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特許7253336画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法、及び画像処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-29
(45)【発行日】2023-04-06
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法、及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/93 20060101AFI20230330BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20230330BHJP
   G06F 21/60 20130101ALI20230330BHJP
【FI】
H04N5/93
H04N1/00 838
G06F21/60
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018149292
(22)【出願日】2018-08-08
(65)【公開番号】P2020025219
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000141897
【氏名又は名称】アークレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】和田 敦
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 昭徳
【審査官】鈴木 隆夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-287514(JP,A)
【文献】特開2001-069494(JP,A)
【文献】特開2011-138409(JP,A)
【文献】特開平11-146269(JP,A)
【文献】特開2004-179760(JP,A)
【文献】特開2009-033738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/93
H04N 1/00
G06F 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレーティングシステム上で動作する画像取得アプリケーションプログラムにより画像を表す画像データを取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記画像データを含む前記オペレーティングシステムによって管理される全ての画像データを記憶する記憶部と、前記全ての画像データに基づき画像を表示する表示部と、を備え、
前記オペレーティングシステム上で動作する管理アプリケーションプログラムを更に有し、
前記管理アプリケーションプログラムは、前記取得部に秘匿画像を表す秘匿画像データを取得させ、前記秘匿画像の代替として前記表示部に表示されることで前記秘匿画像が存在することを示す画像であって、前記秘匿画像と少なくとも一部が異なる変更画像を表す変更画像データに前記秘匿画像データを変更し、前記変更画像データを前記記憶部に記憶する秘匿画像取得モードと、
前記管理アプリケーションプログラムの動作時にのみ、前記秘匿画像データに基づき、前記秘匿画像を前記表示部に表示する秘匿画像表示モードと、を含む
画像処理装置。
【請求項2】
前記秘匿画像表示モード以外では、前記記憶部に記憶されている前記変更画像データに基づいて前記変更画像を前記秘匿画像に代替して前記表示部に表示する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記変更画像データが前記表示部において変更画像として表示が可能な画像データである場合、
前記管理アプリケーションプログラムの動作時以外では、前記表示部は前記変更画像データに基づいて前記変更画像を表示する、
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記変更画像データは、予め定められた処理を行った場合に、前記秘匿画像そのものの表示が可能なように復元できるデータ形式である、
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記管理アプリケーションプログラムは変更画像を前記秘匿画像に復元するための画像復元情報を更に備え、
前記秘匿画像表示モードでは、前記記憶部に記憶されている前記変更画像データを、前記画像復元情報に基づき前記秘匿画像データに復元し、前記秘匿画像データに基づき、前記秘匿画像を前記表示部に表示する、
請求項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記秘匿画像取得モードでは、前記秘匿画像データを前記記憶部以外の領域に記憶すると共に、
前記秘匿画像表示モードでは、前記記憶部以外の領域に記憶している前記秘匿画像データに基づき、前記秘匿画像を前記表示部に表示する、
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記変更画像データは、前記オペレーティングシステムが画像データであると認識が可能なデータ形式である、
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記秘匿画像が存在することを示す画像は、前記秘匿画像が存在することをユーザが認識できる画像である
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記変更画像は、前記秘匿画像の少なくとも一部が黒の画像である
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記変更画像は、モザイク画像である
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記変更画像は、前記管理アプリケーションプログラムにより取得された画像であることを表す情報またはマークを表す画像である
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置の記憶部に記憶された変更画像データに対し、秘匿画像の表示を可能なデータ形式に変更するための画像復元情報を提供する提供部と、
を備えた画像処理システム。
【請求項13】
オペレーティングシステム上で動作する画像取得アプリケーションプログラムにより画像を表す画像データを取得し、取得された前記画像データを含む前記オペレーティングシステムによって管理される全ての画像データを記憶部に記憶させ、前記全ての画像データに基づき画像を表示部に表示する処理を含み、
