(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】フィルム材製袋装置
(51)【国際特許分類】
B65B 51/10 20060101AFI20230331BHJP
B65B 9/093 20120101ALI20230331BHJP
【FI】
B65B51/10 W
B65B9/093
(21)【出願番号】P 2020219723
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2021-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】594102795
【氏名又は名称】壇 功
(74)【代理人】
【識別番号】100136205
【氏名又は名称】佐々木 康
(72)【発明者】
【氏名】壇 功
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-013197(JP,A)
【文献】特開2016-216085(JP,A)
【文献】特開平07-187146(JP,A)
【文献】実公平07-044573(JP,Y2)
【文献】特開平09-136362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 51/10
B65B 9/093
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺のフィルム材からフィルム袋部材を製造するフィルム材製袋装置において、
フィルムを長尺方向に沿って折り返した半切フィルム材を、所定の搬送面に載置し、所定の搬送方向に搬送する搬送部、
熱を用いて前記半切フィルム材を、前記搬送面における前記搬送方向と交差する方向である溶断方向に沿って、溶断する溶断部、
を有するフィルム材製袋装置であって、
前記溶断部は、
前記搬送方向、及び、前記溶断方向に垂直な鉛直方向下側へ移動しながら、前記溶断方向に沿ってスライド移動して、前記半切フィルム材を溶断すること、
を特徴とするフィルム材製袋装置。
【請求項2】
請求項1に係るフィルム材製袋装置において、
前記溶断部は、
前記半切フィルム材を溶断した後、前記溶断方向に移動しながら、
前記鉛直方向上側へ移動すること、
を特徴とするフィルム材製袋装置。
【請求項3】
請求項1、又は、請求項2に係るフィルム材製袋装置において、
前記溶断部は、
前記鉛直方向に移動する基礎部、
前記基礎部に対して前記鉛直方向、下側に配置され、前記基礎部に接続される可動部であって、前記基礎部に対して、前記鉛直方向、及び、前記溶断方向に移動する可動部、
前記可動部に対して前記鉛直方向、下側に配置され、前記可動部に接続される加熱部であって、前記可動部とともに移動する加熱部、
前記基礎部と前記可動部との間に配置される弾性部材、
を有するフィルム材製袋装置。
【請求項4】
請求項2、又は、請求項3に係るフィルム材製袋装置において、
前記搬送方向に沿って、前記基礎部に配置されるリンク固定軸部材、
前記搬送方向に沿って、前記可動部に配置されるリンク可動軸部材、
前記リンク固定軸部材と前記リンク可動軸部材とを接続するリンク部材、
少なくとも前記鉛直方向に沿って、前記基礎部から前記可動部にかけて配置されるスライド揺動部材であって、前記リンク可動軸に接続されるスライド揺動部材、
前記スライド揺動部材を揺動させる揺動面を有する揺動形成部材、
を有するフィルム材製袋装置。
【請求項5】
請求項2~請求項4のいずれかに係るフィルム材製袋装置において、
前記溶断部は、さらに、
前記半切フィルム材を、溶断時において、一時的に、前記搬送面に固定するフィルム材固定部、
を有するフィルム材製袋装置。
【請求項6】
請求項5に係るフィルム材製袋装置において、
前記フィルム材固定部は、
前記基礎部に固定され、前記基礎部とともに移動することを、
を特徴とするフィルム材製袋装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム材製袋装置に関し、特に、フィルム材を、熱を用いて溶断、溶着するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のフィルム材製袋装置について、
図11に示す製袋機を用いて説明する。二つ折りされた厚手の合成樹脂シート100より、底部に折り曲げ部を有する袋110を製造する製袋機において、ヒートシールバー14のシート流れ方向の上流側と下流側において、合成樹脂シート100を押さえつける押さえ手段15、16を設ける。押さえ手段15、16が合成樹脂シート100に向かって移動して合成樹脂シート100を押さえつけ、ヒートシールバー14が合成樹脂シート100に向かって移動して、合成樹脂シート100を溶断および融着し、ヒートシールバー14が合成樹脂シート100から離れる方向に移動し、押さえ手段15、16が合成樹脂シート100から離れる方向に移動する。
