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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-29
(45)【発行日】2023-04-06
(54)【発明の名称】バルーン固定式生検装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/02 20060101AFI20230330BHJP
【FI】
A61B10/02 110J
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020546276
(86)(22)【出願日】2018-11-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-18
(86)【国際出願番号】 SG2018050576
(87)【国際公開番号】W WO2019103694
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2021-11-01
(31)【優先権主張番号】10201709763Q
(32)【優先日】2017-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(73)【特許権者】
【識別番号】520182947
【氏名又は名称】ナショナル ユニバーシティ ホスピタル (シンガポール) プライベイト リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NATIONAL UNIVERSITY HOSPITAL (SINGAPORE) PTE LTD
【住所又は居所原語表記】1E Kent Ridge Road,#13-00,Singapore 119228,Singapore
(73)【特許権者】
【識別番号】514085654
【氏名又は名称】シンガポール国立大学
【氏名又は名称原語表記】NATIONAL UNIVERSITY OF SINGAPORE
【住所又は居所原語表記】21 Lower Kent Ridge Road Singapore 119077 (SG)
(73)【特許権者】
【識別番号】520182958
【氏名又は名称】ザ バイオファクトリー プライベイト リミテッド
【氏名又は名称原語表記】THE BIOFACTORY PTE LTD
【住所又は居所原語表記】Block 79 Ayer Rajah Crescent,05-06,Singapore 139955,Singapore
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 富彦
(72)【発明者】
【氏名】マンガット,カマルジット シン
(72)【発明者】
【氏名】ホン,レイチェル チョイ イン
(72)【発明者】
【氏名】ロウ,アンドリュー チン チュン
(72)【発明者】
【氏名】タン,ガブリエル ホン チュン
(72)【発明者】
【氏名】ワイト,ロナルド クレーグ
【審査官】山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-537137(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0158143(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0053485(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0038127(US,A1)
【文献】特表2017-515620(JP,A)
【文献】松田 康雄 他,「超音波ガイド下肝生検」,日本消化器外科学会雑誌,1984年12月31日,Vol. 17、No. 3,pp. 595-600
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の対象器官の生検サンプルを取得するためのバルーン固定式生検装置であって、
第1の近位端と遠位先端とによって第1の管腔を取り囲む第1の細長いチューブ、ここで、前記遠位先端の近くのセクション、被験者の対象器官の血管に挿入されて膨張したとき前記対象器官の生検部位の近くの前記血管中の前記セクションを固定するバルーンを含むと、
第2の近位端と、第2の管腔の傾斜した遠位出口を含む第2の遠位端とによって前記第2の管腔を取り囲み、前記第1の細長いチューブが前記膨張したバルーンによって前記血管中に固定されたとき前記対象器官の前記生検部位に配置される第2の細長いチューブ、ここで、前記傾斜した遠位出口が前記第1の細長いチューブの前記セクションの近位端に配置されるように、所定の長さで前記第2の細長いチューブと前記第1の細長いチューブ互いに長手方向に取り付けられていると、
前記生検部位へのナビゲーションのために、前記第2の細長いチューブの前記第2の管腔に挿入するためにワイヤの遠位端に取り付けられる可撓性生検針、ここで、前記可撓性生検針は、前記第1の細長いチューブの前記セクションの長手方向の軸と前記可撓性生検針の長手方向の軸との間の所定の角度で前記生検部位の前記対象器官の組織に貫入するために、前記第2の管腔の前記傾斜した遠位出口から出て、前記生検部位で前記対象器官の生検サンプルを取得するように構成されていると、を含み、
前記第1の細長いチューブは、前記第2の細長いチューブよりも柔軟である生検装置。
【請求項2】
前記可撓性生検針は、Truカット生検針である、請求項1に記載の生検装置。
【請求項3】
前記第1の細長いチューブは、バルーンカテーテルであり、前記第2の細長いチューブは、ガイドカテーテルである、請求項1に記載の生検装置。
【請求項4】
前記対象器官は肝臓を含む、請求項1に記載の生検装置。
【請求項5】
前記血管は肝臓の肝静脈を含む、請求項4に記載の生検装置。
【請求項6】
前記第2の管腔中の前記ワイヤの遠位端で前記可撓性生検針の位置を固定するために、前記第2の近位端に連結されるロック機構をさらに含む、請求項1に記載の生検装置。
【請求項7】
前記ロック機構の構成要素は、TuohyBorstアダプタ、ルアーロック、及び圧縮可能なクランプから成る群から選択される、請求項6に記載の生検装置。
【請求項8】
前記可撓性生検針は、切断カニューレとスタイレットとを含む、請求項1に記載の生検装置。
【請求項9】
前記可撓性生検針は、前記切断カニューレ及び前記スタイレットのアライメントを維持するために、平坦なバンドとアライメントノッチとを含む、請求項8に記載の生検装置。
【請求項10】
前記第1の細長いチューブと前記第2の細長いチューブとを長手方向に互いに取り付けるために、前記第1の細長いチューブ及び前記第2の細長いチューブが挿入される前記所定の長さ有するアウターチューブをさらに含む、請求項1に記載の生検装置。
【請求項11】
前記膨張したバルーンの直径は、前記血管の直径よりも大きい、請求項1に記載の生検装置。
【請求項12】
前記膨張したバルーンの直径は、前記血管の直径より最大20%大きい、請求項1に記載の生検装置。
【請求項13】
前記所定の角度は15度乃至45度の範囲にある、請求項1に記載の生検装置。
【請求項14】
前記ワイヤの前記遠位端にある前記可撓性生検針を前記生検部位に案内するために前記第2の管腔に挿入するための接続チューブをさらに含む、請求項1に記載の生検装置。
【請求項15】
前記可撓性生検針は、端部同士の接合によりスタイレットワイヤに接合されるスタイレットを含む、請求項1に記載の生検装置。
【請求項16】
前記可撓性生検針は、中空スタイレットと、重ね合わせ接合部に挿入されるスタイレットワイヤとを含む、請求項1に記載の生検装置。
【請求項17】
前記可撓性生検針は、同心構成で配置される、インナースタイレットと切れ刃を有するアウタースタイレットとを含む、請求項1に記載の生検装置。
【請求項18】
前記可撓性生検針は、前記可撓性生検針が前記対象器官の組織内部にあるとき、前記切れ刃を有する前記アウタースタイレットを前記インナースタイレットに対して回転させることよって前記生検サンプルを取得するように構成されている、請求項17に記載の生検装置生検装置。
【請求項19】
前記可撓性生検針は、前記アウタースタイレットが実質的に前記インナースタイレットと反対側の回転位置に留まっているとき、試料ノッチの中に前記取得した生検サンプルを充填するように構成されている、請求項18に記載の生検装置。
【請求項20】
前記バルーンが膨張したとき、前記所定の角度を増大させるために前記第2の細長いチューブの前記遠位端に連結された剛性輪郭セクションをさらに含む、請求項1に記載の生検装置。
【請求項21】
前記バルーンは、前記血管の中で別個に又は一緒に膨張することができる遠位バルーンと近位バルーンとを含む、請求項1に記載の生検装置。
【請求項22】
前記第2の細長いチューブは、圧力変換器からの信号を信号処理ユニットで処理することによって肝静脈圧力勾配(HVPG)を測定するために、前記圧力変換器に連結されている、請求項1に記載の生検装置。
【請求項23】
前記第1の細長いチューブは、遠位出口に切り欠きセクションを有する、請求項1に記載の生検装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生検装置、より具体的には、対象器官の生検サンプルを取得するためのバルーン固定式生検装置に関する。
【背景技術】
【0002】
肝生検を実行するための現在の方法は、重篤な合併症の固有のリスクを含むことがあり、それにより患者が生検処置を遅らせることを選択する原因になることが多く、その後の診断及び肝機能障害の治療処理を遅らせることがある。その方法には、開腹手術と、経皮的肝生検(PLB)と、経頸静脈肝生検(TJLB)とが含まれることがある。
【0003】
開腹手術肝生検は、腹腔鏡又は外科的処置中に、肝組織を直接除去するものである。現在の治療における開腹外科的肝生検は、既に外科的処置が行われているときに利用することができる。
【0004】
経皮的肝生検(PLB)は、腹壁を通して挿入された生検針を用いて肝組織のコアサンプルを抽出することを含むことがある。PLBでは、肝臓被膜に穴が開けられ、その実質に到達するために高い浸透深度が必要である。この処置は良好な生検サンプルを提供することが可能である場合が多いが、この処置は侵襲的で痛みを伴うと共に、死のリスク(2,500分の1)を含む重大な合併症のリスクを伴うことがある。最初の生検が失敗し、追加の生検サンプルが必要な場合、追加の針穿刺により合併症のリスクがさらに高まる。従って、PLB患者は、肝臓被膜又は血管の穿刺による腹腔内への出血がないことを確実にするために、処置の後数時間観察下に置かれる場合がある。
【0005】
経頸静脈肝生検(TJLB)は、硬い金属カテーテルを右経静脈に挿入することにより肝臓にアクセスし、心臓の右心室を通って肝臓の肝静脈の中にナビゲートすることを含む。カテーテルの下方に向けられた大口径の針を用いて肝臓組織を中心部から取り除く。満足のいく分析には多数のサンプルが必要な場合が多い。
【0006】
PJBの場合と同じように、針の穿刺による出血は肝静脈に戻るので、TJLBは、腹膜への検出されない出血のリスクを避けることができる。TJLBは、硬い金属カテーテルを主要な臓器と血管を通してナビゲートすることを含む。従って、TJLB処置は、また、出血、不整脈血管穿孔、気胸、又は死等の重大な合併症を引き起こす恐れがある。TJLBは、PLBより安全であると考えられることもあるが、TJLBは、経静脈アクセス部位に関連する新たな合併症のリスクを負っている。
【0007】
さらに、軟組織(例えば、肝臓、腎臓及び膵臓)生検針の使用は、細針吸引生検とコア針生検という2つの生検方法に大きく分類することができる。コア針生検方法は、生来の組織構造を保持する可能性があるため、この方法は多くの軟組織病変の診断に役立つ可能性がある。コア針生検には、例えば、Truカットメカニズムを含めてもよい。Truカット針システムは、通例、硬く、長さは70cm未満である。その結果、Truカット針の剛性と長さにより、患者にとってリスクがより少なくより安全であると一般的に考えられている末梢血管アクセス経路を介して、Truカット針を肝臓の中にナビゲートする可能性は排除される。そのため、末梢血管アクセス経路の使用を可能にする、可撓性があって、長い(>70cm長)Truカット生検針の設計に多くの取り組みがなされてきた。
【0008】
図1は、例えば、米国特許第5,273,051及び第4,907,598において開示されている長くて、可撓性を有するTruカット生検針10を概略的に示している。針10の可撓性シース20の遠位端のスタイレット40及び切断カニューレ35は、Truカット機構を実施するために使用される。硬いTruカット針から可撓性を有するTruカット針に移行する際に変わったものは、可撓性を有するTruカット生検針10の遠位端にある切断カニューレ35とスタイレット40とをそれぞれ可撓性を有するTruカット生検針10の近位端にあるハンドル15に接続する、長くて可撓性を有する同軸の切断カニューレチューブ35とスタイレットワイヤ30との追加である。ハンドル15はばね式発射機構を含む。スタイレットワイヤ30は、スタイレットを制御するためにハンドルから押したり引いたりすることができる。ハンドル15のばね式発射機構を発射すると、切断カニューレチューブ25が前方に押され、それにより続いて切断カニューレ35が前方に押されて肝臓の軟組織をせん断し、生検のために軟組織サンプルに集める。
