(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】屋根金物及びその取り付け方法
(51)【国際特許分類】
E04D 3/36 20060101AFI20230331BHJP
【FI】
E04D3/36 G
E04D3/36 A
(21)【出願番号】P 2019135889
(22)【出願日】2019-07-24
【審査請求日】2021-06-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)公開日 平成30年10月10日 (2)公開した場所 東日本旅客鉄道株式会社 関内駅構内(神奈川県横浜市中区港町1丁目) (3)公開者 株式会社大野板金 (4)公開した物の内容 株式会社大野板金が、大野登喜夫が発明した、屋根金物及びその取り付け方法を開示した。
(73)【特許権者】
【識別番号】512231015
【氏名又は名称】株式会社大野板金
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100147762
【氏名又は名称】藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】大野 登喜夫
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-218033(JP,A)
【文献】特開2019-039203(JP,A)
【文献】特開2016-006271(JP,A)
【文献】米国特許第04226058(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 3/36- 3/369
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
梁材の上方に設けられる第1の固定部材と、
前記梁材の下方及び側方に設けられる複数の第2の固定部材とを備え、
複数の前記第2の固定部材が、前記梁材の下方及び側方を覆いながら前記第1の固定部材に固定され、
前記梁材を上方から見たとき、前記第1の固定部材のうち前記梁材の側方両側に各々突出する部分が第1及び第2の突出部を成し、
前記第1の突出部の先端には、下方に向けて突出し、かつ前記梁材の側方に沿って延びる第1の折曲部が設けられ、前記第2の突出部の先端には、下方に向けて突出し、かつ前記梁材の側方に沿って延びる第2の折曲部が設けられ、
前記第2の固定部材は、矩形の板状部材を前記梁材の形状に沿って折り曲げて形成され、前記第2の固定部材の両端部は、前記第1の突出部及び前記第2の突出部に密着するように各々形成され、
前記第1の突出部及び前記第2の突出部が突出する方向における、前記第2の固定部材の両端部の長さは等しく、前記第2の固定部材の両端部の先端どうしの距離は、前記第1の折曲部から第2の折曲部までの距離未満である
屋根金物。
【請求項2】
前記第1の固定部材から上方に突出する複数の屋根材支持部をさらに備え、
前記屋根材支持部のうち少なくとも1つは、前記第2の固定部材の上方に取り付けられる請求項1に記載の屋根金物。
【請求項3】
前記第1の固定部材から上方に突出する複数の屋根材支持部をさらに備え、
前記屋根材支持部のうち少なくとも1つは、前記第1の固定部材の長手方向において、前記第2の固定部材と異なる位置に取り付けられる請求項1又は2に記載の屋根金物。
【請求項4】
前記第1の固定部材は、前記梁材の頂面に設けられる板部と、前記板部において、前記第1の固定部材の長手方向に沿い、かつ前記板部の縁から下方に突出する
前記第1の折曲部及び前記第2の折曲部とを備える
、請求項1から3のいずれかに記載の屋根金物。
【請求項5】
前記第2の固定部材は、矩形の板状部材を前記梁材の形状に沿って折り曲げて形成され、前記第2の固定部材の両端部は、前記第1の固定部材の底面に密着するように各々形成され
、前記第1の固定部材の底面は、前記第1の突出部及び前記第2の突出部である、請求項1から4のいずれかに記載の屋根金物。
【請求項6】
複数の前記第2の固定部材は、前記第1の固定部材の長手方向に沿って並べられる請求項1から5のいずれかに記載の屋根金物。
【請求項7】
前記第2の固定部材の両端部、前記第1の突出部、及び前記第2の突出部には貫通孔が各々形成され、前記第2の固定部材の一端部の貫通孔と前記第1の突出部の貫通孔とに第1の締結部材が挿入されて、前記第2の固定部材の一端部と前記第1の突出部とが固定され、前記第2の固定部材の他端部の貫通孔と前記第2の突出部の貫通孔とに第2の締結部材が挿入されて、前記第2の固定部材の他端部と前記第2の突出部とが固定される請求項1から6のいずれかに記載の屋根金物。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の屋根金物を梁材に取り付ける方法であって、
