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特許7253877改良されたフィードバック制御を有する空気圧作動システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】改良されたフィードバック制御を有する空気圧作動システム
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/06 20060101AFI20230331BHJP
   B64C 13/48 20060101ALI20230331BHJP
   B64C 13/42 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
F15B11/06 C
B64C13/48
B64C13/42
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018087998
(22)【出願日】2018-05-01
(65)【公開番号】P2019032075
(43)【公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-04-28
(31)【優先権主張番号】15/588,178
(32)【優先日】2017-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500461860
【氏名又は名称】オーロラ フライト サイエンシズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ハチソン, マシュー ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ボスワース, ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ケーレンベック, アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ジェンセン, デヴィン
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特表平08-508234(JP,A)
【文献】特開2011-153709(JP,A)
【文献】特開2010-007703(JP,A)
【文献】米国特許第05806805(US,A)
【文献】米国特許第10428842(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/06
B64C 13/48
B64C 13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三重空気圧アーキテクチャシステム(500)であって、
第1の空気圧作動アセンブリ(100)を制御する第1の空気圧サブシステム(500a)であって、第1のサーボドライブ(204)から第1のサーボバルブ(212)への制御電流を測定して第1の電流測定値を出力するための第1の電流センサ(302)と、第1のリレー(304)に連結された第1のダンプバルブ(208)とを備え、第1のプロセッサ(202)が、前記第1のリレー(304)を作動させて前記第1のダンプバルブ(208)を開放するための終了信号を生成するように構成されている、第1の空気圧サブシステム(500a)、
第2の空気圧作動アセンブリ(100)を制御する第2の空気圧サブシステム(500b)であって、第2のサーボドライブ(204)から第2のサーボバルブ(212)への制御電流を測定して第2の電流測定値を出力するための第2の電流センサ(302)と、第2のリレー(304)に連結された第2のダンプバルブ(208)とを備え、第2のプロセッサ(202)が、前記第2のリレー(304)を作動させて前記第2のダンプバルブ(208)を開放するための終了信号を生成するように構成されている、第2の空気圧サブシステム(500b)、
第3の空気圧作動アセンブリ(100)を制御する第3の空気圧サブシステム(500c)であって、第3のサーボドライブ(204)から第3のサーボバルブ(212)への制御電流を測定して第3の電流測定値を出力するための第3の電流センサ(302)と、第3のリレー(304)に連結された第3のダンプバルブ(208)とを備え、第3のプロセッサ(202)が、前記第3のリレー(304)を作動させて前記第3のダンプバルブ(208)を開放するための終了信号を生成するように構成されている、第3の空気圧サブシステム(500c)、並びに、
前記第1の空気圧サブシステム(500a)、前記第2の空気圧サブシステム(500b)、及び前記第3の空気圧サブシステム(500c)のそれぞれを通信可能に連結している通信バスであって、前記第1のプロセッサ(202)、前記第2のプロセッサ(202)、及び前記第3のプロセッサ(202)のそれぞれは、前記第1の電流測定値が前記第2の及び第3の電流測定値から所定のエラー値の差で逸脱するときに、前記終了信号を生成して前記終了信号を前記第1のリレー(304)に伝達するように構成されている、通信バス
を備える、三重空気圧アーキテクチャシステム(500)。
【請求項2】
前記第1の空気圧作動アセンブリ、前記第2の空気圧作動アセンブリ、及び前記第3の空気圧作動アセンブリ(100)が共通の荷重に連結されている、請求項1に記載の三重空気圧アーキテクチャシステム(500)。
【請求項3】
前記共通の荷重が航空ビークルの操縦翼面である、請求項2に記載の三重空気圧アーキテクチャシステム(500)。
【請求項4】
前記第1のプロセッサ(202)、前記第2のプロセッサ(202)、及び前記第3のプロセッサ(202)のそれぞれは、多数決アルゴリズムによって、前記第1の電流測定値が前記第2の電流測定値及び第3の電流測定値からいつ逸脱するかを決定するように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の三重空気圧アーキテクチャシステム(500)。
【請求項5】
空気圧アーキテクチャシステム(500)であって、
空気圧作動アセンブリ(100)を制御するための空気圧サブシステム(500)であって、前記空気圧作動アセンブリ(100)はシリンダ(104)及びピストンを含み、前記ピストンは前記シリンダ(104)の内部エリアを第1の圧力を有する第1のエリアと第2の圧力を有する第2のエリアとに分割する、空気圧サブシステム(500)と、
少なくとも部分的にプロセッサ(202)からの制御コマンドに基づいて制御電流を生成するサーボドライブ(204)と、
前記制御電流に応答して前記第1の圧力及び前記第2の圧力を選択的に調整することによって、前記空気圧作動アセンブリ(100)を選択的に作動させるサーボバルブ(212)と、
前記第1の圧力及び前記第2の圧力を反映する圧力データを前記プロセッサ(202)に提供する1つ以上の圧力センサであって、前記プロセッサ(202)は、少なくとも部分的に前記圧力データに基づいてリアルタイムのトータルフォースフィードバックを実施するように構成される、1つ以上の圧力センサと
を備え、
前記プロセッサ(202)が、前記リアルタイムのトータルフォースフィードバックに基づいて終了信号を生成するように構成され、
前記空気圧アーキテクチャシステム(500)は、第2の空気圧アーキテクチャシステム(500)及び第3の空気圧アーキテクチャシステム(500)に連結されて、三重空気圧アーキテクチャシステムを提供する、空気圧アーキテクチャシステム(500)。
【請求項6】
前記トータルフォースは、前記圧力データと前記ピストンの表面積に応じて計算される、請求項5に記載の空気圧アーキテクチャシステム(500)。
【請求項7】
第1のダンプバルブ(208)及び第2のダンプバルブ(208)をさらに備え、前記第1のダンプバルブ(208)は前記サーボバルブ(212)と前記第1のエリアの間にインラインで流動的に位置しており、前記第2のダンプバルブ(208)は前記サーボバルブ(212)と前記第2のエリアの間にインラインで流動的に位置している、請求項5または6に記載の空気圧アーキテクチャシステム(500)。
【請求項8】
三重空気圧アーキテクチャシステム(500)であって、
第1の空気圧作動アセンブリ(100)内の第1のピストンの動きを制御するための第1の空気圧サブシステム(500)であって、第1のサーボドライブ(204)と、第1のサーボバルブ(212)と、第1の電流センサ(302)と、第1のリレー(304)に連結された第1のダンプバルブ(208)と、第1の位置センサと、前記第1のサーボドライブ(204)に対して第1の制御コマンドを伝達する第1のプロセッサ(202)を備え、
前記第1のサーボドライブ(204)は、前記第1のサーボバルブ(212)に対して制御電流を伝達し、前記第1の空気圧作動アセンブリ(100)を前記第1の制御コマンドに応答して選択的に作動させ、
前記第1の位置センサは、前記第1のピストンの直線移動を測定して前記第1のピストンの位置フィードバックを提供するように構成され、
前記第1の電流センサ(302)は前記制御電流を測定して第1の電流測定値を出力するように構成され、
前記第1のプロセッサ(202)は前記第1のリレー(304)を作動させて前記第1のダンプバルブ(208)を開放するための終了信号を生成するように構成されている、第1の空気圧サブシステム(500)、
第2の空気圧作動アセンブリ(100)内の第2のピストンの動きを制御するための第2の空気圧サブシステム(500)であって、第2のサーボドライブ(204)と、第2のサーボバルブ(212)と、第2の電流センサ(302)と、第2のリレー(304)に連結された第2のダンプバルブ(208)と、第2の位置センサと、前記第2のサーボドライブ(204)に対して第2の制御コマンドを伝達する第2のプロセッサ(202)を備え
前記第2のサーボドライブ(204)は、前記第2のサーボバルブ(212)に対して制御電流を伝達し、前記第2の空気圧作動アセンブリ(100)を前記第2の制御コマンドに応答して選択的に作動させ、
前記第2の位置センサは、前記第2のピストンの直線移動を測定して前記第2のピストンの位置フィードバックを提供するように構成され、
前記第2の電流センサ(302)は前記制御電流を測定して第2の電流測定値を出力するように構成され、
前記第2のプロセッサ(202)は前記第2のリレー(304)を作動させて前記第2のダンプバルブ(208)を開放するための終了信号を生成するように構成されている、第2の空気圧サブシステム(500)、
第3の空気圧作動アセンブリ(100)内の第3のピストンの動きを制御するための第3の空気圧サブシステム(500)であって、第3のサーボドライブ(204)と、第3のサーボバルブ(212)と、第3の電流センサ(302)と、第3のリレー(304)に連結された第3のダンプバルブ(208)と、第3の位置センサと、前記第3のサーボドライブ(204)に対して第3の制御コマンドを伝達する第3のプロセッサ(202)を備え、
前記第3のサーボドライブ(204)は、前記第3のサーボバルブ(212)に対して制御電流を伝達し、前記第3の空気圧作動アセンブリ(100)を前記第3の制御コマンドに応答して選択的に作動させ、
前記第3の位置センサは、前記第3のピストンの直線移動を測定して前記第3のピストンの位置フィードバックを提供するように構成され、
前記第3の電流センサ(302)は前記制御電流を測定して第3の電流測定値を出力するように構成され、