【0009】
可撓性を有するTruカット生検針10には以下の問題があるために、コア針生検を用いる上記の末梢アクセス(例えば、経頭蓋)の可能性は実現されていない。最初に、可撓性を有するTruカット生検針10は、可撓性を有する構成要素が、近位端にあるハンドル15のばね式発射機構から針10の遠位端にある切断カニューレ35までの力の伝達を減衰させるので、可撓性シース20の長さに沿って力の伝達を減少させる。この結果、軟組織をきれいにせん断し、サンプルの直径及び長さの点で検査可能な大きさの組織サンプルを得るためには、切断カニューレ35に加えられる力が不足することとなる。
【0010】
第2に、可撓性を有するTruカット生検針10の可撓性及び長さにより、軟組織サンプルのせん断及び/又は切断を実行するためにハンドル15のばね式発射機構が発射されたとき、血管中の切断カニューレチューブ25の生体内での安定性が不十分となり、針10の押し込み能力の喪失及びスタイレット40の位置の維持不能を引き起こす。(このことは、消防士が水の噴射の方向性を維持するために水ホースの端部を保持することに似ている。端部を保持することができない場合、水ホースが揺動する結果となる。)
【0011】
最後に、長くて可撓性を有するTruカット生検針10では、可撓性を有する構成の切断カニューレ35及びスタイレット40は、カテーテル20の遠位端を対象器官にナビゲートする間、互いの最適な回転方向及び長手方向のアライメントを喪失する恐れがある。このため、次に、蛍光透視及び/又は超音波ガイダンスの下で、技術的に困難な再アライメントステップが必要となる場合がある。現行の可視化システムにおける蛍光透視法の精度に限度があり、可撓性を有する切断カニューレチューブ25及びスタイレットワイヤ30の押し込み能力とトルク能力に限度があるために、この再アライメントステップも、常に遂行できるとは限らない。
【0012】
図2Aは、閉鎖構成50における非可撓性のTruカット生検針のスタイレット40との切断カニューレ35の最適なアラインメントを概略的に示す。図2Bは、開放構成55における非可撓性のTruカット生検針のスタイレット40との切断カニューレ35の最適なアラインメントを概略的に示す。非可撓性のTruカット針の操作に関する切断カニューレ35及びスタイレット40の最適な回転方向及び長手方向のアライメントを図2A及び図2Bに示す。
【0013】
閉鎖構成50では、切断カニューレ35とスタイレット40との間の空間は試料室45を形成する。断面53は、閉鎖構成50において、切断カニューレ35とスタイレット40とは、互いに実質的に反対側にあることを示している。スタイレット40は、静脈系を通って、例えば、肝臓の対象器官までナビゲートされる。次に、ハンドル15のばね式発射機構が発射されて、開放構成55に示すように、スタイレット40を肝臓の軟組織の中に押し込む。断面58は、開放構成55において、切断カニューレ35とスタイレット40とが、依然として互いに実質的に反対側にあるままであることを示している。スタイレット40が後退したとき、切断カニューレ35は、肝臓の軟組織をせん断して試料室45の中に入れる。
【0014】
図2に示す場合において、切断カニューレ及びスタイレットは十分剛性があるので、切断カニューレ35とスタイレット40との間のアライメントは容易に維持される。切断カニューレ35及びスタイレット40は、それらの異なる可撓性がアライメントの喪失を引き起こす程度まで可逆的に曲がったりねじれたりはしない。従って、切断カニューレ35及びスタイレット40の剛性に起因する高い押し込み能力及びトルク能力により、生検針の近位端のハンドルにおける生検針の構成要素のアライメントは、遠位端での切断カニューレ35及びスタイレット40のアライメントを確実に保証する。
【0015】
しかしながら、切断カニューレチューブ及びスタイレットワイヤが抹消アクセスのために所望の可撓性を有して製造されたとき、逆のことが発生する。切断カニューレチューブ及びスタイレットワイヤの双方は、可撓性生検針の遠位端で、それらの可撓性の違いにより、切断カニューレチューブ及びスタイレットワイヤのアライメントの喪失が引き起こされる程度まで切断カニューレチューブ及びスタイレットワイヤが可逆的に曲がったりねじれたりするのに十分可撓性を有する。このため、アライメントは容易に喪失される。生検針がより大きい可撓性と長さを有して製造されるほど、押し込み能力及びトルク能力はより低下することとなる。
【0016】
従って、PLB及びTJLB処置に伴う主要な合併症のリスクを低減するために、例えば、尺側皮静脈/頭蓋静脈を介して腕の抹消静脈系に導入して患者の身体に導入することができ、肝臓等の対象器官に対して軟組織生検を行うために、静脈系を通って柔軟にナビゲートできる経静脈生検装置に対するニーズがある。
【発明の概要】
【0017】
したがって、本発明のいくつかの実施形態によれば、被験者の対象器官の生検サンプルを取得するためのバルーン固定式生検装置が提供される。バルーン固定式生検装置は、第1の細長いチューブと、第2の細長いチューブと、生検針とを含む。第1の細長いチューブは、第1の近位端と遠位先端とによって第1の管腔を取り囲み、遠位先端の近くのそのセクションが、被験者の対象器官の血管に挿入されて膨張したとき対象器官の生検部位の近くの血管のセクションを固定するバルーンを含んでもよい。第2の細長いチューブは、第2の近位端と、第2の管腔の傾斜した遠位出口を含む第2の遠位端とによって第2の管腔を取り囲み、第1の細長いチューブが膨張したバルーンによって血管中に固定されたとき対象器官の生検部位に配置され、傾斜した遠位出口が第1の細長いチューブのセクションの近位端に配置されるように、所定の長さでの第1の細長いチューブと互いに長手方向に取り付けられてもよい。可撓性生検針は、生検部位へのナビゲーションのために、第2の細長いチューブの第2の管腔に挿入するためにワイヤの遠位端に取り付けられ、第1の細長いチューブのセクションの長手方向の軸とその長手方向の軸との間の所定の角度で生検部位の対象器官の組織に貫入するために、第2の管腔の傾斜した遠位出口から出て、生検部位での対象器官の生検サンプルを取得するように構成されていてもよい。
【0018】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、可撓性生検針は、Truカット生検針を含んでもよい。
【0019】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の細長いチューブおよび第2の細長いチューブは、それぞれバルーンカテーテルとガイドカテーテルとを含んでもよい。
【0020】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、対象器官は肝臓を含んでもよい。
【0021】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、血管は肝臓の肝静脈を含んでもよい。
【0022】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、第2の管腔中のワイヤの遠位端で可撓性生検針の位置を固定するために、第2の近位端に連結されるロック機構をさらに含んでもよい。
【0023】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、ロック機構の構成要素は、TuohyBorstアダプタ、ルアーロック、及び圧縮可能なクランプから成る群から選択されてもよい。
【0024】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、可撓性生検針は、切断カニューレとスタイレットと含んでもよい。
【0025】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、可撓性生検針は、切断カニューレ及びスタイレットのアライメントを維持するために、平坦なバンドとアライメントノッチとを含んでもよい。
【0026】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の細長いチューブは、第2の細長いチューブよりも可撓性を有してもよい。
【0027】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の細長いチューブと第2の細長いチューブとを長手方向に互いに取り付けるために、第1の細長いチューブ及び第2の細長いチューブが挿入される所定の長さ有するアウターチューブをさらに含んでもよい。
【0028】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、膨張したバルーンの直径は、血管の直径よりも大きくてもよい。
【0029】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、膨張したバルーンの直径は、血管の直径の20%より大きくなくてもよい。
【0030】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、所定の角度は15度乃至45度の範囲にあってもよい。
【0031】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、ワイヤの遠位端にある可撓性生検針を生検部位に案内するために第2の管腔に挿入するための接続チューブをさらに含んでもよい。
【0032】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、可撓性生検針は、端部同士の接合によりスタイレットワイヤに接合されるスタイレットを含んでもよい。
【0033】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、可撓性生検針は、中空スタイレットと、重ね合わせ接合部に挿入されるスタイレットワイヤとを含んでもよい。
【0034】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、可撓性生検針は、同心構成で配置される、インナースタイレットと切れ刃を有するアウタースタイレットとを含んでもよい。
【0035】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、可撓性生検針は、可撓性生検針が対象器官の組織内部にあるとき、切れ刃を有するアウタースタイレットをインナースタイレットに対して回転させることよって生検サンプルを取得するように構成されてもよい。
【0036】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、可撓性生検針は、アウタースタイレットが実質的にインナースタイレットと反対側の回転位置に留まっているとき、試料ノッチの中に取得した生検サンプルを充填するように構成されてもよい。
【0037】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、バルーンが膨張したとき、所定の角度を増大させるために第2の細長いチューブの遠位端に連結された剛性輪郭セクションをさらに含んでもよい。
【0038】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、バルーンは、血管の中で別個に又は一緒に膨張することができる遠位バルーンと近位バルーンとを含んでもよい。
【0039】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、第2の細長いチューブは、圧力変換器からの信号を信号処理ユニットで処理することによって肝静脈圧力勾配(HVPG)を測定するために、圧力変換器に連結されてもよい。
