(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】参照信号を送信するデバイスによって実施される方法、コンピュータプログラム製品、及びデバイス
(51)【国際特許分類】
H04L 27/26 20060101AFI20230331BHJP
H04W 92/18 20090101ALI20230331BHJP
【FI】
H04L27/26 114
H04W92/18
(21)【出願番号】P 2021536599
(86)(22)【出願日】2019-10-01
(86)【国際出願番号】 JP2019039418
(87)【国際公開番号】W WO2020090350
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-03-03
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】チョチーナ、クリスティーナ
【審査官】北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/171742(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/132237(WO,A2)
【文献】特表2018-520607(JP,A)
【文献】国際公開第2018/193594(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02887730(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0212733(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/26
H04W 92/18
IEEE Xplore
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス通信システムにおけるデバイス間(D2D)通信において、参照信号(RS)を送信するデバイスによって実施される方法であって、
前記D2D通信の無線チャネルに関係付けられる条件および前記D2D通信の通信パラメータに関係付けられる条件のうちの少なくとも一方の条件に従って、少なくとも2つのRSパターンのセットの中から、RSパターンを選択することと、
選択されたRSパターンに従って、D2D通信の無線信号を放出することと、
を含み、
前記RSパターンの選択は、
前記D2D通信の無線チャネルに関係付けられる条件又は前記D2D通信の前記通信パラメータに関係付けられる条件に対応する値を得ることと、
前記対応する値を、Th
i≦Th
i+1かつ、
各区間
【数1】
又は
【数2】
が前記少なくとも2つのRSパターンのセットのサブセットに対応するような閾値Th
0、...、Th
nのセットと比較すること
であり、Th
i
=Th
i+1
の場合には前記2つのRSパターンの第iのサブセットを無効化することと、
前記対応する値が内部に存在する前記区間に対応するRSパターンを選択することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記送信するデバイスによって前記D2D通信の無線チャネルに関係付けられる条件及び前記D2D通信の前記通信パラメータに関係付けられる条件、又は前記通信パラメータを求めることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記選択されたRSパターンに関する情報を送信することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記RSパターンのセットの中の少なくとも1つのRSパターンは、シンボルの数XがRSを含むパターンに対応し、前記RSパターンのセットの中の1つのRSパターンは、シンボルの数YがRSを含むパターンに対応し、前記数Yは、前記数Xとは異なり、各パターンのシンボルは、前記無線信号を送信するデバイスによって用いられる送信方式によって出力されるシンボルである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記RSパターンの選択は、少なくとも前記通信パラメータに従って行われ、前記通信パラメータは、パーティション方式の時間単位内のシンボルの数であり、前記パーティション方式は、前記無線信号を、シンボルのグループに分割する、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記RSパターンの選択は、少なくとも前記通信パラメータに従って行われ、前記通信パラメータは、前記D2D通信に用いられるシンボルの時間領域の持続時間である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記RSパターンの選択は、少なくとも前記通信パラメータに従って行われ、前記通信パラメータは、前記D2D通信に用いられるサブキャリア間隔構成である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記RSパターンの選択は、少なくとも前記通信パラメータに従って行われ、前記通信パラメータは、前記送信するデバイスによって前記無線信号の送信に用いられるリソースを含むリソースのセットである、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記RSパターンの選択は、複数の前記D2D通信の前記無線チャネルに関係付けられる条件のうちの少なくとも1つに従って行われ、前記複数の前記D2D通信の前記無線チャネルに関係付けられる条件のうちの前記少なくとも1つは、前記送信するデバイスと受信側デバイスとの間の相対速度、又は、前記送信するデバイスと受信側デバイスのグループとの間の相対速度である、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記RSパターンの選択は、少なくとも前記通信パラメータに従って行われ、前記通信パラメータは、ルーティング方式のタイプである、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ルーティング方式のタイプがブロードキャストである場合、前記RSパターンのセットの前記RSパターンの中の、RSを含む最大数のシンボルを有するRSパターンが選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記RSパターンの選択は、少なくとも前記通信パラメータに従って行われ、前記通信パラメータは、変調符号化方式のタイプである、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記RSパターンの選択は、少なくとも前記通信パラメータに従って行われ、前記通信パラメータは、送信方式のタイプである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記RSパターンの選択は、少なくとも前記通信パラメータに従って行われ、前記通信パラメータは、波形のタイプである、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記RSパターンの選択は、少なくとも前記通信パラメータに従って行われ、前記通信パラメータは、リソース配分である、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の方法をプロセッサが実行するためのコード命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項17】
ワイヤレス通信システムにおけるデバイス間(D2D)通信において、参照信号(RS)を送信するデバイスであって、
プロセッサと、
命令が記憶された非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、
前記D2D通信の無線チャネルに関係付けられる条件および前記D2D通信の通信パラメータに関係付けられる条件のうちの少なくとも一方の条件に従って、少なくとも2つのRSパターンのセットの中から、RSパターンを選択することと、
選択されたRSパターンに従って、D2D通信の無線信号を送信することと、
を行うように前記送信するデバイスを構成する、非一時的コンピュータ可読媒体と、
を備え、
前記RSパターンの選択は、
前記D2D通信の無線チャネルに関係付けられる条件又は前記D2D通信の前記通信パラメータに関係付けられる条件に対応する値を得ることと、
前記対応する値を、Th
i≦Th
i+1かつ、
各区間
【数3】
又は
【数4】
が前記少なくとも2つのRSパターンのセットのサブセットに対応するような閾値Th
0、...、Th
nのセットと比較すること
であり、Th
i
=Th
i+1
の場合には前記2つのRSパターンの第iのサブセットを無効化することと、
前記対応する値が内部に存在する前記区間に対応するRSパターンを選択することと、を含む、デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレス通信システムにおけるデバイス間通信(device to device communications:デバイス間通信)に関する。
【0002】
本発明は、より正確には、デバイス間通信における参照信号(RS)の実装に関する。
【背景技術】
【0003】
デバイス間通信において、LTE規格では、送信側デバイスが一意に事前定義されたRSパターンに従ってRSを挿入するとされている。この事前定義されたRSパターンは、高い時間密度を有する。
【0004】
