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特許7253493雑音除去を用いる集積型光ジャイロスコープ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-29
(45)【発行日】2023-04-06
(54)【発明の名称】雑音除去を用いる集積型光ジャイロスコープ
(51)【国際特許分類】
   G01C 19/72 20060101AFI20230330BHJP
【FI】
G01C19/72 A
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2019545935
(86)(22)【出願日】2018-05-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-30
(86)【国際出願番号】 US2018035207
(87)【国際公開番号】W WO2018222768
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】62/512,619
(32)【優先日】2017-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508032284
【氏名又は名称】カリフォルニア インスティチュート オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100205833
【弁理士】
【氏名又は名称】宮谷 昂佑
(72)【発明者】
【氏名】セイエド アリ ハジミリ
(72)【発明者】
【氏名】パーラム ポルサンデ ヒヤール
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-037060(JP,A)
【文献】特開昭62-047516(JP,A)
【文献】特表2008-544395(JP,A)
【文献】特開平04-225114(JP,A)
【文献】特開平04-178520(JP,A)
【文献】特開昭60-085312(JP,A)
【文献】特開2008-020435(JP,A)
【文献】特開平03-142317(JP,A)
【文献】特開平07-270168(JP,A)
【文献】米国特許第04658401(US,A)
【文献】米国特許第05969816(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 19/00-19/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ジャイロスコープであって、
レーザビームを周期の前半に第1経路へ送り前記周期の後半に第2経路へ送るよう適合された光スイッチと、
前記周期の前記前半に前記第1経路から受け取った前記ビームの第1部分を時計方向に送るよう構成され、さらに前記周期の前記後半に前記第2経路から受け取った前記ビームの第1部分を時計方向に送るよう構成された第1光リングと、
前記周期の前記前半に前記第1経路から受け取った前記ビームの第2部分を時計方向に送るよう構成され、さらに前記周期の前記後半に前記第2経路から受け取ったビームの第2部分を時計方向に送るよう構成された第2光リングと、
前記周期の前記前半に前記第1及び第2光リングにより送られた前記ビームを受光するよう適合された第1光検出器と、
前記周期の前記後半に前記第1及び第2光リングにより送られた前記ビームを受光するよう適合された第2光検出器とを備えた光ジャイロスコープ。
【請求項2】
請求項1に記載の光ジャイロスコープにおいて、
前記第1光検出器の出力信号を第1増幅値だけ増幅するよう適合された第1トランスインピーダンス増幅器と、
前記第2光検出器の出力信号を第2増幅値だけ増幅するよう適合された第2トランスインピーダンス増幅器とをさらに備えた光ジャイロスコープ。
【請求項3】
請求項2に記載の光ジャイロスコープにおいて、
前記第1光リングにより受け取られる又は送られた前記ビームを第1所定位相値だけ遅らせるよう適合された第1位相変調器をさらに備えた光ジャイロスコープ。
【請求項4】
請求項3に記載の光ジャイロスコープにおいて、前記第1所定位相値は90°位相値である光ジャイロスコープ。
【請求項5】
請求項3に記載の光ジャイロスコープにおいて、
前記第1及び第2トランスインピーダンス増幅器の合成出力を表す第1信号を生成するよう適合された信号合成器をさらに備えた光ジャイロスコープ。
【請求項6】
請求項5に記載の光ジャイロスコープにおいて、
前記第1信号をフィルタリングするバンドパスフィルタアダプタをさらに備えた光ジャイロスコープ。
【請求項7】
請求項6に記載の光ジャイロスコープにおいて、
フィルタリングされた前記第1信号の周波数をダウンコンバートしてベースバンド信号を生成するよう適合されたミキサをさらに備えた光ジャイロスコープ。
【請求項8】
請求項7に記載の光ジャイロスコープにおいて、
前記ベースバンド信号をデジタル信号に変換し且つ
該デジタル信号に応じて軸周りの該光ジャイロスコープの回転度を表す信号を生成するよう適合されたコントローラをさらに備えた光ジャイロスコープ。
【請求項9】
請求項1に記載の光ジャイロスコープにおいて、前記第1及び第2光リングはリング共振器である光ジャイロスコープ。
【請求項10】
請求項9に記載の光ジャイロスコープにおいて、前記リング共振器のそれぞれは、前記リング共振器のそれぞれを同調させるよう適合された1つ又は複数の発熱体を含む光ジャイロスコープ。
