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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-29
(45)【発行日】2023-04-06
(54)【発明の名称】施解錠装置、及び、建具
(51)【国際特許分類】
   E05B 41/00 20060101AFI20230330BHJP
   E05B 17/22 20060101ALI20230330BHJP
   E05B 65/08 20060101ALI20230330BHJP
   E05C 3/04 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
E05B41/00 E
E05B17/22 Z
E05B65/08 P
E05C3/04 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020053245
(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2021152299
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2021-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】倉林 慶太
(72)【発明者】
【氏名】田中 寿典
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-36572(JP,A)
【文献】特開2016-916(JP,A)
【文献】特開2008-262433(JP,A)
【文献】特開2010-222907(JP,A)
【文献】特開2007-132180(JP,A)
【文献】特開2008-274669(JP,A)
【文献】特開2015-194025(JP,A)
【文献】特開2004-326609(JP,A)
【文献】特開平9-184332(JP,A)
【文献】特開2016-125237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
E05C 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部に設けられる障子、又は、戸体に設けられる施解錠装置であって、
前記障子、又は、前記戸体に固定される基部と、
前記基部に対して回転可能に支持される把持部と、を備え、
前記把持部には、前記把持部の回転状態を検知するセンサと、前記センサへ電気を供給する電源部と、を備え、
前記電源部と前記センサとが、前記把持部の回転軸の半径方向において、回転軸から離れた前記把持部の端部の位置に、並列されて配置される施解錠装置。
【請求項2】
施解錠装置はクレセント錠により構成され、
前記把持部は、前記クレセント錠のハンドル部により構成され、
前記センサ及び前記電源部は、前記ハンドル部に設けられている請求項1に記載の施解錠装置。
【請求項3】
前記把持部には、前記センサからの情報に基づいて、解錠の状態か施錠の状態かを報知する報知部を備える請求項1~請求項のいずれかに記載の施解錠装置。
【請求項4】
前記センサは、3軸以上の加速度センサにより構成される請求項1~請求項のいずれかに記載の施解錠装置。
【請求項5】
請求項1~請求項のいずれに記載の施解錠装置を備える建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施解錠装置、及び、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建具の監視を行うことができる監視システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。監視システムにおいては、施錠または解錠の状態を監視する監視モードと、監視しない許容モードとに設定することが選択的に可能であり、使用状況に応じて建具の監視を行うことができる。また、ハンドルの位置情報(施・解錠状態の信号)を監視装置に送信するための装置等を、開閉体に取付けることが可能な装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6321428号公報
