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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】果菜載せ体及び果菜自動選別装置
(51)【国際特許分類】
   B07C 5/36 20060101AFI20230331BHJP
   B65G 17/12 20060101ALI20230331BHJP
   B65G 47/46 20060101ALI20230331BHJP
   B65G 47/49 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
B07C5/36
B65G17/12 J
B65G47/46 B
B65G47/49
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019225475
(22)【出願日】2019-12-13
(65)【公開番号】P2021010906
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-04-05
(31)【優先権主張番号】P 2019124714
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)株式会社日本農業新聞が、日本農業新聞の平成31年2月27日付第13面にて、宮田和男が発明した果菜自動選別装置について公開した。(2)株式会社茨城新聞社が、茨城新聞の令和1年5月10日付第10面にて、宮田和男が発明した果菜自動選別装置について公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】391017702
【氏名又は名称】日本協同企画株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】宮田 和男
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-175011(JP,A)
【文献】特開2014-231057(JP,A)
【文献】特開2013-212909(JP,A)
【文献】特開2013-056724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 1/00-99/00
B65G 17/12
B65G 47/34-47/51
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトがフレームの長手方向に往復回転可能に周回されたベルトコンベア式であり、フレームは無端チェーンの走行に伴って移動できるように当該無端チェーンに取り付けることができ、前記ベルトの上に果菜を載せることができ、ベルトの上の果菜をベルトの往回転により当該ベルトの果菜送り出し方向先端側から送り出すことのできる果菜載せ体であり、
前記ベルトはフレームの横幅方向に二列以上併設されており、
二列以上のベルトの夫々は併設方向外側が高く、内側が低くなる斜め内向き傾斜に設けられており、
二列以上のベルトは一つの果菜を跨がせて載せることができる横幅であり、
二列以上のベルトの果菜送り出し方向先端側は段階的に斜めになっており、その段階的な斜めは、併設方向後方のベルトの先端部が併設方向先方のベルトの先端部よりも果菜送り出し方向先方側に突出して段階的になっている斜めであり、
ベルトの果菜送り出し方向先端側が、ベルトの併設方向に二以上に分割されており、分割された二以上のベルトの夫々はリング状であり、夫々のリング状のベルトは長さが異なり、併設方向先方側のリング状のベルトが後方側のリング状のベルトよりも短い、
ことを特徴とする果菜載せ体。
【請求項2】
請求項1記載の果菜載せ体において、
フレームの横幅方向に二列以上併設されたベルトは、果菜送り出し方向先端側が後端側よりもフレームの横幅方向斜め後方向きにして併設されている、
ことを特徴とする果菜載せ体。
【請求項3】
請求項1記載の果菜載せ体において、
中央ベルトの両外側に外側ベルトが配列されて、ベルトが三列以上併設されており、
中央ベルトがその併設方向に水平であり、外側ベルトがその併設方向外側から内側に下り傾斜に配列されており、外側ベルトの上走行部の併設方向内側端部の上面が、中央ベルトの上走行部の上面と同じ又は略同じ高さである、
ことを特徴とする果菜載せ体。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の果菜載せ体において、
ローラがフレームの横幅方向に二列以上に併設されており、各列のローラはフレームの長手方向の先端側ローラと後端側ローラが一組として設けられており、各組の先端側ローラと後端側ローラにベルトが往復回転可能に巻かれている、
ことを特徴とする果菜載せ体。
【請求項5】
請求項4記載の果菜載せ体において、
フレームは、無端チェーンに取り付けられるベースにローラを備え、
ローラはベースの横幅方向に横に並べて二列以上に併設されており、各列の先端側ローラと後端側ローラは一組であり、先端側ローラは後端側ローラよりも斜め後方向きに設けられており、各組のローラはフレームの横幅方向外側が高く、横幅方向内側が低くなる斜め内向き傾斜に設けられており、
各列のベルトは各列の一組のローラに巻かれて、その併設方向外側が高く、内側が低くなる斜め内向き傾斜になっており、
各組の先端側ローラと後端側ローラにベルトが往復回転可能に巻かれている、
ことを特徴とする果菜載せ体。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の果菜載せ体において、
