(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-29
(45)【発行日】2023-04-06
(54)【発明の名称】血管のナビゲーション、評価および/または診断を行うための機器
(51)【国際特許分類】
A61B 5/06 20060101AFI20230330BHJP
A61B 5/029 20060101ALI20230330BHJP
A61M 25/01 20060101ALI20230330BHJP
A61B 5/0215 20060101ALI20230330BHJP
A61M 25/095 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
A61B5/06
A61B5/029
A61M25/01 510
A61B5/0215 B
A61M25/095
(21)【出願番号】P 2022076775
(22)【出願日】2022-05-06
(62)【分割の表示】P 2020104897の分割
【原出願日】2017-06-20
【審査請求日】2022-05-25
(32)【優先日】2016-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518459226
【氏名又は名称】ピッコロ・メディカル,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】サラミニ,アレクセイ
(72)【発明者】
【氏名】ユー,エリック
(72)【発明者】
【氏名】バーネット,ダニエル・アール
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-66098(JP,A)
【文献】特開昭62-101225(JP,A)
【文献】特表2006-501894(JP,A)
【文献】特開2015-91325(JP,A)
【文献】特開2001-245862(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0286537(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0323887(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06
A61B 5/02- 5/03
A61M 25/00-29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーメンのある長尺状本体と、
前記長尺状本体に沿って、前記長尺状本体の遠位端に又はそれに近接して位置決められた第1センサーと、
前記遠位端に近接し、前記第1センサーの近方に位置している1つ以上の開口部と、
前記第1センサーとの通信を行うコントローラと、
前記長尺状本体に組み込まれ、前記コントローラとの通信を行うECG電極と、を含み、
前記第1センサーは、第1流体と第2流体との混合物の少なくとも1つのパラメータを、前記第1流体が前記1つ以上の開口部から放出され前記第2流体に入った後に測定するように構成され、
前記コントローラは、前記混合物の前記少なくとも1つのパラメータを示す信号を受信し、前記信号に基づいて対象者の体内での前記第1センサーの位置を取得するように構成されている、場所検出システム。
【請求項2】
前記ECG電極は、前記少なくとも1つのパラメータを示す前記信号と組み合わせ、体内にあるカテーテルの位置を検出するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記長尺状本体に沿って、前記第1センサーの近位に位置決めされている第2センサーを更に含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つ以上の開口部は、前記第1センサーと前記第2センサーとの間に位置する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第2センサーもまた、前記第1流体と前記第2流体との前記混合物の前記少なくとも1つのパラメータを測定するように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記長尺状本体を規定するカテーテルを更に含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記長尺状本体がスタイレットを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
前記長尺状本体がガイドワイヤを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1センサーが、前記長尺状本体の開口部に又はそれよりも遠位に位置決めされている、請求項2に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1センサーが、前記長尺状本体の前記遠位端に位置決めされている、請求項2に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1センサーは導電率センサーを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項12】
少なくとも部分的に前記長尺状本体内に位置決めされている導管を更に含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1センサーが前記長尺状本体の長手方向軸に沿って位置決めされている、請求項2に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1センサーが前記1つ以上の開口部にうちのいずれかに対して固定距離に位置決めされている、請求項2に記載のシステム。
【請求項15】
前記長尺状本体に組み込まれている圧力センサーを更に含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項16】
前記ルーメンと連通する液溜め部を更に含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項17】
センサーデータが前記第1センサーと前記コントローラとの間で伝送される、請求項2に記載のシステム。
【請求項18】
前記センサーデータは導電率データを含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記コントローラは、前記信号に基づいて、前記対象者の体における血管系内の前記第1センサーの位置を取得するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1センサーは、前記第1流体及び血液において前記少なくとも1つのパラメータを測定するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管のナビゲーション、評価、および/または診断を行うための機器に関する。
【背景技術】
【0002】
中心ライン、中心静脈ラインまたは中心静脈アクセスカテーテルとしても公知の中心血管カテーテル(central vascular catheter)(血管カテーテル)は、首(内頸静脈)、胸(鎖骨下静脈または腋窩静脈)または鼡径部(大腿静脈)にある大静脈に設置されるカテーテルである。主に、薬物または流体を投与し、血液検査値(中心静脈酸素飽和度など)を獲得し、および中心静脈圧力を測定するために使用される。
【0003】
末梢挿入中心静脈カテーテル(PICC:peripherally inserted central catheterまたはPICライン)は、長期間および/または物質の投与に使用され得る血管カテーテルの形態である。これは、末梢部位で皮膚を通って(経皮的に)体内に入り、上大静脈(中心静脈幹(central vein trunk))に延在するカテーテルであり、および数日または数週間、適所に留まり得る。
【0004】
カテーテル(本明細書では「血管カテーテル」と呼ばれるPICC、中心血管カテーテルまたは関連の血管カテーテル)を理想的な場所に設置することは、困難とし得る。カテーテルは、静脈の代わりに誤って動脈に、または間違った静脈または間違った静脈枝に挿入されたり、または行き過ぎたりまたは血管壁に/それに沿って前進されたりすることがある。理想的には、カテーテル先端部は、上大静脈/大静脈心房接合部(cavo-atrial junction)(SVC-CAJ)に設置される。
【0005】
正しい設置は、現在のところ、カテーテル入口点から上大静脈の下方3分の1の推定場所までの距離の、物理的な測定を行うことによって決定される。現在の技術にはいくつかの課題がある。第1に、カテーテルは、静脈の代わりに動脈に入るかもしれない。第2に、カテーテルは、静脈の樹状構造(vein tree)の間違った枝を下方に前進させられるかもしれない。カテーテルは、奇静脈、胸静脈、頸静脈、または枝にある任意の数の追加的な静脈を下方に前進させられるかもしれない。第3に、カテーテルは、上大静脈を通り過ぎて、心臓内へまたは下大静脈内へと前進させられるかもしれない。これは、危険な状況とし得る。第4に、カテーテルは、血管壁に当たるように前進させられたり、またはそこに埋め込まれたりするかもしれず、これは、流体の送給または流体の採取を防止し得る。第5に、カテーテル設置の判断基準は実質的に目に見えないため、胸部x線で設置の検証を裏付ける必要があり、これは、実質的に追加的なコストおよび時間がかかる。第6に、上大静脈の下方3分の1までの推定距離は不正確かもしれない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
その標的の場所まで前進させられるときに、カテーテルの先端部の場所を正確に特定することによって、血管カテーテルにナビゲーションを行うための比較的簡単かつ正確な方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、測定可能なパラメータ(例えば、温度、光反射、音反射など)を伴う媒質の導入を使用して、血管カテーテルの先端部の場所を決定し、かつカテーテルが前進されるときに測定可能なパラメータを感知および測定する、血管カテーテル場所特定およびナビゲーション機器および方法を含む。パラメータの測定値は、経時的に追跡され、記録されおよび分析される。パラメータの値および/またはパラメータ値の形状対時間の曲線が、分析において使用され得る。例えば、曲線の振幅、ばらつき、標準偏差、傾斜などは、カテーテルの場所の分析において使用され得る。
【0008】
一変形例では、場所検出システムは、一般的に、長尺状本体;1つ以上の流路を規定する導管であって、1つ以上の流路のそれぞれが遠位端部を有し、および導管は、導管に対する長尺状本体の位置を固定するように構成される、導管;長尺状本体の遠位端部にまたはそれに近接して位置決めされたセンサーであって、導管は、センサーと1つ以上の流路の遠位端部との間を固定距離に維持し、およびセンサーは、流体が1つ以上の流路の遠位端部から放出された後、流体の少なくとも1つのパラメータを測定するように構成されている、センサー;およびセンサーと通信するコントローラであって、流体の少なくとも1つのパラメータの時間導関数(time-derived function)を決定するように構成され、およびさらに、対象者の体内でのセンサーの位置を獲得するように構成される、コントローラを含み得る。
【0009】
対象者の体内の場所を決定するための方法の一変形例では、方法は、一般的に、カテーテルのルーメン内に長尺状本体を位置決めすること;対象者の体内にカテーテルを位置決めすること;流体を、ルーメンおよび導管の1つ以上の流路を通して体内へ導入すること;対象者の体内への導入後に、センサーを介して、流体の少なくとも1つのパラメータを測定することであって、センサーが、長尺状本体の遠位端部にまたはそれに近接して位置決めされて、センサーが、カテーテルまたは導管の流体出口ポートに対して固定距離に維持されるようにすること;流体の少なくとも1つのパラメータの時間導関数を決定すること;および時間導関数に基づいて、対象者の体内でのセンサーの位置を決定することを含み得る。
【0010】
さらに別の変形例では、カテーテルルーメン内で使用するための場所検出システムは、一般的に、長尺状本体;長尺状本体の遠位端部にまたはそれに近接して位置決めされたセンサーであって、流体がカテーテルルーメンから放出された後、流体の少なくとも1つのパラメータを測定するように構成されている、センサー;およびセンサーと通信するコントローラであって、流体の少なくとも1つのパラメータの時間導関数を決定するように構成され、およびさらに、対象者の体内でのセンサーの位置を獲得するように構成されている、コントローラを含み得る。
【0011】
カテーテルおよびカテーテル先端部に対する、流れの方向、特性、プロファイル、およびタイプは、設置の間、初期の設置後または設置に続いて、カテーテルがある期間適所に置かれた後、および/または引き出す際、カテーテルの位置決めに関する広範囲の情報を提供し得る。
【0012】
本明細書で開示する機器および方法を使用して、ユーザに、以下の条件の1つ以上を知らせ得る:静脈ではなく動脈へのカテーテルの挿入、設置または前進;望ましくない静脈枝へのカテーテルの挿入、設置または前進;心臓に近すぎる、心臓内への、または心臓を通り過ぎてのカテーテルの設置または前進;または血管の壁に当たるような、またはそこに埋め込まれるようなカテーテル先端部の設置。これらの状況のそれぞれについて、本明細書で詳細に説明する。
【0013】
血流の特性および方向は、カテーテルが動脈にあるかまたは静脈にあるかを決定するのを助け得る。静脈の場合、血液は、一般的に、心臓の方へよりゆっくりと流れているが、動脈では、血液は、一般的に、心臓から離れるように、より迅速に流れている。少なくともカテーテルに対する血流の方向および速度は、カテーテルが動脈にあるかまたは静脈にあるかに依存して、異なる。他のフローパラメータも異なり得る(乱流、拍動性など)。さらに、血管のより細い枝内にある血液の流動特性は、より太い血管における流動特性とは異なる。例えば、静脈枝内の血流は、カテーテル先端部が全体的にまたは部分的に静脈枝を閉塞する箇所で、完全にまたは実質的に止まり得る。カテーテル先端部が血管壁に載置される場合、カテーテルの周りのフローパターンは、カテーテル先端部が血液で自由に浮いているときとは、異なる。
【0014】
カテーテル先端部が上大静脈に入り、および右心房または右心室の近くを通過するかまたはそこに入る状況では、血液の流動特性が変化する。例えば、血流は、乱流が多くなったりまたは少なくなったりするかもしれない。乱流が多いまたは少ないことは、異なる流動特性、プロファイル、および流れのタイプを生じ、および様々なタイプのセンサーによって検出され得る。
【0015】
これらの流れのプロファイルの変化は、本明細書で開示する機器および方法を使用して測定され得る。
【0016】
本明細書で開示する機器は、カテーテル、ガイドワイヤ、スタイレット、コントローラ、通信装置、輸液機構、媒質源、1つまたは複数の媒質センサーなどを含み得る。
【0017】
本明細書で開示する機器および方法は、測定可能なパラメータ(温度、不透明度、光反射性、音反射性、密度、粘度、光を吸収する能力、音を吸収する能力、振幅など)を有する媒質(食塩水、流体、光、音など)の導入を含み得、測定可能なパラメータは、センサー(温度センサー、熱電対、光センサー、音センサー、マイクロフォンなど)を使用して検出され得る。カテーテルの先端部にまたはその近くに媒質を導入することによって、および経時的に、およびおそらくは距離にわたって、媒質の1つ以上のパラメータを測定することによって、フローパラメータ、例えば流れの方向、流速(rate)、量およびタイプ、乱流または層流が、決定され得る。これらの決定に基づいて、ユーザは、カテーテル先端部が所望の経路を経由して血管系内の所望の位置まで進んでいるかどうかを特定できる。血管は、タイプ(静脈対動脈、対心臓など)、サイズ、形状などによって特定され得る。
【0018】
媒質は、カテーテル設置の全てまたは一部の期間中に周期的に、カテーテル設置の全てまたは一部の期間中に継続的に、またはカテーテル設置の全てまたは一部の期間中に規則的な間隔で、ボーラスまたは滴下で注入または導入され得る。媒質は、手動で、またはコントローラによって自動的に、またはIVポンプを用いてもしくは用いずに静脈内(IV)バッグによって自動的に、またはIVを用いて受動的に、導入され得る。
【0019】
1つ以上の媒質パラメータの測定は、媒質導入の前、その期間中および/またはその後に行われ得る。例えば、室温または他の非体温の食塩水(または他の流体)が、設置の間にカテーテルまたはスタイレットを通して注入され得る。カテーテル/スタイレットの遠位先端部にあるまたはそこの近くにある1つ以上のセンサーが、経時的に、センサーを直接取り囲む流体の温度を測定し得る。方向、拍動性および乱流を含む血流の特性に基づいて、経時的な温度プロファイルは、異なる場所において異なり、異なる流れのタイプに、ある温度(またはパラメータ)プロファイルまたはシグニチャー、それゆえ、異なるカテーテル/スタイレット先端部の場所のシナリオを生じる。
【0020】
温度センサーは、熱電対または他の温度センサー、例えば、光ファイバー、抵抗、バイメタル、温度計、状態変化、シリコンダイオード、サーミスタ、光学温度測定(赤外線または他のもの)、水銀温度計、圧力計などを含み得る。1つまたは複数のセンサーはコントローラと通信し、コントローラは、センサーからの信号を記録および/または分析する。センサーとコントローラとの間の通信は、有線としてもまたは無線としてもよい。
【0021】
カテーテル上にまたはそれを通して、熱電対、サーミスタ、または他の温度感知機器、または温度感知機器のアレイを設置することによって、血流に注入される室温の流体ボーラスの流れの方向を決定できる。血液温度は約37℃であるため、温度が約20~25℃または15~30℃または0~35℃、または全体的に37℃よりも冷たい食塩水(または他のもの)の流体ボーラスまたは流体輸液は、体温と区別でき、および血流の方向および特性、それゆえ、機器の場所を検出するために使用され得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、光学的感知が使用され得る。光センサーは、光学特性が異なる食塩水などの別の流体との血液の希釈量を測定することによって、流れの方向を検出するために使用され得る。