前記第3のプロセッサ(202)は前記第3のリレー(304)を作動させて前記第3のダンプバルブ(208)を開放するための終了信号を生成するように構成されている、第3の空気圧サブシステム(500)、並びに
前記第1のプロセッサ(202)、前記第2のプロセッサ(202)、及び前記第3のプロセッサ(202)のそれぞれを通信可能に連結する通信バスであって、
前記第1のプロセッサ(202)は、前記第1の電流測定値、前記第2の電流測定値、及び前記第3の電流測定値のそれぞれを前記通信バスを介して受信するように構成され、
前記第2のプロセッサ(202)は、前記第1の電流測定値、前記第2の電流測定値、及び前記第3の電流測定値のそれぞれを前記通信バスを介して受信するように構成され、
前記第3のプロセッサ(202)は、前記第1の電流測定値、前記第2の電流測定値、及び前記第3の電流測定値のそれぞれを前記通信バスを介して受信するように構成され、
前記第2のプロセッサ(202)及び前記第3のプロセッサ(202)のそれぞれは、前記第1の電流測定値が前記第2の電流測定値及び前記第3の電流測定値から所定のエラー値の差で逸脱するときに、前記終了信号を生成し、前記終了信号を前記第1のリレー(304)に送信するように構成され、
前記第1のリレー(304)は、前記終了信号の受信を受けて前記第1のダンプバルブ(208)を開放し前記第1の空気圧作動アセンブリ(100)をベントするように構成されている、通信バス
を備える、三重空気圧アーキテクチャシステム(500)。
【請求項9】
前記第1の空気圧サブシステム、前記第2の空気圧サブシステム、及び前記第3の空気圧サブシステム(500)のそれぞれが、第1のダンプバルブ(208)及び第2のダンプバルブ(208)を含む、請求項に記載の三重空気圧アーキテクチャシステム(500)。
【請求項10】
前記第1のダンプバルブ(208)は空気圧シリンダ(104)内の第1の部分をベントし、前記第2のダンプバルブ(208)は空気圧シリンダ(104)内の第2の部分をベントする、請求項に記載の三重空気圧アーキテクチャシステム(500)。
【請求項11】
前記第1のダンプバルブ(208)及び前記第2のダンプバルブ(208)は共通のリレー(304)によって制御される、請求項10に記載の三重空気圧アーキテクチャシステム(500)。
【請求項12】
前記第1の空気圧作動アセンブリ、前記第2の空気圧作動アセンブリ、及び前記第3の空気圧作動アセンブリ(100)が共通の荷重に連結されている、請求項から11のいずれか一項に記載の三重空気圧アーキテクチャシステム(500)。
【請求項13】
前記第2のプロセッサ(202)及び前記第3のプロセッサ(202)のそれぞれは、前記通信バス経由で前記第1のリレー(304)に対して前記終了信号を伝達するように構成されている、請求項から12のいずれか一項に記載の三重空気圧アーキテクチャシステム(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気圧作動システムに関する。具体的には、フィードバック補償技術を用いる空気圧作動システムの三重アーキテクチャに関する。
【背景技術】
【0002】
空気圧作動システムは、一般的には1つ以上の圧力制御バルブによって制御されるピストンを備え、特定の産業上の用途で使用されている。最近では、バージニア州マナサスのオーロラフライトサイエンスコーポレーション(「オーロラ社」)が、空気圧作動システムを航空機制御システムに組み込んだ。例えば、オーロラ社は最近、離陸時、巡航中、及び着陸時に、空気圧作動によって主操縦翼面を操作して航空機を操縦することが可能な、右座席パイロット用の補助装置を開発した。空気圧作動システムの動態は、機械的にはシンプルであるにも関わらず、本質的に非線形である。なぜならば、圧力制御バルブには切り替え動作の性質があるし、シリンダの中の圧力変化を統御する気流にはそれ自体に非線形の性質があるからである。
【0003】
従来型の空気圧作動システムコントローラの設計方法は、2つの大まかなカテゴリーに分類することができる。第1の設計方法は、標準比例積分微分(PID)制御アーキテクチャを用いる。この制御アーキテクチャでは、ゲインは経験的に選択される。即ち、コントローラのロバストな設計のために利用可能な、広範な制御理論はほとんど役に立たない。制御補償装置が操作の基にする主フィードバック信号は、位置エラーである。位置エラーは、命令によるピストンの位置と、ピストンの実際の位置との差異として規定される。第2の設計方法は、スライディングモード制御といった複合非線形法を用いる。これらの実装においてはシステムフィードバック用にいくつかの信号が使用されるが、ゲイン選択プロセスまたは制御設計プロセスは、なお大きく発見的方法及び/または実験に基づいている。これは費用がかかり得るし、不正確で、過度に複雑であり得る。
【0004】
冗長技術を用い、それによって1つのアクチュエータの障害が、システム全体に対してほんのわずかな影響しか与えないようにすることは、しばしば有利である。こうした冗長性は、典型的には、通常はバックアップまたはフェイルセーフという形でシステムの信頼性を向上する意図で、または実際のシステムパフォーマンスを向上するために、システムの重要な構成要素または機能を重複させることを伴う。航空宇宙の用途では、例えば、セーフティクリティカルなシステム(例えばフライバイワイヤ、航空機の油圧システム、飛行制御システムなど)は、三重化されていてよい。三重冗長(またの名を三倍冗長)システムでは、システムは3つのサブコンポーネントを有しており、これら3つの全てが故障して初めて、システム全体が故障する。各サブコンポーネントが故障するのは稀であるから、またサブコンポーネントは個別に故障すると予期されているから、3つのサブコンポーネント全てが故障する確率は、極めて小さいと計算されている。
【0005】
上記の観点から、複雑な発見的方法及び/または実験を必要とすることなく追加のフィードバックを提供する、空気圧作動コントローラアーキテクチャの必要性が存在する。具体的には、セーフティクリティカルな航空宇宙用途における空気圧作動のための三重冗長アーキテクチャの必要性が存在する。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、ロバストなコントローラ設計を提供するためにフォース(force)フィードバックを用いる、空気圧作動コントローラ設計を対象とする。具体的には、本発明は、電流フィードバックやフォースフィードバックなどを含むフィードバック補償技術を用いる、空気圧作動システムのための三重アーキテクチャを対象とする。
【0007】
第1の態様によると、三重空気圧アーキテクチャシステムは、第1の空気圧作動アセンブリ内の第1のピストンの移動を制御する第1の空気圧サブシステムであって、第1のサーボドライバと、第1のサーボバルブと、第1の電流センサと、第1のリレーに連結された第1のダンプバルブと、第1の位置センサと、第1のサーボドライバに対して第1の制御コマンドを伝達する第1のプロセッサを備え、第1のサーボドライバは、第1の制御コマンドに応答して第1の空気圧作動アセンブリを選択的に作動させるため、制御電流を第1のサーボバルブに送信し、第1の位置センサは、第1のピストンの直線移動を測定して第1のピストンの位置フィードバックを提供するように構成され、第1の電流センサは、制御電流を測定して第1の電流測定値を出力するように構成され、第1のプロセッサは、第1のリレーを作動させて第1のダンプバルブを開放するための終了信号を生成するように構成される、第1の空気圧サブシステム、第2の空気圧作動アセンブリ内の第2のピストンの動きを制御する第2の空気圧サブシステムであって、第2のサーボドライバと、第2のサーボバルブと、第2の電流センサと、第2のリレーに連結された第2のダンプバルブと、第2の位置センサと、第2のサーボドライバに対して第2の制御コマンドを伝達する第2のプロセッサを備え、第2のサーボドライバは、第2の制御コマンドに応答して第2の空気圧作動アセンブリを選択的に作動させるため、制御電流を第2のサーボバルブに送信し、第2の位置センサは、第2のピストンの直線移動を測定して第2のピストンの位置フィードバックを提供するように構成され、第2の電流センサは、制御電流を測定して第2の電流測定値を出力するように構成され、第2のプロセッサは、第2のリレーを作動させて第2のダンプバルブを開放するための終了信号を生成するように構成される、第2の空気圧サブシステム、第3の空気圧作動アセンブリ内の第3のピストンの動きを制御する第3の空気圧サブシステムであって、第3のサーボドライバと、第3のサーボバルブと、第3の電流センサと、第3のリレーに連結された第3のダンプバルブと、第3の位置センサと、第3のサーボドライバに対して第3の制御コマンドを伝達する第3のプロセッサを備え、第3のサーボドライバは、第3の制御コマンドに応答して第3の空気圧作動アセンブリを選択的に作動させるため、制御電流を第3のサーボバルブに送信し、第3の位置センサは、第3のピストンの直線移動を測定して第3のピストンの位置フィードバックを提供するように構成され、第3の電流センサは、制御電流を測定して第3の電流測定値を出力するように構成され、第3のプロセッサは、第3のリレーを作動させて第3のダンプバルブを開放するための終了信号を生成するように構成される、第3の空気圧サブシステム、並びに、第1のプロセッサ、第2のプロセッサ、及び第3のプロセッサのそれぞれと通信可能に連結している通信バスであって、第1のプロセッサは第1の電流測定値、第2の電流測定値、及び第3の電流測定値のそれぞれを通信バスを介して受信するように構成され、第2のプロセッサは第1の電流測定値、第2の電流測定値、及び第3の電流測定値のそれぞれを通信バスを介して受信するように構成され、第3のプロセッサは第1の電流測定値、第2の電流測定値、及び第3の電流測定値のそれぞれを通信バスを介して受信するように構成され、第2のプロセッサと第3のプロセッサのそれぞれは、第1の電流測定値が第2の及び第3の電流測定値から所定のエラー値の差で逸脱するときに、終了信号を生成してその終了信号を第1のリレーに伝達するように構成され、第1のリレーは、終了信号の受信を受けて第1のダンプバルブを開放し、第1の空気圧作動アセンブリをベントするように構成されている、通信バスを備える。
【0008】
第2の態様によると、三重空気圧アーキテクチャシステムは、第1の空気圧作動アセンブリを制御する第1の空気圧サブシステムであって、第1のサーボドライバから第1のサーボバルブへの制御電流を測定して第1の電流測定値を出力するための第1の電流センサと、第1のリレーに連結された第1のダンプバルブとを備え、第1のプロセッサが、第1のリレーを作動させて第1のダンプバルブを開放するための終了信号を生成するように構成されている、第1の空気圧サブシステム、第2の空気圧作動アセンブリを制御する第2の空気圧サブシステムであって、第2のサーボドライバから第2のサーボバルブへの制御電流を測定して第2の電流測定値を出力するための第2の電流センサと、第2のリレーに連結された第2のダンプバルブとを備え、第2のプロセッサが、第2のリレーを作動させて第2のダンプバルブを開放するための終了信号を生成するように構成されている、第2の空気圧サブシステム、第3の空気圧作動アセンブリを制御する第3の空気圧サブシステムであって、第3のサーボドライバから第3のサーボバルブへの制御電流を測定して第3の電流測定値を出力するための第3の電流センサと、第3のリレーに連結された第3のダンプバルブとを備え、第3のプロセッサが、第3のリレーを作動させて第3のダンプバルブを開放するための終了信号を生成するように構成されている、第3の空気圧サブシステム、並びに、第1の、第2の、及び第3の空気圧サブシステムのそれぞれと通信可能に連結している通信バスであって、第1のプロセッサ、第2のプロセッサ、及び第3のプロセッサのそれぞれは、第1の電流測定値が第2の及び第3の電流測定値から所定のエラー値の差で逸脱するときに、終了信号を生成してその終了信号を第1のリレーに伝達するように構成されている、通信バスを備える。
