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特許7253552加熱要素支持部材を有する電気流体流ヒータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-29
(45)【発行日】2023-04-06
(54)【発明の名称】加熱要素支持部材を有する電気流体流ヒータ
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/44 20060101AFI20230330BHJP
【FI】
H05B3/44
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020530987
(86)(22)【出願日】2018-12-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 EP2018083966
(87)【国際公開番号】W WO2019110798
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-10-08
(31)【優先権主張番号】17206190.5
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521437688
【氏名又は名称】カンタール ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】後藤 和貴
(72)【発明者】
【氏名】須貝 聡
(72)【発明者】
【氏名】マン, マルクス
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-510021(JP,A)
【文献】特表2016-531379(JP,A)
【文献】特開平05-315052(JP,A)
【文献】特開平10-213386(JP,A)
【文献】実開昭59-103394(JP,U)
【文献】特表2007-529087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/02-3/18
H05B 3/40-3/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流れを加熱するための電気ヒータ(1)であって、
第1の長手方向の端部(7a)および第2の長手方向の端部(7b)を有する軸方向に細長いジャケットブロック(7)を画定する少なくとも1つの軸方向に細長いジャケット要素(6)と、
前記ジャケットブロック(7)を通って内部に延び、前記第1および第2の長手方向の端部(7a、7b)のそれぞれで開放されている、複数の長手方向のボアまたはチャネル(8)と、
少なくとも1つの加熱要素(11)であって、前記少なくとも1つの加熱要素(11)が、それぞれの前記第1および第2の長手方向の端部(7a、7b)の一方または両方において、隣接または近接するボアまたはチャネル(8)から出て、前記隣接または近接するボアまたはチャネル(8)内に戻るように、前記ボアまたはチャネル(8)を通って軸方向に延び、それぞれの曲がった軸方向の端部セクション(11a)を有する、少なくとも1つの加熱要素(11)であって、前記少なくとも1つの加熱要素(11)および前記ジャケットブロック(7)が加熱アセンブリ(5)を形成する、少なくとも1つの加熱要素(11)と、
前記加熱アセンブリ(5)を少なくとも部分的に取り囲むように配置されたケーシング(2)と
を含み、
前記曲がった軸方向の端部セクションのうちの少なくともいくつかに接触し、前記ジャケットブロック(7)および/または前記ケーシング(2)に対する前記少なくとも1つの加熱要素(11)の軸方向および/または横方向の動きを抑制するために、前記ケーシング(2)に接続された、または前記ケーシング(2)から突出する、少なくとも1つの支持部材(13)
によって特徴付けられ、
前記少なくとも1つの支持部材(13)が、前記曲がった軸方向の端部セクション(11a)と前記ジャケットブロック(7)の前記第1の長手方向の端部(7a)との間を延びる少なくとも1つのロッド(18)を備える、電気ヒータ(1)。
【請求項2】
複数のロッド(18)を含み、各ロッド(18)が、複数の曲がった軸方向の端部セクション(11a)の各々と前記第1の長手方向の端部(7a)との間をそれぞれ延びる、請求項に記載の電気ヒータ。
【請求項3】
前記少なくとも1つのロッド(18)が、前記曲がった軸方向の端部セクション(11a)のそれぞれの内側領域(11c)において、前記少なくとも1つの加熱要素(11)と接触して、またはほぼ接触して配置される、請求項に記載の電気ヒータ。
【請求項4】
前記複数の曲がった軸方向の端部セクション(11a)が、互いに隣接して配置され、一列に位置合わせされ、前記複数のロッド(18)のそれぞれのロッド(18)が、前記一列の前記曲がった軸方向の端部セクション(11a)を貫通する、請求項に記載の電気ヒータ。
【請求項5】
前記ロッド(18)の各々が、それぞれの前記曲がった軸方向の端部セクション(11a)の各々において、前記少なくとも1つの加熱要素(11)の一部を少なくとも部分的に受けるための凹部(18a)を備える、請求項からのいずれか一項に記載の電気ヒータ。
【請求項6】
前記支持部材(13)が、概して円形、多角的または矩形の断面輪郭を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の電気ヒータ。
【請求項7】
前記加熱要素(11)が、前記曲がった軸方向の端部セクション(11a)において、170°から190°、175°から185°、または概して180°に曲げられる、請求項1からのいずれか一項に記載の電気ヒータ。
