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特許7253576短い工程で金属複合板を製造する生産装置及び方法
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  • 特許-短い工程で金属複合板を製造する生産装置及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-29
(45)【発行日】2023-04-06
(54)【発明の名称】短い工程で金属複合板を製造する生産装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 11/00 20060101AFI20230330BHJP
   B21B 1/00 20060101ALI20230330BHJP
   B21B 1/22 20060101ALI20230330BHJP
   B21B 1/46 20060101ALI20230330BHJP
   B22D 11/06 20060101ALI20230330BHJP
   B22D 11/12 20060101ALI20230330BHJP
   B22D 11/124 20060101ALI20230330BHJP
   B22D 19/16 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
B22D11/00 N
B21B1/00 B
B21B1/22 B
B21B1/46 A
B22D11/06 330B
B22D11/12 A
B22D11/124 J
B22D19/16 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020570856
(86)(22)【出願日】2019-06-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 CN2019092529
(87)【国際公開番号】W WO2020001396
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2020-12-18
(31)【優先権主張番号】201810702405.8
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512171021
【氏名又は名称】宝山鋼鉄股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BAOSHAN IRON & STEEL CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.885,Fujin Road,Baoshan District Shanghai,201900,P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100218604
【弁理士】
【氏名又は名称】池本 理絵
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ヂァン,チィンファン
(72)【発明者】
【氏名】ヂィアォ,スゥハァィ
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102039309(CN,A)
【文献】実開昭62-159953(JP,U)
【文献】特開昭61-049749(JP,A)
【文献】特開2017-030037(JP,A)
【文献】特開平08-291337(JP,A)
【文献】特開平09-108701(JP,A)
【文献】特開昭63-112045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/00-11/22,19/00-19/16,
B21B 1/00,1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンコイラ(1)、ピンチローラ(2)、ショットブラストマシン(3)、溶接設備(4)、溶接ピンチローラ(5)及び誘導加熱装置(6)からなる母材供給設備を備える短い工程で金属複合板を製造する生産装置において、
フローディストリビューター(7)、2つの鋳造冷却ロール(8)、二次冷却均しローラ(9)、圧延機ピンチローラ(10)、圧延機(11)、オンライン冷却装置(12)、及び矯正機(13)を備え、かつ、定尺切断機(14)及び巻き取り機(15)のうちの少なくとも1つをさらに備え、
前記母材供給設備が2つであり、前記2つの鋳造冷却ロール(8)の両側に設置され、
前記フローディストリビューター(7)は、前記鋳造冷却ロール(8)の上方に設置され、前記2つの鋳造冷却ロール(8)の間に溶鋼を流し込んで金属融液槽(B)を形成するためのものであり、