【文献】特開2019-157575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記公報記載の発明では、解錠状態や施錠状態を監視するための装置が設けられているため、既存の建具のハンドルだけを交換することによる、「ハンドルの着せ替え」を行いスマート化を実現することは困難であった。このため、ハンドルを換える場合には、ハンドルの周辺の機構も換える必要があった。
【0005】
本発明は、把持部以外の部分の機構部を既存部品のままで、把持部のみを交換することによりスマート化を実現できる施解錠装置、及び、建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明は、建物の開口部に設けられる障子、又は、戸体に設けられる施解錠装置であって、前記障子、又は、前記戸体に固定される基部と、前記基部に対して回転可能に支持される把持部と、を備え、前記把持部には、前記把持部の回転状態を検知するセンサと、前記センサへ電気を供給する電源部と、を備える施解錠装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第一実施形態の建具及び地震状況算出装置を示す正面図である。
図2】第一実施形態の建具の施解錠装置を示す拡大斜視図である。
図3】第一実施形態の建具の施解錠装置を示す拡大断面図である。
図4】第二実施形態の建具を示す正面図である。
図5】第二実施形態の建具の施解錠装置を示す拡大斜視図である。
図6】第二実施形態の建具の施解錠装置から第1蓋部及び第2蓋部を取り外した様子を示す拡大正面図である。
図7】第三実施形態の建具を示す正面図である。
図8】第三実施形態の建具の施解錠装置を示す拡大斜視図である。
図9】第三実施形態の建具の施解錠装置から第1蓋部及び第2蓋部を取り外した様子を示す拡大正面図である。
図10】第四実施形態の建具を示す正面図である。
図11】第四実施形態の建具の施解錠装置を示す拡大斜視図である。
図12】第四実施形態の建具の施解錠装置から蓋部を取り外した様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の第一実施形態について説明する。図1は、建具及び地震状況算出装置を示す正面図である。図2は、建具の施解錠装置を示す拡大斜視図である。図3は、建具の施解錠装置を示す拡大断面図である。
地震状況算出装置は、施解錠装置としてのクレセント錠10と、インターネットINを介して接続されたクラウドCL上の情報処理装置COと、インターネットINを介して接続され、情報処理装置COの情報を表示する端末装置TEと、を備えている。
【0009】
本実施形態による建具は、建物の壁に形成された開口部に納められる引違い窓1である。引違い窓1は、上枠51、下枠52及び左右の縦枠53,54により矩形に枠組みされた枠体5と、枠体5内に開閉可能に嵌め込まれた内障子6及び外障子7と、を備える。
【0010】
内障子6は、上框61、下框62及び左右の縦框である内召合せ框63,戸先框64により矩形に枠組みされた框体60と、框体60内に嵌め込まれて固定されたガラス65と、を含んで構成される。
外障子7は、上框71、下框72及び左右の縦框である内召合せ框73,戸先框74により矩形に枠組みされた框体70と、框体70内に嵌め込まれて固定されたガラス75と、を含んで構成される。
【0011】
内障子6及び外障子7は、召合せ部に戸締り用のクレセント錠10を備える。内障子6及び外障子7は、いずれも見付け方向にスライド移動させることで開閉可能な引き戸である。即ち、これら内障子6及び外障子7を見付け方向にスライド移動させることで、開口部が閉鎖又は開放される。
【0012】
図2図3に示すように、クレセント錠10は、内召合せ框63の外障子7側の見込面に取り付けられた基部140と、把持部としてのハンドル部を構成する操作用レバー150と、操作用レバー150に連動して回転し、外障子7に固定された図示しないクレセント受け金具に係合するクレセント金具160と、を備える。操作用レバー150が回転させられることにより、クレセント金具160が、外障子7に固定された図示しないクレセント受け金具に係合することにより施錠される。また、操作用レバー150が回転させられることにより、クレセント金具160が、外障子7に固定された図示しないクレセント受け金具に係合していない状態となることにより解錠される。
【0013】
操作用レバー150は、レバー本体151と、第1蓋部152と、第2蓋部153と、電源部156と、基板157とを備えている。レバー本体151は、レバー本体151とクレセント金具160とが一体回転する回転軸から延びており、図2図3に示す施錠状態の回転位置においては、基部140の上端面を覆うように、内召合せ框63の方向に延びている。