【請求項8】
前記支持部材(13)が、非導電性材料を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の電気ヒータ。
【請求項9】
前記非導電性材料が、前記支持部材(13)におけるコーティングとして形成される、請求項に記載の電気ヒータ。
【請求項10】
前記支持部材(13)が、金属コアを含み、前記非導電性材料が、前記金属コアを少なくとも部分的に取り囲むためのコーティングとして形成される、請求項に記載の電気ヒータ。
【請求項11】
前記少なくとも1つのジャケット要素(6)が、非導電性材料を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の電気ヒータ。
【請求項12】
前記ケーシング(2)が、外シース(3)と、前記外シース(3)と前記ジャケットブロック(7)との間を径方向に延びる複数のスペーサ(9a、9b)とを備える、請求項1に記載の電気ヒータ。
【請求項13】
前記スペーサ(9a、9b)の各々が、前記ジャケットブロック(7)の一部が貫通する中央開口(10)を有する部分ディスク形状部材を備える、請求項12に記載の電気ヒータ。
【請求項14】
前記ジャケットブロック(7)の前記第1の長手方向の端部(7a)においてまたは前記第1の長手方向の端部(7a)に向かって、前記スペーサ(9a)に設けられたブラケット(15)をさらに備え、前記支持部材(13)が、前記ブラケット(15)と前記曲がった軸方向の端部セクション(11a)との間を延びる、請求項12または13に記載の電気ヒータ。
【請求項15】
前記ジャケットブロック(7)の前記第1の長手方向の端部(7a)においてまたは前記第1の長手方向の端部(7a)に向かって、前記スペーサ(9a)に設けられた少なくとも一対の前記ブラケット(15)を含み、前記支持部材(13)が、前記ブラケット(15)から前記曲がった軸方向の端部セクション(11a)を通って延びる少なくとも1つのロッド(18)を備える、請求項14に記載の電気ヒータ。
【請求項16】
前記ロッド(18)が、細長い前記ボアまたはチャネル(8)に対して概して直角に延びる、請求項15に記載の電気ヒータ。
【請求項17】
単一体としてまとめて組み立てられ、前記スペーサ(9a、9b)によって少なくとも部分的に取り囲まれた複数のジャケット要素(6)を備える、請求項12から16のいずれか一項に記載の電気ヒータ。
【請求項18】
前記外側シース(3)が、前記加熱アセンブリ()を封入する概して中空の円筒形状または中空の立方体形状を含む、請求項17に記載の電気ヒータ。
【請求項19】
前記スペーサ(9a、9b)が、前記外側シース(3)の径方向内面(3b)に取り付けられる、請求項18に記載の電気ヒータ。
【請求項20】
前記ジャケット要素(6)の各々が、第1の領域に突起部(6g)を備え、かつ少なくとも1つの外面の第2の領域に溝(6f)を備え、前記ジャケット要素(6)のうちの1つの前記突起部(6g)が、隣接するジャケット要素(6)の前記溝(6f)内に少なくとも部分的に位置し、前記ジャケット要素(6)を少なくとも部分的に連結するように構成される、請求項10に記載の電気ヒータ。
【請求項21】
前記少なくとも1つのジャケット要素(6)が、前記細長いジャケットブロック(7)を形成するために、まとめて組み立てられた複数のジャケット要素(6)を含み、
前記少なくとも1つの支持部材(13)が、複数のロッド(18)を含み、前記曲がった軸方向の端部セクション(11a)が、互いに隣接して配置され、列に位置合わせされて、前記複数のロッド(18)のそれぞれのロッド(18)が、各それぞれの列の前記曲がった軸方向の端部セクション(11a)を貫通し、
前記ケーシング(2)が外側シース(3)を備え、前記ヒータが、前記外側シース(3)と前記ジャケットブロック(7)との間を径方向に延びる複数のスペーサ(9a、9b)をさらに備え、前記スペーサ(9a、9b)は、前記ジャケットブロック(7)の一部が貫通する中央開口を含み、
前記ヒータが、前記ジャケットブロック(7)の前記第1の長手方向の端部において、または前記第1の長手方向の端部に向かって、前記スペーサ(9a、9b)の1つに設けられた複数のブラケット(15)をさらに備え、前記ロッド(18)が、前記ブラケット(15)の間を、各列の前記曲がった軸方向の端部セクション(11a)を通って延びる、請求項1に記載の電気ヒータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流れを加熱するための電気ヒータに関し、特に、排他的にではないが、ジャケットブロック内を通過する加熱要素の軸方向および/または横方向の動きを抑制するための少なくとも1つの支持部材を有する電気ヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスを高温に加熱するための電気ヒータは、典型的には、ガスの貫通流に適合されたチューブと、チューブ内に配置され、チューブの開放された第1の端部に流入し、ワイヤを通過し、次いで、開放された第2の端部を介してチューブから流出する際に、ガスに熱を伝達する電気加熱要素とを含む。
【0003】
従来、比較的細いワイヤは、チューブ内で、螺旋構成で巻かれており、ガスがチューブを流れる際に、ワイヤに電流を流すことによって、加熱効果が実現される。従って、(電熱線を介した)電気エネルギーの熱への変換の効果は、例えば、印加される利用可能な電気電圧およびワイヤの抵抗に依存する。したがって、電気ヒータの効率は、部分的に、ワイヤによって達成可能な最高温度、流動抵抗および熱交換に利用可能な表面積に依存する。典型的には、従来の電気プロセスヒータで達成され得る最大ガス温度は、約700~900℃であり得る。しかし、温度が高いほど、ワイヤの破壊や破損の傾向が大きい。