ワイヤレス通信において、無線基地局とモバイル端末との間で通信が確立される場合には常に、無線基地局は、アップリンク/ダウンリンクチャネル状態情報の自身の知識及び/又は干渉プロファイルに基づいて、最適なRSパターンを求め、無線基地局が最適と判断したRSパターンを受信又は送信するようにモバイル端末を構成する。デバイス間通信において、いくつかのシナリオでは、無線基地局は、サイドリンク通信(すなわち、別のデバイスとの通信)のためにモバイルデバイスによって実装される最適なRSパターンを求めることができない。実際には、例えば、2つの通信デバイスは、無線基地局がカバーする領域の外にある場合がある。別の例では、無線基地局は、最適なRSパターンを求めるのに十分な、デバイス間通信の条件に対する情報を有しない場合もある。したがって、LTEにおける(特にV2Xシステムにおける)デバイス間(D2D)通信において実装されるRSパターンは、常に同じであり、ワーストケースに対処するように設計されたものである。実際には、このことにより、D2D通信において、通信路が不良である場合(例えば、受信機及び/又は送信機は非常に高速で移動している場合)でさえ、受信機が送信機によって送信されたデータを取り出すことが可能である。
【0005】
したがって、D2D通信用のLTEにおいて指定されるRSパターンをもちいることにより、正しいチャネル推定を行うことができるとともに、ワーストケース、例えば、無線チャネルが大きく変動する場合においても、無線信号を適切に復号することができる。
【0006】
しかしながら、無線チャネルがさほど不良ではない場合、例えば、無線チャネルの変動が最も緩やかな場合には、D2D通信用のLTEにおいて実装されるRSパターンは、不必要に大量のRSを送信することになり、無線リソースの利用効率の低下が起こることになる。
【0007】
加えて、新しい無線(NR)規格又は現在標準化されつつある5Gに代表される近年のミリ波システムでは、高搬送波周波数レベルで実行される動作は、位相雑音、搬送波周波数オフセット、ドップラー効果等のさまざまな原因によって無線チャネルの変動が強くかつ高速に発生する。これにより、チャネル状態の追跡が困難になる。なぜならば、RSの2つの連続送信間で強い変動が起こり得るためである。最悪の場合、新たなシステムでは、LTE規格の場合よりもさらに高い時間密度RSパターンを必要となる可能性がある。それゆえ、D2D通信においてそのようなRSパターンを実装することは、かなりの量の無線リソースの浪費を伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記状況を改善することを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明は、ワイヤレス通信システムにおけるデバイス間(D2D)通信において、参照信号(RS)を送信するデバイスによって実施される方法に関する。本方法は、
-デバイスによって、通信条件に従って、少なくとも2つのRSパターンのセットの中から、或るRSパターンを選択することと、
-選択されたRSパターンに従って、RSセットを送信するD2D通信の無線信号を放出することと、
を含む。
【0010】
本発明により、D2D通信における送信側デバイス、すなわち、他のデバイスにデータを直接送信するデバイスが、D2D通信の条件に従って、無線信号におけるRSの量並びに時間及び周波数におけるそれらの位置を適応させることが可能になる。通信条件は、デバイスによって、例えば、このデバイスがD2D通信においてともに関与する別のデバイスとの相対速度を求めることによって、求めることができる。デバイスは、通信条件を求めるために、(例えば、サイドリンク制御チャネルに対するフィードバック、同期シーケンス、及び/又は参照信号等を介して)、このデバイスがD2D通信においてともに関与するか又は将来関与することになる他のデバイスによって送信されるか、又は、無線基地局がカバーする領域内にデバイスがある場合に、その基地局によって送信される情報を用いることができる。それらの通信条件に基づいて、送信側デバイス(無線信号を放出するデバイス)は、RSパターンを選択する。
【0011】
送信側デバイスによって実装されるRSパターンは、例えば、無線チャネルの品質、及びD2D通信に関与するデバイスの通信パラメータ(送信方式、サブキャリア間隔等)である通信条件に従って、RSの量及び(周波数及び/又は時間における)それらの位置を最適化するように選択されることになる。基地局は、送信側デバイスによって選択されるRSパターンを認識していない場合がある。
【0012】
したがって、これにより、無線リソースを浪費して不要な量のRSを送信することなく、正しいチャネル推定を有するとともに、受信機側において無線信号を適切に復号することが可能になる。
【0013】
加えて、デバイスは、デバイスの通信パラメータに適応されたRSパターンを選択することができる。例えば、RSパターンは、DFTsOFDM又はOFDMのような無線信号を生成するのに用いられる波形に従って選択することができる。通信パラメータに適応されたRSパターンを用いることにより、受信機側における無線信号の復号を向上させることも可能になる。例えば、データ及びRSが同じシンボルにおいて混合する場合、DFTsOFDM(SC-FDMAとしても知られている)では、信号の低いピーク対平均電力比を保つために、CP-OFDMのように周波数領域ではなく、DFT前(pre-DFT)領域において、RSをデータとともに挿入することが好ましい。それゆえ、異なる波形に用いられるパターンはそれぞれ異なる。その上、周波数領域におけるRSの挿入は、例えば、CP-OFDMと同じ周波数領域パターンを用いるとともに仕様作業(specification effort)を削減するためにDFTsOFDMで実行される必要がある場合、同じシンボル内のデータ/RS多重化は、禁止されるか、又は、良好なピーク対平均電力比を確保するために特定の反復及び/又は移相規則に従わなければならない。このような場合では、総RSオーバーヘッドを制御するために、DFTsOFDMの場合の時間領域における密度パターンに対する制約は、CP-OFDMの場合とは異なるものとすることができる。それゆえ、異なる波形に用いられるパターンはそれぞれ異なる。
【0014】
参照信号は、本発明では、シンボルの値及びそれらの位置に関して受信機によって既知である全ての当該シンボルを包含し、それに基づいて、受信機は、送信機と受信機との間のチャネルの影響、及び(ノントランスペアレント送信方式の場合では)無線信号を結果としてもたらす送信側デバイスによって行われる変換を推定することができる。例えば、参照信号の受信バージョン(例えば、チャネル、雑音及び/又は位相雑音等によって破損したバージョン)に基づいて、受信機は、チャネルを推定する、及び/又はチャネル推定品質を改善することができる。ここで、チャネルは、非線形性、位相雑音、ドップラー、搬送波周波数オフセット等の伝播及びハードウェアの影響を含む全ての効果を包含することに留意されたい。
【0015】
NRの場合では、これらのRSは、例えば、PTRS、DMRS、SRS、CSI-RS、又は測位、発見等の種々の目的に用いられるRSとすることができる。
【0016】
RSパターンは、RSの位置を指定するパターンである。これらの位置は、いくつかの方法において定義することができる。
【0017】
RSパターンは、RSが占有する時間における位置(時間位置とも称される)及び周波数における位置を指定することができる。
【0018】
例えば、LTE V2Xにおいて、サイドリンクチャネルごとに、1つの単一RSパターンは、セルラーV2X通信の状況におけるサイドリンク送信においてモバイル送信機によって挿入されるDMRSの可能な位置及び数を指定する。例えば、LTEサイドリンク共有チャネルについて、DMRSは、サブフレーム内の第1のスロットの時間位置2及び5に(すなわち、第3のシンボル及び第6のシンボルに)位置決めされ、また、サブフレーム内の第2のスロットの時間位置1及び4に(すなわち、第2のスロットの第2のシンボル及び第5のシンボルに)位置決めされる。ここで、サブフレームは、常に14個のシンボルを含む。指定されたシンボルにおいて、全てのサブキャリアがRSによって占有される。別の例では、SC-QAM、SC-FDE方式、又はシンボルのブロックを処理することに基づく他の送信方式の場合、シンボルの各ブロックは、SC-QAM/SC-FDE変調器によってSC-QAM/SC-FDEシンボル内に変換され、RSパターンは、時間位置(すなわち、SC-QAM/SC-FDEシンボルのスイートの中のRSを搬送するSC-QAM/SC-FDEシンボルの位置)、及び、SC-QAM/SC-FDE変調器の入力においてRSを含むシンボルの各ブロック内でRSによって占有される位置を指定することができる。例えば、専用のRSシンボルが利用される(1つのシンボル内にRS/データミックスはない)場合、RSパターンは、時間位置のみを指定することができる。
【0019】
RSパターンは、時間位置、及びRSによって占有されるDFT前位置を指定することができる。例えば、送信側デバイスがDFT前でのRS挿入を用いてDFTsOFDM方式を実施する場合、RSパターンは、RSを含むDFTsOFDMシンボル、及び、RSを含むそれらのDFTsOFDMシンボルについてのDFTの入力において、RSによって占有される位置を指定することができる。
【0020】
時間及び/又は周波数における位置は、これらの時間及び/又は周波数位置に位置するリソースユニットであり、場合によっては、最小リソースユニットである。周波数位置は、多くの場合、このRS(又はリソースユニット)配分リソースを搬送するのに用いられるサブキャリアである。時間位置は、多くの場合、このRSが存在するシンボルである。DFT前位置は、
図2に記載されるようなDFTsOFDM変調器のDFTの入力において存在するシンボルのブロック内のRSの位置である。
【0021】
デバイス間通信は、無線基地局をトラバースすることを伴わない少なくとも2つのデバイス間の直接通信である。
【0022】
