(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-29
(45)【発行日】2023-04-06
(54)【発明の名称】部品認識データ作成方法および部品認識データ作成プログラム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/08 20060101AFI20230330BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20230330BHJP
【FI】
H05K13/08 Q
H05K13/08 Z
G06T7/00 300D
(21)【出願番号】P 2019162701
(22)【出願日】2019-09-06
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 孝智
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-211088(JP,A)
【文献】特開2006-338482(JP,A)
【文献】国際公開第2014/087535(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末に設けられた撮像部により部品を撮像し、
撮像した部品の画像に基づいて、基板に部品を実装する部品実装装置において部品を認識するための部品認識データを前記携帯端末により作成する、部品認識データ作成方法。
【請求項2】
前記携帯端末の前記撮像部により撮像した部品の画像に基づいて、部品の種類または形状を推定できるか否かを判断する、請求項1に記載の部品認識データ作成方法。
【請求項3】
前記携帯端末の前記撮像部により部品を撮像することは、所定のパターンが記された校正板に部品を載置して部品を撮像することを含み、
前記部品認識データを作成することは、撮像した前記校正板を含む部品の画像に基づいて、前記部品認識データを作成することを含む、請求項1または2に記載の部品認識データ作成方法。
【請求項4】
前記携帯端末の前記撮像部により部品を撮像することは、部品の種類または形状を取得するために必要な撮像する部品の面および部品の撮像方向の少なくとも一方を指示する前記携帯端末による撮像指示に基づいて、部品を撮像することを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の部品認識データ作成方法。
【請求項5】
前記部品認識データは、電極の数情報、電極のサイズ情報、電極のピッチ情報、電極の位置情報、部品の外形寸法情報のうち少なくとも1つを含み、
前記携帯端末の前記撮像部により部品を撮像することは、部品の種類に応じて前記部品認識データを取得するために必要な撮像する部品の面および部品の撮像方向の少なくとも一方を指示する前記携帯端末による撮像指示に基づいて、部品を撮像することを含む、請求項4に記載の部品認識データ作成方法。
【請求項6】
前記部品認識データを作成することは、撮像した部品の画像に基づいて、部品の種類または形状を含む情報をデータベースで検索して、前記データベースの検索結果に基づいて前記部品認識データを作成することを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の部品認識データ作成方法。
【請求項7】
前記携帯端末の前記撮像部により部品を撮像することは、前記データベースに該当する部品の種類または形状を含む情報がない場合に、前記携帯端末の前記撮像部により部品を再度撮像することを含み、
前記部品認識データを作成することは、再度撮像した部品の画像に基づいて、前記部品認識データを作成することを含む、請求項6に記載の部品認識データ作成方法。
【請求項8】
作成した前記部品認識データに基づく画像を、前記携帯端末に設けられた表示部に表示される部品の画像に重ねて表示する、請求項1~7のいずれか1項に記載の部品認識データ作成方法。
【請求項9】
前記部品認識データに基づく画像を前記表示部の部品の画像に重ねて表示することは、前記撮像部によりリアルタイムに取り込まれる部品の画像に前記部品認識データに基づく画像を重ねて表示することを含む、請求項8に記載の部品認識データ作成方法。
【請求項10】
作成した前記部品認識データをデータベースに反映する、請求項1~8のいずれか1項に記載の部品認識データ作成方法。
【請求項11】
作成した前記部品認識データを前記データベースに反映することは、前記部品実装装置において作成した前記部品認識データを使用する際に、前記部品実装装置における撮像時の照明条件を調整する指示を、前記部品認識データに付与して、前記データベースに反映することを含む、請求項10に記載の部品認識データ作成方法。
【請求項12】
前記携帯端末の前記撮像部により部品を撮像して前記部品認識データを作成する際に、前記携帯端末に設けられた表示部に操作内容を表示する、請求項1~11のいずれか1項に記載の部品認識データ作成方法。
【請求項13】
携帯端末に設けられた撮像部により部品を撮像させ、
撮像された部品の画像に基づいて、基板に部品を実装する部品実装装置において部品を認識するための部品認識データを作成することを、前記携帯端末に実行させる、部品認識データ作成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品認識データ作成方法および部品認識データ作成プログラムに関し、特に、基板に部品を実装する部品実装装置において部品を認識するための部品認識データを作成する部品認識データ作成方法および部品認識データ作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に部品を実装する部品実装装置において部品を認識するための部品認識データを作成する部品認識データ作成方法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、基板に部品を実装する部品実装機(部品実装装置)において、部品を実装しながら、カメラにより部品を撮像し、撮像した画像に基づいて、部品を認識するための部品認識データを作成する部品認識データ作成方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の部品認識データ作成方法では、基板に部品を実装する部品実装機(部品実装装置)において、部品を実装しながら、部品認識データを作成しているため、部品認識データを作成している間は、部品実装機において部品の実装動作が滞ってしまう。このため、部品実装作業を効率よく行うことが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、部品実装作業を効率よく行いながら部品認識データを作成することが可能な部品認識データ作成方法および部品認識データ作成プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による部品認識データ作成方法は、携帯端末に設けられた撮像部により部品を撮像し、撮像した部品の画像に基づいて、基板に部品を実装する部品実装装置において部品を認識するための部品認識データを携帯端末により作成する。
