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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】熱成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 51/46 20060101AFI20230331BHJP
   B29C 51/26 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
B29C51/46
B29C51/26
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020098376
(22)【出願日】2020-06-05
(65)【公開番号】P2021191611
(43)【公開日】2021-12-16
【審査請求日】2022-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】304050369
【氏名又は名称】株式会社浅野研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中井 貞興
(72)【発明者】
【氏名】高田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雄起
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-129324(JP,A)
【文献】国際公開第2009/044740(WO,A1)
【文献】実公昭39-029703(JP,Y1)
【文献】特開平11-077817(JP,A)
【文献】特開2002-361726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 51/00 - 51/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形型にて樹脂成形シートを成形する成形手段と、前記成形型に対して前記樹脂成形シートを保持する保持枠と、を有する熱成形機において、
前記保持枠を位置決めして保持する位置調整枠と、
該位置調整枠の位置調整を数値入力にて行う第1位置調整機構と第2位置調整機構と、を備え
前記位置調整枠が、前記第1位置調整機構と前記第2位置調整機構を利用して前記成形型に対して角度調整可能に保持されていること、
を特徴とする熱成形機。
【請求項2】
成形型にて樹脂成形シートを成形する成形手段と、前記成形型に対して前記樹脂成形シートを保持する保持枠と、を有する熱成形機において、
前記保持枠を位置決めして保持する位置調整枠と、
該位置調整枠の位置調整を数値入力にて行う第1位置調整機構と第2位置調整機構と、を備え、
前記位置調整枠の4辺のうち1辺が、前記第1位置調整機構に対して移動可能に第1枠支持部によって挟持され、
前記第1枠支持部に支持された辺と対向する辺が、前記第2位置調整機構に対して回転可能に第2枠支持部に軸支されていること、
を特徴とする熱成形機。
【請求項3】
請求項2に記載の熱成形機において、
前記樹脂成形シートを投入する投入部と、
前記樹脂成形シートを加熱する加熱部と、
前記樹脂成形シートを前記成形手段によって成形する成形部と、
前記位置調整枠を、前記投入部、前記加熱部、及び前記成形部の間を移動させる移動手段と、を備え、
前記移動手段は、
フィードバック制御を行う制御部と、回転位置を検出する位置検出器と、を備えたモータによって駆動される、前記第1位置調整機構の機能を兼ねる第1駆動機構、及び前記第2位置調整機構の機能を兼ねる第2駆動機構よりなること、
を特徴とする熱成形機。
【請求項4】
請求項3に記載の熱成形機において、
前記制御部には、前記位置調整枠の角度及び停止位置を数値入力によって変更可能な入力手段が接続されていること、
を特徴とする熱成形機。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の熱成形機において、
前記成形型は、成形型取付ベースに対して位置決めされて前記成形型取付ベースの上に配置され、
前記移動手段によって移動される前記位置調整枠の移動方向と直交する方向に前記成形型を移動し位置調整するベース位置調整機構を備えること、
を特徴とする熱成形機。
【請求項6】
請求項5に記載の熱成形機において、
前記ベース位置調整機構として、
前記成形型取付ベースはテーブル上に配置され、前記テーブルを貫通して前記成形型取付ベースを持ち上げ支持する昇降器と、
前記テーブルに固定され前記成形型取付ベースの前記移動方向への移動を規制する側面ガイド手段と、
前記成形型取付ベースの端面に係合され、前記移動方向と直交する方向に前記成形型を移動し位置調整する調整桿と、を備え、
前記昇降器の先端には、回転可能に支持されたコロ部材が設けられて、前記成形型取付ベースの下面に当接し、
前記側面ガイド手段は、前記テーブルに固定されて前記成形型取付ベースの側面をガイドしていること、
を特徴とする熱成形機。
【請求項7】
請求項6に記載の熱成形機において、
前記成形型取付ベースの端面と前記調整桿とは、前記成形型取付ベースの端面に設けられたガイドレールと前記調整桿の先端に取り付けられた先端部材とで係合され、
前記ガイドレールに前記成形型取付ベースの高さ方向に位置調整可能に前記先端部材が保持されていること、
