(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】台車拡張装置
(51)【国際特許分類】
B62B 3/02 20060101AFI20230331BHJP
【FI】
B62B3/02 C
B62B3/02 F
(21)【出願番号】P 2022101535
(22)【出願日】2022-06-24
【審査請求日】2022-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】517347850
【氏名又は名称】株式会社図南
(74)【代理人】
【識別番号】110002435
【氏名又は名称】弁理士法人井上国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100091557
【氏名又は名称】木内 修
(72)【発明者】
【氏名】北村 俊郎
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3199223(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 1/00- 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車の台に接続される拡張ボードと、
前記拡張ボードに装着されるキャスタと、
前記キャスタが固定されるキャスタ固定部材と、
前記キャスタ固定部材を前記拡張ボードに吊り下げるとともに、前記拡張ボードと前記キャスタとの距離を調節する距離調節部材と
を備える台車拡張装置であって、
前記キャスタ固定部材が、
キャスタ固定部材本体と、
前記キャスタ固定部材本体の両端に連なる一対のキャスタ固定部材側突出部とを有し、
前記距離調節部材が、
前記キャスタ固定部材を前記拡張ボードに着脱可能に連結する一対の第1の連結部材と、
前記一対の第1の連結部材をそれぞれ前記拡張ボードに着脱可能に連結する一対の第2の連結部材とを有
し、
前記一対の第1の連結部材がそれぞれ、
第1の連結部材本体と、
前記第1の連結部材本体に連なる第1の連結部材側突出部とを有し、
前記拡張ボードが、前記第1の連結部材側突出部が挿入される一対の拡張ボード側第1の孔を有し、
前記第1の連結部材本体が、前記キャスタ固定部材側突出部が挿入される第1の連結部材側第1の孔を有し、
前記第2の連結部材が、
第2の連結部材本体と、
前記第2の連結部材本体に連なる第2の連結部材側突出部とを有し、
前記第1の連結部材側突出部が、前記第2の連結部材側突出部が挿入される第1の連結部材側第2の孔を有する
ことを特徴とする台車拡張装置。
【請求項2】
前記距離調節部材が、
前記一対の第2の連結部材をそれぞれ前記一対の第1の連結部材に着脱可能に連結する一対の第3の連結部材を更に有し、
前記第3の連結部材が、
第3の連結部材本体と、
前記第3の連結部材本体に連なる第3の連結部材側突出部とを有し、
前記第2の連結部材本体が、
前記第3の連結部材側突出部が挿入される第2の連結部材側第1の孔を有し、
前記拡張ボードが、前記第3の連結部材側突出部が挿入される一対の拡張ボード側第2の孔を更に有する
ことを特徴とする請求項1に記載の台車拡張装置。
【請求項3】
前記拡張ボードと前記キャスタ固定部材との間に配置され、前記キャスタ固定部材の撓みを抑制する撓み抑制部材を更に備えている
ことを特徴とする請求項2に記載の台車拡張装置。
【請求項4】
前記撓み抑制部材が、
撓み抑制部材本体と、
前記撓み抑制部材本体の上端に連なる十字状の撓み抑制部材側第1の突出部と、
前記撓み抑制部本体の下端に連なる撓み抑制部材側第2の突出部とを有し、
前記キャスタ固定部材本体が、前記撓み抑制部材側第1の突出部が挿入される十字状の キャスタ固定部材側孔を有し、
前記拡張ボードが、前記撓み抑制部材側第2の突出部が挿入される拡張ボード側第3の孔を更に有する
ことを特徴とする請求項3に記載の台車拡張装置。
【請求項5】
前記拡張ボードが、複数のボルト通し孔を更に有する
ことを特徴とする請求項4に記載の台車拡張装置。
【請求項6】
前記拡張ボードの先端部の形状が、凸型の円弧状である
