(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-29
(45)【発行日】2023-04-06
(54)【発明の名称】圧着プライヤ
(51)【国際特許分類】
H01R 43/042 20060101AFI20230330BHJP
B25B 25/00 20060101ALI20230330BHJP
B25B 7/12 20060101ALI20230330BHJP
B25B 7/02 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
H01R43/042
B25B25/00 D
B25B7/12
B25B7/02
(21)【出願番号】P 2020527051
(86)(22)【出願日】2018-11-07
(86)【国際出願番号】 EP2018080470
(87)【国際公開番号】W WO2019105704
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】102017128584.9
(32)【優先日】2017-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520130144
【氏名又は名称】レンシュタイグ ヴェルクツォイゲ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【氏名又は名称】河合 典子
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイスハイト、ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ホラント-モリッツ、ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】ケーニッヒ、ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】エンドター、マルコ
(72)【発明者】
【氏名】レグラー、ラルフ
【審査官】藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03179580(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0055357(US,A1)
【文献】米国特許第06151950(US,A)
【文献】実開平02-094071(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 43/042
B25B 7/02
7/12
25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク片(W)を圧着するための、特に圧着結合するための2つの対向して配置された押圧顎(6,7)と2つのプライヤ顎(2,3)とを有し、その一方は、固定された固定プライヤ顎(2)であり、
前記固定プライヤ顎(2)はホルダ部品(23)と顎部品(8)とを有し、かつ
前記固定プライヤ顎(2)に関係する
第1の押圧顎(6)が、
弾性変形可能な前記ホルダ部品(23)により前記固定プライヤ顎(2)に固定されており、前記ホルダ部品(23)は、前記
第1の押圧顎(6)とは反対側の端部に
前記顎部品(8)との固定接続
(27)が形成されており、
前記固定接続(27)と前記第1の押圧顎(6)に対向する前記ホルダ部品(23)の端部との間において、
前記顎部品(8)と前記ホルダ部品(23)との間に
前記ホルダ部品(23)の可動性を制限するために作動するストップ接続
(25)が形成されており、前記ストップ接続
(25)は、所定の押圧力を超えたときに
作動する、圧着プライヤ(1)において、
圧着中に、前記ホルダ部品
(23)が、その材料の本来的な弾性の結果として、先ず、前記固定接続
(27)と前記
第1の押圧顎
(6)側の端部との間においてその全長に亘って復元可能な方式で曲
がることができ、
前記ストップ接続(25)が作動したとき、押圧力のさらなる作用によって、前記ストップ接続(25)と前記
第1の押圧顎
(6)側の端部との間の
ホルダ部品セクション(24)において、前記ストップ接続(25)と前記固定接続
(27)との間
のホルダ部品セクション(26)におけるよりも大きな曲がりを生じ
、前記曲がりは、前記ホルダ部品(23)の長手方向の中央ライン(a)に対し横方向への曲げ変形であることを特徴とする圧着プライヤ。
【請求項2】
前記ストップ接続(25)が、前記
固定プライヤ顎(2)のストップセクション(51)により形成されており、前記ストップセクション(51)は、押圧力が印加される過程における前記ホルダ部品(23)の曲げ変形の結果、前記ホルダ部品(23)に
対し前記ホルダ部品(23)の所定の位置にて当接するようになる、請求項1に記載の圧着プライヤ。
【請求項3】
前記ストップセクション(51)が、前記ホルダ部品(23)のスロット(53)内に受容されたピン(52)として形成されている、請求項2に記載の圧着プライヤ。
【請求項4】
前記固定接続(27)と前記ストップセクション(51)との間における前記ホルダ部品(23)の最小断面(b’)が、前記ストップセクション(51)
と前記
第1の押圧顎(6)のための前記ホルダ部品
(23)の保持
位置との間
における前記ホルダ部品(23)の最小断面(b)よりも大きい、請求項