ベルトにスライドピンが往復移動可能に連結され、ベルトはスライドピンの往復移動に伴って往復回転する、
ことを特徴とする果菜載せ体。
【請求項7】
無端チェーンに多数の果菜載せ体が設けられ、無端チェーンの走行に伴って果菜載せ体が移動して、果菜載せ体のベルトの上に載せた果菜を搬送し、搬送中に果菜を計測して等階級を判別し、搬送中にベルトが回転して、判別済み果菜を判別された等階級別にベルトコンベア式のプールコンベアに送り出して選別することができる果菜自動選別装置において、
果菜載せ体が請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の果菜載せ体であり、
プールコンベアは回転可能な引き継ぎベルトを備え、
前記プールコンベアは果菜載せ体の果菜送り出し方向先端側に配置されて、果菜載せ体のベルトの往回転により前記果菜送り出し方向先端側から送り出される果菜がプールコンベアに直に又はプールコンベアの手前の中継具を介して引き継がれる、
ことを特徴とする果菜自動選別装置。
【請求項8】
請求項7記載の果菜自動選別装置において、
中継具が回転可能な中継ベルトを備えたベルトコンベア式である、
ことを特徴とする果菜自動選別装置。
【請求項9】
請求項7又は請求項8記載の果菜自動選別装置において、
果菜載せ体のベルトの上走行部の上面が、中継具の中継ベルトの上面又はプールコンベアの引き継ぎベルトの上面と同じ又は略同じ高さである、
ことを特徴とする果菜自動選別装置。
【請求項10】
請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の果菜自動選別装置において、
プールコンベアの引き継ぎベルトは、中継具又は果菜載せ体から果菜が送り込まれるたびに回転して、当該プールコンベアの上に、少なくとも果菜一個が載るスペースを確保できると共に、中継具又は果菜載せ体から送り込まれる果菜をプールコンベアの引き継ぎベルトの上に引き寄せることができる、
ことを特徴とする果菜自動選別装置。
【請求項11】
請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の果菜自動選別装置において、
中継具の中継ベルトは果菜載せ体から果菜が送り込まれる度に間欠回転して又は連続回転して、果菜載せ体から送り込まれる果菜を引き寄せることができる、
ことを特徴とする果菜自動選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は等階級判別に仕分けする果菜を載せることのできる果菜載せ体と、果菜載せ体に載せた果菜を搬送し、搬送中に果菜を計測して等階級判別し、判別された果菜を等階級別に仕分けすることのできる果菜自動選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
果菜には、トマト、みかん、オレンジ、タマネギ、キウイ、柿等の丸玉系の果菜(丸物果菜)、ナス、胡瓜等の細長系の果菜(長物果菜)、メロン、西瓜等の大きなサイズの果菜、桃、イチゴ、無花果のように傷み易い果菜等々がある。
【0003】
果菜は収穫後に選果場に持ち込まれ、箱詰めされて出荷されている。箱詰めされた果菜の形状やサイズが不揃いであると、果菜判断基準となる等階級が下がり、市場での買い取り価格が低下し、生産者の収益低減の一因となる。そこで、従来は、果菜自動選別装置で果菜を搬送しながら果菜の形状やサイズを計測し、計測結果に基づいて等階級、例えば、Sサイズ、Mサイズ、Lサイズ等に判別し、判別後の果菜を仕分けして等階級別に箱詰めしている。これにより箱内の形状やサイズを揃えて上位の等階級にランク付けされ、高値で販売されるようにしている。
【0004】
前記果菜の計測、選別には、果菜自動選別装置が使用されている。果菜自動選別装置として、本件出願人が先に開発した果菜自動選別装置が知られている(例えば、特許文献1~5)。
【0005】
従来の果菜自動選別装置は、無端チェーンに多数の果菜載せ体(バケット)が取り付けられ、果菜載せ体は無端チェーンの走行により移動して、果菜載せ体の上に載せてある果菜を搬送する。搬送中の果菜を搬送ラインに設置固定してあるカメラで撮影し、撮影画像に基づいて果菜の形状やサイズ(等階級)を判別する。更に搬送が進むと、果菜を判別結果に応じて果菜走行方向側方のプールコンベアの上に送り出して選別(仕分け)し、プールコンベアの上にプールされた果菜を作業者が箱詰している。
【0006】
果菜載せ体は、無端チェーンに取付け可能なフレームに、ベルトを回転可能に巻いたベルトコンベア式であり、搬送中にベルトが等階級判別結果に応じて搬送方向側方に回転して、ベルトの上の果菜をベルトの回転方向に送り出し(等階級別に選別し)、送り出し後に、ベルトが逆回転して元の位置に戻るようにしてある。果菜載せ体には、一枚のベルトを備えたもののほか、二本以上のベルトを備えたもの(例えば、特許文献6)などが知られている。
【0007】
果菜が搬送中に位置ずれしたり、転がったりすると、一列に揃わずに計測部に搬送されるため、計測部のカメラで果菜を真上から写真撮影すると、撮影画像と、果菜の実際の形状や大きさにずれが生じ、計測誤差の原因となり、等階級別の仕分け精度が低下し、箱詰された果菜が不揃いになり、等階級のランクが低下する一因になる。
【0008】