【0008】
この発明の第1の局面による部品認識データ作成方法では、上記のように構成することにより、携帯端末により部品認識データを作成することができるので、部品実装ライン外において部品実装作業とは別個に部品認識データを作成することができる。これにより、部品実装装置において部品を実装しながら、部品認識データを作成する場合と異なり、部品実装作業の効率を低下させることなく、部品実装作業とは別に独立して、かつ、並行して部品認識データを作成することができる。その結果、部品実装作業を効率よく行いながら部品認識データを作成することができる。また、部品認識データを作成するために部品実装ライン外に別途部品実装装置を設ける場合と異なり、簡易な構成かつ小型の携帯端末により部品認識データを作成することができる。
【0009】
上記第1の局面による部品認識データ作成方法において、好ましくは、撮像した部品の画像に基づいて、部品の種類または形状を推定できるか否かを判断する。このように構成すれば、携帯端末により部品の種類または形状を推定可能な部品の部品認識データを作成することができる。
【0010】
上記第1の局面による部品認識データ作成方法において、好ましくは、携帯端末の撮像部により部品を撮像することは、所定のパターンが記された校正板に部品を載置して部品を撮像することを含み、部品認識データを作成することは、撮像した校正板を含む部品の画像に基づいて、部品認識データを作成することを含む。このように構成すれば、校正板の所定のパターンに基づいて、撮像した画像の部品の大きさや、撮像による部品の歪み量を容易に取得することができるので、携帯端末の撮像部により撮像した部品の画像に基づいて、部品認識データを精度よく作成することができる。
【0011】
上記第1の局面による部品認識データ作成方法において、好ましくは、携帯端末の撮像部により部品を撮像することは、部品の種類または形状を取得するために必要な撮像する部品の面および部品の撮像方向の少なくとも一方を指示する携帯端末による撮像指示に基づいて、部品を撮像することを含む。このように構成すれば、撮像する部品の面および部品の撮像方向の少なくとも一方の指示に基づいて、必要な部品の画像を撮像する作業を作業者が行うことができるので、部品認識データを作成する際の作業者の作業効率を向上することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、部品認識データは、電極の数情報、電極のサイズ情報、電極のピッチ情報、電極の位置情報、部品の外形寸法情報のうち少なくとも1つを含み、携帯端末の撮像部により部品を撮像することは、部品の種類に応じて部品認識データを取得するために必要な撮像する部品の面および部品の撮像方向の少なくとも一方を指示する携帯端末による撮像指示に基づいて、部品を撮像することを含む。このように構成すれば、撮像する部品の面および部品の撮像方向の少なくとも一方の指示に基づいて、電極の数情報、電極のサイズ情報、電極のピッチ情報、電極の位置情報、部品の外形寸法情報のうち必要な部品認識データを取得するための撮像を容易に行うことができる。
【0013】
上記第1の局面による部品認識データ作成方法において、好ましくは、部品認識データを作成することは、撮像した部品の画像に基づいて、部品の種類または形状を含む情報をデータベースで検索して、データベースの検索結果に基づいて部品認識データを作成することを含む。このように構成すれば、データベースに蓄積された情報に基づいて、該当する部品認識データや類似の部品認識データを抽出することができるので、適切な形状データ、吸着、装着および供給データが設定された部品認識データを利用することができる。これにより、部品認識データを容易に作成することができる。
【0014】
この場合、好ましくは、携帯端末の撮像部により部品を撮像することは、データベースに該当する部品の種類または形状を含む情報がない場合に、携帯端末の撮像部により部品を再度撮像することを含み、部品認識データを作成することは、再度撮像した部品の画像に基づいて、部品認識データを作成することを含む。このように構成すれば、データベースに該当する部品の種類または形状を含む情報がない場合にも、部品認識データの作成に適した画像を、部品を再度撮像することにより取得することができる。
【0015】
上記第1の局面による部品認識データ作成方法において、好ましくは、作成した部品認識データに基づく画像を、携帯端末に設けられた表示部に表示される部品の画像に重ねて表示する。このように構成すれば、作成した部品認識データの精度を作業者が容易に確認することができるので、部品認識データの精度が低下するのを抑制することができる。その結果、部品認識データの誤設定や、部品の誤認識を抑制することができる。
【0016】
この場合、好ましくは、部品認識データに基づく画像を表示部の部品の画像に重ねて表示することは、撮像部によりリアルタイムに取り込まれる部品の画像に部品認識データに基づく画像を重ねて表示することを含む。このように構成すれば、部品認識データを作成するために用いた画像とは別の画像で、かつ、リアルタイムに取り込まれる画像に対して、作成した部品認識が適切であるか否かを作業者が判断することができる。
【0017】
上記第1の局面による部品認識データ作成方法において、好ましくは、作成した部品認識データをデータベースに反映する。このように構成すれば、作成した部品認識データをデータベースを介して複数の部品実装装置により容易に使用することができる。また、データベースの部品認識データを充実させて、データベースの利用範囲を広げることができる。