を特徴とする熱成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱成形機を用いて樹脂成形シートを成形するにあたって、樹脂成形シートに対する成形型の位置を微調整することが可能な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
熱成形機を用いて樹脂成形シートの成形をするにあたって、成形型(又は金型)に対する樹脂成形シートの位置を調整する必要があるケースがある。これは樹脂成形品によっては、先に印刷がされていたり、他の工程で部分的に穴を設ける必要があったりすることで、樹脂成形シートの成形精度を高める必要がでてくるためである。従来は、このような成形型に対する樹脂成形シートの位置を調整する場合には、作業者の手作業によって成形型の位置の調整を行っていた。しかし、手作業による成形型の位置調整は作業者の勘と経験に頼る部分が大きく、作業者によっては時間を要したり精度を出せなかったりする等の問題があった。また、成形型の型替えがある毎に初期配置位置を調整する作業を行う必要があり、作業効率の悪化は製品コストに直結する課題があった。こうした成形機の調整に関する従来技術としては以下に示すようなものが挙げられる。
【0003】
特許文献1には、カットシート真空成形方法及び装置に関する技術が開示されている。この構成によれば、ロールシートをそのまま用いるのではなく樹脂成形シートに相当するカットシートを枠に挟持固定し、成形位置に移動させて成形型によって製品を成形している。カットシートは枠に対して位置決めされ、枠はサーボモータを用いた搬送レール上を搬送される構成となっている。ただし、枠に対するカットシートの位置の微調整や枠に対する成形型の位置の調整については言及されていない。
【0004】
特許文献2には、成形機及び成型方法に関する技術が開示されている。この構成によれば、樹脂成形シート上に印刷された意匠と成形型に相当するキャビティとの位置合わせをクランプ枠、本体、キャビティの位置調整を行うことによって実施することが可能となる。この位置調整に関しては、ベースプレートに対して移動可能に保持されるキャビティを載せたキャビティプレートを、ベースプレートの2カ所に取り付けられた押しネジ機構によって角度調整可能な構成となっている。また、キャビティを載せた本体をクランプ枠の移動方向に対して垂直方向に調整する調整機構を備えており、キャビティの横方向位置を調整することで、樹脂成形シートに対するキャビティの位置を調整することが可能である。すなわち、成形型及びこれを固体するベースプレート又は本体の位置を調整することで成形型に対する樹脂成形シートの位置の調整を行う構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-293775号公報
【文献】特開2002-361726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、樹脂成形シートに対する成形型(特許文献2ではキャビティと記載される)の位置について、樹脂成形シートの搬送方向をX軸方向、搬送方向と直交する方向をY軸方向と定義すると、特許文献2に開示される技術を用いて、樹脂成形シートに対して成形型の角度調整及びY軸方向の位置調整が可能となる。しかし、角度調整に関しては押しネジ機構を採用することで作業者の手作業によって位置調整している点で、従来と同じく作業者の勘と経験に頼る部分が大きいと考えられる。
【0007】
また、Y軸方向の位置調整に関しては成形型及び成形型のベースとなる本体ごと移動している点で装置の大型化、複雑化が避けられず、装置の高コスト化を招くと考えられる。成形型もそれなりの重量を有するが、成形型を取り付けた本体は成形型を昇降させる機構などを備えている。このため、ある程度の重量物を移動させるための構成にする必要があるからである。また、本体ごと移動する構成のうち、本体下部のハンドルで調整する方法も提案されているが、角度調整同様に作業者の勘と経験に頼る部分が大きいと考えられる。
【0008】
そこで、本発明はこの様な課題を解決し、樹脂成形シートの成形型に対する位置調整を作業者が簡易に行うことが可能な熱成形機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の一態様による熱成形機は、以下のような特徴を有する。
【0010】
(1)成形型にて樹脂成形シートを成形する成形手段と、前記成形型に対して前記樹脂成形シートを保持する保持枠と、を有する熱成形機において、前記保持枠を位置決めして保持する位置調整枠と、該位置調整枠の位置調整を行う第1位置調整機構と第2位置調整機構と、を備えていること、を特徴とする。
【0011】
上記(1)に記載の態様により、樹脂成形シートを熱成形機によって成形するにあたり、成形型に対する樹脂成形シートの位置を、位置調整枠を第1位置調整機構と第2位置調整機構を用いて調整することで変更することができるので、簡易な位置合わせが可能となる。この際、位置調整枠を例えばサーボモータのようなフィードバック制御を行う制御部と回転位置を検出する位置検出器を備えたモータを駆動機構に用いることで、数値入力による位置調整が行える。
【0012】
