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特許7253637マルチリンクによるデータ受信に応答する方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-29
(45)【発行日】2023-04-06
(54)【発明の名称】マルチリンクによるデータ受信に応答する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/04 20090101AFI20230330BHJP
   H04W 76/15 20180101ALI20230330BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20230330BHJP
【FI】
H04W28/04 110
H04W76/15
H04W84/12
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021557458
(86)(22)【出願日】2020-07-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-08
(86)【国際出願番号】 CN2020102679
(87)【国際公開番号】W WO2021243819
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2021-09-27
(31)【優先権主張番号】202010495582.0
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521406639
【氏名又は名称】チョントゥー ジミー テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CHENGDU XGIMI TECHNOLOGY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Building 4, Zone A, Tianfu Software Park, No. 1129 Century City Road, High-tech Zone, Chengdu, Sichuan, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ハオ
(72)【発明者】
【氏名】シエ,ファン
(72)【発明者】
【氏名】リャオ,ヤン
【審査官】長谷川 篤男
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-535953(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0184233(US,A1)
【文献】Rojan Chitrakar et al.,Multi-link acknowledgment,IEEE 802.11-19/1512r5,2019年11月13日
【文献】Abhishek Patil et al.,MLO: Acknowledgement procedure,IEEE 802.11-20/0024r3 ,2020年05月06日
【文献】Insun Jang et al.,Indication of Multi-link Information,IEEE 802.11-20/0028r6,2020年06月04日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッセージイニシエータがそれぞれ複数本のリンクにおいてブロック確認追加(ADDBA)要求メッセージをメッセージレスポンダーに送信するステップと、
メッセージイニシエータがそれぞれ複数本のリンクから、メッセージレスポンダーにより送信されたADDBA応答メッセージを受信するステップであって、前記ADDBA応答メッセージは、メッセージレスポンダーがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーの使用モードに同意することを指示するパラメータML-BA Policyを含むステップと、
メッセージイニシエータがそれぞれ複数本のリンクにおいて収束されたデータパケットをメッセージレスポンダーに送信するステップと、を含
マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用し、且つこのリンクがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーメッセージを伝送することをADDBA応答メッセージ中のML-BA Policyパラメータが指示する場合、メッセージイニシエータがこのリンクにおいてBA要求メッセージをメッセージレスポンダーに送信するステップと、
マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用し、且つこのリンクがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーメッセージを伝送しないことをADDBA応答メッセージ中のML-BA Policyパラメータが指示する場合、メッセージイニシエータがこのリンクにおいてBA要求メッセージをメッセージレスポンダーに送信しないステップと、をさらに含むことを特徴とするマルチリンクによるデータ受信に応答する方法。
【請求項2】
前記マルチリンク協調ブロック確認ポリシーの使用モードは、
マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用しないこと、
マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用し、且つこのリンクがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーメッセージを伝送すること、
マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用し、且つこのリンクがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーメッセージを伝送しないこと、のうちの少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のマルチリンクによるデータ受信に応答する方法。
【請求項3】
メッセージイニシエータは、明示的なブロック確認要求方式又は暗黙的なブロック確認要求方式でBA要求メッセージをメッセージレスポンダーに送信し、前記明示的なブロック確認要求方式とは、単独のBA要求メッセージデータパケットを送信することであり、前記暗黙的なブロック確認要求方式とは、暗黙的なBA要求メッセージを含むデータパケットを送信することである、ことを特徴とする請求項に記載のマルチリンクによるデータ受信に応答する方法。
【請求項4】
メッセージイニシエータにおいてそれぞれ異なるリンクで動作する1つ又は複数の論理エンティティ(STA)が、メッセージレスポンダーにより送信されたBAメッセージを1本又は複数本のリンクから受信し、BAメッセージ中の受信されたデータパケット又は/及び受信されていないデータパケット情報をメッセージイニシエータのデータパケット受送信管理ユニット(PDU-TRMU)に送信するステップと、
メッセージイニシエータのPDU-TRMUが複数本のリンクにおける次の収束されたデータパケットのデータパケットを設定し、それぞれ収束されたデータパケットをメッセージイニシエータの複数のSTAに送信し、又は、それぞれデータパケット情報をメッセージイニシエータの複数のSTAに送信するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項1~請求項のいずれかに記載のマルチリンクによるデータ受信に応答する方法。
【請求項5】
前記ADDBA要求メッセージは、メッセージイニシエータにより要求されたマルチリンク協調ブロック確認ポリシーの使用モードを指示するパラメータML-BA Policyを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のマルチリンクによるデータ受信に応答する方法。