【0014】
操作用レバー150の内部は、仕切壁154によって仕切られている。操作用レバー150の内部の内召合せ框63側(図3の右側)には、基板157が収納されて第2蓋部153により操作用レバー150の内部の空間が閉じられ、また、操作用レバー150の内部の反内召合せ框63側(図3の左側)には、単5型乾電池により構成される電源部156が操作用レバー150の延びる方向に一列に並べられて直列接続されて収納されて、第1蓋部152により操作用レバー150の内部の空間が閉じられている。
【0015】
基板157には、電源部156からの電気が供給されており、3軸(X軸、Y軸、Z軸)以上の方向における加速度を検知可能な加速度センサ1573が設けられている。加速度センサ1573には、電源部156からの電気が供給され、加速度センサ1573は、操作用レバー150の回転角度を検知可能であると共に、建物の地震による揺れの強さ、及び、地震の後の建物の傾きを検知可能である。
【0016】
また、基板157には、レバー本体151の外部に露出するLEDレンズに覆われた、報知部としてのLED1571が載置されている。基板157に設けられた加速度センサ1573によって、操作用レバー150が図2図3に示す施錠位置にあると検知されたときには、LED1571は、緑色に点灯する。基板157に設けられた加速度センサ1573によって、操作用レバー150が解錠位置にあると検知されたとき、より具体的には、例えば、図2図3に示す施錠位置から5°程度以上回転したときには、LED1571は、赤色に点灯するように構成されている。
【0017】
また、基板157は、通信装置としての通信基板部1574を含んでいる。通信基板部1574は、例えば、Bluetooth等の消費電力の小さい無線通信方式により通信を行うための基板部により構成されている。基板157は、屋内等に設置されインターネットに接続されたBluetooth等の通信装置R(図1参照)との間で、無線通信を行い、加速度センサ1573からの建物の傾きに関する情報を、通信装置Rへ送信する。通信装置Rは、加速度センサ1573からのXYZ軸方向の変位情報(加速度の情報)を、インターネットINを介してクラウドCL上の情報処理装置COへアップロードする。加速度センサ1573からのXYZ軸方向の変位情報は、情報処理装置COにおいて用いられて演算が行われ、情報処理装置COは、後述のように建物の傾きや地震の強さ、操作用レバー150の回転位置、ガラス破りが発生したこと等を算出する。算出された情報は、更にインターネットINを介して端末装置TEへ送信され、端末装置TEにおいて表示される。情報処理装置COは、例えばアプリケーションサーバー等の電子機器により構成される。端末装置TEは、クラウドCL上にある情報処理装置COにより算出された操作用レバー150の回転位置等の情報を表示するモニタを含み、例えば、パーソナルコンピュータや、スマートフォン、タブレット端末等の電子機器により構成される。
【0018】
具体的には、前述のクレセント錠10は、建物に複数設けられている。また、クラウドCLには、予め、各クレセント錠10が設置されている方位と設置高さとが算出条件情報として登録されている。そして、地震発生の際には、加速度センサ1573からの情報をクラウドCLへアップロードし、XYZ方向の加速度と方位情報とに基づいて、発生した地震強さを算出する。また、加速度から算出される角度と方位と設置高さ情報とに基づいて、建物の傾きを算出する。
【0019】
また、情報処理装置COは、位置変位情報であるXYZ方向の加速度と方位情報とに基づいて、操作用レバー150の傾き角度を算出して施錠状態であるか解錠状態であるかを算出し、また、ガラス破り時の急激な変化を含む位置変位情報に基づいて、ガラス破り算出を行う。
【0020】
以上説明した本実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
本実施形態においては、3軸以上の加速度センサ1573と、加速度センサ1573からの情報を建物の傾きの情報としてクラウドCLへアップロードするための通信基板部1574と、を備える。これにより、地震の強さや、地震によりどの程度建物が傾いたか、に関する情報を、クレセント錠10から得ることが可能となる。
【0021】
