(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-29
(45)【発行日】2023-04-06
(54)【発明の名称】インクジェットカートリッジ、回路基板及びインクジェットカートリッジ部品
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20230330BHJP
【FI】
B41J2/175 161
B41J2/175 119
B41J2/175 175
(21)【出願番号】P 2021551980
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(86)【国際出願番号】 CN2020079986
(87)【国際公開番号】W WO2020224336
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2021-09-01
(31)【優先権主張番号】201910370854.1
(32)【優先日】2019-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910828145.3
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514043654
【氏名又は名称】▲極▼海微▲電▼子股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ウェイチェン
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-358912(JP,A)
【文献】特開2014-058075(JP,A)
【文献】特開2009-096065(JP,A)
【文献】特開2010-167650(JP,A)
【文献】特開平11-348308(JP,A)
【文献】特開平08-230206(JP,A)
【文献】特開平08-207391(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0115859(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジ本体と、
互いに電気接続されたノズル回路及び第1のインターフェース回路が設けられており、カートリッジ本体に設けられた第1の回路基板と、
第2のインターフェース回路及び第3のインターフェース回路が設けられており、カートリッジ本体に設けられた第2の回路基板と、
収容部と、
前記収容部内に収容される交換可能なインク収容チャンバと
を備え、
前記インク収容チャンバは、互いに電気接続された第1の記憶回路及び第4のインターフェース回路を有し、前記第4のインターフェース回路は前記第3のインターフェース回路に電気接続可能であり、前記第1の記憶回路に少なくとも前記インク収容チャンバのインク量情報が記憶されており、
前記第2のインターフェース回路及び第1のインターフェース回路は、カートリッジ本体の同じ側に設けられ、且つ互いに電気接続されているインクジェットカートリッジにおいて、
前記第2の回路基板には、さらに転送回路が設けられており、前記転送回路は第2のインターフェース回路及び第3のインターフェース回路間の信号伝送を処理することができるように設けられており、
前記第2の回路基板は、平板状、又は、前記収容部の側壁に沿って湾曲する
U字状をなし、
前記第2の回路基板が平板状をなす場合、前記第4のインターフェース回路は、前記インク収容チャンバの前記収容部より高くて露出した側壁に設けられており、
前記第2の回路基板が
U字状をなす場合、前記第2の回路基板は、前記収容部の内側及び外側にそれぞれ位置する部分を有する
ことを特徴とするインクジェットカートリッジ。
【請求項2】
前記第3のインターフェース回路のインターフェースの数が、前記第1のインターフェース回路のインターフェースの数よりも少ない
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項3】
前記第2のインターフェース回路のインターフェースの数が、前記第3のインターフェース回路のインターフェースの数と等しく、前記第1のインターフェース回路は、画像形成装置と電気接続することが可能である
ことを特徴とする請求項2に記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項4】
前記転送回路は、前記第2のインターフェース回路から伝送された全部の信号を処理し、前記第2のインターフェース回路の全部のインターフェースにおける信号を、対応する第3のインターフェース回路のインターフェースに伝送する
ことを特徴とする請求項3に記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項5】
前記第3のインターフェース回路の、前記第1のインターフェース回路に比べて欠けているインターフェースは、加熱信号インターフェースを含み、前記加熱信号インターフェースにより伝送される信号は、液体を噴出させるように前記液体を加熱するためのものである
ことを特徴とする請求項4に記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項6】
前記第2の回路基板は、第5のインターフェース回路をさらに備え、前記第5のインターフェース回路は、前記第1のインターフェース回路と電気接続され、前記転送回路を介して前記第2のインターフェース回路と電気接続される
ことを特徴とする請求項2に記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項7】
前記第2のインターフェース回路は、インターフェースの数が前記第1のインターフェース回路のインターフェースの数に等しく、画像形成装置と電気接続することが可能である
ことを特徴とする請求項6に記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項8】
前記転送回路は、前記第2のインターフェース回路から伝送された全部の信号を処理し、前記第2のインターフェース回路の一部のインターフェースにおける信号を、対応する第3のインターフェース回路のインターフェースに伝送する
ことを特徴とする請求項7に記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項9】
前記第5のインターフェース回路のインターフェースの数は、前記第1のインターフェース回路のインターフェースの数よりも少ない
ことを特徴とする請求項8に記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項10】
前記第5のインターフェース回路の、前記第1のインターフェース回路に比べて欠けているインターフェースは、データインターフェースを含む
ことを特徴とする請求項9に記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項11】
前記第2の回路基板は、第2の記憶回路をさらに備え、前記第2の記憶回路に少なくとも一部のカートリッジデータが記憶されており、前記転送回路は、前記第2のインターフェース回路から伝送された全部の信号を処理し、前記第2のインターフェース回路の一部又は全部の信号を前記第2の記憶回路に伝送する
ことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1つに記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項12】