前記方法は、
前記第1の固定部材を前記梁材の頂面に置くステップと、
前記第2の固定部材に前記梁材の下方から前記梁材を包持させるステップと、
前記第1の固定部材と前記第2の固定部材とを固定するステップとを備える
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根材を躯体に取り付けるために用いられる屋根金物及びその取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、C型チャンネルを梁材として用いる屋根に折板屋根を取り付ける外装材用取付部材が知られている。この外装材用取付部材は、折板屋根を支持する脚部と、脚部の下端に設けられて梁材上に着地部を梁材上に着地させる本体と、着地部上に重ねて一端縁を梁材の外側へ延在させた上側固定具と、梁材を下方から包持して一端縁を梁材の外側へ延在させた下側固定具とを備える。上側固定具及び下側固定具の他端は折り曲げられて、C型チャンネルの開口又は角に引っかけられる。そして、上側固定具と下側固定具との各一端縁をボルトにて締め付けることにより、着地部が梁材に押し当てられ、これにより外装材用取付部材が梁材に取り付けられる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
折板屋根を風が強い地域に立てられる建築物、あるいは壁がない建築物の屋根として用いる場合、屋根金物が比較的大きな風荷重に耐えうることが求められる。しかしながら、前述のように、上側固定具及び下側固定具の他端を折り曲げて、C型チャンネルの開口又は角に引っかける構成では、風荷重に十分に耐えられないおそれがある。
【0005】
本発明は、これらの課題に鑑みてなされたものであり、強度を確保しながら確実に梁材に固定可能な屋根金物及びその取り付け方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願第1の発明による屋根金物は、第1の梁材の上方に設けられる第1の固定部材と、梁材の下方及び側方に設けられる複数の第2の固定部材とを備え、複数の第2の固定部材が、梁材の下方及び側方を覆いながら第1の固定部材に固定される。
【0007】
屋根金物は、第1の固定部材から上方に突出する複数の屋根材支持部をさらに備え、屋根材支持部のうち少なくとも1つは、第2の固定部材の上方に取り付けられることが好ましい。
【0008】
屋根金物は、第1の固定部材から上方に突出する複数の屋根材支持部をさらに備え、屋根材支持部のうち少なくとも1つは、第1の固定部材の長手方向において、第2の固定部材と異なる位置に取り付けられてもよい。
【0009】
第1の固定部材は、梁材の頂面に設けられる板部と、板部において、第1の固定部材の長手方向に沿い、かつ板部の縁から下方に突出する折曲部とを備えてもよい。
【0010】
第2の固定部材は、矩形の板状部材を梁材の形状に沿って折り曲げて形成され、第2の固定部材の両端部は、第1の固定部材の底面に密着するように各々形成されてもよい。
【0011】
梁材を上方から見たとき、第1の固定部材のうち梁材の側方両側に各々突出する部分が第1及び第2の突出部を成し、第2の固定部材は、矩形の板状部材を梁材の形状に沿って折り曲げて形成され、第2の固定部材の両端部は、第1の突出部及び第2の突出部に密着するように各々形成されてもよい。
【0012】
梁材を上方から見たとき、第1の固定部材のうち梁材の側方両側に各々突出する部分が第1及び第2の突出部を成し、第2の固定部材の両端部、第1の突出部、及び第2の突出部には貫通孔が各々形成され、第2の固定部材の一端部の貫通孔と第1の突出部の貫通孔とに第1の締結部材が挿入されて、第2の固定部材の一端部と第1の突出部とが固定され、第2の固定部材の他端部の貫通孔と第2の突出部の貫通孔とに第2の締結部材が挿入されて、第2の固定部材の他端部と第2の突出部とが固定されてもよい。
【0013】
本願第2の発明による方法は、前記屋根金物を梁材に取り付ける方法であって、この方法は、第1の固定部材を梁材の頂面に置くステップと、第2の固定部材に梁材の下方から梁材を包持させるステップと、第1の固定部材と第2の固定部材とを固定するステップとを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、強度を確保しながら確実に梁材に固定可能な屋根金物及びその取り付け方法を得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る第1の実施形態による屋根金物を備える屋根構造の縦断面図である。