前記オペレーティングシステム上で動作する管理アプリケーションプログラムにより、秘匿画像取得モードでは、秘匿画像を表す秘匿画像データを取得させ、前記秘匿画像の代替として前記表示部に表示されることで前記秘匿画像が存在することを示す画像であって、前記秘匿画像と少なくとも一部が異なる変更画像を表す変更画像データに前記秘匿画像データを変更し、前記変更画像データを前記記憶部に記憶し、
秘匿画像表示モードでは、前記管理アプリケーションプログラムの動作時にのみ、前記秘匿画像データに基づき、前記秘匿画像を前記表示部に表示する
処理をコンピュータに実行させる画像処理方法。
【請求項14】
オペレーティングシステム上で動作する画像取得アプリケーションプログラムにより画像を表す画像データを取得し、取得された前記画像データを含む前記オペレーティングシステムによって管理される全ての画像データを記憶部に記憶させ、前記全ての画像データに基づき画像を表示部に表示する処理を含み、
前記オペレーティングシステム上で動作する管理アプリケーションプログラムにより、秘匿画像取得モードでは、秘匿画像を表す秘匿画像データを取得させ、前記秘匿画像の代替として前記表示部に表示されることで前記秘匿画像が存在することを示す画像であって、前記秘匿画像と少なくとも一部が異なる変更画像を表す変更画像データに前記秘匿画像データを変更し、前記変更画像データを前記記憶部に記憶し、
秘匿画像表示モードでは、前記管理アプリケーションプログラムの動作時にのみ、前記秘匿画像データに基づき、前記秘匿画像を前記表示部に表示する
処理をコンピュータに実行させるための画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法、及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、オペレーティングシステム上で動作する画像取得アプリケーションプログラムにより取得された画像データ等、種々の画像データを、当該オペレーティングシステムが管理する記憶部に記憶させることが行われている。
【0003】
画像データを記憶部に記憶させる際の技術として、画像データが表す画像の表示に関わる技術がある。例えば、特許文献1には、画像取得アプリケーションプログラムにより取得された画像データが表す画像を編集した後、記憶部に記憶させる技術が記載されている。特許文献1に記載の技術では、編集前の画像または、編集後の画像を表示部に表示させることができる。
【0004】
また例えば、特許文献2には、管理アプリケーションプログラムにより利用される機密データを暗号化して記憶部に記憶させる技術が記載されている。特許文献2に記載の技術によれば、暗号化された機密データを複合化することにより、機密データが表す画像を表示部に表示させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5652447号公報
【文献】特許第4690226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び特許文献2の技術によれば、編集や暗号化された画像データが記憶部に記憶されることにより、画像データ(機密データ)が表す画像が表示部に表示されることが制限される。しかしながら、特許文献1の技術では編集前の画像が表示されるため、第三者による閲覧が好ましくない画像等、ユーザが秘匿したい秘匿画像が表示部に表示されてしまう場合がある。また、特許文献2の技術では暗号化された機密データを複合化する作業が必要なため、編集前の画像を表示することが煩雑である。
【0007】
本開示は、秘匿したい秘匿画像の表示を適切に抑制することができ、且つ、特定の条件では簡単に秘匿画像を表示できる、画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法、及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様の画像処理装置は、オペレーティングシステム上で動作する画像取得アプリケーションプログラムにより画像を表す画像データを取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記画像データを含む前記オペレーティングシステムによって管理される全ての画像データを記憶する記憶部と、前記全ての画像データに基づき画像を表示する表示部と、を備え、前記オペレーティングシステム上で動作する管理アプリケーションプログラムを更に有し、前記管理アプリケーションプログラムは、前記取得部に秘匿画像を表す秘匿画像データを取得させ、前記秘匿画像の代替として前記表示部に表示されることで前記秘匿画像が存在することを示す画像であって、前記秘匿画像と少なくとも一部が異なる変更画像を表す変更画像データに前記秘匿画像データを変更し、前記変更画像データを前記記憶部に記憶する秘匿画像取得モードと、前記管理アプリケーションプログラムの動作時にのみ、前記秘匿画像データに基づき、前記秘匿画像を前記表示部に表示する秘匿画像表示モードと、を含む。
【0009】
本開示の第2の態様の画像処理装置は、第1の態様の画像処理装置において、前記秘匿画像表示モード以外では、前記記憶部に記憶されている前記変更画像データに基づいて前記変更画像を前記秘匿画像に代替して前記表示部に表示する。
【0010】
本開示の第3の態様の画像処理装置は、第2の態様の画像処理装置において、前記変更画像データが前記表示部において変更画像として表示が可能な画像データである場合、前記管理アプリケーションプログラムの動作時以外では、前記任意の画像として前記表示部は前記変更画像データに基づいて前記変更画像を表示する。
【0012】
本開示の第の態様の画像処理装置は、第1の態様から第の態様のいずれか1態様の画像処理装置において、前記変更画像データは、予め定められた処理を行った場合に、前記秘匿画像そのものの表示が可能なように復元できるデータ形式である。
【0013】
本開示の第の態様の画像処理装置は、第の態様の画像処理装置において、前記管理アプリケーションプログラムは変更画像を前記秘匿画像に復元するための画像復元情報を更に備え、前記秘匿画像表示モードでは、前記記憶部に記憶されている前記変更画像データを、前記画像復元情報に基づき前記秘匿画像データに復元し、前記秘匿画像データに基づき、前記秘匿画像を前記表示部に表示する。
【0014】
本開示の第の態様の画像処理装置は、第1の態様から第の態様のいずれか1態様の画像処理装置において、前記秘匿画像取得モードでは、前記秘匿画像データを前記記憶部以外の領域に記憶すると共に、前記秘匿画像表示モードでは、前記記憶部以外の領域に記憶している前記秘匿画像データに基づき、前記秘匿画像を前記表示部に表示する。