【0040】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、バルーン固定式生検装置を用いて被験者の対象器官の生検サンプルを取得する方法が提供される。方法は、被験者の四肢の静脈に生検装置を経皮的に挿入してもよく、生検装置は、第1の細長いチューブと、第2の細長いチューブと、可撓性生検針とを含む。第1の細長いチューブは、第1の近位端と遠位先端とによって第1の管腔を取り囲み、遠位先端の近くのそのセクションが、被験者の対象器官の血管に挿入されて膨張したとき対象器官の生検部位の近くの血管のセクションを固定するバルーンを含んでもよい。第2の細長いチューブは、第2の近位端と、第2の管腔の傾斜した遠位出口を含む第2の遠位端とによって第2の管腔を取り囲み、第1の細長いチューブが膨張したバルーンによって血管中に固定されたとき対象器官の生検部位に配置され、傾斜した遠位出口が第1の細長いチューブのセクションの近位端に配置されるように、所定の長さでの第1の細長いチューブと互いに長手方向に取り付けられいてもよい。可撓性生検針は、生検部位へのナビゲーションのために、第2の細長いチューブの第2の管腔に挿入するためにワイヤの遠位端に取り付けられ、第1の細長いチューブのセクションの長手方向の軸とその長手方向の軸との間の所定の角度で生検部位の対象器官の組織に貫入するために、第2の管腔の傾斜した遠位出口から出るように構成されていてもよい。遠位先端は、被験者の血管系を通って静脈から生検部位の近くの対象器官の血管の中にナビゲートされてもよい。バルーンは、血管の中で膨張させてもよい。可撓性生検針は、生検部位の対象器官の組織の中に所定の角度で押し込まれてもよい。生検部位の対象器官の生検サンプルは、可撓性生検針を用いて取得されてもよい。ワイヤは、取得した生検サンプルを回収するために第2の管腔からを引き抜かれてもよい。
【0041】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、四肢は被験者の腕を含み、静脈は腕の頭側静脈を含めてもよい。
【0042】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、四肢は被験者の脚を含み、静脈は脚の大腿静脈を含めてもよい。
【0043】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、被験者の四肢の静脈に生検装置を経皮的に挿入することは、静脈のシースの管腔を通して生検装置を挿入してもよい。
【0044】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、バルーンは、遠位バルーンと近位バルーンとを含み、バルーンを膨張させることは、遠位バルーン及び近位バルーンを血管の中で別個に又は一緒に膨張させてもよい。
【0045】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、第2の細長いチューブは圧力変換器に連結され、圧力変換器からの信号を処理することによって肝静脈圧力勾配(HVPG)を測定することをさらに含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本発明をより良く理解し、その実際の用途を理解するために、以下の図面を提供し、以後参照する。図面は、例としてのみ提供するものであり、本発明の範囲を決して限定しないことに留意されたい。同様な構成要素は同じ参照番号を付している。
図1】長くて可撓性を有するTruカット生検針を概略的に示す。
図2A】閉鎖構成の非可撓性Truカット生検針のスタイレットとの切断カニューレの最適なアライメントを概略的に示す。
図2B】開放構成の非可撓性Truカット生検針のスタイレットとの切断カニューレの最適なアライメントを概略的に示す。
図3】本発明のいくつかの実施形態に従って、バルーン安定化生検装置を用いて被験者に対して行われる肝生検処置を概略的に示す。
図4A】本発明のいくつかの実施形態に従って、バルーン安定化カテーテル本体を概略的に示す。
図4B】本発明のいくつかの実施形態に従って、バルーン安定化カテーテル本体の第2の実施形態を概略的に示す。
図4C】本発明のいくつかの実施形態に従って、2つに区分された膨張可能なバルーンを概略的に示す。
図5】本発明のいくつかの実施形態に従って、遠位自己アライメントを有する長くて可撓性を有するTruカット針の長手方向断面図を概略的に示す。
図6】本発明のいくつかの実施形態に従って、可撓性を有するTruカット針と共に使用するためのハンドルの第1の実施形態を概略的に示す。
図7A】本発明のいくつかの実施形態に従って、ナビゲーションのために後退した可撓性を有するTruカット針を有するバルーン安定化生検装置を概略的に示す。
図7B】本発明のいくつかの実施形態に従って、軟組織取得のために伸張した可撓性を有するTruカット針を有するバルーン安定化生検装置を概略的に示す。
図7C】本発明のいくつかの実施形態に従って、ナビゲーションのために後退した可撓性を有するTruカット針を有するバルーン安定化生検装置の第2の実施形態を概略的に示す。
図7D】本発明のいくつかの実施形態に従って、軟組織取得のための伸張した可撓性を有するTruカット針を有するバルーン安定化生検装置の第2の実施形態を概略的に示す。
図8A】本発明のいくつかの実施形態に従って、閉鎖構成において、遠位で整列した可撓性を有するTruカット針を概略的に示す。
図8B】本発明のいくつかの実施形態に従って、開放構成において、遠位で整列した可撓性を有するTruカット針を概略的に示す。
図9】本発明のいくつかの実施形態に従って、中間シャフトを有するハンドルアダプタを概略的に示す。
図10】本発明のいくつかの実施形態に従って、バルーンカテーテルの遠位部分の第2の実施形態を概略的に示す。
図11A】本発明のいくつかの実施形態に従って、スタイレットワイヤと端部同士で接合された中実スタイレットを概略的に示す。
図11B】本発明のいくつかの実施形態に従って、スタイレットワイヤと重ね合わせて接合された中空スタイレットを概略的に示す。
図12A】本発明のいくつかの実施形態に従って、アウタースタイレット及びインナースタイレットを有するトルクベースカット生検針を概略的に示す。
図12B】本発明のいくつかの実施形態に従って、開放構成及び充填構成のトルクベースカット生検針500の上面図を概略的に示す。
図12C】本発明のいくつかの実施形態に従って、トルクベースカット針生検を行うためのアウタースタイレットグリップの回転を概略的に示す。
図13A】本発明のいくつかの実施形態に従って、ハンドルの第2の実施形態の分解組立図を概略的に示す。
図13B】本発明のいくつかの実施形態に従って、発射前のハンドルを概略的に示す。
図13C】本発明のいくつかの実施形態に従って、発射後のハンドルを概略的に示す。
図14A】本発明のいくつかの実施形態に従って、バルーン安定化カテーテル本体を肝静脈圧力勾配(HVPG)測定システムに連結するためのアダプタを概略的に示す。
図14B】本発明のいくつかの実施形態に従って、肝静脈圧力勾配(HVPG)測定値のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下の詳細な説明において、本発明の完全な理解を提供するために多くの具体的な詳細を明記する。しかしながら、当業者は、これらの具体的な詳細なしで本発明を実施できることを理解するであろう。他の例では、本発明を不明瞭にしないために、周知の方法、手順、構成要素、モジュール、ユニット及び/又は回路は詳細には記載されていない。
【0048】
本発明の実施形態はこの点に関して限定されないが、例えば、「processing:処理」、「computing:計算」、「calculating:計算」、「determining:決定」、「establishing:確立」、「analyzing:分析」、「checking:検査」等の用語を使用する説明では、コンピュータのレジスタ及び/又はメモリ内の物理的(例えば、電子的)特性値として表されるデータを、コンピュータのレジスタ及び/又はメモリ、あるいは演算及び/又は処理を実行するための命令を格納できる他の情報の非一時的記憶媒体(例えば、メモリ)の内部で、同様に物理的特性値として表される他のデータに処理かつ/又は変換するコンピュータ、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングシステム、又はその他の電子コンピューティング装置の演算及び/又は処理を指す場合がある。本発明の実施形態はこの点に関して限定されないが、本明細書で使用される「plurality;複数の」、及び「a plurality:複数」は、例えば、「multiple:多数」、又は「two or more:2つ以上」を含むことがある。「plurality;複数の」、又は「a plurality:複数」は、本明細書全体を通して、2つ以上の構成要素、装置、要素、ユニット、パラメータ等を記述するために使用されることがある。明示しない限り、本明細書に記載される方法の実施形態は、特定の順序又はシーケンスに制約されない。これに加えて、記載された方法の実施形態又はその方法の実施形態の要素によっては、同じ時点において、同時に、又は並行して発生、又は実行される場合がある。特に明記しない限り、本明細書で使用される接続詞「or:又は」の使用は、包括的(記載した選択肢のいずれか又は全て)として理解すべきである。
【0049】
本明細書の本発明の実施形態は、ハンドルから生検部位の切断カニューレ及びスタイレットへの不十分な力の伝達並びに長くて可撓性を有するTruカット針に関する切断カニューレとスタイレットとの間のアライメントの喪失という問題を克服する抹消アクセス(例えば、経頭蓋アクセス)用のバルーン安定化コア針生検装置を説明する。バルーン安定化コア針生検装置は、生体内の血管内安定化システム(例えば、膨張可能なバルーンアンカーを有するデュアルカテーテル本体)と遠位で自己整列した可撓性を有するTruカット針とを含む。
【0050】
図3は、本発明のいくつかの実施形態に従って、バルーン安定化生検装置90によって被験者65に対して実行される肝生検処置60を概略的に示す。医師70は、ガーニー62上に横たわる被験者65の腕67にバルーン安定化生検装置90の遠位端を経皮的に挿入することができる。医師70は、被験者65の静脈系を通して、例えば中肝静脈等の肝静脈77の中にバルーン安定化生検装置90を入れ、肝臓75の生検対象部位80までナビゲートすることができる。
【0051】
図4Aは、本発明のいくつかの実施形態に従って、バルーン安定化カテーテル本体100を概略的に示す。バルーン安定化カテーテル本体100は、ガイドカテーテル105と、バルーンカテーテル110と、傾斜した遠位出口130と、傾斜端部121を有する膨張可能な(準準拠)バルーン120とを含む。膨張可能なバルーン120は、バルーンカテーテル110の長さLのセクション115に設置することができ、遠位先端125(例えば、Lで示される)から所定の距離に配置される。バルーン安定化カテーテル本体100を被験者65の身体の中に挿入するための抹消経路が経頭蓋(例えば、図3の)又は経大腿である場合、バルーン安定化カテーテル本体の全体的なプロファイルは、5mmより小さく保たれるものとする。
【0052】
本発明の実施形態によっては、ガイドカテーテル105及びバルーンカテーテル110の外壁は、バルーン安定化カテーテル本体100の任意の適切な所定の長さにわたって互いに長手方向に取り付けられた状態107であってもよい。換言すると、ガイドカテーテル105とバルーンカテーテル110との間の取り付け湾曲部107は、取り付けられたとき、それぞれのカテーテルの管腔を通るそれらのカテーテルの長手方向軸(例えば、141及び142)と実質的に平行であてもよい。
【0053】
実施形態によっては、これは、デュアル管腔の(二重管腔の)カテーテル本体を製造することによって可能にしてもよい。他の実施形態では、外側の管を使用して、バルーン安定化カテーテル本体100の長さの任意の適切な部分にわたり、互いに長手方向に取り付けられた状態107でガイドカテーテル105及びバルーンカテーテル110を保持してもよい。バルーン安定化カテーテル本体100が静脈系を通ってナビゲートされるとき、ガイドカテーテル105及びバルーンカテーテル110が互いに一緒に移動するように、適切な方法を用いてガイドカテーテル105及びバルーンカテーテル110を互いに長手方向に取り付けられた状態107で保持してもよい。断面108は、ガイドカテーテル105の管腔106及びバルーンカテーテル110の管腔109を概略的に示している。
【0054】
実施形態によっては、バルーン安定化カテーテル本体100は、すべてのTruカット針のハンドル(例えば、ハンドル15)を安定化システムにしっかり連結することを可能にするように構成されたハンドルアダプタ170を含んでもよい。
【0055】
バルーン安定化カテーテル本体100は、本明細書では、「カテーテル本体」、「バルーン固定式カテーテル本体」、又は、「安定化システム」とも呼ぶことがある。同様に、バルーン安定化生検装置90は、本明細書では、「バルーン安定化生検装置」又は「バルーン固定式生検装置」と呼ぶことがあり、バルーン安定化カテーテル本体100と、肝臓75等の対象器官にバルーン安定化カテーテル本体100を通して挿入され、対象の生検部位から軟組織の生検サンプルを取得するために使用される、関連する生検針/スタイレットワイヤを含む生検針とを含んでもよい。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態では、バルーン120は、長さ20mm未満の準準拠構造で製造されてもよい。バルーンカテーテル110の近位端135は、オーバー・ザ・ワイヤバルーンカテーテルに共通のハブ140を含んでもよい。ハブ140は、膨張ポート145とガイドワイヤ入口/出口ポート152とを含んでもよい。バルーン120は、膨張ポート145に結合された空気によって膨張させることができる。例えば、任意の適切な空気弁又はストッパ機構を用いて、バルーン120内の空気を保持してバルーン120を膨張させたままとするか又は開いてバルーン120を収縮させることができる。
