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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-29
(45)【発行日】2023-04-06
(54)【発明の名称】溶接システムおよび溶接方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/095 20060101AFI20230330BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20230330BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20230330BHJP
   B23K 10/02 20060101ALN20230330BHJP
【FI】
B23K9/095 510A
B23K9/095 510B
B23K26/00 N
B23K26/00 P
B25J13/00 Z
B23K10/02 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022506471
(86)(22)【出願日】2020-07-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-12
(86)【国際出願番号】 EP2020071519
(87)【国際公開番号】W WO2021019019
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-04-01
(31)【優先権主張番号】19189617.4
(32)【優先日】2019-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504380611
【氏名又は名称】フロニウス・インテルナツィオナール・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】FRONIUS INTERNATIONAL GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】エンスブルンナー,ヘルムート
(72)【発明者】
【氏名】ラインターラー,ギュンター
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-503515(JP,A)
【文献】再公表特許第2016/075871(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/095
B23K 26/00
B23K 9/12
B25J 13/00
B23K 10/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期(T)で周期的に変化する少なくとも1つのプロセスパラメータ(P(t))、特に溶接電流(I(t))を供給するための溶接電流源(1)と、前記少なくとも1つのプロセスパラメータ(P(t))の前記周期(T)を指定するためのプロセスコントローラ(2)と、パワーユニット(3)と、プロセス変数(G(t))を取得するための少なくとも1つのセンサ(5)および/またはプロセスパラメータ(P(t))に影響を及ぼすための少なくとも1つのプロセスアクチュエータ(6)、および前記少なくとも1つのセンサ(5)および/または前記少なくとも1つのプロセスアクチュエータ(6)に接続するための少なくとも1つのポート(4)と、を備え、前記少なくとも1つのセンサ(5)および/または前記少なくとも1つのプロセスアクチュエータ(6)が、少なくとも1つの所定のトリガ条件(B)にしたがって前記周期的に変化するプロセスパラメータ(P(t))によってトリガされることができる、溶接システムであって、前記溶接電流源(1)に接続されるユーザインターフェース(7)が設けられ、ユーザインターフェースを介して、前記少なくとも1つのセンサ(5)および/または前記少なくとも1つのプロセスアクチュエータ(6)をトリガするための前記少なくとも1つのトリガ条件(B)が少なくとも1つのプロセスパラメータ(P (t))の前記周期(T)中に指定されることができ、それぞれの指定されたトリガ条件(B )が満足された場合、前記少なくとも1つのポート(4)を介して前記少なくとも1つのセンサ(5)および/または前記少なくとも1つのプロセスアクチュエータ(6)に少なくとも1つの規定されたトリガ信号(Trig)が転送されることができ、それによって前記少なくとも1つのセンサ(5)および/または前記少なくとも1つのプロセスアクチュエータ(6)が、前記所定のトリガ条件(B )にしたがって、前記少なくとも1つの周期的に変化するプロセスパラメータ(P (t))によってトリガされることができる、ことを特徴とする溶接システム。