【0003】
これにより、二つ折りされた合成樹脂シートから袋を製造する製袋機において、シール部の口開きを防ぎつつ、袋の製造を高速化する(以上、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の従来の製袋機には、以下に示すような改善すべき点がある。従来の製袋機では、溶断部であるヒートシールバー14は、上下方向にのみ移動しながら、フィルム材である合成樹脂シート100を溶断、融着する。このように、フィルム材を、上下方向にのみ移動する溶断部で溶断し、及び、溶着しようとすると、フィルム材の溶断端部が反り返る、という改善すべき点がある。
【0006】
これは、フィルム材を溶断、溶着する際には、実際には、溶断溶着部が下降し、フィルム材に頭接し、フィルム材が溶断された後、溶断部が上昇する際には、溶断されたフィルム材は依然として溶解状態にあるため、溶断部に少なくとも部分的に付着した状態となる。このため、溶断部の上昇の際に、溶断部とフィルム材との間に溶解したフィルム材が付着して、フィルム材の糸引き現象が生じ、また、糸引きにより、フィルム材の溶断端部が上側に反り返ってしまうからである。
【0007】
そこで、本発明は、溶断によってフィルム材の溶断端部が反り返らないフィルム材製袋装置を提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明における課題を解決するための手段及び発明の効果を以下に示す。
【0009】
本発明に係るフィルム材製袋装置は、長尺のフィルム材からフィルム袋部材を製造するフィルム材製袋装置において、フィルムを長尺方向に沿って折り返した半切フィルム材を、所定の搬送面に載置し、所定の搬送方向に搬送する搬送部、熱を用いて前記半切フィルム材を、前記搬送面における前記搬送方向と交差する方向である溶断方向に沿って、溶断する溶断部、を有するフィルム材製袋装置であって、前記溶断部は、前記搬送方向、及び、前記溶断方向に垂直な鉛直方向下側への溶断の力を増加させながら、前記半切フィルム材を溶断すること、を特徴とする。
【0010】
これにより、必要以上に負荷をかけることなく、半切フィルム材を溶断できる。よって、溶断時の半折フィルム材の鉛直方向下側への反りを防止できる。
【0011】
本発明に係るフィルム材製袋装置では、前記溶断部は、前記半切フィルム材を溶断した後、前記溶断方向に移動しながら、前記鉛直方向上側への溶断の力を減少させること、を特徴とする。
【0012】
これにより、溶断時の生ずる半切フィルム材の糸引き現象、いわゆる、ヒゲの形成現象、を防止できるとともに、半切フィルム材の溶断後の糸引き現象に基づく、鉛直方向上側への反り返りを防止できる。
【0013】
本発明に係るフィルム材製袋装置では、前記溶断部は、前記鉛直方向に移動する基礎部、前記基礎部に対して前記鉛直方向、下側に配置され、前記基礎部に接続される可動部であって、前記基礎部に対して、前記鉛直方向、及び、前記溶断方向に移動する可動部、前記可動部に対して前記鉛直方向、下側に配置され、前記可動部に接続される加熱部であって、前記可動部とともに移動する加熱部、前記基礎部と前記可動部との間に配置される弾性部材、を有する。
【0014】
これにより、溶断部を、鉛直方向に沿って移動するとともに、溶断方向にも移動させることができるので、溶断によって半切フィルム材の溶断端部の反り返りを防止できる。
【0015】
本発明に係るフィルム材製袋装置では、前記搬送方向に沿って、前記基礎部に配置されるリンク固定軸部材、前記搬送方向に沿って、前記可動部に配置されるリンク可動軸部材、前記リンク固定軸部材と前記リンク可動軸部材とを接続するリンク部材、少なくとも前記鉛直方向に沿って、前記基礎部から前記可動部にかけて配置されるスライド揺動部材であって、前記リンク可動軸に接続されるスライド揺動部材、前記スライド揺動部材を揺動させる揺動面を有する揺動形成部材、を有する。
【0016】
これにより、リンク固定軸、リンク可動軸、リンク部材、及び、スライド揺動部材によって形成されるスライダクランク機構を用いて、可動部、及び、加熱部を、基礎部に対して移動させることができる。
【0017】
本発明に係るフィルム材製袋装置では、前記溶断部は、さらに、前記半切フィルム材を、溶断時において、一時的に、前記搬送面に固定するフィルム材固定部、を有する。
【0018】
これにより、半切フィルム材を、所定の位置で、確実に、溶断できる。
【0019】
本発明に係るフィルム材製袋装置では、前記フィルム材固定部は、前記基礎部に固定され、前記基礎部とともに移動することを、を特徴とする。
【0020】