こうした位置調整は、引用文献2で示すような金型やその取付ベースごと動かす方法に比べ、位置調整枠を用いて位置調整を行う点で装置の簡略化が実現できる。また、第1位置調整機構と第2位置調整機構に対して数値入力による位置調整が可能となることで、作業者の勘に頼る作業を数値化できるので、調整が容易となる。このため、成形型の交換する毎に初期配置位置の調整を行う場合にも効率良く調整作業を行うことができる。
【0013】
(2)(1)に記載の熱成形機において、前記位置調整枠の4辺のうち1辺が、前記第1位置調整機構に対して移動可能に第1枠支持部によって挟持され、前記第1枠支持部に支持された辺と対向する辺が、前記第2位置調整機構に対して回転可能に第2枠支持部に軸支されていること、を特徴とする。
【0014】
上記(2)に記載の態様により、第1枠支持部と第2枠支持部に支持された位置調整枠が、第2枠支持部に軸支され第1枠支持部に移動可能に把持される構造となっていることで、第2枠支持部を回転中心として位置調整枠の成形型に対する位置の角度調整が可能となる。
【0015】
(3)(2)に記載の熱成形機において、前記樹脂成形シートを投入する投入部と、
前記樹脂成形シートを加熱する加熱部と、前記樹脂成形シートを前記成形手段によって成形する成形部と、前記位置調整枠を、前記投入部、前記加熱部、及び前記成形部の間を移動させる移動手段と、を備え、前記移動手段は、フィードバック制御を行う制御部と、回転位置を検出する位置検出器と、を備えたモータによって駆動される、前記第1位置調整機構の機能を兼ねる第1駆動機構、及び前記第2位置調整機構の機能を兼ねる第2駆動機構よりなること、を特徴とする。
【0016】
上記(3)に記載の態様により、移動手段として用いる第1駆動機構と第2駆動機構に例えばサーボモータのようなフィードバック制御を行う制御部と、回転位置を検出する位置検出器と、を備えたモータによって駆動される構成とすることで、数値入力による位置調整枠の位置調整が可能となる。このことで、作業者の勘に頼る作業を数値化できるので、調整が容易となる。また、位置検出器を備えていることで細かな位置制御が可能となるため、微調整が容易に行える。
【0017】
(4)(3)に記載の熱成形機において、前記制御部には、前記位置調整枠の角度を数値入力によって変更可能な入力手段が接続されていること、を特徴とする。
【0018】
上記(4)に記載の態様により、例えばタッチパネルのような入力手段が設けられていることで、作業者は数値入力による位置調整をより容易に実施できる。また、タッチパネルを用いて視覚的に位置調整枠の位置や角度の情報を表示することで、作業者は数値入力が感覚的に把握しやすくなり、作業性が向上する。
【0019】
(5)(3)または(4)に記載の熱成形機において、前記成形型は、成形型取付ベースに対して位置決めされて前記成形型取付ベースの上に配置され、前記移動手段によって移動される前記位置調整枠の移動方向と直交する方向に前記成形型を移動し位置調整するベース位置調整機構を備えること、を特徴とする。
【0020】
上記(5)に記載の態様により、成形型取付ベースを位置調整枠の移動方向と直交する方向に調整可能とする位置調整機構を備えることにより、成形型の位置を調整することができ、樹脂成形シートに対する成形型の位置を、X軸方向、Y軸方向及び回転方向の角度を調整することが可能となるため、より細かい調整が可能となる。このことで樹脂成形シートの成形位置ズレを抑えてより精密な成形品を製造することが可能となる。
【0021】
(6)(5)に記載の熱成形機において、前記ベース位置調整機構として、
前記成形型取付ベースはテーブル上に配置され、前記テーブルを貫通して前記成形型取付ベースを持ち上げ支持する昇降器と、前記テーブルに固定され前記成形型取付ベースの前記移動方向への移動を規制する側面ガイド手段と、前記成形型取付ベースの端面に係合され、前記移動方向と直交する方向に前記成形型を移動し位置調整する調整桿と、を備え、前記昇降器の先端には、回転可能に支持されたコロ部材が設けられて、前記成形型取付ベースの下面に当接し、前記側面ガイド手段は、前記テーブルに固定されて前記成形型取付ベースの側面をガイドしていること、を特徴とする。
【0022】
上記(6)に記載の態様により、テーブルの下面に取り付けられた昇降器を用いて成形型取付ベースをリフトアップすることで、調整桿を用いた搬送枠の移動方向と直交する方向への成形型取付ベースの位置調整が容易になる。また、成形型取付ベースはその左右側面を側面ガイド手段、例えばガイドローラなどを用いることによってガイドされるため、搬送枠の移動方向への移動が規制されつつ軽い抵抗での位置調整が可能である。これは、昇降器の先端に設けられたコロ部材と、テーブルに固定される側面ガイド手段によって成形型取付ベースが位置決めされるため、必要最低限の摩擦で調整桿を操作できる構造になっているからである。なお、側面ガイド手段としては、ガイドローラ以外にもリニアガイドやスライドメタルなどを用いたガイド方法を適用することができる。
【0023】
(7)(6)に記載の熱成形機において、前記成形型取付ベースの端面と前記調整桿とは、前記成形型取付ベースの端面に設けられたガイドレールと前記調整桿の先端に取り付けられた先端部材とで係合され、前記ガイドレールに前記成形型取付ベースの高さ方向に位置調整可能に前記先端部材が保持されていること、を特徴とする。
【0024】