【請求項2】
前記ユーザインターフェース(7)が、ウェブインターフェース(8)によって形成される、ことを特徴とする請求項1に記載の溶接システム。
【請求項3】
センサ(5)が、光学センサ(9)によって形成されるか、または光学センサ(9)を含む、ことを特徴とする請求項1または2に記載の溶接システム。
【請求項4】
センサ(5)が、誘導性もしくは容量性センサ(10)によって形成されるか、または誘導性もしくは容量性センサ(10)を含む、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の溶接システム。
【請求項5】
プロセスアクチュエータ(6)が、マニピュレータ(11)、例えばロボットまたはリニアアンダーキャリッジによって形成される、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の溶接システム。
【請求項6】
プロセスアクチュエータ(6)が、ワイヤ(13)を供給するためのモータ(12)によって形成される、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の溶接システム。
【請求項7】
前記プロセスコントローラ(2)が、前記ユーザインターフェース(7)上で指定された少なくとも1つのトリガ条件(B)に基づいて少なくとも1つのプロセスパラメータ(P(t))を変更するように設計される、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の溶接システム。
【請求項8】
前記プロセスコントローラ(2)が、前記少なくとも1つのトリガ条件(B)の前の所定の期間(Δt)に少なくとも1つのトリガ信号(Trig)を供給し、前記少なくとも1つのポート(4)を介して前記信号を転送するように設計される、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の溶接システム。
【請求項9】
溶接電流源(1)において、少なくとも1つのプロセスパラメータ(P(t))、特に溶接電流(I(t))が周期(T)で周期的に変化し、プロセスコントローラ(2)が前記少なくとも1つのプロセスパラメータ(P(t))の前記周期(T)を指定するために使用され、パワーユニット(3)が前記少なくとも1つのプロセスパラメータ(P(t))を生成し、プロセス変数(Gij(T))を取得するための少なくとも1つのセンサ(5)および/またはプロセスパラメータ(P(t))に影響を及ぼすための少なくとも1つのプロセスアクチュエータ(6)が少なくとも1つのポート(4)を介して接続され、前記少なくとも1つのセンサ(5)および/または前記少なくとも1つのプロセスアクチュエータ(6)が、少なくとも1つの所定のトリガ条件(B)にしたがって前記少なくとも1つの周期的に変化するプロセスパラメータ(P(t))によってトリガされる、溶接方法であって、前記少なくとも1つのセンサ(5)および/または前記少なくとも1つのプロセスアクチュエータ(6)をトリガするための前記少なくとも1つのトリガ条件(B)が、少なくとも1つのプロセスパラメータ(P (t))の前記周期(T)中に前記溶接電流源(1)に接続されたユーザインターフェース(7)を介して指定され、それぞれの指定されたトリガ条件(B )が満足された場合、少なくとも1つの規定されたトリガ信号(Trig)が、前記少なくとも1つのポート(4)を介して前記少なくとも1つのセンサ(5)および/または前記少なくとも1つのプロセスアクチュエータ(6)に転送され、それによって前記少なくとも1つのセンサ(5)および/または前記少なくとも1つのプロセスアクチュエータ(6)が、前記所定のトリガ条件(B )にしたがって、前記少なくとも1つの周期的に変化するプロセスパラメータ(P (t))によってトリガされる、ことを特徴とする溶接方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのプロセスパラメータ(P(t))が前記ユーザインターフェース(7)上にグラフィカルに表示され、前記少なくとも1つのトリガ条件(B)が前記少なくとも1つのグラフィカルに表示されたプロセスパラメータ(P(t))上で指定される、ことを特徴とする請求項9に記載の溶接方法。
【請求項11】
少なくとも1つのプロセスパラメータ(P (t))の前記周期(T)内のトリガ時間(t)が前記トリガ条件(B)として指定されることができる、ことを特徴とする請求項9または10に記載の溶接方法。
【請求項12】