【請求項6】
メッセージレスポンダーにおいてそれぞれ異なるリンクで動作する複数の論理エンティティ(STA)がそれぞれ複数本のリンクから、メッセージイニシエータにより送信されたADDBA要求メッセージを受信し、ADDBA要求メッセージ中のパラメータ情報を含むメッセージをメッセージレスポンダーのデータパケット受送信管理ユニット(PDU-TRMU)に送信するステップと、
メッセージレスポンダーのPDU-TRMUがマルチリンク協調ブロック確認ポリシー実行表を決定し、マルチリンク協調ブロック確認ポリシー実行表に従って、メッセージをメッセージレスポンダーの複数のSTAに送信するステップと、
メッセージレスポンダーの複数のSTAが、それぞれ受信したメッセージレスポンダーのPDU-TRMUにより送信されたメッセージに基づいて、ADDBA応答メッセージ中のパラメータML-BA Policyを設定するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載のマルチリンクによるデータ受信に応答する方法。
【請求項7】
前記マルチリンク協調ブロック確認ポリシー実行表は、マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用するか否かを指示するパラメータML-BA enable、及びブロック確認を送信すべきメッセージレスポンダーSTAリストを指示するパラメータML-BA STA listを含み、
メッセージレスポンダーのPDU-TRMUがメッセージをメッセージレスポンダーSTAに送信し、メッセージレスポンダーSTAがADDBA応答メッセージ中のパラメータML-BA Policyを設定するステップは、
パラメータML-BA enableがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用することを指示すると、メッセージレスポンダーPDU-TRMUがML-BA STA listにあるSTAにメッセージを送信することで、メッセージイニシエータに応答するADDBA応答メッセージ中、パラメータML-BA Policyを、マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用し且つこのリンクがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーメッセージを伝送することを指示するように設定することをSTAに指示するステップと、
メッセージレスポンダーSTAがメッセージレスポンダーのPDU-TRMUメッセージ中、パラメータML-BA Policyに対する設定を受信すると、メッセージレスポンダーのPDU-TRMUにより送信されたメッセージに従って設定し、そうではないと、マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用しないことを指示するように設定するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項に記載のマルチリンクによるデータ受信に応答する方法。
【請求項8】
メッセージレスポンダーのPDU-TRMUがメッセージをメッセージレスポンダーSTAに送信するステップは、
ML-BA STA listにないSTAにメッセージを送信することで、メッセージイニシエータに応答するADDBA応答メッセージ中、パラメータML-BA Policyを、マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用し且つこのリンクがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーメッセージを伝送しないように設定することをSTAに指示するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項に記載のマルチリンクによるデータ受信に応答する方法。
【請求項9】
メッセージレスポンダーにおける複数のSTAがそれぞれ複数本のリンクから、メッセージイニシエータにより送信された収束されたデータパケットを受信し、収束されたデータパケット中のデータパケット番号及びサービス識別子(TID)を含むメッセージをメッセージレスポンダーのPDU-TRMUに送信するステップと、
メッセージレスポンダーのPDU-TRMUがメッセージレスポンダーにおける複数のSTAにより受信されたデータパケット又は/及び受信されていないデータパケットを統計し、TID又は/及びTAに基づいてローカル情報を検索し、対応するML-BA enableがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用することを指示すると、受信されたデータパケット又は/及び受信されていないデータパケット情報をML-BA STA listにあるSTAにフィードバックするステップであって、前記TAは、メッセージイニシエータのアドレスを指示するものであるステップと、
ML-BA STA listにあるSTAがBAメッセージをメッセージイニシエータに送信するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項に記載のマルチリンクによるデータ受信に応答する方法。
【請求項10】
マルチリンクによるデータ受信に応答する装置であって、
それぞれ異なるリンクで動作する複数の論理エンティティ(STA)を含み、
この装置がメッセージイニシエータである場合、前記STAは、
ブロック確認追加(ADDBA)要求メッセージを送信することと、メッセージレスポンダーがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーの使用モードに同意することを指示するパラメータML-BA Policyを含むADDBA応答メッセージを受信することと、収束されたデータパケットを送信することと、マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用し、且つこのリンクがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーメッセージを伝送することをADDBA応答メッセージ中のML-BA Policyパラメータが指示する場合、このリンクにおいてBA要求メッセージをメッセージレスポンダーに送信することと、マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用し、且つこのリンクがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーメッセージを伝送しないことをADDBA応答メッセージ中のML-BA Policyパラメータが指示する場合、このリンクにおいてBA要求メッセージをメッセージレスポンダーに送信しないことと、を実行し、
この装置がメッセージレスポンダーである場合、前記STAは、
ADDBA要求メッセージを受信することと、ADDBA応答メッセージを送信することと、収束されたデータパケットを受信することと、を実行する、ことを特徴とするマルチリンクによるデータ受信に応答する装置。
【請求項11】
この装置は、データパケット受送信管理ユニット(PDU-TRMU)をさらに含み、
この装置がメッセージイニシエータである場合、前記STAは、BAメッセージを受信することと、BAメッセージ中の受信されたデータパケット又は/及び受信されていないデータパケット情報をPDU-TRMUに送信することとをさらに実行し、前記PDU-TRMUは、複数本のリンクにおける次の収束されたデータパケットのデータパケットを設定し、それぞれ収束されたデータパケットをSTAに送信し、又は、それぞれデータパケット情報をSTAに送信することを実行し、
