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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-29
(45)【発行日】2023-04-06
(54)【発明の名称】作業機、および電気部品保持方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20230330BHJP
【FI】
H05K13/02 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020556498
(86)(22)【出願日】2018-11-13
(86)【国際出願番号】 JP2018041982
(87)【国際公開番号】W WO2020100214
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【弁理士】
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】半戸 寛之
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/087440(WO,A1)
【文献】特開2018-164018(JP,A)
【文献】特開2010-222021(JP,A)
【文献】国際公開第2017/104031(WO,A1)
【文献】特開2017-126609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品を供給するフィーダに装着されるものであり、前記電気部品を収容するテープ化電気部品と、
電気部品を保持する保持具を有する作業ヘッドと、
前記作業ヘッドを移動させる移動装置と、
前記電気部品を収容するテープ化電気部品が固着され、部品トレイの供給対象の部品を載置するための載置面と、
前記移動装置の作動を制御する制御装置と
を備える作業機であって、
前記制御装置は、
前記載置面に固着された前記テープ化電気部品が収容した電気部品を前記保持具が保持するように、前記移動装置の作動を制御する作業機。
【請求項2】
前記テープ化電気部品は、
電気部品を収容するための収容部が形成されたテープと、
前記収容部に収容される電気部品と、
前記収容部を覆うトップテープと
により構成されており、
前記制御装置は、
前記トップテープが剥がされた状態で前記載置面に固着された前記テープ化電気部品が収容した電気部品を前記保持具が保持するように、前記移動装置の作動を制御する請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記テープ化電気部品から前記トップテープを剥がすための剥離装置を有するテープフィーダにおいて、前記剥離装置は、前記テープ化電気部品の前記テープから前記トップテープが剥がされる箇所より前記テープ化電気部品の送出方向と反対の方向に所定の距離、離れた個所に配設されており、その所定距離を、前記テープフィーダにセットされた状態で、前記剥離装置により前記トップテープを剥離可能な前記テープ化電気部品の最短長さ寸法と定義した場合に、
前記制御装置は、
前記最短長さ寸法より短い寸法の前記テープ化電気部品が前記載置面に固着されており、当該テープ化電気部品が収容した電気部品を前記保持具が保持するように、前記移動装置の作動を制御する請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記作業機は、
前記載置面に固着された前記テープ化電気部品を撮像する撮像装置を備え、
前記制御装置は、
前記撮像装置による撮像データに基づいて前記載置面に固着された前記テープ化電気部品の傾斜角度を演算して、前記載置面に固着された前記テープ化電気部品が収容した電気部品を前記保持具が保持するように、前記移動装置の作動を制御する請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の作業機。
【請求項5】
前記載置面に、前記テープ化電気部品を固着する際の基準となるラインが記された請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の作業機。
【請求項6】
電気部品を供給するフィーダに装着されるものであり、前記電気部品が並ぶように収容するテープ化電気部品と、電気部品を保持する保持具を有する作業ヘッドと、前記作業ヘッドを移動させる移動装置と、前記テープ化電気部品が固着され、部品トレイの供給対象の部品を載置するための載置面とを備える作業機において、