【請求項11】
請求項9に記載の光ジャイロスコープにおいて、前記1つ又は複数の発熱体は、前記第1及び第2リング共振器と一体化した抵抗発熱体である光ジャイロスコープ。
【請求項12】
請求項5に記載の光ジャイロスコープにおいて、前記信号合成器は、前記第1及び第2トランスインピーダンス増幅器の出力信号を加算するよう適合される光ジャイロスコープ。
【請求項13】
請求項1に記載の光ジャイロスコープにおいて、前記光スイッチはマッハツェンダー干渉計を含む光ジャイロスコープ。
【請求項14】
請求項3に記載の光ジャイロスコープにおいて、
前記第2光リングにより受け取られる又は送られた信号を第2所定位相値だけ遅らせるよう適合された第2位相変調器をさらに備えた光ジャイロスコープ。
【請求項15】
請求項14に記載の光ジャイロスコープにおいて、前記第2所定位相値は90°位相値である光ジャイロスコープ。
【請求項16】
軸周りの方位角を求める方法であって、
レーザビームを周期の前半に第1経路へ送り周期の後半に第2経路へ送るステップと、
前記周期の前記前半に前記第1経路から受け取った前記ビームの第1部分を第1光リングへ時計方向に送るステップと、
前記周期の前記後半に前記第2経路から受け取った前記ビームの第1部分を前記第1光リングへ時計方向に送るステップと、
前記周期の前記前半に前記第1経路から受け取った前記ビームの第2部分を第2光リングへ時計方向に送るステップと、
前記周期の前記後半に前記第2経路から受け取った前記ビームの第2部分を前記第2光リングへ時計方向に送るステップと、
前記周期の前記前半に前記第1及び第2光リングにより送られた前記ビームを検出して第1信号を生成するステップと、
前記周期の前記後半に前記第1及び第2光リングにより送られた前記ビームを検出して第2信号を生成するステップとを含む方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、
前記第1信号を第1増幅値だけ増幅して第1増幅信号を生成するステップと、
前記第2信号を第2増幅値だけ増幅して第2増幅信号を生成するステップとをさらに含む方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、
前記第1光リングにより受け取られる又は送られたビームを第1所定位相値だけ遅らせるステップをさらに含む方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、前記第1所定位相値は90°位相値である方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法において、
前記第1及び第2増幅信号を合成して合成信号を生成するステップをさらに含む方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法において、
前記合成信号をフィルタリングしてフィルタ処理信号を生成するステップをさらに含む方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法において、
前記フィルタ処理信号の周波数をダウンコンバートしてベースバンド信号を生成するステップをさらに含む方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、
前記ベースバンド信号をデジタル信号に変換するステップと、
前記デジタル信号に応じて軸周りの光ジャイロスコープの回転度を表す値を生成するステップとをさらに含む方法。
【請求項24】
請求項16に記載の方法において、前記第1及び第2光リングはリング共振器である方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法において、前記第1光リングは第1リング共振器で、前記第2光リングは第2リング共振器で、
加熱により前記第1及び第2リング共振器を同調させるステップをさらに含む方法。
【請求項26】
請求項20に記載の方法において、前記第1及び第2増幅信号を合成するステップは、前記第1及び第2増幅信号を加算するステップを含む方法。
【請求項27】
請求項18に記載の方法において、
前記第2光リングにより受け取られる又は送られたビームを第2所定位相値だけ遅らせるステップをさらに含む方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法において、前記第2所定位値は90°位相値である方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、米国特許法第119条(e)項の下で、2017年5月30日に出願された出願番号第62/512,619号の優先権を主張し、その内容の全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、ジャイロスコープに関し、より詳細には光ジャイロスコープに関する。
【背景技術】
【0003】