この装置がメッセージレスポンダーである場合、前記STAは、ADDBA要求メッセージ中のパラメータ情報を含むメッセージをPDU-TRMUに送信することと、受信したPDU-TRMUにより送信されたメッセージに基づいてADDBA応答メッセージ中のパラメータML-BA Policyを設定することとをさらに実行し、前記PDU-TRMUは、マルチリンク協調ブロック確認ポリシー実行表を決定し、マルチリンク協調ブロック確認ポリシー実行表に基づいてメッセージをSTAに送信することをさらに実行する、ことを特徴とする請求項1に記載のマルチリンクによるデータ受信に応答する装置。
【請求項12】
この装置がメッセージレスポンダーである場合、前記STAは、収束されたデータパケット中のデータパケット番号及びサービス識別子(TID)を含むメッセージをPDU-TRMUに送信することをさらに実行し、ブロック確認を送信すべきSTAは、さらに、BAメッセージを送信するものであり、
前記PDU-TRMUは、受信されたデータパケット又は/及び受信されていないデータパケットを統計し、TID又は/及びTAに基づいてローカル情報を検索し、対応するパラメータがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用することを指示すると、受信されたデータパケット又は/及び受信されていないデータパケット情報をブロック確認を送信すべきSTAにフィードバックすることをさらに実行し、前記TAは、メッセージイニシエータのアドレスを指示するものである、ことを特徴とする請求項1に記載のマルチリンクによるデータ受信に応答する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、無線通信分野に関し、特にマルチリンクによるデータ受信に応答する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
802.11beネットワークは、Extremely High Throughput(EHT)ネットワークとも呼ばれ、一連のシステム特性及び複数のメカニズム強化機能を通じて極めて高いスループットを可能とする。ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)の使用が持続的に増えるに伴い、多くの環境(例えば家庭、企業やホットスポット)においてワイヤレスデータサービスを提供することがますます重要となっている。特に、ビデオトラフィックは多くのWLAN配置における主要なトラフィックのタイプであり続ける。
【0003】
4k及び8kビデオ(20Gbpsの非圧縮速度)の出現により、これらのアプリケーションのスループットへの要求が高まりつつある。例えば仮想現実又は拡張現実、ゲーム、リモートオフィスやクラウドコンピューティングのような新しいハイスループット、低遅延のアプリケーションプログラムは急増する傾向がある(例えば、リアルタイムゲーム遅延が5ミリ秒未満)。
【0004】
これらのアプリケーションプログラムのハイスループット及び厳格なリアルタイム遅延の要求に答えて、ユーザからは、WLANを通じてそのアプリケーションプログラムをサポートする場合、より高いスループット、より高信頼性、より少ない遅延やジッター、より高い電源効率が求められる。時間に敏感なネットワーク(TSN)との集積を改良して、ヘテロジニアスイーサネット(登録商標)及びワイヤレスLANでのアプリケーションプログラムをサポートできるようにすることがユーザにより期待される。
【0005】
802.11beネットワークは、総スループットをさらに向上させて、遅延を低下させることによりWLANの競争力を確保しつつ、古い技術基準との下位互換性や共存を確保することを目的とする。802.11互換性機器は、2.4GHz、5GHz及び6GHz周波数帯域で実行される。
【0006】
802.11beネットワークでは、上述の目的を達成させるために、端末とアクセスポイントとの間に複数のデータ伝送リンクを構築し、複数のリンクを介して同時に伝送することにより伝送速度を向上させることが提案される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
802.11ネットワークでは、ネットワークの信頼性を確保するために、送信側が1つのデータパッケージを送信するごとに、このデータパケットを正しく受信したか否かを送信側に知らせるために、受信側が送信側に1つのACKメッセージを戻す必要がある。ネットワークデータレートの向上とともに、ネットワークにより、送信側が複数のデータパケットを送信した後、受信側が複数のデータパケットに対してフィードバックし、このように、複数のデータパケットに対してフィードバックするメッセージは、ブロック確認(Block ACK、BA)メッセージと呼ばれる。
【0008】
マルチリンクの動作シーンでは、従来技術の実施態様によれば、リンクのそれぞれにおいてBlock ACKをフィードバックする必要があるが、実際に受信する物理エンティティ及び送信する物理エンティティは、それぞれ1つだけであり、つまり、データパケットの割り当て主体は、1つだけであり、複数本のリンクにおいてそれぞれACKをフィードバックするには、データパケットを厳密に分割してから、各リンクに割り当てて送信する必要があり、送信側は、受信側によりフィードバックされたBlock ACKに基づいて、送信するデータパケットウィンドウを調整する必要がある。
【0009】
これによって、
第1には、データの送受信管理の複雑度が高くなり、データを割り当てる前に、ネットワーク条件に応じてデータ割り当てを行う必要があり、複数のデータパケットの配列番号を用いて、データの受送信管理を行う必要があるため、データ送信側の複雑度が高くなり、受信側のデータ合併及び再順序付けの操作上の複雑度が高くなる。
【0010】
第2には、ネットワーク条件送信が変わると、データ受送信プランを柔軟に調整できず、あるリンクにおいてネットワーク条件が劣化する恐れがあるため、データキャッシュが多いが、厳密なデータ割り当てポリシーに従うしかなく、ネットワーク条件が良好なその他のリンクを用いて送信することができず、ネットワークスループット及び効率が低くなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本出願は、マルチリンクシーンでデータパッケージ受送信を管理する方法を提供し、データを統一管理することにより、上記問題を解決する。
【0012】
第1の態様によれば、マルチリンクによるデータ受信に応答する方法が提供され、マルチリンクによるデータ受信に応答する方法は、メッセージイニシエータがそれぞれ複数本のリンクにおいてブロック確認追加(ADDBA)要求メッセージをメッセージレスポンダーに送信するステップと、メッセージイニシエータがそれぞれ複数本のリンクから、メッセージレスポンダーにより送信されたADDBA応答メッセージを受信するステップであって、前記ADDBA応答メッセージは、メッセージレスポンダーがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーの使用モードに同意することを指示するパラメータML-BA Policyを含むステップと、メッセージイニシエータがそれぞれ複数本のリンクにおいて収束されたデータパケットをメッセージレスポンダーに送信するステップとを含む。
【0013】
マルチリンク協調ブロック確認ポリシーとは、複数本のリンクがデータを受送信するシーンでは、異なるリンクにおけるデータパケットの受信状態を統合し、次に1本のリンク又は複数本のリンクにおいて、全てのリンクにおけるデータパケットの受信状態を含むBAメッセージを送信する必要があることである。
【0014】
例示的には、リンク協調ブロック確認ポリシーの使用モードは、マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用しないこと、マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用し、且つこのリンクがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーメッセージを伝送すること、マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用し、且つこのリンクがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーメッセージを伝送しないことのうちの少なくとも1つを含む。