【0009】
第3の態様によると、空気圧アーキテクチャシステムは、空気圧作動アセンブリを制御するための空気圧サブシステムであって、空気圧作動アセンブリはシリンダ及びピストンを含み、ピストンはシリンダの内部エリアを第1の圧力を有する第1のエリアと第2の圧力を有する第2のエリアとに分割する、空気圧サブシステムと、少なくとも部分的にプロセッサからの制御コマンドに基づいて制御電流を生成するサーボドライバと、制御電流に応答して第1の圧力及び第2の圧力を選択的に調整することによって、空気圧作動アセンブリを選択的に作動させるサーボバルブと、第1の圧力及び第2の圧力を反映する圧力データをプロセッサに提供する1つ以上の圧力センサであって、プロセッサは、少なくとも部分的に圧力データに基づいてリアルタイムでトータルフォースフィードバックを実施するように構成される、1つ以上の圧力センサとを備える、空気圧作動アセンブリを制御するための空気圧サブシステムを備える。
【0010】
ある態様では、前記第1の、第2の、及び第3の空気圧サブシステムのそれぞれは、第1のダンプバルブ及び第2のダンプバルブを含む。
【0011】
ある態様では、第1のダンプバルブは空気圧シリンダ内の第1の部分をベントし、第2のダンプバルブは空気圧シリンダ内の第2の部分をベントする。
【0012】
ある態様では、第1のダンプバルブ及び第2のダンプバルブは、共通のリレーによって制御される。
【0013】
ある態様では、第1の、第2の、及び第3の制御コマンドは、同様のコマンドである。
【0014】
ある態様では、第1の、第2の、及び第3の空気圧作動アセンブリは、共通の荷重と連結されている。
【0015】
ある態様では、第2のプロセッサ及び第3のプロセッサのそれぞれは、通信バスを通じて第1のリレーに終了信号を伝達するように構成される。
【0016】
ある態様では、終了信号は、5VのDC高信号である。
【0017】
ある態様では、所定のエラー値は、第1の、第2の、及び第3の測定された電流のそれぞれの間の差分を決定することによって計算される。
【0018】
ある態様では、前記第1の、第2の、及び第3の空気圧サブシステムのそれぞれは、第1の、第2の、及び第3のプロセッサのそれぞれに対してリアルタイムの圧力フィードバックを提供する、圧力センサを含む。
【0019】
ある態様では、前記第1の、第2の、及び第3の空気圧サブシステムのそれぞれは、第1の、第2の、及び第3のプロセッサのそれぞれに対してリアルタイムの圧力フィードバックを提供する、複数の圧力センサを含む。
【0020】
ある態様では、前記複数の圧力センサは、空気圧シリンダの第1の部分の第1の圧力を測定するための第1の圧力センサと、空気圧シリンダの第2の部分の第2の圧力を測定するための第2の圧力センサを含む。
【0021】
ある態様では、前記第1の、第2の、及び第3の空気圧サブシステムのそれぞれは、第1の、第2の、及び第3のプロセッサのそれぞれに対してリアルタイムでトータルフォースフィードバックを提供する圧力センサであって、圧力センサが圧力データを生成し、トータルフォースが圧力データとピストンに作用している空気の断面積とに応じて計算される、圧力センサを含む。
【0022】
ある態様では、前記第1の、第2の、及び第3の空気圧サブシステムのそれぞれは、第1の、第2の、及び第3のプロセッサのそれぞれに対してリアルタイムで位置フィードバックを提供する直線位置センサであって、圧力センサが圧力データを生成し、トータルフォースが圧力データとピストンに作用している空気の断面積とに応じて計算される、直線位置センサを含む。
【0023】
ある態様では、通信バスは、電流バス及び終了バスを含む。
【0024】
ある態様では、前記第1の、第2の、及び第3の空気圧サブシステムのそれぞれは、2つのリレーを含む。
【0025】
ある態様では、前記3つのリレーのそれぞれは、前記第1の、第2の、及び第3の空気圧サブシステムのうちの別々のものから終了信号を受信するように構成される。
【0026】
ある態様では、前記3つのリレーのそれぞれは、共通のダンプバルブを制御するように構成される。
【0027】
ある態様では、前記3つのリレーのそれぞれは、異なるダンプバルブを制御するように構成される。
【0028】
ある態様では、前記3つのリレーのそれぞれは、異なるダンプバルブを制御して、共通の給気管から圧力をベントするように構成される。
【0029】
ある態様では、前記第1の、第2の、及び第3のサーボバルブのそれぞれは、3ポジションのパイロットバルブシステムである。
【0030】
ある態様では、第1の、第2の、及び第3の空気圧作動アセンブリは、平行に、かつ三角形の構成に配設されている。
【0031】
ある態様では、前記第1の、第2の、及び第3の空気圧作動アセンブリそれぞれの遠位端は、ブラケットプレートを介して互いに機械的に連結されている。
【0032】
ある態様では、共通の荷重は、航空ビークルの操縦翼面である。
【0033】
ある態様では、第1の、第2の、及び第3の制御コマンドは、航空ビークルの飛行制御システムからの同種のコマンドである。
【0034】
ある態様では、第1のプロセッサ、第2のプロセッサ、及び第3のプロセッサのそれぞれは、多数決アルゴリズムによって、第1の電流測定値が第2及び第3の電流測定値からいつ逸脱するかを判定するように構成される。
【0035】
ある態様では、第1の、第2の、及び第3のプロセッサのそれぞれは、第1の、第2の、または第3のサーボドライバに対して、航空ビークルの飛行制御システムからのコマンドである制御コマンドを伝達するように構成される。
【0036】
ある態様では、トータルフォースは、圧力データとピストンの表面積に応じて計算される。
【0037】
ある態様では、空気圧アーキテクチャシステムは、第1のダンプバルブ及び第2のダンプバルブであって、第1のダンプバルブはサーボバルブと第1のエリアの間にインラインで流動的(fluidly)に位置しており、第2のダンプバルブはサーボバルブと第2のエリアの間にインラインで流動的に位置している、第1のダンプバルブ及び第2のダンプバルブをさらに備える。第1のダンプバルブ及び第2のダンプバルブは、1つ以上のリレーの制御の下で、シリンダからの圧力をベントするように構成されていてよい。さらに、1つ以上のリレーは、終了信号によってトリガされて第1のダンプバルブ及び第2のダンプバルブをベントするように、構成されていてよい。
【0038】
ある態様では、プロセッサは、リアルタイムのトータルフォースフィードバック及び位置フィードバックに基づいて、終了信号を生成しリレーに伝達するように構成される。
【0039】
ある態様では、プロセッサは、リアルタイムのトータルフォースフィードバックが所定の範囲から逸脱するときに、終了信号を生成しリレーに伝達するように構成される。
【0040】
ある態様では、空気圧アーキテクチャシステムは、第2の空気圧アーキテクチャシステム及び第3の空気圧アーキテクチャシステムに連結され、三重空気圧アーキテクチャシステムが提供される。
【0041】
本発明の一態様は、第1の空気圧作動アセンブリ内の第1のピストンの移動を制御する第1の空気圧サブシステムであって、第1のサーボドライバと、第1のサーボバルブと、第1の電流センサと、第1のリレーに連結された第1のダンプバルブと、第1の位置センサと、第1のサーボドライバに対して第1の制御コマンドを伝達する第1のプロセッサとを備え、第1のサーボドライバは、第1の制御コマンドに応答して第1の空気圧作動アセンブリを選択的に作動させるため、制御電流を第1のサーボバルブに送信し、第1の位置センサは、第1のピストンの直線移動を測定して第1のピストンの位置フィードバックを提供するように構成され、第1の電流センサは、制御電流を測定して第1の電流測定値を出力するように構成され、第1のプロセッサは、第1のリレーを作動させて第1のダンプバルブを開放するための終了信号を生成するように構成される、第1の空気圧サブシステム、第2の空気圧作動アセンブリ内の第2のピストンの移動を制御する第2の空気圧サブシステムであって、第2のサーボドライバと、第2のサーボバルブと、第2の電流センサと、第2のリレーに連結された第2のダンプバルブと、第2の位置センサと、第2のサーボドライバに対して第2の制御コマンドを伝達する第2のプロセッサとを備え、第2のサーボドライバは、第2の制御コマンドに応答して第2の空気圧作動アセンブリを選択的に作動させるため、制御電流を第2のサーボバルブに送信し、第2の位置センサは、第2のピストンの直線移動を測定して第2のピストンの位置フィードバックを提供するように構成され、第2の電流センサは、制御電流を測定して第2の電流測定値を出力するように構成され、第2のプロセッサは、第2のリレーを作動させて第2のダンプバルブを開放するための終了信号を生成するように構成される、第2の空気圧サブシステム、第3の空気圧作動アセンブリ内の第3のピストンの移動を制御する第3の空気圧サブシステムであって、第3のサーボドライバと、第3のサーボバルブと、第3の電流センサと、第3のリレーに連結された第3のダンプバルブと、第3の位置センサと、第3のサーボドライバに対して第3の制御コマンドを伝達する第3のプロセッサを備え、第3のサーボドライバは、第3の制御コマンドに応答して第3の空気圧作動アセンブリを選択的に作動させるため、制御電流を第3のサーボバルブに送信し、第3の位置センサは、第3のピストンの直線移動を測定して第3のピストンの位置フィードバックを提供するように構成され、第3の電流センサは、制御電流を測定して第3の電流測定値を出力するように構成され、第3のプロセッサは、第3のリレーを作動させて第3のダンプバルブを開放するための終了信号を生成するように構成される、第3の空気圧サブシステム、並びに、第1のプロセッサ、第2のプロセッサ、及び第3のプロセッサのそれぞれと通信可能に連結している通信バスであって、第1のプロセッサは第1の電流測定値、第2の電流測定値、及び第3の電流測定値のそれぞれを通信バスを介して受信するように構成され、第2のプロセッサは第1の電流測定値、第2の電流測定値、及び第3の電流測定値のそれぞれを通信バスを介して受信するように構成され、第3のプロセッサは第1の電流測定値、第2の電流測定値、及び第3の電流測定値のそれぞれを通信バスを介して受信するように構成され、第2のプロセッサと第3のプロセッサのそれぞれは、第1の電流測定値が第2の及び第3の電流測定値から所定のエラー値の差で逸脱するときに、終了信号を生成してその終了信号を第1のリレーに伝達するように構成され、第1のリレーは、終了信号の受信を受けて第1のダンプバルブを開放し、第1の空気圧作動アセンブリをベントするように構成されている、通信バスを含んでいてよい、三重空気圧アーキテクチャシステムを含む。前記第1の、第2の、及び第3の空気圧サブシステムのうちの少なくとも1つは、第1のダンプバルブ及び第2のダンプバルブを含む。第1のダンプバルブは空気圧シリンダ内の第1の部分をベントし、第2のダンプバルブは空気圧シリンダ内の第2の部分をベントし得る。第1のダンプバルブ及び第2のダンプバルブは、共通のリレーによって制御され得る。第1の、第2の、及び第3の空気圧作動アセンブリは、共通の荷重と連結されていてよい。第2のプロセッサ及び第3のプロセッサのうちの少なくとも1つは、通信バスを通じて第1のリレーに終了信号を伝達するように構成されていてよい。所定のエラー値は、第1の、第2の、及び第3の測定された電流のそれぞれの間の差分を決定することによって計算され得る。前記第1の、第2の、及び第3の空気圧サブシステムのうちの少なくとも1つは、第1の、第2の、及び第3のプロセッサのそれぞれに対してリアルタイムの圧力フィードバックを提供する圧力センサを含んでいてよい。前記第1の、第2の、及び第3の空気圧サブシステムのうちの少なくとも1つは、2つのリレーを含んでいてよい。前記3つのリレーのうちの少なくとも1つは、前記第1の、第2の、及び第3の空気圧サブシステムのうちの別々のものから終了信号を受信するように構成されていてよい。前記3つのリレーのうちの少なくとも1つは、異なるダンプバルブを制御して、共通の給気管から圧力をベントするように構成される。共通の荷重は、航空ビークルの操縦翼面であってよい。第1の、第2の、及び第3の制御コマンドは、航空ビークルの飛行制御システムからの同種のコマンドであってよい。第1のプロセッサ、第2のプロセッサ、及び第3のプロセッサのうちの少なくとも1つは、多数決アルゴリズムによって、第1の電流測定値が第2及び第3の電流測定値からいつ逸脱するかを決定するように構成されていてよい。