ジャイロスコープは、スマートフォン、自動車、航空機等の各種デバイスでナビゲーションに用いられる。既知のように、ジャイロスコープの精度とそのサイズとの間にはトレードオフがある。例えば、比較的高精度のリングレーザジャイロスコープ又は光フィアバジャイロスコープは、高価で大型である。微小電気機械システム(MEMS)ベースのジャイロスコープは、比較的小型だが精度に欠ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のベンチトップ型のレーザベースジャイロスコープは、(サニャック効果による)小さな位相シフトを検出するため及び雑音を最小化するために高精度アライメント、清浄媒体、及び高品質レーザ源を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態による光ジャイロスコープは、レーザビームを周期の前半に第1経路へ送り周期の後半に第2経路へ送るよう適合された光スイッチと、周期の前半に第1経路から受け取ったビームの第1部分を時計方向に送るよう構成され、さらに周期の後半に第2経路から受け取ったビームの第1部分を反時計方向に送るよう構成された第1光リングと、周期の前半に第1経路から受け取ったビームの第2部分を反時計方向に送るよう構成され、さらに周期の後半に第2経路から受け取ったビームの第2部分を時計方向に送るよう構成された第2光リングと、周期の前半に第1及び第2光リングにより送られたビームを受光するよう適合された第1光検出器と、周期の後半に第1及び第2光リングにより送られたビームを受光するよう適合された第2光検出器とを一部に含む。
【0006】
本発明の一実施形態による光ジャイロスコープはさらに、第1光検出器の出力信号を第1増幅値だけ増幅するよう適合された第1トランスインピーダンス増幅器(trans-impedance amplifier:トランスインピーダンスアンプ)と、第2光検出器の出力信号を第2増幅値だけ増幅するよう適合された第2トランスインピーダンス増幅器とを一部に含む。本発明の一実施形態による光ジャイロスコープはさらに、第1光リングにより受け取られる又は送られたビームを第1所定位相値だけ遅らせるよう適合された第1位相変調器を一部に含む。一実施形態では、第1所定位相値は90°位相値である。
【0007】
いくつかの実施形態では、光ジャイロスコープはさらに、第1及び第2トランスインピーダンス増幅器の合成出力を表す第1信号を生成するよう適合された信号合成器を一部に含む。いくつかの実施形態では、光ジャイロスコープはさらに、第1信号をフィルタリングするバンドパスフィルタアダプタを一部に含む。いくつかの実施形態では、光ジャイロスコープはさらに、フィルタリングされた第1信号の周波数をダウンコンバートしてベースバンド信号を生成するよう適合されたミキサを一部に含む。いくつかの実施形態では、光ジャイロスコープはさらに、ベースバンド信号をデジタル信号に変換し且つデジタル信号に応じて軸周りの光ジャイロスコープの回転度を表す信号を生成するよう適合されたコントローラを一部に含む。
【0008】
一実施形態では、第1及び第2光リングはリング共振器である。一実施形態では、第1及び第2リング共振器のそれぞれはさらに、共振器を同調させるよう適合された1つ又は複数の発熱体を一部に含む。一実施形態では、発熱体は、第1及び第2リング共振器と一体化した抵抗発熱体である。一実施形態では、信号合成器は、第1及び第2トランスインピーダンス増幅器の出力信号を加算するよう適合される。一実施形態では、光スイッチはマッハツェンダー干渉計を含む。
【0009】
一実施形態では、光ジャイロスコープはさらに、第2光リングにより受け取られる又は送られた信号を第2所定位相値だけ遅らせるよう適合された第2位相変調器を一部に含む。一実施形態では、第2所定位相値は90°位相値である。
【0010】
本発明の一実施形態による軸周りの方位角を求める方法は、レーザビームを周期の前半に第1経路へ送り周期の後半に第2経路へ送るステップと、周期の前半に第1経路から受け取ったビームの第1部分を第1光リングへ時計方向に送るステップと、周期の後半に第2経路から受け取ったビームの第1部分を第1光リングへ反時計方向に送るステップと、周期の前半に第1経路から受け取ったビームの第2部分を第2光リングへ反時計方向に送るステップと、周期の後半に第2経路から受け取ったビームの第2部分を第2光リングへ時計方向に送るステップと、周期の前半に第1及び第2光リングにより送られたビームを検出して第1信号を生成するステップと、周期の後半に第1及び第2光リングにより送られたビームを検出して第2信号を生成するステップとを一部に含む。
【0011】
本発明の一形態による方法はさらに、第1信号を第1増幅値だけ増幅して第1増幅信号を生成するステップと、第2信号を第2増幅値だけ増幅して第2増幅信号を生成するステップとを一部に含む。本発明の一実施形態による方法はさらに、第1光リングにより受け取られる又は送られたビームを第1所定位相値だけ遅らせるステップを一部に含む。一実施形態では、第1所定位相値は90°位相値である。
【0012】
一実施形態では、本方法はさらに、第1及び第2増幅信号を合成して合成信号を生成するステップを一部に含む。一実施形態では、本方法はさらに、合成信号をフィルタリングしてフィルタ処理信号を生成するステップを一部に含む。一実施形態では、本方法はさらに、フィルタ処理信号の周波数をダウンコンバートしてベースバンド信号を生成するステップを一部に含む。一実施形態では、本方法はさらに、ベースバンド信号をデジタル信号に変換するステップと、デジタル信号に応じて軸周りの光ジャイロスコープの回転度を表す値を生成するステップとを一部に含む。
【0013】
