(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-29
(45)【発行日】2023-04-06
(54)【発明の名称】油圧アクチュエータを有する物体の配置
(51)【国際特許分類】
F15B 15/00 20060101AFI20230330BHJP
F04B 1/06 20200101ALI20230330BHJP
F03D 17/00 20160101ALN20230330BHJP
G01N 3/36 20060101ALN20230330BHJP
【FI】
F15B15/00 A
F04B1/06
F03D17/00
G01N3/36
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019005000
(22)【出願日】2019-01-16
【審査請求日】2022-01-14
(32)【優先日】2018-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509066031
【氏名又は名称】アルテミス インテリジェント パワー リミティド
【氏名又は名称原語表記】ARTEMIS INTELLIGENT POWER LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ヒュー・サルビン・ランペン
(72)【発明者】
【氏名】ナイル・カルドウェル
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・マッカリー
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-532134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 15/00-15/28
F04B 1/00- 7/06
F03C 1/00-99/00
F03D 1/00-80/80
G01N 3/00- 3/62
F16H 61/14;61/38-61/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を繰り返し変位させるための装置であって、
物体係合要素と、
前記物体係合要素に接続された油圧アクチュエータと、
低圧マニホールドと、前記油圧アクチュエータに連結された高圧マニホールドと、回転シャフトを備える回転体と、前記回転シャフトの回転とともに周期的に変化する容積を有する複数の作動室と、それぞれの前記作動室と前記低圧および高圧マニホールドとの間の作動流体の流れを調整する複数の弁と、
を有し、作動室につき少なくとも1つの
前記弁
が電子制御弁である、油圧機械と、
前記弁を電子制御し、それによって作動室容積の各サイクル中に各作動室による作動流体の正味の変位を調整し、作動室が前記低圧マニホールドから前記高圧マニホールドへの作動流体の正味の変位を行うポンピングサイクルと、作動室が前記高圧マニホールドから前記低圧マニホールドへの作動流体の正味の変位を行うモータ駆動サイクルとの間で選択することを含む、制御部と、
前記回転体に駆動連結され、前記回転体にトルクを加えるように構成された、モータと、を備え、
前記制御部が、前記弁を交互に制御し、それによって
前記ポンピングサイクルが行われている時の前記油圧アクチュエータへの作動流体
のポンピングを調整し、それによって使用時に前記物体係合要素に係合する物体を変位させ、次いで前記弁を制御し、それによって、前記物体係合要素に載置された前記物体からの力の結果として、
前記モータ駆動サイクルが行われている時の前記油圧アクチュエータからの作動流体
のモータ駆動を調整するように構成され、
前記回転体の回転速度が変動し、前記制御部による前記弁の前記制御が、前記回転体の回転速度を考慮する、装置。
【請求項2】
前記モータが、動作中に前記回転体の回転速度の少なくとも10%の変化を可能にする電子可変速駆動装置を有する電気モータである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の複数の装置を備え、物体の異なる部分に取り付け可能であるかまたは取り付けられている、前記それぞれの装置の前記物体係合要素と、前記それぞれの装置の前記ポンピングおよびモータ駆動を協調して調整し、前記物体係合要素の動きを協調して制御するように動作可能なシステム制御部と、を備える、物体を繰り返し変位させるためのシステム。
【請求項4】
物体を繰り返し変位させる方法であって、前記方法が、油圧装置を提供することを含み、前記油圧装置が、
物体係合要素を通して前記物体に連結された油圧アクチュエータと、
低圧マニホールドと、前記油圧アクチュエータに連結された高圧マニホールドと、回転シャフトを備える回転体と、前記回転シャフトの回転とともに周期的に変化する容積を有する複数の作動室と、それぞれの前記作動室と前記低圧および高圧マニホールドとの間の作動流体の流れを調整する複数の弁と、
を有し、作動室につき少なくとも1つの
前記弁
が電子制御弁である、油圧機械と、
前記回転体に駆動連結されたモータと、を備え、
前記方法が、
前記回転体にトルクを加え、それによって、前記回転体の回転運動エネルギを増大させるように前記モータを動作させることであって、前記回転体の回転速度が、動作中に変動する、動作させることと、
結果として作動室容積の各サイクル中に各作動室による作動流体の正味の変位を調整し、それにより、前記作動室がポンピングおよびモータ駆動を交互に実行するように前記弁を制御することであって、ポンピング中、前記弁が、前記作動室に、作動室が前記低圧マニホールドから前記高圧マニホールドへの作動流体の正味の変位を行うポンピングサイクルを実行させるように制御される、制御することと、を含み、
モータ駆動中、前記弁が、前記作動室に、作動室が前記高圧マニホールドから前記低圧マニホールドへの作動流体の正味の変位を行ってこれにより前記物体係合要素に作用する前記物体からの力の結果として前記油圧アクチュエータからの作動流体のモータ駆動を調整するという、モータ駆動サイクルを実行させるように制御され、
前記弁の前記制御が、前記回転体の回転速度の変化を考慮する、方法。
【請求項5】
前記物体の異なる部分に連結された複数の前記油圧装置を提供することと、前記それぞれの油圧装置による前記ポンピングおよびモータ駆動を協調して制御し、それによって、前記物体を経時変化プロファイルに従って変位させることと、を含む、請求項4に記載の物体を繰り返し変位させる方法。
【請求項6】
前記回転体の回転運動エネルギが、前記油圧アクチュエータへの作動流体の前記ポンピングを駆動するために少なくとも部分的に使用され、結果として、前記回転体の回転速度を低下させ、前記油圧アクチュエータからの作動流体の後続の出力が、前記油圧機械をモータ駆動させて、前記回転体の回転を加速させるために使用される、請求項
4または5に記載
の方法。
【請求項7】
前記油圧アクチュエータへの作動流体の前記ポンピングと、前記油圧アクチュエータからの作動流体の前記モータ駆動とが、周期的に行われる、請求項
4~6のいずれか一項に記載
の方法。
【請求項8】
前記回転体が、回転速度を増減させながら一方向に回転し、前記回転体に対する前記モータの作用が、各サイクル中に損失を補償するために十分なエネルギを提供することによって、前記回転体のピーク回転運動エネルギを1つのサイクルから次まで維持するように作用する、請求項7に記載
の方法。
【請求項9】
前記回転体の目標回転速度が決定され、前
記モータが、目標回転速度に向けて調整され、前
記モータが、速度を一定範囲内で変動させることを可能にするように構成された可変速駆動装置によって駆動される可変速モータであり、前記油圧機械が、前記ポンピングサイクル中に前記回転体を減速させることと、前記モータ駆動サイクル中に前記回転体を加速させることとを交互に行い、それによって、前記ポンピングと前記モータ駆動との間の前記回転体の回転速度の振動をもたらし、前記装置における損失を補い、前記物体の制御された振動を提供するために、前記モータを駆動する前記可変速駆動装置によってトルクトリムが付与され
、前記油圧機械が、前記回転体の回転の過速度または不足速度を回避するように制御される、請求項8に記載
の方法。
【請求項10】
前記
複数の弁が、前記ポンピングおよび/または前記モータ駆動を調整するように制御され、それによって、
(i)経路に沿った前記物体係合要素の変位、
(ii)前記物体係合要素によって物体に加えられる力、および、
(iii)前記高圧マニホールド内の圧力、
からなる群のうちの1つ以上が、予め決定され得る経時変化する需要に従うように調整される、請求項
4~9のいずれか一項に記載
の方法。
【請求項11】
(i)変位のサイクル中に前記物体係合要素上に前記物体によって加えられる前記力をシミュレートおよび/もしくは監視すること、
(ii)変位のサイクル中の前記物体の動きをシミュレートおよび/もしくは監視すること、
(iii)変位のサイクル中のエネルギの損失をシミュレートおよび/もしくは監視すること、ならびに/または、
(iv)変位のサイクル中の変位、移動速度、もしくは加えられた力に関する閾値の違反を検出すること、のうちの1つ以上による変位のサイクルを通して、前記経時変化する需要を決定するステップを含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記
複数の弁が、前記複数の作動室の単位時間当たりの作動流体の正味の変位を調整するように制御され、前記単位時間当たりの前記正味の変位量が、前記回転体の回転速度とは独立して選択可能である、請求項
4~11のいずれか一項に記載
の方法。
【請求項13】
前記回転体の前記回転速度が、10%を超えて変動する、請求項
4~12のいずれか一項に記載
の方法。
【請求項14】
前記回転体に伝達される動力が、前記モータの最大および/または定格出力トルクを一時的に超え
、前記モータが、制限された期間にわたってその最大連続定格トルクを超えて駆動される、請求項
4~13のいずれか一項に記載
の方法。
【請求項15】
前記高圧マニホールドへの、または前記高圧マニホールドからの作動流体の変位と、前記高圧マニホールド内の圧力との間の関係が、1つ以上の故障基準が満たされるかどうかを決定するために監視される、請求項
4~14のいずれか一項に記載
の方法。
【請求項16】
前記モータが、可変速駆動装置を有する可変速モータであり、前記可変速駆動装置が、前記物体の制御可能な振動を提供するために、前記油圧アクチュエータの充電状態、前記回転体の現在の回転速度、および振動サイクルにおける現在位置、ならび
に、他のシステム条件を考慮して計算されたトルクまたは速度需要信号に応答して、前記モータを調整する、請求項
4~15のいずれか一項に記載
の方法。
【請求項17】
交互のポンピングおよびモータ駆動の頻度が、前記物体が駆動される頻度を最大にし、それによって、達成可能な最大作業率を可能にするように自動的に調整される、請求項