前記2つの前記鋳造冷却ロール(8)は、2つの前記母材供給設備から搬送された母材ストリップ(A)をそれぞれ受けることで、各々の前記母材ストリップ(A)が対応する鋳造冷却ロール(8)に沿って前記金属溶液槽(B)に浸された後に複合スラブ(C)に圧延されるようにするためのものであり、
前記二次冷却均しローラ(9)は、前記2つの鋳造ロール(8)から搬送された前記複合スラブ(C)を均すためのものであり、
前記圧延機ピンチローラ(10)は、均された後の前記複合スラブ(C)を搬送するためのものであり、
前記圧延機(11)は、前記圧延機ピンチローラ(10)から搬送された複合スラブ(C)を圧延することで複合ストリップ(D)を形成するためのものであり、
前記オンライン冷却装置(12)は、前記圧延機(11)から搬送された前記複合ストリップ(D)を冷却するためのものであり、
前記矯正機(13)は、冷却後の前記複合ストリップ(D)を矯正するためのものであり、
前記定尺切断機(14)は、矯正後の前記複合ストリップ(D)を定尺切断するためのものであり、
前記巻き取り機(15)は、矯正後の前記複合ストリップ(D)を巻き取るためのものである、
ことを特徴とする短い工程で金属複合板を製造する生産装置。
【請求項2】
請求項1に記載の短い工程で金属複合板を製造する生産装置を用いて短い工程で金属複合板を製造する生産方法において、
1)厚みが2~25mmの母材ストリップ(A)はアンコイラ(1)によって巻き出されピンチローラ(2)を介しショットブラストマシン(3)に送られて表面クリーニングが行われ、厚みが26~100mmの母材ストリップは直接ピンチローラ(2)を介してショットブラストマシン(3)に送られて表面クリーニングが行われ、ブラスト加工された後の母材ストリップは溶接設備(4)に入って先行コイルの母材ストリップの終端と後行コイルの母材ストリップの先端を溶接する又は直接次工程に入るステップと、
2)溶接後の母材ストリップ(A)は、溶接ピンチローラ(5)を介して誘導加熱装置(6)に送り込まれて加熱され、誘導加熱装置内に窒素ガス又はアルゴンガスを通過させて保護を行い、加熱温度が100~1200℃であり、加熱速度が1~50℃/sであるステップと、
3)フローディストリビューター(7)に収容してある基層金属融液を2つの鋳造冷却ロール(8)の間に注入し、金属溶液槽(B)を形成し、金属溶液槽の表面にアルゴンガスを吹き付けて金属融液の酸化を減らし、金属融液の温度が母材ストリップの融点より30~165℃高く、ステップ2)で加熱された後の母材ストリップ(A)が0.1~30m/minの速度で鋳造冷却ロールに沿って鋳造冷却ロールの間の金属溶液槽に入ることで、基層と母材ストリップとを溶融複合させ、複合スラブ(C)を形成するステップと、
4)複合スラブ(C)が鋳造冷却ロールから出た後、二次冷却均しローラ(9)に入り、再度冷却を行って前記複合スラブ(C)の表面を押し均して変形させ、二次冷却均しローラ内部に冷却水を通過させる又は複合スラブ(C)の四面に噴水することで冷却させるステップと、
5)さらに、冷却と均しを行った後の複合スラブが圧延機ピンチローラ(10)に送り込まれ、圧延機(11)に入って0.5~100mmの異なる厚み規格の複合ストリップ(D)に圧延するステップと、
を含むことを特徴とする短い工程で金属複合板を製造する生産方法。
【請求項3】
ステップ5)の後に、
6)圧延後の複合ストリップ(D)がオンライン冷却装置(12)によってオンライン冷却され、オンライン冷却速度が1~60℃/sであり、冷却終了温度が50~600℃であるステップと、
7)オンライン冷却後の複合ストリップ(D)が矯正機(13)に入って矯正され、矯正後、定尺切断機(14)によって定尺切断され、又は巻き取り機(15)に巻き取られるステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の短い工程で金属複合板を製造する生産方法。
【請求項4】
前記母材ストリップは、炭素鋼、ステンレス鋼、特殊合金、チタン及び銅のうちの1種であり、前記基層金属は、炭素鋼、ステンレス鋼、特殊合金、チタン及び銅のうちの1種であることを特徴とする請求項2に記載の短い工程で金属複合板を製造する生産方法。
【請求項5】
1本の母材ストリップが1つの前記鋳造冷却ロールの表面から前記金属溶液槽に入ることで片面の複合スラブを形成することを特徴とする請求項2に記載の短い工程で金属複合板を製造する生産方法。
【請求項6】
2本の母材ストリップがそれぞれ2つの前記鋳造冷却ロールの表面から前記金属溶液槽に入ることで両面の複合スラブを形成することを特徴とする請求項2に記載の短い工程で金属複合板を製造する生産方法。
【請求項7】
金属融液の温度が母材ストリップの融点より100~165℃高いことを特徴とする請求項2に記載の短い工程で金属複合板を製造する生産方法。
【請求項8】
ステップ2)で加熱された後の母材ストリップ(A)が0.1~10m/minの速度で鋳造冷却ロールの間の金属溶液槽に入ることを特徴とする請求項2に記載の短い工程で金属複合板を製造する生産方法。
【請求項9】