これにより、半切フィルム材を、所定の位置で、確実に、溶断できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係るフィルム材製袋装置の一実施例であるフィルム材製袋装置10を概要を示す図である。
【
図2】フィルム材製袋装置10の溶断部100の斜視図である。
【
図3】溶断部100の基礎部101、可動部103、及び、加熱部105の内部構造を示す断面図である。
【
図5】リンク部材111、リンク固定軸部材112、リンク可動軸部材113、スライド揺動部材114、揺動形成部材115、及び、第1弾性部材116の接続を示す図である。
【
図6】第2弾性部材受け軸部材117、緩衝部材118、及び、第2弾性部材119の接続を示す図である。
【
図11】従来のフィルム材製袋装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明していく。
【実施例1】
【0023】
本発明に係る製袋装置について、一実施例であるフィルム材製袋装置10を例に説明する。フィルム材製袋装置10は、ロール状のフィルム材から、所定形状のフィルム封筒を形成する装置である。
【0024】
第1 フィルム材製袋装置10の構成
フィルム材製袋装置10の構成について、
図1を用いて説明する。フィルム材製袋装置10は、ロール状のフィルム材F(R)を、半切盤HFを用いて、搬送方向A11の沿った中心線を折り曲げ線として半分に折り返し重ねた半折フィルム材F(H)を形成する。半折フィルム材F(H)を、所定の搬送路Rの搬送面PRに載置する。搬送路Rは、所定の搬送方向A11に向かって、半切フィルム材F(H)を搬送する。搬送路Rの所定位置で、半折フィルム材F(H)の間に、内容物Cを挿入する。その後、搬送方向A11に沿った開放端縁を接着し。半折フィルム材F(H)を筒状にする。内容物を挟み込んだ半折フィルム材F(H)を、所定の位置で、所定の加熱部を有する溶断部100を用いて、搬送路Rにおいて搬送方向A11に対して交差する方向である溶断方向A13に沿って、半折フィルム材F(H)を溶断すると同時に、溶断した部分を溶着する。これによって、フィルム材製袋装置10は、内容物を封入したフィルム封筒を生成する。なお、溶断部100は、搬送方向A11、及び、溶断方向A13に対して鉛直な鉛直方向A15に沿って動作する。以下において、フィルム材製袋装置10において用いる溶断部100について、説明する。
【0025】
2.溶断部100の構成
溶断部100の構成について
図2~
図6を用いて説明する。
図2は、溶断部100の斜視図を示している。
【0026】
図2に示すように、溶断部100は、基礎部101、可動部103、加熱部105、フィルム材固定部107、及び、基礎部取付部109を有している。
【0027】
基礎部101、可動部103、及び、加熱部105の内部構造について、
図3を用いて説明する。
図3は、
図2に示す溶断部100の斜視図において、基礎部101、可動部103、加熱部105を、それぞれの中心に位置し、鉛直方向A15の中心面P1での断面とした図である。なお、基礎部101、可動部103、加熱部105の断面には、ハッチング等、断面を示す描画を施していない。
【0028】
図3に示すように、基礎部101は、直方体形状を有している。基礎部101は、リンク固定軸配置孔101a、スライド揺動部材配置孔101b、及び、第2弾性部材受け軸配置孔101cを有している。リンク固定軸配置孔101aは、基礎部101を搬送方向A11に沿って貫通する円筒孔として形成される。リンク固定軸配置孔101aは、リンク固定軸部材112(後述)の軸部112a1(後述)の外径よりも大きい内径を有するように形成されている。
【0029】
スライド揺動部材配置孔101bは、基礎部101を鉛直方向A15に沿って貫通する段付き円筒孔として形成される。スライド揺動部材配置孔101bの段付き円筒孔は、基礎部101の上面側に形成される上部円筒孔101b1、及び、基礎部101の下面側に形成される下部円筒孔101b2により形成される。上部円筒孔101b1は、スライド揺動部材114(後述)の軸部114a(後述)の外径より大きい内径を有するように形成されている。スライド揺動部材配置孔101bの下部円筒孔101b2は、上部円筒孔101b1の内径よりも大きく、また、第1弾性部材116(後述)の外径よりも大きい内径を有するように形成されている。
【0030】
第2弾性部材受け軸配置孔101cは、基礎部101を鉛直方向A15に沿って貫通する円筒孔として形成される。第2弾性部材受け軸配置孔101cは、第2弾性部材受け軸部材117(後述)の軸部117aの外径よりも大きく、また、第2弾性部材119(後述)の外径よりも小さい内径を有するように形成されている。
【0031】
