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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-29
(45)【発行日】2023-04-06
(54)【発明の名称】粘着テープ、梱包体及び梱包方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20230330BHJP
   B65B 61/26 20060101ALI20230330BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20230330BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
C09J7/38
B65B61/26
B65D25/20 Q
C09J201/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018246519
(22)【出願日】2018-12-28
(65)【公開番号】P2020105413
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000205306
【氏名又は名称】大阪シーリング印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】小野 信一
(72)【発明者】
【氏名】竹内 秀尚
(72)【発明者】
【氏名】立井 正則
(72)【発明者】
【氏名】林 拓也
(72)【発明者】
【氏名】山本 麻実
(72)【発明者】
【氏名】吉金 一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寛訓
【審査官】高崎 久子
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-070924(JP,A)
【文献】特開平07-156459(JP,A)
【文献】特表2002-531342(JP,A)
【文献】米国特許第07162035(US,B1)
【文献】登録実用新案第3153337(JP,U)
【文献】特開2008-159014(JP,A)
【文献】特表2013-527486(JP,A)
【文献】特開2012-171633(JP,A)
【文献】特開2006-331116(JP,A)
【文献】特開2002-140765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J
B32B
B65D23/00-25/56
61/00-63/18
67/00-79/02
81/18-81/30
81/38
85/88
B65B59/00-65/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納した梱包容器の外面に貼着される梱包用の粘着テープであって、
基材と、
前記基材の少なくとも片面側に形成された粘着剤層と、
読取り装置によって読取り可能な情報が、目に見えないように印刷された印刷層とを備え
前記情報が、当該粘着テープが貼着される梱包容器内に収納される物品に関する物品情報を含み、
前記情報が、当該粘着テープの全面に亘って印刷されている、
ことを特徴とする粘着テープ。
【請求項2】
前記情報が、前記読取り装置によって読取り可能なコード情報である、
請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項3】
前記印刷層を第1印刷層とし、
前記情報が可変情報であり、
固定情報が印刷された第2印刷層を更に備える、
請求項1または2に記載の粘着テープ。
【請求項4】
物品を収納した梱包容器と、該梱包容器の外面に貼着された梱包用の粘着テープとを備える梱包体であって、
前記粘着テープは、基材と、前記基材の少なくとも片面側に形成された粘着剤層と、読取り装置によって読取り可能な情報が、目に見えないように印刷された印刷層とを備え、
前記情報が、当該粘着テープが貼着される梱包容器内に収納される物品に関する物品情報を含み、
前記情報が、当該粘着テープの全面に亘って印刷されている、
ことを特徴とする梱包体。
【請求項5】
前記情報が、前記読取り装置によって読取り可能なコード情報である、
請求項4に記載の梱包体。
【請求項6】
読取り装置によって読取り可能な情報を、梱包用の粘着テープに印刷する印刷工程と、
物品を収納した梱包容器の外面に、前記情報が印刷された前記粘着テープを貼着する貼着工程とを含み、
