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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-29
(45)【発行日】2023-04-06
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20230330BHJP
   H01R 12/58 20110101ALI20230330BHJP
【FI】
H01R12/71
H01R12/58
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018204652
(22)【出願日】2018-10-31
(65)【公開番号】P2020071977
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】591043064
【氏名又は名称】モレックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 直俊
(72)【発明者】
【氏名】秋山 茂
(72)【発明者】
【氏名】金子 智也
(72)【発明者】
【氏名】小林 大記
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-311092(JP,A)
【文献】特開2015-072848(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0255722(US,A1)
【文献】特開平08-171955(JP,A)
【文献】特開2012-094452(JP,A)
【文献】特開2015-46394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00-12/91
H01R24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)端子と、該端子を保持するハウジングとを備え、液状のポッティング剤が付与される基板に実装されるコネクタであって、
(b)前記ハウジングは、相手方コネクタと嵌合する嵌合凹部と、前記端子が圧入される端子圧入孔が形成された底板部とを含み、該底板部は、上面における前記端子圧入孔の周囲に形成された凹部を含み、
(c)前記端子は、前記嵌合凹部内で前記相手方コネクタの相手方端子と接触する接触部と、前記底板部の下方に露出して前記基板に接続される基板接続部と、前記端子圧入孔に収容されて保持される保持部とを含み、
(d)該保持部は、前記端子圧入孔の側面と密着して第1シール部と第2シール部とをそれぞれ構成する端子側第1シール部と端子側第2シール部とを含むとともに、前記第1シール部と第2シール部との間において前記端子圧入孔の側面に食込む突起部を含むアンカー部を含み、前記端子側第1シール部は、端子側第2シール部よりも下方に位置し
(e)前記端子側第1シール部は、前記端子側第2シール部よりも幅方向及び厚さ方向の寸法が小さく、前記保持部は端子圧入孔に対して上方から下方に向けて圧入されることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
(a)端子と、該端子を保持するハウジングとを備え、液状のポッティング剤が付与される基板に実装されるコネクタであって、
(b)前記ハウジングは、相手方コネクタと嵌合する嵌合凹部と、前記端子が圧入される端子圧入孔が形成された底板部とを含み、該底板部は、上面における前記端子圧入孔の周囲に形成された凹部を含み、
(c)前記端子は、前記嵌合凹部内で前記相手方コネクタの相手方端子と接触する接触部と、前記底板部の下方に露出して前記基板に接続される基板接続部と、前記端子圧入孔に収容されて保持される保持部とを含み、
(d)該保持部は、前記端子圧入孔の側面と密着して第1シール部と第2シール部とをそれぞれ構成する端子側第1シール部と端子側第2シール部とを含むとともに、前記第1シール部と第2シール部との間において前記端子圧入孔の側面に食込む突起部を含むアンカー部を含み、前記端子側第1シール部は、端子側第2シール部よりも下方に位置し
(e)前記端子側第1シール部は、前記端子側第2シール部よりも幅方向及び厚さ方向の寸法が大きく、前記保持部は端子圧入孔に対して下方から上方に向けて圧入されることを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
前記端子側第1シール部と端子側第2シール部とは、締まり嵌めによって前記端子圧入孔に保持される請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記底板部は、上面に形成されたポッティング剤溜まりを含む請求項1~のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記第1シール部の上端に隣接して第1バリ収容部が形成され、前記第2シール部の上端に隣接して第2バリ収容部が形成されている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記第1シール部の下端に隣接して第1バリ収容部が形成され、前記第2シール部の下端に隣接して第2バリ収容部が形成されている請求項2に記載のコネクタ。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1項に記載のコネクタと、該コネクタと嵌合する相手方コネクタとを有するコネクタセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、回路基板等の基板に実装されるコネクタにおいては、はんだ付けによって端子と基板の接続パッドとを固定して接続する際に、はんだの濡れ性を向上させるために使用されるフラックスが端子の表面に沿って上昇することを防止するために、コネクタのハウジングに形成された端子の圧入部と端子の周囲とを密着させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図13は従来のコネクタにおける端子の保持部を示す断面図である。