【0042】
本発明の別の態様は、第1の空気圧作動アセンブリを制御する第1の空気圧サブシステムであって、第1のサーボドライバから第1のサーボバルブへの制御電流を測定して第1の電流測定値を出力するための第1の電流センサと、第1のリレーに連結された第1のダンプバルブとを備え、第1のプロセッサが、第1のリレーを作動させて第1のダンプバルブを開放するための終了信号を生成するように構成されている、第1の空気圧サブシステム、第2の空気圧作動アセンブリを制御する第2の空気圧サブシステムであって、第2のサーボドライバから第2のサーボバルブへの制御電流を測定して第2の電流測定値を出力するための第2の電流センサと、第2のリレーに連結された第2のダンプバルブとを備え、第2のプロセッサが、第2のリレーを作動させて第2のダンプバルブを開放するための終了信号を生成するように構成されている、第2の空気圧サブシステム、第3の空気圧作動アセンブリを制御する第3の空気圧サブシステムであって、第3のサーボドライバから第3のサーボバルブへの制御電流を測定して第3の電流測定値を出力するための第3の電流センサと、第3のリレーに連結された第3のダンプバルブとを備え、第3のプロセッサが、第3のリレーを作動させて第3のダンプバルブを開放するための終了信号を生成するように構成されている、第3の空気圧サブシステム、並びに、第1の、第2の、及び第3の空気圧サブシステムのそれぞれと通信可能に連結している通信バスであって、第1のプロセッサ、第2のプロセッサ、及び第3のプロセッサのそれぞれは、第1の電流測定値が第2の及び第3の電流測定値と所定のエラー値の差で相違したときに、終了信号を生成してその終了信号を第1のリレーに伝達するように構成されている、通信バスを含む、三重空気圧アーキテクチャシステムを含む。第1の、第2の、及び第3の空気圧作動アセンブリは、共通の荷重と連結されていてよい。共通の荷重は、航空ビークルの操縦翼面であってよい。第1のプロセッサ、第2のプロセッサ、及び第3のプロセッサのうちの少なくとも1つは、多数決アルゴリズムによって、第1の電流測定値が第2及び第3の電流測定値からいつ逸脱するかを決定するように構成されていてよい。
【0043】
本発明の別の実施形態は、空気圧作動アセンブリを制御するための空気圧サブシステムであって、空気圧作動アセンブリはシリンダ及びピストンを含み、ピストンはシリンダの内部エリアを第1の圧力を有する第1のエリアと第2の圧力を有する第2のエリアとに分割する、空気圧サブシステムと、少なくとも部分的にプロセッサからの制御コマンドに基づいて制御電流を生成するサーボドライバと、制御電流に応答して第1の圧力及び第2の圧力を選択的に調整することによって、空気圧作動アセンブリを選択的に作動させるサーボバルブと、第1の圧力及び第2の圧力を反映する圧力データをプロセッサに提供する1つ以上の圧力センサであって、プロセッサは、少なくとも部分的に圧力データに基づいてリアルタイムでトータルフォースフィードバックを実施するように構成される、1つ以上の圧力センサとを備える、空気圧サブシステムを含む、空気圧アーキテクチャシステムを含み得る。トータルフォースは、圧力データとピストンの表面積に応じて計算され得る。空気圧アーキテクチャシステムは、第1のダンプバルブ及び第2のダンプバルブであって、第1のダンプバルブはサーボバルブと第1のエリアの間にインラインで流動的に位置しており、第2のダンプバルブはサーボバルブと第2のエリアの間にインラインで流動的に位置している、第1のダンプバルブ及び第2のダンプバルブもまた備えていてよい。空気圧アーキテクチャシステムが、第2の空気圧アーキテクチャシステム及び第3の空気圧アーキテクチャシステムに連結されて、三重空気圧アーキテクチャシステムが提供されていてよい。
【0044】
本発明のこれらの利点及びその他の利点は、以下の明細と添付の図面を参照することによって容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】例示的な線形空気圧作動アセンブリの概略図である。
図2】例示的な線形空気圧作動アセンブリ用の単線空気圧システムの概略図である。
図3a】線形空気圧作動アセンブリ用の、単線連続組み込み試験(CBIT)空気圧システムの概略図である。
図3b】線形空気圧作動アセンブリ用の、単線連続組み込み試験(CBIT)空気圧システムの概略図である。
図3c】線形空気圧作動アセンブリ用の、単線連続組み込み試験(CBIT)空気圧システムの概略図である。
図4a】圧力を利用したフィードバックシステムにおける、時間の経過に伴う圧力の測定値の変化を示すグラフである。
図4b】圧力を利用したフィードバックシステムにおける、時間の経過に伴う圧力の測定値の変化を示すグラフである。
図5a】3つの空気圧サブシステムを用いた、例示的な三重空気圧アーキテクチャシステムの概略図である。
図5b】三重空気圧アーキテクチャシステムを具体化した三重ピストンアセンブリを示す。
図6a】3つの空気圧サブシステムそれぞれの概略図である。
図6b】3つの空気圧サブシステムそれぞれの概略図である。
図6c】3つの空気圧サブシステムそれぞれの概略図である。
図7a】三重空気圧アーキテクチャシステムの特定の試験結果を示すグラフである。
図7b】三重空気圧アーキテクチャシステムの特定の試験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明の好適な実施形態を、添付の図面を参照して以下で説明する。図面中の構成要素は必ずしも正確な縮尺で描かれておらず、むしろ本発明の原理を明確に示すことに重点が置かれている。例えば、ある要素の大きさは、明確にするためと記載の利便性のために、誇張されていてよい。さらに、可能な場合には、実施態様中の同一または同様の要素に言及するのに、図面全体を通じて同一の参照番号が使用される。周知の機能または構造は、不要な詳細によって本発明を不明確にし得ることから、以下の記載では詳細には説明されない。明細書中のいかなる文言も、特許請求されていない任意の要素が実施形態の実施のために不可欠であることを示していると解釈すべきではない。以下の記載では、「第1の」「第2の」「頂部」「底部」「側部」「前」「後」などといった用語は、利便性のための用語であって、限定する用語と解釈すべきではない。本願に関しては、以下の用語及び定義が適用される。
【0047】
本書で使用する場合、数値(または数値の範囲)に係るまたは数値(または数値の範囲)を表す「約」及び「およそ」の語は、その値または値の範囲に合理的に近似していることを意味する。したがって、本書に記載の実施形態は、記載の数値及び数値の範囲のみに限定されるものではなく、合理的に有効な偏差も包含すべきである。本書で使用する場合、水平及び垂直という用語は、航空機が地上にあるときといったように、地面に対する角度または面を表すために使用される。
【0048】
「航空ビークル」及び「航空機」という用語は、限定しないが、固定翼機、無人航空ビークル、可変翼機、及び垂直離着陸機(VTOL)を含む、飛行可能な機械を意味する。VTOL機は、固定翼機(例えばハリアージェット)、回転翼機(例えばヘリコプター)、ティルトローター/ティルトウイング機、及び/または本書で開示するような新たなカテゴリーの航空機を含み得る。
【0049】
本書で使用する場合、「及び/または」とは、「及び/または」でつながれているリスト中の任意の1つ以上のアイテムを意味する。例えば、「x及び/またはy」は、3つの要素からなるセット{(x)、(y)、(x、y)}中の任意の要素を意味する。言い換えれば、「x、及び/またはy」とは、「xとyのうちのどちらか、または両方」を意味する。別の例として、「x、y、及び/またはz」は、7つの要素からなるセット{(x)、(y)、(z)、(x、y)、(x、z)、(y、z)、(x、y、z)}中の任意の要素を意味する。言い換えれば、「x、y、及び/またはz」とは、「xとyとzのうちの1つ以上」を意味する。
【0050】
本書で使用する場合、「伝達する」及び「通信する」という用語は、データを発信元から送付先へ送信もしくは他の方法で伝えることと、データを送付先へ伝えるために、通信媒体、システム、チャネル、ネットワーク、装置、回線、ケーブル、ファイバー、回路、及び/またはリンクに送達することとの、両方を意味する。
【0051】
「回路」(circuits及びcircuitry)という用語は、物理的な電子部品(即ちハードウェア)、並びにハードウェアを設定し得、ハードウェアによって実行され得、及び/またはハードウェアに関連付けられ得る、任意のソフトウェア及び/またはファームウェア(「コード」)を意味する。本書で使用する場合、具体的なプロセッサ及びメモリは、第1のセットの1つ以上の命令行を実行するときには第1の「回路」を備えていてよく、第2のセットの1つ以上の命令行を実行するときには第2の「回路」を備えていてよい。
【0052】
本書で使用する場合、「例示的な」という用語は、非限定的な例または実例の役割を果たすことを意味する。本書で使用する場合、「例えば」及び「例として」という用語は、1つ以上の非限定的な例または実例のリストを開始する。本書で使用する場合、回路は、ある機能を実施するために必要なハードウェアとコード(必要な場合)を備えているときにはいつでも、(例えばオペレータによって調整可能な設定、工場設定などによって)その機能の性能が無効になっているか有効になっているかに関わらず、その機能を実施するために「動作可能」である。
【0053】
本書で使用する場合、「プロセッサ」という用語は、ハードウェアとして実装されているか、有形に具体化されたソフトウェアとして実装されているか、その両方であるか、及びプログラム可能であるかどうかに関わらず、処理用の装置、機器、プログラム、回路、構成要素、システム、及びサブシステムを意味する。本書で使用する場合、「プロセッサ」という用語は、限定しないが、1つ以上のコンピュータ装置、配線で接続された回路、信号を変更する装置及びシステム、制御システム用の装置及び機械、中央処理装置、プログラム可能な装置及びシステム、フィールドプログラマブルゲートアレイ、特定用途向け集積回路、チップ上のシステム、個別の要素及び/または回路、ステートマシン、バーチャルマシン、データプロセッサ、処理設備を備えるシステム、並びに、上記の任意の組み合わせを含む。