【0004】
極最近、EP2926623は、電熱線が、ロッドの断面積と、ロッドが貫通するチューブ状ボアとの間に所定の断面積比を有する加熱ロッドで置き換えられる、電気流ヒータを開示している。単一の加熱要素は、複数の曲がった(またはループ状の)端部を介して、複数のボア(細長いチューブ状要素内に形成された)を通って延びる。1200℃までのガス加熱温度が開示されている。
【0005】
従来の電気ヒータは、約1100℃の高温に達し得るが、高いガス速度および大きな圧力差が、加熱要素(および周囲のチューブ(加熱ブロック))の振動および移動を引き起こし、それによって、加熱要素は、依然として機械的衝撃および必然的に破損をもたらす応力にさらされる。この現象は、細長いチューブ(加熱ブロック)が垂直に配向される場合には、さらに顕著であり、重力が加熱要素に対する応力要求および物理的にさらに寄与する。従って、要求されるものは、これらの問題に対処する電気流体流ヒータである。
発明の概要
【0006】
従って、本発明の態様は、電気ヒータの耐用年数を大幅に高めるために、熱要素における物理的ストレス、疲労および加損傷を最小限に抑えつつ、流体、特に、約700℃、1000℃、および潜在的には1200℃までの適度な加熱温度から高い加熱温度に達することができる気体(気相媒体)を加熱するための電気流ヒータを提供することである。さらなる目的は、ジャケット要素に対する加熱要素の独立した動きが最小化され、好ましくは排除されるように、細長いジャケットブロックを画定し得る少なくとも1つのジャケット要素(代替的には、チューブ状要素と呼ばれる)内を延びる加熱要素を安定化させることである。
【0007】
少なくとも1つのジャケット要素/ジャケットブロックに対する加熱要素の独立した動きを最小化するために、少なくとも1つのジャケット要素/ジャケットブロックから出ている加熱要素の曲がったまたはループ状の端部セクションにおいて、またはそのセクションに向かって、加熱要素を位置的に安定させることが、さらなる特定の態様である。
【0008】
これらの態様は、加熱要素の曲がった軸方向端部セクションに接触し、ジャケット要素、ジャケットブロックおよび/またはケーシングに対する加熱要素の任意の軸方向および/または横方向の動きを抑制するために、ヒータのケーシングから接続されるまたは突出する少なくとも1つの支持部材を有する電気流体流ヒータを介して実現される。さらに、特定の実施態様では、ケーシングに対するジャケット要素(ジャケットブロック)の軸方向の動きが防止されることがある。
【0009】
オプションで、流体は、液体、蒸気含有気相媒体、蒸気濃縮気相媒体、液体蒸気-気相媒体であってもよい。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、流体の流れを加熱するための電気ヒータであって、第1の長手方向の端部および第2の長手方向の端部を有する軸方向に細長いジャケットブロックを画定する、少なくとも1つの軸方向に細長いジャケット要素と、ジャケットブロックを通って内部に延び、第1および第2の長手方向の端部の各々で開放されている、複数の長手方向のボアまたはチャネルと、少なくとも1つの加熱要素であって、少なくとも1つの加熱要素が、それぞれの第1および第2の長手方向の端部の一方または両方において、隣接または近接するボアまたはチャネルから出て、隣接または近接するボアまたはチャネル内に戻るように、ボアまたはチャネルを通って軸方向に延び、それぞれの曲がった軸方向の端部セクションを有する、少なくとも1つの加熱要素であって、少なくとも1つの加熱要素およびジャケットブロックが加熱アセンブリを形成する、少なくとも1つの加熱要素と、加熱アセンブリを少なくとも部分的に取り囲むように配置されたケーシングとを含み、曲がった軸方向の端部セクションのうちの少なくともいくつかに接触し、ジャケットブロックおよび/またはケーシングに対する少なくとも1つの加熱要素の軸方向および/または横方向の動きを抑制するために、ケーシングに接続された、またはケーシングから突出する、少なくとも1つの支持部材によって特徴付けられる電気ヒータが提供される。本明細書における、「少なくとも1つの軸方向に細長いジャケット要素」および「軸方向に細長いジャケットブロック」への言及は、ヒータの軸方向に「細長く」なるように、対応する幅または厚さよりも大きい長さを有する、カバー、スリーブおよび他のジャケット型要素を包含する。そのような「細長い」要素およびブロックへの言及は、それらのそれぞれの長手方向の端部の間で実質的に連続的に中実であり、かつ間隙、空隙、間隔、または他の分離を含まない、または長手方向の端部の間の本体を包含する。
【0011】
好ましくは、細長いジャケット要素および細長いジャケットブロックは、加熱要素の真っ直ぐなセクションまたは直線状のセクションを受けるための少なくとも1つのそれぞれの内部ボアを備える実質的に真っ直ぐな/直線状の本体である。従って、本ジャケット要素およびジャケットブロックは、加熱要素の曲がったまたは湾曲した端部セクションの間の真っ直ぐな/直線状セクションの長さに実質的に沿って、加熱要素の真っ直ぐな/直線状セクションを実質的に包み込み、取り囲み、覆い、収容し、または包含するように構成される。従って、加熱要素の曲がったまたは湾曲した部分は、加熱要素/ジャケットブロックから突出し、加熱要素/ジャケットブロックによって覆われたり収容されたりしないことが好ましい。
【0012】