前記第2の記憶回路へ伝送される信号は、前記第3のインターフェース回路へ伝送される信号に一致する
ことを特徴とする請求項11に記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項13】
前記転送回路は、前記第2のインターフェース回路から伝送された信号を、前記第1の記憶回路により識別される信号に処理する
ことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1つに記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項14】
前記転送回路は、受信した信号を、前記第4のインターフェース回路のインターフェースの種類に対応する信号に処理する
ことを特徴とする請求項13に記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項15】
前記転送回路は、制御回路をさらに備え、前記制御回路は、前記第3のインターフェース回路と前記第2のインターフェース回路との電気接続をゲーティング制御して、前記第1の記憶回路のゲーティングを実現させることが可能である
ことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1つに記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項16】
前記制御回路は、前記第1の記憶回路に記憶されたインク量情報が予め設定されたデータである場合に、前記第1の記憶回路と画像形成装置との接続が遮断されるように制御する
ことを特徴とする請求項15に記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項17】
カートリッジ本体と、該カートリッジ本体に設けられた第1の回路基板と、収容部と、前記収容部に収容される交換可能なインク収容チャンバと備え、前記第1の回路基板に、互いに電気接続されたノズル回路及び第1のインターフェース回路が設けられており、前記インク収容チャンバは、互いに電気接続された第1の記憶回路及び第4のインターフェース回路を有し、前記第1の記憶回路に少なくとも前記インク収容チャンバのインク量情報が記憶されているインクジェットカートリッジに使用される回路基板であって、
該回路基板は前記カートリッジ本体に設けられ、該回路基板には、第2のインターフェース回路と、第3のインターフェース回路と、転送回路とが設けられており、前記第2のインターフェース回路は、前記第1のインターフェース回路と互いに電気接続され、前記第3のインターフェース回路は、前記第4のインターフェース回路に電気接続可能であり、前記転送回路は、前記第2のインターフェース回路及び前記第3のインターフェース回路間の信号伝送を処理することができるように設けられており、
前記回路基板は、平板状、又は、前記収容部の側壁に沿って湾曲する
U字状をなし、
前記回路基板が平板状をなす場合、前記第4のインターフェース回路は、前記インク収容チャンバの前記収容部より高くて露出した側壁に設けられており、
前記回路基板が
U字状をなす場合、前記回路基板は、前記収容部の内側及び外側にそれぞれ位置する部分を有する
ことを特徴とする回路基板。
【請求項18】
カートリッジ本体と、
互いに電気接続されたノズル回路及び第1のインターフェース回路が設けられており、前記カートリッジ本体に設けられた第1の回路基板と、
第2のインターフェース回路及び第3のインターフェース回路が設けられており、カートリッジ本体に設けられた第2の回路基板と、
交換可能なインク収容チャンバを収容可能な収容部と
を備え、
前記第2のインターフェース回路及び第1のインターフェース回路は、カートリッジ本体の同じ側に設けられ、且つ互いに電気接続されており、
前記インク収容チャンバは、互いに電気接続された第1の記憶回路及び第4のインターフェース回路を有し、前記第1の記憶回路に少なくとも前記インク収容チャンバのインク量情報が記憶されているインクジェットカートリッジ部品であって、
前記第2の回路基板には、転送回路がさらに設けられており、前記転送回路は、第2のインターフェース回路及び第3のインターフェース回路間の信号伝送を処理することができるように設けられており、
前記第2の回路基板は、平板状、又は、前記収容部の側壁に沿って湾曲する
U字状をなし、
前記第2の回路基板が平板状をなす場合、前記第4のインターフェース回路は、前記インク収容チャンバの前記収容部より高くて露出した側壁に設けられており、
前記第2の回路基板が
U字状をなす場合、前記第2の回路基板は、前記収容部の内側及び外側にそれぞれ位置する部分を有する
ことを特徴とするインクジェットカートリッジ部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年5月6日に中国専利局へ出願された、出願番号が201910370854.1、発明の名称が「インクジェットカートリッジ、インクジェット部品及び回路基板」の中国特許出願と、2019年9月3日に中国専利局へ出願された、出願番号が201910828145.3、発明の名称が「インクジェットカートリッジ及び回路基板」の中国特許出願との優先権を主張し、その全体が本参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本願は、画像形成用消耗品の技術分野に関し、具体的に、インクジェットカートリッジ、回路基板及びインクジェットカートリッジ部品に関する。
【背景技術】
【0003】
画像形成装置(例えば、プリンタ)は、例えば、トナーカートリッジ、インクカートリッジなど、印刷材料を提供するための印刷消耗品を有する。従来技術において、インクジェットカートリッジは、一体的に設けられたカートリッジ本体、カートリッジ収容チャンバ、及びノズル回路を備える。ここで、ノズル回路には、カートリッジ収容チャンバのインク量情報が記録されている。一旦、カートリッジ収容チャンバにおけるインクが切れたら、インク量情報が切れ状態と書き込まれ、たとえ、インク満タンの新品のカートリッジ収容チャンバをカートリッジ本体に装着したとしても、インク量の消耗請求をリアルタイムに記録することができず、印刷品質に影響を及ぼす虞がある。しかし、この際のインクジェットカートリッジのノズル回路がまだ使えるため、元のカートリッジを破壊しない前提で、カートリッジの各チップ間の接続関係及びデータ処理ロジックを処理することができ、製造の流れを簡単化させ、ノズル回路の再利用のコストを低減させ、インクジェットカートリッジの再利用を効率化させる技術が必要となる。
【発明の概要】
【0004】
従来技術の上記問題の少なくとも一部を解決するために、本願は、インクジェットカートリッジ、回路基板及びインクジェットカートリッジ部品を提供することを1つの目的とする。
【0005】
上記目的に達成するために、本願の実施例に係る発明は、以下の通りである。
【0006】