【0018】
この場合、好ましくは、作成した部品認識データをデータベースに反映することは、部品実装装置において作成した部品認識データを使用する際に、部品実装装置における撮像時の照明条件を調整する指示を、部品認識データに付与して、データベースに反映することを含む。このように構成すれば、作成した部品認識データを部品実装装置により初めて使用する場合に、部品実装装置における撮像時の照明条件を調整し忘れることを抑制することができるので、照明条件を調整しないことに起因する部品の誤認識の発生を抑制することができる。
【0019】
上記第1の局面による部品認識データ作成方法において、好ましくは、携帯端末の撮像部により部品を撮像して部品認識データを作成する際に、携帯端末に設けられた表示部に操作内容を表示する。このように構成すれば、部品認識データを作成する作業者が操作を迷うことなく行うことができるので、部品認識データを作成する際の作業者の作業効率を向上することができる。
【0020】
この発明の第2の局面による部品認識データ作成プログラムは、携帯端末に設けられた撮像部により部品を撮像させ、撮像された部品の画像に基づいて、基板に部品を実装する部品実装装置において部品を認識するための部品認識データを作成することを、携帯端末に実行させる。
【0021】
この発明の第2の局面による部品認識データ作成プログラムでは、上記のよう構成することにより、携帯端末により部品認識データを作成することができるので、部品実装ライン外において部品実装作業とは別個に部品認識データを作成することができる。これにより、部品実装装置において部品を実装しながら、部品認識データを作成する場合と異なり、部品実装作業の効率を低下させることなく、部品実装作業とは別に独立して、かつ、並行して部品認識データを作成することができる。その結果、部品実装作業を効率よく行いながら部品認識データを作成することが可能な部品認識データ作成プログラムを提供することができる。また、部品認識データを作成するために部品実装ライン外に別途部品実装装置を設ける場合と異なり、簡易な構成かつ小型の携帯端末により部品認識データを作成することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、上記のように、部品実装作業を効率よく行いながら部品認識データを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態による部品認識データを作成する携帯端末および部品認識データを使用する部品実装装置を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態による部品実装装置の全体構成を示す模式的な平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による携帯端末による部品の撮像を説明するための図である。
【
図4】本発明の一実施形態による部品認識データを作成する部品の第1例を示した図である。
【
図5】本発明の一実施形態による部品認識データを作成する部品の第2例を示した図である。
【
図6】本発明の一実施形態による部品認識データ作成処理を説明するための第1フローチャートである。
【
図7】本発明の一実施形態による部品認識データ作成処理を説明するための第2フローチャートである。
【
図8】本発明の一実施形態による部品認識データ作成処理を説明するための第3フローチャートである。
【
図9】本発明の一実施形態による部品認識データ作成処理の際の携帯端末の第1表示例を示した図である。
【
図10】本発明の一実施形態による部品認識データ作成処理の際の携帯端末の第2表示例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1および
図2を参照して、本発明の一実施形態による部品認識データ作成処理を行う携帯端末200および部品認識データを使用して基板Sに部品31を実装する部品実装装置100の構成について説明する。
【0026】
(携帯端末の構成)
図1に示すように、携帯端末200は、基板Sに部品31を実装する部品実装装置100において部品31を認識するための部品認識データを作成する。携帯端末200は、制御部210と、タッチパネル220と、撮像部230と、角度検出センサ240と、通信部250とを備えている。
【0027】
携帯端末200は、スマートフォンやタブレット端末などの携帯可能なデバイスである。つまり、携帯端末200は、部品実装装置100に対して作業を行う作業者が携帯することが可能に構成されている。
【0028】
制御部210は、CPU(Central Processing Unit)211とメモリ212とを含んでいる。制御部210は、携帯端末200の各部を制御するように構成されている。メモリ212には、プログラム213が格納されている。CPU211は、プログラム213に基づいて、後述する部品認識データを作成する。つまり、プログラム213は、部品認識データ作成プログラムを含んでいる。
【0029】
タッチパネル220は、表示部221と、操作部222とを含んでいる。表示部221は、液晶パネルおよびバックライト、または、有機エレクトロルミネッセンスパネルを含み、情報や画像を表示するように構成されている。操作部222は、静電容量タッチセンサシートを含み、指やペンなどのタッチ入力による操作を受け付けるように構成されている。
【0030】
撮像部230は、静止画および動画を撮像可能に構成されている。また、撮像部230は、リアルタイムに画像を取り込むことが可能に構成されている。つまり、撮像部230により画像を取り込み、保存されることなく、表示部221に取り込んだ画像がリアルタイムに表示される。撮像部230は、撮像素子およびレンズなどの光学系を含んでいる。
【0031】
角度検出センサ240は、携帯端末200の水平面に対する角度を検出するように構成されている。たとえば、角度検出センサ240は、携帯端末200が縦向きに立てられているのか、横向きに立てられているのか、水平に寝かされているのか、などの携帯端末200の角度を検出するように構成されている。また、角度検出センサ240は、携帯端末200の水平面に対して何度(たとえば、1度刻みの角度)傾いているのかを検出するように構成されている。