従って、本明細書中での「ジャケット」要素および「ジャケット」ブロックへの言及は、ジャケット要素/ブロックのそれぞれの長手方向の端部から突出する加熱要素の曲がったまたは湾曲した端部セクションの間に実質的に連続的に加熱要素を包含し、収容し、取り囲みまたはカバーを付けるためのそれぞれの中空体を包含する。
【0013】
対応する軸方向に細長い内部ボアを有する細長いジャケット要素およびジャケットブロックの効果は、加熱要素と、加熱要素の周囲に密接に閉じ込められた状態でボアを通って流れる流体との間の熱エネルギー伝達の効率を最大にすることである。加熱要素およびブロックの長手方向に細長い構成は、流動流体が、加熱要素の真っ直ぐな/直線的セクションの実質的に全長にわたって、加熱要素の周囲のボア内に適切に収容されることを提示する。本明細書内では、細長い加熱要素/ジャケットブロック内のボアまたはチャネルから出る加熱要素の第1および第2の長手方向の端部それぞれへの言及は、要素/ブロックのボア内に連続して収容される加熱要素の真っ直ぐな/直線的セクションとは区別されると見なされることがある。理解されるように、加熱要素と流体との間の熱伝達のほとんど全ては、細長いボア内で生じる。
【0014】
上記または以下に定義される本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの支持部材は、曲がった軸方向端部セクションとジャケットブロックの第1の長手方向の端部との間を延びる少なくとも1つのロッドを備える。少なくとも1つのロッドの使用は、上述の利点を得るために、ジャケットブロックおよび/またはケーシングに対して加熱要素を安定化させるための単純かつ効果的な構造を提供するために有利である。好ましくは、支持部材は、複数のロッドを備え、各ロッドは、複数の曲がった軸方向端部セクションの各々と第1の長手方向の端部との間をそれぞれ延びる。
【0015】
オプションで、各ロッドは、曲がった軸方向端部セクションのそれぞれの内側領域において、加熱要素と接触またはほぼ接触するように配置される。従って、ロッドは、ジャケットブロック/ケーシングに対する加熱要素の任意の独立した軸方向およびオプションで横方向の動きを最小化し、および好ましくは排除するように、加熱要素を支持する直接的な手段を提供する。曲がった端部セクション内に挿入されたロッドを使用しても、少なくとも1つのロッドが(ジャケットブロックを貫通する)細長いボアの各開口の横方向の側面に配置される際に、ジャケットブロック内への流体、ジャケットブロックを貫通する流体、およびジャケットブロックからの流体の自由な流れを妨げることはない。
【0016】
本構成は、細長いジャケット要素/ブロックのそれぞれの長手方向の端部の間の細長いボア内に閉塞されていない流体の流れを提供することによって、加熱要素と流体との間の熱エネルギー伝達の程度および効率を最大化するのに有利である。従って、(ジャケット要素/ジャケットブロックから突出する)曲がった/湾曲したセクションで加熱要素を位置的に安定させる位置的支持部材は、流体の流れを妨げず、従って、エネルギー伝達効率を妨げることはない。特に、支持要素は、加熱要素のそれぞれの湾曲した/曲がった端部セクションの間の直線的真っ直ぐなセクションにおいて加熱要素と接触しない。
【0017】
上記または以下に定義される本発明の一実施形態によれば、複数の曲がった軸方向端部セクションは、互いに隣接して配置され、一列に位置合わせされ、それぞれのロッドが、列の曲がった軸方向端部セクションを通って延びる。このような構成は、曲がった軸方向端部セクションに対応するその長さに沿って複数の領域で加熱要素を安定させながら、ヒータにおける支持ロッドの数を最小化するのに有利である。オプションで、ロッドの各々は、それぞれの曲がった軸方向端部セクションの各々において少なくとも1つの加熱要素の一部を少なくとも部分的に受けるための凹部を備える。各凹部は、ジャケットブロックに対する加熱要素の位置的安定性をさらに高め、特に加熱要素の任意の横方向変位を大幅に抑制するのに有利である。オプションで、支持部材は、略円形、多角形、または矩形の断面輪郭を含む。
【0018】
特定の実施態様によれば、加熱要素は、各軸方向端部セクションにおいて170°~190°、175°~185°、または概して180°に曲げられる。このような構成は、ジャケットブロックの各細長いボアを直列に通過する単一の加熱要素を介して、コンパクトな構造の軽量電気流ヒータを提供するのに有益である。
【0019】
上記または以下に定義される本発明の一実施形態によれば、支持部材は、耐火材料またはセラミック材料などの非導電性材料を含む。オプションで、非導電性材料は、支持部材におけるコーティングとして形成される。オプションで、特定の実施態様によれば、支持部材は、金属コアと、金属コアを少なくとも部分的に取り囲む耐火コーティングまたはセラミックコーティングとを含む。好ましくは、少なくとも1つのジャケット要素は、非導電性材料を含む。オプションで、ジャケット要素は、支持部材と同じ材料を含む。オプションで、ジャケット要素は、もっぱら耐火材料またはセラミック材料から形成される。オプションで、ジャケット要素は、ジャケット要素の外部領域におよび細長いボア内にコーティングとして形成された耐火材料またはセラミック(すなわち、非導電性)材料によって少なくとも部分的に取り囲まれまたは包み込まれるコア材料を含みうる。従って、ジャケット要素は、耐熱性および電気絶縁性を有するように構成される。
【0020】