【0057】
長さL(通例では、20mm)の、バルーンカテーテル110のセクション115は、対象器官の血管、例えば、肝臓の肝静脈等に挿入するように構成されてもよい。バルーンカテーテル110のセクション115は、遠位先端125で終わる。一旦挿入されると、バルーン120は、バルーンカテーテル110のセクション115を血管内で固定するために膨張させることができる。最大バルーン径は、対象血管の直径よりも20%を超えない大きさとすることができる。(例えば、Cook Medical G26902‐Advance ATB経皮的血管形成術(PTA)膨張カテーテルを参照のこと。その仕様は参照として本明細書に開示されている。Cook Medical G26902カテーテルの長さは80cmで、膨張したバルーン径は8mmである)。
【0058】
ガイドカテーテル150のシャフトは、Truカット針が、例えば、腕頭/上大静脈接合部を通して等、静脈系の蛇行領域において、ガイドカテーテル105を通過することができるように、通例、長さが少なくとも700mm、最大遠位曲率112が約60度で、編組強化ポリマーチューブから形成してもよい。ガイドカテーテル105の遠位端145は、傾斜した遠位出口130で終わらせてもよく、傾斜した遠位出口130の長い端部は、膨張可能なバルーン120の5mm乃至10mm近位(例えば、L)のバルーンカテーテルシャフト(例えば、セクション115)の近位端117で終わってもよい。傾斜角度は15度から45度までの間であってもよい。傾斜した遠位出口130は、ポリマーチューブを溶融することにより形成してもよい。その内径は、ガイドカテーテル105及びバルーンカテーテル110の遠位端145上で、バルーンカテーテル110とガイドカテーテル105とを合わせた直径よりもわずかに大きくてもよい。溶融したポリマーチューブは、次に、傾斜した遠位出口130を形成する形状に削られる。
【0059】
ガイドカテーテル105の近位端150は、TuohyBorstアダプタ155に接続されてもよい。TuohyBorstアダプタ155は、完全に緩められたとき、編組強化ポリマーの接続チューブ160がTuohyBorstアダプタ155を自由に通過することを可能にする。接続チューブ160は、ガイドカテーテル105に滑らかに嵌合する大きさの外径を有してもよい。一旦、TuohyBorstアダプタ155が十分に締め付けられると、接続チューブ160は、所定の位置にしっかりとロックされるので、さらなる軸方向の移動が抑制される。接続チューブ160の近位端は、ルアーロック165に連結される。ルアーロック165及び接続チューブ160の内径は、所望の長くて、可撓性を有するカット生検針がそれらの中で自由に移動することを可能にする大きさにしてもよい。
【0060】
接続チューブ160のルアーロック165と相補的なスピンロックコネクタを有する第2のルアーロック180は、例えば、Truカット針ハンドル15(又は本明細書に示される追加の実施形態のハンドル)の遠位端に存在してもよい。その結果、ルアーロックが接続されると、Truカット針を、バルーン安定化カテーテル本体100にしっかりと固定することができる。通例では、Truカット針ハンドル15は、その遠位端にスピンロックコネクタを有するそのような第2のルアーロック180と共には製造されないので、ハンドルアダプタ170を使用してもよい。ハンドルアダプタ170は、接続チューブ160のルアーロック165に連結するためのスピンロックコネクタを有する第2のルアーロック180を含んでもよい。ハンドルアダプタ170は、その近位端に、所望のTruカット針ハンドル15に適合するようにカスタマイズされたクランプ175を含んでもよい。第2のルアーロック180の内径は、下記の図5におけるように、切断カニューレ及び切断カニューレチューブの自由な通過を可能にする大きさにしてもよい。
【0061】
図4Bは、本発明のいくつかの実施形態に従って、バルーン安定化カテーテル本体100Bの第2の実施形態を概略的に示す。バルーン安定化カテーテル本体100Bの遠位先端125に近い領域には、ガイドカテーテル105の剛性輪郭セクション131が含まれ、傾斜した遠位出口130は、図4Aに示すような膨張可能なバルーン120の前方ではなく、膨張可能なバルーン120の上に配置されてもよい。
【0062】
図4Cは、本発明のいくつかの実施形態に従って、2つに区分された膨張可能なバルーン120Bを概略的に示す。バルーンカテーテル110の遠位先端125の近くに配置された2つに区分された膨張可能なバルーン120Bは、傾斜端部123を有する近位バルーン127と、近位バルーン125と遠位バルーン122との間の中間セクション123を有する傾斜端部126を有する遠位バルーン122とを含んでもよい。実施形態によっては、近位バルーン125及び遠位バルーン122は、別々に膨張させてもよいし又は一緒に膨張させてもよい。他の実施形態では、2つに区分された膨張可能なバルーン120Bが、図4A及び図4Bにおいて、膨張可能なバルーン120の代わりに用いられてもよい。2つに区分された膨張可能なバルーン120Bは、ドッグボーン形状を有してもよく、それにより肝静脈中でより良く固定される。遠位バルーン122は、肝静脈の始点に配置することができ、生検装置を肝臓のどれだけ奥まで入れるかということを制御するために使用することができる。生検装置を肝臓に過剰挿入すると、スタイレット200が肝臓の反対側に貫入するリスクをもたらす恐れがある。
【0063】
図5は、本発明のいくつかの実施形態に従って、遠位自己アライメントを有する長くて可撓性を有するTruカット針190の長手方向の断面図を概略的に示す。遠位自己アライメントを有する可撓性を有するTruカット針190は、切断カニューレ210とスタイレット200とを含んでもよい。スタイレット200は、2つの別個の部分にノッチ、すなわち試料ノッチ215とアライメントノッチ235とを有するチューブ状形態を有してもよい。可撓性を有するTruカット針190のスタイレット遠位セクション205にある試料ノッチ215は、対象器官の軟組織を切断カニューレ210によってせん断した後、軟組織の生検試料を保持するために使用することができる。アライメントノッチ235は、可撓性を有するTruカット針190のスタイレット近位セクション240に設置されてもよい。
【0064】
本発明の実施形態によっては、Truカット針190の遠位自己アライメントは、以下のように可能にすることができる。スタイレット200は、平坦なバンド225に通されてもよく、平坦なバンド225は、切断カニューレ210と同じ外径及び内径の円形バンドとして始まり、アライメントノッチ235に通され、次に、スタイレット200がアライメントノッチ235の周りに回転できなくなるまで徐々に平坦化されてもよい。しかしながら、スタイレット200は、アライメントノッチ235に沿って長手方向に自由に移動することができるが、スタイレット中間セクション220とスタイレット近位セクション240とによって束縛される。
【0065】
平坦なバンド225は、その遠位端で切断カニューレ210の近位端に、また、その近位端で切断カニューレチューブ245の遠位端に接合されてもよい。そのような接合部230は、オーバーチューブの溶融又は医療用接着剤で強化された熱収縮チューブの使用等の、従来の製造技術を用いて可能にすることができる。接合部230は、十分に高い硬度(>70D)のオーバーチューブ又は熱収縮チューブを使用し、切断カニューレ210の近位端の祖度を(例えば、サンドブラストによって)増大させ、例えば、オーバーチューブがコイルの溝に溶け込むことができるコイルワイヤ構造を有する切断カニューレチューブ245を使用することによって、強化することができる。
【0066】
図6は、本発明のいくつかの実施形態に従って、可撓性を有するTruカット針190と共に使用するためのハンドル255の第1の実施形態を概略的に示す。ハンドル255は、アクチュエータ260の変更及びアクチュエータ260の近位端でのピンバイス265の追加を除き、図1のハンドル15と同様である。スタイレットワイヤ250は、ピンバイス265を通りぬけ、ピンバイス265から伸張することができる。ピンバイス265を緩めると、スタイレットワイヤ250は、自由に長手方向にスライドしたり回転したりすることができる。しかしながら、一旦ピンバイス265を締め付けると、ピンバイス265によってスタイレットワイヤ250を所定の位置にしっかりと保持することができる。アクチュエータ260は、例えば、図1におけるように、スタイレットワイヤ250に接合されていなくてもよく、代わりに、スタイレットワイヤ250が制限されることなく通過することを可能にする孔を含んでもよい。ハンドル255の残りの構造及び機能は、図1に示すハンドル15と同様であってもよい。ハンドル255のばね式発射機構の発射準備は、操作者70が、キャリッジが留め具262に引っ掛かるまでアクチュエータ260を引き戻すことによって可能にすることができる。
【0067】
本開示の文脈において、本明細書で使用される可撓性を有するTruカット針190という用語は、図7に示すスタイレット装置を指すだけでなく、例えば、ワイヤの近位端でハンドル250に、そしてワイヤの遠位端でスタイレット200に接続されるスタイレットワイヤ250等の任意の適切なワイヤも含んでもよい。ここで、可撓性を有するTruカット針190のスタイレット端部は、例えば、カテーテル105の近位端150を通して供給されてもよい。
【0068】
被験者65の腕67の中に導入され、経頭蓋経路を介して肝臓75等の対象器官にナビゲートされるバルーン安定化生検装置90を用いて肝生検を行う方法を、本明細書において、本発明のいくつかの実施形態に従って以下に説明する。医師70などの操作者は、カスタマイズされたクランプ175を介して、プリロードされた可撓性を有するTruカット針190をハンドルアダプタ130に接続することができる。操作者70は、次に、可撓性を有するTruカット針190を接続チューブ160に挿入し、接続チューブ160のルアーロック165とハンドルアダプタ130の第2のルアーロック180を使用して可撓性を有するTruカット針190の位置を固定することができる。TuohyBorstアダプタ155を緩め、Truカット針190が固定された接続チューブ160をガイドカテーテル105のシャフトに挿入することができる。
【0069】
接続チューブ160は、スタイレット200が位置決めされるが、ガイドカテーテル遠位端145内で安全に保持されるまで、ガイドカテーテル105を通ってスライドすることができる。スタイレット200の先端は、傾斜した遠位出口130から、例えば、5mmの距離で、ガイドカテーテル遠位端145に保持されてもよい。次に、TuohyBorstアダプタ155をロックして、可撓性を有するTruカット針190を有する接続チューブを、ガイドカテーテル105のシャフトに対して所定の位置に保持することができる。
【0070】
本発明の実施形態によっては、操作者70は、被験者65の腕67に導入シースを配置することによって静脈系にアクセスすることができる。次に、導入シースは、バルーン安定化生検装置90と交換されてもよい。このステップでは、バルーン安定化生検装置90の静脈アクセスは、収縮したバルーン120及び傾斜した遠位出口130により提供される流線形のプロファイルによって促進することができる。バルーン安定化生検装置90は、導入シースの管腔/管腔と静脈系に導入することができる。
【0071】
本発明の実施形態によっては、導入シースは、鎖骨下静脈が心臓上方の上大静脈と接合する第1の屈曲部を越えて到達するように細長くすることができる。導入シースは、コイルワイヤ設計を用いること等によって、外装することができる。導入シースは、取り外すことはできないが、所定の位置に残し、もう一方の端部にさらに安定性を与えるために締りばめによって接続してもよい。導入シースは、生検針からの保護を拡張し、第1の最も急な屈曲部(例えば、鎖骨下から上大静脈)周囲での追跡性を向上させることができる。
【0072】
図7Aは、本発明のいくつかの実施形態に従って、ナビゲーションのために後退した可撓性を有するTruカット針190を有するバルーン安定化生検装置90を概略的に示す。
【0073】
図7Bは、本発明のいくつかの実施形態に従って、軟組織取得のために伸張した可撓性を有するTruカット針190を有するバルーン安定化生検装置90を概略的に示す。
【0074】
