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特許7253558熱間圧延インライン移動保温熱処理プロセス及び熱処理ライン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-29
(45)【発行日】2023-04-06
(54)【発明の名称】熱間圧延インライン移動保温熱処理プロセス及び熱処理ライン
(51)【国際特許分類】
   C21D 9/68 20060101AFI20230330BHJP
   B21B 39/00 20060101ALI20230330BHJP
   B21B 45/00 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
C21D9/68
B21B39/00 H
B21B45/00 K
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020537826
(86)(22)【出願日】2018-09-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-26
(86)【国際出願番号】 CN2018106709
(87)【国際公開番号】W WO2019057116
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2020-03-23
(31)【優先権主張番号】201710853613.3
(32)【優先日】2017-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810632238.4
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810632237.X
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520097467
【氏名又は名称】宝鋼湛江鋼鉄有限公司
【氏名又は名称原語表記】BAOSTEEL ZHANJIANG IRON & STEEL CO., LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】302022474
【氏名又は名称】宝山鋼鉄股▲分▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】520098006
【氏名又は名称】上海賀力液圧机電有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI HELI HYDRAULIC MECHANICAL & ELECTRICAL CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 勇
(72)【発明者】
【氏名】朱 蔚 林
(72)【発明者】
【氏名】王 野
(72)【発明者】
【氏名】趙 春 禾
(72)【発明者】
【氏名】宋 涛
【審査官】櫛引 明佳
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-110816(JP,A)
【文献】特開昭58-037128(JP,A)
【文献】特開2001-071019(JP,A)
【文献】特開2001-071018(JP,A)
【文献】特開昭60-125329(JP,A)
【文献】特開昭61-159534(JP,A)
【文献】特開昭60-218431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21D 1/00
C21D 9/52-9/70
B21B 39/00-41/12
B21B 45/00-45/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラブを加熱、熱間圧延、層流冷却、巻取りで熱間コイル状態にし、熱間コイルの梱包後、30min以内に熱間コイルに移動式熱間コイル保温熱処理装置を追加して取り付け、熱間コイルに熱処理を開始すると共に、熱間コイル保温処理領域へインラインで輸送する;熱処理時間が1~48hになったら、空冷方式で冷却した後、鋼コイルを倉庫に入れる;ただし、巻取り温度を250~750℃の間に制御し、前記移動式熱間コイル保温熱処理装置内の自然温度降下速度は1~10℃/hであることを特徴とする、熱間圧延インライン移動保温熱処理プロセス。
【請求項2】
巻取り終了後、10min以内に熱間コイルに移動式熱間コイル保温熱処理装置を追加して取り付けることを特徴とする、請求項1に記載の熱間圧延インライン移動保温熱処理プロセス。
【請求項3】
前記移動式熱間コイル保温熱処理装置は、保温カバー付き輸送トロリーであることを特徴とする、請求項1に記載の熱間圧延インライン移動保温熱処理プロセス。
【請求項4】
前記移動式熱間コイル保温熱処理装置内には、加熱及び/又は真空引き及び/又は不活性ガス吹き込みシステムが設けられることを特徴とする、請求項1又は2又は3に記載の熱間圧延インライン移動保温熱処理プロセス。
【請求項5】
