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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-29
(45)【発行日】2023-04-06
(54)【発明の名称】管理システム
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20230330BHJP
【FI】
G07B15/00 501
G07B15/00 N
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019123710
(22)【出願日】2019-07-02
(65)【公開番号】P2021009606
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小杉 正則
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-106414(JP,A)
【文献】特開2014-109961(JP,A)
【文献】特開2005-092816(JP,A)
【文献】特開平11-280282(JP,A)
【文献】特開2005-220601(JP,A)
【文献】特開2006-329912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 11/00-17/04
G08G 1/00-99/00
G07C 1/00- 9/38
G06Q 50/10
G08B 23/00-31/00
E05B 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備に設けられ、規定の指向性を有する電波を前記設備の使用者側の端末に向けて送信する通信部と、
前記電波の通信に係る測定値を測定する測定部と
前記測定値の変化を基に、前記設備のゲート操作を望む使用者の端末を特定する特定部と、
前記特定部により特定された前記端末との間で、少なくとも認証を含む通信を実行し、その通信結果を基に前記設備のゲート動作を制御する制御部と、
を備え
前記通信部は、前記設備とその外部との境界においてゲート手前の領域に前記電波のエリアを形成するものであって、
前記通信部は、前記電波の指向性の方向を順次切り替えていくことにより、前記ゲートに対して離れた位置と前記ゲート手前との間で前記電波のエリアを遷移させ、前記特定部は、複数のエリア毎に測定される前記測定値の変化を基に、前記端末を特定する管理システム。
【請求項2】
前記通信部は、指向性の方向が互いに異なる複数の前記電波を送信し、
前記特定部は、複数の前記電波ごとに測定された前記測定値の変化に基づいて、前記端末を特定する
請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記規定の指向性を有するとは、前記電波の半値角が規定範囲内であることを含む
請求項1又は請求項2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記測定値は、前記電波の受信信号強度であり、
前記特定部は、複数の前記電波の間で前記受信信号強度の強弱の変化を基に、前記端末を特定する
請求項1から請求項のうちいずれか一項に記載の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備のゲート動作を制御して設備への入退場を管理する管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばコインパーキングなどの駐車場に設けられ、車両が通過するゲートの動作を制御して入退場を管理する管理システムが周知である。特許文献1に記載の管理システムには、駐車場への入場及び退場の際に、ユーザの所持する端末と、設備側の通信機との間の無線通信を通じて、入退場の手続きを行う技術が開示されている。この管理システムでは、事前に登録されたユーザに対して、無線通信を介した認証を通じて入場及び退場が許可され、ゲート動作が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-106414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、設備側の通信機の周囲に、複数の端末が存在する場合、通信機は、複数の端末との間で無線通信が実行可能となる。通信機が複数の端末と通信可能な場合、正しい入退場の手続きを行うために、いまゲート操作しようとしているユーザの端末を特定する必要があった。
