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特許7253534低ヘイズで色安定なスチレン系ポリマーの調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-29
(45)【発行日】2023-04-06
(54)【発明の名称】低ヘイズで色安定なスチレン系ポリマーの調製方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 297/04 20060101AFI20230330BHJP
   C08L 53/02 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
C08F297/04
C08L53/02
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020512413
(86)(22)【出願日】2018-08-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 EP2018073185
(87)【国際公開番号】W WO2019043033
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-08-16
(31)【優先権主張番号】17188830.8
(32)【優先日】2017-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516008383
【氏名又は名称】イネオス・スタイロリューション・グループ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】バースワイベル, ミヒエル
(72)【発明者】
【氏名】ニースナー, ノルベルト
(72)【発明者】
【氏名】モールス, ライナー
(72)【発明者】
【氏名】ノル, コンラッド
(72)【発明者】
【氏名】ファン デン ボッシェ, バルト
(72)【発明者】
【氏名】カメルリンク, クリストフ
【審査官】岡部 佐知子
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-298881(JP,A)
【文献】特開2003-026723(JP,A)
【文献】特開平04-227903(JP,A)
【文献】特開昭53-008688(JP,A)
【文献】特開平06-128340(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102004011345(DE,A1)
【文献】米国特許第03801520(US,A)
【文献】特表2020-531668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 297/04
C08L 53/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニオン重合によるビニル芳香族モノマーのホモポリマー又はブロックコポリマーの調製方法であって、
少なくとも1つのビニル芳香族モノマー及び任意に少なくとも1つの共役ジエンを、反応器中で、有機リチウム開始剤の存在下で、不活性非極性溶媒中で、重合し、続いて、得られた「リビング」ポリマー鎖を停止剤で不活性化して、ポリマー溶液を得るステップ(i)と、
ステップ(i)で得られた前記ポリマー溶液を第1のフィルターに通すステップ(ii)と、
ステップ(ii)で得られた前記ポリマー溶液を、水が添加される分散装置に連続モード又は不連続モードで供給するステップ(iii)と、
ステップ(iii)で得られた前記ポリマー溶液をバッファー容器に供給するステップ(iv)と、
前記バッファー容器から連続的に引き出された前記ポリマー溶液を、さらなる水、二酸化炭素、及び1つ以上の安定化剤の添加による含浸のために、スタティックミキサーに供給するステップ(v)と、を含み、
前記少なくとも1つのビニル芳香族モノマーが、スチレン又は少なくとも1つの官能化スチレン誘導体であり、
前記少なくとも1つの共役ジエンが、1,3-ブタジエン又はイソプレンであり、
ステップ(iv)に続いて、前記方法は連続モードで実行され、
ステップ(ii)において、
前記第1のフィルターには水が存在せず、
前記第1のフィルターは、200~1500μmのメッシュサイズを有し、
前記ポリマー溶液の流量は、50~130℃の温度で10~500m/hであり、
ステップ(iii)において、
前記分散装置は、200~1500μmのメッシュサイズを有する第2のフィルター、スタティックミキサー、又は、プロセスチューブであって、前記プロセスチューブの特性長、前記ポリマー溶液の速度、密度、及び動粘度が、2300超のレイノルズ数を有する遷移流又は乱流が生じるように選択され、
水は、0.01~0.50L/mポリマー溶液ポリマー溶液の量で添加され、
ステップ(v)の前に、前記バッファー容器から連続的に引き出された前記ポリマー溶液が第3のフィルターにより濾過され、
ステップ(v)において、
追加の前記水の流量は、0.05L/mポリマー溶液超であり、かつ
前記二酸化炭素の流量は、5L/mポリマー溶液超であり、かつ
ステップ(iii)及び(v)において、前記水のpHは5~7の範囲にある、方法。
【請求項2】
前記反応器がバッチ反応器である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(iii)において、前記分散装置がフィルターである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(iii)において、前記分散装置がプロセスフローパーツである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(iii)において、前記分散装置が、0.05~1.0mの特性長を有するプロセスチューブであり、前記ポリマー溶液が、1.0~10.0m/sの速度、750~900kg/mの密度、及び60~80℃の温度で0.01~10Ns/mの動粘度を有する、請求項1、2又は4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(iii)において、前記分散装置が、0.05~5mの特性長を有するプロセスチューブであり、前記ポリマー溶液が、1.0~10.0m/sの速度、750~900kg/mの密度、及び60~95℃の温度で0.01~10Ns/mの動粘度を有する、請求項1、2又は4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(ii)及び(iii)において、前記フィルターがバッグフィルターである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(ii)において、前記フィルターの前記メッシュサイズが500~1000μmである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(iii)において、前記水が0.05~0.20L/mポリマー溶液の量で添加される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(v)で得られた前記ポリマー溶液がさらなるバッファー容器に供給される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第3のフィルターは、メッシュサイズが50μm~300μmのカートリッジフィルターである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(v)において、前記安定化剤は、流量が1~8L/mポリマー溶液の溶液として添加される、請求項1~1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(v)において、前記安定化剤が非極性溶媒に溶解され、1つ以上の前記安定化剤のそれぞれの濃度が3.5~15重量%の範囲にある、請求項1~1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(v)において、可塑剤が、0.1~30L/mポリマー溶液の注入流で添加される、請求項1~1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(v)において、追加の前記水の流量は、0.10L/m