前記印刷工程では、前記情報を、目に見えないように前記粘着テープの全面に亘って印刷するものであり、
前記情報が、前記梱包容器に収納される前記物品に関する物品情報を含む、
ことを特徴とする梱包方法。
【請求項7】
前記情報が、前記読取り装置によって読取り可能なコード情報である、
請求項6に記載の梱包方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール箱の梱包などに好適な粘着テープ、粘着テープを用いて梱包された梱包体、及び、粘着テープを用いた梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食料品、農産品、工業品等の様々な物品を収納保管し、あるいは移送、運搬する梱包容器として、段ボール箱が多用されており、かかる段ボール箱では、フラップ等を封緘するために、梱包用の粘着テープが使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる段ボール箱では、その表面に、収納する物品名等を予め印刷しておくこともあるが、段ボール箱の表面に物品名等を印刷してしまうと、その物品専用の段ボール箱となり、他の物品を収納して運搬、保管等をすることができず、用途が限定されることになる。
【0004】
このため、段ボール箱の表面に印刷するのではなく、必要な情報を表示したバーコードラベルを、段ボール箱に貼付し、バーコードラベルのバーコード情報を利用して、在庫管理、流通管理等を行う場合も多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-26221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような在庫管理や流通管理では、例えば、倉庫に保管された段ボール箱、あるいは、入荷や出荷される段ボール箱に貼付されたバーコードラベルのバーコード情報をバーコードリーダによって読取って、読取ったバーコード情報と、在庫情報、あるいは、入荷や出荷情報とを比較して検品を行っている。
【0007】
このようにバーコードラベルを用いて検品を行う場合には、予め、バーコードを表示したバーコードラベルを準備し、バーコードラベルを段ボール箱に貼付する作業が必要となる。
【0008】
更に、バーコードラベルは、通常、段ボール箱の一箇所のみに貼付されるので、バーコードリーダによってバーコードラベルを読取れる位置が制限されることになる。このため、バーコードの読取り作業に時間を要し、検品の作業効率が低下する場合がある。
【0009】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、バーコードラベルを必要とすることなく、必要な情報を効率的に読取れるようにすることを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明では、次のように構成している。
【0011】
(1)本発明に係る粘着テープは、物品を収納した梱包容器の外面に貼着される梱包用の粘着テープであって、基材と、前記基材の少なくとも片面側に形成された粘着剤層と、読取り装置によって読取り可能な情報が、目に見えないように印刷された印刷層とを備え、前記情報が、当該粘着テープが貼着される梱包容器内に収納される物品に関する物品情報を含み、前記情報が、当該粘着テープの全面に亘って印刷されている。
【0012】
本発明によると、粘着テープには、例えば、バーコードリーダなどの読取り装置によって読取り可能な情報が印刷されているので、かかる粘着テープによって、段ボール箱等の梱包容器を梱包することによって、梱包容器の外面には、情報が印刷された粘着テープが貼付された状態となる。
【0013】
この梱包容器の外面に貼付された粘着テープに印刷されている情報を、読取り装置によって読取ることができ、この情報を利用して検品等を行うことができる。
【0014】
したがって、従来のように、バーコードラベルを準備して、段ボール箱等の梱包容器に、バーコードラベルを貼付する必要がなく、その分、作業負担が軽減される。
【0015】
更に、粘着テープは、従来のバーコードラベルのように、段ボール箱等の梱包容器の一箇所のみに貼付されるのではなく、梱包の際には、梱包容器の複数の面や端縁部等の複数箇所に亘って貼着される。したがって、粘着テープに印刷された情報は、読取り装置によって、梱包容器の複数の面や端縁部等の複数箇所に亘って貼着された粘着テープから読取ることが可能となり、従来に比べて、情報の読取り作業が容易となり、読取り作業に要する時間を短縮することができる。