通信条件は、D2D通信に関与するデバイス間の無線チャネル及び/又はこのD2D通信のパラメータ(通信パラメータ)に関係付けられる条件である。
【0023】
RSパターンのセットは、いくつかの異なるRSパターンを含む。これらのRSパターンにより、異なる状況、すなわち、通信条件による異なる状況をカバーすることが可能になる。したがって、RSパターンのセット内の少なくとも1つのRSパターンは、通信条件の第1の状況に対応し、RSパターンのセット内の別のRSパターンは、通信条件の第2の状況に対応する。
【0024】
選択されたRSパターンに従って無線信号を放出するとは、選択されたRSパターンに従ってRSセットを送信する無線信号を放出することであり、すなわち、選択されたRSパターンによって定義された位置に従って、RSを挿入することであり、すなわち、例えば、特定のシンボル内の特定のサブキャリア上で、又は、特定のシンボル内の特定のDFT前位置において、各RSを搬送することである。RSパターンにおいて周波数位置が定義される場合、各シンボルは、1つ又はいくつかのRSを、すなわち、1つ又はいくつかのサブキャリア上で搬送することができる。一連のシンボルが、送信側デバイスによって出力され、一連のシンボルの各シンボルは、RSパターンに従って1つ又はいくつかのRSを含む場合も、含まない場合もある。この一連のシンボルは、その後、無線信号を通じて送信される。
【0025】
RSが内部に挿入されるシンボルは、無線信号を通じて送信されるシンボル、例えば、OFDMシンボル又はDFTsOFDM(DFT拡散OFDM)シンボルである。
【0026】
本発明の一態様によれば、デバイスは、選択されたRSパターンに関する情報を送信する。
【0027】
これにより、D2D通信において無線信号を受信するデバイスは、送信側デバイスによって放出された無線信号内にRSが挿入された際に従ったRSパターンの通知を受けることが可能になる。したがって、受信側デバイスは、無線信号においてRSの位置を求めるのに必要な計算が少なくなる。それゆえ、RSを処理して、無線信号に対する無線チャネルの影響及び/又は送信側デバイスによって用いられる送信方式(ノントランスペアレント送信方式である場合)を推測するのに必要な計算が少なくなる。
【0028】
選択されたRSパターンに関する情報は、受信側デバイスがRSパターンを求めることが可能になる任意の情報である。
【0029】
この情報は、明示的な情報、例えば、RSパターンのセットにマッピングされたインデックスからの値とすることができる。この情報は、サイドリンク制御チャネル、すなわち、D2D通信に専用化された制御チャネルにおけるフィールド内で設定することができる。別の例では、各RSパターンは、RSを含むシンボルのインデックス、又はRSを含むシンボルの数によって表すことができる。したがって、サイドリンク制御チャネルにおけるフィールドは、これらの数を通知することができる。これらの数のうちの少なくとも1つについて、いくつかのRSパターンがRSパターンのセット内で利用可能である場合、周波数領域におけるRSの密度のレベル、すなわち、RSを含む各シンボル内でRSを搬送するサブキャリアの数(又は平均数)のインジケーション、例えば、低周波数密度の値、中程度の密度の値、及び高密度の値を表す第2の情報をサイドリンク制御チャネルにおいて送信することができる。
【0030】
別の例では、RSパターンは、自身のRSの数によって表すことができる。RSパターンのセット内のいくつかのRSパターンが同じ数のRSを有する場合では、それらを区別するために、サイドリンク制御チャネルにおけるRSの数とともに第2の情報を送信することができる。
【0031】
この情報は、受信側デバイスが、送信側デバイスによって送信された情報によって明示的に識別されることなく、用いられるRSパターンを求めることを可能にする暗黙的な情報とすることができる。例えば、受信側デバイスは、受信側デバイス及び送信側デバイスの双方によって既知の規則の共通セットに基づいて、及び/又は、他の目的に関係付けられた情報に基づいて、用いられるRSパターンを求めることができる。例えば、他の目的に関係付けられた情報は、スロット構成に対するインジケーション、他のタイプのRSの構成のインジケーション、及び/又は、通信のパラメータに関するインジケーション、又は、特定のRSパターンを明示的には示していない他の任意の情報とすることができる。別の例では、周波数領域(又はDFT前領域)におけるRSの数及び/又は厳密な位置は、通信条件に依存する。
【0032】
RSパターンは、RSの時間及び周波数(又はDFT前)位置を共同で表す情報によって識別することができる。それゆえ、全ての可能なパターンは、一意に識別される。RSパターンは、RSの時間位置及びRSの周波数(又はDFT前)位置に対する別個の情報によって識別することができる。それゆえ、この情報の一部は、暗黙的に推測することができ、シグナリングする必要がなく、シグナリングオーバーヘッドが削減される。
【0033】
本発明の一態様によれば、RSパターンのセットの中の少なくとも1つのRSパターンは、シンボルの数XがRSを含むパターンに対応する。RSパターンのセットの中の1つのRSパターンは、シンボルの数YがRSを含むパターンに対応する。この数Yは、数Xとは異なる。各パターンのシンボルは、無線信号を送信するデバイスによって用いられる送信方式によって出力されるシンボルである。
【0034】
したがって、RSパターンのセットの少なくとも2つのRSパターンは、RSを含む異なる数のシンボルを有する。これにより、送信側デバイスは、RSパターンのセットの中から、無線チャネルの変動が著しい場合により好適なより多くの数のRSシンボルを有するRSパターンを選択するとともに、無線チャネルの変動が適度であるか又は低く、また、無線リソースの使用がより良好である場合により好適なより少ない数のRSシンボルを有するRSパターンを選択することが可能になる。
【0035】
数X及びYは、1とパーティション方式の時間単位内のシンボルの最大数との間に設定される。このパーティション方式は、無線信号を時間単位(すなわち、シンボルのグループ)に分割する。特に言及しない限り、時間単位は、シンボルのグループ内のシンボルの数によって定義される。
【0036】
本発明の一態様によれば、RSパターンの選択は、通信条件のうちの少なくとも1つに従って行われ、通信条件のうちのこの少なくとも1つは、パーティション方式の時間単位内のシンボルの数であり、このパーティション方式は、無線信号を複数の時間単位に分割する。
【0037】
したがって、RSパターンの選択は、少なくとも、パーティション方式の時間単位内のシンボルの数に従って行われる。
【0038】
パーティション方式(又は時間パーティション方式)の時間単位は、時間単位内の信号の時間分割である。すなわち、無線信号は、いくつかの時間単位に分割することができる。時間単位のそれぞれは、いくつかのシンボルに分割される。有利なことに、RSパターンのセットの各RSパターンは、時間単位上で完全に定義される。すなわち、RSパターンに従ってRSを挿入する場合、RSの位置は、時間単位ごとに同一である。
【0039】
RSシンボルの数は、所与の時間単位についてのRSシンボルの数と見ることができる。
【0040】
LTE及びNR規格において、時間単位は、サブフレームであるか、又は、それぞれスロット若しくはミニスロットである。LTEでは、スロットは、6つ又は7つのシンボルを含み、サブフレームは、2つのスロット、すなわち、12個又は14個のシンボルを含む。NRでは、1スロット内のシンボルの数は、2個~14個のシンボルの範囲とすることができる。
【0041】
時間単位内のシンボルの数が増加する場合、例えば、相応するチャネル推定品質を達成するために、RSを含むより多くのシンボルを有する必要がある。したがって、時間単位内にRSを含むより多くの数のシンボルを有するRSパターンを選択することができる。
【0042】
時間単位内のシンボルの数が減少する場合、例えば、相応するチャネル推定品質を達成するとともに、RSを送信するのにより多くのリソースを用いることを回避するようにRSを含むシンボルの数を削減するために、RSを含むより少数のシンボルを有することが可能である。したがって、時間単位内にRSを含むより少ない数のシンボルを有するRSパターンを選択することができる。
【0043】
例えば、NRにおいて、小さいスロット、例えば、4つのシンボルを含むスロットがD2D通信に用いられる場合、大きいスロット、例えば、14個のシンボルを含むスロットが用いられる場合よりも少ない数のRSを有するパターンを用いることが有利である。
【0044】
本発明の一態様によれば、RSパターンの選択は、通信条件のうちの少なくとも1つに従って行われ、通信条件のうちのこの少なくとも1つは、D2D通信に用いられるシンボルの時間領域の持続時間である。
【0045】
したがって、RSパターンの選択は、少なくとも、D2D通信に用いられるシンボルの時間領域の持続時間に従って行われる。
【0046】
マルチキャリア通信における時間領域の持続時間は、サブキャリア間隔構成、すなわち、2つの隣接したサブキャリア間の周波数間隔に依存することができる。より小さいサブキャリア間隔構成を有するシンボルは、より大きいサブキャリア間隔構成を有するシンボルよりも、長い持続時間を有することができる。
【0047】
NRのような新たな規格は、同じキャリア内で異なるサブキャリア間隔構成を用いる可能性を提供する。したがって、デバイスは、それらの異なるタイプのサブキャリアを用いる能力を有することができる。より一般的には、デバイスは、異なる時間領域の持続時間を有するシンボルを有するデータを送信する能力を有することができる。
【0048】