【0023】
あるいは、ソナーまたは音が、血流の方向、速度および他の血流特性を検出するためのパラメータとして使用され得る。音波は、コントローラによって生じ、およびカテーテルの先端部へ、または先端部の近くへ伝えられ得る。音検出器、またはマイクロフォンは、赤血球または血液の他の成分によって反射される音波を記録する。食塩水も導入されて、検出される音波に変化を生じ得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、様々な媒質および/またはパラメータが組み合わせて使用され得る。例えば、光(可視および/または非可視)および温度が双方とも使用され得る。さらに、心電図(ECG)を含む他のセンサーが、カテーテルの場所設定を支援するために使用され得る。2017年5月1日出願の米国仮特許出願第62/492,739号明細書(その全体が参照することにより本明細書に援用される)に開示されているように、圧力も、これらの実施形態と組み合わせて使用され得る。
【0025】
2つ以上のタイプのセンサーを組み込む実施形態は、各状況のいずれか(静脈対動脈、血管枝、血管壁、心臓内のまたは心臓を越えたカテーテル)において使用され得、または異なるセンサーは、異なる状況において使用され得る。例えば、圧力は、カテーテル先端部が心臓にあるときを決定するために使用され得、ここで、温度は、カテーテルが動脈にあるかどうかを決定するために使用され得る。または、例えば、ECGは、カテーテルが大静脈心房接合部にあるかどうかを決定するために使用され得るが、温度は、カテーテルが奇静脈または望ましくない静脈枝を下方に進んだかどうかを決定するために使用され得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、カメラが使用されて、赤血球の存在、およびおそらくは密度、または数を光学的に決定し得る。より多数の赤血球が通り過ぎる場合、流れはより強い。赤血球が反対方向に流れる場合、流れは逆の方向になり、カテーテルは、間違った方向に進んでいる。
【0027】
これらの感知モダリティはまた、1つ以上の(ECG)センサーと組み合わせられて、カテーテルの設置を検出し得る。ECG電極は、カテーテル先端部の標的の場所に(例えば、大静脈の上方1/3)、または心臓自体の上側のいずれかに正確に設置されて、カテーテルの不必要な過伸展を検出し得る。あるいは、1つ以上のECGセンサーが、機器自体に、例えばガイドワイヤ/スタイレットに組み込まれ得る。
【0028】
本明細書で開示する実施形態のいずれかにおいて、センサーは、血管カテーテルを通過するガイドワイヤまたはスタイレットの先端部にまたはその近くに、またはその長さに沿って置かれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】ヒトの解剖学的構造のナビゲーションを行う血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。
【
図2】ヒトの解剖学的構造に設置された血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。
【
図3】血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。
【
図4】注入前、その間およびその後の、カテーテル先端部に対する、注入された流体ボーラスの流動性への流体の流れの方向の影響を示す。
【
図5A】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態を示す。
【
図5B】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態を示す。
【
図5C】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態を示す。
【
図5D】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態を示す。
【
図5E】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態を示す。
【
図6A】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態を示す。
【
図6B】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態を示す。
【
図6C】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態を示す。
【
図6D】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態を示す。
【
図6E】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態を示す。
【
図7A】豚の血管系の様々な場所における温度対時間のデータを示す。
【
図7B】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態に関する温度対時間の曲線を示す。
【
図7C】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態に関する温度対時間の曲線を示す。
【
図8】血管系の異なる領域における流体の流れを示す概略図である。
【
図9A】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態を示す。
【
図9B】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態を示す。
【
図9C】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態を示す。
【
図9D】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態を示す。
【
図9E】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態を示す。
【
図9F】流体ポートと温度センサーとの間の距離を示す。
【
図9G】流体ポートと温度センサーとの間の距離を示す。
【
図9H】流体ポートと温度センサーとの間の距離を示す。
【
図9I】流体ポートと温度センサーとの間の距離を示す。
【
図9J】流体ポートと温度センサーとの間の距離を示す。
【
図10】任意のカテーテルと一緒に使用され得る血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。
【
図11A】血管カテーテルナビゲーション機器のスタイレット/ガイドワイヤのバージョンの様々な実施形態の様々な図を示す。
【
図11B】血管カテーテルナビゲーション機器のスタイレット/ガイドワイヤのバージョンの様々な実施形態の様々な図を示す。
【
図11C】血管カテーテルナビゲーション機器のスタイレット/ガイドワイヤのバージョンの様々な実施形態の様々な図を示す。
【
図11D】血管カテーテルナビゲーション機器のスタイレット/ガイドワイヤのバージョンの様々な実施形態の様々な図を示す。
【
図11E】血管カテーテルナビゲーション機器のスタイレット/ガイドワイヤのバージョンの様々な実施形態の様々な図を示す。
【
図11F】血管カテーテルナビゲーション機器のスタイレット/ガイドワイヤのバージョンの様々な実施形態の様々な図を示す。
【
図11G】血管カテーテルナビゲーション機器のスタイレット/ガイドワイヤのバージョンの様々な実施形態の様々な図を示す。
【
図11H】血管カテーテルナビゲーション機器のスタイレット/ガイドワイヤのバージョンの様々な実施形態の様々な図を示す。
【
図11I】血管カテーテルナビゲーション機器のスタイレット/ガイドワイヤのバージョンの様々な実施形態の様々な図を示す。
【
図12】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態を示す。
【
図13】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態を示す。
【
図14】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態を示す。
【
図15】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態を示す。
【
図16】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態を示す。
【
図17】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態を示す。
【
図18A】導流体(flow director)の2つの考えられる実施形態のうちの1つを示す。
【
図18B】導流体(flow director)の2つの考えられる実施形態のうちの他方を示す。
【
図19A】血管カテーテルナビゲーション機器の注入液ルーメンの他の実施形態を示す。
【
図19B】血管カテーテルナビゲーション機器の注入液ルーメンの他の実施形態を示す。
【
図19C】血管カテーテルナビゲーション機器の注入液ルーメンの他の実施形態を示す。
【
図20】血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。
【
図22】制御された層流(またはより乱流の少ない)の流れを生じる特徴を示す。
【
図23A】機器の考えられるグラフィカルユーザインターフェースを示す。
【
図23B】機器の考えられるグラフィカルユーザインターフェースを示す。
【
図23C】機器の考えられるグラフィカルユーザインターフェースを示す。
【
図23D】機器の考えられるグラフィカルユーザインターフェースを示す。
【
図23E】機器の考えられるグラフィカルユーザインターフェースを示す。
【
図24A】機器の考えられるグラフィカルユーザインターフェースを示す。
【
図24B】機器の考えられるグラフィカルユーザインターフェースを示す。
【
図24C】機器の考えられるグラフィカルユーザインターフェースを示す。
【
図24D】機器の考えられるグラフィカルユーザインターフェースを示す。
【
図24E】機器の考えられるグラフィカルユーザインターフェースを示す。
【
図25A】機器から流出する流体の流れを制御するために導管を含む、血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。
【
図25B】機器から流出する流体の流れを制御するために導管を含む、血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。
【
図25C】機器から流出する流体の流れを制御するために導管を含む、血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。
【
図26】流路がガイドワイヤ/スタイレット構成要素自体の内部にある、血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。
【
図27】近位フランジを含む、導管の変形例を示す。
【
図28】導管が近位フランジおよび遠位フランジの双方を有する、
図27に示す実施形態の変形例を示す。
【
図29A】導管が薄壁の可膨張性構造を含む、血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。
【
図29B】導管が薄壁の可膨張性構造を含む、血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。
【
図29C】導管が薄壁の可膨張性構造を含む、血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。
【
図30】薄壁の「スカート」を含む実施形態を示す。
【
図31】導管が、導管から流出する流体の流れを方向付けるのを支援する特徴を含む、実施形態を示す。
【
図32】導管が、導管から流出する流体の流れを方向付けるのを支援する特徴を含む、実施形態を示す。
【
図33】導管が、導管から流出する流体の流れを方向付けるのを支援する特徴を含む、実施形態を示す。
【
図36A】圧縮性導管を含む血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。
【
図36B】圧縮性導管を含む血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。
【
図36C】圧縮性導管を含む血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。
【
図37A】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態の2つの異なる断面図を示す。
【
図37B】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態の2つの異なる断面図を示す。
【
図37C】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態の2つの異なる断面図を示す。
【
図37D】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態の2つの異なる断面図を示す。
【
図37E】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態の2つの異なる断面図を示す。
【
図37F】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態の2つの異なる断面図を示す。
【
図38A】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態を示す。
【
図38B】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態を示す。
【
図38C】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態を示す。
【
図38D】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態を示す。
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図38E】血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態を示す。
【
図39A】血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態の縦断面図である。
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図39B】血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態の縦断面図である。
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図39C】血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態の縦断面図である。
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図39D】血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態の縦断面図である。
【
図39E】血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態の半径方向断面図である。
【
図39F】血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態の半径方向断面図である。
【
図39G】血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態の半径方向断面図である。
【
図39H】固定式導管を備える血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態の断面図である。
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図39I】固定式導管を備える血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態の断面図である。
【
図39J】固定式導管を備える血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態の断面図である。
【
図40A】血管カテーテルルーメンの異なる構成、およびそれらと一緒に働く血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態の変形例を示す。
【
図40B】血管カテーテルルーメンの異なる構成、およびそれらと一緒に働く血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態の変形例を示す。
【
図40C】血管カテーテルルーメンの異なる構成、およびそれらと一緒に働く血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態の変形例を示す。
【
図41A】血管カテーテルナビゲーション機器のガイドワイヤ/スタイレットの構成要素の様々な実施形態を示す。
【
図41B】血管カテーテルナビゲーション機器のガイドワイヤ/スタイレットの構成要素の様々な実施形態を示す。
【
図41C】血管カテーテルナビゲーション機器のガイドワイヤ/スタイレットの構成要素の様々な実施形態を示す。
【
図41D】血管カテーテルナビゲーション機器のガイドワイヤ/スタイレットの構成要素の様々な実施形態を示す。