情報は、例えば、Digimarc Corporation(以下「デジマーク社」という)などの電子透かし技術を利用して、目にみえないように粘着テープに埋め込まれているので、情報を、例えば、バーコード等として粘着テープに印刷しても、バーコード等が視認されることがなく、粘着テープの美観を損なうことがない。
また、粘着テープに印刷された情報には、当該粘着テープが貼着される梱包容器内に収納される物品に関する物品情報を含んでいるので、粘着テープの物品情報を読取って、物品の入出荷や在庫管理等に利用することができる。
【0018】
)本発明の他の実施態様では、前記情報が、前記読取り装置によって読取り可能なコード情報である。
【0019】
この実施態様によると、粘着テープに印刷された情報が、例えば、バーコードリーダ等の読取り装置によって読取り可能なバーコードやQRコード(登録商標)等のコード情報であるので、粘着テープに印刷された情報を、バーコードリーダ等の読取り装置によって容易に読取ることができる。
【0022】
)本発明の他の実施態様では、前記印刷層を第1印刷層とし、前記情報が可変情報であり、固定情報が印刷された第2印刷層を更に備える。
【0023】
この実施態様によると、予め第2印刷層に固定情報を印刷しておき、第1印刷層に可変情報を後印刷することができる。
【0024】
)本発明に係る梱包体は、物品を収納した梱包容器と、該梱包容器の外面に貼着された梱包用の粘着テープとを備える梱包体であって、前記粘着テープは、基材と、前記基材の少なくとも片面側に形成された粘着剤層と、読取り装置によって読取り可能な情報が、目に見えないように印刷された印刷層とを備え、前記情報が、当該粘着テープが貼着される梱包容器内に収納される物品に関する物品情報を含み、前記情報が、当該粘着テープの全面に亘って印刷されている。
【0025】
本発明によると、段ボール箱等の梱包容器に貼着された梱包用の粘着テープには、読取り装置、例えば、バーコードリーダなどによって読取り可能な情報が印刷されているので、この情報を、読取り装置によって読取って、梱包容器に収納された物品の検品等を行うことができる。
【0026】
したがって、従来のように、バーコードラベルを準備して、梱包容器に、バーコードラベルを貼付する必要がなく、その分、作業負担が軽減される。
【0027】
更に、粘着テープは、従来のバーコードラベルのように、段ボール箱等の梱包容器の一箇所のみに貼付されるのではなく、梱包の際には、梱包容器の複数の面や端縁部等の複数箇所に亘って貼着される。したがって、粘着テープに印刷された情報は、読取り装置によって、梱包容器の複数の面や端縁部等の複数箇所に亘って貼着された粘着テープから読取ることが可能となり、従来に比べて、情報の読取り作業が容易となり、読取り作業に要する時間を短縮することができる。
また、情報は、電子透かし技術を利用して、目にみえないように粘着テープに埋め込まれているので、情報を、例えば、バーコード等として粘着テープに印刷しても、バーコード等が視認されることがなく、粘着テープの美観を損なうことがない。
また、粘着テープに印刷された情報には、当該粘着テープが貼着される梱包容器内に収納される物品に関する物品情報を含んでいるので、粘着テープの物品情報を読取って、物品の入出荷や在庫管理等に利用することができる。
【0030】
)本発明の他の実施態様では、前記情報が、前記読取り装置によって読取り可能なコード情報である。
【0031】
この実施態様によると、粘着テープに印刷された情報が、例えば、バーコードリーダ等の読取り装置によって読取り可能なバーコードやQRコード(登録商標)等のコード情報であるので、粘着テープに印刷された情報を、バーコードリーダ等の読取り装置によって容易に読取ることができる。
【0034】
)本発明に係る梱包方法は、読取り装置によって読取り可能な情報を、梱包用の粘着テープに印刷する印刷工程と、物品を収納した梱包容器の外面に、前記情報が印刷された前記粘着テープを貼着する貼着工程とを含み、前記印刷工程では、前記情報を、目に見えないように前記粘着テープの全面に亘って印刷するものであり、前記情報が、前記梱包容器に収納される前記物品に関する物品情報を含んでいる。
【0035】
本発明によると、粘着テープに、読取り装置によって読取り可能な情報を印刷し、情報が印刷された粘着テープを用いて、物品を収納した梱包容器を梱包することによって、例えば、バーコードリーダなどの読取り装置によって、粘着テープに印刷されている情報を読取って、梱包容器に収納された物品の検品等を行うことができる。
【0036】
したがって、従来のように、バーコードラベルを準備して、梱包容器にバーコードラベルを貼付する必要がなく、その分、作業負担が軽減される。