【0005】
本発明の目的は、正しく入退場を処理可能にした管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための管理システムは、設備に設けられた通信部から、規定の指向性を有する電波を前記設備の使用者側の端末に向けて送信して、前記電波の通信に係る測定値を測定し、前記測定値の変化を基に、前記設備のゲート操作を望む使用者の端末を特定する特定部と、前記特定部により特定された前記端末との間で、少なくとも認証を含む通信を実行し、その通信結果を基に前記設備のゲート動作を制御する制御部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の管理システムは、正しく入退場を処理可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】管理システムの構成を示すブロック図。
図2】送信される電波によって形成されるエリアを示す概略図。
図3】認証装置と携帯端末との認証の手順を示すフロー。
図4】(a)~(c)は、移動する端末におけるエリアの遷移を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、管理システムの一実施形態について、図1図4に従って説明する。
図1に示すように、設備としての駐車場1は、例えば時間貸し駐車場である。駐車場1は、入場及び退場の際に車両が通過するゲート機2を備えている。ゲート機2は、例えば入場時に通過する入場ゲートと、退場時に通過する退場ゲートとを含む。ゲート機2は、車両の通過時に開閉されるゲートバー3と、ゲートバー3の作動を制御するゲート作動部4と、利用料金の精算を行う精算部5とを有している。
【0010】
駐車場1は、ユーザの所持する端末20を用いて、駐車場1への車両の入退場を管理する管理システム10を備えている。本例の管理システム10は、車両の乗車するユーザによって所持される端末20とゲート機2との間で、ゲート機2への入退場指示や認証の通信を実行して、駐車場1に対する入退場動作を管理する。端末20は、例えば高機能携帯電話、所謂スマートフォンである。
【0011】
端末20は、端末20の作動を制御する端末制御部21と、端末20において近距離無線通信を行う近距離無線モジュール22と、端末20においてネットワーク通信を行うネットワーク通信モジュール23とを備えている。近距離無線通信は、例えばブルートゥース(Bluetooth:登録商標)通信であることが好ましい。また、端末20は、データ書き込み及び書き替えが可能なメモリ24を備える。
【0012】
端末20は、端末20において管理システム10の作動を管理するユーザインターフェースアプリケーション25(以下、UIアプリケーション25と記載)を備えている。UIアプリケーション25は、例えば駐車場1の利用手続きや、決済操作、ゲート機2の作動など、種々の処理を実行する。UIアプリケーション25は、例えばネットワーク通信によってダウンロードされるなどして、端末制御部21に設けられる。
【0013】
管理システム10は、駐車場1への入退場時に、端末20の認証を行う認証装置40を備えている。認証装置40は、ゲート機2に設けられている。また、管理システム10は、ネットワーク通信を介して、駐車場1の入退場管理のサービスを提供するサーバ30を備えている。
【0014】
本例の管理システム10では、例えば暗号化された鍵情報Dkがサーバ30から端末20に登録され、認証装置40によって鍵情報Dkを用いた認証が行われる。鍵情報Dkは、使用が一度又は一定期間のみ許可されたワンタイムキーであることが好ましい。
【0015】
端末20は、駐車場1の利用にあたり、サーバ30との間でネットワーク通信を通じた本人認証を経て、鍵情報Dkを取得する。本人認証は、例えば管理システム10の利用登録時に付与されたユーザID及びパスワードを確認する認証である。サーバ30は、本人認証が成立した場合、鍵情報Dkを生成し、ネットワーク通信を通じて鍵情報Dkを端末20へ送信する。端末20は、サーバ30から鍵情報Dkを取得すると、これをメモリ24に書き込み保存する。これにより、端末20に鍵情報Dkが登録される。
【0016】