可動部103は、直方体形状を有している。可動部103は、基礎部101に対して鉛直方向A15、下側に配置さている。可動部103は、接続部材配置孔103a、リンク可動軸配置孔103b、及び、第2弾性部材配置孔103cを有している。接続部材配置孔103aは、可動部103を鉛直方向A15に沿って貫通する段付き円筒孔として形成される。接続部材配置孔103aの段付き円筒孔は、可動部103の上面側に形成される上部円筒孔103a1、及び、可動部103の下面側に形成される下部円筒孔103a2により形成される。上部円筒孔103a1は、接続部材121(後述)の頭部121b(後述)とほぼ同じ外径を有するように形成されている。また、下部円筒孔103a2は、接続部材121の軸部121a(後述)の外径とほぼ同じ内径を有するように形成されている。
【0032】
リンク可動軸配置孔103bは、可動部103の内部にT字孔として形成される。リンク可動軸配置孔103bのT字孔は、可動部103の上面から鉛直方向A15に沿って、所定深さまで形成される鉛直方向円筒孔103b1、及び、可動部103を搬送方向A11に沿って貫通し、鉛直方向円筒孔103b1と接続する搬送方向円筒孔103b2により形成される。鉛直方向円筒孔103b1は、スライド揺動部材114(後述)の軸部114a(後述)の外径よりも大きく、第1弾性部材116(後述)の外径よりも小さい内径を有するように形成されている。搬送方向円筒孔103b2は、リンク可動軸部材113(後述)の軸部113a(後述)の外径とほぼ同じ内径を有するように形成されている。リンク可動軸配置孔103bの鉛直方向円筒孔103b1は、基礎部101のスライド揺動部材配置孔101bの下部円筒孔101b2に対向する位置に形成される。
【0033】
第2弾性部材配置孔103cは、円筒孔103c1、及び、円錐凹部103c2を有している。円筒孔103c1は、可動部103の上面から第2弾性部材119(後述)の長さまでの所定の深さまで、鉛直方向A15に沿って形成される。円筒孔103c1は、第2弾性部材119の外径よりも大きい内径を有している。円錐凹部103c2は、円筒孔103c1の底面に、第2弾性部材受け軸部材117(後述)の端部に形成される円錐端部117b(後述)を受けることができる円錐状の凹部として形成される。第2弾性部材配置孔103cは、基礎部101の第2弾性部材受け軸配置孔101cに対向する位置に形成される。
【0034】
加熱部105は、直方体形状を有している。加熱部105は、可動部103に対して鉛直方向A15、下側に配置さている。加熱部105は、接続部材配置孔105a、及び、熱源配置孔105bを有している。接続部材配置孔105aは、加熱部105の上面から内部に向かって、搬送方向A11に沿った円筒孔として形成される。接続部材配置孔105aは、接続部材121(後述)の軸部の外径と同じ内径を有している。なお、接続部材配置孔105aの内面には、接続部材121の軸部と螺合する螺合部が形成されている。接続部材配置孔105aは、可動部103の接続部材配置孔103aの下部円筒孔103a2に対向する位置に形成される。
【0035】
熱源配置孔105bは、所定の熱源が配置される。加熱部105は、熱源が発する熱によって、加熱され、鋭角状の最下端縁E105において、フィルム材を溶断する。
【0036】
図2に戻って、フィルム材固定部107は、所定の金属により形成され、加熱部105を取り囲むように、配置される。フィルム材固定部107は、基礎部101とともに移動し、搬送路R(
図1参照)の搬送面PR(
図1参照)に接した段階で、フィルム材F(H)を搬送路Rの搬送面PR上に、一時的に、固定する。
【0037】
基礎部取付部109は、第2弾性部材受け軸基礎部109a、及び、鉛直部材109bを有している。第2弾性部材受け軸基礎部109aは、角柱形状を有し、基礎部101の上面に沿って配置される。また、第2弾性部材受け軸基礎部109aは、中央に、円筒孔109a1を有している。
【0038】
鉛直部材109bは、薄い板形状を有している。鉛直部材109bは、第2弾性部材受け軸基礎部109aの鉛直方向A15に沿って対向して位置する面のそれぞれに、鉛直方向A15の下側に向かって配置される。鉛直部材109bの鉛直方向A15の下側の端部には、フィルム材固定部107が取り付けられる。
【0039】
次に可動部103、及び、加熱部105を動作させる構成要素について、
図2、及び、
図4を用いて説明する。
図4は、
図3と同様、
図2に示す溶断部100の斜視図において、基礎部101、可動部103、及び、加熱部105を、面P1での断面とした図である。なお、基礎部101、可動部103、及び、加熱部105の断面には、ハッチング等、断面を示す描画を施していない。
【0040】
図2に示すように、溶断部100は、また、リンク部材111、リンク固定軸部材112、及び、リンク可動軸部材113を有している。さらに、溶断部100は、