バルーン安定化生検装置90は、肝臓75まで、静脈系を通ってナビゲートされてもよい。例えば、操作者は、腕67の尺側皮/頭蓋静脈の中にバルーン安定化生検装置90を導入してもよい。次に、バルーン安定化生検装置90は、腕頭/上大静脈接合部を通って上大静脈に、心臓を通って下大静脈270に、そして最終的に、例えば中部肝静脈等の肝静脈77にナビゲートされてもよい。バルーン安定化生検装置90の遠位先端125のナビゲーションは、傾斜した遠位出口130が肝静脈口275の遠位15mm以下になるまで、バルーンカテーテル110のガイドワイヤサポートを用いてさらに可能にすることができる。ナビゲーション及び追跡ステップの全体を通して、鋭利なスタイレット200は、追跡中静脈を傷つけることはないであろう。なぜならば、図7Aに示すように、ガイドカテーテル遠位端145の近くのガイドカテーテル105のシャフトの内部で、スタイレット200を安全に保つことできるからである。
【0075】
一旦、傾斜した遠位出口130が肝静脈77の中のバルーンカテーテル110のセクション115と共に生検対象部位80に位置決めされると、バルーン120は、肝静脈77の中のバルーンカテーテル110のセクション115を固定するために(例えば、静脈直径より最大20%大きい)直径まで膨張することができる。この時点で、バルーンカテーテル110のガイドワイヤは、系にさらに安定性を与えるために所定の位置に残されてもよい。切断カニューレ210及びスタイレット200が出る傾斜した遠位出口130は、膨張したバルーン120の近位であるので、切断カニューレ210及びスタイレット200は、肝静脈77と同軸でバルーン120に向けてはなく、肝実質280に向かって斜めに向けられるべきである。
【0076】
これを達成するために、バルーンカテーテル110は、ガイドカテーテル105よりいっそう可撓性を有するように設計されてもよく、これにより、図7A及び図7Bに示すように、ガイドカテーテル遠位端145が、膨張したバルーン120を有するバルーンカテーテル110のセクション115(図4A参照)の長手方向軸192に対して傾斜して固定されたままとなり、肝静脈77に対して同軸又は平行にならないことを可能にする。その結果、図7Bに示すように、可撓性を有するTruカット針190の長手方向軸191とバルーン120を有するセクション115(図4A参照)の長手方向軸192との間の角度φで、可撓性を有するTruカット針190のスタイレット200を肝実質280の中に押し込むことができる。φは、15度乃至45度の範囲であってもよい。この構成では、スタイレット200は、非固定又は非安定化の場合に対して前述したように揺動することなく、生検部位80の肝実質280にきれいに入ることができる。さらに、この斜め構成により、スタイレット200が膨張したバルーン120を動かすことが防止される。実施形態によっては、バルーンカテーテル110の直径をフランスのスケールで5.0Frから4.0Frに小さくすることによって、バルーンカテーテル110の可撓性をより大きくすることができる。
【0077】
実施形態によっては、ガイドカテーテル105及びバルーンカテーテル110の外壁は、図7Bに示すような所定の角度φを有する斜め構成の達成を促進するために、ガイドカテーテル遠位端145に近いバルーン安定化カテーテル本体100の領域においてもはや長手方向に取り付けられた状態107になくてもよい。
【0078】
本発明の実施形態によっては、一旦、バルーン安定化生検装置90及び後退したTruカット針190が生検対象部位80に位置決めされると、操作者70は、次に、TuohyBorstアダプタ155を緩めてもよい。伸張したスタイレット200と切断カニューレ210とが肝臓75に完全に入るまで、接続チューブ160及びTruカット針190をガイドカテーテル105のシャフトから前方に押し込むことができる。一旦、切断カニューレ210とスタイレット200とが肝臓75の組織に入ると、操作者70は、次に、TuohyBorstアダプタ155を締めて、接続チューブ155をハンドル255と共に所定の位置に保持することができる。
【0079】
この時点以降、実施形態によっては、操作者70は、(例えば、任意のTruカット針を操作するように)スタイレット200に向けて、肝実質280の中の切断カニューレ210を駆動するためにばね式発射機構を発射することによって生検を実行することができる。肝臓が固定されていない場合、スタイレットをゆっくり進めると肝臓が前方に動く可能性があり、生検が成功する可能性が低くなる恐れがある。他の実施形態では、スタイレット及び切断カニューレの両方がばねで付勢されてもよい。それらは別個に又は一緒に発射されてもよい。スタイレットを発射した後、立て続けに切断カニューレを発射することにより、肝生検が成功する可能性が高まる。
【0080】
可撓性を有するTruカット針190が、バルーン固定安定化システム無しで、それ自身でこの時点で発射される場合、切断カニューレチューブ245は、切断カニューレチューブの可撓性のために、キャリッジに接合されている切断カニューレチューブの近位端を始点として揺動する。この揺動の結果、切断カニューレチューブ245を介して切断カニューレ210に伝達されることを意図したハンドル255のばね式発射機構により与えられるエネルギの大半は、切断カニューレ210に到達する前に消失し、生検が失敗する結果となる。
【0081】
バルーン固定安定化システムは、このむち打ち効果をいくつかの手段により大幅に抑制することが可能である。最初に、ガイドカテーテル105は、切断カニューレチューブ245を生体内において、ノンコンプライアントで密着した環境で包むことによって切断カニューレチューブ245にサポートを与え、その結果、切断カニューレチューブ245がハンドル255のばね式発射機構からのエネルギに耐えるのに十分な柱強度を有する限り、切断カニューレチューブ245の可撓性を横方向において抑制し、それにより切断カニューレチューブ245の押し込み能力を向上させることができる。第2に、ガイドカテーテル105のシャフトと、接続チューブ160と、ハンドルアダプタ130とを固定することにより、生体外で切断カニューレチューブ245の付加的なサポートが得られる。第3に、動作中に可撓性を有するTruカット針190が反動しても、膨張したバルーン120による固定により安定化システムが外れることはなく、これにより、ガイドカテーテル105が与えるサポート効率が増加する。一旦、切断カニューレチューブの揺れが大幅に低減すると、切断カニューレチューブ245は、生検を実行するためにハンドル255のばね式発射機構から切断カニューレ210にエネルギを伝達するという所期の機能を果たすことが可能となる。
【0082】
一旦、生検サンプルが得られると、バルーン120を収縮させて肝静脈77の血流を回復させることができる。バルーン安定化生検装置90は所定の位置に残された状態で、接続チューブ160のルアーロック165及びハンドルアダプタ130の第2のルアーロック180が緩められ、可撓性を有するTruカット針190は身体から引き抜かれる。Truカット針操作に対して通常の方法を用いる場合、操作者70は、スタイレット200を露出させて、試料ノッチ215に保存されている生検サンプルの品質を検査することができる。
【0083】
後続の生検の通過が必要な場合、収縮したバルーンを肝静脈77の内部に残して、傾斜した遠位出口130を生検部位80のすぐ外側に配置できるまで、新しい操作ごとにバルーン安定化カテーテル本体100を引き抜くことができる。次に、可撓性を有するTruカット針190をバルーン安定化カテーテル本体100に再び挿入して生検部位80まで追跡させて戻し、本明細書で前述した方法により後続の生検サンプルを得ることができる。
【0084】
図7Cは、本発明のいくつかの実施形態に従って、ナビゲーション用の後退した可撓性を有するTruカット針と共に剛性輪郭セクション131を有するバルーン安定化生検装置の第2の実施形態を概略的に示す。
【0085】
図7Dは、本発明のいくつかの実施形態に従って、軟組織取得用の伸張した可撓性を有するTruカット針と共に剛性輪郭セクション131を有するバルーン安定化生検装置の第2の実施形態を概略的に示す。
【0086】
第2の実施形態では、ガイドカテーテル105の剛性輪郭セクション131は、膨張可能なバルーン120上に配置され、膨張可能なバルーン120の傾斜端部121に載置される傾斜した遠位出口130を含んでもよい。バルーンが膨張したとき、この構成を用いて、生検取得中の可撓性を有するTruカット針190の長手方向軸191と、剛性輪郭セクション131がない図7A及び図7Bに示す第1の実施形態に対して、可撓性を有するTruカット針190が軟組織取得のために伸張したときの長手方向軸192との間の角度φを増加させることができる。
【0087】
図8Aは、本発明のいくつかの実施形態に従って、閉鎖構成300において、遠位で整列したTruカット針190を概略的に示す。
【0088】
図8Bは、本発明のいくつかの実施形態に従って、開放構成310において、遠位で整列したTruカット針190を概略的に示す。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態に従って、長くて、可撓性を有するTruカット針190の動作を以下に説明する。可撓性を有するTruカット針190は、最初に、ハンドル255のピンバイス265を緩めて、十分大きな表面上にまっすぐ配置されてもよい。切断カニューレ210及びスタイレット200は、図8Aで示すように、アライメントノッチ235中の平坦なバンド225の対応する位置で、閉鎖構成で整列させることができる。ハンドル255のばね式発射機構の発射準備は、キャリッジが留め具262に引っ掛かるまで、操作者70がアクチュエータ260を引き戻すことによって可能にすることができる。キャリッジが引き戻されるとき、切断カニューレと、平坦なバンドと、切断カニューレチューブとのアッセンブリが、同様にして引っ張られ、それによって、平坦なバンド225とアライメントノッチ235との間に存在する摩擦によって、スタイレット200及び切断カニューレ210は1つのユニットとして後退し、閉鎖構成300が維持される。一旦、スプリングに十分荷重がかけられると、可撓性を有するTruカット針190は、患者65に挿入する準備が出来ている。
【0090】
操作者70は、追跡ステップにおいて、血管内手段又は内視鏡手段により、所望の生検部位80まで可撓性を有するTruカット針190を操作することができる。この追跡ステップの間、スタイレット200及び切断カニューレ210は、追跡のために最適な閉鎖構成300に留まるべきである。追跡している間、切断カニューレチューブ245及びスタイレットワイヤ250の両方は、それらの異なる可撓性がナビゲートされている解剖学的構造/作業経路の蛇行性に適合する方法に従って湾曲している。スタイレットワイヤ250が緩められたピンバイス265近くで長手方向に自由に移動できるバルーン安定化生検装置90の近位端に比べて、平坦なバンド225とアライメントノッチ235との間のTruカット針の遠位セクション205に対する摩擦の方が大きいので、切断カニューレチューブ245とスタイレットワイヤ250との間のいかなる曲げの差異も、最も抵抗の少ない経路に基づいて、バルーン安定化生検装置90の近位端に伝達される可能性がある。従って、このバルーン安定化生検装置90の特性によって、追跡の全体を通して、切断カニューレ210及びスタイレット200が閉鎖構成300のそれらの長手方向のアライメント305を確実に維持することが可能になる。
【0091】
長手方向のアライメント305をさらに確実にするための実施形態によっては、アライメントノッチ235の長さは、切断カニューレ210の予想される移動距離と密接に対応するように注意深く制御することができる。例えば、長さ3mmの平坦なバンド225と共に20mm移動ができる切断カニューレ210では、アライメントノッチ235の長さは、25mmであってもよい。このようにして、スタイレット200が追跡中に切断カニューレ210の中に後退しようとしても、切断カニューレチューブ245により固定されている平坦なバンド225によってスタイレットの中間セクション220の近位端をブロックすることができるので、適切な長手方向のアライメント305を確保することができる。
【0092】
同様にして、可撓性を有するTruカット針190が、血管内手段又は内視鏡手段によって、所望の生検部位80まで操作されているとき、切断カニューレチューブ245及びスタイレットワイヤ250の両方は、それらの異なるトルク能力がナビゲートされている解剖学的構造/作業経路の蛇行性に対応する仕方に従ってねじれている可能性がある。可撓性を有するTruカット針190の遠位端には、スタイレットワイヤ250が緩められたピンバイス265の周りで自由に回転できる近位端と比較して、平坦なバンド225がアライメントノッチ235の周りでねじれるスペースがあるので、切断カニューレチューブ245とスタイレットワイヤ250との間のいかなるねじれの差異も、最も抵抗の少ない経路に基づいて、近位端に伝達される可能性がある。従って、追跡の全体を通して、切断カニューレ210及びスタイレット200がそれらの回転方向のアライメント305を確実に維持することが可能になる。
【0093】