【0054】
本書では、ロバストなコントローラ設計を提供するためにフォースフィードバックを用いる、空気圧作動システムコントローラが開示される。空気圧作動システムコントローラは、線形システム(または線形化されたシステム)用に利用可能な最新のマルチ入力/マルチ出力(MIMO)法の使用を可能にする、システム動態モデリングを用い得る。空気圧作動システムは、それ自体の健全性を評価して故障を軽減する一方で、その機能をフルに発揮可能な状態を保つための、三重アーキテクチャを使用して、具体化され得る。空気圧作動システムは、フォースフィードバックに加えて、またはフォースフィードバックの代わりに、空気圧サーボバルブを駆動するモータに流れる電流を含む、他の情報源からのフィードバック制御を用い得る。
【0055】
本書で検討される空気圧作動システムは、航空宇宙マーケットにおける制御アクチュエータ、産業用機械、及びロボット工学といった、見込みがある数々の産業上の用途に適している。これらの用途では、空気圧作動システムは専用コントローラ内に実装され得る。例えば、本書で開示する様々な空気圧システム及び制御方法は、自動操縦を含む、航空ビークル制御システムに適用され得る。本開示から受益し得る例示的な航空ビークル制御システムは、2017年3月21日に出願され、「航空機乗組員自動化のシステム及び方法」と題する、ジェシカ E.デューダ(Jessica E. Duda)らによって共有されている米国特許第15/464,786号(以下「786号出願」)によって開示されている。786号出願は、コアプラットフォームからのコマンドに応答して航空機の1つ以上の操縦装置を作動させる作動システムを有する、航空機乗組員自動化システムを開示している。作動システムは、開示の空気圧作動システム及び空気圧作動技術を用い得る。
【0056】
空気圧作動システム内でフォースフィードバックを用いることによって、特定の厳密さ及び/または性能保証を要する、数々の利点が提供される。第1に、フォースフィードバックを用いる空気圧作動システムは、他の非線形的な手法と比べて、ソフトウェア内に実装するのに非常に簡便である。その結果、コントローラ内に実装されたソフトウェアの試験方法及び認証の可能性は、より容易になる。第2に、フォースフィードバックを用いる空気圧作動システムコントローラによって、設計フェーズ中の、最新の制御システム設計及び性能分析技法の使用が可能になる。こうして、システム帯域幅、外乱除去、ロバスト性限界、周波数応答などに関して、十分に情報を得た上での決定が行われる。第3に、フォースフィードバックを用いる空気圧作動システムコントローラは、物理システムにおける変動に対して、耐性がある。関連する例には、幅広い荷重に接続する能力と、(特に始動時の)供給応力の大きな変化への耐性が含まれる。最後に、フォースフィードバックを用いる空気圧作動システムコントローラは、位置制御と直接的なフォース制御との間を迅速かつシームレスに移行する能力に、直接役に立つ。
【0057】
三重アーキテクチャ設計によって、空気圧システムがオペレータにリアルタイムで警報を発し、それによってオペレータが安全かつ円滑に航空ビークルの制御を遷移させるか、完全無人操縦の場合にはミッションを終了させ基地に帰還させることが可能になる。理解されるように、開示の三重アーキテクチャによって、数々の利点も提示される。第1に、三重アーキテクチャによって、3つの冗長な空気圧制御ラインが設けられ、それによって、1つまたは2つのラインが故障しても空気圧システム全体が稼働可能になる。第2に、各ラインは、独自の閉ループ制御を行うことができるが、空気圧ピストンは、単一の機械アセンブリ内で連結することができる。第3に、各ラインは、自身とその2つの兄弟空気圧ラインに対する、連続組み込み試験(CBIT)を実施する。第4に、三重アーキテクチャは、投票の技法を用いて1つのシステムの故障を検出し、そのシステムを停止することができる。例えば、三重アーキテクチャは、1つ以上の空気圧構成要素(例えばピストン、サーボドライバ、プロセッサ、センサなど)の故障または断線を検出することができる。最後に、三重アーキテクチャは、リアルタイムのフィードバック補償を使用して、各空気圧ライン内で1つのノードのみを使った故障検出を可能にしている。圧力フィードバック補償がない場合には、三重アーキテクチャは、例えば3つの空気圧ラインのそれぞれの間で追加の共有接続を必要とし得る。その結果、CBITに関する投票アルゴリズムもまた、より複雑なものになるであろう。
【0058】
図1は、空気圧システム内で使用される例示的な線形空気圧作動アセンブリ100を示す。示されるように、空気圧作動アセンブリ100は、概してシリンダ104と、シリンダ104に動作可能に連結された直線位置センサ106と、シリンダ104と摺動自在に係合しているピストンアセンブリ108と、一式のエア継手102(例えば給気口/排気口)と、複数の荷重コネクタ112とを備える。エア継手102は、シリンダ104を給気管110及び空気圧システムの他の構成要素と連結するように構成される。
【0059】
示されるように、ピストンアセンブリ108は、概してピストン108aと、ピストンロッド108bと、テールロッド部108cを含む。稼働中、ピストンアセンブリ108は、移動軸Dに沿って直線的に(シリンダ104の長さに対して横方向に)、両端(例えば前端部と後端部)の間を移動し、それによってピストンロッド108bを介して荷重を伝えるように構成されている。ピストン108aの外径は、シリンダ104の内壁と接触/摺動自在に係合するようにサイズ決め及び形状決めされており、それによって、シリンダ104の全内部エリア(A)を、ピストン108aの左(前方向)で第1の圧力(p)を有する第1のエリア(A)と、ピストン108aの右(後方向)で第2の圧力(p)を有する第2のエリア(A)とに分割している。ピストン108aはさらに、ピストン108aの外径とシリンダ104の内壁との間に密封を形成して維持する、1つ以上のOリング114を含んでいてよい。ピストンアセンブリ108及びシリンダ104といった空気圧作動アセンブリ100の様々なハードウェア構成要素は、例えば、鋼(例えばクロムメッキ炭素鋼、316ステンレス鋼など)、金属合金(例えば電気泳動法及びリルサンで被覆した鋳造アルミニウム合金などといったアルミニウム合金)、非金属(例えばナイロン、ガラス強化ポリアミドなどといったポリアミド)などから作られていてよい。
【0060】
直線位置センサ106は、導体116を介して、コントローラ(例えばプロセッサ)に(アナログまたはデジタル電子式の)リアルタイム位置フィードバックを提供し、ピストンロッド108bがその行程の範囲を通じて延伸する量を示す。直線位置センサ106は、例えば、閉ループフィードバック制御を促進するために角度、速度、及び移動量を測定する、電位差計であってよい。代わりに、直線位置センサ106は、1つ以上の他のシリンダ内直線変位トランスデューサ(LDT)または外部LDTを用いていてもよい。シリンダ内LDTは、例えば、磁気ひずみトランスデューサを使用してよい。一方、外部LDTは、ホール効果技術を用いてピストン108a上の永久磁石の位置を感知する、外部感知バーを使用してよい。稼働中、磁石によって磁場がシリンダ104中に広がり、それによって、センサに対して位置特定信号が提供される。
【0061】
給気管110は、空気圧作動アセンブリ100と給気との間(及び/または空気圧システムの他の構成要素との間)で圧縮大気(または、圧縮二酸化炭素といった他の気体)を運ぶのに使用される。給気管110は、ポリウレタン(PUR)管、ナイロン管、PTFE管、ポリウレタン(PUR)管などのうちの1つ以上を用いていてよい。給気管110は、1つ以上のエア継手102を使用して、空気圧作動アセンブリ100、または他の構成要素に連結される。1つ以上のエア継手102は、ネジ付き管継手、バーブ付き(barbed)ホース継手、迅速交換式(quick-disconnect)エア継手などといった、様々なタイプの管継手/ホース継手を用いていてよい。
【0062】
空気圧作動アセンブリ100は、シリンダ104内でピストン108aのどちら側かの圧力を選択的に増大させることによってピストンアセンブリ108が移動する、「押/押」式の配列として構成されていてよい。具体的には、ピストンアセンブリ108の移動は、制御/サーボバルブを介して第1の圧力(p)と第2の圧力(p)を選択的に制御/調整することによって、制御される。第1の圧力(p)と第2の圧力(p)が等しいとき、ピストンアセンブリ108は静止している(即ち、移動していない)。ピストンアセンブリ108を後方に移動するためには、第1の圧力(p)を引き上げる一方で、第2の圧力(p)を所定の圧力まで引き下げ(または一定に保持し)てよい。それによってピストンアセンブリ108は、所定の位置または終端に到達するまで(例えば後端部いっぱいに)右に押される。所定の位置または後端部に到達すると、第2の圧力(p)を引き上げる一方で、第1の圧力(p)を所定の圧力まで引き下げてよい。それによってピストンアセンブリ108は、所定の位置または終端に到達するまで(例えば前端部いっぱいに)反対方向(例えば左)に押される。
【0063】
空気圧作動アセンブリ100は、システムの他の構成要素と連結するための複数の荷重コネクタ112を含む。第1の荷重コネクタ112はテールロッド部108cの遠位端に位置していてよく、第2の荷重コネクタ112はシリンダ104の後端部に位置していてよい。荷重コネクタ112は、示されるように、コネクタの端部を貫通するボルトまたはピンによって別の構成要素が締結され得る、クレビスであってよい。クレビスが示されているが、ネジ付きロッド、フック、1ウェイまたは2ウェイのコネクタクランプ、フランジ付きの1ウェイまたは2ウェイのコネクタクランプ、T分岐コネクタクランプ、スイベルコネクタクランプなどを含む、他の荷重コネクタ112も検討される。使用中の摩擦を軽減するため、荷重コネクタ112は、1つ以上の常設式ブッシングもしくは交換式ブッシング、ベアリング(例えばボールベアリング)などを備えていてよい。
【0064】
図2は、状態のセルフモニタリングを用いない、単線空気圧システム200の概略を示す。示されるように、単式空気圧システム200は、概して空気圧作動アセンブリ100、プロセッサ202、サーボドライバ204、1つ以上の圧力センサ206、1つ以上のダンプバルブ208、給気210、電気機械式サーボバルブ212、電源214、及び切替装置216を備える。空気圧システム200の様々な構成要素は、稼働場所で迅速に交換されるように設計された、モジュラー式の構成要素(例えば、列線交換ユニット(LRU))であってよい。
【0065】
様々な図で1つ以上の圧力センサ206が単一のブロックとして示されているが、この1つ以上の圧力センサ206は、必ずしも単一の構成要素ではない。例えば、ピストン108aの両側のシリンダ104内の圧力(p、p)を検出するために、別々の圧力センサ206が使用されてよい。空気圧作動アセンブリ100は、塊(mass)306a、直線ばね306b、及び粘性ダンパー306cを含むとして示されている荷重306に、機械的に(例えば、ピストンロッド108bを介して)取り付けられていてよい。
【0066】