そして、本実施形態においては、通信基板部1574を介して送られる加速度センサ1573からの情報に基づいて、方向の加速度と方位情報とにより地震の強さを算出し、加速度から算出する角度と方位と高さ情報とにより建物の傾きを算出する情報処理装置COを備える。これにより、各地震に対する建物の実際の強度を知ることができ、また、建物の被害状況を把握することが容易となる。このため、建物の修理のために当該建物に到着する前に、建物の被害状況を的確に把握することができるため、修理に必要な材料や作業にかかる労働力等を、当該建物へ到着する前に、的確に把握することが可能となる。
【0022】
また、本実施形態においては、基部140に対して回転可能に支持される把持部を構成するハンドル部としての操作用レバー150と、を備え、操作用レバー150には、3軸以上の加速度センサ1573と、加速度センサ1573へ電気を供給する電源部156と、を備える。
【0023】
これにより、操作用レバー150以外の部分である機構部を既存部品のままとして、操作用レバー150のみを交換することによる、「操作用レバー150の着せ替え」により、いわゆるスマート化を実現することを可能とする。このため、取り付ける部材である操作用レバー150において追加加工等を行う必要もなく、簡単に既存部品からの交換が可能となる。また、スマート化を実現するための、投資の抑制にもつながることを可能とする。
【0024】
また、本実施形態においては、把持部としての操作用レバー150には、加速度センサ1573からの情報に基づいて、解錠の状態か施錠の状態かを報知する報知部としてのLED1571を備える。これにより、クレセント錠10の外観視で、解錠の状態か施錠の状態かを容易に把握することが可能である。
【0025】
次に、本発明の第二実施形態について説明する。図4は、建具を示す正面図である。図5は、建具の施解錠装置を示す拡大斜視図である。図6、建具の施解錠装置から第1蓋部及び第2蓋部を取り外した様子を示す拡大正面図である。
第二実施形態では、施解錠装置がカムラッチ50Aにより構成され、建具が縦辷り出し窓1Aにより構成されている点で、第一実施形態とは異なる。通信装置R、通信装置RとインターネットIN及びクラウドCLを介して接続されたクラウドCL上の情報処理装置CO、及び、インターネットINを介して接続され、情報処理装置COの情報を表示する端末装置TEを有する構成については、第一実施形態と同様であり、図示を省略する。
【0026】
建具は、縦辷り出し窓1Aであり、建物開口部に固定される枠体10Aと、枠体10Aの内側に開閉可能に取り付けられる障子20Aと、を備える。
枠体10Aは、上枠11A、下枠12A、吊元側縦枠13A及び戸先側縦枠14Aが矩形に枠組みされて構成される。
障子20Aは、ガラス25Aと、ガラス25Aを囲うように構成される框体30Aと、を含むように構成される。框体30Aは、上框31A、下框32A、吊元側縦框33A及び戸先側縦框34Aが矩形に枠組みされて構成される。
【0027】
障子20Aの戸先側縦框34Aには、施解錠装置としてのカムラッチ50Aが設けられており、また、カムラッチ50Aのラッチ受け(動作部受け)151Aが、枠体10Aに形成された角孔にはめ込まれて固定されている。
【0028】
カムラッチ50Aは、縦框34Aに固定された基部としての台座51Aと、この台座51Aに図示しないピンで連結された、把持部としてのハンドル部を構成する開閉操作部52Aとを備えている。開閉操作部52Aは、カムラッチハンドル521Aと、枠体10Aに形成された角孔にはめ込まれて固定されたラッチ受け151Aに乗り上げるラッチ(動作部)522Aと、これらを連結する連結部523Aとを一体的に有している。
【0029】
カムラッチハンドル521Aが回動されると、ラッチ522A及び連結部523Aが同一方向に回動する。図5図6に示す位置からカムラッチハンドル521Aを回転させて、図4に示すようにラッチ522Aを台座51Aに平行な位置に回動すると、ラッチ522Aがラッチ受け151Aから脱出して解錠状態となる。この位置からカムラッチハンドル521Aを図5図6に示す位置に回転させて、見込方向においてラッチ522Aがラッチ受け151Aに対向する位置となると、ラッチ522Aがラッチ受け151Aに乗り上げて障子2が施錠状態となる。
【0030】
カムラッチハンドル521Aは、ハンドル本体5211Aと、第1蓋部5212Aと、第2蓋部5213Aと、電源部5216A(図6参照)と、基板5217Aとを備えている。
【0031】
