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特許7253523半導体デバイス及び半導体デバイスの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-29
(45)【発行日】2023-04-06
(54)【発明の名称】半導体デバイス及び半導体デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20230330BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
H01L29/78 301S
H01L29/78 301W
H01L29/78 301P
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020194959
(22)【出願日】2020-11-25
(65)【公開番号】P2022083566
(43)【公開日】2022-06-06
【審査請求日】2020-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】519009105
【氏名又は名称】合肥晶合集成電路股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田矢 真敏
(72)【発明者】
【氏名】石田 浩
(72)【発明者】
【氏名】中野 紀夫
【審査官】岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-129218(JP,A)
【文献】特開2010-245339(JP,A)
【文献】特開2009-290140(JP,A)
【文献】特開2020-177949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスであって、
第1導電型の基板と、
前記基板内において前記第1導電型と反対の第2導電型であるドリフト領域と、
前記ドリフト領域内において前記第2導電型であり、前記ドリフト領域の周縁部よりドーパント濃度が高いドレイン領域と、
前記ドリフト領域の少なくとも一部とゲート絶縁層を介して重なり合うゲート電極と、
を有する電界効果トランジスタを備え、
前記ドレイン領域は、前記ゲート電極から所定の距離だけ離されて配置されており、
前記ドリフト領域のうち前記ゲート電極と重なり合う領域の少なくとも一部を含むチャネル領域における前記第2導電型のドーパント濃度は、前記ゲート電極下の前記チャネル領域内の前記ドリフト領域の端部から前記ドレイン領域に向けてドーパント濃度が増加した後、ドーパント濃度の増加率が低下し、その後再びドーパント濃度の増加率が増大するプロファイルを示し、
前記チャネル領域における前記第2導電型のドーパント濃度は、前記ゲート電極下の前記チャネル領域内の前記ドリフト領域の端部から前記ドレイン領域に向けて、第1の濃度まで増加した後、ドーパント濃度の増加率が低下して前記第1の濃度を維持し、その後再びドーパント濃度の増加率が増大して前記第1の濃度より高い第2の濃度となり、前記第2の濃度を維持し、その後ドーパント濃度が減少する階段状のプロファイルを示すことを特徴とする半導体デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、
動作電圧が20V以上60V以下であることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体デバイスであって、
前記ドリフト領域内において、前記チャネル領域と前記ドレイン領域との間に第2絶縁領域を有することを特徴とする半導体デバイス。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体デバイスであって、
前記第2絶縁領域の少なくとも一部は、前記ゲート電極と重なり合うように配置されていることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体デバイスであって、
前記ドリフト領域内において、前記ドレイン領域との間に前記第2導電型の中間ドープ領域を有し、
前記中間ドープ領域の前記第2導電型のドーパント濃度は、前記ドリフト領域のドーパント濃度より高く、前記ドレイン領域のドーパント濃度より低いことを特徴とする半導体デバイス。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体デバイスであって、
前記ドリフト領域、前記ドレイン領域及び前記ゲート電極を他の周辺素子から絶縁する第1絶縁領域をさらに備え、
前記ドリフト領域は、前記基板の表面から前記第1絶縁領域より深い位置まで形成されていることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体デバイスであって、
前記基板の内側から表面に亘る前記第1導電型のガードリング領域であって、前記ゲート電極の一部と重なり合い、前記ドリフト領域と前記ゲート電極とを取り囲むガードリング領域と、
前記ガードリング領域内の表面領域に配置されたソース領域と、
をさらに備え、
前記ソース領域と前記ドレイン領域は、前記ゲート電極を挟んで両側にそれぞれ配置されていることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体デバイスであって、
前記ソース領域は、前記ゲート絶縁層に隣接して設けられていることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項9】
半導体デバイスの製造方法であって、
第1導電型の基板の表面に、チャネルの移動方向に沿って少なくとも分離された2つの開口領域を有するマスクを設け、前記開口領域に前記第1導電型とは反対の第2導電型のドーパントをイオン注入するイオン注入ステップと、
前記イオン注入ステップにおいて注入されたドーパントを前記基板内に拡散させて前記第2導電型であるドリフト領域を形成するイオン拡散ステップと、
前記ドリフト領域の少なくとも一部とゲート絶縁層を介して重なり合うゲート電極を形成するゲート電極形成ステップと、
前記ドリフト領域内において前記第2導電型であり、前記ドリフト領域の周縁部よりドーパント濃度が高く、前記ゲート電極から所定の距離だけ離されて配置されたドレイン領域を形成するドレイン領域形成ステップと、
を備え、
前記ドリフト領域のうち前記ゲート電極と重なり合う領域の少なくとも一部を含むチャネル領域における前記第2導電型のドーパント濃度が前記ゲート電極下の前記チャネル領域内の前記ドリフト領域の端部から前記ドレイン領域に向けてドーパント濃度が増加した後、ドーパント濃度の増加率が低下し、その後再びドーパント濃度の増加率が増大するプロファイルを示し、
前記2つの開口領域に注入されたドーパントの拡散領域が重なり合うことによって、前記チャネル領域における前記第2導電型のドーパント濃度は、前記ゲート電極下の前記チャネル領域内の前記ドリフト領域の端部から前記ドレイン領域に向けて、第1の濃度まで増加した後、ドーパント濃度の増加率が低下して前記第1の濃度を維持し、その後再びドーパント濃度の増加率が増大して前記第1の濃度より高い第2の濃度となり、前記第2の濃度を維持し、その後ドーパント濃度が減少する階段状のプロファイルを示すことを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体デバイスの製造方法であって、