上記(7)に記載の態様により、調整桿の先端が成形型取付ベースの端面に設けられガイドレールに先端部材が係合する構造とされることで、調整桿の先端に対する成形型取付ベースの位置を高さ方向に変更できる。このために、昇降機を用いて成形型取付ベースをリフトアップした状態で、調整桿による前後の位置調整を容易としている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施形態の、熱成形機の全体概略を示す側面図である。
図2】本実施形態の、熱成形機の搬送枠移動面を示す平面図である。
図3】本実施形態の、熱成形機の成形部を示す平面図である。
図4】本実施形態の、第2支持板部側からの枠支持部材を示す側面図である。
図5】本実施形態の、成形部の正面図である。
図6】本実施形態の、成形部の平面図である。
図7】本実施形態の、下部成形型ユニットのリフトアップ部の部分拡大図である。
図8】本実施形態の、調整桿について説明する部分側面図である。
図9】本実施形態の、調整桿について説明する部分平面図である。
図10】本実施形態の、熱成形機の制御部に関するブロック図である。
図11】本実施形態の、位置調整枠の調整に関するフローチャートである。
図12】本実施形態の、下側成形型の調整に関するフローチャートである。
図13】本実施形態の、入力手段に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態について、図面を用いて説明を行う。図1は、本実施形態の熱成形機10の全体に関する側面図である。図2は、熱成形機10の搬送枠移動面を示す平面図である。熱成形機10は、シート投入取出部100、成形部200、及び加熱部300の3つの機能を有するユニットから構成される。シート投入取出部100では樹脂成形シート50が投入でき、成形後の図示しない成形品を取り出すことができる。成形部200では、成形型220(プラグ220a及びキャビティ220b)を用いて樹脂成形シート50の成形を行う。加熱部300では、樹脂成形シート50の加熱を行う。
【0027】
成形品の成形の手順の概略を説明すると、シート投入取出部100で作業者が樹脂成形シート50をセットし、セットされた樹脂成形シート50を加熱部300にて所定の温度まで昇温させ、成形部200で樹脂成形シート50を成形して成形品の形状を作り、シート投入取出部100で成形品を取り出す流れとなる。次に、各部の構成について簡単に説明する。
【0028】
[搬送枠30及びシート投入取出部100の構成について]
図3に、熱成形機10の成形部の平面図に示す。樹脂成形シート50は、シート投入取出部100で位置調整枠に相当する搬送枠30に位置決めされて保持されるクランプ枠35内にセットされる。搬送枠30には、図3に示すように中央に保持枠に相当するクランプ枠35が備えられ、クランプ枠35によって樹脂成形シート50を挟んで保持可能な構成となっている。樹脂成形シート50はクランプ枠35に対して位置決めされ、クランプ枠35は搬送枠30に対して位置決めされる。なお、樹脂成形シート50の厚みにあわせてクランプ枠35を段取り替えするなどの構成にすることを妨げない。
【0029】
略コの字状に形成される枠支持部材36の両端には、第1支持板部36aと第2支持板部36bとが配置される。また、枠支持部材36には搬送枠30を開閉するための枠回転用シャフト34が回動可能に備えられ、搬送枠30の両端側面と枠回転用シャフト34は枠シリンダ33を介して接続されている。枠回転用シャフト34の一端が搬送枠30の両側面に固定され、他端が枠回転用シャフト34に固定される構成となっており、枠シリンダ33は搬送枠30の側面に対して、図1に示すように斜めに取り付けられている。この枠シリンダ33の伸縮によって、シャフト34が回転し、搬送枠30が開閉する。
【0030】
一方、図1に示すように投入取出部100に備える、昇降テーブル111及びその昇降テーブル111を昇降させるテーブル昇降シリンダ110、ガイドロッド112を備えることで、図1に示すように投入取出部100にて搬送枠30が傾斜して、樹脂成形シート50のセット及び図示しない成形品の取り出しが容易になる。
【0031】
第1支持板部36aには、枠揺動支持部32が備えられ、第2支持板部36bには、枠軸支部31が備えられる。枠軸支部31には後述のベアリング31aが内蔵されることにより枠支持部材36を軸支する構造であり、枠揺動支持部32にも図示しないベアリングが内蔵されて枠支持部材36が枠軸支部31を中心に揺動された時に、ガタがでない構造となっている。
【0032】
図4に、第2支持板部側36bからの枠支持部材36の側面図を示す。なお、図4には説明の都合上、搬送枠30などは割愛している。第2支持板部36bは、リニアガイドレール24上に配置されるリニアガイドブロック25の上に固定された第2サイド板37bに、枠軸支部31によって軸支されている。枠軸支部31はベアリング31aの内輪に嵌め合い保持され、ベアリング31aの外輪は第2支持板部36bに嵌め合い保持される。枠軸支部31の両脇に配置されるガイドピン31bは、外周に鍔付ブッシュ31cを備えて第2支持板部36bの厚み方向にガイドを行っている。
【0033】
第2支持板部36bと第2サイド板37bの間には潤滑性の高い物性の図示しない板材が挟まれており、これによって第2サイド板37bに対して第2支持板部36bが、枠軸支部31を中心に回動可能に保持される。第2サイド板37bの端部には第2ボールネジナット23bが固定されており、駆動用第2ボールネジ軸22bが回転されることで螺合する第2ボールネジナット23bに動力が伝達され、第2サイド板37bが移動する移動力を得ることができる。駆動用第2ボールネジ軸22bはその端部にて駆動用第2サーボモータ26bと接続されている。
