(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】情報処理装置、車両及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
B60K 35/00 20060101AFI20230331BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20230331BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20230331BHJP
G01D 7/00 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
B60K35/00 Z
G08G1/16 C
B60W50/14
G01D7/00 K
(21)【出願番号】P 2020046494
(22)【出願日】2020-03-17
【審査請求日】2022-08-15
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 小宇
(72)【発明者】
【氏名】神崎 雄介
(72)【発明者】
【氏名】亀山 徹
【審査官】稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/129197(WO,A1)
【文献】特開2009-120014(JP,A)
【文献】特開2019-204063(JP,A)
【文献】特開2019-048628(JP,A)
【文献】特開2016-068931(JP,A)
【文献】特開2019-162932(JP,A)
【文献】特開2018-187984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00
G08G 1/16
B60W 50/14
G01D 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載メータパネルを備える車両の走行に関わる走行情報を取得する情報取得部と、
前記走行情報の変化に応じて、前記車載メータパネルの表示態様を変更する表示態様変更部と、
を備え
、
前記表示態様変更部は、前記走行情報である車速が変化することによって、前記車載メータパネルのスピードメータの前記車速に対応する速度領域に向かう運転者の視線上にハンドルが存在するか否かを判定し、前記視線上に前記ハンドルが存在すると判定した場合、前記スピードメータの前記車速に対応する前記速度領域を、前記ハンドルで遮られない位置に移動する、
情報処理装置。
【請求項2】
車載メータパネルを備える車両の走行に関わる走行情報を取得する情報取得部と、
前記走行情報の変化に応じて、前記車載メータパネルの表示態様を変更する表示態様変更部と、
を備え、
前記表示態様変更部は、前記走行情報である車速が変化することによって、前記車載メータパネルのスピードメータの前記車速に対応する速度領域に向かう運転者の視線上にハンドルが存在するか否かを判定し、前記視線上に前記ハンドルが存在すると判定した場合、前記スピードメータの全体を時計回り方向又は反時計回り方向に一定角度回転させることで、前記スピードメータの前記車速に対応する前記速度領域の一部が前記ハンドルに遮られないように表示態様を変更する、
情報処理装置。
【請求項3】
前記表示態様変更部は、前記ハンドルで遮られる前記視線上の前記スピードメータを拡大する請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記表示態様変更部は、前記車載メータパネルのスピードメータに、前記車両が走行する道路の制限速度を表示し、前記走行情報である車速の変化に応じて、前記制限速度の表示態様を変更する請求項1
または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記表示態様変更部は、前記車速が前記制限速度を超えた場合、前記車速が前記制限速度を超えた後の制限速度の表示態様を、前記車速が前記制限速度を超える前の制限速度の表示態様と異ならせる請求項
4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記表示態様変更部は、前記車両が走行する道路の制限速度が変化したとき、前記車載メータパネルのスピードメータに前記制限速度の超過領域を表示する請求項1
または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記表示態様変更部は、前記制限速度の超過領域の色を、前記制限速度が変化する前後で異ならせる請求項
6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記表示態様変更部は、前記走行情報である前記車両の周囲環境を示す情報の変化に応じて、前記車載メータパネルの色を変更する請求項1
または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記表示態様変更部は、前記車両の周囲の天候の変化に応じて、前記車載メータパネルの色を変更する請求項
8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記表示態様変更部は、前記天候に加えて前記車両が移動している時間帯に応じて、前記車載メータパネルの色を変更する請求項
9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記表示態様変更部は、前記天候に加えて前記車両の乗員の属性に応じて、前記車載メータパネルの色を変更する請求項
9に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記表示態様変更部は、前記車両の外部の色と前記車載メータパネルの色との色差が規定値よりも低い場合、前記車載メータパネルの色を変更する請求項