第1の態様では、本願の実施例はインクジェットカートリッジを提供する。インクジェットカートリッジは、カートリッジ本体と、カートリッジ本体に設けられた第1の回路基板とを備える。前記第1の回路基板には、互いに電気接続されたノズル回路及び第1のインターフェース回路が設けられている。前記インクジェットカートリッジは、カートリッジ本体に設けられた第2の回路基板と、収容部と、交換可能なインク収容チャンバとをさらに備える。前記第2の回路基板には、第2のインターフェース回路及び第3のインターフェース回路が設けられている。前記第2のインターフェース回路及び第1のインターフェース回路は、カートリッジ本体の同じ側に設けられ、且つ互いに電気接続されている。前記インク収容チャンバは前記収容部に収容される。前記インク収容チャンバは、互いに電気接続された第1の記憶回路及び第4のインターフェース回路を有する。前記第4のインターフェース回路は、前記第3のインターフェース回路と電気接続可能である。前記第1の記憶回路には、少なくとも前記インク収容チャンバのインク量情報が記憶されている。前記第2の回路基板には、転送回路がさらに設けられている。前記転送回路は、第2のインターフェース回路及び第3のインターフェース回路間の信号伝送を処理することができるように設けられている。
【0007】
第2の態様では、本願の実施例は回路基板を提供する。本願の実施例の第1の様態又は第2の様態に係る第2のインターフェース回路、第3のインターフェース回路、及び転送回路が設けられている。転送回路は、第2のインターフェース回路及び第3のインターフェース回路間の信号伝送を処理することができるように設けられている。
【0008】
第3の態様では、本願の実施例はインクジェットカートリッジ部品を提供する。インクジェットカートリッジ部品は、カートリッジ本体と、カートリッジ本体に設けられた第1の回路基板とを備える。前記第1の回路基板には、互いに電気接続されたノズル回路及び第1のインターフェース回路が設けられている。前記インクジェットカートリッジ部品は、カートリッジ本体に設けられた第2の回路基板と、交換可能なインク収容チャンバを収容可能な収容部とをさらに備える。前記第2の回路基板には、第2のインターフェース回路及び第3のインターフェース回路が設けられている。前記第2のインターフェース回路及び第1のインターフェース回路は、カートリッジ本体の同じ側に設けられ、且つ互いに電気接続されている。前記第2の回路基板には、転送回路がさらに設けられている。前記転送回路は、第2のインターフェース回路及び第3のインターフェース回路間の信号伝送を処理することができるように設けられている。
【0009】
従来技術に比べて、本願の実施例は、インクジェットカートリッジ、回路基板及びインクジェットカートリッジ部品を提供する。ここで、インクジェットカートリッジは、カートリッジ本体と、カートリッジ本体に設けられた第1の回路基板とを備える。前記第1の回路基板には、互いに電気接続されたノズル回路及び第1のインターフェース回路が設けられている。前記インクジェットカートリッジは、カートリッジ本体に設けられた第2の回路基板と、収容部と、交換可能なインク収容チャンバとをさらに備える。前記第2の回路基板には、第2のインターフェース回路及び第3のインターフェース回路が設けられている。前記第2のインターフェース回路及び第1のインターフェース回路は、カートリッジ本体の同じ側に設けられ、且つ互いに電気接続されている。前記インク収容チャンバは、前記収容部に収容される。前記インク収容チャンバは、互いに電気接続された第1の記憶回路及び第4のインターフェース回路を有する。前記第4のインターフェース回路は、前記第3のインターフェース回路と電気接続可能である。前記第1の記憶回路には、少なくとも前記インク収容チャンバのインク量情報が記憶されている。前記第2の回路基板には、転送回路がさらに設けられている。前記転送回路は、第2のインターフェース回路及び第3のインターフェース回路間の信号伝送を処理することができるように設けられている。上記のように設けることにより、インクジェットカートリッジのインク収容チャンバを簡便に交換することができ、カートリッジの各チップ間の情報が正確に順調に伝送されるため、カートリッジの情報の正常なインタラクションが確保され、インクジェットカートリッジのインク収容チャンバを交換した後に、プリンタがインクジェットカートリッジから読み取ったインク量情報は、交換後のインク収容チャンバのインク量の状況を反映することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
以下、本願の実施例に係る発明を一層明確に説明するために、実施例の説明に必要な図面について簡単に説明する。以下の図面が本願の一部の実施形態のみを示しているため、範囲に対する限定とならず、当業者であれば創造的行為が要らずにこれらの図面を基に他の図面を得ることが可能であることは理解されたい。
【
図1】本願の実施例に係るインクジェットカートリッジの構造の模式図である。
【
図2】本願の実施例に係るインクジェットカートリッジの電気接続関係の模式図である。
【
図3】本願の実施例に係るインクジェットカートリッジの第2の回路基板の電気接続関係の模式図である。
【
図4】本願の実施例に係るインクジェットカートリッジの他の構造の模式図である。
【
図5】本願の実施例に係るインクジェットカートリッジの他の電気接続関係の模式図である。
【
図6】本願の実施例に係るインクジェットカートリッジのまた1つの構造の模式図である。
【
図7】本願の実施例に係るインクジェットカートリッジのまた1つの電気接続関係の模式図である。
【
図8】本願の実施例に係るインクジェットカートリッジの第4種類の構造の模式図である。
【
図9】本願の実施例に係るインクジェットカートリッジの第5種類の構造の模式図である。
【
図10】本願の実施例に係るインクジェットカートリッジの第6種類の構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
技術方案及び利点を一層明確にさせるために、以下では本発明の実施例を示す図面に基づいて本発明の実施例における技術方案を明確に詳細に説明する。勿論、説明する実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、全部の実施例ではない。通常、これらの図面に説明され示された本願の実施例の部品は、様々な様態に配置及び設計される。
【0012】
従って、図面に示された本願の実施例についての詳細は、本願の請求範囲を限定するものではなく、本願の好ましい実施例を示すものに過ぎない。当業者が本願の実施例に基づいて創造的行為が要らずに得るすべての他の実施例は、本願の請求の範囲に属する。
【0013】
なお、類似した符号や記号は、図面において類似した部分を示す。従って、1つの図に定義された部分は、その後の図にさらに定義及び解釈する必要はなくなる。
【0014】
図1は本願の実施例に係るインクジェットカートリッジの構造の模式図であり、
図2は本願の実施例に係るインクジェットカートリッジの電気接続関係の模式図である。
図1及び
図2に示すように、インクジェットカートリッジ10は、カートリッジ本体11、第1の回路基板12、インク収容チャンバ13、及び第2の回路基板15を備える。ここで、第1の回路基板12はカートリッジ本体11に接続されており、第1の回路基板12には、互いに電気接続された第1のインターフェース回路121及びノズル回路122が設けられている。第2の回路基板15はカートリッジ本体11に接続されており、第2の回路基板15には、第2のインターフェース回路151、第3のインターフェース回路152及び転送回路154が設けられている。ここで、第2のインターフェース回路151及び第1のインターフェース回路121はカートリッジ本体11の同じ側に設けられ、且つ第2のインターフェース回路151及び第1のインターフェース回路121が電気接続されている。転送回路154は、第2のインターフェース回路151及び第3のインターフェース回路152間の信号伝送を処理することができる。カートリッジ本体11は収容部を有し、該収容部内にインク収容チャンバ13が着脱可能、又は交換可能に装着される。