【0004】
図において、811はコネクタのハウジングであり、812はハウジング811の底板であり、813は端子圧入孔であって、底板812を貫通する貫通孔である。また、851はコネクタに装填された端子であって、保持部853が端子圧入孔813に圧入されることによって、底板812に保持される。そして、端子851の下端に形成された基板接続部852は、底板812から下方に突出し、回路基板等の基板891に形成されたスルーホール892に挿入され、はんだ付によってスルーホール892に電気的に接続され、かつ、固定されている。
【0005】
ここで、端子圧入孔813の下部内壁815の内側寸法は、端子851の保持部853の外側寸法より小さく設定されている。これにより、保持部853の全周が下部内壁815に密着し、基板接続部852を介して上昇するフラックスが端子851の上端にまで到達することを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開平6-079074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来のコネクタにおいては、少量のフラックスが上昇することを防止することができても、基板891の表面に付与されたポッティング剤が上昇することを効果的に防止することはできなかった。近年、絶縁や防湿のために、回路基板等の基板891の表面をウレタン等の樹脂から成るポッティング剤で覆うことが行われている。ポッティング剤は、通常、液体の状態で付与された後に硬化されるようになっている。そのため、基板891の表面に実装されたコネクタのハウジング811における底板812の周囲は、多量の液状のポッティング剤で囲まれた状態となり、ポッティング剤が端子851の保持部853と端子圧入孔813との間を通って上昇する可能性が高くなってしまう。
【0008】
ここでは、前記従来のコネクタの問題点を解決して、小型で簡素な構成でありながら、端子の保持部と底板部の端子圧入孔との間を通ってポッティング剤が上昇し、端子の接触部に付着することを確実に防止することができるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのために、コネクタにおいては、端子と、該端子を保持するハウジングとを備え、液状のポッティング剤が付与される基板に実装されるコネクタであって、前記ハウジングは、相手方コネクタと嵌合する嵌合凹部と、前記端子が圧入される端子圧入孔が形成された底板部とを含み、該底板部は、上面における前記端子圧入孔の周囲に形成された凹部を含み、前記端子は、前記嵌合凹部内で前記相手方コネクタの相手方端子と接触する接触部と、前記底板部の下方に露出して前記基板に接続される基板接続部と、前記端子圧入孔に収容されて保持される保持部とを含み、該保持部は、前記端子圧入孔の側面と密着して第1シール部と第2シール部とをそれぞれ構成する端子側第1シール部と端子側第2シール部とを含むとともに、前記第1シール部と第2シール部との間において前記端子圧入孔の側面に食込む突起部を含むアンカー部を含み、前記端子側第1シール部は、端子側第2シール部よりも下方に位置し、前記端子側第1シール部は、前記端子側第2シール部よりも幅方向及び厚さ方向の寸法が小さく、前記保持部は端子圧入孔に対して上方から下方に向けて圧入される。
他のコネクタにおいては、端子と、該端子を保持するハウジングとを備え、液状のポッティング剤が付与される基板に実装されるコネクタであって、前記ハウジングは、相手方コネクタと嵌合する嵌合凹部と、前記端子が圧入される端子圧入孔が形成された底板部とを含み、該底板部は、上面における前記端子圧入孔の周囲に形成された凹部を含み、前記端子は、前記嵌合凹部内で前記相手方コネクタの相手方端子と接触する接触部と、前記底板部の下方に露出して前記基板に接続される基板接続部と、前記端子圧入孔に収容されて保持される保持部とを含み、該保持部は、前記端子圧入孔の側面と密着して第1シール部と第2シール部とをそれぞれ構成する端子側第1シール部と端子側第2シール部とを含むとともに、前記第1シール部と第2シール部との間において前記端子圧入孔の側面に食込む突起部を含むアンカー部を含み、前記端子側第1シール部は、端子側第2シール部よりも下方に位置し、前記端子側第1シール部は、前記端子側第2シール部よりも幅方向及び厚さ方向の寸法が大きく、前記保持部は端子圧入孔に対して下方から上方に向けて圧入される。
【0011】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記端子側第1シール部と端子側第2シール部とは、締まり嵌めによって前記端子圧入孔に保持される。
【0012】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記底板部は、上面に形成されたポッティング剤溜まりを含む。
【0014】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記第1シール部の上端に隣接して第1バリ収容部が形成され、前記第2シール部の上端に隣接して第2バリ収容部が形成されている。
【0016】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記第1シール部の下端に隣接して第1バリ収容部が形成され、前記第2シール部の下端に隣接して第2バリ収容部が形成されている。
【0017】
コネクタセットにおいては、前記コネクタと、該コネクタと嵌合する相手方コネクタとを有する。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、コネクタは、小型で簡素な構成でありながら、端子の保持部と底板部の端子圧入孔との間を通ってポッティング剤が上昇し、端子の接触部に付着することを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施の形態における基板用コネクタが電線コネクタと嵌合する前の状態を示す斜視図である。
