(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】投影装置及びヘッドアップディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20230331BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/00 A
(21)【出願番号】P 2019101313
(22)【出願日】2019-05-30
【審査請求日】2021-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100118049
【氏名又は名称】西谷 浩治
(72)【発明者】
【氏名】原 広紀
(72)【発明者】
【氏名】淺井 陽介
(72)【発明者】
【氏名】杉山 圭司
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 裕志
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-126314(JP,A)
【文献】特表2018-514796(JP,A)
【文献】特開2016-095411(JP,A)
【文献】特開2015-219425(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0182939(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
B60K 35/00
G02F 1/13357
G03B 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される投影装置であって、
第1方向に配置される複数の光源と、
入射した光を画像情報に変調して出射
し、短辺と前記短辺と直交した長辺とを備えた空間変調素子と、
前記複数の光源のそれぞれから出射される光が前記空間変調素子の入射面の実質的に同一領域に到達するように各光源から出射される光の光路を変化させるレンズと、
前記レンズから出射された光を前記空間変調素子に向けて偏向する第1反射光学部材とを備え、
前記空間変調素子の前記短辺と平行な方向を第3方向、前記空間変調素子の前記長辺と平行な方向を前記第1方向、前記空間変調素子の法線と平行な方向を第2方向としたときに、
前記第1反射光学部材は、前記空間変調素子の前記入射面の任意の点に対して予め定められた基準入射角度で、前記レンズから出射される光が入射するように前記光を偏向させる形状を有
し、
前記第1反射光学部材の任意の位置において、前記第1反射光学部材を前記第3方向と前記第1方向とを通る平面で切ったときの曲率は前記第2方向と前記第3方向とを通る平面で切ったときの曲率よりも大きい投影装置。
【請求項2】
前記第1反射光学部材は、自由曲面形状を有する請求項1記載の投影装置。
【請求項3】
前記複数の光源は、出射面の法線が前記空間変調素子の法線と交差するように配置される請求項1又は2記載の投影装置。
【請求項4】
前記第1方向は、前記空間変調素子の長手方向と平行である請求項3記載の投影装置。
【請求項5】
前記レンズは、少なくとも出射面が凸面である請求項1~4のいずれかに記載の投影装置。
【請求項6】
前記レンズの出射面は、前記第1方向に直交する
前記第2方向の曲率が前記第1方向の曲率よりも大きい請求項5記載の投影装置。
【請求項7】
前記複数の光源は、前記第1方向と、前記第1方向に直交する
前記第2方向とにマトリックス状に配置されている請求項1~6のいずれかに記載の投影装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の投影装置と、
前記空間変調素子から出射する光を前記車両に設けられた反射部材に投射するための第2反射光学部材とを備えるヘッドアップディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に搭載された投影装置及びその投影装置を備えるヘッドアップディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の搭乗者に車両に関する情報を含む画像を例えば虚像によって表示するヘッドアップディスプレイが開発されている。このようなヘッドアップディスプレイでは、表示する虚像の輝度ムラを低減することが課題となっている。
【0003】
そこで、特許文献1は、複数の光源素子と、第1レンズと、第2レンズと、拡散部材と、空間変調素子とがこの順で配置され、第1レンズが各光源素子から出射される光が空間変調素子の入射面における同一の領域に到達するように各光源素子から出射される光の光路を変化させるヘッドアップディスプレイを開示する。
【0004】
また、車両に搭載されるヘッドアップディスプレイは、他の車載部品との干渉を避けるためにコンパクト化が要求されている。そこで、特許文献2は、液晶表示素子の背面側に、液晶表示素子と所定角度で開角する反射板を対向配置するとともに、反射板と液晶表示素子との開角する開口部に光源を配置した車両用表示装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-126314号公報