ことを特徴とする請求項5に記載の台車拡張装置。
【請求項7】
前記拡張ボードの後端部の形状が、凹型の円弧状である
ことを特徴とする請求項6に記載の台車拡張装置。
【請求項8】
前記拡張ボード、前記キャスタ固定部材、前記距離調節部材がそれぞれプラスチック段ボール製である
ことを特徴とする請求項
1~7
のいずれか1項に記載の台車拡張装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、台車に後付けされてそのサイズを拡張する台車拡張装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カー用品店、サービスステーション、タイヤ専門店等では、台車に2つのタイヤ群(複数のタイヤを垂直軸に沿って積み重ねたもの)を隣接するように載せて展示したり運んだりすることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
台車に載せるタイヤの外径が大きい場合、2つのタイヤ群のうちの一方のタイヤ群の一部が台車の台から大きくはみ出すので、その一方のタイヤ群を構成する複数のタイヤの整列状態が不安定になるおそれがある。
【0004】
例えば、タイヤ展示中に、2つのタイヤ群のうちの一方のタイヤ群に風等が作用し、タイヤが揺れ、傾いたり倒れたりすることがある。
【0005】
また、タイヤ運搬中に、2つのタイヤ群のうちの一方のタイヤ群に床面の凹凸による台車の振動が伝わり、タイヤが傾いたり、崩れたり、倒れたりすることがある。
【0006】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題は、台車にタイヤを載せて展示したり運んだりするとき、タイヤの整列状態が不安定になるのを防ぐことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するため請求項1に記載の発明は、台車の台に接続される拡張ボードと、前記拡張ボードに装着されるキャスタと、前記キャスタが固定されるキャスタ固定部材と、前記キャスタ固定部材を前記拡張ボードに吊り下げるとともに、前記拡張ボードと前記キャスタとの距離を調節する距離調節部材とを備える台車拡張装置であって、前記キャスタ固定部材が、キャスタ固定部材本体と、前記キャスタ固定部材本体の両端に連なる一対のキャスタ固定部材側突出部とを有し、前記距離調節部材が、前記キャスタ固定部材を前記拡張ボードに着脱可能に連結する一対の第1の連結部材と、前記一対の第1の連結部材をそれぞれ前記拡張ボードに着脱可能に連結する一対の第2の連結部材とを有し、前記一対の第1の連結部材がそれぞれ、第1の連結部材本体と、前記第1の連結部材本体に連なる第1の連結部材側突出部とを有し、前記拡張ボードが、前記第1の連結部材側突出部が挿入される一対の拡張ボード側第1の孔を有し、前記第1の連結部材本体が、前記キャスタ固定部材側突出部が挿入される第1の連結部材側第1の孔を有し、前記第2の連結部材が、第2の連結部材本体と、前記第2の連結部材本体に連なる第2の連結部材側突出部とを有し、前記第1の連結部材側突出部が、前記第2の連結部材側突出部が挿入される第1の連結部材側第2の孔を有する
ことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の台車拡張装置において、前記距離調節部材が、前記一対の第2の連結部材をそれぞれ前記一対の第1の連結部材に着脱可能に連結する一対の第3の連結部材を更に有し、前記第3の連結部材が、第3の連結部材本体と、前記第3の連結部材本体に連なる第3の連結部材側突出部とを有し、前記第2の連結部材本体が、前記第3の連結部材側突出部が挿入される第2の連結部材側第1の孔を有し、前記拡張ボードが、前記第3の連結部材側突出部が挿入される一対の拡張ボード側第2の孔を更に有することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の台車拡張装置において、前記拡張ボードと前記キャスタ固定部材との間に配置され、前記キャスタ固定部材の撓みを抑制する撓み抑制部材を更に備