4~16のいずれか一項に記載
の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体を1つ以上の油圧アクチュエータで変位させる分野に関し、物体の変位は逆にされ、少なくとも部分的に蓄積された弾性力または弾性力および重力による位置エネルギの戻りによって駆動され、変位方向は繰り返し反転する。
【0002】
本発明のいくつかの実施形態は、物体を弾性的に変形させるために物体を変位させ、次いで物体を戻し、変位の方向を多数回反転させることによって物体を応力試験し、その疲労特性を調べる分野に関する。
【背景技術】
【0003】
US3937058(Hilbrands)から、応力試験を実施する目的で油圧アクチュエータを使用して、風力タービン翼または車両サスペンション等の物体に繰り返し応力をかけることが知られている。しかしながら、これらの試験は、典型的には相当な量の電力を消費し、それは各反復でそのような物体を変形するのに必要とされるかなりの力と応力試験を行うのに必要な多数の反復のために熱として放散される。
【0004】
US8621934(Hughesら)から、物体の共振周波数で物体を試験することが知られており、それにより、振動と同相の反復歪みを加えることによって、ある期間にわたって比較的大きな振動を生じさせることが可能になる。しかしながら、多くの場合、共振周波数ではない周波数で物体を試験することが望ましい。例えば、風力タービン翼の応力試験に適した試験周波数は、翼のいずれの共振周波数よりもはるかに低い可能性が高い。
【0005】
DE102014116770(Hoffman and Brettner)は、油圧アクチュエータが電気モータによって駆動されて弾性部材を変形させ、弾性部材が弾性回復によって変形して電気モータを発電機として駆動する発電モードを開示している。これは、エネルギをある程度回復させることを可能にするが、弾性部材の変形の制御はほとんどなく、電気モータは十分なトルクを発生するのに十分強力であることが要求され、したがって相当量の電力を消費し、電気エネルギを発生させ、貯蔵し、そして再利用することはかなりの損失を含む。
【0006】
JP S6113133(MuranakaおよびHosoya)は、試験サイクルの一部の間に試験片の圧縮反力が油圧の駆動源となり、かなりのエネルギ再利用を可能にする油圧圧縮試験装置を開示している。しかしながら、やはり試験片の変位に対する制御はほとんどない。
【0007】
したがって、本発明は、応力試験、および物体が変位し、変位の方向が繰り返し反転される他の用途のためのエネルギ効率の良い装置および方法を提供することを目的とする。
【0008】
既知の試験装置に関するさらなる問題は、変位のサイクル内の物体に作用する力の時間変化および物体の変位の制御の欠如、および(該当する場合には)物体上の異なる位置(例えば、風力タービン翼の長さに沿った異なる位置、または車両のシャーシの異なる部分)における相対変位の制御の欠如である。例えば、典型的な液圧アクチュエータでは、油圧流体は規定された期間の間、連続的な速度でアクチュエータ内に送り込まれる。期間またはポンプ流量の変動は、物体がどれだけ遠くまで変形するか(例えば、重力および/または弾性力に対して)に関する制御を可能にするが、変形における変動および変形サイクル全体を通して経時的に物体に与えられる力微調整を可能にしない。したがって、本発明のいくつかの実施形態は、物体に対する力作用および/または物体の変位の経時変化の改善された制御を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、物体を繰り返し変位させるための装置が提供され、本装置は、
物体係合要素と、
物体係合要素に接続された油圧アクチュエータと、
低圧マニホールドと、油圧アクチュエータに連結された高圧マニホールドと、回転シャフトを備える回転体と、回転シャフトの回転とともに周期的に変化する容積を有する複数の作動室と、それぞれの作動室と低圧および高圧マニホールドとの間の作動流体の流れを調整する複数の弁と、電子制御弁である、作動室につき少なくとも1つの弁と、を有する油圧機械と、
弁を電子制御し、それによって作動室容積の各サイクル中に各作動室による作動流体の正味の変位を調整し、作動室が低圧マニホールドから高圧マニホールドへの作動流体の正味の変位を行うポンピングサイクルと、作動室が高圧マニホールドから低圧マニホールドへの作動流体の正味の変位を行うモータ駆動サイクルとの間で選択することを含む、制御部と、
回転体に駆動連結され、回転体にトルクを加えるように(それによって、回転体の回転運動エネルギを増大させるように)構成された、モータと、を備え、
制御部が、弁を交互に制御し、それによって油圧アクチュエータへの作動流体のポンピングを調整し、それによって使用時に物体係合要素に係合する物体を変位させ、次いで弁を制御し、それによって、物体係合要素に作用する物体からの力の結果として、油圧アクチュエータからの作動流体のモータ駆動を調整するように構成(例えば、プログラミング)され、
回転体(そしてひいては回転シャフト)の回転速度が変動し、制御部による弁の制御が、回転体(そしてひいては回転シャフト)の回転速度を考慮する。
【0010】
第2の態様では、本発明は、物体を繰り返し変位させる方法に及び、本方法は、
油圧装置を提供することを含み、油圧装置が、
物体係合要素を通して物体に連結された油圧アクチュエータと、
低圧マニホールドと、油圧アクチュエータに連結された高圧マニホールドと、回転シャフトを備える回転体と、回転シャフトの回転とともに周期的に変化する容積を有する複数の作動室と、それぞれの作動室と低圧および高圧マニホールドとの間の作動流体の流れを調整する複数の弁と、電子制御弁である、作動室につき少なくとも1つの弁と、を有する油圧機械と、
回転体に駆動連結されたモータと、を備え、
本方法が、
回転体にトルクを加え、それによって、回転体の回転運動エネルギを増大させるようにモータを動作させることであって、回転体(そしてひいては回転シャフト)の回転速度が、動作中に変動する、動作させることと、
結果として作動室容積の各サイクル中に各作動室による作動流体の正味の変位を調整し、それにより、作動室がポンピングおよびモータ駆動を交互に実行するように弁を制御することであって、ポンピング中、弁が、作動室に、作動室が低圧マニホールドから高圧マニホールドへの作動流体の正味の変位を行うポンピングサイクルを実行させるように制御される、制御することと、を含み、モータ駆動中、
モータ駆動中、弁が、作動室に、作動室が高圧マニホールドから低圧マニホールドへの作動流体の正味の変位を行うモータ駆動サイクルを実行させるように制御され、
弁の制御が、回転体(そしてひいては回転シャフト)の回転速度の変化を考慮する。
【0011】
したがって、ポンピング中に物体を変位させるために使用されるエネルギは、一部がモータによって供給され、一部が回転体の回転運動エネルギによって供給される。変位を通して、エネルギのほとんどが、位置エネルギ(例えば、弾性力による位置エネルギ、または弾性力および重力による位置エネルギ)に変換される。次いで、物体を変位させるために使用されるエネルギの大部分は、モータ駆動中に戻され、その後の変位で再利用するために回転体の回転運動エネルギとして蓄積される。このように、本装置および方法は、エネルギ効率が非常に高い。モータは、通常必要とされるよりも少ない電力を消費することができる。モータは、典型的には電気モータであるが、当業者においては、採用し得る他の種類のモータを認識するであろう。物体係合要素に載置される物体からの力の結果として作動流体を駆動することにより、我々は、高圧マニホールドから低圧マニホールドへの作動流体の正味の変位があるモータリングサイクルをそれぞれの作動チャンバに実行させるように制御され、それによって、物体からの力(高圧マニホールド内の流体を加圧する)が、回転体の回転運動エネルギに変換されるエネルギを供給する弁に言及することが理解されよう。
【0012】
さらに、上記の弁の制御が、回転体(そしてひいては回転体の一部である回転軸)の変動する回転速度を考慮に入れるため、回転体の回転速度の変動および作業室容積のサイクルの頻度に付随する変動(これは、さもなければ油圧機械の単位時間当たりの変位速度の制御の低下を招く)にもかかわらず、物体に加えられる力および/または物体の変位を、正確に制御された方法で経時変化させることができる。したがって、回転体の回転速度の相当な変化を許容することができ、相当量のエネルギを戻して回転運動エネルギに蓄えることが可能になる。
【0013】
回転体は、回転シャフトを備え、かつ典型的には電気モータの回転可能な(使用中は回転している)要素(例えば回転子)、油圧機械の回転可能な(使用中は回転している)要素、および任意には、関連付けられた継手を備える回転可能な(使用中は回転している)塊である。回転体の主な慣性は、電気モータの回転要素の慣性であり得る。回転体は、フライホイールを含み得る。回転体の支配的慣性力は、フライホイールの慣性力により得る。
【0014】
回転体は回転シャフトを備え、そのため回転体および回転シャフトの回転速度は、共通である。そうは言っても、回転体の異なる部分(例えば、フライホイールおよびシャフト)は、原則として、ギアを使用して異なる速度で回転することができ、その場合、異なる部分の回転速度は、歯車比になる。
【0015】
回転体の回転運動エネルギは、油圧アクチュエータへの作動流体のポンピングを駆動するために(典型的には優勢なエネルギ源として)少なくとも部分的に使用され、その結果、回転体の回転速度は低下する場合がある。典型的には、油圧アクチュエータからの作動流体の出力(物体からの力の結果として)は、回転体を加速させるために油圧機械を駆動するために使用される。このように、物体からの力は回転体の回転を加速するために使用され、したがって物体からの位置エネルギは、回転体に蓄積された回転運動エネルギに変換される。
【0016】
使用中に、物体を変位させる(および内部で応力および歪みを与える)ために使用されるエネルギの大部分は、回転体の回転運動エネルギによって供給される。このように、エネルギは、その変位され内部に応力を受けた状態に起因して、物体に蓄えられる。続いて、物体に蓄えられた上記エネルギの大部分は回収され、回転体の回転運動エネルギとして蓄えられる。
【0017】
油圧アクチュエータへの作動流体の上記ポンピングおよび油圧アクチュエータからの作動流体を用いた油圧機械の上記モータ駆動は周期的に行われてもよい。したがって、反復試験(例えば、反復応力試験)を実行するとき、エネルギは回転体の回転運動エネルギから弾性歪みエネルギ、または物体の弾性歪みおよび重力による位置エネルギに周期的に変換され、またその逆に変換される。(典型的には電気)モータは、この周期的変換における損失を補償するためのエネルギを提供し得る。
【0018】