【
図41E】血管カテーテルナビゲーション機器のガイドワイヤ/スタイレットの構成要素の様々な実施形態を示す。
【
図41F】血管カテーテルナビゲーション機器のガイドワイヤ/スタイレットの構成要素の様々な実施形態を示す。
【
図42A】血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。
【
図42B】血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。
【
図42C】血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。
【
図43】光学的反射を使用する血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。
【
図44】光学的反射を使用する血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。
【
図45】上大静脈および心臓における温度プロファイルを示す。
【
図46】上大静脈および心臓における温度プロファイルを示す。
【
図47】血液の方向を検出するために、ソナーおよび音波を使用する実施形態を示す。
【
図48】乱流誘発装置を用いて、流れの方向性を決定するために、1つ以上の圧力センサーを使用する実施形態を示す。
【
図49】乱流誘発装置を用いて、流れの方向性を決定するために、1つ以上の圧力センサーを使用する実施形態を示す。
【
図50】コントローラおよび媒質導入機構を含む実施形態を示す。
【
図51】モータ駆動主ねじとし得る、カートリッジ/シリンジ/溜め部用の自動注入システムを含む実施形態を示す。
【
図52】本発明の任意の実施形態と一緒に使用され得るデータ処理システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、ヒトの解剖学的構造のナビゲーションを行う血管カテーテルナビゲーション機器またはシステムの実施形態を示す。血管カテーテルナビゲーション機器102は、患者の静脈104内に示されている。血管カテーテルナビゲーション機器は、挿入点106を経由して患者に挿入されている。挿入点は、ここでは患者の胸部にあると示しているが、挿入点は、その代わりに、患者の脚、腕または首または他の場所としてもよい。標準的な血管カテーテルをその所望の場所までナビゲーションするために、いくつかの望ましくない障害を回避しおよび/または克服する必要がある。例えば、血管カテーテルが、静脈の代わりに誤って動脈に設置されたり、血管カテーテルは、血管系の間違った枝を下方にまたは上方に進まされたり(venture)、血管カテーテルが、血管の壁に引っかかったり、血管カテーテルは、心臓に近すぎる、心臓内へまたは心臓を越えてのいずれかで行き過ぎて前進させられたり、または血管カテーテルが、その所望の場所に到達するように十分に遠くまで前進させられない、またはあまり望ましくない場所までしか移動しないかもしれない。これらの危険領域のいくつかに、符号116を付した。血管カテーテルナビゲーション機器の遠位先端部は、108として示されている。血管カテーテルナビゲーション機器の近位端部には、血管カテーテルナビゲーション機器の遠位端部にあるまたはその近くにある1つまたは複数の開口部と流体連通する輸液またはサンプリングルーメン110と、コントローラ114と通信する感知ポート112が示されている。感知ポート112は、血管カテーテルナビゲーション機器102の遠位先端部108にあるまたはその近くにある1つ以上のセンサー(ここでは図示しない)と通信している。ここでは1つの輸液/サンプリングルーメンおよび1つの感知ポートを示すが、複数の輸液/サンプリングおよび/または感知ポートが存在してもよい。輸液ルーメン110はまた、コントローラ114と通信し得る。
【0031】
図2は、血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示し、ここでは、遠位先端部は、上大静脈/大静脈心房接合部(SVC-CAJ)202に設置されている。
【0032】
図3は、血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。血管カテーテルナビゲーション機器の遠位端部が、適切なアクセス静脈に挿入され、および静脈に沿ってその標的の場所まで前進させられる。血管カテーテルナビゲーション機器が血管に挿入された後、一般的に、感知素子302が、針またはシースを通して、血管内のパラメータを感知する。温度などの測定可能なパラメータを伴う流体などの媒質が、機器を通して、および血管内に、注入される。センサー信号は、コントローラに戻すように通信され、そこで、センサー信号が、データの曲線の傾斜(slope)、大きさ、値、長さ、ばらつき、標準偏差、形状などを含む経時的なセンサーデータに基づいて分析される。例えば、コントローラは、測定可能なパラメータを測定および分析することによって、血管カテーテルナビゲーション機器の周りの血流の大きさおよび方向に基づいて、血管カテーテルナビゲーション機器の遠位端部が静脈の代わりに動脈内にあるかどうかを決定し得る。コントローラが、血管カテーテルナビゲーション機器の遠位端部が望ましくない位置にあると決定する場合、警報または他のインジケータでユーザに伝え得る。例えば、コントローラが、カテーテルが静脈の代わりに動脈にあると決定する場合、可聴、視覚信号などを含む特定の識別信号が合図して、ユーザに、血管カテーテルナビゲーション機器、および任意の他の機器、例えばシース、カテーテルなどを除去し、および血管に圧力を加えるように指示し得る。
【0033】
同様に、血管カテーテルナビゲーション機器は、流れの方向、おそらくは流れのプロファイルおよび大きさに基づいて、遠位端部が静脈の間違った枝にあるときを感知できる。血管カテーテルナビゲーション機器を正しい方向におよび正しい血管に(静脈内のSVC-CAJの方へ)前進させるとき、血液は、より近位端部から遠位端部へと血管カテーテルナビゲーション機器の上側を流れる。
【0034】
図3は、1つのセンサー302、1つのセンサーポート112および1つの輸液/サンプリングルーメン110を示す。しかしながら、2つ以上の輸液/サンプリングルーメンおよび/または2つ以上のセンサーが存在してもよい。さらに、コントローラへのポートおよびサンプリングルーメンは、同じルーメンとし、およびシングルルーメンカテーテルに組み込まれ得る。輸液および/またはサンプリングルーメンはまた、コントローラに接続され得る。
【0035】
図4は、流体ボーラスの注入前、注入中および注入後の、カテーテル先端部に関する流動性に及ぼす流体の流れの方向の影響を示す。時点=0では、機器102は血管404内にある。機器102はセンサー302を含む。センサー302は、血液および/または注入媒質のパラメータを測定するように設計されている。コントローラ(図示せず)は、コネクタ402を介してセンサー302と通信し、このコネクタは、この例では、コントローラまでのカテーテルの長さに延びている。センサー302およびコネクタ402は、血管カテーテルに組み込まれ得るか、またはカテーテルを通って延びているスタイレットに組み込まれ得る。媒質410は、時点=xで血管に導入される。例えば、媒質は、体温とは異なる温度の食塩水とし得る。この例では、センサーによって測定されるパラメータは、温度である。注入後、T=x+1において、血流は、血流と共に媒質を運ぶ。血流406がカテーテルから離れるように流れるとき、媒質404のボーラスは、カテーテル先端部から離れるように、およびセンサーから離れるように移動する。血流408がカテーテルの方へ流れるとき、媒質410のボーラスは、カテーテル先端部の方へおよびその上側を流れる。この例は、流体のボーラスを示すが、流体のストリームも使用され得る。
【0036】
センサーの場所に依存して、経時的な異なる温度プロファイルが測定され得る。流量、方向、乱流などの変動が、血液と媒質との混合に影響を及ぼし、およびパラメータのプロファイル、この例では経時的な温度に影響を及ぼす。このようにして、システムは、カテーテル先端部におけるまたはその近くの血流の方向を決定し得る。
【0037】
図5A~5Eおよび
図6A~6Eは、血管カテーテルナビゲーション機器のいくつかの例示的な実施形態を示す。
図5Aは、センサー302がカテーテル先端部にある実施形態を示す。
図5Bは、センサーがカテーテル先端部ではなく、そこの近くにある実施形態を示す。この構成は、カテーテル先端部から媒質を導入する際にセンサーがパラメータを測定するのを防止し、流れの方向をより良好に区別できるようにし得る。
図5Cは、2つのセンサーを備え、1つはカテーテル先端部にあり、および1つは、カテーテル先端部ではなく、そこの近くにある実施形態を示す。異なる位置でのセンサー読取値は、流体の流れの方向、特徴、プロファイルなどによって変わり得る。カテーテル先端部ではなく、そこの近くにあるセンサーは、先端部から約0.05cm~約2.0cm戻ったところにあり得る。あるいは、カテーテル先端部ではなく、そこの近くにあるセンサーは、先端部から約0.75cm~約1.25cm戻ったところにあり得る。
図5Dは、センサーがガイドワイヤまたはスタイレット502上にある実施形態を示す。スタイレット502は、カテーテル内で自由に動いて、1つ以上のセンサーをカテーテル先端部から、ある距離に設置できるようにし得る。さらに、ガイドワイヤ/スタイレットは、カテーテルの設置後に除去され得る。この実施形態では、カテーテルはまた、ここで示すように、センサーを含み得る。
図5Eは、開口部504がカテーテル先端部ではなく、そこの近くにある実施形態を示す。この開口部は、別個の媒質導入ルーメンまたは輸液ルーメンと流体連通し得る。この特定の媒質導入ルーメンは、カテーテル先端部で出てもよい。カテーテル先端部ではなく、そこの近くにある開口部は、先端部から約0.5cm~約2.0cm戻ったところにあり得る。あるいは、カテーテル先端部ではなく、そこの近くにある開口部は、先端部から約0.75cm~約1.25cm戻ったところにあり得る。媒質導入ルーメンは、カテーテル内にあっても、またはスタイレット内にあってもよい。
【0038】
図6Aは、2つのセンサー間に開口部があり、両センサーは、カテーテル先端部ではなく、そこの近くにある実施形態を示す。
図6Bは、2つ以上のセンサーがカテーテルの先端部ではなく、そこの近くにある実施形態を示す。
図6Cは、2つのセンサー間に開口部を備え、センサーの一方がカテーテル先端部にある実施形態を示す。
図6Dは、2つのセンサーに近接して開口部を含む実施形態を示す。
図6Eは、チャンネル602を備える実施形態を示す。チャンネル602は、流体がカテーテル内を、カテーテル内のセンサーに近接して流れることができるようにする。
【0039】
血管カテーテルナビゲーション機器のこれらおよび他の実施形態の多数の変形例が想定されることは明らかである。例えば、センサー、開口部、チャンネルなどは、カテーテルおよび/またはガイドワイヤ/スタイレットの異なる側面にあってもよい。センサー、開口部およびチャンネルは、ここでは、カテーテル先端部にあるまたはその近くにあると示しているが、それらは、カテーテルおよび/またはガイドワイヤ/スタイレットに沿ったいずれの箇所に置かれてもよい。
【0040】
図7Aは、血管カテーテルナビゲーション機器の一実施形態を使用する、豚の血管系の様々な場所における、温度対時間のデータを示す。このデータを獲得するために使用される実施形態は、2つの温度センサー-機器の先端部に最も近かった遠位センサー(T1)(そのためこの場合、心臓に最も近い)、および近位センサー(T2)-を有した。温度対時間の曲線は、両センサーに関して、血管系内の異なる5か所、上大静脈、大静脈心房接合部(cavoatrial junction)、右心房、右心室、および下大静脈で示されている。最初の2か所、上大静脈および大静脈心房接合部は、血管カテーテルナビゲーション機器の正しい設置を表している。他の3か所は、機器の間違った設置を表している。右側3つの温度対時間の曲線(間違った設置を表す)のシグニチャーは、最初の2つの曲線(正しい設置またはほぼ正しい設置を表す)とは異なることに留意されたい。右側3つの曲線はまた、互いに差別化され得ることにも留意されたい。異なるセンサー構成は、異なる血管の場所において異なる曲線のシグニチャーを生じる。例えば、単一の温度センサーは、2つの温度センサーを備えるシステムとは異なる組の曲線を与える。輸液出口部位からのセンサーの距離も、異なる曲線を提供する。異なる輸液流量(infusion rates)、輸液量、輸液タイプ(ボーラス対ストリーム)、輸液圧力、輸液速度(infusion velocities)なども、異なる曲線、それゆえ異なる解剖学的特徴を提供する。曲線の異なる局面がコントローラによって分析されて、血管の場所を決定し得る。これらは、限定されるものではないが、傾斜、大きさ、値、長さ、ばらつき、標準偏差、形状、曲線の下側の領域、フーリエ変換、周波数、高調波などを含み得る。いくつかの実施形態では、心拍、システム雑音などに関するものを含む、データ中のいくつかの周波数が、除去され得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、1つの温度センサーがあるため、1つの温度対時間の曲線がある。いくつかの実施形態では、2つ以上の温度センサーがあるため、2つ以上の温度対時間の曲線がある。2つの温度センサーのグラフが
図7Aに示されている。いくつかの実施形態では、輸液出口ポートは、より近位の1つまたは複数の温度センサーの近くにある。いくつかの実施形態では、輸液出口ポートは、1つまたは複数の温度センサーよりも近位または遠位にある。いくつかの実施形態では、輸液出口ポートは温度センサー間にある。いくつかの実施形態では、1つまたは3つ以上の温度センサーを使用してもよい。
【0042】
図7Bおよび
図7Cは、2つの代替的な温度対時間の曲線を示す。曲線は、異なる解剖学的構造では、および血管カテーテルナビゲーション機器の設計に基づいて、異なって見えるかもしれないことに留意されたい。例えば、曲線は、流体出口ポートに対して異なるセンサーの場所では、異なり得る。曲線は、センサーのタイプまたは流体注入速度に依存し得る。曲線は、注入流体の初期温度に依存し得る。他の設計要因も、異なる温度対時間の曲線の形状となり得る。
【0043】
さらに、温度対時間の曲線の較正は、コントローラによって実施され得る。例えば、基準測定は、システムの挿入後、またはシステムの使用中の他の時点で導き出され得る。例えば、基準測定は、いずれかの注入流体が注入される前に、または特定の注入速度で、血管において行われ得る。この例は
図7Bに示されている。「基準」データはグラフに示されており、ここでは、温度測定は、システムによっていずれの流体も注入されずに行われた。この基準測定は、解剖学的構造内での血管カテーテルナビゲーション機器の場所を決定するために、コントローラのデータの分析において使用され得る。
【0044】
温度対時間の曲線の様々な特性が、血管カテーテルナビゲーション機器の場所を決定するために、分析され得る。例えば、1つ以上の曲線の曲線振幅、雑音、標準偏差、形状、傾斜、値、曲線の下側の領域、フーリエ変換、周波数、高調波などが、血管系内での血管カテーテルナビゲーション機器の場所を決定するために、使用され得る。これらの同じパラメータが、複数の温度対時間の曲線間で比較されて、血管カテーテルナビゲーション機器の設置場所を決定し得る。例えば、曲線の位置、相対的位置、大きさ、および/またはピークの相対的な大きさ(正または負)が、血管カテーテルナビゲーション機器の場所を決定するために、使用され得る。さらに、複数の温度センサーからのデータの振幅、雑音、標準偏差、形状、傾斜、値、曲線の下側の領域、および/またはフーリエ変換、高調波、周波数間の差を使用して、血管の場所を決定し得る。液滴サイズおよび/または輸液流量に依存して、曲線の下側の領域またはフーリエ変換を使用して、温度対時間の曲線、それゆえ血管の場所を分析し得る。さらに、最大値、またはいくつもの最大値が、より意味があるとし得る。
【0045】
本明細書では、用語「液滴」は、注入液に言及するときの、滴、ボーラス、ストリーム、間欠的なストリームなどを意味し得る。
【0046】
図8は、所望の(正しい)および望ましくない(間違った)機器の設置を表す、血管系の異なる領域における流体の流れを示す概略図である。矢印802は血流方向を示す。領域804は、流体(食塩水など)の輸液を示す。異なる解剖学的な場所がどのように流体輸液の異なる流動状態、それゆえ異なる散逸パターンを生じるかに留意されたい。ここでは1つの温度センサー806を示すが、本明細書で開示するこのおよび任意の他の実施形態においては、2個、または3個、または4個または5個または6個またはそれよりも多いセンサーが使用されてもよい。
【0047】
図9A~9Eは、2つの温度センサーがガイドワイヤ/スタイレット上にある、血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態を示す。
図9Aは、近位温度センサー902および遠位温度センサー904を備えるスタイレット910を示す。この実施形態では、注入液906は、近位温度センサー902の近位にあるまたはそれに近いカテーテル908の遠位先端部で流出する。あるいは、注入液は、ガイドワイヤ/スタイレットのルーメンを通して注入され得る。ここでは2つのセンサーを示すが、1つ、または3つ以上のセンサーも使用され得る。
【0048】
図9Bは、注入液がスタイレット/ガイドワイヤを通して注入され、かつ2つの温度センサー間で流出する実施形態を示す。
図9Cは、注入液がスタイレット/ガイドワイヤを通して注入され、かつ遠位温度センサーの近くまたはそれよりも遠位で流出する実施形態を示す。1つの温度センサーが使用される場合、流体注入出口ポートは、センサーよりも近位、または遠位のいずれかにあるとし得る。
【0049】
図9Dおよび
図9Eは、スタイレット/ガイドワイヤ上に2つの温度センサーがあり、ガイドワイヤが、カテーテルの端部に対して動かされることができる実施形態を示す。この実施形態は、感知および/またはカテーテルの先端部に対する注入液出口の場所を変更するために使用され得る。
【0050】