熱延鋼コイル巻取り機後段の梱包装置と冷間圧延機群の間に、熱処理輸送チェインローラーコンベアが設置され、該熱処理輸送チェインローラーコンベアに少なくとも1台の熱間コイル保温熱処理装置が設置される;該熱処理輸送チェインローラーコンベアの両端には、鋼コイルを熱間コイル保温熱処理装置に積み降ろしできる吊り輸送装置がそれぞれ1台設置される;
前記熱間コイル保温熱処理装置には、
熱延鋼コイルに密閉インライン保温を行える保温カバーと;
基板と;
前記基板の上端面中央部に設置される鋼コイル固定台座と;が設置され、
前記鋼コイル固定台座は、対称に設置される2個の並列的な支持体を含む;2個の支持体の間の間隙の両側に、それぞれ側面密封装置が設置され、
前記鋼コイル固定台座の2個の支持体の間には、2個の支持体の間の間隙を閉じ込める底部密封装置が設けられることを特徴とする、熱間圧延インライン移動保温熱処理ライン。
【請求項6】
前記熱処理輸送チェインローラーコンベアの一側には、鋼コイル保温領域が設置され、該鋼コイル保温領域には、前記熱処理輸送チェインローラーコンベアと接続する少なくとも1つの保温輸送チェインローラーコンベアが設置されることを特徴とする、請求項5に記載の熱間圧延インライン移動保温熱処理ライン。
【請求項7】
前記熱処理輸送チェインローラーコンベア又は保温輸送チェインローラーコンベアには、少なくとも1つの熱処理ワークステーションが設置され、該熱処理ワークステーションには、熱間コイル保温熱処理装置における保温カバー内部を加熱する加熱システム及び/又はガス冷却を行う保護ガス冷却導入システムが設置されることを特徴とする、請求項6に記載の熱間圧延インライン移動保温熱処理ライン。
【請求項8】
前記熱処理輸送チェインローラーコンベアの冷間圧延機群側の一端には、鋼コイルの情報を鋼コイルにプリントする情報エンコード・プリント装置が設置されることを特徴とする、請求項5に記載の熱間圧延インライン移動保温熱処理ライン。
【請求項9】
前記熱間コイル保温熱処理装置は、
環状構造のものであって、前記鋼コイル固定台座の中部に水平に外挿されるトレーと;
下端が開口され、その内部キャビティ体積が鋼コイルより大きく、前記トレーをカバーして設けられる保温カバーと;
前記保温カバーに設置される電気加熱装置と;
前記保温カバーに設置される温度センサーと;
前記電気加熱装置、温度センサーと電気的に接続される情報収集制御モジュールと
を含むことを特徴とする、請求項5又は7に記載の熱間圧延インライン移動保温熱処理ライン。
【請求項10】
前記熱間コイル保温熱処理装置には、ガス保護装置及びガスセンサーがさらに含まれ、
且つそれぞれ該情報収集制御モジュールと電気的に接続されることを特徴とする、請求項9に記載の熱間圧延インライン移動保温熱処理ライン。
【請求項11】
前記情報収集制御モジュール内には、信号送信モジュールが設けられることを特徴とする、請求項9に記載の熱間圧延インライン移動保温熱処理ライン。
【請求項12】
前記鋼コイル固定台座は、上端面が斜面である前記支持体を含むことを特徴とする、請求項5に記載の熱間圧延インライン移動保温熱処理ライン。
【請求項13】
前記底部密封装置は、
前記鋼コイル固定台座の2個の支持体の間に設置されて、鉛直に配置される支持板と;
前記支持板の頂面に水平に設置され、その大きさが前記2個の支持体の間の間隙に相応する密封板と
を含むことを特徴とする、請求項5に記載の熱間圧延インライン移動保温熱処理ライン。
【請求項14】
前記支持板の一側端面には電磁ブロックが設けられることを特徴とする、請求項13に記載の熱間圧延インライン移動保温熱処理ライン。
【請求項15】
前記側面密封装置は、
前記鋼コイル固定台座の2個の支持体の間の間隙の両側にそれぞれ設置される2個のシーラーと;
駆動機構と
を含み、
駆動機構は、
前記2個のシーラーにそれぞれ水平に設置され、その一端がシーラーに接続される2個のラックと;
2個の軸受台座によって設置される駆動軸と;駆動軸の両端にそれぞれ設置され、ラックと噛み合うピニオンと
を含み、前記軸受台座は、固定板によって前記支持体の一側に設置されることを特徴とする、請求項5に記載の熱間圧延インライン移動保温熱処理ライン。
【請求項16】
該固定板の一側には、前記ラックを通すための貫通孔が設けられ、貫通孔上方の固定板外側面には、ラックの頂面と当接するためのローラーが設置されることを特徴とする、請求項15に記載の熱間圧延インライン移動保温熱処理ライン。
【請求項17】
前記密封板は複合層構造であり、中間が保温材マットからなり、両側が耐高温鋼板で被覆されることを特徴とする、請求項13に記載の熱間圧延インライン移動保温熱処理ライン。
【請求項18】
前記シーラーは複合層構造であり、中間が保温材マットからなり、両側が耐高温鋼板で被覆されることを特徴とする、請求項15に記載の熱間圧延インライン移動保温熱処理ライン。
【請求項19】
前記保温カバーの側面下部には位置決めブッシュが設けられる;前記トレーには該位置決めブッシュと合わせる位置決めピンが設けられる;前記位置決めピンはテーパ状のものであることを特徴とする、請求項9に記載の熱間圧延インライン移動保温熱処理ライン。
【請求項20】
前記保温カバーには、ガス孔及びガス排出バルブが設けられることを特徴とする、請求項9又は19に記載の熱間圧延インライン移動保温熱処理ライン。