【0015】
好ましくは、上記方法は、マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用し、且つこのリンクがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーメッセージを伝送することをADDBA応答メッセージ中のML-BA Policyパラメータが指示する場合、メッセージイニシエータがこのリンクにおいてBA要求メッセージをメッセージレスポンダーに送信するステップと、マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用し、且つこのリンクがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーメッセージを伝送しないことをADDBA応答メッセージ中のML-BA Policyパラメータが指示する場合、メッセージイニシエータがこのリンクにおいてBA要求メッセージをメッセージレスポンダーに送信しないステップと、をさらに含む。
【0016】
例示的には、メッセージイニシエータは、明示的なブロック確認要求方式又は暗黙的なブロック確認要求方式でBA要求メッセージをメッセージレスポンダーに送信し、前記明示的なブロック確認要求方式とは、単独のBA要求メッセージデータパケットを送信することであり、前記暗黙的なブロック確認要求方式とは、暗黙的なBA要求メッセージを含むデータパケットを送信することである。
【0017】
好ましくは、上記方法は、メッセージイニシエータにおいてそれぞれ異なるリンクで動作する1つ又は複数の論理エンティティ(STA)が、メッセージレスポンダーにより送信されたBAメッセージを1本又は複数本のリンクから受信し、BAメッセージ中の受信されたデータパケット又は/及び受信されていないデータパケット情報をメッセージイニシエータのデータパケット受送信管理ユニット(PDU-TRMU)に送信するステップと、メッセージイニシエータのPDU-TRMUが複数本のリンクにおける次の収束されたデータパケットのデータパケットを設定し、それぞれ収束されたデータパケットをメッセージイニシエータの複数のSTAに送信し、又はそれぞれデータパケット情報をメッセージイニシエータの複数のSTAに送信するステップと、を含む。
【0018】
1つの可能な形態では、ADDBA要求メッセージは、メッセージイニシエータにより要求されたマルチリンク協調ブロック確認ポリシーの使用モードを指示するパラメータML-BA Policyを含む。
【0019】
好ましくは、上記方法は、メッセージレスポンダーにおいてそれぞれ異なるリンクで動作する複数の論理エンティティ(STA)がそれぞれ、メッセージイニシエータにより送信されたADDBA要求メッセージを複数本のリンクから受信し、ADDBA要求メッセージ中のパラメータ情報を含むメッセージをメッセージレスポンダーのデータパケット受送信管理ユニット(PDU-TRMU)に送信するステップと、メッセージレスポンダーのPDU-TRMUがマルチリンク協調ブロック確認ポリシー実行表を決定し、マルチリンク協調ブロック確認ポリシー実行表に基づいてメッセージをメッセージレスポンダーの複数のSTAに送信するステップと、メッセージレスポンダーの複数のSTAが、それぞれ受信したメッセージレスポンダーのPDU-TRMUにより送信されたメッセージに基づいて、ADDBA応答メッセージ中のパラメータML-BA Policyを設定するステップと、をさらに含む。
【0020】
例示的には、上記マルチリンク協調ブロック確認ポリシー実行表は、マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用するか否かを指示するパラメータML-BA enable、及びブロック確認を送信すべきメッセージレスポンダーSTAリストを指示するパラメータML-BA STA listを含み、
メッセージレスポンダーのPDU-TRMUがメッセージをメッセージレスポンダーSTAに送信し、メッセージレスポンダーSTAがADDBA応答メッセージ中のパラメータML-BA Policyを設定するステップは、
パラメータML-BA enableがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用することを指示すると、メッセージレスポンダーPDU-TRMUがML-BA STA listにあるSTAにメッセージを送信することで、メッセージイニシエータに応答するADDBA応答メッセージ中、パラメータML-BA Policyを、マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用し且つこのリンクがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーメッセージを伝送することを指示するように設定することをこれらのSTAに指示するステップと、
メッセージレスポンダーSTAがメッセージレスポンダーのPDU-TRMUメッセージ中のパラメータML-BA Policyに対する設定を受信すると、メッセージレスポンダーのPDU-TRMUにより送信されたメッセージに従って設定し、そうではないと、マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用しないことを指示するように設定するステップと、をさらに含む。
【0021】
好ましくは、メッセージレスポンダーのPDU-TRMUがメッセージをメッセージレスポンダーSTAに送信するステップは、ML-BA STA listにないSTAにメッセージを送信することで、メッセージイニシエータに応答するADDBA応答メッセージ中、パラメータML-BA Policyを、マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用し且つこのリンクがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーメッセージを伝送しないように設定することをSTAに指示するステップをさらに含む。
【0022】
好ましくは、上記方法は、メッセージレスポンダーにおける複数のSTAがそれぞれ複数本のリンクから、メッセージイニシエータにより送信された収束されたデータパケットを受信し、収束されたデータパケット中のデータパケット番号及びサービス識別子(TID)を含むメッセージをメッセージレスポンダーのPDU-TRMUに送信するステップと、メッセージレスポンダーのPDU-TRMUがメッセージレスポンダーにおける複数のSTAにより受信されたデータパケット又は/及び受信されていないデータパケットを統計し、TID又は/及びTAに基づいてローカル情報を検索し、対応するML-BA enableがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用することを指示すると、受信されたデータパケット又は/及び受信されていないデータパケット情報をML-BA STA listにあるSTAにフィードバックするステップであって、前記TAは、メッセージイニシエータのアドレスを指示するものであるステップと、ML-BA STA listにあるSTAがBAメッセージをメッセージイニシエータに送信するステップと、をさらに含む。
【0023】
第2態様によれば、マルチリンクによるデータ受信に応答する装置が提供され、マルチリンクによるデータ受信に応答する装置は、それぞれ異なるリンクで動作する複数の論理エンティティ(STA)を含み、この装置がメッセージイニシエータである場合、前記STAは、ブロック確認追加(ADDBA)要求メッセージを送信することと、メッセージレスポンダーがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーの使用モードに同意することを指示するパラメータML-BA Policyを含むADDBA応答メッセージを受信することと、収束されたデータパケットを送信することと、を実行し、