一旦、可撓性を有するTruカット針190が所望の生検部位80に到達すると、操作者70は、好適には切断カニューレ210の先端が安全に実質の内部に入るまで、Truカット針190を臓器の実質の中に前進させることができる。この前進ステップの間、切断カニューレ及びスタイレットの長手方向アライメント305は、図8Aに示すように、閉鎖構成300において維持されるべきである。これは、例によって前述したものと同じアライメントノッチ長さ制御によって実現される。
【0094】
一旦、切断カニューレ210の先端が実質の内部に入ると、操作者70は、図8Bに示すように、スタイレット200を開放位置310にまで押し出し、切断カニューレ210の位置を維持しながら対象器官の実質の中に貫入させることができる。このスタイレット貫入ステップの間、切断カニューレ及びスタイレットは、図8Bに示すように、開放構成310における最終的な長手方向及び回転方向のアライメント315に到達する。
【0095】
長手方向のアライメントの維持は、アライメントノッチ長さの制御を用いて可能にすることもできる。20mmの移動が可能な切断カニューレ210と、3mm長の平坦なバンドと、25mmの対応するアライメントノッチ長さという前述と同じ長さを用いることで、スタイレット200が最終的な開放構成310まで十分に伸張したとき、スタイレットの近位セクションの遠位端が平坦なバンドの近位端によってブロックされ、それによって、最終的な長手方向アライメントからの過度な伸張を防止するように、長さを設計することができる。
【0096】
スタイレットワイヤ250の押し込み能力は、操作者70がスタイレットワイヤ250から触覚で感知することができるが(例えば、触覚フィードバック)、スタイレット近位セクションの遠位端が平坦なバンドの近位端によってブロックされるまで、スタイレットワイヤ250が外部の患者65からできる限り押し込まれることを可能にすることによって克服することができるので、緩められたピンバイス265によるスタイレットワイヤ近位セクションの動きの自由度により、長手方向のアライメントを達成することを補助することもできる。回転方向のアライメントに関しては、スタイレットの伸張動作の全体を通して平坦なバンド225とアライメントノッチ235とが密着し、切断カニューレ210及びスタイレット200の両方を単一のユニットとして確実に旋回かつ回転させることができるので、回転方向のアライメントを確保することができる。
【0097】
一旦、スタイレット200が完全に伸張すると、操作者70は、ピンバイス265を締め付けてスタイレットワイヤ250をその近位端でロックし、臓器実質の軟組織試料を切断しかつ取得するために、ハンドル255のばね式発射機構を発射してスタイレット200の先端に向けて遠位に切断カニューレ210を駆動することができる。ピンバイス265の締め付けを介してスタイレットワイヤ250をロックすることによって、切断カニューレと、平坦なバンドと、切断カニューレチューブとのアッセンブリが、スタイレット200がそのアッセンブリと一緒に動くことなく、1つのユニットとして前方に確実に進むことができるので、この時点で極めて重要であることに留意されたい。ばね式発射機構が発射されて組織試料が試料ノッチ215に取得された後、切断カニューレ210及びスタイレット200は、閉鎖構成300の同じ長手方向及び回転方向のアライメントに戻すことができ、その結果、試料ノッチ215内の組織試料は、切断カニューレ210とスタイレット200との間で安全に充填することができる。これは、アライメントノッチの長さを注意深く制御することにより、自動的に保証することができる。
【0098】
さらに、20mmの移動が可能な切断カニューレ210と、3mm長の平坦なバンド225と、25mmのアライメントノッチ235の長さという前述と同じ長さを用いることで、これらの長さによって、一旦、スタイレットがスタイレット貫入ステップで完全に伸張すると、切断カニューレの遠位端が自動的にスタイレットの遠位セクションと重なり、試料ノッチ215への生検サンプルの充填を実現するように設計することができる。切断カニューレと平坦なバンドとを合わせた長さ23mmより長い、アライメントノッチの長さ25mmにより、平坦なバンドの移動に対して追加の余裕も与えられるので、ハンドル255のばね式ハッシュ機構により高速で推進されたとき、平坦なバンドがスタイレットの中間セクション220の近位端と衝突する恐れはない。
【0099】
組織試料が安全に充填された状態で、操作者70は、ピンバイス265を緩めてスタイレットワイヤの自由な移動を可能にし、患者の身体から可撓性を有するTruカット針190を引き抜いてサンプルを回収することができる。この引抜きステップでは、追跡ステップで前述したのと同じ可撓性を有するTruカット針190の設計態様を同様に用いて、切断カニューレ210及びスタイレット200を閉鎖構成300における適切な長手方向及び回転方向のアライメントに保つことができる。一旦、可撓性を有するTruカット針190が患者の身体から引き抜くことができると、操作者70は、試料ノッチ215からの組織試料の検査及び/又は移送のためにスタイレットを伸張して開放構成310にすることができる。操作者70が、別の生検実施を行う必要があると考える場合、スタイレット200を引っ張って閉鎖構成300に戻し、次に、アクチュエータ260を引き戻してばね式発射機構の発射準備をすることによって、可撓性を有するTruカット針190を再設定することができる。
【0100】
本発明の実施形態によっては、軟組織/内臓器官への内視鏡アクセスの一部として、バルーン安定化生検装置90を用いるための第2の方法を以下に説明する。超音波ガイド内視鏡経胃アクセスが知られているかもしれないが、生検針の硬さのために、内視鏡内でのTruカット生検針の使用は技術的に困難であることが文書化されている。従って、上記の柔軟で、薄くて短い、可撓性を有するTruカット針190によって、操作者70は、内視鏡と共にそれを使用することができる。ここで、内視鏡は、胃腸系を通って対象器官に最も近い位置までナビゲートされる。生検装置90は、バルーンを膨張させ、軟組織の生検サンプルを取得するために針を発射して胃/腸を通って対象器官(肝臓、腎臓等)に直接突き刺すによって固定することができる。
【0101】
本発明の実施形態によっては、導入シースの代わりのバルーン安定化生検装置90の静脈アクセス中、静脈アクセスを容易にするために、付加的な長い拡張器がガイドカテーテル105のシャフトの内部に又は全体を通して嵌合する大きさに作られてもよい。拡張器は、任意の適切な形状及び構成で作られてもよい。
【0102】
本発明の実施形態によっては、バルーン安定化生検装置90は、本明細書において、コア針生検について記載されているけれども、バルーン安定化生検装置90は、微細針吸引生検システムが十分に長くて可撓性を有する限り、微細針吸引生検システムで機能するように構成されてもよい。これは、微細針吸引生検システムのための血管内抹消アクセスにとって望ましいかもしれないし、また微細針吸引生検システムのための安定したプラットフォームを提供するかもしれない。
【0103】
本発明の実施形態によっては、前述したように、TuohyBorstアダプタ155を使用して接続チューブの可動性を制御することができるが、そうするための他の方法がある。例えば、圧縮可能なクリップを使用してTuohyBorstアダプタ155に置き換えることができる。ここで、圧縮可能なクリップは、接続チューブ160をクランプしかつ所定の位置に保持するように構成することができる。操作者70が圧縮可能なクリップを圧縮するとき、クランプ動作が解除され接続チューブ160の移動を可能にすることができる。このようにして、操作者70は、接続チューブ160の長手方向の位置を自由に調整することができる。一旦、切断カニューレ210及びスタイレット200の所望の位置が達成されると、操作者70は、接続チューブ160の位置を再度クランプしかつ固定するために、圧縮可能なクリップを外すことができる。
【0104】
図9は、本発明のいくつかの実施形態に従って、中間シャフト355を有するハンドルアダプタ350を概略的に示す。編組強化接続チューブ160が使用できない場合では、ガイドカテーテルシャフトの近位端150を直接収容するように構成された、ハンドルアダプタ350の第2の実施形態を使用することができる。この場合、ガイドカテーテルシャフトの近位端150のTuohyborstアダプタ155は、最初に取り除かれてもよい。次に、ハンドルアダプタ180のスピンコネクタを有するルアーロックは、緩められたときガイドカテーテルシャフトの近位端150の容易な通過に対応するために十分に大きいTuohyborstアダプタ360の第2の実施形態に置き換えることができる。次に、ハンドルアダプタ350は、Tuohyborstアダプタ360とカスタマイズされたクランプ175との間に中間シャフト355を追加することによって長くすることができる。ここで、中間シャフト355は、その内部でガイドカテーテルシャフトの近位端150の自由な移動を可能にするために十分大きな内径を有することができ、その結果、ガイドカテーテル105に対する切断カニューレ210及びスタイレット200の位置を調整することができる。次に、Tuohyborstアダプタ360を締め付けて、ガイドカテーテルシャフトの近位端150を適切な位置に留める又は固定することができる。
【0105】
本発明の実施形態によっては、編組強化接続チューブ160及びハンドルアダプタ130は、ガイドカテーテル105の内部に配置されたとき、Truカット針用の後退可能なシースになるように変更することも可能である。これらの変更には、接続チューブ160がスタイレット200を覆うことができるまで遠位に接続チューブ160を伸張することと、可撓性を付加するために接続チューブ160の構造をコイル強化ポリマーに変更することと、ハンドルアダプタ130に後退機構を追加することとが挙げられる。このようにして、接続チューブ160及びTruカット針190を、単一のユニットとして、バルーン安定化カテーテル本体100に挿入することができる。追加の生検が必要な場合、バルーン安定化カテーテル本体100のいかなる部分も引き抜く必要なく、可撓性を有するTruカット針190のみを引き抜いてもよい。この方法によって、患者65から接続チューブ160のみを取り除く必要があることにより、ガイドカテーテル105のシャフトへの潜在的な損傷を防止することができる。
【0106】
生検を実行するために、一旦、切断カニューレ及びスタイレットが所望の生検対象部位80に到達すると、切断カニューレ210及びスタイレット200の覆いを外すために接続チューブ160を後退させることができる。ガイドカテーテルシャフトの近位端150に接合されたTuohyborstアダプタ155を締め付けて接続チューブを所定の位置にロックすることによって、接続チューブと、ハンドルアダプタと、Truカット針とを生検装置90の安定化システムにしっかり固定する。
【0107】
図10は、本発明のいくつかの実施形態に従って、バルーンカテーテル403のセクション400の第2の実施形態を概略的に示す。より小さいプロファイル(例えば、バルーン安定化生検装置90の直径)が望まれる場合、バルーンカテーテル110のガイドワイヤの管腔は、膨張経路を維持しながら取り外してもよいが、バルーン安定化生検装置90のためのガイドワイヤのサポートがなくなるというトレードオフがある。本実施形態では、バルーンカテーテル403の長さLのセクション400の膨張可能なバルーン405は、遠位先端410から所定の距離(例えば、Lで示す)に配置されてもよい。セクション400の近位端で、長さLの中間セクション420はバルーンカテーテル403をセクション400に連結し、また遠位出口415を含んでもよい。
【0108】
バルーンカテーテル403のシャフトセクションは、可撓性を有するTruカット針190のための十分なサポートを提供するために編組強化設計を含んでもよい。図10に示す実施形態では、例えば、可撓性を有するTruカット針190の肝臓75の肝静脈77への追跡中、ガイドワイヤは、セクション400、中間セクション420、及びカテーテル403のシャフトを通り抜けることができる。肝静脈77及び、例えば、肝静脈口275に配置されている中間セクション420を有する膨張可能なバルーン405に到達した後、ガイドワイヤは、それ自体後退可能なシースを有する可撓性を有するTruカット針190と交換することができる。中間セクション420は、切り欠きセクションがないシャフト425よりも実質的により可撓性を有する遠位出口415の切り欠きセクションのために、カテーテル403のシャフトセクション425よりもより可撓性を有するように構成されてもよい。次に、中間セクション420は、肝静脈77に固定されているセクション400の長手方向軸に対して傾いてもよい。可撓性を有するTruカット針190(例えば、切断カニューレ210及びスタイレット200)は、図7Bで定義した角度φで遠位出口415から出て、肝実質280の中に向けられバルーン405から離れることができる。
【0109】