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の台車拡張装置において、前記撓み抑制部材が、撓み抑制部材本体と、前記撓み抑制部材本体の上端に連なる十字状の撓み抑制部材側第1の突出部と、前記撓み抑制部本体の下端に連なる撓み抑制部材側第2の突出部とを有し、前記キャスタ固定部材本体が、前記撓み抑制部材側第1の突出部が挿入される十字状のキャスタ固定部材側孔を有し、前記拡張ボードが、前記撓み抑制部材側第2の突出部が挿入される拡張ボード側第3の孔を更に有することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の台車拡張装置において、前記拡張ボードが、複数のボルト通し孔を更に有することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の台車拡張装置において、前記拡張ボードの先端部の形状が、凸型の円弧状であることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の台車拡張装置において、前記拡張ボードの後端部の形状が、凹型の円弧状であることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1~7のいずれか1項に記載の台車拡張装置において、前記拡張ボード、前記キャスタ固定部材、前記距離調節部材がそれぞれプラスチック段ボール製であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明は、台車にタイヤを載せて展示したり運んだりするとき、タイヤの整列状態が不安定になるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1はこの発明の一実施形態に係る台車拡張装置が台車に接続された状態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は
図1の台車拡張装置のキャスタ固定部材が一対の第1の連結部材で拡張ボードに連結されている状態を延長ボードの裏側から見た図である。
【
図3】
図3は
図1の台車拡張装置の一対の第1の連結部材が一対の第2の連結部材で拡張ボードに連結されている状態を拡張ボードの表側から見た図である。
【
図4】
図4は
図1の台車拡張装置の一対の第2の連結部材が一対の第3の連結部材で一対の第1の連結部材に連結されている状態を拡張ボードの表側から見た図である。
【
図5】
図5は
図1の台車拡張装置の撓み抑制部材を説明するための図である。
【
図6】
図6は
図1の台車拡張装置のキャスタ固定部材の平面図である。
【
図7】
図7は
図1の台車拡張装置の拡張ボードの平面図である。
【
図8】
図8は
図1の台車拡張装置の第1の連結部材の平面図である。
【
図9】
図9は
図1の台車拡張装置の第2の連結部材の平面図である。
【
図12】
図12はこの発明の変形例に係る台車拡張装置の第1の連結部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
この発明の一実施形態に係る台車拡張装置1は、
図1、
図2に示すように、台車7の台71に接続される拡張ボード2と、拡張ボード2に装着されるキャスタ3と、キャスタ3が固定される平板状のキャスタ固定部材4と、キャスタ固定部材4を拡張ボード2に吊り下げるとともに、拡張ボード2とキャスタ3との距離を調節する距離調節部材5と、拡張ボード2とキャスタ固定部材4との間に配置され、キャスタ固定部材4の撓みを抑制する撓み抑制部材6とを備える。
【0019】
台車7は台71と複数のキャスタ72とハンドル73とを有する。
キャスタ固定部材4は、
図6に示すように、キャスタ固定部材本体41と、キャスタ固定部材本体41の両端に連なる一対のキャスタ固定部材側突出部42とを有する。
【0020】
距離調節部材5は、
図4に示すように、キャスタ固定部材4を拡張ボード2に着脱可能に連結する一対の第1の連結部材51と、一対の第1の連結部材51をそれぞれ拡張ボード2に着脱可能に連結する一対の第2の連結部材52と、