【請求項21】
前記保温カバーは複合構造であり、外保護層が高強度鋼板であり、中間層が保温材であり、内層は耐高温ステンレス板であることを特徴とする、請求項9又は19又は20に記載の熱間圧延インライン移動保温熱処理ライン。
【請求項22】
前記保温カバーは複合構造であり、内部放射層、電気加熱ワイヤー層、中間メッシュ層、中間保温層、外保護層を含むことを特徴とする、請求項9又は19又は20に記載の熱間圧延インライン移動保温熱処理ライン。
【請求項23】
前記電気加熱装置は電気加熱ワイヤーであり、前記温度センサーは熱電対式センサーであることを特徴とする、請求項9に記載の熱間圧延インライン移動保温熱処理ライン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は熱間圧延及び熱処理プロセスに関し、特に熱間圧延インライン移動保温熱処理プロセス及び熱処理ラインに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
熱間圧延及び冷間圧延高強度鋼は、成分設計及び強化メカニズムが複雑なので、従来の熱間圧延プロセスで生産する時、圧延過程又は巻取り後の冷却が不均一で、冷却速度が速すぎて、いずれも製品性能に影響を与え、帯鋼性能のばらつきや、板形劣化等の問題を引き起こす。該問題を解決するために、通常は熱間コイルの巻取り終了後に熱間圧延仕上倉庫に集中して保温徐冷(保温ウォールや保温ピット等)又はオフライン熱処理(ローラーハース炉やベル型炉等)の手段によって改善するが、製造コストの増加や、製造周期の長引き等の問題を招き、しかも一部の手段は性能及び板形品質を改善する目的を完全に達成できない。
【0003】
通常の熱間コイル巻取り後の熱処理手段としては、以下のものがある:
1)熱間コイル巻取り後、仕上倉庫に入れ、保温ピットや保温ウォールによって徐冷処理を行う;
2)熱間コイル巻取り後、仕上倉庫に入れ、集中して段積徐冷してから、アンコイラ機群で板を切断し、その後ローラーハース炉で焼戻処理を行う;
3)熱間コイル巻取り後、冷間圧延に入り、冷間圧延ベル型炉で焼鈍処理を行う。
【0004】
元のプロセスは:加熱-圧延-層冷却-巻取り-オフライン熱処理(保温ピットや熱処理炉等)である。
【0005】
従来技術の欠点は:
熱間コイル巻取り後、仕上倉庫に入れ、保温ピットや保温ウォールによって徐冷処理を行う手段では、熱間コイル巻取り後から倉庫に入れるまでの時間は通常30~120分間程度であり、該過程において、熱間コイルの空冷状態での冷却速率が比較的に速く、帯鋼の内/外周と縁部の冷却の不均一が既に発生しており、且つ保温ピットや保温ウォールでは、熱源なしで加熱し、実際、徐冷処理による帯鋼性能、板形品質の改善が非常に限られている;
ローラーハース炉で焼戻処理を行う或いはベル型炉で焼鈍処理を行うと、帯鋼の均一な熱処理を実現できるが、工程の初期投資が巨額であり、しかも帯鋼を再加熱する必要があり、製造コストを顕著に増加させると共に、製品の製造周期を長引く。
【0006】
現在、国内外の他の製鋼所は通常、熱間圧延仕上倉庫に入れて集中して(保温ウォールや保温ピット等で)保温徐冷することや、オフライン熱処理(ローラーハース炉やベル型炉等)の手段を用いて、熱間コイルを処理する。
【0007】
例えば、中国特許CN201210338335では、鋼コイルの巻取り終了後にコイルを装荷して輸送する輸送チェイントレーを用いる「ローラートレー式金属帯コイル輸送装置」が開示される。該装置は、単独で鋼コイルを輸送する固定台座だけである。輸送途中で鋼コイルにインライン保温を行うことができない。
【0008】
中国特許CN201710853613.3では、保温効果しか持たず、底部構造が完全に密封できないゆえ、鋼コイル保温効果が劣る「インライン保温徐冷装置」が開示される。
【0009】
日本特許JP2010094710(A)では、専用の保温ピット等の生産ラインが追加して設置された「トンネル式保温カバー」が開示されるが、構築コストが通常高くなり、しかも改造過程の工事期間が長くて順調な生産に影響を与える。
【0010】
韓国特許KR1589913(B1)では、「移動式トンネル保温カバー」が開示され、移動と同時に保温を実現できるが、移動設備全体が保温キャビティ内に含まれ、設備にとってその耐用寿命が低下してしまう。それぞれ独立的な保温や、保温カバーと輸送ラインの完璧な結合を実現できない。
【0011】
中国特許CN101413051Bでは、保温トンネル構造を採用する「熱延帯鋼仕上加工処理システム”が開示されるが、移動設備全体が保温キャビティ内に含まれ、設備にとってその耐用寿命が低下してしまう。
【0012】
上記従来技術に存在する問題は以下の通りである:
(1)熱間圧延保温装置に存在する最重要問題は、帯鋼が巻取ってから保温装置に入るまでの時間間隔が長すぎて、帯鋼の金属組織変態が殆ど発生若しくは完成したゆえ、オフライン徐冷による熱間コイル性能改善効果は、高強度鋼の品質要求を満たすことができない。熱間コイルを保温カバーに入れるには、20~30分間吊ったままで輸送する必要があり、鋼コイルの空冷時間が長すぎて、保温効果と材料性能に影響を与える。
【0013】