2又は3のいずれかに記載の圧着プライヤ。
【請求項5】
前記ストップセクション(51)と前記固定接続(27)との間
の領域、又は、前記保持
位置と前記ストップセクション(51)との間
の領域の一部である部分領域であって、前記ストップセクション(51)から前記領域の長さの3分の1だけ離れた位置と前記領域の長さの3分の2だけ離れた位置との間の前記部分領域において、前記ホルダ部品(23)の有効曲げ断面が、
前記最小断面
(b,b’)よりも10%又はそれ以上大きい、請求項4に記載の圧着プライヤ。
【請求項6】
前記ホルダ部品(23)が、その長さ(l)に比べて小さい厚さ(d)を有する平坦部品として形成されている、請求項1~5のいずれかに記載の圧着プライヤ。
【請求項7】
プライヤ顎の一方が、可動である可動プライヤ顎(3)であり、かつ、無負荷状態の前記ホルダ部品(23)が、長手方向の中央ライン(a)に関して前記可動プライヤ顎(3)から視たとき、凹みのある形状を有する、請求項1~6のいずれかに記載の圧着プライヤ。
【請求項8】
前記可動プライヤ顎(3)が、連続的な均一材料のレバー部品(15)を用いて前記固定プライヤ顎(2)及び可動ハンドル部品(5)に装着され、かつさらに、第2の押圧顎(7)を保持受容するための自由端領域を有する、請求項1~7のいずれかに記載の圧着プライヤ。
【請求項9】
前記レバー部品(15)に関して、前記固定プライヤ顎(2)上の前記レバー部品(15)の装着部と前記可動ハンドル部品(5)上の前記レバー部品(15)の装着部との間
の領域、又は、前記固定プライヤ顎(2)上の前記レバー部品(15)の装着部と前記レバー部品の自由
端との間の
領域の一部である部分領域であって、前記固定プライヤ顎(2)上の前記レバー部品(15)の装着部から前記領域の長さの3分の1だけ離れた位置と前記領域の長さの3分の2だけ離れた位置との間の前記部分領域において、押圧力が印加されたときに最大変形領域を得ることができる、請求項8に記載の圧着プライヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部分による圧着プライヤに関する。
【背景技術】
【0002】
問題とするこのタイプの圧着プライヤは知られており、さらに特に、手動操作される圧着プライヤとしての構成で知られている。これらは、特に、ケーブル端部にいわゆるコアエンドスリーブを取付けかつ結合させるために用いられる。このような圧着プライヤは、固定配置されているか又は交換可能である押圧顎を設けられ、それらはプライヤの方式で互いに向かって可動である。押圧顎は、この場合、押圧顎の間に挿入された本体の圧着を形成するためのノッチングダイのように作用する。例えば、特許文献1(特許文献2)及び特許文献3(特許文献4)を参照されたい。
【0003】
さらに、このような特に手動操作可能な圧着プライヤは、好ましくは同じ押圧顎を用いて異なる断面寸法のブランクを圧着するのに適している。プライヤ顎を変位させる過程におけるユーザの作業経路が、レバーの幾何学に応じて、少なくとも常にほぼ同じままであるべきであり、任意にはさらに同じでなければならないので、同じ押圧顎を用いて異なる断面寸法を圧着するためにはプライヤ内部に生じる力経路補償が必要である。特許文献1によれば、これは、プライヤ顎に一端を固定接続されたバネレバーを設けることにより達成される。特許文献3によれば、このために、押圧顎の一方を支持する伝達レバーが設けられる。
特許文献5から、ストップ接続の作動に応じて、ホルダ部品のストップ接続と固定接続との間により大きな曲がりが得られる圧着プライヤが知られている。圧着中、ハンドル領域の割り当てにおける比較的大きな変化を得ることができる。特許文献6から、過負荷保護の意味でのストップ部を有する圧着プライヤが知られている。通常の使用において、このストップ接続は作動されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】欧州特許第732 779号明細書
【文献】米国特許第6,176,116号明細書
【文献】独国特許第198 18 482号明細書
【文献】米国特許第6,151,950号明細書
【文献】欧州特許第3179580号明細書
【文献】独国特許第102 42 345号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来技術を起点として、本発明は、言及したタイプの圧着プライヤを提供するという目的に関し、それは、異なる直径を有するケーブルを圧着するための力経路補償に関して有利に構成されているものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1の主題により実現され、その場合、ストップ接続を作動させることに応じて、押圧力のさらなる作用が、ストップ接続と押圧顎側の端部との間において、ストップ接続と固定接続との間においてこのストップ位置で得られるホルダ部分セクションにおけるよりも大きな曲がりを生じるという事実に焦点がある。
【0007】
