IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マック ライズ ゲーエムベーハー ウント コー カーゲーの特許一覧

特許7253629アミューズメント乗り物、およびアミューズメント乗り物の動作方法
<>
  • 特許-アミューズメント乗り物、およびアミューズメント乗り物の動作方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-29
(45)【発行日】2023-04-06
(54)【発明の名称】アミューズメント乗り物、およびアミューズメント乗り物の動作方法
(51)【国際特許分類】
   A63G 21/04 20060101AFI20230330BHJP
   A63G 7/00 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
A63G21/04
A63G7/00
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021546739
(86)(22)【出願日】2020-01-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-01
(86)【国際出願番号】 EP2020051106
(87)【国際公開番号】W WO2020164854
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-09-28
(31)【優先権主張番号】102019103301.2
(32)【優先日】2019-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】201910109888.5
(32)【優先日】2019-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516098579
【氏名又は名称】マック ライズ ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Mack Rides GmbH & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フリートベルガー アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】フライク ルドルフ
(72)【発明者】
【氏名】エンデルレ ヤン・フィリップ
【審査官】前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-036273(JP,A)
【文献】特表2018-512189(JP,A)
【文献】特表2011-529721(JP,A)
【文献】特開平07-204359(JP,A)
【文献】特開2002-126359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63G 1/00-33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の軌道(10)に沿って移動可能な少なくとも1つの車両(2)を有するアミューズメント乗り物(1)であって、
前記少なくとも1つの車両(2)は、少なくとも1つのセンサ(30)を有し、
前記少なくとも1つのセンサ(30)が、前記少なくとも1つの車両(2)から電気的に独立しており、
前記少なくとも1つのセンサ(30)が、RFIDトランスポンダ(35)を有し、
前記所定の軌道(10)に沿って少なくとも1つのRFID受信機(20)が配置され、前記少なくとも1つのRFID受信機(20)は、前記RFIDトランスポンダ(35)と通信し、前記少なくとも1つのセンサ(30)から少なくとも1つの測定値を読み出すように構成されている
アミューズメント乗り物(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのセンサ(30)が、デジタルセンサ又はアナログセンサであることを特徴とする請求項1に記載のアミューズメント乗り物(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのセンサ(30)が、機械的な2次システムを監視するためのものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアミューズメント乗り物(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのセンサ(30)が乗客を検出することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のアミューズメント乗り物(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのセンサ(30)が、前記少なくとも1つの車両(2)の座席(5)に乗っている乗客の体重を検出することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載のアミューズメント乗り物(