(例えば電気)モータによって回転体に及ぼされるトルクは、各サイクル中に損失を補償するために十分なエネルギを提供することによって、回転体のピーク回転運動エネルギを、1つのサイクルから次のサイクルまで維持するように作用する(そして典型的には制御される)。これは、モータが物体係合要素(そして、使用中は物体)を変位させるのに必要なトルクのすべてを発生できなければならない場合に必要とされるよりも低い(例えば電気)モータの最大トルクおよび/または最大連続定格トルクが低いという効果を有する。
【0019】
典型的には、(交互のポンピングおよびモータ駆動の)サイクルの周波数は、物体の共振周波数ではない。
【0020】
モータは、動作中(例えば、ある作動流体のポンピングからその直後の作動流体のそのモータ駆動へのその直後の作動流体のポンピングまで)、回転体の回転速度の少なくとも10%(または少なくとも20%、または少なくとも30%)の変化を可能にし、任意には同時に連続的にトルクを与える電子可変速駆動装置を有する電気モータであってもよい。
【0021】
回転体の目標回転速度が決定され、電気モータ(および任意には油圧機械)が、目標回転速度に向けて調整され、電気モータが、速度を一定範囲内で変動させることを可能にするように構成された可変速駆動装置によって駆動される可変速モータであり、油圧機械が、ポンピングサイクル中に回転体を減速させる(典型的には、モータに反対に作用する)ことと、モータ駆動サイクル中に回転体を加速させる(典型的には、モータと同じ方向に作用する)こととを交互に行い、それによって、ポンピングとモータ駆動との間の回転体の回転速度の振動をもたらし、装置における損失を補い、物体の制御された振動を提供するために、(典型的には、モータを駆動する可変速駆動装置によって)トルクトリムが付与され得る。
【0022】
油圧機械は、回転体の回転の過速度または不足速度を回避するように制御され得る。例えば、HPマニホールド内への、またはHPマニホールドからの油圧流体の正味の変位は、過速度または不足速度の基準が満たされることに応じて、それぞれ制限または増加させることができる。
【0023】
ポンピング中の作動流体の単位時間当たりの変位速度は、(典型的には、弁を制御する制御装置によって)制御され、それによって、
(i)経路に沿った物体係合要素(または物体)の変位、
(ii)物体係合要素によって物体に及ぼされる力、
(iii)高圧マニホールド内の圧力、
からなる群のうちの1つ以上が、経時変化する需要に従うように調整される。
【0024】
モータ駆動中の作動流体の単位時間当たりの変位速度は、(典型的には弁を制御する制御部によって)制御され、それによって、
(i)経路に沿った物体係合要素(または物体)の変位、
(ii)物体係合要素によって物体に及ぼされる力、
(iii)高圧マニホールド内の圧力、
のうちの1つ以上からなる群が、経時変化する需要に従うように調整される。
【0025】
経時変化する需要は、予め決定されてもよい。経時変化する需要は、例えばユーザからの入力制御信号であり得る1つ以上の制御信号を考慮して計算されてもよい。
【0026】
このように、需要は、例えば変位、力または圧力を示すデータ(例えば需要信号)であり得る。いくつかの実施形態では、高圧マニホールド内の圧力が物体に作用する力を決定する場合、力と圧力は相互に関連しており、典型的には、それらは互いに関数である。
【0027】
(例えば所定の)経時変化する需要は非線形であり得る。いくつかの実施形態では、所定の経時変化する需要は、複数の、典型的には100以上の連続サイクルを通して同じである。
【0028】
本方法は、
(i)変位のサイクル中に物体係合要素に物体によって及ぼされる力をシミュレートおよび/もしくは監視すること、
(ii)変位のサイクル中の物体の動きをシミュレートおよび/もしくは監視すること、
(iii)変位のサイクル中のエネルギの損失をシミュレートおよび/もしくは監視すること、ならびに/または、
(iv)変位のサイクル中の変位、移動速度、もしくは加えられた力に関する閾値の違反を検出すること、のうちの1つ以上による変位のサイクルを通して、上記経時変化する需要を決定するステップを含み得る。
【0029】
したがって、経時変化する需要はシミュレーションを用いて、または経験的に判定され得る。経時変化する需要は、反復的に調整される(例えば最適化される)ことができる。これにより、油圧アクチュエータと物体との間の潜在的に複雑な相互作用にもかかわらず、所望の周期的変位パターンを実現することが可能になる。
【0030】
モータの回転速度または電力消費は、上記判定中に考慮に入れられ、および/または変動され得る。
【0031】
回転体の1回転当たりの作動流体の変位速度は、(典型的には弁を制御する制御装置により)ポンピング中に制御され、それによって、回転体の変動する回転速度を考慮して、単位時間当たりの作動流体の変位速度を調整し得る。
【0032】
回転体の1回転当たりの作動流体の変位速度は、(典型的には弁を制御する制御装置により)モータ駆動中に制御され、それによって、回転体の変動する回転速度を考慮して、単位時間当たりの作動流体の変位速度を調整し得る。
【0033】
このように、回転体の1回転当たりの作動流体の変位速度と単位時間当たりの作動流体の変位速度とは、独立して変化し得る。弁は、複数の作動室の単位時間当たりの作動流体の正味の変位量を調整するように制御されてもよく、上記単位時間当たりの正味の変位量は、回転体の回転速度とは独立して選択可能である。
【0034】
これにより、力および/または変位の経時変化プロファイルを正確に制御することが可能になる。これは、ポンピング中に物体の制御された変位を提供することを支援する(独立して制御された油圧機械によって駆動される物体の動きを含み、特に物体が独立して制御された油圧機械によって駆動された複数の位置において同時に係合される(そしてまた典型的にはクランプされる)ときの、物体の制御された屈曲を含む))。それはまた、運動中にエネルギを物体から効率的に回収することを可能にする。またさらには、物体に作用する力の制御の損失または物体の変位の制御の損失なしに、回転体の回転速度を実質的に変えることを可能にし、物体に伝達され、弾性力による位置エネルギとして蓄えられた(例えば、重力による位置エネルギとして、または(変位した物体の応力を受けた歪んだ形状として)エネルギのかなりの割合を、回転運動エネルギに変換し(戻し)、それによって、エネルギ効率を改善することを可能にする。結果として、物体に加えられる力および物体の変位の経時変化プロファイルを注意深く制御し、特定の用途に対してカスタマイズすることができる一方で、機械はエネルギ効率を維持する。
【0035】
回転体の1回転当たりの作動流体の変位速度は、作動流体の正味の変位を行うかまたは行わない作動室の割合を制御することによって(典型的には制御部によって)制御され得る。作動流体の正味の変位がない作動室容積のサイクルは、ポンピングサイクルの間に割り込ませてもよく、および/またはモータ駆動サイクル間に割り込ませてもよい。回転体の1回転当たりの作動流体の変位速度は、各ポンピングサイクルまたはモータ駆動サイクル中に変位される作動室容積の割合を制御することによって制御され得る。
【0036】
単位時間当たりの作動流体の正味の変位量は、回転体の1回転当たりの作動流体の平均変位量と回転体の回転速度の積に比例する。
【0037】
このように、回転体の回転速度が増加すると、作動室当たりの作動流体の平均正味変位が、単位時間当たりの作動流体の所与の需要正味変位量に対して(動作室容積のサイクルの頻度の増加により)減少し、回転体の回転速度が増加すると、その逆もまた同様である。これにより、回転体の回転速度の著しい変動を許容しながら、機械を効率的に作動させることができる。
【0038】
モータは、電気モータであってもよい。電気モータは、可変速電気モータであってもよい。例えば、モータが、可変速駆動装置、例えば周波数変換器を有することがあり得る。
【0039】
レギュレータは、例えば、回転体の回転速度に応じて、例えば、許容範囲内で、回転体の回転速度をある範囲内に、または最大値を下回って(例えば各サイクル中の最大ピーク)もしくは最小値を上回って(例えば各サイクル中の最小ピーク)に、もしくは目標速度に、許容差をもって維持するように、上記可変速駆動装置の速度または周波数を調整することによって、電気モータ(例えば、回転速度、トルク、またはモータ出力)を調整することができる。回転体の回転速度が需要(例えば、
図16の範囲312の中心において)から、または需要範囲(312以内または312に等しい)からさらに逸脱した場合、レギュレータはモータをより強く調整することがあり得る。
【0040】
システムを電気モータの能力限界内でできるだけしっかりと動作させることを目的とし得、上記限界は、経時変化し得る。ポンピングステップおよびモータ駆動ステップを調整して、所定のシステム限界内で最高サイクル周波数が達成されることを確実にし得る。ポンピングモータサイクルは、油圧機械が物体に力を加えて撓みを生じさせるためにラムに流体を圧送し、続いてラム内の加圧流体を用いて油圧機械をモータ駆動するモータ駆動ステップからなり、この場合、パターンをモータ駆動するための完全なポンプは、サイクルを構成し、上記サイクルはサイクル周波数を有する。所与のサイクルに対するシステム損失が電気モータからの最大動力入力に近づくと、達成可能な油圧ポンプモータ駆動サイクルが制限される。この調整は、電気モータの平均出力がその達成可能な出力限界に近づくか、または平均速度が設定値を下回ると、油圧ポンプ駆動サイクル周波数を下げるように作用し得る。調整は、以下のものからなる。
【0041】
-サイクル中に加えられる最大変位を制限すること、
-アクチュエータ(例えば、ラム)が及ぼす最大速度を制限すること、
-サイクルの形状(例えば、位相による振幅の変動)を変更すること、
-サイクルのいくつかの部分の間のアクチュエータの最大速度を減少させること、
-サイクルの振幅変を変更すること、
-サイクルの周波数を変更すること。
【0042】
可変速駆動装置による電気モータの速度の調整は、3つの動作領域のうちのいくつかまたはすべての範囲内で行われ得る。閾値(「速度最大」)を超えると、回転速度のさらなる増加を回避するために、電気モータがトルクを提供しないことがあり得る。閾値(「速度最小」)を下回ると、失速を避けるために、電気モータが最大トルクを提供するように命令されることがあり得る。所定の範囲内では(「最高速度」と「最低速度」との間の速度による)、可変速駆動装置は、油圧ポンプモータサイクル制御装置(しばしば支配的なトルク入力)と連動して動作することがある。電気モータを制御する可変速駆動装置は、(典型的には、目標周辺の速度の緩やかな調整を伴う)典型的には目標速度を維持しようと努める。したがって、油圧機械がポンピングを開始すると、油圧機械が回転体からエネルギを抽出するにつれて回転体の速度が遅くなり、(ゆるやかな)速度調整に従って減速することが可能になる。油圧機械は、回転体の回転から生じる運動エネルギを使用して、シリンダ内の圧力を加圧/上昇させる。この調整により、回転速度を変動させて、アクチュエータ内の位置エネルギを回転体内の運動エネルギに変換し、そしてその逆も同様であり、それによって、本システムのピーク電力消費量を削減し得る(モータ駆動フェーズ中に回転運動エネルギに蓄えられたエネルギが後にポンピングに使用されるため)。速度変動は、油圧システムにおけるエネルギ貯蔵を可能にする。