この装置がメッセージレスポンダーである場合、前記STAは、ADDBA要求メッセージを受信することと、ADDBA応答メッセージを送信することと、収束されたデータパケットを受信することと、を実行する。
【0024】
好ましくは、この装置がメッセージイニシエータである場合、前記STAは、マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用し、且つこのリンクがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーメッセージを伝送することをADDBA応答メッセージ中のML-BA Policyパラメータが指示する場合、このリンクにおいてBA要求メッセージをメッセージレスポンダーに送信することと、マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用し、且つこのリンクがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーメッセージを伝送しないことをADDBA応答メッセージ中のML-BA Policyパラメータが指示する場合、このリンクにおいてBA要求メッセージをメッセージレスポンダーに送信しないことと、をさらに実行する。
【0025】
好ましくは、この装置は、データパケット受送信管理ユニット(PDU-TRMU)をさらに含み、この装置がメッセージイニシエータである場合、前記STAは、BAメッセージを受信することと、BAメッセージ中の受信されたデータパケット又は/及び受信されていないデータパケット情報をPDU-TRMUに送信することとをさらに実行し、前記PDU-TRMUは、複数本のリンクにおける次の収束されたデータパケットのデータパケットを設定し、それぞれ収束されたデータパケットをSTAに送信し、又は、それぞれデータパケット情報をSTAに送信することを実行する、
この装置がメッセージレスポンダーである場合、前記STAは、ADDBA要求メッセージ中のパラメータ情報を含むメッセージをPDU-TRMUに送信することと、受信したPDU-TRMUにより送信されたメッセージに基づいて、ADDBA応答メッセージ中のパラメータML-BA Policyを設定することとをさらに実行し、前記PDU-TRMUは、マルチリンク協調ブロック確認ポリシー実行表を決定し、マルチリンク協調ブロック確認ポリシー実行表に基づいて、メッセージをSTAに送信することを実行する。
【0026】
好ましくは、この装置がメッセージレスポンダーである場合、前記STAは、収束されたデータパケット中のデータパケット番号及びサービス識別子(TID)を含むメッセージをPDU-TRMUに送信することを実行し、ブロック確認を送信すべきSTAは、さらにBAメッセージを送信するものであり、
前記PDU-TRMUは、受信されたデータパケット又は/及び受信されていないデータパケットを統計し、TID又は/及びTAに基づいて、ローカル情報を検索し、対応するパラメータがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用することを指示すると、受信されたデータパケット又は/及び受信されていないデータパケット情報をブロック確認を送信すべきSTAにフィードバックすることを実行し、前記TAは、メッセージイニシエータのアドレスを指示するものである。
【発明の効果】
【0027】
本出願は、ADDBA応答メッセージ(又は、ADDBA応答メッセージ及びADDBA要求メッセージ)にパラメータML-BA Policyを追加することで、マルチリンク協調ブロック確認ポリシーの使用モードを指示し、マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用するか否かを確認し、次にデータパケットの受送信を協調するPDU-TRMU論理ユニットを導入し、データを統一管理することを実現し、データの送受信管理の複雑度を低減させ、ネットワークスループット及び効率を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本出願について、実施例により図面を参照して説明する。
図1】本出願の一実施例のマルチリンクによるデータ受信に応答する方法の模式図である。
図2】本出願別の実施例のマルチリンクによるデータ受信に応答する方法の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を用いて、本出願の技術案について説明する。
【0030】
本出願の実施例では、「一例」、「例えば」などの用語は、例、検証又は説明として使用されることを表す。本出願では、「一例」として説明される実施例又は設計の態様は、他の実施例又は設計の態様よりも好ましいか又はより優位的であるとして理解できない。正確に言えば、例という用語を使用する場合は、具体的な形態で概念を説明することを目的とする。
【0031】
本出願の目的、技術案及び利点をより明瞭にするために、以下、特定の実施例を用いて、本出願についてさらに詳細に説明する。ここで説明される特定の実施例は、本出願を解釈するものに過ぎず、本出願を限定するものではない。
【0032】
本出願では、データ伝送を開始するマルチリンク機器(Multi-link Device、MLD)は、メッセージイニシエータと呼ばれ、データ伝送に応答するMLDは、メッセージレスポンダーと呼ばれる。以下の各実施例では、形態をより明瞭にするために、本出願は、2本のリンクを例として説明するが、本出願の発想は、これに限られず、2本より多いリンクの場合にも適用される。
【0033】
以下の実施例では、MLD1は、メッセージイニシエータであり、STA1及びSTA2は、MLD1内にそれぞれリンク1及びリンク2において動作する論理エンティティであり、MLD2は、メッセージレスポンダーであり、STA3及びSTA4は、MLD2内にそれぞれリンク1及びリンク2において動作する論理エンティティである。
【0034】
マルチリンク協調ブロック確認ポリシーとは、複数本のリンクがデータを受送信するシーンでは、異なるリンクにおけるデータパケットの受信状態を統合し、次に1本のリンク又は複数本のリンクにおいて、全てのリンクにおけるデータパケットの受信状態を含むBAメッセージを送信する必要があることである。
【0035】
本出願のマルチリンクによるデータ受信に応答する方法は、メッセージイニシエータがそれぞれ複数本のリンクにおいてブロック確認追加(ADDBA)要求メッセージをメッセージレスポンダーに送信するステップと、メッセージイニシエータがそれぞれ複数本のリンクから、メッセージレスポンダーにより送信されたADDBA応答メッセージを受信するステップであって、前記ADDBA応答メッセージは、メッセージレスポンダーがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーの使用モードに同意することを指示するパラメータML-BA Policyを含むステップと、メッセージイニシエータがそれぞれ複数本のリンクにおいて収束されたデータパケットをメッセージレスポンダーに送信するステップと、を含む。
【0036】
一部の実施例では、上記方法は、メッセージイニシエータがADDBA応答メッセージ中のパラメータML-BA Policyに基づいて、1本又は複数本のリンクにおいてBA要求(BAR)メッセージをメッセージレスポンダーに送信するステップと、メッセージレスポンダーが1本又は複数本のリンクにおいてBAメッセージをメッセージイニシエータに送信するステップと、をさらに含む。
【0037】
一部の実施例では、メッセージイニシエータ及びメッセージレスポンダーは、いずれも、データパケット受送信管理ユニット(PDU-TRMU)を含んでもよく、PDU-TRMUは、メッセージイニシエータ及びメッセージレスポンダーの内部論理ユニットであってもよいし、メッセージイニシエータ及びメッセージレスポンダーの外部論理ユニットであってもよい。
【0038】