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのセンサ(30)が、前記少なくとも1つの車両(2)の少なくとも1つの車輪(4)の車輪摩耗を検出することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載のアミューズメント乗り物(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのセンサ(30)が、前記少なくとも1つの車両(2)の少なくとも1つの軸受の軸受温度を検出することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載のアミューズメント乗り物(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのセンサ(30)がトラッキングセンサであり、前記少なくとも1つのRFID受信機(20)が、前記少なくとも1つの車両(2)の少なくとも1つの部品の位置を特定又は追跡することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載のアミューズメント乗り物(1)。
【請求項9】
前記RFIDトランスポンダ(35)がパッシブ、セミパッシブ又はセミアクティブRFIDトランスポンダ(35)であることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載のアミューズメント乗り物(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つのセンサ(30)及び/又は前記RFIDトランスポンダ(35)が、データメモリ(32)を有することを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか一項に記載のアミューズメント乗り物(1)。
【請求項11】
前記少なくとも1つのセンサ(30)が蓄電器(34)を有することを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか一項に記載のアミューズメント乗り物(1)。
【請求項12】
前記アミューズメント乗り物(1)が、円形の閉じた軌道(10)を有する周回移動のアミューズメント乗り物、又は、前記少なくとも1つの車両が前記軌道(10)上を交互に往復する振り子移動のアミューズメント乗り物であることを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか一項に記載のアミューズメント乗り物(1)。
【請求項13】
前記アミューズメント乗り物(1)が、円形の閉じた軌道(10)を有する周回移動のアミューズメント乗り物、又は、前記少なくとも1つの車両が前記軌道(10)上を交互に往復する振り子移動のアミューズメント乗り物であることを特徴とする請求項11に記載のアミューズメント乗り物(1)。
【請求項14】
請求項13に記載のアミューズメント乗り物(1)の動作の方法であって、
前記少なくとも1つの車両(2)が前記少なくとも1つのRFID受信機(20)を通過する際に、前記少なくとも1つのRFID受信機(20)によって少なくとも1つの質問信号を送信するステップと、
前記少なくとも1つのセンサ(30)によって少なくとも1つの測定値を検出するステップと、
前記RFIDトランスポンダ(35)によって少なくとも1つの測定値を前記RFID受信機(20)に送信するステップと、
前記少なくとも1つの測定値に基づいて前記少なくとも1つの車両(2)の少なくとも1つの状態を決定するステップと、
を有する方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのセンサ(30)の前記蓄電器(34)は、前記少なくとも1つのRFID受信機(20)の通過の際に充電されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのRFID受信機(20)の2回の通過の間に、前記少なくとも1つのセンサ(30)の蓄電器(34)により前記少なくとも1つのセンサ(30)が通電されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つのセンサ(30)によって、前記2回の通過の間に、少なくとも1つの測定値がデータメモリ(32)に書き込まれることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の特徴を有するアミューズメント乗り物と、請求項14の特徴を有するアミューズメント乗り物の動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アミューズメント乗り物は、従来から、様々な形態のものが知られている。アミューズメント乗り物は、娯楽を目的として複数の乗客を乗せて所定の経路を走行する少なくとも1台の車両を有している。この目的のために、車両は、乗客がアミューズメント乗り物の走行の際に座ることができる多数の座席を有し、乗客は、アミューズメント乗り物に乗っている間、適切な安全対策によって座席に固定された状態に保たれる。このようなアミューズメント乗り物には、例えば、ジェットコースタ、ウォータライド、メリーゴーランド、ブランコなどがあるが、これらの乗り物に共通しているのは、乗り物が走行後に所定の位置で停止し、乗客が乗り降りすることである。
