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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】籾摺器
(51)【国際特許分類】
   B02B 3/04 20060101AFI20230331BHJP
   B02B 5/02 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
B02B3/04 101
B02B5/02 103Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022502748
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(86)【国際出願番号】 JP2020008177
(87)【国際公開番号】W WO2021171525
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000197344
【氏名又は名称】静岡製機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】砂田 正史
(72)【発明者】
【氏名】福元 義高
(72)【発明者】
【氏名】平野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】和田 昇
(72)【発明者】
【氏名】坂部 有紀乃
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-19746(JP,U)
【文献】特許第4502(JP,C2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02B 3/04
B02B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体と、
前記箱体内に投入された籾を玄米と籾殻とに分ける籾摺りを行う籾摺部と、を備え、
前記箱体には、前記籾摺部において分けられた玄米の通過を阻止し、籾殻の通過を許容する籾殻通過孔を有する籾殻排出部が設けられており、
前記籾殻通過孔は、玄米の粒径よりも小さい幅寸法の長孔であり、
前記籾殻排出部は、所定方向に間隔をおいて配置された複数の前記籾殻通過孔を有している
籾摺器。
【請求項3】
前記箱体は、前記箱体から玄米を取り出す取出口を有し、
前記取出口は、開閉部材によって開閉自在であり、
前記籾殻排出部は、前記開閉部材に設けられている
請求項1に記載の籾摺器。
【請求項4】
前記開閉部材は、一端部が前記箱体に対して揺動自在に連結され、他端部に設けられた係合部を前記箱体に係合させることで前記取出口を閉鎖し、前記箱体に対する前記係合部の係合を解除することで前記取出口を開放する
請求項3に記載の籾摺器。
【請求項5】
前記籾摺部は、前記箱体内において回転自在に設けられたローラと、前記ローラの外周面の近傍に配置された平板と、を有し、前記ローラの外周面と平板との間で籾摺りを行う
請求項1、3、4のいずれかに記載の籾摺器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、籾を玄米と籾殻とに分ける籾摺りを行う籾摺器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の籾摺器としては、箱体と、箱体内に投入された籾を玄米と籾殻とに分ける籾摺りを行う籾摺部と、を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記籾摺器は、籾摺部において籾を玄米と籾殻とに分けた後、玄米のみを取り出す必要がある。このため、前記籾摺器は、籾摺部において玄米と分けられた籾殻を吹き飛ばすための送風機を備え、送風機によって籾殻を吹き飛ばすことにより、玄米及び籾殻をそれぞれ専用の収容部に収容している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3165154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、送風機を備えた前記籾摺器は、送風機、籾殻用の収容部及び玄米用の収容部を有しているため、部品点数が多く構造が複雑化するとともに、それぞれの部品の設置スペースが必要となるため装置が大型化することになる。
【0006】
本発明の目的とするところは、簡単な構造で籾殻を分離し、確実に玄米を取り出すことのできる籾摺器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の籾摺器は、前記目的を達成するために、箱体と、前記箱体内に投入された籾を玄米と籾殻とに分ける籾摺りを行う籾摺部と、を備え、前記箱体には、前記籾摺部において分けられた玄米の通過を阻止し、籾殻の通過を許容する籾殻通過孔を有する籾殻排出部が設けられている。
【0008】
ここで、前記籾殻通過孔は、玄米の粒径よりも小さい幅寸法の長孔であり、前記籾殻排出部は、所定方向に間隔をおいて配置された複数の前記籾殻通過孔を有している。
【0009】
また、前記箱体は、前記箱体から玄米を取り出す取出口を有し、前記取出口は、開閉部材によって開閉自在であり、前記籾殻排出部は、前記開閉部材に設けられている。
【0010】
また、前記開閉部材は、一端部が前記箱体に対して揺動自在に連結され、他端部に設けられた係合部を前記箱体に係合させることで前記取出口を閉鎖し、前記箱体に対する前記係合部の係合を解除することで前記取出口を開放する。
【0011】