【0015】
本開示の第の態様の画像処理装置は、第1の態様から第の態様のいずれか1態様の画像処理装置において、前記変更画像データは、前記オペレーティングシステムが画像データであると認識が可能なデータ形式である。
本開示の第8の態様の画像処理装置は、第1の態様から第8の態様のいずれか1態様の画像処理装置において、前記秘匿画像が存在することを示す画像は、前記秘匿画像が存在することをユーザが認識できる画像である。
本開示の第9の態様の画像処理装置は、第1の態様から第8の態様のいずれか1態様の画像処理装置において、前記変更画像は、前記秘匿画像の少なくとも一部が黒の画像である。
本開示の第10の態様の画像処理装置は、第1の態様から第8の態様のいずれか1態様の画像処理装置において、前記変更画像は、モザイク画像である。
本開示の第11の態様の画像処理装置は、第1の態様から第8の態様のいずれか1態様の画像処理装置において、前記変更画像は、前記管理アプリケーションプログラムにより取得された画像であることを表す情報またはマークを表す画像である。
【0016】
本開示の第12の態様の画像処理システムは、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の画像処理装置と、前記画像処理装置の記憶部に記憶された変更画像データに対し、秘匿画像の表示を可能なデータ形式に変更するための情報を提供する提供部と、を備える。
【0017】
本開示の第13の態様の画像処理方法は、オペレーティングシステム上で動作する画像取得アプリケーションプログラムにより画像を表す画像データを取得し、取得された前記画像データを含む前記オペレーティングシステムによって管理される全ての画像データを記憶部に記憶させ、前記全ての画像データに基づき画像を表示部に表示する処理を含み、前記オペレーティングシステム上で動作する管理アプリケーションプログラムにより、秘匿画像取得モードでは、秘匿画像を表す秘匿画像データを取得させ、前記秘匿画像の代替として前記表示部に表示されることで前記秘匿画像が存在することを示す画像であって、前記秘匿画像と少なくとも一部が異なる変更画像を表す変更画像データに前記秘匿画像データを変更し、前記変更画像データを前記記憶部に記憶し、秘匿画像表示モードでは、前記管理アプリケーションプログラムの動作時にのみ、前記秘匿画像データに基づき、前記秘匿画像を前記表示部に表示する処理をコンピュータに実行させる画像処理方法である。
【0018】
本開示の第14の態様の画像処理プログラムは、オペレーティングシステム上で動作する画像取得アプリケーションプログラムにより画像を表す画像データを取得し、取得された前記画像データを含む前記オペレーティングシステムによって管理される全ての画像データを記憶部に記憶させ、前記全ての画像データに基づき画像を表示部に表示する処理を含み、前記オペレーティングシステム上で動作する管理アプリケーションプログラムにより、秘匿画像取得モードでは、秘匿画像を表す秘匿画像データを取得させ、前記秘匿画像の代替として前記表示部に表示されることで前記秘匿画像が存在することを示す画像であって、前記秘匿画像と少なくとも一部が異なる変更画像を表す変更画像データに前記秘匿画像データを変更し、前記変更画像データを前記記憶部に記憶し、秘匿画像表示モードでは、前記管理アプリケーションプログラムの動作時にのみ、前記秘匿画像データに基づき、前記秘匿画像を前記表示部に表示する処理をコンピュータに実行させるための画像処理プログラムである。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、秘匿したい秘匿画像の表示を適切に抑制することができ、且つ、特定の条件では簡単に秘匿画像を表示できる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態の画像処理システムの概略構成の一例を示す構成図である。
図2】実施形態のスマートフォンのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3】実施形態のスマートフォンの機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図4】実施形態の画像記憶処理の一例を示すフローチャートである。
図5】実施形態の画像表示処理の一例を示すフローチャートである。
図6】実施形態の管理アプリケーションプログラムの動作時に制御部によって表示部に表示される画像の一例を説明するための説明図である。
図7A】実施形態のオペレーティングシステムの制御により制御部によって表示部に表示される画像の一例を説明するための説明図である。
図7B】実施形態のオペレーティングシステムの制御により制御部によって表示部に表示される画像の他の例を説明するための説明図である。
図7C】実施形態のオペレーティングシステムの制御により制御部によって表示部に表示される画像の他の例を説明するための説明図である。
図7D】実施形態のオペレーティングシステムの制御により制御部によって表示部に表示される画像の他の例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示の実施形態について詳細に説明する。本実施形態では、一例として、本開示の管理アプリケーションプログラムが、ユーザによるペットの健康の管理のために用いられる管理アプリケーションプログラムである形態について説明する。
【0022】
図1には、本実施形態の画像処理システム10の概略構成の一例を表す構成図を示す。図1に示すように、本実施形態の画像処理システム10は、スマートフォン12と、サーバ14と、を備える。スマートフォン12とサーバ14とは、無線通信または有線通信により、ネットワークNを介して通信が可能に接続されている。
【0023】
本実施形態のスマートフォン12は、ペットの健康の管理を行うユーザが、本開示の管理アプリケーションプログラムを利用して、ペットの健康の管理のために用いる機器である。なお、ペットの管理のために用いる機器は、本実施形態のようにスマートフォンとした形態に限らず、例えば、タブレット端末装置の携帯機器やデジタルカメラ等の形態であってもよい。
【0024】
図2を参照して、本実施形態のスマートフォン12のハードウェア構成の一例を説明する。図2に示すように、スマートフォン12は、CPU20、一時記憶領域としてのメモリ21、及び不揮発性の記憶部22を含む。また、スマートフォン12は、表示部24、操作部25、ネットワークNに接続し通信を行うための通信I/F部26、及びカメラとして機能する撮像部28を含む。CPU20、メモリ21、記憶部22、表示部24、操作部25、通信I/F部26、及び撮像部28は、バス39に接続される。