【0034】
第1支持板部36a側の構成も、図4に示される第2支持板部36b側の構成とほぼ同じであるが、第1支持板部36aの中央あたりに備えられるのが枠揺動支持部32である点で異なる。枠支持部材36のこのような構成によって、枠軸支部31を回転中心として枠支持部材36の角度調整が可能である。したがって、枠支持部材36に保持される搬送枠30に関しても角度θだけ角度調整を行うことが可能となる。また、駆動用第1サーボモータ26aと駆動用第2サーボモータ26bがそれぞれ駆動用第1ボールネジ軸22aと駆動用第2ボールネジ軸22bを同期して回転させることで、搬送枠30を移動させることが可能な構成となっている。
【0035】
[成形部200の構成について]
図5に、成形部200の正面図を示す。図6に、成形部200の平面図を示す。熱成形機10のフレーム11の中央辺りに備えられる成形部200には、樹脂成形シート50を成形する成形型220としてプラグ220aとキャビティ220bを備えている。プラグ220aは上側成形ユニット220Aに保持され、キャビティ220bは下側成形ユニット220Bに保持される。
【0036】
そして、上側成形ユニット220Aは上部に備えられる駆動機構によって下降する機能を備えている。同様に下側成形ユニット220Bは下部に備えられる駆動機構によって上昇する機能を備えている。例えば、上側成形ユニット220A及び下側成形ユニット220Bの四隅に図示しないスライドメタルを用いた板材を備え、フレーム11側にも板材に対応する位置にガイドを設けて上側成形ユニット220A及び下側成形ユニット220Bの昇降をガイドし、リンク機構とシリンダを組み合わせた駆動機構を備えることで上側成形ユニット220A及び下側成形ユニット220Bを昇降させることができる。また、上側成形ユニット220Aには図示しない圧空用の空圧機器が、下側成形ユニット220Bには図示しない真空発生機構に接続されている。ただし、これらの駆動機構や空圧機器の構成は本発明に直接関係しないので説明を割愛する。
【0037】
この下側成形ユニット220Bには、図5及び図6に説明するように調整桿230が備えられている。下側成形ユニット220Bは、テーブル210とテーブル210に固定された成形型取付ベース218を備えている。4本のベース用リニアシャフト211はフレーム11に立設され、テーブル210はテーブル210に固定されたベース用シャフトホルダ212を介してベース用リニアシャフト211に昇降可能に支持されている。
【0038】
成形型取付ベース218には図6に示されていないがキャビティ220bが成形型プレート225を介して固定される。そして、成形型取付ベース218はベースロックシリンダ241によってテーブル210に対して固定される。ベースロックシリンダ241の先端にはベース固定部材213が備えられ、ベース固定部材213は成形型取付ベース218の切欠部217を貫通して配置される。
【0039】
また、成形型取付ベース218の両脇には、側面ガイドローラ215が備えられている。側面ガイドローラ215はその先端に図示しないベアリングが内蔵されたローラを備えており、該ローラで成形型取付ベース218の両側面が挟まれるようにガイドされている。したがって、ベースロックシリンダ241が上昇端にある時は、成形型取付ベース218が側面ガイドローラ215にガイドされた状態で切欠部217の切り欠き方向に移動可能である。ベースロックシリンダ241が下降端にある時は、成形型取付ベース218はテーブル210に対して動かないようにベースロックシリンダ241の先端に設けられたベース固定部材213により保持される。
【0040】
図7に、下部成形型ユニット220Bのリフトアップ部を部分拡大図に示す。ベースリフトシリンダ214は、図7に示すようにテーブル210の下面にスペーサ219を介してボルト固定されて取り付けられている。このベースリフトシリンダ214は、図6に示すように、成形型取付ベース218の下部4カ所に配置されて設けられている。そして、ベースリフトシリンダ214の先端には先端ローラ216が備えられていて、先端ローラ216が成形型取付ベース218の下面に当接し、ベースリフトシリンダ214の前進端で数mm程度の成形型取付ベース218のリフトアップが可能である。先端ローラ216は、成形型取付ベース218がリフトアップされた状態で調整桿230が操作された時に、成形型取付ベース218の移動方向に回動可能に軸支されていて、成形型取付ベース218のリフトアップによって調整桿230による調整がし易い構成となっている。
【0041】
図8に、調整桿230について説明する部分側面図を示す。図9に、調整桿230について説明する部分平面図を示す。調整桿230は手動で回転可能にローレットつまみ231が備えられており、図示しないベアリングが内蔵された第1ブラケット234及び雌ネジが切られた第2ブラケット235によって支持されている。調整桿軸232には第2ブラケット235に設けられた図示しない雌ネジ部と勘合する雄ネジ部232aが形成されている。そして、調整桿230の先端にはベアリング239を介して先端部材238が取り付けられている。先端部材238に対して調整桿軸232は回動可能に保持されており、先端部材238の両端には先端ガイドローラ237が設けられている。先端ガイドローラ237は、成形型取付ベース218の端面に固定されたガイド溝部材236によって挟持されている。