【0043】
(例えば、モータをより強固に調整する代替案として)回転体の速度が閾値を下回って低下した場合、変位方向(例えば変位のサイクル)の反転が、減少した頻度で行われ得る(例えば変位のサイクルを遅くし得る)。
【0044】
典型的には、電気モータは、使用中(例えば、回転体の回転運動エネルギを本体の弾性歪みエネルギおよび/または重力による位置エネルギへ変換し、再度戻る繰り返しサイクルの間)連続的に作動される。これは、(典型的には電気的)モータを効率的に利用し、例えば、ゼロまたは非常に低速からモータを始動または再始動するために必要とされる時間を回避し、典型的にはより低いモータ効率の領域であるモータの加速および減速を(特に、電気モータに対し)最小にする。(典型的には電気的)モータは、例えば負荷保持期間の間、不連続的に運転されてもよい。物体を変位させるための従来のシステムまたは装置は、作動流体が漏れる難点があり、その漏れは、主にアクチュエータラムに供給する比例弁から生じる。さらに、既知の装置の油圧機械は、典型的には可変容量斜板ポンプ/モータであり、それら自体が漏れの原因となる。需要(目標)が、長期間作用する設定された保持力または圧力(例えば、複合プレスで必要とされる長時間の油圧)である場合、その一定圧力の期間の間、作業は行われない。何の作業も行われていないが、当技術分野の従来のシステムでは、かなりの漏れを被り、流体動力の入力を必要とするが、一方で本発明の油圧機械は、(上記の電子制御弁のような)面封止ポペット弁を使用して実施されることができる。これらは、典型的にはゼロ逆流を有し、(電気)モータをまったく動作させないかまたはほぼ動作させずに、圧力を保持することを可能にする。
【0045】
回転体に伝達される動力は、(回転体の回転運動エネルギを使用した)(例えば、電気)モータの最大および/または定格出力トルクを一時的に超えることがあり得る。(例えば、電気)モータは、制限された期間にわたって、その最大連続定格トルクを超えて駆動され得る。
【0046】
弁および/またはモータは、回転体が経時変化する振動回転速度で単一方向に回転するように制御することができる。
【0047】
弁および/またはモータは、回転体の回転速度が最小または最大閾値を違反して降下しないような方法で、通常のシリンダ作動シーケンスが作動しないように制御されることができる。
【0048】
このことは有利であるが、それは、回転体の回転速度がゼロである場合、その時点で、(固定シャフトに電力を注入することができないために)入力電力限度がゼロになるためである。原動機から動力を付加する可能性を提供することを目的とする場合、本装置は、シャフトが停止するとその能力を失う。原動機から動力を加えることを望む場合、入力動力がシャフトを加速するために必要とされるので、シャフト停止は失速状態をもたらす可能性がある。
【0049】
回転体の回転速度は、10%を超えて(20%を超えて)変動する場合がある。したがって、回転体に蓄積された回転運動エネルギは、少なくとも21%、またはいくつかの実施形態では少なくとも44%変動し得る。これにより、回転体をエネルギの貯蔵部として著しく活用させ、これにより、物体を再度変位させることができる。
【0050】
装置は、応力試験装置であってもよく、物体は、試験中の物体であってもよい。物体は、例えば、翼(例えばタービン翼、例えば風力タービン翼)またはシャーシ(例えば飛行機または車輪付き車両)のような細長い部材とすることができる。
【0051】
典型的には、制御装置は作業室容積のサイクルに対して段階的な関係で弁を制御する。油圧機械は通常、作業室容積のサイクルの位相を決定するための位置または速度センサを含む。
【0052】
典型的には、制御装置は、それぞれの作動室が作動流体の正味の変位を作る活動サイクルと、それぞれの作動室が作動流体の正味の変位を作らない非アクティブサイクルとの間で選択するように弁を調整する。典型的には、活動的なサイクルと非活動的なサイクルとが散在し、それによって回転可能体の1回転当たりの作動流体の正味の変位量を調整する。
【0053】
制御部は通常、格納されたプログラムコードを実行する1つ以上のハードウェアプロセッサを備える。制御部は、例えば複数のハードウェアプロセッサおよび/または回路の間に分散させ得る。
【0054】
回転体は、フライホイールを備え得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、回転体(および/または電気モータの回転子)は、追加のフライホイールを必要としない十分な回転慣性を有する。
【0055】
典型的には、回転体の回転速度は、ポンピング期間の始まりから終わりまで減少し、その後、モータ駆動の期間の始めと終わりとの間に増加する。
【0056】
繰り返し試験では、回転体の変位とそれに続く減速を伴う回転体の変位のサイクルが、少なくとも100サイクル連続して繰り返されてもよい。
【0057】
油圧機械は、さらなる高圧マニホールドであって、第1の高圧マニホールドは、さらなる物体係合要素(使用中に物体の異なる部分に取り付け可能であるかまたは取り付けられる)に接続されたさらなる油圧アクチュエータに結合される、高圧マニホールドと、回転体の回転とともに周期的に変化する容積を有するさらなる複数の作動室と、それぞれのさらなる作動室間か、またはさらなる低圧マニホールドとさらなる高圧マニホールドとの間の作動流体の流れを調整するさらなる複数の弁であって、作動室ごとに少なくとも1つの上記さらなる弁が電子制御弁である、複数の弁と、を備え、制御装置は、上記さらなる弁を電子制御し、それによって作動室容積の各サイクル中に各さらなる作動室による作動流体の正味の変位を調整し、作動室が高圧マニホールドから低圧マニホールドへの作動流体の正味の変位を行うポンピングサイクルと、作動室が高圧マニホールドから低圧マニホールドへ作動流体の正味の変位を行うモータ駆動サイクルの間で選択することを含み、コントローラは、上記さらなる弁を交互に制御し、それによって、さらなる油圧アクチュエータへの作動流体のポンピングを調整し、それによって、物体を変位させるように構成され(例えばプログラムされ)、ここで物体は、使用時にさらなる物体係合要素と係合し、それによって、さらなる物体係合要素に載置された物体からの力の結果として、油圧アクチュエータからの作動流体のモータ駆動を調整するように構成され、制御部による上記さらなる弁の制御は、回転体の回転速度を考慮し得る。
【0058】
さらなる作業室の容積のサイクルは、回転体の回転に結合される。典型的には、回転シャフトは、作業室と他の作業室の両方に共通である。
【0059】
本発明は、第3の態様において、本発明の第1の態様による複数の装置を含む物体を繰り返し変位させるためのシステムに及び、物体の異なる部分に取り付け可能である(任意には取り付けられている)それぞれの装置の前記物体係合要素と、それぞれの装置のポンピングおよびモータ駆動を協調して調整し、物体係合要素の動きを協調して制御するように動作可能なシステム制御部と、を備える。
【0060】
第4の態様では、本発明は、物体を繰り返し変位させる方法に及び、本方法は、物体の異なる部分に連結された複数の前記油圧装置を設けることであって、各油圧装置が、本発明の第1の態様に従い、および/または本発明の第2の態様に従って制御される、設けることと、それぞれの油圧装置によるポンピングおよびモータ駆動を協調して制御し、それによって、物体を経時変化プロファイルに従って変位させる(例えば、撓ませる)ことと、を含む。経時変化プロファイルは、予め決められていてもよい。経時変化プロファイルは、周期的であってもよい。
【0061】
油圧装置は、典型的には、加圧された油圧流体を供給および/または受け取ることができる油圧動力ユニット(HPU)として具体化されている。
【0062】
上記の任意選択のおよび好ましい特徴は、本発明の各態様に関する。
本発明の例示的な実施形態が、以下の図を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】タービン翼の応力試験用システムの概略図である。
【
図2】個々の油圧動力ユニットの構成要素のブロック図である。
【
図3】本発明での使用に適した電子整流式油圧ポンプモータの概略図である。
【
図5】タービン翼の長さに沿った点の最大撓みのグラフ。
【
図6】4つのアクチュエータのそれぞれの変位(およびそれに対応する接続された物体の撓み)の経時変化を複数のサイクルにわたって示すグラフである。
【
図7】それぞれの回転体(およびそれらの回転シャフト)の回転速度の変動を示す。
【
図8】各油圧動力ユニットにおける油圧機械の回転体の1回転当たりの最大変位の割合(F
d)の変動を示す。
【
図9】油圧動力ユニットごとに合計された、電気モータについての1本のラインと油圧機械についての別のラインとの時間に対する出力をグラフ化したものである。
【
図10】
図10A~10Cは、(10A)周期的試験、(10B)所定の任意の波形、および(10C)予測不可能な任意の波形に対する、時間(横軸)によるアクチュエータの変位(縦軸)の例示的な変動を示すグラフである。画像10Cの右手側では、波形が予め記録されていないかまたは知られていない(変位需要はリアルタイムで決定され、操作前に知られていない可能性がある)ことを表す網掛けが使用されている。
【
図11】
図11A~11Cは、後続の運転中にシャフト速度が所定の最低速度を下回って低下することを回避するための調整または最適化手順を図示する。
【
図12】回転速度に伴う個々の油圧動力ユニットの最大出力の変動を示す図である。
【
図14】どのようにして機械のトルク制限が回転速度とともに変動するかを図示する。
【
図15】回転体の回転速度に伴う電気モータ電力の変動を図示し、上図では、横軸は回転を加速するという意味での電気モータ出力を示し、下の図では縦軸は回転を減速させるという意味でのポンピング中の油圧機械動力を示す。
【
図16】ピーク回転速度に伴う電機モータトルクにおける変動を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1は、タービン翼2の応力試験のためのシステム1の概略図であり、本発明の適用の一例である。システム制御部4は、タービン翼に適合するように成形された装備品であってもよく、または単にアクチュエータの端部であってもよい物体係合要素10を通してその長さに沿った異なる位置で、風力タービン翼を支えるそれぞれの油圧アクチュエータ(ラム)8を駆動する4つの異なる油圧動力ユニット6を制御する。油圧動力ユニットは、電源によって駆動される。圧力センサ(図示せず)は、それぞれの電力ユニットによって各アクチュエータに供給される油圧流体の圧力を監視し、位置センサは、各アクチュエータの撓み(例えば、移動距離、または回転アクチュエータの場合は向き)を監視する。