したがって、デバイスによって用いられるシンボルの時間領域の持続時間(又はサブキャリア間隔構成)に応じて、異なるRSパターンを実装することができる。例えば、所与の時間単位について、より長い持続時間を有するシンボルを用いる場合、より小さい持続時間を有するシンボルを用いる場合よりも、RSを含むより多くの数のシンボルを有するRSパターンを選択する方が有利(例えば、相応するチャネル推定品質を達成するのに有利)である。実際には、シンボルの持続時間が短縮される場合には、RSを搬送する2つのシンボルの間の時間も短縮される。したがって、RSを搬送するより少数のシンボルを有するRSパターンを選択することができる。
【0049】
本発明の一態様によれば、RSパターンの選択は、通信条件のうちの少なくとも1つに従って行われる。通信条件のうちのこの少なくとも1つは、デバイスによって無線信号の送信に用いられるリソースを含むリソースのセットである。
【0050】
したがって、RSパターンの選択は、少なくとも、無線信号を送信するデバイスによって用いられるリソースを含むリソースのセットに従って行われる。
【0051】
リソースのセットは、例えば、リソースプール及び/又は帯域幅部分、すなわち、デバイスによって場合によって用いることができる無線リソース(リソースユニット)のセットである。セルラー通信との干渉を制限するために、自身のリソースを有する少なくとも1つのリソースプールを、D2D通信のために構成することができる。また、無線基地局によって用いられる無線周波数帯域よりも狭い無線周波数帯域をサポートするデバイスの問題に対処するために、デバイスが送信及び/又は受信することが期待される帯域幅部分を構成することができる。これらのリソースプール又は帯域幅部分のそれぞれは、リソースプール及び/又は帯域幅部分の特殊性に適応された特定のRSパターンを有して用いることができる。
【0052】
例えば、異なるリソースプール及び/又は帯域幅部分を、異なる要件を有する異なるタイプのサービスに用いることができる。それゆえ、RSパターンは、所与のリソースプール/帯域幅部分に対応する要件に適応される。
【0053】
例えば、干渉プロファイル及び/又は同じ又は隣接した帯域におけるスケジューリングに対してネットワークが計画するサービスのタイプに応じて、デバイスがその中から選択することが可能であるRSパターンのセットをネットワークによって制約することができる。それゆえ、大域的ネットワーク性能は、デバイス間通信中にデバイスによって行われる選択によって影響を受けない。
【0054】
したがって、これらの特定のRSパターンは、RSパターンのセットに含めることができ、送信側デバイスは、デバイスがデータを送信するリソースのセットに対応するRSパターンのうちの1つを選択することができる。
【0055】
本発明の一態様によれば、RSパターンの選択は、通信条件のうちの少なくとも1つに従って行われ、通信条件のうちのこの少なくとも1つは、デバイスと受信側デバイスとの間の相対速度、又は、デバイスと受信側デバイスのグループとの間の相対速度である。
【0056】
したがって、RSパターンの選択は、少なくとも、デバイスと受信側デバイスとの間の相対速度、又は、デバイスと受信側デバイスのグループとの間の相対速度に従って行われる。
【0057】
D2D通信において、送信側デバイスと受信側デバイスとの間の相対速度は、無線チャネルに影響を与える。より具体的には、相対速度が高くなるほど、無線チャネルの変動が著しいものとなる。したがって、2つのデバイスが互いの間で高い相対速度を有する場合、多数のRSシンボルを有するRSパターンは、これらのデバイス間の送信に、より良好に適合する。実際には、多数のRSシンボルを有するRSパターンに従ってRSを挿入することにより、無線チャネルの変動をより微細に追跡するとともに、RSを含まないシンボルを送信するのに用いられる無線チャネルの不良な推定を有することを回避することが可能になる。対照的に、2つのデバイスが互いの間で低い相対速度を有する場合、より低い時間密度を有するRSパターンにより、無線リソースの使用を削減することが可能になる。それゆえ、送信側デバイスと受信側デバイスとの間の相対速度に適応されたRSパターンを用いることにより、無線信号を適切に復号するためにチャネルの推定を向上することが可能になり、同時に、無線リソースの使用が削減される。
【0058】
デバイスは、以下に基づいて受信側デバイスとの間で有する相対速度を求めることができる。
-受信側デバイスから受信された信号の強度及び/又は信号強度変動の測定値、
-受信側デバイスから受信された信号のドップラーシフト及び/又はドップラー拡散の測定値、
-受信側デバイスから受信される、受信側デバイスによって実行されたドップラーシフト、及び/又は、ドップラー拡散、及び/又は、信号強度のインジケーション、
-送信側デバイス又は受信側デバイスと共同配置される他の測定システムから取得された相対速度に対する知識。
【0059】
送信側デバイスが受信側デバイスのグループとともにD2D通信に関与する場合、送信側デバイスは、デバイスのグループ内のデバイスの全て若しくは一部に対する平均相対速度、又は、受信側デバイスのグループの全て若しくは一部(すなわち、受信側デバイスのグループの中のデバイスのサブセット)の信号強度に従って重み付けされた相対速度を用いて得られる平均相対速度を用いることができる。
【0060】
相対速度は、相対速度のクラス又は範囲とすることができる。例えば、相対速度の範囲(例えば、歩行者/車両/高速、又は低/中/高速等)の大まかな判定が実行される。
【0061】
本発明の一態様によれば、RSパターンの選択は、通信条件のうちの少なくとも1つに従って行われ、通信条件のうちのこの少なくとも1つは、ルーティング方式のタイプである。
【0062】
したがって、RSパターンの選択は、少なくとも、D2D通信において用いられるルーティング方式のタイプに従って行われる。
【0063】
ルーティング方式のタイプは、デバイスがデータを送信する他のデバイスの範囲である。ルーティング方式は、例えば、ユニキャスト、ブロードキャスト及びマルチキャストである。
【0064】
ユニキャスト及びマルチキャストD2D通信は、一般に、フィードバックを可能にする2方向通信である。一方、ブロードキャスト通信は、一般に、受信側デバイスに関する情報がほとんど利用可能でない1方向通信である。したがって、ユニキャスト及びマルチキャスト通信では、デバイスは、例えば、フィードバックを通じて、又は、受信側デバイスから送信された、以前に受信された無線信号を分析することによって、無線チャネルに対するより正確な情報を得ること、例えば、デバイスと受信側デバイスとの間の相対速度を求めることが可能になる。デバイスは、受信側デバイスに関係付けられた通信条件に従ってRSパターンを選択することができる。例えば、デバイスは、相対速度の中央値、相対速度の中位数(medium)又は相対速度の加重和を考慮して、通信の性能を最適化することを可能にする規則に基づいて、RSパターンを選択する。受信側デバイスの数が合理的である、例えば、事前定義された閾値を下回る場合、デバイスは、自身と他の各受信側デバイスとの間の相対速度を考慮に入れることによって、RSパターンを選択することができる。受信側デバイスの数が送信側デバイスに過度に多くの処理を必要とする、例えば、受信側デバイスの数が閾値を超えている場合、デバイスは、受信側デバイスのグループの中の受信側デバイスのサブセットのみの相対速度を考慮に入れることによって、RSパターンを選択することができる。
【0065】
ブロードキャストの場合では、デバイスは受信側デバイスから送信された無線信号を以前に受信していない場合があるため、デバイスは、RSパターンのセットの、最大数のRS(又はRSを含む最大数のシンボル)を有するRSパターンを選択することができる。
【0066】
本発明の一態様によれば、RSパターンの選択は、通信条件のうちの少なくとも1つに従って行われ、通信条件のうちのこの少なくとも1つは、変調符号化方式のタイプである。
【0067】
したがって、RSパターンの選択は、少なくとも、D2D通信において用いられる変調符号化方式のタイプに従って行われる。
【0068】
変調符号化方式(MCS)のタイプに従ってD2D通信のRSパターンを選択することによって、無線信号を適切に復号するためにチャネルの推定を向上させることが可能になり、同時に、無線リソースの使用が削減される。実際には、無線信号のロバスト性、及び、したがって、この無線信号を復号する難易度は、通信に用いられる変調符号化方式に直接依存する。小量のシンボル及び低符号化レート(低次MCS)を用いる変調方式は、無線チャネルに対する無線信号の感度を低下させ、したがって、誤りを含む復号の可能性を低減させる。そのため、RSを含むより少ない数のシンボル、及び周波数領域における低密度(すなわち、低周波数密度)を有するRSパターンは、無線信号を適切に復号し、同時に、RSのために削減された量の無線リソースを用いるのに適したものであり得る。
【0069】
対照的に、かなりの量のシンボル及び高符号化レート(高次MCS)を用いる変調方式は、無線チャネルに対する無線信号の感度を高め、したがって、誤りを含む復号の可能性を高める。したがって、RSを含むより多くの数のシンボル、及び周波数領域におけるより高い密度を有するRSパターンは、無線信号を適切に復号するのに適したものであり得る。
【0070】
本発明の一態様によれば、RSパターンの選択は、通信条件のうちの少なくとも1つに従って行われ、通信条件のうちのこの少なくとも1つは、送信方式のタイプである。
【0071】
したがって、RSパターンの選択は、少なくとも、送信方式のタイプに従って行われる。
【0072】
送信方式は、放出された無線信号を得るために、デバイスによって送信されることになるデータに対して適用される方式である。すなわち、送信方式は、無線信号を得るために連続的に適用される異なるモジュールに対応する。
【0073】
送信方式に従ってRSパターンを選択することにより、無線信号を適切に復号するためにチャネルの推定を向上させることが可能になる。
【0074】