この構成の結果、多様な断面を有する、したがって例えば約0.05mm2から約16mm2又は20mm2までの断面を有するブランクを圧着できる圧着プライヤが提供される。したがって、これらの圧着は、基本的に圧着プライヤを調整することなく行うことができる。それは、すなわち好ましくは押圧顎のいかなる変更もなしに、さらに好ましくはいかなる調整もなしに、特に手動で行う必要がある調整なしに行う必要がある。このような大きな断面範囲においては、押圧顎の領域又は押圧顎を保持するプライヤ顎の端部領域において極めて異なる変位経路が直接的に得られるが、その変位経路は、ユーザにより作動されるプライヤ顎ハンドル部品の同じ変位経路を望ましく維持しつつ、補償されなければならない。ホルダ部品とプライヤ顎の固定接続と、関係する押圧顎に対向するホルダ部品端部と間におけるストップ接続の結果として、所定の押圧力を超えたとき、ホルダ部品の領域において有効なレバーアームの変化を実現することができる。したがって、ホルダ部品は、材料の本来的な弾性の結果として、任意にストップ接続がアクティブ化するまでは、先ず、固定接続と押圧顎側の端部との間においてその全長に亘って復元可能な方式で曲げられることができる。その後、押圧力がさらに作用する間、ストップ接続と押圧顎側の端部との間で得られるホルダ部品セクションが、ストップ接続と固定接続との間においてこのストップ位置で得られるホルダ部品セクションよりも大きな曲がりを生じる。このことは、任意に、ストップ接続を超えて弾性的に延在するホルダ部品の領域(したがってストップ接続と押圧顎側の端部との間)においてのみ、さらなる曲がりが実現されるという効果を有することができる。
【0008】
ストップ接続の構成の結果として、押圧顎側の端部と実質的にホルダ部品のプライヤ顎への固定接続の領域との間のレバーアームから始まって、押圧顎側の端部とストップ接続との間の短縮されたレバーアームへと、所定の押圧力を超えた過程において有効レバーアームの短縮が実質的に得られる。
【0010】
さらなる発展によれば、押圧力の印加過程におけるホルダ部品の曲げ変形の結果としてホルダ部品に対して当接することになるプライヤ顎のストップセクションによって、ストップ接続が形成されることを提供できる。したがって、プライヤ顎側のストップセクションは、好ましくは、ホルダ部品の対向面、例えばホルダ部品の周縁面との可能な協働のために、ホルダ部品の湾曲領域に延在する。ストップ位置においては、プライヤ顎の固定接続から離間しかつ押圧顎を担持するホルダ部品の自由端からも離間している、プライヤ顎のストップセクションがホルダ部品を支持する。したがって、ホルダ部品の長手方向の最大延在方向に関して、ストップセクションは、プライヤ顎の固定接続と押圧顎を担持するホルダ部品の自由端との間のほぼ中央の3分の1の部分にてホルダ部品に対して作用する。
【0011】
ストップセクションは、ホルダ部品のスロット内に受容されたピンとして形成することができる。このような構成の場合、そして好ましくは、関係するスロットをホルダ部品に形成することができる。したがって、押圧力の印加過程におけるホルダ部品の曲げ変形の結果、プライヤ顎側のピンが、スロットの境界部分に対して当接するようになることができる。さらに、好ましくは、ピンから視たホルダ部品の曲げ方向に適応させて、それに従うようにスロットを整列させることができる。さらに、ピンを、プライヤ顎側のスロットと協働させるためにホルダ部品上に形成することもできる。
【0012】
固定接続とストップセクションとの間のホルダ部品の最小断面が、好ましくは、ストップセクションと、関係する押圧顎のためのホルダ部品の保持領域との間の最小断面よりも大きくなるように選択することができる。この場合、最小断面に関して、変位方向又はストップ接続のピン若しくはスロットの方向から視たときに得られる大きさすなわち面積が考慮される。したがって、ストップセクションを超えて押圧顎を保持するホルダ部品の端部領域まで延在するホルダ部品セクションにおいて、ストップセクションと固定接続領域との間にあるホルダ部品セクションに比べて、断面に関してホルダ部品の、任意のまた全体的に、より細身の形状が得られる。したがって、それぞれの最小断面はさらに、特にそれぞれの場合において、上述した各ホルダ部品セクションのほぼ中央にて得ることができ、さらに好ましくは、ホルダ部品の長手方向の最大延在方向に関して、各ホルダ部品セクションのほぼ中央の3分の1の部分にて得ることができ、さらに任意に、固定接続を起点とするホルダ部品セクションの外側の3分の1の部分にて得られ、任意にそのホルダ部品セクションの中央の3分の1の部分に達することができる。
【0013】
したがって、さらに、ストップセクションと固定接続との間、又は、保持領域とストップセクションとの間の距離の3分の1と3分の2の間の領域において、ホルダ部品の有効曲げ断面は、最小断面の領域におけるよりも10%、例えば最大50%、又はさらに最大80%大きくすることができ、これは、好ましくは、固定接続と押圧顎を担持する端部との間のホルダ部品の全長に亘って観察され、そしてさらに、水平方向においてホルダ部品の最大長さが観察される側面図において観察される。曲げ断面は、好ましくは、ホルダ部品の長手方向の最大延在方向に対し垂直に沿って得られる。
【0014】
一つの可能な実施形態では、ホルダ部品が、その長さに比べて小さい厚さを有する平坦部品として形成されることができる。したがって、長手方向におけるホルダ部品の長さは、例えば、これに対して垂直に観察される平坦部品の厚さの10~50倍、さらに約25~40倍に相当することができる。ホルダ部品の最小断面は、大きさにおいてホルダ部品の厚さの1~5倍に相当することができる。
【0015】