【0015】
ここで、
図2に示すように、インクジェットカートリッジ10が画像形成装置30に装着されている場合に、第1のインターフェース回路121は、画像形成装置30の接触ピンと電気接続して、画像形成装置30との電気通信を可能にさせる。この場合、第1のインターフェース回路121は、画像形成装置30から送信された制御信号、読取命令及び書込命令などを受信することができる。通常、インターフェース回路は、複数の電気インターフェース(又は電気接続端子と呼ばれる)を有する。該電気インターフェースは、導電可能な接点(例えば、金属接点)であってもよく、具体的に、銅などの金属で作られた接点であってもよい。
【0016】
さらに、金属接点の表面酸化を防止するために、金属接点の表面に無電解金メッキを施してもよい。本発明の実施例で説明するインターフェース回路は、インクジェットカートリッジ10がプリンタに装着されて動作する過程において、プリンタとの電気通信を実現するためのインターフェース回路である。選択的に、複数の電気インターフェースは、例えばその伝送信号の種類によって分類される様々な種類を含んでもよい。
【0017】
図1及び
図2に示すように、ノズル回路122は、第1のインターフェース回路121に電気接続されており、第1のインターフェース回路121を介して画像形成装置30と通信接続することが可能である。具体的には、ノズル回路122は、第1のインターフェース回路121を介して画像形成装置30から送信されたインクジェット制御信号を受信することにより、インク収容チャンバ13におけるインクを規則的に噴射するように制御して、画像形成媒体に画像を形成することができる。なお、カートリッジ本体11がノズル回路122と連通したインク通路を有し、インク収容チャンバ13に該インク通路と連通したインク出口が設けられており、インク収容チャンバ13がカートリッジ本体11に装着された場合に、インク収容チャンバ13におけるインクがインク出口を通してカートリッジ本体11のインク通路に入って、ノズル回路122へ流れる。
【0018】
本実施例において、
図2に示すように、交換可能なインク収容チャンバ13には、互いに電気接続された第1の記憶回路142及び第4のインターフェース回路141が設けられている。第1の記憶回路142には、少なくともインク収容チャンバ13のインク量情報が記憶されている。該インク量情報は、通常、インク収容チャンバ13におけるインクの状態(例えば、インクの消耗程度など)を反映するものである。勿論、第1の記憶回路142には、インク収容チャンバ13に関する、インク収容チャンバの交換に伴って変化する可能性がある他の情報が記憶されてもよい。第4のインターフェース回路141及び第1の記憶回路142は同一の回路基板(例えば、第3回路基板14)に設けられてもよい。
【0019】
ここで、
図2に示すように、第3のインターフェース回路152及び第4のインターフェース回路141のインターフェースは、一体的に溶接されてもよく、接着又は他の着脱可能な形態で接続されてもよい。
【0020】
図2に示すように、第2の回路基板15における転送回路154は、第1のインターフェース回路121に電気接続されている。例えば、第2の回路基板15は、第2のインターフェース回路151を介して第1のインターフェース回路121と電気接続することができる。いくつかの実施例では、第2のインターフェース回路151は第2の回路基板15の第1のインターフェース回路121を覆う箇所に設けられており、第1のインターフェース回路121に直接に電気接触するように接続されている。
【0021】
一方、
図2に示すように、プリンタが第1の記憶回路142におけるインク状態情報にアクセスすることを可能にさせるために、第4のインターフェース回路141は第3のインターフェース回路152に電気接続されてもよい。交換可能なインク収容チャンバ13がカートリッジ本体11に装着されると、第1の記憶回路142は第3のインターフェース回路152を介して転送回路154と電気接続を行う。このように、画像形成装置30は、転送回路154を介して第1の記憶回路142にアクセスし、第1の記憶回路142におけるインク量情報について読取り操作又は書込み操作を行うことができる。
【0022】
図2に示すように、転送回路154は、第2のインターフェース回路151及び第3のインターフェース回路152間の信号伝送を処理するよう設けられている。例えば、転送回路154は、第2のインターフェース回路151から伝送された全部の信号を受信し、必要に応じてその一部又は全部の信号を処理して第3のインターフェース回路152に伝えて、さらに第1の記憶回路142に伝送することに用いられる。例えば、転送回路154は、第2のインターフェース回路151からの信号を、第1の記憶回路に適用する信号に処理することができる。例えば、転送回路154は、第2のインターフェース回路151からの信号を、第4のインターフェース回路のインターフェースの種類に対応する信号に処理することができる。
【0023】
本発明の実施例では、第3のインターフェース回路152のインターフェースの数は、
図3に示すように、第1のインターフェース回路121のインターフェースの数よりも少なくてもよい。前述したように、第1のインターフェース回路121は、ノズル回路122へ送信されるインクジェット制御信号を伝送することができる。該インクジェット制御信号は、加熱信号を含んでもよい。該加熱信号がノズル回路122における特定の加熱抵抗に作用することにより、該加熱抵抗の周りの液体が加熱されて膨張して、該当する噴出穴から押し出され、画像が形成される。インクジェット制御信号は、さらに、インクジェット制御に使用されるアドレス選択信号、クロック信号、抵抗検知信号などを含んでもよい。ここで、アドレス選択信号は、ノズル回路122における特定の加熱抵抗のアドレスに対応する。プリンタは、ノズル回路122へアドレス選択信号を入力することで、特定の加熱抵抗を選択する。抵抗検知信号は、上記加熱抵抗、又は他の特定の抵抗に対する検知信号であってもよい。プリンタは、ノズル回路122へ抵抗検知信号を入力することで、ノズル回路のインクジェット機能又はIDを検証する。第1のインターフェース回路121は、加熱信号インターフェースを備え、ノズル回路122へ伝送される加熱信号を受信することができる。一例として、第1のインターフェース回路121は、さらに、アドレス選択信号インターフェース、クロック信号インターフェース、抵抗検知信号インターフェースなどを備える。
【0024】
本発明の実施例では、第1の記憶回路142のデータアクセス信号は、クロック信号、アドレスアクセス信号及びデータアクセス信号を含んでもよい。ここで、アドレスアクセス信号は、記憶回路の複数のデータアドレスに対応し、プリンタが第1の記憶回路142へアドレスアクセス信号を入力することで、特定のデータアドレスを選択して、データへのアクセスを実現する。データアクセス信号は、第1の記憶回路142に対する読取り信号又は書込み信号であってもよい。プリンタは、第1の記憶回路142へデータアクセス信号を入力することで、特定のデータアドレスにおけるデータを取得し、又は書き換える。相応的に、第4のインターフェース回路141は、クロックインターフェース、アドレスアクセスインターフェース及びデータインターフェースを備え、これらのインターフェースによって、画像形成装置30は第1の記憶回路142にアクセスすることができる。第3のインターフェース回路152のインターフェースは、第1のインターフェース回路121のインターフェースよりも少ない。言い換えると、第1のインターフェース回路121は、第3のインターフェース回路152が備えないインターフェース(例えば、加熱信号インターフェース、又は抵抗検知信号インターフェース)を有する。