例えば、いくつかの実施形態では、スタイレット/ガイドワイヤは、注入ルーメン(すなわちスタイレット/ガイドワイヤは中空とし得る)および温度センサーの双方を含み得るため、解剖学的構造内に最初におよび/または血管カテーテルとは無関係に位置決めされ得る。例えば頸静脈アクセスがカテーテル挿入に使用されるとき。ひとたびスタイレット/ガイドワイヤが設置されたら、血管カテーテルは前進され得るため、カテーテルの遠位先端部は、スタイレット/ガイドワイヤの遠位先端部に対して公知の位置にある。その後、スタイレット/ガイドワイヤは除去され得る。
【0051】
図9F~9Hは、流体出口ポートと温度センサーとの間の距離、およびカテーテル/スタイレット先端部とセンサー/ポートとの間の距離を示す。
図9Fは、注入液出口またはポートと、遠位または単一の温度センサーとの間の軸方向距離aaを示す。軸方向距離bbは、流体出口ポートと近位温度センサーとの間の距離である。軸方向距離ccは、遠位温度センサーと近位温度センサーとの間の距離である。これらの距離は、正でもまたは負でもよい。ここでは2つの温度センサーを示すが、機器は、1つのセンサーまたは3つ以上のセンサーを有してもよい。
【0052】
距離aaは約0mmとし得る。あるいは、距離aaは、約0mm~約0.5mm、または約0mm~約1mmの範囲にあるとし得る。あるいは、距離aaは約0mm~約2mmの範囲にあるとし得る。あるいは、距離aaは約0mm~約3mmの範囲にあるとし得る。あるいは、距離aaは約3mm~約5mmとし得る。あるいは、距離aaは約5mm~約10mmとし得る。あるいは、距離aaは約0mm~約100mmの範囲にあるとし得る。あるいは、これらの距離は負でもよい。例えば、距離aaは、約1mmとしても、または約-1mmとしてもよい。1mmの場合、遠位温度センサーは、流体出口ポートよりも遠位にある。-1mmの場合、流体出口ポートは、遠位温度センサーよりも遠位にある。これは、
図9F~9Hに関連して提供されるあらゆる寸法において真である。
【0053】
距離bbは約10mmとし得る。あるいは、距離bbは約0mm~約10mmの範囲にあるとし得る。あるいは、距離bbは約8mm~約12mmの範囲にあるとし得る。あるいは、距離bbは約5mm~約15mmの範囲にあるとし得る。あるいは、距離bbは約1mm~約100mmの範囲にあるとし得る。あるいは、距離bbは約3mm~約5mmとし得る。あるいは、距離bbは約5mm~約10mmとし得る。あるいは、距離bbは約0mm~約100mmの範囲にあるとし得る。これらの範囲も負の距離としてもよい。
【0054】
距離ccは約10mmとし得る。あるいは、距離ccは約0.0mm~約5mmの範囲にあるとしても、あるいは、距離ccは約5mm~約15mmの範囲にあるとしてもよい。あるいは、距離ccは約15mm~約20mmの範囲にあるとし得る。あるいは、距離ccは約1mm~約100mmの範囲にあるとし得る。
【0055】
図9Gの距離ddは、流体出口ポートと、遠位温度センサーまたは近位温度センサーのいずれかとの間の距離である。距離は、ここでは近位温度センサーに対して示されるが、距離ddはいずれかに適用され得る。あるいは、温度センサーは1つのみ存在し得る。距離ddは約0.75mmとし得る。あるいは、距離ddは約0.25mm~1.5mmの範囲にあるとし得る。あるいは、距離ddは約0.1mm~5mmの範囲にあるとし得る。
【0056】
図9Hは、流体出口ポートとカテーテルおよび/またはスタイレットの端部との間の軸方向距離eeを示す。距離eeは約0mmとし得る。あるいは、距離eeは約0mm~約1mmの範囲にあるとし得る。あるいは、距離eeは約0mm~約3mmの範囲にあるとし得る。あるいは、距離eeは約0mm~約5mmの範囲にあるとし得る。あるいは、距離eeは約5mm~約10mmの範囲にあるとし得る。あるいは、距離eeは約0mm~約100mmの範囲にあるとし得る。これらの距離は正でもまたは負でもよい。
【0057】
図9Iは、センサーを1つのみ含みかつシステム内に導管912を含む、血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。導管を含むシステムの様々な実施形態は、本明細書の他の箇所でより詳細に説明する。導管912は、Xで示す注入液出口ポートを組み込む。ここで示す距離ffは、導管の流体状注入液出口ポートとセンサーとの間の長手方向距離である。
【0058】
図9Jは、
図9Iのものと同様の、距離ggが導管の流体状注入液出口ポートとセンサーとの間の半径方向距離を表す実施形態を示す。
【0059】
図10は、任意のカテーテルと一緒に使用され得る、または換言すると、温度センサー、注入液ルーメン、コントローラ、およびロッキング機構がスタイレット/ガイドワイヤに含まれる、血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。
図10は、2つの熱電対、遠位熱電対1012および近位熱電対1010、およびガイドワイヤ/スタイレット1001の一部として注入液出口ポート1002を備える実施形態を示す。あるいは、スタイレット/ガイドワイヤは、1つの温度センサーしか有しなくてもよく、または3つ以上の温度センサーを有してもよい。スタイレット/ガイドワイヤは、スタイレット/ガイドワイヤとカテーテルを位置合わせするのを支援するための特徴1014を含み得る。この実施形態は、温度センサーを埋め込むために、先端部分1006、例えば成形されたウレタン、ナイロン、シリコーン、または他のポリマー部分を含み得る。同様にここに、任意選択的なガイドワイヤ/スタイレットコイル1008、およびカテーテル1018の遠位先端部を示す。断面図では、注入ルーメン1016も示され得る。
【0060】
この実施形態はトルクまたはロッキング機器1022を含み得、トルクまたはロッキング機器は、例えばカテーテル1018の近位端部にあるルアーロック1020を使用して、スタイレットをカテーテルの近位端部にロックするために使用され得る。トルク/ロッキング機器はスタイレット/ガイドワイヤにロックされるため、スタイレット/ガイドワイヤは血管カテーテルに対して動かない。コントローラ(図示せず)は、輸液機構を含みおよび/または流体ポート1026を介してそれを制御し、ならびに温度ポート1004を介して温度センサーからのデータを読み取り得る。コントローラは、スタイレットの近位端部の近くに置かれてもよいし、またはスタイレットの近位端部から数インチまたは数フィートに置かれてもよい。温度センサーリード線1024も示されている。輸液は、定常でも、または間欠的でも、またはボーラスからなってもよい。
【0061】
図11A~Iは、血管カテーテルナビゲーション機器のスタイレット/ガイドワイヤのバージョンの様々な実施形態の様々な図を示す。
【0062】
11A~11Iおよびいくつかの他の実施形態に示すスタイレットは:1)挿入を支援するためのカテーテルの補剛、2)流体送給のための媒質の提供、および3)1つまたは複数の温度センサーの配線のためのチャンネルの提供を含む、いくつかの機能を果たす。
図11Aは、
図10の実施形態に示すものなどのスタイレットの断面である。ここでは2つの温度センサーを示すが、機器は、1つ、または3つ以上のセンサーを含んでもよい。
【0063】
図11Bは、トリプルルーメンの熱収縮および/またはチューブのハウジング1102に3つの構成要素を含むスタイレットの実施形態を示し、そこに、2つの温度センサー1104および流体ルーメン1016を入れている。あるいは、1つまたは3つ以上の温度センサーが存在してもよい。
【0064】
図11Cは、スタイレットコイルの全て、または一部が、温度センサーワイヤから作製される実施形態を示す。
図11Dは、
図11Cに示す実施形態の側面図である。
【0065】
図11Eは、2つの温度センサーならびに流体ルーメンを収納する押出品、すなわちチューブ(金属またはプラスチック)を含む実施形態を示す。あるいは、1つまたは3つ以上の温度センサーが存在してもよい。
【0066】
図11Fは、ひとまとめに束ねた複数の熱電対、ならびに流体ルーメンを収納する押出品、すなわちチューブ(金属またはプラスチック)を含む実施形態を示す。
【0067】
図11Gは、温度センサーが流体ルーメンによって囲まれている、薄壁の押出品、すなわちチューブを含む実施形態を示す。1つ、2つ、または3つ以上の温度センサーが存在してもよい。
【0068】
図11Hは、複数の温度センサー、流体ルーメン、ならびにワイヤやロッドとし得る補剛材1108を含む、押出品、すなわちチューブ(プラスチックまたは金属)を含む実施形態を示す。1つ、2つ、または3つ以上の温度センサーが存在してもよい。
【0069】
図11Iは、温度センサー束ならびに流体ルーメンを含む、押出品、すなわちチューブ(プラスチックまたは金属)を含む実施形態を示す。温度センサー束の外面は、外側押出品と同様の材料で作製され、これにより、任意選択的な化学的にまたは熱で形成される接着または溶接1106を可能にし得る。1つ、2つ、または3つ以上の温度センサーが存在してもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、カテーテル先端部とガイドワイヤ/スタイレットとの間の距離を固定する、または正確に制御すること、またはカテーテル先端部とガイドワイヤ/スタイレットとの間の距離を決定できるようにすることのいずれかが重要である。温度センサーに対する注入の場所を固定できるようにすること、または注入出口ポートの場所と温度センサーとの間の距離を知ることができるようにすることも重要とし得る。出口ポートと温度センサーとの間の距離は、流体輸液の期間中の温度プロファイルに対する影響を有し得る。これらの距離は、複数の患者およびシナリオで固定されても、または異なる患者のタイプおよび異なるシナリオに対して異なってもよい。例えば、距離は、アクセス中の血管系に依存して異なってもよい。距離は、異なる重量、サイズ、体重指数、健康状態、年齢、性別、心臓の症状(heart condition)、または他の患者特性を有する患者に対して異なってもよい。距離は、ルーメンの数および形状が異なるカテーテルなど、異なるカテーテルサイズに対して異なってもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、スタイレット/ガイドワイヤは、
図10に示すようなカテーテルの近位端部の近くにあるトルク機器を使用して、カテーテル先端部に対して固定またはロックされる。
【0072】
いくつかの実施形態では、ユーザは、目で確認することによって、カテーテルとスタイレット/ガイドワイヤとの相対的な位置合わせを決定してから、2つの値から相対距離を測定する。
【0073】
図12~17は、スタイレット上の1つまたは複数の温度センサーと、カテーテル先端部または流体注入点との間の距離を固定するか、または知るための、様々な登録技術を含む血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態を示す。
【0074】
図12は、温度センサーから固定された公知の距離に、スタイレット/ガイドワイヤ上にインジケータを備える実施形態を示す。この実施形態では、ユーザは、患者に挿入する前に、カテーテル1202の先端部と、スタイレット1206上のインジケータ、すなわち印1204を位置合わせする。スタイレットの先端部に対するカテーテル先端部の相対距離1208は、カテーテルが患者に挿入される前に、好ましくは近位端部において、トルク機器、ロッキング・ローテーティング(locking rotating)止血弁、トゥーイ・ボースト(tuohy-borst)弁、または他のロッキング機構を使用してロックされ得る。ガイドワイヤ/スタイレット上のインジケータは、可視的な印、例えば赤色のストライプまたはドット、または触覚的な印、例えば突起や溝、または他のタイプのインジケータとし得る。
【0075】
図13は、遠位温度センサーから固定された公知の距離に、スタイレット上に隆起部、または突起1302を備える実施形態を示す。これにより、ユーザは、可視的に、または手触りによってのいずれかで、カテーテルの先端部をスタイレット上の突起と位置合わせすることができる。この位置合わせは、体外または体内で行われ得る。いくつかの実施形態では、突起は、解剖学的構造内に設置した後でスタイレットがカテーテルから除去され得るように、十分に小さいかまたは柔らかい。
【0076】
図14は、
図13に示すものと同様の、温度センサー1104がスタイレット上の突起の機能を果たす実施形態を示す。
【0077】
図15は、治具、またはブロック、またはアライナー1502を使用して、カテーテルの先端部を、スタイレットの先端部から固定された公知の距離に位置合わせする実施形態を示す。そのため、スタイレットに対するカテーテルの相対的位置は、トルク機器、ロッキング・ローテーティング止血弁、トゥーイ・ボースト弁、または他のロッキング機構を使用して近位端部において、および/または固定式導管(本明細書の他の箇所で詳細に開示する)を使用して遠位端部において、またはそれら双方で、ロックされる。治具またはブロック1502は、それ自体、調整可能とし得るため、流体出口ポート(ここではカテーテルの遠位端部)を様々な異なる長さで温度センサーと位置合わせできる。
【0078】
図16は、可膨張性のバルーン1602を突起として使用して、カテーテルとスタイレットを位置合わせする、
図13に示すものと同様の実施形態を示す。バルーンは、環状としてもよいし、またはスタイレットの1つ以上の側面上にあってもよい。バルーンは、位置合わせの際に使用するために膨張され、および設置の期間中に膨張されたままにされて、カテーテルに対してスタイレットを適所にロックするか、または設置の期間中にしぼまされる(カテーテルおよびスタイレットが、トルクまたは弁を使用して互いにロックされる箇所)かのいずれかとし得る。この実施形態では、スタイレットまたはカテーテルは膨張ルーメンを含み、バルーンを膨張させ、かつしぼませる。バルーンは、カテーテルの設置後にスタイレットを除去するために、しぼまされ得る。
【0079】
図17は、使用中にカテーテル先端部の内側にあるときを感知し得るセンサー1702を含む、血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。例えば、センサーは、磁気、超音波、光、温度などとし得る。いくつかの実施形態では、近位温度センサー1704は、近位温度センサーがカテーテル先端部の内側にあるときを決定するセンサーとして使用される。注入液の注入後の温度対時間の曲線の形状は、温度センサーがカテーテル先端部のすぐ内側にあるときの特定のプロファイルを示し、およびこの位置合わせを特定するために使用され得る。この実施形態は、1つ、2つ、またはそれよりも多い温度センサーを含み得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、注入液出口のフローパターンの制御が、一貫した結果を達成するために、重要とし得る。注入液の流れを、血管系/心臓内の血流の流れと対比することも重要とし得る。注入液の流れは、これらの目標を達成するために、より層流またはより乱流のいずれかに意図的にされ得る。いくつかの実施形態は、流れを方向付けかつカテーテルまたはスタイレットの一部である特徴を含み得る。これらの特徴は、ディンプリング、またはカテーテルまたはスタイレットの表面仕上げを変化させるオレンジピール仕上げのような表面特徴とし得る。これらの特徴は、スタイレット/温度センサーのODの一部、または流体ルーメンのID、またはそれら双方とし得る。
【0081】
図18AおよびBは、血管カテーテルナビゲーション機器の注入液ルーメン1016にある、(層流または乱流の流れを生じるための)導流体(flow director)に対する2つの考えられる実施形態を示す。導流体1802は、
図18Aに示すように、注入液ルーメンの端部にあってもよいし、または
図18Bに示すように、ルーメン出口の先端部から奥まったところにあってもよい。
【0082】
図19A~Cは、注入液ルーメンの形状が、ルーメンから流出する流体の流れのタイプを制御する、血管カテーテルナビゲーション機器の他の実施形態を示す。変更され得るパラメータのいくつかは、注入液ルーメンの開口部の面積、形状、表面状態などを含み得る。温度センサーおよび/または補剛材1902も示されている。
【0083】
いくつかの実施形態は、スタイレットおよび/またはカテーテルを振動させて、注入液ルーメンから注入液の乱流を生じる。
【0084】
図20は、注入ルーメンのないスタイレットの実施形態を示す。流体は、カテーテル先端部の上流の、挿入部位により近い、またはどこか他の箇所にある、別のカテーテルルーメン(おそらくは、別個のカテーテル上にある)を通って導入され得る。例えば、流体は、ここでは、血管カテーテルと一緒に示される「相棒」カテーテル2002によって注入され得る。流体はまた、カテーテルまたは「相棒」カテーテル上にある加熱/冷却素子によって加熱または冷却され得る。輸液用の「相棒」ガイドワイヤ/スタイレットも想定される。
【0085】
図21は、乱流制御を強化する注入液ルーメン内の特徴2102を示す。
【0086】
図22は、層流(または乱流が少ない)制御を生じ得る注入液ルーメン内の特徴2202を示す。
【0087】
本明細書で開示するいくつかの実施形態は、2つのセンサーを示すことに留意されたい。これらの実施形態のいずれかでは、1つ、2つ、またはそれよりも多いセンサーが使用され得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、スタイレットの外径(OD)は約1mm以下である。いくつかの実施形態では、スタイレットのODは約0.5mm以下である。いくつかの実施形態では、スタイレットのODは約1.5mm以下である。いくつかの実施形態では、スタイレットのODは約0.2mm~約5mmの範囲内にあるとし得る。
【0089】
カテーテルがダブルまたはトリプルルーメンであるいくつかの実施形態では、スタイレットの機能性は別々の部分に分割され(流体、補剛材、温度感知など)、および複数のスタイレットが、カテーテルの複数のルーメン内で使用され得る。
【0090】