搬送中の果菜には搬送方向に引かれる力が作用する(慣性が働く)。プールコンベアは果菜載せ体の側方に直交状に配置してあるため、搬送中の果菜をプールコンベアに送り出すと、果菜はプールコンベアに直角に送り出されるため果菜搬送方向への慣性で転がることがある。転がったり、位置ずれしたりすると果菜に傷が付いたりする。また、果菜をプールコンベアに送り出すときに、果菜がプールコンベアに突き当たると、プールコンベアの上に円滑に乗り移らないとか、果菜に傷が付くといった問題が発生する。場合によっては、果菜が送り出すベルト或いはプールコンベアの上から側方に落下することがある。また、送り出すベルトの上面とプールコンベアの上面に段差(落差)があると、落下時に果菜が傷付くこともある。
【0009】
搬送中の果菜の位置ずれや転がりを防止するためには、ベルトに対する果菜の接触面積を広くすることが考えられるが、そのようにする、イチゴや無花果のように傷付き易い果菜や形崩れし易い果菜では、接触面積が広くなった分だけ果菜に接触跡が付き易くなるとか、形崩れし易くなる。
【0010】
また、前記特許文献の果菜載せ体は、ベルトの上走行部が水平又は略水平であることから、果菜が搬送中に搬送方向側方(ベルトの横幅方向)に転がったり位置ずれしたりすることがあった。これらも品質低下(ランク低下)の一因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2011-173122号公報
【文献】特開2011-102175号公報
【文献】特開2011-037550号公報
【文献】特開2010-115654号公報
【文献】特開2008-285328号公報
【文献】特開2014-231057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の解決課題は、搬送時に果菜載せ体のベルトの上に載せた果菜が、搬送方向側方に転がったり位置ずれしたりしにくくなり、ベルトと果菜の接触面積が狭くなり、イチゴや無花果のように傷付き易い果菜でも傷付きにくくなる果菜載せ体と、その果菜載せ体を備えた果菜自動選別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
[果菜載せ体]
本発明の果菜載せ体は、ベルトがフレームに往復回転可能に巻かれたベルトコンベア式であり、ベルトが往回転すると、ベルトの上の果菜をプールコンベアに送り出すことができるものである。前記ベルトはフレームの横幅方向に二列以上配列され、二列以上のベルトは果菜を跨がせて載せることができる間隔でフレームの横幅方向に平行に配列(併設)されている。それらベルトは共に果菜送り出し方向先端側が同方向後端側よりもフレームの横幅方向後方に向けて斜めに配列されている。二列以上のベルトは各ベルトの横幅方向外側から内側に緩やかな下り傾斜に配列されて、正面視、緩やかな内側下り傾斜の略V字状になっている。二列以上のベルトの果菜送り出し方向先端部は、フレームの横幅方向先方側のベルトが同方向後方側のベルトよりも果菜送り出し方向先端側に突出して、フレームの横幅方向先方側から後方側に段階的になっている。二列以上のベルトのうち少なくとも併設方向先方側のベルトは、果菜送り出し方向先端部が二以上に分割されており、分割されたベルトは長さの異なるリング状にしてある。
【0014】
[果菜自動選別装置]
本発明の果菜自動選別装置は、前記果菜載せ体が無端チェーンに多数取り付けられて無端チェーンの走行に伴って移動し、果菜載せ体のベルトの上に載せた果菜を搬送することができる。搬送途中で果菜を計測し、計測に基づいて等階級別に選別し、ベルトが搬送方向斜め後方に往回転すると、果菜がベルトの果菜送り出し方向先端部から送り出されてベルトコンベア式のプールコンベアの引き継ぎベルトの上に引き継がれるようにしてある。プールコンベアの引き継ぎベルトは果菜が送り出される度に回転して、果菜載せ体から送り出される果菜を引き継ぎベルトの上に引き寄せることができ、複数の果菜をプールすることができるようにしてある。
【発明の効果】
【0015】
本発明の果菜載せ体は次の効果を奏する。
(1)併設された二列以上のべルトが併設方向内側に緩やかな下り傾斜の略V字状であり、それらベルトに果菜を跨がせて載せることができるため、載せた果菜が二以上の箇所が支持されて安定し、フレームの横幅方向側方に転がりにくくなり、擦り傷や転がり傷が付きにくくなる。また、跨がせることにより、果菜が二列以上のベルトに二点支持されるため果菜の荷重が分散されて、果菜にベルトとの接触跡や押し傷が付きにくくなる。
(2)少なくとも、併設方向先方側のベルトの果菜送り出し方向先端側が二以上に分割し、分割したベルトを長さの異なるリング状にしてあるため、一本のベルトを長さの異なる二以上のベルトとして使用することができ、ベルトを節約できる。
(3)併設されたベルトの果菜送り出し方向先端側が同方向後端側よりもフレームの横幅方向後方に向けて斜めに配列されているので、送り出される果菜の搬送方向への慣性が低減し、プールコンベアに送り出される果菜が転がりにくくなり、傷付きにくくなる。
【0016】
本発明の果菜自動選別装置は次の効果を奏する。
(1)前記構成の果菜載せ体を無端チェーンに取り付けてあるため、果菜を傷めることなく搬送することができる。
(2)搬送中の果菜を搬送方向斜め後方に送り出すことができるため、送り出される果菜の送り出し方向への慣性が減殺され、プールコンベアへの送り出しが安定する。
(3)プールコンベアが、果菜が送り込まれる度に回転するので、後から送り出される果菜が、先に送り出されてプールコンベアにプールされている果菜に衝突することがなく、衝突による押し傷が付かない。
(4)果菜載せ体から送り出される果菜を、プールコンベアの引き継ぎベルトの回転によりその引き継ぎベルトの上に引き寄せることができるため、果菜の引き継ぎが確実にできる。