【0025】
本発明のいくつかの実施例では、前述したインクジェット制御信号を伝送するためのアドレス選択信号インターフェース、クロック信号インターフェースなどのインターフェースは、記憶回路にアクセスするためのデータアクセス信号を伝送することにも用いられる。例えば、クロック信号は、記憶回路及びノズル回路122に共用されるクロック制御信号であってもよい。例えば、アドレス選択信号は、記憶回路のデータアドレスアクセス信号に別途に変換されてもよい。このように、第1のインターフェース回路121の一部のインターフェースは、ノズル回路122及び記憶回路に共用される信号インターフェースとされてもよい。
【0026】
具体的に、第1のインターフェース回路121には、インクジェット制御信号を伝送するための複数のインターフェースと、データアクセス信号を伝送するための複数のインターフェースとが設けられており、該両者のインターフェースは一部が共用されてもよい。第2の回路基板15における第2のインターフェース回路151及び第1のインターフェース回路121は、カートリッジ本体の同じ側に設けられており、第2のインターフェース回路151は、第1のインターフェース回路121に電気接続されている。画像形成装置30は、第1のインターフェース回路121に直接に接触し、複数のデータアクセスインターフェースによってデータアクセス信号が第2のインターフェース回路151へ伝送され、複数のノズル制御インターフェースによってインクジェット制御信号が直接にノズル回路122へ伝送される。この際、第2のインターフェース回路151は、複数のインターフェースを有し、インターフェースの数が少なくとも第1のインターフェース回路121におけるデータアクセスインターフェースの数に対応し、第1のインターフェース回路121に電気接続されるように設けられている。
【0027】
なお、第1のインターフェース回路121の複数のインターフェースは、貫通式電気インターフェース(貫通端子)とされてもよい。例えば、第1のインターフェース回路121の複数のインターフェースの正面(カートリッジ本体11とは反対する面)も背面(カートリッジ本体11に向く面)も、電気接点が露出するように設けられている。本実施例において、第2の回路基板15における第2のインターフェース回路151が第1のインターフェース回路121に電気接続されている場合に、第2のインターフェース回路151は、第1のインターフェース回路121のインターフェースの背面に接触して接続することができる。
【0028】
いくつかの実施例では、第3のインターフェース回路152は、インターフェースの数が第2のインターフェース回路151のインターフェースの数と同じであるように設けられている。転送回路154は、第2のインターフェース回路151から伝送された全部の信号を処理して、第2のインターフェース回路151の全部のインターフェースにおける信号を、対応する第3のインターフェース回路152のインターフェースに伝送する。例えば、転送回路154は、第2のインターフェース回路151からのデータアクセス信号を、第1の記憶回路142に適用するアクセス信号に処理する。例えば、第3のインターフェース回路152は第4のインターフェース回路141に電気接続され、転送回路154は、受信した全部のデータアクセス信号を第3のインターフェース回路152を介して第4のインターフェース回路141のインターフェース信号種類に対応するインターフェースに伝送する。例えば、転送回路154は、データアクセス信号のみを受信し、これらのデータアクセス信号を第1の記憶回路142の通信プロトコルに適合する信号に変換し、例えば、他の種類のプロトコルの信号を第1の記憶回路142のI2Cプロトコルに適合する信号に変換する。また、例えば、転送回路154により受信された信号が暗号化されたため、第1の記憶回路142により直接に受信及び認識できない場合に、転送回路154は、受信した信号を復号化して、第1の記憶回路142に適用するデータアクセス信号を出力する。
【0029】
上記の一部の信号インターフェースが共用される実施例では、転送回路154は、ノズル回路122へ伝送されるアドレス選択信号を受信して、第1の記憶回路142に適用するデータアドレスアクセス信号に処理し、第3のインターフェース回路152を介して第1の記憶回路142に伝送することができる。勿論、処理される上記信号はアドレス選択信号に限らない。
【0030】
転送回路154が第2のインターフェース回路及び第3のインターフェース回路間の信号伝送を処理する際に、具体的に、信号の受信、送信及び各種類の信号に対する処理(異なる信号間の転換、信号の合成、及び信号の分離などの操作過程を含むが、これらに限らない)を含んでもよいということは、当業者であれば理解される。具体的な過程及びステップは、当業者がよく知っている信号伝送の操作方式であればよく、ここで限定されない。
【0031】
第2のインターフェース回路151が設けられている領域と、第1のインターフェース回路121が設けられている領域とは、少なくとも一部が重なり合っているため、前記第2のインターフェース回路151の少なくとも一部の電気接続端子と、第1のインターフェース回路121の対応する電気接続端子とは、接続されている。第2のインターフェース回路151の複数のインターフェースは、第1のインターフェース回路121におけるデータアクセスインターフェースの位置に対応するように配列されてもよい。これにより、溶接、係合又は接着などの手段によって、インターフェースの電気接続を容易に実現することができる。
【0032】
上記実施例では、第2の回路基板15は、通常、
図1に示すように、第1の回路基板12の内側(カートリッジ本体11に近い側)に設けられている。他の実施例では、第2の回路基板25は、第1の回路基板22の外側(カートリッジ本体11から遠い側)に設けられてもよい。例えば、
図4、
図5に示すように、第2のインターフェース回路251における複数のインターフェースは貫通電気端子とされ、画像形成装置30は、第2のインターフェース回路251のインターフェースの正面に接触し、第2のインターフェース回路251のインターフェースの背面によって第1のインターフェース回路221に接触して接続することができる。
【0033】
第2の回路基板が第1の回路基板の外側に設けられている他のいくつかの実施例では、第2の回路基板25は、第5のインターフェース回路253を有してもよい。
図6、
図7に示すように、第5のインターフェース回路253は、第1のインターフェース回路に接触して電気接続するとともに、転送回路を介して第2のインターフェース回路に電気接続するように設けられている。
【0034】
一例として、
図7に示すように、第2のインターフェース回路251は、インターフェースの数が第1のインターフェース回路221のインターフェースの数と等しく、画像形成装置30と電気接続するように設けられている。例えば、第2のインターフェース回路251の複数のインターフェースは、第1のインターフェース回路221の複数のインターフェースの位置に対応するように設けられている。これにより、画像形成装置30の接触ピンは、第2のインターフェース回路251の複数のインターフェースに接触することが可能となる。