【0003】
アミューズメント乗り物は常に開発されており、特に近年では、より高速・高加速にして壮大な走行要素を通過することが求められており、それによりアミューズメント乗り物と、所定の軌道に沿った移動経過を決めるガイドトラックとの両方に大きな力がかかる。乗客の安全を長期的に確保するために、アミューズメント乗り物の最新の車両は、多数のセンサを使用した複雑な監視技術を備えている。このセンサは、適切なセンサシステムにより車両の機械的負荷や摩耗を検出し、危機的な負荷に至る前に必要なメンテナンスと修理の処理を運営者に適時に通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】DE 10 2014 114 338 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アミューズメント乗り物の車両に多数のセンサを搭載することは、従来から知られている。しかし、データ収集のためのセンサは、特に車両に搭載されているハードウェアの取り付けの際に多くの労力を必要とすることがデメリットである。車両のセンサには、車両に搭載され、統合された電源から電力が供給される。また、センサに電気エネルギを供給し、データを中央のデータ収集システムに送信するためのセントラルケーブルも設けられている。エネルギの供給は、多くの場合、バッテリや充電式バッテリなどの蓄電媒体によって行われる。充電式バッテリは、車両が静止しているとき、例えば夜間の休止時間に充電される。さらに、このようなセンサシステムやデータ収集システムは、ハードウェアの取り付けの際に多くの労力を要するのに加えて、システム全体を不必要に重くするため、大きな加速度を実現するためには、より大きな力が必要になるという欠点がある。
【0006】
ここで、本発明の出番である。
【0007】
本発明の課題は、従来技術で知られているセンサ付きの乗り物を改善する乗り物を提案することである。すなわち、一方では、センサのハードウェアの取り付けや計測、データの取得にかかる労力を軽減し、他方では、車両の重量を軽減することにより、同じか、より少ない力でアミューズメント乗り物に対して大きな加速度を実現できるようすることを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの課題は、請求項1の特徴を有するアミューズメント乗り物、請求項13の特徴を有するアミューズメント乗り物における少なくとも1つのセンサの使用、および請求項14の特徴を有するアミューズメント乗り物の動作の方法によって解決される。
【0009】
本発明のさらに有利な実施形態は従属請求項に示されている。
【0010】
請求項1の特徴を有する本発明による乗り物は、所定の軌道に沿って移動可能な少なくとも1つの車両を有している。少なくとも1つの車両は、さらに、少なくとも1つのセンサを有しており、この少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つの車両から電気的に独立している。本発明の文脈では、電気的に独立とは、少なくとも1つのセンサを車両から完全に電気的に切り離すことを意味すると理解される。少なくとも1つのセンサは、それぞれの車両からの電力供給に依存せず、車両に配置され、検出された信号を処理、保存、評価、又は転送する中央データ処理システムにも結合されていない。さらに、本発明によれば、少なくとも1つのセンサがトランスポンダ、特にRFIDトランスポンダを有しており、少なくとも1つの受信機、特にRFID受信機が所定の軌跡に沿って配置されており、この受信機が、少なくとも1つのセンサのRFIDトランスポンダと通信し、少なくとも1つのセンサから少なくとも1つの測定値を読み取るように構成されている。それぞれのセンサは、少なくとも1つの物理的な測定値を検出するように構成されたセンサシステムを有し得る。少なくとも1つの受信機は、一方的にトランスポンダからデータを読み取ることも、代替的にトランスポンダにデータを送信することもできる。本発明に関連して、トランスポンダと受信機は任意の周波数で相互に通信することができ、様々なISM周波数帯がこの目的のために実証されており、無線データ伝送の使用のために欧州および国際的に承認されている。異なる波長は、異なる伝送レートと伝送距離に適している。例えば、周波数範囲が30~500kHzの長波は、低いデータレートで大きな無線距離に適しており、一方、短波、特にマイクロ波は、短い伝送距離にしか適していないが、特に短時間で大きなデータレートの伝送が可能である。したがって、トランスポンダと受信機が高周波(HF)又は超高周波(UHF)、特に最大6GHzのマイクロ波を使用することが特に好ましい。これにより、車両が少なくとも1つの受信機を非常に速く通過する場合でも、トランスポンダと受信機の間で十分なデータ伝送が可能になる。
【0011】
