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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-29
(45)【発行日】2023-04-06
(54)【発明の名称】板ばね用ばね板
(51)【国際特許分類】
   F16F 1/18 20060101AFI20230330BHJP
   B60G 11/04 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
F16F1/18 G
B60G11/04
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019565289
(86)(22)【出願日】2018-05-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-17
(86)【国際出願番号】 EP2018062701
(87)【国際公開番号】W WO2018233944
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-03-19
(31)【優先権主張番号】A50522/2017
(32)【優先日】2017-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】517250066
【氏名又は名称】ヘンドリクソン コマーシャル ヴィヒクル システムス ヨーロパ ゲーエムベーハ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ザンバージ,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ナットランド,フリードヘルム
【審査官】児玉 由紀
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01980425(EP,A1)
【文献】米国特許第04749534(US,A)
【文献】特表平08-507014(JP,A)
【文献】特開昭56-167938(JP,A)
【文献】特表2016-509169(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01138432(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 1/00-99/00
F16F 1/00- 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板ばね(1)用ばね板であり、該ばね板(2)は、上面(13)、下面(14)、前記上面(13)と前記下面(14)の間に延在する2側部、長手方向軸(15)、前記上面(13)と前記下面(14)に垂直に、前記長手方向軸(15)を通り延在する切断面(III)、2端部(3a、3b)、及び該端部(3a、3b)間に延在する中間部(4)を有し、前記中間部(4)は、クランプ領域(5)を有し、主張力領域(6a、6b)は、前記端部(3a、3b)の少なくとも一方と前記クランプ領域(5)との間に設けられ、前記主張力領域(6a、6b)の厚さ(S)は、前記クランプ領域(5)から前記端部(3a、3b)への方向に放物線状に減少する、ばね板であって、
移行領域(10)は、前記主張力領域(6a、6b)と前記クランプ領域(5)との間に配置され、
前記ばね板(2)の厚さ(S)は、前記クランプ領域(5)から前記主張力領域(6a、6b)までの移行領域(10)で、及び/又は前記主張力領域(6a、6b)から前記端部(3a、3b)までの移行領域(11)で、均一幅で減少し、
前記主張力領域(6a、6b)は、前記クランプ領域(5)から前記端部(3a、3b)に向かう方向に、第1小領域(8)及び更なる小領域(9)を有し、前記第1小領域(8)は均一幅(B)であり、その厚さ(S)は減少し、前記更なる小領域(9)は減少幅であり、その厚さ(S)は減少し、
前記切断面(III)と前記ばね板(2)の前記各側部との間に延在する前記更なる小領域(9)の幅(B)は、前記端部(3a、3b)から前記クランプ領域(5)への方向に、二次関数に従い増大することを特徴とする、ばね板。