【0035】
この場合、第2のインターフェース回路251の複数のインターフェースは、インクジェット制御信号インターフェース及びデータアクセス信号インターフェースに対応する複数のインターフェースを含む。転送回路254は、第2のインターフェース回路251から伝送された全部の信号を処理して、第2のインターフェース回路251の一部のインターフェースにおける信号を、対応する第3のインターフェース回路252のインターフェースに伝送し、即ち、受信した信号について、ピックアップ処理を行う。具体的に、転送回路254は、第2のインターフェース回路251のデータアクセス信号インターフェースにおける信号を処理して、対応する第3のインターフェース回路252のインターフェースに伝送する。上記処理は、信号の復号化処理、通信プロトコルの転換、信号識別、及びインターフェースマッチングなどのうち、少なくとも1つの処理を含む。
【0036】
一例として、第5のインターフェース回路253のインターフェースの数は、第1のインターフェース回路221よりも少ない。具体的に、第5のインターフェース回路253は、インクジェット制御信号インターフェースのみを有すれば、ノズル回路へインクジェット制御信号を伝送することができるように設けられてもよい。例えば、第5のインターフェース回路253の第1のインターフェース回路221に比べて欠けているインターフェースは、データ信号インターフェースを含んでもよい。
【0037】
一例として、第5のインターフェース回路253は、インターフェースの数が第2のインターフェース回路251のインターフェースの数に一致するように設けられてもよい。第1のインターフェース回路221は、一部のインターフェースとノズル回路222との電気接続が遮断されるように設けられている。例えば、第1のインターフェース回路221のデータアクセス信号インターフェースが遮断される。上記のように設けることで、ノズル回路222がインクジェット制御信号のみを受信し、データアクセス信号を受信せず、データ破壊をある程度避けることができる。
【0038】
本発明のいくつかの実施例では、第2の回路基板15/25には、さらに第2の記憶回路(図示しない)が設けられている。ここで、第2の記憶回路には、少なくとも一部のカートリッジデータが記憶されている。カートリッジデータは、インクジェットカートリッジ10/20の基本情報を示し、インクジェットカートリッジ10/20の製造日、ノズルの種類、型番、色、暗号化方式、ハードウェアのパラメータ情報などのデータを含んでもよい。転送回路154/254は、第2のインターフェース回路151/251からの全部の信号を処理して、そのうちの一部又は全部の信号を第2の記憶回路に伝送する。具体的に、転送回路154/254は、データアクセス信号を処理して第2の記憶回路に伝送して、画像形成装置30の第2の記憶回路のデータへのアクセスを実現させる。
【0039】
上記のように設けることで、画像形成装置30は、第1の記憶回路142/242及び/又は第2の記憶回路に記憶されているデータにアクセスすることができる。転送回路154/254から第2の記憶回路へ伝送される信号は、第3のインターフェース回路152/252(及び第4のインターフェース回路)へ伝送される信号に一致してもよく、一例として、クロック信号、アドレス信号及びデータ信号を含む。
【0040】
研究した結果、従来技術において画像形成装置がインクジェットカートリッジからインク切れを示すインク量情報を読み取った場合に、インク収容チャンバの交換をユーザに提示するが、ユーザによる印刷操作を許すことを発見した。即ち、インク収容チャンバにおけるインクが切れ、ノズル回路における加熱抵抗がインクに囲まれていない場合でも、画像形成装置30がユーザの操作に応じてノズル回路122/222における加熱抵抗の発熱を制御し続けているため、ノズル回路122/222が壊れやすくなる。上記問題の少なくとも一部を改善するために、他のいくつかの実施例では、転送回路154/254はさらに制御回路を備える。制御回路は、第3のインターフェース回路152/252と第2のインターフェース回路151/251との電気接続をゲーティング制御して、前記第1の記憶回路142/242のゲーティングを実現する。例えば、第1の記憶回路142/242におけるデータに異常があった場合、第1の記憶回路142/242を遮断するように制御する。
【0041】
また、制御回路は、第1の記憶回路142/242に記憶されたインク量情報が、予め設定されたデータである場合に、第1の記憶回路142/242と画像形成装置30との通信を干渉するために用いられてもよい。例えば、第1の記憶回路142/242と画像形成装置30との接続を遮断し、又は、第1の記憶回路142/242と画像形成装置30とのデータ伝送に異常が生じるようにさせる。ここで、予め設定されたデータは、画像形成装置30がインクジェットカートリッジ又はインク収容チャンバと予め協議した、インク切れを示す識別データである。本実施例では、制御回路は、第1の記憶回路142/242に記憶されているインク量情報が、予め設定されたデータになった場合に、第1の記憶回路142/242及び画像形成装置30を遮断するように設けられてもよい。例えば、該インク量情報のデータが切れ状態と書き込まれた場合に第1の記憶回路142/242を遮断して、該データが再度改ざんされることを防止する。
【0042】
このように、インクジェットカートリッジ10に装着されているインク収容チャンバ13におけるインクが切れた場合に、画像形成装置30の印刷動作を強制的に停止させて、インク収容チャンバの交換をユーザに促すことができる。
【0043】
相応的に、転送回路154/254が第2の記憶回路を備える場合に、制御回路は、第1の記憶回路142/242に記憶されているデータが予め設定されたデータになったときに、第2の記憶回路と画像形成装置30との通信を干渉することに用いられてもよい。
【0044】
一例として、転送回路154/254は、第2のインターフェース回路151/251から伝送された信号を処理して一部又は全部の信号を第3のインターフェース回路152/252及び/又は第5のインターフェース回路253に伝送するための信号処理ユニットを備えてもよい。
図3に示すように、転送回路154/254は、受信した信号を、第1の記憶回路142/242及び/又は第2の記憶回路及び/又はノズル回路122/222の信号に適用する信号に処理する。信号処理ユニットは、受信した信号を対応する種類の信号インターフェースに伝送するための複数の導線であってもよい。
【0045】
本実施例の他の実施の形態では、ノズル回路122/222には、最初のインク収容チャンバのインク量情報が記録されてもよい。最初のインク収容チャンバとは、インク収容チャンバを初めて交換する前にインクジェットカートリッジ10/20に装着されたインク収容チャンバを指す。インクジェットカートリッジ10/20が初めて使い切れたため、ノズル回路122/222に記憶されたインク量情報は、変更不可能な切れ状態と書き込まれる。この場合に、第1の記憶回路142/242は、ノズル回路122/222におけるインク量情報の修復に使用されてもよい。具体的に、第1の記憶回路142/242は、ノズル回路122/222において切れ状態を示すインク量データのインク量修復値を記憶することができる。本実施例では、インク量修復値は、インク量情報の1つであることを理解されたい。
【0046】