図2】第1の実施の形態における基板用コネクタの分解図である。
図3】第1の実施の形態における基板用コネクタの二面図であって、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図4】第1の実施の形態における基板用コネクタの横断面図であって図3(a)におけるA-A矢視断面図である。
図5】第1の実施の形態における基板用コネクタの側断面図であって、(a)は図3(a)におけるB-B矢視断面図、(b)は(a)のC部拡大図である。
図6】第1の実施の形態における基板用コネクタの端子の三面図であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は(a)におけるD-D矢視断面図である。
図7】第2の実施の形態における基板用コネクタが電線コネクタと嵌合する前の状態を示す斜視図である。
図8】第2の実施の形態における基板用コネクタの分解図である。
図9】第2の実施の形態における基板用コネクタの二面図であって、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図10】第2の実施の形態における基板用コネクタの要部横断面図であって、(a)は図9(a)におけるE-E矢視断面図、(b)は(a)のG部拡大図である。
図11】第2の実施の形態における基板用コネクタの側断面図であって図9(b)におけるF-F矢視断面図である。
図12】第2の実施の形態における基板用コネクタの端子の三面図であって、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は(a)におけるH-H矢視断面図である。
図13】従来のコネクタにおける端子の保持部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は第1の実施の形態における基板用コネクタが電線コネクタと嵌合する前の状態を示す斜視図である。
【0022】
図において、1は本実施の形態におけるコネクタとしての基板用コネクタであり、図示されない回路基板等の基板の表面に実装されるコネクタである。また、101は、本実施の形態における相手方コネクタとしての電線コネクタであり、複数本の電線191の終端に接続されるコネクタである。前記基板用コネクタ1及び電線コネクタ101は、1つのセットとして、電子機器や電気機器、家庭用機器、医療機器、産業機器、輸送機器などの各種の機器において使用されるものであって、いかなる用途において使用されるものであってもよいが、ここでは、説明の都合上、電子機器や電気機器において使用されるものとする。
【0023】
図1に示されるように、複数本の電線191は、基板用コネクタ1の長手方向(Y軸方向)に延在する2本の列を形成するようにデュアルに配列されて、電線コネクタ101に接続される。図に示される例において、電線191の数は、各列6本、合計12本であるが、任意に変更することができる。なお、前記基板用コネクタ1は、いわゆるストレートタイプのコネクタであり、基板に対して立設された状態で、すなわち、上方(Z軸正方向)を向いて開口した状態で実装される。そして、前記電線コネクタ101は、基板用コネクタ1に垂直嵌合され、これにより、前記電線191は基板に対して垂直方向(Z軸方向)に引出された状態となる。また、基板の表面は、ウレタン等の樹脂から成るポッティング剤で覆われるものとする。該ポッティング剤は、液体の状態で基板の表面に付与された後に加熱等の処理が行われて硬化するものであり、基板の表面に実装された基板用コネクタ1は、多量の液状のポッティング剤で囲まれた状態となる。
【0024】
なお、本実施の形態において、基板用コネクタ1及び電線コネクタ101の各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、基板用コネクタ1及び電線コネクタ101が図に示される姿勢である場合に適切であるが、基板用コネクタ1及び電線コネクタ101の姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0025】
前記電線コネクタ101は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成され、前記基板用コネクタ1と嵌合する相手方ハウジング111を有する。そして、該相手方ハウジング111は、基板用コネクタ1の幅方向に延在する概略直方体の箱状の部材であり、その下方(Z軸負方向)側は、基板用コネクタ1の嵌合凹部14に嵌入される嵌合部114となっている。また、前記相手方ハウジング111は、各電線191の先端に接続された図示されない相手方端子をそれぞれ収容する複数の端子収容孔115を有する。該端子収容孔115は、相手方ハウジング111の上面111aから嵌合部114の下面までに亘って相手方ハウジング111をZ軸方向に貫通する貫通孔であり、相手方ハウジング111の長手方向(Y軸方向)に延在する2本の列を形成するように配列されている。そして、各端子収容孔115内には、各電線191の先端に接続された相手方端子が上面111a側から挿入される。さらに、前記相手方ハウジング111の正面側の側面には、下端が相手方ハウジング111に接続され、上端が自由端になっているカンチレバー状の係合用腕部135が一体的に形成されている。なお、該係合用腕部135は、係合用突起135aを有する。
【0026】