【0032】
通信部250は、ネットワークを介して外部の機器と通信可能に構成されている。つまり、通信部250は、携帯端末200から情報を送信可能に構成されている。また、通信部250は、携帯端末200に情報を受信可能に構成されている。通信部250は、データベース300および部品実装装置100と通信可能に構成されている。
【0033】
(部品実装装置の構成)
図2に示すように、部品実装装置100は、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの部品31(電子部品)を、基板Sに実装するように構成されている。また、部品実装装置100は、一対のコンベア2により基板SをX方向に搬送し、実装作業位置Mにおいて基板Sに部品31を実装するように構成されている。
【0034】
部品実装装置100は、基台1と、一対のコンベア2と、部品供給部3と、ヘッドユニット4と、移動機構5と、移動機構6と、部品認識撮像部7と、制御部8とを備えている。
【0035】
一対のコンベア2は、基台1上に設置され、基板SをX方向に搬送するように構成されている。また、一対のコンベア2には、搬送中の基板Sを実装作業位置Mで停止させた状態で保持する保持機構が設けられている。また、一対のコンベア2は、基板Sの寸法に合わせてY方向の間隔を調整可能に構成されている。
【0036】
部品供給部3は、一対のコンベア2の外側(Y1側およびY2側)に配置されている。また、部品供給部3には、実装ヘッド42に部品31を供給するテープフィーダ30が配置される。また、部品供給部3には、複数のテープフィーダ30が配置可能に構成されている。また、部品供給部3には、複数の種類のテープフィーダ30を配置可能に構成されている。具体的には、部品供給部3は、Y方向における部品31の吸着位置が異なる種類のテープフィーダ30を配置することが可能である。
【0037】
ヘッドユニット4は、一対のコンベア2および部品供給部3の上方位置に配置されており、ノズル41が下端に取り付けられた複数(5つ)の実装ヘッド42と、基板認識カメラ43とを含んでいる。
【0038】
実装ヘッド42は、基板Sに部品31を実装するように構成されている。具体的には、実装ヘッド42は、部品供給部3に配置されたテープフィーダ30から供給される部品31を吸着して、実装作業位置Mに配置された基板Sに対して吸着した部品31を装着するように構成されている。また、実装ヘッド42は、昇降可能(Z方向に移動可能)に構成されている。また、実装ヘッド42は、負圧発生機(図示せず)によりノズル41の先端部に発生された負圧によって、テープフィーダ30から供給される部品31を吸着して保持し、基板Sにおける実装位置に部品31を装着(実装)するように構成されている。
【0039】
基板認識カメラ43は、基板Sの位置および姿勢を認識するために、基板SのフィデューシャルマークFを撮像するように構成されている。そして、フィデューシャルマークFの位置を撮像して認識することにより、基板Sにおける部品31の実装位置を正確に取得することが可能である。
【0040】
移動機構5は、モータ51を含んでいる。移動機構5は、モータ51を駆動させることにより、移動機構5に沿ってヘッドユニット4をX方向に移動させるように構成されている。移動機構5は、両端部が移動機構6により支持されている。
【0041】
移動機構6は、基台1上に固定されている。X1側の移動機構6は、モータ61を含んでいる。移動機構6は、モータ61を駆動させることにより、移動機構5を移動機構6に沿ってX方向と直交するY方向に移動させるように構成されている。ヘッドユニット4が移動機構5に沿ってX方向に移動可能であるとともに、移動機構5が移動機構6に沿ってY方向に移動可能であることによって、ヘッドユニット4は水平方向(XY方向)に移動可能である。つまり、移動機構5および6は、実装ヘッド42を水平方向に移動させるように構成されている。
【0042】
部品認識撮像部7は、基台1の上面上に固定されている。部品認識撮像部7は、一対のコンベア2の外側(Y1側およびY2側)に配置されている。部品認識撮像部7は、部品31の実装に先立って部品31の吸着状態(吸着姿勢)を認識するために、実装ヘッド42のノズル41に吸着された部品31を下側(Z2側)から撮像するように構成されている。これにより、実装ヘッド42のノズル41に吸着された部品31の吸着状態を制御部8により取得することが可能である。また、部品認識撮像部7は、部品31を撮像する際に、照明を点灯させて部品31を撮像するように構成されている。部品認識撮像部7は、ノズル41に吸着された部品31に対して一定の距離を隔てた位置から部品31を撮像するように構成されている。つまり、部品認識撮像部7による部品31の撮像距離は、一定であるため、撮像した画像中の部品31の大きさから部品31の各部の大きさを算出することが可能である。つまり、画像中の部品31大きさに対する実物の部品31の大きさの比(スケール値)は、一定である。
【0043】
制御部8は、CPU(Central Processing Unit)、メモリを含んでおり、一対のコンベア2による基板Sの搬送動作、ヘッドユニット4による実装動作、部品認識撮像部7および基板認識カメラ43による撮像動作などの部品実装装置100の全体の動作を制御するように構成されている。また、制御部8は、部品認識撮像部7により撮像した部品31の画像と、部品認識データとに基づいて、部品31の位置(ノズル41に対する吸着位置)、姿勢(ノズル41に対する吸着姿勢)、リードやボールなどの電極の位置を認識するように構成されている。制御部8は、部品実装ラインを制御する制御装置、データベース300または携帯端末200から、部品認識データを取得可能に構成されている。また、制御部8は、部品31の吸着状態の認識結果に基づいて、部品31の回転姿勢および実装時の部品実装位置(XY座標位置)を補正するように構成されている。
【0044】
(部品認識データ作成方法)
図3~
図10を参照して、本発明の一実施形態による部品認識データ作成方法について説明する。
【0045】