上記または以下に定義される本発明の一実施形態によれば、ケーシングは、外側シースと、外側シースとジャケットブロックとの間を径方向に延びる複数のスペーサとを備える。好ましくは、各スペーサは、ジャケットブロックの一部が貫通する中央開口を有するディスク形状の部材を備える。オプションで、スペーサは、ケーシング(シース)と一体的に形成されてもよく、化学的または機械的な取り付け手段を介してシースに接続、融着、または接着されてもよい。スペーサは、ヒータ内のジャケットブロックを安定させ、かつケーシングおよび/または電気ヒータの周囲の構成要素に対するジャケットブロックの横方向の動きおよび好ましくは軸方向の独立した動きを抑制するのに有利である。オプションで、スペーサは、スペーサが非導電性ジャケットブロックを介して加熱要素から電気的に絶縁される金属材料を含んでもよい。
【0021】
オプションで、ヒータは、ジャケットブロックの第1の長手方向の端部においてまたは第1の長手方向の端部に向かってスペーサに設けられたブラケットをさらに含んでもよく、支持部材は、ブラケットと曲がった軸方向端部セクションとの間を延びる。好ましくは、ヒータは、ジャケットブロックの第1の長手方向の端部においてまたは第1の長手方向の端部に向かって、スペーサに設けられた少なくとも一対のブラケットを含み、支持部材が、ブラケットから曲がった軸方向の端部セクションを通って延びる少なくとも1つのロッドを備える。オプションで、ブラケットは、ジャケットブロックの第1の長手方向の端部の各横方向側面に配置されたブロックの形態で設けられてもよい。
【0022】
従って、ジャケットブロックの軸方向端部は、一対の反対側にあるブラケットの間に挟まれていると考えてもよい。好ましくは、ブラケットの少なくともそれぞれの部分は、ジャケットブロックを張り出すように、ジャケットブロックの長手方向の端部を越えて軸方向に延びる。好ましくは、少なくとも1つのロッドは、ブラケットのそれぞれの張り出し領域の間を延びるように配置される。好ましくは、少なくとも1つのロッドは、細長いボアおよびジャケットブロックに対して概して直角に延びる。
【0023】
好ましくは、ヒータは、単一体としてまとめて組み立てられ、スペーサによって少なくとも部分的に取り囲まれた複数のジャケット要素を備える。ジャケット要素は、オプションで、スペーサ、および/またはジャケットブロックの長さに沿った異なる領域に配置された他の支持部材を介して、アセンブリとしてまとめて組み立てられ結合され、ジャケットブロックをケーシングおよび電気ヒータの他の構成要素に対して位置的に固定する。
【0024】
オプションで、シースは、加熱アセンブリを封入する概して中空の円筒形状または中空の立方体形状を含む。好ましくは、スペーサは、シースの径方向内面に取り付けられる。オプションで、製造を容易にし、ヒータに構造的強度を与えるために、スペーサがシースの内面に溶接されることがある。従って、スペーサは、ケーシングの一部を形成すると考えてもよい。
【0025】
好ましい実施態様によれば、少なくとも1つのジャケット要素は、細長いジャケットブロックを形成するために、まとめて組み立てられた複数のジャケット要素を含み、少なくとも1つの支持部材が、複数のロッドを含み、曲がった軸方向の端部セクションが、互いに隣接して配置され、列に位置合わせされて、複数のロッドのそれぞれのロッドが、それぞれの列の曲がった軸方向の端部セクションを貫通し、ケーシングが外側シースを備え、ヒータが、外側シースとジャケットブロックとの間を径方向に延びる複数のスペーサをさらに備え、スペーサが、ジャケットブロックの一部が貫通する中央開口を含み、ヒータが、ジャケットブロックの第1の長手方向の端部において、または第1の長手方向の端部に向かって、スペーサの1つに設けられた複数のブラケットをさらに備え、ロッドが、ブラケットの間を、各列の曲がった軸方向の端部セクションを通って延びる。
【0026】
したがって、本発明は、ジャケット要素または加熱要素の動きによる加熱要素への損傷を防止する手段を提供する。このような動きは、ガスが、ジャケットブロックの初期の「冷たい」端部とジャケットブロックの「熱い」端部を介して、ボアを通して強制的に圧力下に置かれると、電気ヒータ内の重力差および/または圧力差によって誘起されることがある。従って、加熱要素は、ジャケットブロックの端面、および/またはジャケットブロックの前端面と長手方向のボアの各々との間のエッジまたは移行部との接触が防止される。示されるように、加熱要素の安定化は、支持部材と、1つのボア開放端部から出て、別のボア開放端部に進入する曲がったまたはループ状の端部との間の接触を介して、実現される。
【0027】
オプションで、対応する支持部材が、ジャケットブロックの両軸方向端部、すなわちガス入口の(「冷たい」)端部ならびにガス出口の(「熱い」)端部に設けられてもよい。加熱要素は、電熱線またはロッドであってもよい。しかしながら、好ましくは、少なくとも1つの支持部材は、加熱アセンブリの「冷たい」端部のみに設けられる。電熱線は、容易に曲げることができ、従って複数のボアを通って供給され得るという点で、特定の利点を有し、その結果、単一のワイヤは、近接または隣接するボアまたはチャネルに直列に出入りすることによって、蛇行したパスに続く。一実施形態では、支持棒のサイズ、より正確にはその断面積は、曲がった端部(またはループ)とジャケット要素/ジャケットブロックの隣接する端面との間に形成されたアイレット内にある程度の隙間をもって嵌合するように設計される。好ましくは、支持棒の外面における断面形状の輪郭は、やや半円または半円であり得る各折曲がった端部の径方向内側領域の形状の輪郭に一致するように適合される。
【0028】
好ましくは、加熱要素の端子端部は、チューブ状要素/ジャケットブロックの同一の端部に進入し、その端部から出るのだが、その端部は、典型的には、加熱されたガスが出る「熱い」端部(約1000℃)に対してガスが流入する「冷たい」端部(周囲温度またはより低い温度)である。次いで、電圧を印加し、それに応じて、加熱要素と各ボアを画定する内面との間に画定された間隙を通って流れるガスを加熱するために、加熱要素の両端子端部が、対応する端子に接続されてもよい。