8に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記表示態様変更部は、自動運転から手動運転に切り替えられたときのアクセル開度に対応して推定される車速に関する情報を前記車載メータパネルのスピードメータに表示する請求項1から請求項
12の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
請求項1から請求項
13の何れか一項に記載の情報処理装置を備えた車両。
【請求項15】
車載メータパネルを備える車両の走行に関わる走行情報を取得するステップと、
前記走行情報
である車速が変化することによって、前記車載メータパネルの
スピードメータの前記車速に対応する速度領域に向かう運転者の視線上にハンドルが存在するか否かを判定するステップと、
前記視線上に前記ハンドルが存在すると判定した場合、前記スピードメータの前記車速に対応する前記速度領域を、前記ハンドルで遮られない位置に移動するステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項16】
車載メータパネルを備える車両の走行に関わる走行情報を取得するステップと、
前記走行情報である車速が変化することによって、前記車載メータパネルのスピードメータの前記車速に対応する速度領域に向かう運転者の視線上にハンドルが存在するか否かを判定するステップと、
前記視線上に前記ハンドルが存在すると判定した場合、前記スピードメータの全体を時計回り方向又は反時計回り方向に一定角度回転させることで、前記スピードメータの前記車速に対応する前記速度領域の一部が前記ハンドルに遮られないように表示態様を変更するステップと、
を含む情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、車両及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、キースイッチオフ時に車載メータパネル上の指示計器の針を最小目盛り位置から最高目盛り位置へ移動して、その後再び最小目盛り位置に戻すことにより、デザイン性を向上させることが可能な車両用計器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらこの種の従来技術は、車両の走行時における車載メータパネルの視認性の向上について考慮していない。そのため、例えば、車両の走行時に車載メータパネル上のスピードメータに対する運転者の視線が、スピードメータの手間に配置されるハンドルで遮られると、運転者は頭を動かして視線を移動させる必要がある。従って、従来技術では車載メータパネルの視認性を向上させる上で改善の余地がある。
【0005】
本開示の非限定的な実施例は、車載メータパネルの視認性を向上させることができる情報処理装置、車両及び情報処理方法の提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施例に係る情報処理装置は、車載メータパネルを備える車両の走行に関わる走行情報を取得する情報取得部と、前記走行情報の変化に応じて、前記車載メータパネルの表示態様を変更する表示態様変更部と、を備える。
【0007】
本開示の一実施例に係る車両は、上記の情報処理装置を備える。
【0008】
本開示の一実施例に係る情報処理方法は、車載メータパネルを備える車両の走行に関わる走行情報を取得するステップと、前記走行情報に基づき、前記車載メータパネルの表示態様の変更の要否を判定するステップと、前記車載メータパネルの表示態様を変更する必要がある場合、前記車載メータパネルの表示態様を変更するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施例によれば、車載メータパネルの視認性を向上させることができる情報処理装置、車両及び情報処理方法を構築できる。
【0010】
本開示の一実施例における更なる利点及び効果は、明細書及び図面から明らかにされる。かかる利点及び/又は効果は、いくつかの実施形態並びに明細書及び図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つ又はそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施の形態に係る情報処理装置を備えた車両の構成例を示す図
【
図4】情報処理装置の動作を説明するためのフローチャート
【
図5】車載メータパネルの手前に配置されるハンドルによって、スピードメータに向かう運転者の視線が遮られる状態を説明するための図
【
図6】スピードメータの第2速度領域に向かう視線がハンドルで遮られる状態を示す図
【
図7】第2速度領域を運転者が見やすい位置に移動した例を示す図
【
図8】スピードメータ全体を反時計回りに一定角度回転させた表示例を示す図
【
図9】スピードメータ全体を車載メータパネルの下側方向に移動させた表示例を示す図
【
図10】スピードメータに表示される制限速度の画像の一例を示す図
【
図11】スピードメータに表示される制限速度の画像の変形例を示す図
【
図12】車両の周囲環境の変化に対応させてスピードメータの表示態様を変更する例を説明するための図
【
図13】自動運転中に表示される実際の車速と、自動運転から手動運転に切り替えられた場合に想定される車速とを表す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
(実施の形態)
図1は本開示の実施の形態に係る情報処理装置を備えた車両の構成例を示す図である。車両100は、例えば乗用車、貨物車、乗合車などである。車両100の車載機1は、ECU(Electronic Control Unit)11、GPS(Global Positioning System)モジュール12、ACC(ACCessory)スイッチ13、センサ14、撮像部15、表示部16などを備える。これらの機器は、車載ネットワークであるCAN(Controller Area Network)17に接続され、ECU11と通信可能に接続される。なお、車載機1は、これら以外にも例えばカーナビゲーション装置、オーディオ装置、インバータ、モータ、補機類なども含む。
【0014】