(2)専用の保温ピット、保温炉、ベル型炉、熱処理等の生産ラインが追加して設置され、構築コストが通常高くなり、しかも改造過程の工事期間が長くて順調な生産に影響を与える。また、保温効果が劣る(温度降下速度が速い)という問題も存在する。
【0014】
(3)保温カバーは殆どオフラインモード(保温装置が巻取り置き場に静止的に放置されるもの)であり、鋼コイルの吊り輸送で、生産ラインの正常な生産ペースが乱れる。圧延鋼生産ラインの生産能力の発揮が影響され、実際の量産化が困難になる。
【0015】
(4)輸送チェインを採用する半密閉「トンネル式」保温或いは縦型輸送モードを採用する保温技術は、大量生産の場合に、鋼コイル保温処理時間が不足であることや、保温効果が劣る等の欠点があり、実用化はとても困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
発明の内容
本発明の目的は、熱間コイル巻取りプロセス温度を有効に結合し、初めから熱間コイルに有効な保温熱処理を行い、保温処理される熱間コイルを保温装置に従ってインラインで移動させ、差別化された熱処理プロセス要求の実現を確保し、製品性能を有効に改善できるだけでなく、且つ初期投資が低く、高速な大量生産の要求を満たし、エネルギーを省く熱間圧延インライン移動保温熱処理プロセス及び熱処理ラインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を果たすために、本発明の技術方案は:
スラブを加熱、圧延、層冷却、巻取りで熱間コイル状態にし、熱間コイルのアンコイル・梱包終了後、30min以内に熱間コイルに移動式熱間コイル保温熱処理装置を追加して取り付け、熱間コイルに熱処理を開始すると共に、熱間コイル保温処理領域へインラインで輸送する;熱処理時間が1~48hになったら、空冷方式で冷却した後、鋼コイルを倉庫に入れる;ただし、巻取り温度を250~750℃の間に制御する、熱間圧延インライン移動保温熱処理プロセスである。
【0018】
好ましくは、巻取り終了後、10min以内に熱間コイルに移動式熱間コイル保温熱処理装置を追加して取り付ける。
【0019】
好ましくは、前記移動式熱間コイル保温熱処理装置は、保温カバー付き輸送トロリーである。
【0020】
好ましくは、前記移動式熱間コイル保温熱処理装置内の自然温度降下速度は1~10℃/hである。
【0021】
好ましくは、前記移動式熱間コイル保温熱処理装置内には、加熱及び/又は真空引き又は/及び不活性ガス吹き込みシステムが設けられる。
【0022】
従来の熱間圧延及び冷間圧延高強度鋼は、固溶強化、細粒強化、変態強化、析出強化等の強化メカニズムで組織性能の要求を満たす場合が多いが、それらの成分設計及びTMCPプロセスがいずれも複雑で、強度性能及び巻取った後の性能均一性がいずれも熱間コイル温度の保持及び均一な冷却に大きく関係し、自然冷却過程において巻取った後、性能の長手方向又は幅方向のばらつきが広く存在する。上記問題を本質的に改善するために、現在で実行可能な方法は、オフライン熱処理の手段を用いて、熱間コイルを巻取って冷却した後、さらに所定のプロセス温度に加熱してから、保温処理を行い、焼戻又は焼鈍プロセスで製品性能の改善を実現する。
【0023】
熱間圧延及び冷間圧延高強度鋼の熱間圧延巻取りプロセス温度は通常250~750℃の間にあり、オフライン熱処理プロセス温度範囲と同様であり、該技術的経路は、巻取り温度を正確に制御することで、熱間コイルの自然冷却の前に、保温プロセス設備によって熱間コイルの合理的なプロセス温度でのインライン熱処理を実現し、所定の時間の保温処理によって熱間コイルの焼戻又は焼鈍熱処理を実現することができ、そのプロセス処理効果はオフライン熱処理と同等であるが、オフライン熱処理に比べて、設備の投資、エネルギーの消費を省き、環境にやさしくて持続可能な熱処理プロセスを実現する。
【0024】
本発明にかかる熱間圧延インライン移動保温熱処理ラインは、熱延鋼コイル巻取り機後段の梱包装置と冷間圧延機群の間に、熱処理輸送チェインローラーコンベアが設置され、該熱処理輸送チェインローラーコンベアに少なくとも1台の移動式熱間コイル保温熱処理装置が設置される;相応に、該熱処理輸送チェインローラーコンベアの両端には、鋼コイルを移動式熱間コイル保温熱処理装置に積み降ろしできる吊り輸送装置がそれぞれ1台設置される;前記移動式熱コイル保温熱処理装置には、熱延鋼コイルに密閉インライン保温を行える保温カバーが設置される。
【0025】
さらに、前記熱処理輸送チェインローラーコンベアの一側には、鋼コイル保温領域が設置され、該鋼コイル保温領域には、前記熱処理輸送チェインローラーコンベアと接続する少なくとも1つの保温輸送チェインローラーコンベアが設置される。
【0026】
また、前記熱処理輸送チェインローラーコンベア又は保温輸送チェインローラーコンベアには、少なくとも1つの熱処理ワークステーションが設置され、該熱処理ワークステーションには、移動式熱間コイル保温熱処理装置における保温カバー内部を加熱する加熱システム又は/及びガス冷却を行う保護ガス冷却導入システムが設置される。
【0027】
さらに、前記熱処理輸送チェインローラーコンベアの冷間圧延機群側の一端には、鋼コイルの情報を鋼コイルにプリントする情報エンコード・プリント装置が設置される。