幾何学的中央ラインに関して、無負荷状態において、ホルダ部品は、可動プライヤ顎から視たとき凹みのある形状を有することができる。したがって、ホルダ部品は全体として、しかしながら実質的に縦の中央ラインに関して、弧状に湾曲した方式で、任意にこの場合は半径を有して延在することができ、その半径は、曲率に関して全体に同じままであるが、さらに曲率に関して縦の中央ラインの長さに亘って異なる半径を有することもできる。
【0016】
可動プライヤ顎は、連続的な均一材料のレバー部品を用いて固定プライヤ顎及び可動ハンドル部品に対して装着することができる。さらに、可動プライヤ顎は、第2の押圧顎を保持受容するための自由端領域を有することができる。設けられた第2の押圧顎が対向する固定プライヤ顎の第1の押圧顎の方向に対応する直線変位を行うために、通常のハンドル部品が旋回変位する結果として、レバー部品が、固定プライヤ顎の領域にある回転軸の周りで旋回可能である。好ましい力の伝達のために、これに関していわゆるトグルジョイントを設けることができる。
【0017】
さらに、可動プライヤ顎のレバー部品に関して、固定プライヤ顎上のレバー部品の装着部と可動ハンドル部品上のレバー部品の装着部との間、又は、固定プライヤ顎上のレバー部品の装着部とレバー部品の自由端領域との間の距離の3分の1と3分の2の間の領域において、押圧力が印加されたときに最大変形領域を得ることができる。したがって、さらに、可動プライヤ顎のレバー部品は、全体的又は部分的に弾性を有するように形成することもできる。その場合好ましい実施形態では、弾性が、レバー部品の材料弾性値のみから得られる。
【0018】
したがって、可能な一実施形態によれば、押圧顎のための保持受容部を形成するホルダ部品及びレバー部品の両方が、所定の押圧力を超えたときに力経路について補償するために、弾性的に曲がることができる。
【0019】
以下、本発明を例示的な実施形態を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、押圧口の開位置における圧着プライヤの斜視図を示す。
【
図4】
図4は、圧着プライヤに向かい合う拡大前面図を示す。
【
図8】
図8は、押圧顎の開位置における押圧顎の配置の詳細斜視図を示す。
【
図9】
図9は、
図8における矢印IXの方向から視た押圧顎の配置のさらなる斜視図を示す。
【
図10】
図10は、押圧顎を圧着プライヤに固定するプラグイン部品の除去後の
図9に対応する図を示す。
【
図11】
図11は、拡大斜視図における関係する旋回ピンとプラグイン部品とを具備する押圧顎を示す。
【
図12】
図12は、押圧顎の配置を通る
図4のラインXII-XIIにおける断面を示す。
【
図14】
図14は、押圧顎を保持するために構成された旋回ピンの詳細図を示す。
【
図17】
図17は、付帯旋回ピンに対する押圧顎の保持を解消して押圧顎対を取り外し位置へと旋回させた後の実質的に
図9に対応する図を示す。
【
図19】
図19は、押圧顎の開位置において押圧口に挿入されたワーク片と共に、
図8の切断面XIXの面における断面図を示す。
【
図25】
図25は、さらなる拡大鏡のような拡大図と共に、
図24の矢印XXVにおける図を示す。
【
図26】
図26は、押圧顎に作用するホルダ部品の第1の曲げ変形の下での中間位置における
図21の続きの図を示す。
【
図28】
図28は、ホルダ部品のさらなる弾性曲がり中のさらなる押圧プロセスの過程における
図26の続きの図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
先ず
図1を参照して、実質的に2つのプライヤ顎2、3と、2つのハンドル部品4、5と、押圧顎対として互いに対向して配置された第1の押圧顎6及び第2の押圧顎7とを有する圧着プライヤ1を示しかつ説明する。
【0022】
プライヤ顎2と関係するハンドル部品4が、以後、それぞれ固定されたものとして示される一方、プライヤ顎3とこれに関係するハンドル部品5が、以後、可動なものとして示される。
【0023】
第1の押圧顎6は、固定プライヤ顎2と関係する一方、可動プライヤ顎3は、第2の押圧顎7を担持している。
【0024】
固定プライヤ顎2は、実質的に2つの実質的に一体に構成された顎部品8から構成されており、それらはプライヤ顎2の長手方向に対して横方向に互いに離間しており、それらの顎部品の端部は、このように構成されたプライヤ顎2に強固に固定されたハンドル部品4内に入り込んでいる。そのハンドル部品4は、可動ハンドル部品5についても同様であるが、ハンドルスリーブ9又は10により覆われている。
【0025】
可動プライヤ顎3は、固定プライヤ顎2上の幾何学的回転軸の周りで回転可能に保持されている。その場合、可動プライヤ顎3のストップセクション11が固定プライヤ顎2のセクション上で、例えば図示のように、回転軸xの延在方向において固定プライヤ顎2の顎部品8同士の間に延在するピン12上で支持される結果として、回転の開位置が停止制限される。
【0026】
回転軸xは、特に、固定プライヤ顎2及びそれに隣接するハンドル部品4の長手方向に対して実質的に横方向に向いて延在している。
【0027】
さらに、可動プライヤ顎3が、その停止制限された回転の開位置の方向にバネにより付勢されている。この目的のために、図示の例示的実施形態では、好ましくは図示のように円筒引っ張りバネの形態であるバネ13が設けられ、それは、関係する第2の押圧顎7とは反対側の可動プライヤ顎3のレバー端部に対して作用する。プライヤ顎3とは反対側のバネ13の端部は、固定プライヤ顎2のさらなるピン14に接続されている。