前記基板用コネクタ1は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成され、前記電線コネクタ101と嵌合するハウジング11と、該ハウジング11の底板部12を貫通するように取付けられた金属製の棒状部材から成る端子51とを有する。前記ハウジング11は、基板用コネクタ1の長手方向に延在する概略直方体の箱状の部材であり、上面11aが開口された嵌合凹部14を備え、下面11bが基板の表面に対向する。前記嵌合凹部14は、電線コネクタ101の嵌合部114が嵌入される部分であり、ハウジング11に一体的に形成された仕切壁18によって複数の端子収容区画14aに分割されている。該端子収容区画14aは、前記相手方ハウジング111の端子収容孔115に対応するように、ハウジング11の長手方向(Y軸方向)に延在する2本の列を形成するように配列されている。そして、各端子収容区画14a内には、各端子51が収容されている。また、前記ハウジング11の正面側の側面には、相手方ハウジング111の係合用腕部135が進入して係合する係合用膨出部35が形成され、該係合用膨出部35の壁面には前記係合用腕部135の係合用突起135aと係合する係合用開口35aが形成されている。なお、前記端子51の基板接続部52は、前記底板部12から下方(Z軸負方向)に突出し、図示されない基板の表面に形成されたスルーホールに挿入され、はんだ付等によって電気的に接続される。
【0027】
そして、電線コネクタ101の嵌合部114が基板用コネクタ1の嵌合凹部14に嵌入されて電線コネクタ101と基板用コネクタ1とが嵌合すると、端子収容区画14a内の端子51は、対応する端子収容孔115内の相手方端子と接触する。
【0028】
次に、前記基板用コネクタ1の構成について、詳細に説明する。
【0029】
図2は第1の実施の形態における基板用コネクタの分解図、図3は第1の実施の形態における基板用コネクタの二面図、図4は第1の実施の形態における基板用コネクタの横断面図であって図3(a)におけるA-A矢視断面図、図5は第1の実施の形態における基板用コネクタの側断面図、図6は第1の実施の形態における基板用コネクタの端子の三面図である。なお、図3において、(a)は平面図、(b)は正面図であり、図5において、(a)は図3(a)におけるB-B矢視断面図、(b)は(a)のC部拡大図であり、図6において、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は(a)におけるD-D矢視断面図である。
【0030】
前記端子51は、金属材に打抜き、プレス等の加工を施して形成された直線的な部材であり、ハウジング11の底板部12に保持される保持部53と、該保持部53の上端から上方に向けて直線的に延出する接触部54と、前記保持部53の下端から下方に向けて直線的に延出する基板接続部52とを有する。前記保持部53は、図4及び5に示されるように、前記底板部12に形成された端子圧入孔13に圧入されて保持される部分である。そして、前記接触部54は、各端子収容区画14a内において、底板部12から上方に突出し、電線コネクタ101の相手方端子と接触する部分である。また、前記基板接続部52は、前述のように、底板部12から下方に突出し、図示されない基板の表面に形成されたスルーホールに挿入され、はんだ付等によって電気的に接続される部分である。各スルーホールには、図示されない配線が接続され、これにより、各端子51は基板の対応する配線と導通する。なお、本実施の形態において、端子51は、ハウジング11に対して相対的に上方から下方に向けて移動させられ、保持部53は、端子圧入孔13に対して相対的に上方から下方に向けて圧入される。
【0031】
前記保持部53は、その下端近傍に形成された端子側第1シール部55aと、その上端近傍に形成された端子側第2シール部55bと、前記端子側第1シール部55aと端子側第2シール部55bとの間に形成されたアンカー部56とを含んでいる。なお、端子側第1シール部55aと端子側第2シール部55bとを統合的に説明する場合には、端子側シール部55として説明する。図6(a)及び(b)においては、端子側シール部55にハッチングが付与されているが、該ハッチングは、説明の便宜上付与されたものに過ぎないことに留意されたい。
【0032】
また、前記端子圧入孔13は、その下端近傍に形成されたハウジング側第1シール部15aと、その上端近傍に形成されたハウジング側第2シール部15bと、前記ハウジング側第1シール部15aとハウジング側第2シール部15bとの間に形成された被アンカー部16とを含んでいる。なお、ハウジング側第1シール部15aとハウジング側第2シール部15bとを統合的に説明する場合には、ハウジング側シール部15として説明する。
【0033】
そして、図4に示されるように、前記保持部53が端子圧入孔13に圧入された状態で、端子側第1シール部55a及び端子側第2シール部55bは、それぞれ、前記端子圧入孔13の側面におけるハウジング側第1シール部15a及びハウジング側第2シール部15bに密着し、第1シール部58a及び第2シール部58bを構成し、シール機能を発揮する。なお、前記第1シール部58a及び第2シール部58bを統合的に説明する場合には、シール部58として説明する。前記端子側第1シール部55a及び端子側第2シール部55bは、いわゆる締まり嵌めによって、ハウジング側第1シール部15a及びハウジング側第2シール部15bに保持される。また、アンカー部56が前記端子圧入孔13の側面における被アンカー部16に係止され、これにより、前記保持部53は端子圧入孔13によって、より確実に保持される。なお、該端子圧入孔13の上端における保持部53の周囲には、微小凹部13bが形成される。すなわち、第2シール部58bの上端に隣接して微小凹部13bが形成される。
【0034】
前記アンカー部56は、側面部56bよりも幅方向(Y軸方向)外側に突出する突起部56aを有する。これにより、前記保持部53が端子圧入孔13に圧入され、アンカー部56が被アンカー部16に係止された状態で、前記突起部56aは、被アンカー部16の側面部16bに食込み、その結果として、該側面部16bに形成された凹部16aと係合する。したがって、アンカー部56は被アンカー部16によって確実に保持される。また、前記アンカー部56は、下端において幅方向に延在する端部56cを有し、アンカー部56が被アンカー部16に係止された状態で、前記端部56cは、被アンカー部16の端部16cに対向する。前記アンカー部56の端部56cと被アンカー部16の端部16cとの間に間隙13aが形成される。すなわち、第1シール部58aの上端に隣接して間隙13aが形成される。