ECU11は、GPSモジュール12、ACCスイッチ13、センサ14、撮像部15などから車両情報を収集して、車両100における所定の機能に関する各種制御処理を行う電子制御ユニットであり、例えばモータECU、ハイブリッドECU、エンジンECUなどである。車両情報は、車両位置情報、速度情報、車両状態情報、撮像情報などである。車両位置情報は、車両100の現在位置を示す情報であり、例えば、車両100が走行している緯度及び経度を示す情報である。車両位置情報は、例えば、GPSモジュール12、カーナビゲーション装置などから送信される。速度情報は、車速センサから送信される車両100の現在速度を示す情報である。車両状態情報は、例えば、ACCスイッチ13がON状態であるかOFF状態であるかを示す信号などである。車両状態情報は、この他にも、ワイパーの動作状態、デフォッガの状態、アクセル開度、ブレーキの踏み込み量、ハンドルの操舵量、ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems)から取得される情報などである。ADASは、道路交通の利便性を高めるため、運転者の運転操作を支援するシステムである。撮像情報は、撮像部15により撮影される画像の内容を示す情報である。撮像情報には、画像が生成されたときの時刻を示す時刻情報が含まれる。
【0015】
GPSモジュール12は、衛星から送信されるGPS信号を受信し、GPSモジュール12が搭載される車両100の位置を測位し、測位結果である車両位置情報をCAN17を通じてECU11に入力する。
【0016】
ACCスイッチ13は、乗員の操作に応じて、車両100のアクセサリ電源をON/OFFするスイッチである。例えば、ACCスイッチ13は、車室内の運転席のステアリング近傍のインストルメンタルパネルに設けられるパワースイッチに対する操作に応じて、アクセサリ電源をON/OFFする。パワースイッチは、例えば、図示しないイグニッションを操作するボタン型スイッチである。ACCスイッチ13の出力信号は、車両100の起動及び停止を表す情報の一例である。具体的には、ACCスイッチ13の出力信号が、OFF信号からON信号になった場合、車両100の起動を表し、ACCスイッチ13の出力信号が、ON信号からOFF信号になった場合、車両100の停止を表す。ACCスイッチ13は、CAN17を通じてECU11などと通信可能に接続され、その状態信号(ON信号/OFF信号)は、ECU11に送信される。
【0017】
センサ14は、インバータに印加される電圧を検出するセンサ、モータに印加される電圧を検出するセンサ、車速を検出するセンサ、アクセル開度を検出するセンサ、ハンドルの操舵量を検出するセンサ、ブレーキ操作量を検出するセンサなどである。また、センサ14は、例えば、車両100の加速度を検出する加速度センサ、車両100の角速度を検出する角速度センサ(ジャイロセンサ)などを含み得る。センサ14から出力される検出情報は、CAN17を通じてECU11に取り込まれる。
【0018】
撮像部15は、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を備えるカメラである。撮像部15は、例えば、車両内部を撮像する内部撮像部、車両外部を撮像する外部撮像部などを含む。
【0019】
内部撮像部は、例えば、車両100の運転席、助手席などに存在する乗員の顔、後部座席に存在する乗員の顔などを撮像できる位置に配置される。当該位置は、車両100のダッシュボード、運転席の計器パネル、車両100の天井などである。内部撮像部は、1つに限定されず、車両内に複数設けられてもよい。内部撮像部は、撮像した車内画像を示す撮像情報を出力する。
【0020】
外部撮像部は、車両周囲の風景を撮像する全方向カメラ、パノラマカメラなどである。車両周囲の風景は、例えば、車両100の前方の風景、車両100の側方(車両100の運転席ドア側又は車両100の助手席ドア側)の風景、車両100の後方の風景などである。風景には、例えば、車両が走行中の車道、当該車道に存在する物、当該車道に面した歩道、当該歩道に存在する物などが含まれる。車道に存在する物は、例えば、車両、建築物、工作物(広告、道路標識、信号機、電信柱など)、人、動物などである。歩道に存在する物は、例えば、歩行者、動物、自転車、工作物、動物、落下物などである。外部撮像部は、例えば、車外の風景を撮像できる位置に配置される。当該位置は、フロントグリル、サイドミラー、天井、リアバンパーなどである。外部撮像部は、撮像した車外画像を示す撮像情報を出力する。
【0021】
表示部16は、例えば運転席前に設けられる車載メータパネル、フロントガラスなどに画像を表示するヘッドアップディスプレイなどである。
【0022】
次に
図2を参照してECUのハードウェア構成例について説明する。
図2はECUのハードウェア構成例を示す図である。ECU11は、補助記憶装置11A、メモリ装置11B、CPU11C、及びインタフェース装置11Dを備える。これらは情報処理装置110を構成し、互いにバスライン11Eで接続される。
【0023】
補助記憶装置11Aは、ECU11の処理に必要なファイルやデータなどを格納する、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリなどである。メモリ装置11Bは、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置11Aからプログラムを読み出して格納する。CPU11Cは、メモリ装置11Bに格納されたプログラムを実行し、プログラムに従ってECU11の各種機能を実現する。インタフェース装置11Dは、例えば、CPU11Cを、CAN17を介して、撮像部15、センサ14などに接続するインタフェースである。
【0024】
次に
図3を参照して情報処理装置110の機能の構成例について説明する。