少なくとも1つのプロセスパラメータ(P(t))が、前記ユーザインターフェース(7)上で指定された少なくとも1つのトリガ条件(B)に基づいて変更される、ことを特徴とする請求項9~11のいずれか1項に記載の溶接方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのポート(4)を介して、少なくとも1つのトリガ信号(Trig)が、前記少なくとも1つのトリガ条件(B)の前の所定の期間(Δt)において転送される、ことを特徴とする請求項9~12のいずれか1項に記載の溶接方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定周期で周期的に変化する少なくとも1つのプロセスパラメータを供給するための溶接電流源と、少なくとも1つのプロセスパラメータの周期を指定するためのプロセスコントローラと、パワーユニットと、プロセス変数を取得するための少なくとも1つのセンサおよび/またはプロセスパラメータに影響を及ぼすための少なくとも1つのプロセスアクチュエータに接続するための少なくとも1つのポートとを備え、少なくとも1つのセンサおよび/または少なくとも1つのプロセスアクチュエータが、少なくとも1つの所定のトリガ条件にしたがって周期的に変化するプロセスパラメータによってトリガされることができる、溶接システムに関する。
【0002】
さらにまた、本発明は、溶接電流源において、少なくとも1つのプロセスパラメータが所定周期で周期的に変化し、プロセスコントローラが少なくとも1つのプロセスパラメータの周期を指定するために使用され、パワーユニットが少なくとも1つのプロセスパラメータを生成し、少なくとも1つのポートを介して、プロセス変数を取得するための少なくとも1つのセンサおよび/またはプロセスパラメータに影響を及ぼすための少なくとも1つのプロセスアクチュエータが接続され、少なくとも1つのセンサおよび/または少なくとも1つのプロセスアクチュエータが、少なくとも1つの所定のトリガ条件にしたがって少なくとも1つの周期的に変化するプロセスパラメータによってトリガされる、溶接方法に関する。
【0003】
特に、本発明は、周期的に変化する溶接電流をプロセスパラメータとして供給するための溶接電流源を備えた溶接システムおよび溶接方法に関する。溶接電圧、溶接電力などのさらなるプロセスパラメータもまた、溶接電流源によって指定されるか、またはそれぞれのプロセスによって判定される。周期的に変化するプロセスパラメータの周期は、一定である必要はないが、プロセスの過程で変化することがある。これは、特に、実際の溶接プロセスで実際に見られる場合である。短絡ベースの溶接プロセスでは、例えば、短絡相およびアーク相からなる溶接プロセスの期間は、溶接パラメータの対応する調整システムに起因して常に一定量の変動を受ける。異なる数のプロセスパラメータがそれぞれのプロセスにおいて発生する可能性がある。プロセスアクチュエータによって影響される可能性があるプロセスパラメータは、それぞれのプロセスの周期的に変化するプロセスパラメータのうちの1つ以上である。
【背景技術】
【0004】
アーク溶接システムに加えて、金属ワークピースを接続またはコーティングするためのレーザ溶接システムまたはレーザハイブリッド溶接システム、ならびに、ワークピースの表面が、例えば、それらを洗浄するために、またはそれらを後続のプロセスのために準備するためにプラズマビームによって処理されるプラズマ処理システムも可能である。例えば、プラズマ処理システムは、塗装またはコーティングプロセスの前にワークピースの表面を洗浄するために使用される。
【0005】
プロセス変数という用語は、プロセスに依存するかまたはプロセスによって影響を受ける広範囲の物理的変数を指す。例えば、溶接プロセスでは、溶接シームの幾何学的形状または幅は、プロセス変数として光学センサによって測定されることができ、または例えば、溶接シームの温度は、別のプロセス変数として熱センサによって測定されることができる。
【0006】
用途に応じて、プロセスパラメータは、プロセスコントローラによって異なる方法で制御される。プロセスパラメータの実際の時間経過は、同様に現在のプロセス動作に依存し、通常は予測不可能な方法で所望の経過から逸脱する。
【0007】
そのような周期的に変化するプロセスパラメータを用いて、各期間中の特定のイベント時にセンサおよび/またはプロセスアクチュエータをトリガすることは、特定のタスクにとって必要または望ましいことが多い。通常、特定のセンサまたはプロセスアクチュエータには、影響または変更されることができない、または非常に限られた範囲でしか影響または変更されることができない所定のトリガ条件がある。少なくとも1つの周期的に変化するプロセスパラメータの実際の経過は、センサおよび/またはプロセスアクチュエータのトリガに同様に影響を及ぼす。