一実施形態では、第1及び第2光リングはリング共振器である。一実施形態では、本方法はさらに、加熱により第1及び第2リング共振器を同調させるステップを一部に含む。一実施形態では、第1及び第2増幅信号を合成するステップは、第1及び第2増幅信号を別の信号に加算するステップを含む。一実施形態では、本方法はさらに、第2光リングにより受け取られる又は送られたビームを第2所定位相値だけ遅らせるステップを一部に含む。一実施形態では、第2所定位値は90°位相値である。
【0014】
本発明の一実施形態による光ジャイロスコープは、半導体基板に光導波路を用いて形成された第1及び第2光路と、第1光路を一方向に進み第2光路を第1方向とは逆の第2方向に進む2つの光信号を生成するコヒーレントレーザ源と、第1及び第2光路で送られたビームを受光するよう適合された光検出器とを一部に含む。
【0015】
一実施形態では、光導波路の少なくとも一方は光リングである。一実施形態では、光リングはリング共振器である。一実施形態では、光ジャイロスコープはさらに、光検出器の出力を増幅するよう適合された増幅器を一部に含む。一実施形態では、光検出器は、各周期の前半に第1及び第2光路で送られたビームを受光するよう適合される。一実施形態では、光ジャイロスコープはさらに、各周期の後半に第1及び第2光路で送られたビームを受光するよう適合された第2光検出器を一部に含む。
【0016】
一実施形態では、光ジャイロスコープはさらに、各周期の各前半に第1光検出器の出力を第1信号と合成し且つ各周期の各後半に第2光検出器の出力を第1信号と合成するよう適合された合成器を一部に含む。
【0017】
一実施形態では、光ジャイロスコープはさらに、第1及び第2光検出器の出力間を切り換えるよう構成されたスイッチを一部に含む。一実施形態では、光ジャイロスコープはさらに、リング共振器を加熱するよう適合された加熱器を一部に含む。一実施形態では、光ジャイロスコープはさらに、リング共振器へ送られた又はリング共振器から受け取ったビームの位相を変調するよう適合された位相変調器を一部に含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】従来技術において既知の、静止状態でジャイロスコープに配置された光リングを示す。
図1B】従来技術において示すような、z軸に沿った反時計方向の回転後の図1の光リングを示す。
図2】本発明の一実施形態による、軸に沿ったスピン又は回転量を検出するよう適合された光ジャイロスコープのコンポーネントの簡略ハイレベルブロック図である。
図3】本発明の一実施形態による、軸に沿ったスピン量を検出するよう適合された光ジャイロスコープのコンポーネントの簡略ハイレベルブロック図である。
図4】本発明の一実施形態による、図2又は図3に示す光ジャイロスコープの光検出器の出力を合成するよう適合された回路の簡略概略ブロック図である。
図5】dB単位の利得比を毎分回転数の関数として示すコンピュータシミュレーションである。
図6】本発明の一実施形態による、集積型光ジャイロスコープのハイレベルブロック図である。
図7】相互に近接して作製された2つの異なる光リングのレーザビームの波長の関数としてのdB単位の測定出力電力のプロットを示す。
図8】同じ光リングの波長の関数としてのdB単位の測定出力電力のプロットを示す。
図9A】本発明の一実施形態による、軸に沿ったスピン又は回転量を検出するよう適合された光ジャイロスコープのコンポーネントの簡略ハイレベルブロック図である。
図9B】本発明の一実施形態による、軸に沿ったスピン又は回転量を検出するよう適合された光ジャイロスコープのコンポーネントの簡略ハイレベルブロック図である。
図9C】本発明の一実施形態による、軸に沿ったスピン又は回転量を検出するよう適合された光ジャイロスコープのコンポーネントの簡略ハイレベルブロック図である。
図10】本発明の一実施形態による、軸に沿ったスピン又は回転量を検出するよう適合された光ジャイロスコープのコンポーネントの簡略ハイレベルブロック図である。
図11】本発明の一実施形態による、軸に沿ったスピン又は回転量を検出するよう適合された光ジャイロスコープのコンポーネントの簡略ハイレベルブロック図である。
図12】本発明の一実施形態による、図2及び図3の光ジャイロスコープで用いられる光スイッチの簡略ハイレベルブロック図である。
図13】本発明の一実施形態による、軸に沿ったスピン又は回転量を検出するよう適合された光ジャイロスコープのコンポーネントの簡略ハイレベルブロック図である。
図14】本発明の一実施形態による、軸に沿ったスピン又は回転量を検出するよう適合された光ジャイロスコープのコンポーネントの簡略ハイレベルブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態によれば、集積型光ジャイロスコープは、高精度で向上した耐雑音性を有し、比較的廉価に製造できる。
【0020】
図1Aは、ジャイロスコープの一部であるものとする、z軸(ページ平面に対して垂直)周りでスピン可能であるよう適合された光リング10を示す。2つのレーザビーム15及び20が入口点12から同時にリングに入るとする。さらに、ビーム15を時計方向(CW)に進ませ、ビーム20を反時計方向(CCW)に進ませるとする。ジャイロスコープに加わった力がリング10をz軸周りに回転させない(これによりリング10を静止状態に維持する)場合、図1Aに示すように、入口点12の位置Pは変わらず、したがってビーム15及び20の両方が入口点12に同時に到達する。
【0021】
図1Bに示すように、力が加わることで光リング10がz軸周りでCW方向に回転し、これにより入口点12の位置がPからPに変わるとする。このとき、位置Pに到達するまでに進む距離はビーム20よりもビーム15の方が長い。ビーム20に対してビーム15が進む余分な距離は、次式で定められる時間差Δtをもたらす。
