(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-29
(45)【発行日】2023-04-06
(54)【発明の名称】鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造
(51)【国際特許分類】
B62J 17/04 20060101AFI20230330BHJP
B62J 6/02 20200101ALI20230330BHJP
B62J 17/00 20200101ALI20230330BHJP
B62J 23/00 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
B62J17/04
B62J6/02
B62J17/00
B62J23/00 A
(21)【出願番号】P 2019151121
(22)【出願日】2019-08-21
【審査請求日】2022-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100156177
【氏名又は名称】池見 智治
(72)【発明者】
【氏名】山田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】内田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】中村 晃三
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-078525(JP,A)
【文献】特開2002-178972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 17/04
B62J 17/00
B62J 23/00
B62J 6/022
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造であって、
ウインドシールドと、
前記ウインドシールドの幅方向中央部の少なくとも一部を覆った状態で、ハンドルに対して前側に設けられるフロントユニットに取付けられるセンターカウルと、
を備え、
前記ウインドシールドのうち前記センターカウルにより覆われていない領域に前記フロントユニットに接する締結固定部が設けられている、鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造。
【請求項2】
請求項1に記載の鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造であって、
前記ウインドシールドの両側縁部が、前記フロントユニットから離れている、鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造であって、
前記ウインドシールドの両側縁部の間の少なくとも一部が前記フロントユニットから離れている、鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造であって、
前記ウインドシールドの裏面は、シボ加工された表面形状を呈する、鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造であって、
前記ウインドシールドのうち前記センターカウルによって覆われる部分と、前記センターカウルとの一方に、第1位置決め突起が形成され、他方に前記第1位置決め突起が嵌る第1位置決め凹部が形成される、鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造であって、
前記締結固定部と前記フロントユニットとの一方に第2位置決め突起が形成され、他方に前記第2位置決め突起が嵌る第2位置決め凹部が形成される、鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造であって、
前記フロントユニットは、ライトと、前記ライトと前記ウインドシールドとの間に設けられる遮光部とを含む、鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造であって、
前記センターカウルは、前記ウインドシールドを覆う覆い部と、前記覆い部に対して
前記フロントユニットを挟んで反対側で前記フロントユニットに取付けられる反対側部分とを含む、鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造であって、
前記ウインドシールドのうち前記センターカウルによって覆われる部分に開口が形成されている、鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造であって、
前記ウインドシールドのうち前記センターカウルによって覆われる部分に、ゲート跡がある、鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造であって、
前記ウインドシールドのうち前記センターカウルによって覆われる部分と、前記フロントユニットのうち前記ウインドシールドを介して前記センターカウルによって覆われる部分との一方に、固定用突起が形成され、他方に前記固定用突起が嵌って前記ウインドシールドを前記
フロントユニットに固定する固定用凹部が形成されている、鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ウインドシールドをバックミラーと共にボルトによってステーに取付ける構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ウインドシールドが大きくなった場合等に、ウインドシールドをより強固に固定することが要請される。
【0005】
そこで、本発明は、ウインドシールドをより強固に固定できるようにすること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造は、ウインドシールドと、前記ウインドシールドの幅方向中央部の少なくとも一部を覆った状態で、ハンドルに対して前側に設けられるフロントユニットに取付けられるセンターカウルと、を備え、前記ウインドシールドのうち前記センターカウルにより覆われていない領域に前記フロントユニットに接する締結固定部が設けられているものである。
【発明の効果】
【0007】
本鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造によると、ウインドシールドの幅方向中央部の少なくとも一部がセンターカウルによって覆われてフロントユニットに固定される。ウインドシールドは、センターカウルにより覆われていない領域でも、締結固定部を介してフロントユニット側に固定される。このため、ウインドシールドをより強固に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る自動二輪車の全体構成を示す側面図である。
【
図6】ウインドシールドを下斜めから見た斜視図である。
【
図7】センターカウルを斜め下方から見た斜視図である。
【
図8】
図2のVIII-VIII線における部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造について説明する。鞍乗型車両は、ユーザである運転者がシートに跨った状態で運転する車両である。以下の実施形態では、鞍乗型車両が自動二輪車である例で説明する。本鞍乗型車両は、自動二輪車の他、自動三輪車、ATV(All Terrain Vehicle)等であってもよい。
【0010】
図1は自動二輪車10の全体構成を示す側面図である。なお、以下の説明において、上下、前後及び左右について言及する場合、各方向は、次のように定義される。まず、自動二輪車10の前輪20及び後輪22が路面に接地する側が下であり、その反対側が上である。また、自動二輪車10が走行する際の走行方向が前であり、その反対側が後ろである。さらに、ユーザが運転者として自動二輪車10に搭乗した状態で、当該ユーザを基準とする左右が自動二輪車10の左右である。幅方向という場合、左右の車幅方向である。
【0011】
自動二輪車10では、車体フレーム11の前側に前輪20が回転可能に設けられる。車体フレーム11の後側に後輪22が回転可能に設けられる。
【0012】
車体フレーム11には、動力ユニットとしてエンジン24が搭載されている。エンジン24は、前輪20と後輪22との間において、車体フレーム11の下部に支持される。エンジン24の回転駆動力が変速機等を介して後輪22に伝達され、これにより、後輪22が回転駆動される。
【0013】
車体フレーム11における前後方向中間部の上側にシート12が設けられている。シート12は、運転者が着座するシートである。車体フレーム11における前後方向中間部の上側であってシート12の前方に燃料タンク13が設けられる。
【0014】
車体フレーム11の前側にハンドル30が設けられている。ここでは、車体フレーム11の前部にヘッドパイプ32が設けられている。ヘッドパイプ32には、ステアリングシャフト33が回転可能に挿通されている。ステアリングシャフト33には、上下一対のブラケット34が支持されている。ブラケット34によって、フロントフォーク36が下方に向けて延在するように支持されている。フロントフォーク36の下端部に前輪20が回転可能に支持されている。ハンドル30が、ブラケット34に支持されている。ハンドル30が操作されると、ステアリングシャフト33、ブラケット34及びフロントフォーク36がヘッドパイプ32の軸周りに回転する。この回転と共に、前輪20もヘッドパイプ32の軸周りに回転して、前輪20の向きが変る。
【0015】
ハンドル30に対して前側にフロントユニット42が設けられる。フロントユニット42に、ウインドシールド60が設けられる。ウインドシールド60は、フロントユニット42の上部から斜め後ろ後方へ向う。ウインドシールド60の内側には速度等を表示するメータユニット46が設けられる。このウインドシールド60の幅方向中央部がセンターカウル70によって覆われている。フロントユニット42に一対のミラー16が支持される。
【0016】
自動二輪車10の両側部が、サイドカウル38、サイドカバー27及びリアサイドカバー28によって覆われている。サイドカウル38は、フロントユニット42の両側部から燃料タンク13の下方に至る領域を覆っている。他のサイドカバー27及びリアサイドカバー28は、サイドカウル38の後方で自動二輪車10の側部を覆っている。これらのサイドカウル38、サイドカバー27及びリアサイドカバー28等のカバーが設けられる領域は任意であるし、また、どのような領域で分割され或は一体化されるかについても任意である。カバーを設けること自体も任意である。
【0017】
本実施形態では、上記ウインドシールド60の固定構造40の例が示される。
図2は自動二輪車10の前部を示す斜視図である。
図3は固定構造40の分解斜視図である。
図4は
図2のIV-IV線断面図である。
【0018】
ウインドシールド60の固定構造40は、ウインドシールド60と、センターカウル70とを備えており、これらのウインドシールド60及びセンターカウル70がフロントユニット42に固定される。
【0019】
フロントユニット42は、ハンドル30に対して前側に設けられる。フロントユニット42は、ヘッドランプ44及びハウジング43を備える。ハウジング43は、樹脂等で形成されており、車体フレーム11に対して直接又は間接的に支持される。ハウジング43は、ブラケット34に直接又は間接的に支持されてもよい。
【0020】
フロントユニット42における前部の両側部に一対のヘッドランプ44が支持されている。ここでは、一対のヘッドランプ44の前側照射面は、フロントユニット42における前部の中央から後方に向うにつれて車幅方向外側に向うように延在している。当該一対の前側照射面は、車幅方向中央部において間隔を隔てて設けられている。また、当該前側照射面は、外側に向うにつれて上下方向に幅広になり途中で幅狭となる形状に形成されている。フロントユニット42の両側部のうち当該前側照射面の後部の周りは、サイドカウル38によって覆われている。
【0021】
フロントユニット42は、その上部を覆うカバーの一例としてメータバイザ50を備える。メータバイザ50は、樹脂等によって形成されており、ハウジング43の一部をなしている。メータバイザ50は、幅方向中央の膨出部52と、当該膨出部52の両側部に設けられた一対の側方延出部54とを備える。膨出部52は、前方に向うにつれて上方及び車幅方向に大きく膨らむ形状に形成されている。膨出部52の内側にメータユニット46が配置される。膨出部52は、不透明樹脂等によって形成され、メータユニット46を後方に超えるまで延在してメータユニット46に対する日光を遮る役割を果す。膨出部52の両側縁から外方に向けて一対の側方延出部54が延出している。