ステップ2)では、加熱温度が複合スラブ中の基層と母材ストリップの厚み比によって決定されることを特徴とする請求項2に記載の短い工程で金属複合板を製造する生産方法。
【請求項10】
前記加熱温度と前記厚み比が、以下の1種又は数種の条件を満たす、
前記厚み比は5以下、前記加熱温度は850~1200℃の条件、
前記厚み比は5~10、前記加熱温度は600~850℃の条件、
前記厚み比は10~20、前記加熱温度は300~600℃の条件、
前記厚み比は20以上、前記加熱温度は300℃未満の条件、
ことを特徴とする請求項9に記載の短い工程で金属複合板を製造する生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼鉄冶金生産分野に関し、特に、短い工程で金属複合板を製造する生産装置及び方法に関し、異なる材料で組み合わせた金属複合板製品を生産することができるようにする技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現代の科学技術及び国民経済の発展につれて、ユーザは材料の性能に対してますます厳しい要求をする。単一の金属材料は実際の使用過程における多方面に亘る性能要求を満たすことが困難であり、機能性と構造性を兼ね備える金属複合材料が機運に乗じて生まれている。金属複合材料は、ユーザの個性化するニーズを満たすうえで重要な役割を果たしており、ますます多くのユーザに注目され使用されるようになっている。比較的よくある複合ストリップを製造する方法及び設備は以下のような種類がある。
1.爆発複合:2つの異なる金属材料の接触面を清浄化し、界面に爆薬を入れて、爆発による瞬間高温によりそれを溶接させる。爆発複合は、その結合が不十分であり、複合強度が比較的低く、枚葉式、小ロット生産に適合する。
2.圧延複合:ステンレス鋼と炭素鋼の複合表面を清浄化し、両者を揃えて積み重ねた後、四周を真空引きして溶接し、それから、加熱・圧延を経て複合を完成させる製造方法である。圧延複合は、その結合が十分であり、複合強度が高いが、生産性が低く、枚葉式、小ロット生産に適合する。
3.遠心鋳造複合:炭素鋼の溶鋼とステンレス鋼の溶鋼を順に遠心機に入れ、炭素鋼の溶鋼とステンレス鋼の溶鋼により前後に環状複合管等を凝固して、その後、矯正、加熱、圧延等の工程を行う。
【0003】
現在、比較的理想的な複合工程は圧延複合法であり、該方法で生産した複合板界面が完全な冶金結合を実現し、結合の強度が高く、製品の性能に優れているが、スラブ組立効率が低く、そのスラブ組立プロセスは複数の工程を含み、連続化、自動化及び大規模生産を実現し難く、コストが比較的高い。近年、複合板連続鋳造圧延、薄帯連続鋳造等の複合板の連続生産工程及び方法が幾つか現れており、例えば、特許文献1(CN1714957A)には、異なる金属材料の複合板、帯の生産方法及び設備が開示されており、同一台の連続鋳造機において、2~3台の炭素鋼又はステンレス鋼の溶鋼鋳型を用いて同時に作動することで、異なる金属材料の片面、両面複合板、帯の連続鋳造と連続圧延を実現し、その鋳型は上下左右に同期して循環移動する4本の鋼帯からなり、従来の鋳型の形式を変えた。その複層と基層の金属のいずれも鋳型中の液状金属が凝固してなる。
【0004】
特許文献2(CN101780532A)には、液相複合スラブ連続鋳造方法が開示されており、基層金属液、複層金属液をそれぞれ鋳造ロールとサイドシール板で形成されたロール鋳型の溶融池に注入することで、溶融池が中間仕切板で基層溶融池と複層溶融池に分割され、鋳型に形成された複合スラブは矯正や定尺を経た後に形成される。その欠点は複層、基層がともに溶鋼で同時に凝固してなり、その結合面を制御し難くいことであり、2種類の溶鋼の混合が発生しないようにするだけでなく、2種類の材料が適宜な温度で結合することも保証しなければならない。
【0005】
特許文献3(CN104249135A)には、複合ストリップの双ロール式薄帯製造方法が開示されており、双ロール式薄帯連続鋳造の溶融池に中間ストリップを送り込むことで、金属液が鋳造冷却ロールと中間ストリップの冷却作用で速く凝固され、片面又は両面の複合ストリップを形成する。同様に、特許文献4(CN103495618A)には、金属複合板の鋳造圧延複合生産装置及び方法が開示されており、複合される母材を薄帯連続鋳造機の溶融池に送り込むことで、溶融池内の複合しようとする金属液体が母材表面に凝固され、鋳型から出た後二次冷却、均し、圧延を経て、複合ストリップを得る。この2つの方法のいずれも薄帯連続鋳造技術を基礎としており、製造される製品は主に薄い規格のストリップであり、凝固してなる複層の厚みは制限され、厚い規格の複層がある複合ストリップの製造に適さない。
【0006】
特許文献5(CN105215307A)には、2層複合板の生産工程及び設備が開示されており、2つのタンディッシュ、2つの鋳型により異なる材料が前後凝固して複合板を製造する方法を実現する。第一鋳型で凝固された鋳造スラブが第二鋳型に入り、第二種の材料をその表面に付着させて凝固させ、二次冷却、圧延等の工程を経て片面複合板が生産される。