前記移動装置の作動を制御し、前記載置面に固着された前記テープ化電気部品が収容した電気部品を前記保持具が保持する電気部品保持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ化電気部品に収容されている電気部品を保持具により保持する作業機、および、収容器に収容されている電気部品を保持具により保持する電気部品保持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機には、下記特許文献に記載されているように、テープ化電気部品に収容されている電気部品を保持具により保持するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-126609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、テープ化電気部品等に収容されている電気部品を適切に供給することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本明細書は、電気部品を供給するフィーダに装着されるものであり、前記電気部品を収容するテープ化電気部品と、電気部品を保持する保持具を有する作業ヘッドと、前記作業ヘッドを移動させる移動装置と、前記電気部品を収容するテープ化電気部品が固着され、部品トレイの供給対象の部品を載置するための載置面と、前記移動装置の作動を制御する制御装置とを備える作業機であって、前記制御装置は、前記載置面に固着された前記テープ化電気部品が収容した電気部品を前記保持具が保持するように、前記移動装置の作動を制御する作業機を開示する。
【0006】
また、上記課題を解決するために、本明細書は、電気部品を供給するフィーダに装着されるものであり、前記電気部品が並ぶように収容するテープ化電気部品と、電気部品を保持する保持具を有する作業ヘッドと、前記作業ヘッドを移動させる移動装置と、前記テープ化電気部品が固着され、部品トレイの供給対象の部品を載置するための載置面とを備える作業機において、前記移動装置の作動を制御し、前記載置面に固着された前記テープ化電気部品が収容した電気部品を前記保持具が保持する電気部品保持方法を開示する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、テープ化電気部品若しくは、収容器が載置面に固着されることで、その固着されたテープ化電気部品若しくは、収容器から電気部品を保持具により保持することが可能となる。これにより、テープ化電気部品若しくは、収容器に収容されている電気部品を適切に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】部品実装機を示す斜視図である。
図2】部品実装機の部品装着装置を示す斜視図である。
図3】テープ化部品を示す概略図である。
図4】テープフィーダを示す概略図である。
図5】制御装置を示すブロック図である。
図6】トレイに固着された状態の切断テープ化部品を示す図である。
図7】切断テープ化部品の寸法情報を示す概略図である。
図8】切断テープ化部品の傾斜角度を示す概略図である。
図9】実位置の切断テープ化部品での電気部品の位置座標を概念的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0010】
(A)部品実装機の構成
図1に、部品実装機10を示す。部品実装機10は、回路基材12に対する部品の実装作業を実行するための装置である。部品実装機10は、装置本体20、基材搬送保持装置22、部品装着装置24、マークカメラ26、パーツカメラ28、ばら部品供給装置30、部品供給装置32、制御装置(図5参照)36を備えている。なお、回路基材12として、回路基板、三次元構造の基材等が挙げられ、回路基板として、プリント配線板、プリント回路板等が挙げられる。
【0011】
装置本体20は、フレーム40と、そのフレーム40に上架されたビーム42とによって構成されている。基材搬送保持装置22は、フレーム40の前後方向の中央に配設されており、搬送装置50とクランプ装置52とを有している。搬送装置50は、回路基材12を搬送する装置であり、クランプ装置52は、回路基材12を保持する装置である。これにより、基材搬送保持装置22は、回路基材12を搬送するとともに、所定の位置において、回路基材12を固定的に保持する。なお、以下の説明において、回路基材12の搬送方向をX方向と称し、その方向に直角な水平の方向をY方向と称し、鉛直方向をZ方向と称する。つまり、部品実装機10の幅方向は、X方向であり、前後方向は、Y方向である。