【0037】
更に、粘着テープは、従来のバーコードラベルのように、段ボール箱等の梱包容器の一箇所のみに貼付されるのではなく、梱包の際には、梱包容器の複数の面や端縁部等の複数箇所に亘って貼着される。したがって、粘着テープに印刷された情報は、読取り装置によって、梱包容器の複数の面や端縁部等の複数箇所に亘って貼着された粘着テープから読取ることが可能となり、従来に比べて、情報の読取り作業が容易となり、読取り作業に要する時間を短縮することができる。
また、印刷工程では、情報を、電子透かし技術を利用して、目にみえないように粘着テープに埋め込むので、情報を、例えば、バーコード等として粘着テープに印刷しても、バーコード等が視認されることがなく、粘着テープの美観を損なうことがない。
また、粘着テープに印刷された情報には、梱包容器に収納される物品に関する物品情報を含んでいるので、粘着テープの物品情報を読取って、物品の入出荷や在庫管理等に利用することができる。
【0040】
)本発明の他の実施態様では、前記情報が、前記読取り装置によって読取り可能なコード情報である。
【0041】
この実施態様によると、粘着テープに印刷された情報が、例えば、バーコードリーダ等の読取り装置によって読取り可能なバーコードやQRコード(登録商標)等のコード情報であるので、粘着テープに印刷された情報を、バーコードリーダ等の読取り装置によって容易に読取ることができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、粘着テープには、バーコードリーダ等の読取り装置によって読取り可能な情報が印刷されているので、かかる粘着テープによって、段ボール箱等の梱包容器を梱包することによって、梱包容器の外面には、情報が印刷された粘着テープが貼付された状態となる。
【0045】
この梱包容器の外面に貼付された粘着テープに印刷されている情報を、読取り装置によって読取ることができ、この情報を用いて、検品等を行うことができる。
【0046】
したがって、従来のように、バーコードラベルを準備して、段ボール箱等の梱包容器に、バーコードラベルを貼付する必要がなく、その分、作業負担が軽減される。
【0047】
更に、粘着テープは、従来のバーコードラベルのように、段ボール箱等の梱包容器の一箇所のみに貼付されるのではなく、梱包の際には、梱包容器の複数の面や端縁部等の複数箇所に亘って貼着される。したがって、粘着テープに印刷された情報は、読取り装置によって、梱包容器の複数の面や端縁部等の複数箇所に亘って貼着された粘着テープから読取ることが可能となり、従来に比べて、情報の読取り作業が容易となり、読取り作業に要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1図1は本発明の一実施形態に係る粘着テープの斜視図である。
図2図2図1のA-A線に沿う模式的な断面図である。
図3図3図1の粘着テープを用いた段ボール箱の梱包例を示す斜視図である。
図4図4は本発明の他の実施形態に係る粘着テープの図2に対応する模式的な断面図である。
図5図5は本発明の更に他の実施形態に係る粘着テープの図2に対応する模式的な断面図である。
図6図6参考例の粘着テープの図1に対応する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0050】
図1は本発明の一実施形態に係る粘着テープの斜視図であり、図2図1のA-A線に沿う断面を模式的に示す図である。
【0051】
この実施形態の粘着テープ1は、例えば、段ボール箱の封緘等に使用される梱包用テープとして好適である。
【0052】
この粘着テープ1は、基材2を備えると共に、この基材2の一方の面側に、離型剤層3及び第1印刷層4を備え、基材2の他方の面側に、第2印刷層5及び粘着剤層6を備えている。
【0053】
この粘着テープ1は、その両面に、離型剤層3及び粘着剤層6を備えているので、剥離紙を必要とすることなく、離型剤層3の上に粘着剤層6を重ねるようにして、図1に示されるようにロール状に巻回することができる。
【0054】
基材2は、特に限定されず、樹脂フィルムや紙材等を用いることができる。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、生分解性フィルム等のフィルムが挙げられる。具体的には、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)のフィルム、ポリ乳酸(PLA)のフィルムなどが挙げられる。
【0055】
離型剤層3は、例えば、シリコーン樹脂で形成された層であり、粘着剤が粘着テープの表面に固着することを防止する。