【0029】
ジャケットブロックにおける細長いボアまたはチャネルのより大きなアレイのために、完全なアレイをまとめて形成する異なるグループのボアまたはチャネルを通って供給されうる別個の加熱要素を使用することがもちろん可能である。
【0030】
i)支持棒の第1の側、およびアイレット(曲がった軸方向端部セクションによって形成された)と、ii)支持棒の第2の側と、ジャケットブロックの端面との間の緩い嵌合が、不均一な熱膨張を収容するために提供され、その結果、フローヒータが、動作中の熱い状態と、非作動時冷たい低温状態との間を移行するときに、加熱要素は、いかなる張力も受けることがない。
【0031】
一実施形態では、支持棒は、曲がった軸方向端部セクションとの接触領域に沿って少なくとも1つの丸みを帯びた面を含む断面を有し、ここで、丸みを帯びた面の半径は、加熱要素の曲がった端部の半径に適切に適合され得る(すなわち、加熱要素の曲がった端部の半径よりわずかに小さくされる)。ジャケットブロックの端面は、平坦(すなわち、平面)であってもよく、対応する方法で支持棒の形状を適合させるために、棒の片側が面取りされ、平坦な表面が形成されてもよい。特に、支持棒は、面取りされた円形または半円形の断面を有してもよい。このようなバーの製造が容易であることを考慮して矩形の支持棒が使用される場合には、棒の長手方向に対して交差して延びる溝または凹部が設けられてもよく、ここで、断面形状は、少なくともそれぞれの凹部の位置が、各曲がった端部セクションの形状に適合される。
【0032】
ジャケット要素の中空ボアまたはチャネルは、好ましくは、断面が加熱要素の外部断面のサイズに適合される。円形断面を有する通常の電熱線の場合、ボアまたはチャネルは各々、均一な(各ボアの軸方向の長さに沿って)環状間隙を提供するために、円形断面を含み、これにより、加熱要素での過熱または応力がなくても、ガスの、1200℃くらいまでの温度への加熱が容易になる。また、これらのボアまたはチャネルの断面は、一実施形態では、縦軸に直角なボアまたはチャネル内の中心に加熱要素を配置するために、外周に沿ったスペーサを含むことができる。
【0033】
本明細書内での「加熱要素」への言及は、比較的細いワイヤおよびより大きな断面の加熱ロッドを包含する。このような加熱ロッドまたはワイヤは、好ましくは、鉄-クロム-アルミニウム(Fe-Cr-Al)合金またはニッケル-クロム-鉄(Ni-Cr-Fe)合金を含む。多くの実例では、加熱要素と、各ボアを画定する内部を向く面との間の最大内部間隔は、0.2mmと2mmとの間であるが、0.02mmと50mmとの間のより広い範囲に収まることもある。オプションで、特に、より厚い加熱要素は、次に、オプションでまとめて絡み合わされるまたは撚り合わされる個々のロッドまたはワイヤの束を含むことができるだろう。このような実施形態では、上記の内部間隔は、各長手方向ボアを画定する内面に対するロッドまたはワイヤの束の間の内部間隔によって画定される。
【0034】
本明細書内での「ロッド」への言及は、ワイヤが各ボアの軸に沿って直線的に延びるのに十分なほどの剛性と安定性がある限り、小さな断面を有する曲げることのできる細いワイヤを包含する。
【0035】
本明細書内での「ケーシング」への言及は、内部に取り付けられた加熱アセンブリ(加熱要素およびジャケットブロックを含む)の周囲に配置される電気ヒータのこれらの構成要素を包含する。そのような構成要素は、支持支柱、内側もしくは外側シースまたはハウジング、支持ブレース(ヒータの内部および外部の両方)、棒、ロッド、スポーク、間隔または支持フランジなどを含みうる。
【0036】
オプションで、ボアまたはチャネルの各々の直径は、1mmから20mm、さらには0.5mmから60mmの範囲にあってもよい。したがって、ロッドまたはチャネルの断面積と、ボアの各々の内部断面積との間の好ましい比は、0.04:0.95、0.04:0.8、0.04:0.9、0.2:0.95、0.3:0.8、または0.5:0.9の範囲であってもよい。
【0037】
加熱要素は、入口開口から出口開口まで、各ボアまたは各チャネルを貫通する。加熱されるガスは、ボアまたはチャネルを通り、加熱要素に沿って流れる。ボアまたはチャネルの長さにわたる内側断面は、実質的に一定の空隙、特に加熱要素と各ボアまたはチャネルの内面との間の一定の環状間隙を生成するためには、一定であることが好ましいが、一定である必要はない。各ボアまたは各チャネルは、加熱要素をボア/チャネル表面の残りの部分から一定の距離に保つために、内面に沿って、かつその周りに分布する内側突起部を備えてもよい。各ボアまたは各チャネルの軸方向の長さの少なくとも60%に沿った実質的に一定の環状間隙が、加熱要素と係合する突起部を除いて、実現される。
【0038】