メッセージレスポンダーは、受信したADDBA要求メッセージ及び収束されたデータパケット中の対応情報をメッセージレスポンダーのPDU-TRMUに送信し、メッセージレスポンダーPDU-TRMUは、マルチリンク協調ブロック確認ポリシー実行表を決定し、マルチリンク協調ブロック確認ポリシーの具体的な使用モードを決定し、ADDBA応答メッセージ中のパラメータML-BA Policyの設定を指示し、メッセージレスポンダーの全てのリンクにおけるデータパケットの受信状態を統計する。
【0039】
メッセージイニシエータは、受信したBAメッセージ中の対応情報をメッセージイニシエータのPDU-TRMUに送信し、メッセージイニシエータのPDU-TRMUは、複数本のリンクにおける次の収束されたデータパケットのデータパケットを設定する。
【0040】
図1は、本出願の一実施例のマルチリンクによるデータ受信に応答する方法の模式図である。この実施例では、メッセージイニシエータは、明示的なブロック確認要求方式でBARメッセージをメッセージレスポンダーに送信し、すなわち、単独のBARメッセージデータパケットをメッセージレスポンダーに送信する。マルチリンクによるデータ受信に応答する方法は、ステップ1~ステップ10を含む。
【0041】
ステップ1において、STA1は、ADDBA要求(request)メッセージをSTA3に送信し、メッセージは、TID及びTAを含む。
【0042】
TIDは、現在の送信データが属するサービスを識別するサービス識別子である。
【0043】
TAは、メッセージイニシエータのアドレスを指示するものである。
【0044】
一部の実施例では、ADDBA requestメッセージは、メッセージイニシエータにより要求されたマルチリンク協調ブロック確認ポリシーの使用モードを指示するパラメータML-BA Policyをさらに含んでもよい。例示的には、パラメータML-BA Policyは、以下のように設定されてもよい。
【0045】
「0」は、マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用しないことを表す。
【0046】
「1」は、マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用し、且つこのリンクがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーメッセージを伝送することを表す。
【0047】
「2」は、マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用し、且つこのリンクがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーメッセージを伝送しないことを表す。
【0048】
ステップ2において、STA3は、ACKメッセージをSTA1に送信し、STA3がSTA1により送信されたADDBA requestメッセージを受信したことを指示する。
【0049】
ステップ3において、STA2は、ADDBA requestメッセージをSTA4に送信し、メッセージは、TID及びTAを含む。
【0050】
TIDは、現在の送信データが属するサービスを識別するサービス識別子である。
【0051】
TAは、メッセージイニシエータのアドレスを指示するものである。
【0052】
一部の実施例では、ADDBA requestメッセージは、メッセージイニシエータにより要求されたマルチリンク協調ブロック確認ポリシーの使用モードを指示するパラメータML-BA Policyをさらに含んでもよい。例示的には、パラメータ値の設定は、ステップ1と同様である。
【0053】
ステップ4において、STA4は、ACKメッセージをSTA2に送信し、STA4がSTA2により送信されたADDBA requestメッセージを受信したことを指示する。
【0054】
ステップ5において、STA3は、ADDBA応答(response)メッセージをSTA1に送信し、メッセージは、ML-BA Policyを含む。
【0055】
ML-BA Policyは、メッセージレスポンダーがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーの使用モードに同意することを指示する。例示的には、パラメータML-BA Policyは、以下のように設定されてもよい。
【0056】
「0」は、マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用しないことを表す。
【0057】
「1」は、マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用し、且つこのリンクがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーメッセージを伝送することを表す。
【0058】
「2」は、マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用し、且つこのリンクがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーメッセージを伝送しないことを表す。
【0059】
ステップ6において、STA1は、ACKメッセージをSTA3に送信し、STA1がSTA3により送信されたADDBA responseメッセージを受信したことを指示する。
【0060】
ステップ7において、STA4は、ADDBA responseメッセージをSTA2に送信し、メッセージは、ML-BA Policyを含む。
【0061】
ML-BA Policyは、メッセージレスポンダーがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーの使用モードに同意することを指示する。例示的には、パラメータ値の設定は、ステップ5と同様である。
【0062】
ステップ8において、STA2は、ACKメッセージをSTA4に送信し、STA2がSTA4により送信されたADDBA responseメッセージを受信したことを指示する。
【0063】
ステップ9において、STA1及びSTA2は、それぞれリンク1及びリンク2において、収束されたデータパケットをSTA3及びSTA4に送信する。好ましくは、データ中を送信するとき、2本のリンクにおいてデータパケットの送信終了時間を同時に維持する。
【0064】
ステップ10において、現在の2本のリンクデータパケットの送信終了後、STA1及びSTA2は、受信したADDBA responseメッセージ中のML-BA Policyパラメータに基づいて、BA requestメッセージを送信するか否かを判断する。例示的には、
STA1は、受信したADDBA responseメッセージ中のML-BA Policyが「1」である場合、BA requestメッセージをSTA3に送信し、ML-BA Policyが「2」である場合、BA requestメッセージをSTA3に送信しない。
【0065】
STA2は、受信したADDBA responseメッセージ中のML-BA Policyが「1」である場合、BA requestメッセージをSTA4に送信し、ML-BA Policyが「2」である場合、BA requestメッセージをSTA4に送信しない。
【0066】
一部の実施例では、図1に示すように、MLD1及びMLD2は、データパケット受送信管理ユニット(PDU-TRMU)をさらに含んでもよく、PDU-TRMUは、MLD1及びMLD2の内部に含まれる論理ユニットであってもよいし、MLD1及びMLD2と独立した他の装置であってもよく、本出願の実施例では、PDU-TRMUは、MLD1及びMLD2の内部に含まれる論理ユニットである。MLD1及びMLD2がPDU-TRMUを含む場合、マルチリンクによるデータ受信に応答する方法は、ステップ1~ステップ19を含む。
【0067】
ステップ1において、STA1は、ADDBA 要求(request)メッセージをSTA3に送信し、メッセージは、TID及びTAを含む。
【0068】
TIDは、現在の送信データが属するサービスを識別するサービス識別子である。
【0069】
TAは、メッセージイニシエータのアドレスを指示するものである。