本発明の実施形態によっては、ピンバイス265を通過するスタイレットワイヤ250の部分について、この部分の押し込み能力を高めることが好ましいことがある。第1に、押し込み能力を高めると、切断カニューレ210から出てスタイレット200が伸長する間、操作者70の触覚を高めることができる。これによって、スタイレットワイヤ250のねじれ無しに操作者70が印加することができる押し込み力の量も増加させることができる。その結果、スタイレットの貫入ステップ中、スタイレット200は、おそらくその最大の移動量まで伸張することができる。
【0110】
これは、第1実施形態では、この部分のスタイレットワイヤ250上で金属カニューレをスライドさせることによって可能にすることができる。ここで、金属カニューレは、ニチノール又はステンレス鋼から形成されてもよく、スタイレットワイヤ250より堅くてもよい。さらに、金属カニューレは、金属カニューレがスタイレットワイヤ250に対するユーザインターフェース(例えば、操作者のアクセス用)として機能するように十分な長さを有してもよい。金属カニューレの内径は、金属カニューレ及びスタイレットワイヤの両方が互いにスポット溶接できるように、スタイレットワイヤ250の内径と密着するような大きさに作られてもよい。同様に、金属カニューレの外径は、緩められたピンバイス265を通過できるような大きさに作られてもよく、又はピンバイス265がより大きな金属カニューレを収容するようにより大きなサイズで作られてもよい。
【0111】
図11Aは、本発明にいくつかの実施形態に従って、スタイレットワイヤ452と端部同士で接合された中実スタイレット450を概略的に示す。
【0112】
図11Bは、本発明にいくつかの実施形態に従って、スタイレットワイヤ452と重なり合って接合された中空スタイレット460を概略的に示す。
【0113】
図11Aに示すように、スタイレット450は、単一の中実部品として形成されてもよく、これは、スタイレットとスタイレットワイヤの接合部が、製造が技術的に困難な端部同士の接合部454を含むことがあることを意味する。これを克服する1つの方法は、図11Bに示すように、重ね合わせ接合部462を形成できるように中空スタイレット設計464を使用することであり、外形プロファイルは中実スタイレット450と実質的に同じままである。重ね合わせ接合部462のスタイレットの中空領域は、重ね合わせ接合部462のスタイレットワイヤ452間の接着力を増すために医療用の接着剤で充填してもよい。
【0114】
図12Aは、本発明にいくつかの実施形態に従って、アウタースタイレット505及びインナースタイレット510を有するトルクベースカット生検針500を概略的に示す。
【0115】
図12Bは、本発明にいくつかの実施形態に従って、開放構成520及び充填構成540のトルクベースカット生検針500の上面図を概略的に示す。
【0116】
図12Cは、本発明にいくつかの実施形態に従って、トルクベースカット針生検を実行するためのアウタースタイレットグリップ565の回転を概略的に示す。
【0117】
アウタースタイレット505は、ナイフの切れ刃515を含んでもよい。インナースタイレット510は、図12Aに示すように、試料ノッチ517を含んでもよい。実施形態によっては、アウタースタイレット505の幅は16Gであってもよく、インナースタイレット510の幅は18Gであってもよい。
【0118】
アウタースタイレット505及びインナースタイレット510は、図12Cに示すように、それぞれ、アウタースタイレットワイヤ560及びインナースタイレットワイヤ570に連結されてもよい。同心のインナースタイレットワイヤ570及びアウタースタイレットワイヤ560は、生体外で操作者70が使用するために、それらの近位端でスタイレットグリップに接続することができる。例えば、アウタースタイレットグリップ565はアウタースタイレットワイヤ560に取り付けることができ、インナースタイレットグリップ575はインナースタイレットワイヤ570に取り付けることができる。アウタースタイレット505及びインナースタイレット510は、バルーン安定化カテーテル本体100のガイドカテーテル105を通り抜けることができ、その結果、インナースタイレット510及びアウタースタイレット505は操作者70によって押し込まれかつ/又はハンドルによって発射されて肝実質280の中に入ることができる。
【0119】
本発明の実施形態によっては、トルクベースカット生検針500は、ナイフの刃515を用いて肝実質280の軟組織を切断するために使用することができる。一旦、スタイレットが肝実質280の内部に入ると、インナースタイレットグリップ575をしっかり保持する操作者70は、矢印580で示されるように、生体外でアウタースタイレットグリップ565を回転させて、固定されているインナースタイレット510に対して生体内でアウタースタイレット505を肝実質280の中で回転させることができる。例えば、アウタースタイレット505が回転するとき、切れ刃515は、開放構成520から充填構成540までの切断構成530(例えば、180度の回転)において肝実質280から軟組織を切断する。これにより、軟組織サンプル550をせん断して試料ノッチ517に充填することができる。
【0120】
他の実施形態では、インナースタイレット510に対するアウタースタイレット505の回転は、手動、又は、例えば、コンピュータ制御の回転モータ等の自動の任意の適切な回転機構によって可能にすることができる。実施形態によっては、本明細書で説明したトルクベース生検機構を用いて、生体外でアウタースタイレットグリップ565に0.2Nm乃至0.22Nmの回転トルクを印加して生体内で軟組織をせん断してもよい。
【0121】
軟組織サンプル550が試料ノッチ517の中に充填された後、充填された軟組織生検サンプル550を検査するために充填構成540を維持しながら、トルクベースカット生検針500を患者65の身体から(例えば、ガイドカテーテル105から)引き抜いてもよい。
【0122】
図13Aは、本発明にいくつかの実施形態に従って、ハンドル600の第2の実施形態の分解組立図を概略的に示す。ハンドル600は、左ハンドル部分605と、右ハンドル部分610と、ウィンドラス軸615と、ウィンドラスハンドル620と、ウィンドラスロックピン625と、ハンドルルアーホルダ630と、インナーカテーテルボルト635と、発射レバー655とを含んでもよい。
【0123】
図13Bは、本発明にいくつかの実施形態に従って、発射前650のハンドル600を概略的に示す。矢印660は、発射準備位置にあるスタイレットワイヤ665及びインナーカテーテルボルト635の位置を示す。
【0124】
図13Cは、本発明にいくつかの実施形態に従って、発射後700のハンドル600を概略的に示す。矢印705は、発射後のスタイレットワイヤ665及びばね710を示すインナーカテーテルボルト635の相対的位置を示す。ハンドル600は、発射レバー655を引くまで切断カニューレ210が発射しないようにインナーカテーテルボルト635を保持しかつロックするために使用することができる。
【0125】
本発明の実施形態によっては、ハンドル255及び600は、例えば、通例では、カット生検針のスタイレット端部によって肝実質280に印加される約1.7Nの平均最大力を送達するように構成されている。肝臓組織の線維症のレベルによって、肝実質280に貫入するために必要な平均力は0.6N乃至1.3Nの範囲になることがある。従って、本明細書に示す、ハンドル255及び600は、肝実質280に貫入するために必要とされる力より大きな力を送達する。
【0126】
門脈圧亢進症は、慢性肝疾患によって引き起こされることがあり、門脈と下大静脈[IVC]との間の圧力の差である門脈圧勾配(PPG)の増加によって特徴づけられる。通常の状態では、PPGは1mmHg乃至5mmHgの範囲である。PPGが10mmHg以上に増加すると、門脈圧亢進症は臨床的に重要となる。5mmHg乃至9mmHgの値は、無症状の門脈圧亢進症を表す。しかしながら、PPGは、くさび型肝静脈圧(WHVP)と自由肝静脈圧(FHVP)との間の差である肝静脈圧勾配(HVPG)を測定することによっても評価できる。
【0127】
WHVPは、肝静脈を閉塞することにより、例えば、先行する血液領域、この場合は肝類洞の圧力を等しくするために、血流を停止して静止した血液の柱にすることにより測定することができる。従って、WHVPは、門脈圧ではなく、肝臓の類洞圧の測定値である。
【0128】
正常な肝臓では、WHVPは、相互接続された類洞による圧力平衡のため、門脈圧よりわずかに(例えば、約1mmHgだけ)低い。しかしながら、肝硬変では、肝静脈を閉塞することにより生成される静的な血液の柱は類洞レベルで減圧することはできない。なぜならば、線維性隔壁の存在と結節の形成の結果として類洞間の接続が破壊されるからである。従って、肝硬変では、アルコール性肝硬変及びウィルス性肝硬変の両方で実証されているように、WHVPは、門脈圧を正確に推定する。FHVPは、閉塞されていない肝静脈の圧力の測定値である。
【0129】
HVPGは、門脈圧の測定値であり、門脈圧を決定する因子(例えば、抵抗及び血流)が変更されると、値が変化する。肝抵抗の変化は、構造的病変(線維症、再生性結節、又は血栓症)あるいは機能異常(肝血管緊張の増加)あるいは門脈又は側副血の変化によって引き起こされる可能性がある。
【0130】
本発明の実施形態によっては、バルーン安定化カテーテル本体100又は100Bを用いた肝生検サンプルの取得に加えて、生検装置自体を、HVPGを評価するための測定装置に連結することができる。
【0131】
図14Aは、本発明にいくつかの実施形態に従って、バルーン安定化カテーテル本体100又は100Bを肝静脈圧勾配(HVPG)測定システムに連結するためのアダプタ750を概略的に示す。アダプタ750は、カテーテル756に連結されるルアーロック755と、三方タップ760と、圧力変換器760と、加圧生理食塩水を有するチューブ775と、圧力変換器765からの信号を信号プロセッサ(図示せず)に連結するためのケーブル770とを含んでもよい。圧力変換器760は、カテーテル756中の血液の圧力からHVPGを測定するために使用することができる。実施形態によっては、図14Aに示すルアーロック755及びカテーテル756は、例えば、図4Aに示したようなバルーン安定化カテーテル本体100のルアーロック165及びガイドカテーテル105であってもよい。
【0132】
肝静脈のカテーテル処置は、非侵襲的バイタルサインモニタリング(例えば、心電図検査、動脈血圧、及びパルスオキシメトリによる)と合わせて鎮静下で実施することができる。局所麻酔下では、右頚静脈(又は、大腿静脈もしくは肘前静脈)にカテーテルを挿入することができる。静脈イントロデューサ(例えば、導入シース)を静脈の中に配置することができる。バルーン安定化カテーテル本体100又は100Bを、静脈イントロデューサを通して挿入し、蛍光透視下で下大静脈270及び肝静脈77にナビゲートして、アダプタ750及びHVPG測定システムに連結されているバルーン安定化カテーテル本体により、WHVP、FHVP、及び下大静脈の圧力を測定することができる。
【0133】
図14Bは、本発明にいくつかの実施形態に従って、肝静脈圧勾配(HVPG)測定のグラフ800である。FHVP805及び815は、バルーン120又は120Bが、例えば、その開口部から下大静脈の中へと約2cm乃至4cmの位置で収縮された状態で、バルーン安定化カテーテル本体の遠位先端125を肝静脈に維持することによって測定することができる。FHVPの値は、下大静脈の圧力と同等であるべきである。FHVPと下大静脈の圧力との間に2mmHgを超える差があると、カテーテルが不適切に配置されているかもしれないこと又は肝静脈閉塞が存在するかもしれないことを示している可能性がある。
【0134】
WHVP810及び820は、カテーテルを肝静脈の小さな支流に押し込むかバルーン安定化カテーテル本体100又は100Bのバルーン120又は120Bを遠位先端125で膨張させるかのいずれかによって、肝静脈を閉塞することによって測定することができる。肝静脈の適切な閉塞は、他の肝静脈との連通を通して色素の逆流又はウオッシュアウトを観察することなく、静脈に5mlの造影剤をゆっくり注入することによって確認することができる(例えば、通例の「くさびパターン」を明らかにする処置)。しかしながら、バルーン膨張を用いた肝静脈の閉塞では、カテーテルのくさび止めと比較して、より大量の肝循環が検出される場合がある。バルーン膨張HVPGは、より良い測定感度又は変動性を示す場合がある。WHVP810及び820は、値が安定する、例えば、通例、約40秒後まで、測定される。
【0135】
肝静脈圧勾配(HVPG)測定システムは、アダプタ750と、レコーダと、信号処理ユニットとを含んでもよい。ここで、ケーブル770は、圧力変換器765からの信号を信号処理ユニットに連結することができる。全ての測定は、グラフ800に示すように、少なくとも2回行われる。永続的なトレース(例えば、グラフ800)は、マルチチャンネルレコーダと適切に較正された変換器(例えば、圧力変換器765)とによって得ることができる。図14Bのグラフ800に示す例示のHVPG測定は、1mm/秒のレコーダ速度で行われた。データは約25秒で取得された。信号処理ユニットは、測定されたくさび型肝静脈圧(WHVP)と測定された自由肝静脈圧(FHVP)との間の差であるHVPGを計算することができる。