【0042】
したがって、ベースリフトシリンダ214によって成形型取付ベース218がリフトアップされた状態でもリフトダウンされた状態でも、調整桿230の先端部分は成形型取付ベース218に対して係合された状態を維持できる。すなわちガイド溝部材236と先端部材238とが成形型取付ベース218に対するアジャスト機構として機能する。
【0043】
[加熱部300の構成について]
加熱部300は、図1に示すように、上側ヒータユニット310及び下側ヒータユニット320を備え、開閉シリンダ305によって開閉が可能となっている。上側ヒータユニット310と下側ヒータユニット320の間には、樹脂成形シート50がセットされた搬送枠30が移動してくるスペースが備えられており、搬送枠30の移動端で樹脂成形シート50の加熱が可能である。樹脂成形シート50の加熱は、上側ヒータユニット310及び下側ヒータユニット320に備えられる、図2に示すようなパネルヒータ301によって短時間で行われる。その詳細については本発明と直接関係しないので説明を割愛する。
【0044】
[制御部の概略構成について]
図10に、熱成形機10の制御部500に関するブロック図を示す。制御部500は図示しない制御盤に収められており、搬送枠30を駆動する構成として、制御ユニット508に接続されるパルス入力ユニット506、入力ユニット507、サーボユニット505及び、第1サーボアンプ503、第2サーボアンプ504、第1エンコーダ501、第2エンコーダ502などが設けられている。また、駆動用第1サーボモータ26aには、第1サーボアンプ503及び第1エンコーダ501が接続され、駆動用第2サーボモータ26bには第2サーボアンプ504及び第2エンコーダ502が接続されている。これらの構成によって搬送枠30の移動及び調整を行うことができる。
【0045】
駆動用第1サーボモータ26aは、前述したように駆動用第1ボールネジ軸22aを回転させ、第1エンコーダ501によって駆動用第1サーボモータ26aの回転をパルスにて把握しつつ、制御ユニット508でサーボユニット505を介して制御を行う。駆動用第2サーボモータ26bも同様に、駆動用第2ボールネジ軸22bを回転させ、第2エンコーダ502によって駆動用第2サーボモータ26bの回転をパルスにて把握しつつ、制御ユニット508でサーボユニット505を介して制御を行う。パルスの把握はパルス入力ユニット506によって行われ制御ユニット508に渡されている。入力ユニット507はメモリ機能を有する他、図13に示すタッチパネルPなどに接続されており、作業者によって数値入力による駆動用サーボモータ26(駆動用第1サーボモータ26a、駆動用第2サーボモータ26b)の制御が可能であるが、この点については後述する。
【0046】
[搬送枠30の調整について]
上記構成の熱成形機10は、上述したように樹脂成形シート50を成形品に成形することができるが、精密な成形品を作るためには、成形型220を交換した際に、課題で示唆したように樹脂成形シート50に対する成形型220の位置調整を必要とする。図11に、搬送枠30の調整に関するフローチャートを示す。搬送枠30は、駆動用サーボモータ26の入力位置を変更することで、角度及び位置の調整が可能となる。入力手法に関しては図13に示すタッチパネルPの操作画面に「クランプ枠現在位置」の調整を行うモードがあり、数値入力することで調整が可能である。この操作画面が表示された状態であれば、図11に示すように、制御ユニット508が調整モードであると判断し(S10でYes)、調整モードでなければ(S10でNo)本処理を終了する。
【0047】
調整モードである場合に、左軸値が入力されなければ(S11でNo)、S13に進み、左軸値が入力されれば(S11でYes)、制御ユニット508に対して数値を記憶する処理となる第1サーボ数値入力処理を行う(S12)。この数値に基づいて、駆動用第1サーボモータ26aの位置補正を行い、S13に進む。次に、右軸値が入力されなければ(S13でNo)、S15に進み、右軸値が入力されれば(S13でYes)、制御ユニット508に対して数値を記憶する処理となる第2サーボ数値入力処理を行う(S14)。この数値に基づいて、駆動用第2サーボモータ26bの位置補正を行い、S15に進む。S15では調整モードが終了したかどうかを判断して、調整モードが終了していなければ(S15でNo)S11に戻り、調整モードが終了していれば(S15でYes)本処理を終了する。
【0048】
図11に示す処理では、駆動用第1サーボモータ26aと駆動用第2サーボモータ26bの位置補正を数値入力によって行うことができ、作業員が図13に示すようなタッチパネルの操作画面を利用して設定できる。駆動用第1サーボモータ26aと駆動用第2サーボモータ26bの入力値を異ならせることで搬送枠30は角度調整を行うことができる。同じ数値を入れれば、搬送枠30の移動方向に対する位置補正が行える。なお、搬送枠30の角度を入力する方法で位置補正を行っても良い。
【0049】
[成形型220の調整について]