(5)果菜載せ体とプールコンベアの間に中継具を配置した場合は、果菜載せ体とプールコンベアの間の隙間が中継具で閉塞されるので、果菜載せ体から送り出される果菜がプールコンベアに引き継がれる前に、前記隙間に落ち込んだり、詰まったりしたりするのを防止することができ、果菜載せ体からプールコンベアへの果菜のプールがスムーズに行われる。また、果菜が傷付きにくい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の果菜自動選別装置の一例を示す平面図。
図2】本発明の果菜載せ体にイチゴを載せた状態の斜視図。
図3】本発明の果菜載せ体の一例であり、(a)は巻回部の斜視図、(b)は巻回部にベルトを巻いた状態の斜視図。
図4】(a)は図2の果菜載せ体の平面図、(b)は(a)の底面図。
図5】(a)は本発明の果菜載せ体にイチゴを載せた状態の正面図、(b)は(a)よりも大きなイチゴを載せた場合の正面図、(c)は内側のベルトのエッジ部分の説明図。
図6図2の果菜載せ体の一部縦断の正面説明図。
図7図2の果菜載せ体にキュウリを載せた場合の説明図。
図8】本発明の果菜載せ体からプールコンベアに果菜を引き継ぐ場合の説明図であって、ピンがベルトの下走行部に取り付けてある場合であり、(a)は果菜載せ体のベルトが往回転するときの説明図、(b)は同ベルトが復回転するときの説明図。
図9】本発明の果菜載せ体からプールコンベアに果菜を引き継ぐ場合の説明図であって、ピンがベルトの上走行部に取り付けてある場合であり、(a)は果菜載せ体のベルトが往回転するときの説明図、(b)は同ベルトが復回転するときの説明図。
図10】本発明の果菜載せ体の他例であり、(a)は二本のベルトの先端側が二分割されている場合の平面図、(b)は(a)の底面図。
図11】(a)は図10の果菜載せ体にイチゴを載せた状態の正面図、(b)は(a)よりも大きなイチゴを載せた場合の正面図。
図12】本発明の果菜載せ体の他例であり、(a)は図11(a)(b)のベルトの間に一本のベルトを水平に配置した場合の正面図、(b)は本発明の果菜載せ体からプールコンベアにイチゴを送り出す時の説明図。
図13】(a)は本発明の果菜載せ体の二本のベルトの上のイチゴをプールコンベアに引き継ぐ場合の斜視説明図であり、果菜載せ体の果菜送り出し方向先端部を階段状にしない場合の概要図、(b)は(a)の正面視断面図、(c)は(a)の側面図。
図14】(a)は本発明の果菜載せ体の二本のベルトの上のイチゴを中継具に引き継ぐ場合の斜視説明図であり、果菜載せ体の果菜送り出し方向先端部を階段状にしない場合の概要図、(b)は中継具に引き継がれたイチゴをプールコンベアに引き継ぐ場合の斜視説明図であり、果菜載せ体の果菜送り出し方向先端部を階段状にしない場合の概要図、(c)は(b)の側面図。
図15】(a)は本発明の果菜載せ体の三本のベルトの上のイチゴをプールコンベアに引き継ぐ場合の斜視説明図であり、果菜載せ体の果菜送り出し方向先端部を階段状にしない場合の概要図、(b)は(a)の正面視断面図、(c)は(a)の側面図。
図16】(a)は本発明の果菜載せ体の中央のベルトが水平で、両側のベルトが斜めである三本のベルトの上にイチゴを載せた場合の正面視断面図、(b)は(a)のように載せたイチゴをプールコンベアに引き継ぐ場合の側面説明図、(c)は(a)のように載せたイチゴを中継具に引き継ぎ、中継具からプールコンベアに引き継ぐ場合の側面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(果菜載せ体の実施形態1)
本発明の果菜載せ体1(図1)は、フレーム2(図2)の横幅方向に二本のベルト3、4が横に並べて二列に併設されたベルトコンベア式である。両ベルト3、4は同期して往復回転可能であり、果菜Aを両ベルト3、4の上走行部3c、4dの上面3d、4eの上に跨がせて載せることができる。両ベルト3、4が往回転すると、果菜Aを回転方向先方のプールコンベア5(図1)の上に送り出すことができる。以下の実施形態では果菜Aがイチゴの場合であるが、果菜はイチゴ以外の果菜、例えば、無花果、その他であってもよく、特に、傷付き易い果菜の搬送に適する。
【0019】
[フレーム]
フレーム2(図3(a))は平面視斜め長方形のベース6を備え、ベース6の長手方向両端にL字状の取付け部7がある。取付け部7には取り付け孔(図示せず)があり、取り付け孔を利用して二本の無端チェーン8(図1)にボルト、ナットで取り付け可能としてある。フレーム2は金属製、硬質樹脂製等である。
【0020】
フレーム2には二組の回転ローラが横に並べて併設されている。一組は先端側ローラ10と後端側ローラ11であり、他の一組は先端側ローラ12a、12bと後端側ローラ13である。各組のローラはいずれもフレーム2に回転自在に取り付けられている。先端側ローラ10と12a、12bは果菜送り出し方向先方への突出長を変えて階段状にしてある。一組の先端側ローラ10と後端側ローラ11はベルト3を巻くことのできる巻回部となり、他の一組の先端側ローラ12a、12bと一つの後端側ローラ13はベルト4を巻くことのできる巻回部となっている。一方の組の先端側ローラ10は後端側ローラ11よりも搬送方向(図1の矢印方向)に対して斜め後方に向けて配列されており、他方の組の先端側ローラ12a、12bは後端側ローラ13よりも搬送方向(図1の矢印方向)に対して斜め後方に向けて配列されている。
【0021】
[ローラ]