【0022】
【数1】
【0023】
式(1)において、R、ω、及びAはそれぞれ、光リング10の半径、角速度、及び面積を表し、cは光速を表す。時間差Δtの測定により、角速度ω、したがってz軸周りの方位角が求められる。図示されていないが、ジャイロスコープが、x軸、y軸、及びz軸のうち1つの周りを回転するようそれぞれ適合された3つのこのようなリングを有すると理解されたい。
【0024】
従来の光ジャイロスコープには、いくつかの雑音源、例えば(i)導波管又はファイバ内にあり位相シフトを誘起する熱雑音(熱変動)、(ii)製造不整合、(iii)レーザ位相雑音、及び(iv)導波管又はファイバ内のモード変換等がある。本発明の実施形態による光ジャイロスコープは、上記雑音源を最小化する。
【0025】
図2は、本発明の一実施形態による、例えばz軸(ページ平面に対して垂直)周りのスピン又は回転量を検出するよう適合された光ジャイロスコープ100のコンポーネントの簡略ハイレベルブロック図である。図示されていないが、光ジャイロスコープ100が、x軸及びy軸両方の周りの回転量を検出するよう適合された同様のコンポーネントも含むと理解されたい。
【0026】
光リング100の例えばz軸コンポーネントは、光スイッチ125と、第1及び第2光路102、112と、第1及び第2光リング110、120と、第1、第2、第3、第4、第5、及び第6方向性結合器104、106、108、114、116、118と、第1及び第2光検出器130、140とを含むものとして図示されている。
【0027】
レーザ源105により供給されたレーザビームは、周期1/Tで規定されたスイッチング周波数fを有する光スイッチ125へ送られる。各上記周期Tの前半に、光スイッチ125のスイッチ195はレーザビームを第1光路102へ送るような位置190にされレーザビームは続いて光検出器140により検出される。各上記周期の後半に、光スイッチ125はレーザビームを第2光路112へ送るような位置192にされ、レーザビームは続いて光検出器130により検出される。
【0028】
(各周期Tの前半に受け取られた)経路102におけるレーザビームは、方向性結合器106、108により光リング110へ送られ、方向性結合器106、104により光リング120へ送られる。こうして光リング110へ送られたビームは、反時計方向に進み、方向性結合器118及び116を介して光検出器140で受光される。同様に、光リング120におけるビームは、時計方向に進み、方向性結合器114及び116を介して光検出器140で受光される。
【0029】
(各周期Tの後半に受け取られた)経路112におけるレーザビームは、方向性結合器116、118により光リング110へ送られ、方向性結合器116、114により光リング120へ送られる。こうして光リング110へ送られたビームは、反時計方向に進み、方向性結合器108及び106を介して光検出器130で受光される。同様に、光リング120におけるビームは、反時計方向に進み、方向性結合器104及び106を介して光検出器130で受光される。
【0030】
本発明の一態様によれば、コヒーレントレーザビームの方向が経路102及び112間で切り換わると、光検出器130及び140により生成された2つの出力信号のコモンモードは、製造不整合、熱雑音、及び他の不整合源の効果を取り込む。その一方で、光検出器130及び140により生成された2つの出力信号のディファレンシャルモードは、ジャイロスコープのスピンに起因した位相シフトである所望の信号に関する情報を含む。換言すれば、光スイッチ125のスイッチング周波数が比較的高く選択される場合、例えば(kHz範囲の)熱変動及び他の非理想性により誘起された位相シフトがもたらす雑音寄与が相殺される。さらに、本発明の一態様による光ジャイロスコープの各スピン軸は、それぞれがビームを一方向にのみ進ませることができる一対のリングを含むので、本発明の実施形態は、従来のジャイロスコープに共通する導波管(又はファイバ)の非理想的特性に起因したビームの後方反射を抑制する。
【0031】
図3は、本発明の一実施形態による、例えばz軸(ページ平面に対して垂直)周りのスピン又は回転量を検出するよう適合された光ジャイロスコープ200のコンポーネントの簡略ハイレベルブロック図である。図示されていないが、光ジャイロスコープ200が、x軸及びy軸両方の周りの回転量を検出するよう適合された同様のコンポーネントも含むと理解されたい。
【0032】
光ジャイロスコープ200は、光ジャイロスコープ200が位相変調器17と第1及び第2ビームスプリッタ/合成器(Y分岐)160、170とを含むことを除いて、光ジャイロスコープ100と同様である。位相変調器170は、光リング110へ送られる又は光リング110から受け取った光信号に例えば90°の位相シフトを導入するよう適合される。
【0033】
レーザ源105により供給されたレーザビームは、周期1/Tで規定されたスイッチング周波数fを有する光スイッチ125へ送られる。各上記周期Tの前半に、光スイッチ125のスイッチ195はレーザビームを第1光路102へ送るような位置190にされ、レーザビームは続いて光検出器140により受光され検出される。各上記周期の後半に、光スイッチ125はレーザビームを第2光路112へ送るような位置192にされ、レーザビームは続いて光検出器130により受光され検出される。
【0034】