図3は情報処理装置の機能の構成例を示す図である。情報処理装置110は、走行情報、撮像情報などを取得する情報取得部111と、撮像情報に基づき撮像部15により撮影される画像に対する各種の処理を行う画像処理部112と、走行情報の変化に応じて、表示部16の表示情報(例えば車載メータパネルのスピードメータなど)の表示態様を変更する表示態様変更部120とを備える。走行情報は、例えば、前述した車両情報、現在時刻情報、車両100の現在位置周囲の天候に関する情報、交通情報、車両走行モードを示す情報、ユーザ属性に関する情報などである。画像処理部112及び表示態様変更部120の詳細については後述する。
【0025】
また、情報処理装置110は、地図情報記憶部115、表示情報記憶部116、及び撮像部15から送信された撮像情報を記憶する撮像情報記憶部117を備える。
【0026】
地図情報記憶部115は、ダイナミックマップ、3D高精細マップなどの地図情報を記憶する。地図情報と車両位置情報とを利用することにより、例えば後述する制限速度の表示処理において、車両100の現在位置に対応して正確な制限速度の表示を行うことができる。
【0027】
表示情報記憶部116は、表示部16に表示される表示情報を記憶する。表示情報は、例えば、車載メータパネルに表示されるスピードメータ、油圧計、燃料残量計などの画像情報や、車両100が走行する道路の制限速度の画像情報などである。
【0028】
また表示情報は、車載メータパネルの一部領域の色調を示す色調情報などを含む。色調情報は、例えば、車載メータパネルの背面領域の色、車載メータパネルに表示されるスピードメータの速度領域(数値部分)の色、当該スピードメータの針の色、当該スピードメータの全部又は一部の領域の色などである。色調は、色彩の濃淡の調子あるいは色彩の強弱の調子などである。具体的には、色調は、車両100の走行状態、周囲環境などに応じてスピードメータが発する色の濃度、種類などである。なお、色の濃度、種類の変化は、グラデーション状に変化させてもよい。グラデーション状は、車両100の走行状態、周囲環境などに応じて、色調が連続的に変化する状態である。例えば、晴天時の日の出前の時刻(例えば5時)から特定の時刻(例えば8時)までの間に車両100の周囲が徐々に明るくなるに従ってスピードメータが発する色を連続的又は段階的に変更させる場合、晴天時に対応する色の濃度と種類(マンセル色相環の特定の範囲内にある色)が、5時から8時までの時間帯に対して複数設定される。
【0029】
表示情報記憶部116には、表示情報が複数の走行情報に対応付けられている。例えば、スピードメータの画像情報、制限速度の画像情報、車載メータパネルの一部領域の色調などが、時刻、車速(時速10km/h、時速50km/hなど)、天候(晴天、曇天、雨天など)、車両状態(停車中、走行中など)、及びユーザ属性(高齢者、若年者、性別など)のそれぞれに、対応付けられる。
【0030】
画像処理部112は、撮像情報記憶部117に記憶される撮像情報を解析することにより、人の視線の方向を特定し、特定した視線の方向を示す視線情報を表示態様変更部120に入力する。
【0031】
また画像処理部112は、撮像情報記憶部117に記憶される撮像情報を解析することにより、表示部16の手前に設けられる障害物(例えばハンドル)の位置を特定し、特定した障害物の位置を示す障害物位置情報を表示態様変更部120に入力する。
【0032】
また画像処理部112は、撮像情報記憶部117に記憶される撮像情報を解析することにより、車両100の周囲の風景の色調を検出して、色調を示す色調情報を表示態様変更部120に入力する。
【0033】
また画像処理部112は、外部撮像部で撮像された撮像情報を解析することにより、制限速度を検出し、制限速度を示す制限速度情報を表示態様変更部120に入力する。
【0034】
表示態様変更部120は、表示態様変更判定部113及び表示態様設定部114を備える。
【0035】
表示態様変更判定部113は、画像処理部112からの視線情報、障害物位置情報、及び色調情報と、情報取得部111で取得された走行情報と、表示情報記憶部116に記憶される表示情報と、地図情報記憶部115に記憶される地図情報とを入力する。表示態様変更判定部113は、これらの情報と所定の変更条件とユーザ(運転者など)の好みの表示条件とを用いて、表示部16に表示される表示情報の表示態様の変更の要否を判定する。
【0036】
変更条件は、例えば、表示部16のスピードメータに向かう人の視線上にハンドルが存在すること、車速が所定の設定値を超えたこと、車速が制限速度を超えたこと、時系列順で取得された最新の制限速度が前回取得された制限速度に比べて変化したこと、などである。
【0037】
ユーザの好みの表示条件は、スピードメータの回転角度を変更する、スピードメータを拡大して表示する、スピードメータの一部(特定の速度領域)の位置を変更する、市街地走行のときには表示態様を変更しないが高速道路を走行しているときには表示態様を変更する、市街地走行のときには表示態様を変更するが高速道路を走行しているときには表示態様を変更しない、などである。これらの表示条件は、例えば、車両100の運転が開始されるとき、運転者によるタッチパネル上の設定画面への入力により設定してもよいし、メモリ装置11Bに予め設定され車両100の運転が開始される度に、メモリ装置11Bから読み出されてもよい。
【0038】
表示態様の変更には、例えば、スピードメータの画像、スピードメータ内の針の画像などの、位置、大きさ、色などを変えること、車載メータパネルの一部の色調を変えることなどが含まれる。また、表示態様の変更には、制限速度の画像を非表示状態から表示状態にすること、制限速度の画像を表示状態から非表示状態にすること、制限速度の画像の種類を変更することなどが含まれる。
【0039】
表示態様設定部114は、表示態様変更判定部113による判定結果に応じて、表示部16に表示する表示態様を設定して、設定した表示態様に対応する画像情報を表示情報記憶部116から読み出して、読み出した表示情報を表示部16に入力する。これにより、走行情報の変化に応じて、表示部16の表示情報(表示画像)の表示態様を変更できる。
【0040】
次に
図4を参照して情報処理装置による表示態様の変更動作の概要を説明する。