前記マスクの前記2つの開口領域のうち、前記ゲート電極側の開口領域の前記チャネルの移動方向に沿った長さは1.2μm以下であり、
前記2つの開口領域の間の前記マスクの前記チャネルの移動方向に沿った長さは1.2μm以下であることを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の半導体デバイスの製造方法であって、
前記ドリフト領域内において、前記チャネル領域と前記ドレイン領域との間に第2絶縁領域を形成する第2絶縁領域形成ステップを備えることを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の半導体デバイスの製造方法であって、
前記第2絶縁領域形成ステップは、少なくとも一部が前記ゲート電極と重なり合う位置に前記第2絶縁領域を形成することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
【請求項13】
請求項9~12のいずれか1項に記載の半導体デバイスの製造方法であって、
前記ドリフト領域内において前記ドレイン領域との間に、前記第2導電型のドーパント濃度が前記ドリフト領域のドーパント濃度より高く、前記ドレイン領域のドーパント濃度より低い中間ドープ領域を形成する中間ドープ領域形成ステップを備えることを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
【請求項14】
請求項9~13のいずれか1項に記載の半導体デバイスの製造方法であって、
前記ドリフト領域、前記ドレイン領域及び前記ゲート電極を他の周辺素子から絶縁する第1絶縁領域を形成する第1絶縁領域形成ステップを更に備え、
前記ドリフト領域は、前記基板の表面から前記第1絶縁領域より深い位置まで形成されることを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
【請求項15】
請求項9~14のいずれか1項に記載の半導体デバイスの製造方法であって、
前記イオン拡散ステップの前の前記イオン注入ステップにおいて、前記基板の内側から表面に亘る前記第1導電型のガードリング領域であって、前記ゲート電極の一部と重なり合い、前記ドリフト領域と前記ゲート電極とを取り囲むガードリング領域を形成するために、パターンマスクを用いて前記第1導電型のドーパントを前記基板に注入することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の半導体デバイスの製造方法であって、
前記ドレイン領域形成ステップと同時に、前記ガードリング内の表面領域に前記第2導電型のソース領域を形成し、
前記ソース領域と前記ドレイン領域は、前記ゲート電極を挟んで両側にそれぞれ配置されていることを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高耐圧の電界効果トランジスタを備える半導体デバイス及び半導体デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第1導電性のウェル構造内にソース、ドレイン及びゲートが形成され、ソース及びドレインの少なくとも一方は第1導電性と反対の第2導電性であって第1ドリフト領域となる第1領域、第2導電性であって第1領域よりドーパント濃度が高い第2領域、第2導電性であって第2領域よりドーパント濃度が高い第3領域を有する電界効果トランジスタが開示されている(特許文献1)。
【0003】
また、マルチゲート側方拡散金属酸化膜半導体(LDMOS)デバイスであって、実質的に対称な内部LDMOS領域及び非対称端部近接LDMOS領域が位置するセミコンダクタ・オン・インシュレータ(SOI)支持構造と、支持構造内に延在するとともに実質的に端部近接LDMOS領域を終端させるディープ・トレンチ・アイソレーション(DTI)壁と、非対称端部近接LDMOS領域の上面に近接する第1導電型のドレイン領域と、非対称端部近接LDMOS領域の一部の下にあるとともに非対称端部近接LDMOS領域のドレイン領域と反対の導電型のディープ・トレンチ・アイソレーション壁に近接するドープSC埋め込み層(BL)領域とを備える構造が開示されている(特許文献2)。ドープSC埋め込み層(BL)領域を設けることによって、DTI壁に関連付けられる第2LDMOS領域が呈する電界が増強され、ソース-ドレイン間の降伏が回避されるとされている。
【0004】
また、非対称なヘテロドープされた金属酸化物(AHMOS)半導体デバイスであって、基板の頂部にあってソース領域とドレイン領域との間に配置された絶縁ゲートと、ゲートの一方の側部上のヘテロドープされた第2導電型のドーパントを有するタブ領域及びタブ領域の内側に配置されて第2導電型とは反対の第1導電型のドーパントを有するソース領域と、ゲートの他方の側部上のヘテロドープされた第2導電型のドーパントを有するバッファ領域及びバッファ領域の内側に配置されて第1導電型のドーパントを有するドリフト領域と、ドリフト領域に配置されて第1導電型のドーパントの高濃度にドーピングされた領域からなるドレインタップ領域と、からなる半導体デバイスが開示されている(特許文献3)。
【0005】
交互配置されたドリフト領域及びゲート領域を含んだ垂直容量空乏型電界効果トランジスタ(VDCFETs)であって、ドリフト領域を容量的に空乏化するようにドリフト領域からゲート領域を分離する絶縁体を介してゲート領域が構成され、段階的又は不均一なドーピングプロファイルを持ったドリフト領域とし、ソース電極をドリフト領域に結合することでオーミック又はショットキー接続とした構成が開示されている(特許文献4)。当該垂直容量空乏型電界効果トランジスタは、高いブレークダウン電圧及びより低い導通抵抗を与えることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第9,748,383号公報
【文献】特開2014-11455号公報
【文献】特開2008-507140号公報
【文献】中国特許公開第102184952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記先行技術で示したように、電界効果トランジスタを備える半導体デバイスでは高いブレークダウン電圧を実現することが望まれている。一方、電界効果トランジスタを大容量とするためにはソース-ドレイン間を流れる電流を大きくできることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの態様は、半導体デバイスであって、第1導電型の基板と、前記基板内において前記第1導電型と反対の第2導電型であるドリフト領域と、前記ドリフト領域内において前記第2導電型であり、前記ドリフト領域の周縁部よりドーパント濃度が高いドレイン領域と、前記ドリフト領域の少なくとも一部とゲート絶縁層を介して重なり合うゲート電極と、を有する電界効果トランジスタを備え、前記ドレイン領域は、前記ゲート電極から所定の距離だけ離されて配置されており、前記ドリフト領域のうち前記ゲート電極と重なり合う領域の少なくとも一部を含むチャネル領域における前記第2導電型のドーパント濃度は、前記ゲート電極下の前記チャネル領域内の前記ドリフト領域の端部から前記ドレイン領域に向けてドーパント濃度が増加した後、ドーパント濃度の増加率が低下し、その後再びドーパント濃度の増加率が増大するプロファイルを示すことを特徴とする半導体デバイスである。