少なくとも1つのRFID受信機は、少なくとも1つの車両のために設けられた軌道に隣接して配置され、少なくとも1つの車両が少なくとも1つのRFID受信機を通過するときに、センサと、センサに属するRFIDトランスポンダは、RFID受信機又はRFIDトランスポンダのデータ送信範囲内又は最大無線範囲内にある。少なくとも1つの車両が少なくとも1つの受信機を通過すると、受信機はトランスポンダに質問信号を送信する。質問信号により、トランスポンダの受信アンテナとしてのコイルを誘導し、その誘導電圧によって、少なくとも1つの測定が行われ、少なくとも1つの測定値が検出される。そして、トランスポンダは、受信機に質問信号の応答を送る。
【0012】
本発明のさらなる実施形態によれば、少なくとも1つのセンサがデジタルセンサ又はアナログセンサであると有利である。特に、少なくとも1つのセンサが、センサシステムからのアナログ信号をデジタル信号に変換するように構成された1つ又は複数のA/Dコンバータを有していることが好ましい。さらに、少なくとも1つのセンサが独自の電源、特にバッテリや蓄電池などを持たず、トランスポンダ(特にRFIDトランスポンダ)から完全にエネルギが供給されることが好ましい。
【0013】
さらに、少なくとも1つのセンサが機械的な2次システムを監視すると、特に有利である。このような2次システムは、例えば、少なくとも1つの座席に乗っている少なくとも1人の乗客のための安全システム、保持ブラケット、又は安全ベルトであってもよい。安全システム、保持ブラケット、安全ベルトは、アミューズメント乗り物に乗っている間、乗客を座席にしっかりと固定する。少なくとも1つのセンサは、安全装置が規則に合致しているか検出できる。さらに、少なくとも1つのセンサは、2つの隣接する車両間の結合、又は車両上の他の機械システムを監視できる。また、少なくとも1つのセンサは、特許文献1により知られているように、アミューズメント乗り物の安全性を高めるための機械的な2次システムを監視することができる。少なくとも1つの機械的センサは、例えば、冗長部品による機械的負荷の引き継ぎを検出したり、1次部品の耐荷重能力の低下を検出したりすることができる。
【0014】
本発明のさらに有利な実施形態では、少なくとも1つのセンサが乗客検出システムを構成する。乗客の検出により少なくとも1つの車両の収容能力を決定することができる。
【0015】
さらに、少なくとも1つのセンサが、少なくとも1つの車両の席又は座席に乗っている乗客の体重を検出すると有利である。さらに、乗客の体重をアナログ抵抗センサで測定すると有利である。アナログ抵抗センサは、特に安価で堅牢であるという特徴がある。
【0016】
さらに、少なくとも1つのセンサが、少なくとも1つの車両の少なくとも1つの車輪の摩耗を検出すると有利である。このようなセンサは、特に費用対効果が高く、堅牢で、中央データ収集システムに接続する複雑なケーブル配線を必要とせず、車輪に直接、又は隣接して配置することができる。特に、このセンサを使用すると、回転する部品やシステムから固定された部品に電気信号を伝達するために、スリップリングなどの複雑な取り付けを行う必要がなくなる。
【0017】
本発明のさらに有利な実施形態は、少なくとも1つのセンサが、少なくとも1つの車両の少なくとも1つの軸受の軸受温度を検出する。少なくとも1つのセンサは、例えば、測温抵抗体や熱電対などで構成され得る。
【0018】
さらに、少なくとも1つのセンサがトラッキングセンサとして使用され、測定値を検出しない場合も有利である。少なくとも1つのRFID受信機は、少なくとも1つのトラッキングセンサの位置を特定し、又は追跡することができ、それによって、車両の少なくとも1つの監視対象の構成要素の位置を検出することができる。例えば、トラッキングセンサを使って安全ブラケットや安全ベルトの位置を検出することができる。
【0019】
また、RFIDトランスポンダは、アクティブ、セミパッシブ、又はセミアクティブのトランスポンダとすることができる。アクティブ型のRFIDトランスポンダでは、誘導電圧をマイクロチップへのエネルギ供給と要求された返送信号の生成の両方に利用するが、セミパッシブ型又はセミアクティブ型のトランスポンダでは、独自の送信機を持たずに後方散乱を利用するため、エネルギ効率が大幅に向上する。
【0020】
本発明のさらに有利な実施形態によれば、少なくとも1つのセンサ及び/又はRFIDトランスポンダが、蓄電器を有している。特に、少なくとも1つのRFID受信機からの質問信号によって誘導される電圧が、蓄電器を充電するのに十分な大きさであることが好ましい。蓄電器により、複数回の測定が可能となる。好ましくは、蓄電器には、少なくとも1台の車両が受信機を通過する際に、質問信号によって充電される少なくとも1つのコンデンサ回路を有している。車両が所定の軌道に沿ってRFID受信機を再び通過するまで、RFIDトランスポンダの無線範囲外でも各センサに電流が供給されるように、誘導電圧が蓄電器を充電すると有利である。
【0021】
本発明のさらに好ましい実施形態では、少なくとも1つのセンサ及び/又はRFIDトランスポンダが、データメモリを有している。また、データメモリは、RFID受信機の無線範囲外においても蓄電器から電力が供給され、1つ又は複数の測定値がデータメモリに保存され得る。RFIDトランスポンダは、少なくとも1つのRFID受信機からの質問信号に応答して、データメモリに格納された測定値をRFID受信機に送信することができる。