図4は情報処理装置の動作を説明するためのフローチャートである。情報処理装置110は、走行情報、撮像情報などを取得し(ステップS1)、これらの情報と上記の変更条件とを用いて、表示部16に表示される表示情報の表示態様の変更の要否を判定する(ステップS2)。情報処理装置110は、表示情報の表示態様を変更する必要がない場合(ステップS3,No)、現在表示される表示情報の表示態様の設定を維持し(ステップS4)、表示情報の表示態様を変更する必要がある場合(ステップS3,Yes)、上記の表示条件に応じて変更後の表示態様を設定する(ステップS5)。
【0041】
次に
図5などを参照して表示態様の変更動作の具体例を説明する。
【0042】
(スピードメータの表示態様を変更する方法)
図5は車載メータパネルの手前に配置されるハンドルによって、スピードメータに向かう運転者の視線が遮られる状態を説明するための図である。車載メータパネル60に向かう運転者の視線70がハンドル50に遮られた場合、車載メータパネル60に表示されるスピードメータの一部が見え難くなるときがある。
【0043】
例えば、車両100が市街地を走行するときの車速は、例えば時速60km/h以下の低速領域(第1速度領域)にあることが多い。このとき、スピードメータの左側の第1速度領域がハンドル50で遮られると、運転者は、ハンドル50のチルト機構を利用してハンドル50の位置を調整することで、スピードメータの第1速度領域を視認できるようにするか、頭を傾けて視線70を移動させる必要がある。一方、車両100が高速道路を走行するときの車速は、例えば時速60km/h以上の高速領域(第2速度領域)にあることが多い。このとき、スピードメータの上側の第2速度領域がハンドル50で遮られると、運転者は、上記同様にハンドル50のチルト機構を調整したり視線70を移動させる必要がある。このように車速によってハンドル50で遮られる速度領域が異なるため、運転者はハンドル50の位置調整を煩わしく感じるだけでなく、頭を移動させることは安全な運転の妨げになり得るため、好ましい状況ではない。
【0044】
本実施の形態に係る情報処理装置110は、走行情報、変更条件などに応じてスピードメータの画像の表示態様を変更することにより、運転者がチルト調整をしたり、頭を動かしたりしなくても、ハンドル50に遮られずに車速を目視できるように構成される。
図6から
図9を参照して、この表示態様の変更例を具体的に説明する。
【0045】
図6はスピードメータの第2速度領域に向かう視線がハンドルで遮られる状態を示す図である。
図6には、車載メータパネル60に表示されるスピードメータ61の上側の速度領域(第2速度領域)に向かう運転者の視線が、ハンドル50の環状のリム部で遮られた状態が示される。スピードメータ61の時速60km/hから時速120km/hまでの領域と、スピードメータ61の針61aの先端がハンドル50のリム部の背面に隠れているため、運転者は現在の車速を正確に把握できない。
【0046】
この場合、情報処理装置110は、以下のようにスピードメータ61の表示態様を変更する。スピードメータ61の上側の速度領域に向かう視線は、内部撮像部(例えばステレオカメラ)で撮像された画像を解析することによって、視線方向(視線ベクトル)を得て、当該視線方向に運転者の眼球位置を基準とする始点を与えることにより求めることができる。具体的には、画像処理部112は、ステレオカメラによって撮像された運転者の顔の3次元画像から眼球領域を特定すると共に、眼球形状を立体視してその曲率から眼球中心座標を求める。また画像処理部112は、眼球領域から黒目(瞳孔)領域を特定して黒目中心座標を求め、上記の眼球中心座標から黒目中心座標へと向かう方向を視線方向(視線ベクトル)として定める。画像処理部112は、眼球位置を始点として、当該始点から視線方向へ延びる直線を視線として特定する。
【0047】
運転者の視線を遮るハンドル50の位置は、ステレオカメラによって撮像された3次元画像を解析することにより、例えば表示部16の正面を基準位置として、基準位置からのハンドル50の各部までの距離を推定することで特定できる。
【0048】
情報処理装置110は、視線に関する情報と、ハンドル50の位置に関する情報と、現在の車速に関する情報とに基づき、車速に対応する速度領域に向かう運転者の視線上にハンドル50が存在するか否かを判断する。例えば車速が時速30km/hの場合には、
図6のようにハンドル50が配置されていても時速30km/h付近に向かう視線上にハンドル50の一部が存在しないと判断できる。この場合、情報処理装置110は、スピードメータ61の表示態様を変更せず、現状の表示態様を維持する。
【0049】
一方、例えば車速が時速80km/hの場合、
図6のようにハンドル50が配置されていると、時速80km/hを含む第2速度領域に向かう運転者の視線上にハンドル50の一部が存在すると判断できる。この場合、情報処理装置110は、前述した表示条件に応じて、
図7に示すようにスピードメータ61の表示態様を変更する。
【0050】
図7は第2速度領域を運転者が見やすい位置に移動した例を示す図である。
図7には、例えば、高速道路を走行しているときには表示態様を変更し、かつ、車載メータパネル60の一部(特定の速度領域)の位置を変更する、という変更条件が選択されている場合の表示例が示される。
【0051】
図7に示す車載メータパネル60では、スピードメータ61の左側に第2速度領域の画像が表示され、さらに、スピードメータ61の針61aが当該第2速度領域を示す画像に変更されている。これにより、第2速度領域及びスピードメータ61の針61aの先端が、ハンドル50で遮られないため、運転者は、チルト調整をしたり、頭を動かしたりしなくても、第2速度領域付近の車速を目視できる。なお、
図7の表示状態で車速が例えば時速60km/h以下の速度領域まで低下した場合、
図6に示すような画像に変更される。
【0052】
また、スピードメータ61の画像の表示態様が車速の変化に連動して頻繁に切り替わると視認性が低下する虞があるため、この点に鑑みて、情報処理装置110は、例えば高速道路を走行している場合には、他車の割り込みなどで車速が一時的(例えば数秒から数十秒程度)に低下した場合でも、