給気210は、サーボバルブ212への入力の役割を果たす。給気210は、例えば、約50~150重量ポンド毎平方インチ(psi)で、より好適には約60~120psiで、最も好適には約80psiで、圧縮空気を供給するエアコンプレッサーであってよい。しかし、圧縮空気の圧力レベル(psi)が、特に具体的な構成要素、所望の動的性能、所望のシステム効率などに依存し得ることは、当業者には理解されるだろう。したがって、本開示がこの提示された例示的なpsiの範囲に限定されると解釈されるべきではない。空気圧作動アセンブリ100は、ピストンの出力において引くまたは押す力を生成するために給気210からの圧力がシリンダ104の両側に供給され得るという点で、複動式である。
【0067】
電気機械式サーボバルブ212は、電気モータの制御下でモータ電流を介して、給気210からシリンダ104への気流(mドット、mドット)を制御して第1の圧力(p)及び第2の圧力(p)を選択的に調整し、それによってピストンアセンブリ108をシリンダ104内で選択的に移動させる。この目的のため、サーボバルブ212は、圧縮空気を1つ以上の所定の気流速度(mドット、mドット)でシリンダ104に導くように構成されている。例えば、サーボバルブ212は、高帯域幅のモータ電流コントローラであってよいサーボドライバ204からの電気入力信号またはコマンドに応じて、シリンダ104への気流を測定し得る。
【0068】
サーボバルブ212は、例えば、3位置式のパイロットバルブシステムであってよい。第1の位置では、サーボバルブ212は、給気210と(シリンダ104内の)ピストンアセンブリ108の両側との間の空気の流れを妨げる(mドット=O, mドット=O)ため、閉鎖されている。第2の位置では、サーボバルブ212は、給気210からピストンアセンブリ108の前側へと圧縮空気を送り(mドット=+)、同時にピストンアセンブリ108の後側から圧力(p)をベントする(mドット=-)。最後に、第3の位置では、サーボバルブ212は、給気210からピストンアセンブリ108の後側へと圧縮空気を送り(mドット=+)、同時にピストンアセンブリ108の前側から圧力(p)をベントする(mドット=-)。第2及び第3の位置では、気流速度(mドット、mドット)は、且つサーボドライバ204からサーボバルブ212へのコマンドに応答して、独立的かつ比例的に制御することができる。適切なサーボバルブは、双方向のリニアフォースモータ並びにスプール及びスリーブを有する、5ポート式、4方向の比例バルブである、Enfield Technologies製LS-V05sモデルのバルブといった、Enfield Technologies社から入手可能なものを含む。
【0069】
サーボドライバ204は、プロセッサ202から受信した、ピストンアセンブリ108の位置、速度、圧力、または力を制御する指示に基づき、モータ電流を使用して、サーボバルブ212を制御する。プロセッサ202は、(例えば制御コマンドまたは他の指示を出力するための)出力回路202a、並びに(例えばフィードバック及び/または指示を受信するための)入力回路202bを含む。プロセッサ202は、例えば、プログラマブルシステムオンチップ(PSoC)マイクロコントローラ集積回路(IC)であってよい。例示のPSoC ICチップは、CPUコア、並びに設定可能なアナログ及びデジタルの統合周辺装置の混合信号アレイを含み得る。
【0070】
プロセッサ202は、ピストンアセンブリ108の状態をモニタリングするため、1つ以上のセンサにさらに連結されていてよい。検討されるように、プロセッサ202は、空気圧システム200のリアルタイム制御を実施するように構成されていてよい。この目的のため、プロセッサ202の制御原理は、1つ以上のセンサからのフィードバック信号を使用してよい。1つ以上のセンサは、例えば、それぞれピストン108aの位置及び、ピストン108aの両側でシリンダ104内の圧力をモニタリングする、直線位置センサ106及び、1つ以上の圧力センサ206を含んでいてよい。1つ以上の圧力センサ206は、シリンダ104内のシリンダ104と制御バルブ108の間(例えば、前記供給ライン110内にインラインで)か、またはシステム内の他の場所に位置していてよい。さらに、航空ビークルの関連では、プロセッサ202は、飛行制御システムからの所望の位置コマンドを受信してよい。
【0071】
空気圧システム200は、空気圧システム200内の1つ以上の所定の地点において空気圧を解放することによって空気圧作動アセンブリ100を停止/解除する、1つ以上のダンプバルブ208をさらに含み得る。示されるように、空気圧システム200は、空気圧システム200の完全停止を容易にするため、サーボバルブ212の両側にダンプバルブ208を含み得る。具体的には、3つのダンプバルブ208が設けられてよい。第1のダンプバルブは、サーボバルブ212と給気210との間の、インラインのベント圧力(p)を解放するようにして、流動的に位置している。第2のダンプバルブは、サーボバルブ212と前端部エア継手102との間の、インラインのベント圧力(p)を解放するようにして、流動的に位置している。第3のダンプバルブは、サーボバルブ212と後端部エア継手102との間の、インラインのベント圧力(p)を解放するようにして、流動的に位置している。
【0072】
各ダンプバルブ208は、電源214に電気的に連結されていてよい。電源214は、(例えばダンプバルブ208内のソレノイドを作動または停止することによって)ダンプバルブ208を作動及び/または停止して選択的に圧力(p)をベントするのに、必要な電力を供給する。電源214は、例えば、バッテリ、変圧器、ビークルの電源(地上ビークルであれ航空ビークルであれ)などといった、12v~24vのDC電源であってよい。
【0073】
ダンプバルブ208の作動を制御するため、電源214と各ダンプバルブ208との間に切替装置216が設けられていてよく、その結果、電源214からダンプバルブ208に電力が選択的に供給される。切替装置216には、ボタン(瞬時ボタン)、スイッチ、リレーなどのうちの1つ以上が用いられていてよい。
【0074】
切替装置216は、空気圧システム200(例えば空気圧作動アセンブリ100)またはその一部を従事させる及び/または解除するために、コントローラまたはオペレータによって手動で作動されてよい。例えば、オペレータが空気圧システム200を解除したいと思った場合、オペレータは、切替装置216をトリガして、空気圧システム200のあちこちに位置している1つ以上のダンプバルブ208を作動させ、空気圧作動アセンブリ100から圧力を解放する。ある態様では、切替装置216は、オペレータがダンプバルブ208のサブセットのみを有効にできるようにしてよい。空気圧システム200が自動操縦機能を提供するために使用されている場合、パイロットは、1つ以上のダンプバルブ208(例えば全部のダンプバルブ208)が即座に自動操縦機能を解除して航空機の制御をパイロットに戻すようにトリガしてよい。しかし、空気圧システム200の停止は、パイロットによる制御への突然且つ即時の移行という結果になり得る。
【0075】
図3aから図3cは、単一ラインの連続組み込み試験(CBIT)空気圧システム300の概略を示す。空気圧システム300の様々な構成要素は、モジュラー式構成要素として設けられていてよい。示されるように、単式CBIT空気圧システム300は、概して空気圧作動アセンブリ100、プロセッサ202、サーボドライバ204、1つ以上の圧力センサ206、1つ以上のダンプバルブ208、給気210、電気機械式サーボバルブ212、電源214、リレー304、及び電流センサ302を備える。理解され得るように、単一ラインのCBIT空気圧システム300は、空気圧システム200の構成要素のうちの多数を組み込んでいるが、サーボドライバ204とサーボバルブ212の間の電気モータ電流を測定するための、電流センサ302をさらに含んでいる。電流センサ302は、測定データ(即ち測定されたモータ電流)をプロセッサ202の入力回路202bに対して出力する。
【0076】
ピストンアセンブリ108は、図3aでは中間位置で示されている。中間位置では、前側チャンバ(A)内のピストンの断面積は、後側チャンバ(A)内のピストンの断面積と同様であるが、通常はそれよりも小さい。なぜならば、前側の断面積は、シリンダ104のピストンチャンバの外に出るピストンロッド108bも含んでいるからである。言い換えると、中間位置では、第1のエリア(A)は第2のエリア(A)よりも小さい。なぜならば、ピストンロッド108bが、シリンダ104内で第1のエリア(A)の小さからぬ部分を占めているからである。ピストンロッドに外部荷重が一切かかっていないと仮定すると、(A)と(p)の積に等しいピストンの前側の力(f)が、(A)と(p2)の積に等しいピストンの後側の力(f)と等しいとき、ピストンアセンブリ108は静止している。ピストンアセンブリ108を後方に移動するためには、サーボバルブ212の制御の下、第1の圧力(p)を引き上げる一方で、所定の量の空気圧(p)をベントすることによって第2の圧力(p)を所定の圧力まで引き下げ(または一定に保持し)てよい。それによってピストンアセンブリ108は、図3bに示すように所定の位置または終端に到達するまで(例えば後端部いっぱいに)右に押される。所定の位置または後端部いっぱいに到達すると、第2の圧力(p)を引き上げる一方で、所定の量の空気圧(p)をベントすることによって第1の圧力(p)を所定の圧力まで引き下げてよく、それによってピストンアセンブリ108は、図3cに示すように所定の位置または終端に到達するまで(例えば前端部まで)左に押される。
【0077】
プロセッサ202は、少なくとも部分的に電流センサ302からの測定データに基づいて、例えば電源214とダンプバルブ208の間に位置している1つ以上のリレー304を介してライン圧力(p)をベントするように、ダンプバルブ208の1つ以上に対して指示してよい。単一空気圧作動アセンブリ100のCBITは、精密なシステムモデルを用いて、ピストンのサーボドライバへのモータ電流の測定値とサーボドライバのモータ電流の予測値(例えば保存データ値)とを比較することによって、実施することができる。具体的には、単一ラインのCBIT空気圧システム300のある構成要素の故障は、モータ電流の測定値がモータ電流の予測値から所定の偏差で異なっているときに、特定することができるのである。これが可能な理由は、発信されるサーボコマンドとモータ電流の測定値との間の関係が既知であり、この既知の関係からの逸脱は、不具合を表すからである。この故障を検出することによって、単一ラインCBIT空気圧システム300が、リレー304及びダンプバルブ208を使用して、ラインからの空気圧(p)をベントすることによってシステムの空気圧を自動的に無効にすることが可能になる。空気圧システム200と同様に、単一ラインCBIT空気圧システム300の故障は、パイロットによる制御への突然且つ即時の移行に帰結し得る。
【0078】
電流のモニタリングに加えて、CBIT空気圧システム300は、CBIT空気圧システム300を表し、制御するための4つの状態を使用する、多変数制御設計方法を用いていてよい。この4つの状態は、空気圧ピストンの位置と、空気圧ピストンの速度と、2つのシステムの圧力(空気圧ピストンの両側の圧力)を含む。この目的のため、CBIT空気圧システム300は、1つ以上のプロセッサ118及び/またはセンサ(例えば位置データを出す直線位置センサ106)を使用してピストンアセンブリ108の位置を追跡し、圧力センサ206を使用してシリンダ104内のピストンアセンブリ108の両側の圧力を測定し得る。プロセッサは、これらのセンサを使用して、(部分的には位置データに基づいて)ピストン108aのピストン速度を計算することができる。