【
図3】
図1のII-II線における屋根金物の右側面図である。
【
図5】第2の実施形態による屋根金物の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、
図1から4を参照して、本発明の第1の実施形態による第1の屋根金物100について説明する。
図1は、屋根構造10に取り付けられた第1の屋根金物100を示す。以下、
図1から4においてZ軸方向を高さという。
【0017】
屋根構造10は、C型チャンネル11と、折板屋根12と、第1の屋根金物100とを主に備える。C型チャンネル11は、その長手方向に直交する断面においてC字型形状を有する形鋼であって、図示されない柱によって地面又は床スラブ等から所定の高さに支持され、梁材として機能する。
【0018】
折板屋根12は、ハゼ式折板13と、吊子14とを主に備える。ハゼ式折板13は、ガルバリウム鋼板から成る板状部材を波形に折り曲げて形成され、山部13aと谷部13bとを備える。吊子14は、ガルバリウム鋼板から成る板状部材の両端部を反対方向に折り曲げて形成されるとともに、その折り曲げられた部位の1つに貫通孔を備える。
【0019】
第1の屋根金物100は、第1の上側固定部材(第1の固定部材)110と、第1の下側固定部材(第2の固定部材)140と、第1の折板支持部(屋根材支持部)170とを主に備える。
【0020】
第1の上側固定部材110は、厚みを有する長方形の平板(矩形の板状部材)において、互いに平行な2つの長縁を下方に直角に折り曲げて形成される。第1の上側固定部材110の長手方向に対する長さは、折板屋根12が有する複数の山部13aに渡って十分に延びる程度の長さである。折り曲げられた部位を第1の折曲部111及び第2の折曲部112といい、第1の折曲部111及び第2の折曲部112に挟まれる部位を第1の底部113という。
図3を参照すると、Z軸方向における第1の折曲部111及び第2の折曲部112の長さは等しい。第1の底部113におけるY軸方向の端部、すなわち
図3においてC型チャンネル11よりもY軸正方向に位置する部位が第1の突出部117を成し、Y軸負方向に位置する部位が第2の突出部118を成す。第1の突出部117及び第2の突出部118は、その厚さ方向すなわちZ軸方向に貫通するボルト孔(貫通孔)114、115を各々備える。第1の折曲部111及び/又は第2の折曲部112により、Z軸方向に対する第1の上側固定部材110の耐力が向上する。
【0021】
第1の下側固定部材140は、厚みを有する長方形の平板において、互いに平行な2つの短縁を、同じ方向に直角に各々1回、次に反対方向に直角に各々1回折り曲げて形成される形状を有する。すなわち、第1の下側固定部材140は、C型チャンネル11の形状に沿って折り曲げて形成される。折り曲げられた部位を第1の端部141及び第2の端部142といい、第1の端部141及び第2の端部142に各々隣接する部位を、第1の側部143及び第2の側部144といい、第1の側部143と第2の側部144とに挟まれる部位を第2の底部145という。Y軸方向における第1の端部141及び第2の端部142の長さは等しい。Z軸方向における第1の側部143及び第2の側部144の長さは等しく、かつZ軸方向におけるC型チャンネル11の長さと等しいか、あるいはわずかに長い。また、Y軸方向における第1の端部141と第2の端部142との距離は、Y軸方向におけるC型チャンネル11の長さと等しいか、あるいはわずかに長い。また、Y軸方向における第1の端部141の先端から第2の端部142の先端までの長さは、第1の折曲部111から第2の折曲部112までの距離未満である。第1の端部141及び第2の端部142は、厚さ方向すなわちZ軸方向に貫通するボルト孔(貫通孔)147、148を備える。ボルト孔147、148の直径は、ボルト孔114、115の直径と同じである。
図1を参照すると、3つの第1の下側固定部材140が、第1の上側固定部材110の長手方向に沿って等間隔に設けられる。
【0022】
図2を参照すると、第1の折板支持部170は、Z軸方向に対する長さが異なる2枚の板171、181から成る。板171は、Z軸方向に延びる基部172と、基部172の両端からX軸正方向に突出する端部173、174とを備え、これによりコ字型の断面を成す。基部172のZ軸方向長さは、端部173、174のX軸方向長さよりも長い(