【0022】
膨出部52の両側部の後方に、メータバイザ締結固定部56が設けられる。メータバイザ締結固定部56には挿通孔56hが形成される。メータバイザ締結固定部56の内面側に、車体フレーム11に直接又は間接的に支持されたブラケット14が配設される。メータバイザ締結固定部56は、当該ブラケット14に締結固定される。メータバイザ50には、上記挿通孔56h以外の孔は形成されない構成とされてもよい。この場合、エンジン24の熱等によってフロントユニット42の内側が温められたとしても、その熱がウインドシールド60に伝わり難くなる。
【0023】
ウインドシールド60は、透明又は半透明な樹脂等によって形成されている。ウインドシールド60は、運転者からウインドシールド60を介して前方を視認可能な程度な透明度であればよい。ウインドシールド60は、上記フロントユニット42の上側に重ねられる。ウインドシールド60の前部は、フロントユニット42の前部であってヘッドランプ44の手前の位置まで延在する。ウインドシールド60の後部は、メータバイザ50の後部を超えて後方に延在する。ここでは、ウインドシールド60は、膨出部62と、一対の側方延出部64とを備える。
【0024】
膨出部62は、前方に向うにつれて上方及び車幅方向に大きく膨らむ形状に形成されている。膨出部62は、上記膨出部52よりも大きく、当該膨出部52の外側を覆うことができる。また、膨出部62の後部は、膨出部52の後部からさらに後方に延出している。膨出部62の後部が後方に延出することで、走行風の少なくとも一部が運転者に向けて流れることが抑制される。膨出部62の両側縁から外方に向けて一対の側方延出部64が延出している。一対の側方延出部64は、上記一対の側方延出部54上に被さる。
【0025】
膨出部62の両側部の後方に、締結固定部66が設けられる。ウインドシールド60のうち締結固定部66が設けられた領域は、センターカウル70によって覆われない領域である。締結固定部66には挿通孔66hが形成される。締結固定部66は、上記メータバイザ締結固定部56上に重ね合される。これにより、締結固定部66は、フロントユニット42におけるメータバイザ50に接した状態となる。この状態で、締結固定部66は、メータバイザ締結固定部56と共にブラケット14に締結固定される。
【0026】
センターカウル70は、樹脂等によって形成された部材であり、ウインドシールド60の幅方向中央部の少なくとも一部を覆った状態で、フロントユニット42に取付けられる。ここでは、センターカウル70は、覆い部72と、反対側部分76と、連結部75とを備える。覆い部72は、ウインドシールド60の幅方向中央部における前部を覆う平たい部分である。反対側部分76は、フロントユニット42のうち一対のヘッドランプ44の下方領域を覆う部分である。連結部75は、覆い部72の前部における幅方向中央部と反対側部分76の前部における幅方向中央部とを連結する細長い部分である。この連結部75は、フロントユニット42のうち一対のヘッドランプ44の間の部分を覆うことができる。上記覆い部72がウインドシールド60を覆った状態で、反対側部分76がフロントユニット42に取付けられる。
【0027】
本固定構造40においては、ウインドシールド60がフロントユニット42の上部を覆うように配置される。そして、ウインドシールド60の締結固定部66がフロントユニット42に接した状態で当該フロントユニット42に締結固定される。また、ウインドシールド60の幅方向中央部の少なくとも一部をセンターカウル70の覆い部72が覆った状態で、反対側部分76がフロントユニット42に取付けられる。このセンターカウル70によって、ウインドシールド60がフロントユニット42に向けて押付けた状態に保たれる。つまり、上記締結固定構造及びセンターカウル70は、ウインドシールド60をフロントユニット42に対して固定する固定構造の例である。
【0028】
各部構成例についてより具体的に説明する。
【0029】
図5は
図2のV-V線における部分断面図である。
図6はウインドシールド60を下斜めから見た斜視図である。
図2、
図3、
図5及び
図6に示すように、ウインドシールド60における締結固定部66は、細長い六角形に広がる平坦な部分を含む。締結固定部66の形状例は当該例に限られず、方形状、楕円状等であってもよい。締結固定部66の長手方向における両端部に一対の挿通孔66hが形成されている。フロントユニット42のメータバイザ50におけるメータバイザ締結固定部56は、締結固定部66と同様形状、ここでは、細長い六角形に広がる平坦な部分を含む。ここでは、メータバイザ締結固定部56は、メータバイザ50における周辺部分よりも突出している。メータバイザ締結固定部56には、上記一対の挿通孔66hと対応する位置に一対の挿通孔56hが形成されている。メータバイザ締結固定部56上に締結固定部66が重ね合された状態で、一対の挿通孔66hと一対の挿通孔56hとが同じ位置に配設される。メータバイザ締結固定部56がブラケット14上に配設された状態で、メータバイザ締結固定部56上に締結固定部66が重ね合される。ここでは、ミラー16の基部に設けられたミラー固定部17が締結固定部66上に重ね合される。ミラー固定部17には、一対の挿通孔66hと対応する位置に一対の挿通孔17hが形成されている。そして、一対のネジSが、一対の挿通孔17h、66h、56hに挿通され、ブラケット14の内面側でナットNに螺合締結される。これにより、ウインドシールド60が、ミラー16と共にフロントユニット42に締結固定される。本締結構造において、ミラー16が固定されることは必須ではない。ナットは、ブラケット14に固定されていてもよい。ネジSによる螺合締結構造の代りに、リベットを用いた締結構造が採用されてもよい。
【0030】
締結固定部66とフロントユニット42との一方に第2位置決め突起67が形成され、他方に第2位置決め凹部57が形成される。ここでは、締結固定部66に第2位置決め突起67が形成され、フロントユニット42に第2位置決め凹部57が形成される例が示される。
【0031】