【0007】
特許文献6(CN1141962A)には、逆凝固複合ストリップの連続生産方法が開示されており、母帯は巻出し、脱スケール、鈍化を経た後、200~1000℃で予熱し、晶析槽内の溶融金属に入って、連続して熱複合化をする。
【0008】
上記特許のいずれも複合板の生産性を高め、連続生産を実現するために開発された新しい技術であり、それぞれにはある不足も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】中国特許出願公開第1714957号明細書
【文献】中国特許出願公開第101780532号明細書
【文献】中国特許出願公開第104249135号明細書
【文献】中国特許出願公開第103495618号明細書
【文献】中国特許出願公開第105215307号明細書
【文献】中国特許出願公開第1141962号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、複合板の生産性を高め、生産コストを低減することができる短い工程で金属複合板を製造する生産装置及び方法を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の短い工程で金属複合板を製造する生産装置及び方法において、その装置部分及び具体的なステップは下記の通りである。
【0012】
本発明は、アンコイラ、ピンチローラ、ショットブラストマシン、溶接設備、溶接ピンチローラ及び誘導加熱装置からなる母材供給設備を備える短い工程で金属複合板を製造する生産装置を提供する。この生産装置は、フローディストリビューター、2つの鋳造冷却ロール、二次冷却均しローラ、圧延機ピンチローラ、圧延機、オンライン冷却装置、及び矯正機を備え、かつ、定尺切断機及び巻き取り機のうちの少なくとも1つをさらに備える。母材供給設備が2つであり、2つの鋳造冷却ロールの両側に設置される。ディストリビューターは、鋳造冷却ロールの上方に設置され、2つの鋳造冷却ロールの間に溶鋼を流し込んで金属溶液槽を形成するためのものである。2つの鋳造冷却ロールは、2つの母材供給設備から搬送された母材ストリップをそれぞれ受けることで、各々の母材ストリップが対応する鋳造ロールに沿って金属溶液槽に浸された後に複合スラブに圧延されるようにするためのものである。二次冷却均しローラは、2つの鋳造冷却ロールから搬送された複合スラブを均すためのものである。圧延機ピンチローラは、均された後の複合スラブを搬送するためのものである。圧延機は、圧延機ピンチローラから搬送された複合スラブを圧延することで複合ストリップを形成するためのものである。オンライン冷却装置は、圧延機から搬送された複合ストリップを冷却するためのものである。矯正機は、冷却後の複合ストリップを矯正するためのものである。定尺切断機は、矯正後の複合ストリップを定尺切断するためのものである。巻き取り機は矯正後の複合ストリップを巻き取るためのものである。
【0013】
また、本発明は、上記の短い工程で金属複合板を製造する生産装置を用いて短い工程で金属複合板を製造する生産方法を提供する。この生産方法は、
1)厚みが2~25mmの母材ストリップはアンコイラによって巻き出されピンチローラを介しショットブラストマシンに送られて表面クリーニングが行われ、厚みが26~100mmの母材ストリップは直接ピンチローラを介してショットブラストマシンに送られて表面クリーニングが行われ、ブラスト加工された後の母材ストリップは溶接設備に入って先行コイルの母材ストリップの終端と後行コイルの母材ストリップの先端を溶接する又は直接次工程に入るステップと、
2)溶接後の母材ストリップは、溶接ピンチローラを介して誘導加熱装置に送り込まれて加熱され、誘導加熱装置内に窒素ガス又はアルゴンガスを通過させて保護を行い、加熱温度が100~1200℃であり、加熱速度が1~50℃/sであるステップと、
3)フローディストリビューターに収容してある基層金属融液を2つの鋳造冷却ロールの間に注入し、金属溶液槽を形成し、金属溶液槽の表面にアルゴンガスを吹き付けて金属融液の酸化を減らし、金属融液の温度が母材ストリップの融点より30~165℃高く、ステップ2)で加熱された後の母材ストリップが0.1~30m/minの速度で鋳造冷却ロールに沿って鋳造冷却ロールの間の金属融液槽に入ることで、基層と母材ストリップとを溶融複合させ、複合スラブを形成するステップと、
4)複合スラブが鋳造冷却ロールから出た後、二次冷却均しローラに入り、再度冷却を行って前記複合スラブの表面を押し均して変形させ、二次冷却均しローラ内部に冷却水を通過させる又は複合スラブ(C)の四面に噴水することで冷却させるステップと、
5)さらに、冷却と均しを行った後の複合スラブが圧延機ピンチローラに送り込まれ、圧延機に入って0.5~100mmの異なる厚み規格の複合ストリップに圧延されるステップと、を含む。
【0014】
好ましくは、ステップ5)の後に、