ハンドル本体5211Aの内部は、仕切壁5214Aによって仕切られている。ハンドル本体5211Aの端部側(図6の上側)の内部には、基板5217Aが収納されて第2蓋部5213Aによりハンドル本体5211Aの内部の空間が閉じられ、また、ハンドル本体5211Aの基部側(図6の下側)の内部には、単5型乾電池により構成される電源部5216Aがハンドル本体5211Aの延びる方向に一列に並べられて直列接続されて収納されて、第1蓋部5212Aによりハンドル本体5211Aの内部の空間が閉じられている。
【0032】
基板5217Aは、第一実施形態による基板157と共通であり同一である。従って、基板5217Aに実装されて設けられている各部品についても、第一実施形態による基板157に設けられている各部品と同一である。具体的には、基板5217Aには、電源部5216Aからの電気が供給されており、3軸(X軸、Y軸、Z軸)以上の方向における加速度を検知可能な加速度センサ5218Aが設けられている。加速度センサ5218Aには、電源部5216Aからの電気が供給され、加速度センサ5218Aは、ハンドル本体5211Aの回転角度を検知可能であると共に、建物の地震による揺れの強さ、及び、地震の後の建物の傾きを検知可能である。
【0033】
また、基板5217Aには、ハンドル本体5211Aの外部に露出するLEDレンズに覆われた、報知部としてのLED5215Aが載置されている。基板5217Aに設けられた加速度センサ5218Aによって、ハンドル本体5211Aが施錠位置にあると検知されたときには、LED5215Aは、緑色に点灯する。基板5217Aに設けられた加速度センサ5218Aによって、ハンドル本体5211Aが解錠位置にあると検知されたとき、より具体的には、例えば、図5図6に示す施錠位置から5°程度以上回転したときには、LED5215Aは、赤色に点灯するように構成されている。
【0034】
また、基板5217Aは、通信装置としての通信基板部5219Aを含んでいる。通信基板部5219Aは、例えば、Bluetooth等の消費電力の小さい無線通信方式により通信を行うための基板部により構成されている。基板5217Aは、屋内等に設置されインターネットIN(図1参照)に接続されたBluetooth等の通信装置Rとの間で、無線通信を行い、加速度センサ5218Aからの建物の傾きの情報を、通信装置Rへ送信することについては、第一実施形態と同様である。
【0035】
以上説明した本実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
本実施形態においては、施解錠装置はカムラッチ50Aにより構成されており、把持部は、カムラッチ50Aのハンドル部としての開閉操作部52Aにより構成され、加速度センサ5218A及び電源部5216Aは、開閉操作部52Aに設けられている。これにより、カムラッチ50Aにより構成される施解錠装置においても、地震の強さや、地震によりどの程度建物が傾いたか、に関する情報を得ることが可能となる。また、開閉操作部52Aのみを交換することによる、「開閉操作部52Aの着せ替え」により、いわゆるスマート化を実現することを可能とする。
【0036】
また、本実施形態においては、開閉操作部52Aには、加速度センサ5218Aからの情報に基づいて、解錠の状態か施錠の状態かを報知する報知部としてのLED5215Aを備える。これにより、カムラッチ50Aの外観視で、解錠の状態か施錠の状態かを容易に把握することが可能である。
【0037】
次に、本発明の第三実施形態について説明する。図7は、建具を示す正面図である。図8は、建具の施解錠装置を示す拡大斜視図である。図9は、建具の施解錠装置から第1蓋部及び第2蓋部を取り外した様子を示す拡大正面図である。
第三実施形態では、施解錠装置がグレモンハンドル1Bにより構成されている点で、第二実施形態とは異なる。通信装置R、通信装置RとインターネットIN及びクラウドCLを介して接続されたクラウドCL上の情報処理装置CO、及び、インターネットINを介して接続され、情報処理装置COの情報を表示する端末装置TEを有する構成については、第一実施形態と同様であり、図示を省略する。
【0038】
建具は、建物開口部に固定される枠体10Bと、枠体10Bの内側に開閉可能に取り付けられる障子20Bと、を備える。
枠体10Bは、上枠11B、下枠12B、吊元側縦枠13B及び戸先側縦枠14Bが矩形に枠組みされて構成される。
障子20Bは、ガラス25Bと、ガラス25Bを囲うように構成される框体30Bと、を含むように構成される。框体30Bは、上框31B、下框32B、吊元側縦框33B及び戸先側縦框34Bが矩形に枠組みされて構成される。