【0012】
部品装着装置24は、ビーム42に配設されており、2台の作業ヘッド56,58と作業ヘッド移動装置62とを有している。各作業ヘッド56,58は、吸着ノズル(図2参照)60を有しており、吸着ノズル60によって部品を保持する。また、作業ヘッド移動装置62は、図2に示すように、X方向移動装置63とY方向移動装置64とZ方向移動装置65とによって構成されている。X方向移動装置63及びY方向移動装置64は、それぞれ、電磁モータ(図5参照)66,68を有しており、各電磁モータ66,68の作動により、2台の作業ヘッド56,58が、一体的にフレーム40上の任意の位置に移動する。また、Z方向移動装置65は、電磁モータ(図5参照)70,72を有しており、各電磁モータ70,72の作動により、スライダ74,76が個別に上下方向に移動する。そして、そのスライダ74,76に作業ヘッド56,58が着脱可能に装着されている。これにより、作業ヘッド56,58は、Z方向移動装置65によって、個別に上下方向に移動する。
【0013】
マークカメラ26は、下方を向いた状態でスライダ74に取り付けられており、作業ヘッド56とともに、X方向,Y方向およびZ方向に移動する。これにより、マークカメラ26は、フレーム40上の任意の位置を撮像する。パーツカメラ28は、図1に示すように、フレーム40上の基材搬送保持装置22と部品供給装置30との間に、上を向いた状態で配設されている。これにより、パーツカメラ28は、作業ヘッド56,58の吸着ノズル60に保持された部品を撮像する。
【0014】
ばら部品供給装置30は、フレーム40の前後方向での一方側の端部に配設されている。ばら部品供給装置30は、ばらばらに散在された状態の複数の部品を整列させて、整列させた状態で部品を供給する装置である。つまり、任意の姿勢の複数の部品を、所定の姿勢に整列させて、所定の姿勢の部品を供給する装置である。
【0015】
また、部品供給装置32は、フレーム40の前後方向での他方側の端部に配設されている。部品供給装置32は、トレイ型部品供給装置110とフィーダ型部品供給装置112とを有している。トレイ型部品供給装置110は、トレイ(図6参照)116の上に載置された状態の部品を供給する装置である。フィーダ型部品供給装置112は、テープフィーダ120によって部品を供給する装置である。テープフィーダ120は、下端部において、トレイ型部品供給装置110の隣に配設された装着台122に着脱可能に装着される。
【0016】
テープフィーダ120は、電気部品を収容したテープであるテープ化部品を巻回させた状態で収容しており、そのテープ化部品を供給位置に向かって送り出すことで、供給位置において電気部品を供給する。詳しくは、テープ化部品130は、図3に示すように、キャリアテープ132と、電気部品134と、トップカバーテープ136とから構成されている。キャリアテープ132には、多数の収容凹部138および送り穴140が等ピッチで形成されており、収容凹部138に電気部品134が収容されている。そして、電気部品134が収容された収容凹部138が、トップカバーテープ136によって覆われている。
【0017】
また、テープフィーダ120は、図4に示すように、テープリール(図示省略)と、フィーダ本体部150と、送出装置152と、剥離装置154とから構成されている。テープリールには、テープ化部品130が巻回されている。そして、そのテープリールからテープ化部品130が引き出され、フィーダ本体部150の上端面に延在されている。フィーダ本体部150の内部には、スプロケット156を有する送出装置152が内蔵されている。そのスプロケット156は、フィーダ本体部150の上端面に延在されているテープ化部品130の送り穴140に係合している。そして、そのスプロケット156が送出装置152によって回転させられることで、テープ化部品130が、フィーダ本体部150の上端面において、供給位置158に向かって送り出される。
【0018】