6)圧延後の複合ストリップ(D)がオンライン冷却装置(12)によってオンライン冷却され、オンライン冷却速度が1~60℃/sであり、冷却終了温度が50~600℃であるステップと、
7)オンライン冷却後の複合ストリップ(D)が矯正機(13)に入って矯正され、矯正後、定尺切断機(14)によって定尺切断され、又は巻き取り機(15)に巻き取られるステップと、をさらに含む。
【0015】
好ましくは、母材ストリップが炭素鋼、ステンレス鋼、特殊合金、チタン及び銅のうちの1種であり、基層金属が炭素鋼、ステンレス鋼、特殊合金、チタン及び銅のうちの1種である。
【0016】
好ましくは、1本の母材ストリップが1つの鋳造冷却ロールの表面から金属融液槽に入ることで片面の複合スラブを形成する。
【0017】
好ましくは、2本の母材ストリップがそれぞれ2つの鋳造冷却ロール表面から金属融液槽に入ることで、両面の複合スラブを形成する。
【0018】
好ましくは、金属融液の温度が母材ストリップの融点より100~165℃高い。
【0019】
好ましくは、ステップ2)で加熱された後の母材ストリップ(A)が0.1~10m/minの速度で鋳造冷却ロールの間の金属融液槽に入る。
【0020】
好ましくは、ステップ2)では、加熱温度が複合スラブの中の基層と母材ストリップの厚み比によって決定される。
【0021】
好ましくは、加熱温度と厚み比が以下の1種又は数種の条件を満たす。
前記厚み比は5以下、前記加熱温度は850~1200℃の条件、
前記厚み比は5~10、前記加熱温度は600~850℃の条件、
前記厚み比は10~20、前記加熱温度は300~600℃の条件、
前記厚み比は20以上、前記加熱温度が300℃未満の条件である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の短い工程で金属複合板を製造する生産装置及び方法を使用することにより次のような効果が得られる。
【0023】
1)本発明の短い工程で金属複合板を製造する生産装置及び方法によれば、単一材質の生産に用いる連続鋳造、圧延、熱処理手段と、複合ストリップの連続、大規模生産とを組み合わせて、複合板の生産性を大幅に高めることができる。
【0024】
2)本発明の短い工程で金属複合板を製造する生産装置及び方法によれば、異なる厚み規格の片面又は両面の複合板を生産可能であり、基層又は複層材料の選択可能な範囲が広く、炭素鋼、ステンレス鋼、特殊合金、チタン、銅等を含むことができる。
【0025】
3)本発明の短い工程で金属複合板を製造する生産装置及び方法によれば、複合板の連続鋳造連続圧延を実現し、エネルギー消費を節約し、コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の短い工程で金属複合板を製造する生産装置及び方法の装置部分の具体的な構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図及び実施例を参照して本発明の短い工程で金属複合板を製造する生産装置及び方法についてさらに説明する。
【0028】
図1に示すように、本発明に係る短い工程で金属複合板を製造する生産装置は、アンコイラ(1)、ピンチローラ(2)、ショットブラストマシン(3)、溶接設備(4)、溶接ピンチローラ(5)及び誘導加熱装置(6)からなる母材供給設備と、フローディストリビューター(7)と、2つの鋳造冷却ロール(8)と、二次冷却均しローラ(9)と、圧延機ピンチローラ(10)と、圧延機(11)と、オンライン冷却装置(12)と、矯正機(13)と、定尺切断機(14)及び巻き取り機(15)のうちの少なくとも1つと、を備える。
【0029】
母材供給設備が2つであり、2つの鋳造冷却ロール(8)の両側に設置される。フローディストリビューター(7)は、鋳造ロール(8)の上方に設置され、2つの鋳造冷却ロール(8)の間に溶鋼を流し込んで金属融液槽(B)を形成するためのものである。2つの鋳造冷却ロール(8)は、2つの母材供給設備から搬送された母材ストリップ(A)をそれぞれ受けることで、各々の母材ストリップ(A)が対応する鋳造冷却ロール(8)に沿って金属融液槽に浸された後に複合スラブ(C)に圧延されるようにするためのものである。二次冷却均しローラ(9)は、2つの鋳造冷却ロール(8)から搬送された複合スラブ(C)を均すためのものである。圧延機ピンチローラ(10)は、均された後の複合スラブ(C)を搬送するためのものである。圧延機(11)は、圧延機ピンチローラ(10)から搬送された複合スラブ(C)を圧延することで複合ストリップ(D)を形成するためのものである。オンライン冷却装置(12)は、圧延機(11)から搬送された複合ストリップ(D)を冷却するためのものである。矯正機(13)は、冷却後の複合ストリップ(D)を矯正するためのものである。巻き取り機(15)は、矯正後の複合ストリップ(D)を巻き取るためのものである。
【0030】
本発明は、短い工程で金属複合板を製造する方法をさらに提供する。その具体的なステップは次の通りである。