光結合器116を通して経路112から経路142へ供給された光ビームは、Y分岐160で2つの成分に分割される。こうして分割されたビームの第1成分は、位相変調器170を通過した後に光結合器118を介して光リング110に入る。経路142を進むビームの第2成分は、光結合器114を介して光リング120へ送られる。リング110を進むビームは、光結合器108を介して経路156へ送られる。同様に、リング120を進むビームは、光結合器104を介して経路158へ送られる。経路156及び158におけるビームは、Y分岐170により合成され、経路152から結合器106を介してフォトダイオード130により受光される。
【0035】
同様に、光結合器106を通して経路102から経路152へ供給された光ビームは、Y分岐170で2つの成分に分割される。こうして分割されたビームの第1成分は、光結合器108を介して光リング110に入る。経路152を進むビームの第2成分は、光結合器104を介して光リング120へ送られる。リング110を進むビームは、結合器118を介して経路180へ送られ、位相変調器170を通過した後にY分岐160に到達する。リング120を進むビームは、結合器114を介して経路148へ送られた後にY分岐160に到達する。経路146及び148におけるビームは、Y分岐160により合成され、経路142から結合器116を介してフォトダイオード140により受光される。
【0036】
図3を参照して、光リング110及び120が同調リング共振器であるとする。光スイッチ125のスイッチ195がビームを光路102へ送る位置190にされる各周期の前半0<t<T/2に、光検出器140により検出された電力Pout2は次のように定義され得る。
【0037】
【数2】
【0038】
式(2)において、Pout2は光検出器140により検出された光パワーの量を表し、Pinはレーザ源105により供給された電力であり、Kはスイッチ125により経路102へ送られたレーザパワーの割合(理想的には1に等しい)であり、αは光結合器106の結合係数(理想的には0.5に等しい)を表し、αは光結合器116の結合係数を表し、X及びX11はリング共振器110及び120それぞれの減衰係数を表し、E’1はこの半周期にビームがリング110を時計方向に進む際のリング110における電場を表し、Eは非理想的特性に起因したリング110で反時計方向に進むビームの部分に関連するリング110における電場を表し、E’ iiはこの半周期にビームがリング120を時計方向に進む際のリング120における電場を表し、Eiiは非理想的特性に起因したリング120で時計方向に進むビームの部分に関連するリング120における電場を表し、φはこの半周期にリング110から出るビームの位相を表し、φはこの半周期にリング120から出るビームの位相を表し、Δφtherはリングにおける熱変動により起こる位相シフトを表し、S及びSは共振に起因したリング110及び120それぞれの増幅率を表し、δfはレーザビームの位相雑音を表し、Qはリング110、120の合成振幅率を表し、Δφsagはジャイロスコープ200が検出するよう適合されたサニャック効果に起因した位相シフトを表す。
【0039】
上記定義を前提とすると、以下であることが分かる。
【0040】
E2i+E’ ii=1
E’2i+E’2ii=1
【0041】
各周期の前半0<t<T/2に、光検出器130により検出された電力Pout1(非理想的特性に起因する)は次のように定義され得る。
【0042】
【数3】
【0043】
光スイッチ125のスイッチ195がビームを光路112へ送る位置192にされる各周期の後半T/2<t<Tに、光検出器140により検出された電力Pout2は次のように定義され得る。
【0044】
【数4】
【0045】
式(4)において、Kはスイッチ125により経路102へ送られたレーザパワーの割合(理想的には1に等しい)を表す。各周期の後半に、光検出器130により検出された電力Pout1は次のように定義され得る。
【0046】
【数5】
【0047】
及びKの両方が1に等しくなる理想的な条件だとすると、前半周期にPout1が0となり、後半周期にPout2が0となる。したがって、こうした条件下では、前半周期の信号Pout1及び後半周期の信号Pout2は、前半周期及び後半周期の全体で光検出器130及び140が受け取る合成信号に寄与しない。α=α、K=K、X=X等の場合のような理想的な条件だとすると、前半周期の信号Pout2と後半周期の信号Pout2との唯一の相違は、項Δφsagの符号である。したがって、こうした理想的な条件下では、前半周期の信号Pout2と後半周期の信号Pout1との和は、検出対象信号である項Δφsagに比例する。
【0048】
信号Δφsagの検出時の非理想的特性を解決するために、本発明の一態様によれば、光検出器130及び140のそれぞれの出力信号がトランスインピーダンス増幅器の利得により増幅された後に、2つの出力信号が合成される。図4は、利得AV1及びAV2をそれぞれ有すると見なされるトランスインピーダンス増幅器135及び145によりそれぞれ出力が増幅されるフォトダイオード130及び140(図3参照)の簡略概略ブロック図を示す。上述のように、トランスインピーダンス増幅器135及び145の出力を合成器155が受け取り合成して、例えばz軸に沿った回転度を表す信号Outを生成する。一実施形態では、合成器155は、各サイクルの前半周期に回転度を表す信号Δφsagをベース信号に加算し、各サイクルの後半周期に信号Δφsagをベース信号から減算する。