部品認識データ作成方法は、部品認識データ作成プログラム(プログラム213)を携帯端末200により実行することにより行われる。また、部品認識データ作成方法は、携帯端末200に設けられた撮像部230により部品31を撮像し、撮像した部品31の画像に基づいて、基板Sに部品31を実装する部品実装装置100において部品31を認識するための部品認識データを携帯端末200により作成する。
【0046】
また、
図3に示すように、携帯端末200の撮像部230により部品31を撮像することは、所定のパターンが記された校正板400に部品31を載置して部品31を撮像することを含んでいる。また、部品認識データを作成することは、撮像した校正板400を含む部品31の画像に基づいて、部品認識データを作成することを含んでいる。校正板400の所定のパターンは、たとえば、
図3に示すように、一定の間隔で白の正方形と黒の正方形とが互い違いに配置されたチェック柄のパターンを含む。校正板400のチェックの正方形の大きさは、既知であり、携帯端末200は、撮像した画像において、部品31の大きさと比較することにより、部品31の大きさを取得することが可能である。また、撮像した画像において、校正板400のパターンの歪みを取得することにより、携帯端末200は、部品31の画像における歪みを取得することが可能である。
【0047】
携帯端末200の撮像部230により撮像した部品31の画像に基づいて、部品31の種類または形状を推定できるか否かを判断する。部品31の種類または形状を推定できれば、推定した部品31の種類または形状に基づいて部品認識データを作成する。一方、部品31の種類または形状を推定できなければ、再度撮像するよう指示を行う。
【0048】
携帯端末200の撮像部230により部品31を撮像することは、部品31の種類または形状を取得するために必要な撮像する部品31の面および部品31の撮像方向の少なくとも一方を指示する携帯端末200による撮像指示に基づいて、部品31を撮像することを含んでいる。たとえば、
図5に示すようなリードを有する部品31の場合、携帯端末200は、部品31の吸着面(上面)を撮像するよう撮像指示を行う。これにより、校正板400のパターンとリードとが同一の高さに位置し、計測誤差を抑制することが可能である。また、部品31の高さ(厚み)を取得する必要がある場合、携帯端末200は、部品31の側面方向から撮像するよう撮像指示を行う。
【0049】
部品認識データは、電極の数情報、電極のサイズ情報、電極のピッチ情報、電極の位置情報、部品31の外形寸法情報のうち少なくとも1つを含む。たとえば、
図4に示すように、部品認識データは、外形寸法L1、外形寸法L2、部品高さL3を含む部品31の外形寸法情報と、反射リード長L4を含む電極のサイズ情報を含む。また、
図5に示すように、部品認識データは、外形寸法L11、外形寸法L12、部品高さL13を含む部品31の外形寸法情報と、リード本数情報と、リードピッチL14を含む電極のピッチ情報と、リード幅L15、反射リード長L16を含む電極のサイズ情報を含む。また、電極の位置情報は、リード部品のリードの位置情報、電極ボールを有するボールグリッドアレイなどの部品の電極ボールの位置情報を含む。また、携帯端末200の撮像部230により部品31を撮像することは、部品31の種類に応じて部品認識データを取得するために必要な撮像する部品31の面および部品31の撮像方向の少なくとも一方を指示する携帯端末200による撮像指示に基づいて、部品31を撮像することを含む。
【0050】
部品認識データを作成することは、撮像した部品31の画像に基づいて、部品31の種類または形状を含む情報をデータベース300で検索して、データベース300の検索結果に基づいて部品認識データを作成することを含む。つまり、部品認識データが蓄積されたデータベース300にアクセスして、合致または類似する部品認識データをピックアップして、部品認識データを作成する。データベース300を検索(照合)するタイミングとして、携帯端末200により部品認識データを作成した時点でもよい。この場合、ピックアップした類似部品の部品認識データの一覧を表示し、作業者による選択を受け付ける。作業者により部品認識データが選択されると、選択された部品認識データが撮像部230によりリアルタイムに取り込まれた画像にオーバーレイ表示(重ねて表示)される。また、データベース300を検索(照合)するタイミングとして、部品認識データが部品実装装置100または部品実装ラインを制御する制御装置が受信した時点でもよい。この場合、スペック比較表のように、各寸法値、外形の線画が一覧表示される。
【0051】
また、撮像した部品31の表面に付された、名称、品番記号などの情報に基づいて、データベース300を検索(照合)して、データベース300から該当または類似する部品31の部品認識データを取得してもよい。
【0052】
携帯端末200の撮像部230により部品31を撮像することは、データベース300に該当する部品31の種類または形状を含む情報がない場合に、携帯端末200の撮像部230により部品31を再度撮像することを含む。また、部品認識データを作成することは、再度撮像した部品31の画像に基づいて、部品認識データを作成することを含む。
【0053】
また、作成した部品認識データに基づく画像を、携帯端末200に設けられた表示部221に表示される部品31の画像に重ねて表示する。具体的には、部品認識データに基づく画像を表示部221の部品31の画像に重ねて表示することは、撮像部230によりリアルタイムに取り込まれる部品31の画像に部品認識データに基づく画像を重ねて表示することを含む。たとえば、部品認識データに基づく、部品31の輪郭線、電極の位置などの画像を、撮像部230から取り込まれる画像にオーバーレイして表示部221に表示する。この際、部品認識データに基づく、部品31の輪郭線、電極の位置などの画像は、撮像部230から取り込まれる部品31のサイズ、撮像方向に合わせて調整される。部品31のサイズは、校正板400のパターンに基づいて拡大縮小されて調整される。部品31の撮像方向は、校正板40の歪みや、角度検出センサ240の検出結果に基づいて調整される。
【0054】