また、フィーダ本体部150の上端面に延在されているテープ化部品130では、送り穴140に係合するスプロケット156の下流側において、キャリアテープ132からトップカバーテープ136が剥がされており、その剥がされたトップカバーテープ136が剥離装置154によって引っ張られる。これにより、フィーダ本体部150の上端面の供給位置158に近い箇所において、テープ化部品130の収容凹部138が順次、開放され、その開放された収容凹部138から電気部品134が供給位置158において吸着ノズル60によって保持される。
【0019】
なお、剥離装置154は、テープ化部品130のキャリアテープ132からトップカバーテープ136が剥がされる箇所より下流側、つまり、テープ化部品130の送出方向と反対の方向に所定の距離L、離れた個所に配設されている。このため、その距離Lに相当する長さ寸法(以下、「最短長さ寸法」と記載する)以上のテープ化部品130しか、剥離装置154によりトップカバーテープ136を剥離可能な状態で、テープフィーダ120にセットすることができない。つまり、最短長さ寸法より短いテープ化部品130を、剥離装置154によりトップカバーテープ136を剥離可能な状態で、テープフィーダ120にセットすることができない。このため、テープフィーダ120では、最短長さ寸法より短いテープ化部品130を用いて電気部品134を供給することはできない。
【0020】
また、制御装置36は、図5に示すように、コントローラ170、複数の駆動回路172、画像処理装置176を備えている。複数の駆動回路172は、上記搬送装置50、クランプ装置52、作業ヘッド56,58、電磁モータ66,68,70,72、トレイ型部品供給装置110、フィーダ型部品供給装置112、ばら部品供給装置30に接続されている。コントローラ170は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路172に接続されている。これにより、基材搬送保持装置22、部品装着装置24等の作動が、コントローラ170によって制御される。また、コントローラ170は、画像処理装置176にも接続されている。画像処理装置176は、マークカメラ26およびパーツカメラ28によって得られた画像データを処理するものであり、コントローラ170は、画像データから各種情報を取得する。
【0021】
(B)部品実装機の作動
部品実装機10では、上述した構成によって、基材搬送保持装置22に保持された回路基材12に対して部品の装着作業が行われる。部品実装機10では、トレイ型部品供給装置110,フィーダ型部品供給装置112,ばら部品供給装置30により種々の部品が供給され、種々の部品の装着作業を行うことが可能である。具体的には、例えば、フィーダ型部品供給装置112では、テープフィーダ120において、上述したように、テープ化部品130が供給位置158に向かって送り出される際に、テープ化部品130のキャリアテープ132からトップカバーテープ136が剥がされる。これにより、電気部品134が収容されているキャリアテープ132の収容凹部138が開放され、供給位置158において、収容凹部138に収容された状態で電気部品134が供給される。そして、収容凹部138の中から、吸着ノズル60により電気部品134が吸着保持されることで、電気部品134の装着作業が実行される。
【0022】
ただし、上述したように、最短長さ寸法より短いテープ化部品130をテープフィーダ120にセットすることができないため、テープフィーダ120によって、最短長さ寸法より短いテープ化部品130から電気部品134を供給することはできない。また、最短長さ寸法より短いテープ化部品130であっても、ストリップテープフィーダのような特殊な機器であれば、セットすることができるが、そのような特殊な機器を用意することは、コスト的に望ましくない。そこで、部品実装機10では、最短長さ寸法より短いテープ化部品130をトレイ型部品供給装置110のトレイ116に固着することで、そのテープ化部品130から電気部品134を供給し、電気部品134の装着作業が実行される。なお、以下の説明において、最短長さ寸法より短いテープ化部品130を、切断テープ化部品と記載する。
【0023】
具体的には、図6に示すように、トレイ型部品供給装置110のトレイ116の上面には、X方向に延びるように、基準ライン190が描画されている。そして、作業者が、切断テープ化部品200の複数の送り穴140のうちの最も端に位置する送り穴(以下、「末端送り穴」と記載する)140aと、基準ライン190とが上下方向において重なるとともに、切断テープ化部品200と基準ライン190とが概ね直行するように、切断テープ化部品200をトレイ116の上面に両面テープにより固着する。なお、トレイ116に固着される切断テープ化部品200では、トップカバーテープ136が剥離されている。つまり、キャリアテープ132からトップカバーテープ136が剥がされ、取り除かれている。このため、切断テープ化部品200は、収容凹部138が開放された状態でトレイ116に固着されている。また、図6では、6本の切断テープ化部品200が、トレイ116に固着されている。