一方の一組の先端側ローラ10と後端側ローラ11は軸方向外側から内側に緩い下り傾斜になっており、他の一組の先端側ローラ12a、12bと後端側ローラ13も軸方向外側から内側に緩い下り傾斜になっている。これにより、先端側ローラ10及び後端側ローラ11と、先端側ローラ12a、12b及び後端側ローラ13は正面視、内側に緩い下り傾斜の略V字状になっている(図6)。果菜送り出し方向先端側の一方のローラ12aは他方のローラ12bよりも先方に突出させて階段状にしてある。
【0022】
[ベルト]
一組の先端側ローラ10と後端側ローラ11にはベルト3(図2図3(b))が巻かれ、他の一組の先端側ローラ12a、12bと後端側ローラ13にはベルト4(図2図3(b))が巻かれている。ベルト3は先端側ローラ10と後端側ローラ11の内側下り傾斜に沿って併設方向外側から内側に下り傾斜になっており、ベルト4は先端側ローラ12a、12bと後端側ローラ13の内側下り傾斜に沿って併設方向外側から内側に下り傾斜になっており、両ベルト3、4が正面視、内側に緩い下り傾斜の略V字状になっている。
【0023】
ベルト4の先端側にはスリット14(図2図3(b))を入れて二本の分割ベルト4a、4bに分割してあり、一方の分割ベルト4aを長いリング状にして一方の先端側ローラ12aに巻き、他方の分割ベルト4bを短いリング状にして他方の先端側ローラ12bに巻いてある。ベルト4の後端側4c(図3(b))は分割せずに一本のままにしてある。
【0024】
ベルト3を先端側ローラ10と後端側ローラ11に巻き、ベルト4を先端側ローラ12a、12bと後端側ローラ13に巻くことにより、ベルト3、4の送り出し側が、階段状になって、プールコンベア5との間の隙間D(図1)が狭くなるようにしてある。隙間Dが小さくなることにより、果菜載せ体1から送り出される果菜Aが隙間Dに落ち込んで果菜Aに傷が付くとか、プールコンベア5に載り移りにくくなる、といったことがないようにしてある。
【0025】
両ベルト3、4は果菜Aを跨がせて載せることができる間隔で並行に配列されている。両ベルト3、4は同じ方向に同期して往復回転することができ、往回転すると果菜Aを搬送方向斜め後方のプールコンベア5(図8(a)、図9(a))の引き継ぎベルト5aの上走行部5bの上面23に送り出すことができ、送り出し後は復回転して元の位置に戻るようにしてある。
【0026】
(果菜載せ体の実施形態2)
実施形態2の果菜載せ体1(図10(a)(b))は、基本的構成において実施形態1の果菜載せ体1と同じであり、異なるのは二列に併設された二本のベルト3、4の各先端側が共に二分割されていることである。そのため、図11(a)(b)のように一方の先端側ローラ12a、12bを二列にするのみならず、他方の先端側ローラ10a、10bをも二列にしたこと、図10(a)(b)のように双方のベルト3、4の送り出し側に切込みを入れて二本の分割ベルト3a、3b、4a、4bにし、分割したベルトのうち一方の分割ベルト3aを他方の分割ベルト3bよりも長いリング状にして先端側ローラ10aに巻き、分割した他方の分割ベルト3bを一方の分割ベルト3aよりも短いリング状にして先端側ローラ10bに巻いたことである。
【0027】
(果菜載せ体の実施形態3)
実施形態3の果菜載せ体1(図12(a)(b))は、基本的構成において実施形態1、2の果菜載せ体1と同じであり、異なるのは左右二本のベルト3(3a、3b)、4(4a、4b)の間に中間ベルト20を水平に配置し、その両外側にベルト(分割ベルト)3a、3b、4a、4bを内側斜め下り傾斜に配置して、四本の分割ベルト3a、3b、4a、4bの正面視が、中間ベルト20に向けて緩やかな下り傾斜の略V字状になるようにしたことである。この場合、フレーム2には中間ベルト20を巻くためのローラ21を設けてある。中間ベルト20は図12(b)のように、その上走行部20aの上面22をプールコンベア5の引き継ぎベルト5aの上走行部5bの上面23と同じ(略同じを含む)高さにしてある。
【0028】
(果菜載せ体の実施形態4)
本発明の果菜載せ体1は、ベルト3、4が前記以外の本数(列数)であってもよい。いずれの場合も基本的構成は前記実施形態1と同じである。異なるのは、三列の場合は中間列のベルトを水平に配置して中間ベルトとし、その両外側にベルト(外側ベルト)を内側斜め下り傾斜に配置して、三列のベルトの正面視が、両外側ベルトが中間ベルトに向けて緩やかな下り傾斜の略V字状になるようにする。五列以上の奇数列の場合も、中間ベルトの両外側に外側ベルトを配列する。中間ベルト20の上面22はプールコンベア5の上面23と同じ高さ(略同じ高さを含む)にする。
【0029】
ベルトは四列以上の偶数列であってもよく、その場合はそれらベルトを二列に分けて併設し、二列のベルトを内側斜め下り傾斜に配置して、両列のベルトの正面視が緩やかな下り傾斜の略V字状になるようにする。二列のベルトは各列同じ本数でも異なる本数でもよい。
【0030】
果菜載せ体1は、図7のようにキュウリのような長物果菜を載せることができる横幅であってもよい。
【0031】
[スライドピン]
フレーム2のベース6には細長孔25が開口されている(図6図10(b))、その細長孔25からベース6の下方にスライドピン26(図6図10(b))が突出している。スライドピン26の下部にはガイドローラ(ベアリング)27が取り付けられている。スライドピン26は図1のように果菜載せ体1を無端チェーン8に取り付けたときに、少なくとも下端部26a(図6)がベース6の下方に突設する長さにしてある。スライドピン26はガイド(図示せず)に沿って往復移動可能であり、その往復移動に伴って、ベルト3、4a、4bが往復移動するようにしてある。
【0032】
[支持具]