オプションで、ジャケット要素の各々は、各ジャケット要素の外面において、円形、部分円形または湾曲した断面輪郭を含んでもよい。オプションで、各ジャケット要素の外面は、多角形、特に矩形の輪郭を含んでもよい。オプションで、ジャケット要素は、第1の領域で突起部を備え、少なくとも1つの外面の第2の領域で溝を備え、ジャケット要素のうちの1つの突起部は、ジャケット要素を少なくとも部分的に連結させるために、隣接するジャケット要素の溝内に少なくとも部分的に位置するように構成される。オプションで、ジャケット要素が連結関係で互いに嵌合または多角形構成(tessellate)できるように、各ジャケット要素は、外面において対応する溝または凹部から離間して配置されたリブ、リッジ、突起部または舌状部を含んでもよい。このような構成は、ジャケット要素の横方向の動きを抑制して、本明細書でジャケットブロックと称される固定アセンブリを形成するのに有利である。オプションで、それぞれの突起部および凹部/溝は、第1の端部と第2の端部それぞれとの間のジャケット要素の各々に沿って長手方向に延びてもよい。オプションで、それぞれの突起部および凹部/溝は、細長いボアに直角なジャケット要素を横切って幅方向または横方向に延びてもよい。オプションで、ジャケット要素は、ジャケット要素の外面が、実質的にその軸方向の全長に沿って互いに密に嵌合接触するように配置されるように、協働する形状を有する対応する湾曲または多角形の断面輪郭を介して、まとめて多角形構成されてもよい。示されるように、オプションで、ジャケットブロックは、ジャケットブロックの第1の長手方向の端部と第2の長手方向の端部との間を延びる、複数の平行な細長いボアを備える単一体として形成されてもよい。
【0039】
ここで、本発明の特定の実施態様を、単なる例として、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の一態様による電気ヒータの断面側面図である。
図2図1の電気ヒータの一部を形成する加熱アセンブリの斜視図である。
図3図2の加熱アセンブリの第1の長手方向の端部のさらなる斜視図である。
図4図3の加熱アセンブリの第1の長手方向の端部のさらなる斜視図である。
図5図4の加熱アセンブリの一部を形成する近接および隣接するジャケット要素の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1図2および図3を参照すると、電気ヒータ1は、両軸端で開放された内部チャンバ4を画定する円筒状シース3(それぞれ、内部および外部を向く面3b、3aを有する)の形態のケーシング2を備える。概して基準5によって示される加熱アセンブリは、チャンバ4内に取り付けられる。加熱アセンブリ5は、長手方向に細長いジャケットブロック7を形成するようにまとめて組み立てられ保持される複数の長手方向に細長いジャケット要素6から形成される。各細長いジャケット要素6は、ジャケットブロック7の第1および第2の軸方向端部7a、7bで開放されるように、各ジャケット要素6の全長を延びる、長手方向に延びる長手方向の内部ボア8を備える。ジャケット要素6およびジャケットブロック7は、中空体として形成され、中空体は、固体質量および体積が第1の軸方向端部7aと第2の軸方向端部7bとの間を連続的に延びる。すなわち、ジャケット要素6およびジャケットブロック7は、それぞれの端部7aと7bとの間では不連続ではない。
【0042】
このような構成は、本明細書でさらに詳細に説明するように、それぞれのジャケット要素6内の熱エネルギー伝達の程度および効率を最大にするのに有利である。
【0043】
ジャケットブロック7は、各ジャケットブロック軸方向の端部7a,7bに向かって長手方向に位置決めされた一対のディスク形状のスペーサ9a,9bを介して適所に(ケーシング2内に)取り付けられる。シース3およびスペーサ9a、9bは、スペーサ9a、9bが溶接を介してシース3の内部を向く面3bに固定されるように、金属から形成されてもよい。各スペーサ9a、9bは、矩形の形状の輪郭を有し、かつ外部の概して立方形状の輪郭をも含むジャケットブロック7を収容するように寸法決めされた中央開口10を備える。従って、ジャケットブロック7は、チャンバ4内に懸架され、スリーブ内部を向く面3bから空間的に分離されるように、各スペーサ開口10内に取り付けられる。
【0044】
概して参照番号11によって示される加熱要素は、ジャケットブロック7の軸方向端部の1つからほぼ突出しているそれぞれの端部11d、11eを有する細長いロッドとして形成される。端部11d、11eは、説明のために、ジャケットブロック7の「熱い」端部7bから突出するように図1~3に示されている。端部11d、11eは、好ましくは、ジャケットブロック7の「冷たい」端部7aから延びる。加熱要素11は、略円形の断面輪郭を含み、各ジャケット要素ボア8の断面積よりも僅かに小さい寸法にされている。単一の加熱要素11は、それぞれの曲がった軸方向端部セクション11aおよび11bを介して、ジャケットブロック7の各細長いボア8を順次貫通して延びるように適合される。特に、加熱要素11は、第1ジャケット要素6の1つのボア8から出て、180°(加熱要素端部セクション11a)を通って曲げられ、ジャケットブロックの第1の軸方向端部7aにおいて隣接または近接するボア8内に戻る。これは、曲がった端部セクション11bを介して、ジャケットブロックの第2の軸方向端部7bで繰り返される。加熱要素端部11d、11eは、理解されるように、電流を素子11に通すことができるように、電気接続部に結合可能である。
【0045】
図5を参照すると、各ジャケット要素6は、ほぼ平面である4つの長手方向に延びる側面6a、6b、6eおよび6hを備え、各ジャケット要素は、ジャケット要素が接触した状態でまとまって位置し、ジャケット要素6の個々の側面がジャケットブロック7の外部を向く面を形成する矩形の立方体の単一体を形成することができるように適合された、外部のほぼ正方形の断面形状の輪郭を含む。各スペーサ開口10とジャケットブロック7の外面(ジャケット要素側面6a、6b、6e、6hによって画定される)との間に小さな間隙が設けられる。このような間隙は、スペーサ9a、9b(典型的には金属から形成される)と、好ましくは非導電性の耐火材料から形成されるジャケット要素6との熱膨張差に適応する。しかしながら、ジャケットブロック7および加熱要素11の少なくともいくつかの構造的支持体が、ジャケットブロック7と少なくとも部分的に接触するスペーサ9a、9bによって(開口10を介して)提供される。(ヒータ1を通って延びる縦軸12に対して)個々のジャケット要素6の各々の軸方向および横方向の動きを抑制するために、各ジャケット要素6は、ジャケット要素6を横切って横方向に、かつ軸12に直角に延びる溝6fおよび対応するリブ6gを含む。近接するジャケット要素6の溝6fおよびリブ6gは、互いに相互嵌合するように適合され、軸方向の負荷力および横方向のせん断力に抵抗する、部分が多角形構成された(part-tessellating)ジャケットブロック7を提供する。図5の溝およびリブ構成(6f,6g)は、スペーサ9a,9bを介して加熱アセンブリ5の位置的保持に相補的である。