【0024】
また、切断テープ化部品200の寸法に関する情報(以下、「寸法情報」と記載する)がコントローラ170に記憶されている。詳しくは、図7に示すように、末端送り穴140aと、切断テープ化部品200の収容凹部138に収容されている電気部品134の中心との間における切断テープ化部品200の幅方向での距離(以下、「幅方向距離」と記載する)αおよび、切断テープ化部品200の長さ方向での距離(以下、「長さ方向距離」と記載する)βが予め測定されている。また、切断テープ化部品200の電気部品134の収容ピッチP、つまり、切断テープ化部品200での隣り合う2つの収容凹部138に収容されている2つの電気部品134の間の距離も予め測定されている。そして、幅方向距離α,長さ方向距離β,電気部品134の収容ピッチPが、寸法情報としてコントローラ170に記憶されている。
【0025】
そして、トレイ116に固着された切断テープ化部品200から電気部品134が供給される前に、その切断テープ化部品200がマークカメラ26により撮像され、撮像データに基づいて、その切断テープ化部品200に収容されている電気部品134の位置座標が演算される。具体的には、トレイ116の上方にマークカメラ26が移動し、トレイ116に固着された切断テープ化部品200が、マークカメラ26により撮像される。そして、コントローラ170において、撮像データが解析され、送り穴140の位置座標が演算される。この際、例えば、図8に示す切断テープ化部品200の撮像データでは、8個の送り穴140の位置座標が抽出される。また、コントローラ170では、撮像データに基づいて、基準ライン190の位置座標も演算される。そして、8個の送り穴の位置座標のうちの基準ライン190の位置座標に最も近いもの、つまり、末端送り穴140aの位置座標が抽出される。
【0026】
また、8個の送り穴140の位置座標に基づいて、切断テープ化部品200の傾斜角度Rも演算される。つまり、作業者は、切断テープ化部品200と基準ライン190とが概ね直行するように、切断テープ化部品200をトレイ116に固着しているため、切断テープ化部品200が基準ライン190に対して直行していない場合がある。なお、基準ライン190はX方向と一致しているため、切断テープ化部品200が基準ライン190に対して直行していない場合とは、切断テープ化部品200がY方向と一致しておらず、Y方向に対して傾斜している場合である。このため、コントローラ170は、8個の送り穴140の位置座標に基づいて、切断テープ化部品200のY方向に対する傾斜角度Rを演算する。なお、傾斜角度Rは、トレイ116に実際に固着された位置(以下、「実位置」と記載する)での切断テープ化部品200(図8において実線で示される切断テープ化部品200)の、基準ライン190に直行した位置(以下、「直行位置」と記載する)での切断テープ化部品200(図8において点線で示される切断テープ化部品200)に対する傾斜角度とも言える。
【0027】
そして、末端送り穴140aの位置座標および、切断テープ化部品200の傾斜角度Rが演算されると、コントローラ170に記憶されている幅方向距離α,長さ方向距離β,電気部品134の収容ピッチPを利用して、直行位置の切断テープ化部品200での電気部品134の位置座標が演算される。詳しくは、直行位置の切断テープ化部品200の幅方向は、X方向と一致し、直行位置の切断テープ化部品200の長さ方向は、Y方向と一致する。このため、末端送り穴140aの位置座標(X0,Y0)からX方向に幅方向距離α移動させ、Y方向に長さ方向距離β移動させることで、直行位置の切断テープ化部品200での複数の電気部品134のうちの末端送り穴140aに最も近い電気部品(以下、「第1電気部品」と記載する)134の位置座標が演算される。つまり、直行位置の切断テープ化部品200での第1電気部品134の位置座標A(XA,YA)は、(X0+α,Y0-β)となる。なお、図8での右方向が、X方向での正方向であり、図8での上方向が、Y方向での正方向である。
【0028】