ベルト3、4の上には支持具28(図2図6)が配置されている。それに、スライドピン26の上部が図示しない固定具で連結されている(図6)。支持具28は果菜載せ体1のベルト3、4a、4bに連結されている。スライドピン26が図示しないガイドに沿って往復スライドすると支持具28が移動し、支持具28の移動に伴ってベルト3、4a、4bが移動するようにしてある。支持具28は二本のベルト3、4に跨る横幅である。支持具28はベルト3、4a、4bの移動により送り出される果菜Aをプールコンベア5に押し出すことができる。また、ベルト3、4a、4bの上に果菜Aを載せる際の位置決めの目印とすることもできる。支持具28は不要の場合もある。その場合は、スライドピン26をベルト3、4a、4bに直に連結するなり、図示しない連結具を介して連結するなりする。図11(a)のベルト3a、3b、4a、4b、図12(a)のベルト3a、3b、4a、4b、20の場合も前記と同様にしてスライドピンに連結して、スライドピンの移動に伴って往復移動できるようにする。
【0033】
ベルト3、4の上面であって、支持具28の先方に、果菜Aを載せる目印を設けることもできる。目印は印刷、その他で表示することができる。果菜Aは支持具28の前面に接触させてベルト3、4の上に載せることができる。
【0034】
[ベルトの回転]
ベルト3、4の回転は支持具28の移動と別にすることもできる。図8(a)(b)ではベルト3、4の下走行部30にスライドピン26を取り付けて、スライドピン26が矢印a方向(図8(a))に移動すると、ベルト3、4が矢印b方向(図8(a))に移動して、ベルト3、4の上の果菜Aをプールコンベア5の上に送り出すことができ、スライドピン26が逆方向(矢印c方向:図8(b))に移動すると、ベルト3、4が逆方向(矢印d方向:図8(b))に移動して戻るようにしてある。
【0035】
図9(a)(b)ではベルト3、4の上走行部31にスライドピン26を取り付けて、スライドピン26が矢印b方向(図9(a))に移動すると、ベルト3、4も矢印b方向に回転して、ベルト3、4の上の果菜Aをプールコンベア5の上に送り出すことができ、スライドピン26が逆方向(矢印d方向:図9(b))に移動すると、ベルト3、4も逆方向(矢印d方向)回転して戻るようにしてある。
【0036】
図5(a)、図11(a)はサイズの小さな果菜Aを、図5(b)、図11(b)はサイズの大きな果菜Aを載せた例である。いずれの場合も内側のベルトのエッジ29が鋭角であると果菜Aが傷付きやすいので、図5(c)のようにエッジ29は丸み(R)を持たせておくのが望ましい。
【0037】
(果菜自動選別装置の実施形態1)
本発明の果菜自動選別装置の一例を、図1を参照して説明する。本発明の果菜自動選別装置は、無端チェーン8(図1)に果菜載せ体1を多数取り付けた果菜搬送体40と、果菜搬送体40の途中に設けた計測装置(計測器)41と、果菜載せ体1から送り出される果菜Aを引き受けるベルトコンベア式のプールコンベア5を備えている。果菜載せ体1には本発明の前記果菜載せ体1が用いられている。果菜載せ体1は前記実施形態で説明したものであるため、ここではその説明を省略する。
【0038】
[果菜搬送体]
一例として図1に示す果菜搬送体40は、間隔をあけて平行に対向配置された二本の無端チェーン8に多数の果菜載せ体1が連結固定されて構成されている。図1のように、無端チェーン8は駆動ホイール(駆動スプロケット)42と従動ホイール(従動スプロケット)43の外周に巻回されている。この無端チェーン8は駆動ホイール42と従動ホイール43が回転すると両ホイール42、43の上側を水平移動したのち、従動ホイール43の外側を上から下に折り返して(回り込んで)方向転換し、そのまま従動ホイール43と駆動ホイール42の下側を水平移動して、駆動ホイール42の外側を下から上に折り返して(廻り込んで)循環回転するものである。
【0039】
果菜搬送体40には、作業者が果菜載せ体1に果菜Aを載せる供給エリアと、果菜載せ体1上の果菜Aの形状や大きさ等を計測して等階級を判別する計測・判別エリアと、等階級判別済みの果菜Aをプールコンベア5に送り出す仕分けエリアを備えている。
【0040】
[計測器]
果菜搬送体40の計測・判別エリアに設けられる計測器41は、果菜載せ体1で搬送される果菜Aの形状やサイズ、糖度等を計測できるものであり、果菜撮影用のカメラ、処理回路、糖度計等から構成される。計測器41は果菜搬送体40の上方に配置して、搬送中の果菜Aを上方から撮影して計測できるようにすることも、果菜搬送体40の側方に配置して、搬送中の果菜Aを側方から計測できるようにすることも、真下に配置して下方から計測することもできる。その他の位置に配置して異なる方向から計測できるようにすることもできる。前記カメラ、処理回路、糖度計等には既存のそれらを使用することができ、計測器41には画像式、光学式等の各形式の計測器を使用することができる。
【0041】
[振り分け機構]
果菜搬送体40の仕分けエリアには振り分け機構(選別機構)がある。振り分け機構として、果菜載せ体1のスライドピン26をガイドしてベルト3、4を回転させるガイド(図示せず)が設けられている。ガイドは果菜搬送体40(図1)の移動ライン(果菜搬送ライン)の下方に設けられている。
【0042】
仕分けエリアの下方には、往移動したスライドピン26を戻すための戻しガイド(図示せず)が設けられており、スライドピン26が当該戻しガイドに沿って戻されると、スライドピン26の移動に伴ってベルト3、4及び支持具28が元の位置に復帰するようにしてある。ベルト3、4及び支持具28は、果菜載せ体1が供給エリアに戻るまでの間に元の位置に復帰し、果菜載せ体1が供給エリアに到達するときには、多数の果菜載せ体1の果菜載置部が一列に整列するようにしてある。果菜載せ体1が供給エリアに到達するまでに果菜載置部を一列に整列させておくことで、当該果菜載せ体の1の果菜載置部に載せた果菜Aを一列に整列させた状態で計測器41側に送り込むことができ、精度の高い計測・判別が可能となる。
