを貼付する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、側面の比較的小さな範囲にラベルを貼付してもよいし、複数枚のラベルを貼付してもよい。
【0052】
・上記実施形態は、いずれも本発明の適応の例示であり、特許請求の範囲に記載の範囲内におけるその他いかなる実施形態も、発明の技術的範囲に含まれることは当然のことである。
【符号の説明】
【0053】
10 …上層ラベル
20、20a、20b、20c …下層ラベル
21、21a、21b、21c …基材
30 …剥離紙
100、100a、100b、100c…ラベル(リサイクル可能なラベル)
200 …段ボール箱(被貼付物)
210 …発泡スチロール箱(被貼付物)
220 …缶(被貼付物)
230 …ペットボトル(被貼付物)
300、310、320、330 …リサイクル可能な容器


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11