ポリマー溶液超である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ステップ(v)において、前記二酸化炭素の流量は、10~20L/m ポリマー溶液である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常に低いヘイズのスチレン系ポリマー、特に直鎖状又は分岐状スチレン-ブタジエンブロックコポリマー(SBC)の調製方法、該方法によって得られる(コ)ポリマー、該(コ)ポリマーを含むブレンド及びそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アニオン重合によって合成される透明ポリマー材料(SBCなど)の塩は、それらの光学特性に非常に望ましくない影響を与える可能性がある(すなわち、ヘイズの増加と光散乱による透明度の減少)。これらの塩は、重合混合物の停止中に、停止剤としての(直鎖状ポリマーを生成する)アルコール又は(カップリングされたポリマーを生成する)多官能性カップリング剤によって形成される。更に、微量の水分が反応器に浸透し、ポリマーのリビング鎖末端と反応すると、重合反応中に塩が形成される可能性がある。また、意図しない副反応、例えば、アルキルリチウム開始剤と以前のバッチの停止剤からの残渣との反応から生じる塩は、最終的なポリマー樹脂の光学特性に影響を与える可能性がある。
【0003】
該停止剤又はカップリング剤の添加後、通常、アルコラート基-OLiを有するこれらの剤の塩が形成される。通常、加水分解中に形成されたリチウム塩(主にLiCO及びLiHCO)が可視光(>350nm)の波長の領域の寸法を有する粒子に凝集する結果として、散乱が生じ、材料は、特に相当量のリチウム開始剤が使用される場合、その透明性を(部分的に)失い、ヘイズが増加する。
【0004】
米国特許第3,801,520号は、カップリングされたリチウム化合物開始ポリマー、特に分岐状SBCブロックコポリマーの二酸化炭素と水処理に関し、ここで、CO及びHOは、フェノール系安定化剤との接触前に、好ましくは、任意の安定化剤との接触前に添加され、変色を強く低減させる。カップリング剤の添加後にCO及びHOをポリマー溶液に添加し、続いて得られた混合物を十分に撹拌して、ポリマー溶液上で炭化水を乳化させる。得られたポリマーは改善された明るい色を有するが、ヘイズはまだ改善の必要がある。
【0005】
特開2002-060414号公報は、有機リチウム開始剤の存在下でビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを重合して得られるポリマー溶液に含まれる触媒残渣を中和することによりポリマーを安定化する方法を開示している。ポリマー溶液に含まれるリビングポリマー鎖は、水又はアルコールによって不活性化し、次いで、パイプ又は混合タンクを使用して二酸化炭素ガスがポリマー溶液に直接吹き込まれる。
【0006】
Liイソプロポキシド及びLi水酸化物などの不溶性Li塩の壁堆積物の形成を防ぐために、米国特許出願公開第2004/0014915号は、有機リチウム開始剤の存在下で、スチレン及び任意にブタジエンのアニオン重合と、その後のn-アルキルグリシジルエーテル、ジアルキルケトン又はイソプロパノールによる「リビング」ポリマー鎖の停止による、スチレンの直鎖状ホモポリマー又はブロックコポリマーの調製方法を開示している。得られたポリマー溶液に、CO(特にドライアイスとして)及び水を加え、その後振盪する。最終的なポリマー溶液は無色であるが、イソプロパノールの場合は非常に濁っている。
【0007】
独国特許出願公開第102004011345号は、有機リチウム開始剤の存在下で、アニオン重合された直鎖状スチレン-ブタジエン-ブロックコポリマーのポリマー溶液を後処理する方法を開示しており、ここで、ポリマーは、カップリング剤又は連鎖停止剤、特にイソプロパノールなどのアルコールにより不活性化し、次いで、得られたポリマー溶液の全後処理が、カーボネート媒体中で行われる。ポリマー溶液に含まれる、形成されたLiアルコラートは、事前に混合された(気体の)CO及び水を使用して酸性化及び加水分解される。添加方法については詳細には説明しない。得られたポリマーは、著しく低い斑点と低い黄色度を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の1つの目的は、非常に低いヘイズと良好な色安定性を有するポリマー又はブロックコポリマーをもたらす有機リチウム開始剤の存在下での、ビニル芳香族モノマー及び所望により共役ジエンのアニオン(共)重合のための改善された方法を提供することである。本発明のさらなる目的は、該ポリマーの調製のための連続含浸方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、アニオン重合によるビニル芳香族モノマーのホモポリマー又はブロックコポリマーの調製方法であって、
少なくとも1つのビニル芳香族モノマー及び任意に少なくとも1つの共役ジエンを、反応器、好ましくはバッチ反応器中で、有機金属開始剤、特に有機リチウム開始剤の存在下で、不活性非極性溶媒中で、重合し、続いて、得られた「リビング」ポリマー鎖を停止剤で不活性化して、ポリマー溶液を得るステップ(i)と、
ステップ(i)で得られたポリマー溶液を第1のフィルターに通すステップ(ii)と、
ステップ(ii)で得られたポリマー溶液を、水が添加される分散装置に連続モード又は不連続モードで供給するステップ(iii)と、
ステップ(iii)で得られたポリマー溶液をバッファー容器に供給するステップ(iv)と、
バッファー容器から連続的に引き出されたポリマー溶液を、さらなる水、二酸化炭素、及び1つ以上の安定化剤の添加による含浸のために、スタティックミキサーに供給するステップ(v)と、を含み、
ステップ(iv)に続いて、方法は連続モードで実行され、
ステップ(ii)において、
第1のフィルターには水が存在せず、
第1のフィルター、好ましくはバッグフィルターは、200~1500μmのメッシュサイズを有し、
ポリマー溶液の流量は、50~130℃の温度で10~500m/hであり、
ステップ(iii)において、
分散装置は、200~1500μmのメッシュサイズを有する第2のフィルター、好ましくはバッグフィルター、スタティックミキサー、又は、プロセスフローパーツであって、プロセスチューブの特性長、ポリマー溶液の速度、密度、及び動粘度が、2300超のレイノルズ数によって特徴付けられる遷移流又は乱流が生じるように選択され、
水は、0.01~0.50L/mポリマー溶液、好ましくは0.05~0.15L/mポリマー溶液の量で添加され、
ステップ(v)において、
追加の水の流量は、0.05L/mポリマー溶液超、好ましくは0.10L/mポリマー溶液超であり、
二酸化炭素の流量は、5L/mポリマー溶液超、好ましくは10~20L/mポリマー溶液、より好ましくは14.5~17.5L/mポリマー溶液であり、かつ