【0070】
一部の実施例では、ADDBA requestメッセージは、メッセージイニシエータにより要求されたマルチリンク協調ブロック確認ポリシーの使用モードを指示するパラメータML-BA Policyをさらに含んでもよい。例示的には、パラメータML-BA Policyは、以下のように設定されてもよい。
【0071】
「0」は、マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用しないことを表す。
【0072】
「1」は、マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用し、且つこのリンクがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーメッセージを伝送することを表す。
【0073】
「2」は、マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用し、且つこのリンクがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーメッセージを伝送しないことを表す。
【0074】
ステップ2において、STA3は、ACKメッセージをSTA1に送信し、STA3がSTA1により送信されたADDBA requestメッセージを受信したことを指示する。
【0075】
ステップ3において、STA2は、ADDBA requestメッセージをSTA4に送信し、メッセージは、TID及びTAを含む。
【0076】
TIDは、現在の送信データが属するサービスを識別するサービス識別子である。
【0077】
TAは、メッセージイニシエータのアドレスを指示するものである。
【0078】
一部の実施例では、ADDBA requestメッセージは、メッセージイニシエータにより要求されたマルチリンク協調ブロック確認ポリシーの使用モードを指示するパラメータML-BA Policyをさらに含んでもよい。例示的には、パラメータ値の設定は、ステップ1と同様である。
【0079】
ステップ4において、STA4は、ACKメッセージをSTA2に送信し、STA4がSTA2により送信されたADDBA requestメッセージを受信したことを指示する。
【0080】
ステップ5において、STA3及びSTA4は、それぞれ受信したADDBA requestメッセージ中のパラメータ情報をMLD2のPDU-TRMUに送信する。例示的には、STA3及びSTA4は、それぞれ受信したADDBA requestメッセージ中のTID及びTAをMLD2のPDU-TRMUに送信し、ADDBA requestメッセージがパラメータML-BA Policyをさらに含むと、STA3及びSTA4は、さらにML-BA PolicyをTID及びTAとともに送信する。
【0081】
ステップ6において、メッセージレスポンダーPDU-TRMUは、マルチリンク協調ブロック確認ポリシー実行表を決定する。
【0082】
例示的には、PDU-TRMUは、ローカル能力又はポリシーに基づいて決められてもよいし、又は、STA3及びSTA4により提供されるメッセージイニシエータのADDBA request中のパラメータに基づいて決められてもよく、例えば、ADDBA request中のTIDが同じであるか否か、又は、ADDBA request中、マルチリンク協調ブロック確認ポリシーを用いるべきであることを指示するか否かなどについては、本出願は限定しない。例示的には、マルチリンク協調ブロック確認ポリシー実行表の設定を表1に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
或いは、TIDが1つのメッセージイニシエータに唯一に割り当てられる場合、TIDは、メッセージイニシエータを識別するものであってもよく、TA情報は、不要であってもよい。この場合、マルチリンク協調ブロック確認ポリシー実行表の設定を表2に示す。
【0085】
【表2】
【0086】
ステップ7において、メッセージレスポンダーPDU-TRMUは、マルチリンク協調ブロック確認ポリシー実行表に従って、メッセージをメッセージレスポンダーSTAに送信する。例示的には、具体的には以下のとおりである。
【0087】
ML-BA enableが「1」である場合、ML-BA STA listにあるSTAにメッセージを送信することで、メッセージイニシエータに応答するADDBA responseメッセージ中、ML-BA Policyを「1」に設定することをこれらのSTAに指示し、ML-BA STA listにないSTAにメッセージを送信することで、メッセージイニシエータに応答するADDBA responseメッセージ中、ML-BA Policyを「2」に設定することをこれらのSTAに指示する。
【0088】
ステップ8において、STA3は、ADDBA応答(response)メッセージをSTA1に送信し、メッセージは、ML-BA Policyを含む。
【0089】
ML-BA Policyは、メッセージレスポンダーがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーの使用モードに同意することを指示する。例示的には、PDU-TRMUメッセージ中のこのパラメータに対する設定を受信すると、PDU-TRMUにより送信されたメッセージに従って設定し、そうではないと、「0」に設定する。
【0090】
ステップ9において、STA1は、ACKメッセージをSTA3に送信し、STA1がSTA3により送信されたADDBA responseメッセージを受信したことを指示する。
【0091】
ステップ10において、STA4は、ADDBA responseメッセージをSTA2に送信し、メッセージは、ML-BA Policyを含む。
【0092】
ML-BA Policyは、メッセージレスポンダーがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーの使用モードに同意することを指示する。例示的には、PDU-TRMUメッセージ中のこのパラメータに対する設定を受信すると、PDU-TRMUにより送信されたメッセージに従って設定し、そうではないと、「0」に設定する。
【0093】
ステップ11において、STA2は、ACKメッセージをSTA4に送信し、STA2がSTA4により送信されたADDBA responseメッセージを受信したことを指示する。
【0094】
ステップ12において、TA1及びSTA2は、それぞれリンク1及びリンク2において収束されたデータパケットをSTA3及びSTA4に送信する。好ましくは、データ中を送信するとき、2本のリンクにおいてデータパケットの送信終了時間を同時に維持する。
【0095】
ステップ13において、現在の2本のリンクデータパケットの送信終了後、STA1及びSTA2は、受信したADDBA responseメッセージ中のML-BA Policyパラメータに基づいて、BA requestメッセージを送信するか否かを判断する。例示的には、
STA1は、受信したADDBA responseメッセージ中のML-BA Policyが「1」である場合、BA requestメッセージをSTA3に送信し、ML-BA Policyが「2」である場合、BA requestメッセージをSTA3に送信しない。
【0096】
STA2は、受信したADDBA responseメッセージ中のML-BA Policyが「1」である場合、BA requestメッセージをSTA4に送信し、ML-BA Policyが「2」である場合、BA requestメッセージをSTA4に送信しない。
【0097】
ステップ14において、STA3及びSTA4は、収束されたデータパケットを受信すると、収束されたデータパケット中のデータパケット番号及びTIDをMLD2のPDU-TRMUに送信する。
【0098】