【0079】
空気圧アクチュエータの使用に関する課題は、チャンバ圧及び空気の質量流量が概して非線形であり、それによって、線形モデリングに依拠する古典的なフィードバック制御モデリングツールの有効性が低減することである。ピストンチャンバ内の空気圧および質量流量は、いくつかの理由によって概して非線形であり得る。第1に、図4aを参照すると、サーボバルブ212は、ピストンアセンブリ108の片側(例えば後側)に供給圧力で給気し得るか、または閉鎖位置に近づいたときには、ピストンアセンブリ108をベントし得る。グラフ400aは、サーボバルブ212の位置に応じた、ピストンアセンブリ108の後側に関する圧力の当初の変化速度を示す。示されるように、サーボバルブ212がピストンの片側に対してベントから加圧へと切り替わった時に、圧力変化の速度に鋭い変化が起きる。第2に、図4bを参照すると、グラフ400bは、固定制御バルブコマンド位置においてサーボバルブ212を通る気流もまた非線形であることを示している。例えば、サーボバルブ212の片側と反対側との圧力差が一定のレベルを上回る場合、気流は閉塞(choke)するであろう。これは、空気が圧縮可能な気体であるという事実によって生じる現象である。これらの現象は、ピストンの動態に関して、即ち完全フィードバック制御システムの動態に関して、重大な役割を果たしうる。しかし、圧力状態を無視することによって、フィードバックコントローラは不確実性に曝される。その一方で、圧力状態を予測するには、複雑な非線形モデリングが必要となる。
【0080】
これらの課題に対処するため、ピストンアセンブリ108の位置と、ピストンアセンブリ108の速度と、2つのシステム圧力測定値(p、p)を使用してCBIT空気圧システム300をモデリングするのではなく、2つのシステム圧力測定値(p、p)の代わりにピストンアセンブリ108上のネットフォースをフィードバックとして使って、モデリングが実施されてよい。ネットフォースは、1つ以上の圧力センサ206から入手可能な2つの圧力信号(p、p)を使用して、プロセッサ202によって直接測定することができる。具体的には、ネットフォース(F)は、ピストン108aの断面積とピストン108aにかかる圧力を使って、方程式1及び2を用いて計算することができる。式中、Fはポンドを単位とするネットフォースであり、rはインチを単位とするピストン108aの半径であり、pはpsiを単位とする前端にかかる圧力であり、pはpsiを単位とする後端部にかかる圧力であり、pATMはpsiを単位とする大気圧(~14.7psi)である。
【0081】
Front=(Areacross-sectional)×(Papplied)=(πr)×(p-pATM
方程式1
Back=(Areacross-sectional)×(Papplied)=(πr)×(p-pATM
方程式2
【0082】
所望のピストンフォース(F)の閉ループ制御が十分な正確性と帯域幅を有している場合、ネットフォースフィードバックによって、空気圧の作動(例えば閉塞)によって生じるチャンバ圧力への非線形効果を、実質的に低減することができる。所望のピストンチャンバ圧力を達成するために、高帯域幅のフォース制御は、ピストンチャンバ圧力の迅速な測定と、所望のピストン圧力の迅速な計算と、高帯域幅のサーボバルブの作動とを必要とする。ネットフォース(F)をこうして高帯域幅制御することによって、ピストンに関する完全フィードバック制御システムの動作に対する、圧力挙動の非線形効果が実質的に低減される。これによって、しばしば線形モデルのシステムに基づいている、最新の制御設計方法の利用が可能になる。これらの最新の方法の利点は、システムモデル内の不確実性を説明する際に、古典的な方法と比べてはるかにより正確であることである。所望の性能を達成するためにフォースコントローラが必要とする帯域幅は、システム内に存在する非線形効果の特性周波数と、閉ループシステムの所望の性能の帯域幅に依存し得る。正確な帯域幅と要求精度は、システムの要求精度とレスポンスに依存する。しかし、大雑把な基準としては、補償コントローラ、即ちフォースフィードバックは、完全作動システムの所望の帯域幅よりも少なくとも10倍は迅速であり、補償コントローラ内で使用されるセンサは、コントローラの所望の定常状態精度の少なくとも10倍の解像度を有しているべきである。例えば、本発明の一用途では、ピストン制御の所望の閉ループ帯域幅は約4Hzであり、チャンバ圧力の非線形効果によるシステムの共振が、約1Hzという望ましくないシステムの振動を生じさせたことが、経験的観察によって示された。こうして、100Hzよりも良好的な制御帯域幅のフォースコントローラによって、ピストンの固有の非線形的動態を補正するのに十分な応答時間が提供された。この同じ用途では、チャンバ圧力の測定値の正確性は約0.1ポンド毎平方インチ(psi)であり、その間このシステムは、約100psiまでのチャンバ圧力で稼働した。
【0083】
上記の空気圧制御技術は、三重空気圧アーキテクチャにおいてさらに具体化され得る。三重空気圧アーキテクチャシステムは、所望の冗長性を提供するのに加えて、自動操縦の解除に伴う自動操縦からパイロットによる制御への突然且つ即座の移行といった、上記の単一ラインシステム200、300に関連する特定の欠陥を軽減する。自動操縦で三重空気圧アーキテクチャシステムを使用することのさらなる利点は、3つの空気圧作動アセンブリを使用することによって、操縦桿/ジョイスティックの操作に関してローラーベアリングベースの設計がもはや必要とされないことである。
【0084】
図5aは、並行して稼働する3つのほぼ同様または同一の空気圧サブシステム500a、500b、500cを用いた、例示の三重空気圧アーキテクチャシステム500の概略を示す。これらのサブシステムは、空気圧サブシステムラインA(「ラインA」)500a、空気圧サブシステムラインB(「ラインB」)500b、空気圧サブシステムラインC(「ラインC」)500cとして示されている。示されるように、空気圧サブシステム500a、500b、500cのそれぞれは、同じタスクを実施するための空気圧作動アセンブリ100を含んでおり、したがって互いに機械的に連結されていてよい。3つの空気圧作動アセンブリ100は、さらに、一端または両端において、共通荷重コネクタ112を共有していてよい(バス接続をよりよく示すため、図5aからは後端荷重コネクタ112が省かれている)。
【0085】
空気圧サブシステム500a、500b、500cは、センサバス504を介してセンサの読み取り値(例えば電流、圧力、速度、位置、力、及び他の測定値)を、また終了バス502を介して終了信号を、といったようにフィードバック及び指示の交換を促進するため、互いに通信可能且つ動作可能に連結されている。三重空気圧アーキテクチャシステム500の三重冗長性の観点から、3つの空気圧作動アセンブリ100は、それぞれの空気圧サブシステム500a、500b、500cを介して、類似した制御コマンドを(例えば、飛行制御システムから)受信する。
【0086】
空気圧サブシステム500a、500b、500cのそれぞれは、サーボドライバ204からサーボバルブ212へのモータ電流を命令するプロセッサ202を含む。モータ電流は、インラインの電流センサ302を使ってモニタリングされる。各プロセッサ202が、3つのライン全てで測定されたモータ電流をモニタリングする。システムの故障がない場合、空気圧サブシステム500a、500b、500cのそれぞれで測定されたモータ電流は、ほぼ同じであることが予期される。なぜならば、これら3つの空気圧作動アセンブリ100は、共通の(即ち同一の)荷重306を同じ命令を受けた位置まで移動させるように構成されているからである。この結果、各空気圧サブシステム500a、500b、500cからのフィードバックは、ほぼ同じになるはずである。この目的のため、各プロセッサ202は、3つのモータ電流すべてが確実に一致するように(即ち、互いに所定の許容可能な偏差の範囲内になるように)して、投票アルゴリズムを実行する。この投票アルゴリズムは、「三重モジュール冗長性」アルゴリズムの1バージョンであり得る。
【0087】
3つの空気圧サブシステム500a、500b、500cのうちの1つにおけるモータ電流の測定値が他の2つの空気圧サブシステム500a、500b、500cと一致しない(即ち、所定の許容可能な偏差の範囲外であり、ライン/サブシステムの故障を表している)場合、その故障したサブアセンブリのリレー304に対して、終了信号(例えば5VのDC高信号)が送信され得る。稼働中、リレー304は、プロセッサ202からの終了信号がリレーによって受信されない限り、空気圧ダンプバルブ204に対して電力を提供することによって、空気圧ダンプバルブ204を閉鎖(ライン内の圧力を維持)し続ける。このリレー304の配設は有利である。なぜならば、ラインのうちの1つでプロセッサ202が故障しても、三重空気圧アーキテクチャシステム500全体が無効にならないだろうからである。故障を検出するサブシステムのプロセッサ202は、任意のサブシステム500a、500b、500cによって故障が検出されたときに、故障した空気圧サブシステムのリレー304に対して終了信号を送信し、それによって故障した空気圧サブシステムを無効にする(例えばベント/ダンプする)ように構成されている。その後、残りの2つの健全な空気圧サブシステムは、失われた空気圧作動アセンブリ100をカバーするために、動作を変更し得る。残りの2つのサブシステムは、この2ピストン式システムの動態及び性能が、3ピストン式システムの正常な動作と密接にマッチするようにして、制御ゲインを変更する。2ピストン式の動作用に変更されたコントローラは、正常に動作しているシステムを設計するのと同じ方法を使用して設計され、操作され得る。
【0088】
図5bは、三重空気圧アーキテクチャシステム500の実施形態である、三重ピストンアセンブリを示す。示されるように、3つの空気圧作動アセンブリ100は、平行に且つ三角形の構成で配設されていてよい。3つの空気圧作動アセンブリ100は、一式のブラケットプレート506を使用して、互いに対して適切な位置に固定され得る。示されるように、各ブラケットプレート506は、三角形の構成に配設された3つのブラケット穴を含む。ブラケットプレート506の外周もまた、三角形であってよい。三重ピストンアセンブリは三角形の構成で示されているが、用途に応じて他の構成も可能である。例えば、3つの空気圧作動アセンブリ100は、平行に且つ平面構成で(隣同士に単一面内に)配設されてよい。
【0089】
図5bの3つの空気圧作動アセンブリ100は、後端部に3つの別個の荷重コネクタ112を用いているとして示されているが、3つの空気圧作動アセンブリ100が、1つの共通の荷重コネクタ112を共有しているか、または(例えば、航空ビークルの固定部への)取り付けのために後端部ブラケットプレート506を使用するように、構成されていてもよい。荷重コネクタ112は前端部には示されていないが、同様に荷重コネクタ112を共有するか、または3つの別個の荷重コネクタ112を用いるかしていてよい。いずれにせよ、ロードコネクタ112は、各空気圧作動アセンブリ100のピストンロッド108bのテールロッド部108cに連結されていてよい。
【0090】
図6aから図6cは、ラインA 500a、ラインB 500b、ラインC 500cのそれぞれを概略的に示す。上記のように、3つの空気圧サブシステム500a、500b、500cはほぼ同一であり、したがって図6aのみを詳細に検討する。しかし、理解され得るように、図6aに関する検討は、他の空気圧サブシステム500a、500b、500cの観点からではあるが、図6b~図6cにも同様に該当する。