一対の第2の連結部材52をそれぞれ一対の第1の連結部材51に着脱可能に連結する一対の第3の連結部材53とを有する。
【0021】
キャスタ固定部材4は拡張ボード2に平行に連結されている(
図2参照)。
一対の第1の連結部材51はそれぞれ、
図8に示すように、ほぼ長方形の第1の連結部材本体511と、第1の連結部材本体511の一方の長辺の部分(拡張ボード接触部511a)に連なる第1の連結部材側突出部512とを有する。
【0022】
第1の連結部材側突出部512が拡張ボード2の拡張ボード側第1の長孔(拡張ボード側第1の孔)2aに挿入されたとき、第1の連結部材本体511の拡張ボード接触部511aが拡張ボード接触部511aの裏面に接触する。
【0023】
第1の連結部材本体511の拡張ボード接触部511aから後述する第1の連結部材側第1の長孔(第1の連結部材側第1の孔)51aまでの長さD1が、拡張ボード2とキャスタ固定部材4との長さを規定するので、台車7の台71の高さの変化に応じて拡張ボード2の高さを迅速に調節できるように、第1の連結部材本体511の拡張ボード接触部511aから第1の連結部材側第1の長孔51aまでの長さD1が異なる数種類の第1の連結部材51を予め作成しておくのが好ましい。
【0024】
拡張ボード2は、第1の連結部材側突出部512が挿入される一対の拡張ボード側第1の長孔2aを有する(
図7参照)。
【0025】
第1の連結部材本体511は、キャスタ固定部材側突出部42が挿入される第1の連結部材側第1の長孔51aを有する(
図8参照)。
【0026】
第2の連結部材52は、
図9に示すように、第2の連結部材本体521と、第2の連結部材本体521に連なる第2の連結部材側突出部522とを有する。
【0027】
第1の連結部材側突出部512は、第2の連結部材側突出部522が挿入される第1の連結部材側第2の長孔(第1の連結部材側第2の孔)51bを有する(
図8参照)。
【0028】
第3の連結部材53は、
図10に示すように、第3の連結部材本体531と、
第3の連結部材本体531に連なる第3の連結部材側突出部532とを有する。
【0029】
第2の連結部材本体521は、第3の連結部材側突出部532が挿入される第2の連結部材側第1の長孔(第2の連結部材側第1の孔)52aを有する。
【0030】
拡張ボード2が、第3の連結部材側突出部532が挿入される一対の拡張ボード側第2の長孔(拡張ボード側第2の孔)2bを有する(
図7参照)。
【0031】
図5は
図1の台車拡張装置1の撓み抑制部材6を説明するための図であり、
図5(c)は撓み抑制部材6の斜視図である。
【0032】
撓み抑制部材6は、十字状の撓み抑制部材本体6Aと、撓み抑制部材本体6Aに連なる十字状の撓み抑制部材側第1の突出部6Bと、撓み抑制部材本体6Aに連なるI字状の撓み抑制部材側第2の突出部6Cとを有する。
【0033】
撓み抑制部材6は、第1の撓み抑制プレート61と第2の撓み抑制プレート62とで構成される(
図5(a)、
図5(b)参照)。
図5(a)は第1の撓み抑制プレート61の平面図、
図5(b)は第2の撓み抑制プレート62の平面図である。
【0034】
第1の撓み抑制プレート61は、
図5(a)に示すように、ほぼ長方形の第1の撓み抑制プレート側撓み抑制プレート本体611と、第1の撓み抑制プレート側撓み抑制プレート本体611に連なる第1の撓み抑制プレート側第1の凸部612と、第1の撓み抑制プレート側撓み抑制プレート本体611に形成された第1の撓み抑制プレート側第1の凹部613とを有する。
【0035】
第1の撓み抑制プレート側第1の凸部612は、第1の撓み抑制プレート側撓み抑制プレート本体611の一方の長辺の中央部に位置し、第1の撓み抑制プレート側第1の凹部613は、第1の撓み抑制プレート側撓み抑制プレート本体611の他方の長辺の中央部に位置する。
【0036】
第2の撓み抑制プレート62は、
図5(b)に示すように、ほぼ長方形の第2の撓み抑制プレート側撓み抑制プレート本体621と、第2の撓み抑制プレート側撓み抑制プレート本体621に連なる第2の撓み抑制プレート側第1の凸部622と、第2の撓み抑制プレート側撓み抑制プレート本体621に連なる第2の撓み抑制プレート側第2の凸部624と、第2の撓み抑制プレート側第1の凸部622から第2の撓み抑制プレート側撓み抑制プレート本体621に形成された第2の撓み抑制プレート側第1の凹部623とを有する。