【請求項2】
前記主張力領域(6a、6b)の前記ばね板(2)の前記各側部及び/又は各側縁部(K)は、基本的に、放物線状アームの形に対応して延在することを特徴とする、請求項1に記載のばね板。
【請求項3】
前記切断面(III)の両側にある領域は、互いに対称的であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のばね板。
【請求項4】
移行領域(11)は、前記主張力領域(6a、6b)と前記端部(3a、3b)の間に配置され、前記ばね板(2)の厚さ(S)は、前記主張力領域(6a、6b)から前記端部(3a、3b)までの移行領域(11)で減少することを特徴とする、請求項1~のうちいずれか一項に記載のばね板。
【請求項5】
前記クランプ領域(5)から前記主張力領域(6a、6b)までの移行領域(10)の厚さ、及び/又は、前記主張力領域(6a、6b)から前記端部(3a、3b)までの移行領域(11)の厚さが、非線形に凹状に減少することを特徴とする、請求項に記載のばね板。
【請求項6】
前記クランプ領域(5)から前記端部(3a、3b)への方向から見て、前記主張力領域(6a、6b)の後、前記移行領域(11)に隣接する端部(3a、3b)の幅(B)及び/又は厚さ(S)は、減少するか、基本的に一定のままであるか、又は増大することを特徴とする、請求項1~のうちいずれか一項に記載のばね板。
【請求項7】
前記ばね板(2)は、該ばね板(2)を車台に、又はホイールサスペンションの取着部品、特に巻回されたばね目に、接続するための、少なくとも一方の端部(3a、3b)に手段(7)を有することを特徴とする、請求項1~のうちいずれか一項に記載のばね板。
【請求項8】
主張力領域(6a、6b)は、前記クランプ領域(5)の両側其々にある前記中間部(4)に、配置され、前記ばね板(2)の前記中間部(4)は、前記クランプ領域(5)の両側で、基本的に前記クランプ領域(5)に対称的に形成されることを特徴とする、請求項1~のうちいずれか一項に記載のばね板。
【請求項9】
前記板ばね(1)は、請求項1~のうちいずれか一項に記載の少なくとも1枚のばね板(2)を有することを特徴とする、ホイールサスペンション用板ばね。
【請求項10】
前記板ばね(1)は、放物線状のばね、又はトレーリング式サスペンションアームばねであることを特徴とする、請求項に記載の板ばね。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は板ばね用ばね板であり、該ばね板は、上面、下面、上面と下面の間に延在する2側部、長手方向軸、上面と下面に垂直に、長手方向軸を通り延在する切断面、2端部、及び該端部間に延在する中間部を有し、中間部は、クランプ領域を有し、主張力領域が、端部の少なくとも一方とクランプ領域との間に設けられ、主張力領域の厚さは、クランプ領域から端部への方向に減少し、特に、放物線状に減少する、板ばね用ばね板に関する。
【0002】
また、本発明は、ホイールサスペンション用板ばねに関する。
【背景技術】
【0003】
プリアンブルに記載の板ばねは、国際公開第01/53779号(特許文献1)から知られている。
【0004】
かかるばね板又は板ばねは、特にトラック等の実用車に対して使用される。この使用分野では、板ばねが、主張力領域において付勢状態で基本的に一定の張力分布を有する特別な必要性が存在する。主張力領域において基本的に一定の張力分布を達成するには、ばね板が、主張力領域において、クランプ領域におけるばね板の幅に対応した、基本的に一定の幅を有し、その際、厚さは、クランプ領域から端部まで、放物線状に減少することが知られている。端部に向けて主張力部の厚さを放物線状に減少させることは、一定の張力分布に不可欠なこととして、確立している。
【0005】
しかしながら、この場合、クランプ領域におけるばね板の幅に対応する一定の幅は、板ばねが比較的高重量となるという結果を有する点で、不利である。また、軽量化は、実用的な面からも特別な必要性を示す。
【0006】