【0009】
ここで、前記チャネル領域における前記第2導電型のドーパント濃度は、前記ゲート電極下の前記チャネル領域内の前記ドリフト領域の端部から前記ドレイン領域に向けて、第1の濃度まで増加した後、ドーパント濃度の増加率が低下して前記第1の濃度を維持し、その後再びドーパント濃度の増加率が増大して前記第1の濃度より高い第2の濃度となる階段状のプロファイルを示すことが好適である。
【0010】
また、動作電圧が20V以上60V以下であることが好適である。
【0011】
また、前記ドリフト領域内において、前記チャネル領域と前記ドレイン領域との間に第2絶縁領域を有することが好適である。
【0012】
また、前記第2絶縁領域の少なくとも一部は、前記ゲート電極と重なり合うように配置されていることが好適である。
【0013】
また、前記ドリフト領域内において、前記ドレイン領域との間に前記第2導電型の中間ドープ領域を有し、前記中間ドープ領域の前記第2導電型のドーパント濃度は、前記ドリフト領域のドーパント濃度より高く、前記ドレイン領域のドーパント濃度より低いことが好適である。
【0014】
また、前記ドリフト領域、前記ドレイン領域及び前記ゲート電極を他の周辺素子から絶縁する第1絶縁領域をさらに備え、前記ドリフト領域は、前記基板の表面から前記第1絶縁領域より深い位置まで形成されていることが好適である。
【0015】
また、前記基板の内側から表面に亘る前記第1導電型のガードリング領域であって、前記ゲート電極の一部と重なり合い、前記ドリフト領域と前記ゲート電極とを取り囲むガードリング領域と、前記ガードリング領域内の表面領域に配置されたソース領域と、をさらに備え、前記ソース領域と前記ドレイン領域は、前記ゲート電極を挟んで両側にそれぞれ配置されていることが好適である。
【0016】
また、前記ソース領域は、前記ゲート絶縁層に隣接して設けられていることが好適である。
【0017】
本発明の別の態様は、半導体デバイスの製造方法であって、第1導電型の基板の表面に、チャネルの移動方向に沿って少なくとも分離された2つの開口領域を有するマスクを設け、前記開口領域に前記第1導電型とは反対の第2導電型のドーパントをイオン注入するイオン注入ステップと、前記イオン注入ステップにおいて注入されたドーパントを前記基板内に拡散させて前記第2導電型であるドリフト領域を形成するイオン拡散ステップと、
前記ドリフト領域の少なくとも一部とゲート絶縁層を介して重なり合うゲート電極を形成するゲート電極形成ステップと、前記ドリフト領域内において前記第2導電型であり、前記ドリフト領域の周縁部よりドーパント濃度が高く、前記ゲート電極から所定の距離だけ離されて配置されたドレイン領域を形成するドレイン領域形成ステップと、を備え、前記ドリフト領域のうち前記ゲート電極と重なり合う領域の少なくとも一部を含むチャネル領域における前記第2導電型のドーパント濃度が前記ゲート電極下の前記チャネル領域内の前記ドリフト領域の端部から前記ドレイン領域に向けてドーパント濃度が増加した後、ドーパント濃度の増加率が低下し、その後再びドーパント濃度の増加率が増大するプロファイルを示すことを特徴とする半導体デバイスの製造方法である。
【0018】
ここで、前記2つの開口領域に注入されたドーパントの拡散領域が重なり合うことによって、前記チャネル領域における前記第2導電型のドーパント濃度は、前記ゲート電極下の前記チャネル領域内の前記ドリフト領域の端部から前記ドレイン領域に向けて、第1の濃度まで増加した後、ドーパント濃度の増加率が低下して前記第1の濃度を維持し、その後再びドーパント濃度の増加率が増大して前記第1の濃度より高い第2の濃度となる階段状のプロファイルを示すことを特徴とする半導体デバイスの製造方法である。
【0019】
また、前記マスクの前記2つの開口領域のうち、前記ゲート電極側の開口領域の前記チャネルの移動方向に沿った長さは1.2μm以下であり、前記2つの開口領域の間の前記マスクの前記チャネルの移動方向に沿った長さは1.2μm以下であることが好適である。
【0020】
また、前記ドリフト領域内において、前記チャネル領域と前記ドレイン領域との間に第2絶縁領域を形成する第2絶縁領域形成ステップを備えることが好適である。
【0021】
また、前記第2絶縁領域形成ステップは、少なくとも一部が前記ゲート電極と重なり合う位置に前記第2絶縁領域を形成することが好適である。
【0022】
また、前記ドリフト領域内において前記ドレイン領域との間に、前記第2導電型のドーパント濃度が前記ドリフト領域のドーパント濃度より高く、前記ドレイン領域のドーパント濃度より低い中間ドープ領域を形成する中間ドープ領域形成ステップを備えることが好適である。
【0023】
また、前記ドリフト領域、前記ドレイン領域及び前記ゲート電極を他の周辺素子から絶縁する第1絶縁領域を形成する第1絶縁領域形成ステップを更に備え、前記ドリフト領域は、前記基板の表面から前記第1絶縁領域より深い位置まで形成されることが好適である。
【0024】
また、前記イオン拡散ステップの前の前記イオン注入ステップにおいて、前記基板の内側から表面に亘る前記第1導電型のガードリング領域であって、前記ゲート電極の一部と重なり合い、前記ドリフト領域と前記ゲート電極とを取り囲むガードリング領域を形成するために、パターンマスクを用いて前記第1導電型のドーパントを前記基板に注入することが好適である。
【0025】
また、前記ドレイン領域形成ステップと同時に、前記ガードリング内の表面領域に前記第2導電型のソース領域を形成し、前記ソース領域と前記ドレイン領域は、前記ゲート電極を挟んで両側にそれぞれ配置されていることが好適である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、電界効果トランジスタにおけるブレークダウン特性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施の形態における半導体デバイスの基本構成を示す断面模式図である。
図2】本発明の実施の形態における半導体デバイスの基本構成を示す平面模式図である。
図3】本発明の実施の形態における半導体デバイスの基本構成における好適な寸法を示す図である。
図4】本発明の実施の形態における半導体デバイスの基本構成の製造方法を示す図である。
図5】本発明の実施の形態における半導体デバイスの基本構成のドリフト領域のドーパント濃度プロファイルを説明する図である。
図6】本発明の実施の形態における半導体デバイスの基本構成の特性を説明する図である。
図7】本発明の実施の形態における半導体デバイスの基本構成の特性を説明する図である。
図8】本発明の実施の形態における半導体デバイスの基本構成の特性を説明する図である。
図9】本発明の実施の形態における半導体デバイスを示す断面模式図である。
図10】本発明の実施の形態における半導体デバイスのドリフト領域のドーパント濃度プロファイルを説明する図である。
図11】本発明の実施の形態における半導体デバイスの製造方法を示す図である。
図12】本発明の実施の形態におけるドレイン領域を形成するためのレジスト層を示す図である。
図13】本発明の実施の形態におけるドレイン領域を形成するためのレジスト層を示す図である。