【0028】
好ましくは、前記移動式熱間コイル保温熱処理装置は、基板と;前記基板の上端面中央部に設置される鋼コイル固定台座と;環状構造のものであって、前記鋼コイル固定台座の中部に水平に外挿されるトレーと;下端が開口され、その内部キャビティ体積が鋼コイルより大きく、前記トレーをカバーして設けられる保温カバーと;前記保温カバーの内側壁に設置される電気加熱装置と;前記保温カバー内に設置される温度センサーと;前記電気加熱装置、温度センサーと電気的に接続される情報収集制御モジュールとを含む。
【0029】
好ましくは、前記移動式熱間コイル保温熱処理装置には、ガス保護装置及びガスセンサーがさらに含まれ、且つそれぞれ該情報収集制御モジュールと電気的に接続される。
【0030】
好ましくは、前記情報収集制御モジュール内には、信号送信モジュールが設けられる。
好ましくは、前記鋼コイル固定台座は、上端面が斜面であり、且つ対称に設置される2個の並列的な支持体を含む;2個の支持体の両側の間隙には、それぞれ側面密封装置が設置される。
【0031】
好ましくは、前記鋼コイル固定台座の2個の支持体の底部の間には、2個の支持体の底部の間の間隙を閉じ込める底部密封装置が設けられる。
【0032】
好ましくは、前記底部密封装置は、前記鋼コイル固定台座の2個の支持体の間に設置されて、鉛直に配置される支持板であって、その両側面の下部に長手方向に沿って均一な間隔で、摺動可能な機構を形成するための若干のローラーが設置される支持板と;前記支持板の頂面に水平に設置され、その大きさが前記2個の支持体の底部の間の間隙に相応する密封板とを含む。
【0033】
好ましくは、前記支持板の一側端面には電磁ブロックが設けられる;相応に、前記鋼コイル固定台座の2個の支持体の一側端部には電磁ブロックと合わせる金属ストッパブロックが設けられる。
【0034】
好ましくは、前記側面密封装置は、
前記鋼コイル固定台座の2個の支持体の外側、間隙の底部にそれぞれ水平に設置される2個の固定基板と;固定基板の外側面に軸方向に沿って間隔を空けて設置される若干のガイドローラーと;
前記鋼コイル固定台座の2個の支持体の両側の間隙にそれぞれ設置され、その底端が前記固定基板のガイドローラーに摺動可能に設けられる2個のシーラーと;
駆動機構と
を含み、
駆動機構は、
前記2個のシーラーにそれぞれ水平に設置され、その一端がシーラーに接続される2個のラックと;
2個の軸受台座によって前記支持体の間隙に対する反対側に水平に設置される駆動軸と;駆動軸の両端にそれぞれ設置され、ラックと噛み合うピニオンと
を含む。
【0035】
好ましくは、前記軸受台座は、固定板によって前記支持体の一側に設置され、該固定板の一側には、前記ラックを通すための貫通孔が設けられ、貫通孔上方の固定板外側面には、ラックの頂面と当接するためのローラーが設置される。
【0036】
好ましくは、前記密封板とシーラーは複合層構造であり、中間が保温材マットからなり、両側が耐高温鋼板で被覆される。
【0037】
好ましくは、前記シーラーは直角板構造である。
好ましくは、前記保温カバーの側面下部には位置決めブッシュが設けられる;相応に、前記保温カバートレーには該位置決めブッシュと合わせる位置決めピンが設けられる;前記位置決めピンはテーパ状のものが好ましい。
【0038】
好ましくは、前記保温カバーには、ガス透過孔及び相応のガス排出バルブが設けられる。
【0039】
好ましくは、前記保温カバーは複合構造であり、外保護層が高強度鋼板であり、中間層が保温材であり、内層は耐高温ステンレス板である。
【0040】
好ましくは、前記保温カバーは複合構造であり、内部から外部へ順次に、内部放射層、電気加熱ワイヤー層、中間メッシュ層、中間保温層、外保護層を含む。
【0041】
好ましくは、前記電気加熱装置は電気加熱ワイヤーであり、前記温度センサーは熱電対式センサーである。
【0042】
本発明にかかる熱間圧延インライン移動保温熱処理ラインにおいて、
帯鋼を巻取った後、鋼コイル輸送トロリーで鋼コイルをトレーに運んだ直後に、トレーに保温装置を被せ、鋼コイルを保温する。保温カバー及び鋼コイルは、輸送チェインローラーコンベアに従って順調に走行し、後続の鋼コイルの生産・走行に影響を与えることなく、輸送過程において熱処理を実現する。
【0043】
輸送トロリー横移動ローラーコンベ装置:保温カバーが付かない無負荷の輸送トロリー装置を帰り輸送チェインローラーコンベアから熱処理輸送チェインローラーコンベアに移動させ、輸送トロリー装置の移動を実現し、輸送トロリーが次の巻取り終了後の熱延鋼コイルを受け取れるように保証する。
【0044】
保温カバー吊り輸送装置は、帰り輸送チェインローラーコンベアの上で動いている保温カバー付き輸送トロリー装置における保温カバーを吊り上げ、その後、保温カバーを熱処理輸送チェインローラーコンベアの上に移動させて待つ。巻取り終了後の熱延鋼が輸送トロリー装置に置かれると、保温カバー吊り上げ輸送装置は保温カバーを自動的に輸送トロリー装置の上に置き、鋼巻取り終了後の熱延鋼コイルの保温を実現する。
【0045】