【0028】
互いに反対向きのレバーセクションが、実質的に幾何学的回転軸xを起点として延在し、したがって、実質的にハンドル部品5の方に突出するレバーセクションは、その端部にバネ13が作用し、そしてハンドル部品5とは反対側にプライヤ顎2の前面の方に向いたレバーセクションは、関係する第2の押圧顎7がその端部領域に保持される。
【0029】
図示の例示的実施形態では、可動プライヤ顎3が全体として、連続的な均一材料のプレート状のレバー部品15により形成されることが好ましい。
【0030】
さらに、可動ハンドル部品5は、バネ13が作用するレバーセクション17の端部で実質的に関節運動を行う。関係する幾何学的回転軸yは、可動プライヤ顎3の回転軸xに平行に整列して延在する。ラチェットアーム18と組み合わされることで、これは、ハンドル部品5の関節運動とハンドル部品5を介したプライヤ顎3に対する作用に関係する膝関節機構Kを形成する。
【0031】
この目的のために、ラチェットアーム18は、一端において固定プライヤ顎2に対して、そして他端において可動ハンドル部品5に対して関節運動を行う。関係する幾何学的回転軸の各々は、幾何学的回転軸xに対して、そして幾何学的回転軸yに対しても平行に延在する。
【0032】
圧着プライヤ1の作動に応じて可動ハンドル部品5上で旋回関節運動する爪20と協働するために、歯付きラチェットセクション19がラチェットアーム18上に形成されている。この爪は、可動ハンドル部品5に引っ張りバネ21を配置した結果として、基本位置へと予めバネで張力を印加されている。
【0033】
既知の方式において、アクチュエータ22により膝関節機構Kの調整が可能とされている。アクチュエータ22は、固定プライヤ顎2に対して外側からアクセス可能であり、かつ幾何学的軸の周りで回転可能であり、その幾何学的軸の周りでラチェットアーム18も固定プライヤ顎2の領域で可動である。そのアクチュエータ22は、ラッチ方式で複数の回転位置に固定することができる。アクチュエータ22が、図示しない偏心体を介してラチェットアーム18の固定顎側の回転軸に対して作用することによって、この手段により関係する幾何学的回転軸の対応する直線変位を実現することができる。
【0034】
第1の押圧顎6は、弾性的なホルダ部品23の端部に固定されている。実質的に固定プライヤ顎2の長手方向に延在して固定ハンドル部品4内へと延在するホルダ部品23の中央ラインに関して、可動プライヤ顎3又は可動ハンドル部品5から視たとき、特に第1の押圧顎6を保持する自由端と、以下でさらに詳細に説明するストップ接続25との間のホルダ部品セクション24において、実質的に凹んだ形状が得られる。
【0035】
ホルダ部品23は、好ましくは、その両側に固定プライヤ顎2の顎部品8が配置されている。その場合、第1の押圧顎6を搭載する端部とは反対側のホルダ部品セクション26が、固定プライヤ顎2の端部に接続されており、したがって、顎部品8及び/又は固定ハンドル部品4に接続されている。これに関して、図示の例示的実施形態では、中央ラインaの延在方向に互いに離間した2つのピン接続による固定接続27が与えられている。
【0036】
押圧顎6、7は、圧着プライヤ1において対向する配置で構成されている。1つ又は2つの押圧顎6、7が、リブ29、31を有する。リブ29、31は、ベース面上に投影されたそれらの自由端の形状においてリブ長手方向Rを有する。例えば
図11を参照されたい。押圧中、リブ29、31は、通常それらの高さの一部に亘って、互いの中に移動可能であり、例えば
図11を参照されたい。これに関して、
図6、
図7も参照されたい。押圧中に通常、ブランクと係合することになるリブ29、31の領域は、作業領域として設計されている。リブ29、31の作業領域の外側において、リブ29、31は、対向する押圧顎6、7を起点とするガイド突起38と協働するガイド面Fを有する。したがって協働が存在し、よってリブ長手方向における変位阻止又は変位制限も存在する。それに追加して又はそれに替えて、ガイド面を、これに対して横方向に与えることもできる。図示の例示的実施形態では、これは、ガイド突起38のこの方向に向いた対応する前面Sにより、可能であれば反対側の両面において達成される。これについては
図5を参照されたい。任意に横方向に与えられるガイド面は、変位制限としての役割はあまりなく、押圧顎の互いに対する線形ガイドの意味で、おそらくは付加的なガイドとしての役割を果たす。関係する変位制限は、好ましくは、噛み合うリブによってすでに得られている。
【0037】
押圧顎6と7は、好ましくは同じ設計であり、この場合さらに好ましくは、先ずベース本体28を有し、その上に押圧顎6に関してはリブ29が配置されている。リブ29とベース本体28は、好ましくは、同じ材料で一つの部品で形成される。
【0038】
押圧顎6のリブ29は、リブ長手方向Rを有する。このリブ長手方向Rに垂直な視線方向において、実質的に三角形の輪郭のリブ29が得られ、ベース本体28に実質的に垂直に又はリブ長手方向Rに垂直に延在する外側のリブ前面30を有する。このリブ前面30を起点としてリブ長手方向Rに延在する、反対側の押圧顎に対向する端面は、ベース本体28の方に降下している。
【0039】