実際には、異なる送信方式では、異なるRSパターンを必要とする。例えば、時間領域プリコーダベクトルスイッチング等の送信ダイバーシティ方式では、同じプリコーダを用いてプリコーディングされた時間単位内のシンボルの各サブグループ内に少なくとも1つのRSが存在することを必要とする。別の例のマルチレイヤ送信又はノントランスペアレント送信方式では、いくつかの直交アンテナポートが用いられ、送信側デバイスは、受信側デバイスがいずれのサイクリックシフトがいずれのレイヤによって用いられるのか判別する(例えば、サイクリックシフトは、アンテナポート付番の昇順で選択され、用いられる参照信号は、モバイルデバイスの識別子に依存する)ために、対応するサイクリックシフトを有する適切なシーケンスを選択する必要がある。
【0075】
加えて、送信方式から発行される無線信号は、実施される方式に依存する或る特定の波形を有する。例えば、DFTsOFDM方式を実施する送信方式は、シングルキャリア波形を発行する。波形の特性、例えば、シングルキャリア特性を維持することが有利である。これを行うために、特定のRSパターン、すなわち、波形の特性を維持するか、又は波形の特性に対するRSの挿入の影響を少なくとも低減させることを可能にするRSパターンを選択することが必要である場合がある。例えば、DFTsOFDM方式におけるシングルキャリア特性は、DFTsOFDM方式(SC-FDMAとしても知られる)のDFTモジュールを適用する前にRSを挿入することによって維持することができる。したがって、時間領域及び周波数領域における結果として得られるRSの位置は、この要件によって制約することができる。したがって、特定のRSパターンのみを波形ごとに適合させることができる。
【0076】
したがって、波形に従ってRSパターンを選択することにより、デバイスが実施する送信方式から発行される波形の特性を維持することが可能になる。その上、デバイスは、いくつかの波形/送信方式を実施することができる。
【0077】
本発明の一態様によれば、RSパターンの選択は、通信条件のうちの少なくとも1つに従って行われ、通信条件のうちのこの少なくとも1つは、リソース配分である。
【0078】
したがって、RSパターンの選択は、少なくとも、リソース配分に従って行われる。
【0079】
リソース配分は、デバイスに配分され、他のデバイスとのD2D通信において送信するのに有効に用いられる無線リソースである。
【0080】
デバイスは、自身に配分されているリソースユニットを通じて、データを送信する。各配分は、サイズ及び形状(配分されたリソースユニットが周波数領域及び時間領域においてどのように拡散されるか)が異なり得る。リソース配分のサイズ及び形状に従って、いくつかのRSパターンは、より良好に適合することができる。例えば、短い持続時間の配分、例えば、時間単位内よりも少数のシンボル、及び/又は、周波数領域における狭い配分、(時間領域及び/又は周波数領域における)RSの所望の密度を維持するパターンを選択することができる。したがって、D2D通信においてデバイスによって用いられるリソースの配分に従ってRSの挿入を適応させることにより、RSの関連密度を維持し、それゆえ、無線信号を適切に復号するためにチャネルの推定を向上させ、同時に、無線リソースの使用を削減することが可能になる。
【0081】
本発明の一態様によれば、RSパターンの選択は、通信条件のうちの少なくとも1つに従って行われ、通信条件のうちのこの少なくとも1つは、送信側デバイスの識別子及び/又は受信側デバイスの識別子及び/又は受信側デバイスのグループの識別子である。したがって、異なる送信に対応するRSの中からの干渉をランダム化することができ、それゆえ、システム性能が改善する。したがって、送信側デバイス及び受信側デバイス及び/又は受信側デバイスのグループが上記識別子の知識を有する場合、第2の情報を転送する必要がなく、シグナリングオーバーヘッドが削減される。
【0082】
本発明の一態様によれば、RSパターンの選択は、
-通信条件に対応する値を得ることと、
-Thi≦Thi+1となるように、および、各区間[Thi;Thi+1[又は]Thi;Thi+1]が少なくとも2つのRSパターンのセットのサブセットに対応するように、値を、閾値Th0、...、Thnのセットと比較することと、
-値が内部に存在する区間に対応するサブセットの中から、或るRSパターンを選択することと、
を含む。
【0083】
通信条件に対応する値は、デバイスによって求められる通信条件のうちの少なくとも1つ、より有利には、デバイスによって求められるいくつかの又は全ての通信条件に基づいて得られる値である。例えば、各通信条件に、条件値(例えば、レベル)を関連付けることができ、値は、これらの条件値の加重和として得ることができる。
【0084】
これにより、デバイスに閾値のセットのみを送信することによってデバイスを効率的に構成することが可能になる。実際には、閾値のセットのみが送信され、それゆえ、各セグメント[Thi;Thi+1]は、Thi≦Thi+1であることを仮定した閾値によっていずれの値が取得されても、以前に定義されたRSパターンの第iのサブセットに対応する。したがって、構成は、単に閾値を変更することによって、例えば、RSパターンの第iのサブセットを無効化するためにThi=Thi+1を設定することによって、容易に適応させることができる。
【0085】
デバイスの構成は、デバイスが基地局のカバレッジ内にある場合、無線基地局を介してネットワークによって行うことができる。
【0086】
デフォルト構成は、提供されてもよい。すなわち、特定の閾値を定義し、全てのデバイスによって既知とすることができる。送信側デバイスがデフォルト構成とは異なる閾値を用いる場合、これらの異なる閾値に関する情報が受信側デバイスに転送される。デバイスの構成は、デバイスが位置する地理的エリアに依存するものとすることができ、それゆえ、所与の地理的エリア内の全てのデバイスは、閾値に関する共通の理解を有する。
【0087】
本発明の一態様によれば、RSパターンの選択は、通信条件のうちの少なくとも1つに従って行われ、通信条件のうちのこの少なくとも1つは、送信される情報のタイプである。
【0088】
例えば、基本データ、制御データ、安全関連情報等の異なるタイプの情報は、信頼性に関して異なる要件を有することができる。高信頼度要件を有するデータの場合、通信の良好な品質を確保するために、より多くのRSを有するRSパターンが必要となる。
【0089】
本発明の一態様によれば、RSパターンの選択は、通信条件のうちの少なくとも1つに従って行われ、通信条件のうちのこの少なくとも1つは、搬送波周波数である。実際には、チャネルプロファイルは、異なる搬送波周波数において異なり、周波数選択性、位相雑音プロファイル、ビームフォーミング利得、ドップラープロファイルに関して著しい差が存在する。それゆえ、RSパターンの選択は、搬送波周波数に応じて行うことができる。例えば、RSを含むより多くのシンボルを有するRSパターンは、より高い搬送波周波数において必要となる。それゆえ、チャネルの位相効果をより良好に補償することができる。例えば、周波数領域においてより多くのRSを有するRSパターンは、より低い搬送波周波数において必要となる。それゆえ、より多くの周波数選択性チャネルをより良好に補償することができる。
【0090】
本発明の第2の態様は、プロセッサによって実行されると、上記で記載された方法を実行するコード命令を含む、コンピュータプログラム製品に関する。
【0091】
本発明の第3の態様は、ワイヤレス通信システムにおけるデバイス間(D2D)通信において、参照信号(RS)を送信するデバイスであって、
-プロセッサと、
-命令が記憶された非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令は、プロセッサによって実行されると、
・通信条件に従って、少なくとも2つのRSパターンのセットの中から、或るRSパターンを選択することと、
・求められたRSパターンに従って、D2D通信の無線信号を送信することと、
を行うようにデバイスを構成する、非一時的コンピュータ可読媒体と、
を備える、デバイスに関する。
【0092】
本発明は、添付図面の図に、限定としてではなく例として示される。添付図面において、同様の参照符号は同様の要素を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【
図1】本発明による送信側デバイス及び受信側デバイスを示す図である。
【
図2】SC-FDMA送信側デバイスのブロック図である。
【
図3.1】OFDM方式を実施する送信側デバイスの場合における、本発明によるRSパターンを表す図である。
【
図3.2】OFDM方式を実施する送信側デバイスの場合における、本発明によるRSパターンを表す図である。
【
図3.3】OFDM方式を実施する送信側デバイスの場合における、本発明によるRSパターンを表す図である。
【
図4.1】SC-FDMA方式を実施する送信側デバイスの場合における、本発明によるRSパターンを表す図である。
【
図4.2】SC-FDMA方式を実施する送信側デバイスの場合における、本発明によるRSパターンを表す図である。
【
図4.3】SC-FDMA方式を実施する送信側デバイスの場合における、本発明によるRSパターンを表す図である。
【
図5】本発明による、選択されたRSパターンに従って無線信号を放出するステップを表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0094】
図1には、受信側デバイス1.2によって受信される無線信号を放出する送信側デバイス1.1が示されている。受信側デバイス1.2は、送信側デバイス1.1のカバレッジ内にある。この送信は、例えばOFDMベース送信、又は例えばSC-FDMAとすることができる。受信側デバイス1.2及び送信側デバイス1.1は、双方ともモバイルデバイスである。すなわち、これらのデバイスは、D2D通信、例えば、標準LTE又はNRの状況における車両対全てのモノ(V2X:Vehicle-to-everything)通信に関与する。より一般的には、送信側デバイス1.1及び受信側デバイス1.2は、任意のタイプのモバイルデバイス、例えば、車両通信システム、パーソナル通信機器(例えばユーザ機器)等とすることができる。