図14】本発明の実施の形態における半導体デバイスの特性を説明する図である。
図15】本発明の実施の形態における半導体デバイスの特性を測定した例を示す図である。
図16】変形例1における半導体デバイスを示す断面模式図である。
図17】変形例1におけるドレイン領域を形成するためのレジスト層を示す図である。
図18】変形例2における半導体デバイスを示す断面模式図である。
図19】変形例2における半導体デバイスを示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[基本構成]
図1は、非対称高耐圧電界効果トランジスタ(HVMOS:High Voltage MOS)を含む半導体デバイス100の基本構成の断面模式図を示す。図2は、半導体デバイス100の基本構成の平面模式図を示す。HVMOSは、例えば、動作電圧が20V以上60V以下であることが好適である。半導体デバイス100は、例えば、ディスプレイドライバに用いられる。図3は、半導体デバイス100の各部の寸法を示す。
【0029】
なお、図1及び図2は半導体デバイス100のHVMOSの基本構成を説明するための模式図であり、半導体デバイス100を構成する各部を強調して示しており、各部の平面方向の寸法及び厚さ方向の寸法は実際の比を示していない場合がある。また、図2では、説明を明確にするために半導体デバイス100の構成の一部(主として絶縁体層)を除外して記載している。
【0030】
また、以下の説明において、各部の好適な寸法は、半導体デバイス100の基本構成の断面模式図においてチャネルの移動方向に沿った長さ方向(X方向)及び膜厚方向(Z方向)に沿った寸法を示す。なお、幅方向(Y方向)に沿った寸法は、HVMOSにおいて必要とされる最大容量等に応じて適宜設定すればよい。
【0031】
半導体デバイス100は、半導体基板10、ドリフト領域12、ガードリング領域14、ソース領域16、ドレイン領域18、タップ領域20、絶縁領域22、絶縁領域24、ゲート絶縁層26及びゲート電極28を含んで構成される。
【0032】
以下、半導体デバイス100に含まれるHVMOSは、n型チャネルのHVMOSとして説明する。この場合、以下の説明において、第1導電型はp型であり、第1導電型の反対の第2導電型はn型である。ただし、半導体デバイス100に含まれるHVMOSは、n型チャネルのHVMOSに限定されるものではなく、p型チャネルのHVMOSとしてもよい。この場合、第1導電型はn型であり、第1導電型の反対の第2導電型はp型として読み替えればよい。
【0033】
半導体基板10は、半導体デバイス100が表面に形成される基板である。半導体基板10は、例えばシリコン基板することができる。半導体基板10は、第1導電型とする。
【0034】
ドリフト領域12は、半導体デバイス100の動作時において空乏層が形成されてキャリアがドリフトされる領域である。ドリフト領域12は、第1導電型とは反対の第2導電型とする。ドリフト領域12のドーパント濃度は、5×1016/cm以上5×1018/cm以下とすることが好適である。ドリフト領域12は、その一端がゲート電極28下の中央付近であり、他端がゲート電極28の端部から2.5μm以上4μm以下まで離れた位置とすることが好適である。
【0035】
ガードリング領域14は、半導体デバイス100のドリフト領域12、ゲート絶縁層26及びゲート電極28を含むデバイス領域を取り囲み、他の素子からHVMOSを分離するためのウェルである。ガードリング領域14は、第1導電型とする。ガードリング領域14のドーパント濃度は、5×1016/cm以上1×1018/cm以下とすることが好適である。また、ソース領域16が設けられる側のガードリング領域14はゲート絶縁層26及びゲート電極28に重なり合う領域まで延設され、当該領域はHVMOSの第1導電型のウェルとして機能する。
【0036】
ソース領域16は、半導体デバイス100のソースとなる領域である。ソース領域16は、ガードリング領域14内においてゲート絶縁層26及びゲート電極28に重畳した領域又は近接した領域に配置される。ソース領域16は、ドリフト領域12と同じ導電型、すなわち第2導電型とする。ソース領域16のドーパント濃度は、1×1019/cm以上1×1021/cm以下とすることが好適である。ソース領域16の長さ(X方向)は、0.6μm以上0.9μm以下とすることが好適である。
【0037】
ドレイン領域18は、半導体デバイス100のドレインとなる領域である。ドレイン領域18は、ドリフト領域12内においてゲート絶縁層26及びゲート電極28から離れた領域に配置される。ドレイン領域18は、ドリフト領域12と同じ導電型、すなわち第2導電型とする。ドレイン領域18のドーパント濃度は、1×1019/cm以上1×1021/cm以下とすることが好適である。ドレイン領域18の長さ(X方向)は、0.3μm以上0.5μm以下とすることが好適である。
【0038】
タップ領域20は、ガードリング領域14に電圧を印加するための領域である。タップ領域20は、ガードリング領域14内に形成され、ドリフト領域12、ゲート絶縁層26及びゲート電極28を含むデバイス領域を取り囲むように配置される。タップ領域20は、ガードリング領域14と同じ導電型、すなわち第1導電型とする。タップ領域20のドーパント濃度は、1×1019/cm以上1×1021/cm以下とすることが好適である。タップ領域20の長さ(X方向)は、0.3μm以上0.5μm以下とすることが好適である。
【0039】
絶縁領域22は、ドレイン領域18とゲート電極28との間の電界を緩和するために設けられる絶縁体領域である。絶縁領域22は、これに限定されるものではないが、シャロートレンチアイソレーション領域(STI領域)とすることができる。半導体基板10がシリコンである場合、絶縁領域22は、シリコン酸化膜(SiO)やシリコン窒化膜(SiN)等とすることができる。絶縁領域22は、ドリフト領域12内においてゲート絶縁層26及びゲート電極28と重なり合う領域からドレイン領域18に近接する領域までに亘って配置される。絶縁領域22の半導体基板10の深さ方向への厚さは250nm以上300nm以下とすることが好適である。また、絶縁領域22の長さ(X方向)は、2μm以上3μm以下とすることが好適である。また、絶縁領域22の長さ(X方向)の中央の位置がゲート電極28の端部付近に位置するように配置することが好適である。
【0040】
絶縁領域24は、半導体デバイス100の構成要素を互いに絶縁するための領域である。半導体基板10がシリコンである場合、絶縁領域24は、シリコン酸化膜(SiO)やシリコン窒化膜(SiN)等とすることができる。ソース領域16とタップ領域20との間に設けられた絶縁領域24の長さ(X方向)は、0.4μm以上0.8μm以下とすることが好適である。また、ドレイン領域18とタップ領域20との間に設けられた24の長さ(X方向)は、1.8μm以上3.2μmとすることが好適である。
【0041】
ゲート絶縁層26は、HVMOSのゲートを構成する絶縁層である。半導体基板10がシリコンである場合、ゲート絶縁層26は、シリコン酸化層(SiO)、シリコン窒化層(SiN)、シリコン酸窒化膜(SiOxNy)とすることができる。ゲート絶縁層26は、ガードリング領域14のウェル領域、ドリフト領域12の一部及び絶縁領域22に亘る領域上に設けられる。ゲート絶縁層26の膜厚は、70nm以上90nm以下とすることが好適である。