押圧顎6又は7の整列したリブは、リブ長手方向に対して横方向に互いに離間して配置されており、特に、実質的に離間方向において視たリブの厚さに対応する間隔で配置されている。
【0040】
同じ押圧顎6又は7におけるさらに別の部分のリブが、同じ押圧顎6又は7のこれらの間隙領域内に入り込んでいる。押圧顎6の前面図において、その前面図ではリブ29の三角形の輪郭形状が視られ、上述したリブ29の中間間隙に係合するさらに別のリブ29が、実質的に鏡像として配置されるが、好ましくはリブ幅だけずれており、したがってベース本体28に実質的に垂直に延在する外側のリブ前面30も有する。これらのさらに別のリブ29も、ベース本体28の方にリブ長手方向において降下している。
【0041】
反対側の押圧顎7は、リブの構造及び配置に関して同じ設計を有し、したがって、前面から視た輪郭に関して視たとき、外側リブ前面32を具備する三角形のリブ31を有する。
【0042】
押圧顎6と7のリブ29と31は、櫛状の方式で噛み合う。その場合、上述したリブ29と31の三角形の輪郭形状と押圧顎6と7の内部の鏡像配置の結果として、押圧顎6と7の互いの間隔に関係なく、
図1に示されるように、例えば、好ましくは四角形の、さらに好ましくは正方形の輪郭を有する押圧顎口33が形成される。押圧顎口33の縁の長さは、押圧顎6と7の互いの直線距離を変化させる過程において均一に変化可能である。
【0043】
他方の押圧顎に対向して各リブ29、31は、
図7の断面図によれば、丸みのある輪郭線35をもつ自由端面34を有し、それは、リブ長手方向に対し横方向に得られ、中央において最も突出している。この丸みのある又は湾曲した輪郭線35は、リブ29、31の側面輪郭36の間に延在し、側面輪郭36は、好ましくは、押圧顎6と7の近寄せ方向rに関して直線的に延在している。その場合、さらに、平行に延在する側面輪郭36が、好ましくはリブ29、31において両側に設けられることが好ましい。反対側の押圧顎の方向から視たとき、好ましくは、全体的に凹んで湾曲した輪郭線35が得られる。
【0044】
湾曲した輪郭線35は、リブ延在方向に対し横方向から視たリブ厚さ全体に亘って連続的に延在することができる。この場合、例えば、リブ厚さ寸法の半分に対応することができる(均一な)曲率半径を有する。
【0045】
さらに図示されるように、輪郭線35の連続的曲線は、任意に、断面においてほぼ中央にありリブ29、31の最も突出した領域を形成する平坦部37により中断されることができる。これは、断面においてそして任意に、側面輪郭36に対して直線的に延在する。
【0046】
リブ長手方向に対し横方向に、圧着プライヤ1の作動に応じて、特に実行されるべき押圧の過程において、リブ29と31の支持と、したがって押圧顎6と7のガイドを得ることができる。
【0047】
さらに、特にリブ長手方向においてガイドが設けられる。このために、各押圧顎6、7が、各ベース本体に接続された少なくとも1つのガイド突起38を有する。突起38は、近寄せ方向rの長さを有し、その長さは実質的に、同じベース本体28上に配置されたリブ29又は31の同じ方向に視られる長さに対応することができる。ガイド突起38は、寸法全体に亘ってリブ長手方向に対し横方向に延在し、図示の例示的実施形態では、配置されたリブ29、31のうち2つ又は3つをカバーしている。
【0048】
ガイド突起38はさらに、関係するリブ前面30又は32に沿って延在している。
【0049】
リブ29と31が噛み合う押圧顎6と7の使用位置において、ガイド突起38は、ガイド面を形成するリブ前面30又は32と協働する。
【0050】
ガイド突起38を介したこのような支持は、リブ長手方向から視たとき両側に設けられ、両側のガイド突起38は、一方の側には中央の挿入孔39を間に残して2本設けられ、他方の側には、好ましくは他方の押圧顎6、7の中央の挿入孔に挿入するために1本のみ設けられる。
【0051】
さらに結果として、2つの押圧顎の櫛状に協働するガイド突起38の互いに割り当てられた長いエッジ面が当接することによってさらなるガイドが提供される。
【0052】
特に取り扱い技術に関して圧着プライヤ1をさらに改善するために、押圧顎6と7が、固定プライヤ顎2と可動プライヤ顎3の間に把持された使用位置において、捻れ軸zの周りで結合して回転可能である。その捻れ軸は、近寄せ方向rに向いており、可動プライヤ顎3又は可動ハンドル部品5の幾何学的回転軸x及びyに対して横方向に向いている。
【0053】
この可能な捻れは、押圧顎6と7の近寄せ位置とは無関係であり、すなわち例えば
図2に示す押圧顎の基本位置においても、例えば
図28に示す圧着プライヤの終了位置においても、そして基本位置と終了位置の間の各中間位置においても無関係である。
【0054】
この捻れ軸zの周りの捻れ性は、理論的には押圧されるワーク片が押圧顎口33にないときのみ可能な押圧顎6と7の互いに完全に移動した近寄せ位置においても、実質的に実現される。よって、反対側のプライヤ顎に配置された押圧顎のガイド突起における反対側のプライヤ顎に対向する表面40が、この近寄せ位置において反対側の押圧顎のベース本体28の下面41を超えることはない。したがって、ガイド突起38の表面40と、ガイド突起38が近づいていくプライヤ顎の対向する表面42との間には常に距離がある。
【0055】