熱電対、光ファイバー、抵抗、バイメタル、温度計、状態変化、シリコンダイオード、サーミスタ、光学温度測定(赤外線または別の方法)、水銀温度計、圧力計などを含む、多くのタイプの温度センサーが、本明細書で開示する実施形態のいずれかにおいて使用され得る。
【0091】
流体を輸液することに加え、本明細書の他の箇所で開示しているように、カテーテル/スタイレットの先端部でまたはその近くで熱変化を生じる他の方法が、使用され得る。体温よりも高い温度の流体が導入され得、抵抗加熱素子、または圧電冷却素子などが、カテーテル内、カテーテル上、ガイドワイヤ/スタイレット上、または注入器に、体外に、含まれ得る。あるいは、注入される流体は、体温とは異なるが、厳しく制御されてはいない温度にあるとしてもよく、および(体温と注入液の温度との間の)この温度差が、コントローラによって測定され、かつ追跡される。
【0092】
抵抗加熱素子を用いる実施形態では、抵抗加熱素子は、カテーテル上に、またはスタイレット上にあるとし得る。カテーテル上にある実施形態では、カテーテルの外部に、またはカテーテルの1つ以上のルーメン内にあるとし得る。あるいは、ガイドワイヤ/スタイレット上にあってもよい。ガイドワイヤ/スタイレット上にある実施形態では、カテーテルルーメン内に、部分的にカテーテルルーメン内に、または血液に曝されるカテーテルルーメンの外部にあってもよい。血液を加熱/冷却するとき、注入液の注入は必要とされないかもしれない。
【0093】
図23A~Eおよび
図24A~Eに示すように、グラフィカルユーザインターフェースが、小型スクリーン/ディスプレイ2314、大型スクリーン、投影の形態で、仮想現実または拡張現実ゴーグルなどで、表示され得る。ユーザインタラクションの主な分類は、ユーザ警報:1)アイコン、2)アイコンの色または警告灯、3)警報を伴う聴覚トーン、4)カテーテル先端部の場所に適合しかつ警報のタイプを用いる視覚的な身体マップ、5)ステータスまたは警報、振動などを示す、ディスプレイ上に書かれた語句または言葉のいずれかの組み合わせを有し得る。分類は、以下とし得る:1)「前進続行」、これは、カテーテル先端部が末梢静脈を通って前進していること、またはカーブを曲がって上大静脈に到達していることを意味する。このモードは、緑色の点灯および図像およびポジティブなトーンなどのポジティブな状態を示す視覚および聴覚フィードバックを伴う。2)チェックマーク図像を用いる「正しい設置」は、先端部が適切な場所-PICCラインに対しては大静脈心房接合部、または別のタイプのカテーテル挿入に関してはおそらくは別の場所に、到達したことを示す。この状態にも、ポジティブなトーンおよび点灯が伴い得る。3)カテーテルが、対向する流れに直面する場合、警告、「向きの変更」が現れ得る。これは、カテーテルが奇静脈枝を下方に前進する、IVC内へ前進する、または動脈内に設置された場合の警告である。これはポジティブな状態ではないため、この状態は、赤色、黄色またはオレンジ色の点灯または図像を、好ましくない状態が実施されていることを示すトーンと一緒に、伴い得る。不快な周波数、ピッチおよびトーンが伴い得る。4)カテーテルが心臓内に、心房または心室のいずれかにある場合、ユーザは、心臓のアイコンおよび/または「心臓内」の警告によって、注意喚起され得る。この状態にはネガティブな色およびトーンが伴い得る。5)カテーテル先端部が、静脈の壁に当たる場合、またはある種の障害物を有する場合、「調整」の警告が表示され得る。この状態にはネガティブな色およびトーンが伴い得る。また、
図23A~Eおよび
図24A~Eには、カテーテル2302、スタイレット2304、温度アダプター2306、流体アダプター2308、主ボタン2310、および挿入/追跡ボタン2312が示されている。
【0094】
グラフィカルユーザインターフェース(GUI)は、リアルタイムで、3次元空間に関するカテーテルの先端部の場所を表示し、それによってナビゲーションし得る。
図23A~Eおよび
図24A~Eに示すグラフィカルユーザインターフェースは2次元であるが、いくつかの実施形態は、3次元でも情報を通信し得る3次元ディスプレイを含む。
【0095】
本明細書で開示するいくつかの実施形態は、血管カテーテルにセンサーを組み込むが、血管カテーテルナビゲーション機器は、血管カテーテル内に収まり、かつひとたび血管カテーテルの設置が完了したら除去され得るスタンドアロン機器とし得ることに留意されたい。血管カテーテルナビゲーション機器は、例えば、標準的な血管カテーテルのスタイレットまたはガイドワイヤの機能を果たし得る。
【0096】
図25A~Cは、機器の流体出口点から流出する流体の流れを制御するための導管を含む血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。この実施形態では、導管2502は、ガイドワイヤ/スタイレット2504に取り付けられ、スタイラス/導管複合機器を形成する。導管2502は、血管カテーテル2508の輸液ルーメン2506のID内に収まるように設計される。この図面では、血管カテーテル2508のみが、1つのルーメン、輸液ルーメンを含むが、輸液ルーメンに加えて、複数のルーメンが血管カテーテル内に存在してもよい。
【0097】
いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ/スタイレット2504は、コア2510、コイル2512、エンドキャップ2514および温度センサー2516を含む。コア2510は補剛ワイヤを含み得、補剛ワイヤは、テーパが付けられていてもよく、かつ温度センサーに至る。温度センサーは、エンドキャップに組み込まれても、または別個としてもよい。1つ以上の温度センサーが存在してもよい。温度センサーは熱電対とし得る。熱電対のより大きな断面寸法は温度測定値を減衰し、ここでは、熱電対のより小さな断面寸法は、より迅速な応答時間を可能にし得る。熱電対の直径または断面寸法2526は約0.2mm~0.3mmとし得る。あるいは、熱電対の直径または断面寸法2526は約.02mm~約.5mmとし得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、導管2502は、長さ2520を有し、および直径または断面寸法2522の1つまたは複数の流体流路2518を含む。流路は、断面形状が円形、または卵形、または任意の形状とし得る。流路は、直径または断面寸法が約0.4~0.6mmとし得る。あるいは、流路は、直径または断面寸法が約0.1~1.0mmとし得る。あるいは、流路は、直径または断面寸法が約0.01~2.0mmとし得る。導管長2520は約4~8mmとし得る。あるいは、導管長2520は約0.5mm~20mmとし得る。
【0099】
流路の断面の面積および形状は、導管から流出する流速を決定する。流路の数も、導管から流出する流体のフローパラメータに影響を及ぼす。好ましくは、流体の輸液流量は約2~3ml/分とし得る。あるいは、流体の輸液流量は約3~5ml/分とし得る。あるいは、流体の輸液流量は約5~10ml/分とし得る。あるいは、流体の輸液流量は約1~5ml/分とし得る。導管出口の流速は、好ましくは、約60~100cm/秒である。あるいは、導管出口の流速は約1~300cm/秒である。
【0100】
導管2502は、いくつかの目的を果たし得る:
1) 流体がカテーテルの輸液ルーメンを通して輸液されると、流体の大部分が流路2518を経由して血管カテーテルから流出するように、導管を通り/それを越える流体の流れを可能にしながら、血管カテーテルの輸液ルーメンの遠位端部を実質的に密閉する。導管は、カテーテルの輸液ルーメンを十分に閉塞せず、流体がそこを通過できるようにし、および場合によっては、その周りにあるチャンネルを通過できるようにすることに留意することが重要である。
【0101】
2) 流体出口点2503とガイドワイヤ/スタイレット上のセンサーとの間の距離2524を、血管系内でのより制御された温度測定のために、分かるようにしおよび固定できるようにする。流体出口点は、導管が部分的にカテーテルの遠位端部から突き出ているかどうかに依存して、導管の流路の遠位端部の出口点としても、またはカテーテルの遠位端部としてもよい。距離2524は約0.0~1.0mmとし得る。あるいは、距離2524は約0.5~1.0mmとし得る。あるいは、距離2524は約0.0~2.0mmとし得る。あるいは、距離2524は約0.0~5.0mmとし得る。あるいは、距離2524は約0.0~10.0mmとし得る。本明細書では、「約0.0」または「実質的にゼロ」は±1mmを意味し、または「実質的にゼロ」は±2mmを意味し、または「実質的にゼロ」は±3mm意味し得る。これは、本明細書で開示する実施形態のいずれかに当てはまるとし得る。
【0102】
3) 導管の流体出口点を温度センサーとセンタリングするまたは他の方法で位置合わせする。
【0103】
4) 流体出口点をカテーテル先端部とセンタリングするまたは他の方法で位置合わせする。
【0104】
5) 出口点から流出する流体の流動特性を制御する。例えば、出口ポートのサイズ、形状および数は、ポートから流出する流体の流動特性を制御する。乱流、流速、体積流量、流量(flow volume)などのパラメータが制御され得る。流路2518の断面は、流体の輸液流量に加えて、流路2518から流出する輸液流量の速度を決定する。輸液流量の速度は、血流の速度に適合され得る。
【0105】
ガイドワイヤ/スタイレットを血管カテーテルと完璧に位置合わせする必要なく、導管の外表面を血管カテーテルの輸液ルーメンの内表面によって実質的に密閉できるようにする。血管カテーテルは、スタイレットよりも大きく、およびより可撓性があるため、それぞれの遠位先端部の相対的な位置合わせは、処置の期間中に変化し得る。導管の長さがこの変化した値よりも長い場合、導管は、依然として、スタイレット/導管のコンボの遠位先端部および血管カテーテルが互いに対して動く場合でも、血管カテーテルの輸液ルーメンを密閉する。その代わりにまたはそれに加えて、導管は、ガイドワイヤ/スタイレットを血管カテーテルに固定するため、一方は、実質的に他方に対して少なくとも長手方向に動かない。
【0106】
導管の断面寸法/直径は約0.5~1.5mmとし得る。あるいは、導管の断面寸法/直径は約0.1~3mmとし得る。いくつかの実施形態では、導管の外側と血管カテーテルの輸液ルーメンの内側との間の隙間は、導管の外側と血管カテーテルの輸液ルーメンの内側との間を実質的に密閉できるほど、十分に小さい。これにより、輸液された流体の本質的に全てが、流体出口と温度センサーとの間の距離を制御する流路2518から流出できるように促す。導管の外側と、血管カテーテルの輸液ルーメンの内側との間の隙間はまた、スタイレット/導管の組み合わせが、位置決めおよび/または除去のために、血管カテーテルの輸液ルーメン内で動くことができるほど、十分に大きくし得る。導管の外表面は、潤滑性材料、例えばPTFE、疎水性材料、親水性材料などで被覆されても、またはそれらから製造されてもよい。導管の外側と、血管カテーテルの輸液ルーメンの内側との間の隙間は約0.070~0.080mmとし得る。あるいは、導管の外側と血管カテーテルの輸液ルーメンの内側との間の隙間は約0.05~0.1mmとし得る。あるいは、導管の外側と血管カテーテルの輸液ルーメンの内側との間の隙間は約0.001~1.00mmとし得る。
【0107】
導管の外側と血管カテーテルの輸液ルーメンの内側との間の隙間は、
図27、
図28、
図29A~C、
図30、
図36A~Cに示すものなどの拡張/収縮する導管、または拡張/収縮する特徴を有する導管の実施形態によって異なり得ることに留意されたい。例えば、収縮状態での隙間は、拡張/収縮しない導管のものよりも大きいとし、および拡張状態での隙間は、拡張/収縮しない導管のものよりも小さいとし得る。例えば、拡張状態での隙間は、実質的にゼロとし得る。
【0108】
図25Aは、カテーテル2508の遠位端部と実質的に位置合わせされる導管2502の遠位端部を示す(本明細書では、「遠位」は、血管カテーテルナビゲーション機器の、体内に入る端部を意味することに留意されたい。本明細書では、「近位」は、血管カテーテルナビゲーション機器の、体内に入らない端部を意味する)。
図25Bは、導管の遠位端部が、輸液のために、カテーテルの輸液ルーメンの遠位端部の内側に載置されるように設計される実施形態を示す。
図25Cは、導管の遠位端部が、輸液のためのカテーテルの輸液ルーメンの遠位端部の遠位端部の外側に載置されるように設計される実施形態を示す。いくつかの実施形態は、2つ以上の位置に載置されるように設計され得ることに留意されたい。
【0109】
流体出口点2503は、
図25A~25Cおよび他の図面における機器に対して示されている。出口点は、導管とカテーテルの遠位端部との位置合わせに依存して、導管の遠位端部、またはカテーテルの遠位端部とし得ることに留意されたい。
【0110】
使用中、スタイレット/導管複合機器が、血管カテーテルの輸液ルーメン内に挿入される(または挿入されるようになる)。その後、カテーテルは、血管系に挿入され、そこを通して前進される。機器が前進されるとき、流体は、輸液ルーメンを通して輸液される。導管は、カテーテルの輸液ルーメンを実質的に密閉するため、流体は、システムから導管の流路を通って流出し、かつ流体は血管系を通って流れ、および血管系の血液/流体の温度は、温度センサーによって感知される。流体の出口点と温度センサーとの間の距離は、固定/知られており、および温度対時間の曲線は、血管内の流動特性に関連する。これらの曲線の異なるシグニチャーを使用して、血管カテーテルナビゲーション機器の先端部の場所を特定し得る。システムがその所望の場所までナビゲーションされた後、スタイレット/導管複合機器は除去され、および血管カテーテルの輸液ルーメンは標準的な輸液ルーメンの機能を果たす。スタイレット/導管複合機器は、血管カテーテルの先端部の場所を確認するために、後で血管カテーテルの輸液ルーメンに再挿入され得る。
【0111】
図26は、流路がガイドワイヤ/スタイレット構成要素自体の内部にある、血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。この実施形態では、導管は、カテーテルの輸液ルーメンの端部を実質的に密閉する働きをするが、流路は、スタイレットコア2510とスタイレットコイル2512との間を流れ、およびコイル間の開口部2602を経由して出る。
【0112】
図27は、近位フランジ2702を含む導管の変形例を示す。フランジは、シールの機能を果たし、流体が一定の圧力を上回ってカテーテルの輸液ルーメンを通して注入されると、導管をカテーテルの輸液ルーメンのIDに対して実質的に密閉し得る。流体がもはや輸液ルーメンを通して輸液されないと、または輸液圧力が一定の圧力未満に低減されると、フランジ2702はわずかに潰れて、フランジにおける導管の直径または断面積を減少させ、それにより、血管カテーテルの場所が確立された後で、スタイレット/導管複合機器を血管カテーテルから除去できるようにする。あるいは、フランジは、引き出す動きの間に、内側に折り畳まれて方向反転して、スタイレット/導管複合機器を簡単に除去できるようにする。
図28は、導管が近位フランジおよび遠位フランジの双方を有する、
図27に示す実施形態の変形例を示す。本明細書で開示するこれらのならびに他の実施形態では、使用中、すなわち、カテーテルナビゲーションの期間中、導管の遠位端部は、カテーテルの遠位先端部と同一平面に、カテーテルの遠位端部よりも遠位に、またはカテーテルの遠位端部よりも近位になり得ることに留意されたい。
【0113】
図29A~Cは、導管が薄壁の可膨張性構造を含む血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。
図29Aは、薄壁の、可膨張性の近位部分2902および遠位部分2904を備える導管を示し、遠位部分は、スタイレットにボンディングされるか、または他の方法で取り付けられる。導管の近位部分2902は、開口部2906を含む。近位導管部分2902は、流体がカテーテルの輸液ルーメンを通して輸液されると、拡張し、可膨張性部分を輸液ルーメンの内壁に当てて実質的に密閉する。輸液流体はまた、カテーテルから開口部2906を経由して流出し得る。開口部は、部分2902内の圧力が増大してこの部分が輸液ルーメン内で「膨張」できるようにするように、十分に小さい必要がある。開口部は、適切な流体が血流内へと逃げて、有意義な温度測定を行うことができるように、十分に大きい必要がある。開口部の直径または断面寸法は約0.4~.06mmとし得る。あるいは、開口部の直径または断面寸法は約0.05~1.0mmとし得る。導管の近位セクション2902の長さ2910は約0.3~0.5mmとし得る。あるいは、導管の近位セクション2902の長さ2910は約0.3~20mmとし得る。
【0114】
血管カテーテルからスタイレット/導管構成要素を除去するために、流体輸液は減少されるかまたは逆転されて導管の近位セクション2902を「しぼませる」ため、スタイレット/導管が除去され得る。これは、
図29Bに示されている。いくつかの実施形態では、しぼませることは必須ではなく、およびスタイレット/導管は、流体輸液を行っている間に、血管カテーテルから除去され得る。
【0115】
図29Cは、流体の流れが導管から流出するときにそれを方向付けるのを支援し得るカラー2912を備える可膨張性導管の変形例を示す。
【0116】
「可膨張性」導管の利点の1つは、導管の形状が、丸い、半円形、三角形、卵形などに関わらず、任意の形状の輸液ルーメンに一致し得ることである。展開した導管対非展開導管の断面積の差は、かなり大きいとし得、これは、より小さい輸液ルーメン機器では有用である。
【0117】
図30は、薄壁の「スカート」3002を有する導管の実施形態を示す。この「スカート」は、
図29AおよびBに示す実施形態の「可膨張性」部分と同様に、拡張し、かつ収縮する。
【0118】
図31は、導管から流出する流体の流れを方向付けるのを支援する、特徴3102を含む導管の実施形態を示す。特徴は、流れを、
図31に示すように平行に、
図32に示すように内向きに、
図33に示すように外向きに、または任意の他の方法で方向付け得る。
【0119】
図34は、システムを血管の壁から離れるように保つのを支援するデフレクタ3402を備える実施形態を示す。デフレクタは、球形、または実質的に球形または任意の他の形状とし得る。デフレクタの直径または断面寸法は約0.3~0.4mmとし得る。あるいは、デフレクタの直径または断面寸法は約0.01~1.0mmとし得る。