図2参照)。板181は、Z軸方向に延びる基部182と、基部182の両端からX軸負方向に突出する端部183、184とを備え、これによりコ字型の断面を成す(
図2参照)。基部182のZ軸方向長さは、端部183、184のX軸方向長さよりも長く、基部172のZ軸方向長さよりも長い。板171と板181は、端部173、174と端部183、184とが反対方向に突出するように、基部172と基部182とを密着させて図示されない2本のピンで結合され、これにより第1の折板支持部170が形成される。端部173は、その厚さ方向に貫通する孔を有する。基部172側からこの孔にボルト176aが挿入され、ボルト176aの頭が端部173に溶接され、固定される。端部174及び端部184においてY軸方向と平行な縁が、第1の底部113の頂面に溶接され、これにより、第1の折板支持部170が第1の上側固定部材110に固定される。このようにして、3つの第1の折板支持部170が、折板屋根12の山部13aの位置と一致するよう、第1の上側固定部材110において適切な位置に設けられる。
【0023】
次に、第1の屋根金物100を用いて、C型チャンネル11に折板屋根12を取り付ける手順について説明する。
【0024】
まず、C型チャンネル11に第1の屋根金物100を取り付ける手順について説明する。C型チャンネル11の長手方向に第1の上側固定部材110の長手方向が沿うように、C型チャンネル11の頂面11aに第1の上側固定部材110が置かれる。C型チャンネル11の頂面11aは、Z軸方向に対する最上面である。このとき、C型チャンネル11の頂面11aと第1の上側固定部材110の第1の底部113とが接触する。
図3を参照すると、第1の突出部117と第2の突出部118は、C型チャンネル11からY軸方向に対して同じ長さだけ突出する。すなわち、第1の突出部117と第2の突出部118は、C型チャンネル11を上方、つまりZ軸正方向から負方向に向かって見たとき、C型チャンネル11の側方両側に各々突出する。この状態において、第1の折曲部111と第2の折曲部112は、第1の上側固定部材110及びC型チャンネル11の長手方向と平行に延びる。これにより、第1の折曲部111と第2の折曲部112は、C型チャンネル11に接触することなく、第1の上側固定部材110の曲げ強度を高めることができる。
【0025】
次に、C型チャンネル11の底面11d、すなわちZ軸方向に対して最下面から、第1の下側固定部材140がC型チャンネル11の底面11d及び両側面11b、11cを覆うように設置される。前述のように、Z軸方向における第1の側部143及び第2の側部144の長さは、Z軸方向におけるC型チャンネル11の長さと等しいか、あるいはわずかに長く、かつY軸方向における第1の端部141と第2の端部142との距離は、Y軸方向におけるC型チャンネル11の長さと等しいか、あるいはわずかに長いため、第1の側部143がC型チャンネル11の側面11bと密着し、第2の底部145がC型チャンネル11の底面11dと密着し、第2の側部144がC型チャンネル11の側面11cと密着する。これにより、C型チャンネル11が第1の下側固定部材140の内周側に納められ、第1の下側固定部材140により包持される。
【0026】
第1の端部141の一面が第1の突出部117と密着し、第2の端部142の一面が第2の突出部118と密着し、ボルト孔147がボルト孔114と重なり合い、ボルト孔148がボルト孔115と同軸と重なり合う。そして、ボルト孔147からボルト孔114にボルト151aを挿入して、ボルト孔114から突出したボルト151aにダブルナット151bをねじ込み、締結する。また、ボルト孔148からボルト孔115にボルト152aを挿入して、ボルト孔115から突出したボルト152aにダブルナット152bをねじ込み、締結する。これにより、第1の下側固定部材140が、C型チャンネル11の下方及び側方を覆いながら第1の突出部117及び第2の突出部118に固定され、第1の屋根金物100がC型チャンネル11に固定される。
【0027】