【0039】
障子20Bの戸先側縦框34Bには、施解錠装置としてのグレモンハンドル50Bが設けられている。
【0040】
グレモンハンドル50Bは、縦框34Bに固定された基部としての台座51B(図8参照)と、この台座51Bにピン511Bで連結され台座51Bに対して回転可能に支持された、把持部としてのハンドル部を構成する開閉操作部52Bとを備えている。開閉操作部52Bは、ハンドル部521Bと、係合部522Bと、係合部522Bとハンドル部521Bとを連結する連結部523Bとを一体的に有している。
【0041】
ハンドル部521B及び連結部523Bがピン511Bを中心として回動されると、係合部522Bもピン511Bを中心として回動する。ハンドル部521Bを回転させることにより、係合部522Bが、戸先側縦框34Bに設けられた図示しない係合ピン付きバー部材を上方に移動させて、当該係合ピン付きバー部材のピンを、戸先側縦枠14Bに設けられた図示しないピン受けに係合させることにより施錠状態となる。この位置からハンドル部521Bを先ほどとは反対方向に回転させると、係合部522Bが、戸先側縦框34Bに設けられた図示しない係合ピン付きバー部材を下方に移動させて、当該係合ピン付きバー部材のピンを、戸先側縦枠14Bに設けられた図示しないピン受けに係合していない状態とすることにより、解錠状態となる。
【0042】
図8図9に示すように、ハンドル部521Bは、ハンドル本体5211Bと、第1蓋部5212Bと、第2蓋部5213Bと、電源部5216Bと、基板5217Bとを備えている。
【0043】
ハンドル本体5211Bの内部は、仕切壁5214Bによって仕切られている。ハンドル本体5211Bの端部側(図9の上側)の内部には、基板5217Bが収納されて第2蓋部5213B(図8参照)によりハンドル本体5211Bの内部の空間が閉じられ、また、ハンドル本体5211Bの基部側(図9の下側)の内部には、単5型乾電池により構成される電源部5216Bがハンドル本体5211Bの延びる方向に一列に並べられて直列接続されて収納されて、第1蓋部5212Bによりハンドル本体5211Bの内部の空間が閉じられている。
【0044】
基板5217Bは、第二実施形態による基板5217Aと共通であり同一である。従って、基板5217Bに設けられている各部品についても、第二実施形態による基板5217Aに実装されて設けられている各部品と同一である。具体的には、基板5217Bには、電源部5216Bからの電気が供給されており、3軸(X軸、Y軸、Z軸)以上の方向における加速度を検知可能な加速度センサ5218Bが設けられている。加速度センサ5218Bには、電源部521からの電気が供給され、加速度センサ5218Bは、ハンドル本体5211Bの回転角度を検知可能であると共に、建物の地震による揺れの強さ、及び、地震の後の建物の傾きを検知可能である。
【0045】
また、基板5217Bには、ハンドル本体5211Bの外部に露出するLEDレンズに覆われた、報知部としてのLED5215Bが載置されている。基板5217Bに設けられた加速度センサ5218Bによって、ハンドル本体5211Bが施錠位置にあると検知されたときには、LED5215Bは、緑色に点灯する。基板5217Bに設けられた加速度センサ5218Bによって、ハンドル本体5211Bが解錠位置にあると検知されたとき、より具体的には、例えば、図8図9に示す施錠位置から5°程度以上回転したときには、LED5215Bは、赤色に点灯するように構成されている。
【0046】
また、基板5217Bは、通信装置としての通信基板部5219Bを含んでいる。通信基板部5219Bは、例えば、Bluetooth等の消費電力の小さい無線通信方式により通信を行うための基板部により構成されている。基板5217Bは、屋内等に設置されインターネットIN(図1参照)に接続されたBluetooth等の通信装置Rとの間で、無線通信を行い、加速度センサ5218Bからの建物の傾きの情報を、通信装置Rへ送信することについては、第一実施形態と同様である。
【0047】
以上説明した本実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