上記構成の熱成形機10はまた、成形型220の位置調整を行うことができる。図12に成形型220の位置調整手順を示したフローを示す。まず、成形型220の位置調整が必要かどうか判断する(S20)。判断の手法はいろいろ考えられるが、例えば操作パネルでベースロックシリンダ241の操作画面が選択されていれば、位置調整が必要だという判断(S20でYes)ができるので、S21に進む。そうでなければ(S20でNo)本処理を終了する。S21ではベースロックシリンダ241の開放を行う(S21)。その後、ベースリフトシリンダ214を前進させて成形型取付ベース218をリフトアップさせ(S22)、操作画面に成形型取付ベース218の位置調整が可能である旨の表示を行う(S23)。
【0050】
この状態で、作業者によって操作桿230による成形型取付ベース218の位置調整を行うことが可能である。そして、位置調整の終了を待って(S24でYesになるまで待機)、ベースリフトシリンダ214を後退させて成形型取付ベース218をリフトダウンし(S25)、ベースロックシリンダ241で成形型取付ベース218をクランプする(S26)。そして本処理を終了する。
【0051】
本実施形態の熱成形機10は、上記構成であるため、以下に示すような作用及び効果を奏する。
【0052】
まず、樹脂成形シート50と成形型220に対する位置調整を作業者が簡易に行うことが可能となる。これは、成形型220にて樹脂成形シート50を成形する成形手段と、成形型220に対して樹脂成形シート50を保持するクランプ枠35と、を有する熱成形機10において、クランプ枠35を位置決めして保持する位置調整枠に相当する搬送枠30と、搬送枠30の位置調整を数値入力にて行う第1位置調整機構に相当する駆動用第1ボールネジ軸22aと第2位置調整機構に相当する駆動用第2ボールネジ軸22bと、を備えているからである。
【0053】
また、熱成形機10はこの構成において、搬送枠30の4辺のうち1辺が、駆動用第1ボールネジ軸22aに対して移動可能に第1支持板部36aによって把持され、第1支持板部36aに支持された辺と対向する辺が、駆動用第2ボールネジ軸22bに対して回転可能に第2支持板部36bに軸支されている。
【0054】
また、熱成形機10はこの構成において、樹脂成形シート50を投入する投入部に相当するシート投入取出部100と、樹脂成形シート50を加熱する加熱部300と、樹脂成形シート50を成形手段によって成形する成形部200と、搬送枠30を、シート投入取出部100、加熱部300、及び成形部200の間を移動させる移動手段に相当する駆動用ボールネジ軸22と、を備え、駆動用ボールネジ軸22は、フィードバック制御を行う制御部と、回転位置を検出する位置検出器と、を備えたモータに相当する駆動用サーボモータ26によって駆動される、第1位置調整機構の機能を兼ねる第1駆動機構(駆動用第1ボールネジ軸22a)、及び第2位置調整機構の機能を兼ねる第2駆動機構(駆動用第2ボールネジ軸22b)よりなる。
【0055】
また、制御部500には、搬送枠30の角度を数値入力によって変更可能な入力手段として図13に示すようなタッチパネルPの画面が用意されている。
【0056】
このような構成によって、搬送枠30の位置調整に関して数値入力による調整が可能となり、回転方向への調整についても角度θまでの範囲で可能となる。その角度調整は、図13に示すような画面での駆動用第1サーボモータ26a及び駆動用第2サーボモータ26bの位置を数値入力によって行うことが可能である。数値入力は駆動用第1サーボモータ26a及び駆動用第2サーボモータ26b、それぞれに対して図11に示すような手順で補正値を入力することで実現している。例えば、駆動用第1サーボモータ26a側は「0mm」のままで、駆動用第2サーボモータ26b側を「0.1mm」補正するように入力すれば、図13の画面に示すように補正値と共に傾き(右基準)として角度表示される。もちろん、傾きを角度θとして直接入力しても良い。
【0057】
そして、搬送枠30に樹脂成形シート50が保持されて成形部200に移動した場合に、その停止位置において補正値が反映され、図3に示すような角度θだけ枠軸支部31を中心に傾いて停止する。したがって、成形型220に対して搬送枠30に保持された樹脂成形シート50は指定した補正値に対応する角度θだけ傾いた状態に微調整されて成形品を成形することができる。このように、どれだけの傾きを加えたかが作業者に視覚的に判断でき、微調整が数値として把握されて調整しやすくなる。
【0058】
また例えば、駆動用第1サーボモータ26a側は「0.1mm」、駆動用第2サーボモータ26b側も「0.1mm」と同じ数値を入力すれば、搬送枠30の成形部200における停止位置は、搬送枠30の進行方向に0.1mmだけ進んだ位置で停止することになる。このため、成形型220に対して搬送枠30に保持された樹脂成形シート50は指定した補正値に対応する距離だけ進んだ状態に微調整されて成形品を成形することができる。マイナス値を入力すれば停止位置を逆方向に移動させることが可能となる。
【0059】
また例えば、成形型220を変更した場合にも、成形の初期位置は微調整を行うことでよりきめ細かく調整が可能である。そして、特許文献2に示される様な押しネジ機構を用いている場合には感覚的な調整作業を要求されるが、本発明の態様によれば作業者の勘や経験だけに頼ることなく数値を調整しながらの調整が行えるため、効率よく実施することができる。その結果、初期位置調整によるムダうちを減らすことにも繋がり、調整時間の短縮にも貢献できる。
【0060】