【0120】
図35は、注入の期間中にカテーテルの輸液ルーメン内を密閉するのを支援する円錐形状の導管の実施形態を示す。
【0121】
図36A~Cは、圧縮性導管3606を含む血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。圧縮性導管は、シリコーン、ポリマー、または他の好適な材料で作製され得る。
図36Aは、導管をその圧縮状態において示す。この状態では、導管は、カテーテルの輸液ルーメンを実質的に密閉する。
図36Bは、圧縮性導管をその非圧縮状態において示し、これは、直径/断面寸法を減少させるため、再位置決めおよび/または除去され得る。導管の圧縮/非圧縮は、ロッドまたはハイポチューブ(hypotube)またはチューブ3602によって行われ得、これは、圧縮性導管の近位端部に接続され、かつカテーテルの近位端部から操作されて(押される、引かれる、ねじられるなど)、導管を圧縮および復元し得る。
図36Cは、導管と係合するねじ山を有するロッド/ハイポチューブ/チューブ3604を回転させることによって、ユーザが導管を圧縮/復元できるようにするシステムの変形例を示す。(新規の実施形態の思想:非常に小さいバルーンを使用して、シールを開始および除去し得る。これは、非常に大きいカテーテルに対してより適用できる。)
【0122】
図37A~Fは、血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態の2つの異なる断面図を示す。
図37Aは、ガイドワイヤ/スタイレット2504が、血管カテーテル2508の輸液ルーメン内の導管2502内でほぼ中心にされる実施形態を示す。流路2518は、異なる断面形状、例えば、球形、三角形、ここで示すものおよび他のものを有し得る。1つ、2つ、またはそれよりも多い流路が存在してもよい。ガイドワイヤ/スタイレットは、センサーリード線3702を含み得る。
【0123】
図37Bは、ガイドワイヤ/スタイレットが中心を外れている血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。断面図は、ガイドワイヤ/スタイレットおよび流路の様々な考えられる構成を示す。流路は、円形、三日月形などとし得、本明細書で開示する実施形態のいずれかにおいて、1つ、2つ、またはそれよりも多い流路が存在してもよい。導管は、3704によって示すように、単なるチューブとしてもよいことに留意されたい。
【0124】
図37Cは、ガイドワイヤ/スタイレットが中心を外れており、およびガイドワイヤ/スタイレットの先端部が、導管内の流路と位置合わせするために角度が付けられているため、温度センサー2516が流路とほぼ位置合わせされている、血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。ガイドワイヤ/スタイレットの先端部は、例えば、流路間に位置するようにまたは単にカテーテルの中心の近くになるように、他の方法で位置合わせされてもよい。断面図は、ガイドワイヤ/スタイレットおよび流路の様々な考えられる構成を示す。流路は、円形、三日月形などとし得る。導管は、単なるチューブとし得る。
【0125】
図37Dは、導管が単なるチューブであり、およびガイドワイヤ/スタイレットが、導管のID内で浮いているか(ここで、導管のIDは、導管の流路と同じである)、または導管の内壁に取り付けられているかのいずれかである、血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。ガイドワイヤ/スタイレットは角度が付けられ得るため、温度センサーは、導管流路の中心とより位置合わせされるか、または直線、または何らかの他の方法で曲がっているもしくは湾曲している。
【0126】
図37E 37Dは、センサー2516を導管内の中心流路にわたって中心に置くケージまたは足場3706を含む血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。ケージ/足場は、金属ワイヤ、ポリマーから作製されても、多孔質材料などから作製されてもよい。ケージ/足場は、導管に埋め込まれ得るかまたは取り付けられ得る。
【0127】
図37Fは、導管2502が外表面を有しない血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。この実施形態では、流路は、カテーテル2508のIDと直接接触している。
【0128】
図38A~Eは、血管カテーテルナビゲーション機器の様々な実施形態のいくつかの考えられるアーキテクチャを示す。
図38Aは、血管カテーテル2508、ガイドワイヤ/スタイレット2504および導管2502を、輸液ポンプ3804を任意選択的に備えるIVバッグ3802と一緒に示し、ここで、輸液バッグは、血管カテーテルの流体輸液ポート2806に接続されている。ガイドワイヤ/スタイレットは、スタイレットポート3808を経由してカテーテルに挿入/除去される。いくつかの実施形態では、カテーテルのスタイレットポートは、輸液ポートと同じポートとし得る。スタイレット/感知コネクタ3810は、ディスプレイ3814、ならびに1つ以上の制御部3816を含み得るコントローラ3812に接続する。この実施形態では、血管カテーテル、および導管の流路を通る流体輸液は、IVバッグ/輸液ポンプによって制御される。IVバッグは、一貫した滴下、流れに設定され得、および/または輸液ポンプによって制御され得る。この実施形態では、IVバッグおよび/または輸液ポンプは、コントローラを経ずに、血管カテーテルに接続される。
図38Bは、IVバッグからのIV流体の流れがコントローラによって制御されることを除いて、同様の実施形態を示す。IVバッグ3802は、IV流体ライン3818を経由してコントローラに接続される。コントローラは、IVバッグからの流体輸液を制御し、およびカテーテル流体ライン3820を経由して、その流体をカテーテルへ送給する。コントローラは廃棄可能とも、または再使用可能ともし得る。キットも、IVバッグまたは病院の輸液ポンプに取り付けられる廃棄可能ラインに付いてくる。
【0129】
図38Cは、シリンジポンプなどの流体ポンプ3822を含む、血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。流体ポンプは標準的な既製の流体ポンプとし得る。この実施形態では、流体ポンプはコントローラに接続しないことに留意されたい。
【0130】
図38Dは、流体ポンプ3824がコントローラに接続するため、コントローラが流体ポンプを介してカテーテルへの流体送給を制御できる実施形態を示す。コントローラは、ユーザが既製の流体ポンプを取り付けることができるモジュールを有し得るか、またはコントローラは、特定の流体ポンプを必要とし得る。流体ポンプおよび/または流体ポンプ内のシリンジカートリッジは廃棄可能とし得る。
【0131】
図38Eは、流体ポンプがコントローラ3812に組み込まれる実施形態を示す。流体ポンプおよび/または流体ポンプ内のシリンジカートリッジは廃棄可能とし得る。
【0132】
図39Aは、導管2502、ガイドワイヤ/スタイレット2504、センサー2516および血管カテーテル2508を含む、血管カテーテルナビゲーション機器の縦断面図である。
【0133】
図39Bは、ガイドワイヤ/スタイレットの長さに沿って複数の導管を備える血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。0個、1個、2個、3個、4個、5個、6個またはそれよりも多い導管がある。
【0134】
図39Cは、導管2502ならびに固定式導管3902を備える、血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。いくつかの実施形態では、これらの固定式導管は、バルーンなど可膨張性であるが、圧縮性、例えばシリコーンまたは別の軟質/適合性材料、例えば任意の好適なポリマーともし得る。あるいは、固定式導管は、より硬質の材料、例えばエポキシ、または金属、またはポリマーなどから作製されてもよい。好ましくは、固定式導管は、ガイドワイヤ/スタイレットをカテーテルの内側ルーメンに固定するため、スタイレットは、カテーテルに対して長手方向に有意義な動きはしない。その結果、流体出口点とセンサーとの間の距離は実質的に固定される。流体出口点に対するセンサーの動きは、±1mmに制限され得る。または流体出口点に対するセンサーの動きは、±2mmに制限され得る。または流体出口点に対するセンサーの動きは、±3mmに制限され得る。好ましくは、固定式導管はまた、流体を、固定している導管を通り過ぎて、および輸液中のカテーテルルーメンを通って、流れることができるようにする。0個、1個、2個、3個、4個、5個、6個またはそれよりも多い固定式導管があってもよい。ガイドワイヤ/スタイレットがバルーンを含む実施形態では、膨張ルーメンも含む。バルーンは、比較的不適合性としても、または比較的適合性としてもよい。不適合性バルーンの利点は、臨界圧を超えて膨張されるときに、その形状、または丸みを保持できることである。これにより、バルーンが輸液ルーメンに一致してルーメンを塞がないようにする。その代わりに、不適合性バルーンは膨張時に比較的円形のままとなり、および
図39Gに示すように、流体の流れルーメンが、カテーテル輸液ルーメンの内壁、補剛材/電極、および固定式導管の間で利用可能となる。
【0135】
図39Dは、固定式導管3902を備える血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。この実施形態では、固定式導管は導管の機能を果たし得る。固定式導管は、カテーテルの先端部にあってもよいし、または長さ3904だけ、カテーテルの先端部から近位方向にさらに戻った位置にあってもよい。長さ3904は約0~0.5mmとし得る。あるいは、長さ3904は約0~1.0mmとし得る。あるいは、長さ3904は約0.5~1.0mmとし得る。あるいは、長さ3904は約0~5mmとし得る。あるいは、長さ3904は約0~10mmとし得る。あるいは、長さ3904は約0~20mmとし得る。あるいは、長さ3904は約0~30mmとし得る。あるいは、長さ3904は約0~40mmとし得る。あるいは、長さ3904は約0~50mmとし得る。あるいは、長さ3904は約0~60mmとし得る。あるいは、長さ3904は約0~70mmとし得る。あるいは、長さ3904は約0~80mmとし得る。あるいは、長さ3904は約0~90mmとし得る。あるいは、長さ3904は約0~100mmとし得る。
【0136】
長さ3905は、センサーと、この実施形態では流体出口点であるカテーテルの先端部との間の長さである。固定式導管は、ガイドワイヤ/スタイレットをカテーテルの輸液ルーメンに固定し、設置の期間中は長さ3905を実質的に固定する。長さ3905は約0~0.5mmとし得る。あるいは、長さ3905は約0~1.0mmとし得る。あるいは、長さ3905は約0.5~1.0mmとし得る。あるいは、長さ3905は約0~5mmとし得る。あるいは、長さ3905は約0~10mmとし得る。あるいは、長さ3905は約0~20mmとし得る。あるいは、長さ3905は約0~30mmとし得る。あるいは、長さ3905は約0~40mmとし得る。あるいは、長さ3905は約0~50mmとし得る。あるいは、長さ3905は約0~60mmとし得る。あるいは、長さ3905は約0~70mmとし得る。あるいは、長さ3905は約0~80mmとし得る。あるいは、長さ3905は約0~90mmとし得る。あるいは、長さ3905は約0~100mmとし得る。
【0137】
固定式導管3902の長さは約1mmとし得る。あるいは、固定式導管3902の長さは約1~2mmとし得る。あるいは、固定式導管3902の長さは約1~3mmとし得る。あるいは、固定式導管3902の長さは約1~4mmとし得る。あるいは、固定式導管3902の長さは約0.5~5mmとし得る。
【0138】
図39E~39Gは、固定式導管3902の実施形態のいくつかを明らかにする半径方向断面図を示す。
図39Eには、ガイドワイヤ/スタイレット2504の周りに3つのバルーン、または軟質の隆起がある。
図39Fは、2つのバルーン/隆起を示し、および
図39Gは、1つのみのバルーン/隆起を示す。これらの固定式導管の流路3906は、固定式導管とカテーテル2508の内側ルーメンとの間の空間であり、および
図37Fに示す導管と同様に、外表面を有しないことに留意されたい。これらの実施形態のいくつかでは、流路は、カテーテル2508のIDと直接接触している。
【0139】
一実施形態では、固定式導管3902は、スタイレット/ガイドワイヤの遠位端部の近くにある小さなシリコーンの隆起または可膨張性のバルーンであり、およびそのようなものとして、導管の機能を果たし得る。挿入前、ガイドワイヤ/スタイレットは、所望の位置に設置されるため、温度センサーは、カテーテルの遠位先端部に対して正しく位置決めされる。この点において、固定式導管は、例えば、バルーンを膨張させることによって、「起動され得る」。固定式導管は、設置プロセスの期間中、ガイドワイヤ/スタイレットおよびカテーテルの相対位置を保持する。設置プロセスの期間中、流体が、カテーテルを通して注入され、固定式導管を通り過ぎて、およびカテーテルの遠位先端部から流出する。固定式導管は、除去するために、しぼまされるか、または十分に可撓性があるかのいずれかであり、その場合に、ガイドワイヤ/スタイレットをカテーテルから除去が可能となる。密閉式導管3902は、起動されると、ガイドワイヤ/スタイレット2504のものよりも大きい断面寸法になるとし得る。導管の断面寸法は、ガイドワイヤ/スタイレットよりも約0.05mm大きいとし得る。あるいは、導管の断面寸法は、ガイドワイヤ/スタイレットのものより約0.05~0.1mm大きいとし得る。あるいは、導管の断面寸法は、ガイドワイヤ/スタイレットのものより約0.05~0.5mm大きいとし得る。あるいは、導管の断面寸法は、ガイドワイヤ/スタイレットのものより約0.5~1.0mm大きいとし得る。あるいは、導管の断面寸法は、ガイドワイヤ/スタイレットのものより約1.0~2.0mm大きいとし得る。
【0140】
図39Hは、複数の固定式導管3902を含む血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。複数の固定式導管は、ガイドワイヤ/スタイレットとカテーテルとの間を、それぞれの遠位端部の近くで長手方向により良好に固着できるとし得る。この例では、長さ3905は実質的にゼロであり、これは、センサー2516が実施的にカテーテルの遠位先端部にあるときの場合であることに留意されたい。「実質的にゼロ」は±1mmを意味しても、または「実質的にゼロ」は±2mmを意味しても、または「実質的にゼロ」は±3mmを意味してもよい。これは、本明細書で開示する実施形態のいずれかの場合とし得る。
【0141】
図39Iは、固定式導管がらせん形である血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。らせん形導管は、ガイドワイヤ/スタイレットを、カテーテルの輸液ルーメン内で、安定化させかつ中心に置く一方で、流体が導管を通り過ぎて流れることができるようにする。らせん形導管は、好ましくは、端部で開口して、流体がそこを通って流れることができるようにする。
【0142】
図39Jは、固定式導管3902が1本以上の金属ワイヤまたはフィラメントであり、これが、外向きの機械力によってスタイレットをカテーテルルーメンに対して固定する、血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態を示す。フィラメントは、ガイドワイヤ/スタイレットの長さに延び、およびガイドワイヤ/スタイレットの近位端部にある機構を使用して、拡張され得る/引っ込まされ得る。フィラメントは、1本の金属としてもよいし、またはケージとしても、またはスパイラルなどとしてもよい。
【0143】
印または任意の他の機構を使用して、カテーテルナビゲーションのために導管をカテーテルの遠位端部と位置合わせし得る。例えば、可動マーカが、ガイドワイヤ/スタイレットの近位端部上に存在し得るため、血管カテーテルの遠位先端部(おそらくは、ある長さに切断された後)は、体外で導管と位置合わせされ得、可動マーカは血管カテーテルの近位端部とぴったり合うように動かされ、その後、カテーテルが体内に挿入され得る。他の機構は、トゥーイ・ボースト弁などの弁、またはクランプ、トルク機器などを含む。導管の長さは十分に長いため、カテーテルの遠位先端部と導管との間の正確な位置合わせは必要ではないかもしれない。例えば、血管カテーテルは、設置処置の期間中は、ガイドワイヤ/スタイレットに対して約0~2mm動き得る。あるいは、血管カテーテルは、設置処置の期間中は、ガイドワイヤ/スタイレットに対して約0~4mm動き得る。導管は、これよりも長く、例えば約2~12mm、位置合わせにおけるこれらの変化に対応し、かつ導管が確実にカテーテルの遠位先端部に広がるようにする。
【0144】
血管カテーテルナビゲーション機器のいくつかの実施形態は、導管が血管カテーテルの遠位端部から出るのを抑制し得る。いくつかの実施形態は、導管が血管カテーテルの遠位端部から出るのを可能にする。導管の近位端部は、近位方向により小さい断面積となるようにテーパが付けられているため、導管は、捉えられずに、カテーテルに引き戻され得る。
【0145】
図40A~Cは、血管カテーテルルーメンのいくつかの異なる構成、およびそれらと一緒に働く血管カテーテルナビゲーション機器の実施形態の変形例を示す。血管カテーテルは、1個、2個、3個、4個、5個またはそれよりも多いルーメンを有し得る。
図40Aは、2ルーメン血管カテーテルのいくつかの例示的な構成を示す。これらの構成は、輸液ルーメン2506および補助ルーメン4002を含む。補助ルーメンは、追加的な輸液ルーメン、サンプリングルーメン、圧力ルーメン、ガイドワイヤ/スタイレットルーメン、器具ルーメン、または任意の他の目的のために使用されるルーメンとし得る。ここでは、ガイドワイヤ/スタイレット2504、導管2502、流路2518および血管カテーテル2508を示す。スタイレット、導管、および流路を含む、血管カテーテルナビゲーション機器の様々な構成要素は、異なる断面形状を有して、異なる形状の血管カテーテルルーメンに対応し得る。いくつかの例がここで示されているが、他も想定される。導管の形状は、例えばポリマー導管の形態に前もって作られてもよいし、または、例えば