【0008】
例えば、溶接技術では、溶接電流のトリガ条件によってカメラの画像取得またはスクリーンカセットの閉鎖を開始することによって、溶接電流源の周期的に変化する溶接電流によってトリガされるカメラまたは溶接シールドが知られている。
【0009】
欧州特許第2 475 489号明細書は、観察されたアークプロセスと同期して制御されるカメラおよび光源を有する、アークプロセスを監視するための監視モジュールを記載している。
【0010】
記事”Online-Schmelzbaddiagnostik zum Uberwachen der Qualitat und Vermeiden von Fehlern beim LichtbogenschweiBen” (Uwe Reisgen et al., SchweiBen und Schneiden, Volume 66, Issue 5, May 1, 2014, P. 243-249, DVS Verlag, Dusseldorf, DE)は、溶融浴形状を取得するためのカメラが使用されて溶接プロセスの品質を監視し、カメラによって記録された画像が続いて内部プロセッサにおいて評価されるアーク溶接方法を記載している。
【0011】
米国特許出願公開第2004/0034608号明細書は、溶接パラメータの制御の複雑さを低減し、溶接プロセス中の安定した材料移行を達成するために、ニューラルネットワークを使用した溶接パラメータの自動制御が実行される、アーク溶接プロセスを監視するための光学システムを記載している。
【0012】
従来の溶接電流源は、通常、特定のセンサおよび/またはプロセスアクチュエータのための特定のポートのみを有し、これは、所定のトリガ条件にしたがって周期的に変化するプロセスパラメータと同期して制御されることができる。トリガ条件へのいかなる影響も、通常は不可能であり、または多大な労力を伴ってのみ可能である。プロセスパラメータが変更された場合、トリガ条件も変更されることはできない。
【発明の概要】
【0013】
本発明の目的は、溶接電流源に接続されるセンサおよび/またはプロセスアクチュエータのトリガ条件が、様々なタイプのセンサおよび/またはプロセスアクチュエータの溶接プロセスの選択されたプロセスパラメータに最適なトリガ条件を指定することができるように、特に柔軟な方法で指定および変更されることができる、上記の溶接システムおよび溶接方法を形成することである。したがって、トリガされるセンサおよび/またはプロセスアクチュエータは、それぞれの周期的に変化するプロセスパラメータに応じて可能な限り滑らかに制御されることができるべきである。既知の溶接システムまたは溶接方法の欠点は、回避または少なくとも低減されるべきである。
【0014】
本発明にかかる目的は、上述した溶接システムによって達成され、溶接電流源に接続されたユーザインターフェースが設けられ、このユーザインターフェースを介して、少なくとも1つのセンサおよび/または少なくとも1つのプロセスアクチュエータをトリガするための少なくとも1つのトリガ条件が指定されることができ、少なくとも1つのトリガ信号が、少なくとも1つのポートを介して少なくとも1つのセンサおよび/または少なくとも1つのプロセスアクチュエータに転送されることができる。したがって、本発明によれば、ユーザインターフェースが溶接電流源上に設けられ、または溶接電流源に接続され、ユーザインターフェースを介して、溶接電流源に接続されることができる異なるセンサおよび/またはプロセスアクチュエータのトリガ条件が特に柔軟な方法で指定されることができる。次いで、指定されたトリガ条件または対応するトリガ信号は、例えば、センサおよび/またはプロセスアクチュエータが接続されることができるポートを介して転送される。ポートは、例えば、溶接電流源上に配置されることができるが、溶接電流源に接続された別の装置上に設けられることもできる。ポートという用語は、プラグコネクタなどの有線コネクタと、Bluetooth(登録商標)または他の無線接続などの無線インターフェースまたは接続との双方を指す。したがって、一方では、それぞれのセンサおよび/またはプロセスアクチュエータは、それぞれの周期的に変化するプロセスパラメータと一致するように最適に適合されることができ、任意のセンサおよび/またはプロセスアクチュエータもまた、特定の目的のために溶接電流源に接続されることができ、少なくとも1つの周期的に変化するプロセスパラメータと適切な方法で同期されることができる。これはまた、例えば、周期的に変化するプロセスパラメータによって溶接プロセスを監視するための新たな用途を開く。複数のセンサおよび/またはプロセスアクチュエータは、関節トリガ条件で、またはそれぞれ独自のトリガ条件でトリガされることができる。ユーザインターフェースは、必ずしも人によって操作される必要はなく、例えば、機械によって操作されてもよい。