また、成形型220は、成形型取付ベース218に対して位置決めされて成形型取付ベース218の上に配置され、駆動用ボールネジ軸22によって移動される搬送枠30の移動方向と直交する方向に成形型220を移動し位置調整する調整桿230を有する位置調整機構を備えている。
【0061】
また、位置調整機構として、成形型取付ベース218はテーブル210上に配置され、テーブル210を貫通して成形型取付ベース218を持ち上げ支持する昇降器であるベースリフトシリンダ214と、テーブル210に固定され成形型取付ベース218の移動方向への移動を規制する側面ガイドローラ215と、成形型取付ベース218の端面に係合され、移動方向と直交する方向に成形型であるキャビティ220bを移動し位置調整する調整桿230と、を備え、ベースリフトシリンダ214の先端には、回転可能に支持されたコロ部材である先端ローラ216が設けられて、成形型取付ベース218の下面に当接し、側面ガイドローラ215は、テーブル210に軸支されて成形型取付ベース218の側面に当接している。
【0062】
また、成形型取付ベース218の端面と調整桿230とは、成形型取付ベース218の端面に設けられたガイド溝を有するガイド溝部材236と調整桿230の先端に取り付けられた先端部材238とで係合され、ガイド溝部材236に成形型取付ベース218の高さ方向に位置調整可能に先端部材238が保持されている。
【0063】
下側成形ユニット220Bに備えられるキャビティ220bの位置は、調整桿230を用いて成形型取付ベース218の位置を搬送枠30の移動方向と直交する方向に調整することができる。この調整桿230での調整にあたって、キャビティ220bが成形型プレート225を介して固定されている成形型取付ベース218をベースリフトシリンダ214で持ち上げる。そして、成形型取付ベース218の両サイドには先端ローラ216でガイドされていることで、側面保持に関する摩擦も最小限に抑えられている。
【0064】
下側成形ユニット220Bはこのような構成になっているので、調整桿230をローレットつまみ231を回転させることで成形型取付ベース218の微調整が可能である。成形型取付ベース218をベースリフトシリンダ214でリフトアップした際に、ベースリフトシリンダ214の先端には先端ガイドローラ237が取り付けられており、図示しないベアリングが内蔵されることで、小さな力で成形型取付ベース218を移動させることができる。また、この調整が終わった後、ベースリフトシリンダ214でリフトダウンを行った上で、ベース用ベース固定部材213によって成形型取付ベース218が動かないようにベースロックシリンダ241でロックすることで位置決めがなされる。
【0065】
こうして、樹脂成形シート50に対する成形型220の位置調整について、キャビティ220bを固定している成形型取付ベース218を移動させることで調整する。この際に、ベースリフトシリンダ214によってリフトアップされるので、微調整が容易となり作業者の作業効率が向上する。なお、本実施形態では調整桿230を用いて手動での調整をしているが、例えばサーボモータを調整桿軸232の回転駆動に用い、数値入力による位置調整を可能とすることを妨げない。また、必要に応じて上側成形ユニット220Aに調整桿230と同様の構成による位置調整機構を備えることを妨げない。
【0066】
よって、このような下側成形ユニット220Bの構成と搬送枠30の構成によって、樹脂成形シート50に対する成形型220の位置について、課題で定義したX軸方向(搬送枠30の移動方向と直交する方向)とY軸方向(搬送枠30の移動方向)、及び回転方向への角度調整が可能となる。こうした構成は、搬送枠30の位置や角度の調整については、第1支持板部36a及び第2支持板部36bの保持方法を工夫することで、駆動用第1ボールネジ軸22a及び駆動用第2ボールネジ軸22bを利用して行うことができる。また、下側成形ユニット220Bの位置調整についても、キャビティ220bを固定している成形型取付ベース218に係合された調整桿230を用いた構成となっている。したがって、特許文献2の構成と比べても比較的安価に構造を採用することができ、作業者にとって調整しやすい構成となっている。
【0067】
以上、本発明に係る熱成形機10に関する説明をしたが、本発明はこれに限定されるわけではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、搬送枠30の移動方法に駆動用ボールネジ軸22を用いているが、別の駆動方法、例えばチェーンやベルトを用いて駆動することを妨げない。また、例えば調整桿230の駆動に関して、ローレットつまみ231を用いて手動で調整するのではなく、サーボモータなどの駆動機構を用い、数値入力による位置調整が行える構成とすることを妨げない。
【0068】
また、側面ガイドローラ215のガイドによるテーブル210の側面ガイドの方法に関しても、他のガイド方法、ボールガイドやスライドメタル、或いはリニアガイドなどの直線運動部をガイドする機構をテーブル210のガイドに用いることを妨げない。
【符号の説明】
【0069】
10 熱成型機
22 駆動用ボールネジ軸
22a 駆動用第1ボールネジ軸
22b 駆動用第2ボールネジ軸
30 搬送枠
50 樹脂成型シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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