より具体的には、締結固定部66における内面側に第2位置決め突起67が形成される。第2位置決め突起67は、一対の挿通孔66hの間に形成される。ここでは、第2位置決め突起67は、方形状の突起形状に形成される。フロントユニット42におけるメータバイザ50のメータバイザ締結固定部56に第2位置決め凹部57が形成される。第2位置決め凹部57は、一対の挿通孔56hの間に形成される。ここでは、第2位置決め凹部57は、上記第2位置決め突起67を嵌込可能な方形状の貫通孔形状に形成される。他の例として、第2位置決め凹部は、ウインドシールド60側で凹む非貫通な凹みであってもよい。
【0032】
そして、上記のように、締結固定部66をメータバイザ締結固定部56上に重ね合せて両者を締結固定した状態で、第2位置決め突起67が第2位置決め凹部57に嵌り込む。これにより、フロントユニット42に対するウインドシールド60の位置決めがなされる。
【0033】
位置決め状態において、第2位置決め突起67における前縁部が第2位置決め凹部57における前縁部に当接し、フロントユニット42に対するウインドシールド60の前方への位置決めがなされてもよい。後述するように、固定用突起69が前方から固定用突起69に嵌り込むと、フロントユニット42に対するウインドシールド60の後方への位置決めがなされるため、両者の位置決め構成によってフロントユニット42に対するウインドシールド60の前後方向の位置決めがより正確になされる。
【0034】
また、位置決め状態において、一対の第2位置決め突起67における車幅方向外側の縁部が一対の第2位置決め凹部57における車幅方向外側の縁部に当接するように設定されてもよい。これにより、フロントユニット42に対するウインドシールド60の車幅方向の位置決めがより正確になされる。
【0035】
第2位置決め突起67の周縁のうちの少なくとも一部は、その突出方向に向けて内側に向うガイド形状に形成されてもよい。第2位置決め凹部57の周縁のうちの少なくとも一部は、第2位置決め突起67の挿入方向に向けて徐々に狭まるガイド形状に形成されてもよい。
図5において、第2位置決め突起67の前側縁は、その突出方向に向けて後方に向うガイド形状に形成される例が示される。また、第2位置決め凹部57の前側縁が、第2位置決め突起67の挿入方向に後方に向うガイド形状に形成される例が示される。
【0036】
図7はセンターカウル70を斜め下方から見た斜視図である。
図2、
図3、
図4、
図6及び
図7に示すように、ウインドシールド60の幅方向中央部の少なくとも一部がセンターカウル70における覆い部72によって覆われている。ここでは、覆い部72は、幅方向中央が両側部よりも上側に膨出するように湾曲する板状に形成されている。覆い部72の前後長は、幅方向の長さよりも大きい。覆い部72の両側縁は、前端部から後方に向うにつれて車幅方向外側に向う形状に形成されている。覆い部72の後側縁は、車幅方向中央部で後方に向けて凸となるように曲る形状に形成されている。覆い部72は、ウインドシールド60のうち前寄りの部分を覆っている。覆い部72の前後方向中央部がウインドシールド60の前後方向中央部よりも前寄りに位置していてもよい。ここでは、覆い部72は、ウインドシールド60の前後方向中間部よりも前寄りの位置を覆っている。覆い部72には、前方に向けて凸となるU字状のラインに沿って段部72sが形成されている。覆い部72は、段部72sを境界として、前方部分よりも後方部分が凹む形状に形成されている。段部72sは、前方から後方に向けて徐々に段差が小さくなる形状に形成されている。
【0037】
ウインドシールド60のうちセンターカウル70の覆い部72によって覆われる部分に開口62hが形成されている。ここでは、ウインドシールド60に上記覆い部72よりも小さい開口62hが形成されている。ここでは、ウインドシールド60のうち開口62hの外側部分に覆い部72の外周縁を支持可能な範囲で、開口62hはなるべく大きく形成されていてもよい。ウインドシールド60のうち開口62hの外側部分に、覆い部72の厚みに応じて凹む段差が設けられていてもよい。ここでは、ウインドシールド60のうち開口62hの後方部分に段差72tが形成される。このため、開口62hの後方においては、覆い部72が段差72t上に嵌っており、運転者から覆い部72の後縁が目立ち難い。
【0038】
ウインドシールド60に開口62hが形成されている分、ウインドシールド60の軽量化及び材料費の削減が可能となる。また、開口62hは、センターカウル70によって覆われているので、当該開口62hを外部から隠すことができる。開口62hが省略され、センターカウルによって覆われる部分の全体に、ウインドシールドが広がっていてもよい。
【0039】
センターカウル70の覆い部72によって覆われる部分に、覆い部72をウインドシールド60に締結固定する構成が設けられる。ここでは、ウインドシールド60のうち開口62hの後部に固定部63が設けられる。ここでは、ウインドシールド60に一対の固定部63が設けられる。一対の固定部63は、ウインドシールド60のうち開口62hの後部の両側部に、車幅方向に間隔をあけて設けられる。固定部63は、側壁部63aと締結片63bとを含む。側壁部63aは、開口62hの後ろ縁の外側側部からフロントユニット42側に向けて延出している。側壁部63aは、平面視において開口62hの縁に沿って曲っており、変形し難くなっている。締結片63bは、側壁部63aの下縁から前方及び車幅方向内側に向うように延在する板状部分である。締結片63bに挿通孔63bhが形成されている。
【0040】
また、覆い部72の内側に、一対の固定部63に対応して一対の固定部73が設けられている。ここでは、固定部73は、覆い部72の内面から突出する締結片72bと、締結片72bの両側部と覆い部72の内面とを連結する補強片72aとを含む。締結片72bには、挿通孔72bhが形成されている。補強片72aは、覆い部72に対する締結片72bの延在姿勢を一定に保つように補強する役割を果す。覆い部72がウインドシールド60を覆った状態で、締結片72bが締結片63b上に重ね合される。この状態で、ネジSが挿通孔63bh、72bhに挿通され、ナットNに螺合締結される。これにより、覆い部72がウインドシールド60に固定される(
図4参照)。ここでの固定構造は、リベットを用いた締結構造であってもよい。また、覆い部72及びウインドシールド60の一方に設けられたロック片が他方のロック用孔に抜け止状態で嵌り込むロック構造であってもよい。
【0041】
なお、フロントユニット42のうち上記固定部63に対応する位置には、当該固定部63を収容可能な凹部53aが形成されている。固定部63、73の固定部は、当該凹部53a内に配設される。