【0042】
ゲート電極28は、ゲート絶縁層26にゲート電圧を印加するための電極である。ゲート電極28は、多結晶シリコン層、金属層、シリサイド又はこれらの積層構造とすることができる。ゲート電極28は、ゲート絶縁層26上の領域に設けられる。ゲート電極28を多結晶シリコン層とした場合、ゲート電極28の膜厚は100nm以上200nm以下とすることが好適である。また、ゲート電極28のゲート領域の長さは2μm以上3μm以下とする。また、ゲート電極28の端部は絶縁領域22の中央付近まで延設することが好適である。なお、半導体基板10に対してゲート絶縁層26を介してゲート電極28が設けられている領域のうち、ソース領域16からドリフト領域12の端部までの領域がチャネル領域である。
【0043】
[基本構成の製造方法]
図4は、半導体デバイス100の製造方法を示す。図4は半導体デバイス100のHVMOSの製造方法を示す模式図であり、半導体デバイス100を構成する各部を強調して示しており、各部の平面方向の寸法及び厚さ方向の寸法は実際の比を示していない場合がある。
【0044】
以下、n型チャネルのHVMOSを含む半導体デバイス100の製造方法について説明する。半導体基板10は、第1導電型としてp型にドーピングされたシリコン基板として説明する。なお、p型チャネルのHVMOSを含む半導体デバイス100とする場合、第1導電型をn型、第2導電型をp型として読み替えればよい。
【0045】
ステップS10では、ドリフト領域12へのドーパントのイオン注入処理によって注入領域12aが形成される。半導体基板10の表面においてドリフト領域12に対応する領域が開口領域であるマスクとして機能するレジスト層Rを形成する。レジスト層Rは、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングすることができる。第2導電型がn型である場合、レジスト層Rをマスクとして、n型ドーパント(燐P又は砒素As)を半導体基板10の表面にイオン注入する。ここでは、浅い領域へのイオン注入と、当該浅い領域へのイオン注入よりも高い注入エネルギーを用いたより深い領域へのイオン注入とを組み合わせた2段階注入を行うことが好適である。例えば、浅い領域へのイオン注入では、燐P(又は砒素As)を200keV以上300keV以下のイオン注入エネルギーで1×1012以上2×1012/cmの密度となるようにイオン注入する。また、より深い領域へのイオン注入では、600keV以上700keV以下のイオン注入エネルギーで4×1012以上6×1012/cmの密度となるようにイオン注入する。ただし、イオン注入されるドーパントの密度、注入深さ等はHVMOSのサイズや特性に応じて適宜設定すればよい。イオン注入後、レジスト層Rは除去する。
【0046】
ステップS12では、ガードリング領域14へのドーパントのイオン注入処理が行われる。半導体基板10においてガードリング領域14に対応する領域が開口領域となるようにレジスト層Rを形成する。レジスト層Rは、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングすることができる。第1導電型がp型である場合、レジスト層Rをマスクとして、p型ドーパント(ボロンB又は二フッ化ボロンBF)を半導体基板10の表面にイオン注入する。ここでは、浅い領域へのイオン注入と、当該浅い領域へのイオン注入よりも高い注入エネルギーを用いたより深い領域へのイオン注入とを組み合わせた2段階注入を行うことが好適である。例えば、浅い領域へのイオン注入では、ボロンB(又は二フッ化ボロンBF)を100keV以上150keV以下のイオン注入エネルギーで1×1012以上2×1012/cmの密度となるようにイオン注入する。また、より深い領域へのイオン注入では、300keV以上400keV以下のイオン注入エネルギーで1×1013以上2×1013/cmの密度となるようにイオン注入する。ただし、イオン注入されるドーパントの密度、注入深さ等はHVMOSのサイズや特性に応じて適宜設定すればよい。イオン注入後、レジスト層Rは除去する。
【0047】
ステップS14では、イオン拡散処理が行われる。ドリフト領域12及びガードリング領域14へドーパントを注入した後、半導体基板10を900℃~1300℃程度の高温でアニール(加熱)することによって半導体基板10内にドーパントを拡散させる。例えば、1100℃で5時間~7時間のアニール処理を行う。ただし、加熱温度及び時間は、HVMOSのサイズや特性に応じて適宜設定すればよい。第2導電型のドーパントが拡散した領域はドリフト領域12となり、第1導電型のドーパントが拡散した領域はガードリング領域14となる。
【0048】
図5は、ドリフト領域12及びその周辺領域の第2導電型のドーパントの拡散状態を示す。ステップS10において第2導電型のドーパントは領域X2~X5の範囲に亘って均一に注入される。その後、ステップS14におけるアニールによってドーパントは拡散し、領域X1~X6の範囲に拡がる。当該ドーパントの拡散によって、ドリフト領域12及びその周辺領域のドーパント濃度は境界領域X1~X3及び境界領域X4~X6においてなだらかに変化するプロファイルとなる。
【0049】
ステップS16では、絶縁領域22及び絶縁領域24が形成される。絶縁領域22及び絶縁領域24は、マスクを利用した既存のLOCOSプロセス又はSTIプロセスによって形成することができる。LOCOSプロセスでは、シリコン酸化膜(SiO)やシリコン窒化膜(SiN)をマスクとして、酸素(O)を供給しつつ半導体基板10を加熱することによって半導体基板10の表面においてマスクの開口領域を熱酸化することによって絶縁領域22又は絶縁領域24を形成することができる。また、STIプロセスでは、開口領域をトレンチエッチングし、その溝内に高密度プラズマCVD等を用いて絶縁膜を埋め込んだ後、当該領域を化学機械研磨法(CMP)で平坦化することで絶縁領域22又は絶縁領域24を形成することができる。
【0050】
ステップS18では、ゲート絶縁層26及びゲート電極28が形成される。ゲート絶縁層26の形成方法は、特に限定されるものではないが、酸素(O)等の酸素含有ガスや窒素(N)等の窒素含有ガスを用いた熱酸化法等を適用することができる。また、ゲート絶縁層26上にゲート電極28が形成される。ゲート電極28の形成方法は、特に限定されるものではないが、多結晶シリコン層とする場合にはシラン(SiH)等のシリコン含有ガスを用いた化学気相成長法(CVD法)とすることができる。ゲート電極28を金属層とする場合、蒸着法、スパッタリング法、化学気相成長法(CVD法)等を適用することができる。また、ゲート電極28をシリサイドとする場合、Ti,Ta,Co,Ni等の金属を多結晶シリコン上に堆積させて熱処理する、高融点金属とシリコンとを同時にスパッタリングして堆積される方法等を適用することができる。なお、ゲート電極28下の領域以外のゲート絶縁層26は、フォトリソグラフィによって形成したマスクを利用してゲート電極28を形成する前にゲート電極28の領域以外の領域をエッチングして除去する。このとき、残されるゲート絶縁層26の領域は、ゲート電極28の領域より0.1μm~0.15μm程度の重ねマージン分だけ広くしてもよい。
【0051】