保温カバー付き輸送トロリー装置は、鋼コイルのインライン熱処理の要求を実現できる。輸送トロリー装置は、輸送チェインローラーコンベアの上で移動を実現し、熱間圧延・巻取り終了後の鋼コイルを輸送チェイン保温領域に輸送して熱処理を実現することができる。保温カバー、輸送トロリー装置は、保温カバー吊り上げ輸送装置、保温カバー吊り下げ輸送装置によって、離脱と結合を実現できる。
【0046】
単一保温カバー領域:鋼コイルは保温カバー付き輸送トロリー装置によって保温熱処理される。保温カバー付き輸送トロリー装置が熱処理輸送チェインローラーコンベアで走行する時間を制御することにより、熱処理の目的を果たす。
【0047】
単独保温カバー領域の配置は、保温カバー付き輸送トロリー装置と合わせると共に、保温の必要のある熱延鋼コイルの数量と時間も考慮する必要がある。鋼コイル熱間コイル保温カバーはnであり、そのうち、ラインにある鋼コイル輸送トロリーの数は>n+1である。保温カバーは輸送トロリー装置から離脱すると、保温カバー吊り下げ輸送装置のところで、保温カバーは輸送トロリーに従って帰り輸送チェインローラーコンベアを通じて吊り上げ輸送装置のところへ帰る。
【0048】
本発明は特殊バッチの熱延帯鋼に対して、必要に応じて仕上加工特殊処理を行い、保温領域で熱処理ワークステーションを増設することができる。熱処理ワークステーションには、保温カバー内部加熱システム及び保護ガス冷却導入システムが設けられる。
【0049】
加熱の必要がある熱延帯鋼の場合、熱延帯鋼輸送トロリーで熱延鋼コイルをワークステーションに輸送し、内部加熱システムで熱延帯鋼を加熱し、関連の熱処理曲線及びプロセス要求によって鋼コイルを二次加熱し、熱延帯鋼全体の性能改善を達成する。
【0050】
ガス保護及び迅速な制御冷却の必要がある熱延帯鋼の場合、処理ワークステーションに入った保温カバー付き輸送トロリー装置を保護ガス冷却導入システムと接続する。導入される保護ガスのガス量と比率の制御により、保温カバー装置内部温度を制御する要求を満たす。関連の熱処理曲線及びプロセス要求によって鋼コイルを二次加熱し、熱延帯鋼全体の性能改善を達成する。
【0051】
熱延帯鋼保温カバーが離脱すると、熱延帯鋼輸送トロリーで熱延帯鋼を情報エンコード・プリント装置に輸送し、鋼コイルの情報を鋼コイルにプリントする。保温カバー離脱後の鋼コイルが鋼コイルの情報を持っていることが保証されると、次のプロセス生産ラインに入る。
【0052】
情報プリント処理が終了すると、熱処理終了後の鋼コイルを輸送チェインローラーコンベアによって鋼コイル倉庫に輸送し、或いは輸送チェインシステムによって生産ラインの次の生産工程に輸送する。
【0053】
本発明にかかる処理ラインには、熱処理ワークステーション、情報エンコード・プリント装置がさらに設けられる;熱処理ワークステーションは、特殊バッチの熱延帯鋼に対して、必要に応じて仕上加工特殊処理を行い、保温領域で熱処理ワークステーションを増設する。熱処理ワークステーションには、保温カバー内部加熱システム及び保護ガス冷却導入システムが設けられる。
【0054】
情報エンコード・プリント装置:熱延帯鋼輸送トロリーは、熱延帯鋼を情報エンコード・プリント装置に輸送し、鋼コイルの情報を鋼コイルにプリントする。
【0055】
熱処理終了後の鋼コイルは、輸送チェインローラーコンベアに従って鋼コイル貯蔵倉庫に輸送され、冷間圧延又はレベリング・せん断の必要がある鋼コイルは、輸送トロリー回転ローラーコンベア装置によって次の工程の輸送チェインローラーコンベアに移す。
【0056】
インラインで鋼コイル輸送設備によって鋼コイルの保温、均熱、徐冷を完成するのは、新規な技術である。保温カバーはそれぞれ独立的なものであり、各鋼コイルに対してそれぞれ輸送チェインで輸送する過程において温度を制御することができ、時間を省くと共に、生産のペースと効率を向上させる。
【発明の効果】
【0057】
本発明の有利な効果は、
本発明にかかる熱間圧延インライン移動保温熱処理プロセスは、熱間コイルを巻取った直後に、従来のオフライン熱処理の代わりに、保温装置によって熱間コイルのインライン移動熱処理を実現し、製品性能、板形品質の改善及び省エネルギー・消耗低減の目的を果たす。
【0058】
熱延及び冷延高強度鋼熱間コイルの「インラインモード」の保温熱処理により、巻取った後の空冷が鋼コイル性能に与える影響を回避し、熱延及び冷延高強度鋼の性能の改善を実現する。
【0059】
本発明は、巻取った後の熱延鋼コイルに対して輸送チェインで輸送する過程においてインライン熱処理を行い、鋼コイルが巻取り機から取り出されて巻取りが終了した直後に、鋼コイルに移動式熱間コイル保温熱処理装置を取り付け、鋼コイル自身の熱によって鋼コイルに均熱、徐冷の熱処理プロセスを施し、高効率、省エネルギー及び歩留まり向上の目的を果たす。
【0060】
本発明にかかる生産ラインは、巻取った直後に帯鋼コイルの保温処理を行うことで、鋼コイルが巻取ってから徐冷装置に入るまでの時間が長すぎることによって招かれる性能改善の不十分、ならびに帯鋼の長手方向及び幅方向に性能のばらつきが大きいという難題を非常に大きく改善する。冷間圧延生産の際に圧延力の急激な変動が生じることや、冷間圧延製品の厚さが公差標準を超えることは回避され、冷間圧延酸洗連続圧延機群の圧延安定性は増強され、冷間圧延超高強度鋼の歩留まりは上がる。
【0061】
1.即時性:熱間コイルを巻取った直後に保温処理は実現され、時間間隔が短くなる。