【文献】特許第6078798号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、車両に搭載されるヘッドアップディスプレイでは、虚像のサイズを拡大するニーズが高まっている。そのためには、空間変調素子のサイズを拡大することが必要である。また、これに伴って、空間変調素子及び光源間の光路長を確保しつつ空間変調素子及び光源間に設けられたレンズの厚みを増大させることも必要になる。これにより、空間変調素子の背面から光源までのバックライト部において、空間変調素子の法線方向に突き出る量が増大してしまい、ヘッドアップディスプレイの車両への搭載性が悪化してしまう。
【0007】
特許文献1では、複数の光源と、第1レンズと、第2レンズと、拡散部材と、空間変調素子とがこの順で直列に配置されているため、空間変調素子のサイズを拡大した場合、空間変調素子の法線方向にバックライト部が突き出る量が増大してしまう。したがって、特許文献1のヘッドアップディスプレイは車両への搭載性が悪化する。
【0008】
特許文献2では、液晶表示に対して所定角度で反射板が対向配置されているに過ぎず、輝度ムラを抑制することはできない。
【0009】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、空間変調素子が出射する画像の輝度ムラを抑制しつつ、車両に対する搭載性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様に係る投影装置は、車両に搭載される投影装置であって、第1方向に配置される複数の光源と、入射した光を画像情報に変調して出射する空間変調素子と、前記複数の光源のそれぞれから出射される光が前記空間変調素子の入射面の実質的に同一領域に到達するように各光源から出射される光の光路を変化させるレンズと、前記レンズから出射された光を前記空間変調素子に向けて偏向する第1反射光学部材とを備え、前記第1反射光学部材は、前記空間変調素子の前記入射面の任意の点に対して予め定められた基準入射角度で、前記レンズから出射される光が入射するように前記光を偏向させる形状を有する。
【0011】
本構成によれば、第1反射光学部材はレンズから出射された光を偏向して空間変調素子に導く。これにより、本構成は、出射面の法線が空間変調素子の法線と交差するように複数の光源を配置できる。その結果、本構成は、空間変調素子のサイズを増大させた場合において、光源から空間変調素子までのバックライト部が空間変調素子の法線方向に突き出る量を抑制できる。その結果、本構成は、ヘッドアップディスプレイの車両への搭載性を向上できる。
【0012】
また、レンズは、複数の光源のそれぞれから出射される光が空間変調素子の入射面の同一領域に到達するように各光源から出射される光の光路を変化させる。さらに、第1反射光学部材は、空間変調素子の入射面の任意の点に対して基準入射角度でレンズから出射される光が入射するように光を偏向させる形状を有している。そのため、本構成は、空間変調素子が出射する画像の輝度ムラを抑制できる。
【0013】
上記態様において、前記第1反射光学部材は、自由曲面形状を有していてもよい。
【0014】
本構成によれば、第1反射光学部材は自由曲面形状を有するため、空間変調素子の入射面の任意の点に対して基準入射角度でレンズから出射される光を入射させることを容易に実現できる。
【0015】
上記態様において、前記複数の光源は、出射面の法線が前記空間変調素子の法線と交差するように配置されていてもよい。
【0016】
本構成によれば、複数の光源は、出射面の法線が空間変調素子の法線と交差するように配置されているため、光源から空間変調素子までのバックライト部が空間変調素子の法線方向に突き出る量をより確実に抑制できる。その結果、本構成は、ヘッドアップディスプレイへの車両への搭載性をさらに向上できる。
【0017】
上記態様において、前記第1方向は、前記空間変調素子の長手方向と平行であってもよい。
【0018】
本構成によれば、複数の光源は空間変調素子の長手方向と平行に配置されているため、複数の光源を空間変調素子の短手方向と平行に配置する場合に比べて投影装置を小型化できる。
【0019】
上記態様において、前記レンズは、少なくとも出射面が凸面であってもよい。
【0020】
本構成によれば、複数の光源のそれぞれから出射される光が空間変調素子の入射面の同一領域に到達するように各光源から出射される光の光路を変化させるレンズを容易に実現できる。
【0021】
上記態様において、前記レンズの出射面は、前記第1方向に直交する第2方向の曲率が前記第1方向の曲率よりも大きくてもよい。
【0022】
本構成によれば、第1方向を長手方向、第2方向を短手方向とする空間変調素子において、複数の光源のそれぞれから出射される光が空間変調素子の入射面の同一領域に到達するのに好適なレンズを構成できる。
【0023】
上記態様において、前記複数の光源は、前記第1方向と、前記第1方向に直交する第2方向とにマトリックス状に配置されていてもよい。
【0024】
本構成によれば、空間変調素子を大型化した場合において十分な輝度を有する画像が得られる。