【0022】
本発明のさらに有利な実施形態によれば、アミューズメント乗り物は、閉じた円形の軌道を有する周回移動のアミューズメント乗り物である。このような周回移動のアミューズメント乗り物は、ジェットコースタやウォータジェットコースタ、回転木馬などが好ましい。さらに、アミューズメント乗り物が振り子移動のアミューズメント乗り物である場合、軌道上の少なくとも1つの車両が異なる方向に交互に軌道上を移動することが有利である。このような振り子移動のアミューズメント乗り物は、第1の端部と第2の端部とを有する軌道を有し、少なくとも1つの車両がこれら2つの端部の間を往復し得る。このような振り子移動のアミューズメント乗り物は、例えば、いわゆる「パワースプラッシュ」と呼ばれるものがある。このような乗り物は、ブランコなどであり得る。
【0023】
本発明の他の側面は、アミューズメント乗り物又はアミューズメント乗り物の車両へのセンサの使用に関する。このセンサは、少なくとも1つのRFIDトランスポンダと、少なくとも1つのセンサシステムを有する。このセンサシステムは、少なくとも1つの物理的な測定値を検出し、RFID受信機に送信するためのRFIDトランスポンダに少なくとも1つの物理的な測定値を提供するように構成されている。
【0024】
本発明の他の側面は、アミューズメント乗り物の動作の方法である。本発明の方法は、少なくとも1つの車両が少なくとも1つのRFID受信機を通過する際に、少なくとも1つの質問信号が少なくとも1つのRFID受信機によって送信される。各々のRFIDトランスポンダは、少なくとも1つの質問信号を受信し、少なくとも1つの測定値が少なくとも1つのセンサによって検出される。続いて、少なくとも1つの測定値が少なくとも1つのセンサのRFIDトランスポンダによってRFID受信機に送信され、少なくとも1つの測定値に基づいて少なくとも1つの車両の少なくとも1つの状態が決定される。少なくとも1つの車両が少なくとも1つのRFID受信機を通過する際に、少なくとも1つのセンサのRFIDトランスポンダが無線範囲内に入り、RFID受信機とRFIDトランスポンダは互いに通信することができる。
【0025】
さらに、少なくとも1つの車両がRFID受信機を通過する際に、質問信号によりRFIDトランスポンダに電流が誘導され、少なくとも1つのセンサが誘導された電流によって通電され、少なくとも1つの測定値を検出すると有利である。このように、少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つの車両から電気的に独立して少なくとも1つの車両に配置することができ、これにより、少なくとも1つのセンサを車両に電気的に結合する必要がなく、既存の車両に、対応するセンサを後付けすることもできる。
【0026】
少なくとも1つの状態は、例えば、少なくとも1つの車両を所定の力で所定の速度まで加速させるための、アミューズメント乗り物の車両の収容能力や、乗客の体重などを示すものであってもよい。また、少なくとも1つの状態は、摩耗や摩滅などを検出するために、少なくとも1つの車両の機械的な状態を記述してもよい。
【0027】
さらに、少なくとも1つのRFID受信機を通過する際に、少なくとも1つのセンサの蓄電器が、少なくとも1つのRFID受信機の質問信号によって充電されると特に有利である。蓄電器は、RFIDトランスポンダに誘導された電流を蓄積し、必要に応じて放出するように構成された少なくとも1つのコンデンサ回路を有していることが好ましい。蓄電器に蓄えられた電流により、伝送距離外でも各センサを通電することができる。
【0028】
特に、少なくとも1つのセンサの蓄電器が、少なくとも1つの車両が少なくとも1つのRFID受信機を2回通過する間にセンサに通電することが好ましく、そのため、少なくとも1つのセンサは、センサシステムにより無線範囲外で測定値を記録することが可能になる。
【0029】
本発明のさらに他の実施形態によれば、本発明による方法を実施する際に、少なくとも1つのセンサが、2回の通過の間で少なくとも1つの測定値を検出し、その少なくとも1つの測定値をデータメモリに書き込むと有利である。さらに、少なくとも1つのRFID受信機の通過の際に、データメモリに格納された少なくとも1つの測定値が、それぞれのセンサのRFIDトランスポンダからRFID受信機に送信されることが好ましい。電気エネルギを蓄えることで、好ましくは、RFID受信機とRFIDトランスポンダの無線範囲外で少なくとも1つのセンサによって測定値を検出し、データメモリに保存することもできる。少なくとも1つのセンサを搭載した車両が、再び少なくとも1つのRFID受信機の近くを通過し、少なくとも1つのRFID受信機の無線範囲内に入るとすぐに、質問信号に応答して測定値が送信され、蓄電器が再充電され得る。
【発明の効果】
【0030】