図4に示すように、スライド揺動部材114、揺動形成部材115、第1弾性部材116、第2弾性部材受け軸部材117、緩衝部材118、第2弾性部材119、接続部材121、及び、接続部材固定部材123を有している。
【0041】
図2に示すように、リンク部材111は、薄い平板形状を有している。リンク部材111は、溶断方向A13に沿うように、基礎部101、及び、可動部103、それぞれの対向して位置する前面、及び、後面に沿って配置される。
【0042】
リンク部材111の構成を、
図5を用いて説明する。リンク部材111は、一端に、リンク固定軸部材112を接続するための段付き円筒孔である固定軸円筒孔111bを有している。固定軸円筒孔111bの基礎部101側に位置する円筒孔111b1の内径は、基礎部101側とは反対側の円筒孔111b2の内径よりも大きい。固定軸円筒孔111bの基礎部101側の円筒孔111b1の内径は、リンク固定軸部材112の主軸部112a1(後述)の外径と同じである。また、固定軸円筒孔111bのもう一つの円筒孔111b2の内面には、リンク固定軸部材112の軸端部112a2(後述)と螺合する螺合部が形成されている。
【0043】
また、リンク部材111は、固定軸円筒孔111bが形成されている端部とは異なる端部に、リンク可動軸部材113を接続するための円筒孔である可動軸円筒孔111cを有している。可動軸円筒孔111cの内径は、リンク可動軸部材113の外径とほぼ同じである。
【0044】
図3、及び、
図4に示すように、リンク固定軸部材112は、基礎部101のリンク固定軸配置孔101aに挿入、配置される。
【0045】
リンク固定軸部材112の構成を、
図5を用いて説明する。リンク固定軸部材112は、円筒形の軸部112a、及び、軸部112aを固定する基礎部112bを有している。軸部112aは、中央に位置する主軸部112a1、及び、主軸部112a1の両端に形成される、主軸部112a1の外径よりも小さい外径を有する軸端部112a2を有している。軸端部112a2には、基礎部112bと螺合する螺合部が形成されている。
【0046】
図3、及び、
図4に示すように、リンク可動軸部材113は、可動部103のリンク可動軸配置孔103bの搬送方向円筒孔103b2に挿入、配置される。
【0047】
リンク可動軸部材113の構成を、
図5を用いて説明する。リンク可動軸部材113は、円筒形状の軸部113a、及び、基礎部113bを有している。リンク可動軸部材113の軸部113aは、中央に、鉛直方向A15に沿って貫通する円筒孔113a1を有している。円筒孔113a1の内面には、スライド揺動部材114の軸端部114bに螺合する螺合部が形成されている。
【0048】
図3、及び、
図4に示すように、スライド揺動部材114は、基礎部101のスライド揺動部材配置孔101b、及び、可動部103のリンク可動軸配置孔103bの鉛直方向円筒孔103b1に挿入、配置される。
【0049】
スライド揺動部材114の構成を、
図5を用いて説明する。スライド揺動部材114は、円筒形状の軸部114a、軸部114aの一端に配置される軸端部114b、及び、軸端部114bとは異なる端部に形成される頭部114cを有している。軸部114aの外径は、第1弾性部材116(後述)の内径よりも小さい。軸端部114bには、リンク可動軸部材113の円筒孔113a1に螺合部が形成されている。頭部114cは、揺動形成部材115の円筒孔115bの内径よりも大きい。
【0050】
図3、及び、
図4に示すように、揺動形成部材115は、少なくとも上面部115aが、基礎部101の上面から上に位置するように、基礎部101の上面に、スライド揺動部材配置孔101bの形成位置に対応して配置される。
【0051】
揺動形成部材115の構成を、
図5を用いて説明する。揺動形成部材115は、上に向かって凸状の曲面を有する上面部115a、及び、鉛直方向A15に沿って、中心に、形成される円筒孔115bを有している。上面部115aは、少なくとも溶断方向A13に沿って湾曲するように形成されている。円筒孔115bの内径は、スライド揺動部材114の軸部114aの外径よりも大きい。
【0052】
図3、及び、
図4に示すように、第1弾性部材116は、基礎部101のスライド揺動部材配置孔101bの下部円筒孔101b2に挿入、配置される。
【0053】
第1弾性部材116の構成を、
図5を用いて説明する。第1弾性部材116は、いわゆるコイルばねにより形成されている。第1弾性部材116の内径は、スライド揺動部材114の軸部114aの外径よりも大きく、外径は、基礎部101の回動軸部材配置孔101bの下部円筒孔101b2の内径よりも小さい。
【0054】
図3、及び、
図4に示すように、第2弾性部材受け軸部材117は、基礎部101の第2弾性部材受け軸配置孔101c、及び、可動部103の第2弾性部材配置孔103cに挿入、配置される。
【0055】