【0025】
記憶部22は、不揮発性の記憶部であり、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、及びフラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としての記憶部22には、オペレーティングシステム30(以下、「OS30」という)が記憶される。CPU20は、記憶部22からOS30を読み出してからメモリ21に展開し、OS30を実行することで、スマートフォン12の全体を制御する。OS30の例としては、iOS(登録商標)やAndroid(登録商標)等が挙げられる。なお、OS30は、上記のような現在知られているオペレーティングシステムに限定されず、今後開発されるオペレーティングシステムであってもよいことはいうまでもない。
【0026】
また、記憶部22には、アプリ記憶領域34を有しており、画像取得アプリケーションプログラム31(以下、「画像取得アプリ31」という)が記憶される。画像取得アプリ31は、OS30上で動作し、撮像部28を用いて撮像された画像を表す画像データを取得する機能を有している。
【0027】
また、記憶部22のアプリ記憶領域34には、ペットの健康の管理を行うためにユーザによって用いられる管理アプリケーションプログラム36(以下、「アプリ36」という)が記憶される。CPU20がアプリ36を読み出してからメモリ21に展開し、アプリ36を実行することで、OS30上で、アプリ36が動作し、後述の画像記憶処理や画像表示処理等が実行される。
【0028】
本実施形態のアプリ36は、ペットの健康の管理を行うために、ペットの健康に関する種々の記録を行う機能を有している。記録が可能な内容(データ)としては、例えば、各種検査の結果、血糖値、インスリンの投与状況、食事の内容、排泄物や吐瀉物の状態、ユーザの入力したメモ、及び体重等が挙げられ、それぞれ記録を行うためのモードが搭載されている。各モードにおいて記録されたデータは、アプリ記憶領域34に記憶される。これらのデータの記録方法としては、ユーザによる撮像部28を用いた被写体の撮像、及びユーザによる操作部25を用いた情報や各種指示の入力等が挙げられる。そのため、アプリ36の動作中に画像取得アプリ31によって撮像部28を用いて撮像された画像を表す画像データは、アプリ記憶領域34の画像データ記憶領域38に記憶される。なお、詳細は後述するが、当該画像データは、記憶部22の全画像データ記憶領域32にも記憶される。
【0029】
なお、全画像データ記憶領域32は、アプリ36の動作中に画像取得アプリ31によって撮像された画像を表す画像データのみならず、撮像部28によって撮像された全ての画像について、当該画像を表す画像データを記憶する領域である。全画像データ記憶領域32に記憶された画像データを表す画像は、OS30の制御により、表示部24に表示される。また、本実施形態のスマートフォン12では、全画像データ記憶領域32に記憶されている画像データは、所定間隔毎等、予め定められたタイミングで、ネットワークNを介してサーバ14に送信され、サーバ14においてバックアップされる。本実施形態の画像データ記憶領域32が、本開示の記憶部の一例である。
【0030】
表示部24は、例えば、液晶ディスプレイ等であり、ユーザに向けた各種情報や、撮像部28により撮像された画像等を表示する。また、操作部25は、複数のキーを含んで構成され、各種の情報や操作指示をユーザが入力する場合に用いられる。なお、本実施形態では、表示部24及び操作部25は、一体化された状態で、いわゆるタッチパネルディスプレイとして構成されている。
【0031】
図3を参照して、本開示の技術に関わる本実施形態のスマートフォン12の機能的な構成の一例について説明する。図3に示すように、本実施形態のスマートフォン12は、上記、記憶部22、表示部24、及び撮像部28と、取得部40及び制御部42と、を備える。本実施形態のスマートフォン12が、本開示の画像処理装置の一例である。
【0032】
取得部40は、画像取得アプリ31により動作し、ユーザが撮像部28を用いて被写体を撮像した画像を表す画像データを取得する機能を有する。また、本実施形態の取得部40は、画像を取得するモードとして、詳細を後述する秘匿画像を表す秘匿画像データを取得する秘匿画像取得モードを有する。
【0033】
制御部42は、記憶部22で記憶されている全ての画像データを管理する機能を有する。また、本実施形態の制御部42は、画像取得アプリ31の動作によって取得された全ての画像データを、記憶部22のアプリ記憶領域34の画像データ記憶領域38に記憶させる。この場合、制御部42は、アプリ36の動作時に当該画像データが表す画像そのものを表示部24に表示させることが可能な状態で記憶させる。
【0034】
また、制御部42は、画像取得アプリ31の動作によって取得された画像データに限らず、全ての画像データについて、全画像データ記憶領域32に画像データを記憶させる場合、取得部40により秘匿画像取得モードで取得された秘匿画像データについては、OS30が画像データであると認識が可能なデータ形式で、かつOS30の制御により当該画像データが表す画像そのものを表示部24に表示させることが不可能なデータ形式で記憶させる。具体的には、本実施形態の制御部42は、上記秘匿画像データを、表示部24で秘匿画像の表示が禁止される変更画像データに変更し、秘匿画像データの代わりに当該変更画像データを全画像データ記憶領域32に記憶させる。
【0035】
上述のように全画像データ記憶領域32には、アプリ36の動作時に画像取得アプリ31により取得された画像を表す画像データ以外の画像を表す画像データも記憶されている。本実施形態のスマートフォン12では、OS30の制御により全画像データ記憶領域32に記憶されている画像データが表す画像を表示部24に表示させる場合、全画像データ記憶領域32に記憶されている全ての画像データを、アプリ36の動作時に画像取得アプリ31により取得されたか画像データであるか否かについて区別することなく表示させる。
【0036】
例えば、アプリ36において、上述した排泄物や吐瀉物を記録するモードの場合、排泄物や吐瀉物を記録するため、ユーザは、これらを被写体として撮像部28により撮像を行う。排泄物や吐瀉物を被写体とした画像を表す画像データをそのまま全画像データ記憶領域32に記憶させてしまうと、OS30の制御により制御部42が画像を表示部24に表示させる場合、他の画像に混ざって、表示部24に表示される場合がある。しかしながら、排泄物や吐瀉物を被写体とした画像は、ペットの健康の管理の観点では重要な画像であるが、それ以外の場合や第三者には見苦しい画像と解される場合があり、日常的に表示されることは好まれない場合がある。そのため、本実施形態では、排泄物や吐瀉物を被写体とした画像を、不用意に表示されないように秘匿する秘匿画像の一例としている。また、取得部40が、排泄物や吐瀉物を撮影した秘匿画像を表す秘匿画像データを取得するモードを、秘匿画像取得モードの一例としている。