鍵情報Dkは、例えば、「利用日時」、「端末ID」、「ユーザ認証鍵」などを平文とした暗号文である。鍵情報Dkは、平文を、例えば利用する認証装置40に固有の暗号鍵を用いて、暗号アルゴリズムに通すことにより暗号化される。なお、利用日時は、例えば端末20を用いた駐車場1の利用予約などによって入力される。端末IDは、例えば端末20の固有IDである。ユーザ認証鍵は、例えば端末20でゲート機2の操作を行うときに、端末20及び認証装置40の間の暗号通信に用いられる鍵の一種である。
【0017】
認証装置40は、認証装置40において近距離無線通信を行う通信部41と、端末20との近距離無線通信の通信結果に基づいてゲートバー3の作動を制御する制御部42とを備えている。
【0018】
通信部41は、指向性を有する電波を送信する。ここで、指向性を有するとは、電波の半値角が規定範囲内であることを含む。通信部41は、端末20と相互通信可能になっている。また、通信部41は、互いに異なる方向へ向かって複数の電波を送信する。通信部41は、例えば複数の指向性アンテナを有し、それぞれのアンテナから異なる方向へ電波を送信する。なお、通信部41は、狭角の半値角、例えば10~30度程度の半値角を有するように電波を送信することが好ましい。
【0019】
制御部42は、端末20がゲート機2に近づいて、近距離無線通信の通信接続が確立した場合に、鍵情報Dkの認証を実行する。本例の場合、制御部42は、端末20から近距離無線通信を通じて鍵情報Dkを受信すると、認証装置40に固有の暗号鍵を用いて鍵情報Dkを復号し、この復号が成功したか否かを確認する。このとき、鍵情報Dkの復号が成功すれば、鍵情報Dkに含まれていた「予約日時」、「端末ID」、「ユーザ認証鍵」などを取得することができ端末20でゲート機2を操作できる。
【0020】
精算部5は、例えばゲート通過時に、鍵情報Dkによってユーザが確認された場合に、例えば入場時間及び退場時間を基に、利用料金を計算する。精算部5は、退場時に、利用料金の支払い済みが確認されない場合、ゲートバー3の作動を禁止する。なお、利用料金の支払い方法は、特に限定されず、端末20を介したネットワーク通信を用いて行われてもよいし、ゲート機2に設けられた図示しない支払機を用いられてもよい。
【0021】
管理システム10は、端末20と認証装置40との間の電波の受信信号強度を測定する測定部43と、測定部43により測定された受信信号強度を基に端末20を特定する特定部44を備えている。
【0022】
本例の測定部43は、端末制御部21のUIアプリケーション25に設けられている。測定部43は、通信部41から電波を受信すると、その受信信号強度を測定し、認証装置40へ受信信号強度を通知する。
【0023】
本例の特定部44は、認証装置40に設けられている。特定部44は、端末20で測定された受信信号強度の変化を基に、いまゲート操作を実行しようと望むユーザの端末20を特定する。制御部42は、特定部44により特定された端末20との間で、鍵情報Dkを用いた認証を実行する。このように、管理システム10は、ゲート操作を望むユーザの端末20を特定し、特定された端末20に対して入退場の手続きを実行するように構成されている。
【0024】
以下、本実施形態の作用を説明する。ここでは、ゲートバー3の周囲に、複数の端末20、例えば端末20a、端末20b、及び端末20cの3つが存在するとする。認証装置40から送信される電波は、各端末20a~20cが受信可能であり、認証装置40と各端末20a~20cとの間で通信が成立する。
【0025】
ところで、ゲート機2の付近に、複数の端末20が存在する場合、ゲート操作を望むユーザの端末20を特定する必要がある。ゲート操作を望むユーザは、進行方向Kに沿って、ゲートバー3の手前の位置まで移動していくことを前提に、本例の特定部44は、通信部41の送信する電波を用いて、端末20の位置の変化を監視して端末20の特定を行う。
【0026】
本例の通信部41は、指向性の方向が異なる複数の電波を送信することにより、ゲートバー3手前の領域に、位置の異なる電波のエリアを順に形成していく。電波のエリアとは、電波の受信信号強度が所定の値以上になるエリアを含む。本例の場合、3つの異なる電波を送信することにより、3つのエリアが順に形成される。3つのエリアは、第1エリアSaと、第2エリアSbと、第3エリアScとを有する。第1エリアSaは、各エリアのうち最もゲートバー3から離れた位置に形成される。第3エリアScは、ゲートバー3の手前に形成される。また、第2エリアSbは、第1エリアSa及び第3エリアScの間に形成される。端末20は、進行方向Kに沿って、ゲートバー3手前まで移動していくと、第1エリアSa、第2エリアSb、第3エリアScの順に通る。
【0027】
