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特許7253798ランプ保持用カセット、およびそれを用いた露光装置用光源
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  • 特許-ランプ保持用カセット、およびそれを用いた露光装置用光源 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】ランプ保持用カセット、およびそれを用いた露光装置用光源
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20230331BHJP
【FI】
G03F7/20 501
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019208327
(22)【出願日】2019-11-18
(65)【公開番号】P2021081560
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】510138741
【氏名又は名称】フェニックス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147706
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】松本 弘
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-256531(JP,A)
【文献】国際公開第2014/104013(WO,A1)
【文献】特開2011-206731(JP,A)
【文献】特開2017-037336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1本体部および第2本体部を備えており、
前記第1本体部および前記第2本体部には、それぞれ複数のランプが取り付けられる複数のランプ取付凹所が形成されており、
前記第1本体部における第1側面は、前記第2本体部における第2側面と組み合わせて互いに接合できるようになっており、
前記第1本体部における前記第1側面の一方端部は、前記第2本体部における前記第2側面の一方端部に対して円柱状のピンで取り付けられており、
前記第1本体部は、前記第2本体部に対して、前記ピンを中心として回動可能となっている
ランプ保持用カセット。
【請求項2】
前記ランプ取付凹所の内側面には、前記内側面から突設された突部が形成されており、
前記突部は、前記ランプ取付凹所に取り付けられる前記ランプが正しい位置にない場合において前記ランプに当たるようになっている
請求項1に記載のランプ保持用カセット。
【請求項3】
請求項1または2に記載のランプ保持用カセットを備える
露光装置用光源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば露光装置用光源として使用される、複数のランプをひとまとめにして保持するランプ保持用カセットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば露光装置に使用される光源など大きな光量が必要な光源に対して、従来は大型の放電灯等のランプをひとつ設けるのが主流であったが、当該ランプが故障すると光源が失光してしまい露光装置全体を停止しなければならなくなることや、メンテナンスの困難性等の問題から、近年では、小型の放電灯等のランプを複数並べて配置することにより、必要な光量を放射できる光源を構成する技術が開発されている。
【0003】
例えば特許文献1には、複数のランプを並べて所望の位置に容易に配置できるように、これらランプを個々に保持する複数の凹所を備えるカセットを用いる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-200751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたランプ保持用カセットにも改善すべき点があった。
【0006】
複数のランプを使用する露光装置用光源では、例えば図9および図10に示すように、各ランプLからの光の利用効率を向上させるために、各ランプLが互いに密に配置される。このため、ひとつのランプLをカセットCに取り付けようとする際、近傍のランプLやそのランプLへの配線Xが邪魔になってしまい、ランプLの取り付け作業が困難になり、悪くすると、適切な位置にランプLが取り付けられないことが考えられた。
【0007】
ランプLの取り付け作業が困難になると、ひとつの露光装置用光源に複数のランプLを取り付ける作業時間が長くなり、露光装置全体のメンテナンスコストを押し上げる要因となる。また、適切な位置にランプLが取り付けられない場合は、露光面における照度が低下して露光品質の低下を招くおそれがあった。
【0008】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数のランプが互いに密に配置される場合であっても、近傍のランプやそのランプへの配線が邪魔になり難く、ランプの取り付け作業を容易にして、適切な位置にランプが取り付けられないおそれを低減できるランプ保持用カセットおよびそれを用いた露光装置用光源を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一局面によれば、
少なくとも第1本体部および第2本体部を備えており、
前記第1本体部および前記第2本体部には、それぞれ複数のランプが取り付けられる複数のランプ取付凹所が形成されており、