捻れ性を実現するために、各押圧顎6又は7に割り当てられた旋回ピン43が、先ず旋回する。これは、下面41を貫通して押圧顎6、7のベース本体28の形状適応した凹部44内に着座している。押圧顎6、7は、旋回ピン43に対し捻れ軸zの周りで回転可能である。一方、旋回ピン43は、好ましくは捻れ軸zに対して変位不能に、プライヤ顎2、3又はレバー部品15又はホルダ部品23のそれぞれ割り当てられた端部に受容されている。
【0056】
押圧顎6又は7は、それぞれの旋回ピン43に対して取り外し可能に保持されることができる。この目的のために、図示の例示的実施形態では、U形状のプラグイン部品45が設けられ、それは、任意に、捻れ軸zに対して横方向の押圧顎孔33を形成する前面からプラグインし又は取り外すことができる。この目的のために、平行にかつ捻れ軸zに対して横方向に延在する2つのチャネル46が、押圧顎6、7のベース本体に設けられており、それらのチャネルを通してプラグイン部品45の好ましくは無負荷状態で互いに平行なU脚を挿入することができる。それにより、チャネル46は、旋回ピン43を実質的に受容する凹部44を横断する(
図11参照)。
【0057】
旋回ピン43は、少なくともプラグイン部品45と協働するセクションに多角形断面を設けることができ、図示の例示的実施形態では八角形である。プラグイン部品45のU脚は、捻れ軸zにおいて多角形で形成された旋回ピン43の2つの反対側の平坦側面に対して当接する。上述した多角形構造が特に旋回ピン43の狭窄直径領域に形成され、したがってU脚がそれにより形成された周囲の環状溝内に位置するので、押圧顎6、7の両方においてかつ旋回ピン43に対するプラグイン部品45の確実な受容がこのようにして得られる(
図6参照)。したがって、複数の回転位置におけるロータリーラッチ固定をこのように実現できる。
【0058】
さらなる実施形態では好ましくは弾性的に構成されているプラグイン部品45を引っ張ることにより、押圧顎6、7を取り外すために旋回ピン43から押圧顎6、7を解放することができる。
【0059】
各旋回ピン43は、旋回ジョイント47を介して関係するプライヤ顎2、3に、又は関係するレバー部品15又はホルダ部品23に、さらに固定することができる。幾何学的旋回軸uは、捻れ軸zに対して横方向に向いており、任意に、可動プライヤ顎3及び/又は可動ハンドル部品5の幾何学的回転軸x及びyに平行に整列していることも好ましい。
【0060】
この目的のために、旋回ピン48は、押圧顎6、7のベース本体28に受容された部分の延長部において旋回ピン43上に成形されており、その旋回ピン48は、ピン直径に比べて拡大されたガイド顎49により両側の端部をカバーされることができる。
【0061】
各旋回ピン48は、関係するプライヤ顎2、3又は関係するレバー部品15又はホルダ部品23の形状適応したキャビティ50内に受容される。そのキャビティ50は、
図15による断面において、旋回ピン48の拘束的保持を行うために、好ましくは旋回ピン48の円周の半分を超えて延在する。
【0062】
ここで得られた上述した旋回軸uの周りの旋回性及び各旋回ピン43からの押圧顎6、7の取り外し性と関係して、押圧顎6、7を取り扱い技術に関して好ましい方式で取り外し、かつこれらを装着することが可能である。したがって、例えば、取り外しのために先ず、固定プライヤ顎2に関係する第1の押圧顎6のプラグイン部品45を取り外すことができ、その後、第1の押圧顎6を近寄せ方向rの方に、反対側の第2の押圧顎7の上にリブ29と31の相互の櫛作用を伴って変位させることができる。それにより、旋回ピン43が凹部44から離れ、その後、押圧顎対全体を、可動プライヤ顎3に関係する第2の押圧顎7の旋回軸uの周りで、例えば約15°~30°の旋回角度で前方に旋回させることができる。この位置において、しかしそれ以前にも可能ではあったが、第2の押圧顎7のさらなるプラグイン部品45を取り外すことができ、その後、押圧顎対全体を、第2の押圧顎7の旋回ピン43から取り外すことができる。押圧顎対の装着は、逆の順序で実現される。
【0063】
第2の押圧顎7もまた、先ず、付帯する旋回ピン43から解放することができ、その後、第1の押圧顎6の方に変位させられる。その後、押圧顎対が、第1の押圧顎6の旋回軸uの周りで前方に旋回して出され、第1の押圧顎6が旋回ピン43から解放され、そしてこうして解放された押圧顎対が取り外される。
【0064】
プライヤ顎のうち一方、固定プライヤ顎2の場合、関係する押圧顎6が、既に説明したホルダ部品23により固定プライヤ顎2に接続される。ホルダ部品23は、弾性的方式で押圧方向とは反対に逸れることができるという意味で基本的に弾性である。圧着プライヤによる押圧中、固定接続の接続領域においては、ホルダ部品23と固定プライヤ顎2の間には相対的移動が全く又はほとんどない。
【0065】
ホルダ部品23はまた、押圧中に固定プライヤ顎2に対して移動することもできる。その動きは、押圧中に押圧顎6に対して作用する力であって、ホルダ部品23が受け取る力による弾性的変形によって少なくとも実質的に実現される。しかしながら、この可動性は、ホルダ部品23及び/又は固定プライヤ顎2上に形成されたストップ部によって、制限され、そしてホルダ部品23の対応する力又は変形の導入により、ホルダ部品23と固定プライヤ顎2の間のストップ接続を生じる。このストップ接続が実現されたとき、ホルダ部品23の弾性領域の短縮がそのまま得られる。さらなる力の作用中、ホルダ部品23は、それ以前には対応する量の力により逸れていた対応する量では、もはや弾性的に逸れることはない。しかしながら、それにも拘わらず、さらなる弾性がなお達成される。