第2弾性部材受け軸部材117の構成を、
図6を用いて説明する。第2弾性部材受け軸部材117は、所定の外径を有する軸部117a、軸部117aの一端に配置される円錐端部117b(
図6に図示せず、
図7参照)、円錐端部117bの近くに配置される弾性部材受け部117c、及び、円錐端部117bとは異なる端部に配置される軸端部117dを有している。軸部117aは、所定の外径を有する円筒形状を有している。円錐端部117bは、円錐形状を有している円錐端部117bは、円錐形状の頂点を鉛直方向A15の下側に位置するように、軸部117aの一端に配置される。弾性部材受け部117cは、円錐端部117bの近くで、軸部117aに配置される。弾性部材受け部117cは、薄い円環形状を有している。弾性部材受け部117cの円環形状の外径は、第2弾性部材119の外径よりを大きく、内径は軸部117aと同じである。軸端部117dは、基礎部取付部109の第2弾性部材受け軸基礎部109aの円筒孔109a1の内径と同じ外径を有している。軸端部117dは、基礎部取付部109の第2弾性部材受け軸基礎部109aの円筒孔109a1に挿入、配置される。
【0056】
図3、及び、
図4に示すように、緩衝部材118は、基礎部101の第2弾性部材受け軸配置孔101cに挿入、配置される。
【0057】
緩衝部材118の構成を、
図6を用いて説明する。緩衝部材118は、所定の弾性材料により形成されている。緩衝部材118は、フランジを有する円筒形状を有している。緩衝部材118は、中空円筒形状の軸部118a、軸部118aの一端に配置されるフランジ頭部118b、及び、軸部118a、及び、フランジ頭部118bを貫通する円筒孔118cを有している。軸部118aの外径は、第2弾性部材受け軸配置孔101cの内径と同じである。フランジ頭部118bの外径は、第2弾性部材受け軸配置孔101cの内径より大きい。円筒孔118c内径は、第2弾性部材受け軸部材117の軸部117aの外径とほぼ同じである。
【0058】
図3、及び、
図4に示すように、第2弾性部材119は、可動部103の第2弾性部材配置孔103cに挿入、配置される。
【0059】
第2弾性部材119の構成を、
図6を用いて説明する。第2弾性部材119は、いわゆるコイルばねにより形成されている。第2弾性部材119の内径は、第2弾性部材受け軸部材117の軸部117aの外径よりも大きく、外径は、可動部103の第2弾性部材配置孔103cの円筒孔103c1よりも小さい。
【0060】
3.溶断部動作機構の構成
リンク部材111、リンク固定軸部材112、リンク可動軸部材113、及び、スライド揺動部材114は、接続されることによって、溶断部100を動作させる溶断部動作機構を形成する。リンク部材111、リンク固定軸部材112、リンク可動軸部材113、及び、スライド揺動部材114の接続について、以下において説明する。
【0061】
リンク固定軸部材112の軸部112aの主軸部112a1を、基礎部101のリンク固定軸配置孔101aに挿入、配置した後(
図3、
図4参照)、
図5に示すように、リンク部材111の固定軸円筒孔111bの円筒孔111b1に主軸部112a1が収まるように、リンク部材111を配置し、リンク部材111の固定軸円筒孔111bの円筒孔111b2から突出するリンク固定軸部材112の軸部112aの軸端部112a2に、リンク固定軸部材112の基礎部112bを螺合させる。これにより、リンク部材111とリンク固定軸部材112とを接続する。
【0062】
リンク可動軸部材113の軸部113aを、可動部103のリンク可動軸配置孔103bに挿入、配置し、第1弾性部材116がスライド揺動部材配置孔101bに配置された基礎部101を、基礎部101のスライド揺動部材配置孔101bと可動部103のリンク可動軸配置孔103bとが相対するように、可動部103の上に配置した後(
図3、
図4参照)、
図5に示すように、基礎部101のスライド揺動部材配置孔101bが形成されている位置に揺動形成部材115を配置し、スライド揺動部材114の軸部114aが、揺動形成部材115の円筒孔115b、基礎部101のスライド揺動部材配置孔101b(
図3、
図4参照)、及び、可動部103のリンク可動軸配置孔103bの鉛直方向円筒孔103b1(
図3、
図4参照)を貫通するように配置し、スライド揺動部材114の軸端部114bを、リンク可動軸部材113の円筒孔113a1に螺合させる。これにより、リンク可動軸部材113とスライド揺動部材114とを接続する。なお、リンク可動軸部材113とスライド揺動部材114とを接続させた段階で、スライド揺動部材114の頭部113cは、揺動形成部材115の上面部115aに接するようにする。
【0063】
また、リンク可動軸部材113の軸部113aを、可動部103のリンク可動軸配置孔103bに挿入可動置した後(
図3、
図4参照)、