前記第1本体部における第1側面は、前記第2本体部における第2側面と組み合わせて互いに接合できるようになっており、
前記第1本体部における前記第1側面の一方端部は、前記第2本体部における前記第2側面の一方端部に対して円柱状のピンで取り付けられており、
前記第1本体部は、前記第2本体部に対して、前記ピンを中心として回動可能となっている
ランプ保持用カセットが提供される。
【0012】
好適には、
前記ランプ取付凹所の内側面には、前記内側面から突設された突部が形成されており、
前記突部は、前記ランプ取付凹所に取り付けられる前記ランプが正しい位置にない場合において前記ランプに当たるようになっている。
【0013】
本発明の他の局面によれば、
上述したランプ保持用カセットを備える
露光装置用光源が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るランプ保持用カセットによれば、当該ランプ保持用カセットは少なくとも第1本体部と第2本体部とに分けて構成されており、第1本体部における第1側面は、第2本体部における第2側面と組み合わせて互いに接合できるようになっている。
【0015】
これにより、第1本体部のランプ取付凹所における所定の位置にランプを取り付けるとともに当該ランプに対する配線を済ませておき、第2本体部についても同様に済ませておいた後、第1本体部および第2本体部を互いに組み合わせてランプ保持用カセットを完成させることができるので、複数のランプが互いに密に配置される場合であっても、近傍のランプやそのランプへの配線が邪魔になり難くなり、ランプの取り付け作業が容易になるとともに、適切な位置にランプが取り付けられなくなるおそれを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明が適用された、実施形態に係るランプ保持用カセット10(開いた状態)を示す正面図である。
図2】本発明が適用された、実施形態に係るランプ保持用カセット10(ランプLを取り付けて開いた状態)を示す斜視図である。
図3】本発明が適用された、実施形態に係るランプ保持用カセット10(ランプLおよび配線Xを取り付けて開いた状態)を示す正面図である。
図4】本発明が適用された、実施形態に係るランプ保持用カセット10(閉じた状態)を示す正面図である。
図5】V-V矢視による断面図である。
図6】VI-VI部分の拡大図である。
図7】変形例1に係るランプ保持用カセット10(ランプLを取り付けて開いた状態)を示す斜視図である。
図8】変形例2に係るランプ保持用カセット10(ランプLを取り付けて開いた状態)を示す斜視図である。
図9】従来技術を示す図である。
図10】従来技術を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(ランプ保持用カセット10の構成)
以下、図面を用いて、本発明に係るランプ保持用カセット10の構成について説明する。
【0018】
図1から図3に示すように、ランプ保持用カセット10は、大略、第1本体部12と、第2本体部14と、ピン16とで構成されている。
【0019】
第1本体部12は、複数のランプLが取り付けられる部材であり、これらランプLを取り付けるためのランプ取付凹所20が複数形成されている。
【0020】
なお、本実施形態では、ランプLとしてリフレクター付きの放電灯が使用されているが、ランプLの種類はこれに限定されるものではなく例えば白熱灯やLEDであってもよいし、リフレクターの有無についても限定されない。
【0021】
また、本実施形態では、第1本体部12にはランプ取付凹所20が2列に形成されており、1列当り5箇所のランプ取付凹所20が形成されていることから、合計で10箇所のランプ取付凹所20が形成されている。ランプ取付凹所20の列数は特に限定されるものではないが、ランプLに対する配線作業のしやすさに鑑みると2列に形成するのが好適である。また、1列当りのランプ取付凹所20の個数も特に限定されない。
【0022】
図4から図6に示すように、各ランプ取付凹所20には、1つのランプLにおけるリフレクターRの開口O側が嵌め込まれるようになっている。また、各ランプ取付凹所20の内側面Sにおける底端部からは、リフレクターRにおける開口O側の開口端部Tにおける端縁面Hが当接するランプ当接部22が形成されており、リフレクターRの端縁面Hを当該ランプ当接部22に当接させることにより、ランプ保持用カセット10に対するランプLの位置決めが正しくできるようになっている。
【0023】
さらに、各ランプ取付凹所20の内側面Sには、当該内側面Sから突設された突部24が形成されている。この突部24は、上述したようにランプLにおけるリフレクターRの端縁面Hをランプ当接部22に当接させることによって当該ランプLを正しく位置決めした状態で、リフレクターRの開口端部Tにおける端縁面Hとは反対側の端縁背面Fに当接するか、あるいは、当該端縁背面Fの近傍に位置するように設定されている。これにより、ランプLがランプ取付凹所20に対してずれたとき、つまり、ランプLがランプ取付凹所20に対して正しい位置にない場合において、突部24がリフレクターRの端縁背面Fに当たるようになり、ランプLがランプ取付凹所20の正しい位置から不所望にずれるのを回避できるようになっている。
【0024】
なお、この突部24は本件発明の必須構成要素ではないので、突部24を設けることなくランプ保持用カセット10を構成してもよい。
【0025】
図1から図3に戻り、第2本体部14も、基本的に第1本体部12と同じ構成であり、ここまでの第1本体部12に関する説明を第2本体部14の説明として援用する。
【0026】