本実施形態においては、施解錠装置はグレモンハンドル50Bにより構成され、把持部は、グレモンハンドル50Bのハンドル部としての開閉操作部52Bにより構成され加速度センサ5218B及び電源部5216Bは、開閉操作部52Bに設けられている。これにより、グレモンハンドル50Bにより構成される施解錠装置においても、地震の強さや、地震によりどの程度建物が傾いたか、に関する情報を得ることが可能となる。また、開閉操作部52Bのみを交換することによる、「開閉操作部52Bの着せ替え」により、いわゆるスマート化を実現することを可能とする。また、グレモンハンドル50Bの外観視で、解錠の状態か施錠の状態かを容易に把握することが可能である。
【0048】
次に、本発明の第四実施形態について説明する。図10は、建具を示す正面図である。図11は、建具の施解錠装置を示す拡大斜視図である。図12は、建具の施解錠装置から蓋部を取り外した様子を示す斜視図である。
第四実施形態では、施解錠装置がサムターンを有する点、及び、建具がドア1Cにより構成される点で、第二実施形態とは異なる。通信装置R、通信装置RとインターネットIN及びクラウドCLを介して接続されたクラウドCL上の情報処理装置CO、及び、インターネットINを介して接続され、情報処理装置COの情報を表示する端末装置TEを有する構成については、第一実施形態と同様であり、図示を省略する。
【0049】
建具を構成するドア1Cは、建物に形成された開口に納められる。ドア1Cは、建物の開口に取り付けられる枠体10Cと、枠体10Cに丁番101Cを介して屋外側に開閉可能に吊り込まれる障子30Cと、を備える。
【0050】
枠体10Cは、上枠11Cと、下枠12Cと、吊元側の縦枠13Cと、戸先側の縦枠14Cと、により矩形に枠組みされる。
障子30Cは、上框31Cと、下框32Cと、吊元側の縦框33Cと、戸先側の縦框34Cと、により矩形に枠組みされた框35Cと、框35C内に嵌め込まれて固定されたガラス36Cと、を含んで構成され、枠体10C内に嵌め込まれる。
【0051】
戸先側の縦框33Cは、高さ方向の略中央部にドアノブ331Cを備え、ドアノブ331Cの上側に錠の開閉を行うためのサムターン50Cを備える。縦框33Cは、ドアノブ331Cの下側には錠の開閉を行うための通常のサムターン38Cを備える。障子30Cは、屋内側からドアノブ331Cを把持して反時計回り回動し、ラッチボルト(図示しない)を操作しつつ、戸先側の縦框33Cを屋外側に押し出して丁番101Cを軸芯の回りに回動させることで開放することができる。サムターン50Cは、デットボルト(図示しない)を操作することによって錠を開閉する。
【0052】
図11図12に示すように、サムターン50Cは、シリンダ錠に係合する錠係合部51Cと、錠係合部51Cに接続された摘み部52Cとを備えている。錠係合部51Cは、あたかもプラスドライバの先端部のように、十文字形状を有して突出する形状を有しており、基部としてのシリンダ錠に係合することによりサムターンを構成する。サムターン50Cを錠係合部51Cの軸心を中心として回転させることにより、シリンダ錠の解錠/施錠の切換えを行うことができるように構成されている。
【0053】
摘み部52Cは、外形が直方体形状に形成されており、摘み部本体5211Cと、蓋部5212Cと、電源部5216C(図12参照)と、基板5217Cとを備えている。
【0054】
摘み部本体5211Cの内部は、仕切壁5214Cによって仕切られている。摘み部本体5211Cの端部側(図12の左下)の内部には、基板5217Cが収納されており、また、摘み部本体5211Cの基部側(図12の右上)の内部には、単5型乾電池により構成される電源部5216Cが平行な位置関係で並べられて直列接続されて収納されている。
【0055】
基板5217Cには、電源部5216Cからの電気が供給されており、3軸(X軸、Y軸、Z軸)以上の方向における加速度を検知可能な加速度センサ5218Cが設けられている。加速度センサ5218Cには、電源部521Cからの電気が供給され、加速度センサ5218Cは、摘み部本体5211Cの回転角度を検知可能であると共に、建物の地震による揺れの強さ、及び、地震の後の建物の傾きを検知可能であり、また、ガラス破りを検知可能である点については、第一実施形態~第三実施形態と同様である。
【0056】
また、基板5217Cには、摘み部本体5211Cの外部に露出するLEDレンズに覆われた、報知部としてのLED5215Cが載置されている。基板5217Cに設けられた加速度センサ5218Cによって、摘み部本体5211Cが施錠位置にあると検知されたときには、LED5215Cは、緑色に点灯する。基板5217Cに設けられた加速度センサ5218Cによって、摘み部本体5211Cが解錠位置にあると検知されたとき、より具体的には、例えば、図10に示す施錠位置から5°程度以上回転したときには、LED5215Cは、赤色に点灯するように構成されている。