2.インライン性:熱間コイルの保温は直接に輸送チェインで実現され、余分なプロセスが無い。
【0062】
3.経済性:鋼コイルの残留熱を利用して巻取った後の熱処理を実現し、省エネルギーで、環境にやさしい。
【0063】
4.プロセス性:保温効果は望ましく、高強度鋼の保温プロセス要求を満たせる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1図1はインライン移動保温が鋼コイル性能に与える影響の概念図である。
図2図2はインライン移動保温が鋼コイル性能に与える影響の概念図である。
図3図3は本発明にかかる熱延帯鋼熱処理ラインの実施例の模式図である。
図4図4は本発明にかかる熱延帯鋼熱処理ラインの実施例の模式図である。
図5図5は本発明にかかる熱延帯鋼熱処理ラインの実施例の模式図である。
図6図6は本発明にかかる移動式熱間コイル保温熱処理装置の実施例1の構造の模式図である。
図7図7は本発明にかかる移動式熱間コイル保温熱処理装置の実施例1の側面図である。
図8図8は本発明にかかる移動式熱間コイル保温熱処理装置の実施例2の正面図である。
図9図9は本発明にかかる移動式熱間コイル保温熱処理装置の実施例3の正面図である。
図10図10は本発明にかかる移動式熱間コイル保温熱処理装置の実施例における保温カバーの局所断面図である。
図11図11は本発明にかかる移動式熱間コイル保温熱処理装置の実施例1の立体図である。
図12図12は本発明にかかる移動式熱間コイル保温熱処理装置の実施例1の正面図である。
図13図13は本発明にかかる移動式熱間コイル保温熱処理装置の実施例1における底部密封装置の立体図である。
図14図14は本発明にかかる移動式熱間コイル保温熱処理装置の実施例1の正面図である。
図15図15図14の側面図である。
図16図16は本発明にかかる移動式熱間コイル保温熱処理装置の実施例1の下面立体図である。
図17図17図16のA部分の拡大模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
具体的な実施形態
本発明にかかる熱間圧延インライン移動保温熱処理プロセスは、スラブを加熱、圧延、層冷却、巻取りで熱間コイル状態にし、熱間コイルのアンコイル・梱包終了後、30min以内に熱間コイルに移動式熱間コイル保温熱処理装置を追加して取り付け、熱間コイルに熱処理を開始すると共に、熱間コイル保温処理領域へインラインで輸送する;熱処理時間が1~48hになったら、空冷方式で冷却した後、鋼コイルを倉庫に入れる;ただし、巻取り温度を250~750℃の間に制御する。
【0066】
好ましくは、巻取り終了後、10min以内に熱間コイルに移動式熱間コイル保温熱処理装置を追加して取り付ける。
【0067】
好ましくは、前記移動式熱間コイル保温熱処理装置は、保温カバー付き輸送トロリーである。
【0068】
好ましくは、前記移動式熱間コイル保温熱処理装置内の自然温度降下速度は1~10℃/hである。
【0069】
好ましくは、前記移動式熱間コイル保温熱処理装置内には、加熱及び/又は真空引き又は/及び不活性ガス吹き込みシステムが設けられる。
【0070】
図1図2を参照して、本発明は、熱延及び冷延高強度鋼熱間コイルの「インラインモード」の保温熱処理により、巻取った後の空冷が鋼コイル性能に与える影響を回避し、熱延及び冷延高強度鋼の性能の改善を実現する。
【0071】
図3を参照して、本発明にかかる熱延帯鋼熱処理ラインは、熱延鋼コイル巻取り機10後段の梱包装置20と冷間圧延機群の間に、熱処理輸送チェインローラーコンベア30が設置され、該熱処理輸送チェインローラーコンベア30に少なくとも1台の移動式熱間コイル保温熱処理装置40が設置される;相応に、該熱処理輸送チェインローラーコンベア30の両端には、鋼コイルを移動式熱間コイル保温熱処理装置に積み降ろしできる吊り輸送装置50、50’がそれぞれ1台設置される;前記移動式熱コイル保温熱処理装置40には、熱延鋼コイルに密閉インライン保温を行える保温カバーが設置される。
【0072】
図4を参照して、前記熱処理輸送チェインローラーコンベア30又は保温輸送チェインローラーコンベア70には、少なくとも1つの熱処理ワークステーション80が設置され、該熱処理ワークステーション80には、移動式熱間コイル保温熱処理装置における保温カバー内部を加熱する加熱システム又は/及びガス冷却を行う保護ガス冷却導入システムが設置される;90は回転ローラーコンベアである。
【0073】
図5を参照して、前記熱処理輸送チェインローラーコンベア30の一側には、鋼コイル保温領域60が設置され、該鋼コイル保温領域60には、前記熱処理輸送チェインローラーコンベアと接続する少なくとも1つの保温輸送チェインローラーコンベア70、吊り輸送装置50”が設置される。
【0074】
図5を参照して、前記熱処理輸送チェインローラーコンベア30の冷間圧延機群側の一端には、鋼コイルの情報を鋼コイルにプリントする情報エンコード・プリント装置90が設置される。
【0075】
図5図17を参照して、本発明にかかる移動式熱間コイル保温熱処理装置40は、
基板1と;
前記基板1の上端面中央部に設置される鋼コイル固定台座2と;