【0049】
したがって、各周期の前半0<t<T/2では信号Outは次のように定義され得る。
【0050】
【数6】
【0051】
同様に、各周期の後半T/2<t<Tでは信号Outは次のように定義され得る。
【0052】
【数7】
【0053】
簡略式(6)及び(7)において、パラメータγ、k、γ、k、γ’1、k’1、γ’2、k’2は、式(2)、(3)、(4)、及び(5)に示される対応のパラメータの複合効果を表すと理解されたい。次式が当てはまる場合、半周期毎に信号Outはパラメータδφsagに直接依存し得る。
【0054】
【数8】
【0055】
導出式(8)において、γ’2>γ及びγ>γ’1、つまりスイッチ195を位置190にするとレーザビームパワーの50%よりも多くが経路102へ送られ、スイッチ195を位置192にするとレーザビームパワーの50%よりも多くが経路112へ送られると考えられる。
【0056】
図5は、Y軸に沿ったAV/AVのdB単位の利得をX軸に沿った毎分回転数(RPM)の関数として示すコンピュータシミュレーションである。図6から分かるように、ジャイロスコープのRPMの低下に伴いΔφsagをより正確に求めるためには、AV/AVの選択精度を高くすべきである。
【0057】
図6は、本発明の別の実施形態による集積型光ジャイロスコープシステム400のハイレベルブロック図である。ジャイロスコープシステム400は、x、y、及びz方向に沿った回転度を検出するよう適合され、集積フォトニクスチップ300を一部に含むものとして図示されている。集積フォトニクスチップ300は、図2及び図3それぞれに示すジャイロスコープ200又は300を含み得る。例えば図2及び図3に示す光検出器130及び140により生成された出力電流信号P及びPは、トランスインピーダンス増幅器135及び145によりそれぞれ増幅される。トランスインピーダンス増幅器135の出力電圧は、信号のDC成分を遮断するよう適合されたバイパスコンデンサ302の通過後に電圧増幅器304によりさらに増幅される。同様に、トランスインピーダンス増幅器145の出力電圧は、バイパスコンデンサ312の通過後に電圧増幅器314によりさらに増幅される。
【0058】
可変抵抗308、318は、増幅器324及び帰還抵抗322と共に、(抵抗308から受けた)電圧V及び(抵抗318から受けた)電圧Vの相対利得を設定して電圧を合計するよう適合される。例えば、帰還抵抗322が20KΩの抵抗を有するよう選択され、抵抗308及び318がそれぞれ1KΩ及び2KΩの抵抗を有するよう選択される場合、増幅器324は20V+10Vで定義される出力電圧を生成する。抵抗308、318、バイパスコンデンサ320、増幅器324、及び抵抗322は、まとめて図4に示す合成器155の例示的な一実施形態を示す。バンドパスフィルタ328は、周波数が選択範囲内にある信号成分をフィルタリングするよう適合される。抵抗326は、増幅器324の出力インピーダンスをバンドパスフィルタ328の入力インピーダンスに整合させるよう適合される。
【0059】
バンドパスフィルタ328の出力信号は、増幅器330によりさらに増幅され、その周波数は、局部発振器(LO)信号329に応じてミキサ332によりベースバンド信号にダウンコンバートされる。ミキサ322の出力は、ローパスフィルタ334によりフィルタリングされる。AD変換器336及びデジタル信号プロセッサ340を含むものとして図示されているマイクロコントローラ350が、ローパスフィルタ334の出力を3軸のいずれかの周りのジャイロスコープの回転度を表す読み出し値Soutに変換する。
【0060】
図7は、相互に近接して作製された2つの異なる光リングのレーザビームの波長の関数としてのdB単位の測定出力電力のプロット710及び720を示す。図7から分かるように、出力電力のピークは、2つの光リングにおいて異なる波長又は周波数で生じ、これは2つの光リングが相互の近くに形成されている場合でもこれらの特性間の不整合があることを示す。
【0061】
図8は、同一の光リングの波長の関数としてのdB単位の測定出力電力のプロット810及び820を示す。プロット810は、ビームをリングの第2ポート(例えば、入力ポート)からリングに入れた場合のリングの第1ポート(例えば、出力ポート)での測定値を示す。プロット820は、ビームをリングの第1ポート(例えば、出力ポート)からリングに入れた場合のリングの第2第1ポート(例えば、入力ポート)での測定値を示す。図8から分かるように、プロット810及び820のピークは、実質的に同じ周波数で生じ、したがって同一のリングでは散乱パラメータS12及びS21が実質的に等しいことを示し、したがって上記仮定の多くを実証する。換言すれば、本発明の実施形態による集積型光ジャイロスコープは、上記に示した構造の相反性という利点からモード変換を克服する。本発明の実施形態による集積型光ジャイロスコープは、熱位相雑音(位相シフト)、リング不整合、及びレーザ位相雑音が方向とは無関係であるという利点がさらにあり、このような効果を相殺する。
【0062】
いくつかの実施形態では、上述のように光リング110及び120は同調されるリング共振器であり得る。リング共振器の同調のために、本発明のいくつかの実施形態は、リングを加熱するよう適合された加熱器を含む。いくつかの実施形態では、加熱器は、リングの内側領域及び/又は外側領域の一部に沿って配置され得る抵抗加熱器を含む。
【0063】