【0056】
第1印刷層4は、後述のように、電子透かし技術を利用して、人の目に見えないようにコード情報が印刷された層である。このコード情報は、対応する読取り装置によって読取ることができる。コード情報には、従来のバーコードラベルのバーコード情報を含ませることができる。この実施形態では、コード情報には、当該粘着テープ1によって封緘される段ボール箱内に収納される物品に関する物品情報、例えば、物品名、製造年月日、ロット番号等の可変情報が含まれている。なお、コード情報には、可変情報に限らず、例えば、当該粘着テープ1によって封緘される段ボール箱内に収納される物品の製造メーカー名やロゴマーク等の固定情報を含めてもよく、あるいは、固定情報のみであってもよい。
【0057】
この第1印刷層4は、予め第2印刷層5が印刷された粘着テープに対して、後印刷することができる。この第1印刷層4は、粘着テープの製造メーカー側で印刷してもよいし、粘着テープを使用するユーザー側で印刷してもよい。
【0058】
第2印刷層5は、例えば、背景色などが予め印刷された層である。この第2印刷層5は、公知のグラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷などの公知の印刷手法を採用して印刷することができる。
【0059】
この第2印刷層5には、固定情報を予め印刷してもよいし、粘着テープ1のデザイン性を高めるために、絵柄等を予め印刷してもよい。なお、この第2印刷層5は省略してもよい。
【0060】
粘着剤層6は、粘着剤で形成された層であり、粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコン系粘着剤等が挙げられ、アクリル系粘着剤が好ましい。
【0061】
なお、この粘着剤層6の第2印刷層5とは反対側の面には、剥離紙を設けてもよく、この場合、離型剤層3を省略してもよい。
【0062】
この実施形態では、粘着テープ1の第1印刷層4は、コード情報が、上記のように電子透かし技術を利用して、目に見えないように印刷されている。
【0063】
具体的には、デジマーク社の電子透かし技術であるDigimarcBarcode(R)(以下「デジマークバーコード」という)を使用してコード情報を、人の目に見えないように、バーコードとして粘着テープ1に埋め込んでいる。
【0064】
このコード情報は、粘着テープ1の表面を拡大しなければ目に見えない多数のドット情報として埋め込まれているので、殆ど視認することができない状態となっている。このコード情報は、粘着テープ1の全面、すなわち、粘着テープ1の長手方向及び幅方向に亘って、多数のバーコードとして埋め込まれている。
【0065】
このコード情報の埋め込みは、デジマークバーコードに対応したプリンタ、この実施形態では、デジマークバーコードに対応した熱転写プリンタによる熱転写印刷によって行われる。
【0066】
粘着テープ1に目に見えないように埋め込まれたバーコードは、デジマークバーコードに対応した読取り装置であるバーコードリーダによって読取ることができる。
【0067】
次に、上記構成を有する粘着テープ1を用いた段ボール箱の梱包方法について説明する。
【0068】
この実施形態に係る梱包方法は、印刷工程と貼着工程とを備えている。先ず、印刷工程では、第1印刷層4が印刷されていない状態の粘着テープに対して、第1印刷層4を、熱転写プリンタによって、コード情報としてのデジマークバーコードを印刷する。このデジマークバーコードは、段ボール箱に収納される物品に関する物品情報を含んでいる。
【0069】
貼着工程では、物品を収納した段ボール箱を、デジマークバーコードを印刷した粘着テープ1によって梱包し、段ボール箱に粘着テープ1を貼着する。
【0070】
図3は、このようにして梱包された梱包例を示す斜視図であり、粘着テープ1を、段ボール箱7の上面と底面における左右と中央に貼着した、いわゆる、H貼りした梱包例を示している。
【0071】
梱包容器としての段ボール箱7に、物品を収納し、粘着テープ1によって梱包することによって、段ボール箱7と粘着テープ1とを備える梱包体8が構成される。
【0072】
粘着テープ1に、目に見えないようにバーコードとして埋め込まれたコード情報には、従来のバーコードラベルの情報を含めることができるので、段ボール箱7を、粘着テープ1を用いて梱包することによって、段ボール箱7には、目に見えないバーコードを有する粘着テープ1が貼付された状態となり、従来のバーコードラベルを段ボール箱7に貼付する必要がない。
【0073】