ステップ(ii)及び(iv)において、水のpHは5~7、好ましくは6.2~6.6の範囲にある、方法である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、特に、SBCブロックコポリマーの調製方法に関する。本発明の文脈において、用語「ポリマー溶液」は、ステップ(iii)及び(v)で水が添加される不活性非極性溶媒に溶解した前述のポリマーを含む溶液を指す。この文脈において、用語「溶液」は-(ステップ(iii)及び(v)における)添加される水の量に応じて-該溶媒中の水の溶解度閾値を超える場合には、該溶媒中の水の非常に微細な粒子の分散液、又は該溶媒中の水の溶解度閾値を下回る場合には、該溶媒中の水の均質な混合物を含む。
【0011】
「リビング」ポリマー鎖とは、アニオン重合中に形成される成長ポリマー鎖を意味する。本発明の文脈において、用語「分散する」は、広い領域に分布するか又は広がることを意味する。本発明の文脈において、流れを特徴付ける「レイノルズ数」は以下のように定義される。
Re=(ρu)/(μu/L)=ρuL/μ
ここで、
Re=レイノルズ数(無次元数)
ρ=密度(kg/m、lb/ft
u=プロセスチューブの実際の断面積に基づく速度(m/s、ft/s)
μ=動粘度(Ns/m、lb/s ft)
L=特性長(m、ft)
【0012】
チューブ又はパイプの場合、特性長は水力直径(d=水力直径)である。すなわち、L=d
【0013】
用語「プロセスフローパーツ」は、2300超のレイノルズ数によって特徴付けられる遷移流又は乱流に適した一般的なプロセスフローパーツを意味する。このような流れは、容器内、プレート間、あらゆる種類のチューブ又はパイプ(角形チューブ、円形チューブなど)で生じ得る。多くの場合、プロセスフローパーツはチューブ又はパイプであり、より多くの場合、円形チューブ又はパイプである。
【0014】
動粘度は、DIN EN ISO 3104:1999-12に準拠して60~80℃の温度で測定される。
【0015】
「遷移流又は乱流」は、Re>2300のレイノルズ数によって特徴付けられる流れである。「遷移流」は、特に2300<Re<4000のレイノルズ数によって特徴付けられる流れとして定義される。「乱流」は、特にRe>4000のレイノルズ数によって特徴付けられる流れとして定義される。
【0016】
ヘイズは、ASTM D 1003に準拠して、厚さ4mmの射出成形プレート上で測定される。「非常に低いヘイズ」は、5%未満、好ましくは2.5%未満、より好ましくは2.0%未満のヘイズを意味する。
【0017】
本発明の方法のステップ(ii)で使用される第1のフィルターは、反応器で形成された望ましくない塩及び架橋ポリマーを最終的な透明ポリマー樹脂から離して保持することを可能にする。好ましくは、水の添加中にポリマー溶液を穏やかに移動させるだけで、水の非常に微細な粒子が形成され、ポリマーマトリックス中の水の重分散が防止される、本発明の方法のステップ(iii)における分散装置としてフィルターを使用する。
【0018】
更に好ましくは、プロセスフローパーツは、本発明の方法のステップ(iii)における分散装置として使用され、プロセスフローパーツの寸法、ポリマー溶液の流量及び粘度は、好ましくは、遷移流、すなわち、2300~4000のレイノルズ数によって特徴付けられる流れが生じるように選択される。これにより、水の添加中にポリマー溶液を穏やかに移動させるだけで、水の非常に微細な粒子が形成され、ポリマーマトリックス中の水の重分散が防止される。
【0019】
ステップ(iv)におけるバッファー容器の使用は、一定のポリマー溶液流を供給することにより、連続モードで含浸ステップ(v)を実施することを可能にする。好ましくは、ステップ(i)において、バッファー容器に供給するために不連続バッチ反応器を使用する。該バッファー容器が存在しない場合には、含浸ステップ(v)も不連続に行うことが必要となる。安定した稼働率(run rate)が得られ、その結果、添加された成分のより正確な濃度が得られるため、連続含浸がより好ましい。
【0020】
反応の各滞留(hold-up)中に含浸ステップ(v)を繰り返し再開すると、精度が犠牲になる。
【0021】
更に、含浸ステップ(v)の後の任意のステップ(vi)における第2のバッファー容器の使用は、任意の溶媒除去及び任意のその後のペレット化プロセスにおける失敗が起こり、(短い)時間間隔の間、アイドルにする必要が生じる場合に、含浸プロセスの連続モードを保証する。
【0022】
驚くべきことに、本発明による方法により得られるスチレンのようなビニル芳香族モノマーのホモポリマー又はブロックコポリマーのヘイズは極めて低いことが分かった。
【0023】
本発明の方法により得ることができるポリマーは、本発明の方法のステップ(i)において従来の有機リチウム開始剤によって重合され、その後、停止剤又はカップリング剤で処理されて直鎖状又は星形ポリマーを生成する少なくとも1つのビニル芳香族モノマーから作られるホモポリマー又はブロックコポリマー(SBCなど)である。好ましくは、ポリマーは、少なくとも1つのビニル芳香族モノマー、特にスチレン又は官能化スチレン誘導体、及び少なくとも1つの共役ジエン、特に1,3-ブタジエン又はイソプレンから作られるブロックコポリマーである。
【0024】
ビニル芳香族モノマー、特にスチレン又は官能化スチレン誘導体のアニオン重合及びビニル芳香族モノマーと共役ジエン、特にブタジエン又はイソプレンとの共重合によるブロックコポリマーの製造はよく知られている。ブロックコポリマーは、複数のポリマーブロック、例えば、ポリスチレン、ポリブタジエン、及びブタジエン/スチレンコポリマーブロックからなる。後者は、ランダムコポリマーブロック、又は例えば、最初にポリブタジエン配列が形成され、その中に重合が進行するにつれて、より多くのスチレンが組み込まれ、最終的にポリスチレン配列が形成されるテーパ状のコポリマーブロックであってもよい。いずれの場合も、金属原子、特にリチウム原子は、終端されなければならない鎖末端に存在する。
【0025】
本発明の方法のステップ(i)によるアニオン重合は、一般に、脂肪族又は脂環式炭化水素、好ましくはシクロヘキサンなどの不活性非極性有機溶媒中で実施される。アニオン重合を開始させる開始剤は、従来の有機金属化合物、好ましくは有機リチウム化合物、特にアルキルリチウム化合物、より好ましくはn-ブチルリチウム及び/又はsec-ブチルリチウムである。
【0026】
ステップ(i)で使用される反応器は、連続プロセス又はバッチプロセスに適した反応器であり得、好ましくは、反応器はバッチ反応器である。バッチ反応器は、アニオン重合に一般的に使用される通常のタンク反応器であり得る。好ましくは、バッチ反応器は、撹拌装置を備えた撹拌タンク反応器である。バッチ反応器のサイズ又は容積は重要ではない。多くの場合、15~80mの体積を有するバッチ反応器が使用される。
【0027】
好ましいポリマーは、共役ジエン、好ましくはブタジエン又はイソプレン、及びビニル置換芳香族化合物、好ましくはスチレン又は官能化スチレン誘導体のコポリマーであり、目的のブロック構造に従って連続的にモノマーを添加することにより合成される。ビニル芳香族モノマーに基づく含有量は、一般に、全ブロックコポリマーに基づいて50~100重量%、好ましくは60~90重量%である。更に、従来の重合助剤、例えば、エーテルやカリウムアルコキシドなどのモノマーランダマイザーを重合中に添加できる。
【0028】
最後のモノマー添加後の重合混合物の温度上昇の終了によってモニターされる重合の終了時に、停止剤が添加される。後者は、直鎖状ポリマーを生成するアルコール、好ましくはイソプロパノール、又は2つ以上のポリマー鎖が一緒に結合された高分子(macromolecules)を生成するカップリング剤であり得る。カップリング剤は、典型的には、エポキシ化不飽和植物油、好ましくはエポキシ化大豆油又はエポキシ化亜麻仁油などの少なくとも3つの反応サイトを有する多官能性化合物である。しかし、他のカップリング剤、例えばテトラアルコキシシランも可能である。