図6に示すような画像へ戻さずに、
図7に示すような画像を継続して表示させるように構成してもよい。
【0053】
また、情報処理装置110は、例えば高速道路であっても、車速が低下する場所(例えばパーキングエリア、インターチェンジなど)から一定距離離れた位置までの領域内に、車両が存在する場合のみ、
図6に示すような画像に戻すように構成してもよい。
【0054】
図8及び
図9を参照してスピードメータの表示態様の別の変更例について説明する。
図8はスピードメータ全体を反時計回りに一定角度回転させた表示例を示す図である。
図8に示すように、スピードメータ全体を回転させることで、第1速度領域だけでなく第2速度領域の一部もハンドル50に遮られなくなるため、運転者が現在の車速と、当該車速の前後の速度領域を明確に把握できる。また、このように表示することで、車速が変動した場合でも、スピードメータ61の画像の表示態様が車速の変化に連動して頻繁に切り替わることを防止できるため、表示態様の変化によるスピードメータ61に対する視認性の低下を抑制できる。なお、スピードメータ61の回転方向は反時計回り方向に限定されず、時計周り方向でもよい。
【0055】
図9はスピードメータ全体を車載メータパネルの下側方向に移動させた表示例を示す図である。
図9に示すように、スピードメータ61の全体を車載メータパネル60の下側方向に移動させることで、第1速度領域及び第2速度領域の全体がハンドル50に遮られないため、運転者が現在の車速と、当該車速の前後の速度領域を明確に把握できる。また、このように表示態様を変更した場合、表示画像の変更の前後で第1速度領域及び第2速度領域の位置や、針61aの傾きなどが変化しないため、スピードメータ61がより見やすくなる。なお、この表示態様の変更例は、ハンドル50の環状のリム部の内側に、大きな隙間が存在する場合に特に有用である。なお、スピードメータ61の移動方向は、車載メータパネル60の下側方向に限定されず、車載メータパネル60の上側方向、左側方向、右側方向の何れかでもよい。
【0056】
この他にも、情報処理装置110は、ハンドル50の回転角度に連動する形でスピードメータ全体の位置を変えるように構成してもよい。カーブが連続する山道などを車両が走行する場合、頻繁にハンドル操作が行われるため、例えばハンドル50の操舵方向と操舵量に対応させたスピードメータ61の表示情報を表示情報記憶部116に予め設定しておき、表示態様変更部120がハンドル50の操舵方向と操舵量に対応するスピードメータ61の表示情報を読み出すことにより、運転者の見やすい位置にスピードメータ61の画像を表示できる。これにより、カーブを走行中でもスピードメータ61を正確に確認できるため、運転者の疲労感を軽減できる。またスピードメータ61の画像の位置を操舵方向に連動させることにより、カーブする道路の先に視線が向けられている場合でも、視線の近くにスピードメータ61の画像を表示させることができるため、スピードメータ61と道路との間での視線移動量が軽減され、運転者の疲労感を軽減でき、運転者の安全運転に寄与する。
【0057】
また、情報処理装置110は、上述したユーザの好みの表示条件と走行情報とに基づいて、例えば、スピードメータの回転角度を変更する、スピードメータを拡大して表示する、スピードメータの一部(特定の速度領域)の位置を変更する、市街地走行のときには表示態様を変更しないが高速道路を走行しているときには表示態様を変更する、市街地走行のときには表示態様を変更するが高速道路を走行しているときには表示態様を変更しない、などの表示制御を行う構成であってもよい。
【0058】
(制限速度の表示態様を変更する方法)
次に
図10及び
図11を参照して、車両が走行する道路の制限速度の画像をスピードメータ61に表示し、車速の変化に応じてこの制限速度の画像の表示態様を変更する例について説明する。
【0059】
図10はスピードメータに表示される制限速度の画像の一例を示す図である。
図10に示すように、スピードメータ61の速度を示す画像上に、棒形状の制限速度(例えば時速100km/h)の画像62が重ねて表示される。
図10の左側には、車速が制限速度以下のときの制限速度の画像62が示され、
図10の右側には、車速が制限速度を超えたときの制限速度の画像62が示される。
【0060】
表示態様変更部120は、車両100が現在走行中の道路の制限速度の情報を取得し、車速が制限速度以下の場合には、当該速度に対応する画像情報を表示情報記憶部116から読み出して、この画像情報に基づき、
図10の左側に示すような制限速度の画像62をスピードメータ61上に表示する。この場合の制限速度の画像62は、例えば点灯状態の緑色に設定される。なお、制限速度に情報を取得する場合、例えばダイナミックマップに紐付けられた制限速度を利用する方法や、特許文献(例えば特開2018-081555号公報など)に開示されるように撮像手段によって道路上の制限速度の画像を読み取る方法などを採用すればよい。
【0061】
表示態様変更部120は、車速が制限速度を超えた場合には、当該速度に対応する画像情報を表示情報記憶部116から読み出して、この画像情報に基づき、
図10の右側に示すような制限速度の画像62をスピードメータ61上に表示する。この場合の制限速度の画像62は、例えば点滅状態の赤色に設定される。
【0062】
このようにスピードメータ61上に制限速度の画像62を表示させることにより、運転者は、道路上の制限速度標識を注視しなくとも、スピードメータ61を見ることで走行中の道路の制限速度を把握できる。また制限速度標識とスピードメータ61の車速とを見比べる必要がないため、制限速度標識とスピードメータ61との間の視線移動が不要になり、運転者の疲労感を軽減でき、運転者の安全運転に寄与する。
【0063】
なお、制限速度を超える前後の制限速度の画像62の色は、上記の例に限定されず、例えば、車速が制限速度を超える前後で濃度が異なる同じ色にしてもよいし、点滅周期が異なる同じ色にしてもよい。
【0064】