【0035】
また、図6(a)に示されるように、端子側第1シール部55aは保持部53において幅方向(Y軸方向)の寸法が最も小さく(最も幅狭)、端子側第2シール部55bは保持部53において、かつ、端子51全体において、幅方向の寸法が最も大きく(最も幅広)なるように設定されている。さらに、図6(c)に示されるように、端子側第1シール部55aは厚さ方向(X軸方向)の寸法がアンカー部56と同一であり、端子側第2シール部55bは保持部53において、かつ、端子51全体において、厚さ方向の寸法が最も大きく(最も板厚)なるように設定されている。なお、基板接続部52の幅方向及び厚さ方向の寸法は、端子側第1シール部55aよりも小さくなっている。
【0036】
一方、ハウジング側第1シール部15aは端子圧入孔13において幅方向の寸法が最も小さく(最も幅狭)、ハウジング側第2シール部15bは端子圧入孔13において幅方向の寸法が最も大きく(最も幅広)なるように設定されている。また、図5(b)に示されるように、ハウジング側第1シール部15aは端子圧入孔13において厚さ方向(X軸方向)の寸法が最も小さく(最も薄く)、ハウジング側第2シール部15bは厚さ方向の寸法が被アンカー部16と同一であり、端子圧入孔13において最も大きく(最も厚く)なるように設定されている。
【0037】
これにより、端子圧入孔13に対して端子51を相対的に上方から下方に向けて移動させて、保持部53を端子圧入孔13にスムーズに圧入することができる。
【0038】
そして、保持部53が端子圧入孔13に圧入された状態において、ハウジング側第2シール部15bの幅方向両側の側面は端子側第2シール部55bの幅方向両側の側面よりも下方にまで延在し、アンカー部56の幅方向両側の側面は被アンカー部16の幅方向両側の側面よりも上方にまで延在しているので、ハウジング側第2シール部15bと被アンカー部16との境界部における幅方向両側の側面と、端子側第2シール部55bとアンカー部56との境界部における幅方向両側の側面との間に間隙が形成される。また、アンカー部56の側面部56bと被アンカー部16の側面部16bとの間にも、突起部56aが側面部16bに食込んでいる部分を除き、間隙が形成される。さらに、アンカー部56の厚さ方向の寸法が被アンカー部16の厚さ方向の寸法より小さいので、厚さ方向に関しては、アンカー部56の側面部56bと被アンカー部16の側面部16bとの間の全体に亘って、間隙が形成される。
【0039】
なお、各端子51は、細長い帯状の金属板に打抜き、プレス等の加工を施すことによって製作されるものであり、最も板厚の端子側第2シール部55bは、前記金属板の板厚そのままであり、他の部分は、プレスによって、前記金属板の板厚よりも薄くなっている。したがって、端子側第2シール部55bの厚さ方向両側の面は、未加工の密着面となり、より小さな面である端子側第1シール部55aの厚さ方向両側の面は、加工された密着面となる。これにより、上下方向(Z軸方向)に互いに離間した2つの密着面、すなわち、端子側第2シール部55b及び端子側第1シール部55aを容易に形成することができる。
【0040】
図4及び5に示されるように、保持部53が端子圧入孔13に圧入されて端子51がハウジング11に取付けられた状態では、液状のポッティング剤が下方から基板接続部52の表面を伝わって上昇しても、端子側第1シール部55aが端子圧入孔13におけるハウジング側第1シール部15aに密着して第1シール部58aを構成しているので、ポッティング剤の上昇が防止される。また、仮にポッティング剤が第1シール部58aを通過して更に上昇しても、端子側第2シール部55bが端子圧入孔13におけるハウジング側第2シール部15bに密着して第2シール部58bを構成しているので、ポッティング剤の上昇が防止される。このように、上下方向(Z軸方向)に互いに離間した2つのシール部58、すなわち、第1シール部58a及び第2シール部58bでポッティング剤の上昇を防止するので、ポッティング剤が端子収容区画14a内に進入することを効果的に防止することができる。
【0041】
また、第1シール部58aと第2シール部58bとの間に位置するアンカー部56と被アンカー部16とは、厚さ方向(X軸方向)及び幅方向(Y軸方向)に関しては、突起部56aが嵌合して凹部16aが形成された部分を除いて、間隙が形成されている。そのため、第1シール部58aを通って進入したポッティング剤を溜めておく溜まり部として作用する。したがって、ポッティング剤が端子収容区画14a内に進入することを更に効果的に防止することができる。
【0042】
なお、仮に、第1シール部58aと第2シール部58bとを結合して単一のものとすると、保持部53を端子圧入孔13に圧入する際に、端子側シール部55の表面、特に下端近傍の表面が、ハウジング側シール部15と擦れ合う距離が長くなるので、端子51の表面に形成されためっき等によって発生したバリが削られて、発生するバリ屑の量が多くなってしまう。
【0043】
しかしながら、本実施の形態においては、第1シール部58aと第2シール部58bとが上下方向に互いに離間しているので、端子側第1シール部55aがハウジング側第1シール部15aと擦れ合う距離、及び、端子側第2シール部55bがハウジング側第2シール部15bと擦れ合う距離が、第1シール部58aと第2シール部58bとを結合して単一のものとした場合よりも短くなり、発生するバリの量が低減される。このように、バリの量が少ないので、第1シール部58aで発生したバリの剥がれによるバリ屑は、第1シール部58aの上端に隣接して形成されて第1バリ収容部として機能する間隙13a内に収容され、また、第2シール部58bで発生したバリの剥がれによるバリ屑は、第2シール部58bの上端に隣接して形成されて第2バリ収容部として機能する微小凹部13b内に収容されるので、バリ屑の飛散によるハウジング11の嵌合凹部14内等の汚染を防止することができる。