本実施形態に係るランプ保持用カセット10において、第1本体部12における第1側面26の一方端部は、第2本体部14における第2側面28の一方端部に対して円柱状のピン16で取り付けられており、第1本体部12が第2本体部14に対してピン16を中心として回動可能となっている。
【0027】
これにより、第1本体部12における第1側面26は、第2本体部14における第2側面28に対して近接離間可能になっており、当該第2側面28と組み合わせて互いに接合できるようになっている。また、本実施形態では、第1本体部12における第1側面26の他方端部にラッチ金具27が取り付けられている。第1本体部12と第2本体部14とが組み合わされて互いに接合した状態で当該ラッチ金具27を第2本体部14における第2側面28の他方端部に形成された係合部29と係合させることにより、第1本体部12と第2本体部14とが互いに接合された状態を維持できる。
【0028】
なお、本実施形態において、ピン16は第1本体部12および第2本体部14から独立した別個の部材となっているが、当該ピン16を第1本体部12あるいは第2本体部14と一体に形成してもよい。
【0029】
また、本実施形態に係るランプ保持用カセット10には、第2本体部14における第2側面28からガイドピン40が突設されており、第1本体部12における第1側面26の対応する位置には、当該ガイドピン40が挿入されるガイドピン挿入穴42が形成されている。第1側面26と第2側面28とを組み合わせ互いに接合する際、ガイドピン40をガイドピン挿入穴42に挿入することにより、ずれが生じることなく正しい位置で第1本体部12と第2本体部14とを接合することができる。
【0030】
(ランプ保持用カセット10の特徴)
本実施形態に係るランプ保持用カセット10によれば、当該ランプ保持用カセット10が第1本体部12と第2本体部14とに分けて構成されており、第1本体部12が第2本体部14に対してピン16を中心として回動可能となっていることにより、第1本体部12における第1側面26は、第2本体部14における第2側面28と組み合わせて互いに接合させたり、互いに離間させたりできるようになっている。
【0031】
これにより、第1本体部12のランプ取付凹所20における所定の位置にランプLを取り付けるとともに当該ランプLに対する配線Xを済ませておき、第2本体部14についても同様に済ませておいた後、第1本体部12および第2本体部14を互いに組み合わせてランプ保持用カセット10を完成させることができるので、複数のランプLが互いに密に配置される場合であっても、近傍のランプLやそのランプLへの配線Xが邪魔になり難くなり、ランプLの取り付け作業が容易になるとともに、適切な位置にランプLが取り付けられなくなるおそれを低減できる。
【0032】
(変形例1)
上述した実施形態では、ピン16を中心として第1本体部12を第2本体部14に対して回動可能にしていたが、これに代えて、図7に示すように、第1本体部12における第1側面26と第2本体部14における第2側面28とが互いに対向した状態で、第1本体部12と第2本体部14との間隔を平行に広げたり狭めたりできるガイド部材30を設けてもよい。
【0033】
ランプ保持用カセット10には、このガイド部材30が2本一組で使用されている。各ガイド部材30は、それぞれ、第1本体部12における第1側面26に直交するスライド面32と、第2本体部14における第2側面28に直交するスライド面34との間に架設されている。また、各スライド面32,34は、ガイド部材30に対して摺動自在になっている。
【0034】
これにより、上述した実施形態に係るランプ保持用カセット10と同じく、第1本体部12における第1側面26を、第2本体部14における第2側面28と組み合わせて互いに接合させたり、互いに離間させたりできるようになっている。
【0035】
(変形例2)
さらに言えば、図8に示すように、第1本体部12と第2本体部14とを完全に分離させて構成してもよい。この場合も第1本体部12における第1側面26と第2本体部14における第2側面28とが組み合わされて互いに接合した状態で、第1側面26の両端に設けられたラッチ金具27を第2本体部14における第2側面28の両端に形成された係合部29と係合させることにより、第1本体部12と第2本体部14とが互いに接合された状態を維持できる。
【0036】
(変形例3)
また、第1本体部12や第2本体部14の面形状は、実施形態のような長方形状(矩形状)に限定されるものではなく、多角形状やL字状など、どのような形状であってもよい。
【0037】
(変形例4)
ここまでに説明した各実施形態では、ランプ保持用カセット10は、第1本体部12および第2本体部14の大略2つの部材で構成されていたが、例えば、第2本体部14における第2側面28に対向する側面に組み合わされる第3本体部をさらに設けて、ランプ保持用カセット10を大略3つの部材で構成してもよい。さらに、大略4つ以上の部材でランプ保持用カセット10を構成してもよい。
【0038】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0039】
10…ランプ保持用カセット、12…第1本体部、14…第2本体部、16…ピン
20…ランプ取付凹所、22…ランプ当接部、24…突部、26…(第1本体部12の)第1側面、27…ラッチ金具、28…(第2本体部14の)第2側面、29…係合部
30…ガイド部材、32…スライド面、34…スライド面
40…ガイドピン、42…ガイドピン挿入穴
L…ランプ、X…配線、R…リフレクター、O…(リフレクターRの)開口、T…(リフレクターRの)開口端部、H…(開口O側の)端縁面、S…内側面、F…端縁背面、C…(従来の)カセット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10