【0043】
[プールコンベア]
前記プールコンベア5は、仕分けエリアに到達した果菜載せ体1から送り出される果菜Aを引き継ぐものである。一例としては間隔をあけて配置されたローラの外周に平ベルト(引き継ぎベルト)5aが周回されたベルトコンベア式である。プールコンベア5の引き継ぎベルト5aは果菜Aを多数個プールできる長さと横幅にしてある。引き継ぎベルト5aは果菜載せ体1から果菜Aが送り出される度に回転(間欠回転)して、当該引き継ぎベルト5aの上走行部5b(図8(a)(b))の上面23に果菜Aをプールできるようにしてある。
【0044】
この実施形態では、プールコンベア5を果菜搬送体40の側方の二以上の箇所に果菜搬送体40と直交させて配置してある。プールコンベア5は少なくとも果菜Aの等階級の数以上設けて、個々のプールコンベア5に果菜Aが等階級別に送り出されるようにしてある。プールコンベア5は果菜搬送体40の搬送方向に対して斜め後方又は斜め前方に向けて配置することもできる。この場合、果菜搬送体40とプールコンベア5との間にできる隙間D(図1)が果菜Aよりも広いと、隙間Dに果菜Aが落下するので、落下しないように中継具50(図14(a)~(c)、図16(c))を配置するのが望ましい。プールコンベア5は一箇所にだけ設けることも、複数箇所に設けることもできる。プールコンベア5の外側には、少なくとも作業者が箱詰め作業をすることができる広さの作業スペースを確保しておくのが望ましい。
【0045】
すべてのプールコンベア5はベルトの幅、長さ等を同じにする必要はなく、数の多い等階級の果菜Aを引き継ぐプールコンベア5の数を多くしたり、横幅を広くしたり、長さを長くしたりすると多くの果菜Aを確実にプールすることができる。数が少ない等階級の果菜Aを引き継ぐプールコンベア5は数を少なくしたり、横幅を狭くしたり、短くしたりしても、果菜Aを確実にプールすることができる。
【0046】
プールコンベア5は常時回転させておくことも可能であるが、果菜Aが送り込まれないときは一時停止にして待機させておき、果菜載せ体1から果菜Aが送り込まれるときに果菜一個分だけ回転して果菜Aが載るスペースが確保されるように制御することもできる。プールコンベア5の回転制御も、前記計測・判別エリアでの判別結果に基づいて制御手段によって行われる。果菜Aが送り込まれるたびに、果菜一個分だけ回転するようにすることで、果菜載せ体1による送り出しと、プールコンベア5による引き寄せ(引き込み)の双方が果菜Aに働き、果菜Aの送り出しがスムーズに行われるようになる。
【0047】
果菜載せ体1の上走行部1aとプールコンベア5の引き継ぎベルト5aの上走行部5bの上面23を同じ又は略同じ高さに配置して、果菜Aが果菜載せ体1からプールコンベア5に、又は果菜載せ体1から中継具50を介してプールコンベア5に水平又は略水平に送り出されるようにするのが望ましい。
【0048】
[果菜計測、判別ボタン]
前記計測器41による自動計測は、果菜Aの上方或いは側方から測定光を果菜Aに照射して行うのが一般的であるため、果菜Aの底面の傷や変形、色ムラ等は計測することができない。本発明では、計測器41で自動計測できない果菜Aの底面側の傷、変形、色ムラ等を目視によって判別し、その判別結果を判別ボタン(図示せず)で入力できるようにすることもできる。この判別は、果菜載せ体1に果菜Aを載せる際に、果菜Aを載せる作業者が目視で果菜Aの底面側の傷や変形、色ムラ等を確認することによって行う。目視判別した作業者は、果菜Aを果菜載せ体1に載せるとき或いは載せる前に、判別結果に応じて判別ボタンを操作して、その判別結果を入力できるようにしてある。
【0049】
目視判別して果菜載せ体1に載せた果菜Aは、果菜搬送体40で搬送され、計測・判別エリアにおいて形状やサイズ等が計測器41で自動的に計測される。計測結果は前記判別ボタンで入力された目視判別結果と合わせて総合的に等階級が判別される。例えば、目視判別でA級と判断された果菜Aが自動計測でSサイズと判別された場合はA級のSサイズ(AS)、自動計測でMサイズと判別された場合はA級のMサイズ(AM)、自動計測でLサイズと判別された場合はA級のLサイズ(AL)、自動計測でLLサイズと判別された場合はA級のLLサイズ(ALL)といったように総合的に等階級判別される。
【0050】
(果菜自動選別装置の実施形態2)
前記果菜自動選別装置の実施形態1では、果菜載せ体1の上の果菜Aを、その搬送方向側方に配置されたプールコンベア5に直接引き渡す場合を一例としているが、果菜載せ体1の上の果菜Aは、果菜搬送体40とプールコンベア5の間に配置された中継具50(図14(a)~(c)、図16(c))に送り出し、その中継具50からプールコンベア5に送り出すようにすることもできる。
【0051】