板ばねの製造時において、完成品の重量は、決定的に重要な経済的役割を果たす。車両構造において出来る限り軽い板ばねを使用することの一利点は、全体的な自動車の重量を軽減し、その結果、最大制限重量を維持しながら、更なる貨物を積載できる点である。しかしながら、トラックは、最大可能運送重量で積載されないことが多く、或いは、全く積載せず走行するときもあり、その際、可能な限り軽量な板ばねの利点は、燃料消費量を抑えられる点となる。ばね下質量が、車両で減少するならば、運転の安全性が向上するという一利点が、加わる。しかしながら、最大の利点は、製造工程中の材料使用量を節約し、それに伴って、完成品のコストを削減できる点である。
【0007】
材料を節約し、従って重量も軽減するのに、クランプ領域から端部までの板ばねのばね板の主張力領域の幅を減少することが、知られている。この設計対策によって、板ばねの強度や有用性を大幅に減少させることなく、材料の節約が可能である。しかしながら、加えて、更なる要素を配置できるように、設置スペースがホイールサスペンションの領域内に設けられるべきという要件が存在する場合があり、そのために、例えば、板ばねの、ホイールサスペンションの取着部品又は他の自動車部品との不所望な接触を避けるように、端部に関して構造的に特別な幅が、実装されなければならない。
【0008】
また一方で、板ばねのばね板の主張力領域の幅を減少することには、これが主張力領域における張力分布に影響を与えるという問題がある。
【0009】
板ばねの様々な実施形態が、国際公開第2014/109943号(特許文献2)から知られており、かかる板ばねでは、まず移行領域を有し、次にクランプ領域と端部の間で、クランプ領域から始まり放物線状に減少する厚さを備えた領域を有する。移行領域では、厚さは、クランプ領域から始まり直線的に減少し、その際、幅も、実施形態により異なって、直線的に減少するか、等しいままであるか、又は直線的に増大する。厚さを放物線状に減少させる領域では、幅は、端部に向かい直線的に減少する。
【0010】
均一な厚さで、主張力領域の幅が直線的に減少し、それに隣接して、均一な幅で、厚さが放物線状に減少する板ばねが、欧州特許出願公開第1980425号明細書(特許文献3)から知られている。
【0011】
主張力領域の幅及び厚さが減少し、それに隣接して、均一な幅で、厚さが減少する板ばねが、欧州特許出願公開第1138432号明細書(特許文献4)から知られている。
【0012】
幅の直線的な減少は、張力分布にマイナス効果を与えることが示されたが、これは、その結果張力が、端部に向かう方向にかなり増大するためである。幅がクランプ領域の幅に関連して減少されるならば、マイナス効果は、減厚領域にある一定の幅の主張力領域でも発生する。
【0013】
また、主張力領域の幅が、均一な厚さを有する主張力領域の長さに亘り減少する板ばねが、特許文献3から知られている。この実施形態は、厚さプロファイルによる様々な張力分布を有し、主張力部の長さに亘る幅の減少は、捩り剛性に悪影響を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】国際公開第01/53779号
【文献】国際公開第2014/109943号
【文献】欧州特許出願公開第1980425号明細書
【文献】欧州特許出願公開第1138432号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、板ばね用ばね板であり、該ばね板を使用して、材料を節約でき、従って重量も軽減できるばね板であって、単軸の垂直荷重に対して、基本的に一定の張力分布が、主張力領域で、特に、板ばねの荷重がより強い場合に、確保される、ばね板を提供するという目的に基づく。それと同時に、更なる設置スペースが提供されるようにし、ホイールサスペンションの取着部品又は他の自動車部品とのばね板の不所望な接触が回避されるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的は、本発明により、請求項1の特徴を有するばね板によって達成される。
【0017】
また、この目的は、請求項13の特徴を有する板ばねによって達成される。
【0018】