また、作成した部品認識データをデータベース300に反映する。具体的には、携帯端末200は、部品認識データを作成すると、通信部250を介して、作成した部品認識データをデータベース300に送信する。データベース300は、受信した部品認識データを反映して蓄積する。作成した部品認識データをデータベース300に反映することは、部品実装装置100において作成した部品認識データを使用する際に、部品実装装置100における撮像時の照明条件を調整する指示を、部品認識データに付与して、データベースに反映することを含む。つまり、部品認識データを作成する際の部品31の撮像条件(照明条件)と、実際に部品実装装置100により部品31を認識するために部品31を撮像する撮像条件(照明条件)とは、異なるため、最初に部品実装装置100により部品31を撮像する際に、部品31を認識しやすいように照明条件をチューニング(調整)する必要がある。この携帯端末200により作成された部品認識データを最初に使用する際には、照明条件を調整するよう部品実装装置100に指示が行われる。なお、照明条件の調整は、作業者により行ってもよいし、部品実装装置100により自動で行ってもよい。
【0055】
携帯端末200の撮像部230により部品31を撮像して部品認識データを作成する際に、携帯端末200に設けられた表示部221に操作内容を表示する。
図9および
図10に示すように、作業のナビゲーションを表示部221に表示する。この場合、現在の作業内容情報、作業の進捗状態を示す情報、撮像方向を示す情報などが表示部221に表示される。また、撮像時の撮像部230(携帯端末200)の傾きに応じて、上下左右に移動するガイドが表示部221に表示される。
【0056】
(部品認識データ作成処理)
図6~
図8を参照して、携帯端末200の制御部210による部品認識データ作成処理について説明する。
【0057】
図6を参照して、部品認識データ作成処理の第1例について説明する。
図6のステップS1において、携帯端末200の撮像部230により部品31の吸着面(上面)が撮像される。ステップS2において、部品31の吸着面の情報が認識される。たとえば、制御部210は、OCR認識により、部品31の部品名を認識する。
【0058】
ステップS3において、部品31の情報に基づいてデータベースが検索される。データベース検索では、部品名が同一のデータが検索される。ステップS4において、部品名が完全同一のデータがデータベースにあるか否かが判断される。完全同一のデータがあれば、ステップS16に進み、完全同一のデータがなければ、ステップS5に進む。
【0059】
ステップS5において、部品種別およびリード配置状況が取得される。具体的には、部品31の吸着面を撮像した画像に基づいて、部品の種別およびリードの配置状況が算出される。ステップS6において、部品31の種別およびリードの配置状況の情報に基づいてデータベースが検索される。データベース検索では、部品種別およびリードの配置状況が同一のデータが検索される。ステップS7において、同一形状(部品種別およびリードの配置状況)のデータがデータベースにあるか否かが判断される。同一形状のデータがあれば、ステップS8に進み、同一形状のデータがなければ、ステップS10に進む。
【0060】
ステップS8において、同一形状のデータが複数あるか否かが判断される。同一形状のデータが複数あれば、ステップS9に進み、同一形状のデータが複数なければ(1つしかなければ)、ステップS16に進む。ステップS9において、複数の同一形状のデータのうち1つのデータの選択を受け付ける。この場合、作業者は、検索された複数の同一形状のデータから1つのデータを選択する。その後、ステップS16に進む。
【0061】
ステップS10において、ボール部品(ボールグリッドアレイ)またはコイル部品であるか否かが判断される。ボール部品またはコイル部品であれば、ステップS11に進み、ボール部品およびコイル部品でなければ、ステップS13に進む。
【0062】
ステップS11において、校正板400上に実装面(下面)を上方に向けて載置された部品31(部品31の実装面(下面)が携帯端末200の撮像部230に対するように校正板400に載置された部品31)が、携帯端末200の撮像部230により撮像される。ボール部品やコイル部品は、実装面を撮像することにより電極を取得することが可能であるため、実装面が撮像される。ステップS12において、部品種別をボール部品およびコイル部品に指定して形状が計測される。なお、形状計測処理は、部品実装装置100において行われる処理(機能)と同様の処理により行われる。その後、ステップS15に進む。
【0063】
ステップS13において、校正板400上に吸着面(上面)を向けて載置された部品31が、携帯端末200の撮像部230により撮像される。チップ部品やIC部品は、吸着面を撮像することにより電極を取得することが可能であるため、吸着面が撮像される。ステップS14において、部品種別を指定しないで形状が計測される。なお、形状計測処理は、部品実装装置100において行われる処理(機能)と同様の処理により行われる。その後、ステップS15に進む。
【0064】
ステップS15において、計測が成功したか否かが判断される。計測が成功すれば、ステップS16に進み、計測が成功しなければ、部品認識データ作成処理が終了される。なお、計測が成功するまで、ステップS11~S15の処理を繰り返し行ってもよい。
【0065】
ステップS16において、部品画像に部品認識データ外形が重ねられて表示部221に表示される。つまり、リアルタイムの部品31の画像に、作成された部品認識データの部品外形の画像がオーバーレイされて表示される。ステップS17において、作成した部品認識データが、部品実装装置100、部品実装ラインを制御する制御装置、データベース300に送信される。その後、部品認識データ作成処理が終了される。
【0066】
図7を参照して、
図6の部品認識データ作成処理のステップS10~S17に対応する第2例の処理について説明する。第2例の処理では、部品31の吸着面(上面)が撮像される。
【0067】
図7のステップS21において、部品種別を選択可能か否かが判断される。選択可能であれば、ステップS22に進み、選択可能でなければ、ステップS23に進む。ステップS22において、部品種別の入力を受け付ける。この場合、作業者は、作成する部品認識データの部品種別を選択する。ステップS23において、部品種別の入力をなしとする。つまり、部品種別を未設定とする。なお、部品の種別は、チップ部品、IC部品、SOP部品、QFP部品、BGA部品、コネクタ部品、コイル部品などの種別を含む。
【0068】