図5に示すように、リンク部材111の可動軸円筒孔111cにリンク可動軸部材113の軸部113aを貫通させるように配置し、可動軸円筒孔111cから突出する軸部113aに、基礎部113bを螺合させる。これにより、リンク部材111とリンク可動軸部材113とを接続する。
【0064】
このように、リンク固定軸部材112、及び、リンク可動軸部材113には、リンク部材111が取り付けられ、また、リンク可動軸部材113には、スライド揺動部材114が取り付けられている。つまり、リンク部材111、リンク固定軸部材112、リンク可動軸部材113、及び、スライド揺動部材114は、溶断部100を動作させる溶断部動作機構である、いわゆるスライダクランク機構を形成する。溶断部動作機構の動作については、後述する。
【0065】
3.溶断部100の動作
溶断部動作機構の動作について、
図7~
図10を用いて説明する。
図7は、
図4に示す溶断部100の一部断面図を正面から見た図であり、フィルム材固定部107が、搬送路上の半折フィルム材F(H)に頭接した第1状態を示している。また、
図8は、
図7に示す第1状態から、加熱部105が下側に移動し、フィルム材F(H)に頭接した第2状態を示している。さらに、
図9は、
図8に示す第2状態から、基礎部101の下面が可動部103の上面に頭接した第3状態を示している。さらに、
図10は、
図9に示す第3状態から、第2状態に戻った状態を示している。なお、
図7~
図10においては、各構成要素の動作を分かりやすくするために、基礎部101、可動部103、及び、加熱部105の断面を示すハッチング、及び、一部の構成要素の記載を省略している。
【0066】
搬送路Rにおける所定の溶断位置において(
図1参照)、溶断部100の基礎部101を、所定の動力源(図示せず)を用いて、鉛直下側向A15uに沿って下降させることによって、溶断部100を、全体として、下降させる。基礎部101を下降させると、
図7に示すように、溶断部100は、フィルム材固定部107の端縁E107が、搬送路上の半折フィルム材F(H)に頭接している第1状態に達する。第1状態において、溶断部100のフィルム材固定部107は、フィルム材F(H)を、搬送路Rの搬送面PR上に、一時的に、固定する。
【0067】
図7に示す第1状態から、基礎部101を、さらに、鉛直下側向A15uに下降させると、フィルム材固定部107は、搬送路上の半折フィルム材F(H)に頭接しているため、フィルム材固定部107、及び、フィルム材固定部107に接続されている基礎部取り付け部109を除く部材が、下降する。
【0068】
そして、
図8に示すように、溶断部100は、加熱部105の端縁E105が、フィルム材固定部107の端縁E107で固定されている半折フィルム材F(H)に頭接する第2状態に達する。第2状態となると、加熱部105は、半折フィルム材F(H)を溶断し始める。
【0069】
図8に示す第2状態から、基礎部101を、さらに、鉛直下側向A15uに下降させると、基礎部101、及び、基礎部101に固定されているリンク固定軸部材112、揺動形成部材115が、下降する。
【0070】
そして、
図9に示すように、溶断部100は、基礎部101の底面が、可動部103の上面に頭接する第3状態に達する。このとき、第1弾性部材116、及び、第2弾性部材は、基礎部101の移動にともなって圧縮されていく。これにより、基礎部101を鉛直方向下側へ移動させる力を、第1弾性部材116、及び、第2弾性部材119の圧縮で吸収していき、圧縮された第1弾性部材116、及び、第2弾性部材119の弾性力によって、加熱部105による溶断の力を徐々に増加させることができるため、必要以上に負荷をかけることなく、半切フィルム材F(H)を溶断できる。よって、溶断時の半折フィルム材F(H)の鉛直方向下側への反りを防止できる。
【0071】
また、
図8に示す第2状態から
図9に示す第3状態に至るまでに、リンク可動軸部材113、リンク部材111、及び、リンク固定軸部材112はスライダクランク機構を形成しているため、リンク固定軸部材112の鉛直方向下側A15dへの距離L1の移動にともない、リンク可動軸部材113は、溶断方向左側A13lへ、距離L2だけ移動する。よって、可動部103、及び、可動部103に固定されている加熱部105は、溶断方向左側A13lへ、距離L2だけスライド移動する。加熱部105は、徐々に押圧されながら、横方向にスライドする。距離L1は、第1状態における基礎部101と可動部103との間の距離に相当する。
【0072】
ここで、リンク可動軸部材113の溶断方向左側A13lへの移動にともなって、リンク可動軸部材113に接続されているスライド揺動部材114は、揺動形成部材115の上面部115a(
図5参照)の凸状の湾曲面に沿って、反時計回り方向A114方向へ中心軸J114を傾ける。