【0025】
本開示の別の一態様に係るヘッドアップディスプレイは、上記の投影装置と、前記空間変調素子から出射する光を前記車両に設けられた反射部材に投射するための第2反射光学部材とを備える。
【0026】
本構成によれば、空間変調素子が出射する画像の輝度ムラを抑制しつつ、車両への搭載性が向上されたヘッドアップディスプレイを提供できる。
【発明の効果】
【0027】
本開示によれば、空間変調素子が出射する画像の輝度ムラを抑制しつつ、車両に対する搭載性を向上できる投影装置及びそれを備えるヘッドアップディスプレイを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】実施の形態におけるヘッドアップディスプレイの構成の一例を示す図である。
【
図4】本開示の変形例に係るヘッドアップディスプレイの筐体の一例を示す図である。
【
図5】本開示の変形例に係る複数の光源の配置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付の図面を用いて実施の形態を説明する。
図1は、実施の形態におけるヘッドアップディスプレイ10の構成の一例を示す図である。ヘッドアップディスプレイ10は、車両100に搭載されている。車両100は、例えば、4輪自動車などの移動体である。但し、これは一例であり、車両100は、鉄道車両、バイク、航空機、ヘリコプター、船舶、及びその他の人を搬送する各種の装置であってもよい。
【0030】
車両100は、ウィンドシールド14を備える。ウィンドシールド14は、例えば車両100の操縦席の前方に設けられたフロントガラスである。ヘッドアップディスプレイ10は、投影装置11と、反射光学部材12(第2反射光学部材の一例)と、筐体13とを含む。
【0031】
ヘッドアップディスプレイ10は、観察者101に虚像15を視認させるための画像をウィンドシールド14に投影する装置である。
【0032】
投影装置11は、バックライト部20及び空間変調素子24を含む。バックライト部20は空間変調素子24を照明する。空間変調素子24は、例えば液晶パネルである。空間変調素子24は、図略の表示制御回路から入力された映像信号にしたがってバックライト部20から出射された光を変調する。変調された光は透過光として空間変調素子24から出射される。
【0033】
空間変調素子24は、例えばスピードメータを示す画像または車両100のスピードを示す画像などの車両100の状態を示す画像を表示する。空間変調素子24から出射された透過光は反射光学部材12及びウィンドシールド14を介して、観察者101のアイボックス102内に導かれる。これにより、観察者101は虚像15を視認する。虚像15は、例えばスピードなどの車両100の状態を表示する。したがって、観察者101は、虚像15を通じて車両100の状態を確認できる。アイボックス102とは、観察者101が虚像15を欠けることなく視認できる領域である。
【0034】
反射光学部材12は、第1ミラー121及び第2ミラー122を含む。第1ミラー121は、空間変調素子24から出射された光を第2ミラー122に向けて反射する。第2ミラー122は、第1ミラー121からの光をウィンドシールド14に向けて反射する。第2ミラー122の反射面は、凹面形状を有している。反射光学部材12は、第1ミラー121及び第2ミラー122の2枚のミラーで構成されているが、これは一例であり、1枚のミラーまたは3枚以上のミラーで構成されてもよい。また、反射光学部材12の光路上に、レンズなどの屈折光学系がさらに配置されてもよい。
【0035】
筐体13は、投影装置11と反射光学部材12とを収納する。筐体13は、例えばほぼ直方体である。筐体13の上面には、反射光学部材12からの光が出射する開口部13aを有している。開口部13aには、透明のカバーが設けられていてもよい。
【0036】
図2は、投影装置11の構成の一例を示す図である。投影装置11は、複数の光源21(
図3参照)、レンズ22、反射光学部材23(第1反射光学部材の一例)、及び空間変調素子24を含む。空間変調素子24の入射面22a側には拡散部材がさらに配置されてもよく、これにより複数の光源21からの光の配光特性を平滑化することができる。複数の光源21、レンズ22、及び反射光学部材23はバックライト部20を構成する。空間変調素子24は光を入射する入射面24aと、光を出射する出射面24bとを含む。入射面24aと出射面24bとは同じ形状を有する。
図3に示すように、入射面24a及び出射面24bは、例えば短辺241及び長辺242を備える長方形形状を有する。
【0037】
なお、以下の説明において、図面には、相互に直交するX軸、Y軸、及びZ軸の3軸からなる3次元直交座標系が設定されている。X軸は空間変調素子24の短辺241に平行である。Y軸は空間変調素子24の長辺242に平行である。Z軸は空間変調素子24の法線に平行である。なお、Y軸方向(長手方向)は第1方向の一例である。Z軸方向は第1方向に直交する第2方向の一例である。
【0038】
図3は、
図2に示す投影装置11の斜視図である。