また、直行位置の切断テープ化部品200での複数の電気部品134のうちの第1電気部品の次に末端送り穴140aに近い電気部品(以下、「第2電気部品」と記載する)は、第1電気部品よりY方向に向かって収容ピッチPに相当する距離ズレている。このため、直行位置の切断テープ化部品200での第2電気部品の位置座標A(XA,YA)は、(X0+α,Y0-β-P)となる。また、直行位置の切断テープ化部品200での複数の電気部品134のうちの末端送り穴140aから3番目に近いものを、第3電気部品とし、4番目に近いものを、第4電気部品とする。この際、直行位置の切断テープ化部品200での第3電気部品の位置座標A(XA,YA)は、(X0+α,Y0-β-2P)となり、第4電気部品の位置座標A(XA,YA)は、(X0+α,Y0-β-3P)となる。つまり、直行位置の切断テープ化部品200での複数の電気部品134のうちの末端送り穴140aからN番目に近いものの位置座標A(XA,YA)は、(X0+α,Y0-β-(N-1)×P)となる。
【0029】
次に、直行位置の切断テープ化部品200での電気部品の位置座標A(XA,YA)と、切断テープ化部品200の傾斜角度Rとに基づいて、実位置の切断テープ化部品200での電気部品の位置座標B(XB,YB)が演算される。詳しくは、図8に示すように、末端送り穴140aを中心に、直行位置の切断テープ化部品200を傾斜角度R、回転させることで、実位置の切断テープ化部品200となる。このため、実位置の切断テープ化部品200での電気部品の位置座標B(XB,YB)は、図9に示すように、末端送り穴140の位置座標(X0,Y0)を中心に、直行位置の切断テープ化部品200での電気部品の位置座標A(XA,YA)を傾斜角度R、回転させることで演算される。そこで、座標平面上における回転角の公式を用いることで、下記式に従って、実位置の切断テープ化部品200での電気部品の位置座標B(XB,YB)が演算される。
【数1】
このため、上記式を展開することで、実位置の切断テープ化部品200での電気部品の位置座標B(XB,YB)が、下記式により演算される。
XB=XAcosR-YAsinR
YB=XAsinR+YAcosR
【0030】
つまり、実位置の切断テープ化部品200での複数の電気部品のうちの末端送り穴140aからN番目に近いものの位置座標B(XB,YB)は、下記式に従って演算される。
【数2】
このため、上記式を展開することで、実位置の切断テープ化部品200での複数の電気部品のうちの末端送り穴140aからN番目に近いものの位置座標B(XB,YB)が、下記式により演算される。
XB=XAcosR-(YA-(N-1)×P)sinR
YB=XAsinR+(YA-(N-1)×P)cosR
【0031】
このように、実位置の切断テープ化部品200での複数の電気部品の各々の位置座標B(XB,YB)が演算されると、その位置座標B(XB,YB)と、吸着ノズル60の位置座標とが一致するように、X方向移動装置63および、Y方向移動装置64の作動が制御される。そして、Z方向移動装置65の作動により作業ヘッド56,58が下降することで、トレイ116に固着された切断テープ化部品200の収容凹部138から電気部品134が、吸着ノズル60により保持される。
【0032】
次に、吸着ノズル60により電気部品134が供給されると、作業ヘッド56,58が、パーツカメラ28の上方に移動し、吸着ノズル60に保持された電気部品134がパーツカメラ28により撮像される。この際、コントローラ170において、撮像データが分析され、吸着ノズル60による電気部品134の保持位置等に関する情報が演算される。そして、作業ヘッド56,58が、回路基材12の装着予定位置の上方に移動し、吸着ノズル60により保持されている電気部品134を、部品の保持位置の誤差等を補正した状態で、回路基材12に装着する。
【0033】
このように、部品実装機10では、テープフィーダ120にセットすることのできない切断テープ化部品200、つまりは、テープフィーダ120にセットして部品を供給することのできない切断テープ化部品200をトレイ116に固着することで、そのトレイ116に固着された切断テープ化部品200から電気部品134が供給され、電気部品134の装着作業が実行される。これにより、ストリップテープフィーダのような特殊な機器を用意することなく、トレイ116のような既存の設備を利用して、切断テープ化部品200に収容されている電気部品134の装着作業を行うことが可能となる。また、切断テープ化部品200、つまり、最短長さ寸法より短いテープ化部品130を無駄なく使用することが可能となる。なお、最短長さ寸法より短いテープ化部品130としては、例えば、テープ化部品130が使用されることにより最短長さ寸法より短くなったもの,小ロット用のテープ化部品130などが有る。