【0037】
第2の撓み抑制プレート側第1の凸部622は、第2の撓み抑制プレート側撓み抑制プレート本体621の一方の長辺の中央部に位置する。
【0038】
第2の撓み抑制プレート側第1の凸部622は、第2の撓み抑制プレート側撓み抑制プレート本体621の他方の長辺の中央部に位置する。第2の撓み抑制プレート側第1の凹部623は、第2の撓み抑制プレート側第1の凸部622から第2の撓み抑制プレート側撓み抑制プレート本体621に形成されている。
【0039】
第1の撓み抑制プレート61の第1の撓み抑制プレート側第1の凹部613と第2の撓み抑制プレート62の第2の撓み抑制プレート側第1の凹部623とを嵌合すると、第1の撓み抑制プレート61と第2の撓み抑制プレート62とが十字状に組み合わされて、十字状の撓み抑制部材本体6Aと十字状の撓み抑制部材側第1の突出部6BとI字状の撓み抑制部材側第2の突出部6Cとが形成される(
図5(c)参照)。
【0040】
キャスタ固定部材本体4は、撓み抑制部材側第1の突出部6Bが挿入される十字状のキャスタ固定部材側孔4aを有する(
図6参照)。
【0041】
拡張ボード2は、撓み抑制部材側第2の突出部6Cが挿入される拡張ボード側第3の長孔(拡張ボード側第3の孔)2cと、8つのボルト通し孔2d1~2d4とを有する。
【0042】
8つのボルト通し孔2d1~2d4のうちの4つのボルト通し孔2d1~2d4は拡張ボード2の一方の側部に形成され、残りの4つのボルト通し孔2d1~2d4は拡張ボード2の他方の側部に形成されている(
図7参照)。ボルト通し孔2d1~2d4は台車7の前後方向へ沿って等間隔に並ぶ。
【0043】
拡張ボード2をボルト8で台車7の台71の先端部に接続するには、座金9の2つのボルト通し孔(図示せず)に通した2つのボルト8を、4つのボルト通し孔2d1~2d4から、台車7に載せるタイヤの外径に応じて選択された図示しない4つのねじ穴のうちの2つのねじ穴にねじ込む。
【0044】
座金9は2つのボルト通し孔を有し、その2つのボルト通し孔の間隔は、拡張ボード2の4つのボルト通し孔2d1~2d4のうちの隣接する2つのボルト通し孔の間隔に等しい。
【0045】
ボルト8で拡張ボード2を台車7の台71に接続するとき、その台71に載せるタイヤの外径に応じて4つのボルト通し孔2d1~2d4から2つのボルト通し孔を選択すればよい。
【0046】
拡張ボード2の先端部の形状は凸型の円弧状である。このようにすると拡張ボード2の先端部の損傷を減らすことができる。
【0047】
拡張ボード2の後端部の形状は凹型の円弧状である。
拡張ボード2、キャスタ固定部材4、距離調節部材5はそれぞれプラスチック段ボール製である。
【0048】
キャスタ3は、
図11に示すように、本体31と、本体31の上部に旋回部を介して連結されたトッププレート32と、本体31の下部に連結された車軸33と、車軸33に軸受を介して連結された車輪34とを有している。
【0049】
トッププレート32は、図示しないボルトが通される複数のボルト通し孔32aを有する。
【0050】
次に、台車拡張装置1の使用方法の一例を説明する。
台車拡張装置1の拡張ボード2を台車7の台71に接続する前に、台車7の台71の高さに応じた第1の連結部材51が選択されているものとする。
【0051】
まず、第1の連結部材51の第1の連結部材側第1の長孔51aにキャスタ固定部材4の一対のキャスタ固定部材側突出部42を挿入して第1の連結部材51に連結するとともに、撓み抑制部材6の十字状の撓み抑制部材側第1の突出部6Bをキャスタ固定部材4の十字状のキャスタ固定部材側孔4aに挿入してキャスタ固定部材4に連結する。
【0052】
次に、第1の連結部材51の第1の連結部材側突出部512を拡張ボード2の拡張ボード側第1の長孔2aに挿入して第1の連結部材51を拡張ボード2に連結するとともに、撓み抑制部材6のI字状の撓み抑制部材側第2の突出部6Cを拡張ボード2の拡張ボード側第3の長孔2cに挿入して拡張ボード2に連結する。