センサのハードウェアの取り付けや計測、データの取得にかかる労力を軽減でき、同じか、より少ない力でアミューズメント乗り物に対して大きな加速度を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】アミューズメント乗り物の高度に簡略化された車両2を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、本発明による実施形態の一例を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0033】
図1は、アミューズメント乗り物1の高度に簡略化された車両2を示しており、この車両2は、アミューズメント乗り物1の所定の軌道10上を走行するように構成されている。アミューズメント乗り物1は、例えば、ジェットコースタやウォータライド、例えば、いわゆる「パワースプラッシュ」である。これにより、軌道10は、1つ又は複数のガイドレールによって形成することができ、このガイドレールを介して、車両2は、複数の車輪4によって所定の軌道10に沿って案内される。また、車両2は、乗客(図示せず)が、規則に従って、走行の際に座ってアミューズメント乗り物1に乗ることができる複数の座席5を備えている。
【0034】
少なくとも1つのRFID受信機20が、所定の軌道10に沿って配置されいる。なお、複数のRFID受信機20を軌道10に沿って配置することも可能である。それぞれのRFID受信機20は、軌道10上を通過する車両2がRFID受信機20の無線範囲内に入るように、軌道10に隣接して配置されている。
【0035】
例えば、隣接する2つのRFID受信機20の間の車両2の移動時間がほぼ同じになるように、RFID受信機20を配置しても良い。あるいは、RFID受信機20は、加速により車両2にかかる負荷が増大する軌道10の区間又は走行形状に配置されても良い。
【0036】
車両2は、複数のセンサ30を有しており、それぞれが少なくとも1つのRFIDトランスポンダ35と少なくとも1つのセンサシステム31を有していいても良い。それぞれのセンサ30は、車両2から電気的に独立しており、すなわち、車両から完全に電気的に切り離されている。図1では、センサ30は一例として四角で示されている。さらに、分かりやすさの理由から一部のセンサ30には参照番号が付けられていない。
【0037】
センサシステム31は、少なくとも1つの物理量を測定するように構成されている。さらに、それぞれのセンサ30は、例えば、データメモリ32及び少なくとも1つのコンデンサ回路で構成される蓄電器34(図示せず)を含んでいても良い。RFIDトランスポンダ35は、典型的には数センチから数メートルの無線範囲内で、RFID受信機20と通信するように構成されている。
【0038】
車両2が少なくとも1つのRFID受信機20を通過する際に、車両2はRFID受信機20の無線範囲内へ入り、RFID受信機20は1つまたは複数の質問信号を送信し、それぞれのセンサ30のそれぞれのRFIDトランスポンダ35に電圧を誘導する。この電圧は、例えば、コンデンサ回路を充電し、センサ30又はそのセンサシステム31で測定を行うために使用することができる。その後、RFIDトランスポンダ35は、RFID受信機20に質問信号の応答を送信することができる。
【0039】
それぞれのセンサ30は、デジタルセンサ又はアナログセンサとし、センサシステム31は、少なくとも1つの車両2の物理的状態を記述する複数の異なる測定技術を含んでいても良い。例えば、センサ31は、熱電対、測温抵抗体、ストレインゲージ(模式的に示す)、測定用コンタクトなどを有していても良い。
【0040】
例えば、センサ30は、そのセンサシステム31によって、車両2の車輪4のうちの1つの摩耗を決定又は検出したり、座席5上の乗客を検出したり、二次システムを監視したりするのに適している。また、センサ30は部品のトラッキングにも使用できる。
【0041】
さらに、センサ30は、車両2に搭載された座席5上の搭乗者の体重を検出するのに適したものであっても良い。このために、座席5に1つ以上の抵抗センサを配置し、それによって乗客の体重を測定することができる。また、車両2には多数のセンサ30を配置することができ、例えば、ネジの締め付けトルクを検出することで、安全に関わるネジ接続が常に適切に締め付けられていることを確認することができる。
【0042】
さらに、車輪4の車軸や車輪4の車軸の軸受にセンサ30を配置し、軸受の温度を検出することもできる。特に、センサ30を使用する場合には、車両2内の配線がいずれも不要であるため、例えばスリップリングなどによる複雑な伝達経路が不要となる点が特に有利である。
【0043】
なお、それぞれのセンサ30は、メモリ32を有していても良い。1つまたは複数の測定値を、メモリ32に保存又は一時的に格納することができ、RFIDトランスポンダ35によって、質問信号に応答してRFID受信機20に送信される。
【0044】
蓄電器34は、RFID受信機20からの質問信号により充電され、RFID受信機20の無線範囲外でセンサ30に通電することで、無線範囲外で測定値を取得することができ、これをメモリ32に一時的に記憶することができる。
【符号の説明】
【0045】
1…アミューズメント乗り物
2…車両
4…車輪
5…座席
10…軌道
20…受信機
30…センサ
32…メモリ
35…トランスポンダ
図1