【0042】
上記側壁部63aは、ウインドシールド60のうち開口62hの縁周辺部分を変形し難くするリブとしても機能することができる。また、開口62hの後ろ縁のうち一対の側壁部63a間の部分、開口62hの両側縁にも、フロントユニット42側に向けて延出するリブ62haが形成されている。このリブ62haによっても、ウインドシールド60のうち開口62hの縁周辺部分の変形が抑制される。
【0043】
上記センターカウル70は、ウインドシールド60に対して次の構成によって位置決めがなされる。
【0044】
すなわち、ウインドシールド60のうちセンターカウル70によって覆われる部分と、センターカウル70との一方に、第1位置決め突起68が形成され、他方に前記第1位置決め突起68が嵌る第1位置決め凹部78が形成される。ここでは、ウインドシールド60に第1位置決め突起68が形成され、センターカウル70に第1位置決め凹部78が形成される例が示される。
【0045】
より具体的には、ウインドシールド60のうち開口62hの周縁の前部分及び後ろ部分のそれぞれに第1位置決め突起68が形成される。第1位置決め突起68は、ウインドシールド60において車幅方向中央に位置し、開口62hの内側に向けて突出している(
図3及び
図4参照)。センターカウル70の覆い部72のうち上記2つの第1位置決め突起68に対応する各位置に、位置決め部78aが突設される(
図4及び
図7参照)。位置決め部78aは、車幅方向において間隔をあけて突設された一対の凸部を含む。一対の凸部の間に第1位置決め凹部78が形成される。第1位置決め凹部78の車幅方向の寸法は、上記第1位置決め突起68を隙間無く配設可能な程度の大きさに設定されている。センターカウル70の覆い部72がウインドシールド60を覆うように配設された状態で、各第1位置決め突起68が対応する各第2位置決め凹部57に嵌り込む。これにより、ウインドシールド60に対してセンターカウル70が車幅方向において位置決めされる。位置決め凹部は、覆い部の内側の面に形成された凹みであってもよい。
【0046】
上記したように、覆い部72がウインドシールド60を覆った状態で、覆い部72の固定部73がウインドシールド60の固定部63に締結固定されることで、センターカウル70がウインドシールド60に固定される。この際、ウインドシールド60の先端部がセンターカウル70に対してがたつかないように、弾性部材80が設けられる。ここでは、ウインドシールド60の前端部に貫通孔が形成される。ここでは、ウインドシールド60の前端部に、車幅方向に間隔をあけて2つの貫通孔が形成される。弾性部材80は、円板状の頭部81に棒状部分が突設された部材であり、ゴム等の弾性部材によって形成される。棒状部分に、頭部81に対して間隔をあけて抜止め突部が形成されていてもよい。この弾性部材80が上記貫通孔に貫通された状態で、その頭部81がウインドシールド60とセンターカウル70との間に介在する。これにより、上記固定部63、73の固定部分から離れた箇所において、ウインドシールド60とセンターカウル70とのがたつきが抑制される。
【0047】
ウインドシールド60とセンターカウル70とは固定部63、73を介して一体化された状態で、フロントユニット42に固定されてもよい。ウインドシールド60とセンターカウル70が一体化された形態のまま、フロントユニット42から取外されれば、ウインドシールド60とメータバイザ50との間が容易に掃除され得る。ウインドシールド60とセンターカウル70とは、次のようにしてフロントユニット42に固定される。
【0048】
まず、上記したように、ウインドシールド60の前後方向中間部における両側部の締結固定部66がフロントユニット42におけるメータバイザ50のメータバイザ締結固定部56に締結固定される。
【0049】
また、ウインドシールド60のうちセンターカウル70によって覆われる部分と、フロントユニット42のうちウインドシールド60を介してセンターカウル70によって覆われる部分との一方に、固定用突起69が形成されると共に、他方に当該固定用突起69が嵌る固定用凹部49が形成される。ここでは、ウインドシールド60のうちセンターカウル70によって覆われる部分に固定用突起69が形成され、フロントユニット42のうちウインドシールド60を介してセンターカウル70によって覆われる部分に固定用凹部49が形成される例が示される。
【0050】
より具体的には、ウインドシールド60のうち開口62hの周縁の前部から後方に向けて固定用突起69が突設される。固定用突起69は、ウインドシールド60に対して車幅方向中央の位置に設けられる。ここでは、固定用突起69の先端部にゴム等の弾性カバー69rが被せられている。弾性カバー69rは、固定用突起69が固定用凹部49に嵌った状態で、固定用突起69と固定用凹部49との間に介在し、両者間でのガタガタ音を抑制する役割を果す。弾性カバー69rは必須ではない。
【0051】
また、フロントユニット42におけるメータバイザ50には、覆い部72の前寄りの位置で凹む凹部51が形成される。凹部51は、前方に向うにつれて徐々に深くなる凹み形状に形成されている。凹部51内であって上記固定用突起69に対応する位置に固定用凹部49が形成されている。ここでは、固定用凹部49は、突部49aと突部49bとの間に形成されている。突部49aは、固定用凹部49の前側内周面に突出する複数の板状部を含む。複数の板状部は、前後方向に沿う姿勢で突設され、車幅方向において間隔をあけて並んでいる。突部49bは、突部49aの後方に間隔を隔てた位置で、固定用凹部49の底部から突出するように形成される。突部49bの先端部は、2つに分れている。突部49aと突部49bとの間に、前方に開口する固定用凹部49が形成される。
【0052】
そして、ウインドシールド60がメータバイザ50上に被せられた状態で、固定用突起69が固定用凹部49に対して前方から嵌る。これにより、ウインドシールド60の前部の上方への移動が抑制される。また、固定用突起69が固定用凹部49に対して前方から嵌っていることから、メータバイザ50に対するウインドシールド60の後方への位置決めが図られる。
【0053】
また、センターカウル70は、次のようにしてフロントユニット42に取付けられる。すなわち、センターカウル70は、上記したように、覆い部72と反対側部分76とを備える。覆い部72は、ウインドシールド60を上方から覆っており、反対側部分76は、覆い部72に対して下方に設けられる。