また、前記籾摺部は、前記箱体内において回転自在に設けられたローラと、前記ローラの外周面の近傍に配置された平板と、を有し、前記ローラの外周面と平板との間で籾摺りを行う。
【発明の効果】
【0012】
本発明の籾摺器によれば、簡単な構造で籾殻を分離し、確実に玄米を取り出すことが可能となり、製造コストの低減及び装置の小型化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態を示す籾摺器の全体斜視図である。
図2図1の2-2断面図である。
図3図1の3-3断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1乃至図3は、本発明の一実施形態を示すものである。尚、本実施形態では、図1に示す、前後方向、幅方向、及び上下方向にしたがって、方向を記載する。
【0015】
本発明の籾摺器1は、籾を玄米と籾殻とに分ける籾摺りを行うためのものであり、例えば、穀物乾燥機で乾燥させた籾の乾燥の度合いを測定する際に用いられる。籾の乾燥の度合いは、籾摺器1によって籾殻を除去した玄米に含まれる水分量を水分測定装置によって計測することによって、測定している。このため、籾摺器1は、穀物乾燥機から取り出した籾を、玄米と籾殻とに分けて玄米のみを取り出すことができるものである。
【0016】
この籾摺器1は、図1に示すように、箱体10と、箱体10内に投入された籾を玄米と籾殻とに分ける籾摺りを行う籾摺部20と、使用者が手動で籾摺部20を駆動させるためのハンドル30と、を備えている。
【0017】
箱体10は、長手方向を上下に向けた姿勢となる直方体の形状を有し、背面が開口された本体11と、本体11の背面の開口を閉鎖する蓋12と、本体11の上下両面に設けられた後述する開口部を開閉する開閉部材13と、を有している。
【0018】
本体11は、図2及び図3に示すように、上面部及び下面部に設けられ、それぞれ、籾を投入するための投入口としての機能と、玄米及び籾殻を取り出すための取出口として機能と、を兼ねる矩形状の一対の開口部11aと、一対の開口部11aの間を上下方向に延びるように設けられた連通路11bと、を有している。また、本体11は、連通路11bにおける上下方向及び幅方向の略中央部に、籾摺部20の後述する回転軸の前端側が貫通し、回転軸の前端側を回転自在に支持する支持孔11cが形成されている。
【0019】
蓋12は、矩形状の板状部材からなり、図3に示すように、上下方向及び幅方向の中央部に籾摺部20の後述する回転軸の端部を回転自在に支持する支持凹部12aが形成されている。
【0020】
開閉部材13は、図2及び図3に示すように、矩形状の部材からなり、一端部としての後端部が本体11及び蓋12に対して揺動自在に連結されている。開閉部材13は、他端部としての前端部に設けられた係合部13bが本体11に係合することで開口部11aを閉鎖し、本体11に対する係合部13bの係合を解除して前端部を後方に揺動させることで開口部11aを開放する。また、開閉部材13は、籾摺部20において玄米と分けられた籾殻を排出するための籾殻排出部13aを有している。籾殻排出部13aは、玄米の粒径よりも小さな幅寸法の長孔状に形成され、分けられた玄米の通過を阻止して籾殻の通過を許容する複数の籾殻通過孔13a1を有している。複数の籾殻通過孔13a1は、開口部11aを閉鎖した状態の開閉部材13の前後方向にそれぞれ所定の間隔をおいて配置されている。
【0021】
籾摺部20は、図2及び図3に示すように、箱体10に回転自在に支持された回転軸21と、回転軸21の外周面に取り付けられたローラ22と、本体11の連通路11bの上下方向中央部に取り付けられた一対の平板23と、を有している。
【0022】
回転軸21は、前後方向に延びるように設けられ、前端側が箱体10の本体11の支持孔11cに軸受21aを介して回転自在に支持され、後端部が箱体10の蓋12の支持凹部12aに軸受21bを介して回転自在に支持されている。回転軸21の前端側は、本体11の支持孔11cを介して箱体10の外側に突出している。回転軸21の箱体10外に露出している部分には、ハンドル30が連結されるハンドル連結部21cが形成されている。ハンドル連結部21cは、回転軸21の先端部を除く外周部における互いに対向する部分をそれぞれ平面となるように切削することによって形成される。
【0023】
ローラ22は、弾性を有する合成樹脂製の部材からなり、リング状に形成されている。ローラ22の外周面には、ローラ22の回転中心軸と平行に延びる複数の溝を互いに周方向に間隔をおいて形成することにより、周方向に沿って凹凸が形成されている。ローラ22は、回転軸21に対する回転が規制された状態で回転軸21に取り付けられており、回転軸21と共に回転する。ローラ22は、回転軸21に取り付けられた状態で、連通路11bの上下方向の中央部に配置されている。
【0024】
一対の平板23は、ローラ22と同様、弾性を有する合成樹脂製の部材からなり、矩形の板状に形成されている。一対の平板23は、それぞれ、連通路11bにおけるローラ22の外周面に対向する壁面に取り付けられている。
【0025】
ハンドル30は、図1及び図3に示すように、一端側に回転軸21のハンドル連結部21cに連結可能な連結孔31が設けられ、他端側に使用者の手で把持しながら操作する操作部32が設けられた板状の部材である。連結孔31は、回転軸21のハンドル連結部21cの一対の平面の間隔と略同一の幅寸法の固定部31aと、回転軸21の前端部が通過可能な大きさの挿入部31bと、を有する長孔状に形成されている。ハンドル30は、連結孔31の挿入部31bに回転軸21の端部を通した状態で、回転軸21を固定部31a側に移動させることにより回転軸21に対して固定され、回転軸21を回転させる操作が可能となる。