【0044】
さらに、図5に示されるように、各端子収容区画14aにおける底面14b(底板部12の上面)には、ポッティング剤溜まりとしての凹部17が形成され、また、該凹部17と端子圧入孔13の上端における保持部53の周囲の微小凹部13bとを結ぶ誘導凹部17aが形成されている。したがって、液状のポッティング剤は、たとえ端子収容区画14a内に進入しても、端子圧入孔13の上端の微小凹部13bから誘導凹部17aを通って凹部17に流入して、該凹部17内に収容されるので、端子51の接触部54の表面に付着してしまうことがなく、絶縁性のポッティング剤の付着によって端子51の接触部54と相手方端子との導通が妨げられることがない。
【0045】
さらに、仮に何らかの原因によって、多量のポッティング剤がシール部58を通過してある端子収容区画14a内に進入しても、該端子収容区画14aが仕切壁18によって他の端子収容区画14aと隔離されているので、他の端子収容区画14a内の端子51の接触部54の表面に付着してしまうことがない。
【0046】
このように、本実施の形態において、基板用コネクタ1は、端子51と、端子51を保持するハウジング11とを備え、液状のポッティング剤が付与される基板に実装され、ハウジング11は、電線コネクタ101と嵌合する嵌合凹部14と、端子51が圧入される端子圧入孔13が形成された底板部12とを含み、端子51は、嵌合凹部14内で電線コネクタ101の相手方端子と接触する接触部54と、底板部12の下方に露出して基板に接続される基板接続部52と、端子圧入孔13に収容されて保持される保持部53とを含み、保持部53は、端子圧入孔13の側面と密着して第1シール部58aと第2シール部58bとをそれぞれ構成する端子側第1シール部55aと端子側第2シール部55bとを含んでいる。
【0047】
これにより、基板用コネクタ1は、小型で簡素な構成でありながら、端子51の保持部53と底板部12の端子圧入孔13との間を通ってポッティング剤が上昇し、端子51の接触部54に付着することを確実に防止することができる。
【0048】
また、保持部53は、第1シール部58aと第2シール部58bとの間において、端子圧入孔13の側面に食込む突起部56aを含むアンカー部56を含んでいる。したがって、保持部53は端子圧入孔13によって確実に保持され、かつ、ポッティング剤が端子51の保持部53と底板部12の端子圧入孔13との間を通って上昇することを効果的に防止することができる。
【0049】
さらに、端子側第1シール部55aと端子側第2シール部55bとは、締まり嵌めによって端子圧入孔13に保持される。したがって、保持部53は端子圧入孔13によってより確実に保持され、かつ、ポッティング剤が端子51の保持部53と底板部12の端子圧入孔13との間を通って上昇することをより効果的に防止することができる。
【0050】
さらに、底板部12は、上面に形成された凹部17を含んでいる。したがって、ポッティング剤は、たとえ、端子51の保持部53と底板部12の端子圧入孔13との間を通って上昇しても、凹部17内に収容されるので、端子51の接触部54に付着することがない。
【0051】
さらに、端子側第1シール部55aは、端子側第2シール部55bよりも幅方向及び厚さ方向の寸法が小さく、保持部53は端子圧入孔13に対して上方から下方に向けて圧入される。したがって、保持部53を端子圧入孔13にスムーズに圧入することができる。
【0052】
さらに、第1シール部58aの上端に隣接して間隙13aが形成され、第2シール部58bの上端に隣接して微小凹部13bが形成されている。したがって、第1シール部58aで発生したバリの剥がれによるバリ屑が間隙13a内に収容され、第2シール部58bで発生したバリの剥がれによるバリ屑が微小凹部13bに収容されるので、バリ屑の飛散による汚染を防止することができる。
【0053】
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0054】
図7は第2の実施の形態における基板用コネクタが電線コネクタと嵌合する前の状態を示す斜視図である。
【0055】
本実施の形態においては、複数本の電線191は、基板用コネクタ1の長手方向(Y軸方向)に延在する1本の列を形成するようにシングルに配列されて、電線コネクタ101に接続される。図に示される例において、電線191の数は、6本であるが、任意に変更することができる。そして、相手方ハウジング111の端子収容孔115は、相手方ハウジング111の長手方向(Y軸方向)に延在する1本の列を形成するように配列されている。なお、係合用腕部135は、省略されている。
【0056】
また、基板用コネクタ1の端子51の接触部54は、嵌合凹部14内で、基板用コネクタ1の長手方向に延在する1本の列を形成するように配列されている。なお、前記第1の実施の形態とは異なり、仕切壁18が省略されているので、嵌合凹部14は、複数の端子収容区画14aに分割されていない。また、相手方ハウジング111の係合用腕部135の省略に合せて、係合用膨出部35が省略されているが、嵌合凹部14には相手方ハウジング111をガイドするガイド部材19が配設されている。
【0057】
さらに、本実施の形態における基板用コネクタ1では、補助金具としてのネイル81がハウジング11に取付けられている。前記ネイル81の下端部82は、図示されない基板の表面の接続パッドにはんだ付等によって、接続される。また、前記端子51の基板接続部52は、表面実装タイプであって、底板部12の下方から後方(X軸負方向)に突出し、図示されない基板の表面に形成された接続パッドにはんだ付等によって電気的に接続される。
【0058】
本実施の形態における電線コネクタ101のその他の点の構成は、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0059】
次に、本実施の形態における基板用コネクタ1の構成について、詳細に説明する。
【0060】