環状構造のものであって、前記鋼コイル固定台座2の中部に水平に外挿されるトレー3と;
下端が開口され、その内部キャビティ体積が鋼コイル100より大きく、前記トレー3をカバーして設けられる保温カバー4と;
前記保温カバー4の内側壁に設置される電気加熱装置5と;
前記保温カバー4内に設置される温度センサー6と;
前記電気加熱装置5、温度センサー6と電気的に接続される情報収集制御モジュール7と
を含む。
【0076】
また、ガス保護装置及びガスセンサー8、8’がさらに含まれ、且それぞれ該情報収集制御モジュール7と電気的に接続される。
【0077】
好ましくは、前記情報収集制御モジュール7内には、信号送信モジュールが設けられる。
【0078】
好ましくは、前記鋼コイル固定台座2は、上端面が斜面であり、且つ対称に設置される2個の並列的な支持体21、22を含む;2個の支持体21、22の両側の間隙には、それぞれ側面密封装置9、9’が設置される。
【0079】
さらに、前記鋼コイル固定台座2の2個の支持体21、22の底部の間には、2個の支持体21、22の底部の間の間隙を閉じ込める底部密封装置11が設けられる。
【0080】
好ましくは、前記底部密封装置11は、
前記鋼コイル固定台座2の2個の支持体21、22の間に設置されて、鉛直に配置される支持板111であって、その両側面の下部に長手方向に沿って均一な間隔で、摺動可能な機構を形成するための若干のローラー112が設置される支持板111と;
前記支持板111の頂面に水平に設置され、その大きさが前記2個の支持体21、22の底部の間の間隙に相応する密封板113と
を含む。
【0081】
好ましくは、前記密封板113は複合層構造であり、中間が保温材マットからなり、両側が耐高温鋼板である。
【0082】
好ましくは、前記支持板111の一側端面には電磁ブロック114が設けられる;相応に、前記鋼コイル固定台座の2個の支持体21、22の一側端部には電磁ブロック114と合わせる金属ストッパブロックが設けられる。
【0083】
図15図17を参照して、前記側面密封装置9(側面密封装置9を一例とする、以下同じ)は、
前記鋼コイル固定台座2の2個の支持体21、22の外側、間隙の底部にそれぞれ水平に設置される2個の固定基板91、91’と;固定基板91、91’の外側面に軸方向に沿って間隔を空けて設置される若干のガイドローラー92、92’と;
前記鋼コイル固定台座2の2個の支持体21、22の両側の間隙にそれぞれ設置され、その底端が前記固定基板91のガイドローラー92、92’に摺動可能に設けられる2個のシーラー93、93’と;
駆動機構94と
を含み、
駆動機構94は、
前記2個のシーラー93、93’にそれぞれ水平に設置され、その一端がシーラー93、93’に接続される2個のラック941と;
2個の軸受台座943によって前記支持体21の間隙に対する反対側に水平に設置される駆動軸942と;駆動軸942の両端にそれぞれ設置され、ラック941と噛み合うピニオン944と
を含む。
【0084】
好ましくは、前記軸受台座943は、固定板945によって前記支持体221の一側に設置され、該固定板945の一側には、前記ラック941を通すための貫通孔9451が設けられ、貫通孔9451上方の固定板945外側面には、ラック941の頂面と当接するためのローラー946が設置される。
【0085】
好ましくは、前記シーラー93は複合層構造であり、中間が保温材マットからなり、両側が耐高温鋼板で被覆される。
【0086】
好ましくは、前記シーラー93は直角板構造である。
好ましくは、前記保温カバー4の側面下部には位置決めブッシュ12が設けられる;相応に、前記鋼コイルトレー3には該位置決めブッシュ12と合わせる位置決めピン13が設けられる;前記位置決めピン13はテーパ状のものが好ましい。
【0087】
好ましくは、前記保温カバー4には、ガス透過孔及び相応のガス排出バルブ41が設けられる。
【0088】
好ましくは、前記保温カバー4は複合構造であり、外保護層が高強度鋼板であり、中間層が保温材であり、内層は耐高温ステンレス板である。
【0089】
好ましくは、前記保温カバー4は複合構造であり、内部から外部へ順次に、内部放射層42、電気加熱ワイヤー層43、中間メッシュ層44、中間保温層45、外保護層46を含む;前記保温カバー複合構造はアンカー釘47によって固定される。
【0090】
図5図6を参照して、前記保温カバー4は方形保温カバー又は円形保温カバーである。
【0091】
好ましくは、前記電気加熱装置5は電気加熱ワイヤーであり、前記温度センサー6は熱電対式センサーである。
【0092】
本発明は、巻取り後の帯鋼コイルに保温処理を行うと共に、巻取り終了直後の鋼コイルに残留熱を利用して焼鈍処理の目的を果たし、鋼コイルが巻取ってから保温・焼鈍装置に入るまでの時間が長すぎることによって招かれる性能改善の不十分、ならびに帯鋼の長手方向及び幅方向に性能のばらつきが大きいという難題を非常に大きく改善できる。
【0093】
特殊バッチの熱延帯鋼には、高度加工等の特殊処理が必要であり、保温カバー内部に設けられる加熱装置及び保護ガスの冷却導入システムは、必要な場合に、連携して温度の制御を実現することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17