【0066】
固定プライヤ顎2に関係するホルダ部品23の領域で提供されるストップ接続25は、ストップ部により与えられ、それは、ストップセクション51により具体的かつ好ましく形成される。そのストップ部は、ホルダ部品23の周縁に当接することができる。好ましくは、例示的実施形態では、ホルダ部品23がスロット53を有し、その中に、ここでは好ましくはピン52の形態のストップ部が受容される。所与の場合において、これに関してスロット53が設けられるとき、スロット53は、上述したホルダ部品23の中央ラインaに対して実質的にほぼ垂直な長手方向に向いたその中心軸をもって延在する。
【0067】
スロット53は、ピン52の直径に適合した幅を有する一方、それに対して垂直に観察される長さは、ピン直径の約1.5倍~2倍にほぼ対応することができる。
【0068】
ホルダ部品23は、押圧力を印加する過程で曲げ変形を行うのに適切であり、特に、近寄せ方向rに対し実質的に反対側への、そして中央ラインaに対し横方向への曲げ変形を行うのに適切である。固定接続27の領域におけるプライヤ顎2へのクランプの結果として最初にかつ実質的に得られるこの曲げ変形の過程において、ホルダ部品23のスロット53が、ストップセクション51又はピン52に対して当接するようになることができる。ホルダ部品23は、ストップ接続25の領域におけるこの当接位置でのみ支持を受けるが、それは、さらなる押圧力の導入の過程において、例えば大直径のワーク片Wの押圧中に、ホルダ部品23の、場合によってはホルダ部品セクション24のみの支配的な曲げ応力を生じることになる。
【0069】
ホルダ部品23は、好ましくは、その長さlに比べて小さい厚さdを有する平坦部品として構成されている。図示の例示的実施形態では、長さlが、厚さdのほぼ15~30倍に相当し、さらに約20倍に相当する。ホルダ部品はまた、好ましくは、固定プライヤ顎2の対応する平坦側面に対してほぼ直接当接している。
【0070】
さらに、特に、ホルダ部品セクション24及びホルダ部品セクション26のそれぞれの中央領域において、いずれの場合も、それぞれの長さの中央の3分の1の部分において、中央ラインaに対して横方向に観察される最小断面b、b’が得られる。この場合好ましくは、固定接続27とストップ接続25との間の最小断面(大きさb’)が、ストップ接続25と第1の押圧顎6の保持領域との間の最小断面(大きさb)よりも大きい。ストップ接続25と押圧顎ホルダとの間の最小断面bの大きさは、ストップ接続25と固定接続27との間の最小断面b’の大きさの0.3~0.8倍に相当することができる。
【0071】
図示の例示的実施形態では、中央ラインaの延在方向において第1の押圧顎6の保持領域を起点としてストップ接続25の方に、ホルダ部品セクション24の関係する長さの2分の1~3分の2を通る部分を視たとき、ストップ接続25と固定接続27との間に延在するホルダ部品セクション26の全長に亘る断面b’に比べて、より小さい大きさの断面bが与えられる。したがって、最大変形領域は、ストップ接続25と第1の押圧顎6の保持領域との間のホルダ部品セクション24において得ることができる。
【0072】
この結果、押圧顎6と7を替えることなく、異なる直径を有するワーク片Wを押圧できるための好ましい力経路補償が可能となる。特にハンドル部品5のそれぞれのレバー移動は、ワーク片の直径とは無関係に、爪20がラチェットセクション19を離れる位置となる。この結果、解放された可動ハンドル部品5は、旋回して戻る一方、押圧顎6と7を互いに開き又は離間させる。
【0073】
さらに、可動プライヤ顎3に割り当てられた、又はこのプライヤ顎3を直接形成するレバー部品15の領域における、したがって特に、回転軸xと、関係する第2の押圧顎7の旋回ジョイント47との間に得られるレバーセクション16における可能な曲げ変形の結果、力経路補償が支援される。レバーセクション16は、実質的にその長手方向に対して横方向に視たとき、回転軸xと可動ハンドル部品5の旋回接続との間におけるレバーセクション17に比べて、より小さい最小断面の大きさを有する。
【符号の説明】
【0085】
1 圧着プライヤ
2 プライヤ顎
3 プライヤ顎
4 ハンドル部品
5 ハンドル部品
6 押圧顎
7 押圧顎
8 顎部品
9 ハンドルスリーブ
10 ハンドルスリーブ
11 ストップセクション
12 ピン
13 バネ
14 ピン
15 レバー部品
16 レバーセクション
17 レバーセクション
18 ラチェットアーム
19 ラチェットセクション
20 爪
21 引っ張りバネ
22 アクチュエータ
23 ホルダ部品
24 ホルダ部品セクション
25 ストップ接続
26 ホルダ部品セクション
27 固定接続
28 ベース本体
29 リブ
30 リブ端面
31 リブ
32 リブ端面
33 押圧顎開口
34 端面
35 輪郭線
36 側面輪郭
37 平坦部
38 ガイド突起
39 挿入孔
40 表面
41 下部表面
42 表面
43 旋回ピン
44 凹部
45 プラグイン部品
46 チャネル
47 旋回ジョイント
48 旋回ピン
49 ガイド顎
50 キャビティ
51 ストップセクション
52 ピン
53 スロット
a 中央ライン
b 断面
b’ 断面
c 距離
d 厚さ
l 長さ
r 近寄せ方向
u 旋回軸
x 回転軸
y 回転軸
z 捻れ軸
K 膝関節機構
W ワーク片