【0026】
以上のように構成された籾摺器1は、籾摺りを行う場合に、まず、一対の開口部11aの一方を上に向けると共に他方を下に向けた姿勢とする。
【0027】
次に、籾摺器1を使用する使用者は、上に向けた開口部11aの開閉部材13を揺動させて開口部11aを開放して籾を投入し、開閉部材13を揺動させて開口部11aを閉鎖する。
【0028】
その後、籾摺器1を使用する使用者は、箱体10の向きを保持したままハンドル30を回転させて、籾摺部20を駆動させる。
【0029】
これにより、開口部11aを介して連通路11bに投入された籾は、籾摺部20のローラ22の溝に進入してローラ22と共に移動する。ローラ22の回転によって移動する籾は、平板23と接触しながら下方に移動することにより、玄米と籾殻とに分けられて籾摺部20から落下する。
【0030】
籾摺部20から落下する玄米と籾殻は、混ざり合った状態で連通路11bの下端部の開口部11aを閉鎖する開閉部材13に落下する。このとき、玄米は、粒径が、開閉部材13に設けられた籾殻排出部13aの籾殻通過孔13a1の幅寸法よりも大きいため、連通路11bの下端側に貯留される。また、籾殻は、外形の大きさが、籾殻通過孔13a1の幅寸法よりも小さいため、図3に示すように、籾殻通過孔13a1を通過して箱体10外に排出される。
【0031】
さらに、玄米と玄米との間に挟まれて連通路11bの下側に留まる籾殻は、籾摺器1の全体を上下方向または左右方向に揺さぶることにより、玄米と玄米との間を下方に移動して籾殻通過孔13a1を通過して箱体10外に排出される。
【0032】
連通路11bの下側に貯留された玄米は、下端部に位置する開口部11aの開閉部材13を揺動させて開口部11aを開放することによって取り出すことが可能である。
【0033】
このように、本実施形態の籾摺器によれば、箱体10には、籾摺部20において分けられた玄米の通過を阻止し、籾殻の通過を許容する籾殻通過孔13a1を有する籾殻排出部13aが設けられている。
【0034】
これにより、簡単な構造で籾殻を分離し、確実に玄米を取り出すことが可能となり、製造コストの低減及び装置の小型化を図ることが可能となる。
【0035】
また、籾殻通過孔13a1は、玄米の粒径よりも小さい幅寸法の長孔であり、籾殻排出部13aは、所定方向に間隔をおいて配置された複数の籾殻通過孔13a1を有している。
【0036】
これにより、長孔状に形成された複数の籾殻通過孔13a1を介して籾殻を箱体10外に排出することができるので、短時間で大量の籾殻を箱体10外に排出することができ、玄米と籾殻とを分離する作業の作業効率の向上を図ることが可能となる。
【0037】
また、箱体10は、玄米を取り出すための取出口としての開口部11aを有し、開口部11aは、開閉部材13によって開閉自在であり、籾殻排出部13aは、開閉部材13に設けられている。
【0038】
これにより、玄米を取り出す開口部11aにおいて籾殻を箱体10外に排出することができるので、籾殻の箱体10外への排出する作業に続いて玄米を取り出す作業が可能となり、玄米を取り出す作業の作業効率の向上を図ることが可能となる。
【0039】
開閉部材13は、後端部が前記箱体10に対して揺動自在に連結され、前端部に設けられた係合部13bを箱体10に係合させることで開口部11aを閉鎖し、箱体10に対する係合部13bの係合を解除することで開口部11aを開放する。
【0040】
これにより、籾摺器1の全体を揺さぶることによって籾殻を箱体10外に排出する際に、使用者の意図しない開口部11aの開放を回避することが可能となる。
【0041】
また、籾摺部20は、箱体10内において回転自在に設けられたローラ22と、ローラ22の外周面の近傍に配置された平板23と、を有し、ローラ22の外周面と平板23との間で籾摺りを行う。
【0042】
これにより、簡単な構成で籾摺りを行うことが可能となるので、製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0043】
尚、前記実施形態では、籾摺部20を手動で駆動させるようにしたものを示したが、これに限られるものではない。籾摺部は、例えば、電動モータから出力される回転力で駆動させてもよいし、エンジンから出力される回転力によって駆動させてもよい。
【0044】
また、前記実施形態では、ローラ22及び平板23を有する籾摺部20を示したが、これに限られるものではない。籾摺部としては、籾を玄米と籾殻に分けることができればよく、例えば、互いに回転数が異なる一対のローラを有するものであってもよい。
【0045】
また、前記実施形態では、箱体10に形成された一対の開口部11aが、それぞれ、籾を投入するための投入口としての機能と、玄米及び籾殻を取り出すための取出口としての機能と、を兼ねるようにしたものを示したが、これに限られるものではない。箱体10の上部に籾を投入するホッパを設け、下部に取出口を設け、取出口に籾殻排出部を有する開閉部材を設けるようにしてもよい。
【0046】
また、前記実施形態では、籾殻排出部13aを、開口部11aを開閉する開閉部材13に設けたものを示したが、これに限られるものではない。籾殻排出部は、籾殻のみを箱体10外に排出することが可能であれば、箱体の開口部以外の部分に設けてもよい。
【0047】
また、前記実施形態では、長孔状に形成された籾殻通過孔13a1を示したが、籾殻通過孔は、玄米の通過を阻止して籾殻の通過を許容する孔であれば、複数の丸孔や角孔等でもよく、長孔状に限られない。
【符号の説明】
【0048】
1…籾摺器、10…箱体、11a…開口部、13…開閉部材、13a…籾殻排出部、13a1…籾殻通過孔、13b…係合部、20…籾摺部、22…ローラ、23…平板。
図1
図2
図3