【0065】
図2を参照すると、個々の油圧動力ユニットは、電気モータ22に連結された回転シャフト20と、同じ方向に回転しながらポンプとして、またはモータとして機能することが可能である電子整流式油圧機械30と、フライホイール26とを備える。このように、電気モータの回転子、油圧機械のシャフトおよびフライホイール(存在する場合)は、回転体としてともに回転する。例えば、消散しなければならない負荷からの正のエネルギがある場合に必要とされる任意選択の消散器28をシャフトに連結することができる。これは、負荷エネルギが、それを吸収するような回転体のエネルギ容量を超え、それによって、回転体の過速度を回避するケースである。シャフト速度を低下させるように直接作用する消散器の代替として、これは、例えば電気モータに接続されたブレーキ抵抗器の群の形態であってもよい。このように、消散器の組み込みおよび使用は、システムが予想されるすべての電力ピークをとるようにサイズ設定するのではなく、中央負荷のケースのためのシステムのサイズ設定を可能にし、それによって、物体を変位させるための、より小さい回転質量およびより高速な応答のより効率的なシステムまたは装置を可能にする。
【0066】
電気モータは、回転体の回転速度に伴う周波数の変動にもかかわらず、電気モータが駆動されることを可能にする可変速駆動装置または可変周波数駆動装置24によって動力供給される。電気モータは、使用時に、回転シャフト(そしてひいては回転体)に対して、単一の回転方向にトルクを加える。油圧機械は、それぞれの油圧アクチュエータと流体連通する高圧流体ライン122を有する。圧力逃し弁128は、高圧流体ライン内で圧力が過剰になった場合に、低圧への接続を提供する。
【0067】
図2は、システム内の3つの重要な動力の流れを示し、Pmotorは、モータによって供給される動力であり、Ploadは、負荷によって伝達または吸収される動力、Pflywheelは回転体によって伝達または吸収される動力である。
【0068】
合成転流ポンプモータ
図3を参照すると、電子整流式油圧ポンプモータは、シリンダの内面によって画定された作動容積102と、回転シャフト108から駆動されるピストン106とを有するシリンダ100の形態の複数の作動室を有する。偏心カム110とピストンはシリンダに対して往復運動してシリンダの作動容積を周期的に変化させる。回転シャフトは、電気モータの回転子およびフライホイール(存在する場合)にしっかりと接続されて回転する。シャフト位置および速度センサ112はシャフトの瞬間角度位置および回転速度を決定し、信号線114を介して油圧モータの位置および速度を機械制御装置116に通知し、これにより機械制御装置は各シリンダのサイクルの瞬間位相を決定することができる。
【0069】
各シリンダは、それぞれの関連するシリンダに向かって内側を向き、シリンダから低圧液圧まで延びるチャネルを選択的に封鎖するように動作可能な、電子作動式面シールポペット弁118の形態の低圧弁(LPV)とそれぞれ関連付けられる。1つまたはいくつかのシリンダ、あるいは実際にはここに示されているようにすべてを低圧油圧流体ライン26および任意にタンクに接続することができる低圧油圧流体ライン120。LPVは、通常、シリンダ内の圧力が低圧油圧流体ライン内の圧力以下であるとき、すなわち吸気行程中に受動的に開いてシリンダを低圧と連通させるソレノイド閉弁である。しかし、LPV制御ライン124を介して制御部のアクティブ制御下で選択的に閉鎖可能であり、シリンダを低圧油圧流体ラインとの流体連通から外す。常閉型ソレノイド開弁のような代替の電子的に制御可能な弁を使用することができる。
【0070】
シリンダはそれぞれ、圧力作動式送出弁の形態の高圧弁(HPV)126とさらに関連している。HPVは、シリンダから外側に向かって開いており、シリンダから高圧油圧流体ライン122まで延びるチャネルをシールするように動作可能であり、それは1つまたはいくつかのシリンダ、または実際にはここに示されるすべてをトランスミッション高圧油圧ラインに接続する。流体ライン28。HPVは、シリンダ内の圧力が高圧油圧流体ライン内の圧力を超えると受動的に開く常閉圧開放逆止弁として機能する。HPVはまた、そのHPVが関連するシリンダ内の圧力によって開放されると、制御部がHPV制御ライン132を介して選択的に開放を保持することができる常閉ソレノイド開放逆止弁としても機能する。通常、HPVは、高圧油圧流体ライン内の圧力に対して制御部によって開くことができない。HPVは、高圧油圧流体ラインにはあるがシリンダ内には圧力がないときに制御部の制御下で追加的に開くことができ、あるいは例えば弁がこのタイプのものであり、そしてその方法は、WO2008/029073またはWO2010/029358に開示されている。
【0071】
例えばEP03619277、EP0494236、およびEP1537333に記載されているポンピングサイクルを実施するための通常の運転モードでは、その内容はこの参照により本明細書に組み込まれる。制御装置は、シリンダ作動容積のサイクルを通して作動室のLPVを開放状態に保持することにより(個々の作動室による高圧作動油ラインへの流体の正味の変位量を選択する(この場合、作動流体の正味の変位はない)。または、関連するシリンダのサイクル内の最大体積の点の近くで1つ以上のLPVを能動的に閉じることによって、低圧油圧流体ラインへの経路を閉じ、流体を関連するHPVに通す。その後の収縮脳卒中。
【0072】
モータ駆動サイクルを実行するために、制御部は、サイクル中にそれぞれのLPVを開いたままにすることによって(その場合、作動流体の正味の変位がない)、シリンダによる高圧油圧流体ラインからの流体の正味の変位量を選択する。高圧ラインから低圧ラインへの)または関連するシリンダのサイクルの最小容積の点の直前に1つ以上のLPVを能動的に閉鎖することによって、低圧油圧流体ラインへの経路を閉鎖して、高圧ラインから低圧ラインへと移動させる。残りの収縮ストロークで圧縮されるシリンダ。関連するHPVは、それを横切る圧力が等しくなると開き、少量の流体がシリンダから関連するHPVを通って高圧流体ラインに導かれる。次いで、油圧ポンプ-モータ制御装置は、典型的には関連するシリンダのサイクル内の最大容積近くまで関連HPVを能動的に開いたままにして、高圧油圧流体ラインからの流体を流入させ、回転シャフトにトルクを加える。制御部は、LPV閉鎖およびHPV開口の回数および順序を選択して、選択された正味の変位率を満たすような流れを生成するか、またはシャフトトルクもしくは動力を生成する。
【0073】
制御装置は、サイクルごとにLPVを閉鎖するかまたは開放するか否かを決定することに加えて、変動するシリンダ容積に対してHPVの閉鎖の精密な位相を変動させ、それによって、高圧油圧流体ラインから低圧油圧流体ラインへの、またはその逆への流体の正味の変位量を選択するように動作可能である。
【0074】
ポート120、122上の矢印は、モータ駆動モードにおける流体の流れを示し、ポンピングモードでは、流れは逆になる。圧力逃し弁128は、油圧モータを損傷から保護し得る。
【0075】
正味の変位はシリンダごとに選択されることができ、かつ通常稼働中、回転シャフトは急速に回転し、そしてシリンダの変位の決定が非常に頻繁であることに起因して(例えば、1,500rpmで回転するシャフト上の12個のシリンダでは、3.33msごとにシリンダ変位決定がある)、シリンダによる作動流体の正味の変位を需要に厳密に合わせることができる。さらに、作動室のサイクル中に作動流体の正味の変位を行うか、およびその変位が何であるべきかについての決定は、回転シャフトの現在の回転速度を考慮して行うことができ、それによって、回転シャフトの回転速度の変動とは独立して、単位時間当たりの作動流体の所望の移動速度を得ることが可能になる。同様に、需要が、例えば、出力圧力が需要圧力と一致することに対するものである場合、変位決定は、回転シャフトの回転速度とは独立して頻繁に行われる。
【0076】
図4は、各油圧機械の変位割合を決定するときに制御部200によって考慮される要因を図示する。この例では、制御部200は個別油圧動力ユニット6の制御部である。
【0077】
制御部200は、回転シャフトの現在位置を計算するために使用されることができ、そこからシャフトの回転速度を計算することがさらにできるシャフト位置入力202を受信する。シャフト位置入力は、位置信号を継続的に提供する必要はないが、例えば、回転シャフトが特定の位置(例えば、グレイコードを使用した位置エンコーダ)にあるときはいつでもパルスを提供し得、そこから回転の位置および速度を推測することができる。代替的に、速度および位置信号を受信してもよい。制御部はまた、油圧ライン122内の圧力204とアクチュエータ8の位置206との測定値、ならびに油圧ライン内(または、通常は実質的に同じであるが、アクチュエータ内)の圧力に対する経時変化する需要、および/またはアクチュエータの位置に対する、経時変化する目標を特定する需要データ208を受信する。
【0078】
需要データは、目標圧力および/またはアクチュエータの位置をリアルタイムで示すことができる。一例では、圧力需要および/または位置需要は、別々の油圧動力ユニットを調整するシステム制御部4から受信される。しかしながら、いくつかの実装形態では、需要データは、個々の変位サイクルのパラメータを指定するか、またはその間の需要を示す時系列である。この場合、典型的には、個々の油圧動力ユニット制御部200および/またはシステム制御部4間での時間同期信号または手順がある。いくつかの実施形態では、システム制御部は油圧動力ユニット制御部の機能を実行する。
【0079】
制御部は、センサ信号/測定値を考慮して、需要に最もよく従うために、アクチュエータの出力圧力および/または位置に対して必要とされる油圧機械の1回転当たりの最大出力変位(ポンピング時)または入力変位(モータ時)の割合(Fd)を決定して出力する。これを行うために、制御部は、回転シャフトの回転速度を考慮する。Fdは、1回転あたりの機械の最大出力の一部で、0(すべてのシリンダが非アクティブサイクルを実行することを示す)と1.0(すべてのシリンダがアクティブサイクルを実行することを示す)との間で変化する。各シリンダがフルモード(最大変位の100%)およびアイドルモード(最大変位の0%)サイクルのみを実行する実施形態では、Fdは、アクティブサイクルを実行するために選択されるシリンダの割合である。まず、単位時間当たりの需要変位率が計算され、次に、これが回転シャフトの回転速度(単位時間当たりの回転数)に比例する係数で除算されて、1回転当たりの需要変位率Fdを決定する。次に、油圧機械は、その内容が本明細書に組み込まれているEP2851585(Caldwell)に開示されているように、アルゴリズムによってFdを一致させるようにシリンダ選択決定を行う。したがって、必要な変位または圧力は、回転速度とは独立して得ることができる(ただし、これは必要なFdが1.0を超えないために十分である)。