実施中に、インクジェットカートリッジ10/20のインク収容チャンバを交換した後に、インクジェットカートリッジ10/20は、画像形成装置30の制御信号を受信した場合に、第1の記憶回路142/242及びノズル回路122/222それぞれに記憶されているインク量情報を並行的に読み取る。最終的に画像形成装置30に伝送されたインク量情報は、2つのインク量情報を重ねたものである。
【0047】
なお、回路基板は、上記インターフェース回路と違う他の電気端子を備えてもよい。他の電気端子は、例えば、データを記録し、又はチップの性能を検知するための複数のインターフェースであってもよい。プリンタと通信しないそれらのインターフェースは、本発明の実施例に記載のインターフェース回路のインターフェースの範囲に属しない。
【0048】
詳しく言えば、
図8に示すように、第2のインターフェース回路151の電気接続端子と、上記第3のインターフェース回路152の電気接続端子とは、それぞれに該第2の回路基板15の異なる領域に設けられている。例えば、第2のインターフェース回路151及び第3のインターフェース回路152それぞれの電気接続端子は、それぞれに第2の回路基板15の両端に設けられてもよい。
【0049】
一例として、
図9に示すように、第3のインターフェース回路152/252及び第4のインターフェース回路141/241のインターフェースは、互いに密接するように設けられている。例えば、インターフェースは、一定の面積を有する電気接触領域として設けられ、溶接又は貼り付けなどによって密着される。一例として、第3のインターフェース回路152/252のインターフェースは、第2の回路基板15/25の表面に設けられた突起状の接点、又は伸縮可能な接触ピンであってもよい。接触ピンは外力の作用により伸縮できる。突起状の接点又は伸縮可能な接触ピンは、第4のインターフェース回路141/241における平面的又は凹状の接点と係合して、第3のインターフェース回路152/252及び第4のインターフェース回路141/241の電気接続端子の接続を一層安定させるとともに取り外しやすくさせることができる。
【0050】
詳しく言えば、該突起状の接点は、以下の手段によって得られる。
【0051】
第1の手段として、既に存在する導電接点に半田又は他の金属材料を設けて、導電接点の厚さを増やして、突起状の接点を形成することができる。第2の手段として、第2の回路基板15/25の第3のインターフェース回路152/252の導電接点が設けられている(電気接続端子)位置を突起させて、該突起状の接点を形成することができる。第3の手段として、インターフェースが可撓性板に設けられた場合に、接点領域の背面を押すことで突起を形成することができる。
【0052】
なお、突起状の接点の高さは、加工の難度を低減させて品質の安定性を確保するために、一定の範囲内に制御される必要がある。
【0053】
本実施例において、上記複数のインターフェース回路は様々な位置に設けられてもよい。
【0054】
1つの実施の形態では、
図1に示すように、第2のインターフェース回路151は、第1のインターフェース回路121と収容部の側壁との間(即ち、第1のインターフェース回路121の内側)に設けられてもよい。詳しく言えば、第1のインターフェース回路121の電気接続端子は、第1の回路基板12の収容部に向く面に設けられ、第2の回路基板15は、第1の回路基板12の該収容部に向く側に設けられ、第2のインターフェース回路151の電気接続端子は、第2の回路基板15の第1の回路基板12に向く面に設けられ、これにより、第2のインターフェース回路151の少なくとも一部の電気接続端子と、第1のインターフェース回路121の対応する電気接続端子とが接続される。
【0055】
本実施例において、第2の回路基板15は様々な構造であってもよい。一例として、
図1に示すように平板状をなしてもよい。インク収容チャンバが収容部に収容されている場合に、インク収容チャンバは収容部よりも高く、収容部よりも高い部分が外に露出し、第4のインターフェース回路がインク収容チャンバの収容部より高くて露出した側壁に設けられている。この場合、インク収容チャンバの一部が収容部の外側に露出したため、インク収容チャンバの露出した側壁に、他の回路と接続するための第4のインターフェース回路141を簡便に設けることができる。第4のインターフェース回路141と他の回路とを接続するための切欠き又は穴を収容部に設ける必要はないため、収容部の構造への影響が比較的に少ない。ここで、第2の回路基板15の第3のインターフェース回路152が設けられた領域は、収容部に位置し、且つ、インク収容チャンバ13における第4のインターフェース回路141に対応する位置にある。これにより、インク収容チャンバ13が収容部に装着されている場合に、第3のインターフェース回路152が第4のインターフェース回路141にちょうど接続される。
【0056】
他の例として、
図8に示すように、第2の回路基板15は、可撓性基板であるため、収容部の特定の側壁aに沿って湾曲するように設けられている。該特定の側壁aとは、第1の回路基板12(又は第1のインターフェース回路121)が設けられた側壁を指す。具体的には、第2の回路基板15は、湾曲してU字状構造になり、該U字状構造では、底部と、該底部の対向する2つの側辺とそれぞれに繋いだ2つの側部U1及びU2とを有し、側部U1は前記特定の側壁aの収容部の外に向く面に接触し、側部U2は前記特定の側壁aの収容部の内に向く面に接触する。U字状板の両端はそれぞれに側部U1及び側部U2に位置する。これにより、U1はU1領域、U2はU2領域とも呼ばれる。この場合、該U字状構造では、自体の形状によって、収容部の特定の側壁aを乗り越えて、特定の側壁aの異なる側におけるインターフェース回路を接続することができるため、特定の側壁aに穴又は開口を設ける必要はない。ここで、第3のインターフェース回路152は、側部U2においてU字状構造の外側に向く面(即ち、前記特定の側壁aとは反対する面)に設けられてもよい。ここで、U字状構造の底部領域には、第2のインターフェース回路151と第3のインターフェース回路152の一部とを接続するための導線が複数設けられている。
【0057】
ここで、U字状板は両端部がそれぞれにU1領域及びU2領域に位置するが、U1領域は、U字状板の端部領域だけでなく、U字状板の底部と繋いだ側辺全体を含んでもよい。同じ理由で、U2領域も、U字状板の底部と繋いだ側辺全体を含んでもよい。
【0058】
このように、画像形成装置30は、第1のインターフェース回路121、第2のインターフェース回路151、転送回路154、第3のインターフェース回路152及び第4のインターフェース回路141を順次に通じて第1の記憶回路142にアクセスすることができる。
【0059】
他の実施の形態では、第1のインターフェース回路221が収容部の側壁に設けられ、第2のインターフェース回路251が第1のインターフェース回路221の外側(即ち、収容部とは反対する側)に設けられてもよい。
【0060】
詳しく言えば、
図9及び
図10に示すように、インク収容チャンバ23がカートリッジ本体21に装着されており、第1の回路基板22がカートリッジ本体21の収容部の側壁aに設けられ、第1のインターフェース回路221が第1の回路基板22の該側壁aとは反対する面に設けられている。第2の回路基板25は第1の回路基板22の収容部とは反対する側に設けられており、即ち、第2の回路基板25は第1のインターフェース回路221の収容部とは反対する側に位置する。また、第2のインターフェース回路251は、第2の回路基板25の第1のインターフェース回路221に向く面に設けられているため、少なくとも一部が第1のインターフェース回路221と重なり合う。