【0015】
例えば、ユーザインターフェースは、ウェブインターフェースによって形成されることができる。例えば、溶接電流源に接続されることができるノートブックが使用されて、トリガ条件を指定するためのユーザインターフェースを形成するウェブサイトにアクセスすることができる。これは、少なくとも1つの周期的に変化するプロセスパラメータのグラフィカル表示を可能にし、同時に、トリガ条件を指定する明確で簡単な手段を可能にする。ウェブインターフェースの代わりに、溶接電流源または接続されたユニット上の単純な制御および表示またはタッチスクリーンも可能である。
【0016】
例えば、センサは、光学センサによって形成されることができ、または光学センサを含むことができる。多くの場合、カメラなどの光学センサによるプロセス変数の監視が必要であるかまたは望ましく、光学センサは、少なくとも1つの周期的に変化するプロセスパラメータによって適切にトリガされなければならない。例えば、アーク溶接プロセスにおいてカメラの良好な画質を達成するために、例えば短絡ベースの溶接プロセスの短絡段階中に、アーク燃焼がない間にカメラ写真を撮る必要がある。
【0017】
センサはまた、誘導または容量センサによって形成されることができ、または誘導または容量センサを含むことができる。そのようなセンサはまた、例えば品質監視のために、プロセスの特定の特性を取得するために使用されることもできる。取得されるべきプロセス変数に対する少なくとも1つの周期的に変化するプロセスパラメータの破壊的影響を最小限に抑えるために、それに応じて誘導または容量センサをトリガすることも必要または便利である。
【0018】
センサの他の例は、距離測定のためのレーザシステム、アークを監視するための放射線センサ、レーザ加工機におけるキーホール監視(レーザの入射点の監視)のためのセンサ、磁場センサ、導体ループを有する電圧センサなどの距離センサを含む。
【0019】
プロセスアクチュエータは、ロボットまたはリニアアンダーキャリッジなどのマニピュレータによって形成されることができる。そのようなマニピュレータはまた、周期的に変化するプロセスパラメータによって適切に制御されてトリガされなければならない。
【0020】
プロセスアクチュエータはまた、ワイヤを供給するためのモータによって形成されることもできる。例えば、溶接ワイヤ、いわゆるホットワイヤを供給するためのモータの電流または速度がトリガされることができる。
【0021】
トリガ可能なプロセスアクチュエータの他の例は、超音波トランスデューサ、レーザ源、照明機器などを含む。
【0022】
本発明の別の特徴によれば、プロセスコントローラは、ユーザインターフェース上で指定された少なくとも1つのトリガ条件に基づいて少なくとも1つのプロセスパラメータを変更するように設計される。この場合、ユーザインターフェースを介して指定されたトリガ条件がプロセスパラメータに影響を与える。例えば、特定のトリガ条件は、プロセスパラメータの期間の特定の最小持続時間に対してのみ選択および指定されることができる。期間の持続時間がプロセスコントローラ上でこの最小持続時間未満に設定されている場合、プロセスコントローラは、指定されたトリガ条件を介して、いわばオーバーチューニングされることができ、特定の状況下では、プロセスは、自動的にまたはユーザによる確認後に変更されることができる。プロセスパラメータの時間特性を操作することに加えて、プロセスパラメータの振幅、勾配などの他の特性もトリガ条件によって操作されることができる。
【0023】
プロセスコントローラが、少なくとも1つのトリガ条件の前の所定の期間に既に少なくとも1つのトリガ信号を供給し、少なくとも1つのポートを介してそれを転送するように設計されている場合、いわゆる「プレトリガ」が達成されることができる。プロセスコントローラは、少なくとも1つのプロセスパラメータ(少なくともその目標値)の期間および経過の知識を有するため、接続されたセンサおよび/またはプロセスアクチュエータは、トリガ時間の前の特定の所定の時間に既にトリガされることができる。例えば、これが使用されて、特定のセンサおよび/またはプロセスアクチュエータの慣性、ならびに送信または信号伝播遅延による遅延を補償することができる。本発明の別の特徴によれば、接続されたセンサまたはプロセスアクチュエータのトリガがトリガされるトリガ時間の前の時間の長さはまた、センサおよび/またはプロセスアクチュエータがポートに接続されるとすぐに自動的に指定または設定されることもできる。これは、ポートに接続されたセンサおよび/またはプロセスアクチュエータを検出することによるプレトリガの自動設定の変形例を表す。