【0095】
送信側デバイス1.1は、1つの通信モジュール(COM_trans)1.3と、1つの処理モジュール(PROC_trans)1.4と、メモリユニット(MEMO_trans)1.5とを備える。MEMO_trans1.5は、コンピュータプログラムを取り出す不揮発性ユニット、及び送信方式のパラメータ(適用される変調方式、サブキャリア間隔構成、スロットのサイズ等)及びRSパターンのセットを取り出す揮発性ユニットを含む。PROC_trans1.4は、データを、送信方式(送信方式の一例が
図2において記載される)に従って受信側デバイス1.2に送信するために処理し、送信側デバイス1.1によって選択されたRSパターンにおいて定義された位置に対応する無線信号内のRSの位置等のこれらのRSを挿入するように構成される。COM_trans1.3は、無線信号を放出するように構成される。送信されるように意図されたデータの処理は、PROC_trans1.4ではなくCOM_trans1.3によって実現することもでき、その場合には、PROC_trans1.4が、COM_trans1.3がこの処理を実行するように構成する。実際には、処理は、送信方式に従ったデータの処理に専用化された電子回路によって実行することもできるし、送信方式に従ってデータを処理するプロセッサによって実行することもできる。本発明は、そのような実施態様に限定されず、送信方式に従ってデータを処理するために電子及びコンピューティング処理の任意の組み合わせを包含する。
【0096】
受信側デバイス1.2は、1つの通信モジュール(COM_recei)1.6と、1つの処理モジュール(PROC_recei)1.7と、メモリユニット(MEMO_recei)1.8とを備える。MEMO_recei1.8は、コンピュータプログラムを取り出す不揮発性ユニット、及び受信方式のパラメータを取り出すとともにD2D通信において送信側デバイス1.1によって用いられるRSパターンを記憶する揮発性ユニットを含む。PROC_recei1.7は、受信方式に従って、送信側デバイス1.1から受信された無線信号を処理するように構成される。COM_recei1.6は、送信側デバイス1.1から無線信号を受信するように構成される。データを取り出すための無線信号の処理は、PROC_recei1.5ではなくCOM_recei1.6によって実行することもでき、その場合には、PROC_recei1.5が、COM_recei1.6がこの処理を実行するように構成する。実際には、処理は、受信方式に従った無線信号の処理に専用化された電子回路によって実行することもできるし、受信方式に従って無線信号を処理するプロセッサによって実行することもできる。本発明は、そのような実施態様に限定されず、受信方式に従って無線信号を処理するために電子及びコンピューティング処理の任意の組み合わせを包含する。
【0097】
図1の例では、2つのデバイスのみが表されている。しかしながら、本発明は、そのような1対1のD2D通信に限定されず、2つ以上のデバイスが無線信号を受信するように意図される場合も包含する。例えば、いくつかの受信側デバイスが、例えばマルチキャストタイプ送信又はブロードキャストタイプ送信において、送信側デバイス1.1によって送信された無線信号を受信することができる。
【0098】
図2には、シングルキャリア周波数分割多重接続(SC-FDMA)方式を実施する送信側デバイス1.1のブロック図が示されている。そのような送信側デバイス1.1は、無線信号を得るために、M個のシンボルのブロックに対してSC-FDMA方式を適用することができる。
【0099】
シンボルのブロックは、例えばQAMデジタル変調方式又は他の任意のデジタル変調方式を実施する変調符号化方式(MCS)モジュールによって得ることができる。Mは、配分されたサブキャリアの数である。
【0100】
M個のシンボル(X
n)のブロックに、MサイズDFT2.1(離散フーリエ変換)が適用される。ただし、nは、0~M-1である。MサイズDFT2.1の出力において、M個の複素シンボル
【数1】
が、周波数領域において得られる。すなわち、M個の配分されたサブキャリアの中の第kのサブキャリアごとに1つの複素シンボルが得られる。これらの複素シンボルは、周波数領域において、サブキャリアマッピングモジュール2.2を用いて、NサイズIDFTモジュール2.3のN個のうちのM個の入力にマッピングされる。サブキャリアマッピングに関して、複素シンボルのベクトル
【数2】
は、サブキャリアマッピングモジュール2.2を介してN個の存在するサブキャリアのうちのM個の配分されたサブキャリアにマッピングされる。サブキャリアマッピングは、例えば、局所化することができ、すなわち、ベクトルSのM個の要素が、N個の存在するサブキャリアの中のM個の連続サブキャリアにマッピングされる。サブキャリアマッピングは、例えば、分散させることができ、すなわち、各ベクトルSのM個の要素が、未使用のサブキャリアを占有する0を用いて帯域幅全体にわたって等距離でマッピングされる。
【0101】
その後、サイズNの逆DFT2.3が、サブキャリアマッピングモジュール2.2の結果として得られるベクトル
【数3】
に適用され、したがって、SC-FDMAシンボルが生成され、送信アンテナ2.0から送信される。より正確には、IDFTモジュール2.3の出力において、信号
【数4】
が得られる。この信号は、N個の存在するサブキャリアのうちのM個の配分されたサブキャリアを占有する。信号
【数5】
は、時間領域信号であり、その周波数領域表現は、各第kの占有されたサブキャリアについて複素シンボルS
kである。ただし、k=0~M-1である。同様に、時間領域信号
【数6】
は、周波数領域では、各第kの周波数について複素シンボルS
kを表す。ただし、k=0~M-1である。この時間領域信号
【数7】
は、SC-FDMAシンボルを表している。IDFT後にサイクリックプレフィックスを付加することもできる。
【0102】
D2D通信は、多入力多出力(MIMO:Multiple-Input Multiple-Output)通信とすることができる。この場合では、送信側デバイス1.1は、MIMOエンコーダを実装する。当業者であれば、T個の送信側アンテナTxk(ただし、kは1~T)を実装するMIMO通信の場合においてSC-FDMA方式を実施する方法は既知である。すなわち、MIMOエンコーダは、例えば、MサイズDFT2.1の出力において設定することができ、MサイズDFT2.1は、第kのアンテナについて、MIMOエンコーダに入力される複素シンボルのベクトル
【数8】
を、プリコーディング行列に従って、複素シンボルのベクトル
【数9】
に変換する。その後、複素シンボルのベクトルS’
Txkのそれぞれに対してOFDM方式、すなわち、上記で記載されたように、サブキャリアマッピングモジュール2.2及びNサイズIDFTモジュール2.3が適用される。したがって、第kのアンテナは、SC-FDMAシンボルを表す信号
【数10】
を放出する。全ての信号
【数11】
は、送信側デバイス1.1によって放出された無線信号を形成する送信方式のシンボルを表している。
【0103】
当業者であれば、本発明は、送信側デバイス1.1において実装される他の方式、例えばOFDM方式を用いて適用することができること、すなわち、DFT2.1をM個のシンボルのブロックに適用するのではなく、これらのシンボルを、サブキャリアマッピングモジュール2.2を介してN個の存在するサブキャリアのうちのM個の配分されたサブキャリアに直接マッピングすることによって適用することができることを理解する。上に記載されたMIMO通信の場合では、OFDM方式を実施することは、DFT2.1をM個のシンボルのブロックに適用するのではなく、これらのM個のシンボルを、上記で記載されたこれらのシンボルを処理するMIMOエンコーダに直接入力することによって行われる。
【0104】
別の変形形態では、本発明は、DFTモジュール2.1の代わりに他のタイプのプリコーディングを適用することによって、他のタイプのプリコーディングOFDM方式に適用することができる。更に別の変形形態では、本発明は、非マルチキャリア送信方式に等しく適用される。
【0105】
図3.1~
図3.3及び
図4.1~
図4.3には、異なる波形を実施する送信方式によるNR規格におけるD2D通信の異なる可能なDMRS挿入パターンが示されている。
【0106】
図3.1~
図3.3は、OFDMベース方式を実施する送信方式とともに用いられる挿入パターンを参照している。
【0107】
NRでは、送信は、サイズが2個~14個のシンボルであるスロットに分割される。表現されているスロットは、9つのシンボルを含む。各正方形は、リソース要素(RE)、すなわち、最小時間-周波数単位を表している。REは、周波数領域における一意のサブキャリア及び時間領域における一意のシンボル上で搬送される。すなわち、REは、シンボルのサブキャリアを表している。12個のサブキャリアが、リソースブロックRB、すなわち、最小リソース配分単位を表している。
【0108】
1つのRSは、1つのREを占有する。したがって、RSパターンにおけるRS(例えば、DMRS)の位置がグレーで表されている。各
図3.1~3.3は、それぞれ、異なる数のRSを含むシンボルを有するRSパターンを表している。
図3.1は、1/9の時間密度、すなわち、スロットの9つのシンボルのうち、1つのシンボルが少なくとも1つのRSを含んでいることを表している。
図3.2は、2/9の時間密度、すなわち、スロットの9つのシンボルのうち、2つのシンボルがそれぞれ少なくとも1つのRSを含んでいることを表している。