ステップS20では、ソース領域16、ドレイン領域18及びタップ領域20が形成される。ソース領域16及びドレイン領域18には、第2導電型のドーパントのイオン注入処理が行われる。半導体基板10の表面においてソース領域16及びドレイン領域18に対応する領域が開口領域となるようにレジスト層Rを形成する。レジスト層Rは、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングすることができる。第2導電型がn型である場合、レジスト層Rをマスクとして、n型ドーパント(燐P又は砒素As)を半導体基板10の表面にイオン注入する。例えば、砒素Asを20keV以上50keV以下のイオン注入エネルギーで2×1015以上5×1015/cmの密度となるようにイオン注入する。さらに、例えば、燐Pを30keV以上40keV以下のイオン注入エネルギーで5×1013以上1×1014/cmの密度となるようにイオン注入する。イオン注入後、レジスト層Rは除去する。次に、タップ領域20には、第1導電型のドーパントのイオン注入処理が行われる。半導体基板10の表面においてタップ領域20に対応する領域が開口領域となるようにレジスト層Rを形成する。レジスト層Rは、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングすることができる。第1導電型がp型である場合、レジスト層Rをマスクとして、p型ドーパント(ボロンB又は二フッ化ボロンBF)を半導体基板10の表面にイオン注入する。例えば、二フッ化ボロンBFを10keV以上20keV以下のイオン注入エネルギーで1.5×1015以上3×1015/cmの密度となるようにイオン注入する。さらに、例えば、ボロンBを10keV以上20keV以下のイオン注入エネルギーで2×1013以上5×1013/cmの密度となるようにイオン注入する。イオン注入後、レジスト層Rは除去する。その後、半導体基板10を900℃~1100℃程度の高温でアニール(加熱)することによって半導体基板10内にドーパントを拡散させる。例えば、1000℃で20秒~30秒のアニール処理を行う。
【0052】
以上のプロセスによって、半導体基板10のHVMOSの基本構成を形成することができる。
【0053】
[基本構成の特性]
図6は、半導体基板10のHVMOSに対してブレークダウン電圧を測定するためにソース領域16、ドレイン領域18、タップ領域20(Pウェル領域)及びゲート電極28に電圧を印加した状態を示す。ソース領域16、タップ領域20及びゲート電極28には0Vを印加し、ドレイン領域18には0から徐々に正電圧を高くしていくように電圧を印加した。
【0054】
ドレイン領域18への正電圧が高くなるにつれて、ゲート電極28下のドリフト領域12内における絶縁領域22よりゲート電極28側の領域Aに電界が集中し、ブレークダウンが発生した。この場合、ドリフト領域12の高いドーパント濃度は、電界の集中を悪化させる。すなわち、高いブレークダウン電圧を実現するためには、ドリフト領域12のドーパント濃度を低下させる必要がある。
【0055】
一方、半導体基板10のHVMOSでは、ゲート電極28及びドレイン領域18の両方に対して同時に高い電圧が印加された動作状態における特性についても考慮する必要がある。
【0056】
そこで、図7に示すように、ゲート電極28とドレイン領域18とを電気的に接続し、ゲート電極28及びドレイン領域18の両方に対して0から徐々に正電圧を高くしていくように電圧を印加したときについて検討する。
【0057】
この場合、ドリフト領域12内のドレイン領域18の下、すなわちドリフト領域12内において絶縁領域22よりドレイン領域18側の領域Bに電界が集中し、ブレークダウンが発生した。この場合、ドリフト領域12の低いドーパント濃度は、電界の集中を悪化させる。すなわち、高いブレークダウン電圧を実現するためには、ドリフト領域12のドーパント濃度を増加させる必要がある。もし、ドレイン領域18下の領域において、ドレイン領域18よりもドーパント濃度が低く、ドリフト領域12よりもドーパント濃度が高いウェル領域を設けた場合、領域Bは当該ウェル領域下となる。当該ウェル領域を設けることでブレークダウン電圧は高くなるが、ドリフト領域12の低いドーパント濃度が領域Bの電界集中を悪化させる点は同じである。
【0058】
このように、両方の動作状態においてHVMOSのブレークダウン電圧を高く維持することは困難である。ブレークダウン電圧を向上させるためには、図8に示すチャネル長L1及びL2を長くすればよいが、チャネル長L1及びL2を長くするとMOS面積の増大やドレイン-ソース間の電流IDSが低下してしまうという別の問題が生ずる。
【0059】
[第1の実施の形態における構成]
図9は、第1の実施の形態における非対称高耐圧電界効果トランジスタ(HVMOS:High Voltage MOS)を含む半導体デバイス200の断面模式図を示す。半導体デバイス200の平面図は、図2に示した半導体デバイス100の基本構成と同様である。HVMOSは、例えば、動作電圧が20V以上60V以下であることが好適である。半導体デバイス200は、例えば、ディスプレイドライバに用いられる。
【0060】
なお、図9は半導体デバイス200のHVMOSの構成を説明するための模式図であり、半導体デバイス200を構成する各部を強調して示しており、各部の平面方向の寸法及び厚さ方向の寸法は実際の比を示していない場合がある。
【0061】
本実施の形態における半導体デバイス200は、半導体基板10、ドリフト領域30、ガードリング領域14、ソース領域16、ドレイン領域18、タップ領域20、絶縁領域22、絶縁領域24、ゲート絶縁層26及びゲート電極28を含んで構成される。半導体デバイス200は、ドリフト領域12に代えて、ドリフト領域30が設けられている以外は半導体デバイス100と同様の構成を有する。したがって、以下の説明では、主としてドリフト領域30について説明し、他の構成要素については説明を省略する。
【0062】
なお、半導体デバイス200に含まれるHVMOSは、n型チャネルのHVMOSとして説明する。この場合、以下の説明において、第1導電型はp型であり、第1導電型の反対の第2導電型はn型である。ただし、半導体デバイス200に含まれるHVMOSは、n型チャネルのHVMOSに限定されるものではなく、p型チャネルのHVMOSとしてもよい。この場合、第1導電型はn型であり、第1導電型の反対の第2導電型はp型として読み替えればよい。
【0063】
ドリフト領域30は、半導体デバイス200の動作時において空乏層が形成されてキャリアがドリフトされる領域である。ドリフト領域30は、第1導電型とは反対の第2導電型とする。ドリフト領域30のドーパント濃度は、5×1016/cm以上5×1018/cm以下とすることが好適である。ドリフト領域30は、その一端がゲート電極28下の中央付近であり、他端がゲート電極28の端部から2.5μm以上4μm以下まで離れた位置とすることが好適である。
【0064】
図10は、半導体デバイス200のドリフト領域30及びその周辺領域のドーパント濃度のプロファイルを示す。本実施の形態における半導体デバイス200のドリフト領域30は、上記基本構成の半導体デバイス100のドリフト領域12と比べてドーパント濃度のプロファイルが異なる。基本構成の半導体デバイス100のドリフト領域12では、ゲート電極28下のドリフト領域12の端部からドーパント濃度が単調増加するプロファイルである。これに対して、半導体デバイス200のドリフト領域30では、ゲート電極28下のドリフト領域30の端部からドーパント濃度が増加するが、一旦その増加率が低下した後、再び増加率が大きくなるようなプロファイルである。