【0031】
1)厚みが2~25mmの母材ストリップ(A)はアンコイラ(1)によって巻き出されピンチローラ(2)を介しショットブラストマシン(3)に送られて表面クリーニングが行われ、厚みが26~100mmの母材ストリップは直接ピンチローラ(2)を介してショットブラストマシン(3)に送られて表面クリーニングが行われ、ブラスト加工された後の母材ストリップは溶接設備(4)に入って先行コイルの母材ストリップの終端と後行コイルの母材ストリップの先端を溶接することで、母材ストリップの連続供給または1枚の母材ストリップ(厚い規格)の供給を実現する。
【0032】
2)溶接後の母材ストリップ(A)は、溶接ピンチローラ(5)を介して誘導加熱装置(6)に送り込まれて加熱され、誘導加熱装置内に窒素ガス又はアルゴンガスを通過させて保護を行い、加熱温度が100~1200℃であり、厚みによってその加熱速度が1~50℃/sである。母材ストリップが炭素鋼、ステンレス鋼、特殊合金、チタン、銅等の金属であるため、加熱の目的は、母材ストリップと後続のステップ中の複層金属融液(溶湯)をより容易に結合させ、母材表面金属の融化を促すためである。
【0033】
加熱温度は、複合スラブの中の基層と母材ストリップの厚み比によって決定することができる。好ましくは、加熱温度と厚み比は、下記の1種又は数種の条件を満たす。前記厚み比は5以下、前記加熱温度は850~1200℃の条件;前記厚み比は5~10、前記加熱温度は600~850℃の条件;前記厚み比は10~20、前記加熱温度は300~600℃の条件;前記厚み比は20以上、前記加熱温度は300℃未満の条件である。
【0034】
3)フローディストリビューター(7)に収容してある基層金属融液を2つの鋳造冷却ロール(8)の間に注入し、金属融液槽(B)を形成し、金属融液槽の表面にアルゴンガスを吹き付けて金属融液の酸化を減らし、金属融液の温度が母材ストリップの融点より30~165℃高い。もし金属融液の温度が30℃未満又は165℃以上であれば、冶金結合に不利になる。好ましくは、金属融液の温度が母材ストリップの融点より100~165℃高い。基層金属は炭素鋼、ステンレス鋼、特殊合金、チタン、銅等であってもよい。ステップ2)で加熱された後の母材ストリップ(A)が0.1~30m/minの速度で鋳造冷却ロールに沿って鋳造冷却ロールの間の金属融液槽に入る。もし母材ストリップが30m/minより大きい速度で鋳造冷却ロールの間の金属融液槽に入ると、界面結合に不利になる。好ましくは、ステップ2)で加熱された後の母材ストリップ(A)が0.1~10m/minの速度で鋳造冷却ロールに沿って鋳造冷却ロールの間の金属融液槽に入る。
【0035】
高温の金属融液が相対的に低温の母材ストリップ表面に接触し、母材表面に軽微な溶融を生じさせ、同時に、基層としての金属融液が相対的に低温の母材ストリップの表面に凝固し、基層と母材ストリップの溶融複合を実現し、金属融液が相対的に低温の母材ストリップと鋳造冷却ロールの共同作用で次第に凝固し、複合スラブ(C)に圧延される。その中で、1本の母材ストリップが1つの鋳造冷却ロール表面から金属融液槽に入り、片面複合スラブを生産可能であり、2本の母材ストリップがそれぞれ2つの鋳造冷却ロール表面から金属融液槽に入り、両面複合スラブを生産可能である。
【0036】
4)複合スラブ(C)が鋳造冷却ロールから出た後、二次冷却均しローラ(9)に入り、複合スラブが二次冷却均しローラによって再度冷却されて表面を押し均して変形させ、二次冷却均しローラ内部に冷却水を通過させる又は複合スラブ(C)の四面に噴水冷却することで完全に凝固されていない複合スラブを当該ステップでさらに冷却させる。
【0037】
5)さらに、冷却と均しを行った後の複合スラブが圧延機ピンチローラ(10)に送り込まれ、圧延機(11)に入って0.5~100mmの異なる厚み規格の複合ストリップ(D)に圧延される。当該圧延過程において複合界面がさらに高温圧縮変形され、複合界面組織には回復と再結晶が発生し、高温での結晶粒の成長と元素の拡散により界面の二次複合が促進される。
【0038】
さらに、ステップ5)の後に以下のステップをさらに含んでもよい。
6)圧延後の複合ストリップ(D)が製品の性能要求に応じてオンライン冷却装置(12)を選んでオンライン冷却されることができ、製品の厚みによって、オンライン冷却速度が1~60℃/sであり、冷却終了温度が50~600℃である。当該冷却工程は主に異なる品種の複合板の性能要求を満たすためである。
【0039】
7)オンライン冷却後の複合ストリップ(D)が矯正機(13)に入って矯正され、矯正後、実際のニーズに応じて定尺切断機(14)で定尺切断され、又は巻き取り機(15)に巻き取られる。
【0040】