【0080】
別個に、制御部は、電気モータ22を制御する電気モータ制御出力210を提供する。いくつかの実施形態では、電気モータへの動力入力は、使用中は本質的に一定である。他の実施形態では、電気モータの制御は時間とともに変化する。電気モータの制御は、別個の電気モータ制御装置によって実施することができ、電気モータ制御装置については以下でさらに説明する。
【0081】
電気変速ドライブ(VSD)はシャフト速度を受け取り、閉ループ方式で電気モータの速度を制御する。この制御ループは、典型的には低ゲインを有し、これは速度が需要速度周囲の許容可能な速度帯域内で(上方速度閾値と下方速度閾値との間で)変化することを可能にする。したがって、速度の変動は、主に油圧機械のポンピングおよびモータ駆動のエネルギの流れによって影響を受ける。エネルギが回転体の回転運動エネルギに蓄えられ、アクチュエータラムによって再利用されることを可能にするのは、速度の変動である。油圧機械が速度制御を支配することを可能にすることは、インバータが速度に影響を及ぼすために必要とされる最小エネルギ(ひいては、最小電流)を提供することを意味する。インバータのエネルギ入力要件を最小にすることは、電気駆動システムが既知のシステム損失のみを補うように設計されることを可能にし、それによって、その電力消費を最小にする。
【0082】
いくつかの実施形態では、電気的VSDは、可変周波数駆動装置(VFD)である。
一般に、動作中、各油圧動力ユニット内では、回転体は電気モータによって駆動されて(単一方向に)回転し、この場合モータは、その同じ方向にトルクを加える。最初に、油圧機械は、油圧流体を、低圧ラインからそれぞれのアクチュエータまで延びる高圧ラインに圧送し、それによって翼を変位および変形させる。変位および変形が起こると、回転体の回転速度が遅くなり、回転体の回転運動エネルギが、高圧ライン内の加圧された油圧流体における圧力エネルギに伝達される。続いて、この圧力エネルギは、翼が変位および変形するにつれて翼の弾性力および/または重力によるエネルギに伝達される。電気モータは、ポンプに接続されたシャフトに回転運動エネルギの形で追加のエネルギを供給し、それが次に高圧ラインに加圧流体を供給し、したがって翼の変形をもたらすが、ポンプへの入力エネルギの大部分は通常回転体の蓄えられた回転運動エネルギから来る。
【0083】
回転可能な車体速度の回転速度に変動が全くないかまたはほんのわずかな変動しかない低電力要求モードでは、モータが電力を供給する瞬間能力によって決定される入力電力を満たすために電気モータVSDに頼ることは許容できる。負荷に蓄積された高エネルギの状態(例えば、大きく曲げられたタービン翼)にあるとき、回転体は典型的には可能な速度範囲の下限でより低い回転速度で回転される。同様に、負荷に蓄積されたエネルギが低い状況(例えば、わずかな曲げのみを有するタービン翼)において、回転体は、可能な速度範囲の上限で回転することができる。さらに、負荷が「中間」エネルギレベルを有する状態では、回転体の速度は通常中間速度に保たれる。その速度設定点を変更することによって機械の動作周波数を拡張するのに使用できるという点で有利である。
【0084】
その後、翼の弾性力による位置エネルギがアクチュエータを駆動して戻り、加圧流体を油圧機械に供給し、その結果、モータ駆動サイクルが実行され、それによって回転体が加速され、回転体の回転に運動エネルギが蓄えられる。回転体は同じ方向に回転し続け、電気モータは回転体の回転の運動エネルギとして蓄積されるエネルギを入力し続ける。全サイクルの間、電気モータは、失われたエネルギ、例えば熱を補うのに十分なエネルギを入力する。エネルギの大部分は、回転体の運動エネルギと翼内の弾性力および/または重力による潜在エネルギとの間のサイクルで効率的に変換されるので、電気モータは、ポンプのシャフトを回転させてアクチュエータを駆動して翼を変位させるのに必要なトルクのすべてを提供しなければならない場合に必要とされるよりも低い定格となる可能性がある。
【0085】
エネルギタイプ間の上記のサイクルの間、単位時間当たりの作動流体の変位速度(または出力圧力)は、回転体の回転速度を考慮して制御される。油圧機械は、単位時間当たりの作動流体の変位速度を、回転体の1回転当たりの作動流体の変位速度とは独立して変えることを可能にし、それによって、作動流体の変位および/またはアクチュエータにおける圧力/アクチュエータの位置が、回転体の変化する回転速度にもかかわらず、アクチュエータの調整は、所望の時間変化に従って制御されかつ変動させることを可能にする。さらに、回転体の回転速度を調整するこの能力は、回転体の回転速度を実質的に変動させることを可能にし、それによってエネルギ貯蔵および再生をより容易にする。
【0086】
図5は、風力タービン翼の長さに沿った点の最大撓みのグラフである。本例における4つのアクチュエータラム(
図1の4つのラムであり、第1のアクチュエータラムは根元に最も近いものであり、第4のアクチュエータラムは先端に最も近いもの)は、実質的に変位されることが必要とされ、第1のものが最低の要件を有し、第4のものが最も大きい要件を有することが理解できる。
【0087】
図6は、いくつかのサイクルにわたる4つのアクチュエータラムのそれぞれの変位における経時変化のグラフである。
【0088】
本図は、翼が第1のモードにあり、すべてのラムが同相であることに基づいて描かれている。代替的に、異なるモードで、例えばラムが位相ずれしているかもしれないケース、また、通常180度までである位相ずれを起こしているケースにおいて試験することが可能である。
【0089】
アクチュエータごとに異なる、時間の経過に伴う変位の線形変動を実現するために、油圧動力ユニットは各々、単位時間当たりで異なる量の作動流体を変位させなければならず、これは、それぞれの回転体が低速であるため、それぞれの回転体の回転ごとの変位率における非線形変動を必要とする。
【0090】
図7は、回転体回転速度における変動を示し、どのようにして、油圧動力ユニットが最も遠くに移動しなければならないラムに接続され、最大変位を有する翼を有する位置にある油圧動力ユニットが、(他のアクチュエータラムや油圧機械と比較して)最大速度まで変動する速度を有するエンジンを含むかを図示する。
【0091】
図8は、各油圧動力ユニット(この場合は「パワーパック」と表示されている)における油圧機械の回転シャフトの1回転当たりの最大変位の割合(F
d)の変動を示し、これは特に非線形である。翼の先端に最も近い部分を駆動する油圧動力ユニットでは、回転速度が最も大きく変動する(ポンピング中に低下し、モータ駆動中に再び上昇する)ことが理解され、いずれが最も変位されたかということは、変位した流体量が比較的多いことを意味する。第4の油圧動力ユニットは、先端に最も近いアクチュエータに油圧接続され、第1の油圧動力ユニットは根元に最も近いアクチュエータに接続される。
【0092】
根元に最も近い翼の部分を駆動し、最小の変位を必要とすることによって比較的少量の流体を変位させる油圧電力ユニットは、複数のアクチュエータを使用して、翼の複数の部分を駆動し得る。最も変位を必要とする先端部に最も近い翼の部分を駆動する動力ユニットは、それらが単一のアクチュエータを駆動するための流れの要件を満たすことを可能にするために、ともに連動され得る。これを容易にするために、いくつかの実施形態では、単一の油圧ユニットは、それぞれが異なる油圧アクチュエータに接続された2つ(またはそれ以上)の別個の独立して制御可能な高圧油圧流体ラインを有し得る。第1の油圧アクチュエータに流体を供給する(そしてそこから流体を受ける)第1の1つ以上の作業室に加えて、同じ回転シャフトに取り付けられ、通常は同じハウジング内の1つ以上の作業室の第2のグループが、電子制御弁を使用して、第2の油圧アクチュエータに流体を供給する(そして、そこから流体を受ける)のと同じ方法で制御され、それによって、第1のアクチュエータの(位置、圧力、力等に対する)第1の経時変化する需要および第2のアクチュエータの(位置、圧力、力等に対する)第2の経時変化する需要を個々に満たす。このような、複数の独立して制御される油圧ライン(サービス)の使用は、動きが最も少ないアクチュエータ(この例では1番目と2番目)に最も適している。
【0093】
いくつかの実施形態では、油圧機械の容量は異なっていてもよく、それによって、油圧動力ユニット内の油圧機械の相対的なサイズは、4つのアクチュエータラム間で(4つのラムの必要最大変位量を反映して)変動し得る。
【0094】
図9は、電気モータ(またはすべてのモータ)の出力を、本発明による実施例におけるアクチュエータを駆動する油圧機械(または複数の機械)の総出力と比較する。翼を変位させるために使用されるエネルギの実質的な大部分は、電気モータの瞬間出力に由来するのではなく、回転体の回転運動エネルギから回生されることが理解される。電気モータ曲線のピークは、ポンピングとモータ駆動との間を循環する油圧機械の動きと同相で、モータによる比較的小さい入力電力を示す。電気モータによって提供される入力電力は、摩擦、廃熱等によるシステム内の損失に対応する。
【0095】
図10を参照すると、本明細書に記載の例は、アクチュエータの変位300が時間とともに周期的に変化する実装形態に関する。いくつかの実施形態では、変位(または圧力もしくはアクチュエータ位置)は、
図10Aに示されるように、固定の周波数および振幅波形に従って経時変化し得る。一実施形態では、変位(または圧力もしくはアクチュエータ位置)は、
図10Bに示すように、任意の所定の波形に従って経時変化し得る。これは、例えば、シミュレートされた地形プロファイルに対する車両のサスペンションの応答を試験するのに役立つ。
図10Aおよび
図10Bのケースでは、需要データは、需要変位(または圧力もしくはアクチュエータ位置)の変動を表す事前に記憶された波形を含み得る。実施例10Cのケースにおける他の実施形態では、変位(または圧力もしくはアクチュエータ位置)の経時変化は、予め決定されていないが、リアルタイムで計算されている。この場合、需要データはリアルタイムで計算されるか、またはリアルタイムデータの外部ソースから受信される。適用例は、ユーザ制御に応答して動かされる飛行シミュレータである。
図10Bおよび
図10Cの例の場合、変位需要は、一度に一方向に(交互の方向に)移動し、制御部の修正集中ストラテジは、アクチュエータを反対方向に動かし、アクチュエータをエンドストップからその可動範囲の中心に向かって戻そうとする。このように、アクチュエータ変位は中心位置を平均化することができるが、明示的に周期的な性質を有していない。