【0024】
本発明にかかる目的は、少なくとも1つのセンサおよび/または少なくとも1つのプロセスアクチュエータをトリガするための少なくとも1つのトリガ条件が、溶接電流源に接続されたユーザインターフェースを介して指定され、少なくとも1つのポートを介して、少なくとも1つのトリガ信号が少なくとも1つのセンサおよび/または少なくとも1つのプロセスアクチュエータに転送されるという事実によって、本方法に関して達成される。本発明にかかる方法は、特定の溶接プロセス中のそれぞれの周期的に変化するプロセスパラメータの経過にかかわらず、広範囲のセンサおよび/またはプロセスアクチュエータのための異なるトリガ条件の柔軟な指定を可能にする。結果として達成可能な利点の詳細については、溶接システムの上記の説明を参照されたい。
【0025】
少なくとも1つのプロセスパラメータがユーザインターフェース上にグラフィカルに表示され、少なくとも1つのトリガ条件が少なくとも1つのグラフィカルに表示されたプロセスパラメータ上で定義されることが有利である。これは、使用されるセンサおよび/またはプロセスアクチュエータの適切なトリガ条件の簡単で個別の定義を可能にする。
【0026】
トリガ条件は、例えば、少なくとも1つの周期的に変化するプロセスパラメータの期間内のトリガ点として指定されることができる。例えば、プロセスパラメータのゼロ交差、またはこのゼロ交差の前もしくは後の特定の持続時間である時間がトリガポイントとして定義されることができる。
【0027】
少なくとも1つのプロセスパラメータは、ユーザインターフェース上で定義された少なくとも1つのトリガ条件に基づいて変更されることができる。これは、特定の定義されたトリガ条件に基づいて、周期的に変化するプロセスパラメータが影響を受ける可能性がある上述した場合に関する。例えば、プロセスコントローラによるプロセスパラメータのそのような変更は、特定のトリガ条件を達成するために必要とすることができる。プロセスシーケンスに対するトリガ条件の影響は、自動的に、またはユーザによる確認後に発生する可能性がある。
【0028】
少なくとも1つのトリガ条件の前の所定の期間に少なくとも1つのトリガ信号が少なくとも1つのポートを介して送信される場合、既に上述したような「プレトリガ」が実現されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
以下に添付図面を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。以下が図示される。
【0030】
図1】周期的に変化する溶接電流を供給するための溶接電流源およびプロセス変数を取得するためのセンサのブロック図である。
図2】周期的に変化するプロセスパラメータの時間特性である。
図3】トリガ条件が異なる溶接電流の時間特性である。
図4】トリガ条件の別の例としてのトリガ時間である。
図5】トリガ条件の別の例としてのトリガ閾値の超過または不足である。
図6】いわゆる「プレトリガ」の例である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、少なくとも1つの周期的に変化する溶接電流I(t)をプロセスパラメータP(t)として供給するための溶接電流源1のブロック図を示している。周期的に変化するプロセスパラメータP(t)を供給するための溶接電流源1は、プロセスパラメータP(t)の周期Tを指定するプロセスコントローラ2を有する。例えば、溶接電流源1のプロセスコントローラ2は、短絡相KSの持続時間およびアーク相LBの持続時間を、周期的に変化する溶接電流I(t)の周期Tとして定義する。プロセスコントローラ2の機能は、溶接電流源1(例えば、いわゆる溶接特性の選択)における入力によって定義される。例えば、プロセスコントローラ2は、溶接電流源1の調整の機能ブロックとすることもできる。したがって、プロセスコントローラ2は、ソフトウェアとして、すなわち物理的にではなく、またはハードウェア構成要素の形態で物理的に構成されることができる。それぞれのプロセスパラメータP(t)は、溶接電流源1のパワーユニット3を介して出力に印加され、例えば、溶接電流I(t)は、溶接トーチBと処理されるワークWとの間で対応するアークLが点火されることができるように溶接トーチBに送られる。
【0032】