【0053】
その後、拡張ボード2をひっくり返して拡張ボード2の表面を上にし、第2の連結部材52の第2の連結部材側突出部522を第1の連結部材側第2の長孔51bに挿入して第2の連結部材52を第1の連結部材51に連結する。その結果、第1の連結部材51が拡張ボード2から外れにくくなる。
【0054】
次に、第3の連結部材53の第3の連結部材側突出部532を第2の連結部材側第1の長孔52aと拡張ボード2の拡張ボード側第2の長孔2bとに挿入して第3の連結部材53が第2の連結部材52と拡張ボード2とに連結される。その結果、第2の連結部材52が第1の連結部材51から外れにくくなる。
【0055】
その後、拡張ボード2をひっくり返して拡張ボード2の裏面を上にし、キャスタ固定部材4に逆さにしたキャスタ3のトッププレート32を載せ、対向するキャスタ固定部材4のボルト通し孔4bとトッププレート32のボルト通し孔32aとにボルトを通し、そのボルトの先端部に図示しないナットをねじ込んで、キャスタ3をキャスタ固定部材4に固定する。
【0056】
最後に、拡張ボード2を再度ひっくり返して拡張ボード2の表面を上にし、拡張ボード2の後端部を台車7の台71の先端部にボルト9で接続する。その結果、台車7の台71が拡張され、台71に隣接するように載せられた図示しない2つのタイヤ群が台車7から大きくはみ出さない。
【0057】
この実施形態の台車拡張装置1によれば、台車7に載せるタイヤの外径が大きくなったとしても、2つのタイヤ群のうちの一方のタイヤ群の一部が台車7の台71から大きくはみ出さないので、その一方のタイヤ群を構成する複数のタイヤの整列状態が安定する。
【0058】
また、距離調節部材5を、キャスタ固定部材4を拡張ボード2に着脱可能に連結する一対の第1の連結部材51と、一対の第1の連結部材51をそれぞれ拡張ボード2に着脱可能に連結する一対の第2の連結部材52とで構成することにより、拡張ボード2とキャスタ固定部材4との距離を調節できるようにしたので、台車7の台71の高さに応じて拡張ボード2の高さを一致させることができる。その結果、タイヤ群を構成する複数のタイヤの整列状態が一層安定する。
【0059】
撓み抑制部材6によってキャスタ固定部材4の撓みが抑制されるので、キャスタ3の動きが安定する。
【0060】
距離調節部材5を第1の連結部材51と第2の連結部材52と第3の連結部材53との3種類の連結部材で構成したので、第2の連結部材52が第1の連結部材51から外れにくくなる。
【0061】
次に、この発明の変形例に係る台車拡張装置を
図12に基づいて説明する。
上述の実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、上述の実施形態との主な相違部分についてだけ説明する。下記相違部分を除き、この変形例は上述の実施形態と同じ構成を有する。
【0062】
この変形例に係る台車拡張装置の一対の第1の連結部材151はそれぞれ、
図12に示すように、ほぼ長方形の第1の連結部材本体1511と、第1の連結部材本体1511の一方の長辺の部分(拡張ボード接触部1511a)に連なる第1の連結部材側第1の突出部1512と、第1の連結部材本体1511の他方の長辺の部分(拡張ボード接触部1511b)に連なる第1の連結部材側第2の突出部1513とを有する。
【0063】
第1の連結部材側第1の突出部1512が拡張ボード2の拡張ボード側第1の長孔2aに挿入されたとき、第1の連結部材本体1511の拡張ボード接触部1511aが拡張ボード2の裏面に接触する。これに対し、第1の連結部材側第2の突出部1513が拡張ボード2の拡張ボード側第1の長孔2aに挿入されたとき、第1の連結部材本体1511の拡張ボード接触部1511bが拡張ボード2の裏面に接触する。
【0064】
台車7の台71の高いとき、第1の連結部材側第2の突出部1513を上に向けて拡張ボード2の拡張ボード側第1の長孔2aに挿入する。
【0065】
第1の連結部材本体1511は、キャスタ固定部材側突出部42が挿入される第1の連結部材側第1の長孔(第1の連結部材側第1の孔)51aを有する。
【0066】