【0029】
最終的なポリマー含有量は、一般に10~40重量%、好ましくは20~35重量%である。前記停止剤の添加後、アルコラート基、例えば-OLiがアルコール及び/又はカップリング剤上に形成される。
【0030】
異なるブロック長の少なくとも2つの外部スチレンハードブロックを有する非対称線状及び星形ブロックコポリマーの調製は、重合及び停止ステップの開示が参照される米国特許第6,593,430号に記載されている。
【0031】
本発明の方法のステップ(ii)によれば、ステップ(i)で得られたポリマー溶液は、水が存在しない第1のフィルターに通される。これには、ステップ(ii)において水が添加されないことが含まれる。
【0032】
フィルターのメッシュサイズは通常200~1500μmである。500~1000μm、特に700~900μmのメッシュサイズを有するフィルターが好ましい。フィルターの内径は重要ではないが、多くの場合、内径が50~100cmのフィルターが使用される。
【0033】
好ましくは、フィルターは、ハウジング及び1つ以上のフィルターバッグを含むバッグフィルターであり、それぞれが200~1500μm、好ましくは500~1000μm、より好ましくは700~900μmのメッシュサイズを有する。バッグフィルターのハウジングの内径は重要ではないが、多くの場合、ハウジングの内径は50~100cm、特に65~85cmである。
【0034】
バッグフィルターのハウジングは、通常-少なくとも主に-ステンレス鋼で作られる。
ステップ(ii)において使用することができる適切なバッグフィルターは、Hayward Filtertechnik GmbH&Co.KG(ドイツ)からMAXILINE(登録商標)MBFとして市販されている。これらのバッグフィルターは、標準サイズ(直径:168mm、高さ:660mm)の3、4、6、8、又は12個のフィルターバッグに対して4つのサイズで入手可能であり、8つのフィルターバッグを有するバッグフィルターが好ましい。特に好ましいバッグフィルターは、MBF-0802-AB16-150DS-11GEN-Mタイプである。
【0035】
反応器を出るとき、好ましくはバッチ反応器を出る又は空にするとき、ポリマー溶液の温度は、一般に50~130℃、好ましくは60~90℃である。反応器を出るとき、好ましくはバッチ反応器を出る又は空にするとき、ステップ(ii)におけるポリマー溶液の流量は、一般に10~500m/h、好ましくは50~300m/h、より好ましくは100~190m/hの範囲にある。該流量は、反応器(好ましくはバッチ反応器)と第1のフィルターとの間の1つ以上のポンプで達成することができる。
【0036】
フィルター領域、特にバッグフィルター領域でのポリマー溶液の流量は、フィルターのメッシュサイズ又はフィルターバッグのメッシュサイズ、フィルター(又はハウジング)の内径、及びポリマー溶液の温度などの多くの要因に依存し、多くの場合0.005m/s~0.050m/s、好ましくは0.010m/s~0.025m/sの範囲にある。
【0037】
ステップ(iii)において、ステップ(ii)で得られたポリマー溶液は、水が添加される分散装置に連続モード又は不連続モードで供給される。
【0038】
バッチ反応器がステップ(i)で使用される場合、ステップ(iii)において、水は、不連続モード、例えばバッチ反応器の連続排出の間に、又は反応器の排出中の連続モードで添加することができる。
【0039】
連続式反応器がステップ(i)で使用される場合、ステップ(iii)において、水は、例えばメッシュサイズが200~1500μmのバッグフィルター、スタティックミキサー、又はプロセスフローパーツ(例えば、チューブ又はパイプ)によって、連続モードで添加することができる。プロセスフローパーツでは、ポリマー溶液は、2300超のレイノルズ数によって特徴付けられる遷移流又は乱流を示す。
【0040】
プロセスフローパーツの寸法、ポリマー溶液の粘度及び流量は、2300超のレイノルズ数によって特徴付けられる遷移流又は乱流が生じるように選択される。
【0041】
遷移流に適したプロセスフローパーツ、多くの場合、チューブ又はパイプは、0.05~5m、好ましくは0.1~0.5mの特性長(直径)を有することができ、その中に移送されるポリマー溶液は、1.0~10.0m/s、好ましくは1.5~5m/sの速度(=流量/プロセスチューブの断面積)、0.75~0.9kg/L、好ましくは0.75~0.8kg/Lの密度を有することができ、かつ、動粘度は、60~80℃の温度で、0.01~10Ns/m、好ましくは60~80℃の温度で、0.05~5Ns/mであることができる。
【0042】
多くの場合、プロセスチューブは、0.05~1.0mの特性長を有し、ポリマー溶液は、1.0~10.0m/sの速度、750~900kg/mの密度、及び60~80℃の温度で0.01~10Ns/mの動粘度を有する。
【0043】
更に、遷移流に適したプロセスフローパーツ、多くの場合、チューブ又はパイプは、0.05~5m、好ましくは0.05~1m、より好ましくは0.1~0.5mの特性長(直径)を有することができ、その中に移送されるポリマー溶液は、1.0~10.0m/s、好ましくは1.5~5m/sの速度(=流量/プロセスチューブの断面積)、0.75~0.9kg/L、好ましくは0.75~0.8kg/Lの密度、及び、動粘度は、60~95℃の温度で、0.01~10Ns/m、好ましくは60~95℃の温度で、0.05~5Ns/mであることができる。
【0044】
好ましくは、反応器はバッチ反応器であり、水はバッチ反応器の連続排出の間に添加される。ステップ(iii)及び(v)で使用される水のpHは、5~7、好ましくは6.2~6.6の範囲にある。好ましくは、脱塩水が使用される。水を酸性化して該pH範囲の水を得ることができる。酸性化には、炭酸などの一般的な酸を使用できる。
【0045】
分散装置は、200~1500μmのメッシュサイズを有する第2のフィルター、スタティックミキサー、又は、その寸法、ポリマー溶液の流量及び粘度が、遷移流又は乱流が生じる(2300超のレイノルズ数)ように選択されるプロセスチューブであり得る。
【0046】
適切なスタティックミキサーは、好ましくは、ステップ(v)に記載されているようなものである。
【0047】
好ましくは、分散装置は、第2のフィルター又は2300~4000のレイノルズ数によって特徴付けられる遷移流を示すプロセスチューブである。ステップ(iii)で使用される第2のフィルターは、ステップ(ii)で使用される第1のフィルターと同一でも異なっていてもよい。例えば、フィルターのメッシュサイズ、特にフィルターバッグのメッシュサイズ、又はフィルターバッグの数は異なっていてもよい。第1のフィルターに関する上記の説明は、第2のフィルターにも適用できる。好ましくは、第2のフィルターはバッグフィルターであり、より好ましくは、第2のフィルターは上記の第1のフィルターについて説明したものと同じタイプであり、最も好ましくは第2のフィルターは第1のフィルターと同一である。
【0048】
通常、ステップ(iii)において、水は、0.01~0.5L/mポリマー溶液、好ましくは0.05~0.2L/mポリマー溶液の量で添加される。
【0049】
本発明による方法のステップ(iv)において、ポリマー溶液はバッファー容器(=第1のバッファー容器)に供給される。バッファー容器のサイズとタイプは重要ではない。これらの目的のために当技術分野で公知の任意のバッファー容器を使用できる。多くの場合、75~125mの体積を有するバッファー容器が使用される。
【0050】
本発明による方法のステップ(iv)に続いて、方法は連続モードで実行される。