【0073】
なお、半折フィルム材F(H)を完全に溶断するために、第3状態となった後、適当な量だけ、溶断部100を、ひいては、加熱部105を、鉛直方向下側に下降させる。
【0074】
図9に示す第3状態に達し、半折フィルム材F(H)を完全に溶断した後、今度は、基礎部101を、鉛直上側向A15uに上昇させる。これにより、基礎部101、及び、基礎部101に固定されているリンク固定軸部材112、揺動形成部材115が、上昇する。
【0075】
そして、
図10に示すように、基礎部101が。可動部103に対して、距離L1だけ上昇した第2状態に戻る。このとき、圧縮されていた第1弾性部材116、及び、第2弾性部材119が、徐々に解放されるのにともなって、加熱部105に対する鉛直方向下側A15dへの溶断の力を徐々に減少させていく。
【0076】
図9に示す第3状態から
図10に示す第2状態に至るまでに、リンク可動軸部材113、リンク部材111、及び、リンク固定軸部材112はスライダクランク機構を形成しているため、リンク固定軸部材112の鉛直方向上側A15uへの距離L1の移動にともない、リンク可動軸部材113は、溶断方向右側A13rへ、距離L2だけ移動する。このように、加熱部15をスライドさせながら、加熱部105に対する鉛直方向下側A15dへの溶断の力を徐々に減少させていくことによって、溶断時の半切フィルム材F(H)の加熱部105への溶着によって、加熱部105の鉛直方向上側A15uへの移動の際に生ずる糸引き現象、いわゆる、ヒゲの形成現象、を防止できるとともに、半切フィルム材F(H)の溶断後の糸引き現象に基づく、鉛直方向上側への反り返りを防止できる。
【0077】
その後、
図10に示す第2状態から
図7に示す第1状態に、基礎部101を鉛直方向上側に移動させることによって、加熱部105を、半切フィルム材F(H)から引き離す。さらに、
図7に示す第1状態に、基礎部101を鉛直方向上側に移動させることによって、フィルム材固定部107を、鉛直方向上側に上昇させ、半切フィルム材F(H)の一時固定を開放する。半切フィルム材F(H)は、溶断された後、自然冷却により溶断面が溶着され、フィルム封筒が生成される。
【0078】
その後、フィルム材製袋装置10は、生成したフィルム封筒を、搬送方向A11に搬送するとともに、搬送路Rの半切フィルム材F(H)を所定の位置まで搬送方向A11に移動させて、次の、溶断に備える。
【0079】
[その他の実施形態]
(1)第1弾性部材116、第2弾性部材119:前述の実施例1においては、第1弾性部材116、及び、第2弾性部材119を配置するとしたが、第1弾性部材116のみを配置するようにしてもよい。
【0080】
(2)フィルム材固定部107:前述の実施例1において、フィルム材固定部107を配置しなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明に係るフィルム材製袋装置は、例えば、フィルム材からフィルム封筒を生成する際に用いることができる。
【符号の説明】
【0082】
10 フィルム材製袋装置
100 溶断部
101 基礎部
101a リンク固定軸配置孔
101b スライド揺動部材配置孔
101b 回動軸部材配置孔
101b1 上部円筒孔
101b2 下部円筒孔
101c 軸配置孔
103 可動部
103a 接続部材配置孔
103a1 上部円筒孔
103a2 下部円筒孔
103b リンク可動軸配置孔
103b1 鉛直方向円筒孔
103b2 搬送方向円筒孔
103c 第2弾性部材配置孔
103c1 円筒孔
103c2 円錐凹部
105 加熱部
105a 接続部材配置孔
105b 熱源配置孔
E105 最下端縁
107 フィルム材固定部
E107 最下端縁
109 基礎部取付部
109a 軸基礎部
109a1 円筒孔
109b 鉛直部材
111 リンク部材
111b 固定軸円筒孔
111b1 円筒孔
111b2 円筒孔
111c 可動軸円筒孔
112 リンク固定軸部材
112a 軸部
112a1 主軸部
112a2 軸端部
112b 基礎部
J112 中心軸
C112 円
113 リンク可動軸部材
113a 軸部
113a1 円筒孔
113b 基礎部
113c 頭部
J113 中心軸
114 スライド揺動部材
114a 軸部
114b 軸端部
114c 頭部
J114 中心軸
115 揺動形成部材
115a 上面部
115b 円筒孔
116 第1弾性部材
117 第2弾性部材受け軸部材
117a 軸部
117b 円錐端部
117c 弾性部材受け部
117d 軸端部
J117 中心軸
118 緩衝部材
118a 軸部
118b フランジ頭部
118c 円筒孔
119 第2弾性部材
121 接続部材
121a 軸部
121b 頭部
123 接続部材固定部材
F フィルム材
F(H) 半折フィルム材
R 搬送路
PR 搬送面