【0037】
そのため、上述のように本実施形態の制御部42は、アプリ36の動作時に画像を表示させる場合には、上述の排泄物や吐瀉物を被写体とした秘匿画像を含む、取得部40により取得された全ての画像そのものの表示が可能となるように、画像データ記憶領域38に全ての画像を表す画像データを記憶させる。従って、画像データ記憶領域38には、秘匿画像データと、その他の画像データとが記憶される。なお、画像データ記憶領域38に記憶されている画像データについて、秘匿画像データとその他の画像データとを区別せずに総称する場合、単に画像データという場合がある。
【0038】
一方、制御部42は、OS30の制御により画像を表示させる場合には、取得部40により取得された画像のうち、秘匿画像取得モードで取得された秘匿画像データについては、秘匿画像そのものの表示が禁止されるように秘匿画像データを変更画像データに変更する。そして、制御部42は、変更画像データを全画像データ記憶領域32に記憶させる。従って、全画像データ記憶領域32には、変更画像データとその他の画像データとが記憶される。また、全画像データ記憶領域32には、秘匿画像データは記憶されない。なお、全画像データ記憶領域32に記憶されている画像データについて、変更画像データとその他の画像データとを区別せずに総称する場合、単に画像データという場合がある。
【0039】
なお、秘匿画像とは、上述した排泄物や吐瀉物を撮影した画像に限定されず、アプリ36の動作時にのみ画像そのものの閲覧を可能とする画像であればよく、例えば、ユーザが秘匿することを所望とする画像であればよい。
【0040】
本実施形態では、上述のように、一例として、排泄物や吐瀉物を記録するモードにおいて、撮像された画像を秘匿画像としているが、当該モードにおいて撮像された画像に代えて、または、当該モードにより撮像された画像に加えて、他のモードにおいて撮像された画像を秘匿画像としてもよい。
【0041】
また、例えば、秘匿画像を特定するための秘匿条件を設定しておき、秘匿条件を満たす画像を秘匿画像とする形態としてもよい。例えば、特定の被写体が写る画像を秘匿画像とする旨の秘匿条件を設定しておき、制御部42が、アプリ36の動作時に取得された画像を表す画像データに対して画像解析を行い、画像に写る被写体を解析し、特定の被写体が写っていると判定した画像を、秘匿画像としてもよい。
【0042】
一方、サーバ14の例としては、いわゆるクラウドサーバ等のサーバコンピュータが挙げられる。サーバ14は、記憶部90を備える。記憶部90には、スマートフォン12からネットワークNを介して送信された、スマートフォン12の記憶部22の全画像データ記憶領域32に記憶されている画像データが画像データ92として記憶される。なお、この場合、画像データの送信元であるスマートフォン12または、スマートフォン12のユーザを識別するための識別子と対応付けた状態で、画像データを記憶する。また、記憶部90には、詳細を後述する、アプリ36によって秘匿された秘匿画像を復元するための画像復元情報94が記憶される。本実施形態の記憶部90が、本開示の提供部の一例であり、本実施形態の画像復元情報94が、本開示の、変更画像データに対し、秘匿画像の表示を可能なデータ形式に変更するための情報の一例である。
【0043】
次に、本実施形態の作用について説明する。操作部25を操作してユーザがアプリ36の実行を指示すると、上述したように、OS30上でアプリ36が動作する。ユーザは、アプリ36を動作させた後、必要に応じて、操作部25を用いて上述のモードを選択する。
【0044】
本実施形態では、CPU20がアプリ36の動作時に、撮像部28を用いた画像取得アプリ31の撮像機能が起動した場合、図4に一例を示す画像記憶処理がCPU20により実行される。図4は、本実施形態のスマートフォン12のCPU20によって実行される画像記憶処理の流れの一例を表したフローチャートである。
【0045】
図4のステップS100で取得部40は、撮像部28を用いた撮像が完了したか否かを判定する。ユーザによる撮像部28を用いた撮像が完了するまで、ステップS100の判定が否定判定となる。一方、ユーザによる撮像部28を用いた撮像が完了した場合、具体的には、スマートフォン12のシャッターボタン(図示省略)がユーザにより押され、撮像部28により撮像された画像データを取得部40が取得した場合、ステップS100の判定が肯定判定となり、ステップS102へ移行する。
【0046】
ステップS102で制御部42は、取得部40が取得した画像データを、画像データ記憶領域38に記憶させる。
【0047】
次のステップS104で制御部42は、取得部40が取得した画像データが、秘匿画像取得モードで取得された秘匿画像データであるか否かを判定する。本実施形態では、上述したように一例として、取得部40が、排泄物や吐瀉物を記録するモードにおいて撮像された秘匿画像を表す秘匿画像データを取得したか否かを判定する。取得部40が取得した画像データが、排泄物や吐瀉物を記録するモード以外のモード、例えば、食事の内容を記録するモードにおいて撮像された画像の画像データである場合、秘匿画像取得モード以外のモードで取得された画像データであり、秘匿画像データではないため、ステップS104の判定が否定判定となり、ステップS106へ移行する。
【0048】
ステップS106で制御部42は、取得部40が取得した画像データをそのまま全画像データ記憶領域32に記憶させた後、ステップS112へ移行する。
【0049】
一方、取得部40が取得した画像データが、秘匿画像取得モードで取得された画像データである場合、換言すると排泄物や吐瀉物を記録するモードにおいて撮像された秘匿画像を表す秘匿画像データである場合、ステップS104の判定が肯定判定となり、ステップS108へ移行する。ステップS108で制御部42は、秘匿画像データに対して秘匿化処理を行い、秘匿画像データを、秘匿画像データが表す秘匿画像が表示部24に表示されることが禁止される変更画像データに変更する。換言すると、制御部42は、取得した秘匿画像データが表す秘匿画像そのものをユーザにより視認することが不可能な変更データに変更するための秘匿化処理を行う。
【0050】