本発明の好適な及び有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0019】
本発明によると、切断面とばね板の各側部との間に延在する主張力領域の幅は、端部からクランプ領域に向かう方向に、主張力領域の長さの一部に亘り、又は、全長に亘り、二次関数に従い増大する、即ち、主張力領域の幅は、クランプ領域から端部に従い減少するものとする。驚くべきことに、主張力領域は、ばね板の単軸の垂直荷重下で厚さを減少させる場合に、主張力領域の幅が、クランプ領域から端部に、この方法で少なくとも部分的に減少するならば、基本的に一定の張力分布を有することが示された。従って、軽量化や設置スペースに関する利点が、張力分布に関する欠点を生じさせずに、達成できる。
【0020】
特に、切断面とばね板の各側縁部との間に延在する主張力領域の幅は、二次関数に応じて延在するものとできる。
【0021】
また、側縁部は、本発明の範囲では、丸みを付けた又は面取りされた縁部として、解釈される。側縁部は、本発明の範囲では、ばね板の上面/下面が、ばね板の下面/上面に延在する側部に合流する領域である。
【0022】
特に好適な一実施形態では、ばね板の各側部及び/又は各側縁部は、基本的に放物線状アームの形状に対応する主張力領域において延在するものとする。かかるプロファイルは、特に、主張力領域の放物線状に減少する厚さと組み合わせると、一定の張力分布にとって特に有利である。
【0023】
板ばねは、その端部で、ばね吊り(spring hanger)に接続されることが多い。ばね板又は板ばねの幅が減少するならば、ばね吊りの幅も減少でき、それによって、ばね吊りと板ばねが配置される車両の総重量は、更に減少できる。
【0024】
板ばねの場合、様々な荷重状態間で、区別が行われる。2つの最も重要な荷重状態は、単軸の垂直荷重、即ち、板ばねに絶えず作用する垂直方向の荷重、及び制動手順中の板ばねの荷重である。コーナリング中の板ばねの荷重は、更なる荷重状態と言える。
【0025】
本発明の範囲では、単軸の垂直荷重は、制動手順外での板ばねの荷重として解釈される。本発明は、単軸の垂直荷重状態についての有利な効果に関する。
【0026】
本発明によるばね板を使用して、主張力領域は、単軸の垂直荷重の場合に、その全長に亘り又はその長さの一部に亘り基本的に一定の張力分布を有することができる。これについては、前ばねとして、長手状板ばねの実施例に基づいて、更に詳細に説明できる。
【0027】
長手状板ばねは、板ばねの長手方向延在部が、進行方向に見て、車両の長手方向延在部と基本的に平行に延在することを意味する。前ばねの場合では、板ばねは、クランプ領域で、車両の前車軸に接続される。前車軸の前にある領域は、前領域と呼ばれ、前車軸の後ろの領域は、後領域と呼ばれる。前ばねの場合では、板ばねは、制動手順中に荷重を増大すると、所謂Sストロークを実行するように、変形する。この場合、ばねは、前領域で下方に湾曲し、後領域で上方に湾曲する。後領域における上方への偏向を限定するために、ダンパは、一般的に、車台の後領域に配置される。この前ばねには、ばねが前領域で下方に湾曲し、後領域で上方に湾曲するという、2つの主張力領域が存在する。
【0028】
主張力領域における張力分布は、単軸の垂直荷重の場合、基本的に一定になるであろう。図形で表されると、クランプ領域とダンパ間の領域に関する張力分布は、制動手順中、不利な上方への偏向を有する。この偏向を打ち消すために、クランプ領域と、変形の際にばね板がダンパに衝突する領域との間にある主張力領域は、肥厚される、即ち、ばね板の厚さは、この領域で増大される。肥厚により、図形で表された、この領域における張力分布は、板ばねの単軸の垂直荷重の場合に達成されるべき一定レベルより下に延在する。
【0029】
本発明による前ばねは、単軸の垂直荷重の場合、前領域にある全主張力領域において、基本的に一定の張力分布を有する。後領域では、前ばねは、単軸の垂直荷重の場合、肥厚されない主張力領域の一部において、基本的に一定の張力分布を有する。
【0030】
板ばねがクランプ領域で車両の後車軸に接続される後ばねの場合では、制動手順中に、Sストロークが発生しないため、後ばねの場合に、肥厚が提供される必要はない。後ばねの1つの主張力領域又は複数の主張力領域は、其々、単軸の垂直荷重の場合、全体を通して一定の張力分布を有する。