図8は第2の実施の形態における基板用コネクタの分解図、図9は第2の実施の形態における基板用コネクタの二面図、図10は第2の実施の形態における基板用コネクタの要部横断面図、図11は第2の実施の形態における基板用コネクタの側断面図であって図9(b)におけるF-F矢視断面図、図12は第2の実施の形態における基板用コネクタの端子の三面図である。なお、図9において、(a)は平面図、(b)は正面図であり、図10において、(a)は図9(a)におけるE-E矢視断面図、(b)は(a)のG部拡大図であり、図12において、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は(a)におけるH-H矢視断面図である。
【0061】
本実施の形態における端子51は、前記第1の実施の形態と同様に、金属材に打抜き、プレス等の加工を施して形成された部材であり、ハウジング11の底板部12に保持される保持部53と、該保持部53の上端から上方に向けて直線的に延出する接触部54と、前記保持部53の下端に接続された基板接続部52とを有するが、該基板接続部52は、前記第1の実施の形態とは異なり、後方(X軸負方向)に向けて延出し、その下面52aが図示されない基板の表面に形成された接続パッドにはんだ付等によって電気的に接続される表面実装タイプのものである。したがって、前記保持部53は、端子側第1シール部55aと、端子側第2シール部55bと、アンカー部56とを含んでいるが、前記端子側第1シール部55aの下端に接続された接続端部53aを更に含み、該接続端部53aの前端から前記基板接続部52が後方に向けて延出している。
【0062】
また、前記第1の実施の形態における端子51は、ハウジング11に対して相対的に上方から下方に向けて移動させられ、保持部53は、端子圧入孔13に対して相対的に上方から下方に向けて圧入されるものであるのに対し、本実施の形態における端子51は、ハウジング11に対して相対的に下方から上方に向けて移動させられ、保持部53は、端子圧入孔13に対して相対的に下方から上方に向けて圧入されるものである。
【0063】
したがって、図12(a)に示されるように、端子側第1シール部55aは保持部53において端子51の幅方向(X軸方向)の寸法が最も大きく(最も幅広)、端子側第2シール部55bは保持部53において幅方向の寸法が最も小さく(最も幅狭)なるように設定されている。さらに、図12(c)に示されるように、端子側第2シール部55bは端子51の厚さ方向(Y軸方向)の寸法がアンカー部56と同一であり、端子側第1シール部55aは保持部53において、かつ、端子51全体において、厚さ方向の寸法が最も大きく(最も板厚)なるように設定されている。なお、接触部54の幅方向及び厚さ方向の寸法は、端子側第2シール部55bよりも小さくなっている。
【0064】
一方、ハウジング側第1シール部15aは端子圧入孔13において幅方向の寸法が最も大きく(最も幅広)、ハウジング側第2シール部15bは端子圧入孔13において幅方向の寸法が最も小さく(最も幅狭)なるように設定されている。また、図10(b)に示されるように、ハウジング側第1シール部15aは厚さ方向(Y軸方向)の寸法が被アンカー部16と同一であり、端子圧入孔13において厚さ方向(Y軸方向)の寸法が最も大きく(最も厚く)、ハウジング側第2シール部15bは端子圧入孔13において厚さ方向の寸法が最も小さく(最も薄く)なるように設定されている。
【0065】
これにより、端子圧入孔13に対して端子51を相対的に下方から上方に向けて移動させて、保持部53を端子圧入孔13にスムーズに圧入することができる。なお、図12(a)及び(b)においては、端子側シール部55にハッチングが付与されているが、該ハッチングは、説明の便宜上付与されたものに過ぎないことに留意されたい。
【0066】
そして、保持部53が端子圧入孔13に圧入された状態において、ハウジング側第1シール部15aの幅方向両側の側面は端子側第1シール部55aの幅方向両側の側面よりも上方にまで延在し、アンカー部56の幅方向両側の側面は被アンカー部16の幅方向両側の側面よりも下方にまで延在しているので、ハウジング側第1シール部15aと被アンカー部16との境界部における幅方向両側の側面と、端子側第1シール部55aとアンカー部56との境界部における幅方向両側の側面との間に間隙が形成される。また、アンカー部56の側面部56bと被アンカー部16の側面部16bとの間にも、突起部56aが側面部16bに食込んでいる部分を除き、間隙が形成される。さらに、アンカー部56の厚さ方向の寸法が被アンカー部16の厚さ方向の寸法より小さいので、厚さ方向に関しては、アンカー部56の側面部56bと被アンカー部16の側面部16bとの間の全体に亘って、間隙が形成される。
【0067】
また、前記アンカー部56は、上端において幅方向に延在する端部56cを有し、アンカー部56が被アンカー部16に係止された状態で、前記端部56cは、被アンカー部16の端部16cに対向する。前記アンカー部56の端部56cと被アンカー部16の端部16cとの間に間隙13aが形成される。すなわち、第2シール部58bの下端に隣接して間隙13aが形成される。また、前記端子圧入孔13の下端における保持部53の周囲には、微小凹部13bが形成される。すなわち、第1シール部58aの下端に隣接して微小凹部13bが形成される。
【0068】
図10及び11に示されるように、保持部53が端子圧入孔13に圧入されて端子51がハウジング11に取付けられた状態では、液状のポッティング剤が下方から基板接続部52の表面を伝わって上昇しても、端子側第1シール部55aが端子圧入孔13の側面におけるハウジング側第1シール部15aに密着して第1シール部58aを構成しているので、ポッティング剤の上昇が防止される。また、仮にポッティング剤が第1シール部58aを通過して更に上昇しても、端子側第2シール部55bが端子圧入孔13の側面におけるハウジング側第2シール部15bに密着して第2シール部58bを構成しているので、ポッティング剤の上昇が防止される。このように、上下方向(Z軸方向)に互いに離間した2つのシール部58、すなわち、第1シール部58a及び第2シール部58bでポッティング剤の上昇を防止するので、ポッティング剤が嵌合凹部14内に進入することを効果的に防止することができる。前記端子側第1シール部55a及び端子側第2シール部55bは、いわゆる締まり嵌めによって、ハウジング側第1シール部15a及びハウジング側第2シール部15bに保持される。