中継具50の一例は中継ベルト50aを備えたベルトコンベア式であり、中継ベルト50aが果菜載せ体1のベルト3、4の回転速度(果菜送り出し速度)と等速で常時、果菜送り出し方向に回転して、ベルト3、4から送り出される果菜Aが中継ベルト50aの上走行部50bの上面50cにスムーズに載り移ることができるようにしてある。果菜載せ体1の二本のベルト3、4の上面3a、4dは中継具50の中継ベルト50aの上走行部50bの上面50cと同じ又は略同じ高さに配置して(図14(c))、ベルト3、4(図14)の上面3d、4eから送り込まれる果菜Aが水平又は略水平に(ほとんど落差なく)、中継具50の中継ベルト50aの上走行部50bの上面50cに送り込まれる(引き継がれる)ようにしてある。中継具50の中継ベルト50aの上走行部50bの上面50cはプールコンベア5の引き継ぎベルト5aの上走行部5bの上面23と同じ又は略同じ高さに配置して、中継具50の中継ベルト50aの上走行部50bの上面50cから送り込まれる果菜Aが水平又は略水平に(ほとんど落差なく)、プールコンベア5の引き継ぎベルト5aの上走行部5bの上面23に送り込まれる(引き継がれる)ようにしてある。中継ベルト50aは果菜載せ体1から果菜Aが送り出されるたびに間欠回転して、果菜Aを引き継ぐようにすることもできる。中継具50は果菜載せ体1から送り出される果菜Aをプールコンベア5の引き継ぎベルト5aの上に送り出すことができればベルトコンベア式以外のもの、例えば、板状のものであってもよい。
【0052】
(果菜自動選別装置の実施形態3)
図13(a)(b)では、果菜載せ体1の内側傾斜の二本のベルト3の上面3d、4eをプールコンベア5の引き継ぎベルト5aの上走行部5bの上面23と同じ又は略同じ高さに配置して(図13(c))、それら上面3d、4eから送り込まれる果菜Aが水平又は略水平に(ほとんど落差なく)プールコンベア5の引き継ぎベルト5aの上走行部5bの上面23に送り込まれる(引き継がれる)ようにしてある。
【0053】
(果菜自動選別装置の実施形態4)
図15(a)~(c)のように、果菜載せ体1のベルト4が分割ベルト4a、4bに分割されている場合は、それら分割ベルト4a、4bの上面4f、4g、特に、内側の分割ベルト4aの上面4fを、プールコンベア5の引き継ぎベルト5aの上走行部5bの上面23と同じ又は略同じ高さに配置して(図15(c))、分割ベルト4a、4bの上面4f、4gから送り込まれる果菜Aが水平又は略水平に(ほとんど落差なく)、プールコンベア5の引き継ぎベルト5aの上走行部5bの上面23に送り込まれる(引き継がれる)ようにしてある。
【0054】
(果菜自動選別装置の実施形態5)
図16(a)のように、果菜載せ体1に左右に内側傾斜のベルト3、4があり、その中間に水平な中間ベルト20がある場合は、図16(b)のように、中間ベルト20の上走行部20aの上面22を、プールコンベア5の引き継ぎベルト5aの上走行部5bの上面23と同じ又は略同じ高さに配置して、ベルト3、4と中間ベルト20の上走行部20aの上面22から送り込まれる果菜Aが水平又は略水平に(ほとんど落差なく)、プールコンベア5の引き継ぎベルト5aの上走行部5bの上面23に送り込まれる(引き継がれる)ようにしてある。
【0055】
(果菜自動選別装置の実施形態6)
図16(a)(c)のように、果菜載せ体1に左右に内側傾斜のベルト3、4があり、その中間に水平な中間ベルト20があり、果菜載せ体1とプールコンベア5の間に中継具50がある場合は、中間ベルト20の上走行部20aの上面22を、中継具50の中継ベルト50aの上走行部50bの上面50cと同じ又は略同じ高さに配置して、ベルト3、4(図16(c))の上面3d、4eから送り込まれる果菜Aが水平又は略水平に(ほとんど落差なく)、中継具50の中継ベルト50aの上走行部50bの上面50cに送り込まれる(引き継がれる)ようにしてある。中継具50の中継ベルト50aの上走行部50bの上面50cはプールコンベア5の引き継ぎベルト5aの上走行部5bの上面23と同じ又は略同じ高さに配置して(図16(c))、中継具50の中継ベルト50aの上走行部50bの上面50cから送り込まれる果菜Aが水平又は略水平に(ほとんど落差なく)、プールコンベア5の引き継ぎベルト5aの上走行部5bの上面23に送り込まれる(引き継がれる)ようにしてある。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の果菜載せ体及び果菜自動選別装置は、イチゴや無花果、桃、トマト、梨、柿のように傷付きやすい果菜をはじめ、各種果菜の搬送及び自動選別に用いることができる。
【符号の説明】
【0057】
1 果菜載せ体
2 フレーム
3 ベルト
3a 分割ベルト
3b 分割ベルト
3c (ベルト3の)上走行部
3d (ベルト3の上走行部の)上面
4 ベルト
4a 分割ベルト
4b 分割ベルト
4c (ベルト4の)後端側
4d (ベルト4の)上走行部
4e (ベルト4の上走行部の)上面
4f (分割ベルト4aの)上面
4g (分割ベルト4bの)上面
5 プールコンベア
5a 引き継ぎベルト
5b (引き継ぎベルトの)上走行部
6 ベース
7 取付け部
8 無端チェーン
10 先端側ローラ
10a、10b 先端側ローラ
11 後端側ローラ
12a、12b 先端側ローラ
13 後端側ローラ
14 スリット
20 中間ベルト
20a (中間ベルトの)上走行部
21 ローラ
22 (中間ベルトの上走行部の)上面
23 (引き継ぎベルトの上走行部の)上面
25 細長孔
26 スライドピン
26a (スライドピンの)下端部
27 ガイドローラ(ベアリング)
28 支持具
29 エッジ
30 (ベルト3、4の)下走行部
31 (ベルト3、4の)上走行部
40 果菜搬送体
41 計測装置(計測器)
42 駆動ホイール
43 従動ホイール
50 中継具
50a (中継具の)中継ベルト
50b (中継ベルトの)上走行部
50c (中継ベルトの上走行部の)上面
A 果菜
D 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16