図27、
図28、
図29A~C、
図30、および
図36A~Cに示すような、例えば可膨張性のまたは適合可能な導管を経由するルーメンの形状を取ってもよい。
【0146】
図40Bは、3ルーメン血管カテーテルの構成のいくつかの例を示す。
図40Cは、4ルーメン血管カテーテルの構成の例を示す。
【0147】
本明細書で開示する実施形態は、血管カテーテルの輸液ルーメンにおける血管カテーテルナビゲーション機器を示すが、血管カテーテルナビゲーション機器が、血管カテーテルのいずれかのルーメン、例えばサンプリングルーメンにおいて使用され得ることも可能であることに留意されたい。2つ以上のルーメンにおいて一度に2つ以上の血管カテーテルナビゲーション機器が使用され得ることも可能である。
【0148】
図41A~Fは、血管カテーテルナビゲーション機器のガイドワイヤ/スタイレット構成要素の様々な実施形態を示す。
図41Aは、コア2510、コイル2512、エンドキャップ2514および温度センサー2516を含む、ガイドワイヤ/スタイレット2504を示す。また、ここでは、温度センサーリード線4102、温度センサーリード線絶縁層4104、補剛材4108およびコアのエンクロージャ4106を示す。温度センサーリード線は、機器の遠位端部上にある温度センサーを、機器の近位端部上にあるコントローラに接続する。1つ、2つまたはそれよりも多いリード線があってもよい。例えば、熱電対は、通常、2つのリード線を有する。しかしながら、いくつかの熱電対は、リード線のうちの1つがアース線である場合には、3つのリード線を有し得る。リード線は、好ましくは金属で作製される。リード線は、各リード線を囲む絶縁層4104によって絶縁され得る。いくつかの実施形態では、リード線のうちの1つのみが絶縁される。絶縁材は、ポリエチレンまたはPTFEまたはポリイミドまたは他の好適な材料などのポリマーから作製され得、および熱収縮可能であってもまたはそうでなくてもよい。補剛材は、金属から作製され得、および遠位先端部において、より小さい断面寸法へとテーパが付けられてもよく、または補剛材は、その長さにわたって一定の断面を有してもよい。補剛材は、断面積が丸くても、または任意の他の形状でもよい。あるいは、補剛材はポリマーとし得る。その場合、リード線が補剛材の機能を果たし得、および追加的な補剛材は存在しない。
【0149】
リード線および追加的な補剛材を含むコアは、存在する場合、エンクロージャ4106によって封入され得る。エンクロージャ4106は、ポリイミド、ポリエチレン、PTFEなどのポリマー、または金属または他の好適な材料から作製されたチューブとし得る。あるいは、エンクロージャは、浸漬またはスプレー塗装され得る。エンクロージャは熱収縮可能チューブとし得る。
【0150】
図41Aは、リード線がスタイレットの遠位端部まで移動し、そこでは、温度センサー2516がエンドキャップ2514とは別個におよびエンドキャップよりも近位方向に存在する、ガイドワイヤ/スタイレットを示す。
図41Bは、エンドキャップおよび温度センサーが組み合わせられている実施形態を示す。
図41Cは、温度センサーがエンドキャップよりも遠位にある実施形態を示す。
【0151】
図41Dは、コイルがリード線の機能を果たすスタイレット/ガイドワイヤの実施形態を示す。この実施形態では、リード線は、コアから出て、温度センサーよりも近位のコイルに組み込まれる。
【0152】
図41Eは、リード線4102が導電性インクで作製される実施形態を示す。この実施形態では、リード線は、エンクロージャ4106の外部にあってもよい。インクは、エンクロージャ上に堆積され得る。導電性インクのリード線は、2つのエンクロージャの間に挟まれ得る。導電性インクは、熱電対、ECG、温度センサーなどを含むセンサーのいずれに使用されてもよく、およびスタイレットおよび/またはカテーテルおよび/または導管に印刷され得ることに留意されたい。
【0153】
図41Fは、コイルがスタイレット/ガイドワイヤの全長、または実質的に全長にわたって存在する、スタイレット/ガイドワイヤの実施形態を示す。
【0154】
図42Aは、リード線4102が補剛材の機能も果たすスタイレット/ガイドワイヤの実施形態を示す。リード線はエンクロージャ4106に入れられ、かつセンサー2516に接続される。より太いリード線、より厚い/剛性の高いエンクロージャ、例えば、金属編組線またはコイルまたはフィラメント強化ポリイミドまたはポリマーチューブなどを使用することによって、追加的な剛性がこの実施形態に加えられる。あるいは、エンクロージャとリード線との間の間隙は、エポキシまたは接着剤で埋められ得る。リード線は、互いにまたはエンクロージャに溶接され得るかまたはボンディングされ得る。エンクロージャは、
図42Bに示すように、リード線の絶縁層の1つ以上と同時押出され得る。熱硬化性ポリマーおよび/または金属がエンクロージャ、絶縁材および/またはリード線において使用され得る。例えば接着剤またはエポキシがスタイレットを補剛するために使用される実施形態では、各リード線が絶縁層を含んでもよいし、または1つのみのリード線が絶縁層を有してもよいし、またはいずれのリード線も絶縁層を含まなくてもよい。そのような実施形態では、リード線の直径、断面設計、および材料は、補剛材の所望の剛性に適合するように設計され得る。リード線の1つ以上は、所望の補剛材の機械的特性を達成するために、スパイラル形状に、コイル状に、または編組され得る。
【0155】
【0156】
本明細書で開示するガイドワイヤ/スタイラスのいずれかは、導管の実施形態のいずれかを含む、本明細書で開示する実施形態のいずれかと一緒に使用され得る。
【0157】
本明細書で開示するいくつかの実施形態は、患者の流体レベル、または水分補給レベルを決定するために使用され得る。流体レベルは、患者がうっ血心の問題を抱えているとき、特に重要である。流体レベルが低いと、血流中の振幅パルスが低くなる可能性があり、流体レベルが高いと、振幅血流パルスが大きくなる可能性がある。他のフローパターンは、水分補給した患者と、水分補給がより少ない患者との間で異なり得る。これらのフローパターンは、本明細書で開示する実施形態を使用して検出され得る。水分補給レベルは、経時的に患者において監視され得るか、または患者間で比較され得る。
【0158】
本明細書で「センサー」または「温度センサー」を使用する場合、温度、不透明度、光反射性、音反射性、密度、粘度、光を吸収する能力、音を吸収する能力、圧力などを含む任意の測定可能なパラメータを含む、他のタイプのセンサーが使用されてもよい。
【0159】
図43は、光信号が血流の方向および他の血流パラメータの情報を提供し得ることを示す。この実施形態では、媒質は光であり、および測定されるパラメータは、光強度および/または反射光である。曲線4302は、血流が機器の方に向かっている血管内での経時的な反射光の測定値を表す。
【0160】
図44は、光センサーを使用する機器の実施形態を示す。光ファイバーケーブル4402および4404は、光の透過および検出のために使用され得る。一方のケーブルが媒質(光)を導入するために使用され、かつ他方のケーブルが、媒質のパラメータ(光強度/波長)のセンサーの機能を果たし得る。検出器およびエミッターの組み合わせが使用され得るか、または1本のファイバーのみを必要とする、エミッターのない光検出器が使用され得る。いくつかの実施形態では、特定の波長の光が使用され得る。例えば、約620nm~750nmの赤色光が放出され得、これは、食塩水、または食塩水で希釈された血液によるよりも、赤血球によって多く反射される。それゆえ、応答は、流れの方向または特性を示し得る。この同じ実施形態は、約350nm~800nmの他のタイプの可視光および約400~1400nmの近赤外光によって、より広範に可能にされ得る。この実施形態は、測定点に置かれた検出器および/またはエミッターを用いて達成され得、およびフレックス回路と組み合わせて使用され得る可能性がある。光測定実施形態はまた、光ファイバー(プラスチック、ガラスまたは他のもの)またはライトパイプの使用と一緒に使用され得、ここでは、実際の検出器およびエミッターはコントローラおよびライトパイプ内に置かれるか、または光ファイバーは、カテーテル先端部でまたはその近くで収集される情報を、患者の体外に置かれるコントローラに通信する。これは、直径約0.1mm~約0.5mmまたは直径約0.5mm~約4mmの光ファイバーラインによって実施され得る。光ファイバーケーブルは、絶縁被覆を有し得る。いくつかの実施形態では、単一の光ファイバーが温度を測定するために使用され得る。
【0161】
図45および
図46は、2つの光ファイバーケーブルを備える、トリプルルーメン機器およびダブルルーメン機器をそれぞれ示す。
【0162】
図47は、血液の方向を検出するためにソナーおよび/または音波を使用する実施形態を示す。この実施形態では、導入される媒質は音であり、およびセンサーによって測定されるパラメータは、反射音の強度および/または波長である。音は、機器を介して導入され、血管内へ透過される音波4702を生じる。いくつかの音波は、反射された音波4704として戻るように反射され、および機器上にある、マイクロフォンなどのセンサーによって測定され得る。
【0163】
図48および
図49は、乱流誘発装置を用いて流れの方向性を決定するために、1つ以上の圧力センサーを使用する実施形態を示す。単一の圧力センサー4804または複数の圧力センサーを使用して、カテーテルまたは圧力センサーに対する流れの方向を検出し得る。この実施形態は、乱流4808を誘発して、流れ分断特徴が圧力センサーの上流にあるかまたは下流にあるかに依存して、読取場所において異なる圧力を生じる機構4802を含み得る。圧力センサー4804によって測定された圧力データは、コネクタ4806を介してコントローラ(図示せず)に通信される。この乱流誘発装置はスタイレット上に含まれ、および傘のように展開され、その後引っ込められ得る。この乱流誘発装置は、機器が心臓に到達するときに、展開され、かつ血管系を通して押し進められ得るか、または乱流誘発装置は、機器の場所を決定する必要があるときに、特定の時点で展開され得る。これは、予め決められた間隔、例えば、約3秒毎(または1秒~5秒の範囲内)であるか、または、単にオペレータが測定を行いたいときはいつでも展開されるかのいずれかとし得る。あるいは、乱流誘発装置は、十分に小さいとし得るため、永久的に展開されてもよい。
【0164】
図50は、コントローラ114と、レバーまたは機構5004を介してコントローラによって制御される媒質導入機構5002とを含む実施形態を示す。媒質導入機構は、食塩水または他の流体を入れているシリンジとしてもよく、および機構5004は、コントローラ内のモータによって制御されるレバーとし得る。あるいは、コントローラは、媒質導入機構から離れたところにあってもよい。あるいは、媒質導入機構は手動で駆動されてもよい。コントローラは、患者のベッドのそばにあっても、または離れたところにあってもよい。コントローラは、安全性の問題になんらかの変化がある場合には、リアルタイムのフィードバックを提供し得る。ブランドに関わらず、標準的なPICC、鎖骨下、および頚静脈孔内カテーテル、中心カテーテルを使用し得る。
【0165】
コントローラ
コントローラは、媒質の送給、および血流中での媒質パラメータの検出を制御し得る。さらに、コントローラは、1つ以上のセンサーから情報を受信し、かつ情報を解釈して、血管系内の場所、相対的位置、および/または危険区域を評価する。センサー信号は、ワイヤ、光ファイバーケーブル、または他の手段を介して、コントローラに戻るように通信され、そこで、測定されたパラメータ、パラメータプロファイル、2つ以上のセンサーのパラメータ、または経時的なパラメータの変化、および/または距離に基づいて、信号が分析される。例えば、コントローラは、血管カテーテルナビゲーション機器の近くの血流の大きさおよび方向、および/または他のフローパラメータに基づいて、血管カテーテルナビゲーション機器の遠位端部が静脈の代わりに動脈内にあるかどうかを決定し得る。例えば、コントローラが、血管カテーテルナビゲーション機器の遠位端部が静脈の代わりに動脈内にあると決定する場合、可聴、視覚信号などを含む特定の識別信号が合図して、ユーザに、血管カテーテルナビゲーション機器、および任意の他の機器、例えばシース、カテーテルなどを除去し、および血管に圧力を加えるように、指示する。例えば、血管カテーテルナビゲーション機器の前進、後退、向きの変更、停止または除去の指示は、コントローラによって、コントローラのいずれかに接続されたスクリーン上に表示され得る。接続は有線でもまたは無線でもよく、およびスクリーンは、ローカルでもまたはリモートでもよい。コントローラからの信号は、Bluetooth(登録商標)、または他の無線プロトコルで、ラップトップ、タブレット、電話、腕時計、または他の周辺機器などのコンピュータへ伝送され得る。
【0166】
コントローラは、食塩水などの温度制御された溶液の注入、音の導入、光の導入などを含む、媒質の導入を制御し得る。温度制御されたとは、体温とは異なる温度を意味し得る。
【0167】
コントローラはまた、他のシステム、例えば電子医療システム、電子健康システムなどと統合され得る。統合は、有線でもまたは無線でもよく、およびローカルでもまたはリモートでもよい。統合は、「EMRスニッファー」を介してもよい。
【0168】
注入機構および流体特性
カテーテルの場所を検出するために使用される輸液の滴下、ボーラス、液滴、ストリームなどは、特定のパラメータを有し得る。輸液は滴下としてもよいし、またはストリームとしてもよい。好ましい間欠的な量のサイズ(滴下、滴、ボーラス、間欠的なストリーム)は約0.5cc~約3ccとし得るが、約0.1cc~約10ccの範囲ともし得る。あるいは、量は約0.5cc~約1ccの範囲ともし得る。あるいは、量は約0.5cc~約2ccの範囲ともし得る。
【0169】
好ましい滴下間隔は、約0.5秒毎~約4秒毎、より広い範囲では約0.25秒毎~約10秒毎とし得る。輸液が連続的なストリームである場合、好ましい流量は約4cc/分であるが、約0.25cc/分~約15cc/分または約0.1cc/分~約30cc/分または約0.1cc/分~約60cc/分の範囲とし得る。
【0170】
注入のために注入機構(例えばシリンジ)に加えられる圧力は約3psiとし得るが、約1psi~約5psiの範囲としてもよいし、または範囲は約0.1psi~約200psiとしてもよい。
【0171】
温度希釈感知溶液中の流体温度は、最適には約22.5Cであるが、約20C~約25Cまたは約1C~約36Cとし得る。あるいは、流体は、体温を上回って、最適には約40Cとし得るが、約39~42Cまたは約37C~約45Cの範囲としてもよい。
【0172】
コントローラは、注入機器、または容量移動機器、例えばシリンジを制御し得るため、注入機器は、カテーテルまたはスタイレット/ガイドワイヤに流体を、制御した量および/または流速で導入し得る。流体の固定量および/または流速は、血液温度(約37℃)を上回るまたは下回る、または測定される公知の温度のいずれかの、制御された温度にあるとし得る。注入機器は、予め決められた間隔で、または他の間隔で、または連続的に、流体を制御した量および/または流速で注入し得る。制御した量および/または流速の流体は、処置を通して同じままとしても、または量および/または流速は、患者、血管系内のカテーテル/システムの場所などに依存して、変化してもよい。例えば、注入される流体の量および/または流速は、カテーテルの先端部が心臓に近くなるほど、増加され得る。量および/または流速は、異なるサイズの血管カテーテルまたは血管カテーテルの異なるサイズのルーメン、例えば複数のルーメンを備えるカテーテルでは、異なり得る。
【0173】
注入される流体の量および/または流速は、主ねじ、カム、リニアアクチュエータモータなどによって制御され得る。注入要件の力も制御および/または監視され得る。例えば、非常に高い力が流体の注入に必要とされる場合、警報によって、カテーテルのねじれ、血餅、カテーテル先端部が血管壁に当たっている、または細い血管内にある、または他のカテーテル開存性状況を含む、カテーテル遮断状況が存在する可能性があることをユーザに示す。より高いまたはより低い力での注入は、解剖学的構造の異なる領域において、または解剖学的構造内の場所を確認するために、使用され得る。例えば、より少ない量および/または流速での、より高い力での注入は、より低い力の、より多い量および/または流速での注入とは異なる温度曲線情報を提供し得る。より高い頻度での少量の注入は、より低い頻度でのより多い量の注入などとは異なる情報を提供し得る。
【0174】
流体注入器はまた、注入ルーメン/先端部の開存性を決定するために、カテーテル/スタイレット/ガイドワイヤを通して流体を引き出すように構成され得る。コントローラは、流体がカテーテル/スタイレット/ガイドワイヤを通って自由に流れていることを決定するために、流体を引き出す力を評価し得る。流体が自由に流れていない場合、開存性警報によってユーザに注意喚起し得る。あるいは、コントローラは、注入器がカテーテル/スタイレット/ガイドワイヤを通して流体を引き出すときに、システム内に血液が存在することを感知するセンサーを有し得る。これは、光学的にまたは他の方法で行われ得る。
【0175】
注入機構の実施形態を
図51に示す。この実施形態は、モータ駆動式主ねじとし得る、カートリッジ/シリンジ/溜め部用の自動注入システムを含み得る。コントローラは、圧力、量、頻度、流速などを含む輸液送給パラメータを制御する。コントローラはまた、GUIを制御し得る。
図51に示すボタンは、機器のスイッチをオンおよびオフにし、挿入前にカテーテルから空気を追放してもよいし、および/または感知した問題の状況の場合、機器の動作を停止させてもよい。ユニットは、完全に廃棄可能としても、部分的に廃棄可能としても、または廃棄不能としてもよく、および処置の際に滅菌野にあってもまたは非滅菌野にあってもよい。