【0096】
次のような運用上の限界を破ることなく持続可能な機能につながるであろう需要データを決定するために、展開前にシステムの運用をシミュレートすることは有用である。
【0097】
-(回転体の)最大回転速度を超える回転速度、
-(回転体の)最小限界を下回る回転速度、
-上限を超える出力圧力、
-最小値を下回る出力圧力、
-エネルギ散逸器を使用するための要件(存在する場合)
調整(例えば最適化)プロセスは、試験シーケンスの実行速度を変動させることを含み得る。例えば、試験サイクルの頻度である(
図10Aに示すような周期的な振動がある場合)。変位の大きさまたは力は、試験される物体によって決定される傾向があるため、修正することはまずないであろう。一例では、できるだけ早く翼をその理論上の破断ひずみの50%まで試験することが望ましいであろう。最適化により、この試験をできるだけ迅速に行うことが可能になる。したがって、調整は、変位の速度を変えることを含み得る。他の選択肢は、電気モータの平均出力を報告する自己最適化であり、出力が増加するまで平均速度を増加させる。
【0098】
他の例では、試験下の物体の計画されているかあるいは計画されていない機械的故障を通して、破壊が達成されるまで試験サイクルが続けられる。この障害検出の開始時に、システムの動作を停止することを含むシステムシャットダウン手段によるさらなる損傷を防止し、その後障害の根本原因を分析することが望ましい。本装置、または本装置を含むシステムは、試験下の物体の構造的破損または破損の始まりを検出するために使用することができる。
【0099】
物体の試験中、おそらくは物体材料のクリープにより、物体の温度が徐々に上昇する場合がある。物体の漸進的な破損は、1つのサイクルから次のサイクルへのマップ(以下に定義されるマップ)における変化によって示され得る。
【0100】
いくつかの実施形態では、HPマニホールド圧力と、HPマニホールドと連通する作業室によるHPマニホールドへのまたはHPマニホールドからの油圧流体の変位との間の関係は、1つ以上の故障条件が満たされるかどうかを決定するために使用され、それによって、変位される物体または油圧システム自体の故障を検出し、あるいは故障の危険性を判定する。
【0101】
当業者は、作業室によってHPマニホールドに出入りする油圧流体の正味の変位を正確に測定することが可能であることを理解するであろう。例えば、HPおよび/またはLP弁の開閉の作業室容積のサイクル内の時間は、個々のアクティブサイクルごとの油圧流体の正味の変位を示し、回転シャフトの回転速度は、単位時間あたりの作業室容積のサイクル数を決定する。変位はまた、HPまたはLPマニホールド内の圧力の正確な値、油圧流体の特性などのような要因によっても影響され得る。いずれにしても、作業室によってHPマニホールドに出入りするように変位された作業流体の量を、サイクルあたり、単位時間あたり、または(一体化によって)基準点から合計して、正確に推定することが可能である。低圧および高圧弁の制御が十分に正確であるならば、(全体として測定されるのではなく)正味の変位が計算され得る。HPマニホールド内の圧力は、例えば圧力センサを用いて監視することができる。この既知の圧力を使用して、そしてこの圧力が作用している面積が分かっていると見なすと、力(すなわち、それぞれのアクチュエータラムに作用する力またはそれによって作用する力)を決定することができる。
【0102】
したがって、例示的な実施形態では、基準点からHPマニホールド内に変位した油圧流体の総体積に伴うHPマニホールド内の測定圧力の変動(例えば、回転シャフト速度の最小値、または回転シャフト速度が特定の値に達したため)が測定され保存される。これは、変位した作動流体とHPマニホールド圧力との関係のマップを計算するために使用されることができる。このマップは、所与の変位に対する理論的な圧力変化に基づいて理論的に決定することができ、または例えば運転中(場合によっては2サイクルほどのモータ駆動およびポンピングを使用する、またはそのような多くのサイクル)に経験的に決定することができる。
【0103】
所与の容積の変位した油圧流体について、動作中に測定されたHPマニホールド圧力と、記憶されたマップによって示されるものとの間のあらゆる不一致が、故障を示している。1つ以上の故障基準(例えば、油圧が、油圧(例えば、ラム)アクチュエータの所与の変位に対して、閾値量を超えて予想されるよりも低い(または高い)か、または閾値変化率を超えて経時的に変化している)を満たす差に応じて、故障イベントを生成することができる。
【0104】
HPマニホールドに出入りする変位した作動油の量の(基準に対する)絶対値を使用する必要はない。所与の圧力でのHPマニホールドへの、またはそこからの所与の正味変位(1つ以上のサイクルの作業室容積にわたる)についての圧力の変化を調べるために十分であることができる。
【0105】
1つ以上の故障基準は、故障(すなわち、物体または油圧機械の一部)が故障したか、または故障しているか、もしくは故障の危険があることを示し得る。1つ以上の故障基準は、油圧装置が停止手順を開始する(または直ちに停止する)ことに応答する停止基準であり得る。停止手順では、油圧機械とモータは油圧回路をアンロードするように調整される。油圧機械およびモータは、制御された方法でアクチュエータの作動を停止するように、すなわちサイクルの適切な都合のよい時点で、例えば動作範囲の中央付近で停止するように調整することができ、それによって、可能な最小レベルの弾性エネルギが物体に格納されるようにされる。制御されたアンローディングは、油圧システムを無負荷状態に戻すこと(すなわち、アクチュエータと油圧機械との間のホース内に高圧または比較的高圧の作動流体がない状態)を含む。アンローディングは、システムを減圧して安全にし、それによって、非アクティブまたは非アクティブ化されたシステムが、加圧油圧領域を包含し、ひいては、油圧回路の一部の分解、修理、または侵襲的検査中に、不適切な時期に、あるいは危険な瞬間または方法で放出される場合があるエネルギを格納する可能性を低くする。
【0106】
制御部は、独立して制御される複数の油圧ライン(サービス)のうちの少なくとも1つおよび/またはアクチュエータラムのうちの少なくとも1つの圧力を監視し、生じた変位を記録し得、ひいては制御部は、圧力と変位を使用して、翼を所定の位置に移動させるのに必要な力を判定し得る。温度変化を考慮すると、変位に対する圧力のサイクルの関係は、ポンプ駆動サイクルにわたって非常に再現可能であるべきであり、そして制御部の中に記憶され得るマップの形態で記録され得る。標準的なサイクルと比較して、この圧力/変位マップにおけるあらゆる大きな偏差が、翼における構造的変化および/または潜在的な故障、もしくは装置またはシステムの問題の指標を提供し得る。このような検出された変化または問題は、普通は、試験を中止するための指標として使用される必要がある。
【0107】
システム制御部は、起動時(例えば、システムが安定した後の5サイクルの間)の多数のサイクルについて変位対圧力関係を監視し、これらのサイクルに基づいてマップを生成することができる。オペレータは、制御部が自律的に動作を停止する前に、このマップ(システム変更を示している)からどれだけ早くまたはどの程度まで逸脱させるかの制御部パラメータを設定することができる。
【0108】
利点または利益は、圧力および変位の表示を使用することで、シャットダウン条件を生成するための計装の要件が軽減することができることを含む。それはまた、制御部が(挙動を測定するために加速度計または他のそのようなセンサを使用することによって間接的にではなく)試験装置を通して、翼の固有の機械的挙動を直接測定することを意味する。
【0109】
試験は、オペレータが試験装置を監視し、回転速度を選択する変位の試験シーケンスを含み得、本質的には、これは典型的には無人の自己最適化システムではない。
【0110】
これは、所定の需要データ(すなわち、典型的には同時に同じ物体に関連する複数の油圧動力ユニットの各々についての、時間経過に伴うアクチュエータの変位、圧力または位置の変動の仕様)を用いて動作をシミュレートし、需要データを繰り返し修正して、(例えば、電力出力を最小にするため、または試験手順の有効性もしくは妥当性を最大にするために)動作の設定限度違反を回避するか、またはそうでなければ性能を調整(例えば、最適化)することによって達成されることができる。この調整手順は、以下を含み得る。
【0111】
-変位、位置または圧力の需要値に対するフィルタをトリミング/適用することであり、このフィルタは、経時変化し得る。
【0112】
-動力限界を適用すること(例えば、原動機の動力、または油圧機械の動力が尊重されることを確実にするため)、
-需要データまたはその一部を時間内にスケーリングすること、
-需要データまたはその一部を振幅であるケーリングすること、
-動作サイクル内のポイント間の時間を他の方法で変更すること(例えば、最大電力に到達してから離れるまでの時間)
調整または最適化手順はまた、事実上シミュレーション段階ではなく試験段階で実験的に実行されてもよい。
【0113】
例えば、
図11Aはサイクリングシャフト速度を示し、その平均は、変位の1サイクルから次のサイクルまでに摩擦、熱等に対してエネルギが失われるにつれて、装置の動作中に時間とともに減少する。不十分な電力入力がこれらの未知の損失を補填するために、電気モータによって提供されている場合、これは、速度
min以下に低下する平均速度とシャフトの速度の着実な減少につながる。この例では、サイクリングシャフト速度の移動平均の変化は、VSD/モータに供給されるまたは使用される平均エネルギが機械システムによって消費/供給される平均エネルギとは異なることを示す。しかしながら、これは、電気モータ駆動装置(VSD)にトリム(回転速度を安定させるかまたはそれを目標速度に維持するために付加的なトルク指令を与える一定の、おそらくは変化する補正入力)を適用してゲイン電流を正しいレベルまで上下させることにより、安定した動作をもたらす。トリムは通常、電気モータトルクを参照して説明されるが、電気モータパワートリムに関しても説明され得る。ゲインは、実際に測定された速度と速度基準との差に適用される乗算因子である。制御手段を介してシステムの電力消費を最小限に抑えることは、フライホイールを適切にサイズ決めすることを必要とする(これは必然的に上限速度を知ることを伴う)。より具体的には、回転体(フライホイールを含む)は、それぞれのアクチュエータラム(または複数のラム)が提供することができる最大エネルギを蓄えることができなければならない。制御システムは、シャフト速度に加えて、アクチュエータラム圧力、そして場合によってはアクチュエータラム位置を監視する。アクチュエータラム作動室内のエネルギは、アクチュエータラム圧力とアクチュエータラム位置との関数である。電気駆動システム(電気モータ、およびVSDまたは同様のモータ駆動装置を含む)および/または油圧駆動システム(油圧機械およびアクチュエータラムを含む)が、最大シャフト速度を(最大「定格」シャフト速度)超えるあらゆる回転運動エネルギを付加することを防止することが望ましい。制御システムは、圧力/位置/シャフト速度を含む係数を監視し、接続された油圧機械をモータ駆動し、対応する回転シャフト(および接続慣性)をシャフトの最大許容可能速度まで回転させるために十分な格納エネルギが、加圧アクチュエータラムに留められた時を判定する。この判定を下すと、電気モータからのさらなる回転運動エネルギの入力を停止する。電気モータの停止後、油圧機械は、受け入れた加圧油圧流体をモータ駆動し、それによってシャフトトルクを提供し、回転運動エネルギを増加させ続け得る。判定が正しく行われ実行された場合、油圧機械は、油圧ラム内のすべての加圧流体を受け続け得るが、シャフト速度は、最大シャフト速度を超えることはない。これにより、システムは、加圧されたラムから最大可能エネルギ量を取り戻すことが可能になる。