【0031】
主張力領域は、本発明の意味において、ばね板が荷重下で最も強く加圧され、弾性的に最も強く変形される領域と見なされる。
【0032】
クランプ領域は、本発明の意味において、通常、板ばねの長手方向で中央に配置され、好適には、それに隣接するばね板の部分より厚くなっている、ばね板の領域と見なされる。車両に設置される、本発明による単一又は複数のばね板を有する板ばねは、クランプ領域において、接続装置を介して、特に、1つ又は複数のU字形ボルト又はクランプ領域において板ばねを囲む成形部品を介して、車輪軸又はスタブ車軸(wheel stub axle)に接続される。
【0033】
車台は、ホイールサスペンションが配置される車両フレーム又は車両の車台として解釈される。
【0034】
板ばねが複数のばね板を有するならば、ばね板は、好適には、少なくともクランプ領域において互いに、特に各ばね板のクランプ領域にある中心の通穴を通してガイドされるボルトを介して、接続され、その際、ばね板は、互いに直接押圧する、又は中間要素、例えば、中間プレートが、ばね板間に配置される、又はクランプされる。本発明の範囲では、通穴のない実施形態も、基本的に可能であり、その際、ばね板は、例えば、型枠取付け要素(formfitting element)によって互いに接続される。
【0035】
本発明の範囲では、主張力領域は、クランプ領域から端部への方向に第1小領域及び更なる小領域を有し、第1小領域は均一幅で、その厚さは減少し、更なる小領域は減少幅で、その厚さは減少するものとできる。また、幅は、更なる小領域において、部分的に直線的に減少するものとできる。
【0036】
ばね板の好適な一実施形態では、移行領域は、主張力領域とクランプ領域との間、及び/又は主張力領域と端部との間に配置され、その際、ばね板の厚さは、端部へ向かう方向に、特に非直線的で、好適には凹状に、クランプ領域から主張力領域への移行領域において、及び/又は主張力領域から端部への移行領域において、減少する。かかる移行領域は、ばね板の製造を容易にし、クランプ領域、主張力領域、及び端部間の急激な又は著しい移行、又は張力移行(張力の急増)の発生を防止する。クランプ領域から端部への方向で、主張力領域後に、移行領域又はそれに隣接する端部の幅及び/又は厚さが、減少するならば、或いは基本的に一定のままならば、好適である。しかしながら、移行領域又は主張力領域に隣接する端部の幅及び/又は厚さが増大する実施形態も、本発明の範囲において、考えられる。本発明によるばね板は、この設計上の特徴によって、様々な取着寸法に適合できる。
【0037】
本発明の範囲では、主張力領域は、直接端部に合流する必要はない。また、主張力領域と端部への移行領域との間に、ばね板は、様々な機能を実現できる更なる領域も有することができる。
【0038】
特に好適な一実施形態では、ばね板は、少なくとも一方の端部にある保持手段の形を有する、又は少なくとも一方の端部は、保持手段の形で形成される。保持手段は、ばね板又は板ばねを、車台に、或いは車両のホイールサスペンションの取着部品、例えば、巻回されたばね目に接続する手段である。
【0039】
有利な一実施形態では、荷重されたばね板の場合に基本的に一定の張力分布を有する主張力領域は、クランプ領域の両側其々で中間部に配置される。ばね板の中間部は、クランプ領域の両側で、基本的に同様に形成できる。また、これは、本発明の範囲では、主張力領域が、「Sストローク」に関して記載された問題を補償するために、クランプ領域の片側で肥厚される変形例も含む。
【0040】
本発明の範囲では、ホイールサスペンション用板ばねが、提供され、該板ばねは、本発明による少なくとも1枚のばね板を有する。板ばねは、1枚のばね板又は互いに重ねて配置される複数のばね板を有することができ、多重板ばねの場合、ばね板は、同様に及び/又は異なって形成でき、複数の又は全てのばね板は、本発明によるばね板とすることができる。
【0041】