【0176】
システムは、プレフィルド(prefilled)注入機器、または充填可能な注入機器と一緒に梱包され得る。食塩水は、流体として使用され得る。造影剤が使用され得る(これは、食塩水よりも粘度が高い)。異なる粘度の流体が使用され得る、または流体が混合されて(例えば造影剤および食塩水)、所望の粘度または他の所望の特性を達成し得る。異なる表面張力、異なる比熱容量、異なる酸性度または他の異なる属性の流体が使用され得る。血液のものとは異なる特性の流体は、異なる温度曲線を提供し、それゆえ、血管系におけるカテーテル/ガイドワイヤ/スタイレット先端部の場所に関して、異なる情報を提供する。いくつかの流体は、血液に溶解し、および他のものはあまり溶解しないとし得る。注入流体は、血流に注入されるため、使用される流体は、好ましくは生体適合性である。
【0177】
異なる結果のために、添加剤が注入流体に添加され得る。例えば、NaClなどの塩が添加され得る。ECG電極を含む実施形態では、異なる塩または他の添加剤は、ECG信号を改善し得る。異なる流体(液体または気体)は、主流体と一緒に導入されて、流体特性を修正し得る。例えば、生体適合性の液体または気体は、食塩水中で「泡立たせられ」得る。
【0178】
コントローラによって制御されるユーザインターフェースは、ディスプレイ、警報(可聴、可視、光、振動など)および他の情報を含み得る。ユーザインターフェースは、解剖学的構造内でのカテーテル/ガイドワイヤ/スタイレット先端部の場所の仮想現実インジケータを用いる、解剖学的構造のディスプレイを含み得る。例えば、ディスプレイは、ヒトの血管系の画像とし得、および動的インジケータ、例えば光は、解剖学的構造内のカテーテル/ガイドワイヤ/スタイレット先端部がある個所を示し得る。ディスプレイは、実寸法とし、およびおそらくは患者に投影されてもよく、またはより小さいまたはより大きいサイズとし、例えば、コントローラ、タブレット上に表示されても、または壁に投影されてもよい。コントローラおよび/またはディスプレイは、コンピュータ、ラップトップ、タブレット、携帯電話、仮想現実/拡張現実眼鏡などを含み得る。
【0179】
システムは完全に廃棄可能とし得る。完全に廃棄可能なシステムの主なパッケージは:シリンジと、シリンジポンプと、選択した流体が充填されたシリンジと、コントローラと、ディスプレイ、警報、および光のいずれかの組み合わせとして存在し得るユーザインターフェースと、カテーテルと、スタイレット/ガイドワイヤと、導入機構とを含む。これらの要素は全て、完全に廃棄可能とし得る。そうすることによって、感染の機会が減少される。
【0180】
別の実施形態は、上記でリストしたアイテムを全て含み、ディスプレイは廃棄不能である。ディスプレイは、非滅菌野内にあって、およびケーブルまたはBluetoothなどの無線通信プロトコルを介して通信し得る。あるいは、ディスプレイは、有線または無線接続を使用して、滅菌野内にあってもよい。それに加えて/その代わりに、ディスプレイは、眼鏡-仮想現実眼鏡または拡張現実眼鏡のいずれかに投影されてもよい。眼鏡は、滅菌にあってもまたは非滅菌野内にあってもよい。さらに、プロジェクターが、ディスプレイを選択した面上に映してもよく、およびプロジェクターは、滅菌野にあってもまたは非滅菌野にあってもよい。
【0181】
別の実施形態は、2つのサブシステムからなる。廃棄可能要素は、カテーテル、スタイレット/ガイドワイヤ、および流体が充填された体積変位機器、例えばシリンジを含み得る。廃棄不能要素は、ハウジング内のコントローラ、シリンジ/カートリッジ上の主ねじを押すためのメカニック/モータ、ディスプレイ、オーディオ、および視覚要素、ならびにユーザインタラクションボタンなどを含み得る。
【0182】
本明細書で開示するカテーテル/スタイレット/ガイドワイヤの設置および/または開存性の技術のいずれかは、血管系内に機器を設置する間に、ならびに設置後に、機器がその設置場所から著しく外れていないかを決定するために使用され得る。
【0183】
本明細書で開示する実施形態のいずれかは、中心ビーナスライン、鎖骨ライン、正中線などを含む、任意のタイプの中心血管カテーテルと一緒に使用され得る。さらに、本明細書で開示する実施形態のいずれかは:冠動脈、卵円孔開存、心房中隔欠損などに使用されるカテーテルを含む、末梢血管カテーテル、透析カテーテル、および心臓カテーテルと一緒に使用され得る。本明細書で開示する実施形態のいずれかは、任意のタイプの尿カテーテルと一緒に使用され得る。同様の技術が、水中ナビゲーション、採鉱、オイルおよびガスの輸出、公共施設の製作または修繕、交通インフラストラクチャーの製作および修繕などにおいて使用され得る。
【0184】
他の技術はまた、血管カテーテルからのセンサー読取値と併せて使用され得る。例えばECG読取値、超音波読取値、ドップラー読取値、x線読取値、誘導電流技術、圧力読取値など。いくつかの読取値、全ての読取値が、乱流誘発装置によって増大されても、または読取値は増大されなくてもよい。これらの、および他の、他のタイプの読取値は、コントローラによってセンサー読取値と併せて使用されて、血管カテーテルナビゲーション機器の遠位先端部の場所を決定し得る。特定のモダリティは、特定の血管の目標または条件を特定するのに、より良好とし得る。
【0185】
例えば、血管ナビゲーション機器の導電性構成要素のいずれかが、ECGリード線として使用され得る。別のECGリード線は、患者の皮膚に設置され得る。例えば、ガイドワイヤスタイレット補剛材、コイル、エンクロージャ、熱電対リード線、センサーリード線、熱電対、エンドキャップ、導管などは、ECGリード線として使用され得る。あるいは、別個のECGリード線がシステムに追加され得る。
【0186】
血管ナビゲーション機器の実施形態は、心拍出量を測定する能力を含み得る。温度対時間の曲線は、コントローラによって分析されて、同時に、または別の時点でのいずれかで、血管の場所に加えて心拍出量を決定し得る。心拍出量はまた、血管系内での血管ナビゲーション機器の場所を確立するのを支援するために使用され得る。
【0187】
いくつかの実施形態を本明細書で開示した。実施形態のいずれかの特徴のいずれかは、任意の実施形態と組み合わせられ得ることが理解される。
【0188】
血管アクセスまたは血管ナビゲーション機器のいくつかの実施形態は、他の適用例において使用され得る。例えば、機器のコントローラは、様々な血管または他の解剖学的構造のナビゲーションを行う、それらを特定する、およびそれらの健康状態を評価するための論理を備え得る。例えば、いくつかの実施形態は、末梢血管(例えば、静脈)系内の弁の場所を特定するように構成され得る。弁の場所は、弁の近くのおよびその内部の流動特性に基づいて特定され得る。弁の健康状態は、弁の近くのおよびその内部の流動特性に基づいて評価され得る。弁の機能は、弁の近くのおよびその内部の流動特性に基づいて評価され得る。弁の閉鎖は、弁の近くのおよびその内部の流動特性に基づいて評価され得る。血管の流動特性は、システムによって、弁の近くに、その内部に、および/またはそれを通り過ぎてナビゲーションするために使用され得る。血管ナビゲーション機器のいくつかの実施形態は、治療処置と併せて使用され得る。例えば、システムは、人工弁(valve prosthetics)の設置、弁の修復などを支援するために使用され得る。システムは、流動特性、設置場所などに基づいて、そのような処置の成功を評価するために使用され得る。システムはまた、血管ステント留置場所をナビゲーションし、および処置の前後に、血管の機能を評価するために使用され得る。システムは、プロテーゼ(ステント、弁など)の機能および/または場所および/または健康状態を、その設置の前後に評価するために使用され得る。
【0189】
いくつかの実施形態では、システムは、流動特性に基づいて、血管の狭窄(stenosis)、閉塞(blockage)、狭窄(narrowings)または疾患を診断するために使用され得る。システムは、流動特性に基づいて、血管の狭窄(stenosis)、遮断、狭窄(narrowings)または疾患を分類するために使用され得る。システムは、髄液の漏れの場所および量を特定するために使用され得る。
【0190】
システムのいくつかの実施形態では、血管系は、脚、腕、鼡径部などを経由して末梢からアクセスされる。
【0191】
システムのいくつかの実施形態は、血管または他の器官(例えば嚢、肺など)の流動特性に基づいて他の疾患または健康状態を診断するために使用され得る。
【0192】
システムのいくつかの実施形態は、脳内にあるものなどの、他の血管の健康状態を評価し、かつ、それを通ってナビゲーションするために使用され得る。例えば、システムは、脳のおよび体内の他の箇所の動脈瘤、閉塞、狭窄(narrowings、stenosis)を特定し、そこまでナビゲーションし、およびその健康状態を評価するために使用され得る。
【0193】
システムの実施形態は、血管造影、動静脈奇形(AVM)、バルーン血管形成術、胆管ドレナージおよびステント留置、内出血(Bleeding Internally)、中心静脈アクセス(Central Venous Access)、化学塞栓療法、塞栓形成、胃造瘻チューブ、血液透析アクセス維持、高血圧、感染および膿瘍ドレナージ、針生検、ラジオ波焼灼法、ステント、ステントグラフト、血栓崩壊、TIPS(経頸静脈肝内門脈静脈短絡術)、尿路閉塞、子宮動脈塞栓術、子宮筋腫塞栓術、精索静脈瘤塞栓術、静脈瘤治療、大静脈フィルタ、椎体形成術、深部静脈血栓症などを含む、任意のインターベンショナルラジオロジー処置に使用され得る。
【0194】
システムのいくつかの実施形態は、血流の方向、速さ、流動特性などを特定するために使用され得る。これは、静脈系のナビゲーションだけでなく、心疾患、慢性静脈障害、静脈流出路閉塞(venous outflow obstruction)などを特定するのに有用である静脈または動脈の流動状態の評価にも有用とし得る。
【0195】
システムのいくつかの実施形態は、抗凝血剤(blood thinner)(ヘパリンなど)などの薬剤に急性的にまたは時間が経つにつれて応答するときの、血液の流動特性の変化を特定するために使用され得る。例えば、血液の薄さ、粘度、または他の特性は、流動特性に基づいて評価され得る。
【0196】
マルチセンサー技術のいくつかの実施形態はまた、一時的な機器として使用されるのではなく、体内の永久インプラントに含まれ得る。経時的な心血管系のパフォーマンスまたは健康状態を測定し、経時的な介入後のパフォーマンスを測定するためなどに使用され得る。このタイプの介入は、バイパス術において使用されるときなど、手術のみとし得、かつまた、結果および/またはパフォーマンス、および/または例えば機械弁、ステント、バルーンなどの介入の成功を監視することを含み得る。また、介入に必要な評価に使用され得る。
【0197】
別の実施形態では、注入される流体ボーラスまたはストリームの温度の測定に加えてまたはその代わりに、システムは、流体のボーラスまたはストリームの電気伝導率を測定し得る。流体のストリームまたはボーラスは様々な流動状態および方向で変動するため、電気伝導率の変動が検出され得る。さらに、流体は、電気伝導率を最適にするために注入され得る。例えば、1種以上の塩を含有する流体が、流体をより電気伝導性にするために使用され得る。
【0198】
この技術はまた、体外で、1つ以上の静脈に近接した皮膚表面上で使用されてもよい。これは、皮膚上でまたは皮膚のすぐ下で、皮膚を横切ってまたは皮膚内で行われ得る。例えば、温度センサーは、皮膚の上部または静脈のいくつかの場所に設置され得る。加熱または冷却事象は、血管内に投与されて、閉塞、流れ、またはナビゲーション要件を検出し得る。反対に、加熱およびまたは冷却事象は、システムが血管内の温度を感知している間に、皮膚の外部で発生し得る。あるいは、圧力、または電気伝導率が使用され得る。いくつかの実施形態はまた、急性または慢性のいずれかの事象で、流動特性を検出し、静脈または動脈の疾患、課題、および障害を診断し得る。体表面または静脈にある機器の実施形態は、一時的な評価ツールとしてもよいし、またはより永久的に装着されるバイオセンサー、例えば腕時計、指輪、リストバンド、ネックレス、イアリング、コンタクトレンズなどとしてもよい。
【0199】
データ処理システムの例
図52は、本発明の任意の実施形態と一緒に使用され得るデータ処理システムのブロック図である。例えば、システム5200は、コントローラの一部として使用され得る。
図52は、コンピュータシステムの様々な構成要素を示すが、構成要素を相互接続するいずれかの特定のアーキテクチャまたは方法を表すものではないことに留意されたい;そのようなものとして、詳細は本発明に直接関係するものではない。ネットワークコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、モバイル機器、タブレット、セル方式の携帯電話、およびより少数の構成要素またはおそらくはより多数の構成要素を有する他のデータ処理システムも、本発明と一緒に使用され得ることも理解されたい。
【0200】
図52に示すように、データ処理システムの形態にあるコンピュータシステム5200は、1つ以上のマイクロプロセッサー5203およびROM5207、揮発性RAM5205、および不揮発性メモリ5206に結合されるバスまたはインターコネクト5202を含む。マイクロプロセッサー5203はキャッシュメモリ5204に結合される。バス5202は、これらの様々な構成要素を相互接続し、かつまた、これらの構成要素5203、5207、5205、および5206を、ディスプレイコントローラおよびディスプレイ機器5208に、ならびにマウス、キーボード、モデム、ネットワークインターフェース、プリンター、および当業界で周知の他の機器とし得る入力/出力(I/O)機器5210に相互接続する。
【0201】
一般に、入力/出力機器5210は、入力/出力コントローラ5209によってシステムに結合される。揮発性RAM5205は、一般に、ダイナミックRAM(DRAM)として実装され、これは、メモリ内のデータをリフレッシュするまたは維持するために、絶えず電力を必要とする。不揮発性メモリ5206は、一般に、磁気ディスクドライブ、磁気オプティカルドライブ、オプティカルドライブ、またはDVD RAM、またはシステムから電力が除去された後でもデータを維持する他のタイプのメモリシステムである。一般に、不揮発性メモリはまた、ランダムアクセスメモリであるが、これは必須ではない。
【0202】
図52は、不揮発性メモリは、データ処理システムの構成要素の残りのものに直接結合されるローカルデバイスであることを示すが、本発明は、システムから離れたところにある不揮発性メモリ;例えば、モデムまたはイーサネット(登録商標)インターフェースなどのネットワークインターフェースによってデータ処理システムに結合されるネットワーク記憶機器を用いてもよい。バス5202は、当業界で周知なような様々なブリッジ、コントローラ、および/またはアダプターによって互いに接続される1つ以上のバスを含み得る。一実施形態では、I/Oコントローラ5209は、USB周辺機器を制御するために、USB(ユニバーサル・シリアルバス)アダプターを含む。あるいは、I/Oコントローラ5209は、FireWire機器を制御するための、FireWireアダプターとしても公知のIEEE-1394アダプター、SPI(シリアル周辺機器インターフェース)、I2C(集積回路間通信(inter-integrated Circuit))またはUART(非同期受信機送信機(universal asynchronous receiver/transmitter))、または任意の他の好適な技術を含み得る。無線通信プロトコルは、Wi-Fi、Bluetooth、ZigBee、近距離、セルラーおよび他のプロトコルを含み得る。
【0203】
先の詳細な説明のいくつかの部分は、コンピュータメモリ内でのデータビットのオペレーションのアルゴリズムおよび象徴の観点から提示された。これらのアルゴリズムの説明および表示は、仕事の本質を他の当業者に最も効果的に伝えるために、データ処理業界の当業者によって使用される方法である。アルゴリズムは、ここでは、および全体的に、所望の結果に至るオペレーションの首尾一貫したシーケンスであると想像される。これらのオペレーションは、物理量の物理的操作を必要とするものである。
【0204】
しかしながら、これらおよび同様の用語は全て、適切な物理量に関連付けられること、および単にこれらの量に適用される便利なラベルにすぎないことを心に留める必要がある。特に具体的に明記しない限り、上記の説明から明らかなように、説明を通して、下記の特許請求の範囲で説明されるものなどの用語を使用する説明は、コンピュータシステムまたは同様の電子計算機器のアクションおよび処理を指し、コンピュータシステムのレジスタおよびメモリ内で物理(電子)量として表わされるデータを操作し、かつそれを、コンピュータシステムメモリまたはレジスタまたは他のそのような情報記憶、伝送または表示機器内で同様に物理量として表わされる他のデータに変換することが理解される。
【0205】
図面に示される技術は、1つ以上の電子デバイスで記憶および実行されるコードおよびデータを使用して実装され得る。そのような電子デバイスは、コンピュータ可読媒体、例えば非一時的なコンピュータ可読記憶媒体(例えば、磁気ディスク;光ディスク;ランダムアクセスメモリ;リードオンリーメモリ;フラッシュメモリ素子;相変化メモリ)および一時的なコンピュータ可読伝送媒体(例えば、電気、光、音響または他の形態の伝搬信号-例えば搬送波、赤外線信号、デジタル信号)を使用して、コードおよびデータを記憶して通信する(内部的におよび/またはネットワークによって他の電子デバイスと)。
【0206】
先の図面に示すプロセスまたは方法は、ハードウェア(例えば回路部品、専用の論理など)、ファームウェア、ソフトウェア(例えば、非一時的なコンピュータ可読媒体に実装されている)、またはそれら双方の組み合わせを含む論理を処理することによって実行され得る。プロセスまたは方法は、いくつかの連続的なオペレーションの観点で、上記で説明されたが、説明したオペレーションのいくつかは、異なる順序で実施され得ることを理解されるべきである。さらに、いくつかのオペレーションは、連続的にではなく、並行して実施されてもよい。