【0091】
ここで図6aを参照すると、ラインA 500aが概略的に示されている。ラインA 500aの様々な構成要素は、モジュラー式構成要素であってよい。示されるように、ラインA 500aは概して、空気圧作動アセンブリ100と、プロセッサ202と、サーボドライバ204と、1つ以上の圧力センサ206と、複数のダンプバルブ208と、空気供給210と、電気機械式サーボバルブ212と、電源214と、複数のリレー304と、電流センサ302と、終了バス502及びセンサバス504に連結するための1つ以上のバスインターフェースとを備える。1つ以上のバスインターフェースは、終了バス502とセンサバス504を介して、3つの空気圧サブシステム500a、500b、500cの間の通信とフィードバックを可能にしている。バスインターフェースは、有線接続された1つ以上の電気コネクタ(例えばマルチピンコネクタ)、ワイヤレストランシーバなどを用いる。ある態様では、三重空気圧アーキテクチャシステム500は、ピアツーピア通信ネットワーク、またはマスタースレーブネットワークを用いていてよい。例示のネットワークは、コントローラエリアネットワーク(CAN バス)を含む。
【0092】
示されるように、ラインA 500aは、3つのリレー304を含む。1つのリレー(A-A)はラインA 500aのプロセッサ202からの終了信号によって制御されており、一方で残りの2つのリレー(B-A)、(C-A)は、それぞれラインB 500b及びラインC 500cのプロセッサ202からの終了信号によって制御されている。単一ラインのCBIT空気圧システム300と同様に、ラインA 500aは、サーボドライバ204とサーボバルブ212の間の電気モータ電流を測定するための、電流センサ302を含んでいる。電流センサ302は、センサバス504に対して測定データ(即ち、測定されたモータ電流)を出力する。この測定データは、3つのライン全て(即ちラインA 500a、ラインB 500b、及び/またはラインC 500c)のプロセッサ202に対して伝達されるか、及び/または、所望であれば、ラインA 500aのプロセッサ202の入力回路202bに直接伝達される。稼働中、ラインのそれぞれから同様のフィードバックが予期されている。言い換えれば、ラインA 500aの兄弟プロセッサ202(ラインB 500b及びラインC 500cのプロセッサ202)は、それぞれのサーボバルブ212に対して同様のモータ電流を命令することが予期されている。なぜならば、この3つの空気圧作動アセンブリ100は、同じ荷重306を同じ命令の位置へと駆動するからである。その結果、3つのライン(ラインA、ラインB、及びラインC)の各プロセッサ202は、残りの2つのラインをモニタリングするように構成されている。例えば、ラインA500aは、ラインB 500b及び/またはラインC 500cのプロセッサによって、終了され得る。
【0093】
3つのライン(即ちラインA 500a、ラインB 500b、及びラインC 500c)は、それぞれ3つのリレー304を有するとして示されているが、空気圧システム500は、各ライン500a、500b、500cにおいて2つのリレー304のみしか使わなくても、なお確実に機能することができる。例えばラインA 500aに関しては、ラインA 500cのプロセッサ202がラインA 500cを終了(即ち自己終了)するように構成されていいなくてよい。そのため、リレー(A-A)を割愛することによってリレー(B-A)、(C-A)のみを残してもよい。それにもかかわらず、自己終了が検討されており、自己終了が用いられて、オプションのリレー304(A-A)、(B-B)、及び(C-C)を介してさらなる冗長性が提供されてよい。
【0094】
その結果、各プロセッサ202は、いかなる差異をも識別するために、測定された3つの空気圧作動アセンブリ100全てのモータ電流をモニタリングする。したがって、3つの空気圧サブシステム500a、500b、500c内の各プロセッサ202は、3つの電流センサ302のそれぞれからの3つのモータ電流全てが一致するように、投票アルゴリズムを実施してよい。1つのラインのモータ電流が残り2つの兄弟(sibling)ラインと一致しない場合、終了バス502を介して一致していないラインのリレー304に終了信号が送信され、ダンプバルブ202の電力が切断される。それによって、単一の故障した空気圧システム内の圧力(p)がダンプ/ベントされる。
【0095】
空気圧システム500内で安全でない故障が生じると、モータ電流が所定の「正常」な動作範囲から逸脱する結果となるであろう。圧力フィードバック及び/またはフォースフィードバックが含まれているので、空気圧システムの致命的な故障の全てを検出するためには、モータ電流測定値のモニタリングだけが必要である。したがって、各個別の空気圧作動アセンブリ100の制御ループ内で、モータ電流フィードバックに加えて、圧力フィードバック及び/またはフォースフィードバックを使用することによって、サーボドライバ204からの電気モータ電流を測定し、空気圧システム500の各個別の空気圧サブシステム500a、500b、500cにおける、全構成要素に関する情報をキャプチャすることが可能になる。
【0096】
例として、圧力補償がなく、3つのピストン全てが機械的に連結されており、1つの個別の空気圧作動アセンブリ100がそのチャンバのうちの1つに至る空気ホースを喪失したというシナリオを検討されたい。1つのピストンの喪失によって全てのコントローラが影響され得るが、各直線位置センサ106の出力は、他のものと同じままであるだろう。投票アルゴリズムは、ピストンの位置のみに依存しており、ピストン上の外部荷重の変化に対するシステム応答のこの変化を識別することは不可能であろう。空気圧システム500は、モータ電流のモニタリングを通じて、断線したラインの電流センサ302におけるモータ電流測定値の、他の2つの動作可能ラインの値からの逸脱を検出する。空気圧システム500はさらに、1つ以上の圧力センサ206を介し、圧力フィードバック及び/またはフォースフィードバックを通じて、故障したラインにおける圧力の急低下をプロセッサ202のうちの1つを経由してさらに検出し得る。
【0097】
三重アーキテクチャによって検出され対処された例示的な故障モードのリストが、表1で提供されている。アイテム番号3及び4で記載された故障を検出するために、例えば、圧力フィードバック制御が使用され得る。アイテム番号6及び7に関しては、故障は、空気圧システム500が制御動作を生成した時点で、モータ電流の逸脱に応答して検出される。空気圧作動アセンブリ100が低荷重下にあって静止している場合、番号6及び7に該当する故障は、直ちには検出されない可能性がある。なぜならば、故障の結果モータ電流がゼロとなり、ゼロになるということは、低荷重下かつ静止時に予期されるモータ電流に近いものであり得るからである。
【0098】
上記のとおり、各プロセッサ202は、3つの各空気圧サブシステム500a、500b、500c全てのモータ電流を測定し、各ライン内のモータ電流EAB、EAC、及びEBC間の差分(デルタエラー値EXY)を計算する。ノイズを低減するために、これらのエラー値はフィルタリングされてもよい。エラー値が許容可能な閾値を超過するか、または所定の許容可能な閾値または範囲を逸脱すると、システム故障が検出される。所定の許容可能な閾値は、故障を迅速に検出するためと、故障に起因しない不一致を却下するため(擬陽性を避けるため)との両方のために選択される。却下されるべき不一致の例は、センサノイズに起因する逸脱と、3つの空気圧ピストンそれぞれの小さな差異に起因する逸脱である。エラー閾値の選択には、チャンバの内在ノイズ及び性能偏差、並びにコントローラの構成要素の故障の影響を考慮に入れるべきである。エラーの閾値は、例えば、合計測定範囲の5%を超えるあらゆる誤差(をエラーとするもの)であってよい。表2に要約されている三重投票ロジックでは、システムの健全性を評価するためのエラー値及びシステム故障閾値が用いられている。
【0099】
三重空気圧アーキテクチャシステム500及び、ラインの故障を識別する三重投票ロジックの有効性を実証するために、一連の実験が実施された。この結果は、図7a及び図7bに要約されている。
【0100】
図7aは、3つの空気圧ライン中で測定されたモータ電流を示すグラフである。各空気圧ラインは、同様の(例えば同一の)ステップ位置コマンドを実施することによって監視された。電流データは、「マイクロコントローラユニット」内で提示される。これは、データ取得のために使用される、マイクロコントローラのアナログ-デジタルコンバータの、伸縮されていない出力である。サーボバルブを引き抜くことによって、ラインC上にサーボの故障が作り出された。現実世界と実験との間の不一致を取り入れるため、ラインCで使用されるピストンと機械アセンブリは、ラインA及びラインBのそれらとは同一になっていない。これらの差異にかかわらず、三重空気圧アーキテクチャシステム500のCBITアルゴリズムは、これらの正常な不一致は無視し、その一方でなお実際のシステムの故障は首尾よく検出するのであった。グラフから明らかなように、サーボの故障後にラインCで測定されたモータ電流は、その後に受信される位置コマンド(グラフ中の電流の急な山形(spike)/ピークによって示されている)に応答していない。したがって、三重空気圧アーキテクチャシステム500のCBITアルゴリズムは、ラインCの電流がラインA及びラインBの電流とは顕著に異なっていると、正しく判定したのであった。
【0101】
図7bは、3つの空気圧ラインで測定されたモータ電流の差異を示すグラフである。上記のとおり、各プロセッサ202は、3つのライン全て、即ちラインA 500a、ラインB 500b、及びラインC500cのモータ電流を測定し、各ラインのモータ電流EAB、EAC、及びEBC間の差分を計算する。エラー値が許容可能な閾値を超過すると、システム故障が検出される。ここで再び、ラインC上でサーボを引き抜くことによってサーボの故障が作り出された。短時間(約2秒)の遅延の後、故障が検出され、ラインCは自動的にダンプされた。具体的には、エラー値EAC及びEBCは、どちらも許容可能な偏差の閾値を超過し、EABはしなかった。このことは、2つの故障を表す測定値に共通のラインが、故障の原因であったことを表している。
【0102】
故障の検出までの短時間の遅延は、生成された故障の性質に帰することができる。具体的には、ラインCでサーボが引き抜かれたときに、モータ電流の読み取り値として0が送信される。これは、荷重が0で位置コマンドがない状態の健全なラインとは大きく違わない。新たな位置コマンドが受信されたとき(それによって各ラインでモータ電流が要求されたとき)、健全なライン(ラインA及びラインB)は新たに非0のモータ電流を生成し、ラインCの故障は、分化されたものとして直ちに検出される。
【0103】
部品、特徴などの特定の配設に関して様々な実施態様が記載されてきたが、これらの実施態様は、全ての可能な配設または特徴を網羅することを意図しているのではなく、実に多くの他の実施形態、変更形態、及び変形形態が、当業者にとっては解明可能であろう。したがって、本発明が上記で明示的に記載された以外の態様でも実施可能であり得ることは、理解されるだろう。上記で引用された特許及び特許文献は、全体として参照により本願に援用される。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b