次に、折板屋根12を第1の屋根金物100に取り付ける手順について説明する。まず、吊子14の貫通孔にボルト176aが貫通するように、端部173の頂面に吊子14が置かれる。そして、貫通孔から突出したボルト176aにナット及びワッシャ176bをねじ込み、締結する。これにより、吊子14が第1の屋根金物100に固定される。そして、上方から吊子14にハゼ式折板13をかぶせるように取り付け、所定の圧力でハゼ式折板13を吊子14に押しつける。これにより、ハゼ式折板13が吊子14と嵌合し、折板屋根12が第1の屋根金物100に取り付けられる。この状態において、第1の折曲部111と第2の折曲部112は、下方に向けて突出しているため、ハゼ式折板13の谷部13bと接触しない。つまり、第1の折曲部111と第2の折曲部112は、ハゼ式折板13の谷部13bに接触することなく、第1の上側固定部材110の曲げ強度を高めることができる。
【0028】
一般に、風が強い地域に立てられる建築物あるいは壁がない建築物に用いられる折板屋根には、折板屋根を梁材から引きはがすような力が加わる。そのため、このような建築物に用いられる屋根金物には、大きな荷重に耐えうることが求められる。本実施形態による第1の屋根金物100は、複数の山部13aに跨がってC型チャンネル11に取り付けられる第1の上側固定部材110に複数の第1の下側固定部材140が設けられる。そのため、1つの山部13aにのみ跨がってC型チャンネル11に取り付けられる上側固定部材と比較して、C型チャンネル11と第1の上側固定部材110との接触面積が大きくなる等の理由により、より大きな荷重に耐えることができる。また、第1の折曲部111及び第2の折曲部112が第1の底部113から下方に突出するため、第1の上側固定部材110は、Y軸回りのモーメント力に対して抵抗可能であって、これによりY軸回りに曲げられにくくなる。
【0029】
なお、第1の屋根金物100が取り付けられる梁材はC型チャンネル11に限定されず、アングル材やその他、梁材として使用可能な鋼材であってもよい。この場合、第1の下側固定部材140の形状は、梁材の形状に応じて適宜変更されうる。また、第1の屋根金物100に取り付けられる折板はハゼ式折板13に限定されず、嵌合式折板、重ね式折板、又はその他の折板式屋根であってもよい。この場合、第1の折板支持部170の形状は、折板の取り付け手段に応じて適宜変更されうる。
【0030】
また、第1の上側固定部材110と第1の折板支持部170とは溶接以外の手段、例えば接着剤やボルト・ナット等によって接続されてもよい。ボルト176aは第1の折板支持部170に溶接されなくてもよい。
【0031】
次に、
図5を用いて第2の実施形態による第2の屋根金物200について説明する。第1の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。以下、
図5においてZ軸方向を高さという。
【0032】
第2の屋根金物200は、第1の上側固定部材110と、第2の下側固定部材240と、第1の折板支持部170とを主に備える。第1の上側固定部材110及び第1の折板支持部170の形状は、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0033】
第2の下側固定部材240は、厚みを有する長方形の板から成り、この板における所定の位置で45度の角度で折り曲げられ、さらに互いに平行な2つの短縁を同一平面上に置かれるように各々折り曲げて形成される。折り曲げられた縁の先端部分を第21の端部241及び第22の端部242といい、第21の端部241及び第22の端部242に各々隣接する部位を、第21の側部243及び第22の側部244という。Y軸方向における第21の端部241及び第22の端部242の長さは等しく、Z軸方向における第21の側部243及び第22の側部244の長さは等しい。また、Y軸方向における第21の端部241と第22の端部242との距離は、Y軸方向におけるアングル材21の長さ、すなわちアングル材21の1辺の長さと等しいか、あるいはわずかに長い。第21の端部241及び第22の端部242は、厚さ方向すなわちZ軸方向に貫通するボルト孔247、248を備える。ボルト孔247、248の直径は、ボルト孔114、115の直径と同じである。3つの第2の下側固定部材240が、第1の上側固定部材110の長手方向に沿って等間隔に設けられる。
【0034】
次に、第2の屋根金物200を用いて、アングル材21に折板屋根22を取り付ける手順について説明する。
【0035】
まず、アングル材21に第2の屋根金物200を取り付ける手順について説明する。アングル材21の頂面21a、すなわちZ軸方向に対して最上面に第1の上側固定部材110が置かれる。