特定部44は、エリアSa~Scの各々の形成時、通信が成立する各端末20a~20cに受信信号強度を測定させる。特定部44は、端末20a~20cごとに取得される受信信号強度の変化から、周囲に複数存在する端末20a~20cのうち、ゲートバー3に向かって近づく車両に存在する端末20を特定する。なお、第1エリアSaが形成されたときの電波の受信信号強度を、第1エリアSaの受信信号強度、第2エリアSbが形成されたときの電波の受信信号強度を、第2エリアSbの受信信号強度、第3エリアScが形成されたときの電波の受信信号強度を、第3エリアScの受信信号強度とする。
【0028】
以下、入退場の手続きの手順について、説明する。
図3に示すように、S101(Sはステップの略、以下同様)では、認証装置40は、通信部41から、指向性の方向が互いに異なる複数の電波を、ゲート周囲に繰り返し送信する。通信部41は、複数の電波を順次切り替えて送信することにより、第1エリアSa、第2エリアSb、第3エリアScの順に遷移させる。各エリアの切り替えの間隔は、車両の移動速度に対して十分に速い。また、通信部41は、例えば各エリアの形成タイミングを制御することにより、これらを識別可能としている。端末20の測定部43は、各エリアが形成されたときの電波の受信信号強度を測定する。そして、測定部43は、測定した受信信号強度を認証装置40へ送信して通知する。なお、端末20は、受信信号強度を、端末20を識別するための識別子、例えば端末20の機器アドレスなどとともに送信する。
【0029】
S102では、特定部44は、各々の端末20a~20cで測定された受信信号強度を受信すると、端末20で測定された受信信号強度の変化を監視して、その受信信号強度の変化に基づいて、ゲートバー3に近づく端末20を特定する。特定部44は、端末20ごとに、測定される各エリアの受信信号強度の間における受信信号強度の強弱の変化を監視することが好ましい。
【0030】
図4(a)~(c)に示すように、ゲートバー3に向かう車両に存在する端末20aにおいて、ゲートバー3から離れた位置で、各受信信号強度のうち、第1エリアSaの受信信号強度が強くなる。次に、端末20aにおいて、第2エリアSbの受信信号強度が強くなる。そして、ゲートバー3手前付近で、第3エリアScの受信信号強度が強くなる。また、ゲートバー3に近づくに連れ、端末20aにおいて第1エリアSaの受信信号強度は、少なくとも、最も強いレベルから弱まる。これは、第2エリアSbについても同様である。このように、ゲートバー3に向かう端末20aにおいて、受信信号強度が第1エリアSa、第2エリアSb、第3エリアScの順で強くなっていく。すなわち、端末20aとの通信において、受信信号強度が強くなるエリアが遷移していく。
【0031】
一方、ゲート前に停車した車両の後方で待機する車両に存在する端末20bは、第1エリアSaの受信信号強度が強く、第2エリアSb及び第3エリアScの受信信号強度が弱い状態が継続される。すなわち、端末20bとの通信においては、第1エリアSaと第2エリアSb及び第3エリアScとで受信信号強度が異なる状態が続く。また、駐車中の車両に存在する端末20cでも同様に、第3エリアScの受信信号強度が強い状態が続く。
【0032】
特定部44は、端末20で測定した各受信信号強度に基づいて、ゲートバー3に近づく端末20を特定する。本例の場合、特定部44は、周囲に存在する複数の端末20a~20cのうち、受信信号強度が強いと検出されたエリアが遷移していき、かつゲート手前の第3エリアScで強い受信信号強度を検出できた端末20aを、ゲートバー3に近づく端末20として特定する。特定部44は、この端末20aを、ゲート操作を望むユーザの端末20であると特定して、S103へ移行する。また、特定部44は、ゲートバー3に近づく端末20を特定できない場合、受信信号強度の監視を継続する。これにより、特定された端末20がない場合、端末20の認証が行われないので、ゲート操作すべきユーザ以外の端末20によってゲートバー3が作動されることはない。
【0033】
ところで、端末20によって受信される電波の受信信号強度は、端末20の機種によって異なる。そのため、端末20の機種によって、ゲートバー3手前の領域にある端末20aより、ゲートバー3手前の領域より向こう側にある端末20cで測定した受信信号強度が強くなることが起き得る。そのため、仮に受信信号強度が閾値以上か否かで端末20を特定するのでは、端末20aと、端末20cとを正しく区別することができない。一方、本実施形態では、受信信号強度の変化に基づいて、端末20がゲートバー3の手前に近づいてきたことを認識するので、正しく端末20を特定できる。また、測定された各受信信号強度の間での強弱の変化に基づいて端末20を特定するので、端末20の機種による影響を抑制できる。