【0057】
また、基板5217Cは、通信装置としての通信基板部5219Cを含んでいる。通信基板部5219Cは、例えば、Bluetooth等の消費電力の小さい無線通信方式により通信を行うための基板部により構成されている。基板5217Cは、屋内等に設置されインターネットIN(図1参照)に接続されたBluetooth等の通信装置Rとの間で、無線通信を行い、加速度センサ1573Cからの建物の傾きの情報を、通信装置Rへ送信することについては、第一実施形態と同様である。
【0058】
以上説明した本実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
本実施形態においては、施解錠装置はサムターン50Cにより構成されており、把持部は、サムターン50Cの摘み部52Cにより構成され、加速度センサ5218C及び電源部5216Cは、摘み部52Cに設けられている。これにより、サムターン50Cにより構成される施解錠装置においても、地震の強さや、地震によりどの程度建物が傾いたか、に関する情報を得ることが可能となる。また、摘み部52Cのみを交換することによる、「摘み部52Cの着せ替え」により、いわゆるスマート化を実現することを可能とする。また、サムターン50Cの外観視で、解錠の状態か施錠の状態かを容易に把握することが可能である。
【0059】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態においては、施解錠装置は障子に固定されていたが、この構成に限定されない。例えば、施解錠装置は戸体に固定されていてもよい。また、把持部は、クレセント錠のハンドル部や、カムラッチのハンドル部や、グレモンハンドルのハンドル部や、サムターンの摘み部により構成されたが、これらの構成に限定されない。
また、報知部は、LEDにより構成されたが、この構成に限定されない。例えば、通信装置を用いて加速度センサからの情報を、クラウドにアップロードして、情報処理装置COにより算出された施錠状態か解錠状態かの情報を、建物がある場所とは異なる場所において、スマートフォン等の携帯用端末で表示してもよい。また、加速度センサからの情報を、例えば、窓ガラスが割られた等の衝撃の検知に用いる場合には、建物の所有者のスマートフォン等の携帯用端末にガラスが割られた旨を報知するようにしてもよい。
また、通信装置による通信方式としては、Bluetoothに限定されず、無線LAN等の他の方式の通信を行ってもよい。
また、本実施形態では、予め、各クレセント錠10が設置されている方位と設置高さとが算出条件情報として登録されていたが、この構成に限定されない。例えば、施解錠装置の把持部に方位センサが設けられ、各施解錠装置が設置されている方位は、予め登録されておらず、各施解錠装置が設置されている設置高さが算出条件情報として登録されていてもよい。
また、施解錠装置の把持部には3軸以上の加速度センサが設けられていたが、3軸以上の加速度センサに限定されず、他のセンサが設けられていてもよい。
また、電源部は、単5型乾電池により構成されたが、これに限定されず、例えば、乾電池以外の、電気を供給可能な他のもの、例えば、太陽電池等により構成されてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…引違い窓(建具)
1A…縦辷り出し窓
1B…グレモンハンドル
1C…ドア
6、7、20A、20B、30C…障子
10…クレセント錠(施解錠装置)
50A…カムラッチ(施解錠装置)
50B…グレモンハンドル(施解錠装置)
50C…サムターン(施解錠装置)
51A、51B…台座(基部)
52A…開閉操作部(カムラッチのハンドル部、把持部)
52B…開閉操作部(グレモンハンドルのハンドル部、把持部)
52C…摘み部(把持部)
140…基部
150…操作用レバー(クレセント錠のハンドル部、把持部)
156、5216A、5216B、5216C…電源部
1571、5215A、5215B、5215C…LED(報知部)
1573、5218A、5218B、5218C…加速度センサ
1574、5219A、5219B、5219C…通信基板部
CL…クラウド
CO…情報処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12