【0051】
-ステップ(v)の前の-任意の工程において、ポリマー溶液を、第3のフィルターにより濾過できる。使用できる適切なフィルターは、メッシュサイズが50μm~300μm、より好ましくは100μm~150μmのカートリッジフィルターである。ステップ(iv)の前に使用できる適切なカートリッジフィルターは、(CUNO MICRO-KLEANから)G78W84HCBとして市販されている。フィルター材はアクリル繊維とフェノール樹脂とからなり、長さは100cmである。
【0052】
このような追加のフィルターは、反応中及びプロセスステップ(iii)におけるバッファー容器内での滞留中に形成される、反応器と第1のバッファー容器との間のフィルターによって捕捉されない、より微細な粒子を保持することを可能にする。そのような粒子の例は、金属塩、特にリチウム塩、又は架橋ポリマー(ゲル)である。
【0053】
ステップ(iv)に続く、又はステップ(iv)の後の前述の任意の濾過ステップに続く本発明による方法のステップ(v)において、ポリマー溶液は、さらなる水、二酸化炭素、及び1つ以上の安定化剤、並びに任意に加工助剤及び/又はさらなる添加剤の添加、好ましくは、注入による含浸のために、バッファー容器から連続的に引き出され、スタティックミキサーに供給される。
【0054】
ステップ(v)において、ポリマー溶液の温度は、一般に40~100℃、好ましくは60~90℃、より好ましくは70~80℃である。ポリマー溶液の流量は重要ではなく、多くの場合、9~15m/hである。
【0055】
水の流量は、一般に、0.05L/mポリマー溶液超、好ましくは0.10L/mポリマー溶液超である。水の流量は、多くの場合、0.05~0.5L/mポリマー溶液の範囲にある。
【0056】
二酸化炭素の流量は、一般に、5L/mポリマー溶液超、好ましくは10~20L/mポリマー溶液、より好ましくは14.5~17.5L/mポリマー溶液である。
添加中、特に注入中の二酸化炭素の(供給チューブ内の)圧力は、一般に、12~25バール、好ましくは15~22バールである。
【0057】
1つ以上の安定化剤は、溶液として、添加され、特に注入される。固体安定化剤を溶解するのに適切な溶媒は、ヘキサン、シクロヘキサンなどの非極性溶媒である。溶媒中の1つ以上の安定化剤のそれぞれの濃度は、一般に、3.5~15重量%、好ましくは5~12重量%の範囲にある。安定化剤溶液の流量は、好ましくは1~8L/mポリマー溶液、特に3.5~4.5L/mポリマー溶液である。
【0058】
好ましい安定化剤は、Irganox(登録商標)1010(BASF、ドイツ)、Songnox(登録商標)1010、Irganox 1076、Irganox 565、及びそれらのブレンドなどのような酸素ラジカルスカベンジャー、Sumilizer(登録商標)GS、Sumilizer GM、及びそれらのブレンドなどのような炭素ラジカルスカベンジャー、並びに/又はIrgafos(登録商標)168などのような二次安定化剤である。該安定化剤は市販されている。
【0059】
好ましくは、ステップ(v)で添加される前述の成分は、注入により、好ましくはプロセスラインの注入チューブを介して添加される。
【0060】
好ましくは、ステップ(v)及び/又はステップ(iii)で使用されるスタティックミキサーとして、スイスのSulzer社から市販されている少なくとも2つのミキシングエレメントを有するSulzerミキサー、特にSMXミキシングエレメントを有するSMX(登録商標)タイプのSulzerミキサーが使用される。パイプ断面全体にわたって均一な混合を得るために、好ましくは、エレメントは、互いに90°オフセットされるように配置される。好ましくは、2つ又は3つのSMXミキシングエレメントを有するSulzerミキサーが使用される。各ミキシングエレメントは、有利には700~1000mmの長さを有する。スタティックミキサーの公称チューブ直径は、通常DN50~DN100であり、DN80が好ましい。
【0061】
好ましい一実施形態によれば、第1のSMXミキシングエレメントに入る前に、水、二酸化炭素、及び少なくとも1つの安定化剤、好ましくはすべての安定化剤がポリマー溶液に添加され、特に注入され、次いで、第2のSMXミキシングエレメントに入る前に、任意にさらなる(多くの場合、二次)安定化剤、並びに任意に加工助剤及び/又はさらなる添加剤が添加される。
【0062】
更に好ましい実施形態によれば、第1のSMXミキシングエレメントに入る前に、ポリマー溶液に水が添加され、特に注入され、次いで、第2のSMXミキシングエレメントに入る前に、二酸化炭素が添加され、最後に第3のSMXミキシングエレメントに入る前に、すべての安定化剤、並びに任意に加工助剤及び/又はさらなる添加剤が添加される。
【0063】
更に好ましい実施形態によれば、第1のSMXミキシングエレメントに入る前に、ポリマー溶液に水及び二酸化炭素が添加され、特に注入され、次いで、第2のSMXミキシングエレメントに入る前に、少なくとも1つの安定化剤が添加され、最後に第3のSMXミキシングエレメントに入る前に、すべての安定化剤、並びに任意に加工助剤及び/又はさらなる添加剤が添加される。
【0064】
更に好ましい実施形態によれば、第1のSMXミキシングエレメントに入る前に、ポリマー溶液に水が添加され、特に注入され、次いで、第2のSMXミキシングエレメントに入る前に、二酸化炭素及び少なくとも1つの安定化剤が添加され、最後に第3のSMXミキシングエレメントに入る前に、任意にさらなる安定化剤、並びに任意に加工助剤及び/又はさらなる添加剤が添加される。
【0065】
更に好ましい実施形態によれば、第1のSMXミキシングエレメントに入る前に、ポリマー溶液に水及び二酸化炭素が添加され、特に注入され、次いで、第2のSMXミキシングエレメントに入る前に、すべての安定化剤、並びに任意に加工助剤及び/又はさらなる添加剤が添加される。
【0066】
更に好ましい実施形態によれば、第1のSMXミキシングエレメントに入る前に、ポリマー溶液に水が添加され、特に注入され、次いで、第2のSMXミキシングエレメントに入る前に、二酸化炭素、すべての安定化剤、並びに任意に加工助剤及び/又はさらなる添加剤が添加される。
【0067】
前述の実施形態では、加工助剤、特に可塑剤(例えば、鉱油)の添加が好ましい。
【0068】
更に、ステップ(v)及び/又はステップ(iii)におけるスタティックミキサーとして好ましいのは、Kenics(登録商標)スタティックミキサー、好ましくは10 KMS 12タイプのスタティックミキサー(Chemineer,Inc.社製)である。このスタティックミキサーは、3つのセクション、好ましくは4つのポート、及び合計12のエレメント(好ましくは各成分注入ノズルに続く4つのエレメント)を有するワンユニットミキサーである。
【0069】
好ましい一実施形態によれば、該スタティックミキサーの第1セクションに入る前に、ポリマー溶液に水が添加され、特に注入され、次いで、第2セクションに入る前に、二酸化炭素が添加され、最後に第3セクションに入る前に-好ましくは同じ位置にある異なるポートを介して-すべての安定化剤、並びに任意に加工助剤及び/又はさらなる添加剤が添加される。
【0070】
水(=ステップ(ii)及び(iv)で添加された水の総量)と二酸化炭素(HO/CO)の比は、好ましくは等モル基準であるが、CO1モル当たり水0.5~10モルの範囲で変化し得る。
【0071】
好ましくは、二酸化炭素及び水(=ステップ(ii)及び(iv)で添加される水の総量)は、ポリマー溶液に存在する金属イオン、特にリチウムイオンと反応するのに必要なほぼ理論量で添加される。リチウム塩の場合、LiCOの塩の結晶は、LiHCOに比べて小さく、そのためヘイズが少なくなる。
【0072】