【0046】
本電気ヒータは、具体的には、ジャケットブロック7、スペーサ9a、9bおよび/またはケーシング2(シース3を包含する)に対して加熱要素11を位置的に安定させるように構成された、少なくとも1つの支持部材13(代替的には、加熱要素安定化ユニットと呼ばれる)を備えて構成される。このような構成は、ジャケットブロック7、具体的にはジャケットブロック軸方向端部7a、7bに対する加熱要素11の独立した動きを最小限に抑えるのに有利である。理解されるように、加熱要素11およびボア8の寸法は、各ボア8の内部を向く面と加熱要素11の外面との間の所望の小さな分離間隙を実現するように注意深く制御される。このような構成は、要素11から、位置14aで最初にチャンバ4に導入され、次いで、ボア8の各々を通って流れ、位置14bで加熱アセンブリ5から出る気相媒体への熱エネルギー伝達の効果および効率を最大化するのに有利である。この熱エネルギー伝達の効果および効率はまた、次に、それぞれの端部7aと7bとの間で連続的に長手方向に(軸方向に)延びる加熱要素6によっても提供される。特に、加熱要素11は、端部7aと7bとの間の細長いジャケット要素6によって、完全にかつ連続的に収容され、覆われ、収容される。電気ヒータ1が使用時に垂直に吊り下げられると、曲がった端部セクション11a、11bと端面6cとの間、特に各ボア8の入口端および出口端を画定する環状エッジとの間の望ましくない接触が、加熱要素11の疲労および損傷、ならびにそれに対応するヒータ1の使用寿命の低下に寄与する。これを軽減するために、加熱要素支持部材13は、特に、(ジャケットブロック7とは独立して)加熱要素11の軸方向および横方向の動きを抑制し、特に防止するように設けられる。
【0047】
有利には、支持部材13は、加熱されたガス流出のための「熱い」軸方向端部(位置14b)とは対照的に、ガス流入14aに対応する加熱アセンブリ5の「冷たい」軸方向端部に配置される。「冷たい」第1の軸端部7aは、第2の軸端部7bに対してより低い応力(より低い温度差)の領域であり、したがって、第1の軸端7aでの安定化は、より実用的かつ効果的である。支持部材13は、前に向かって対向ガス流14aに突出するように、スペーサ9aの前面16に固定される、一対の離間したブラケット15を備える。各ブラケット15は、ジャケットブロック7の軸方向の端面6cを越えて突出する。ボアホール17は、ヒータ1の主縦軸12に直角に延びる軸19に沿って各ブラケット15を貫通して延びる。細長いロッド(または棒)18は、軸19の中心に位置し、かつ反対側にあるブラケット15の各々の間を、ジャケットブロック7の端面6cを横方向に横切って延びるように、各ボアホール17内に取り付けられる。本発明は、各々が互いに平行にかつ主縦軸12に直角に延びる複数の安定化ロッド18を備える。図1図2および図4に示すように、曲がった軸方向セクション11aは、挿入され、曲がったセクション11aの各々を通過してその下に入る単一のそれぞれのロッド18を収容し、曲がった(またはループ状の)端部セクション11aとジャケットブロック7の集合端面6cとの間に配置されるかまたは少なくとも部分的に取り込まれるように、各端面6cで列状に配置される。このような構成では、加熱要素11は、ブラケット15を介して固定位置にしっかりと保持されているロッド18との接触により、ガス流方向への(軸12に沿った位置14aから14bへの)動きが防止される。
【0048】
図4を参照すると、各ロッド18は、各曲がった端部セクション11aとの接触(またはほぼ接触)領域に対応するように、ロッド18の長さに沿って離間する複数の凹部18aを備える。各凹部18aは湾曲しており、各々の曲がった端部セクション11aにおいて径方向内側領域11cで加熱要素の湾曲した輪郭に相補的である。すなわち、各領域11c内の各加熱要素は、各それぞれの凹部18a内に少なくとも部分的に収容される。このような構成は、(縦軸12に直角な方向において)加熱要素11の横方向の安定化をもたらす(または増加させる)のに有利である。軸方向および横方向に安定化した加熱要素11を有する本電気ヒータは、加熱アセンブリ5、特にジャケットブロック7に対する加熱要素11の最小化した、独立した動きを介して、動作寿命が延長された状態で構成される。
【0049】
理解されるように、本発明は、各々の曲がった端部セクション11aを通って挿入される細長いロッド13を参照して説明されるが、同一の安定化は、曲がった端部セクション11aが、ケーシング2に直接または間接的に(例えば、中間ブラケット15および/またはスペーサ9a、9bを介して)固定される当接構成要素によって接触される、代替的な構成要素および構成を介して達成されてもよい。例えば、このような当接構成要素は、各端部セクション11aの径方向内側領域11cとジャケットブロック7の端面6cとの間に少なくとも部分的に位置するように適合されたアイレット、フック形状部材、プレートまたはワッシャを備えてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5