【0114】
制御部または人間のオペレータは、その「ゲインブロック」が何であるかを微調整する。速度が低下している場合、制御部または人間のオペレータは、振動速度が上昇するようにゲインを上げる必要がある。
図11Cに示す累積効果を用いると、ピーク振動シャフト速度は、上限速度
maxおよび下限速度
min内に留まり、
図11Cから推測されるように動作中無期限に維持されることができる。
【0115】
図12のグラフは、ポンピング中に生成されることができる動力の上限を示しており、これは回転体の回転速度とともに変化する。同様に、モータ駆動中に吸収される可能性のある電力量にも限界があり、これも回転速度とともに変化する。異常な状況では、モータ駆動中に過剰な動力が物体によって戻されると、例えば圧力逃し弁を使用して、過剰な高圧作動油が消散させ得る。トルク限界は、油圧機械および電動モータのポンピングおよびモータ駆動の両方に対して、速度とともに変化することが分かる。破線504は、より低い瞬間目標フライホイール速度に関連するトルクを示す。
【0116】
図13は、動力によるフライホイール速度の変化を示す。図示の実施形態では、制御ストラテジは、フライホイールをデフォルトで最大速度(速度
max)に維持しようとし、したがって電気モータの能力を超えるエネルギを供給するための「準備完了」状態にする。
図13Aおよび
図13Bは、調整(例えば、最適化)の前に達成された動作サイクルを表し、
図13Cおよび
図13Dは、コンディショニング後(例えば最適化)に達成された動作サイクルを表す。
【0117】
図13Aおよび
図13Cは、経時的なアクチュエータ需要電力350を各々示し、
図13Bおよび
図13Dは、動作サイクル中に生じる対応する回転速度352を各々示す。
図13は、制御ストラテジが、回転体の回転速度が最大および最小速度閾値の両方に到達することを可能にするが、回転速度が最小値を下回ることを禁止しようとする境界条件を示す。
【0118】
本発明の主な利点は、回転体の回転運動エネルギ(おそらくはフライホイールを含む)に蓄えられたエネルギの使用によるものであり、電力出力は電気モータ354の定常状態電力限界を一時的に超えることができる。図示されたアクチュエータ電力需要特性が生じる非調整(非最適化)需要を処理するために物理的装置が使用された場合、時間358の後に、非調整(非最適化)需要は特定のシステムを用いて満たすことができず、それは時間358と360の間の需要のレベルを完全に満たすことができないであろうことが理化される。このことは、例えば、結果としてアクチュエータを所望の程度までは変位させない。
【0119】
過剰な動力(
図13Aおよび
図13Cにおいて、線354と線350との間の非網掛け領域として示される)は、回転体を減速させることから得られる。アクチュエータ電力が限界354を超えると、回転速度は減速する。回転速度が最小速度(速度
min)に達すると、アクチュエータに提供される出力電力は、利用可能な入力電力によって制限される(この場合、結果として需要サイクルからの偏差が生じる)。このことは、非調整(非最適化)需要サイクルを実行している場合に発生し得、これは、システムが動力限度に到達したために需要に追従できないことにつながる。網掛け領域356は、システムが満たすことができない期間にわたる電力を表し、したがって、指定されたシステムが満たすことができないという需要(図示せず)に対応する。そのような潜在的な欠陥は、そのような調整されていない(最適化されていない)需要データのシミュレーションを実行することによって検出され得、ゆえに、物理的試験装置上で需要データを実行する前に、調整(例えば最適化)フェーズが実行されるべきである。
【0120】
図13Bと
図13Dとを比較すると、13Dは、調整された(最適化された)入力に対する、回転体/シャフトの時間358後の速度
maxまでの、回復のためのより長い期間を示す。フライホイール速度の回復は、より早い時間360(
図13B)に代えて、時間366(
図13D)でのみ始まる。しかしながら、そのような調整された(最適化された)サイクルは、(すなわち、電力制限に違反することなく)都合よく実行されることができるものであり、したがって、動作中の回避動作(例えば、F
dの突然の低下)のための要件はない。調整された(すなわち、最適化された)サイクルは、可能な限り無調整の(最適化されていない、初期の)サイクルに近接して満たす動力需要を有する。このように、調整プロセスから生じる変更は需要サイクルをわずかに歪ませる可能性があるが、
図13の例では、試験装置が、動力限界フェーズの終わりにサイクルに追いつくことを可能にする(すなわち、動力限界フェーズは時間360および366から延長され、時間366以降に追いつきリカバリが起こる)。
【0121】
図14を参照すると、油圧機械の最大トルクが線400で表されており、そしてひいては、最大変位(機械のフルストローク動作の場合)は回転速度とともに変化する。402は、電気モータの連続トルク限界である。406は、瞬間動力限界である。404は、連続的動力限界である。408は、油圧ポンプの瞬間動力限界(すなわち、全回転速度における最大トルク)である。連続的な持続可能な動力(したがって、トルク)制限404は、回転速度が増加するにつれて低下するが、回転運動エネルギを使用して一時的に維持することができる短期間の電力制限406は常により高い。実際には、油圧機械の最大理論トルク、すなわち線408で表されるトルクには到達せず、408は常に402、404、および406を超える。
【0122】
一般に、動作中、システムへのエネルギの一次入力は、電気モータを介して行われ、その出力は調整される。理想的には、電力出力は回転体の回転速度とは独立しており、一例では、これは、電気モータ駆動の一種である可変速駆動装置(VSD)および制御部を使用することによって達成され、これは通常、モータに印加される周波数および電流を変動させることによって、3相電気誘導モータを駆動するために使用される。
【0123】
VSDへの入力は、感知されたシャフト速度である。第1の実施形態では、VSDは、所望のシャフト速度を達成し、その速度制御ループにおいて低いゲインを有するように制御される(損失を補うための調整を伴う)。これらの低いゲインは、油圧機械によって動かされて速度が変動し、振動RPMにつながることを可能にする(
図11C参照)。第2の実施形態では、「システム制御部」は、油圧アクチュエータの充電状態(ラム)、現在のシャフトRPM、振動サイクル内の位置、および他のシステム条件に基づいて、VSDにトルクまたは速度要求を提供する。この第2の実施形態の結果もまた、
図11の波形を達成することである。
【0124】
可変速駆動装置またはモータ駆動装置を制御することは、(例えば、物体の制御可能な振動を提供するために、油圧アクチュエータの変化の状態、回転体の現在の回転速度、および振動サイクル(交互のポンピングとモータ駆動)の現在位置、および任意には他のシステム条件を考慮して、計算されたトルクまたは速度需要をそれに提供することによって)可変速モータを調整する(典型的にはシステム制御部によって実行される)ステップを含み得る。
【0125】
油圧ポンプモータを制御することは、代替のポンピングおよびモータ駆動の頻度を自動的に調整(例えば調整)するステップ(通常はシステム制御部によって実行される)を含み得る。典型的には、これは、物体が駆動される頻度を最大にし、したがって最大達成可能作業速度を可能にする。作業速度という用語は、システムへのすべてのエネルギ入力が有用な仕事を提供するわけではないこと、有用な仕事を実行するエネルギ入力の割合を最大化したいこと、およびそのような仕事の速度は有用な目標および性能の尺度であることを認識する。
【0126】
電気モータは、典型的には、動力を連続的に入力するように制御される。
図15Aは、回転体の回転を加速するために電気モータによって提供される電力を示すグラフである。電気モータの動力出力500Bは、回転体がその最大回転速度に近くない限り、典型的には最大に保たれ、そのような場合、動力出力は過速度を避けるように制御および制限される。
【0127】
油圧ポンプモータのモータ駆動中(
図15Bは、回転速度を加速または減速するために油圧機械によって提供される電力の間の関係を示すグラフである)、油圧ポンプモータの動力出力500Cは、典型的には最大に保たれる。回転速度が最小閾値に近づくと、モータとして作動する油圧ポンプ-モータの変位は減少し、それによって、最小閾値速度またはそれ未満では、負のトルクは油圧機械によって加えられない。
【0128】
動作中、需要割合Fd(回転体の1回転当たりの最大変位の割合)は、経時変化する需要を満たすように必要に応じて制御され、また回転体の過速度を回避するように調整される。
【0129】
図16は、連続サイクルにおける高圧流体ライン122のピーク圧力310に応じた動作中の電気モータ出力(垂直軸)の制御を示す。垂直軸電力値がゼロから遠いほど、1つのサイクルから次のサイクルへの電気モータ電力出力の増加が大きくなる。ピーク圧力は、中央範囲または領域312内である場合、比較的弱くかつ低いゲインで調整されるが、ピーク圧力が閾値を超えるかまたは下回る場合(領域314、316)、より強くかつより高いゲインで調整される。
【0130】
いくつかの実施形態では、可変速駆動装置内にフィードバックループがあり、これは、(例えば、機械的負荷の印加に起因して)電気モータの速度の予期せぬ低下が供給電流の制御された増加をモータ駆動するように構成される。対応して、フィードバックループは、速度を減少させるために有効電流供給を減少させる。
図16に関して、電気モータに対するこの調整動作はすべての圧力で行われるが、中央領域312内ではゲインは低い(調整は比較的弱い)。圧力がこの領域から外れると、領域316内の上方または領域314内の下方のいずれであっても、ゲインはより高い(調整は比較的強い)。