【0136】
本発明の実施形態によっては、FHVPの測定は、バルーン安定化カテーテル本体をガイドワイヤに挿入し、ガイドワイヤを取り外し、バルーン安定化カテーテル本体を圧力変換器に接続し、位置を確認するために第1の細長いチューブの管腔/管腔を通して造影剤を注入し、レコーダで圧力をプロットすることによって行ってもよい。WHVPの測定は、バルーン120を膨張させ、造影剤を注入してカテーテルが正常にくさび止めされていることを確認し、レコーダで圧力をプロットすることによって行ってもよい。ガイドワイヤを再度挿入し、バルーン安定化カテーテル本体を用いて生検処置を開始してもよい。
【0137】
本発明の実施形態によっては、被験者の対象器官の生検サンプルを取得するためのバルーン固定式生検装置90は、第1の細長いチューブと、第2の細長いチューブと、可撓性生検針とを含んでもよい。第1の細長いチューブ(例えば、バルーンカテーテル110)は、第1の近位端と遠位先端とで第1の管腔を取り囲んでもよく、遠位先端の近くの第1の細長いチューブのセクションは、被験者の対象器官の血管に挿入されて膨張したとき、対象器官の生検部位の近くの血管のセクションを固定するバルーンを含んでもよい。
【0138】
第2の細長いチューブ(例えば、ガイドカテーテル105)は、第2の近位端と、第2の管腔の傾斜した遠位出口を含む第2の遠位端とで第2の管腔を取り囲んでもよく、第1の細長いチューブが膨張したバルーンによって血管中に固定されたとき、対象器官の生検部位に配置されている。ここで、所定の長さの第1及び第2の細長いチューブは互いに長手方向に取り付けられているので、傾斜した遠位出口は、第1の細長いチューブのセクションの近位端に配置されている。
【0139】
可撓性生検針は、生検部位へのナビゲーションのために、第2の細長いチューブの第2の管腔に挿入するためのワイヤの遠位端に取り付けることができる。ここで、可撓性生検針は、第1の細長いチューブのセクションの長手方向の軸と可撓性生検針の長手方向の軸との間の所定の角度で生検部位の対象器官の組織に貫入するために、第2の管腔の傾斜した遠位出口から出て、生検部位の対象器官の生検サンプルを取得するように構成されている。
【0140】
本発明の実施形態によっては、第1及び第2の細長いチューブは、押し出された隣接するチューブから形成されてもよい。それらは、複数の管腔又は任意のそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0141】
本発明の実施形態によっては、第1の細長いチューブは、2つの管腔構成を有する多重管腔チューブを含んでもよい。1つの管腔はガイドワイヤ用で、もう一方の管腔は遠位先端でバルーンを膨張させるための管腔である。第2の細長いチューブは、単一の管腔であってもよい。第1及び第2の細長いチューブの両方は1つの管腔を他方の管腔に隣接させて押し出すことにより形成してもよい。これに加えて及び/又は任意選択で、第2の細長いチューブは共押し出し形成されてもよい。
【0142】
本発明の実施形態によっては、第2の細長いチューブは、抹消静脈から肝静脈までの湾曲部を通ってナビゲートするとき、可撓性生検針が壁に貫入又は壁を損傷する(例えば、破片を生成する等)ことを防止するために剛性がある内層を含んでもよい。剛性がある内層は金属コイルを含んでもよい。
【0143】
本発明の実施形態によっては、第1及び第2の細長いチューブは、熱収縮チューブを用いて一緒に保持してもよい。
【0144】
本発明の実施形態によっては、第2の細長いチューブは、バルーンに載置される剛性輪郭セクション131を含んでもよく、バルーンが膨張したときバルーンは第2の細長いチューブの剛性輪郭セクション131を持ち上げることができる。この効果により、図7Dに示す角度φが大きくなり、生検針が、肝臓組織の中に発射されたとき、肝静脈の壁によりよく面することを可能にする。この効果により、生検針が肝静脈から出て肝臓組織に入る可能性が高まるので、生検が成功する可能性も高まる。経頸静脈手法と異なり、生検針が肝臓組織の中に向けられるような回転を可能にする堅い金属チューブはない。この効果により、生検針がバルーンに真正面から突き刺さることも防止できる。
【0145】
本発明の実施形態によっては、可撓性生検針はTruカット生検針を含んでもよい。
【0146】
本発明の実施形態によっては、第1の細長いチューブはバルーンカテーテルを、そして第2の細長いチューブはガイドカテーテルを、それぞれ含んでもよい。
【0147】
本発明の実施形態によっては、対象器官は肝臓を含んでもよい。
【0148】
本発明の実施形態によっては、血管は肝臓の肝静脈を含んでもよい。
【0149】
本発明の実施形態によっては、生検装置は、第2の管腔中のワイヤの遠位端で可撓性生検針の位置を固定するために、第2の近位端に連結されるロック機構を含んでもよい。
【0150】
本発明の実施形態によっては、前記ロック機構の構成要素は、TuohyBorstアダプタ、ルアーロック、及び圧縮可能なクランプから成る群から選択される。
【0151】
本発明の実施形態によっては、可撓性生検針は切断カニューレとスタイレットとを含んでもよい。
【0152】
本発明の実施形態によっては、可撓性生検針は、切断カニューレ及びスタイレットのアライメントを維持するために、平坦なバンドとアライメントノッチとを含んでもよい。
【0153】
本発明の実施形態によっては、第1の細長いチューブは、第2の細長いチューブよりも可撓性を有する。本明細書の文脈で使用する「より可撓性を有する」は、第1の細長いチューブ(例えば、バルーンカテーテル110)が、第2の細長いチューブ(例えば、ガイドカテーテル105)よりももっと柔軟であってもよいことを意味する。第1の細長いチューブは、第2の細長いチューブよりも屈曲及び/又は曲げが可能であってもよい。実施形態によっては、第1の細長いチューブは、第1の細長いチューブを形成する第2の材料よりももっと柔軟な第1の材料から形成されてもよい。他の実施形態では、第1の細長いチューブの幾何形状と第2の細長いチューブの幾何形状とによって、第1の細長いチューブが、第2の細長いチューブに比べてより柔軟に又はより曲げやすくなってもよい。
【0154】
本発明の実施形態によっては、生検装置は、第1の細長いチューブと第2の細長いチューブとを長手方向に互いに取り付けるために、第1の細長いチューブ及び第2の細長いチューブが挿入される所定の長さ有する外側チューブを含んでもよい。
【0155】
本発明の実施形態によっては、膨張したバルーンの直径は血管の直径よりも大きくてもよい。
【0156】
本発明の実施形態によっては、膨張したバルーンの直径は、血管の直径の20%より大きくなくてもよい。
【0157】
本発明の実施形態によっては、所定の角度は15度乃至45度の範囲にある。
【0158】
本発明の実施形態によっては、生検装置は、ワイヤの遠位端にある可撓性生検針を生検部位に案内するために第2の管腔に挿入するための接続チューブを含んでもよい。
【0159】
本発明の実施形態によっては、可撓性生検針は、端部同士の接合でスタイレットワイヤに接合されるスタイレットを含んでもよい。
【0160】
本発明の実施形態によっては、可撓性生検針は、中空スタイレットと重ね合わせ接合部に挿入されるスタイレットワイヤとを含んでもよい。
【0161】
本発明の実施形態によっては、可撓性生検針は、同心構成で配置される、インナースタイレットと切れ刃を有するアウタースタイレットとを含んでもよい。
【0162】
本発明の実施形態によっては、可撓性生検針は、可撓性生検針が対象器官の組織内部にあるとき、切れ刃を有するアウタースタイレットをインナースタイレットに対して回転させることよって生検サンプルを取得するように構成されてもよい。
【0163】
本発明の実施形態によっては、可撓性生検針は、アウタースタイレットが実質的にインナースタイレットと反対側の回転位置に留まっているとき、試料ノッチの中の取得した生検サンプルを充填する/カプセルに入れるように構成されてもよい。
【0164】
本発明の実施形態によっては、生検装置は、バルーンが膨張したとき、所定の角度を増大させるために第2の細長いチューブの遠位端に連結される剛性輪郭セクションを含んでもよい。
【0165】
本発明の実施形態によっては、バルーンは、血管の中で別個に又は一緒に膨張することができる遠位バルーンと近位バルーンとを含んでもよい。
【0166】
本発明の実施形態によっては、第2の細長いチューブは、圧力変換器からの信号を信号処理ユニットで処理することによって肝静脈圧力勾配(HVPG)を測定するために、圧力変換器に連結されてもよい。
【0167】
本発明の実施形態によっては、バルーン固定生検装置を用いて被験者の対象器官の生検サンプルを取得する方法は、生検装置を被験者の四肢の静脈に経皮的に挿入することを含んでもよい。生検装置は、第1の細長いチューブと、第2の細長いチューブと、可撓性生検針とを含んでもよい。
【0168】
第1の細長いチューブは、第1の近位端と遠位先端とにより第1の管腔を取り囲んでもよく、ここで、遠位先端の近くの第1の細長いチューブのセクションは、被験者の対象器官の血管に挿入されて膨張したとき、対象器官の生検部位の近くの血管中のセクションを固定するバルーンを含んでもよい。
【0169】
第2の細長いチューブは、第2の近位端と、第2の管腔の傾斜した遠位出口を含む第2の遠位端とで第2の管腔を取り囲んでもよく、傾斜した遠位出口は、第1の細長いチューブが膨張したバルーンによって血管の中に固定されたとき対象器官の生検部位に配置される。ここで、所定の長さの第1の細長いチューブ及び第2の細長いチューブは、互いに長手方向に取り付けられ、傾斜した遠位出口は、第1の細長いチューブのセクションの近位端に配置される。
【0170】
可撓性生検針は、生検部位へのナビゲーションのために、第2の細長いチューブの第2の管腔に挿入するためにワイヤの遠位端に取り付けられてもよい。ここで、可撓性生検針は、第1の細長いチューブのセクションの長手方向軸と可撓性生検針の長手方向軸との間の所定の角度で生検部位の対象器官の組織に貫入するために、第2の管腔の傾斜した遠位出口から出るように構成されている。
【0171】
生検サンプルを取得するための方法には、被験者の血管系を通って静脈から生検部位の近くの対象器官の血管の中にナビゲートされる遠位先端がさらに含まれてもよい。バルーンは血管の中で膨張することができる。可撓性生検針は、所定の角度で、生検部位の対象器官の組織の中に押し込むことができる。生検部位の対象器官の生検サンプルは、可撓性生検針を用いて取得することができる。ワイヤは、取得された生検サンプルを回収するために第2の管腔から引き抜くことができる。
【0172】
本発明の実施形態によっては、四肢は被験者の腕を含んでもよく、静脈は腕の頭側静脈を含んでもよい。
【0173】
本発明の実施形態によっては、四肢は被験者の脚を含んでもよく、静脈は脚の大腿静脈を含んでもよい。
【0174】
本発明の実施形態によっては、被験者の脚の静脈に生検装置を経皮的に挿入することは、静脈中のシースの管腔を通して生検装置を挿入することを含んでもよい。
【0175】
本発明の実施形態によっては、バルーンは、遠位バルーンと近位バルーンとを含んでもよく、方法は、バルーンを膨張させることが、遠位バルーン及び近位バルーンを血管の中で別個に又は一緒に膨張させることから構成されていることを含んでもよい。
【0176】
本発明の実施形態によっては、第2の細長いチューブは、圧力変換器に連結されてもよく、方法は、圧力変換器からの信号を処理することによって肝静脈圧力勾配(HVPG)を測定することを含んでもよい。
【0177】
本明細書では様々な実施形態を開示している。特定の実施形態の特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせてもよい。従って、特定の実施形態は、複数の実施形態の特徴の組み合わせであってもよい。本発明の実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的で提示されている。網羅的であること又は開示された正確な形態に本発明を限定することは意図されていない。当業者は、上記の教示に照らして多くの修正、変形、置換、変更、及び均等物が可能であることを理解されたい。従って、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨の範囲に含まれるそのようなすべての修正及び変更を含むことを意図していると理解されたい。
【0178】
本発明の特定の特徴が本明細書に例示され、記載されているが、多くの修正、置換、変更、及び均等物を当業者は考えるであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨の範囲に含まれるそのようなすべての修正及び変更を含むことを意図していると理解されたい。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B