図3に示すように、複数の光源21は、Y軸方向に一列に例えば一定の間隔で配置されている。但し、これは一例であり不等間隔に配置されていてもよい。これにより輝度ムラを抑制できる。複数の光源21は、それぞれ光の出射面21aを含む。複数の光源21は、出射面21aの法線がX軸と平行となるように配置されている。複数の光源21は、例えば発光ダイオード(LED)である。但し、これは一例であり、複数の光源21は、例えばレーザダイオード又は有機発光ダイオードであってもよい。なお、
図3では、複数の光源21として4個の光源21が示されているが、これは一例に過ぎず、複数の光源21の個数は2個以上の任意の値をとることができる。
【0039】
さらに、複数の光源21は、出射面21aの法線が空間変調素子24の法線と交差するように配置されている。
図2において、出射面21aの法線はX軸方向を向き、空間変調素子24の法線はZ軸方向を向いている。そのため、空間変調素子24の法線と出射面21aの法線とは直交しているが、これは一例である。例えば、両法線の角度は、180度以外の角度であれば任意の角度をとることができ、例えば、10度以上90度以下の角度、20度以上80度以下の角度、30度以上70度以下の角度を取ることができる。
【0040】
レンズ22は、複数の光源21のそれぞれから出射される光が空間変調素子24の入射面24aの実質的に同一領域に到達するように各光源21から出射される光の光路を変化させる。実質的に同一領域とは複数の光源21のそれぞれから出射される光が到達する領域に多少のずれがあることを許容することを意図する。具体的には、レンズ22は、複数の光源21に近接させて配置されている。レンズ22は長手方向がY軸方向と平行である。レンズ22は、複数の光源21から出射された光が入射する入射面22aを含む。レンズ22は、Z軸方向において、発散する複数の光源21の光を略平行光に偏向して出射する出射面22bを含む。入射面22aは複数の光源21の出射面21aに対向する。レンズ22は、複数の光源21に対して1つ配置される。但し、これは一例であり、複数の光源21に対して2個又は3個以上配置されてもよい。
【0041】
レンズ22の入射面22a及び出射面22bの少なくとも一方は、レンズ22に正の屈折力を持たせるために凸形状である。レンズ22の入射面22a及び出射面22bの少なくとも一方の凸形状は光軸に対して回転対称である。但し、これは一例であり、レンズ22の入射面22a及び出射面22bの少なくとも一方は、Y軸方向とZ軸方向とで曲率の異なるトロイダル形状又は自由曲面形状であってもよい。レンズ22の入射面22aは、TIR(Total Internal Reflection)レンズを用いることもできる。これにより、光源21からの光を効率よく反射光学部材23に射出することができ、光利用効率が向上する。本実施の形態では、レンズ22は、出射面22bのみ凸形状を有している平凸レンズである。
【0042】
レンズ22の出射面22bは、Y軸方向とZ軸方向とで曲率が異なる、非球面形状を有する凸形状である。具体的には、出射面22bにおいてZ軸方向の曲率はY軸方向の曲率よりも大きい。Z軸方向の曲率をY軸方向の曲率より大きくしたのは、光線を絞って平行光を空間変調素子24の短辺241側に導くためである。一方、Y軸方向の曲率をZ軸方向の曲率よりも小さくしたのは、各光源21からの光を長辺242の全域に亘って導くためである。したがって、レンズ22は、Y軸方向を長手方向、X軸方向を短手方向とする空間変調素子24において、複数の光源21のそれぞれから出射される光が空間変調素子24の入射面24aの同一領域に到達するのに好適なレンズを構成できる。
【0043】
さらに、出射面22bのY軸方向の形状は、複数の光源21からの出射される光の空間変調素子24の入射面24a上での照度分布が均一となるように、例えば、中心から端にかけて曲率が小さくなる形状を持つ。しかし、輝度ムラの低減のために自由曲面形状を持ってもよく形状はこれに限定されない。また、出射面22bのZ軸方向の形状は、入射面24a上での照度分布が均一となるように、例えば、中心から端にかけて曲率が小さくなる形状を持つ。しかし、輝度ムラの低減のために自由曲面形状を持ってもよく形状はこれに限定されない。
【0044】
レンズ22は、所定の屈折率を有する透明材料で構成される。透明材料の屈折率は、例えば1.4から1.6程度である。透明材料としては、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネイト等の樹脂を用いることができる。本実施の形態では、レンズ22は、耐熱性を考慮して例えばポリカーボネイトである。
【0045】
図2を参照する。反射光学部材23は、レンズ22から出射された光を空間変調素子24に向けて偏向する反射面を含む。反射光学部材23は、空間変調素子24の入射面24aの任意の位置Pに対して予め定められた基準入射角度でレンズ22から出射される光が入射するように当該光を偏向させる形状を有する。具体的には、反射光学部材23は、自由曲面形状を持つ。任意の位置Pとは、入射面24a上の複数の位置のことを指す。反射光学部材23は、例えばミラーである。
【0046】