【0061】
第5のインターフェース回路253の電気接続端子及び第2のインターフェース回路251の電気接続端子は、それぞれに第2の回路基板25の反対する2つの面に設けられており、該2つの面のうち、一面は第1のインターフェース回路221に向き、他面は第1のインターフェース回路221と反対する。
【0062】
同様に、この実施の形態では、第2の回路基板15/25は、平板状又はU字状の構造であってもよい。ここで、
図1、
図4、
図6、
図9では、第2の回路基板15/25が平板状をなす形態を示しており、
図8、
図10では、第2の回路基板15/25がU字状構造になる形態を示している。本実施例において、第2の回路基板15の形状によって、第3のインターフェース回路252及び第2のインターフェース回路251それぞれの設置位置の相対位置関係が異なる。
【0063】
例えば、
図6に示すように、第2の回路基板25が平板状をなす場合に、第3のインターフェース回路252は、第2の回路基板25の側壁a(第1のインターフェース回路221が設けられている側壁)に向く面に設けられ、第5のインターフェース回路253は、第1のインターフェース回路221に近い面に設けられている。この場合、第3のインターフェース回路252の電気接続端子及び第5のインターフェース回路253の電気接続端子それぞれは、第2の回路基板25の同じ面に設けられている。
【0064】
また、
図10に示すように、第2の回路基板25がU字状構造になる場合に、該U字状構造では、側部U2を有し、第3のインターフェース回路252は、側部U2のU字状構造の外側に向く面に設けられ、第5のインターフェース回路253は、側部U1のU字状構造の外側に向く面に設けられている。ここで、側部U2及び側部U1それぞれは、U字状構造の外側に向く面がU字状構造の外側面である。言い換えれば、この場合、第3のインターフェース回路252及び第5のインターフェース回路253それぞれの電気インターフェースは、それぞれに第2の回路基板25の異なる面の異なる領域に設けられている。
【0065】
さらに、画像形成装置30の一側に位置する接触ピンは、通常、第1のインターフェース回路121/221の位置に合わせて設けられるため、インクジェットカートリッジ10/20が画像形成装置30に装着された場合に、画像形成装置30の接触ピンは第1のインターフェース回路121/221に接することができる。従って、第2の回路基板15/25における第2のインターフェース回路151/251が設けられた領域は、前記第1のインターフェース回路121/221を覆うことができる。このように、インクジェットカートリッジ10が画像形成装置30に装着された場合に、画像形成装置30の接触ピンは、第2のインターフェース回路151/251にちょうど接することができる。
【0066】
本実施例では、さらに回路基板を提供する。該回路基板には、本実施例に係る第2のインターフェース回路151/251、第3のインターフェース回路152/252、及び転送回路154/254が設けられており、転送回路は、第2のインターフェース回路151/251及び第3のインターフェース回路152/252間の信号伝送を処理することができるように設けられている。
【0067】
本実施例では、さらにインクジェットカートリッジ部品を提供する。インクジェットカートリッジ部品は、カートリッジ本体11と、カートリッジ本体11に設けられた第1の回路基板12及び第2の回路基板15と、交換可能なインク収容チャンバを収容可能な収容部とを備える。ここで、第1の回路基板12には、互いに電気接続されたノズル回路122及び第1のインターフェース回路121が設けられており、第2の回路基板15には、第2のインターフェース回路151及び第3のインターフェース回路152が設けられている。第2のインターフェース回路151及び第1のインターフェース回路121は、カートリッジ本体11の同じ側に設けられており、且つ互いに電気接続されている。また、第2の回路基板には、転送回路がさらに設けられている。転送回路は、第2のインターフェース回路及び第3のインターフェース回路間の信号伝送を処理することができるように設けられている。
【0068】
前述した通り、本願の実施例は、インクジェットカートリッジ、回路基板及びインクジェットカートリッジ部品を提供する。ここで、インクジェットカートリッジは、カートリッジ本体と、カートリッジ本体に設けられた第1の回路基板とを備える。該第1の回路基板には、互いに接続されるノズル回路及び第1のインターフェース回路が設けられている。前記インクジェットカートリッジは、カートリッジ本体に設けられた第2の回路基板と、収容部と、交換可能なインク収容チャンバとをさらに備える。前記第2の回路基板には、第2のインターフェース回路及び第3のインターフェース回路が設けられている。前記第2のインターフェース回路及び第1のインターフェース回路は、カートリッジ本体の同じ側に設けられており、且つ互いに電気接続されている。前記インク収容チャンバは前記収容部内に収容され、前記インク収容チャンバは互いに電気接続された第1の記憶回路及び第4のインターフェース回路を有する。前記第4のインターフェース回路は、前記第3のインターフェース回路と電気接続することが可能である。前記第1の記憶回路には、少なくとも前記インク収容チャンバのインク量情報が記憶されている。前記第2の回路基板には、転送回路がさらに設けられている。前記転送回路は、第2のインターフェース回路及び第3のインターフェース回路間の信号伝送を処理することができるように設けられている。上記の設計により、インクジェットカートリッジのインク収容チャンバを簡便に交換することができ、また、カートリッジの各チップ間で情報が順調に伝送されるため、カートリッジの情報の正常なインタラクションが確保される。インクジェットカートリッジのインク収容チャンバを交換した後に、プリンタがインクジェットカートリッジから読み取ったインク量情報は、交換後のインク収容チャンバのインク量の状況を反映することができる。
【0069】
なお、第1の記憶回路を有するインク収容チャンバと、転送回路とを設けることにより、転送回路と、第1の記憶回路を有するインク収容チャンバとは、別々に量産でき、生産率が高まる。また、転送回路の再利用も可能になり、資源が節約される。
【0070】
なお、本願では、別途に明確に規定及び限定しなければ、「設ける」、「装着する」、「繋ぐ」、「接続する」という用語は、広義的に理解されるべきであり、例えば、固定するように接続し、着脱可能に接続し、又は、一体的に接続してもよく、機械的接続であってもよく、電気接続であってもよく、直接に接続してもよく、媒体を介して間接的に接続してもよく、2つの素子内部の連通であってもよい。本業者であれば、実際の状況に応じて、上記用語の本願での具体的な意味を理解することができる。
【0071】
なお、本明細書では、例えば「第1」及び「第2」などのような関係用語は、一方の実物又は操作と、他方の実物又は操作との区別をつけるために使用され、これらの実物又は操作間に実際的な関係又は順序があることを示すものではない。
【0072】
以上は、本願の発明を実施するための形態に過ぎず、本願の技術的範囲がこれらに限らず、当業者が本願に記載の技術的範囲内で容易に想到できるすべての変更又は置き換えは、本願の技術的範囲内に属する。従って、本願の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載に準じるべきである。