ステップ15において、MLD2のPDU-TRMUは、STA3及びSTA4により受信されたデータパケット、又は/及び受信されていないデータパケットを統計し、TID又は/及びTAに基づいてローカル情報を検索し、対応するML-BA enableがマルチリンク協調ブロック確認ポリシーを使用することを指示すると、受信されたデータパケット又は/及び受信されていないデータパケット情報をML-BA STA listにあるSTAにフィードバックする。
【0099】
ステップ16において、ML-BA STA listにあるSTAは、BAメッセージをメッセージイニシエータにおける対応するSTAに送信する。
【0100】
例えば、
ML-BA STA listにおいて「STA3」である場合、STA3がBAメッセージをSTA1に送信し、
ML-BA STA listにおいて「STA4」である場合、STA4がBAメッセージをSTA2に送信し、
ML-BA STA listにおいて「STA3、STA4」である場合、STA3がBAメッセージをSTA1に送信し、STA4がBAメッセージをSTA2に送信する。
【0101】
ステップ17において、STA1又は/及びSTA2は、BAメッセージ中の受信されたデータパケット又は/及び受信されていないデータパケット情報メッセージをイニシエータのPDU-TRMUに送信する。
【0102】
ステップ18において、メッセージイニシエータのPDU-TRMUは、リンク1及びリンク2における次の収束されたデータパケットのデータパケットを設定し、それぞれ収束されたデータパケットをSTA1及びSTA2に送信し、又はそれぞれデータパケット情報をSTA1及びSTA2に送信する。
【0103】
ステップ19において、STA1及びSTA2は、受信した情報に基づいて、対応する収束されたデータパケットを送信する。
【0104】
図2は、本出願の別の実施例のマルチリンクによるデータ受信に応答する方法の模式図である。この実施例では、メッセージイニシエータは、暗黙的なブロック確認要求方式でBARメッセージをメッセージレスポンダーに送信し、すなわち、メッセージイニシエータは、暗黙的なBARメッセージを含むデータパケットをメッセージレスポンダーに送信する。例えば、データパケットのQoS control fieldでは、ACK policyフィールドを「00」に設定し、メッセージレスポンダーがBAメッセージを送信すべきであることを表す。この実施例の他の部分は、図1に示す実施例と同様であり、ここでは繰り返し説明しない。
【0105】
本出願の実施例は、マルチリンクによるデータ受信に応答する装置をさらに提供し、この装置は、メッセージイニシエータであってもよいし、メッセージレスポンダーであってもよく、それぞれ異なるリンクにおいて動作する複数の論理エンティティ(STA)を含み、一部の実施例では、この装置は、データパケット受送信管理ユニット(PDU-TRMU)をさらに含んでもよい。
【0106】
本実施例によるマルチリンクによるデータ受信に応答する装置は、図1又は図2に示す実施例のマルチリンクによるデータ受信に応答する方法を実現するものであり、本実施例によるマルチリンクによるデータ受信に応答する装置の実現原理及び技術的効果が類似であり、ここでは繰り返し説明しない。
【0107】
なお、本出願の各実施例では、上述の各プロセスの番号の大きさは実行順番を表すものではなく、一部又は全てのステップは、並列実行してもよく、順次実行してもよく、各プロセスの実行順番はその機能及び内的ロジックにより決まり、本出願の実施例の実施過程を何ら限定するものではないことが理解され得る。
【0108】
当業者が理解できるように、本明細書で開示された実施例を参照して説明した各例のユニット及びアルゴリズムのステップは、電子ハードウェア、又はコンピュータソフトウェアと電子ハードウェアとの組み合わせにより実現されてもよい。これらの機能はハードウェアかソフトウェアで実行されるかは、技術案の用途や設計の限定条件によるものである。当業者であれば、用途ごとに異なる方法によって係る機能を実現できるが、このような実現は本出願の範囲から逸脱するものとして理解できない。
【0109】
当業者にとって明らかなように、説明の便宜及び簡潔さのため、上述した装置及びユニットの具体的な作動過程については、前述方法の実施例における対応する過程を参照すればよく、ここでは詳しく説明しない。
【0110】
本出願による一部の実施例では、開示された装置及び方法は他の形態で実現されてもよいことを理解できる。例えば、上述した装置の実施例は例示的なものに過ぎず、例えば、前記ユニットの区分は、ロジック機能に応じた区分に過ぎず、実際に実現する際には、別の区分方式が可能であり、例えば、複数のユニット又はコンポーネントは別のシステムに結合又は集積してもよく、又はいくつかの特徴は無視したり、実行しなかったりすることができる。また、記載又は検討した相互結合又は直接結合又は通信可能な接続はいくつかのインタフェース、装置又はユニットを介した間接結合又は通信可能な接続としてもよく、電気的、機械的又は他の形態としてもよい。
【0111】
上記で分離部材として説明したユニットは、物理的に分離してもよく分離しなくてもよく、ユニットとして示された部材は、物理ユニットであってもよく、物理ユニットでなくてもよく、すなわち、1つの場所に配置されてもよく、複数のネットワークユニットに分散してもよい。実際のニーズに応じてこれらの一部又は全てのユニットを選択して本実施例の技術案の目的を実現してもよい。
【0112】
また、本出願の各実施例における各機能ユニットは、1つの処理ユニットに集積してもよく、各ユニットは個別に物理的に存在してもよく、2つ以上のユニットは1つのユニットに集積してもよい。
【0113】
前記機能がソフトウェア機能ユニットの形態として実現され、独立した製品として販売又は使用される場合、コンピュータ読み取り可能な取記憶媒体に記憶されてもよい。このように知見に基づいて、本出願の技術案は、本質的に又は従来技術に貢献する部分又は該技術案の一部がソフトウェア製品の形態として具現化してもよく、このコンピュータソフトウェア製品は記憶媒体に記憶され、1台のコンピュータ機器(パーソナルコンピュータ、サーバー、ネットワーク機器又は端末機器などであってもよい)に本出願の各実施例に記載の方法の全部又は一部のステップを実行させ得る複数の命令を含む。前述した記憶媒体は、Uメモリ、リムーバブルハードドライブ、ROM、RAM、磁気ディスクや光ディスクなど、プログラムコードを記憶し得る様々な媒体であってもよい。
【0114】
本出願の実施例で使用される用語は特定実施例を説明する目的にのみ使用され、本発明を限定するものではない。文脈において別の定義が明確に記載されていない限り、本出願の実施例及び添付の特許請求の範囲に使用される単数形の「1種」、「前記」、及び「該」は複数形も含むことを意図している。なお、本明細書で使用される用語「及び/又は」とは、記載の関連する1つ又は複数の項目のいずれか又は全ての可能な組み合わせを含むことを意味する。本明細書では、符号「/」は、一般には、前後に記載の関連対象が「又は」の関係にあることを意味する。
【0115】
文脈に依存して、ここで使用される単語の「すれば」又は「と」は、「……であるとき」又は「……場合」又は「決定したことに応答して」又は「検出したことに応答して」として解釈できる。同様に、文脈に依存して、文の「決定すれば」又は「検出すれば(記述する条件又はイベント)」は、「決定した場合」又は「決定したことに応答して」又は「検出した場合(記述する条件又はベンド)」又は「検出したことに応答して(記述する条件又はイベント)」として解釈できる。
【0116】
当業者が理解できるように、上述実施例の方法の全て又は一部のステップは、プログラムにより関連するハードウェアに命令して実現されてもよく、前記プログラムは、機器読み取り可能な記憶媒体に記憶されてもよく、該プログラムが実行されると、上述の全ての又は一部のステップが含まれ、前記記憶媒体は例えば、FLASH、EEPROMなどである。
【0117】
以上は本出願の具体的な実施形態に過ぎず、本出願の特許範囲はそれに限定されず、当業者であれば、本出願で開示された技術的範囲を逸脱することなく、変化又は置換を容易に想到することができ、これらは全て本出願の特許範囲内に属すべきである。従って、本出願の特許範囲は前記特許請求の範囲による特許範囲に準じるべきである。
図1
図2