秘匿画像データを変更画像データに変更する秘匿化処理の処理内容は特に限定されない。OS30の制御により制御部42が、変更画像データが表す変更画像を表示部24に表示させる場合に、秘匿画像そのものの表示が禁止されるが、秘匿画像そのものの表示を可能とするために変更画像データから秘匿画像データに復元が可能な処理であればよい。本実施形態において秘匿化処理を施された変更画像データを復元する処理が、本開示の予め定められた処理の一例である。本実施形態では、秘匿画像復元モードとして、画像復元情報94に基づいて、予め定められた処理を行うことにより、変更画像データを秘匿画像データへ復元することができる。画像復元情報94及び予め定められた処理の具体例については詳細を後述する。
【0051】
なお、秘匿化処理を施された変更画像データは、全画像データ記憶領域32に記憶され、OS30により画像データとして扱われるように、OS30において、画像データとして認識が可能なデータ形式とすることが好ましい。そのため、秘匿化処理の具体的な処理内容等は、OS30に依存し、OS30が提供する環境に準拠したデータ形式を用いる。
【0052】
秘匿化処理の形態には、主に以下の四つの形態が挙げられる。
一つ目は、秘匿画像データを、OS30により画像データとしては認識されるが、OS30の制御では制御部42によって秘匿画像としての表示ができない状態の変更画像データに変更する形態である。この形態の例としては、秘匿画像データのヘッダ情報の任意の部分(文字)を所定の文字に置き換える場合が挙げられる。具体例としては、OS30がAndroid(登録商標)の場合、JPEG(Joint Photographic Experts Group)形式の画像データのヘッダ情報を1バイト加工した場合、真っ黒の画像が表示される状態にすることができる。この形態の別の例としては、対象のOSでは秘匿画像として表示できない拡張子に、秘匿画像データの拡張子を変更する場合が挙げられる。具体例としては、JPEG形式では表示できるが、BMP形式では表示できない場合には、秘匿画像データの拡張子を.jpgから.bmpに変更することができる。これによって、秘匿画像取得モード以外において、表示部24では秘匿画像として表示されないようになる。
【0053】
二つ目は、秘匿画像データを、秘匿画像と少なくとも一部が異なる画像が表示される変更画像データに変更する形態である。この形態の例としては、画像編集を行う形態が挙げられ、例えば、取得部40が取得した秘匿画像のサイズを上下方向(主として上側)に拡大し、広げた領域にベタ(黒)画像を加えたり、アプリ36により取得された画像であることを表す情報を埋め込んだりする形態が挙げられる。また例えば、秘匿画像を、解像度を低下させる等、復元可能な形式で劣化させる形態や、秘匿画像にモザイクを施す形態が挙げられる。これによって、秘匿画像取得モード以外において、表示部24では秘匿画像として表示されないようになる。
【0054】
三つ目は、秘匿画像データを、秘匿画像と異なる任意の画像が表示される変更画像データに変更する形態である。例えば、秘匿画像に重畳する等して、アプリ36に取得された画像であることを表す情報やマークを表す画像が秘匿画像の代替として表示される変更画像データに変更する形態である。これによって、秘匿画像取得モード以外において、表示部24では秘匿画像として表示されないようになる。
【0055】
四つ目は、秘匿画像データを、画像データ記憶領域32以外の記憶部に記憶する形態である。この形態の例としては、秘匿画像データと変更画像データとを対応付けておき、秘匿画像データは、画像データ記憶領域32以外の記憶部に記憶させ、変更画像データは、画像データ記憶領域32に記憶させる形態が挙げられる。この場合、変更画像データとしては、例えば、上記一つ目~三つ目の説明で挙げた変更画像データを適用してもよい。また、秘匿画像データを記憶させる画像データ記憶領域32以外の記憶部は、例えば、記憶部22内の他の領域であってもよいし、スマートフォン12が他の記憶部を備える場合は当該記憶部であってもよい。また、例えば、スマートフォン12に着脱可能なSD(Secure Digital)カードであってもよいが、この場合、スマートフォン12にSDカードが装着されている場合のみ、秘匿画像データの表示が可能になる。また、例えば、スマートフォン12の外部の装置、例えばサーバ14等の装置が有する記憶部であってもよい。また、秘匿画像データと変更画像データとを対応付ける形態は、特に限定されないが例えば、同様の識別番号を付与する形態や、変更画像データに、対応する秘匿画像データを識別する識別情報を付与する形態等が挙げられる。これによって、秘匿画像取得モード以外において、表示部24では秘匿画像として表示されないようになる。
【0056】
次のステップS110で制御部42は、上記ステップS108で秘匿化処理を行うことにより得られた変更画像データを全画像データ記憶領域32に記憶させる。加えて、上述したように秘匿画像取得モードで取得された秘匿画像を表す秘匿画像データを画像データ記憶領域32以外の記憶部に記憶することもできる。この場合、秘匿画像取得モード以外において、表示部24では画像データ記憶領域32以外の記憶部に記憶された秘匿画像データに基づいて秘匿画像を表示することはできない状態でオペレーティングシステム上に記憶されることになる。また、例えば、全画像データ記憶領域32に記憶される全ての画像データの各々に付与される画像番号、または撮像部28を用いて得られた全ての画像データの各々に付与される画像番号について、秘匿画像取得モードで取得された画像に付与される画像番号を、その他の画像データと異なる特有の形式の番号とし、秘匿画像取得モード以外において、表示できないように制御を加えるようにしてもよい。
【0057】
次のステップS112で制御部42は、本画像記憶処理を終了するか否かを判定する。本実施形態の制御部42は、一例として、撮像部28を用いた撮像機能が停止した場合、及びアプリ36の動作が終了した場合の少なくとも一方を満たす場合に本画像記憶処理を終了すると判定する。そのため、撮像機能が停止した場合、及びアプリ36の動作が終了した場合の少なくとも一方を満たすまで、ステップS112の判定が否定判定となり、ステップS100に戻り、上記ステップS102~S110の各処理を繰り返す。一方、撮像機能が停止した場合、及びアプリ36の動作が終了した場合の少なくとも一方を満たす場合、ステップS112の判定が肯定判定となり、本画像記憶処理を終了する。
【0058】
次に、アプリ36の動作時に、画像データ記憶領域38に記憶されている画像データが表す画像の表示を行う場合に、CPU20により実行される画像表示処理について説明する。CPU20がアプリ36の動作時に、ユーザが操作部25を用いて画像の表示を指示した場合、図5に一例を示す画像表示処理がCPU20により実行される。図5は、本実施形態のスマートフォン12のCPU20によって実行される画像表示処理の流れの一例を表したフローチャートである。
【0059】