板ばねが放物線状ばねであり、中間部において、主張力領域が、クランプ領域の片側にのみ配置される、又は主張力領域が、クランプ領域の両側其々に配置される実施形態は、特に好適である。更なる好適な実施形態では、板ばねは、サスペンションアームばねであり、中間部において、主張力領域が、クランプ領域の片側にのみ、特に、クランプ領域と、ばね板の端部に形成された保持手段との間に配置される。
【0042】
本発明の更なる詳細、特徴、及び利点は、添付図を参照した本発明の、保護範囲を制限しない好適な実施形態に関する以下の説明から、生じる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】放物線状ばね用の本発明によるばね板の第1実施形態の側面図を示している。
図2】サスペンションアームばね用の本発明によるばね板の更なる実施形態の側面図を示している。
図3図4からの平面IIIの観点から本発明による板ばねの細部の側面図を示している。
図4図3からの平面IVの観点から本発明による板ばねの細部の平面図を示している。
図5】後ばねの実施例に基づく本発明による板ばねの張力分布を示している。
図6】前ばねの実施例に基づく本発明による板ばねの張力分布を示している。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、板ばね1の側面図を示しており、板ばね1は、図説された実施形態では、ばね板2を有する放物線状ばねである。ばね板2は、2端部3a、3b、及び該端部間に配置される中間部4を有する。中間部4は、中央にクランプ領域5を有し、該クランプ領域は、それに隣接するばね板2の部分より厚さSが大きい。厚さSは、ばね板の上面13とばね板の下面14の間の距離を成す。板ばね1は、設置状態では、クランプ領域5で車輪軸に接続される。
【0045】
主張力領域6a、6bは、其々、クランプ領域5と端部3a、3bとの間に設けられる。主張力領域6a、6bは、基本的に同様に形成され、ばね板2の厚さSは、主張力領域6a、6bにおいて、クランプ領域5から各関連端部3a、3bに向かい減少する。単軸の垂直荷重のばね板2の場合、各主張力領域6a、6bは、基本的に一定の張力分布を有するが、これは、主張力領域6a、6bの厚さS及び幅Bが、図3で示されたように、クランプ領域5から各端部3a、3bに向かう方向で、基本的に減少するためである。
【0046】
ばね板2は、ばね板2を車台又はホイールサスペンションの取着箇所に接続するための、端部3a、3bに手段7を有し、該手段7は、巻回された目のように実施される。
【0047】
図2は、板ばね1の側面図を示しており、板ばね1は、図説された実施形態では、ばね板2を有するサスペンションアームばねである。ばね板2は、2つの端部3a、3b、該端部間に配置される中間部4を有する。中間部4は、中央にクランプ領域5を有する。
【0048】
ばね板2は、ばね板2を車台に、又はホイールサスペンションの取着部品に接続するための、端部3aにある手段7を有し、該手段7は、巻回された目のように具現化される。空気ばねベローズは、反対側の端部3bに配置できる。
【0049】
主張力領域6aは、クランプ領域5と、巻回された目を有する端部3aとの間にのみ設けられ、単軸の垂直荷重のばね板2の場合、基本的に均一な張力分布を有するが、これは、図3で示されるように、主張力領域6a、6bの厚さS及び幅Bが、クランプ領域5から各端部3a、3bに向かう方向に基本的に減少するためである。反対方向で湾曲される領域は、クランプ領域と、空気ばねベローズ用に設けられた端部3bとの間に設けられる。
【0050】
図3及び図4は、図1又は図2からの本発明によるばね板2の細部を示している。図3では、仮想仕切り線12上方に配置されたばね板2の一部が、側面図で示されている。図3は、厚さSのプロファイルを示している。図4では、ばね板2が、ばね板2の長手方向軸15から横方向に平面図で示されている。長手方向軸15は、対称軸とすることができる。図4は、幅Bの推移を示している。
【0051】
細部は、クランプ領域5の一部、第1部分領域8及びそれに隣接する更なる部分領域9を有することができる主張力領域6a、及び端部3aの一部を示している。ばね板上面13の推移は、クランプ領域5及び端部3aの図説された部分において基本的に直線であり、厚さSは、基本的に同じままである。また、厚さSは、他の実施形態では、増減できる。主張力領域6aでは、ばね板上面13のプロファイルは、基本的に放物線状であり、厚さSは、第1端部3aに向かう方向に減少する。