図4を参照すると、このとき、第1の突出部117と第2の突出部118は、アングル材21からY軸方向に対して同じ長さだけ突出する。次に、アングル材21の側面21bの先端、すなわちZ軸方向に対して最下部から、第2の下側固定部材240が側面21bを覆うように設置される。このとき、第21の端部241の一面が第1の突出部117と密着し、第22の端部242の一面が第2の突出部118と密着し、ボルト孔247がボルト孔114と重なり合い、ボルト孔248がボルト孔115と重なり合う。そして、ボルト孔247からボルト孔114にボルト151aを挿入して、ボルト孔114から突出したボルト151aにダブルナット151bをねじ込み、締結する。また、ボルト孔248からボルト孔115にボルト152aを挿入して、ボルト孔115から突出したボルト152aにダブルナット152bをねじ込み、締結する。これにより、アングル材21が第2の下側固定部材240の内周側に納められ、第2の下側固定部材240により包持され、第2の屋根金物200がアングル材21に固定される。折板屋根12を第2の屋根金物200に取り付ける手順は、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0036】
第1の実施形態と同様に、本実施形態による第2の屋根金物200は、アングル材21に取り付けられた状態において、第1の上側固定部材210と第2の下側固定部材240とが、アングル材21を全周に渡って保持する。そのため、折板屋根22をアングル材21から引きはがすような力が加わっても、第21の端部241と第1の突出部117とが密着し、かつボルト151aとダブルナット151bとによって密着固定されること、及び第22の端部242と第2の突出部118とが密着し、かつボルト152aとダブルナット152bとによって密着固定されることにより、第1の上側固定部材110と第2の下側固定部材240とが分離しにくくなって、大きな力に耐えることができる。
【0037】
また、第1の上側固定部材110と第2の折板支持部270とは溶接以外の手段、例えば接着剤やボルト・ナット等によって接続されてもよい。
【0038】
なお、いずれの実施形態においても、第1及び第2の下側固定部材140、240の数は3つに限定されず、必要な耐荷重に応じて位置及び数が決定される。また、第1の折板支持部170は、第1及び第2の下側固定部材140、240のZ軸方向上方、あるいは重力方向上方に設けられなくてもよい。第1の上側固定部材110の長手方向に対する第1の折板支持部170と第1及び第2の下側固定部材140、240との位置関係は、必要な耐荷重に応じて決定される。
【0039】
なお、いずれの実施形態においても、第1及び第2の屋根金物100、200が取り付けられる梁材は、C型チャンネル、アングル材、その他の梁材として使用可能な鋼材であってもよい。例えば屋根金物をC型チャンネルに取り付ける場合、下側固定部材として第1の下側固定部材140を用いてもよく、例えば屋根金物をアングル材に取り付ける場合、下側固定部材として第2の下側固定部材240を用いてもよい。
【0040】
また、屋根金物に取り付けられる折板は、嵌合式折板、ハゼ式折板、重ね式折板、又はその他の折板式屋根であってもよい。例えば屋根金物をC型チャンネルに取り付ける場合、折板支持部として第1の折板支持部170を用いてもよく、例えば屋根金物をハゼ式折板に取り付ける場合、折板支持部として第2の折板支持部270が用いられてもよく、例えば屋根金物を重ね式折板に取り付ける場合、折板支持部として第3の折板支持部370が用いられてもよい。
【0041】
第1の下側固定部材140及び第2の下側固定部材240の代わりに、丸棒又は角棒を折り曲げて形成された部材を下側固定部材として用いてもよい。この場合、丸棒又は角棒の両端部に雄ねじが切られて上側固定部材のボルト孔に貫通され、ナットを用いて上側固定部材に固定される。
【0042】
なお、本明細書および図中に示した各部材の大きさは例示であって、これらの大きさに限定されない。また、各部材の素材は例示であって、これらの素材に限定されない。ここに付随する図面を参照して本発明の実施形態が説明されたが、記載された発明の範囲と精神から逸脱することなく、変形が各部の構造と関係に施されることは、当業者にとって自明である。
【符号の説明】
【0043】
10 屋根構造
11 C型チャンネル
12 折板屋根
13 ハゼ式折板
14 吊子
100 第1の屋根金物
110 第1の上側固定部材
111 第1の折曲部
112 第2の折曲部
113 第1の底部
117 第1の突出部
118 第2の突出部
114 ボルト孔
115 ボルト孔
140 第1の下側固定部材
141 第1の端部
142 第2の端部
143 第1の側部
144 第2の側部
145 第2の底部
147 ボルト孔
148 ボルト孔