また、制限速度の画像62は、棒形状の画像に限定されず、例えば制限速度を超える速度領域の全体を覆う画像であってもよい。この表示例を
図11を参照して説明する。
図11はスピードメータに表示される制限速度の画像の変形例を示す図である。
【0065】
例えば制限速度が時速80km/hの場合、表示態様変更部120は、当該制限速度に対応する画像情報を表示情報記憶部116から読み出して、この画像情報に基づき、時速80km/hを超える速度領域の全部又は一部を覆う画像64をスピードメータ61上に表示する。
【0066】
また、例えば制限速度が時速80km/hから時速100km/hに変化した場合、表示態様変更部120は、当該制限速度に対応する画像情報を表示情報記憶部116から読み出して、この画像情報に基づき、時速100km/hを超える速度領域の全体又は一部を覆う画像63をスピードメータ61に表示する。
【0067】
このとき、変化後の制限速度の超過領域が明確になるように、表示態様変更部120は、画像63の色を画像64の色と異ならせることが好ましい。これ以外にも、例えば表示態様変更部120は、画像64を非表示にしてから画像63を表示してもよいし、時間の経過と共に画像64の濃度を連続的又は段階的に薄くして、画像64が非表示になった後に画像63を表示してもよい。
【0068】
また、表示態様変更部120は、道路の種別に応じて制限速度の画像の色を変更してもよい。例えば、一般道の制限速度の画像は青色、高速道路に対応する制限速度の画像は赤色などに設定されることで、運転者は道路毎に異なる制限速度を把握しやすくなる。
【0069】
(車両の周囲環境の変化に対応させてスピードメータの表示態様を変更する方法)
次に
図12及び
図13を参照して、車両100の周囲環境の変化に対応させてスピードメータの表示態様を変更する例について説明する。
【0070】
図12は車両の周囲環境の変化に対応させてスピードメータの表示態様を変更する例を説明するための図である。
図12の左側には、例えば雨天時のスピードメータ61の画像が示される。例えば、表示態様変更部120は、画像処理部112から色調情報を入力することにより、雨天時における車両100の周囲環境の色調に対応する画像情報を表示情報記憶部116から読み出して、この画像情報に基づき、
図12の左側に示すような、スピードメータ61の速度の背景色65を、スピードメータ61に設定する。この場合の背景色65は、例えば白色に設定される。これにより、車両100の周囲が暗い状況でも、スピードメータ61の画像が鮮明になり、運転者の視認性が向上する。
【0071】
図12の右側には、例えば晴天時のスピードメータ61の画像が示される。例えば、表示態様変更部120は、画像処理部112から色調情報を入力することにより、晴天時における車両100の周囲環境の色調に対応する画像情報を表示情報記憶部116から読み出して、この画像情報に基づき、
図12の右側に示すような、スピードメータ61の速度の背景色65を、スピードメータ61に設定する。この場合の背景色65は、例えば青色に設定される。これにより、例えば朝方に太陽の強い光が車両100のフロントガラスに差し込み、運転者にとって白色が見え難い状況でも、スピードメータ61の速度の背景色65が青色に変化することで、太陽の光に影響を受け難くなり、スピードメータ61の視認性が大幅に向上する。なお、従来技術では、スピードメータ61の輝度を制御できるが、輝度の制御だけでは、例えば夕焼けの赤い光が、運転者の目に入り、あるいはスピードメータ61に反射すると、スピードメータ61の赤色の部分が見え難くなる。本実施の形態に係る情報処理装置110によれば、車両100の周囲環境の変化に応じて、スピードメータ61の色を変更できるため、スピードメータ61の視認性が向上し、運転者の運転をアシストできる。特に色差を認識し難い高齢の運転者に有用である。
【0072】
また、表示態様変更部120は、天候に加えて、車両100が走行する時間帯に応じて、スピードメータ61の色を変更するように構成してもよい。例えば、6時~8時までの時間帯は太陽の強い光が運転に影響を与え得るため、表示態様変更部120は、この時間帯では上記の制御(スピードメータ61の色変更)を行い、この時間帯以外では上記の制御を行わないように構成してもよい。また、表示態様変更部120は、例えば、曇天時において、雲の切れ目で一時的に太陽光が強くなった場合、太陽光の強度が所定のレベルを超えた時点から所定時間(数分程度)経過するまでは上記の制御を行わず、当該所定時間を超えたとき、上記の制御を行うように構成してもよい。この構成により、車両100の周囲環境の変化に対して、スピードメータ61の色が頻繁に切り替わることを防止でき、視認性の低下を抑制できる。
【0073】
また、表示態様変更部120は、天候に加えて、車両100の乗員の属性に応じて、スピードメータ61の色を変更するように構成してもよい。例えば、表示態様変更部120は、画像処理部112による顔画像の判定結果を入力して、顔画像に基づき運転者が所定の年齢以上の高齢者であると判定した場合には上記の制御を行い、高齢者ではないと判定した場合には上記の制御を行わないように構成してもよい。この構成により、高齢者にとってはスピードメータ61の視認性が向上し、高齢者以外の人にとっては色の変化に対する煩わしさを感じることなく運転に集中できる。
【0074】
また、表示態様変更部120は、車両100の車両周囲の環境の色とスピードメータ61の色との色差が規定値よりも低い場合、スピードメータ61の色を変更するように構成してもよい。例えば、画像処理部112が車両周囲の環境を撮像した画像を解析することによって、車両周囲の環境の色に関する情報を表示態様変更部120に取り込むことができる。表示態様変更部120は、この車両周囲の色に関する情報と、マンセル色相環に関する情報とに基づき車両周囲の色を判別し、判別した色とスピードメータ61に設定されている色(例えば、前述したスピードメータ61の速度の背景色65)とを比較する。これにより、色値の差(色差)が規定値よりも低いか否かを判定できる。例えば、夕焼けの赤い光が、スピードメータ61の速度の背景色65に近い場合、スピードメータ61が見え難くなるため、表示態様変更部120は、色差が規定値より低いと判定したときには、上記の制御を行う。これにより、運転者の年齢に関わりなく、車両100の車両周囲の環境に起因するスピードメータ61の視認性の低下を抑制できる。