【0052】
第1移行領域10は、主張力領域6aとクランプ領域5の間に配置され、更なる移行領域11は、主張力領域6aと端部3aの間に配置される。移行領域10及び11其々は、ばね板上面13の直線プロファイルと放物線状プロファイルの間の移行部を形成し、ばね板2の厚さSは、第1移行領域10において直線的に、更なる移行領域11において非直線的に減少する。
【0053】
幅Bは、クランプ領域5において、第1移行領域10において、更なる移行領域11において、及び端部3aにおいて、一定である。特に端部3aでは、幅Bを再び増大させて、それにより、端部3aに設けられる可能性があるばね目が、設計によって指定されたホイールサスペンションの寸法に適合するようにすることができる。長手方向軸15とばね板2の各側縁部Kとの間に延在する主張力領域6aの幅Bは、二次関数に従い延在する。側縁部Kは、放物線状アームの形に実質対応して延在し、その際、幅Bは、端部3aに向かう方向に減少する。幅Bは、主張力領域6aの第1小領域8において一定にでき、更なる小領域9では、放物線状アームの形に対応して、減少できる。
【0054】
更なる領域が、主張力領域6aと端部3aとの間、又は主張力領域6a、6bと対応する端部3a、3bとの間に設けられることができ、該更なる領域の幅B及び/又は厚さSは、一定に、又は可変にできる。
【0055】
図5は、単軸の垂直荷重下での、即ち、制動手順外での、後ばねの実施例に基づく、図1による板ばね1の張力分布を示している。張力は、クランプ領域5から始まり第1張力領域10a、10bへと増大していることが、明らかである。張力分布は、主張力領域6a、6bにおいて一定である。張力は、端部3a、3bにおいて、及び更なる移行領域11において減少する。
【0056】
図6は、肥厚領域を有する前ばねのような長手状板ばねの実施例に基づいて、張力分布を図説するのに使用される。前ばねは、クランプ領域5で、車両の前車軸に接続される。前車軸の前にある領域は、前領域Vと呼ばれ、前車軸の後ろの領域は、後領域Hと呼ばれる。制動手順中に荷重が増大する場合、板ばね1は、所謂Sストロークを実行し、ばねは、前領域Vにおいて下方に湾曲し、後領域Hにおいて上方に湾曲する。後領域Hにおける上方への偏向を制限するために、ダンパDが、一般的に、車台の後領域Hに配置される。
【0057】
主張力領域6bの張力分布は、クランプ領域5とダンパD間の領域に関して制動手順中、上方への偏向(破線)を有する。この偏向を打ち消すために、主張力領域6bは、クランプ領域5と、変形の際にばね板2がダンパDと衝突する領域との間を肥厚し、それにより結果的に生じる衝撃をそれ程強くないようにする(点線)。この肥厚により、板ばね1の単軸の垂直荷重の場合に、即ち、制動手順外で、張力分布は、達成されるべき一定レベルより下で延びる(実線)。図1図2、及び特に図3に従う本発明によるばね板2、及び特に図5に従う張力分布は、より良く理解するために、必ずしも一定の縮尺で示されておらず、及び/又は、正確に比例されていない。
【0058】
要するに、本発明の例示的な実施形態は、以下のように説明できる。
【0059】
板ばね1用ばね板は、上面13、下面14、該上面13と該下面14の間に延在する2つの側部、長手方向軸15、上面13と下面14に垂直に、長手方向軸15を通り延在する切断面III、2つの端部3a、3b、及び該端部3a、3b間に延在する中間部4を有する。中間部4は、クランプ領域5を有する。主張力領域6a、6bは、端部3a、3bの少なくとも一方とクランプ領域5の間に設けられ、その厚さSは、クランプ領域5から端部3a、3bに向かう方向に減少する、特に、放物線状に減少する。切断面IIIとばね板2の各側部との間に延在する主張力領域6a、6bの幅Bは、端部3a、3bからクランプ領域5への方向に、主張力領域6a、6bの長さの一部に亘り、又は全長に亘り、二次関数に従い、増大する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6