ステップS24において、校正板400上に吸着面(上面)を向けて載置された部品31が、携帯端末200の撮像部230により撮像される。ステップS25において、撮像状態が適切か否かが判断される。撮像状態が適切であれば、ステップS27に進み、撮像状態が適切でなければ、ステップS26に進む。
【0069】
ステップS26において、撮像部230と撮像対象(部品31)との撮像位置の修正および撮り直し指示を行う。具体的には、表示部221に撮像位置を修正して、取り直すメッセージを表示する。その後、ステップS24に戻る。
【0070】
ステップS27において、角度検出センサ240からの撮像角度を取得する。ステップS28において、画像端の校正板400のパターンを認識する。また、撮像角度を考慮して、画像の歪み補正およびスケール値を算出する。
【0071】
ステップS29において、部品種別の設定があるか否かが判断される。つまり、ステップS22またはS23において、部品種別が設定されたか否かが判断される。部品種別が設定されていれば、ステップS30に進み、部品種別が設定されていなければ、ステップS31に進む。ステップS30において、設定された種別を指定して部品31の形状が計測される。
【0072】
ステップS31において、種別を指定せずに部品31の形状が計測される。ステップS32において、作成した部品認識データが、部品実装装置100、部品実装ラインを制御する制御装置、データベース300に送信される。その後、部品認識データ作成処理が終了される。
【0073】
図8を参照して、
図6の部品認識データ作成処理のステップS10~S17に対応する第3例の処理について説明する。第3例の処理では、部品31の吸着面(上面)および側面が撮像される。
【0074】
図8のステップS41において、部品種別を選択可能か否かが判断される。選択可能であれば、ステップS42に進み、選択可能でなければ、ステップS43に進む。ステップS42において、部品種別の入力を受け付ける。この場合、作業者は、作成する部品認識データの部品種別を選択する。ステップS43において、部品種別の入力をなしとする。つまり、部品種別を未設定とする。なお、部品の種別は、チップ部品、IC部品、SOP部品、QFP部品、BGA部品、コネクタ部品、コイル部品などの種別を含む。
【0075】
ステップS44において、校正板400上に吸着面(上面)を向けて載置された部品31が、携帯端末200の撮像部230により撮像される。ステップS45において、角度検出センサ240からの撮像角度を取得する。ステップS46において、画像端の校正板400のパターンを認識する。また、撮像角度を考慮して、画像の歪み補正およびスケール値を算出する。
【0076】
ステップS47において、部品種別の設定があるか否かが判断される。つまり、ステップS42またはS43において、部品種別が設定されたか否かが判断される。部品種別が設定されていれば、ステップS48に進み、部品種別が設定されていなければ、ステップS49に進む。ステップS48において、設定された種別を指定して部品の形状が計測される。ステップS49において、種別を指定せずに部品31の形状が計測される。
【0077】
ステップS50において、別の角度から部品31の側面が撮像される。ステップS51において、角度検出センサ240からの撮像角度を取得する。
【0078】
ステップS52において、撮像した画像から部品31の輪郭を認識する。また、認識した部品31の輪郭から部品31の厚み(高さ)を算出する。ステップS53において、作成した部品認識データが、部品実装装置100、部品実装ラインを制御する制御装置、データベース300に送信される。その後、部品認識データ作成処理が終了される。
【0079】
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0080】
本実施形態では、上記のように、携帯端末200に設けられた撮像部230により部品31を撮像し、撮像した部品31の画像に基づいて、基板Sに部品31を実装する部品実装装置100において部品31を認識するための部品認識データを携帯端末200により作成する。これにより、携帯端末200により部品認識データを作成することができるので、部品実装ライン外において部品実装作業とは別個に部品認識データを作成することができる。これにより、部品実装装置100において部品を実装しながら、部品認識データを作成する場合と異なり、部品実装作業の効率を低下させることなく、部品実装作業とは別に独立して、かつ、並行して部品認識データを作成することができる。その結果、部品実装作業を効率よく行いながら部品認識データを作成することができる。また、部品認識データを作成するために部品実装ライン外に別途部品実装装置100を設ける場合と異なり、簡易な構成かつ小型の携帯端末200により部品認識データを作成することができる。
【0081】
また、本実施形態では、上記のように、携帯端末200の撮像部230により部品31を撮像することは、所定のパターンが記された校正板400に部品31を載置して部品31を撮像することを含む。また、部品認識データを作成することは、撮像した校正板400を含む部品31の画像に基づいて、部品認識データを作成することを含む。これにより、校正板400の所定のパターンに基づいて、撮像した画像の部品31の大きさや、撮像による部品31の歪み量を容易に取得することができるので、携帯端末200の撮像部230により撮像した部品31の画像に基づいて、部品認識データを精度よく作成することができる。
【0082】
また、本実施形態では、上記のように、携帯端末200の撮像部230により部品31を撮像することは、部品31の種類または形状を取得するために必要な撮像する部品31の面および部品31の撮像方向の少なくとも一方を指示する携帯端末200による撮像指示に基づいて、部品31を撮像することを含む。これにより、撮像する部品31の面および部品31の撮像方向の少なくとも一方の指示に基づいて、必要な部品31の画像を撮像する作業を作業者が行うことができるので、部品認識データを作成する際の作業者の作業効率を向上することができる。
【0083】