好ましくは、ステップ(i)において、有機リチウム化合物が使用され、リチウムイオンがポリマー溶液中に存在するが、以下の比率は他の金属イオンに対しても有効である((M)、例えばアルカリ金属イオン)。
【0073】
リチウム(Li)と水(HO)のモル比は、1:10、好ましくは1:5、より好ましくは1:3、最も好ましくは1:1.5、特に1:1であり得る。リチウム(Li)とCOのモル比は、2:10、好ましくは2:5、より好ましくは2:3、最も好ましくは1:0.5であり得る。好ましくは、リチウム(Li)に基づく化学量論量の二酸化炭素及び水(=ステップ(iii)及び(v)で添加された水の総量)が使用される。
【0074】
水の有機溶媒への溶解度は非常に低い。本発明の方法のステップ(iii)及び(v)による水及び水及び二酸化炭素の添加により、HO/CO分子は、ゆっくりと有機溶媒相に拡散し、LiCO又はLiHCO塩を蓄積し、大きな塩粒子を生成できる複数のHO/CO液滴(エマルジョン)を溶液全体に形成することなく、アルコラート基(-OLi)をゆっくり中和する。
【0075】
ステップ(v)において、任意に、さらなる添加剤及び/又は加工助剤をポリマー溶液に添加することができる。適切な添加剤及び/又は加工助剤は、特にブロッキング防止剤、染料、充填剤、紫外線吸収剤及び可塑剤である。好ましいのは可塑剤の使用である。適切な可塑剤は、均一に混和され得る油又は油混合物、好ましくは鉱油(又は白色油)又はアジピン酸ジオクチル、特に鉱油である。
【0076】
存在する場合、可塑剤、特に鉱油の注入流は、好ましくは0.1~30L/mポリマー溶液、特に0.5~15L/mポリマー溶液である。
【0077】
本発明による方法のステップ(v)に続く任意のステップ(vi)では、ステップ(v)で得られたポリマー溶液をさらなるバッファー容器(=第2のバッファー容器)に供給することができる。上記の第1のバッファー容器に関する記載は、第2のバッファー容器に対しても有効である。このさらなるバッファー容器は、任意のブレンド及び水素化ステップ、並びに/又は溶媒除去とペレット化プロセスで問題が発生した場合に、含浸セクション(ステップv)における連続プロセスを維持することを可能にする。好ましくは、ステップ(vi)は、本発明による方法に含まれる。
【0078】
ステップ(v)に続いて、又は第2のバッファー容器を用いた前述の任意のステップ(vi)に続いて、本発明による方法により得られたポリマー溶液は、通常の方法で後処理することができる。
【0079】
任意に、後処理の前に、該ポリマー溶液を、1つ以上の他の混合可能な熱可塑性ポリマー(好ましくは溶液として)及び/又はさらなる添加剤と混合することができる。更に、後処理の前に、任意に、既知の方法に従って該ポリマー溶液を水素化することができる。該任意の手順の1つ以上を使用することにより-後処理の前に-ポリマー混合物及び/又は変性(例えば、水素化)ポリマーを含むポリマー溶液が得られる。
【0080】
(上記のように任意に混合及び/又は変性された)該ポリマー溶液の後処理のために、溶媒を除去するためにポリマー溶液を脱気することができる。
【0081】
溶媒の除去は、フラッシュ揮発分除去及び/又は減圧下での揮発分除去などの一般的な方法によって達成できる。後者の場合、この目的のために、有利には、脱気装置及び/又は押出機、好ましくは二軸押出機を使用できる。好ましくは、最初に脱気装置(脱揮装置)、次に脱気押出機が使用される。押出中に、さらなる添加剤及び/又は加工助剤を添加することができる。
【0082】
脱気(溶媒除去)ステップに続く任意の-好ましい-ステップでは、得られたポリマー-特に得られた押出物-を一般的に知られている方法で造粒又はペレット化できる。
【0083】
好ましいのは、ステップ(v)に続いて、ポリマー溶液を第2のバッファー容器に供給することを更に含む本発明による方法である。更に好ましいのは、ステップ(v)に続いて、又はポリマー溶液の第2のバッファー容器への供給に続いて、ポリマー溶液の脱気を更に含む本発明による方法である。好ましいのは、前述の方法は、脱気ステップに続いて、得られたポリマーの造粒又はペレット化を更に含む前述の方法である。
【0084】
本発明のさらなる主題は、本発明による方法により得られる、(スチレンなどの)ビニル芳香族モノマーのホモポリマー又はブロックコポリマー、特に少なくとも1つのビニル芳香族モノマー及び少なくとも1つの共役ジエンの重合単位を含む、直鎖状又は分岐状ブロックコポリマー(SBC)である。適切なポリマー及びブロックコポリマーは、上記のようなものである。
【0085】
本発明の方法により得られたポリマーは、最新技術に従って製造された材料と比較して非常に低いヘイズを有する。本発明の方法により得られたポリマーに含まれる金属塩、特にリチウム塩(主にLiHCO又はLiCOであるが他のものを含む)は、150nm(=可視光の波長よりも小さい)までの塩結晶の粒径を有するポリマーマトリックス上に微分散される。特に好ましいのは、本発明の方法により得られる直鎖状又は分岐状スチレンブタジエンブロックコポリマーである。
【0086】
本発明の別の主題は、本発明の方法により得られる少なくとも1つのホモポリマー又はブロックコポリマーを含む、改善された色安定性を有するポリマーブレンドである。そのようなポリマーブレンドに適切なポリマーは、他のスチレン-ブタジエンブロックコポリマー(SBC)、ポリスチレン(PS)、スチレン-メチルメタクリレート(SMMA)などの、本発明の方法により得られるホモポリマー又はブロックコポリマーと適合する他の透明な熱可塑性ポリマーである。本発明の方法により得られる少なくとも1つのSBC及び少なくとも1つのスチレン/メチルメタクリレートコポリマー(SMMA)を含む(又はからなる)ポリマーブレンドが好ましい。該ポリマーブレンドは、一般的な装置(例えば、一軸又は二軸スクリュー押出機又は混練機)を用いてポリマー成形物の溶融混合などの従来の方法によって得ることができる。
【0087】
本発明の別の主題は、本発明の方法により得られるホモポリマー又はブロックコポリマー、或いは上記のようなそれらのブレンドを含む、特に、ボウル、ボトル、ジャー、カラフなどのプラスチック製家庭用品などの成形品である。該成形品は、当技術分野で公知の従来の方法(押出、射出成形など)によって製造することができ、高い透明性、高いガラスのような輝き、高い耐衝撃性及び色安定性、並びに非常に低いヘイズを有する。
以下、参考形態の例を付記する。
1. アニオン重合によるビニル芳香族モノマーのホモポリマー又はブロックコポリマーの調製方法であって、
少なくとも1つのビニル芳香族モノマー及び任意に少なくとも1つの共役ジエンを、反応器、好ましくはバッチ反応器中で、有機金属開始剤、特に有機リチウム開始剤の存在下で、不活性非極性溶媒中で、重合し、続いて、得られた「リビング」ポリマー鎖を停止剤で不活性化して、ポリマー溶液を得るステップ(i)と、
ステップ(i)で得られた前記ポリマー溶液を第1のフィルターに通すステップ(ii)と、
ステップ(ii)で得られた前記ポリマー溶液を、水が添加される分散装置に連続モード又は不連続モードで供給するステップ(iii)と、
ステップ(iii)で得られた前記ポリマー溶液をバッファー容器に供給するステップ(iv)と、
前記バッファー容器から連続的に引き出された前記ポリマー溶液を、さらなる水、二酸化炭素、及び1つ以上の安定化剤の添加による含浸のために、スタティックミキサーに供給するステップ(v)と、を含み、
ステップ(iv)に続いて、前記方法は連続モードで実行され、
ステップ(ii)において、
前記第1のフィルターには水が存在せず、
前記第1のフィルター、好ましくはバッグフィルターは、200~1500μmのメッシュサイズを有し、
前記ポリマー溶液の流量は、50~130℃の温度で10~500m /hであり、
ステップ(iii)において、