図3.3は、3/9の時間密度、すなわち、スロットの9つのシンボルのうち、3つのシンボルがそれぞれ少なくとも1つのRSを含んでいることを表している。
図3.1及び
図3.3は、同じ周波数密度を有しており、4つのRSの周波数密度(又はRB内の12個のサブキャリアのうちの1/3)である。
図3.2は、6つのRSの周波数密度(又はRB内の12個のサブキャリアのうちの1/2)を有する。
【0109】
NR規格において、RSパターンは、1つのスロット上で完全に定義される。したがって、RSパターンを実施する場合、RSは、別のRSパターンが実施されるまで、全スロット内の同じ位置に挿入される。したがって、時間密度は、RSを含むシンボルの数を時間単位内のシンボルの数で除算したものである。
【0110】
送信側デバイスは、受信側デバイスに、サイドリンク制御チャネルにおけるフィールド内で特定の情報を送信することによって、D2D通信において用いられるRSパターンを通知することができる。
【0111】
特定の情報は、RSパターンのセットにマッピングされたインデックスからの値とすることができる。したがって、インデックスの各値は、特定のRSパターンを参照する。
【0112】
特定の情報は、RSパターン内の時間密度(又はRSを含むシンボルの数)を表す値、例えば、
図3.1に表されたRSパターンの場合には値1、
図3.2に表されたRSパターンの場合には値2、及び
図3.3に表されたRSパターンの場合には値3を含むことができる。RSパターンのセット内に、時間密度ごとにD2D通信にとって利用可能な最大で1つのRSパターンが存在する場合、受信側デバイス1.2は、この値に基づいて用いられるRSパターンを取り出すことができる。
【0113】
これらの数のうちの少なくとも1つについて、RSパターンのセット内でいくつかのRSパターンが利用可能である場合、特定の情報は、周波数領域におけるRSの密度のレベルを表す第2の値を含むことができる。例えば、値1は、
図3.1及び
図3.3に表されるように低周波数密度を表すことができ、値2は、
図3.2に表されるように高周波数密度を表すことができる。したがって、サイドリンク制御チャネルを通じて送信される特定の情報は、
図3.1に表されるRSパターンの場合にはペア(1;1)、
図3.2に表されるRSパターンの場合にはペア(2;2)、及び
図3.3に表されるRSパターンの場合にはペア(3;1)である。
【0114】
別の例では、これらの数のうちの少なくとも1つ及び/又はこれらの数のペアのうちの少なくとも1つについて、RSパターンのセット内でいくつかのRSパターンが利用可能である(例えば、周波数領域において異なる位置を有する、又は同じ位置にマッピングされた異なる値を有する)場合、RSパターンを一意に識別するのに必要である特定の情報は、例えば、送信機の識別子及び/又は受信機の識別子及び/又は受信機のグループの識別子のような通信条件に依存することができる。この場合では、送信機は、送信機及び受信機及び/又は受信機のグループによって共通に知られている通信条件に基づいたパターンを選択し、いずれの補足の特定の情報も送信する必要がない。
【0115】
図4.1~
図4.3は、SC-FDMA方式を実施する送信方式とともに用いられる挿入パターンを参照する。
【0116】
そのようなSC-FDMA方式を実施する場合、RSは、周波数領域において、すなわち、MサイズDFT2.1が適用された後、かつ、NサイズIDFTモジュール2.3が適用される前に挿入することができる。したがって、RSは、OFDM方式を実施する送信方式と同じ方式で挿入される。それゆえ、RSパターンは、同じ特定の情報によって表すことができる。
【0117】
加えて、SC-FDMA方式を実施する場合、時間領域において、すなわち、MサイズDFT2.1を適用する前に、RSを挿入することが有利である。そのような挿入により、SC-FDMA方式のシングルキャリア特性を維持することが可能になる。したがって、MサイズDFT2.1に入力されるM個のシンボルの中から、それらのうちのいくつかがRSとして設定される。
図4.1に表されるRSパターンでは、DFT2.1に入力されるM個のシンボル(Mは、
図4.1~
図4.3上では12に等しい)のうち2つのRSが挿入されることを必要とする。
図4.2に表されるRSパターンでは、M個のシンボルのうち4つのRSが挿入されることを必要とし、
図4.3に表されるRSパターンでは、M個のシンボルのうち6つのRSが挿入されることを必要とする。
【0118】
図3.1~
図3.3の場合と同様に、送信側デバイスは、受信側デバイスに、サイドリンク制御チャネルにおけるフィールド内で特定の情報を送信することによって、D2D通信において用いられるRSパターンを通知することができる。
【0119】
特定の情報は、RSパターンのセットにマッピングされたインデックスからの値とすることができる。したがって、インデックスの各値は、特定のRSパターンを参照する。
【0120】
特定の情報は、RSパターンのDFT前位置を表す値、例えば、
図4.1に表されたRSパターンの場合には値1、
図4.2に表されたRSパターンの場合には値2、及び
図4.3に表されたRSパターンの場合には値3とすることができる。
【0121】
図3.1~
図3.3の場合と同様に、送信側デバイスは、例えば、送信機の識別子及び/又は受信機の識別子及び/又は受信機のグループの識別子のような通信条件に基づいてDFT前位置を選択することができる。この場合では、送信機は、送信機及び受信機及び/又は受信機のグループによって共通に知られている通信条件に基づいて厳密なパターンを選択し、いずれの補足の特定の情報も送信する必要がない。
【0122】
当業者であれば、
図3.1~
図4.3は、他の任意のタイプのRSパターン及び任意のフレーム構造に容易に置き換えることができることを理解する。
【0123】
図5を参照すると、選択されたRSパターンに従って無線信号を放出するステップを表すフローチャートが示されている。
【0124】
ステップS1において、送信側デバイスが構成される。送信側デバイス1.1の構成は、基地局及び送信側デバイス1.1自身によって行うことができる。
【0125】
基地局によって行われる構成は、送信側デバイス1.1が、自身がD2D通信にともに関与することになる受信側デバイス1.2に従って構成されるように、送信側デバイス1.1がこの基地局のカバレッジ内にある場合に行われる。
【0126】
送信側デバイス1.1自身によって行われる構成は、通信を構成すること、すなわち、D2D通信において送信側デバイス1.1によって用いられる通信パラメータ(例えば、送信方式、サブキャリア間隔等)を設定することに関する。
【0127】
送信側デバイス1.1が基地局のカバレッジ内にあるとき、基地局は、送信側デバイス1.1を構成するための情報を送信側デバイス1.1に送信することができる。
【0128】
例えば、基地局は、閾値Th0、...、Thnのセットが設定される値のセットを送信することができる。各区間[Thi;Thi+1[又は]Thi;Thi+1]は、RSパターンの第iのサブセットに対応する。基地局によって送信される値のセットがThi=Thi+1を伴う場合、基地局は、RSパターンの第iのサブセットを無効化する。各区間の境界によって取得される値は、通信条件に従ってRSパターンの対応するサブセットの関連度を求める。以前に構成されている閾値のセットを、デフォルト構成として設定することができる。したがって、D2D通信に関与する受信側デバイス1.2は、送信側デバイス1.1がD2D通信における構成を用いることになることを認識している。RSパターンのサブセットは、一度だけ、又は閾値を用いて基地局によって構成することができる。
【0129】
別の例では、基地局は、リソースプール及び/又は帯域幅部分に関係付けられた情報を送信することができる。この情報により、送信側デバイス1.1がD2D通信について用いることができる異なるリソースプール及び/又は帯域幅部分を送信側デバイス1.1が求めることが可能になる。
【0130】
送信側デバイス1.1のこれらの構成は、デバイスが位置する地理的エリアに依存する。したがって、所与の地理的エリア内の全てのデバイスが、閾値のデフォルトセットを認識している。加えて、ワイヤレス通信用に配分される周波数帯域は、地理的エリアごとに異なる。
【0131】
ステップS3において、通信条件が求められる(言い換えれば、評価される)。通信条件は、デバイス1.1によって求めることもできるし、例えばサイドリンク制御チャネルを介して、他のデバイス1.2によって送信することもできる。すなわち、送信側デバイス1.1が通信条件のレベルを求めるか、又は、このレベルは、送信側デバイス1.1に送信される。
【0132】
通信条件は、送信側デバイス1.1と受信側デバイス1.2との間の無線チャネル及び/又はD2D通信のパラメータに関係付けられる。
【0133】
1.シンボルの数
通信条件のうちの1つは、パーティション方式の時間単位内のシンボルの数とすることができる。NR D2D通信の状況では、この通信条件は、受信側デバイス1.2への送信に用いられることになるスロット内のシンボルの数を指す。1スロット内のシンボルの数は、2個~14個のシンボルの範囲とすることができる。したがって、送信側デバイス1.1は、スロットのサイズにそれぞれ1~13のレベルを割り当てることができる。一変形形態では、送信側デバイス1.1は、スロットのサイズのグループにレベルを割り当てることができ、例えば、小サイズのスロット(例えば、2~4のスロット)にレベル1、中サイズのスロット(例えば、5~10のスロット)にレベル2、及び大サイズのスロット(例えば、11~14のスロット)にレベル3を割り当てることができる。これにより、RSパターンを選択するための計算の複雑度が低下する。
【0134】
2.シンボルの時間領域の持続時間