【0054】
より具体的には、覆い部72の前部の幅方向中央部から下方に向けて連結部75が設けられる。連結部75は、覆い部72及び反対側部分76より幅狭な部分である。連結部75の下部に車幅方向外側に向う反対側部分76が設けられる。反対側部分76の幅方向中央部に、カウル下固定部77が設けられる。
【0055】
カウル下固定部77は、締結片77aと、センタリング片77bと、補強片77cとを含む(
図7参照)。締結片77aは、反対側部分76の幅方向中央部の内面から後方に向けて水平姿勢で延在している。締結片77aの先端部に、挿通孔77ahが形成される。センタリング片77bは、反対側部分76の内面から後方に離れた位置で、締結片77aに対して直角姿勢で上方に延出している。センタリング片77bには、センタリング孔77bhが形成される。センタリング孔77bhの周囲に、ガイド突部77bgが設けられてもよい。ガイド突部77bgは、例えば、センタリング孔77bh側の面が前方に向うにつれてセンタリング孔77bh側に延在するガイド面を有する突起である。ここでは、センタリング孔77bhの周囲に、複数のガイド突部77bgが突設されている。補強片77cは、締結片77a及びセンタリング片77bの両側部から反対側部分76の内面に向けて延びる板状部分であり、締結片77a及びセンタリング片77bを一定の姿勢に保つ役割を果す。
【0056】
メータバイザ50の前部における幅方向中央部から下方に向けて取付片58が延在している(
図3参照)。取付片58は、一対のヘッドランプ44の間を通って当該ヘッドランプ44の下方に延出している。取付片58の下端部に、前方から後方に向けて凹む凹部が形成され、当該凹部に位置決めピン59が突設されている。位置決めピン59は、上記センタリング孔77bh内に嵌ることができる棒状の部分である。この位置決めピン59が上記ガイド突部77bgにガイドされつつ、センタリング孔77bhに嵌ることで、センターカウル70の反対側部分76がフロントユニット42の前部に対して位置決めされる。また、取付片58の下部から後方に向けて締結片59aが延出している。締結片59aには、挿通孔が形成されている。位置決めピン59がセンタリング孔77bhに嵌った状態で、締結片77aが締結片59aの下面に重ね合される。この状態で、樹脂製のリベットR等が挿通孔72bh等に挿通されて、締結片77aと締結片59aとを締結固定する。締結片77aと締結片59aとの締結固定はネジ締めによってなされてもよい。これにより、センターカウル70の反対側部分76がフロントユニット42に取付けられる。
【0057】
ウインドシールド60及びセンターカウル70がフロントユニット42に取付けられた状態で、ウインドシールド60の両側縁部がフロントユニット42から離れている。また、ウインドシールド60の両側縁部の間の少なくとも一部がフロントユニット42から離れている。
【0058】
ここでは、ウインドシールド60の締結固定部66がメータバイザ50のメータバイザ締結固定部56に重ねられて接触した状態となっている。この接触部分によって、フロントユニット42に対するウインドシールド60の下方への位置決めがなされている。この位置決め状態下において、ウインドシールド60の両側縁部の間の少なくとも一部がフロントユニット42から離れている。
【0059】
より具体的には、メータバイザ50の側方延出部54における車幅方向外側縁部は、その車幅方向内側部分よりも上方に突出する突出縁部55に形成される。突出縁部55は、側方延出部54の外側縁部の後端部から前方にかけて延在する。突出縁部55うちの後端部は、サイドカウル38によって覆われる。突出縁部55のうちの最前部は、センターカウル70によって覆われる。突出縁部55のうちの前部であってヘッドランプ44の上方部分は、当該ヘッドランプ44とウインドシールド60との間で露出している。メータバイザ50のうち上記突出縁部55と膨出部52との間の部分は、突出縁部55よりも凹んでいる。
図8は
図2のVIII-VIII線におけるウインドシールド60の側縁部とメータバイザ50の突出縁部55近傍の断面図である。同図に示すように、ウインドシールド60の締結固定部66がメータバイザ50のメータバイザ締結固定部56に位置決めされた状態で、ウインドシールド60の両側縁部は、突出縁部55の表面延長上に配設される。この状態で、ウインドシールド60の両側縁部は、突出縁部55より内側に離れ、かつ、メータバイザ50のうち上記突出縁部55よりも内側の部分よりも上方に離れた状態となっている。ウインドシールド60の両側縁部がフロントユニット42から離れていると、ウインドシールド60の両側縁部とフロントユニット42との間でガタガタ音が生じ難い。また、ウインドシールド60とフロントユニット42との間の空気と、外部の空気とが、ウインドシールド60の両側縁部とフロントユニット42との隙間を通って換気され易い。
【0060】
また、上記したように、メータバイザ50のうち上記突出縁部55と膨出部52との間の部分は、突出縁部55よりも凹んでいる。このため、ウインドシールド60の両側縁部の間の部分は、突出縁部55と膨出部52との間の部分において、フロントユニット42から離れた状態となっている。
【0061】
また、ここでは、膨出部52にも凹部52gが形成されている。ここでは、凹部52gは、膨出部52の左右部分のそれぞれおいて、前後方向に並ぶように複数形成されている。各凹部52gは、前方に向けて徐々に浅くなる凹み形状に形成されている。この膨出部52上にウインドシールド60の膨出部62が重ねられた状態で、当該凹部52gが形成された部分では、ウインドシールド60がフロントユニット42から離れて配置される。この部分も、ウインドシールド60の側縁部の間の少なくとも一部が前記フロントユニット42から離れる場合の一例である。
【0062】
ウインドシールド60の両側縁部の間の少なくとも一部がフロントユニット42から離れていると、エンジン24の熱等でフロントユニット42が温められたとしても、ウインドシールド60で結露が生じ難い。
【0063】
ウインドシールド60の裏面60Fは、シボ加工された表面形状を呈していてもよい。シボ加工とは、表面に形成された細かい凹凸形状である。シボ加工は、皺模様であってもよいし、粒状模様であってもよいし、その他の幾何学的模様であってもよい。各形状は、凹部分の集合によって形成されていてもよいし、凸部分の集合によって形成されていてもよい。