様々なセンサ5および/またはプロセスアクチュエータ6は、有線または無線インターフェースによって形成されることができるポート4を介して溶接電流源1に接続される。センサ5は、プロセスを監視し、特定のプロセス変数G(t)を取得するために使用されることができる。異なるプロセスアクチュエータ6が使用されて、プロセスパラメータP(t)に影響を与えることができる。センサ5および/またはプロセスアクチュエータ6は、溶接電流源1に接続された他の装置に接続されることもできる。例えば、カメラの形態のセンサ5は、溶接電流源1に接続されたロボットに接続されることもできる。例えば、プロセスアクチュエータ6は、溶接ワイヤ13を供給するためのモータ12によって形成されることができる。
【0033】
本発明によれば、溶接電流源1に接続されたユーザインターフェース7が設けられ、それを介して、少なくとも1つのセンサ5および/または少なくとも1つのプロセスアクチュエータ6をトリガするための少なくとも1つのトリガ条件Bが指定されることができる。少なくとも1つのセンサ5および/または少なくとも1つのプロセスアクチュエータ6のための指定されたトリガ条件B、または対応するトリガ信号は、その後、それに応じてポート4に転送され、それにより、少なくとも1つのセンサ5および/または少なくとも1つのプロセスアクチュエータ6が、少なくとも1つの周期的に変化するプロセスパラメータP(t)によって、すなわち、例えば溶接電流I(t)によって指定されたトリガ条件Bにしたがってトリガされることを保証する。ポート4は、センサ5および/またはプロセスアクチュエータ6との好ましくは双方向のデータ交換を可能にするために使用される。例えば、ユーザインターフェース7は、ウェブインターフェース8などによって形成されることができる。これは、例えばグラフィカル形式でトリガ条件Bを指定する便利で簡単な手段を可能にする。ユーザインターフェース7は、ユーザによって手動で操作されることもでき、または機械によって自動的に操作されることもできる。例えば、そのような機械は、それ自体の最適値を介して調整されることができるセンサまたはアクチュエータによって形成されることができる。
【0034】
図1に示すアーク溶接プロセス用の溶接電流源1に代えて、レーザ溶接プロセス用のレーザを動作させるための溶接電流源や、レーザハイブリッド溶接プロセス用のアークおよびレーザの双方を発生させるための溶接電流源もまた、設けられることができる。さらに、溶接電流源1はまた、表面処理プロセスや切断プロセス(図示せず)などのプラズマ処理のためのプラズマビームを発生させるプラズマ電流源によって形成されることもできる。
【0035】
図2は、時間tの関数として周期的に変化するプロセスパラメータP(t)の特性を示している。図示の例では、周期的に変化するプロセスパラメータP(t)の周期Tは、6つの異なるプロセス段階TからTから構成され、これらのプロセス段階T内のプロセスパラメータP(t)の特定の経過によって特徴付けられる。例えば、溶接プロセスにおける溶接電流I(t)の位相がある。周期Tおよび周期T内に存在するプロセス段階Tは、一定である必要はなく、変化することもできる。少なくとも1つのプロセスパラメータP(t)の経過は、ユーザの設定にしたがって溶接電流源1のプロセスコントローラ2内で指定および定義される。
【0036】
図3は、溶接電流I(t)の特性を時間tの関数として示している。周期的に変化する溶接電流I(t)の周期Tの間には、例えば、6つのプロセス段階TからTが存在する。4つの異なるトリガ条件BからBが例として示されている。トリガ条件Bは、溶接電流I(t)の所定の閾値Iを下回ることによって定義される。トリガ条件Bは、プロセス段階T中のパルス電流段階の開始を特徴とする。トリガ条件Bは、プロセス段階Tの終了時に溶接電流I(t)の上昇が終了したことを特徴とする。最後に、トリガ条件Bは、プロセス段階Tの終わりにおける溶接電流I(t)の上昇勾配の増加を特徴とする。これは、使用されるセンサ5および/またはプロセスアクチュエータ6にしたがって選択または指定され、トリガされる可能なトリガ条件Bの任意の選択のみを表す。
【0037】
溶接技術では、トリガ条件は、それぞれの溶接プロセスにも依存する。MIG(金属不活性ガス)またはMAG(金属活性ガス)溶接では、短絡相の開始および終了は、短絡ベースの溶接プロセスを使用する場合の適切なトリガ条件とすることができる。例えば、パルスアーク溶接法では、パルス状のベース電流位相の開始および終了がトリガ条件として選択されることができる。直流(DC)および電流パルスを用いるTIG(タングステン不活性ガス)溶接では、パルスベース電流相の開始および終了もまた、トリガ条件として使用されることができる。交流(AC)によるTIG溶接では、溶接電流のゼロクロス(負の溶接電流から正の溶接電流への変化およびその逆)がトリガ条件として使用されることができる。
【0038】