第1の連結部材側第1の突出部1512は、第2の連結部材側突出部522が挿入される第1の連結部材側第2の長孔(第1の連結部材側第2の孔)51bを有する。
【0067】
第1の連結部材側第2の突出部1513は、第2の連結部材側突出部522が挿入される第1の連結部材側第3の長孔(第1の連結部材側第3の孔)51cを有する。
【0068】
この変形例の台車拡張装置によれば、上述の実施形態の台車拡張装置1と同様の効果を奏するとともに、拡張ボード接触部1511bから第1の連結部材側第1の長孔51aまでの長さD2が、拡張ボード接触部1511aから第1の連結部材側第1の長孔51aまでの長さD1より長いので、第1の連結部材151の上下を逆にする(第1の連結部材側第2の突出部1513を上にする)だけで拡張ボード2の高さを調節でき、作業性が向上する。なお、もしこのとき撓み抑制部材を使用するのであれば、上述の撓み抑制部材6の撓み抑制部材本体6Aの縦方向の長さより、上記長さD1と上記長さD2との差の分だけ長い縦方向の長さの撓み抑制部材本体を有する撓み抑制部材(図示せず)を使用すればよい。
【0069】
上述の実施形態では、距離調節部材5を第1の連結部材51と第2の連結部材52と第3の連結部材53との3種類の連結部材で構成したが、距離調節部材5を第1の連結部材51と第2の連結部材52との2種類の連結部材だけで構成してもよい。
【0070】
上述の実施形態では、拡張ボード2、キャスタ固定部材4、距離調節部材5がそれぞれプラスチック段ボール製であるが、それらの材料はプラスチック段ボールに限定されず、プラスチック段ボール以外の合成樹脂でも金属でもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 台車拡張装置
2 拡張ボード
2a 拡張ボード側第1の長孔(拡張ボード側第1の孔)
2b 拡張ボード側第2の長孔(拡張ボード側第2の孔)
2c 拡張ボード側第3の長孔(拡張ボード側第3の孔)
2d1~2d4 ボルト通し孔
3 キャスタ
31 本体
32 トッププレート
32a ボルト通し孔
33 車軸
34 車輪
4 キャスタ固定部材
4a キャスタ固定部材側孔
4b ボルト通し孔
41 キャスタ固定部材本体
42 キャスタ固定部材側突出部
5 距離調節部材
51,151 第1の連結部材
51a 第1の連結部材側第1の長孔(第1の連結部材側第1の孔)
51b 第1の連結部材側第2の長孔(第1の連結部材側第2の孔)
51c 第1の連結部材側第3の長孔(第1の連結部材側第3の孔)
511,1511 第1の連結部材本体
511a,1511a,1511b 拡張ボード接触部
512 第1の連結部材側突出部
1512 第1の連結部材側第1の突出部
1513 第1の連結部材側第2の突出部
52 第2の連結部材
52a 第2の連結部材側第1の長孔(第2の連結部材側第1の孔)
521 第2の連結部材本体
522 第2の連結部材側突出部
53 第3の連結部材
531 第3の連結部材本体
532 第3の連結部材側突出部
6 撓み抑制部材
6A 撓み抑制部材本体
6B 撓み抑制部材側第1の突出部
6C 撓み抑制部材側第2の突出部
61 第1の撓み抑制プレート
611 第1の撓み抑制プレート側撓み抑制プレート本体
612 第1の撓み抑制プレート側第1の凸部
613 第1の撓み抑制プレート側第1の凹部
62 第2の撓み抑制プレート
621 第2の撓み抑制プレート側撓み抑制プレート本体
622 第2の撓み抑制プレート側第1の凸部
623 第2の撓み抑制プレート側第1の凹部
624 第2の撓み抑制プレート側第2の凸部
7 台車
71 台
72 キャスタ
73 ハンドル
8 ボルト
9 座金
D1,D2 拡張ボード接触部から第1の連結部材側第1の長孔までの長さ
【要約】
【課題】台車にタイヤを載せて展示したり運んだりするとき、タイヤの整列状態が不安定になるのを防ぐ。
【解決手段】この台車拡張装置1は、台車7の台71に接続される拡張ボード2と、拡張ボード2に装着されるキャスタ3と、キャスタ3が固定されるキャスタ固定部材と、キャスタ固定部材とを拡張ボード2に吊り下げるとともに、拡張ボード2とキャスタ3との距離を調節する距離調節部材5とを備える。
【選択図】
図1