通信条件のうちの1つは、D2D通信に用いられるシンボルの時間領域の持続時間とすることができる。NR規格では、特にいくつかのサブキャリア間隔構成を実施するマルチキャリアを用いる場合、異なる持続時間を有するシンボルを用いることができる。送信側デバイス1.1は、各サブキャリア間隔構成又はサブキャリア間隔構成のグループにレベルを割り当てることができ、例えば、(広いサブキャリア間隔構成を有する)短持続時間シンボルにレベル1、(中程度のサブキャリア間隔構成を有する)中持続時間シンボルにレベル2、及び(小さいサブキャリア間隔構成を有する)長持続時間シンボルにレベル3を割り当てることができる。
【0135】
3.リソースプール及び/又は帯域幅
通信条件のうちの1つは、D2D通信において用いられるリソースプール及び/又は帯域幅部分とすることができる。実際には、NRでは、1キャリア内にいくつかのリソースプール及び/又は帯域幅部分を構成することができる。各リソースプール及び/又は帯域幅は、特定のサービスに用いることができる。これらのサービスは、異なるレベルの復号誤りに耐え得る。例えば、(安全関連情報を用いる)緊急サービスは、より良好なレベルの復号(それゆえより多くのRSを有するRSパターン)を要求する場合がある。加えて、リソースプール及び/又は帯域幅部分は、例えば、ネットワークが同じ又は隣接した帯域内の無線リソースを用いるか否かに応じて、異なる干渉プロファイルを有し得る。したがって、送信側デバイス1.1は、D2D通信に用いられるリソースプール及び/又は帯域幅部分に従ってレベルを割り当てることができる。
【0136】
加えて、ネットワークは、RSパターンのうちのいくつかを禁止することができる。
【0137】
4.相対速度
通信条件のうちの1つは、D2D通信に関与する送信側デバイス1.1と受信側デバイス1.2との間の相対速度とすることができる。
【0138】
送信側デバイス1.1は、以下を測定することによって、1つの受信側デバイス1.2との間の相対速度を求めることができる。
-受信側デバイス1.2から受信された信号の強度、
-受信側デバイス1.2から受信された信号の強度変動、
-受信側デバイス1.2から受信された信号のドップラーシフト、及び/又は、
-受信側デバイス1.2から受信された信号のドップラー拡散。
【0139】
相対速度は、送信側デバイス1.1に対する相対速度に関するインジケーションを送信する受信側デバイス1.2によって、これらの方法によって測定することもできる。
【0140】
相対速度は、送信側デバイス1.1又は受信側デバイス1.2と同じ位置に位置する他の測定システムによって得ることもできる。
【0141】
D2D通信に2つ以上の受信側デバイス1.2が関与する場合、送信側デバイス1.1は、(前述されたような)受信側デバイス1.2のそれぞれ又は少なくともサブセットの相対速度を得ることができ、それに基づいて、受信側デバイス1.2のグループの相対速度が得られる。
【0142】
グループの相対速度は、以下を計算することによって得ることができる。
-得られた相対速度の平均、又は、
-得られた相対速度のそれぞれが信号強度に従って重み付けされ、重みづけ付けされた相対速度の平均。
【0143】
相対速度、又はグループの相対速度に従って、送信側デバイス1.1は、レベルを割り当てることができ、例えば、低速度又は歩行者速度にレベル1、中速度又は車両速度にレベル2、及び高速度にレベル3を割り当てることができる。
【0144】
5.ルーティング方式
通信条件のうちの1つは、D2D通信において用いられるルーティング方式とすることができる。
【0145】
ルーティング方式がユニキャスト及びマルチキャストである場合、送信側デバイス1.1は、受信側デバイス1.2による無線チャネルに対するフィードバックを得るか、又は、受信側デバイス1.2から送信された、以前に受信された無線信号を分析することができる。したがって、送信側デバイス1.1は、例えば無線チャネルの品質に従ってレベルを割り当てることができ、例えば、高品質無線チャネルにレベル1、中程度の品質の無線チャネルにレベル2、及び不良品質無線チャネルにレベル3を割り当てることができる。D2D通信にいくつかの受信側デバイス1.2が関与する場合、受信側デバイス1.2のグループについて平均レベルを取得することができる。
【0146】
ブロードキャストの場合では、送信側デバイス1.1は、レベル3を自動的に割り当てることができる。
【0147】
6.変調符号化方式(MCS)
通信条件のうちの1つは、D2D通信において用いられる変調符号化方式とすることができる。
【0148】
NRでは、LTEと同様に、いくつかの符号化方式及びいくつかの変調方式、すなわち、いくつかの変調符号化方式が利用可能である。変調符号化方式は、信号のデータレート及びロバスト性に直接影響を与える。したがって、送信側デバイス1.1は、MCSの次数に従ってレベルを割り当てることができ、例えば、低次MCSにレベル1、中程度の次数のMCSにレベル2、及び高次MCSにレベル3を割り当てることができる。
【0149】
7.送信方式及び波形
通信条件のうちの1つは、D2D通信において用いられる送信方式及び/又は波形とすることができる。
【0150】
NRでは、コードブックベース、非コードブックベース、単一アンテナポート送信、時間又は周波数領域におけるプリコーダベクトル循環(precoder vector cycling)、トランスペアレント(例えば、サイクリック遅延ダイバーシティ)又は非トランスペアレント送信ダイバーシティ(例えば、アラモウチ(Alamouti)ベース)等のいくつかの送信方式が定義されるか、又は将来のリリースにおいて導入され得る。
【0151】
これらの送信方式は、さまざまな波形、例えば、SC-FDMA又はOFDMタイプの送信方式を実施する。送信側デバイス1.1は、特定のRSパターン、例えば、SC-FDMAタイプの送信方式が用いられる場合、RSのDFT前挿入のために設計されたRSパターンに制限することができる。
【0152】
8.リソース配分
通信条件のうちの1つは、D2D通信に配分されるリソースとすることができる。
【0153】
送信側デバイス1.1は、リソース配分のサイズ及び形状に従ってレベルを割り当てることができる。
【0154】
各特定の通信条件に従って割り当てられるレベルの前述の例では、レベルは、RSを含むシンボルの数とRSを搬送するサブキャリアの数との間では差がない。しかしながら、レベルは、レベルのペアに置き換えることができ、ペアの一方のレベルは選択されることになるRSパターンの時間密度に影響を与え、他方は選択されることになるRSパターンの周波数密度に影響を与える。
【0155】
レベルは、通信条件ごとに異なるように割り当てることができる。
【0156】
全ての通信条件が求められると、送信側デバイス1.1は、これらの通信条件に基づいて、ステップS5においてRSパターンを選択することができる。RSパターンの選択は、十分な通信条件が求められていた場合、すなわち、全ての通信条件が求められるのではなく、例えば事前定義された持続時間中に求めることができた通信条件に基づいて、それらのグループのみが求められた場合に行うこともできる。
【0157】
ステップS5において、通信条件に基づいて、送信側デバイス1.1は、RSパターンを選択する。
【0158】
各通信条件について、又は少なくとも通信条件の一部について、レベルが割り当てられており、及び/又は、RSパターンが禁止されており、及び/又は、選択がRSパターンのサブセットに制限される。RSパターンのセットから或るRSパターンを選択する前に、送信側デバイス1.1は、RSパターンの制限されたサブセットから禁止されたRSパターンを除去し、その後、RSパターンの結果として得られたセットの中から、或るRSパターンを選択することができる。
【0159】
RSパターンの結果として得られたセットの中から選択を行うために、送信側デバイス1.1は、通信条件に対応する値Vを得る。この値は、通信条件について得られたレベルを総和することによって得ることができる。総和は、レベルの加重和とすることができ、実際には、通信条件のうちの一部は、より関連したものであり得るとともに、RSパターンの選択に対するより直接的な影響を有し得る。値Vが得られると、値Vを含む第iの区間([Thi;Thi+1[又は]Thi;Thi+1])に対応するRSパターンのサブセットは、RSパターンの結果として得られたセットとの共通部分である。その後、送信側デバイス1.1は、この共通部分から結果として得られるRSパターンから、或るRSパターンを選択する。
【0160】
ステップS7において、送信側デバイス1.1は、選択されたRSパターンに関する情報を送信する。この情報は、受信側デバイス1.2がRSパターンを求めることを可能にする任意の情報とすることができる。例えば、特定の情報は、
図3.1~
図4.3に従って記載された値であり、サイドリンク制御チャネルにおけるフィールド内で送信される。
【0161】
別の例では、この情報は、暗黙的な情報であり、例えば、受信側デバイス1.2は、受信側デバイス1.2及び送信側デバイス1.1の双方に既知の規則の共通セットに基づいて、及び/又は、他の目的に関係付けられた情報に基づいて、用いられることになるRSパターンを求めることが可能である。例えば、他の目的に関係付けられた情報は、スロット構成に対するインジケーション、及び/又は、他のタイプのRSの構成のインジケーション、及び/又は、通信のパラメータに関するインジケーション、又は、特定のRSパターンを明示的には示していない他の任意の情報とすることができる。
【0162】
送信側デバイス1.1がデフォルト構成における閾値とは異なる閾値を用いた場合、これらの異なる閾値に関する情報は、受信側デバイス1.2に転送される。
【0163】
送信側デバイス1.1は、求められたRSパターンに従ってD2D通信の無線信号を放出し、すなわち、選択されたRSパターンにおいて定義された位置にRSを含む無線信号を放出する。