【0065】
すなわち、図10に示すように、ゲート電極28の領域下のドリフト領域30の端部の位置X1から絶縁領域22に向かって絶縁領域22の近傍の位置X2まで徐々にドーパント濃度は第1の濃度N1まで増加する。続いて、ドーパントの増加率は低下して、絶縁領域22の近傍の位置X2から絶縁領域22の端部付近の位置X7に亘ってドーパント濃度はほぼ第1の濃度N1で維持される。その後、ドーパントの増加率は再び大きくなり、位置X7から絶縁領域22の領域下の位置X8を介して位置X9に向けて徐々にドーパント濃度は第2の濃度N2まで増加する。ドーパントの第2の濃度N2は第1の濃度N1より高い値である。そして、位置X9からドレイン領域18下の位置X10を介してドレイン領域18を超えた位置X4に亘ってドーパント濃度は第2の濃度N2を維持し、位置X4からドリフト領域30とガードリング領域14の境界領域を超えた位置X6に向けて徐々にドーパント濃度が低下する。なお、ドリフト領域30とガードリング領域14との境界付近では、ガードリング領域14側にイオン注入された第1導電型のドーパントとドリフト領域30側にイオン注入された第2導電型のドーパントとが相殺されており、全体として第1導電型のガードリング領域14と第2導電型のドリフト領域30との境界が決定される。
【0066】
なお、本実施の形態では、ゲート電極28下及びその近傍領域においてドーパント濃度が濃度N1から濃度N2へ明確に階段状に変化するプロファイルとしたが、これに限定されるものではなく、ドーパント濃度の増加率が一旦低下した後に増大するようなプロファイルであればよい。すなわち、ゲート電極28下及びその近傍においてドーパント濃度が濃度N1から濃度N2へ変化する領域においてドーパント濃度の変化に変曲点を有することが好適である。また、位置X2から位置X7に亘る領域のドーパント濃度は、第1の濃度N1で一定であってもよいし、微増又は微減してもよい。
【0067】
[第1の実施の形態における製造方法]
図11は、半導体デバイス200の製造方法を示す。図11は半導体デバイス200のHVMOSの製造方法を示す模式図であり、半導体デバイス200を構成する各部を強調して示しており、各部の平面方向の寸法及び厚さ方向の寸法は実際の比を示していない場合がある。
【0068】
以下、n型チャネルのHVMOSを含む半導体デバイス200の製造方法について説明する。半導体基板10は、第1導電型としてp型にドーピングされたシリコン基板として説明する。なお、p型チャネルのHVMOSを含む半導体デバイス200とする場合、第1導電型をn型、第2導電型をp型として読み替えればよい。
【0069】
なお、半導体デバイス200の製造方法において、基本構成の半導体デバイス100と異なるのはドリフト領域30の形成ステップのみである。したがって、以下の説明では、主としてドリフト領域30の形成ステップについて説明し、他の構成要素の形成ステップについては説明を省略する。
【0070】
ステップS30では、ドリフト領域30へのドーパントのイオン注入処理によって注入領域30aが形成される。半導体基板10の表面においてドリフト領域30に対応する領域が2つの開口領域となるようにレジスト層Rを形成する。すなわち、チャネルの移動方向であるX方向に沿って少なくとも分離された2つの開口領域を有するようにレジスト層Rを形成する。レジスト層Rは、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングすることができる。
【0071】
図12は、レジスト層Rの開口領域及びドーパントがイオン注入された注入領域30aの領域と、最終的に形成されるドリフト領域30のドーパント濃度のプロファイルと、との関係を示す。注入領域30aは、上記説明における位置X2から位置X7に亘る領域及び位置X8から位置X5に亘る領域とする。位置X2から位置X7に亘る領域は、位置X8から位置X5に亘る領域より狭い領域とする。ここで、位置X7から位置X8に設けられるレジスト層Rの長さ(X方向)は、例えば1.2μm以下とすることが好適である。また、開口領域となる位置X2から位置X7の領域の長さ(X方向)は、例えば1.2μm以下とすることが好適である。
【0072】
図13(a)及び図13(b)は、レジスト層Rの平面のレイアウトの例を示す。図13(a)に示すように、開口領域となる位置X2から位置X7の領域は、別の開口領域となる位置X8から位置X5の領域と完全に分離されるようにレジスト層Rを形成してもよい。また、図13(b)に示すように、位置X7から位置X8のレジスト層Rを島状に形成し、開口領域となる位置X2から位置X7の領域と位置X8から位置X5の領域とが接続されたレジスト層Rを形成してもよい。このとき、島状のレジスト層Rの幅Wr(Y方向)は、チャネル領域の幅の80%以上、又は、レジスト層Rの開口領域の幅W(Y方向)の70%以上とすることが好適である。
【0073】
なお、島状のレジスト層Rは幅方向に沿って2つ以上に分割してもよい。この場合、分割された島状のレジスト層Rの幅Wr(Y方向)の合計値がチャネル領域の幅の80%以上、又は、レジスト層Rの開口領域の幅W(Y方向)の70%以上とすることが好適である。
【0074】
第2導電型がn型である場合、レジスト層Rをマスクとして、n型ドーパント(燐P又は砒素As)を半導体基板10の表面にイオン注入して注入領域30aを形成する。ここでは、浅い領域へのイオン注入と、当該浅い領域へのイオン注入よりも高い注入エネルギーを用いたより深い領域へのイオン注入とを組み合わせた2段階注入を行うことが好適である。例えば、浅い領域へのイオン注入では、燐P(又は砒素As)を200keV以上300keV以下のイオン注入エネルギーで1×1012以上2×1012/cmの密度となるようにイオン注入する。また、より深い領域へのイオン注入では、600keV以上700keV以下のイオン注入エネルギーで4×1012以上6×1012/cmの密度となるようにイオン注入する。ただし、イオン注入されるドーパントの密度、注入深さ等はHVMOSのサイズや特性に応じて適宜設定すればよい。イオン注入後、レジスト層Rは除去する。
【0075】
以下、ステップS12~ステップS20については、上記半導体デバイス100と同様に処理を行えばよい。
【0076】
ステップS30においてドリフト領域30に注入されたドーパントは、ステップS14のイオン拡散処理によって半導体基板10内に拡散され、図10において説明した半導体デバイス200のドリフト領域30におけるドーパント濃度のプロファイルが実現される。
【0077】
[第1の実施の形態における特性]
以下、図14を参照しつつ、本実施の形態における半導体デバイス200の特性について説明する。図14では、半導体デバイス200のドリフト領域30におけるドーパント濃度のプロファイルを太実線で示し、比較のために半導体デバイス100のドリフト領域12のドーパント濃度のプロファイルを太破線で示している。
【0078】