ヘッドアップディスプレイ10では、目標サイズの虚像15が目標表示位置に表示されるように反射光学部材12の位置及び形状などが決定され、決定された反射光学部材12の位置及び形状に基づいて、空間変調素子24の入射面24a内の複数の位置のそれぞれにおける基準入射角度が決定される。したがって、反射光学部材23において、位置Pに向けて光線L1を偏向させる位置P1の形状は、光線L1を位置Pに対して基準入射角度で入射させる形状を持つ。
【0047】
基準入射角度には、空間変調素子24の長辺242側、すなわち、X軸方向から見た第1成分と、短辺241側、すなわち、Y軸方向から見た第2成分とがある。そのため、位置P1の形状は、光線L1が基準入射角度の第1成分及び第2成分で位置Pに入射する形状を持つ。したがって、反射光学部材23は、各位置P1が入射面24a上の対応する位置Pに向けて光線L1を基準入射角度の第1成分及び第2成分で入射させる自由曲面形状を持つ。
図3に示すように、位置P1において、X-Y平面で反射光学部材23を切ったときの曲率C1は、例えば、Z-X平面で反射光学部材23を切ったときの曲率C2よりも大きい。したがって、反射光学部材23は、全体的に、Z軸方向から見たときの傾斜の度合いがY軸方向から見たときの傾斜の度合いよりも大きくなっている。
【0048】
ここでは、反射光学部材12は自由曲面形状であるとして説明したが、本開示はこれに限定されない。位置Pに対して基準入射角度で入射するように反射光学部材23の各位置P1の形状を決定した結果、反射光学部材12の形状が平板形状又は球面形状になることもある。この場合、反射光学部材23は、平面形状又は球面形状を有していてもよい。
【0049】
このように、本実施の形態によれば、反射光学部材23はレンズ22から出射された光線を偏向して空間変調素子24に導く。これにより、複数の光源21は、出射面21aの法線が空間変調素子24の法線と交差するように配置される。その結果、空間変調素子24のサイズを増大させた場合において、バックライト部20が空間変調素子24の法線方向に突き出る量を抑制できる。その結果、本実施の形態は、ヘッドアップディスプレイ10の車両100への搭載性を向上できる。
【0050】
また、レンズ22は、複数の光源21のそれぞれから出射される光が空間変調素子24の入射面24aの同一領域に到達するように各光源から出射される光の光路を変化させる。さらに、反射光学部材23は、空間変調素子24の入射面の任意の点Pに対して基準入射角度で、レンズ22から出射される光が入射するように光を偏向させる形状を有している。そのため、本実施の形態は、空間変調素子24が出射する画像の輝度ムラを抑制できる。
【0051】
さらに、
図3に示すように、複数の光源21は、空間変調素子24の長辺242と平行に配置されている。そのため、複数の光源21を空間変調素子24の短辺241と平行に配置した場合に比べて、投影装置11のサイズを全体的に小さくすることができる。これにより、ヘッドアップディスプレイ10の車両100の搭載性をさらに向上させることができる。
【0052】
なお、本開示は下記の変形例が採用できる。
【0053】
(1)
図4は、本開示の変形例に係るヘッドアップディスプレイ10の筐体13の一例を示す図である。
図4において、筐体13は、投影装置11が取り付けられる取付部131を備えている。取付部131は、筐体13の底面132の開口部133から斜め方向に延びる有底の穴である。取付部131の断面は投影装置の断面と同じ形状である。したがって、投影装置11は筐体13に対して矢印方向に挿入することで取付部131に嵌め込まれる。取付部131の底面134は開口している。したがって、空間変調素子24から出射した光は筐体13の内部に取り込まれ、
図1に示す反射光学部材12及び開口部13aを介してウィンドシールド14へと導かれる。
【0054】
(2)変形例(1)では、空間変調素子24は、投影装置11の筐体11aの内部に設けられているが、これは一例である。空間変調素子24は、取付部131の底面134に設けられていてもよい。
【0055】
(3)
図3の例では、複数の光源21は、Y軸方向に一列で配置されているがこれは一例である。
図5は、本開示の変形例に係る複数の光源21の配置の一例を示す図である。
図5に示すように、複数の光源21は、Y軸方向とZ軸方向とにおいて所定行×所定列でマトリックス状に配置されてもよい。これにより、空間変調素子24を大型化した場合において十分な輝度を有する画像が得られる。
【0056】
(4)
図1の例では、ヘッドアップディスプレイ10は、虚像15を表示するが、本開示はこれに限定されず、車両100の一部(例えばコンソールボックスなど)に画像を表示してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本開示は、車両に搭載され、虚像などの映像を表示させる装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0058】
10 :ヘッドアップディスプレイ
11 :投影装置
12 :反射光学部材
13 :筐体
14 :ウィンドシールド
15 :虚像
20 :バックライト部
21 :光源
21a :出射面
22 :レンズ
23 :反射光学部材
24 :空間変調素子
100 :車両
241 :短辺
242 :長辺