【0069】
また、第1シール部58aと第2シール部58bとの間に位置するアンカー部56と被アンカー部16とは、端子51の厚さ方向(Y軸方向)及び幅方向(Y軸方向)に関して、間隙が狭いので、ある程度のシール機能を発揮する。したがって、ポッティング剤が嵌合凹部14内に進入することを更に効果的に防止することができる。
【0070】
なお、仮に、第1シール部58aと第2シール部58bとを結合して単一のものとすると、保持部53を端子圧入孔13に圧入する際に、端子側シール部55の表面、特に下端近傍の表面が、ハウジング側シール部15と擦れ合う距離が長くなるので、端子51の表面に形成されためっき等によって発生したバリが剥がれて発生するバリ屑の量が多くなってしまう。
【0071】
しかしながら、本実施の形態においては、第1シール部58aと第2シール部58bとが上下方向に互いに離間しているので、端子側第1シール部55aがハウジング側第1シール部15aと擦れ合う距離、及び、端子側第2シール部55bがハウジング側第2シール部15bと擦れ合う距離が、第1シール部58aと第2シール部58bとを結合して単一のものとした場合よりも短くなり、発生するバリの量が低減される。このように、バリの量が少ないので、第1シール部58aで形成されたバリの剥がれによるバリ屑は、第1シール部58aの下端に隣接して形成されて第1バリ収容部として機能する微小凹部13b内に収容され、また、第2シール部58bで形成されたバリの剥がれによるバリ屑は第2シール部58bの下端に隣接して形成されて第2バリ収容部として機能する間隙13a内に収容されるので、バリ屑の飛散によるハウジング11の嵌合凹部14内等の汚染を防止することができる。
【0072】
さらに、図9及び11に示されるように、嵌合凹部14の底面14b(底板部12の上面)における各端子圧入孔13の近傍には、ポッティング剤溜まりとしての凹部17が形成され、各端子圧入孔13の周囲には前記凹部17に接続された誘導凹部17aが形成されている。したがって、液状のポッティング剤は、たとえ嵌合凹部14内に進入しても、端子圧入孔13の周囲の誘導凹部17aから凹部17に流入して、該凹部17内に収容されるので、端子51の接触部54の表面に付着してしまうことがなく、絶縁性のポッティング剤の付着によって端子51の接触部54と相手方端子との導通が妨げられることがない。
【0073】
なお、本実施の形態における基板用コネクタ1のその他の点の構成は、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0074】
このように、本実施の形態において、端子側第1シール部55aは、端子側第2シール部55bよりも幅方向及び厚さ方向の寸法が大きく、保持部53は端子圧入孔13に対して下方から上方に向けて圧入される。したがって、保持部53を端子圧入孔13にスムーズに圧入することができる。
【0075】
また、第1シール部58aの下端に隣接して微小凹部13bが形成され、第2シール部58bの下端に隣接して間隙13aが形成されている。したがって、第1シール部58aで発生したバリの剥がれによるバリ屑が微小凹部13b内に収容され、第2シール部58bで発生したバリの剥がれによるバリ屑が間隙13aに収容されるので、バリ屑の飛散による汚染を防止することができる。
【0076】
なお、本実施の形態における基板用コネクタ1のその他の点の作用及び効果は、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0077】
また、本開示は一例にすぎず、本開示の趣旨を保った適宜変更であって当業者が容易に想到し得るものは本開示の範囲に含まれる。図面で示す各部の幅、厚さ及び形状等は模式的に表されており、本開示の解釈を限定するものではない。
【0078】
さらに、本明細書の開示は、好適で例示的な実施の形態に関する特徴を述べたものである。ここに添付された特許請求の範囲内及びその趣旨内における種々の他の実施の形態、修正及び変形は、当業者であれば、本明細書の開示を総覧することにより、当然に考え付くことである。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本開示は、コネクタに適用することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 基板用コネクタ
11、811 ハウジング
11a、111a 上面
11b、52a 下面
12 底板部
13、813 端子圧入孔
13a 間隙
13b 微小凹部
14 嵌合凹部
14a 端子収容区画
14b 底面
15 ハウジング側シール部
15a ハウジング側第1シール部
15b ハウジング側第2シール部
16 被アンカー部
16a、17 凹部
16b、56b 側面部
16c、56c 端部
17a 誘導凹部
18 仕切壁
19 ガイド部材
35 係合用膨出部
35a 係合用開口
51、851 端子
52、852 基板接続部
53、853 保持部
53a 接続端部
54 接触部
55 端子側シール部
55a 端子側第1シール部
55b 端子側第2シール部
56 アンカー部
56a 突起部
58 シール部
58a 第1シール部
58b 第2シール部
81 ネイル
82 下端部
101 電線コネクタ
111 相手方ハウジング
114 嵌合部
115 端子収容孔
135 係合用腕部
135a 係合用突起
191 電線
812 底板
815 下部内壁
891 基板
892 スルーホール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13