【0064】
ウインドシールド60を金型成形することを想定すると、ウインドシールド60には樹脂を注入するためのゲート跡60Tが残る。かかるゲート跡60Tは、ウインドシールド60のうちセンターカウル70によって覆われる部分に設けられるとよい。例えば、固定部63の内側端面にゲート跡60Tが形成されてもよい(
図3参照)。
【0065】
フロントユニット42は、ライトの一例であるヘッドランプ44とウインドシールド60との間に設けられる遮光部を含んでもよい。ここでは、上記突出縁部55の前部がヘッドランプ44とウインドシールド60との間に設けられる遮光部である。ウインドシールド60は透明又は半透明な樹脂等によって形成されるため、ウインドシールド60の内部を光が伝播する可能性がある。一方、フロントユニット42、特に、メータバイザ50は、光を遮るものであるため、遮光性を有する樹脂等によって形成される。メータバイザ50の一部である突出縁部55は、遮光部として、ヘッドランプ44からウインドシールド60に至る光を遮光することができる。このため、ヘッドランプ44の光がウインドシールド60内を伝播して運転手から観察されることが抑制される。
【0066】
上記遮光部としての突出縁部は、他のランプ、例えば、ポジションランプ(スモールランプとも呼ばれる)とウインドシールド60との間に介在していてもよい。遮光部は、メータバイザ50以外の部分、例えば、センターカウル等の他のカバーに形成されていてもよいし、単独の部品として存在していてもよい。
【0067】
このように構成された鞍乗型車両におけるウインドシールド60の固定構造40によると、ウインドシールド60の幅方向中央部の少なくとも一部がセンターカウル70によって覆われてフロントユニット42に固定される。ウインドシールド60は、センターカウル70による覆われていない領域でも締結固定部66を介してフロントユニット42側に固定される。このため、ウインドシールド60をより強固に固定できる。
【0068】
すなわち、ウインドシールド60の大きさによっては、当該ウインドシールド60をより多くの箇所で固定することが要請されることがある。仮にウインドシールドの多数箇所をネジによって固定しようとすると、ネジがウインドシールドから露出してしまい、空気抵抗の発生要因となってしまう。また、デザイン的な影響を与えることが懸念される。本実施形態では、センターカウル70がウインドシールド60をフロントユニット42に押え付けている。かかるセンターカウル70としては、ウインドシールド60の外形に倣い、大きく外方に突出しない外表面形状のものを用いることができる。このため、空気抵抗を低くすることができる。また、取付のための構造が目立たず、デザイン的にも良好な影響を与えることができる。
【0069】
また、ウインドシールド60の両側縁部がフロントユニット42から離れている。このため、ウインドシールド60の両側縁部とフロントユニット42との間で、ガタガタ音を抑制することができる。また、ウインドシールド60の内側の空気を、外の空気と換気し易い。これにより、ウインドシールド60の内側を乾燥させ易い。
【0070】
また、ウインドシールド60の両側縁部の間の少なくとも一部がフロントユニット42から離れているため、ウインドシールド60に結露が生じ難い。
【0071】
また、ウインドシールド60の裏面がシボ加工されている。例えば、ウインドシールド60自体が薄い白色を呈するように観察される。このため、仮にウインドシールド60の裏面が結露しても目立ち難い。
【0072】
また、ウインドシールド60に第1位置決め突起68が形成され、センターカウル70に第1位置決め凹部78が形成されている。このため、ウインドシールド60に対してセンターカウル70が正確に位置決めされる。特に、ウインドシールド60に対するセンターカウル70の位置が左右に偏っていると目立ち易い。上記位置決め構造によって、ウインドシールド60に対してセンターカウル70が幅方向において正確に位置決めされる。これとは逆に、ウインドシールド60に第1位置決め凹部が形成され、センターカウル70に第1位置決め突起が形成されていても、ウインドシールド60に対してセンターカウル70が正確に位置決めされる。
【0073】
また、締結固定部66に第2位置決め突起67が形成され、フロントユニット42におけるメータバイザ50に第2位置決め凹部57が形成されている。このため、締結固定部66における締結固定力を利用して、ウインドシールド60をフロントユニット42に位置決めすることができる。
【0074】
また、フロントユニット42の突出縁部55の前部は、ヘッドランプ44とウインドシールド60との間に設けられる遮光部となる。このため、ヘッドランプ44からウインドシールド60に向う光が、遮光部としての突出縁部55によって遮られる。これにより、運転手からウインドシールド60の後方縁を見た場合に明るく認識されることが抑制される。
【0075】
また、センターカウル70は、反対側部分76を備え、当該反対側部分76が、ウインドシールド60を覆う覆い部72に対して、フロントユニット42を挟んで反対側で当該フロントユニット42に取付けられる。このため、センターカウル70の覆い部72がセンターカウル70をしっかりとフロントユニット42に向けて押付けることができ、センターカウル70がフロントユニット42に対してしっかり固定される。
【0076】
また、ウインドシールド60のうちセンターカウル70によって覆われる部分に開口62hが形成されているため、当該開口62hを外部から隠しつつ軽量化を図ることができる。
【0077】
また、ウインドシールド60のうちセンターカウル70によって覆われる部分にゲート跡60Tが存在するため、ゲート跡60Tを目立たなくすることができる。
【0078】
また、ウインドシールド60に固定用突起69が形成され、フロントユニット42に固定用凹部49が形成され、固定用突起69が固定用凹部49に嵌ってウインドシールド60がセンターカウル70に固定される。このため、ウインドシールド60のうちセンターカウル70によって覆われる部分では、外部からのネジ止作業等を行うことなく、ウインドシールド60がフロントユニット42に固定される。