前記分散装置は、200~1500μmのメッシュサイズを有する第2のフィルター、好ましくはバッグフィルター、スタティックミキサー、又は、プロセスチューブであって、前記プロセスチューブの特性長、前記ポリマー溶液の速度、密度、及び動粘度が、2300超のレイノルズ数を有する遷移流又は乱流が生じるように選択され、
水は、0.01~0.50L/m ポリマー溶液ポリマー溶液の量で添加され、
ステップ(v)において、
追加の前記水の流量は、0.05L/m ポリマー溶液超、好ましくは0.10L/m ポリマー溶液超であり、かつ
前記二酸化炭素の流量は、5L/m ポリマー溶液超、好ましくは10~20L/m ポリマー溶液、より好ましくは14.5~17.5L/m ポリマー溶液であり、かつ
ステップ(iii)及び(v)において、前記水のpHは5~7、好ましくは6.2~6.6の範囲にある、方法。
2. 前記反応器がバッチ反応器である、1.に記載の方法。
3. ステップ(iii)において、前記分散装置がフィルターである、1.又は2.に記載の方法。
4. ステップ(iii)において、前記分散装置がプロセスフローパーツ、具体的には、前記ポリマー溶液が2300~4000のレイノルズ数を有する遷移流を示すチューブ又はパイプである、1.に記載の方法。
5. ステップ(iii)において、前記分散装置が、0.05~1.0mの特性長を有するプロセスチューブであり、前記ポリマー溶液が、1.0~10.0m/sの速度、750~900kg/m の密度、及び60~80℃の温度で0.01~10Ns/m の動粘度を有する、1.、2.又は4.のいずれか一つに記載の方法。
6. ステップ(iii)において、前記分散装置が、0.05~5mの特性長を有するプロセスチューブであり、前記ポリマー溶液が、1.0~10.0m/sの速度、750~900kg/m の密度、及び60~95℃の温度で0.01~10Ns/m の動粘度を有する、1.、2.又は4.のいずれか一つに記載の方法。
7. ステップ(ii)及び(iii)において、前記フィルターがバッグフィルターである、1.~6.のいずれか一つに記載の方法。
8. ステップ(ii)において、前記フィルターの前記メッシュサイズが500~1000μm、特に700~900μmである、1.~7.のいずれか一つに記載の方法。
9. ステップ(iii)において、前記水が0.05~0.20L/m ポリマー溶液、好ましくは、0.05~0.15L/m ポリマー溶液の量で添加される、1.~8.のいずれか一つに記載の方法。
10. ステップ(v)で得られた前記ポリマー溶液がさらなるバッファー容器に供給される、1.~9.のいずれか一つに記載の方法。
11. ステップ(v)の前に、前記バッファー容器から連続的に引き出された前記ポリマー溶液が第3のフィルターにより濾過される、1.~10.のいずれか一つに記載の方法。
12. 前記第3のフィルターは、メッシュサイズが50μm~300μm、好ましくは100μm~150μmのカートリッジフィルターである、11.に記載の方法。
13. ステップ(v)において、前記安定化剤は、流量が1~8L/m ポリマー溶液、特に3.5~4.5L/m ポリマー溶液の溶液として添加される、1.~12.のいずれか一つに記載の方法。
14. ステップ(v)において、前記安定化剤が非極性溶媒に溶解され、1つ以上の前記安定化剤のそれぞれの濃度が3.5~15重量%、好ましくは5~12重量%の範囲にある、1.~13.のいずれか一つに記載の方法。
15. ステップ(v)において、可塑剤、好ましくは鉱油が、0.1~30L/m ポリマー溶液、特に0.5~15L/m ポリマー溶液の注入流で添加される、1.~14.のいずれか一つに記載の方法。
16. 1.~15.のいずれか一つに記載の方法により得られる、ビニル芳香族モノマーのホモポリマー又はブロックコポリマー。
17. 16.に記載の少なくとも1つのホモポリマー又はブロックコポリマーを含む、ポリマーブレンド。
18. 16.に記載のホモポリマー又はブロックコポリマー、或いは17.に記載のポリマーブレンドを含む、成形品。
19. 18.に記載の成形品のプラスチック製家庭用品としての使用。
【0088】
本発明を実施例及び特許請求の範囲により更に説明する。
【実施例
【0089】
以下の例で使用されるすべての溶媒とモノマーは、使用のための酸化アルミニウムカラム上で、又は蒸留プロセスを使用して乾燥された。特に明記しない限り、すべてのプロセスステップで使用される水は脱塩水(pH6.4)であった。
【0090】
実施例1 星形SBCブロックコポリマーの重合
(=本発明による方法のステップ(i))
以下の構造
1x S-S-(B/S)-(B/S)-S

3.5x S-(B/S)-(B/S)-S
(式中、S、S及びSは異なるスチレンポリマーブロックを示し、(B/S)及び(B/S)は異なるランダムスチレン/ブタジエンコポリマーブロックを示し、Xはカップリング剤に由来するカップリング中心を示す。)
を有する星形スチレン-ブタジエンブロックコポリマーは、スチレン(モノマーS1~S5)及びブタジエン(モノマーB1及びB2)の逐次アニオン重合と、エポキシ化大豆油を使用したその後のカップリングによって調製された。
【0091】
バッチ反応器(ステンレス製反応器、撹拌、50m)で、40℃のシクロヘキサン21600Lを初期充填(ic)として使用し、スチレン(S1)2803Lを20m/hで添加した。280LのS1を投入したとき、32.19Lの開始用(Ini1)の1.4M sec-ブチルリチウム溶液(BuLi1)を一度に投入した。連続撹拌及び還流冷却下で反応を進行させて、モノマーの消費を完了させた(反応混合物の温度低下により確認)。次に、77.97Lの1.4M sec-ブチルリチウム(BuLi2)溶液を第2の開始剤混合物(Ini2)として、13.48Lのカリウムtert-アミルアルコラート(PTA)溶液(シクロヘキサン中5.26重量%)をランダマイザーとして、共に連続撹拌下で添加した。
【0092】
次のステップでは、再びスチレン(S2)1756Lを添加し、連続撹拌下で重合反応を進行させて、モノマーの消費を完了させた(反応混合物の温度低下により確認)。モノマーが完全に消費された後、還流冷却により重合混合物を75℃未満の温度に冷却した。次に、ブタジエン(B1)858L及びスチレン(S3)573Lを同時に添加し、連続撹拌下で重合反応を進行させて、モノマーの消費を完了させた(反応混合物の温度低下により確認)。モノマーが完全に消費された後、還流冷却により重合混合物を60℃未満の温度に冷却した。
【0093】
次のステップでは、再びブタジエン(B2)2290L及びスチレン(S4)754Lを同時に添加し、連続撹拌下で重合反応を進行させて、モノマーの消費を完了させた(反応混合物の温度低下により確認)。モノマーが完全に消費された後、還流冷却により重合混合物を90℃未満の温度に冷却した。
【0094】
次に、再びスチレン(S5)214Lを添加し、連続撹拌しながら重合反応を進行させて、モノマーの消費を完了させた(反応混合物の温度低下により確認)。
【0095】
最後に、最後の完全なモノマーの消費の10分後、カップリング剤として、85℃の温度に加熱した、17.2LのEfka(登録商標)PL 5382(エポキシ化大豆油、BASF)を、ポリマー溶液に添加し、90℃の温度で撹拌しながら10分間反応させた。
【0096】
表1に、使用された成分の量を示す。
【0097】
【表1】
【0098】
phm=モノマー100重量部あたり((開始剤、カップリング剤など)成分の重量%)は、モノマーの総質量に基づいて計算される。
【0099】
ステップ(i)で得られたポリマー溶液は、以下のプロセスフローに従って処理した。