【0034】
また、切断テープ化部品200は、作業者によりトレイ116に固着されるため、固着された切断テープ化部品200での電気部品134の位置を一定させることは困難である。そこで、部品実装機10では、固着された切断テープ化部品200の傾斜角度Rが、その切断テープ化部品200の撮像データに基づいて演算され、その切断テープ化部品200の傾斜角度Rに基づいて、固着された切断テープ化部品200での電気部品134の位置座標が演算される。これにより、固着された切断テープ化部品200から適切に電気部品134を保持することが可能となる。
【0035】
なお、部品実装機10は、作業機の一例である。マークカメラ26は、撮像装置の一例である。制御装置36は、制御装置の一例である。作業ヘッド56,58は、作業ヘッドの一例である。吸着ノズル60は、保持具の一例である。作業ヘッド移動装置62は、移動装置の一例である。トレイ116は、載置面の一例である。テープフィーダ120は、テープフィーダの一例である。テープ化部品130は、テープ化電気部品の一例である。キャリアテープ132は、テープの一例である。電気部品134は、電気部品の一例である。トップカバーテープ136は、トップテープの一例である。収容凹部138は、収容部の一例である。剥離装置154は、剥離装置の一例である。
【0036】
また、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、トレイ116に切断テープ化部品200が固着されているが、作業ヘッド56,58の可動範囲内であれば、切断テープ化部品200の固着位置は限定されない。例えば、部品実装機10の内部の空きスペースであったり、装置の上面等の作業ヘッドがテープ化部品の電気部品の保持が可能な位置に、切断テープ化部品200が固着されてもよい。
【0037】
また、上記実施例では、切断テープ化部品200が両面テープによりトレイ116に固着されているが、種々の手法により切断テープ化部品200は固着されてもよい。例えば、トレイ116と切断テープ化部品200との少なくとも一方に粘着剤を塗布し、粘着剤により切断テープ化部品200が固着されてもよい。また、クリップ,錘,係止機構などにより、切断テープ化部品200が固定されることで、トレイ116に対して固着されてもよい。なお、切断テープ化部品200は、トレイ116に密着した状態で固定されることが好ましい。
【0038】
また、上記実施例では、トップカバーテープ136が取り除かれた状態で切断テープ化部品200がトレイ116に固着されているが、収容凹部138が開放していれば、トップカバーテープ136は切断テープ化部品200から取り除かれる必要はない。つまり、収容凹部138が開放されるように、トップカバーテープ136が切断テープ化部品200から剥がされればよい。また、切断テープ化部品200からトップカバーテープ136を剥がすことが可能な装置がトレイ116に配設されていれば、トップカバーテープ136が剥がされていない状態で切断テープ化部品200が固着されてもよい。このような場合には、その装置により、固着された切断テープ化部品200からトップカバーテープ136が剥がされる。
【0039】
また、上記実施例では、最短長さ寸法が、テープ化部品130のキャリアテープ132からトップカバーテープ136が剥がされる箇所と、剥離装置154との間の距離Lに相当する長さ寸法とされているが、その距離Lは厳密な値でない。つまり、最短長さ寸法は、剥がされたトップカバーテープ136の弛み,剥離装置154の内部の機構などを考慮した距離であり、テープフィーダ120にセットされたテープ化部品130において、そのテープ化部品130から剥離したトップカバーテープ136を剥離装置154により引っ張ることができないテープ化部品130の長さ寸法である。
【0040】
また、上記実施例では、切断テープ化部品200、つまり、最短長さ寸法より短いテープ化部品130が、トレイ116に固着されることで、その切断テープ化部品200から電気部品134が供給されるが、最短長さ寸法以上のテープ化部品130が、トレイ116に固着されることで、その切断テープ化部品200から電気部品134が供給されてもよい。これにより、例えば、テープ化部品130の幅が非常に大きい場合等において、その大きな幅のテープ化部品130をセット可能なテープフィーダが無い場合であっても、本発明を適用することで、その大きな幅のテープ化部品130から電気部品134を供給することができる。