【0075】
また、表示態様変更部120は、スピードメータ61の速度の背景色65に代えて、スピードメータ61の速度の色(スピードメータ61の速度値の色)、スピードメータ61の針の色、スピードメータ61の背景の全部又は一部の領域の色との何れかを変化させるようにしてもよい。
【0076】
また、表示態様変更部120は、ユーザの好みの表示条件を考慮して、例えば、青色が見やすい人は青色を多く取り入れ、緑色が見やすい人は緑色を多く取り入れるように、スピードメータ61の色を変化させてもよい。
【0077】
(走行モードに対応させてスピードメータの表示態様を変更する方法)
次に
図13を参照して、走行モードに対応させてスピードメータの表示態様を変更する例について説明する。
【0078】
図13は自動運転モードで走行中の実際の車速と、自動運転モードから手動運転モードに切り替えられた場合に想定される仮想的な車速とを表す図である。
【0079】
自動運転モードで走行している車両100のスピードメータ61には、
図13に示すように、実際の車速を表す針61a1の画像が表示される。このように自動運転モードで走行している車両100において、運転モードが自動運転モードから手動運転モードへ切り替えられると、切り替え前後の車速が大きく乖離することがある。
【0080】
例えば、現在の車速が時速40km/hであっても、アクセルペダルが強く踏まれた状態で運転モードが自動運転モードから手動運転モード切り替えられると、アクセル開度に対応する車速が例えば時速80kmの場合、車速が急激に増加して、先行車両などに追突する虞がある。
【0081】
また、例えば現在の車速が時速100km/hであっても、アクセルペダルに足が乗せられているだけの状態で運転モードが自動運転モードから手動運転モード切り替えられると、アクセル開度に対応する車速が例えば10kmの場合、車速が急激に低下して、後続車両との車間が詰まり、危険である。
【0082】
このようなことに鑑みて、例えば特許文献(特開2007-196809号公報)に開示される従来技術は、運転者が自動運転解除要求を行った時点から手動運転に引き継ぐまでの間に、運転者による運転操作と自動運転制御装置が最適と判断する運転操作とを比較することで、運転者が適正な運転をできると判定した場合、手動運転に切り替える。しかしながら、当該従来技術では、現状の走行状態に対して運転者の操作量がどの程度乖離しているのかを把握(目視)できないため、手動運転に切り替えられた後に、急激に加速又は減速するのではないかという運転者の不安を払拭できない。そのため手動運転に切り替えられないという問題がある。
【0083】
このようなことに鑑みて、本実施の形態に係る表示態様変更部120は、例えば、運転モードを切り替えるモード切替スイッチからのモード切り替え情報を入力し、入力したモード切り替え情報に基づき、現在の走行モードが自動運転モードであると判断したとき、現在の車速をスピードメータ61に表示する。さらに、表示態様変更部120は、前述した走行情報に基づき、アクセル開度に対応する車速を推定する。アクセル開度に対応する車速の推定には、例えばアクセル開度と車速とを対応付けたテーブル情報を利用する。表示態様変更部120は、推定した車速に対応する車速の針の画像情報を表示情報記憶部116から読み出し、
図13に示すように、実際の車速を表す針61a1の画像に加えて、仮想的な車速を表す針61a2の画像をスピードメータ61に表示する。これにより、自動運転中の車速に加えて手動運転に切り替えられたときに予測される車速を表示できる。従って運転者は、現在の車速と手動運転に切り替えられたときの車速との差を確認できるため、例えば速度差が時速10km/h程度であれば、アクセル開度を調整することなく運転モードを切り替えることができる。また、速度差が時速10km/hを超える場合には、上記の仮想的な車速を表す針61a2の画像を見ながらアクセル開度を調整して速度差を小さくしてから、運転モードを切り替えることができる。なお、表示態様変更部120は、手動運転に切り替えられたときに予測される車速そのものを表示するだけでなく、自動運転中の車速との差や車速の差が大き過ぎることを示すアラートなど、予測される車速に関する情報を表示する構成であってもよい。
【0084】
なお、本実施の形態に係る情報処理装置110は、車載メータパネル60に表示される表示情報を、ヘッドアップディスプレイに表示して、ヘッドアップディスプレイ上でその表示態様を変更するように構成してもよい。この場合、表示情報の変更は、光路長の制御、光路方向の制御などにより実現できる。例えば、表示態様変更部120は、ヘッドアップディスプレイに表示されるスピードメータなどの画像の表示態様を変更する場合、ヘッドアップユニットに対して、光学系の動作を制御する指令を出力する。ヘッドアップユニットは、放射部及び光学系を備える。放射部は、光を放射するプロジェクタである。光学系は、放射部が放射した光を反射し、フロントガラスに設けられる表示部の所定領域に向かって光を照射する部材である。光学系は、例えば、凹面鏡、複数のレンズ、ミラーなどで構成される。放射部から放射された光が、光学系を介して表示部に照射されることにより、フロントガラスの前方に、スピードメータなどの虚像が形成される。
【0085】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0086】
以上、本開示の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本開示の一実施例は、情報処理装置、車両に好適である。
【符号の説明】
【0088】
1 車載機
60 車載メータパネル
61 スピードメータ
100 車両
110 情報処理装置
111 情報取得部
112 画像処理部
113 表示態様変更判定部
114 表示態様設定部
120 表示態様変更部