複合の効果を高めるために、本発明は、母材ストリップの厚みに応じて、母材の予熱温度、金属融液温度及び加熱後母材ストリップの運転速度の3つの手段のうちの1つ又はいくつかを調節することで協力して複合を実現可能である。したがって、本発明は、多種の厚み規格の母材ストリップにより片面又は両面複合板を生産することに適している。母材ストリップの厚み範囲が2~100mmであってもよく、複合板の厚み範囲が0.5~100mmであってもよい。好ましくは、母材ストリップの厚み範囲が2~50mmであってもよく、複合板の厚み範囲が3~12mmであってもよい。
【0041】
以下、さらに実施例を通じて本発明について詳しく説明するが、当該実施例の記載に基づいて本発明を限定的に理解すべきものではない。
【0042】
実施例1-両面複合板
1)複層材料に用いる2mm厚みの316Lは両側の母材供給設備によりそれぞれ提供される。即ち、2本の母材ストリップ(A)はそれぞれアンコイラ(1)によって巻き出された後、ピンチローラ(2)を介してショットブラストマシン(3)に送られて表面クリーニングが行われる。ブラスト加工された後の鋼板は溶接設備(4)に入って先行コイルの鋼板終端と後行コイルの鋼板先端との溶接を完了することで、複層316Lの連続供給を実現する。
【0043】
2)溶接後の複層316L鋼板が溶接ピンチローラ(5)を介して誘導加熱装置(6)に送り込まれて加熱され、基層金属と母材ストリップの厚み比が2.5であり、加熱温度が850℃であり、誘導加熱装置内に窒素ガスを通過させて保護を行い、加熱速度が10℃/sである。
【0044】
3)加熱後の複層316L鋼板(融点は1445℃)を3m/minで鋳造冷却ロール(8)の表面に沿って金属融液槽(B)から通り抜け、フローディストリビューター(7)中のQ235B溶鋼が2つの鋳造冷却ロール(8)の間の金属融液槽(B)内に注ぎ込まれ、流し込む温度が1610℃であり、溶融池の表面にアルゴンガスを吹きつけて溶鋼の酸化を減らし、Q235B溶鋼が316Lの表面に接触して凝固し、複層316L鋼板表面が軽微に溶融し、複層と基層の初歩的な溶融複合を実現し、基層Q235Bと複層316L鋼板の複合スラブ(C)を形成する。当該複合スラブ(C)は両面複合スラブであり、厚みが2+10+2mmである。
【0045】
4)複合スラブ(C)が鋳造冷却ロール(8)から出た後、二次冷却均しローラ(9)に入り、二次冷却均しローラ(9)内部に冷却水を通過させて冷却させ、完全に凝固されていない複合スラブ(C)が二次冷却均しローラ(9)の表面に接触して降温され、さらに凝固され、同時に、二次冷却均しローラ(9)が微小の表面押下量を与えることで、複合スラブ(C)表面の品質を改善させる。
【0046】
5)圧延機ピンチローラ(10)は複合スラブ(C)を圧延機(11)に送り込み、圧延開始温度が1120℃であり、3.5mm厚み(0.5+2.5+0.5mm)の複合ストリップ(D)に圧延し、複合ストリップ(D)が両面複合ストリップであり、圧延終了温度が1000℃である。圧延後の複合ストリップ(D)がオンライン冷却装置(12)によってオンライン冷却され、冷却開始温度が950℃であり、冷却終了温度が400℃であり、冷却速度が45℃/sである。
【0047】
6)冷却後の複合ストリップ(D)が矯正機(13)に入り矯正され、矯正後の複合ストリップが巻き取り機(15)に巻き取られる。
【0048】
実施例2-片面複合板
1)複層材料に用いる3mm厚の304Lは片側の母材供給設備により提供される。即ち母材ストリップ(A)はそれぞれアンコイラ(1)によって巻き出された後、ピンチローラ(2)を介してショットブラストマシン(3)に送られて表面クリーニングが行われる。ブラスト加工された後の鋼板は溶接設備(4)に入って先行コイルの鋼板終端と後行コイルの鋼板先端との溶接を完了することで、複層304Lの連続供給を実現する。
【0049】
2)溶接後の複層304L鋼板は溶接ピンチローラ(5)を介して誘導加熱装置(6)に送り込まれて加熱され、基層金属と母材ストリップの厚み比が2であり、加熱温度が850℃であり、誘導加熱装置内に窒素ガスを通過させて保護を行い、加熱速度が10℃/sである。
【0050】
3)加熱後の複層304L鋼板(融点は1455℃)を2m/minで鋳造冷却ロール(8)の表面に沿って金属融液槽(B)から通り抜け、フローディストリビューター(7)中のQ345B溶鋼が2つの鋳造冷却ロール(8)の間の金属融液槽(B)内に注ぎ込まれ、流し込む温度が1610℃であり、溶融池の表面にアルゴンガスを吹きつけて溶鋼の酸化を減らし、Q345B溶鋼が304Lの表面に接触して凝固し、複層304L鋼板表面が軽微に溶融し、複層と基層の初歩的な溶融複合を実現し、基層Q345Bと複層304L鋼板の複合スラブ(C)を形成する。当該複合スラブ(C)が片面複合スラブであり、厚みが3+6mmである。
【0051】
4)複合スラブ(C)が鋳造冷却ロール(8)から出た後、二次冷却均しローラ(9)に入り、二次冷却均しローラ(9)の内部に冷却水を通過させて冷却させ、複合スラブ(C)が二次冷却均しローラ(9)表面に接触してさらに降温され、同時に、二次冷却均しローラ(9)が微小の表面押下量を与えることで、複合スラブ(C)表面の品質を改善させる。
【0052】