半導体デバイス200では、ゲート電極28下のドリフト領域30内における絶縁領域22よりゲート電極28側の領域Aのドーパント濃度は、基本構成の半導体デバイス100の領域Aにおけるドーパント濃度よりも低い。したがって、半導体デバイス200において、ソース領域16、タップ領域20及びゲート電極28には0Vを印加し、ドレイン領域18には0から徐々に正電圧を高くしていくように電圧を印加した場合、領域Aへの電界の集中は基本構成の半導体デバイス100より緩和される。そうすると、領域Aにおいて、基本構成の半導体デバイス100に対して本実施の形態における半導体デバイス200ではブレークダウン電圧は向上する。
【0079】
一方、半導体デバイス200では、ドリフト領域30内のドレイン領域18の下、すなわちドリフト領域30内において絶縁領域22よりドレイン領域18側の領域Bのドーパント濃度は、基本構成の半導体デバイス100の領域Bにおけるドーパント濃度と等しい。したがって、ゲート電極28とドレイン領域18とを電気的に接続し、ゲート電極28及びドレイン領域18の両方に対して0から徐々に正電圧を高くしていくように電圧を印加した場合、基本構成の半導体デバイス100に対して本実施の形態における半導体デバイス200では領域Bにおける電界の集中は変化しない。そうすると、領域Bにおいて、基本構成の半導体デバイス100に対して本実施の形態における半導体デバイス200ではブレークダウン電圧は変わらない。
【0080】
すなわち、領域Bにおけるブレークダウン電圧を維持したまま、領域Aにおけるブレークダウン電圧を向上させることができる。また、ブレークダウン電圧を向上させるためにソース16領域からドリフト領域30までのチャネル長やドリフト領域30の長さを伸ばす必要がなく、ドレイン-ソース間の電流IDSの低下を防ぐことができる。
【0081】
図15は、基本構成の半導体デバイス100及び本実施の形態の半導体デバイス200についてブレークダウン電圧を測定した結果を示す。具体的には、注入領域30aの端の位置X2から絶縁領域22のゲート電極28側の端部までの距離Aを0.4μmとし、絶縁領域22の長さXを2.4μm~3.4μmとして本実施の形態の半導体デバイス200を形成した場合の結果を示している。図15(a)は、基本構成の半導体デバイス100の測定結果を示す。図15(b)は、本実施の形態の半導体デバイス200の測定結果を示す。なお、図15(b)は、半導体デバイス200の製造工程のステップS30のイオン注入処理において、位置X7から位置X8に設けられるレジスト層Rの長さを0.8μmとし、開口領域となる位置X2から位置X7の領域の長さを0.8μmとした場合についての測定結果を示している。
【0082】
図15(a)に示すように、基本構成の半導体デバイス100では、ゲート電圧が1.6V程度においてブレークダウンが生じた(図中の丸印)。これに対して、図15(b)に示すように、本実施の形態の半導体デバイス200では、ゲート電圧が4Vとなるまでブレークダウンは生じなかった。
【0083】
なお、ゲート電圧を0Vとしてドレイン電圧を上昇させると約58Vでブレークダウンが生じた。これに対して、同等の寸法で基本構成の半導体デバイス100を形成した場合、ゲート電圧を0Vとしてドレイン電圧を上昇させると約51Vでブレークダウンが生じた。
【0084】
[変形例1]
図16は、変形例1における半導体デバイス202の構成を示す断面模式図である。半導体デバイス202では、ドレイン領域18に対して線対称に2つのHVMOSが配置されている。すなわち、半導体デバイス202では、2つのHVMOSにおいて1つのドレイン領域18が共有されている。
【0085】
この場合、ステップS30のドリフト領域30へのドーパントのイオン注入処理において、図17に示すように、2つのHVMOSのゲート電極28下においてドーパント濃度が低い領域が形成されるようにレジスト層Rの開口領域を設ければよい。なお、図17には、イオン注入及びイオン拡散処理によって最終的に形成されるドリフト領域30内のドーパント濃度のプロファイルを併せて示している。
【0086】
本変形例のように、2つのHVMOSにおいてドレイン領域18を共通に設けた構成においても、ドレイン領域18近傍におけるブレークダウン電圧を低下させることなく、ゲート電極28下におけるブレークダウン電圧を向上させることができる。
【0087】
[変形例2]
図18は、変形例2における半導体デバイス204の構成を示す断面模式図である。図18には、ドリフト領域30内のドーパント濃度のプロファイルを併せて示す。
【0088】
半導体デバイス204では、絶縁領域22が設けられていない点において上記実施の形態の半導体デバイス200と異なる。半導体デバイス204は、ステップS16において絶縁領域22を形成しないことによって実現することができる。
【0089】
半導体デバイス204では、ドリフト領域30のゲート電極28と重畳する領域の長さL3(X方向)は、例えば0.3μm以上0.6μm以下とすることが好適である。また、ゲート電極28の端部からドレイン領域18までの距離L4(X方向)は、2μm以上3μm以下とすることが好適である。
【0090】
半導体デバイス204によれば、上記実施の形態の半導体デバイス200と同様に、ゲート電極28下及びその近傍のドリフト領域30内のドーパント濃度を他の領域のドーパント濃度より低くすることによって、ドーパント濃度のプロファイルを平坦にした場合に比べてブレークダウン特性を改善することができる。
【0091】
[変形例3]
図19は、変形例3における半導体デバイス206の構成を示す断面模式図である。図19には、ドリフト領域30内のドーパント濃度のプロファイルを併せて示す。
【0092】
半導体デバイス206では、ドリフト領域30とドレイン領域18との間に中間ドープ領域32が設けられている。中間ドープ領域32におけるドーパント濃度は、ドリフト領域30のドーパント濃度より高く、ドレイン領域18のドーパント濃度より低くする。
【0093】
中間ドープ領域32は、ステップS16とステップS18の間において中間ドープ領域32を開口領域とするレジスト層Rを形成したうえで、ドリフト領域30より高いドーパント濃度かつドレイン領域18のドーパント濃度より低くなるように第2導電型のドーパントをイオン注入することによって形成することができる。
【0094】
本変形例では、ドリフト領域30のゲート電極28と重畳する領域の長さL3(X方向)は、例えば0.3μm以上0.6μm以下とすることが好適である。また、ゲート電極28の端部からドレイン領域18までの距離L4(X方向)は、2μm以上3μm以下とすることが好適である。また、ドリフト領域30を取り囲む中間ドープ領域32の幅L5(X方向)は0.1μm以上0.2μmとすることが好適である。
【0095】
半導体デバイス206によれば、ドリフト領域30とドレイン領域18との間に中間ドープ領域32を配置することによって、ドレイン領域18の近傍における電界の集中をより緩和することができる。したがって、ドレイン領域18の近傍におけるブレークダウン電圧をより向上させることができる。
【符号の説明】
【0096】
10 半導体基板、12 ドリフト領域、14 ガードリング領域、16 ソース領域、18 ドレイン領域、20 タップ領域、22 絶縁領域、24 絶縁領域、26 ゲート絶縁層、28 ゲート電極、30 ドリフト領域、32 中間ドープ領域、100,200,202,204,206 半導体デバイス。
図1
図2
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