【0034】
S103では、認証装置40は、特定部44によって特定された端末20を、制御部42によって認証する。例えば、認証装置40は、特定部44が端末20を特定した場合、当該端末20との通信接続を実行する。そして、認証装置40の制御部42は、通信接続の処理が完了すると、端末20に鍵情報Dkを送信させ、鍵情報Dkの認証を実行する。認証装置40は、鍵情報Dkの認証が成立すれば、S104へ移行する。一方、認証装置40は、鍵情報Dkの認証が不成立であった場合、端末20の通信を用いたゲートバー3の作動を禁止する。
【0035】
S104では、認証装置40は、鍵情報Dkの認証が成立した場合、ゲートバー3の作動を許可する。本例の場合、ユーザは、ゲート前で停車した際、端末20でゲート開操作を実行する。端末20は、ゲート開操作を検出すると、近距離無線通信を通じて、ゲート開要求を送信する。認証装置40は、ゲート開要求を受信すると、これを精算部5に通知する。
【0036】
精算部5は、ゲート開要求を取得すると、当該ユーザの駐車場1の利用状況を確認する。例えば駐車場1からの退場時では、精算部5は、ユーザの駐車場1の利用状況に応じて料金を割り出し、ネットワーク通信等を通じて料金を精算する。ゲート作動部4は、料金精算が完了すると、ゲートバー3を開動作させる。このように、一連の料金精算の処理には、鍵情報Dkの認証成立、開要求受信、利用料金の支払い完了、及びこれらの組み合わせが含まれる。また、ゲート作動部4は、車両がゲートバー3を通過したことを確認したら、ゲートバー3を閉動作させる。
【0037】
以下、本実施形態の効果について説明する。
(1)本例の認証装置40は、通信部41から端末20に向けて規定の指向性を有する電波を送信する。また、送信された電波について測定された受信信号強度の変化を基に、ゲート操作を望むユーザの端末20を特定する特定部44を備える。さらに、特定部44により特定された端末20との間で、認証の通信を実行し、その通信結果を基にゲート動作を制御する制御部42を備える。この構成によれば、受信信号強度の変化に基づいて位置を判定することにより、正しく端末20を特定できる。これにより、認証装置40の近傍に複数の端末20が存在したとしても、いまゲート動作を行おうとしている端末20を特定し、正しく入退場の処理を行うことができる。
【0038】
(2)通信部41は、指向性の方向が互いに異なる複数の電波を送信する。また、特定部44は、複数の電波ごとに測定された受信信号強度の変化に基づいて、端末20を特定する。この構成によれば、複数の電波を用いることで判定精度を向上可能となる。これは、正しい入退場処理に寄与する。
【0039】
(3)通信部41は、規定の指向性を有する電波として、半値角が規定範囲内である電波を送信する。この構成によれば、端末20が電波を受信できる範囲を狭くし、端末20の位置によって受信信号強度の変化をつけ易くするので、判定精度を向上可能となる。これは、正しい入退場処理に寄与する。
【0040】
(4)特定部44は、駐車場1の外部との境界において、ゲートバー3の手前の領域に、電波のエリアを形成する。この構成によれば、ゲート操作を望むユーザがゲートバー3手前に位置していることを前提に、電波のエリアを用いるという簡易な方法で端末20を特定できる。
【0041】
(5)通信部41は、電波の指向性の方向を順次切り替えていくことにより、ゲートバー3に対して離れた位置とゲートバー3手前との間で電波のエリアを遷移させる。特定部44は、複数のエリア毎に測定される受信信号強度の変化を基に、端末20を特定する。この構成によれば、この構成によれば、電波のエリアを用いる場合に、ゲートバー3に対して近づいてきた端末20を特定できる。これは、端末20の特定の精度向上に有利である。
【0042】
(6)特定部44は、複数の電波の間で受信信号強度の強弱の変化を基に、端末20を特定する。この構成によれば、端末20の機種に依存して電波の受信信号強度が変化しても、各受信信号強度の間の強弱関係は変化しないため、機種によらず正しく位置の判定を行うことができる。これは、正しい入退場処理に寄与する。
【0043】
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
[通信部41について]