したがって、バーコードラベルを準備したり、段ボール箱にバーコードラベルを貼付する必要がなく、従来の粘着テープを用いた梱包に代えて、本発明に係る粘着テープ1を用いて梱包すればよい。
【0074】
このように、バーコードラベルを準備して、段ボール箱7にバーコードラベルを貼付する必要がないので、その分、作業負担が軽減される。
【0075】
更に、段ボール箱7に貼着された粘着テープ1は、上記のようにコード情報が、目に見えないバーコードとして、その全面に亘って多数埋め込まれているので、図3に示される段ボール7の粘着テープ1が貼着されている、いずれの面からもバーコードリーダによって粘着テープ1のバーコードを読取ることができる。これによって、バーコードラベルが、段ボール箱の一箇所のみに貼付された従来のように、バーコードリーダによって読取ることができる位置が制限されることはなく、読取り作業に要する時間を短縮することができる。
【0076】
特に、倉庫などに積み上げて保管されている多数の段ボール箱7のバーコードを読取る際には、遠距離の読取りが可能なバーコードリーダを用いて、段ボール箱7のどの面からも粘着テープ1のバーコードを読取ることが可能となり、検品等の作業効率を高めることができる。
【0077】
また、粘着テープ1の全面に亘って多数埋め込まれているバーコードは、目に見えないので、粘着テープ1の美観を損なうこともない。更に、第2印刷層5に、絵柄等を予め印刷しておくことによって、第1印刷層4のバーコードが、絵柄等を損なうこともなく、粘着テープ1のデザイン性を高めることができる。
【0078】
上記実施形態では、第1印刷層4は、後印刷するものであったが、本発明の他の実施形態として、例えば、上記図2に対応する図4の模式的な断面図に示すように、第1印刷層4を予め印刷するようにしてもよい。
【0079】
この図4に示される粘着テープ1aは、基材2、離型剤層3、及び、粘着剤層6を備えている。この粘着テープ1aでは、基材2の一方の面には、第1印刷層4aとして、熱転写プリンタによって、コード情報が、上記実施形態と同様に、デジマークバーコードを使用して目に見えないように印刷され、更に、第2印刷層5aが印刷される。その他の構成は、上記実施形態と同様である。
【0080】
上記各実施形態では、第1印刷層4,4aは、熱転写プリンタによって熱転写印刷したが、本発明の他の実施形態として、例えば、上記図2に対応する図5の模式的な断面図に示すように、サーマル(感熱)プリンタによって感熱印刷するようにしてもよい。
【0081】
すなわち、図5に示される粘着テープ1bは、上記図2に示される実施形態と同様に、基材2、離型剤層3、第2印刷層5、粘着剤層6を備えている。
【0082】
この実施形態では、第1印刷層4bは、感熱発色層を、感熱発色させてコード情報を、上記実施形態と同様に、デジマークバーコードを使用して目に見えないように印刷したものである。その他の構成は、上記実施形態と同様である。
【0083】
なお、第1印刷層4,4a,4bは、熱転写方式や感熱方式に限らず、インクジェット方式などの他の方式で印刷してもよい。
【0084】
上記の各実施形態では、第1印刷層4,4a,4bは、電子透かし技術を利用して、目に見えないように、コード情報を印刷したが、本発明の参考例として、電子透かし技術を利用することなく、図6に示すように、コード情報であるバーコード9の多数を、粘着テープ1cの全面に亘って見えるように印刷してもよい。
【0085】
この参考例の粘着テープ1cを用いて段ボール箱7を梱包することによって、段ボール箱7には、多数のバーコード9を有する粘着テープ1cが貼付された状態となり、従来のバーコードラベルを段ボール箱7に貼付する必要がない。
【0086】
また、粘着テープ1cには、バーコード9が、その全面に亘って多数印刷されているので、段ボール箱7のどの面からもバーコードリーダによって粘着テープ1cのバーコード9を読取ることができ、読取り作業に要する時間を短縮することができる。
【0087】
コード情報は、一次元のバーコードに限らず、QRコード(登録商標)等の2次元コードとして印刷してもよい。
【0088】
上記実施形態では、デジマーク社の電子透かし技術であるデジマークバーコードを利用してコード情報を、人の目に見えないように、粘着テープ1,1a,1bに埋め込んだが、デジマークバーコードに限らず、他の電子透かし技術を用いてもよいのは勿論である。
【符号の説明】
【0090】
1,1a,1b,1c 粘着テープ
2 基材
3 離型剤層
4,4a,4b 第1印刷層
5,5a 第2印刷層
6 粘着剤層
7 段ボール箱(梱包容器)
8 梱包体
9 バーコード
図1
図2
図3
図4
図5
図6