例えば、溶接プロセス中に溶接シームを撮像するための短絡段階の開始時に光学センサ5がトリガされることができ、その結果、アークLが発生しておらず、アークLによるセンサ信号の干渉が生じていない短絡段階中にのみ信号が供給される。ユーザインターフェース7を使用して指定されたトリガ条件Bは、ポート4を介して転送され、センサ5および/またはプロセスアクチュエータ6に向けられるトリガ信号Trigを定義する。例えば、ユーザインターフェース7は、ウェブインターフェース8によって形成されることができる。ユーザは、ノートブックを使用して特定のウェブサイトを開き、それを使用して特定のプロセス変数G(t)を取得するための所望のセンサ5、またはプロセスパラメータP(t)に影響を及ぼすためのプロセスアクチュエータ6のトリガ条件Bを指定することができる。プロセス中、対応するトリガ信号は、次に、定義されたトリガ条件にしたがって、ポート4を介してセンサおよび/またはプロセスアクチュエータ6に転送される。
【0039】
ユーザによってユーザインターフェース7を介してトリガ条件Bを手動で指定する代わりに、ユーザインターフェース7を介してトリガ条件Bを自動で指定することも可能である。例えば、特定のセンサ5を溶接電流源1に接続または取り付ける場合、このセンサ5に適したトリガ条件Bもまた、ユーザインターフェース7において自動的に指定されることができる。
【0040】
プロセスパラメータP(t)の特定の特性によってのみ達成されることができる特定のトリガ条件Bが選択された場合、少なくとも1つのプロセスパラメータP(t)の変更はまた、指定されたトリガ条件Bに起因して起こり得る。したがって、この場合、指定されたトリガ条件Bは、溶接電流源1のプロセスコントローラ2に影響を及ぼす。例えば、トリガ条件Bに起因して、プロセスパラメータP(t)の時間特性や、プロセスパラメータP(t)の振幅や立ち上がりが変化されることができる。
【0041】
図4は、時間tの関数としてのプロセスパラメータP(t)の特性を示している。プロセスパラメータP(t)のゼロクロスがトリガ条件として指定される。トリガ条件が満たされるとすぐに、すなわち、プロセスパラメータP(t)が時間tにおいて時間軸tを横切ると、トリガがトリガされ、対応するトリガ信号Trigがポート4を介して転送される。
【0042】
図5は、さらなるトリガ条件についての時間tの関数としてのプロセスパラメータP(t)の特性を示している。トリガ条件は、例えば、プロセスパラメータP(t)の上限閾値PSOのオーバーシュートまたはアンダーシュート、および、プロセスパラメータP(t)の下限閾値PSUのオーバーシュートまたはアンダーシュートとして定義される。第1のトリガ条件が発生するとすぐに、示されている例示的な実施形態では、プロセスパラメータP(t)の上限閾値Psoがアンダーシュートされ、トリガがトリガされるか、またはトリガ信号Trigがオンに切り替えられる。第2のトリガ条件が満たされた後、図示の例示的な実施形態では、プロセスパラメータP(t)の下限閾値Psuがアンダーシュートされ、トリガが非アクティブ化されるか、またはトリガ信号Trigが再びオフに切り替えられる。
【0043】
最後に、図6は、いわゆる「プレトリガ」の例を示している。上の図は、時間tの関数として周期的に変化するプロセスパラメータP(t)を示している。例えば、これは、プロセスパラメータP(t)としての溶接電流I(t)であり、周期Tにアーク相LBと短絡相KSとを通過する。短絡相KSの開始前の予め定められた期間Δtがトリガ条件Bとして指定される。したがって、トリガまたはトリガ信号Trig(下の図)は、短絡相KSの開始前のこの所定の期間Δtにおいて起動され、例えば、特定の持続時間が経過した後に再び停止される。これは、例えば、センサ5またはプロセスアクチュエータ6の遅延、ならびに信号伝播時間を平衡化または補償することを可能にする。期間Δtは、センサ5またはプロセスアクチュエータ6に記憶されることもでき、センサ5またはプロセスアクチュエータ6が使用されるときに自動的に設定されることもできる。簡単に上述したように、センサ5および/またはプロセスアクチュエータ6はまた、ポート4に接続されるとすぐに自動的に検出されることができ、このセンサ5および/またはプロセスアクチュエータ6のために記憶される対応する期間Δtは、プレトリガの値として自動的に設定される。これは、接続されたセンサ5および/またはプロセスアクチュエータ6を、トリガ時間の前(または後でさえも)の期間Δtの間、記憶された値で自動的にトリガする。
【0044】
本発明は、溶接システムの溶接電流源1のユーザインターフェース7上のトリガ条件Bの特に柔軟な指定を可能にする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6