・通信部41が複数の電波を送信する態様としたが、これに限定されず、例えば1つの電波を送信してもよいし、2つでもよいし、4つ以上でもよい。例えば、通信部41が電波を1つだけ送信する場合でも、例えば第3エリアScのみを形成し、第3エリアScの受信信号強度の変化に応じて、ゲートバー3へ近づいたか否かを確認して端末を特定すればよい。
【0044】
・通信部41が送信する電波の方向は、本実施形態に限定されない。互いに離れた位置に向けて送信されてもよい。すなわち、電波のエリアは、本実施形態に限定されない。
・通信部41は、複数の指向性アンテナを有することに限定されない。例えば、ひとつのアンテナによって、指向性の方向を変化させて、指向性の異なる複数のエリアを形成してもよい。
【0045】
・通信部41が送信する電波は、特に限定されない。例えば、ブルートゥース通信のアドバタイジングチャンネルであってもよい。
・通信部41が送信する複数の電波を識別する方法は、特に限定されない。例えば、送信タイミングを変えたり、各電波とともに識別子を送信したりしてもよい。
【0046】
・通信部41は、認証装置40とは別個に設けられていてもよい。また、駐車場1内の異なる位置に設けられていてもよい。
[特定部44について]
・特定部44は、複数の電波の間で受信信号強度の強弱の変化に基づいて端末20の位置を判定することに限定されず、受信信号強度そのものの変化に基づいて判定してもよい。例えば、強さのレベルを判定するための閾値を設けてもよい。これは、例えば通信部41からひとつだけ電波が送信される態様に適用できる。
【0047】
・特定部44は、端末20がいずれのエリアの受信信号強度が強いかによって判定することに限定されず、受信信号強度の履歴における信号波形などに基づいて端末20を特定するのでもよい。
【0048】
・特定部44は、端末20に設けてもよい。
[その他]
・認証装置40は、特定部44が特定した端末20以外の端末20と通信接続してもよいし、端末認証をしてもよい。すなわち、端末認証は、特定部44による特定の前、後、途中のいずれのタイミングで実行してもよい。
【0049】
・制御部42は、特定部44によって特定された端末20でのみゲートバー3を操作可能にするように制御すればよい。例えば、特定部44に特定された端末20であるか否かに基づいて、通信接続の可否を切り替えてもよいし、端末認証の成否を切り替えてもよいし、ゲートバー3の動作の可否を切り替えてもよい。
【0050】
・測定部43は、受信信号強度が最大のエリアを通知するようにしてもよい。
・測定部43は、認証装置40に設けてもよいし、ゲート機2に設けてもよい。これは、通信部41の電波に対して端末20から返信された電波を、ゲート機2側で受信したときの受信信号強度を測定する態様に適用できる。
【0051】
・精算部5は、ゲート機2に設けることに限定されず、駐車場1内外の他の場所に設けてもよいし、サーバ30に設けてもよい。また、サーバ30に設ける場合、種々の方法を用いてオンラインで決済可能としてもよい。
【0052】
・サーバ30は、特定の物理サーバに限定されず、クラウドサーバなど、ネットワーク通信の通信網にあればよい。
・認証装置40は、ネットワーク通信を行ってもよい。また、ネットワーク通信を介してサーバ30と通信することにより、端末20の認証を行ってもよい。
【0053】
・認証装置40で行う端末20の認証は、実施形態に限定されず、端末20の確認を行うものであればよい。
・ゲート機2は、端末20で入退場を管理するだけでなく、駐車券を用いて入退場を管理してもよい。
【0054】
・端末20は、高機能携帯電話に限定されず、種々の端末に変更可能である。
・認証装置40と端末20との間の無線通信に用いられる通信規格や帯域は、実施形態に限定されず、例えばWi-Fi(登録商標)やZigbee(登録商標)を用いてもよい。
【0055】
・駐車場1は、時間貸し駐車場であってもよいし、月極め駐車場であってもよいし、定期契約駐車場であってもよい。
・管理システム10は、駐車場1に適用されることに限定されず、例えば、駅の改札口への入退場、建物やその他施設への入退場、イベント会場への入退場、バスや船舶や飛行機への乗降の管理に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1…駐車場、2…ゲート機、3…ゲートバー、10…管理システム、20…端末、25…ユーザインターフェースアプリケーション、30…サーバ、40…認証装置、41…通信部、42…制御部、43…測定部、44…特定部、Sa…第1エリア、Sb…第2エリア、Sc…第3エリア。
図1
図2
図3
図4