バッチ反応器(ステップ(i))->フィルター(ステップ(ii))->水添加とともに分散装置(ステップ(iii))->バッファー容器1(ステップ(iv))->カートリッジフィルター->含浸(ステップ(v)連続的に)[水、CO、及び安定化剤の注入->スタティックミキサー->鉱油の注入->スタティックミキサー]->バッファー容器2->脱揮装置->脱気押出機->ペレタイザー。
【0100】
1つの反応器の容積は31~34mであった。
【0101】
ステップ(i)で得られたポリマー溶液を、ステップ(ii)で以下の仕様のフィルターに通した。
-Hayward Filter TechnikのMAXILINE MBF
-タイプ:MBF-0802-AB16-150DS-11GEN-M:
-内径フィルター:778mm
-フィルターバッグ:8×直径168mm、高さ660mm、メッシュサイズ800μm
-反応器を空にするときの流量:180m/h
-フィルターバッグ領域の流量:0.017m/s
-温度ポリマー溶液:約89.2℃。
【0102】
その後、水を、ステップ(ii)のフィルターの間のプロセスチューブに、ステップ(iv)のバッファーに向けて、12L/h又は0.07L/mポリマー溶液の速度で添加した。
【0103】
円形断面を有するプロセスチューブの内径は0.15mである。その段階でのポリマー溶液の密度は750kg/mであり、動粘度は78℃の温度で0.08Pa・s(N・s/m)である。ポリマー溶液は、このプロセスチューブ(=パイプ)を介して180m/hの速度でポンプ圧送されている。
【0104】
レイノルズ数は次のように計算される。
Re=(ρu2)/(μu/L)=ρuL/μ=3978
ここで、
Re=レイノルズ数
ρ=密度
u=プロセスチューブの実際の断面積に基づく速度(m/s)
μ=動粘度(Pa・s、N・s/m
L=特性長(m)=円形断面を有するプロセスチューブの直径(=パイプ)
【0105】
次に、ステップ(iii)で得られたポリマー溶液を、第1のバッファー容器(100m)に供給した(=ステップ(iv))。
【0106】
ステップ(v)の前に、第1のバッファー容器から連続的に引き出されたポリマー溶液は、カートリッジフィルターを通して濾過された。使用したフィルターは、CUNO MICRO-KLEAN製のメッシュサイズ125μmのG78W84HCBである。フィルター材はアクリル繊維とフェノール樹脂とからなり、長さは100cmである。
【0107】
次に、ステップ(v)の前にカートリッジフィルターを通して濾過された、本発明の方法のステップ(iv)におけるバッファー容器からのポリマー溶液を、以下の条件下で含浸させた(本発明の方法のステップ(v))(連続プロセス)。
-ポリマー溶液の連続流量:15m/h
-ポリマー溶液の温度:70~80℃;
-注入流水=0.18L/mポリマー溶液:
-注入流CO=16.32L/mポリマー溶液;
-二酸化炭素供給チューブにおける圧力:16~22バール;
-注入流安定化剤=4.07L/mポリマー溶液;
-注入流鉱油=3.12L/mポリマー溶液;
-CO注入用チューブ(=DN50)を除くすべてのチューブはDN80である。
【0108】
安定化剤として、Irganox(登録商標)1010(BASF SE、ドイツ)、Irgaphos(登録商標)168(BASF SE)、及びSumilizer(登録商標)GS(住友化学社、日本)を、以下の濃度でシクロヘキサン溶液として使用した。Irganox(登録商標)1010(7重量%)、Irgaphos(登録商標)168(10重量%)、及びSumilizer(登録商標)GS(7重量%)。鉱油としては、WINOG(登録商標)70(医用ホワイトオイル、H&R(Klaus Dahleke KG))を使用した。
【0109】
スタティックミキサー(ステップ(v))としては、直列に配置された2つのSMXミキシングエレメントを有するSMX(登録商標)タイプのSulzerミキサーを使用した。各ミキシングエレメントの長さは840mm、チューブの直径は80mmであった。第1のSMXミキシングエレメントに入る前に、水、二酸化炭素、及びすべての(溶液中の)安定化剤をポリマー溶液に注入し、次いで、第2のSMXミキシングエレメントに入る前にホワイトオイルを注入した。次に、ステップ(v)で得られたポリマー溶液を第2のバッファー容器に供給した。最後に、連続的に引き出されたポリマー溶液を第2のバッファー容器から脱気のために脱気装置に供給した後、得られたポリマーを真空下及び水ペレット化下で脱気押出用の二軸押出機に供給した。得られたブロックコポリマーのメルトフローインデックス(MFI、ISO1133-1-2011に準拠して200℃、荷重5kgで測定)は、13.5cm/10分であった。
【0110】
比較例1
プロセスのステップ(iii)で水を添加しなかったことを除いて、実施例1を繰り返した。水は含浸ステップ(iv)でのみ添加された。そのため、ステップ(i)で得られたポリマー溶液のプロセスフローは以下のとおりであった。
バッチ反応器(ステップ(i))->フィルター(ステップ(ii))->バッファー容器1(ステップ(iv))->カートリッジフィルター->含浸(ステップ(v)連続的に)[水、CO、及び安定化剤の注入->スタティックミキサー->鉱油の注入->スタティックミキサー]->バッファー容器2->脱揮装置->脱気押出機->ペレタイザー。
【0111】
得られたブロックコポリマーのメルトフローインデックス(MFI、ISO1133-1-2011に準拠して200℃、荷重5kgで測定)は、13.5cm/10分であった。
【0112】
比較例2
実施例1のステップ(i)が繰り返された。ステップ(i)で得られたポリマー溶液でバッチ反応器を空にする前に、ステップ(ii)で使用したフィルターに、~2.7Lの水(8.1分間で20L/h)を添加し(実施例1で説明したのと同じタイプのフィルターとスループットを使用)、その後バッファー容器に向けてポンプ圧送した(ステップ(iv))。
【0113】
そのため、ステップ(i)で得られたポリマー溶液のプロセスフローは以下のとおりであった。
バッチ反応器(ステップ(i))->水添加とともにフィルター->バッファー容器1(ステップ(iv))->カートリッジフィルター->含浸(ステップ(v)連続的に)[水、CO、及び安定化剤の注入->スタティックミキサー->鉱油の注入->スタティックミキサー]->バッファー容器2->脱揮装置->脱気押出機->ペレタイザー。
【0114】
その後の第1のバッファー容器からの脱気及びペレット化に向けた含浸による後処理は、実施例1に記載されたものと同様とした。含浸ステップ(v)では、実施例1に記載されたものと同様に、水、CO、安定化剤、鉱油を同量、同種、同一処理条件で添加した。
【0115】
製造の2時間後、得られた実施例1及び比較例1のSBCポリマーペレットのサンプル(射出成形プレート、厚さ4mm)を、DIN 5033及びDIN 6174(CIE LAB)に準拠した色測定(表2を参照)のために使用した。測定には、LUCI100分光光度計(光源:キセノンランプD65、D65=T=6504K、測定ジオメトリ:D/8°)を使用した。ヘイズは、得られた実施例1、比較例1、及び比較例2のポリマーペレットの射出成形プレート(厚さ4mm)に対して、BYK-Gardner Haze-gardを使用して測定した。
【0116】
得られたブロックコポリマーのメルトフローインデックス(MFI、ISO1133-1-2011(200℃、荷重5kg)に準拠して測定)は、13.5cm/10分であった。
【0117】
【表2】
【0118】
YI=黄色度指数
【0119】
実施例1によるサンプルは、比較例1と比較して良好な色安定性(b値とYIが大きいほど黄色が濃くなる)と、比較例2と比較して良好な色安定性とヘイズを有する。結果は、フィルターの順序(ステップ(ii))と分散装置への水の添加(ステップ(iii))が有益であることを明確に示す。