図9Aは、本発明の一実施形態による、例えばz軸に沿ったスピン度を検出するよう適合された光ジャイロスコープ500のコンポーネントの簡略ハイレベルブロック図である。光ジャイロスコープ500は、光ジャイロスコープ500がリング110及び120の周囲且つ内側領域内の複数部分に隣接して位置決めされた抵抗発熱体510を含むことを除いて、図2の光ジャイロスコープ100と同様である。
【0064】
図9Bは、本発明の一実施形態による、例えばz軸に沿ったスピン度を検出するよう適合された光ジャイロスコープ525のコンポーネントの簡略ハイレベルブロック図である。光ジャイロスコープ500は、光ジャイロスコープ500がリング110及び120の周囲且つ外側領域内の複数部分に隣接して位置決めされた抵抗発熱体510を含むことを除いて、図2の光ジャイロスコープ100と同様である。
【0065】
図9Cは、本発明の一実施形態による、例えばz軸に沿ったスピン度を検出するよう適合された光ジャイロスコープ550のコンポーネントの簡略ハイレベルブロック図である。光ジャイロスコープ550は、光ジャイロスコープ550がリング110及び120の上又は下でリングの複数部分に部分的に重なる抵抗加熱器510を含むことを除いて、図2の光ジャイロスコープ100と同様である。図示されていないさらに他の実施形態では、抵抗体は、リングの内側領域及び外側領域内に位置決めすることができ、さらにリングに重なることができる。
【0066】
図10は、本発明の一実施形態による、例えばz軸に沿ったスピン度を検出するよう適合された光ジャイロスコープ600のコンポーネントの簡略ハイレベルブロック図である。光ジャイロスコープ600は、光ジャイロスコープ600がリング120へ送られる又はリング120から受け取った光信号に例えば90°位相シフトを導入するよう適合された第2位相変調器172を含むことを除いて、図3の光ジャイロスコープ300と同様である。
【0067】
図11は、本発明の別の実施形態による光ジャイロスコープ625を示す。光ジャイロスコープ625は、光ジャイロスコープ600が光リング120の代わりに1つの光リング及び導波管127を含むことを除いて、光ジャイロスコープ200と同様である。
【0068】
図12は、例えば図2及び図3に示す光スイッチ125に対応する光スイッチ650の簡略ハイレベルブロック図である。光スイッチ600は、第1及び第2移相器602、604と50/50方向性結合器608とを一部に含むものとして示されているマッハツェンダー干渉計である。
【0069】
図13は、本発明の一実施形態による、(図3及び図6と同様の方法で)例えばz軸に沿ったスピン度を検出するよう適合された制御回路750を伴う光ジャイロスコープ700のコンポーネントの簡略ハイレベルブロック図である。図13に示す実施形態では、光検出器130により生成された信号Pout1が、各周期の前半0<t<T/2にトランスインピーダンス増幅器135へ送られ、光検出器140により生成された信号Pout2が、各周期の後半T/2<t<Tにトランスインピーダンス増幅器145へ送られる。バイパスコンデンサ302が、トランスインピーダンス増幅器135の出力を可変利得増幅器304へ送り、バイパスコンデンサ312が、トランスインピーダンス増幅器145の出力を可変利得増幅器314へ送る。電子スイッチ752が動作して、各周期の前半0<t<T/2に可変利得増幅器304の出力を抵抗326へ送り、各周期の後半T/2<t<Tに可変利得増幅器314の出力を抵抗326へ送る。
【0070】
バンドパスフィルタ328、増幅器330、ミキサ322、ローパスフィルタ33、及びコントローラ350は、図6に関して上述したのと同様に動作する。信号Soutは、軸のいずれかの周りの回転度を示すコントローラ350の読み出し値である。電子スイッチ752が動作して、各周期の前半0<t<T/2に光検出器130により生成された信号Pout1をトランスインピーダンス増幅器135へ送り、各周期の後半T/2<t<Tに光検出器140により生成された信号Pout2をトランスインピーダンス増幅器145へ送る。
【0071】
図14は、本発明の一実施形態による、例えばz軸に沿ったスピン度を検出するよう適合された制御回路850を伴う光ジャイロスコープ800のコンポーネントの簡略ハイレベルブロック図である。図14に示す実施形態では、位相変調器170が、光リング110が受け取った又は送った信号の位相を変調周波数fでさらに変調するよう適合される。例えば、例えば90°の位相シフトに加えて、位相変調器170は、変調周波数fでこの例えば90°の位相シフトを所定量だけ変調する。光検出器130により生成された信号Pout1は、各周期の前半0<t<T/2にトランスインピーダンス増幅器135へ送られ、光検出器140により生成された信号Pout2は、各周期の後半T/2<t<Tにトランスインピーダンス増幅器145へ送られる。制御回路850の残りの素子は、制御回路850が周波数(f+2f)で動作する局部発振器(LO)信号329を用いて同相信号I及び直交位相信号Qを生成することを除いて、図6に関して上述したように動作する。ローパスフィルタ334及び338の出力信号は、コントローラ350へ送られ、これが軸のいずれかの周りの回転度を示す読み出し信号Soutを生成する。
【0072】
本発明の上記実施形態は例示的なものであり、限定的なものではない。他の変更及び変形が当業者には明らかであり、添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13
図14