ステップS120で制御部42は、操作部25を用いてユーザにより指示された画像に対応する画像データを画像データ記憶領域38から取得する。次のステップS122で制御部42は、ステップS120で取得した画像データが表す画像を、表示部24に表示させた後、本画像表示処理を終了する。本実施形態の画像表示処理が、本開示の秘匿画像表示モードにおける処理の一例である。
【0060】
図6には、制御部42によって、表示部24に表示される画像の一例を示す。図6では、一例として、撮像部28を用いて撮像されて取得部40により取得された、8つの画像に対応するサムネイル画像である画像100~100が一覧表示された状態を示している。図6に示した画像のうち、秘匿画像100、100、100、及び100が、排泄物や吐瀉物を記録するモードにおいて撮像され、取得部40により秘匿画像取得モードで取得された秘匿画像に対応しており、画像100、100、100、及び100が、その他のモードにおいて取得部40により取得された画像に対応している。このように、アプリ36の動作時に、制御部42の制御によって表示部24に画像データ記憶領域38に記憶された画像データが表す画像を表示させる場合、アプリ36の動作時に取得部40によって取得された全ての画像を、そのまま表示することが可能となる。なお、図6には、サムネイル画像を一覧表示させた形態を示したが、その他の形態、例えば、画像そのものを1枚ずつ順次、表示させる形態にも対応していることはいうまでもない。
【0061】
一方、図7A図7Cには、OS30の制御下において、制御部42が、全画像データ記憶領域32に記憶されている画像データが表す画像を表示部24に表示させた場合に、表示部24に表示される画像の一例を示す。一例として、図7A図7Cでは、全画像データ記憶領域32に、アプリ36によって取得された、上記8つの画像と、アプリ36以外のプログラム(図示省略)により取得された8つの画像と、合計16個の画像を表す画像データの各々が記憶されている場合に、これらの画像に対応するサムネイル画像が表示部24に一覧表示された状態を示している。図7A図7Cに示した画像のうち、画像110~110が、アプリ36以外のプログラムにより取得された画像に対応するするサムネイル画像である。
【0062】
図7Aに示した例では、秘匿画像100、100、100、及び100に代わり、秘匿化処理によりヘッダ情報の任意の部分が書き換えられた場合の変更画像データに応じた黒画像である任意の画像102、102、102、及び102が表示部24に表示された状態を示している。図7Aに示した例では、秘匿画像に代わり任意の画像が表示されるため、アプリ36によって取得された秘匿画像が存在することをユーザが認識できる。
【0063】
また、図7Bに示した例では、秘匿画像100、100、100、及び100に代わり、秘匿化処理によりモザイクが施された場合の変更画像データに応じたモザイク画像である任意の画像103、103、103、及び103が表示部24に表示された状態を示している。図7Aに示した例では、秘匿画像に代わり任意の画像が表示されるため、アプリ36によって取得された秘匿画像が存在することをユーザが認識できる。
【0064】
また、図7Cに示した例では、秘匿画像100、100、100、及び100に代わり、秘匿化処理によりアプリ36によって取得されたことを表す任意の画像された場合の変更画像データに応じた任意の画像104、104、104、及び104が表示部24に表示された状態を示している。図7C示した例では、秘匿画像に代わり任意の画像が表示されるため、アプリ36によって取得された秘匿画像が存在することをユーザが認識できる。
【0065】
なお、上記図7A図7Cn例示した形態に限定されず、例えば、図7Dに示すように、秘匿画像データに応じた秘匿画像100、100、100、及び100が、表示部24に表示されない形態としてもよい。換言すると、図7Dは、変更画像データに応じた変更画像が表示部24に表示されない状態を示している。
【0066】
このように、本実施形態のスマートフォン12によれば、OS30の制御により、全画像データ記憶領域32に記憶されている画像データに応じた画像を表示部24に表示させる場合、アプリ36の動作時に取得された画像のうち、秘匿画像について、秘匿画像そのものが表示部24に表示されない状態とすることができる。
【0067】
以上説明したように、本実施形態のスマートフォン12は、OS30上で動作する画像取得アプリ31により画像を表す画像データを取得する取得部40と、取得部40によって取得された画像データを含むOS30によって管理される全ての画像データを記憶する画像データ記憶領域32と、全ての画像データに基づき画像を表示する表示部24と、を備え、OS30上で動作するアプリ36を更に有す。アプリ36は、取得部40に秘匿画像を表す秘匿画像データを取得させ、秘匿画像データを表示部24では秘匿画像として表示されない変更画像データに変更し、変更画像データを全画像データ記憶領域32に記憶する秘匿画像取得モードと、アプリ36の動作時にのみ、秘匿画像データに基づき、秘匿画像を表示部24に表示する秘匿画像表示モードと、を含む。本実施形態によれば、画像復元情報94に基づいて、変更画像データを秘匿画像データに復元することができる。
【0068】
スマートフォン12を上記の形態とすることにより、秘匿画像取得モードで取得部40により取得された秘匿画像について、秘匿したい画像そのものの表示をOS30の制御では不可能とすることができる。また、本実施形態のスマートフォン12では、変更画像データを秘匿画像データに復元しなくとも、アプリ36の同動作時には、秘匿画像データに基づき、秘匿画像を表示することができる。従って、本実施形態のスマートフォン12によれば、秘匿したい秘匿画像の表示を適切に抑制することができ、且つ、アプリ36の動作時という特定の条件では簡単に秘匿画像を表示できる。
【0069】
また、本実施形態のスマートフォン12によれば、OS30が管理する全画像データ記憶領域32に、アプリ36により取得された画像を表す全ての画像データが記憶されているため、上述のように、ネットワークNを介してサーバ14の記憶部90に、画像データ92としてバックアップを可能とすることができる。
【0070】
なお、上述したように、上記秘匿化処理(図4、ステップS108参照)を施された変更画像データは、秘匿画像データに復元が可能である。本実施形態の画像処理システム10では、この復元に関する情報は、サーバ14の記憶部90に画像復元情報94として記憶されている。
【0071】
例えば、秘匿化処理の形態が上述した一つ目の形態の場合であり、秘匿画像のヘッダ情報が一部置き換えられた変更画像データの場合、どのようにヘッダ情報を置き換えたのか、またはどのようにヘッダ情報を修正すればよいのかを表す情報を画像復元情報94とすればよい。この場合、画像復元情報94に基づいて、変更画像データのヘッダ情報を書き換えることにより、変更画像データを秘匿画像データに復元できる。