また、本実施形態では、上記のように、部品認識データは、電極の数情報、電極のサイズ情報、電極のピッチ情報、電極の位置情報、部品31の外形寸法情報のうち少なくとも1つを含む。また、携帯端末200の撮像部230により部品31を撮像することは、部品31の種類に応じて部品認識データを取得するために必要な撮像する部品31の面および部品31の撮像方向の少なくとも一方を指示する携帯端末200による撮像指示に基づいて、部品31を撮像することを含む。これにより、撮像する部品31の面および部品31の撮像方向の少なくとも一方の指示に基づいて、電極の数情報、電極のサイズ情報、電極のピッチ情報、電極の位置情報、部品の外形寸法情報のうち必要な部品認識データを取得するための撮像を容易に行うことができる。
【0084】
また、本実施形態では、上記のように、部品認識データを作成することは、撮像した部品31の画像に基づいて、部品31の種類または形状を含む情報をデータベース300で検索して、データベース300の検索結果に基づいて部品認識データを作成することを含む。これにより、データベース300に蓄積された情報に基づいて、該当する部品認識データや類似の部品認識データを抽出することができるので、適切な形状データ、吸着、装着および供給データが設定された部品認識データを利用することができる。これにより、部品認識データを容易に作成することができる。
【0085】
また、本実施形態では、上記のように、携帯端末200の撮像部230により部品31を撮像することは、データベース300に該当する部品31の種類または形状を含む情報がない場合に、携帯端末200の撮像部230により部品31を再度撮像することを含む。また、部品認識データを作成することは、再度撮像した部品31の画像に基づいて、部品認識データを作成することを含む。これにより、データベースに該当する部品31の種類または形状を含む情報がない場合にも、部品認識データの作成に適した画像を、部品31を再度撮像することにより取得することができる。
【0086】
また、本実施形態では、上記のように、作成した部品認識データに基づく画像を、携帯端末200に設けられた表示部221に表示される部品31の画像に重ねて表示する。これにより、作成した部品認識データの精度を作業者が容易に確認することができるので、部品認識データの精度が低下するのを抑制することができる。その結果、部品認識データの誤設定や、部品31の誤認識を抑制することができる。
【0087】
また、本実施形態では、上記のように、部品認識データに基づく画像を表示部221の部品31の画像に重ねて表示することは、撮像部230によりリアルタイムに取り込まれる部品31の画像に部品認識データに基づく画像を重ねて表示することを含む。これにより、部品認識データを作成するために用いた画像とは別の画像で、かつ、リアルタイムに取り込まれる画像に対して、作成した部品認識が適切であるか否かを作業者が判断することができる。
【0088】
また、本実施形態では、上記のように、作成した部品認識データをデータベース300に反映する。これにより、作成した部品認識データをデータベース300を介して複数の部品実装装置100により容易に使用することができる。また、データベース300の部品認識データを充実させて、データベース300の利用範囲を広げることができる。
【0089】
また、本実施形態では、上記のように、作成した部品認識データをデータベース300に反映することは、部品実装装置100において作成した部品認識データを使用する際に、部品実装装置100における撮像時の照明条件を調整する指示を、部品認識データに付与して、データベースに反映することを含む。これにより、作成した部品認識データを部品実装装置100により初めて使用する場合に、部品実装装置100における撮像時の照明条件を調整し忘れることを抑制することができるので、照明条件を調整しないことに起因する部品31の誤認識の発生を抑制することができる。
【0090】
また、本実施形態では、上記のように、携帯端末200の撮像部230により部品31を撮像して部品認識データを作成する際に、携帯端末200に設けられた表示部221に操作内容を表示する。これにより、部品認識データを作成する作業者が操作を迷うことなく行うことができるので、部品認識データを作成する際の作業者の作業効率を向上することができる。
【0091】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0092】
たとえば、上記実施形態では、校正板を用いて携帯端末の撮像部により部品を撮像する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、校正板を用いずに部品を撮像してもよい。この場合、ステレオカメラにより撮像することにより、部品のサイズを精度よく取得してもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、校正板にチェックのパターンが記されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、校正板はチェック以外のパターンが記されていてもよい。たとえば、校正板に所定の間隔に配置された複数のドットパターンが記されていてもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、携帯端末により作成された部品認識データを部品実装装置により使用する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、携帯端末により作成された部品認識データを部品実装装置のみならず他の装置により用いてもよい。たとえば、実装状態を検査する検査装置により部品認識データを用いてもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、部品実装装置の部品供給位置にテープに保持された部品を供給する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品実装装置の部品供給位置にトレイなどに載置された部品を供給してもよい。
【0096】
上記実施形態では、説明の便宜上、制御部の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0097】
31 部品
100 部品実装装置
200 携帯端末
213 プログラム(部品認識データ作成プログラム)
221 表示部
230 撮像部
300 データベース
400 校正板
S 基板