【0041】
また、上記実施例では、切断テープ化部品200の傾斜角度Rは、実位置の切断テープ化部品200の直行位置の切断テープ化部品200に対する傾斜角度、つまり、Y方向に対する傾斜角度とされているが、基準となる方向は、任意に設定することが可能である。例えば、X方向,トレイ116の任意の縁の延びる方向に対する実位置の切断テープ化部品200の傾斜角度を、切断テープ化部品200の傾斜角度Rとすることが可能である。
【0042】
また、上記実施例では、切断テープ化部品200の傾斜角度Rが、送り穴140の位置座標に基づいて演算されているが、切断テープ化部品200を構成する部分、例えば、収容凹部138,収容凹部138に収容されている電気部品134,キャリアテープ132の長手方向に延びる縁部などに基づいて、切断テープ化部品200の傾斜角度Rが演算されてもよい。
【0043】
また、上記実施例では、撮像データに基づいて、切断テープ化部品200の末端送り穴140aの位置座標が演算され、その末端送り穴140aの位置座標,コントローラ170に記憶されている幅方向距離α等,切断テープ化部品200の傾斜角度Rを利用して、実位置の切断テープ化部品200での電気部品134の位置座標が演算されている。つまり、撮像データに基づいて、実位置の切断テープ化部品200での電気部品134の位置座標が間接的に演算されているが、撮像データに基づいて、実位置の切断テープ化部品200での電気部品134の位置座標が直接的に演算されてもよい。つまり、撮像データに基づいて、電気部品134が認識され、その認識された電気部品134の位置に基づいて、電気部品134の位置座標が演算されてもよい。また、撮像データに基づいて、収容凹部138が認識され、その認識された収容凹部138の位置に基づいて、電気部品134の位置座標が演算されてもよい。
【0044】
また、上記実施例では、部品実装機10において、トレイ116に固着された切断テープ化部品200から電気部品134が吸着ノズル60により保持され、その保持された電気部品134の回路基材12への装着作業が実行されているが、装着作業が実行されず、吸着ノズル60により保持された電気部品134の供給作業が実行されてもよい。つまり、例えば、部品実装機10がロボットハンド等を備え、吸着ノズル60により保持された電気部品134が、ロボットハンドに供給されてもよい。これにより、作業ヘッド56,58が供給装置として機能する。
【0045】
また、上記実施例では、載置面として機能するトレイに切断テープ化部品200が固着されているが、電気部品を収容する収容器が載置面に固着されてもよい。収容器としては、例えば、樹脂製,金属製の板状の部材に複数の凹部等の収容部が形成され、その収容部に電気部品が収容されるものが挙げられる。具体的には、例えば、複数の凹部が形成されたトレイ等が挙げられる。このようなトレイが収容器として採用される場合において、トレイの傾斜角度が演算され、その傾斜角度を利用して、トレイに収容されている電気部品の保持作業が実行される。この際、トレイの縁部,凹部,トレイに記されたマーク等に基づいて、トレイの傾斜角度が演算される。
【0046】
また、上記実施例において、描画された基準ライン190は、作業ヘッドおよび、作業ヘッドとともに移動するマークカメラのXY方向における位置座標の基準となるものであり、載置面の座標基準となるものである。たとえば、基板に電気部品を実装する際に、撮像される基板に印刷されたフィデューシャルマークと同じ効果を奏するものであれば、形象として、ラインである必要はない。例えば、ひとつ、あるいは複数のマークを用いることで、その代用としてもよい。
【符号の説明】
【0047】
10:部品実装機(作業機) 26:マークカメラ(撮像装置) 36:制御装置 56:作業ヘッド 58:作業ヘッド 60:吸着ノズル(保持具) 62:作業ヘッド移動装置(移動装置) 116:トレイ(載置面) 120:テープフィーダ 130:テープ化部品(テープ化電気部品) 132:キャリアテープ(テープ) 134:電気部品 136:トップカバーテープ(トップテープ) 138:収容凹部(収容部) 154:剥離装置
図1
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