【0079】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0080】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【0081】
以上のように、本明細書は、下記の各態様を含んでいる。
【0082】
第1の態様は、鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造であって、ウインドシールドと、前記ウインドシールドの幅方向中央部の少なくとも一部を覆った状態で、ハンドルに対して前側に設けられるフロントユニットに取付けられるセンターカウルと、を備え、前記ウインドシールドのうち前記センターカウルにより覆われていない領域に前記フロントユニットに接する締結固定部が設けられている、鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造である。
【0083】
これにより、ウインドシールドの幅方向中央部の少なくとも一部がセンターカウルによって覆われてフロントユニットに固定される。ウインドシールドは、センターカウルにより覆われていない領域でも、締結固定部を介してフロントユニット側に固定される。このため、ウインドシールドをより強固に固定できる。
【0084】
第2の態様は、第1の態様に係る鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造であって、前記ウインドシールドの両側縁部が、前記フロントユニットから離れているものである。この場合、ガタガタ音を抑制することができる。また、ウインドシールドの内側の空間を換気し易い。
【0085】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造であって、前記ウインドシールドの両側縁部の間の少なくとも一部が前記フロントユニットから離れているものである。この場合、ウインドシールドに結露が生じ難い。
【0086】
第4の態様は、第1から第3のいずれか1つの態様に係る鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造であって、前記ウインドシールドの裏面は、シボ加工された表面形状を呈するものである。この場合、ウインドシールドの裏面が結露しても結露が目立ち難い。
【0087】
第5の態様は、第1から第4のいずれか1つの態様に係る鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造であって、前記ウインドシールドのうち前記センターカウルによって覆われる部分と、前記センターカウルとの一方に、第1位置決め突起が形成され、他方に前記第1位置決め突起が嵌る第1位置決め凹部が形成されるものである。この場合、センターカウルをウインドシールドに位置決めして取付けることができる。また、位置決め箇所が目立たない。
【0088】
第6の態様は、第1から第5のいずれか1つの態様に係る鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造であって、前記締結固定部と前記フロントユニットとの一方に第2位置決め突起が形成され、他方に前記第2位置決め突起が嵌る第2位置決め凹部が形成されるものである。この場合、締結固定部の周りを利用してウインドシールドをフロントユニットに位置決めすることができる。
【0089】
第7の態様は、第1から第6のいずれか1つの態様に係る鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造であって、前記フロントユニットは、ライトと、前記ライトと前記ウインドシールドとの間に設けられる遮光部とを含むものである。この場合、ライトからウインドシールドに向う光が遮光部によって遮られる。
【0090】
第8の態様は、第1から第7のいずれか1つの態様に係る鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造であって、前記センターカウルは、前記ウインドシールドを覆う覆い部と、前記覆い部に対して反対側で前記フロントユニットに取付けられる反対側部分とを含むものである。これにより、センターカウルがフロントユニットにしっかり固定される。
【0091】
第9の態様は、第1から第8のいずれか1つの態様に係る鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造であって、前記ウインドシールドのうち前記センターカウルによって覆われる部分に開口が形成されているものである。これにより、軽量化が可能となる。
【0092】
第10の態様は、第1から第9のいずれか1つの態様に係る鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造であって、前記ウインドシールドのうち前記センターカウルによって覆われる部分に、ゲート跡があるものである。これにより、ゲート跡が目立たない。
【0093】
第11の態様は、第1から第10のいずれか1つの態様に係る鞍乗型車両におけるウインドシールドの固定構造であって、前記ウインドシールドのうち前記センターカウルによって覆われる部分と、前記フロントユニットのうち前記ウインドシールドを介して前記センターカウルによって覆われる部分との一方に、固定用突起が形成され、他方に前記固定用突起が嵌って前記ウインドシールドを前記フロントユニットに固定する固定用凹部が形成されているものである。この場合、ウインドシールドのうちセンターカウルによって覆われる部分では、外部からのネジ止作業等を行うことなく、ウインドシールドがフロントユニットに固定される。
【符号の説明】
【0094】
10 自動二輪車
30 ハンドル
40 ウインドシールドの固定構造
42 フロントユニット
44 ヘッドランプ
49 固定用凹部
50 メータバイザ
55 突出縁部
56 メータバイザ締結固定部
56h 挿通孔
57 第2位置決め凹部
60 ウインドシールド
60F 裏面
60T ゲート跡
63 固定部
63b 締結片
63bh 挿通孔
66 締結固定部
66h 挿通孔
67 第2位置決め突起
68 第1位置決め突起
69 固定用突起
70 センターカウル
72 覆い部
72b 締結片
72bh 挿通孔
73 固定部
76 反対側部分
77 カウル下固定部
77a 締結片
77ah 挿通孔
78 第1位置決め凹部
N ナット
S ネジ
R リベット