【0072】
また、例えば、秘匿化処理の形態が上述した二つ目の形態の場合であり、変更画像データが、秘匿画像を画像編集した画像データである場合、どのように編集を行ったのか、またはどのように編集前の画像に戻せばよいのかを表す情報を画像復元情報94とすればよい。この場合、画像復元情報94に基づいて、変更画像データに対して、いわゆるリバースを加えることにより、変更画像データを秘匿画像データに復元できる。
【0073】
また、例えば、秘匿化処理の形態が上述した三つ目の形態の場合であり、変更画像データが、秘匿画像に任意の画像を重畳する画像データである場合、どのように重畳されているのか、または重畳を外すにはどのようにすればよいのかを表す情報を画像復元情報94とすればよい。この場合、画像復元情報94に基づいて、重畳されている画像を外す処理を行うことにより、変更画像データを秘匿画像データに復元できる。
【0074】
また例えば、秘匿化処理の形態が上述した四つ目の形態の場合であり、外部の記憶部に秘匿画像データが記憶されている場合、秘匿画像データと変更画像データとの対応関係を表す情報を画像復元情報94とすればよい。この場合、画像復元情報94に基づいて、画像データ記憶領域32に記憶されている変更画像データに対応する秘匿画像データを取得して表示することにより、変更画像データを秘匿画像データに復元できる。
【0075】
画像復元情報94を用いて変更画像データを秘匿画像データに復元する方法について、具体的な方法は特に限定されない。スマートフォン12の操作部25を用いてユーザが指示することにより、スマートフォン12や、サーバ14により、自動的に画像復元情報94を用いて、全画像データ記憶領域32内に記憶されている変更画像データを秘匿画像データに復元する形態としてもよい。また例えば、ユーザがサーバ14の画像復元情報94を参照し、エディタ等の機能を利用し、操作部25を用いて変更画像データのヘッダ情報を書き換える等して、秘匿画像データに復元を行う形態であってもよい。
【0076】
このように秘匿化された変更画像データの秘匿画像データへの復元を可能とすることにより、アプリ36の有無によらず、アプリ36により取得した全ての画像そのものの表示を可能とすることができる。例えば、スマートフォン12からアプリ36を削除(アンインストール)したことにより、アプリ記憶領域34内のデータが全て削除された場合でも、アプリ36により取得された画像データは、全画像データ記憶領域32に記憶されたままとなる。全画像データ記憶領域32に記憶されている変更画像データを秘匿画像データに復元することにより、秘匿画像データが表す画像データも表示部24に表示させることができる。
【0077】
なお、ユーザは、秘匿画像を取得したスマートフォン12以外の機器(各種携帯機器の他、パーソナルコンピュータ等)において、変更画像データを秘匿画像データに復元してもよい。上述したように、サーバ14には、画像データ92として、スマートフォン12の全画像データ記憶領域32内の画像データがバックアップされている。そのため、ユーザは、サーバ14の記憶部90に記憶されている画像データ92のうち、アプリ36により取得した画像を表す画像データを取得し、変更画像データについては、画像復元情報94を用いて秘匿画像データに復元すればよい。
【0078】
なお、アプリ36は、スマートフォン12からアプリ36を削除(アンインストール)する場合、削除の実行を行う前に、全画像データ記憶領域32に記憶されている変更画像データを、ユーザの指示に応じて秘匿画像データに復元する機能を有していてもよい。
【0079】
また、本実施形態では、アプリ36が、ペットの健康の管理のための管理アプリケーションプログラムである形態について説明したが、アプリ36は当該形態に限定されない。例えば、アプリ36は、人間の健康の管理のための管理アプリケーションプログラムであってもよい。また例えば、アプリ36は、免許証等の個人情報に関わる画像を利用する管理アプリケーションプログラムであってもよい。この場合、個人情報に関わる画像を、秘匿画像として扱うことができるため、秘匿したい秘匿画像の表示を適切に抑制することができる。このように、本開示の技術は、ユーザが秘匿したいと所望する秘匿画像を取得し、秘匿画像の画像データを含む複数の画像データを管理し、管理している画像データに基づいて画像の表示を行う装置全般について、適用することができる。
【0080】
また、本実施形態では、取得部40が取得する画像データが、撮像部28により撮像された画像を表す画像データである形態について説明したが、画像データは、撮像部28による撮像によって得られた画像データに限定されない。例えば、取得部40が取得する画像データは、スマートフォン12が描画機能を有する場合、操作部25を用いて当該描画機能によりユーザが描いたイラスト等の画像を表す画像データであってもよい。
【0081】
また、本実施形態でCPU20がOS30及びアプリ36の各々を実行することにより実行した各種処理を、CPU20以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(field-programmable gate array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、上記各種処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0082】
また、本実施形態では、アプリ36が記憶部22に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。アプリ36は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。また、アプリ36は、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。
【0083】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0084】
10 画像処理システム
12 スマートフォン
14 サーバ
20 CPU
22 記憶部
24 表示部
28 撮像部
30 オペレーティングシステム(OS)
31 画像取得アプリケーションプログラム(画像取得アプリ)
32 全画像データ記憶領域
34 アプリ記憶領域
36 管理アプリケーションプログラム(アプリ)
38 画像データ記憶領域
40 取得部
42 制御部
94 画像復元情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D