5)圧延機ピンチローラ(10)は複合スラブ(C)を圧延機(11)に送り込み、圧延開始温度が1160℃であり、3mm厚み(1+2mm)の複合ストリップ(D)に圧延し、複合ストリップ(D)が片面複合ストリップであり、圧延終了温度が980℃である。圧延後の複合ストリップ(D)はオンライン冷却装置(12)によってオンライン冷却され、冷却開始温度が950℃であり、冷却終了温度が420℃であり、冷却速度45℃/sである。
【0053】
6)冷却後の複合ストリップ(D)が矯正機(13)に入り矯正され、矯正後の複合ストリップが巻き取り機(15)に巻き取られる。
【0054】
実施例3-片面複合パイプライン鋼板
1)複層材料に用いる50mm厚みの304Lは片側の母材供給設備により提供され、即ち母材厚板(A)はピンチローラ(2)を介してショットブラストマシン(3)に送られて表面クリーニングが行われてブラスト加工される。
【0055】
2)母材厚板は誘導加熱装置(6)に送り込まれて加熱され、基層金属と母材ストリップの厚み比が0.2であり、加熱温度が1100℃であり、誘導加熱装置内に窒素ガスを通過させて保護を行い、加熱速度が5℃/sである。
【0056】
3)加熱後の複層304L鋼板を1m/minで鋳造冷却ロール(8)表面に沿って金属融液槽(B)から通り抜け、フローディストリビューター(7)中のX70パイプライン鋼の溶鋼が2つの鋳造冷却ロール(8)の間の金属融液槽(B)内に注ぎ込まれ、厚みが10mmであり、流し込む温度が1550℃であり、溶融池の表面にアルゴンガスを吹きつけて溶鋼の酸化を減らし、X70溶鋼が600℃の304Lの表面に接触して凝固し、複層304L鋼板表面が軽微に溶融し、複層と基層の初歩的な溶融複合を実現し、基層X70と複層304L鋼板の複合スラブ(C)を形成する。当該複合スラブ(C)が片面複合スラブであり、厚みが10+50mmである。
【0057】
4)複合スラブ(C)が鋳造冷却ロール(8)から出た後、二次冷却均しローラ(9)に入り、二次冷却均しローラ(9)内部に冷却水を通過させて冷却させ、複合スラブ(C)が二次冷却均しローラ(9)表面に接触してさらに降温され、同時に、二次冷却均しローラ(9)が微小の表面押下量を与えたことで、複合スラブ(C)表面の品質を改善させる。
【0058】
5)圧延機ピンチローラ(10)は複合スラブ(C)を圧延機(11)に送り込み、圧延開始温度が1160℃であり、12mm厚み(2+10mm)の複合板(D)に圧延し、複合板(D)が片面複合パイプライン板であり、圧延終了温度が980℃である。圧延後の複合板(D)はオンライン冷却装置(12)によってオンライン冷却され、冷却開始温度が780℃であり、冷却終了温度が500℃であり、冷却速度25℃/sである。
【0059】
6)冷却後の複合板(D)が矯正機(13)に入り矯正され、矯正後の複合板が冷却床に送られてラインオフする。
【0060】
実施例4-両面複合板
1)複層材料に用いる2mm厚みの316Lは両側の母材供給設備によりそれぞれ提供され、基層金属と母材ストリップの厚み比が7であり、加熱温度が730℃であり、誘導加熱装置内に窒素ガスを通過させて保護を行い、加熱速度が20℃/sである。
【0061】
2)加熱後の複層316L鋼板(融点は1445℃)を1m/minで鋳造冷却ロール(8)表面に沿って金属融液槽(B)から通り抜け、フローディストリビューター(7)中のSCM435溶鋼が2つの鋳造冷却ロール(8)の間の金属融液槽(B)内に注ぎ込まれ、流し込む温度が1540℃である。厚みが2+28+2mmの基層SCM435と複層316L鋼板の複合スラブ(C)を形成する。
【0062】
3)複合スラブ(C)が鋳造冷却ロール(8)から出た後、二次冷却均しローラ(9)又は水冷区間に入り、完全に凝固されていない複合スラブ(C)がさらに凝固された後、1200℃で圧延機(11)に入り、10mm厚み(0.625+8.75+0.625mm)の複合ストリップ(D)に圧延される。
【0063】
本発明の短い工程で金属複合板を製造する生産装置及び方法によれば、単一材質の生産に用いる連続鋳造、圧延、熱処理手段と複合ストリップの連続、大規模生産とを組み合わせて、複合板の生産性を大幅に高めることができる。本発明によれば、異なる厚み規格の片面又は両面の複合板を生産可能であり、基層又は複層材料の選択可能な範囲が広く、炭素鋼、ステンレス鋼、特殊合金、チタン、銅等を含むことができる。本発明によれば、複合板の連続鋳造連続圧延を実現し、エネルギー消費を節約し、コストを低減することができる。
【符号の説明】
【0064】
1…アンコイラ、2…ピンチローラ、3…ショットブラストマシン、4…溶接設備、5…溶接ピンチローラ、6…誘導加熱装置、7…フローディストリビューター、8…鋳造冷却ロール、9…二次冷却均しローラ、10…圧延機ピンチローラ、11…圧延機、12…オンライン冷却装置、13…矯正機、14…定尺切断機、15…巻き取り機、A…母材ストリップ、B…金属融液槽、C…複合スラブ、D…複合ストリップ
図1